(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】生臭さまたは肉類の臭み低減用組成物
(51)【国際特許分類】
A23L 27/00 20160101AFI20240319BHJP
A23L 27/10 20160101ALI20240319BHJP
A23L 27/20 20160101ALI20240319BHJP
A23L 27/24 20160101ALI20240319BHJP
C12G 3/08 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
A23L27/00 Z
A23L27/10 C
A23L27/20 D
A23L27/24
C12G3/08 102
(21)【出願番号】P 2020186863
(22)【出願日】2020-11-09
【審査請求日】2020-11-10
(31)【優先権主張番号】10-2019-0142991
(32)【優先日】2019-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】P 2020563444
(32)【優先日】2019-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 下記の通り、特許に関連する記事をウェブサイトに掲載した。 ▲1▼ ウェブサイトの掲載日 (掲載1)平成30年12月7日 (掲載2)平成30年12月7日 (掲載3)平成30年12月7日 (掲載4)平成30年12月7日 (掲載5)平成30年12月7日 (掲載6)平成30年12月7日 (掲載7)平成30年12月8日 (掲載8)平成30年12月9日 ▲2▼ ウェブサイトのアドレス (掲載1)http://4th.kr/View.aspx?No=283841 (掲載2)http://www.cstimes.com/news/articleView.html?idxno=291800 (掲載3)https://newsis.com/view/?id=NISX20181207_0000495824&cid=10408 (掲載4)http://cnews.thebigdata.co.kr/view.php?ud=201812071020164122798812f20c_23 (掲載5)http://www.marketnews.co.kr/news/articleView.html?idxno=15793 (掲載6)https://biz.insight.co.kr/news/196413 (掲載7)http://www.econonews.co.kr/news/articleView.html?idxno=45163 (掲載8)http://www.dailysmart.co.kr/news/articleView.html?idxno=3411 ▲3▼ 公開者 それぞれの掲載に対応する公開者は以下の通りである。 (掲載1)ポスジャーナル (掲載2)コンシューマータイムズ (掲載3)NEWSIS (掲載4)ビックデータニュース (掲載5)マーケットニュース (掲載6)インサイト (掲載7)エコノニュース (掲載8)スマート経済
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 下記の通り、特許に関連する記事をホームページで公開した。 ▲1▼ ホームページのアドレス (公開1)https://blog.naver.com/csmpjhh/221400391771 (公開2)https://blog.naver.com/c304989/221401093459 (公開3)https://blog.naver.com/sun742/221401813337(公開4)https://blog.naver.com/tessandteddy/221408320041 (公開5)https://blog.naver.com/doragol/221430675492 (公開6)https://blog.naver.com/lms7384/221445564871 (公開7)http://blog.daum.net/ofme-forme-byme/2027 (公開8)https://blog.naver.com/charlina/221449541608 (公開9)https://blog.naver.com/hiphop0119/221568434490 ▲2▼ 掲載日 それぞれの公開に対応する掲載日は以下の通りである。 (公開1)平成30年11月17日 (公開2)平成30年11月18日 (公開3)平成30年11月19日 (公開4)平成30年11月28日 (公開5)平成30年12月30日 (公開6)平成31年1月18日(公開7)平成31年1月19日 (公開8)平成31年1月24日 (公開9)平成31年6月22日 ▲3▼ 公開者 それぞれの公開に対応する公開者は以下の通りである。 (公開1)自然に (公開2)ヨブドゥンイ (公開3)チジェン (公開4)千年女王 (公開5)ドラゴール (公開6)空の笑み (公開7)ウォン (公開8)青い風 (公開9)今時の男
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 下記の通り、特許に関連する商品をウェブサイトで販売した。 ▲1▼ 販売日 平成31年7月 ▲2▼ ウェブサイトのアドレス http://prod.danawa.com/info/?pcode=8557586&relationMenuType=recommend ▲3▼ 公開者 シージェイ チェイルジェダン コーポレーション
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502172696
【氏名又は名称】シージェイ チェイルジェダン コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シム、ジェ スン
(72)【発明者】
【氏名】オー、ジ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】リム、ヒー ジョン
【審査官】吉岡 沙織
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-177376(JP,A)
【文献】特開2010-273940(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107468592(CN,A)
【文献】特開2019-154282(JP,A)
【文献】特開2018-007643(JP,A)
【文献】特開2011-223998(JP,A)
【文献】特開2007-252543(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
C12G
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリフェノール、エタノールおよび有機酸を含む、異臭低減用組成物であって、
前記ポリフェノールは、クロロゲン酸およびコーヒ酸を含み、前記有機酸は、酢酸を含み、前記クロロゲン酸は、全組成物に対して、0.2ppm~6ppmの含量で含まれ、前記コーヒ酸は、全組成物に対して、0.03ppm~2ppmの含量で含まれる、異臭低減用組成物。
【請求項2】
前記有機酸は、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、および乳酸からなる群から選択される一つ以上をさらに含むものである、請求項1に記載の異臭低減用組成物。
【請求項3】
前記ポリフェノールは、発酵酢から由来したものである、請求項1に記載の異臭低減用組成物。
【請求項4】
前記有機酸は、発酵酢から由来したものである、請求項1に記載の異臭低減用組成物。
【請求項5】
前記ポリフェノールの含量は、エタノール100重量部に対して、0.003重量部~0.1重量部である、請求項1に記載の異臭低減用組成物。
【請求項6】
前記ポリフェノールの含量は、クロロゲン酸とコーヒ酸の含量の合計である、請求項5に記載の異臭低減用組成物。
【請求項7】
前記有機酸の含量は、エタノール100重量部に対して、80重量部~200重量部である、請求項1に記載の異臭低減用組成物。
【請求項8】
前記異臭は、生臭さである、請求項1に記載の異臭低減用組成物。
【請求項9】
前記異臭は、窒素化合物によって発生する、請求項1に記載の異臭低減用組成物。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の異臭低減用組成物を異臭生成物に添加することを含む、異臭低減方法。
【請求項11】
前記組成物は、食品である、請求項
1に記載の異臭低減用組成物。
【請求項12】
前記
食品は、みりんである、請求項11に記載の
異臭低減用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、ポリフェノール、エタノールおよび有機酸を含む異臭低減用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
魚の生臭さは、腐敗過程中にトリメチルアミン(trimethylamine;TMA)の生成および不飽和脂肪酸の酸化などの複合的な要因によって発生する。特に、水産物の新鮮度指標としても使用されるTMA場合、新鮮な肉にはほとんど存在しないが、死後、無臭状態であるトリメチルアミンオキシド(trimethylamine oxide;TMAO)成分が、細菌性酵素作用によってTMAに還元して生臭さを発するものと知られている。一般的には、魚の生臭さを取るために塩基性のTMAを中和するための酸を添加する方法として、主に酢を使用して生臭さを取る方法がある。しかし、酢特有の強い香味によって使用量が制限的であるという欠点がある。
【0003】
従来技術として、魚の生臭さを取るための様々な技術が開発されているが(韓国登録特許第10‐1928965号、韓国登録特許第10‐1647778号、韓国公開特許10‐2019‐0055941号)、生臭さの低減効果が制限的であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】韓国登録特許第10‐1928965号
【文献】韓国登録特許第10‐1647778号
【文献】韓国公開特許第10‐2019‐0055941号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の従来技術の問題を解消するために、本出願は、魚の生臭さの原因物質であるトリメチルアミン(TMA)の低減効果が非常に優れ、料理に適用したときに魚の生臭さと臭みを効果的に取り、風味を生かすことができ、さらには、缶詰、魚肉、家庭簡単食といった加工食品にも適用しやすい、異臭低減用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本出願の一側面は、ポリフェノール、エタノールおよび有機酸を含む異臭低減用組成物を提供する。
【0007】
上記の目的を達成するために、本出願の他の側面は、ポリフェノール、エタノールおよび有機酸を含む組成物を異臭生成物に添加するステップを含む異臭低減方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本出願の組成物は、魚の生臭さの原因物質であるトリメチルアミン(TMA)の減少能が非常に優れ、料理に適用したときに魚の生臭さを効果的に取り、風味を生かすことができ、缶詰、魚肉、家庭簡単食(HMR)といった加工食品にも適用しやすいという利点がある。
【0009】
ただし、本出願の効果は、上記で言及した効果に制限されず、言及されていない他の効果は、下記の記載から当業者が明確に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本出願の実施例および比較例における組成物のTMA低減効果を測定した結果をグラフで図示した図である。
図1における測定値は、平均±SD(n=3)で示した。対照群と比較して、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001。
【
図2】本出願の実施例および比較例における組成物のTMA低減効果を測定した結果をグラフで図示した図である。
図2における測定値は、平均±SD(n=3)で示した。対照群と比較して、**p<0.01。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本出願を具体的に説明する。
【0012】
本出願の一側面によると、本出願は、ポリフェノール、エタノールおよび有機酸を含む異臭低減用組成物を提供する。
【0013】
本出願において使用される用語「ポリフェノール」は、分子内に一つ以上のヒドロキシ基を有するフェノールを一つ以上含む化合物を意味する。ポリフェノールは、ポリフェノール自体およびその配糖体、そのアルキル化化合物、そのエステル化化合物など、誘導体(derivatives)も含む概念である。
【0014】
ポリフェノールは、異臭の低減という本出願の目的を達成するポリフェノールを制限なく含むことができる。具体的には、本出願において使用可能なポリフェノールは、フェノール酸(Phenolic acid)、フラボノイド(Flavonoids)、スチルベン(stilbens)、リグニン(lignin)など、制限なく含まれ得、一例として、イソラムネチン、イソラムネチングリコシド、カテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート、エラグ酸、カテコール、コーヒ酸、コーヒ酸エステル、クロロゲン酸、ケンペロール、ケンペロールグリコシド、ケルセチン、ケルセチングリコシド、ケルセタゲニン、ゲニセチン、ゲニセチングリコシド、タンニン酸、アントシアニン、ヒドロキノン、ヘスペレチン、ヘスペリジン、没食子酸、没食子酸エステル(没食子酸ラウリル、没食子酸プロピル、没食子酸ブチル)、4‐メチルカテコール、5‐メチルカテコール、4‐メトキシカテコール、5‐メトキシカテコール、メチルカテコール‐4‐カルボン酸、2‐メチルレゾルシノール、5‐メチルレゾルシノール、リグニン、リモシトリン、リモシトリングリコシド、リモシトロール、ルテオリン、ルテオリングリコシド、ルテオリニジン、ルテオリニジングリコシド、ルチン、レゾルシン、レスベラトロール、レゾルシノール、ロイコシアニジン、ロイコデルフィニジン、またはキナ酸などが挙げられるが、これに限定されない。
【0015】
具体的には、本出願において、ポリフェノールは、クロロゲン酸およびコーヒ酸からなる群から選択される一つまたは二つ以上の組み合わせを使用することができる。
【0016】
本出願において、クロロゲン酸は、コーヒ酸(caffeic acid)とキナ酸(quinic acid)がエステル結合で連結された化合物であって、下記の化学式1で表される。
【0017】
【0018】
本出願において、コーヒ酸は、ヒドロキシケイ皮酸に分類される化合物であって、下記載の化学式2で表される。
【0019】
【0020】
本出願において、ポリフェノールは、天然物から由来したポリフェノールだけでなく、人工的に合成されたポリフェノールも使用することができる。
【0021】
具体的には、天然物から、当業界に公知の方法、例えば、抽出方法によって分離精製したものを使用するか、天然物の発酵物から由来したものを使用することができる。具体的には、発酵酢から由来したものを使用することができる。
【0022】
発酵酢は、公知の方法で発酵するものを含み、一例として、グルコースなどの糖類をエタノールで発酵する一次発酵およびエタノールを酢酸で発酵する二次発酵により得られたものであってもよい。
【0023】
天然物は、ポリフェノールを含むいずれ物質でも制限なく利用可能であるが、植物であってもよい。具体的には、アロエ、アニスシード、ニワトコ、エゾウコギ、サイリウムハスク、オレンジフラワー、ピメントノキ、オレガノ、カノコソウ、カモミール、カプサイシンペッパー、カルダモン、カツラ、ニンニク、キャラウェイシード、チョウジ、クミンシード、コーラノキ、コリアンダーシード、ヌルデ、サフラン、サンショウノキ、セイヨウネズ、シナモン、ショウガ、トウシキミ、セントジョーンズワート、セロリシード、セイボリー、ゴマ、ルバーブ、タラゴン、ウコン、カラノアザミ、ディルシード、ナツメグ、イラクサ、ハイビスカス、マンサク、シラカンバ、バジル、ビターオレンジ、ウイキョウ、サクラソウ、フェヌグリーク、バーベナ、ゲッケイジュ、ホップ、ボルド、ワサビ、ケシシード、ヌルデ、マリーゴールド、マロン、マジョラム、マスタード、ミルフィーユ、ミントの葉、メリッサ、ナツメグ、シナノキ、リンドウ、ローズヒップ、ローズマリー、ローズマリーオフィシナリス、ヒマワリシード、ブドウ果皮、リンゴ、ニンジン菜、バナナ、イチゴ、アンズ、モモ、スモモ、パイナップル、ヤマナシ、カキノキ、サクランボ、パパイア、マンゴー、アボカド、メロン、ビワ、イチジク、キウイフルーツ、プルーン、ブルーベリー、ブラックベリー、ラズベリー、クランベリー、コーヒー豆、カカオ豆、グレープシード、グレープフルーツシード、ペカンナッツ、カシューナッツ、クリ、ココナッツ、ピーナッツ、クルミ、緑茶葉、紅茶葉、ウーロン茶葉、タバコ、エゴマの葉、ガーデンタイム、セージ、ラベンダー、スペアミント、ペパーミント、スポットカラノアザミ、ヒソップ、スイートバジル、マリーゴールド、タンポポ、アーティチョーク、ジャーマンカモミール、キンミズヒキ、カンゾウ、アニス、セイヨウノコギリソウ、ユーカリ、ニガヨモギ、オタネニンジン、ツチダラ、フェヌグリーク、花トウガラシ、ウイキョウ、トウガラシ、コリアンダーシード、キャラウェイシード、ウイキョウシード、ショウガ、ホースラディッシュ、オレガノマジョラム、オレガノ(origanum valgare)、マスタード、パセリ、コショウ、セイボリー、タラゴン、クルクマ、ワサビ、ディルシード、または柑橘類果物などであってもよい。
【0024】
本出願において、ポリフェノールは、組成物中のエタノール100重量部に対して、0.003重量部~0.1重量部の含量で含まれ得るが、これに制限されない。
【0025】
具体的には、ポリフェノールの含量は、エタノール100重量部に対して、0.003重量部、0.004重量部、0.005重量部、0.006重量部、0.007重量部、0.0075重量部、0.008重量部、および0.0085重量部から選択される一つの下限値および/または0.1重量部、0.09重量部、0.08重量部、0.07重量部、0.06重量部、0.055重量部、0.05重量部、0.045重量部、0.04重量部、0.035重量部、0.03重量部、0.025重量部、0.02重量部から選択される一つの上限値で構成される範囲の含量であり得る。
【0026】
一例として、ポリフェノールの含量は、エタノール100重量部に対して、0.003重量部~0.1重量部、0.004重量部~0.09重量部、0.004重量部~0.08重量部、0.007重量部~0.06重量部、0.0075重量部~0.055重量部、0.008重量部~0.05重量部、0.0085重量部~0.045重量部、0.0085重量部~0.04重量部、0.0085重量部~0.035重量部、0.0085重量部~0.03重量部、0.0085重量部~0.025重量部、または0.0085重量部~0.02重量部の範囲の含量であり得る。ポリフェノールの含量が上記範囲である場合、異臭低減効果を発現することができる。
【0027】
ポリフェノールの含量は、クロロゲン酸とコーヒ酸の含量の合計であり得る。
【0028】
本出願において、ポリフェノールは、全組成物の総重量に対して、0.2ppm~8ppmの含量で含まれ得るが、これに制限されない。
【0029】
具体的には、ポリフェノールの含量は、全組成物の重量に対して、0.2ppm、0.25ppm、0.3ppm、0.35ppm、0.4ppm、0.45ppm、0.5ppm、0.55ppm、および0.6ppmから選択される一つの下限値および/または8ppm、7.9ppm、7.7ppm、7.6ppm、7.5ppm、7.4ppm、7.3ppm、7.2ppm、7.1ppm、7ppm、6.9ppm、6.8ppm、6.7ppm、6.6ppm、6.5ppm、6.4ppm、6.3ppm、6.2ppm、6.1ppm、および6ppmから選択される一つの上限値で構成される範囲の含量であり得る。
【0030】
一例として、ポリフェノールの含量は、全組成物の重量に対して、0.2ppm~8ppm、0.25ppm~7.5ppm、0.3ppm~7ppm、0.35ppm~6.7ppm、0.4ppm~6.6ppm、0.45ppm~6.5ppm、0.5ppm~6.4ppm、0.55ppm~6.3ppm、0.6ppm~6.2ppm、0.6ppm~6.1ppm、または0.6ppm~6ppmの範囲の含量であり得る。ポリフェノールの含量が上記範囲である場合、異臭低減効果を発現することができる。
【0031】
ポリフェノールの含量は、クロロゲン酸とコーヒ酸の含量の合計であり得る。
【0032】
本出願において、クロロゲン酸は、全組成物の総重量に対して、0.2ppm~6ppmの含量で含まれ得るが、これに制限されない。
【0033】
具体的には、クロロゲン酸は、全組成物の総重量に対して、0.2ppm、0.25ppm、0.3ppm、0.35ppm、および0.4ppmから選択される一つの下限値および/または6ppm、5.8ppm、5.5ppm、5ppm、4.8ppm、4.6ppm、4.4ppm、4.2ppm、4ppm、3.5ppm、および3ppmから選択される一つの上限値で構成される範囲の含量であり得る。
【0034】
一例として、クロロゲン酸の含量は、全組成物の重量に対して、0.2ppm~6ppm、0.25ppm~5ppm、0.3ppm~4.6ppm、0.35ppm~4.4ppm、0.4ppm~4.2ppm、0.4ppm~4ppm、0.4ppm~3.5ppm、または0.4ppm~3ppmの範囲の含量であり得る。クロロゲン酸の含量が上記範囲である場合、異臭低減効果を発現することができる。
【0035】
本出願において、コーヒ酸は、全組成物の総重量に対して、0.03ppm~2ppmの含量で含まれ得るが、これに制限されない。
【0036】
具体的には、コーヒ酸は、全組成物の総重量に対して、0.03ppm、0.04ppm、0.05ppm、0.06ppm、および0.07ppmから選択される一つの下限値および/または2ppm、1.8ppm、1.6ppm、1.4ppm、1.2ppm、1ppm、および0.8ppmから選択される一つの上限値で構成される範囲の含量であり得る。
【0037】
一例として、コーヒ酸の含量は、全組成物の重量に対して、0.03ppm~2ppm、0.04ppm~1.8ppm、0.05ppm~1.6ppm、0.06ppm~1.4ppm、0.07ppm~1.2ppm、0.07ppm~1ppm、0.07ppm~0.8ppmの範囲の含量であり得る。クロロゲン酸の含量が上記範囲である場合、異臭低減効果を発現することができる。
【0038】
コーヒ酸は、クロロゲン酸100重量部に対して、1重量部~50重量部の含量で含まれ得、具体的には、1重量部~50重量部、2重量部~45重量部、3重量部~30重量部、4重量部~25重量部、または5重量部~25重量部で含まれ得るが、これに制限されない。
【0039】
本出願の組成物に含まれるエタノールは、エタノールまたは酒精とも呼ばれる物質であって、酒の主成分である。
【0040】
本出願において、エタノールは、糖またはスターチのような炭水化物を発酵して生成されたものを使用するか、またはエチレンまたはアセチレンから合成されたものを使用してもよい。
【0041】
本出願において、エタノールは、全組成物の総重量に対して、0.2重量%~1.2重量%の含量で含まれ得るが、これに制限されない。
【0042】
具体的には、エタノールは、全組成物の総重量に対して、0.2重量%、0.24重量%、0.28重量%、0.32重量%、0.36重量%、0.40重量%、0.44重量%、および0.48重量%から選択される一つの下限値および/または1.20重量%、1.16重量%、1.12重量%、1.08重量%、1.04重量%、1.00重量%、0.96重量%、および0.92重量%から選択される一つの上限値で構成される範囲の含量であり得る。
【0043】
一例として、エタノールの含量は、全組成物の重量に対して、0.2重量%~1.2重量%、0.24重量%~1.16重量%、0.28重量%~1.12重量%、0.32重量%~1.08重量%、0.36重量%~1.04重量%、0.4重量%~1重量%、0.44重量%~0.96重量%、または0.48重量%~0.92重量%の含量で含まれ得る。エタノールの含量が上記範囲である場合、異臭低減効果を発現することができる。
【0044】
本出願の一具現例において、異臭低減用組成物は、有機酸を含むことができる。本出願において使用される用語「有機酸」は、最も広い意味では、酸性特性を有する有機化合物を意味し、代表的には、カルボキシル基(-COOH)またはスルホン基(-SO3H)を含むことができる。
【0045】
本出願における組成物に含まれ得る有機酸は、クエン酸(citric acid)、リンゴ酸(malic acid)、コハク酸(succinic acid)、乳酸(lactic acid)、または酢酸(acetic acid)などの低分子有機酸またはアスコルビン酸、または安息香酸のような高分子有機酸を例として挙げられるが、これに限定されない。
【0046】
具体的には、本出願において使用され得る有機酸は、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、または酢酸からなる群から選択される1種以上であってもよく、より具体的には、乳酸、または酢酸(acetic acid)であり、さらに具体的には、酢酸である。
【0047】
本出願において、有機酸は、エタノール100重量部に対して、80重量部~200重量部の含量で含まれ得るが、これに制限されない。
【0048】
具体的には、有機酸は、エタノール100重量部に対して、80重量部、82重量部、84重量部、86重量部、88重量部、90重量部、92重量部、94重量部、および96重量部から選択される一つの下限値および/または200重量部、190重量部、180重量部、170重量部、160重量部、150重量部、140重量部、130重量部、および120重量部から選択される一つの上限値で構成される範囲の含量であり得る。
【0049】
一例として、有機酸の含量は、エタノール100重量部に対して、80重量部~200重量部、82重量部~190重量部、84重量部~180重量部、86重量部~170重量部、88重量部~160重量部、90重量部~150重量部、92重量部~140重量部、94重量部~130重量部、96重量部~120重量部であり得る。
【0050】
本出願において、有機酸は、全組成物の総重量に対して、0.3重量%~2.4重量%の含量で含まれ得るが、これに制限されない。
【0051】
具体的には、有機酸は、全組成物の総重量に対して、0.3重量%、0.35重量%、0.4重量%、0.45重量%、0.5重量%、0.55重量%、0.6重量%、および0.65重量%から選択される一つの下限値および/または2.4重量%、2.35重量%、2.3重量%、2.25重量%、2.2重量%、2.15重量%、2.1重量%、および2.05重量%から選択される一つの上限値で構成される範囲の含量であり得る。
【0052】
一例として、有機酸の含量は、全組成物の重量に対して、0.3重量%~2.4重量%、0.35重量%~2.35重量%、0.4重量%~2.3重量%、0.45重量%~2.25重量%、0.5重量%~2.2重量%、0.55重量%~2.15重量%、0.6重量%~2.1重量%、または0.65重量%~2.05重量%の含量で含まれ得る。有機酸の含量が上記範囲である場合、異臭低減効果を発現することができる。
【0053】
酢酸は、全有機酸100重量%に対して、50重量%以上、70重量%以上、80重量%以上、85重量%以上、または90重量%以上であり得る。具体的には、90重量%~100重量%、90重量%~99重量%、または90重量%~97重量%であり得る。
【0054】
本出願の一具現例において、有機酸は、天然物から由来した有機酸だけでなく、人工的に合成された有機酸も使用することができる。
【0055】
具体的には、天然物から、当業界に公知の方法、例えば、抽出方法によって分離精製したものを使用するか、天然物の発酵物から由来したものを使用することができる。具体的には、発酵酢から由来したものを使用することができる。
【0056】
発酵酢は、公知の方法で発酵するものを含み、一例として、グルコースなどをエタノールで発酵する一次発酵およびエタノールを酢酸で発酵する二次発酵により得られたものであってもよい。
【0057】
天然物は、有機酸を含むいずれの物質でも制限なく利用可能であるが、植物であってもよい。具体的には、アロエ、アニスシード、ニワトコ、エゾウコギ、サイリウムハスク、オレンジフラワー、ピメントノキ、オレガノ、カノコソウ、カモミール、カプサイシンペッパー、カルダモン、カツラ、ニンニク、キャラウェイシード、チョウジ、クミンシード、コーラノキ、コリアンダーシード、ヌルデ、サフラン、サンショウノキ、セイヨウネズ、シナモン、ショウガ、トウシキミ、セントジョーンズワート、セロリシード、セイボリー、ゴマ、ルバーブ、タラゴン、ウコン、カラノアザミ、ディルシード、ナツメグ、イラクサ、ハイビスカス、マンサク、シラカンバ、バジル、ビターオレンジ、ウイキョウ、サクラソウ、フェヌグリーク、バーベナ、ゲッケイジュ、ホップ、ボルド、ワサビ、ケシシード、ヌルデ、マリーゴールド、マロン、マジョラム、マスタード、ミルフィーユ、ミントの葉、メリッサ、ナツメグ、シナノキ、リンドウ、ローズヒップ、ローズマリー、ローズマリーオフィシナリス、ヒマワリシード、ブドウ果皮、リンゴ、ニンジン菜、バナナ、イチゴ、アンズ、モモ、スモモ、パイナップル、ヤマナシ、カキノキ、サクランボ、パパイア、マンゴー、アボカド、メロン、ビワ、イチジク、キウイフルーツ、プルーン、ブルーベリー、ブラックベリー、ラズベリー、クランベリー、コーヒー豆、カカオ豆、グレープシード、グレープフルーツシード、ペカンナッツ、カシューナッツ、クリ、ココナッツ、ピーナッツ、クルミ、緑茶葉、紅茶葉、ウーロン茶葉、タバコ、エゴマの葉、ガーデンタイム、セージ、ラベンダー、スペアミント、ペパーミント、スポットカラノアザミ、ヒソップ、スイートバジル、マリーゴールド、タンポポ、アーティチョーク、ジャーマンカモミール、キンミズヒキ、カンゾウ、アニス、セイヨウノコギリソウ、ユーカリ、ニガヨモギ、オタネニンジン、ツチダラ、フェヌグリーク、花トウガラシ、ウイキョウ、トウガラシ、コリアンダーシード、キャラウェイシード、ウイキョウシード、ショウガ、ホースラディッシュ、オレガノマジョラム、オレガノ(origanum valgare)、マスタード、パセリ、コショウ、セイボリー、タラゴン、クルクマ、ワサビ、ディルシード、または柑橘類果物などであってもよい。
【0058】
本出願の一具現例において、本出願の異臭低減用組成物を含む製品を含むことができる。
【0059】
本出願の製品は、食品、飼料、生活用品、工業用品など、制限なく適用可能であり、具体的な食品または飼料の例としては、穀類加工品、野菜、果物、野菜の乾燥製品や切断製品、果物ジュース、野菜ジュース、野菜と果物の混合ジュース、チップ類、麺類、畜産加工食品、水産加工食品、乳加工食品、発酵乳食品、微生物発酵食品、製菓製パン、調味料類、魚/肉加工類、酸性飲料水、加工食品類、簡単食類、カンゾウ類、ハーブ類、昆虫飼料類、家畜飼料類、ペット飼料類などがあるが、これに制限されるものではない。
【0060】
具体的には、本出願の製品は、みりんであってもよい。
【0061】
本出願において、「異臭」は、製品に含まれた成分自体またはこの成分の二次的な化学的変化(例えば、酸化反応、または光または酵素による化学的変化)、製品に存在する微生物が生成する二次代謝産物、または外部から混入した物質によって発生する食品へ好ましくないにおい、不快感または嫌悪感を与えるにおいを意味する。
【0062】
具体的には、異臭は、生臭さであり得る。生臭さは、植物または海産物から由来する生臭さであり得、より具体的には、魚類から由来する生臭さであり得る。
【0063】
または、異臭は、臭みであり得る。臭みは、肉類から発生する臭みであり得る。
【0064】
異臭を引き起こす物質は、一例として、窒素化合物、硫黄化合物、低級脂肪酸類、カルボニル化合物、エステル類、フェノール類、アルコール類、炭化水素類、または塩素化合物であり得る。
【0065】
窒素化合物は、アンモニア、トリメチルアミン、ジメチルアミン、ピペリジン、トリメチルオキシドなど、異臭を発生し得る物質であれば、制限なく含むことができるが、具体的には、トリメチルアミンであってもよい。
【0066】
本出願の組成物は、上述の成分の他に精製水をさらに添加することで、組成物の最終の重量または体積を調節することができる。
【0067】
本出願における組成物は、それ自体で異臭低減用組成物として使用され得るが、糖類または調味料成分のような追加成分をさらに添加してソースとして使用するか、水産物加工食品に適用することができる。
【0068】
本出願における組成物にさらに添加することができる糖類成分は、グルコース、フルクトース、ガラクトースのような単糖類;スクロース、マルトース、ラクトースのような二糖類;単糖類が3個以上結合したオリゴ糖類;デンプン、グリコーゲンのような多糖類が例として挙げられるが、これに限定されない。
【0069】
本出願における組成物に調味料成分としてアミノ酸成分をさらに添加してもよく、香辛料成分としてショウガ濃縮液またはローズマリー濃縮液をさらに含んでもよい。調味料のアミノ酸成分は、天然物から由来したもの、発酵によって生成されたもの、または人工的に合成されたものを使用することができる。
【0070】
本出願の組成物は、ポリフェノール成分の他に、様々な栄養剤、ビタミン、電解質、風味剤、着色剤、ペクチン酸、ペクチン酸の塩、アルギン酸、アルギン酸の塩、有機酸、保護コロイド増粘剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコールまたは炭酸化剤などをさらに含んでもよい。
【0071】
具体的には、本出願の組成物は、ビタミンA、C、D、E、B1、B2、B6、B12、ナイアシン(niacin)、ビオチン(biotin)、葉酸(folate)、パントテン酸(panthotenic acid)などを含むことができる。また、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、カルシウム(Ca)、クロム(Cr)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、銅(Cu)などのミネラルを含むことができる。また、リシン、トリプトファン、システイン、バリンなどのアミノ酸を含むことができる。また、グルコース、フルクトースのようなモノサッカライド;マルトース、スクロースのようなジサッカライド;デキストリン、シクロデキストリンのようなポリサッカライド;キシリトール、ソルビトール、エリトリトールなどの糖アルコールを含むことができる。また、防腐剤として、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、サリチル酸、デヒドロ酢酸ナトリウムなど;殺菌剤として、さらし粉と高度さらし粉、次亜塩素酸ナトリウムなど;酸化防止剤として、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)など;着色剤として、タール色素;発色剤として、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム;漂白剤として、亜硫酸ナトリウム;調味料として、MSGグルタミン酸ナトリウム;甘味料として、ソーマチン、ステビア抽出物のような天然甘味剤、サッカリン、アスファルタムのような合成甘味剤;香料として、バニリン、ラクトン類;膨張剤として、ミョウバン、D酒石酸水素カリウム;強化剤、乳化剤、増粘剤(糊料)、被膜剤、ガム基剤、泡抑制剤、溶剤、改良剤などの食品添加物(food additives)を含むことができる。添加物は、食品の種類に応じて選別され、適切な量で使用され得る。
【0072】
本出願の他の側面は、上述の本出願における組成物を異臭生成物に添加するステップを含む異臭低減方法を提供する。
【0073】
本出願の他の側面である異臭低減方法において組成物に関する内容は、本出願の一側面で説明したとおりであり、重複して説明しない。
【0074】
以下、本出願を実施例によって詳細に説明する。
【0075】
ただし、下記の実施例は、本出願を具体的に例示するものであって、本出願の内容が下記の実施例によって限定されない。
【0076】
実験例1:魚の生臭さ除去用組成物の製造
1.実験材料
実験に使用したポリフェノールであるクロロゲン酸、コーヒ酸は、シグマ‐アルドリッチ(Sigma‐aldrich)社(USA)で購入して使用した。エタノールとして使用した酒精(エタノール95%(v/v)を含む)はウリ酒精(株)から購入し、酢酸(acetic acid)は大井化金から購入し、精製水はJ.T.Bakerから購入して使用した。
【0077】
2.組成物の成分構成
以下の表1に示した成分構成で魚の生臭さ除去用組成物を製造した。製造したそれぞれの組成物(実施例および比較例)に対して、トリメチルアミン(TMA)低減効果を確認した。
【0078】
【0079】
実験例2:トリメチルアミン(TMA)低減効果の確認
1.魚の生臭さ低減効果の確認
市場で購入した生サバの肉を分離してミキサーで均質化し、実験例1で製造した組成物の試料を6%(w/w)添加し、30分以上ねかした。各試料を処理したサバを約200℃で約20分加熱した。加熱中にサバが焦げないようにひっくり返した。
【0080】
2.トリメチルアミン(TMA)成分および含量の分析
次の方法により、ポリフェノール組成物でトリメチルアミン(TMA)成分を確認した。揮発性物質の分析のための吸着は、SPME(Solid Phase Microextraction Fiber Holder,Supelco.,Bellefonte,PA,USA)は、DVB/CAR/PDMS(50/30μm)を使用して前処理した。前処理したサバ1gを20mL EPAバイアル(vial)に入れた後、PTFE/Siliconでキャッピング(capping)した。組成物を添加したバイアル(vial)にSPMEニードル(needle)を挿入した後、60℃で30分間吸着してからGC/MS分析に用いた。
【0081】
GC/MS分析は、Agilent gas chromatograph(GC2010 plus,Agilent,USA)を使用し、カラム(column)は、DB‐WAX Capillary(thickness:0.25μm、length:60m、Diameter:0.25mm)を使用した。Heをキャリアガス(carrier gas)として使用し、カラムオーブン温度(column oven temperature)は130℃、インジェクション温度(injection temperature)は200℃、総流量(total flow)は1.10mL/min、総プログラム時間(total program time)は60分に設定した後、分析を実施した。組成物中のTMAに対する定量は、3‐ヘプタノ-ル(heptanol)を標準物質(standard)として添加し、試料内の揮発性香り成分の含量を相対定量(comparative relative quantification)として計算して定量した。
【0082】
3.トリメチルアミン低減効果の確認
下記の表2および
図1に示されたように、酢酸を添加していない比較例1、エタノールを添加していない比較例2、および何も添加していない精製水に比べて、ポリフェノール、酢酸およびエタノールを添加した実施例1~3が優れたTMA低減効果を示すことが分かる。また、ポリフェノールが低い含量で含まれた比較例3およびポリフェノールが高すぎる含量で含まれた比較例4では、TMA低減効果が、実施例1‐3に比べて満足するほどの水準を示していない。
【0083】
【0084】
実験例3:みりん製品の製造および成分の分析
1.みりん製品の製造
ポリフェノールが含まれたリンゴ発酵酢(CJ第一製糖)8~12%(w/w)または2培養朝酢(CJ第一製糖)およびリンゴ濃縮液5~7%(w/w)、フルクトース(CJ第一製糖)25~35%(w/w)、砂糖(CJ第一製糖)10~15%(w/w)、酒精(エタノール約95%(v/v)を含む、ウリ酒精)0.5~0.7%(w/w)、その他(ショウガまたはローズマリー抽出物)を含むみりんを製造した。ショウガが含まれたみりんは、以下、CJみりんショウガ(B2B、B2C)と、ローズマリーが含まれたみりんは、CJみりんローズマリー(B2B、B2C)と記載した。
【0085】
2.成分の分析1‐有機酸分析
CJみりんショウガ(B2B、B2C)と、CJみりんローズマリー(B2B、B2C)と、既存の市販の酒精を有効成分としたみりん(ロッテ、以下、市販みりん)を購入し、有機酸分析の比較実験に使用した。有機酸の分析は、以下の方法により行った。
【0086】
有機酸の分析は、0.2μm membrane filterで濾過した後、HPLCで分析した。この際、カラム(column)は、YMCpak ODS‐AQ(8.3×250mm、YMC Co.,Ltd.,Tokyo,Japan)を使用し、カラム(column)温度は35℃、mobile phaseは10mM phosphate buffer、flow rateは0.7mL/min、検出器はphotodiodearray(PDA)detector,Waters 2414(Waters Co.)で分析した。標準物質は、シユウ酸(oxalic acid)、クエン酸(citric acid)、コハク酸(succinic acid)、酒石酸(tartaric acid)、リンゴ酸(malic acid)および乳酸(lactic acid)(Sigma Co.)を一定量を混合して蒸留水に溶解して標準溶液として使用した。試料と標準水の有機酸成分は、停留時間(tR)を比較して確認し、それぞれの標準物質検量曲線を作成ピーク(peak)の面積で個別有機酸成分の含量を測定した。測定結果を下記表3に示した。
【0087】
3.成分分析2‐ポリフェノール成分分析
CJみりんショウガ、CJみりんローズマリーと市販みりんを購入し、ポリフェノール成分を分析して比較した。ポリフェノール成分分析は、以下の方法により行った。
【0088】
クロロゲン酸(chlorogenic acid)、コーヒ酸(caffeic acid)分析機器としてはUltimate3000 HPLC(Thermo Dionex,USA)を使用し、カラム(column)は、Inno C‐18 column(Younginbiochrom,Korea(5μm、4.6×250mm)を使用した。カラム温度は30℃にし、移動相は0.1%TFA溶液とアセトニトリルを利用し、0~25分10%アセトニトリル;25~30分60%アセトニトリル;30~35分100%アセトニトリル;35~36分100%アセトニトリル;36~40分10%アセトニトリルで勾配(gradient)を与えた。溶媒流速は0.8ml/minにし、検出器(Detector)の波長は、280nm、340nm、254nmを使用した。クロロゲン酸およびコーヒ酸の含量の分析結果を下記表4に示した。
【0089】
4.成分分析実験の結果
下記表3(みりんの有機酸の分析結果)および表4(みりんのポリフェノールの分析結果)に示されているように、既存の市販みりんは、有機酸含量が低く、ポリフェノール成分であるクロロゲン酸およびコーヒ酸は含まれていないことが認められた(n.d.は、測定されていないことを意味する。)。
【0090】
【0091】
【0092】
実験例4:みりん製品のトリメチルアミン低減効果の確認
実験例3で製造したCJみりんショウガ(B2B)のトリメチルアミン(TMA)成分の低減効果を確認した。トリメチルアミン成分低減効果の確認方法は、実験例2で記載したとおりである。トリメチルアミンの低減効果を分析した結果は、下記の表5および
図2に示した。表5(TMA低減効果の分析結果)に示されているように、CJみりんショウガは、未処理区に比べてTMA低減効果が大きいことを確認した。
【0093】
未処理区は、精製水6%(w/w処理)。
【0094】
【0095】
上記では、本出願の代表的な実施例を例示的に説明しているが、本出願の範囲は、上記のような特定の実施例に限定されず、当該分野において通常の知識を有する者であれば、本出願の特許請求の範囲に記載の範疇内で適切に変更が可能である。