(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】電源装置、及び並列電源システム
(51)【国際特許分類】
H02J 1/00 20060101AFI20240319BHJP
H02J 1/10 20060101ALI20240319BHJP
H02M 3/00 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
H02J1/00 306K
H02J1/10
H02M3/00 W
H02M3/00 H
(21)【出願番号】P 2020075571
(22)【出願日】2020-04-21
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000237721
【氏名又は名称】FDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】及川 淳
(72)【発明者】
【氏名】ビターナゲ アナンダ
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-308952(JP,A)
【文献】特開2001-092573(JP,A)
【文献】特開2013-027085(JP,A)
【文献】特開2016-015833(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110376501(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 1/00,1/10
H02M 3/00
G06F 3/00,13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端子に入力された電圧を変換して出力端子から出力する電源装置であって、
前記電源装置と同種の他の電源装置が並列接続される場合に相互に通信を行う通信端子と、
接地ラインとの間にアドレス設定抵抗が接続されるアドレス設定端子と、
制御方式が異なる複数の制御手段を含み、前記アドレス設定抵抗の抵抗値に応じて端末アドレスが設定されると共に、
前記アドレス設定抵抗の抵抗値に応じて選択される前記制御方式により電圧変換制御を行う制御部と、を備える電源装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記他の電源装置と協働して前記電圧変換制御を行う複数の協働制御手段を含む、請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記制御部は、単独で前記電圧変換制御を行う単独制御手段を含む、請求項1又は2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記端末アドレスは、1つのマスターアドレス及び1つ以上のスレーブアドレスを含む、請求項1乃至3のいずれかに記載の電源装置。
【請求項5】
前記端末アドレスは、複数のドループ制御用アドレスを含む、請求項1乃至4のいずれかに記載の電源装置。
【請求項6】
前記端末アドレスは、ラッチオフ制御用アドレスを含み、
前記ラッチオフ制御用アドレスが設定された前記制御部は、前記電圧変換制御において電流又は電圧の少なくとも一方に異常が発生した場合にラッチオフする、請求項1乃至5のいずれかに記載の電源装置。
【請求項7】
前記端末アドレスは、復帰制御用アドレスを含み、
前記復帰制御用アドレスが設定された前記制御部は、前記電圧変換制御において電流又は電圧の少なくとも一方に異常が発生した場合に動作を停止し、前記異常が解消された場合に動作を再開する、請求項1乃至6のいずれかに記載の電源装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかの前記電源装置が複数並列に接続され、
それぞれの前記電源装置は、前記抵抗値が互いに異なる前記アドレス設定抵抗が前記アドレス設定端子に接続されている、並列電源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置、及び並列電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
入力された電圧を所望の電圧に変換して出力する電力変換装置の1つとして、スイッチング電源装置が広く利用されている。このような電源装置は、一般的に出力電圧と目標電圧との誤差に応じてフィードバック制御を行うことにより出力電圧の変動を抑制することができるため、安定化電源として様々な負荷装置への電力供給に使用されている。
【0003】
ここで、上記のような電源装置は、比較的大きな電流を必要とする負荷装置の要求に対応する場合に、複数並列に接続される並列電源システムとして構成されることがある。また、並列電源システムは、複数の小型の電源装置を並列に接続することにより、例えば基板上に実装されるときの高さを抑制するために採用されることもある。このような場合には、複数の電源装置が互いに同期制御を行いながらシステム全体として安定した電力が供給される。そのため、並列に接続された複数の電源装置は、それぞれの端末に設定された識別情報に基づいて互いに通信を行いながら、それぞれの電圧変換制御を調整することになる。
【0004】
例えば、特許文献1には、出力先が共通の複数の電源装置が互いに通信を行いながら電圧変換制御を行う電力供給システムが開示されている。より具体的には、当該従来技術は、複数の電源装置のうち、先頭の1つがマスター機として規定され、当該マスター機が他の電源装置にスレーブ機としてのアドレスを順次付与していくことにより、全体としてマスター・スレーブ方式の同期制御ができるよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の従来技術は、複数の電源装置のうち、マスター機の端末が予め決められている他、マスター機に近い端末から順番にスレーブアドレスが付与されていくため、例えば回路基板上に実装された複数の電源装置の中からマスター機、及びスレーブ機のアドレスを任意に設定することができず、端末の配置や接続構成が制約を受ける虞が生じる。また、上記の従来技術は、複数の電源装置を連係させる制御方式がマスター・スレーブ方式だけであるため、他の制御方式に対応することができない。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、端末アドレス及び制御方式を変更可能な電源装置、及び並列電源システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
<本発明の第1の態様>
本発明の第1の態様は、入力端子に入力された電圧を変換して出力端子から出力する電源装置であって、前記電源装置と同種の他の電源装置が並列接続される場合に相互に通信を行う通信端子と、接地ラインとの間にアドレス設定抵抗が接続されるアドレス設定端子と、制御方式が異なる複数の制御手段を含み、前記アドレス設定抵抗の抵抗値に応じて端末アドレスが設定されると共に、前記端末アドレスに応じて選択される前記制御方式により電圧変換制御を行う制御部と、を備える電源装置である。
【0009】
<本発明の第2の態様>
本発明の第2の態様は、上記した本発明の第1の態様において、前記制御部は、前記他の電源装置と協働して前記電圧変換制御を行う複数の協働制御手段を含む、電源装置である。
【0010】
<本発明の第3の態様>
本発明の第3の態様は、上記した本発明の第1又は2の態様において、前記制御部は、単独で前記電圧変換制御を行う単独制御手段を含む、電源装置である。
【0011】
<本発明の第4の態様>
本発明の第4の態様は、上記した本発明の第1乃至3のいずれかの態様において、前記端末アドレスは、1つのマスターアドレス及び1つ以上のスレーブアドレスを含む、電源装置である。
【0012】
<本発明の第5の態様>
本発明の第5の態様は、上記した本発明の第1乃至4のいずれかの態様において、前記端末アドレスは、複数のドループ制御用アドレスを含む、電源装置である。
【0013】
<本発明の第6の態様>
本発明の第6の態様は、上記した本発明の第1乃至5のいずれかの態様において、前記端末アドレスは、ラッチオフ制御用アドレスを含み、前記ラッチオフ制御用アドレスが設定された前記制御部は、前記電圧変換制御において電流又は電圧の少なくとも一方に異常が発生した場合にラッチオフする、電源装置である。
【0014】
<本発明の第7の態様>
本発明の第7の態様は、上記した本発明の第1乃至6のいずれかの態様において、前記端末アドレスは、復帰制御用アドレスを含み、前記復帰制御用アドレスが設定された前記制御部は、前記電圧変換制御において電流又は電圧の少なくとも一方に異常が発生した場合に動作を停止し、前記異常が解消された場合に動作を再開する、電源装置である。
【0015】
<本発明の第8の態様>
本発明の第8の態様は、上記した本発明の第1乃至7のいずれかの態様における電源装置が複数並列に接続され、それぞれの電源装置は、前記抵抗値が互いに異なる前記アドレス設定抵抗が前記アドレス設定端子に接続されている、並列電源システムである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、端末アドレス及び制御方式を変更可能な電源装置、及び並列電源システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】電源装置の構成の一部を模式的に表す構成図である。
【
図2】複数の電源装置から構成される並列電源システムの構成図である。
【
図3】電源装置の端末アドレスと制御方式との対応関係の一例を示す対応表である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照し、発明の実施形態について詳細に説明する。なお、発明は以下に説明する内容に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において任意に変更して実施することが可能である。また、実施の形態の説明に用いる図面は、いずれも構成部材を模式的に示すものであって、理解を深めるべく部分的な強調、拡大、縮小、または省略などを行っており、構成部材の縮尺や形状等を正確に表すものとはなっていない場合がある。
【0019】
図1は、電源装置1の構成の一部を模式的に表す構成図である。電源装置1は、例えばスイッチングレギュレータからなるDC-DCコンバータであり、入力端子Vin(+)・Vin(-)、出力端子Vout(+)・Vout(-)、2つのアドレス設定端子ADDR0・ADDR1、ISHARE端子、及び2つの通信端子SCL・SDAが設けられていると共に、制御部10を備える。この他、電源装置1は、一般的なDC-DCコンバータが備える他の回路構成、例えばPWM制御により駆動されるスイッチング回路を備えているが、本実施形態においては図示及び説明を省略している。
【0020】
電源装置1は、入力端子Vin(+)・Vin(-)に入力された入力電圧Vinを、所定の定格電圧Vrに変換して出力電圧Voutとして出力端子Vout(+)・Vout(-)から出力する。ここで、入力端子Vin(-)は、グランドに接続されることにより接地ラインとして構成されている。電源装置1は、より具体的には、各入出力端子における電流及び電圧を監視すると共に、出力電圧Voutと定格電圧Vrとの誤差に応じてフィードバック制御を行うことにより出力電圧Voutの変動を抑制する電圧変換制御を行う。
【0021】
2つのアドレス設定端子ADDR0・ADDR1は、出力端子Vout(-)との間にアドレス設定抵抗R0・R1がそれぞれ接続される。当該アドレス設定端子の数は、2つに限定されるものではなく、少なくとも1つが設けられていればよい。ここで、電源装置1は、アドレス設定端子ADDR0・ADDR1に電圧を印加したときの端子電圧により、接続されたアドレス設定抵抗R0・R1の抵抗値を認識し、詳細を後述するように当該抵抗値に基づいて自己の端末アドレスを設定する。
【0022】
ISHARE端子は、電源装置1と同種の他の電源装置が並列接続される場合に並列駆動のバランス制御を行うための並列駆動用信号端子であり、それぞれの電源装置の間で電圧を共有する。
【0023】
2つの通信端子SCL・SDAは、電源装置1と同種の他の電源装置が並列接続される場合に相互に通信を行うための端子である。電源装置1は、複数並列に電源装置1が接続された場合に、例えばI2C通信(Inter Integrated Circuit)の一種であるPM-Bus(Power Management Bus)の通信方式により相互に信号の送受信を行い、ISHARE端子の電圧に合わせた制御により協働して共通の負荷に電流を供給する。尚、電源装置1は、単独でも出力電圧Voutを供給する制御を行うことができるため、単独で電圧変換制御を行う場合には通信端子SCL・SDAが使用されないことになる。ただし、電源装置1は、単独で電圧変換制御を行う場合であっても、例えばパソコン等と通信する場合に通信端子SCL・SDAを使用してもよい。
【0024】
制御部10は、例えば公知のマイコン制御回路からなり、上記したような各入出力端子における電流及び電圧の監視、他の電源装置との通信、及び電圧変換制御等を行うことにより、電源装置1の全体を統括管理する。また、制御部10は、当該統括管理を実行するためのファームウェアが組み込まれ、1つの電源装置1による単独制御手段、及び複数の電源装置1による協働制御手段を含むことにより、制御方式の異なる複数の制御手段を選択的に実行できるようそれぞれのプログラムが記憶されている。ここで、協働制御手段は、本実施形態においては、マスター・スレーブ方式、及びドループ制御方式の2つの制御手段が用意されている。
【0025】
図2は、複数の電源装置1から構成される並列電源システム2の構成図である。並列電源システム2は、本実施形態においては、第1電源装置1a、第2電源装置1b、及び第3電源装置1cが互いに並列に接続された状態で、図示しない回路基板にそれぞれ実装されている。ここで、第1電源装置1a、第2電源装置1b、及び第3電源装置1cは、内部のファームウェアを含め、いずれも
図1で説明した電源装置1と同一の端末である。尚、並列に接続される電源装置1の数は、3つに限定されるものではなく、2つ以上であればよい。
【0026】
また、並列電源システム2は、第1電源装置1a、第2電源装置1b、及び第3電源装置1cのそれぞれにおいて、共通の外部電源3から入力電圧Vinが並列に入力されると共に、共通の負荷4に対して並列に出力電圧Voutを供給する。このとき、並列電源システム2は、複数の電源装置1が上記したISHARE端子の電圧に基づいて通信端子SCL・SDAを介して協働して電圧変換制御を行うことにより、負荷4の要求に適した電力を供給する。
【0027】
そして、並列電源システム2は、それぞれの電源装置1におけるアドレス設定端子ADDR0・ADDR1に、一組のアドレス設定抵抗R0・R1がそれぞれ接続されることにより、それぞれの電源装置1に個別の端末アドレスが設定される。すなわち、それぞれの電源装置1に接続される一組のアドレス設定抵抗R0・R1は、第1電源装置1a、第2電源装置1b、及び第3電源装置1cの間で抵抗値の組み合わせが重複しないように選択される。
【0028】
ここで、それぞれの電源装置1は、一組のアドレス設定抵抗R0・R1に応じて端末アドレスが設定されると共に、制御部10が行う電圧変換制御の制御方式が当該端末アドレスに応じて選択される。
図3は、電源装置1の端末アドレスと制御方式との対応関係の一例を示す対応表である。それぞれの電源装置1は、制御部10におけるファームウェアの一部として、
図3に示されるような対応表が記憶されている。
【0029】
図3における一組の数値は、一組のアドレス設定抵抗R0・R1の抵抗値を示しており、例えばR0=10Ω、R1=0Ωの組の場合、[10.0]と表記されている。また、電源装置1は、複数の端末により並列電源システム2を構成して協働制御を行う場合に、N台まで並列に接続することができるものとしている。尚、アドレス設定抵抗R0・R1の抵抗値の組み合わせは、本実施形態においては理解を容易にするための仮想的な数値を例示しているが、実際にはPM-Bus等の通信方式の仕様規定に則した数値が選択される。
【0030】
本実施形態における電源装置1は、上記したように、単独で電圧変換制御を行う単独制御方式、他の電源装置1と協働して電圧変換制御を行うマスター・スレーブ方式、及びドループ制御方式の3つの制御方式に対応している。
【0031】
電源装置1は、例えばアドレス設定抵抗R0・R1に[10,0]が割り当てられた場合、制御方式として単独制御方式が採用され、端末アドレスとして任意のアドレスが設定される。この場合、電源装置1は、他の電源装置1との通信を行わないため、アドレス設定が省略されてもよい。
【0032】
また、電源装置1は、マスター・スレーブ方式が採用される場合には、1つのマスターアドレス、及び1つ以上のスレーブアドレスの中からアドレス設定抵抗R0・R1に応じて自己の端末アドレスを選択的に設定する。このため、
図3の対応表に示すように、マスター・スレーブ方式においては、1つのマスターアドレスと、スレーブアドレスとしてのスレーブ01~スレーブ(N-1)のそれぞれが、少なくとも一組のアドレス設定抵抗R0・R1に対応するよう予め規定されている。
【0033】
このため、
図2に示す並列電源システム2においてマスター・スレーブ方式を採用する場合に、例えば第2電源装置1bのアドレス設定抵抗R0・R1に[10,10]を割り当てることにより、第2電源装置1bをマスターとして設定することができる。この場合、第1電源装置1a及び第3電源装置1cは、スレーブとしてアドレス設定抵抗R0・R1に[10,20]又は[10,30]がそれぞれ割り当てられ、マスターとしての第2電源装置1bによる制御に基づいて電圧変換制御を行う。
【0034】
同様に、電源装置1は、ドループ制御方式が採用される場合には、複数のドループ制御用アドレスの中からアドレス設定抵抗R0・R1に応じて自己の端末アドレスを選択的に設定する。このため、
図3の対応表に示すように、ドループ制御方式においては、ドループ制御用アドレスとしてのドループ01~ドループNのそれぞれが、少なくとも一組のアドレス設定抵抗R0・R1に対応するよう予め規定されている。これにより、それぞれの電源装置1は、例えば出力端子Vout(+)・Vout(-)から出力される電流が増加した場合には、それに対応して出力電圧Voutを低下させることにより、出力電流を一定に維持するような電圧変換制御を行う。
【0035】
更に、本実施形態における電源装置1は、必須の構成要件ではないものの、各入出力端子における電流及び電圧に異常が発生した場合に対する保護回路動作として、ラッチオフ制御及び復帰制御の保護制御のモードを選択でき、1つの端末アドレスに対して複数のアドレス設定抵抗R0・R1の組が対応付けられている。
【0036】
より具体的には、例えばラッチオフ制御用アドレスが設定された電源装置1において、制御部10は、各入出力端子における電流及び電圧の少なくとも一方に異常が確認された場合に、ラッチオフ制御を行うことにより出力電圧Voutを出力するための電圧変換制御を停止する。この場合には、制御部10は、例えば電源装置1の使用者にエラー通知を行うことにより、当該異常の解消を促してもよい。
【0037】
また、例えば復帰制御用アドレスが設定された電源装置1において、制御部10は、各入出力端子における電流及び電圧の少なくとも一方に異常が確認された場合に、ラッチオフ制御を行うことにより電圧変換制御を停止し、当該異常が解消された場合に自動的に動作を再開する。当該異常については、例えば、電流及び電圧が所定の基準範囲に復旧した場合や、動作を継続可能な条件として予め設定された基準を満たす場合に解消されたと判断することができる。
【0038】
このように、電源装置1は、制御方式に加え、保護回路動作の有無及び種類についても、アドレス設定抵抗R0・R1の抵抗値により選択できるよう構成されている。そのため、電源装置1は、使用形態に合わせてアドレス設定抵抗R0・R1を変更することにより、端末アドレスと共に、電圧変換制御における制御方式及び保護回路動作を選択的に切り替えることができる。
【0039】
以上のように、本実施形態における電源装置1、及び並列電源システム2は、アドレス設定端子ADDR0・ADDR1に接続されたアドレス設定抵抗R0・R1の抵抗値に応じて、それぞれの端末アドレスが設定されると共に、制御部10が端末アドレスに応じて選択される制御方式により電圧変換制御を行う。従って、電源装置1、及び並列電源システム2によれば、例えば基板実装の制約により各端末の配置や接続構成が規定されている場合であっても、それぞれの端末アドレス及び制御方式を自由に変更することが可能となる。
【0040】
また、電源装置1によれば、アドレス設定抵抗R0・R1の選択により単独制御手段と協働制御手段とを切り替えることができるよう構成されているため、1つの端末を単独で使用する場合と複数の端末を並列接続して同期制御する場合との両方に使用することができる。更に、電源装置1によれば、設定された端末アドレスごとに保護回路動作を選択できるよう構成されているため、電圧変換制御の自由度を向上させることができる。
【0041】
以上で電源装置1、及び並列電源システム2の実施形態についての説明を終えるが、本技術は上記の実施形態に限定されるものではない。例えば上記の実施形態では、
図3に示したように、3つの制御方式、及び3パターンの保護回路動作の組み合わせに対してそれぞれアドレス設定抵抗R0・R1の組を割り当てる形態を例示したが、制御方式及び保護回路動作はこれらに限定されるものではなく、他の電圧変換制御の選択肢を含んでもよい。また、電源装置1は、端末アドレスと電圧変換制御の対応関係について、
図3に示されるパターンを全て含む必要はなく、制御方式及び保護回路動作の組み合わせを複数含んでいればよい。
【符号の説明】
【0042】
1 電源装置
2 並列電源システム
3 外部電源
4 負荷
10 制御部
Vin 入力電圧
Vin(+)・Vin(-) 入力端子
Vout 出力電圧
Vout(+)・Vout(-) 出力端子
SCL・SDA 通信端子
R0・R1 アドレス設定抵抗