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特許7456729電気マルチコネクタフィードスルーパネル及びその方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】電気マルチコネクタフィードスルーパネル及びその方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/74 20060101AFI20240319BHJP
   B64C 1/10 20060101ALI20240319BHJP
   H01R 31/06 20060101ALN20240319BHJP
【FI】
H01R13/74 K
B64C1/10
H01R31/06 Z
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019091246
(22)【出願日】2019-05-14
(65)【公開番号】P2019220451
(43)【公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-04-20
(31)【優先権主張番号】15/984,985
(32)【優先日】2018-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】スコット ロジャー ウェスターフィールド
(72)【発明者】
【氏名】ロバート アーサー ナイ
(72)【発明者】
【氏名】ロバート トーマス ジョンソン
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06835093(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0204184(US,A1)
【文献】実開昭50-091094(JP,U)
【文献】特開平10-106689(JP,A)
【文献】米国特許第04422700(US,A)
【文献】実開昭61-156188(JP,U)
【文献】特開平02-121286(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0261204(US,A1)
【文献】特開2013-152848(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/74
B64C 1/10
H01R 31/06
H01R 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両側に圧力差がある構造体の貫通部を封止するための電気マルチコネクタフィードスルーパネルであって、
第1環境側界面及び第2環境側界面を有するフレームと、前記フレームと一体的に形成された複数の電気コネクタインサートシェルと、を含み、前記第2環境側界面は、前記第1環境側界面の反対側の面であるとともに、前記構造体に接続されるよう構成されており、これにより、前記第1環境側界面及び前記第2環境側界面が前記貫通部を覆って、前記貫通部を少なくとも部分的に封止するものであり、
前記複数の電気コネクタインサートシェルの各々は、少なくとも1つの電気コネクタと気密に接続するよう構成されており、これにより、当該電気コネクタインサートシェルを封止するものであり、
前記第1環境側界面は、第1圧力環境と流体接触するように、前記複数の電気コネクタインサートシェルの間に配置されており、
前記第2環境側界面は、前記第1圧力環境とは異なる圧力を有する第2圧力環境と流体接触するように、前記複数の電気コネクタインサートシェルの間に配置されており、
前記フレームには、前記複数の電気コネクタインサートシェルを前記フレームに取り付けるための貫通部は一切形成されておらず
各電気コネクタインサートシェルは、電気コネクタインサート保持部材を含み、前記電気コネクタインサート保持部材は、
当該電気コネクタインサートシェルの第1端部と第2端部の間に延びる貫通孔と、
前記貫通孔内で電気コネクタインサートと係合して、これを保持するよう構成された弾性部材と、
前記電気コネクタインサートと前記少なくとも1つの電気コネクタとのうちの1つ以上と係合するよう構成された回転配向部材と、を含む、
電気マルチコネクタフィードスルーパネル。
【請求項2】
さらに、対応する電気コネクタインサートシェルに挿入されるよう構成された少なくとも1つの電気コネクタインサートを含む、請求項1に記載の電気マルチコネクタフィードスルーパネル。
【請求項3】
さらに、前記フレームに接続されたパネルマウントを含み、前記パネルマウントは、前記構造体の輪郭に対応する輪郭を有する構造体側接続面を有する、請求項1又は2に記載の電気マルチコネクタフィードスルーパネル。
【請求項4】
前記フレームは、前記構造体の輪郭に対応する輪郭を有する、請求項1~3のいずれか1つに記載の電気マルチコネクタフィードスルーパネル。
【請求項5】
前記フレーム及び前記複数の電気コネクタインサートシェルは、導電性被膜を含む、請求項1~のいずれか1つに記載の電気マルチコネクタフィードスルーパネル。
【請求項6】
さらに、前記第1環境側界面及び前記第2環境側界面のうちの1つ以上から延出する電気接地部材を含む、請求項1~のいずれか1つに記載の電気マルチコネクタフィードスルーパネル。
【請求項7】
前記フレームは、前記構造体に電気的に接続されるよう構成されている、請求項1~6のいずれか1つに記載の電気マルチコネクタフィードスルーパネル。
【請求項8】
前記複数の電気コネクタインサートシェルのうちの1つ以上は、電気突合せコネクタを装着可能に構成された電気突合せコネクタシェルである、請求項1~のいずれか1つに記載の電気マルチコネクタフィードスルーパネル。
【請求項9】
両側に圧力差がある構造体の貫通部を封止するための方法であって、
電気マルチコネクタフィードスルーパネルを前記構造体に接続して、前記電気マルチコネクタフィードスルーパネルのフレームの第1環境側界面、及び、前記第1環境側界面とは反対の第2環境側界面が前記貫通部を覆うよう配置することを含み、その際に、
前記フレームと一体的に形成された複数の電気コネクタインサートシェルに、電気コネクタインサートが挿入されており、
前記第1環境側界面、及び、各電気コネクタインサートシェルにおける前記第1環境側界面から延出する部分は、前記貫通部に対して、第1圧力環境と流体接触する側に配置されており、
前記第2環境側界面、及び、各電気コネクタインサートシェルにおける前記第2環境側界面から延出する部分は、前記貫通部に対して、前記第1圧力環境とは異なる圧力を有する第2圧力環境と流体接触する側に配置されており、
前記フレームには、前記複数の電気コネクタインサートシェルを前記フレームに取り付けるための貫通部は一切形成されておらず
各電気コネクタインサートシェルは、電気コネクタインサート保持部材を含み、前記電気コネクタインサート保持部材は、
当該電気コネクタインサートシェルの第1端部と第2端部の間に延びる貫通孔と、
前記貫通孔内で電気コネクタインサートと係合して、これを保持するよう構成された弾性部材と、
前記電気コネクタインサートと前記少なくとも1つの電気コネクタとのうちの1つ以上と係合するよう構成された回転配向部材と、を含む、方法。
【請求項10】
さらに、少なくとも1つの電気コネクタを対応する電気コネクタインサートシェルに接続することを含み、これにより、前記少なくとも1つの電気コネクタを、当該電気コネクタインサートシェルに電気的に接続する、請求項に記載の方法。
【請求項11】
さらに、前記第1環境側界面及び前記第2環境側界面のうちの少なくとも1つを、前記構造体に電気的に接続することを含む、請求項又は10に記載の方法。
【請求項12】
さらに、前記電気マルチコネクタフィードスルーパネルを、前記第1環境側界面及び前記第2環境側界面のうちの1つ以上から延出する電気接地部材を介して接地電位に電気的に接地することを含む、請求項11のうちのいずれか1つに記載の方法。
【請求項13】
前記電気コネクタインサートは、複数の異なる電気コネクタインサートから選択されたものであり、前記複数の異なる電気コネクタインサートのうちの少なくとも1つは、前記複数の異なる電気コネクタインサートのうちの他の電気コネクタインサートとは異なる所定の特徴を有する、請求項12のうちのいずれか1つに記載の方法。
【請求項14】
前記異なる所定の特徴は、接続ピンパターンである、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
例示的な実施形態は、概して、電気フィードスルー(electrical feedthrough)に関し、より具体的には、圧力封止体用の電気フィードスルーに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、圧力封止体の壁に設けられる電気配線用などのフィードスルーは、個々の配線束/コネクタに合わせた大きさ及び形状の開口部を有する(つまり、壁に設けられる孔の数は、当該壁を貫通するフィードスルーの数と一対一で対応する)。各開口部は、表面処理(例えば、電気コネクタを壁に接合するための処理など)、及び、個々の開口部に嵌め込む電気コネクタのポッティング処理(potting)を必要とする。各開口部は、壁の構造的な負荷仕様を維持できるよう適切な距離で互いに離間して配置されている。
【0003】
さらに、各配線束が個々の開口部に挿通され、配線束のコネクタ端が開口部に当接する。次いで、配線束のコネクタ端が壁に接続される。配線束を個々の開口部に挿通する際に配線束に欠陥が発生し、取り付け後の配線束の再加工/修理が必要になる場合があるが、作業員が配線束にアクセスするための空間(例えば、航空機の翼の内部など)が限られている。
【0004】
通常、各開口部周辺の壁の表面処理、及び各配線束のコネクタ端を壁にポッティングする処理に要する時間は、無視することができない。また、配線束を開口部に挿通させることにより発生しうる配線束の再加工を考慮すると、配線束をそれぞれの開口部に挿通させるために要する時間も、無視することができない。
【発明の概要】
【0005】
したがって、上述した問題や懸念事項のうちの1つ以上に対処、あるいは、解決するよう意図された装置及び方法は、有用であろう。
【0006】
以下に、本開示の要旨の実施例を列挙するが、これらの実施例は、包括的なものではない。また、請求項に記載されているものも、されていないものも含まれる。
【0007】
本開示の要旨の一実施例は、両側に圧力差がある構造体の貫通部を封止するための電気マルチコネクタフィードスルーパネルに関する。前記電気マルチコネクタフィードスルーパネルは、第1環境側界面及び第2環境側界面を有するフレームを含み、前記第2環境側界面は、前記第1環境側界面の反対側の面であるとともに、前記構造体に接続されるよう構成されており、これにより、第1環境側界面及び前記第2環境側界面が前記貫通部を覆って、前記貫通部を少なくとも部分的に封止するものである。前記電気マルチコネクタフィードスルーパネルは、さらに、前記フレームと一体的に形成された複数の電気コネクタインサートシェルを含み、前記複数の電気コネクタインサートシェルの各々は、少なくとも1つの電気コネクタと気密に接続するよう構成されており、これにより、当該電気コネクタインサートシェルを封止するものである。前記第1環境側界面は、第1圧力環境と流体接触するように、前記複数のコネクタシェルの間に配置されており、前記第2環境側界面は、前記第1圧力環境とは異なる圧力を有する第2圧力環境と流体接触するように、前記複数のコネクタシェルの間に配置されている。
【0008】
本開示の要旨の別の実施例は、両側に圧力差がある構造体の貫通部を封止するための電気マルチコネクタフィードスルーパネルに関する。前記電気マルチコネクタフィードスルーパネルは、第1環境側界面及び第2環境側界面を有するフレームを含み、前記第2環境側界面は、前記第1環境側界面の反対側の面であるとともに、前記構造体に接続されるよう構成されており、これにより、前記第1環境側界面及び前記第2環境側界面が前記貫通部を覆うものである。前記、電気マルチコネクタフィードスルーパネルは、さらに、前記フレームと一体的に形成された複数の電気コネクタシェルを含み、前記複数の電気コネクタインサートシェルの各々は、前記第1環境側界面から延出する第1端部、及び、前記第2環境側界面から延出する第2端部を有する。前記第1端部は、第1電気コネクタを気密に受容するように構成されており、前記第2端部は、第2電気コネクタを気密に受容するように構成されており、これにより、封止されたコネクタインサートシェルが形成されるものである。前記複数の電気コネクタインサートシェルの各々は、さらに、前記第1端部と前記第2端部の間に延びる電気コネクタインサート保持部材を含む。前記第1環境側界面、及び、封止された各電気コネクタインサートシェルにおける前記第1環境側界面から延出する部分は、第1圧力環境と流体接触するよう構成されている。前記第2環境側界面、及び、封止された各電気コネクタインサートシェルにおける前記第2環境側界面から延出する部分は、前記第1圧力環境とは異なる圧力を有する第2圧力環境と流体接触するよう構成されている。
【0009】
本開示の要旨のさらに別の実施例は、両側に圧力差がある構造体の貫通部を封止するため方法に関する。前記方法は、電気マルチコネクタフィードスルーパネルを前記構造体に接続して、前記電気マルチコネクタフィードスルーパネルのフレームの第1環境側界面及び第2環境側界面が前記貫通部を覆うよう配置することを含み、前記第2環境側界面は、前記第1環境側界面の反対側の面である。前記フレームと一体的に形成された複数の電気コネクタインサートシェルに、電気コネクタインサートが挿入されており、前記第1環境側界面、及び、各電気コネクタインサートシェルにおける前記第1環境側界面から延出する部分は、前記貫通部に対して、第1圧力環境と流体接触する側に配置されており、前記第2環境側界面、及び、各電気コネクタインサートシェルにおける前記第2環境側界面から延出する部分は、前記貫通部に対して、前記第1圧力環境とは異なる圧力を有する第2圧力環境と流体接触する側に配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
上記では、本開示の実施例を一般的な用語を用いて説明したが、以下では、添付図面を参照する。これらの図面は、同一あるいは類似する部材は、複数の図面を通じて同じ参照符号を用いて示している。
【0011】
図1】本開示の態様を組み込んだ例示的な輸送体(vehicle)を示す透視図である。
図2】本開示の態様による図1の輸送体の一部に接続された電気マルチコネクタフィードスルーパネルを示す例示的な図である。
図3】本開示の態様による図2の電気マルチコネクタフィードスルーパネルを示す例示的な正面図である。
図4A】本開示の態様による図2の電気マルチコネクタフィードスルーパネルを示す例示的な側面図である。
図4B】本開示の態様による図4Aの電気マルチコネクタフィードスルーパネルの一部を示す例示的な正面図である。
図5】本開示の態様による図2の電気マルチコネクタフィードスルーパネルのパネルマウントを示す例示的な図である。
図6】本開示の態様による図2の電気マルチコネクタフィードスルーパネルの例示的な側面図である。
図7】本開示の態様による電気コネクタを示す例示的な図である。
図8】本開示の態様による複数の異なる電気コネクタインサートのうちから選択された電気コネクタインサートの正面、側面、背面を示す例示的な図である。
図9】本開示の態様による、両側に圧力差がある構造体の貫通部を封止する方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1及び図2を参照して説明すると、本開示の態様は、航空機100又はその他の適当な輸送体の胴体部102などの圧力封止体の構造体220(例えば、外板)に設けられた貫通部を封止するよう構成された電気マルチコネクタフィードスルーパネル(electrical multi-connector feedthrough panel)200を提供する。本開示の態様は、この他にも、潜水艇、宇宙船などの輸送体に適用可能であり、また、輸送体以外にも、両側の圧力負荷に差がある壁を貫通する貫通部が設けられている用途に適用可能である。例えば、本開示の態様を、胴体部102を構成するフレーム100Fを含む航空機100に関連して説明する。フレーム100Fには、翼106が接続されており、翼106には、エンジン108が接続されている。胴体部102の内部250の一部が図2に示されており、図示の胴体部102の内部は、翼106の内部107に対して加圧されている。あくまでも例示であるが、電気マルチコネクタフィードスルーパネル200は、配線を胴体部102の内部250から構造体220を通過して翼106の内部107に電気的に接続することができる。
【0013】
構造体220に接続された各電気マルチコネクタフィードスルーパネル200は、複数のフィードスルー接続(feedthrough connection)210に共通して設けられている。電気マルチコネクタフィードスルーパネル200を構造体220に接続することで、貫通接続(penetration connection)を設けるための時間を節約することができる。例えば、各マルチコネクタフィードスルーパネルは、複数の電気フィードスルー接続210について1つの貫通部を設けるもので、複数の電気フィードスルー接続210それぞれの貫通部について表面処理を行うのとは対称的に、1つの貫通部について構造体の表面処理を行うだけでよい。電気マルチコネクタフィードスルーパネル200によれば、構造体220に設ける貫通部の数が少なくて済み、圧力漏れの可能性がある領域を小さくすることができる(即ち、複数の貫通部を設けて、貫通部の数と電気フィードスルー接続の数が一対一で対応するのではなく、複数の電気フィードスルー接続210に対して1つの貫通部を設けることができる)ので、圧力漏れの可能性を低減することができる。また、電気マルチコネクタフィードスルーパネル200によれば、電気マルチコネクタフィードスルーパネル200の両側に配線束230を接続すればよく、構造体220の貫通部に挿通させる必要がないので、配線束230の設置時間の節約も可能である。本開示の態様によれば、構造体220の貫通部に配線束230を挿通させる必要を実質的に回避できるので、配線束230の再加工も少なくすることができる。また、マルチコネクタフィードスルーパネル200によれば、電気フィードスルー接続のそれぞれに対して1つのシールを設ける代わりに、(複数の電気フィードスルー接続210を提供する)電気マルチコネクタフィードスルーパネル200に対して1つのシールを設けるだけでよいので、構造体220の貫通部を封止するシールの数も減らすことができ、よって、電気接続のための部品数も低減することができる。
【0014】
以下に、本開示の要旨についての実施例を列挙するが、これらの実施例は、包括的なものではなく、また、請求項に記載されているものも、されていないものも含まれる。
【0015】
図2図3及び図4Aを参照すると、電気マルチコネクタフィードスルーパネル200は、両側に圧力差ΔPのある構造体220における貫通部270(図4A)を封止するように構成されている。電気マルチコネクタフィードスルーパネル200は、第1環境側界面(first environmental interface surface)302及び第2環境側界面303を有するフレーム301を含む。第2環境側界面303は、第1環境側界面302の反対側の面であるとともに、構造体220に接続されるよう構成されており、これにより、第1環境側界面302及び第2環境側界面303が、貫通部270を覆うように配置されて、貫通部270を少なくとも部分的に封止する。図4Aに示すように、構造体の第1の側220S1には、第1圧力P1がかかっており、構造体220の第2の側220S2には、第2圧力P2がかかっている。電気マルチコネクタフィードスルーパネル200は、圧力差がある状態(例えば、胴体部102の内部250が与圧された状態)で、構造体の両側における圧力P1、P2のうちの高い方の圧力の側(例えば、第1の側220S1又は第2の側220S2)に接続される。例えば、図4Aにおいては、圧力P1が圧力P2より高いので、電気マルチコネクタフィードスルーパネル200は、構造体220の第1の側220S1に接続されている。この態様では、電気マルチコネクタフィードスルーパネル200の周縁300は、貫通部270の周縁400よりも大きい。よって、高圧側である第1圧力環境PE1から電気マルチコネクタフィードスルーパネル200への圧力負荷に対する反作用(即ち、高圧側である第1圧力環境PE1から電気マルチコネクタフィードスルーパネル200に加わる圧力負荷に対して生じる反力負荷)は、主に構造体220に働く(よって、周縁300が構造体220に対して押圧される)のであって、電気マルチコネクタフィードスルーパネル200を構造体220に接続する機械的あるいは化学的なファスナには作用しない。ただし、適切な化学的及び/又は機械的なファスナ410が設けられている場合は、電気マルチコネクタフィードスルーパネル200は、(図4Aの図示とは逆に)構造体220の低圧側である圧力P2の側に接続することができる。ただし、化学的及び/又は機械的なファスナ410は、電気マルチコネクタフィードスルーパネル200が、(図4Aに示す通り)構造体220の高圧側である圧力P1の側に構造体220を接続されている場合にも利用可能である。フレーム301には、任意の適当な数のファスナ穴362がフレームの周縁300に沿って設けられていてもよく、この場合、ファスナ穴362は、機械的なファスナ410(図4A)が電気マルチコネクタフィードスルーパネル200を貫通して、構造体220を接続できるような形状及び大きさに構成する(化学的なファスナと併用してもよいし、しなくてもよい)。
【0016】
引き続き図3及び図4Aを参照すると、電気マルチコネクタフィードスルーパネル200は、フレーム301と一体成形された複数の電気コネクタインサートシェル310を含む。図3には、13個の電気コネクタインサートシェル310A~310Mが示されているが、他の態様において、電気マルチコネクタフィードスルーパネル200は、13個より多くの、あるいは、より少ない数の電気コネクタインサートシェルを含む構成でもよい。第1環境側界面302は、複数の電気コネクタインサートシェル310の間に位置し、第1圧力環境PE1と流体接触している。より具体的には、第1環境側界面302、及び、各電気コネクタインサートシェル310における第1環境側界面302から延出する部分311(図4A)は、第1圧力環境PE1と流体接触するよう構成されている。第2環境側界面303は、複数の電気コネクタインサートシェル310の間に位置し、第1圧力環境PE1における圧力(例えば、第1圧力P1)とは異なる圧力(例えば、第2圧力P2)を有する第2圧力環境PE2と流体接触している。より具体的には、第2環境側界面303、及び、各電気コネクタインサートシェル310における第2環境側界面303から延出する部分312は、第2圧力環境PE2と流体接触するよう構成されている。
【0017】
少なくともフレーム301は、構造体220に電気的に接続されるよう構成されている。例えば、フレーム301及び複数の電気コネクタインサートシェル310は、プラスチック、複合材、及び金属のうちの1つ以上から成る。フレーム301がプラスチック及び/又は複合材から成る場合(あるいは、フレーム301が金属から成る場合であっても)、フレーム301及び複数の電気コネクタインサートシェル310は、導電性被膜360を有する(導電性被膜360の一部を図3に示す)。導電性被膜360は、ニッケル被膜などの金属被膜、あるいは、その他の導電性被膜である。金属被膜などの導電性被膜360は、電気マルチコネクタフィードスルーパネル200の1つ以上の面に沿って電気的接合面(electrical bonding surface)360BS(図4A)を形成する。この電気的接合面は、少なくとも1つの電気コネクタ490A、490Bをマルチコネクタフィードスルーパネル200に接続するための面である。また、電気的接合面360BSは、電気マルチコネクタフィードスルーパネル200を、例えば、構造体における貫通部270の周縁400に沿って設けられた接合面220BSに接続する面でもある。
【0018】
電気コネクタインサートシェル310A~310Mの各々は、第1環境側界面302から延出する第1端部310E1(図4Aを参照、例えば、電気コネクタインサートシェル310L)を有する。また、電気コネクタインサートシェル310A~310Mの各々は、第2環境側界面303から延出する第2端部310E2(図4Aを参照、例えば、電気コネクタインサートシェル310L)を有する。複数の電気コネクタインサートシェル310A~310Mの各々は、少なくとも1つの電気コネクタ490A、490Bと気密に接続する(sealingly couple)よう構成されており(図7の電気コネクタ490も参照)、これにより電気コネクタインサートシェル310A~310Mを封止する。例えば、第1端部310E1は、第1電気コネクタ490A(図7の電気コネクタ490も参照)を気密に受容するように構成されており、第2端部310E2は、第2電気コネクタ490B(図7の電気コネクタ490も参照)を気密に受容するように構成されており、これにより、封止された電気コネクタインサートシェル315がそれぞれ形成される。なお、「封止された」との用語は、第1圧力環境PE1における圧力P1と第2圧力環境PE2における圧力P2の圧力差により、封止された電気コネクタインサートシェル315からほとんど流体が漏出しないことを意味する。この態様では、第1端部310E1及び第2端部310E2は、雄ねじ380を有しており、この雄ねじは、対応する第1電気コネクタ490A又は第2電気コネクタ490Bにおける嵌め合いねじ(mating thread)710(図7)と螺合するよう構成されている。他の態様では、任意の適切な接続部材(例えば、スナップ、クリップなど)を第1端部310E1及び第2端部310E2の1つ以上に設け、これを第1電気コネクタ490A又は第2電気コネクタ490Bにおける相手側接続部材と接続させて、封止された電気コネクタインサートシェル315を形成する構成でもよい。他の態様では、後述するように、電気コネクタインサートシェル310は、電気コネクタ490が電気コネクタインサートシェル310に接続されているか否かに関わらず、例えば、電気コネクタインサート800(図8も参照)によって封止してもよい。
【0019】
図3を参照すると、一態様において、複数の電気コネクタインサートシェル310のうちの少なくとも1つの電気コネクタインサートシェル310A~310Mは、円形の断面370を有する。電気コネクタインサートシェル310A~310Mは、それぞれ直径D1~D31を有する(例えば、図4Bを参照)。複数の電気コネクタインサートシェル310のうちの少なくとも1つの電気コネクタインサートシェル310A~310Mは、複数の電気コネクタインサートシェル310のうちの他の電気コネクタインサートシェル310A~310Mの直径D1~D13とは異なる直径を有する。他の態様では、電気コネクタインサートシェル310A~310Mのうちの1つ以上は、円形以外の断面(例えば、四角、矩形、など)を有する。
【0020】
次に、図4A図4B及び図5を参照すると、電気コネクタインサートシェル310A~310Mの各々は、第1端部310E1と第2端部310E2の間に延びる電気コネクタインサート保持部材450を有する。電気コネクタインサート保持部材450は、各電気コネクタインサートシェル310A~310M(例として、電気コネクタインサートシェル310Lを参照)の第1端部310E1と第2端部310E2の間に延びる貫通孔420を有する。少なくとも1つの弾性部材500が貫通孔420内に配置されており、この弾性部材は、貫通孔420内で電気コネクタインサート800(図8も参照)と係合して、これを保持するよう構成されている。一態様において、電気コネクタインサート800は、電気コネクタインサートシェル310A~310Mの各々を封止する任意の適切なシール801を含むことができ、これにより、例えば、電気コネクタ490(例えば、第1電気コネクタ490A及び第2電気コネクタ490B)が対応する電気コネクタインサートシェル310A~310Mに接続されていない状態でも、電気コネクタインサートシェル310A~310Mを通って流体が漏れることを実質的に防止することができる。この態様では、電気コネクタインサート800を各電気コネクタインサートシェル310A~310Mに接続することで、各電気コネクタインサートシェル310A~310Mに電気コネクタ490が接続されているか否かに関わらず、封止された電気コネクタインサートシェル315を形成することができる。一態様では、第1端部310E1及び第2端部310E2のそれぞれに隣接させて弾性部材500を配置し、これにより、電気コネクタインサート800を第1端部310E1及び第2端部310E2の一方又は両方から貫通孔420に挿入可能に構成することができる。他の態様では、第1端部310E1と第2端部310E2の一方に隣接させて1つの弾性部材500を配置し、第1端部310E1と第2端部310E2の他方に剛性のストッパ部材やフランジを配置してもよい。これにより、電気コネクタインサート800を第1端部310E1及び第2端部310E2の一方からのみ挿入可能に構成することができる。弾性部材500は、径方向外側に撓む任意の適当なクリップ、タップなどであってもよい。これにより、電気コネクタインサート800が弾性部材500を押し退けて貫通孔420内に挿入され、その後、弾性部材が初期位置に戻ることで、電気コネクタインサート800が貫通孔420内に保持される。他の態様においては、弾性部材は、電気コネクタインサート800を保持すべく、貫通孔420内のスロットに取り外し可能に配置されたばねクリップでもよい。また、回転配向部材510も貫通孔420内に配置することができる。この回転配向部材は、電気コネクタインサート800と少なくとも1つの電気コネクタ490A、490Bとのうちの一方又は両方と係合するよう構成されている。これにより、少なくとも1つの電気コネクタ490A、490Bを電気コネクタインサート800に接続する際に、対応する電気コネクタインサートシェル310A~310Mに対してこの少なくとも1つの電気コネクタ490A、490Bをアライメントさせることができる。
【0021】
図4A及び図8を参照すると、少なくとも1つの電気コネクタインサート800は、対応する電気コネクタインサートシェル310A~310M内に挿入可能に構成されている。例えば、上述したように、電気コネクタインサート800は、第1端部810E1と第2端部810E2を有する本体部810を含む。本体部は、アライメント溝又は凹部845を有しており、これが貫通孔420内の回転配向部材510に係合することで、貫通孔420内の回転方向において電気コネクタインサート800をアライメントすることができる。各第1端部810E1及び第2端部810E2は、対応する電気コネクタ490(図7)の相手側ピンパターン720(図7)に対応する接続ピンパターン820を有する。一態様において、電気コネクタインサートシェル310A~310Mのそれぞれに挿入される少なくとも1つの電気コネクタインサート800は、複数の異なる電気コネクタインサート800A、800B~800nから選択されたものである。異なる電気コネクタインサート800A、800B~800nのうちの少なくとも1つは、電気コネクタインサート800A、800B~800nのうちの他の電気コネクタインサートとは、異なる所定の特徴を有する。例えば、異なる所定の特徴とは、接続ピンパターン820~823(各電気コネクタ490(図7)の相手側ピンパターン720にそれぞれ対応する複数の異なるピンパターン820~823がある場合)であるか、あるいは、電気コネクタインサート800の直径ECD1~ECD4又は断面形状などのその他の適当な特徴である。直径ECD1~ECD4(又は、断面形状)は、1つ以上の電気コネクタインサートシェル310A~310Mの直径D1~D13(又は、断面形状)に対応する。他の態様では、電気コネクタインサート800は、すべて実質的に同じ(例えば、共通の電気コネクタインサート)でもよい。
【0022】
図8に示す通り、電気コネクタインサート800は、電気コネクタインサート800を介して、ワイヤハーネス463、464の末端(例えば、電気コネクタを490A、490Bを有する末端)が互いに接続されるコネクタインサート840を含む。コネクタインサート840は、突合せコネクタインサート(butt connector insert)とも呼ばれ、このインサートに、ワイヤハーネス463、464の末端が接続されて、ワイヤハーネスが実質的に互いに突合せ状態になる。また、この態様では、電気コネクタインサートシェル310A~310Mは、ワイヤハーネス463、464の末端(例えば、電気コネクタ490A、490Bを含む末端)を互いに接続する電気コネクタシェル318(図4A、突合せコネクタシェルとも言う)を形成し、第1端部310E1と第2端部310E2それぞれに各電気コネクタ490A、490Bが接続される。この結果、電気コネクタ490A、490Bは、電気コネクタインサート800を介して互いに電気的に接続される。
【0023】
次に、図5を参照すると、一態様において、電気マルチコネクタフィードスルーパネル200は、フレーム301に接続されたパネルマウント550を含む。パネルマウント550は、構造体側接続面555を含み、当該接続面は、構造体220の輪郭570に対応する輪郭560を有する。パネルマウント550は、電気的接合面360BS(フレーム301の接合面と共通でもよい)を含み、図4に関して説明した態様と類似の態様で、構造体における対応する接合面220BSに接続されている。パネルマウント550は、貫通部270の周縁400に外接するように構成されており、封止電気コネクタインサートシェル315と協働して、貫通部270を封止する。他の態様では、図6(及び図4A)に示すように、フレーム301は、構造体220の輪郭610に対応する輪郭600を有する。
【0024】
図4A図5及び図6を参照すると、フレーム301(及び/又はパネルマウント550)と構造体220との間の接続に加えて、あるいは、これに代えて、電気マルチコネクタフィードスルーパネル200は、第1環境側界面302及び第2環境側界面303のうちの1つ以上から延出する電気接地部材(electrical grounding member)486を含む。電気接地部材486は、電気コネクタインサートシェル310A~310Mの各々に、例えば、導電性被膜360(図3)を介して電気的に接続されている。電気接地部材486は、航空機100(図1)における任意の適切な接地電位665に、任意の適当な接地ストラップ/ワイヤ660を介して接続されており、これにより電気マルチコネクタフィードスルーパネル200、及び、各電気コネクタインサートシェル310A~310Mに接続された電気コネクタ490、490A、490B(図4A図5及び図7)が電気的に接地される。
【0025】
図3図4A図5図6及び図9を参照して、両側に圧力差ΔPのある構造体220の貫通部270を封止する例示的な方法を説明する。この方法は、電気マルチコネクタフィードスルーパネル200を構造体220に接続すること(図9、ブロック900)を含み、これにより、電気マルチコネクタフィードスルーパネル200のフレーム301の第1環境側界面302と第2環境側界面303が貫通部270を覆うように配置される。上述の通り、第2環境側界面303は第1環境側界面302の反対側の面であり、第1圧力環境PE1及び第2圧力環境PE2の一方に配置される。一態様において、フレーム301と一体形成された複数の電気コネクタインサートシェル310A~310Mに、電気コネクタインサート800が挿入される(図9、ブロック901)。ただし、他の態様では、電気コネクタインサート800は、電気マルチコネクタフィードスルーパネル200を構造体220に接続する前に、複数の電気コネクタインサートシェル310A~310Mに予め装着されていてもよい。電気コネクタインサート800、800A、800B-800nは、複数の異なる電気コネクタインサート800、800A、800B-800nから選択することができる(図9、ブロック902)。上述の通り、異なる電気コネクタインサート800、800A、800B~800nのうちの少なくとも1つは、電気コネクタインサート800、800A、800B~800nのうちの他の電気コネクタインサートとは異なる所定の特徴を有する。
【0026】
本明細書に記載するように、第1環境側界面302、及び、各電気コネクタインサートシェル310A~310Mにおける第1環境側界面302から延出する部分311は、貫通部270に対して、第1圧力環境PE1と流体接触する側に配置されている。同様に、第2環境側界面303、及び、各電気コネクタインサートシェル310A~310Mにおける第2環境側界面303から延出する部分312は、貫通部270に対して、第1圧力環境PE1における圧力P1とは異なる圧力を有する第2圧力環境PE2と流体接触する側に配置されている。
【0027】
本方法は、少なくとも1つの電気コネクタ490(図7)、490A、490Bを、対応する電気コネクタインサートシェル310A~310Mに接続すること(図9、ブロック910)を含み、これにより、当該少なくとも1つの電気コネクタを封止して、この電気コネクタからの流体漏れを上述したように実質的に防止することができる。少なくとも1つの電気コネクタ490、490A、490Bは、上述したように各電気コネクタインサートシェル310A~310Mに電気的に接続される。電気マルチコネクタフィードスルーパネル200は、任意の適当な方法で、構造体220に電気的に接続される(図9、ブロック915)。例えば、第1環境側界面302及び第2環境側界面303のうちの少なくとも1つが、上述したように構造体220に電気的に接続される。また、電気マルチコネクタフィードスルーパネル200は、構造体220に電気的に接地される(図9、ブロック920)。例えば、電気マルチコネクタフィードスルーパネル200は、上述したように、第1環境側界面302及び第2環境側界面303のうちの1つ以上から延出する電気接地部材486を介して、航空機100(図1)の接地電位665に接続される。
【0028】
本開示の側面にしたがって、以下が提供される。
【0029】
A1. 両側に圧力差がある構造体の貫通部を封止するための電気マルチコネクタフィードスルーパネルであって、
第1環境側界面及び第2環境側界面を有するフレームと、前記フレームと一体的に形成された複数の電気コネクタインサートシェルと、を含み、前記第2環境側界面は、前記第1環境側界面の反対側の面であるとともに、前記構造体に接続されるよう構成されており、これにより、前記第1環境側界面及び前記第2環境側界面が前記貫通部に跨がるように配置されるものであり、
前記複数の電気コネクタインサートシェルの各々は、
前記第1環境側界面から延出する第1端部と、
前記第2環境側界面から延出する第2端部と、
前記第1端部と前記第2端部の間に延びる電気コネクタインサート保持部材と、を含み、
前記第1端部は、第1電気コネクタを気密に受容するように構成されており、前記第2端部は、第2電気コネクタを気密に受容するように構成されており、これにより、封止コネクタシェルが形成されるものであり、
前記第1環境側界面、及び、封止された各電気コネクタインサートシェルにおける前記第1環境側界面から延出する部分は、第1圧力環境と流体接触するよう構成されており、
前記第2環境側界面、及び、封止された各電気コネクタインサートシェルにおける前記第2環境側界面から延出する部分は、前記第1圧力環境とは異なる圧力を有する第2圧力環境と流体接触するよう構成されている、
電気マルチコネクタフィードスルーパネル。
【0030】
A2. さらに、前記フレームに接続されたパネルマウントを含み、前記パネルマウントは、前記構造体の輪郭に対応する輪郭を有する構造体側接続面を有する、付記A1に記載の電気マルチコネクタフィードスルーパネル。
【0031】
A3. 前記フレームは、前記構造体の輪郭に対応する輪郭を有する、付記A1に記載の電気マルチコネクタフィードスルーパネル。
【0032】
A4. 前記コネクタシェルの前記第1端部は、雄ねじを有する、付記A1~A3のいずれか1つに記載の電気マルチコネクタフィードスルーパネル。
【0033】
A5. 前記コネクタシェルの前記第2端部は、雄ねじを有する、付記A1~A4のいずれか1つに記載の電気マルチコネクタフィードスルーパネル。
【0034】
A6. 前記電気コネクタインサート保持部材は、
前記第1端部と前記第2端部の間に延びる貫通孔と、
前記貫通孔内で電気コネクタインサートと係合して、これを保持するよう構成された弾性部材と、
前記電気コネクタインサート、前記第1電気コネクタ、及び、前記第2電気コネクタのうちの1つ以上と係合するよう構成された回転配向部材と、を含む、
付記A1~A5のいずれか1つに記載の電気マルチコネクタフィードスルーパネル。
【0035】
A7. 前記フレーム及び前記複数の電気コネクタインサートシェルは、導電性被膜を含む、付記A1~A6のいずれか1つに記載の電気マルチコネクタフィードスルーパネル。
【0036】
A8. 前記フレーム及び前記複数の電気コネクタインサートシェルは、プラスチックを含む、付記A1~A7のいずれか1つに記載の電気マルチコネクタフィードスルーパネル。
【0037】
A9. 前記フレーム及び前記複数の電気コネクタインサートシェルは、複合材を含む、付記A1~A7のいずれか1つに記載の電気マルチコネクタフィードスルーパネル。
【0038】
A10. 前記フレーム及び前記複数の電気コネクタインサートシェルは、電気接合面を形成する金属被膜を含んでいる、付記A1~A9のいずれか1つに記載の電気マルチコネクタフィードスルーパネル。
【0039】
A11. 前記フレーム及び前記複数の電気コネクタインサートシェルは、金属を含む、付記A1~A10のいずれか1つに記載の電気マルチコネクタフィードスルーパネル。
【0040】
A12. さらに、前記第1環境側界面及び前記第2環境側界面のうちの1つ以上から延出する電気接地部材を含む、付記A1~A11のいずれか1つに記載の電気マルチコネクタフィードスルーパネル。
【0041】
A13. 前記フレームは、前記構造体に電気的に接続されるよう構成されている、付記A1~A12のいずれか1つに記載の電気マルチコネクタフィードスルーパネル。
【0042】
A14. 前記複数の電気コネクタインサートシェルのうちの少なくとも1つの電気コネクタインサートシェルは、円形の断面を有する、付記A1~A13のいずれか1つに記載の電気マルチコネクタフィードスルーパネル。
【0043】
A15. 前記複数の電気コネクタインサートシェルのうちの少なくとも1つの電気コネクタインサートシェルは、前記複数の電気コネクタインサートシェルのうちの他の電気コネクタインサートシェルとは異なる直径を有する、付記A1~A14のいずれか1つに記載の電気マルチコネクタフィードスルーパネル。
【0044】
A16. 前記電気コネクタインサートシェルは、電気突合せコネクタを装着可能に構成された電気突合せコネクタシェルである、付記A1~A15のいずれか1つに記載の電気マルチコネクタフィードスルーパネル。
【0045】
B1. 両側に圧力差がある構造体の貫通部を封止するための電気マルチコネクタフィードスルーパネルであって、
第1環境側界面及び第2環境側界面を有するフレームと、前記フレームと一体的に形成された複数の電気コネクタインサートシェルと、を含み、前記第2環境側界面は、前記第1環境側界面の反対側の面であるとともに、前記構造体に接続されるよう構成されており、これにより、前記第1環境側界面及び前記第2環境側界面が前記貫通部覆って、前記貫通部を少なくとも部分的に封止するものであり、
前記複数の電気コネクタインサートシェルの各々は、少なくとも1つの電気コネクタと気密に接続するよう構成されており、これにより、当該電気コネクタインサートシェルを封止するものであり、
前記第1環境側界面は、第1圧力環境と流体接触するように、前記複数の電気コネクタインサートシェルの間に配置されており、
前記第2環境側界面は、前記第1圧力環境とは異なる圧力を有する第2圧力環境と流体接触するように、前記複数の電気コネクタインサートシェルの間に配置されている、電気マルチコネクタフィードスルーパネル。
【0046】
B2. さらに、対応する電気コネクタインサートシェルに挿入されるよう構成された少なくとも1つの電気コネクタインサートを含む、付記B1に記載の電気マルチコネクタフィードスルーパネル。
【0047】
B3. 前記少なくとも1つの電気コネクタインサートは、複数の異なる電気コネクタインサートから選択されたものであり、前記複数の異なる電気コネクタインサートのうちの少なくとも1つは、前記複数の異なる電気コネクタインサートのうちの他の電気コネクタインサートとは異なる所定の特徴を有する、付記B2に記載の電気マルチコネクタフィードスルーパネル。
【0048】
B4. 前記異なる所定の特徴は、接続ピンパターンである、付記B3に記載の電気マルチコネクタフィードスルーパネル。
【0049】
B5. 前記少なくとも1つの電気コネクタインサートは、突合せコネクタインサートを含む、付記B2に記載の電気マルチコネクタフィードスルーパネル。
【0050】
B6. さらに、前記フレームに接続されたパネルマウントを含み、前記パネルマウントは、前記構造体の輪郭に対応する輪郭を有する構造体側接続面を有する、付記B1~B5のいずれか1つに記載の電気マルチコネクタフィードスルーパネル。
【0051】
B7. 前記フレームは、前記構造体の輪郭に対応する輪郭を有する、付記B1~B5のいずれか1つに記載の電気マルチコネクタフィードスルーパネル。
【0052】
B8. 各電気コネクタインサートシェルは、雄ねじが形成された第1端部を有する、付記B1~B7のいずれか1つに記載の電気マルチコネクタフィードスルーパネル。
【0053】
B9. 各電気コネクタインサートシェルは、雄ねじが形成された第2端部を有する、付記B1~B8のいずれか1つに記載の電気マルチコネクタフィードスルーパネル。
【0054】
B10. 各電気コネクタインサートシェルは、電気コネクタインサート保持部材を含み、前記電気コネクタインサート保持部材は、
当該電気コネクタインサートシェルの第1端部と第2端部の間に延びる貫通孔と、
前記貫通孔内で電気コネクタインサートと係合して、これを保持するよう構成された弾性部材と、
前記電気コネクタインサートと前記少なくとも1つの電気コネクタとのうちの1つ以上と係合するよう構成された回転配向部材と、を含む、
付記B1~B9のいずれか1つに記載の電気マルチコネクタフィードスルーパネル。
【0055】
B11. 前記フレーム及び前記複数の電気コネクタインサートシェルは、プラスチックを含む、付記B1~B10のいずれか1つに記載の電気マルチコネクタフィードスルーパネル。
【0056】
B12. 前記フレーム及び前記複数の電気コネクタインサートシェルは、複合材を含む、付記B1~B10のいずれか1つに記載の電気マルチコネクタフィードスルーパネル。
【0057】
B13. 前記フレーム及び前記複数の電気コネクタインサートシェルは、金属を含む、付記B1~B10のいずれか1つに記載の電気マルチコネクタフィードスルーパネル。
【0058】
B14. 前記フレーム及び前記複数の電気コネクタインサートシェルは、金属被膜を含む、付記B1~B13のいずれか1つに記載の電気マルチコネクタフィードスルーパネル。
【0059】
B15. 前記金属被膜は、導電性を有する、付記B14に記載の電気マルチコネクタフィードスルーパネル。
【0060】
B16. 前記金属被膜は、ニッケル被膜である、付記B14に記載の電気マルチコネクタフィードスルーパネル。
【0061】
B17. 前記金属皮膜は、前記少なくとも1つの電気コネクタに対する電気接合面を形成する、付記B14に記載の電気マルチコネクタフィードスルーパネル。
【0062】
B18. 前記フレーム及び前記複数の電気コネクタインサートシェルは、導電性被膜を含む、付記B1~B13のいずれか1つに記載の電気マルチコネクタフィードスルーパネル。
【0063】
B19. さらに、前記第1環境側界面及び前記第2環境側界面のうちの1つ以上から延出する電気接地部材を含む、付記B1~B18のいずれか1つに記載の電気マルチコネクタフィードスルーパネル。
【0064】
B20. 前記フレームは、前記構造体に電気的に接続されるよう構成されている、付記B1~B19のいずれか1つに記載の電気マルチコネクタフィードスルーパネル。
【0065】
B21. 前記複数の電気コネクタインサートシェルのうちの少なくとも1つの電気コネクタインサートシェルは、円形の断面を有する、付記B1~B20のいずれか1つに記載の電気マルチコネクタフィードスルーパネル。
【0066】
B22. 前記複数の電気コネクタインサートシェルのうちの少なくとも1つの電気コネクタインサートシェルは、前記複数の電気コネクタインサートシェルのうちの他の電気コネクタインサートシェルとは異なる直径を有する、付記B1~B21のいずれか1つに記載の電気マルチコネクタフィードスルーパネル。
【0067】
B23. 前記複数の電気コネクタインサートシェルのうちの1つ以上は、電気突合せコネクタを装着可能に構成された電気突合せコネクタシェルである、付記B1~B22のいずれか1つに記載の電気マルチコネクタフィードスルーパネル。
【0068】
C1. 両側に圧力差がある構造体の貫通部を封止するため方法であって、
電気マルチコネクタフィードスルーパネルを前記構造体に接続して、前記電気マルチコネクタフィードスルーパネルのフレームの第1環境側界面、及び、前記第1環境側界面とは反対の第2環境側界面が前記貫通部を覆うよう配置することを含み、その際に、
前記フレームと一体的に形成された複数の電気コネクタインサートシェルに、電気コネクタインサートが挿入されており、
前記第1環境側界面、及び、各電気コネクタインサートシェルにおける前記第1環境側界面から延出する部分は、前記貫通部に対して、第1圧力環境と流体接触する側に配置されており、
前記第2環境側界面、及び、各電気コネクタインサートシェルにおける前記第2環境側界面から延出する部分は、前記貫通部に対して、前記第1圧力環境とは異なる圧力を有する第2圧力環境と流体接触する側に配置されている、方法。
【0069】
C2. さらに、少なくとも1つの電気コネクタを対応する電気コネクタインサートシェルに接続することを含み、これにより、前記少なくとも1つの電気コネクタを当該電気コネクタインサートシェルに電気的に接続する、付記C1に記載の方法。
【0070】
C3. さらに、前記第1環境側界面及び前記第2環境側界面のうちの少なくとも1つを、前記構造体に電気的に接続することを含む、付記C1又はC2に記載の方法。
【0071】
C4. さらに、前記電気マルチコネクタフィードスルーパネルを、前記第1環境側界面及び前記第2環境側界面のうちの1つ以上から延出する電気接地部材を介して接地電位に電気的に接地することを含む、付記C1~C3のうちのいずれか1つに記載の方法。
【0072】
C5. 前記電気コネクタインサートは、複数の異なる電気コネクタインサートから選択されたものであり、前記複数の異なる電気コネクタインサートのうちの少なくとも1つは、前記複数の異なる電気コネクタインサートのうちの他の電気コネクタインサートとは異なる所定の特徴を有する、付記C1~C4のうちのいずれか1つに記載の方法。
【0073】
C6. 前記異なる所定の特徴は、接続ピンパターンである、付記C5に記載の方法。
【0074】
上述の記載で参照した図面において、様々な要素及び/又は部品を繋ぐ実線がある場合、それらは、機械的、電気的、流体的、光学的、電磁気的、無線による、あるいは、その他の接続、及び/又は、これらの組み合わせを表す。本明細書において、「接続されている」とは、直接的に関連付けられていることも、間接的に関連づけられていることも意味する。例えば、部材Aは、部材Bと、直接的に関連付けられていてもよいし、例えば別の部材Cを介して間接的に関連付けられていてもよい。なお、開示した様々な要素間の関係が必ずしもすべて示してあるとは限らない。したがって、図面に示した以外の接続も存在しうる。様々な要素及び/又は部品を繋ぐ破線がある場合、これらは、機能及び目的の面で、実線で表したものに類似する接続を表す場合がある。ただし、破線で表した接続は、選択的に設けられるもの、あるいは、本開示の代替的な実施例に関するものである場合がある。同様に、破線で示した要素及び/又は部品がある場合、これらは、本開示における代替的な実施例を表す場合がある。実線及び/又は破線で示した1つ又は複数の要素を、本開示の範囲から逸脱することなく、ある特定の実施例から省くこともできる。外部要素がある場合は、点線で表している。仮想上(想像上)の要素も、明確にするために図示している場合もある。当業者であればわかるように、図面に示した特徴のいくつかは、これらの図面、その他の図面、及び/又は、付随する開示に記載された他の特徴を含むことなく様々な方法で組み合わせることが可能であり、この際に、そのような組み合わせが本開示に明示されている必要はない。同様に、提示の実施例に限定されない追加の特徴を、本明細書で図示及び説明した特徴のいくつか又はすべてと組み合わせることもできる。
【0075】
上述の記載で参照した図9において、ブロックは、工程やその一部を示す場合があり、様々なブロックを繋ぐ線は、それらの工程やその一部について特定の順序や従属関係を暗示するものではない。破線で示したブロックは、代替の工程及び/又はその一部を示す。様々なブロックを繋ぐ破線がある場合、これらは、工程やその一部の代替的な従属関係を示す。なお、開示されている様々な工程間の従属関係が、必ずしもすべて示されているとは限らない。図9ならびに本明細書の方法の工程を説明する付随の開示は、これらの工程が行われる絶対的な順序を決定するものであると解釈されるべきではない。むしろ、1つの例示的な順序を示してはいるが、工程の順序は適宜変更可能であると理解すべきである。したがって、いくつかの工程を、異なる順序で、あるいは、実質的に同時に行うこともできる。また、当業者であればわかるように、記載した工程を必ずしもすべて行う必要はない。
【0076】
以下の説明においては、開示の概念が十分に理解されるように、多くの具体的な詳細事項を提示しているが、本開示は、これらの詳細事項のいくつか又はすべてが無くても実施可能である。他の例では、既知の装置及び/又は処理についての詳細を省いているが、これは本開示が不必要に曖昧になることを避けるためである。特定の実施例に関連させて説明している概念もあるが、これらの実施例は、本開示を限定することを意図するものではないことは理解されよう。
【0077】
特に明記しない限り、本明細書における「第1」、「第2」等の語句は、単に標識として用いられており、これらの用語で言及しているアイテムに対し、順序、位置、又は階層的な要件を課すものではない。また、例えば「第2の」アイテムについて言及することによって、例えば、「第1の」アイテムやより小さい序数のアイテム、及び/又は、「第3の」アイテムやより大きい序数のアイテムの存在を要件としたり排除したりするものではない。
【0078】
本明細書において、「一実施例」という時は、その実施例に関連させて述べる1つ又は複数の特徴、構造、特徴が、少なくとも1つの実施態様に含まれるということを意味する。本明細書の様々な箇所で用いられる「一実施例」という用語は、同一の実施例を指す場合もあるし、そうでない場合もある。
【0079】
本明細書において、特定の機能を実行するように「構成された(configured to)」システム、装置、構造、物品(article)、要素、部品、又はハードウェアは、一切の変更を要することなくその特定の機能を実行できるものを指しており、その特定の機能を実行するのに何らかの変更を要するものを指すのではない。換言すると、特定の機能を実行するように「構成された」システム、装置、構造、物品、要素、部品、又はハードウェアは、その特定の機能を実行することを目的として、具体的に、選択、作製、実施、利用、プログラム、及び/又は設計されたものを指す。本明細書において、「構成されている」ということは、システム、装置、構造、物品、要素、部品、又はハードウェアが既に備えている特徴に言及するものであり、この特徴により、当該システム、装置、構造、物品、要素、部品、又はハードウェアは、一切の変更を要することなくその特定の機能を実行することができる。本開示において、特定の機能を実行するように「構成されている」システム、装置、構造、物品、要素、部品、又はハードウェアは、この記載に加えて、あるいは、この記載に代えて、当該機能を行うように「適合化された(adapted to)」、及び/又は「動作可能な(operative to)」ものとして記載される場合もある。
【0080】
本明細書に開示の装置及び方法の様々な実施例は、様々な部品、特徴、及び機能を有する。なお、本開示の装置、システム、及び方法の様々な実施例は、本開示の装置及び方法の他の任意の実施例の部品、特徴、及び機能のいずれでも任意に組み合わせて含むことができ、そのすべての可能性は、本開示の範囲内に含まれることを意図している。
【0081】
本開示に関連する分野の当業者であれば、上述の説明及び関連図面に示された教示に鑑みて、本開示に記載された実施例に対する様々な変更を思いつくであろう。
【0082】
したがって、本開示は、例示した特定の実施例に限定されるものではなく、変形及び他の実施例も添付の特許請求の範囲に含まれることが意図されている。また、上述の記載及び関連図面は、要素及び/又は機能のある特定の例示的な組み合わせに関連させて本開示の実施例を説明しているが、代替の実施態様によって、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、要素及び/又は機能の別の組み合わせを提供することもできる。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9