(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】制限空域監視システム及び方法
(51)【国際特許分類】
G08G 5/00 20060101AFI20240319BHJP
B64F 1/36 20240101ALI20240319BHJP
【FI】
G08G5/00 A
B64F1/36
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019147385
(22)【出願日】2019-08-09
【審査請求日】2022-07-15
(32)【優先日】2018-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】テレーザ エムスバッハ
(72)【発明者】
【氏名】ニルス ノイパー
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ ルネ シュ-ゾン カボス
(72)【発明者】
【氏名】ガロー ゴンサレス パルラ
【審査官】佐々木 佳祐
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-518262(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0270803(US,A1)
【文献】特開2018-179642(JP,A)
【文献】特開2008-287715(JP,A)
【文献】特開2009-251729(JP,A)
【文献】特開2001-155299(JP,A)
【文献】特表2018-509676(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0086451(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第107180561(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
B64F 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制限空域に関する制限通知情報を受信するための通信装置と、
受信した前記前記制限通知情報、及び、前記制限空域を含む空域内の複数の航空機の監視位置によって、前記制限空域が有効状態であるかどうかを判定するように構成された制限空域監視制御ユニット
と、を含む、制限空域監視システム。
【請求項2】
前記制限空域監視制御ユニットは、前記複数の航空機によって出力された位置信号によって、前記空域内における前記複数の航空機の前記
監視位置を特定するように構成されている、請求項1に記載の制限空域監視システム。
【請求項3】
前記複数の航空機によって出力された前記位置信号を監視することによって、前記複数の航空機を追跡するように構成された追跡サブシステムをさらに含む、請求項
2に記載の制限空域監視システム。
【請求項4】
前記位置信号は、ADS-B(automatic dependent surveillance-broadcast)信号を含む、請求項
2又は3に記載の制限空域監視システム。
【請求項5】
制限空域データを保存する制限空域データベースをさらに含み、前記制限空域監視制御ユニットは、前記制限空域データを分析して、特定の時間に前記制限空域が無効状態になる可能性を予測するように構成されている、請求項1~4のいずれか1つに記載の制限空域監視システム。
【請求項6】
前記複数の航空機のうちの少なくとも1つのための代替の飛行経路を決定するように構成された飛行経路決定制御ユニットをさらに含み、
前記制限空域が無効であると判定された場合、前記代替の飛行経路の少なくとも一部は、前記制限空域を通過する、請求項1~5のいずれか1つに記載の制限空域監視システム。
【請求項7】
前記飛行経路決定制御ユニットは、航空機のための、前記制限空域を迂回して飛行する第1飛行経路と、飛行時間中に前記制限空域が無効状態になる確率を有する、前記制限空域を通過飛行する第2飛行経路とを作成するように構成されている、請求項
6に記載の制限空域監視システム。
【請求項8】
前記制限空域監視制御ユニットは、前記空域内における前記複数の航空機の前記監視位置、及び、
前記制限通知情報によって、前記制限空域が有効状態かどうかを判定するように構成されており、前記制限通知情報は、公式の政府通知およびメッセージ、エーカーズ(ACARS:aircraft communications, addressing and reporting system)メッセージ、及び、ノータム(NOTAM:notice-to-airmen)メッセージのうちの1つ以上を含む、請求項1~7のいずれか1つに記載の制限空域監視システム。
【請求項9】
前記制限空域監視制御ユニットは、第1期間中に前記複数の航空機のうちの少なくとも1つが前記制限空域内にいる場合に、前記制限空域が前記第1期間中は無効状態であると判定するように構成されている、請求項1~8のいずれか1つに記載の制限空域監視システム。
【請求項10】
前記制限空域監視制御ユニットは、第2期間中に前記複数の航空機のいずれも前記制限空域内にいない場合に、前記制限空域が前記第2期間中は有効状態であると判定するように構成されている、請求項1~9のいずれか1つに記載の制限空域監視システム。
【請求項11】
前記制限空域監視制御ユニットは、前記制限空域が無効状態であると判定した場合に、前記複数の航空機のうちの少なくとも1つ又はディスパッチャーに、通過飛行アラートを出力するように構成されている、請求項1~10のいずれか1つに記載の制限空域監視システム。
【請求項12】
制限空域を含む空域内における複数の航空機の位置を監視することと、
制限通知情報を受信することと、
前記監視すること及び前記制限通知情報によって、前記制限空域が有効状態であるかどうかを、制限空域監視制御ユニットによって判定することと、を含む、制限空域監視方法。
【請求項13】
前記監視することは、前記複数の航空機によって出力された位置信号によって、前記空域内における前記複数の航空機の前記位置を特定することを含む、請求項12に記載の制限空域監視方法。
【請求項14】
前記監視することは、追跡サブシステムを用いて前記複数の航空機を追跡することをさらに含む、請求項12又は13に記載の制限空域監視方法。
【請求項15】
制限空域データを制限空域データベースに保存することと、
前記制限空域監視制御ユニットによって前記制限空域データを分析することと、
前記分析を通じて、特定の時間に前記制限空域が無効状態になる可能性を、前記制限空域監視制御ユニットによって予測することと、をさらに含む、請求項12~14のいずれか1つに記載の制限空域監視方法。
【請求項16】
飛行経路決定制御ユニットによって、前記複数の航空機のうちの少なくとも1つのための代替の飛行経路を決定することをさらに含み、
前記制限空域が無効であると判定された場合、前記代替の飛行経路の少なくとも一部は、前記制限空域を通過する、請求項12~15のいずれか1つに記載の制限空域監視方法。
【請求項17】
前
記飛行経路決定制御ユニットによって決定することは、航空機のための、前記制限空域を迂回して飛行する第1飛行経路と、飛行時間中に前記制限空域が無効状態になる確率を有する、前記制限空域を通過飛行する第2飛行経路とを作成することを含む、請求項
16に記載の制限空域監視方法。
【請求項18】
前記制限空域監視制御ユニットによって判定することは、第1時刻において前記複数の航空機のうちの少なくとも1つが前記制限空域内にいる場合に、前記制限空域が前記第1時刻において無効状態であると判定することを含む、請求項12~17のいずれか1つに記載の制限空域監視方法。
【請求項19】
前記制限空域監視制御ユニットによって判定することは、第2時刻において前記複数の航空機のいずれも前記制限空域内にいない場合に、前記制限空域が前記第2時刻において有効状態であると判定することを含む、請求項12~18のいずれか1つに記載の制限空域監視方法。
【請求項20】
前記制限空域が無効状態であると判定した場合に、前記制限空域監視制御ユニットによって、前記複数の航空機のうちの少なくとも1つ又はディスパッチャーに通過飛行アラートを出力することをさらに含む、請求項12~19のいずれか1つに記載の制限空域監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、概して、制限空域を監視するためのシステム及び方法に関し、より具体的には、監視制限空域に基づいて飛行計画を適合化させるためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
乗客や貨物を様々な場所間で輸送するために、様々な種類の航空機が用いられている。各航空機は、通常、規定の飛行計画又は飛行経路に従って、ある場所から別の場所へと飛行する。例えば、ディスパッチャーが、2つの異なる場所間における航空機の特定の飛行経路を決定する。
【0003】
出発地から到着地までの飛行経路が、直線的な経路でない場合がある。例えば、出発地と到着地との間に、制限空域が設けられている場合がある。空域が制限される理由には様々なものがあり、例えば、軍事作戦又は軍事演習、政治情勢、スポーツイベント、環境緊急事態(森林火災等)などがある。
【0004】
制限空域は、一日のうちの特定の時間のみ、有効状態である(すなわち、空域を制限する理由である軍事訓練演習などの活動が実際に行われる)場合がある。例えば、軍事演習は、午前中の1時間だけ行われて、演習の再開までに3時間の休止時間があるかもしれない。制限空域は、その日のうちの数時間のみ有効状態であり、その日の他の時間は無効状態である場合がある。しかしながら、制限空域が無効状態である間も、航空機の飛行計画は、通常、制限空域を迂回している。制限空域を避ける迂回飛行経路は、飛行時間及び燃料コストの増加につながる。
【発明の概要】
【0005】
制限空域を監視することにより、制限空域が有効状態であるか無効状態であるかを判定するシステム及び方法が、必要とされている。また、制限空域の無効期間を予測することができるシステム及び方法が必要とされている。また、制限空域の無効期間との関係において飛行計画を適合化させることを可能とすることにより、出発地と到着地との間の、より直線的な飛行経路を提示し、これにより、飛行時間の短縮及び/又は燃料の節約を実現することができるシステム及び方法が必要とされている。
【0006】
これらの必要性を考慮した上で、本開示のいくつかの実施形態は、制限空域監視制御ユニットを含む制限空域監視システムを提供するものであり、この制限空域監視制御ユニットは、制限空域を含む空域内の複数の航空機の監視位置、及び/又は、制限通知情報によって、制限空域が有効状態であるかどうかを判定するように構成されている。
【0007】
前記制限空域監視制御ユニットは、前記複数の航空機によって出力された位置信号によって、前記空域内における前記複数の航空機の前記位置を特定するように構成されている。追跡サブシステムは、前記複数の航空機によって出力された前記位置信号を監視することによって、前記複数の航空機を追跡するように構成することができる。前記位置信号は、ADS-B(automatic dependent surveillance-broadcast)信号を含みうる。
【0008】
少なくとも1つの実施形態において、制限空域データベースが、制限空域データを保存する。前記制限空域監視制御ユニットは、前記制限空域データを分析して、特定の時間に前記制限空域が無効状態になる可能性を予測するように構成されている。
【0009】
前記制限空域監視システムは、前記複数の航空機のうちの少なくとも1つのための代替の飛行経路を決定するように構成された飛行経路決定制御ユニットも、含むことができる。前記代替の飛行経路の少なくとも一部は、前記制限空域を通過する。少なくとも1つの実施形態において、前記飛行経路決定制御ユニットは、航空機のための、制限空域を迂回して飛行する第1飛行経路と、飛行時間中に前記制限空域が無効状態になる確率を有する、前記制限空域を通過飛行する第2飛行経路とを作成するように構成されている。
【0010】
前記制限通知情報は、例えば、公式の政府通知およびメッセージ、エーカーズ(ACARS:aircraft communications, addressing and reporting system)メッセージ、ノータム(NOTAM:notice-to-airmen)メッセージなどのうちの1つ以上を含む。
【0011】
少なくとも1つの実施形態において、前記制限空域監視制御ユニットは、特定の時間に前記複数の航空機のうちの少なくとも1つが前記制限空域内にいる場合に、前記制限空域が前記特定の時間においては無効状態であると判定する(そして、例えば、航空管制官が、航空機を通過飛行させることをパイロットに特別に許可する)ように構成されている。一方、前記制限空域監視制御ユニットは、特定の時間に前記複数の航空機のいずれも前記制限空域内にいない場合に、前記制限空域が前記特定の時間において有効状態であると判定するように構成することができる。
【0012】
前記制限空域監視制御ユニットは、前記制限空域が無効状態であると判定した場合に、前記複数の航空機のうちの少なくとも1つ又はディスパッチャーに、通過飛行アラートを出力するように構成することができる。
【0013】
本開示のいくつかの実施形態は、制限空域監視方法を提供し、当該方法は、制限空域を含む空域内における複数の航空機の位置を監視することと、制限通知情報を受信することと、前記監視すること及び前記制限通知情報によって、前記制限空域が有効状態であるかどうかを、制限空域監視制御ユニットによって判定することとを含む。
【0014】
前記制限空域監視方法は、制限空域データを制限空域データベースに保存することと、前記制限空域監視制御ユニットによって前記制限空域データを分析することと、前記分析を通じて、特定の時間に前記制限空域が無効状態になる可能性を、前記制限空域監視制御ユニットによって予測することを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本開示の実施形態による、空域内における制限空域監視システム及び航空機の概略ブロック図である。
【
図2】本開示の実施形態による、制限空域を迂回する第1飛行経路に従って航空機が飛行する場合の簡略模式図である。
【
図3】本開示の実施形態による、制限空域を通過する第2飛行経路に従って航空機が飛行する場合の簡略模式図である。
【
図4】本開示の実施形態による制限空域監視方法のフローチャートである。
【
図5】本開示の例示的な実施形態による、航空機の正面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
上記の概要および下記のいくつかの実施形態の詳細な説明は、添付の図面を参照することによって、より明確に理解されよう。本明細書において、単数形で記載されている要素あるいは工程は、複数の要素あるいは工程を必ずしも排除するものではない。加えて、「一実施形態」に言及することは、記載されている特徴を同様に含む別の実施形態の存在を排除することを意図するものではない。また、特に明記されていない限り、特定の状態にある1つの要素又は複数の要素を「含む(comprising)」又は「有する(having)」実施形態は、その状態にない別の要素を追加的に含んでいてもよい。
【0017】
本開示のいくつかの実施形態は、空域制限に関する情報を分析するように構成された制限空域監視システム及び方法を提供する。少なくとも1つの実施形態において、ADS-B(automatic dependent surveillance-broadcast)信号のような位置信号によって、航空機が追跡される。少なくとも1つの別の実施形態において、レーダーを用いて航空機を追跡してもよい。(例えば、追跡サブシステムはレーダーシステムであっても、あるいはレーダーシステムを含んでいてもよい。)また、当該システム及び方法は、政府当局、航空機、ディスパッチャー、航空管制官などから、制限空域に関する一斉配信通知及び一斉配信メッセージなどの制限通知情報を受信する。制限空域監視システム及び方法は、航空機の位置信号によって判定された航空機の飛行移動と、制限通知情報とを分析する(例えば照合確認する)ことによって、制限空域が有効状態であるか(すなわち、特定の時間に制限が実際に実施されているか)、あるいは、無効状態であるか(すなわち、特定の時間に制限が実際には実施されていないか)を判定する。これにより、制限空域が有効状態であるか無効状態であるかに基づいて、飛行計画を適合化させることができる。制限空域が無効状態である場合は、制限空域を(例えば迂回せずに)通過する、より直線的なルートを提示するよう、航空機の飛行計画を適合化させることができ、これにより、飛行時間及び燃料を節約することができる。
【0018】
本開示の実施形態は、制限空域をリアルタイムで監視するシステム及び方法を提供するものであり、例えば、過去及び現在の制限空域データを分析することによって、制限空域の今後の無効期間を予測することができる。当該システム及び方法は、制限エリアが使用中(例えば有効状態)であるか、フリー(例えば無効状態)であるかの判定に役立つ航空機の位置信号を用いて、空域の使用状態を調べることにより、確率的な飛行計画の手法を実現することができる。
【0019】
図1は、本開示の実施形態による、空域104内における制限空域監視システム100及び航空機102の概略ブロック図を示している。各航空機102は、空域104内において、出発地と到着地との間を飛行する。空域104の一部は、制限されている場合がある。制限空域が有効状態である場合(すなわち、制限が実施されている場合)、航空機102は、(個別的にも、集団的にも)、当該空域を通過飛行することが許されない。制限空域が無効状態である場合(すなわち、制限が実施されていない場合)、航空機102のパイロットは、制限空域に関して通過飛行(又は直進通過)を要請することができる。
【0020】
各航空機102は、例えば、ADS-B信号位置センサなどの位置センサ106を含み、当該センサにより、出力位置信号による航空機102の追跡が可能である。位置センサ106は、航空機102の現在位置を検出するとともに、航空機102の現在位置を示す位置信号を出力するように、構成されている。位置信号は、速度、高度、機首方位などの1つ以上の位置パラメータを含む。航空機102は、1つ以上のアンテナ、無線装置、トランシーバ、受信機、送信機などの通信装置108も含む。また、航空機102は、飛行制御システム110も含み、当該システムは、様々な飛行制御装置、モニタ111、スピーカ113などを含むことができる。
【0021】
制限空域監視システム100は、制限空域監視制御ユニット112を含み、これは、例えば、1つ以上の有線又は無線接続によって、制限空域データベース114と通信することができる。制限空域監視制御ユニット112は、1つ以上の有線又は無線接続によって、通信装置116(例えば、1つ以上のアンテナ、無線装置、トランシーバ、受信機、送信機など)に接続されている。飛行経路決定制御ユニット118が、1つ以上の有線又は無線接続によって、制限空域監視制御ユニット112及び通信装置116と通信することができる。任意の構成として、飛行経路決定制御ユニット118は、制限空域監視制御ユニット112の一部であってもよい。すなわち、制限空域監視制御ユニット112と飛行経路決定制御ユニット118とは、別個の異なる制御ユニットであってもよいし、同じ制御ユニットの一部であってもよい。
【0022】
本明細書に述べるように、本開示の実施形態は、制限空域監視制御ユニット112を含む制限空域監視システム100を提供するものであり、当該制御ユニットは、制限空域及び制限通知情報122を含む空域104内の航空機102の位置(例えばリアルタイムの現在位置、及び/又は、以前における過去位置)を分析することによって、制限空域が有効状態であるかどうかを判定するように構成されたものである。制限空域データベース114は、制限空域データ(以前に制限空域を通過した過去の飛行経路に関する情報を含む)を保存する。制限空域監視制御ユニット112は、制限空域データを分析することにより、制限空域が有効状態である可能性を予測する。例えば、制限空域データの分析に基づいて、制限空域監視制御ユニット112は、その日の特定の時間に制限空域が無効状態である可能性の予測値(例えばX%以上の見込み)を提示する。少なくとも1つの実施形態において、制限空域監視制御ユニット112は、航空機102のうちの少なくとも1つを、特定の時間に制限空域内に検出した場合に、制限空域が当該特定の時間においては無効状態であると判定するように構成される。一方、制限空域監視制御ユニットは、特定の時間に制限空域内に航空機を1つも検出しない場合には、当該特定の時間に制限空域が有効状態であると判定するように、構成することができる。
【0023】
制限空域監視システム100は、空域104内における航空機102の移動を追跡するように構成された追跡サブシステム120も含みうる。例えば、追跡サブシステム120は、航空機102の位置センサ106によって出力されるADS-B信号によって、航空機102の移動を追跡するように構成された、ADS-B追跡サブシステムであってもよい。追跡サブシステム120は、例えば1つ以上の有線又は無線の接続によって、通信装置116に接続することができる。少なくとも1つの別の実施形態において、制限空域監視システム100は、追跡サブシステム120を含んでいなくてもよい。代わりに、追跡サブシステム120を、制限空域監視システム100とは分かれた別個のものとし、制限空域監視システム100と通信するようにしてもよい。
【0024】
制限空域監視システム100は、例えば、特定の箇所に設けられた地上の監視システムである。例えば、制限空域監視システム100は、空港内の、例えば航空オペレーションセンターや航空管制センターなどに設けることができる。制限空域監視システム100は、空域104及び空域内の制限エリアを監視するように構成することができる。空域104は、例えば、制限空域監視システム100に関連する特定のエリアをカバーする。例えば、空域104は、制限空域監視システム100から半径500マイル以内などの、画定された領域にわたる。任意の構成として、空域104は、制限空域監視システム100から半径500マイル以内よりも小さいか、あるいは大きいエリアにわたるものであってもよい。一例として、空域104は、州全体、地域全体、国全体、半球全体、又は地球表面全体であってもよい。少なくとも1つの別の実施形態において、制限空域監視システム100は、船舶、航空機、宇宙船、静止衛星又は非静止衛星などに搭載してもよい。
【0025】
制限空域監視システム100の通信装置116は、航空機102の位置センサ106によって出力された位置信号ならびに制限通知情報122を受信するように構成されている。制限通知情報122は、例えば、制限空域に関連する主体(政府当局など)によって一斉配信又は出力される、オーディオ、ビデオ、テキスト、又はその他の信号である。制限通知情報122は、例えば、公式の政府通知及びメッセージ、エーカーズ(ACARS:aircraft communications, addressing and reporting system)メッセージ、ノータム(NOTAM:notice-to-airmen)メッセージなどを含む。制限通知情報122は、他の航空機102によって出力された信号も含みうる。
【0026】
動作において、制限空域監視システム100は、通信装置116を介して、制限通知情報122を受信する。制限通知情報122は、空域104内の制限空域を示唆するものである。制限空域監視制御ユニット112は、制限通知情報122、及び/又は、既に受信されて制限空域データベース114内に保存されている他のデータによって、制限空域を特定する。
【0027】
追跡サブシステム120は、航空機102の位置センサ106によって出力された位置信号(例えばADS-B信号)によって、空域104内の航空機102を追跡する。制限空域監視制御ユニット112は、位置センサ106によって出力された位置信号によって、追跡サブシステム120によって追跡された、空域104内の航空機102の実際の位置を監視する。制限空域監視制御ユニット112は、空域104内における航空機102の追跡位置を、制限空域データベース114に保存されている制限空域の位置、及び/又は、制限通知情報122によって受信した制限空域の位置と対比する。制限空域内に航空機102が一機も検出されない場合、制限空域監視制御ユニット112は、航空機102に通過飛行可能性アラートを出力すること控える。一方、(例えば、パイロットが制限空域の通過飛行を要請し、通過飛行が承認された後に)いくつかの航空機102が制限空域を通過飛行していると制限空域監視制御ユニット112が判定した場合、制限空域監視制御ユニット112は、通信装置116を介して、通過飛行可能性アラートを航空機102に出力する。航空機102は、通信装置108を介して、通過飛行可能性アラートを受信し、この通過飛行可能性アラートが、例えば、モニタ111に表示されたり、スピーカ113によって一斉配信されたりする。通過飛行可能性アラートを受信すると、パイロットは、ディスパッチャー、航空管制官などに連絡して、制限空域の通過飛行を要請する。
【0028】
制限空域監視制御ユニット112は、制限空域データベース114に保存された制限空域データを分析する。例えば、制限空域に関する制限空域データは、1日、1週間、1カ月、1年、あるいはそれ以上の期間、保存することができる。制限空域監視制御ユニット112は、制限空域データを分析することにより、制限空域が特定の期間にわたって有効状態又は無効状態になる時期を特定する。例えば、制限空域監視制御ユニット112は、制限空域データベース114に保存されている制限空域データを分析し、所与の期間(例えば、現在時刻より前の1週間、1カ月、又は1年など)にわたる制限空域データの分析に基づいて、一般的に、制限空域が日中のある時間のみ有効状態であり、その日の他の時間帯は無効状態であると判定することができる。従って、制限空域監視制御ユニット112は、現在及び将来における、制限空域が無効状態になりそうな期間を予測し、ディスパッチャー及び飛行計画者に、可能性のある制限空域通過飛行の時機を提示することができる。このようにして、飛行経路又は計画が決定される前に、当局に連絡を取り、通過飛行要請を行うことができる。通過飛行要請が承認された場合、航空機は、多くの燃料を必要とせず、従って、燃料の搭載量を少なくすることができ、出発地と到着地との間の燃料コスト及び飛行時間を節約することができる。
【0029】
少なくとも1つの実施形態において、飛行経路決定制御ユニット118は、航空機102用の1つ以上の飛行経路を、自動的に作成することができる。飛行経路決定制御ユニット118は、航空機用の、制限空域を迂回して飛行する第1飛行経路と、飛行時間中に制限空域が無効状態になる確率(ディスパッチャー及び/又はパイロットに提示されるものなど)を有する、制限空域を通過飛行する第2飛行経路とを作成することができる。この確率は、所定の時間枠(例えば現在時刻より前の1又は複数の日、週、月、及び/又は年)にわたる有効状態/無効状態の分析に基づいて、計算することができる。この確率は、例えばモニタ111に表示することができる。このようにして、ディスパッチャー又はパイロットは、作成された両方の飛行経路を検討し、第2飛行経路に基づく制限空域の通過飛行を要請することができる。通過飛行が承認されると、ディスパッチャー又はパイロットは、第2飛行経路を選択することができ、これは、飛行時間の削減及び/又は燃料コストの節約につながる。あるいは、制限空域監視システム100は、飛行経路決定制御ユニット118を含んでいなくてもよい。
【0030】
本明細書において、「制御ユニット」、「中央処理装置」、「ユニット」、「CPU」、「コンピュータ」などの用語で表される要素は、任意のプロセッサベース又はマイクロプロセッサベースのシステムを含みうる。当該システムは、マイクロコントローラ、縮小命令セットコンピュータ(RISC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、論理回路、及び、本明細書に記載の機能を実行可能なハードウェア、ソフトウェア、又はこれらの組み合わせを有する他の回路やプロセッサを使用するシステムを含む。これらは単なる例示であって、これらの用語の定義及び/又は意味を制限するものではない。例えば、制限空域監視制御ユニット112及び飛行経路決定制御ユニット118は、本明細書に記載のようにその動作を制御するように構成された1つ以上のプロセッサであってもよいし、そのようなプロセッサを含むものであってもよい。
【0031】
制限空域監視制御ユニット112及び飛行経路決定制御ユニット118は、データを処理するために、1つ以上のデータ記憶装置又は要素(例えば1つ以上のメモリ)に格納された一組の命令を実行するように構成される。例えば、制限空域監視制御ユニット112及び飛行経路決定制御ユニット118は、1つ以上のメモリを含むものであってもよいし、これに接続されたものであってもよい。データ記憶装置は、所望又は必要に応じて、データ又は他の情報も格納していてもよい。データ記憶装置は、処理マシン内の情報源又は物理的なメモリ素子の形態であってもよい。
【0032】
一組の命令は、処理マシンとしての制限空域監視制御ユニット112及び飛行経路決定制御ユニット118に、本明細書に記載の構成要件の様々な実施形態の方法及びプロセスなどの特定の動作を行うよう指示するための、様々な命令を含む。一組の命令は、ソフトウェアプログラムの形態であってもよい。ソフトウェアは、システムソフトウェア又はアプリケーションソフトウェアなどの様々な形態を取ることができる。さらに、ソフトウェアは、個々のプログラムの集まり、より大きいプログラム内におけるプログラムの部分集合、又は、プログラムの一部の形態を取ることができる。ソフトウェアは、オブジェクト指向プログラミングの形態でのモジュラープログラミングを含むこともできる。処理マシンによる入力データの処理は、ユーザコマンドに応答して行ってもよいし、前回の処理結果に応答して行ってもよいし、他の処理マシンによる要求に応答して行ってもよい。
【0033】
本明細書における実施形態の図面には、制限空域監視制御ユニット112及び飛行経路決定制御ユニット118などの1つ以上の制御ユニット又は処理ユニットが示されている。なお、処理ユニット又は制御ユニットは、例えば、回路、回路系(circuitry)、又は、その一部を表しており、これらは、関連する命令(例えば、コンピュータハードドライブ、ROM、RAMなどの、有形の非一時的コンピュータ可読記憶媒体に格納されたソフトウェア)を有するとともに本明細書に記載の動作を行うハードウェアとして実現することができる。ハードウェアは、本明細書に記載の機能を実行するためにハードウェアに組み込まれた(hardwired)ステートマシン回路系(state machine circuitry)を含みうる。任意ではあるが、ハードウェアは、マイクロプロセッサ、プロセッサ、コントローラなどの1つ以上のロジックベースの装置を含んだり、これに接続されていたりしてもよい。任意ではあるが、制限空域監視制御ユニット112及び飛行経路決定制御ユニット118は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、マイクロプロセッサなどのうちの1つ以上で構成される、処理回路系を表していてもよい。様々な実施形態における回路は、本明細書に記載の機能を実行するための1つ以上のアルゴリズムを実行するように構成してもよい。1つ以上のアルゴリズムは、フローチャートや方法において明白に示されているか否かに関わらず、本明細書に開示される実施形態の態様を含みうる。
【0034】
本明細書において、「ソフトウェア」と「ファームウェア」とは、同義であり、コンピュータによる実行のためにデータ記憶装置(例えば1つ以上のメモリ)に格納される任意のコンピュータプログラムを含む。このようなメモリには、RAMメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、及び、不揮発性RAM(NVRAM)メモリが含まれる。上記のデータ記憶装置の種類は、単なる例示であり、コンピュータプログラムの格納に使用可能なメモリの種類を限定するものではない。
【0035】
図2は、本開示の実施形態による、制限空域202を迂回する第1飛行経路200に従って航空機102が飛行する場合の簡略模式図を示している。なお、図示の第1飛行経路200は、簡略化して表されており、縮尺どおりには描かれておらず、また、必ずしも運航上の能力を示すものではない。制限空域202は、空域104内にある。航空機102は、出発地204から出発する。第1飛行経路200は、出発地204を到着地206と繋いでいる。図示のように、第2飛行経路208は、出発地204を到着地206まで繋いでいる。ただし、第2飛行経路208は、制限空域202を通っている。
【0036】
図1及び
図2を参照すると、他の航空機102の追跡位置データ及び制限通知情報122に基づいて、制限空域監視制御ユニット112は、制限空域202が有効状態であると判定する。この場合、制限空域監視制御ユニット112は、現時点では制限空域の通過飛行の可能性が無いというメッセージを、航空機102に出力することができる。従って、航空機102は、制限空域202を迂回する飛行経路200による、現在のコースを維持する。
【0037】
図3は、本開示の実施形態による、制限空域202を通過する第2飛行経路208に従って航空機102が飛行する場合の簡略模式図を示している。
図1及び
図2を参照すると、他の航空機102の追跡位置データ及び制限通知情報122に基づいて、制限空域監視制御ユニット112は、制限空域202が無効状態である(又は無効状態である可能性が高い)と判定する。この場合、制限空域監視制御ユニット112は、現時点で(あるいは、航空機が制限空域202又はその近くに到達する予定時刻に)制限空域通過飛行の可能性があるかもしれないことを示す通過飛行可能性メッセージを、航空機102に出力することができる。従って、航空機102のパイロットは、関連当局に連絡を取り、制限空域202の通過飛行を要請することができる。すると、関連当局は、例えば、通過飛行要請を承認し、これにより、航空機102が制限空域202を通る第2飛行経路208に従って飛行することを許可する。一方、制限空域202の通過飛行の許可が与えられなかった場合は、制限空域202を迂回する元の飛行経路が取られる。
【0038】
図4は、本開示の実施形態による制限空域監視方法のフローチャートを示している。
図1及び
図4を参照すると、220において、空域104内の航空機102の位置信号(例えばADS-B信号)が、例えば、追跡サブシステム120によって出力される追跡データを分析している制限空域監視制御ユニット112によって、監視される。222において、制限空域内に航空機102がいるかどうかが判定される。例えば、制限空域監視制御ユニット112は、制限空域データベース114に保存されている制限空域データ、及び/又は、制限通知情報122から、制限空域を特定することができる。
【0039】
222において、制限空域内に航空機102がいないと判定された場合、当該方法は、224に進み、制限空域監視制御ユニット112は、航空機に通過飛行可能性メッセージを出力することを控える。当該方法は、次に、220に戻る。
【0040】
一方、222において、制限空域内に少なくとも1つの航空機102がいる(あるいは最近までいた)と判定された場合、当該方法は、226に進み、制限空域が有効状態であるか、もしそうであればどのくらいの期間そうであるかを判定するために、制限空域データベースが制限通知情報122を検討する。少なくとも1つの実施形態において、制限空域監視制御ユニット112は、パターン認識に基づいて、制限空域が現時点で有効状態であるかどうかを予測してもよい。例えば、制限空域における軍事的行為のパターンが、開始時刻から2時間だけ制限空域が有効状態であることを示している場合、制限空域監視制御ユニット112は、ある日の開始時刻から3時間以上で、制限空域が無効状態になる可能性があることを示唆できる。
【0041】
228において制限空域内が有効状態であると判定された場合、当該方法は、224に進み、制限空域監視制御ユニット112は、通過飛行可能性メッセージを出力することを控える。一方、228において制限空域が無効状態であると判定された場合、当該方法は、230に進み、制限空域監視制御ユニット112は、通過飛行可能性メッセージを航空機102に出力する。通過飛行可能性メッセージは、例えば、制限空域の一部を通る代替の飛行経路を含む。
【0042】
制限空域監視制御ユニット112から通過飛行可能性メッセージを受信した後、232において、パイロット及び/又はディスパッチャーが(制限空域の)通過飛行を要請する。234において通過飛行要請が(例えば航空管制官又は他の関連当局によって)承認されなかった場合、当該方法は236に進み、航空機102は、制限空域を迂回する飛行経路上のコースを維持する。一方、234において通過飛行要請が承認された場合、方法は238に進み、制限空域を通過するように飛行経路が変更される。
【0043】
本明細書で説明したように、本開示の少なくとも1つの実施形態による制限空域監視方法は、制限空域を含む空域内の複数の航空機の位置を監視することと、制限通知情報を受信することと、制限空域監視制御ユニット112によって、制限空域が有効状態かどうかを、複数の航空機のうちの少なくとも1つの位置及び制限通知情報に基づいて判定することを含む。
【0044】
図5は、本開示の例示的な実施形態による、航空機102の正面斜視図を示している。航空機102は、例えば2つのターボファンエンジン314を含む推進系312を含む。任意ではあるが、推進系312は、図示したよりも多くのエンジン314を含んでいてもよい。エンジン314は、航空機102の主翼316によって担持されている。他の実施形態において、エンジン314は、胴体318及び/又は尾部320によって担持されていてもよい。尾部320は、水平安定板322及び垂直安定板324も支持しうる。航空機102の胴体318は、内部キャビンを構成しており、内部キャビンは、例えば、コックピット330、1つ以上の作業セクション(例えば、ギャレー、職員荷物エリアなど)、1つ以上の乗客セクション(例えば、ファーストクラス、ビジネスクラス、エコノミークラス)、及び、後方休憩室アセンブリが配置されている後方セクションを含む。
【0045】
航空機102は、
図5に示したものとは異なるサイズ、形状、及び構成であってもよい。例えば、航空機102は、ヘリコプターなどの非固定翼航空機であってもよい。別の例として、航空機102は、無人航空機(UAV)であってもよい。
【0046】
図1~
図5を参照すると、本開示の実施形態により、大量のデータをコンピュータ機器によって迅速且つ効率的に分析できるようにするシステム及び方法が提供される。例えば、多くの航空機102が、空域104内を飛行する予定となっている。従って、大量のデータが、追跡及び分析されている。本明細書で説明したように、制限空域監視制御ユニット112によって、大量のデータが、効率的に整理及び/又は分析される。制限空域監視制御ユニット112は、空域104全体における制限空域に関する情報を、迅速且つ効率的に出力及び/又は表示するために、比較的短時間でデータを分析する。例えば、制限空域監視制御ユニット112は、航空機102から受信した航空機の現在位置をリアルタイム又はほぼリアルタイムで分析することにより、空域104内における航空機102の位置を特定するとともに、当該航空機102の位置を、制限空域データベース114に保存された制限空域及び/又は制限通知情報122によって受信した制限空域と対比する。人間では、このような膨大な量のデータを、そのような短時間で効率的に分析することは不可能であろう。従って、本開示の実施形態は、従来のコンピューティングシステムより向上した効率的な機能性、ならびに、人間による膨大な量のデータ分析に比べて非常に優れたパフォーマンスを提供するものである。つまり、本開示の実施形態は、人間では効率的、効果的、且つ正確に管理することができないような、数百万ではないにしても数千もの計算及び演算を分析するシステム及び方法を提供するものであり、これはものである。
【0047】
また、本開示は、以下の付記による実施形態を含む。
【0048】
付記1. 制限空域(202)を含む空域(104)内の複数の航空機(102)の監視位置によって、前記制限空域(202)が有効状態であるかどうかを判定するように構成された制限空域監視制御ユニット(112)を含む、制限空域監視システム(100)。
【0049】
付記2. 前記制限空域監視制御ユニット(112)は、前記複数の航空機(102)によって出力された位置信号によって、前記空域(104)内における前記複数の航空機(102)の前記位置を特定するように構成されている、付記1に記載の制限空域監視システム(100)。
【0050】
付記3. 前記複数の航空機(102)によって出力された前記位置信号を監視することによって、前記複数の航空機(102)を追跡するように構成された追跡サブシステムをさらに含む、付記1又は2に記載の制限空域監視システム(100)。
【0051】
付記4. 前記位置信号は、ADS-B(automatic dependent surveillance-broadcast)信号を含む、付記1~3のいずれか1つに記載の制限空域監視システム(100)。
【0052】
付記5. 制限空域(202)データを保存する制限空域データベース(114)をさらに含み、前記制限空域監視制御ユニット(112)は、前記制限空域(202)データを分析して、特定の時間に前記制限空域(202)が無効状態になる可能性を予測するように構成されている、付記1~4のいずれか1つに記載の制限空域監視システム(100)。
【0053】
付記6. 前記複数の航空機(102)のうちの少なくとも1つのための代替の飛行経路(208)を決定するように構成された飛行経路(200)決定制御ユニット(118)をさらに含み、前記代替の飛行経路(208)の少なくとも一部は、前記制限空域(202)を通過する、付記1~5のいずれか1つに記載の制限空域監視システム(100)。
【0054】
付記7. 前記飛行経路(200)決定制御ユニット(118)は、航空機(102)のための、制限空域(202)を迂回して飛行する第1飛行経路(200)と、飛行時間中に前記制限空域(202)が無効状態になる確率を有する、前記制限空域(202)を通過飛行する第2飛行経路(208)とを作成するように構成されている、付記1~6のいずれか1つに記載の制限空域監視システム(100)。
【0055】
付記8. 前記制限空域監視制御ユニット(112)は、前記空域(104)内における前記複数の航空機(102)の前記監視位置、及び、制限通知情報(122)によって、前記制限空域(202)が有効状態かどうかを判定するように構成されており、前記制限通知情報は、公式の政府通知およびメッセージ、エーカーズ(ACARS:aircraft(102)communications, addressing and reporting system)メッセージ、及び、ノータム(NOTAM:notice-to-airmen)メッセージのうちの1つ以上を含む、付記1~7のいずれか1つに記載の制限空域監視システム(100)。
【0056】
付記9. 前記制限空域監視制御ユニット(112)は、第1期間中に前記複数の航空機(102)のうちの少なくとも1つが前記制限空域(202)内にいる場合に、前記制限空域(202)が前記第1期間中は無効状態であると判定するように構成されている、付記1~8のいずれか1つに記載の制限空域監視システム(100)。
【0057】
付記10. 前記制限空域監視制御ユニット(112)は、第2期間中に前記複数の航空機(102)のいずれも前記制限空域(202)内にいない場合に、前記制限空域(、202)が前記第2期間中は有効状態であると判定するように構成されている、付記1~9のいずれか1つに記載の制限空域監視システム(100)。
【0058】
付記11. 前記制限空域監視制御ユニット(112)は、前記制限空域(202)が無効状態であると判定した場合に、前記複数の航空機(102)のうちの少なくとも1つ又はディスパッチャーに、通過飛行アラートを出力するように構成されている、付記1~10のいずれか1つに記載の制限空域監視システム(100)。
【0059】
付記12. 制限空域(202)を含む空域(104)内における複数の航空機(102)の位置を監視することと、
制限通知情報(122)を受信することと、
前記監視すること及び前記制限通知情報(122)によって、前記制限空域(202)が有効状態であるかどうかを、制限空域監視制御ユニット(112)によって判定することと、を含む、制限空域(202)監視方法。
【0060】
付記13. 前記監視することは、前記複数の航空機(102)によって出力された位置信号によって、前記空域(104)内における前記複数の航空機(102)の前記位置を特定することを含む、付記12に記載の制限空域(202)監視方法。
【0061】
付記14. 前記監視することは、追跡サブシステムを用いて前記複数の航空機(102)を追跡することをさらに含む、付記12又は13に記載の制限空域(202)監視方法。
【0062】
付記15. 制限空域(202)データを制限空域データベース(114)に保存することと、
前記制限空域監視制御ユニット(112)によって前記制限空域(202)データを分析することと、
前記分析を通じて、特定の時間に前記制限空域(202)が無効状態になる可能性を、前記制限空域監視制御ユニット(112)によって予測することと、をさらに含む、付記12~14のいずれか1つに記載の制限空域(202)監視方法。
【0063】
付記16. 飛行経路(200)決定制御ユニットによって、前記複数の航空機(102)のうちの少なくとも1つのための代替の飛行経路(208)を決定することをさらに含み、前記代替の飛行経路(208)の少なくとも一部は、前記制限空域(202)を通過する、付記12~15のいずれか1つに記載の制限空域(202)監視方法。
【0064】
付記17. 前記前記飛行経路(200)決定制御ユニット(118)によって決定することは、航空機(102)のための、制限空域(202)を迂回して飛行する第1飛行経路(200)と、飛行時間中に前記制限空域(202)が無効状態になる確率を有する、前記制限空域(202)を通過飛行する第2飛行経路(208)とを作成することを含む、付記12~16のいずれか1つに記載の制限空域(202)監視方法。
【0065】
付記18. 前記制限空域監視制御ユニット(112)によって判定することは、第1時刻において前記複数の航空機(102)のうちの少なくとも1つが前記制限空域(104、202)内にいる場合に、前記制限空域(202)が前記第1時刻において無効状態であると判定することを含む、付記12~17のいずれか1つに記載の制限空域(202)監視方法。
【0066】
付記19. 前記制限空域監視制御ユニット(112)によって判定することは、第2時刻において前記複数の航空機(102)のいずれも前記制限空域(202)内にいない場合に、前記制限空域(202)が前記第2時刻において有効状態であると判定することを含む、付記12~18のいずれか1つに記載の制限空域(202)監視方法。
【0067】
付記20. 前記制限空域(202)が無効状態であると判定した場合に、前記制限空域監視制御ユニット(112)によって、前記複数の航空機(102)のうちの少なくとも1つ又はディスパッチャーに通過飛行アラートを出力することをさらに含む、付記12~19のいずれか1つに記載の制限空域(202)監視方法。
【0068】
本明細書で説明したように、本開示の実施形態は、制限空域を監視することにより、当該制限空域が現時点で有効状態であるか無効状態であるかを判定するシステム及び方法を提供する。また、当該システム及び方法は、(例えば、制限空域データベース114に保存された、制限空域の過去データに基づいて)制限空域の無効期間を予測することができる。また、当該システム及び方法は、制限空域の無効期間との関係において飛行計画を適合化させることを可能とすることにより、出発地と到着地との間のより直線的な飛行経路を提示し、これにより、飛行時間の短縮及び/又は燃料の節約を実現することができる。
【0069】
本開示の実施形態を説明するために、上、底、下、中央、側方、水平、垂直、前方などの、様々な空間および向きに関する用語を用いたとしても、これらの用語は図面に示した向きに関して用いたに過ぎない。これらの向きは、逆転したり、回転させたり、あるいは他の方法で変更してもよく、その場合には、上側部分が下側部分となったり、その逆となったり、水平方向が垂直方向となったりする。
【0070】
本明細書において、ある処理や操作を実行するように「構成された」と規定される構造、限定あるいは要素は、当該処理や操作に適した態様を意図して、構造的に形成され、構成され、適合化されたものである。明瞭化のため、また疑義を避けるために付言すると、単に当該処理や操作を実行するように改変されうるに過ぎないものは、当該処理や操作を実行するように「構成された」ものには該当しない。
【0071】
上述の説明は、すべて例示的であり、限定的に解釈されるべきではない。例えば、上述した実施形態(及び/又はその側面)は、互いに組み合わせて使用することが可能である。加えて、特定の状況や材料を、本開示の様々な実施形態の教示に、それらの範囲を逸脱することなく、適合化させる多くの変形が可能である。本明細書で説明した材料の寸法や種類は、本開示の様々な実施形態におけるパラメータを明確にするためのものであり、これら実施形態は、限定を課すものではなく、例示的な実施形態に過ぎない。上記の説明を検討すれば、当業者には多くの他の実施形態が明らかであろう。従って、本開示の様々な実施形態の範囲は、添付の請求の範囲を、これら請求の範囲に認められる均等物の範囲と併せて参照して決定されるべきである。また、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、単に標識として用いられており、これらにより言及される対象に対して数的な要件を課すものではない。
【0072】
本明細書の記載は、ベストモードを含む本開示の様々な実施形態を、例を用いて開示するものであり、また、任意の装置又はシステムの作製および使用、ならびに、組み入れられた方法の実行を含む本開示の様々な実施形態を、当業者が実施できるようにするものである。本開示の各種実施形態についての特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって規定されるものであり、当業者が想定しうる他の例を含みうる。そのような他の例は、それらが、特許請求の範囲の文言と相違のない構成要素を有する場合、又は、特許請求の範囲の文言に対して非本質的な相違を有するだけの均等の構成要素を含む場合、特許請求の範囲に包含されると考えられるべきである。