(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】タンパク質及び繊維が豊富で空気を含む食品を製造する方法
(51)【国際特許分類】
A21D 13/066 20170101AFI20240319BHJP
A21D 2/26 20060101ALI20240319BHJP
A21D 2/18 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
A21D13/066
A21D2/26
A21D2/18
(21)【出願番号】P 2019571248
(86)(22)【出願日】2018-06-22
(86)【国際出願番号】 NL2018050405
(87)【国際公開番号】W WO2018236219
(87)【国際公開日】2018-12-27
【審査請求日】2021-05-20
(32)【優先日】2017-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519452002
【氏名又は名称】ゼロ カーブ カンパニー ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】ZERO CARB COMPANY B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(74)【代理人】
【識別番号】100192441
【氏名又は名称】渡辺 仁
(72)【発明者】
【氏名】オスマノグロウ エラル
(72)【発明者】
【氏名】フランケン ヴァウター マタイアス
【審査官】堂畑 厚志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0303997(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0150730(US,A1)
【文献】国際公開第2016/134858(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0370178(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0275121(US,A1)
【文献】Chapter 4 - Gluten-Free Bakery Product Formulation and Processing,Gluten-Free Baked Products,American Associate of Cereal Chemists Internationa,2014年,p. 49-67
【文献】Chapter 3 - Gluten-Free Ingredients,Gluten-Free Baked Products,American Associate of Cereal Chemists Internationa,2014年,p. 23-47
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A21D
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンパク質、食物繊維、水、安定剤、及び任意で可消化炭水化物を含む焼成食品であって、前記焼成食品が、乾物重量に基づいて少なくとも30wt%の
、アルブミンからなるタンパク質を含
み、前記タンパク質の前記食物繊維に対する重量比が、0.75~4の範囲で選択され、前記食品が、グルテン非含有食品であり、前記任意の可消化炭水化物の前記タンパク質に対する重量比が、0.15以下であり、前記繊維が、(i)
柑橘類繊維からなる果実繊維と(ii)1又は2以上のイヌリン及びイヌリン誘導体の組み合わせを含み、前記
果実繊維の前記1又は2以上のイヌリン及びイヌリン誘導体に対する比が、2/3~1.5の範囲から選択さ
れ、前記安定剤が、
前記焼成食品の前記乾物重量に基づいて、0.5~2wt%の量のキサンタンガムを含み、前記食品がパン様の製品であ
り、
前記焼成食品が、前記タンパク質、前記食物繊維、前記水、前記安定剤、及び任意で前記可消化炭水化物を含む焼成用組成物から製造され、前記焼成用組成物中の水分量が前記焼成用組成物の総重量に対して、50~70wt%の範囲で選択される、
前記焼成食品。
【請求項2】
食品が、60~90(体積)%の範囲から選択される多孔度を有する、請求項1に記載の焼成食品。
【請求項3】
可消化炭水化物が利用可能である場合、前記可消化炭水化物のタンパク質に対する重量比が、0.05以下である、請求項1に記載の焼成食品。
【請求項4】
乾物重量に基づいて、最大で60wt%のタンパク質を含む、請求項1~3のいずれかに記載の焼成食品。
【請求項5】
食物繊維が、焼成食品の乾物重量に基づいて、15~25wt%の量で利用可能である、請求項1~
4のいずれかに記載の焼成食品。
【請求項6】
安定剤が、レシチン(E322)、グリセリン(E422)、脂肪酸のモノグリセリド及びジグリセリド(E471)、モノグリセリド及びジグリセリドの酢酸エステル(E472a)、モノグリセリド及びジグリセリドの乳酸エステル(E472b)、モノグリセリド及びジグリセリドのクエン酸エステル(E472c)、モノグリセリド及びジグリセリドの酒石酸エステル(E472d)、モノグリセリド及びジグリセリドのジアセチル酒石酸エステル(E472e)、並びにモノグリセリド及びジグリセリドの混合エステル(E472f)、ステアロイル乳酸ナトリウム又はカルシウム(E481、E482)、並びにモノステアリン酸ソルビタン(E491)からなる群から選択される1又は2以上の安定剤をさらに含む、請求項1~
5のいずれかに記載の焼成食品。
【請求項7】
亜麻仁をさらに含む、請求項1~
6のいずれかに記載の焼成食品。
【請求項8】
焼成食品の乾物重量に基づいて、0.2~7.5wt%の範囲で選択される油脂又は脂肪をさらに含む、請求項1~
7のいずれかに記載の焼成食品。
【請求項9】
油脂又は脂肪が、バター、ヤシ油、ココナッツ油、及びナタネ油のうち1又は2以上を含む、請求項
8に記載の焼成食品。
【請求項10】
焼成食品の総重量に対して40~60wt%の範囲で選択される量の水を含む、請求項1~
9のいずれかに記載の焼成食品。
【請求項11】
C-Cell分析で決定される、食品のスライスの総スライス面積に対するガス気泡の総面積が、45~55%の範囲から選択される、請求項1~
10のいずれかに記載の焼成食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼成食品の製造のための製造方法、焼成食品それ自体、及び焼成食品の製造のための焼成用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
低炭水化物及び又は高タンパク質の焼成食品は、当技術分野で公知である。欧州特許第0642737号明細書は、例えば、グルテン非含有小麦粉及び卵、並びに任意にベーキングパウダー及びパン酵母から製造されることを特徴とするグルテン非含有パンを記載している。
【0003】
米国特許出願公開第2006141126号明細書は、例えば、高タンパク質及び高繊維の食品、高タンパク質及び高繊維の食品を調製するための添加剤を記載し、高タンパク質及び高繊維の食品の作製方法を開示している。より詳細には、記載されている添加剤及び方法は、高タンパク質及び高繊維のパン製品を調製するのに有用であると考えられる。添加剤は、タンパク質及び/又は繊維、少なくとも1つの親水コロイド、油脂、及び水を含み、且つミネラル及び乳化剤を任意に含んでもよい。
【0004】
米国特許出願公開第2014161963号明細書は、タンパク質及び繊維の含有量が高く且つ脂肪及びカロリーの含有量が低い、0-正味炭水化物の用途の広い焼成用小麦粉を記載している。好ましい実施形態では、タンパク質及び繊維は、結合剤の存在下で共にブレンドされる。得られた0-正味炭水化物の焼成用小麦粉は、好ましくは天然甘味料をさらに含む。0-正味炭水化物小麦粉は、グルテン非含有であるように調製され得る。本文書では、用語「正味カーブ(net carb)」は、腸管で吸収され且つ消化され得る、特定の食物中の炭水化物の総量を表し、「0-正味炭水化物」とは、1/8若しくは1/4カップの小麦粉又は他の食物中の正味カーブの値が約ゼロ又はゼロ未満であることを意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】欧州特許第0642737号明細書
【文献】米国特許出願公開第2006141126号明細書
【文献】米国特許出願公開第2014161963号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
今日市販されている多くのグルテン非含有製品及び低炭水化物製品は、かなりの量の炭水化物を依然として含んでいることがある。他の現況技術の製品では、小麦粉は、ダイズの粉及び/又は単離物/濃縮物により少なくとも部分的に置き換えられてきた。さらに、現況技術の低炭水化物製品は、それらが模倣している高炭水化物製品の質感とは似ていない質感を有する。多くの消費者は、現況技術の高タンパク質/低炭水化物の焼成製品の構造的(質感的)及び/又は感覚的(感覚刺激的)な特性を好まない。
【0007】
したがって、本発明の一態様は、好ましくは上述の欠点のうち1又は2以上をさらに少なくとも部分的に取り除く代替食品及びそのような食品を製造する方法も提供することである。本発明のさらなる一態様は、特に本明細書に記載の焼成食品のための焼成用組成物を提供することである。本発明は、先行技術の不利な点のうち少なくとも1つを克服するか若しくは改良すること、又は有用な代替物を提供することを目的として有し得る。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第一の態様では、本発明は、タンパク質、(食物)繊維、水、任意に安定剤、及び任意で可消化炭水化物、特にデンプンを含む焼成食品(「食品」又は「製品」)を提供し、ここで焼成食品は、(食品の)乾物重量に基づいて少なくとも30wt%のタンパク質を特に含み、特にタンパク質の(食物)繊維に対する重量比は、0.75~4(0.75:1~4:1)の範囲で選択される。特に、食品は、(実質的に)グルテン非含有食品である(以下を参照されたい)。特にデンプンのような任意の可消化炭水化物の、タンパク質に対する重量比は、特に、((食品の)乾物重量に基づいて)0.2未満、例えば0.15以下など、特に0.1以下、例えば0.05以下など、0.025以下のような、特に0.02以下のような、例えばまたさらに特に0.015以下などである。焼成食品中の可消化炭水化物の量は、(焼成食品の総重量に対して)2.5wt%以下、特に1.5wt%以下であってもよい。
【発明を実施するための形態】
【0009】
用語「炭水化物」は、1つ、2つ又は複数の糖単位を含む有機化合物に関連し得る。そのような化合物は、可消化化合物(「可消化炭水化物」)、特に(単)糖類及びデンプン、並びに非消化化合物(「非消化炭水化物」)、特に繊維に分けることができる。食品は、特に低デンプン及び低糖の食品を含む。したがって、食品は、(食品の残りの部分、特にタンパク質の量に対して)低量の可消化炭水化物を含む低可消化炭水化物食品を含み得る。したがって、例えば「低炭水化物」又は「炭水化物のタンパク質に対する比」(若しくは繊維などの)語句に使用されるなどの用語「炭水化物」は、特に、「可消化炭水化物」、またさらに特にデンプン及び/又は糖(化合物)に関連し得る。(可消化)炭水化物はまた、2つ以上の(異なる)(可消化)炭水化物にも関連し得る。
【0010】
そのような食品は、類似の高炭水化物焼成食品に匹敵する外観及び感覚的特性を有する低炭水化物食品であり得る(と表される)。代替的に、そのような食品は、低可消化炭水化物食品と表されてもよい。そのような食品はまた、(現今)「低カーブ」食品としても知られている可能性がある。そのような製品は、かなりの量の可消化炭水化物、特にデンプン及び/又は糖を特に含む高(可消化)炭水化物製品の代替物として使用(消費)されてもよい。食品は、有利には食事と組み合わせてもよい。製品は、可消化炭水化物を実質的に含まず且つ最小量の脂肪を含み得る。1食事当たりのエネルギーは、大部分はタンパク質に由来し得る。さらに、製品中の繊維は、特に腸に関する健康上の利点をもたらすことができる。製品は、特に、高いタンパク質及び繊維の含有量のために、(知覚上の)満腹に関して好ましい効果を有し得る。さらに、製品はデンプンを含み得ないため、例えば、冷蔵庫での保存時に、老化変性に苦慮することがない可能性がある。製品は冷蔵庫に保存することができ、デンプン質材料から製造された同等の代替物より長い貯蔵寿命を有し得る。
【0011】
実施形態では、特にデンプンのような任意の可消化炭水化物の、タンパク質に対する重量比は、特に0.5以下、例えば0.1以下などである。実施形態では、前記重量比は0.05以下である。実施形態では、食品は、いかなる可消化炭水化物も実質的に含まない。特に、可消化炭水化物の量は、焼成食品の総重量に対して、0.01~2wt%、例えば0.01~1wt%などの範囲で選択されてもよい。実施形態では、焼成食品中の可消化炭水化物の量は、(焼成食品の総重量に対して)1.5wt%以下、特に1wt%以下である。さらなる実施形態では、乾物に基づく焼成食品中の可消化炭水化物の量は、(焼成食品の総乾物重量に対して)2wt%以下、特に1.5wt%である。実施形態では(可消化炭水化物が利用可能である場合)、可消化炭水化物のタンパク質に対する重量比は、(乾物重量に基づいて)0.05以下である。
【0012】
製品は、特に、現在市販されている製品から公知の異臭をなくし、消費者に好まれる香料をさらに含んでもよい。製品は、(本発明の食品により)模倣されている製品に対する長持ちする代替物として消費者に好まれ得る。特に、食品は、消費者による感覚的評価における総合的許容性に関して高スコアを有し得る。製品は、タンパク質及び繊維(並びに水)を本質的に含んでもよい。タンパク質の総重量は、繊維の総重量より大きくてもよい。また、他の実施形態では、タンパク質の総重量は、繊維の総重量より小さい。さらなる実施形態では、タンパク質の食物繊維に対する重量比は、0.75~3(0.75:1~3:1)の範囲、例えば0.85~3(0.85:1~3:1)などの範囲で選択される。実施形態では、前記比は1以上である。タンパク質の食物繊維に対する比は、実施形態では、(乾物重量に基づいて)1:1~2:1の範囲で選択されてもよい。
【0013】
一実施形態では、製品は、パン様の質感(構造)を含み得る(そのような製品はまた本明細書では「パン類似品」とも表される)。さらなる実施形態では、製品は、ケーキ様の質感を含み得る(「ケーキ類似品」)。また、他の実施形態では、製品は、クッキー様の質感(「クッキー類似品」)又はクラッカー様の質感(「クラッカー類似品」)を含み得る。したがって、一実施形態では、食品はパン類似品を含む。製品は、パン1塊及び/又はバン(bun)様の及び/又はロール様のパン製品を含み得る。さらなる実施形態では、食品はケーキ類似品を含む。また、さらなる実施形態では、食品は、クッキー類似品又はクラッカー類似品を含む。一実施形態では、食品は、メルバトースト類似品を含む。したがって、焼成食品は、パン、バン、(ロール)、クッキー、ケーキ、及びクラッカー(の類似品)からなる群から選択される食品を含み得る。一実施形態では、焼成食品はクッキーを含む(特に、クッキーである)。さらなる実施形態では、焼成食品はケーキを含む(ケーキである)。また別の実施形態では、食品はクラッカーを含む(クラッカーである)。
【0014】
特に、食品は、(食品の)乾物重量に基づいて、30wt%以上、例えば40wt%以上など、特に50wt%以上で選択される、例えば50~75wt%などの範囲で選択されるタンパク質の量を含む。実施形態では、食品は、乾物重量に基づいて、60wt%以下、例えば50wt%以下など、特に45wt%以下のタンパク質を含む。本明細書では、記載されるパーセントは、別段の指示がない限り又は文脈から明白でない限り(例えば特に焼成用組成物に関する(以下を参照されたい)など)、特に乾物に基づく。例えば、それは「総重量」に関連して記載され得る。特に焼成用組成物に関して、より低い頻度で食品に関して、総重量が参照される。「総重量」に対して、乾物又は乾燥重量のいかなる記載も伴わず記載されている場合、その重量は、特に、湿分/水を含む重量に関連する。例えば、「食品(又は焼成用組成物)の総重量に対して」は、特に、水又は湿分を含む食品(又は焼成用組成物)の重量に関連する。それと対照的に、例えば、「(食品の)総乾物重量に対して」又は「乾物に基づく(食品の)総重量」に対する場合、その重量は乾物に基づき、すなわち(食品中の)水又は湿分を除外している。
【0015】
さらに、原料の重量が、さらなる原料の重量に関連する場合、その重量は、例えば栄養価に関して通常行われるように、(重量が水性液体に関するものでない場合)特に乾物に基づく。したがって、「繊維の総重量」、「タンパク質の総重量」、「脂肪の総重量」、「安定剤の総重量」などにおける用語「重量」は、特に、原料の乾物に基づく重量に関連する。繊維、脂肪、タンパク質、及び安定剤は、したがって、特に湿分を含まない。
【0016】
用語「乾物重量」は、当業者に公知である。例えば「乾物重量に基づいて」、「乾物に基づいて」、及び「乾物重量に対して」におけるなどの用語「乾物重量」は、(食物)製品の総重量(決定された水の重量を含む)から、(食物)製品中の水の重量(決定された水の重量)を差し引いた重量に関連する。製品の乾物重量は、特に、例えば製品の(特に長時間にわたる)加熱(100℃超)によるなどの、実質的に全ての水を製品から除去した後の製品の総重量に等しい。特に、(食物)製品中の成分(又は成分の定義された組み合わせ)の量が乾物重量に関連する場合、成分の乾物重量は、(食物)製品(又は成分の定義された組み合わせ)の乾物重量に対して定義される。例えば、製品が、乾物重量に基づいて少なくとも30wt%のタンパク質を含む場合、タンパク質の乾物重量は、特に、焼成食品の総乾物重量の30%以上である。
【0017】
製品、及び焼成用組成物(さらに以下を参照されたい)はまた、異なるタンパク質(の混合物)を含んでもよい。製品は、例えば、特にアルブミンのような卵タンパク質を含んでもよい。製品は、例えばカゼイン及び/又はホエータンパク質などの乳タンパク質を含んでもよい。製品は(また)、例えば、豆タンパク質、ナッツタンパク質、及び種子タンパク質からなる群から、特にダイズタンパク質、エンドウタンパク質、及び米タンパク質からなる群から選択される1又は2以上の植物性タンパク質などの植物性タンパク質を含んでもよい。タンパク質は、藻類タンパク質又は菌類タンパク質をさらに含んでもよい。食品は、特にグルテン非含有食品である。本質的に、グルテン非含有食品は、(乾物重量に基づいて)例えば食品の2wt%未満など、特に食品の0.5wt%未満、またさらに特に食品の0.1wt%未満のように、(タンパク質である)グルテンを実質的に含まない。一実施形態では、食品はグルテンを含まない。さらなる実施形態では、食品中のグルテンの量は、食品の約0.001wt%である。
【0018】
本明細書では、タンパク質はまた、2つ以上の(異なる)タンパク質にも関連してもよい。特に、タンパク質は、アルブミンを含む。アルブミンは、良好な網目質感及び特に最小限の異臭ももたらすことができる。用語「アルブミン」は、特に卵白に関連する。
【0019】
実施形態では、タンパク質は、(タンパク質(複数可)の合計の)乾物重量に基づいて、20~100wt%の範囲で選択され、例えば30wt%~100wt%など、特に40wt%~100wt%、またさらに特に50wt%~100wt%の範囲で選択されるアルブミンを含む。実施形態では、(タンパク質(複数可)の合計の乾物重量に基づいて)タンパク質の少なくとも50wt%は、アルブミンからなる。実施形態では、タンパク質の実質的に全てはアルブミンである。したがって、実施形態では、焼成食品は、特に、(焼成食品の)乾物重量に基づいて、少なくとも30wt%、例えば少なくとも40wt%などのアルブミンを含んでもよい。製品は、植物性タンパク質をさらに含んでもよい。例えば、50wt%以下、例えば40wt%以下など、特に30wt%以下のタンパク質は、植物性タンパク質を含んでもよい。
【0020】
焼成食品は、特に食物繊維のような繊維をさらに含む。特に、食物繊維は、植物繊維及び果実繊維のうち1又は2以上を含む。繊維は、焼成用組成物中の湿分と結合することができ、ペースト、ゲル及び/又はスライムを含む焼成用組成物をもたらすことができる。繊維は、さらに焼成食品の質感に影響を及ぼし得る。実施形態では、繊維は、(乾燥)パン様の質感及び構造をもたらす。
【0021】
したがって、実施形態では、食物繊維は、特に、亜麻仁繊維、アサ繊維、サイリウム繊維、ニンジン繊維、オートムギ繊維、(赤)ビート(ビートの根)繊維、(ソラ)マメ繊維、及びカボチャ繊維からなる群から選択される植物繊維を含む。付加的に又は代替的に、食物繊維は、ライン種子繊維を含む。付加的に又は代替的に、食物繊維は、果実繊維、特に、柑橘類繊維、及びリンゴ繊維からなる群から選択される果実繊維を含む。果実繊維及び/又は植物繊維は、水と結合して膨潤し得る。それは、繊維の1グラム当たり例えば10~25グラムの水と結合し得る。果実及び/又は植物繊維は、冷水と接触した場合に膨潤することができ、「冷膨潤繊維」と表されることもある。付加的に又は代替的に、繊維は、フルクタン、特にイヌリンを含んでもよい。
【0022】
本明細書では、用語「イヌリン」はまた、「イヌリン誘導体」及び/又はイヌリンを含む化合物、例えば(イヌリンに次ぐ)付加的な原料を含む市販のイヌリン製品などにも関連し得る。イヌリンは、特にオリゴ糖に関連し得る。さらに、用語「イヌリン」は、特に、イヌリン繊維に関連する。イヌリン誘導体の例は、(少なくとも10個の単糖の鎖長を含む)長鎖イヌリンに由来する(特に2~10個の単糖鎖を含む)短鎖オリゴ糖である。長鎖イヌリンは、(短鎖オリゴ糖を含む)短鎖イヌリンにと比較して質感付与機能の改善をもたらすことができる。長鎖イヌリンは、「より崩れにくい」質感をもたらすことができ;それは焼成食品に、(「さくさくした」、より砕け易く、ショートブレッド(又はビスケット)様の質感におけるような質感と比較して)パン様の質感をもたらすことができる。イヌリンは、特に質感付与(繊維)である。イヌリンは、質感付与機能をもたらすために剪断が必要な場合がある。
【0023】
一実施形態では、食物繊維は、柑橘類繊維及びイヌリンのうち1又は2以上を含む。さらなる実施形態では、食物繊維は、焼成食品の乾物重量に基づいて、15~25wt%の量で利用可能である。さらに、例えば高分量の繊維を含むような天然の植物源は、繊維をもたらすことができる。例えば、チコリ、アガーベ、又は(野生)ヤムイモは、(イヌリン)繊維をもたらすために使用され得る。さらに、実施形態は、繊維をもたらすサイリウム種子及び/又はアマの種子(亜麻仁としても知られる)を含み得る(以下も参照されたい)。本明細書では、用語「亜麻仁」及び「アマの種子」は、互換的に使用され得る。したがって、実施形態では、焼成食品は亜麻仁をさらに含む。したがって、繊維は、特に、亜麻仁繊維及び/又はサイリウム繊維(若しくは穀皮)及び/又はアサ繊維を含む。特に穀皮は繊維をもたらすことができる。
【0024】
(食物)繊維は、可溶性(食物)繊維及び/又は不溶性(食物)繊維を含み得る。不溶性(食物)繊維の可溶性(食物)繊維に対する比は、繊維の機能性に関連し得る。繊維は、例えば(焼成食品中に)堅いタンパク質構造をもたらす(生じる)ことができる。繊維は、食品の所望の構造/質感をもたらす(又は規定する)ためにさらに使用され得る。繊維は、弾力のあるパン様の構造をもたらすことができる。繊維(の添加)は、食品のパン様の質感をもたらすことができ、特に、繊維を含まない(又は非常に少ない繊維を含む)食品は、卵様の質感を含み得る。(繊維の総重量に対して)少なくとも25wt%、例えば少なくとも35wt%など、特に少なくとも50wt%の食物繊維は、不溶性食物繊維を含んでもよい。さらなる実施形態では、不溶性繊維の(重量)分率は、(食物)繊維の総重量(特に繊維の総乾燥重量)に対して、40wt%以上、例えば60wt%以上など、特に89wt%以上である。またさらなる実施形態では、実質的に全ての食物繊維は、不溶性食物繊維からなる。また、他の実施形態では、実質的に全ての食物繊維は、可溶性食物繊維からなる。したがって、実施形態では、繊維の総重量に対して、少なくとも25wt%、例えば少なくとも35wt%など、特に少なくとも40wt%の食物繊維は、不溶性食物繊維を含む(からなる)。不溶性繊維は、例えば、全粒小麦、トウモロコシふすま、ナッツ、種子、オオムギ、玄米、ブルグァ、クスクス、ズッキーニ、ブロッコリ、キャベツ、タマネギ、トマト、根菜類及び緑葉野菜類中に見出され得る。可溶性繊維は、例えば、オートムギふすま、オートムギ、亜麻仁、ナッツ、サイリウム、レンズマメ、マメ、エンドウ、リンゴ、オレンジ、セイヨウナシ、イチゴ、キュウリ、セロリ、チコリ、及びニンジン中に見出され得る。
【0025】
一部の可溶性繊維、同様に一部の不溶性繊維は、腸内の細菌により消化され(発酵させられ)得る。この違いに基づいて、繊維間のさらなる分離を行うことができる。繊維は、実施形態では、(大腸中で繊維の発酵が可能な)発酵性の繊維を含み得るか、又は繊維は発酵性でなくても、若しくは一部発酵性であってもよい。特定の実施形態では、繊維は発酵性である。発酵性の繊維は、特に、プレバイオティックな繊維を含み、健康な腸内細菌叢をもたらし得る。フルクタンは、可溶性の発酵性繊維の一例である。
【0026】
本明細書では、(食物)繊維はまた、2つ以上(の種類)の(異なる)(食物)繊維にも関連し得る。繊維は、高い水結合機能性をもたらす繊維、特に冷膨潤繊維、及び質感付与繊維の組み合わせを含み得る。実質的に冷膨潤繊維のみを含む焼成用組成物を焼成することにより、堅く締まった焼成食品がもたらされ得る。実質的に質感付与繊維のみを含む焼成用組成物を焼成することにより、(非常に)空気を含み且つ容積拡大した焼成食品がもたらされ得る。実施形態では、(約)50%の繊維は冷膨潤繊維であり、且つ(約)50%の繊維は質感付与繊維である。さらなる実施形態では、この比は、60:40、又は10:90でさえある。特に、冷膨潤繊維の、質感付与繊維に対する比は、10:90~90:10、例えば25:75~75:25など、特に40:60~60:40、またさらに特に45:55~55:45の範囲から選択される。さらなる実施形態では、製品は、繊維を含む亜麻仁を含む。
【0027】
食品は、安定剤を含んでもよい。安定剤は、特に食品を作製する過程に、食品のマトリックスの構造を安定化するか又は安定化を促進することができる(以下も参照されたい)。用語「安定剤」は、「向上剤」にも関連し得る。安定剤の例は、乳化剤、クラム軟化剤、及び酵素である。クラム軟化剤又は(パン)向上剤は、脂肪酸(誘導体)及び/又は乳化剤を含んでもよい。クラム軟化剤又は向上剤は、脂肪及び/又は油脂を(さらに)含んでもよい。安定剤は、食品(の構造)を(さらに)保存することができる。安定剤は、例えば、製品における変質プロセス及び/又は食品の老化を遅らせることができる。さらなる実施形態では、安定剤は、製品の製造過程に、製品の容積拡大中にマトリックスを強化する。特に、安定剤は、製品の製造中に、特に膨らし中に、マトリックス材料(焼成される焼成用組成物)の気泡構造を安定化することができる。特に乳化剤のような安定剤は、焼成用組成物全体にわたり、脂肪及び油脂の均質分布を提供し得る(以下を参照されたい)。このために、特に乳化剤のような安定剤は、脂肪及び/又は油脂と、特に例えば繊維及び/又はタンパク質などの焼成用組成物中のさらなる要素と結びつくことができる。安定剤は、(食品中及び食品の製造中に)タンパク質網目の質感特性に作用する機能性のために選択されてもよい。安定剤は、食品の製造中に、粘弾性的特性を改善することができる。安定剤は、特に低い嵩密度(bulk density)を有する、空気を含む食品(airy food)を提供することができる。安定剤は、特に、乳化剤を含む。食品のある体積及びある質量を有する食品の嵩密度は、質量の体積に対する比として定義される。食品の嵩密度は、食品の比体積に反比例する。さらに、食品は、(その構造全体にわたり)均質に分布する(ガス)気泡(バブル)を有し得る均質構造(クラム)を含み得る。
【0028】
実施形態では、安定剤は親水コロイドを含む。親水コロイドは当技術分野で公知であり、ガムと呼ばれることもある。親水コロイドの例は、アルギン酸塩、アラビノキシラン、カラゲナン、カルボキシメチルセルロース(CMC)、セルロース、ゼラチン、ジェラン、(β-)グルカン、グアーガム、アラビアガム(gum Arabic)(アカシアガム又はアラビアガム(Arabic gum))、ローカストビーンガム(LBG)、ペクチン、及びキサンタン(ガム)である。特に、安定剤は、グアーガム、カラゲナン(カッパ、イオタ及び/又はラムダカラゲナン)、並びにキサンタンガムからなる群から選択される親水コロイドを含む。実施形態では、安定剤はキサンタンガムを含む。安定剤は、2つ以上の(異なる)安定剤に関連し得る。利用可能な場合、安定剤は、食品の乾物重量に対して、特に少なくとも0.1wt%、例えば少なくとも0.2wt%、特に少なくとも0.5wt%の量で利用可能であり得る。安定剤は、特に、食品の乾物重量に対して、7.5wt%以下、特に6wt%、例えば5wt%以下など、特に3wt%以下、例えば2wt%以下などの量で利用可能であり得る。一実施形態では、安定剤は、焼成食品の乾物重量に関して、0.5~7.5wt%、特に0.5~2wt%の量で利用可能である。
【0029】
さらなる実施形態では、安定剤は、レシチン(E322)、グリセリン(E422)、脂肪酸のモノ-及びジ-グリセリド(のエステル)(例えばモノ-及びジ-グリセリド(E471)、モノ-及びジ-グリセリドの酢酸エステル(E472a)、モノ-及びジ-グリセリドの乳酸エステル(E472b)、モノ-及びジ-グリセリドのクエン酸エステル(E472c)、モノ-及びジ-グリセリドの酒石酸エステル(E472d)、モノ-及びジ-グリセリドのジアセチル酒石酸エステル(E472e)、並びにモノ-及びジ-グリセリドの混合エステル(E472f)、ステアロイル乳酸ナトリウム又はカルシウム(E481、E482)、並びにモノステアリン酸ソルビタン(E491)からなる群から選択される、1又は2以上の安定剤、特に乳化剤を含む。これらの乳化剤は、通常のパン配合物から公知であり得る。例えば、モノステアリン酸グリセリン(又はGMS)(E471)は、典型的には、通常の小麦デンプンパンに適用されて、焼成中に、デンプンの老化を遅らせ、且つデンプンのアミロース画分と結合する。本明細書では、E471は、特に、GMSに関連し得る。脂肪酸のモノ-及びジ-グリセリドのジアセチル化酒石酸エステル(E472e)は、水和グルテンに迅速に結合し、それによって、より強く且つより弾力のあるグルテン網目をもたらし、ガス保持を促進すると考えられる。ステアロイル-2-乳酸ナトリウム(E482)もまた、モノグリセリド様のアミロースに結合することができ、且つ小麦含有パンの特別の柔らかさをもたらし得る。レシチン(E322)は、例えば、そのパリパリした品質をより長く保持するクラストをもたらすために、適用され得る。これらの乳化剤の多くは、典型的には、通常の(小麦)パン中の小麦成分に機能し、且つ結びつくと考えられるけれども、本発明者らは、乳化剤はまた、小麦又はデンプンを添加することなく、本発明の食品の品質を改善し得ることを驚いたことに見出した。乳化剤を効率的に使用し且つ特に大部分の乳化剤を脂肪又は油脂と結びけるために、乳化剤は、製品の製造方法の前又はその間に、脂肪及び/又は油脂中で混合され、特に均質化され得る。
【0030】
特定の実施形態では、特に乳化剤のような安定剤は、脂肪酸のモノ-及びジ-グリセリド(E471)並びにモノ-及びジ-グリセリドのジアセチル酒石酸エステル(E472e)からなる群から選択される1又は2以上の安定剤を含む。さらなる実施形態では、特に乳化剤のような安定剤は、レシチン(E322)、脂肪酸のモノ-及びジ-グリセリド、特にモノステアリン酸グリセリン(E471)、モノ-及びジ-グリセリドのジアセチル酒石酸エステル(E472e)、ステアロイル乳酸カルシウム(E482)、並びにモノステアリン酸ソルビタン(E491)からなる群から選択される1又は2以上の安定剤(乳化剤)を含む。
【0031】
焼成食品は、塩をさらに含んでもよい。塩は、食品の感覚的パラメータに影響を及ぼし得る。塩は(また)、食品の質感的特性に影響を及ぼし得る。特に、焼成用組成物中に含まれる塩(以下を参照されたい)は、食品の焼成方法に影響を及ぼし得る(さらに以下を参照されたい)。特に、塩の量は、焼成食品の総重量に対して、0~4wt%、少なくとも0.1wt%のような、例えば特に0.1~2.5wt%などの範囲で選択される。また、さらなる実施形態では、塩の量は、焼成食品の総重量に対して、0~0.4wt%の範囲で選択される。実施形態では、塩の量は、食品の総乾物重量に対して、0~10wt%、例えば0~2wt%など、特に、0.3~2wt%の範囲で選択されてもよい。塩は、焼成用組成物に、食卓塩又は食塩(NaCl)として提供されてもよい。塩はまた、少なくともナトリウムの部分が、例えばカリウムなどの別の陽イオンにより置換されているか、又は塩化ナトリウムが例えば硫酸マグネシウムにより置き換えられている塩として提供されてもよい。また他の実施形態では、塩は存在しないか、又は塩は、例えば加水分解された植物性タンパク質(HPV,hydrolyzed vegetable protein)、醤油、酵母エキス、(乾燥)ブロスなどの代替の味増強剤により提供される。したがって、食品はまた、1又は2以上の(これらの)味増強剤を含んでもよい。食品の一部の実施形態では硬く、一方、他の実施形態では柔らかくしっとりとしているか又はジューシーであることが、(消費者により)さらに評価され得る。実施形態では、食品は、脂質、特に脂肪、またさらに特に油脂をさらに含んでもよい。実施形態では、脂肪は、例えば植物種子及び/又はナッツからなどの植物油を含む。脂肪は、ヤシ油、ココナッツ油、及び/又はナタネ油を含み得る。脂肪は、バター及び/又は(硬質)マーガリンを含み得る。さらなる実施形態では、脂肪は、オリーブ油、ヒマワリ油、大豆油、ラッカセイ油、及び/又はゴマ油を含む。実施形態では、油脂又は脂肪は水素化されている。したがって、一実施形態では、焼成食品は、油脂又は脂肪をさらに含む。特定の実施形態では、油脂又は脂肪は、バター、ヤシ油、ココナッツ油、及びナタネ油のうち1又は2以上を含む。
【0032】
用語「油脂」及び「脂肪」は、(脂肪酸を含む)同じ(食物)製品に関連し得る。用語「油脂」は、室温で液体である製品に関連し得るものであり、一方、「脂肪」は室温で固体であるか、又は流動し得ない(そのような)製品に関連し得る。特に、脂肪及び/又は油脂は、ジューシーな食品を提供し得る。実施形態では、油脂又は脂肪の量は、食品の乾物重量に対して、0~2wt%の範囲で選択されてもよい。さらなる実施形態では、脂肪の量は、乾物重量に基づいて、0.1wt%以上、例えば0.2wt%以上など、特に1wt%以上、またさらに特に2wt%以上である。特に、脂肪の量は、食品の乾物重量に基づいて、7.5wt%以下であってもよい。したがって、一実施形態では、焼成食品は、乾物重量に基づいて、0~7.5wt%、特に0~2wt%の範囲で選択される油脂又は脂肪を(さらに)含む。さらなる実施形態では、焼成食品中の油脂又は脂肪の量は、乾物重量に関して、2wt%以上、特に7.5wt%以上、さらに特に15wt%以上である。特に、食品中の脂肪又は油脂の量は、乾物重量に基づいて、37.5wt%以下、特に15wt%以下である。本明細書では、用語「油脂」及び「脂肪」はまた、互換的に使用され得る。したがって、実施形態では、用語「油脂又は脂肪」は、用語「脂肪」と置き換えてもよい。用語「脂肪」及び「油脂」は、複数の(異なる)脂肪及び/又は油脂に関連し得る。該用語は、異なる脂肪及び/又は油脂の混合物にさらに関連し得る。一実施形態では、油脂及び/又は脂肪は、焼成食品の乾物重量に基づいて、0.2~7.5wt%の量で利用可能である。
【0033】
脂肪又は油脂は(また)、食品中の(他の)原料により提供されてもよい。例えば、種子は、ある量の脂肪を焼成食品(又は焼成用組成物、以下も参照されたい)に提供し得る。一実施形態では、食品(及び/又は焼成用組成物)は、特に(少なくとも一部の)脂肪を含む植物種子を含む。一実施形態では、例えばクラム軟化剤などの安定剤は、少なくとも一部の脂肪を含んでもよい。安定剤は、脂肪中で均質化した乳化剤をさらに含んでもよい。さらなる実施形態では、食品は、特に(少なくとも一部の)脂肪を含むナッツを含む。植物種子及びナッツなどの天然原料は、食品(及び焼成用組成物、以下を参照されたい)の2つ以上の要素を含み得る。例えば、亜麻仁は食物繊維及び脂肪も含み得る。したがって、食品(及び焼成用組成物)は、特に、繊維及び/又は脂肪及び/又はタンパク質及び/又は(可消化)炭水化物を含む天然物(種子、ナッツ、チーズ、スパイス、及び薬草)を含み得る。
【0034】
焼成食品は、さらなる原料をさらに含んでもよい。これらのさらなる原料の例は、(付加的)甘味剤、香料及び味増強剤である。食品は、糖、(転化)液糖、ハチミツなどのような甘味剤を含んでもよい。そのような甘味剤は(また)、可消化炭水化物を含んでもよい。甘味剤は、ステビア及び/又は例えばスクラロースなどの人工甘味料又は当業者に公知の他の甘味料をさらに含み得る。焼成用組成物は糖を含んでもよい。焼成食品は、実質的に糖を含まなくてもよい。食品は、着香料を含んでもよい。特にケーキ類似品、クッキー類似品、又はクラッカー類似品は、1又は2以上のさらなる原料を含んでもよい。実施形態では、パン様の食品は(また)、1又は2以上のさらなる原料を含む。さらなる原料は(また)、脂肪及び/又は油脂を含んでもよい。
【0035】
特に、焼成食品は、特にパンのような構造及び特に(また)感覚的特性を有するパン様の食品を含む。食品は、例えばパンの多孔度に匹敵する多孔度を有し得る。実施形態では、食品の多孔度は、少なくとも30(体積)%、例えば少なくとも50(体積)%など、特に少なくとも60(体積)%、またさらに特に少なくとも70(体積)%である。特に、多孔度は、95(体積)%以下、例えば90(体積)%以下などであってもよい。実施形態では、食品は、パン様の製品を含み、その多孔度は、50~90(体積)%、例えば60~90(体積)%などの範囲で選択される。またクッキーを含む食品の実施形態では、その多孔度は、30~60(体積)%、特に50~60(体積)%の範囲で選択されてもよい。用語「多孔度」は、食品の空隙率、特に食品の総体積にわたる空隙(ガス)の体積の分率に関連する。多孔度は、特に、パン様の食品のクラムに関連し得る。一実施形態では、食品の体積の、焼成用組成物の体積(以下を参照されたい)に対する、特に焼成用組成物中の全ての原料の合計の体積(存在する可能なガスを除く)に対する比は、2~4の範囲で選択される。特に前記比は、2.5~3.5の範囲で選択される。第1の体積を含む(まだ昇温されていない)食品組成物は、例えば、焼成用組成物を食品に加工した後に第2の体積を含む食品を提供することができ、第2の体積は、例えば第1の体積の約3倍、例えば第1の体積の2~4倍など、特に第1の体積の2.5~3.5倍を構成し得る。さらなる実施形態では、第2の体積は、第1の体積の約1.1~2倍、例えば第1の体積の1.1~1.5倍などを構成する。第2の体積と第1の体積の間の差異は、特に、食品中のガス又は空隙の体積であり得る。その差異は、さらに、食品製造における、焼成用組成物の加熱中の、水の量の損失の結果であり得る。前記差異は、特に、食品の多孔度に関連し得る。用語「焼成用組成物を食品に加工すること」は、特に本明細書に記載の方法に基づいて、特に、焼成用組成物から焼成食品を製造することに関連する(さらに以下を参照されたい)。
【0036】
開孔を有する食品(例えば本明細書に記載の製品など)の多孔度の決定のために、製品の嵩密度(及び/又は嵩体積)(細孔を含む製品の密度又は体積)と、製品の真性密度、すなわち細孔を除いた製品の密度(又は体積)の間の差異に基づいて、当業者に公知の標準的方法が使用される。嵩密度(又は体積)は、(ナタネ種子)置換方法により決定され得る。細孔の(又は細孔を除いた製品の)真性密度及び/又は体積は、例えばボイルの法則ポロシメータを使用して、ガス容積拡大法により決定され得る。
【0037】
食品は、湿分、特にある量の水をさらに含んでもよい。水の量(湿分含有量)は(また)、決定された種類の食品を模倣して選択され得る。これは、食品の湿分含有量が、それが模倣する製品の湿分含有量と同じ範囲であることを必ずしも意味するわけではない。デンプン及びグルテンタンパク質を、1又は2以上の他のタンパク質及び繊維で置き換えることにより、より高い湿分含有量が有利に使用され、それが模倣する製品に匹敵する質感及び/又は感覚的特性を得ることができることを驚いたことに見出した。例えば、パン様の製品を含む食品は、40~75wt%、例えば50~75wt%など、特に55~70wt%の範囲で選択される湿分含有量を含んでもよい。実施形態では、パン様の製品を含む食品は、少なくとも40wt%、特に少なくとも45wt%の水を含む。さらなる実施形態では、パン様の食品は、60wt%以下、例えば55wt%以下などの水を含む。また、パンは、35~40wt%の湿分を含み得る。実施形態では、食品は、(焼成食品の総重量に対して)60~70wt%の範囲で選択される湿分含有量(水分量)を含む。特に、湿分(含有量)は、液体、特に水(水溶液中の水を含む)に関連する。
【0038】
さらなる実施形態では、(食品中の)(平均)湿分含有量は、(全て、食品の総重量に対して)少なくとも25wt%、例えば少なくとも30wt%など、またさらに特に少なくとも35wt%であってもよい。(平均)湿分含有量は、実施形態では、(食品の総重量に対して)60wt%以下、例えば50wt%以下など、特に40wt%以下であってもよい。
【0039】
特にパン様の製品を含む一実施形態では、湿分含有量は、焼成食品の総重量に対して、55~70wt%の範囲、特に60~70wt%の範囲で選択される。また、パン様の製品を含む別の実施形態では、湿分含有量は、焼成食品の総重量に対して、40~60wt%、特に45~55wt%の範囲から選択される。また、食品のさらなる実施形態では、湿分含有量は、10~30wt%の範囲で選択される。(相対的に乾燥した)クラスト及び相対的に湿ったクラム又は中心部を含む製品に関して、湿分含有量は、製品全体で変化し得る。したがって、本明細書では、湿分含有量は、特に、平均湿分含有量に関連する。本明細書における平均含有量及び平均パーセントは、特に、体積平均含有量又は体積平均パーセントに関連する。平均値は、さらに、重量平均値に関連し得る。
【0040】
パン様の製品は、パンの気泡構造と類似している気泡構造をさらに含み得る。例えば、パン様の製品(パン類似品)のクラムの平均気泡直径は、(通常の)パンの平均気泡直径に対して、0.2~2、特に0.5~1.125の範囲で選択される。平均気泡直径は、特に、0.1mm~8mm、例えば0.1mm~4mmなど、特に0.2~2mmの範囲であってもよい。パン類似品はまた、約1.5cmの気泡直径を有する1又は2以上の気泡を含み得る。一実施形態では、気泡数の少なくとも90%は、0.1~1mmの範囲の気泡直径を含む。別の実施形態では、気泡数の少なくとも90%は、1~3mmの範囲の気泡直径を含む。パン様の製品に関して、平均気泡直径は、1mm以上、例えば2mm以上など、特に5mm以下、例えば4mm以下などであってもよい。さらなる実施形態では、平均気泡直径は、1.5~3mmの範囲から選択される。
【0041】
付加的に又は代替的に、食品(パン類似品)の(スライスの)1cm2当たりの(ガス)気泡数は、パンの(スライスの)1cm2当たりの(ガス)気泡数に対して、0.25~4、特に0.5~2の範囲であってもよい。さらなる実施形態では、1cm2当たりの(ガス)気泡数は、50~150の範囲、特に50~100の範囲から選択される。また、(食品中の(ガス)気泡の)気泡壁の平均幅は、(小麦)デンプン及びグルテンを含む(通常の)パン、特に(通常の)白パンにおける平均幅に匹敵し得る(さらに以下を参照されたい)。気泡壁の平均幅は、例えば0.7mm以下、特に0.6mm以下であってもよい。気泡壁の平均幅は、特に少なくとも0.3mm、例えば少なくとも0.4mmなどである。付加的に又は代替的に、食品(パン類似品)の(ガス)気泡の平均気泡体積は、パンの(ガス)気泡の平均気泡の体積に対して、0.25~4、特に0.5~2の範囲であってもよい。実施形態では、(食品中のガス気泡の)平均気泡体積は、少なくとも4.5mm3である。平均気泡体積は、特に15以下、例えば10mm3などであってもよい。平均気泡体積は、例えば、4~8、例えば5~8mm3など、特に5~7mm3の範囲から選択されてもよい。また、食品の気泡の(平均)伸びは、パンの伸びに匹敵し得る。気泡の平均伸びは、例えば、2以下、例えば1.8以下などであってもよい。平均伸びは、特に少なくとも1、例えば少なくとも1.4などである。実施形態では、食品の気泡の平均伸びは、1.3~1.8、例えば1.4~1.7など、特に1.5~1.7の範囲から選択される。付加的に且つ代替的に、食品のスライスの総面積に対する(ガス)気泡の総面積(スライス面積当たりの気泡の比又は気泡-総面積比としても表される)は、パンのスライスの総面積に対して、50%~200%、特に75~125%の(ガス)気泡の総面積であってもよい。気泡の総面積(の比)は、(該食品のスライスの)総スライス面積に対して、例えば(該食品のスライスの総面積の)40~60%、例えば45~55%など、特に48~52%の範囲から選択されてもよい。したがって、一実施形態では、焼成食品はパン様の食品を含み、食品のスライスの総スライス面積に対する(ガス)気泡の総面積(C-Cell分析で決定される)は、40~60%の範囲、特に45~55%の範囲から、例えば48~52%の範囲などから選択される。
【0042】
用語「(ガス)気泡数」、「気泡直径」、「気泡壁厚さ」、「伸び」、「気泡体積」、及び「気泡面積」は当業者に公知であり、例えばAmerican Association of Cereal Chemist協会の、方法10-18.01によりさらに記載されている。これらの値は、方法AACCI 10-18.01に記載されるように、C-Cell(装置/分析)を用いて決定することができ、該記載の最後の「さらなる実験」項もまた参照されたい。測定に関して、製品のスライスをC-Cellで分析する。特に、スライスの切断面を分析する。したがって、用語「スライス面積」は、特にクラムを含む(且つクラストを除外する)スライスの(切断)面の総面積に関連する。その上、スライス面積当たりの気泡の比は、製品の比体積に関連し得る。特に、スライス面積当たりの気泡の比は、製品の多孔度と直接に相関し得る。したがって、食品の多孔度と、それが模倣し得るパンなどの製品の多孔度とを比較することは、食品のスライス面積当たりの気泡の比と、それが模倣し得る製品のスライス当たりの気泡の比とを比較することに関連し得る。
【0043】
(ガス)気泡、特に(平均)気泡直径、気泡数、気泡壁厚さ、平均気泡体積、及び気泡面積は、焼成用組成物から焼成食品を製造する方法により制御され得る(以下も参照されたい)。例えば、(平均)気泡直径及び/又は他の気泡寸法は、焼成用組成物中で又は発酵期間に使用される膨張剤により制御され得る(以下も参照されたい)。
【0044】
(平均)気泡直径は、特に、焼成食品を製造する方法の方法条件の相関的要素として選択され得る(以下を参照されたい)。
【0045】
平均気泡直径は、相当直径に関連する。平均気泡直径は、気泡当たりの平均(表)面積からさらに算出することができ、ここで、気泡当たりの平均面積は、食品のスライス中の気泡の総面積を、スライス中の気泡の総数で除したものとして定義され得る。特に、平均気泡直径は、2×(気泡当たりの前記平均面積/π)1/2に等しい。
【0046】
本明細書では、用語「(ガス)気泡」は、特にクラム気泡に関連する。
【0047】
パン様の製品は(また)、(製造後24時間内に測定した場合)それぞれ、パンのクラスト及び/若しくはクラムの硬度、並びに/又はクラムの弾力若しくは緩和に匹敵する、クラスト及び/若しくはクラムの硬度若しくは圧縮率、並びに/又はクラム(及び/若しくはクラスト)の弾力若しくは緩和(弾力性)を有し得る。したがって、パン様の食品のクラストの硬度及び/又はクラムの硬度/圧縮率(例えば、N又はグラム力で測定)は、パンのクラスト及び/又はクラムの硬度に対して、0.5~2、特に0.8~1.125の範囲であってもよい。実施形態では、パン様の製品のクラストの硬度は、パンのクラストの硬度より低い。実施形態では、パン様の食品のクラストの硬度は、パンのクラストの硬度に対して、0.9以下、特に少なくとも0.1、例えば少なくとも0.25などである。実施形態では、パン様の製品のクラムの硬度(又は圧縮率)は、パンのクラムの硬度より高い。実施形態では、パン様の食品のクラムの硬度(圧縮率)(質感分析器によりグラム力で測定され、以下の実験の項も参照されたい)は、パンのクラムの硬度に対して、少なくとも0.75、例えば少なくとも1など、特に少なくとも1.5、特に3以下である。また、パン様の食品のクラム(及び/又はクラスト)の弾力又は緩和のパーセント(例えば、レオメータ又は質感分析器により決定)は、パンのクラム(及び/又はクラスト)の弾力又は緩和のパーセントに対して、0.5~2、特に0.8~1.125の範囲であってもよい。実施形態では、パン様の食品のクラストの弾力又は緩和のパーセントは、パンのクラストの弾力に対して、0.5~0.8の範囲であってもよい。本明細書では、例えば「パンの弾力」「パンの平均気泡直径」などの語句におけるなどの「パン」の特性は、特に、平均型のパン、特に「フロアブロート(vloerbrood)」、「バスブロート(busbrood)」、「カジノブロート(casinobrood)」、「プラートブロート(plaatbrood)」系の全粒パン又は小麦パンなどのダッチ系のパンに関する値に関連し、「さらなる実験」の項に記載のパンも参照されたい。例えば硬度、弾力、緩和などの質感的特性は、特に、製造後24時間内に決定され、決定の詳細を説明している「さらなる実験」の項も参照されたい。特に市販のパンのような製品は、早く品質が低下するおそれがあり、したがって、製造の2日又は3日後の測定は、質感的パラメータに関して、完全に異なる値を示すことがある。特に、パン様の製品がそれほど早く品質が低下することはなく、本発明のパン様の製品の質感的特性は製造後の日々中にそれほど大きく変化しえないため、市販の(特に小麦デンプン含有)パンと、パン様の製品の間の差異は、これらの日々の間に大きくなり得る。これは、特に、(本発明の食品中に存在しない)市販のパンのデンプン質マトリックスが老化変性を受けることがあるために起因し得る。
【0048】
さらなる態様では、本発明は、焼成食品、特に本明細書に記載の焼成食物を製造する方法を提供する。方法は、繊維、タンパク質、水、並びに特に任意の膨張剤及び/又は任意の安定剤、並びに任意のさらなる原料を含む焼成用組成物(「組成物」)を加熱することを含み、食品を提供する。焼成用組成物は、(加熱、特に焼成した場合)食品より多量の水を本質的に含む。実施形態では、焼成用組成物は、焼成用組成物の総重量に対して、少なくとも40wt%の水分量を含む。特に、水分量は、組成物の重量に対して、少なくとも50wt%、特に少なくとも55wt%、例えば少なくとも60wt%などである。さらなる実施形態では、(組成物中の)水分量は、(組成物の総重量に対して)75wt%以下、特に72.5wt%以下、またさらに特に70wt%以下である。実施形態では、水分量は、焼成用組成物の総重量に対して、60~75wt%、例えば60~72.5wt%などの範囲で選択される。他の実施形態では、水分量は、焼成用組成物の総重量に対して、50~70wt%、特に55~70wt%、特に57~68wt%、例えば58~67wt%などの範囲で選択される。
【0049】
焼成用組成物は(したがって、方法もまた)、特に、本明細書に記載のタンパク質を含む。実施形態では、タンパク質の量は、組成物の総重量に対して、少なくとも10wt%、例えば少なくとも12.5wt%など、特に少なくとも15wt%である。実施形態では、タンパク質の量は、組成物の総重量に対して、35wt%以下、特に30wt%以下、例えば25wt%以下又は20wt%以下などである。特に、タンパク質の量は、組成物の総重量(湿分を含む)に対して、12~22.5wt%、特に12~20wt%の範囲で選択される。実施形態では、特にタンパク質を提供するために、焼成用組成物にタンパク質含有粉末(「タンパク質粉末」)を提供してもよい。タンパク質含有粉末は、例えば、タンパク質単離物又はタンパク質濃縮物を含んでもよい。タンパク質含有粉末は、特に、少なくとも一部のタンパク質を含む。付加的に、タンパク質含有粉末は、例えば充填物質、炭水化物、脂肪、固化防止剤、ミネラル、ビタミン、「灰分」などのさらなる要素を含んでもよい。実施形態では、焼成用組成物は、0~15wt%、例えば0~7.5wt%などの脂肪を含む。
【0050】
焼成用組成物は、バッターに関連し得る。他の実施形態では、焼成用組成物は、生地に関連する。特に、焼成用組成物はバッターを含む。
【0051】
焼成用組成物は、特に、本明細書に記載の繊維をさらに含む。一実施形態では、(焼成用組成物中の)繊維量は、(湿分を含む)組成物の総重量に対して、少なくとも4wt%、例えば少なくとも5wt%など、特に少なくとも7.5wt%である。さらなる実施形態では、(組成物中の)繊維量は、組成物の総重量に対して、25wt%以下、特に20wt%以下、例えば17.5wt%以下又は16wt%以下などである。特に、(組成物中の)繊維量は、焼成用組成物の総重量に対して、5~20wt%、特に5~17.5wt%、例えば5~16wt%などの範囲で選択される。さらなる実施形態では、繊維量は、焼成用組成物の総重量に対して、7.5~20wt%、特に7.5~15wt%、例えば8~12wt%などの範囲で選択される。
【0052】
本明細書では、繊維はまた、2つ以上の(異なる)繊維にも関連し得る。特に、繊維は食物繊維を含む。一実施形態では、焼成用組成物は、(繊維及び任意の脂質を含む)亜麻仁を含む。さらなる実施形態では、焼成用組成物は、焼成用組成物の総重量に対して、0.01~5wt%、例えば0.01~4wt%など、特に0.01~2.5wt%の範囲で選択される亜麻仁量を含む。本明細書では、亜麻仁はまた、亜麻仁穀粉又は粉砕した亜麻仁にも関連し得る。さらなる実施形態では、焼成用組成物は、柑橘類繊維を含む。特に、焼成用組成物は、焼成用組成物の総重量に対して、0~15wt%、例えば0~10wt%など、特に5~10wt%の範囲で選択される柑橘類繊維量を含む。またさらなる実施形態では、焼成用組成物は、イヌリンを含んでもよい。特に、焼成用組成物は、焼成用組成物の総重量に対して、0~15wt%、例えば0~10wt%など、特に5~10wt%の範囲で選択されるイヌリン量を含む。
【0053】
焼成用組成物は、膨張剤をさらに含んでもよい。膨張剤は、当技術分野で公知であり、「膨らし剤」と呼ばれることもあり、特に二酸化炭素及び/又は時には水素若しくは別のガスのような特にガスの形成のために、ちょうど良いときに及び又は昇温時に、焼成用組成物を膨らせることができる。膨張剤は、例えば、(ドライ又は生)パン酵母(「酵母」)、ベーキングパウダー、重曹、又は例えば酸及び重炭酸の塩の組み合わせを含んでもよい。(生)酵母は、液体酵母により提供され得る。液体酵母は、特に、酵母及び特に水のような液体の組み合わせである。液体酵母は、例えば、約80wt%の水及び20wt%の酵母を含んでもよい。付加的に又は代替的に、ガスは、焼成用組成物に直接提供されてもよい(さらに以下を参照されたい)。したがって、焼成用組成物は、必ずしも膨張剤を含む必要はない。さらなる実施形態では、焼成用組成物は、膨張剤を含まない。本明細書では、用語「膨張剤」はまた、2つ以上の(異なる)膨張剤にも関連し得る。実施形態では、任意の膨張剤は、(パン)酵母、重曹、及びベーキングパウダーからなる群から選択される1又は2以上の膨張剤を含む。したがって、(任意の)膨張剤は、酵母、ベーキングパウダー、及び重曹の群から選択される膨張剤を含む。
【0054】
組成物中に、膨張剤は、ある膨張剤量を含んでもよい。膨張剤量は、膨張剤の種類に基づいて選択され得る。ベーキングパウダーは、例えば、ガスを提供し得ない充填物質を含んでもよい。ベーキングパウダーは(より多量において)、食品に異臭をもたらすことがある。ある(特定の)酵母は、他の酵母及び/又は(特定の)焼成剤に対して、より少ないガスを提供し得る。また、生酵母を使用した場合、組成物はドライ酵母又はインスタント酵母を含む組成物と比較して、より多量の酵母を含むことができる。特に、焼成用組成物中のベーキングパウダーの量は、焼成用組成物の総重量に対して、15wt%以下、例えば10wt%以下などであってもよい。さらなる実施形態では、焼成用組成物中のベーキングパウダーの量は、焼成用組成物の総重量に対して、0~5wt%の範囲、特に0~2.5wt%の範囲で選択される。焼成用組成物の一実施形態では、酵母の量は、15wt%以下、例えば10wt%以下など、例えば5wt%以下などである。またさらなる実施形態では、特にドライ酵母又はインスタント酵母のような酵母の量は、3wt%以下である。液体酵母を含む別の実施形態では、酵母の量は、(組成物の総重量に対して)5~15wt%の範囲から選択される。焼成用組成物中の重曹の量は、焼成用組成物の総重量に対して、20wt%以下、例えば10wt%以下などであってもよい。焼成用組成物の一実施形態では、重曹の量は、焼成用組成物の総重量に対して、5wt%以下である。特に、膨張剤の量は、焼成用組成物の総重量に対して、30wt%以下の範囲、例えば0~20wt%の範囲など、特に0~15wt%の範囲、またさらに特に0~10wt%の範囲、例えば10wt%以下など、特に5wt%以下で選択される濃度を含む。膨張剤の量は、技術的に制限され得ない。実施形態では、例えば(焼成用組成物の総重量に対して)20wt%に等しいなどの膨張剤の量の増加により、焼成食品に異臭がもたらされることがある。さらなる実施形態では、15wt%超の膨張剤濃度により、焼成食品に異臭がもたらされることがある。
【0055】
任意の膨張剤は酵母を含んでもよい。膨張剤は、重曹をさらに含んでもよい。またさらなる実施形態では、膨張剤はベーキングパウダーを含む。したがって、焼成用組成物は、ある量のベーキングパウダーを含んでもよい。特に、ベーキングパウダーの量は、焼成用組成物の総重量に対して、15wt%以下、特に10wt%以下であってもよい。膨張剤(任意の膨張剤)はまた、2つ以上の(異なる)膨張剤を含んでもよい。酵母は、液体酵母により提供されてもよい。したがって、焼成用組成物は、液体酵母を含むことがある。
【0056】
特に酵母のような膨張剤は、膨張剤がガスを提供する(供給材料をガスに変換する)ために、例えば糖などの「供給材料」を必要とすることがある。したがって、焼成用組成物は、糖を含んでもよい。糖の量は、機能的に制限され得ない。実施形態では、糖の量は、焼成用組成物の総重量に対して、0~25wt%の範囲から選択される。糖の量は、特に、焼成用組成物の総重量に対して、15wt%以下、特に7.5wt%以下から選択されてもよい。特に、糖の量は、発酵中に膨張剤により完全に使用されるように選択されてもよい。特に、焼成用組成物は、焼成用組成物の総重量に対して、1~10wt%、例えば2~8wt%など、特に3~6wt%の範囲から選択される糖の量を含んでもよい。実施形態では、糖の量は、(焼成用組成物の総重量に対して)3wt%以下、特に少なくとも1wt%であるように選択される。特に、糖は、焼成食品中に実質的に残っていない。したがって、少なくとも一部の糖は、加工助剤を含み、及び/又は加工助剤として作用し得る(特に加工中に消費され、且つ食品の一部ではない)。さらなる実施形態では、焼成用組成物は、糖を実質的に含まない。用語「糖」は、特に「添加された糖」、特に二糖及び/又は単糖、特に「スクロース」に関連し得る。実施形態では、(添加された)糖は、スクロース、デキストロース(グルコース)、フルクトース、及びガラクトースのうち1又は2以上を含む。糖は、焼成用組成物中の酵母に基づいて選択されてもよい(逆もまた同じである)。
【0057】
付加的に、焼成用組成物は、特に上述のような安定剤を含んでもよい。焼成用組成物中の安定剤量は、焼成用組成物の総重量に対して、0.01~2wt%の範囲、特に0.4~1.2wt%の範囲で選択されてもよい。さらなる実施形態では、焼成用組成物は安定剤を含まない。特に安定剤量は、焼成用組成物の総重量に対して、2wt%以下、例えば1.2wt%以下などである。また、さらなる実施形態では、安定剤は、5wt%以下、例えば3wt%以下など、又は2.5wt%以下であってもよい。安定剤量は、焼成用組成物の総重量に対して、少なくとも0.01wt%であってもよい。安定剤量は、焼成用組成物の総重量に対して、0.01~3wt%の範囲で選択されてもよい。安定剤は、方法の前又はその間に脂肪及び又は油脂中で均質化されてもよい。したがって、方法は、脂肪又は油脂中での安定剤の均質化を含み得る。
【0058】
したがって、実施形態では、焼成用組成物は、焼成用組成物の総重量に対して、50~72.5wt%の範囲で選択される水分量、12~20wt%の範囲で選択されるタンパク質量、5~16wt%の範囲で選択される繊維量、0~10wt%の範囲で選択される膨張剤量、及び0.01~3wt%の範囲で選択される安定剤量を含む。焼成用組成物は、(任意の)さらなる原料をさらに含んでもよい。さらなる原料の例は前述されており、(また)例えば香料、チーズ、スパイス、脂肪、油脂、ナッツ、種子、薬草、乳製品、果汁等を含んでもよい。
【0059】
焼成用組成物は、水をさらに含む。水は、焼成用組成物に直接提供されてもよい。付加的に又は代替的に、焼成用組成物は、(水性)液体又は少なくとも一部の水を含む別の原料を含んでもよい。実施形態では、焼成用組成物は、例えば、水を含む、乳、ホエー、クリーム(サワークリーム、生クリーム等)、カード、(フレッシュ)チーズ、ヨーグルト等の乳製品を含む。さらなる実施形態では、焼成用組成物は、(水を含む)フルーツジュース、野菜ジュース、発酵ジュースを含む。さらなる実施形態では、焼成用組成物は、水を含む果実及び/又は野菜(の抽出物)を含む。焼成用組成物は、タンパク質含有の水、及び/又は例えばナッツ乳、豆乳、コメ乳、タンパク質シェイク等などのタンパク質飲料をさらに含んでもよい。したがって、焼成用組成物中の水は、焼成用組成物中の異なる要素により提供されてもよく、特に純粋な水として提供される必要はない。特に、水を含む溶液は、焼成用溶液に(水をもたらすために)提供されてもよい。本明細書では、用語「溶液」は、水を伴う1又は2以上の要素の組み合わせに関連し得る。要素は、必ずしも水に溶解されるか又は水中で懸濁している必要はない。用語「溶液」はまた、純粋な水にも関連し得る。
【0060】
本質的に、(焼成)食品中の要素は、焼成用組成物中に実質的に全て含まれ得る。したがって、焼成用組成物は、特に、焼成食品と関連する上述の全ての原料を含んでもよい。膨張剤は、特に、膨張剤が食品を製造する方法中に変換され得るため、食品中に存在しなくてもよい(又は食品は、微量の膨張剤を含むのみでもよい)。また少なくとも一部の糖は、食品を製造する方法中に変換されることがある(上記を参照されたい)。さらに、食品中の水の量は、焼成用組成物中の水の量より少なくてもよい。
【0061】
例えば本明細書に記載の重量パーセントなどのパーセントは、製品(食品又は例えば焼成用組成物)の総乾燥重量に関連し得ることに留意されたい。パーセントは、さらに、製品の総重量(したがって、あらゆる湿分を含む)に関連し得る。以下の表では、焼成用組成物及び/又は食品中のある量の化合物/要素は、本発明の特定の実施形態に関して記載され、実施例の実施形態の上限及び下限を含む。表は、実施形態の範囲に関して概要を示す。さらなる実施形態は、組成物の他の上限及び下限を有することができ、例えば実験の項に記載の組成を参照されたい。実施形態では、焼成用組成物中の水の量は、例えば約55~70wt%、特に57~68wt%まで低減されてもよい(したがって、他の化合物のwt%は比例して増加する)。
【0062】
表中で、焼成用組成物中の水のパーセントは、液体形態で添加された水、添加された水に関連する。他の原料(特に繊維、タンパク質)の重量パーセントは、これらの原料中に存在する水又は存在する少量の他の要素を含み得る。製品中の水のパーセントは、食品中に存在する水の量に直接関連する。
【0063】
【0064】
方法は、混合段階及び(順次的な)焼成段階を含み得る。特に混合段階では、繊維、タンパク質、水、安定剤、及び任意の膨張剤並びに任意のさらなる原料が任意に混合され、焼成用組成物を提供する。焼成段階は、特に、焼成用組成物を加熱することを含む。任意のさらなる原料は、脂肪(及び/又は油脂)を含んでもよい。一実施形態では、焼成用組成物中の脂肪の量は、焼成用組成物の総重量に対して、1~10wt%、特に1~6wt%、またさらに特に1~5wt%の範囲から選択される。任意のさらなる原料が脂肪及び/又は油脂を含む場合は、安定剤を(混合段階の前又はその間に)脂肪又は油脂中で均質化することが有利であり得る。
【0065】
方法は、(順次的に)予混合段階、さらなる混合段階、タンパク質混合段階、及び焼成段階を含み得る。混合段階は、予混合段階、さらなる混合段階及びタンパク質混合段階を含み得る。方法は、組成物を焼成する前に、焼成用組成物を(特に発酵段階において)発酵することをさらに含み得る。発酵段階は、特に、焼成用組成物を加熱する前に行われる。発酵段階は、タンパク質混合段階の後及び焼成段階の前に行われてもよい。発酵段階は、混合段階と焼成段階の間に行われてもよい。
【0066】
特に、予混合段階は、第1の繊維、及び任意の第1のさらなる原料を混合して乾燥予混合物を提供することを含む。予混合段階において乾燥原料を混合することにより、均質の混合物(予混合物:premix)が提供され得る。予混合段階は、凝集物の形成を妨げることができる。特に、任意のさらなる原料は、任意の第1のさらなる原料を含む。
【0067】
特に、さらなる混合段階は、乾燥予混合物と、水及び任意に第2の繊維及び任意の第2のさらなる原料を含む溶液とを混合して、液体混合物を提供することを含む。さらなる混合段階では、繊維は水和され得る。特に、(液体)混合物の粘度は、さらなる混合段階における混合中に増加し得る。特に、混合中に、(液体)混合物にエネルギーが供給されて、繊維を水和することが可能となる。特に、任意のさらなる原料は(また)、任意の第2のさらなる原料も含む。任意のさらなる原料は、任意の第1のさらなる原料及び/又は任意の第2のさらなる原料を含んでもよい。
【0068】
タンパク質混合段階は、特に、タンパク質を含むタンパク質含有粉末を液体混合物に提供し、タンパク質含有粉末と液体混合物とを混合して、(焼成される)焼成用組成物を提供することを含む。
【0069】
混合は、タンパク質混合段階においては、さらなる混合段階と比較してあまり強くなく、タンパク質の機能的特性を保存することができる。また、タンパク質混合段階は、さらに(また)泡立てを含み、焼成用組成物に空気の組み込みを提供することができる。実施形態では、混合は、特にタンパク質混合段階において、特に(また)さらなる混合段階において、Hobartミキサーにより提供される。実施形態では、混合は、Hobartミキサーで、泡立てミキサー付属装置を使用して、特に(比較的に最高エネルギー入力をもたらす)最高混合設定を適用することにより提供される。タンパク質混合段階により、空気を含むバッター、特にタンパク質泡を含む焼成用組成物が提供され得る。任意の発酵段階(以下を参照されたい)は、焼成用組成物に(第1の)膨らし(予備的な膨らし)を提供することができる(膨張された焼成用組成物を提供する)。
【0070】
方法のさらなる実施形態では、混合段階は、
・乾燥原料を混合して乾燥混合物を提供することであって、乾燥原料が、繊維、タンパク質、安定剤、任意の膨張剤、及び任意のさらなる原料を含む群から選択される原料であり、該原料が、原料の総重量に対して少なくとも90wt%の乾物を含む、乾燥混合物を提供することと;
・湿原料を乾燥混合物中で混合してなめらかなバッターにすることであって、湿原料が、水、繊維、タンパク質、安定剤、任意の膨張剤、及び任意のさらなる原料を含む群から選択される原料であり、該原料が、原料の総重量に対して90wt%未満の乾物を含む、バッターにすることと、
を含む。
【0071】
焼成段階は、(膨張されていてもよい)焼成用組成物を加熱して、食品を提供することを含む。方法の実施形態は、発酵段階を含んでもよく、焼成段階において焼成される前に、特に、焼成用組成物をねかせることができ、特に膨らせることができる。したがって、さらなる実施形態では、方法は、発酵段階をさらに含み、(焼成される)焼成用組成物を、発酵期間中に発酵させ、発酵段階は、焼成用組成物を加熱する前に、特にタンパク質混合段階後で且つ焼成段階前に行われる。
【0072】
特に膨張剤を含む焼成用組成物は、発酵段階中に予備的に膨らせてもよい。発酵段階は、焼成用組成物に、70~95%RH、特に80~90%RHの範囲で選択される相対湿度をもたらし、特に、5~65℃、特に10~45℃、例えば25~35℃などの範囲で選択される温度をもたらすことを含み得る。発酵段階は、15分以上、特に20分以上、例えば20分~240分など、特に30分~180分の範囲で選択される発酵期間を含み得る。実施形態では、発酵期間は、少なくとも2時間、例えば少なくとも4時間などを含み得る。さらなる実施形態では、発酵期間は、24時間以下を含む。発酵段階は、(発酵期間後に)膨張された焼成用組成物を提供し得る。
【0073】
予混合段階は、特に、乾燥原料を混合して乾燥予混合物を提供することを含む。特に、第1の繊維は乾燥繊維を含み、特に任意の第1のさらなる原料は、乾燥したさらなる原料を含む。特に、液体原料及び/又は液体と混合された原料は、さらなる混合段階及び/又はタンパク質混合において提供され得る。実施形態では、第1の繊維は柑橘類繊維を含む。さらなる実施形態では、任意の第2の繊維は、イヌリン(及び/又はイヌリン誘導体)を含む。
【0074】
焼成用組成物が安定剤を含む実施形態では、少なくとも1つの任意の第1のさらなる原料及び任意の第2のさらなる原料は、安定剤を含む。さらなる実施形態では、少なくとも1つの任意の第1のさらなる原料及び任意の第2のさらなる原料は(また)、糖を含み、特に、焼成用組成物は酵母を含む。焼成用組成物中に糖が使用され得て、特に、発酵段階においてガスに変換される。特に発酵段階後で且つ組成物を焼成する前に、焼成用組成物は、実質的に糖を含まなくてもよい。
【0075】
(任意の)膨張剤は、方法の異なる段階で提供されてもよい。特に乾燥膨張剤を含むような任意の膨張剤は、予混合段階において提供されてもよい。膨張剤は、さらなる混合段階において提供されてもよい。また、さらなる実施形態では、膨張剤は、タンパク質混合段階において提供されてもよい。実施形態では、(同じ)膨張剤(複数可)は、方法のいくつかの段階において提供される。さらなる実施形態では、異なる膨張剤は、異なる段階で提供される。またさらなる実施形態では、異なる膨張剤は、同じ段階で提供される。特に、任意の膨張剤は、糖と組み合わせて提供されてもよい(上記を参照されたい)。
【0076】
したがって、任意の第1のさらなる原料及び/又は任意の第2のさらなる原料は、任意の膨張剤を含んでもよい。付加的に又は代替的に、タンパク質混合段階は、任意の膨張剤を液体混合物に提供し、膨張剤と液体混合物とを混合することをさらに含む。さらなる実施形態では、焼成段階前に、特にタンパク質混合段階においてガスが提供され、特に(さらに)焼成用組成物を容積拡大させる。したがって、タンパク質混合段階は、ガスを液体混合物に提供することをさらに含み得る。実施形態では、ガス(のみ)が焼成用組成物に提供される。ガスは、(タンパク質混合段階において)特に加圧下で、(液体)混合物中に、特にタンパク質含有粉末及び液体混合物の混合物中に、ガスを注入することにより提供され得る。他の実施形態では、膨張剤(のみ)が、焼成用組成物に(混合物に)、方法の1又は2以上の段階において提供される。他の実施形態では、特に焼成段階前に、膨張剤が提供され且つガスが(焼成用)組成物(又は混合物)に提供される。ガスは、あらゆるガス状物質を含んでもよい。有利な実施形態では、ガスは、二酸化炭素、窒素、水蒸気、蒸気、空気からなるガスの群から選択される。ガスは、(組成物に提供される場合)大気圧を含んでもよい。ガスは、1bar(絶対)を超える圧力をさらに含んでもよい。実施形態では、ガスは、1~10bar(絶対)、特に1~5bar(絶対)の範囲で選択される圧力を含む。
【0077】
したがって、一実施形態では、方法は、予混合段階、さらなる混合段階、タンパク質混合段階、(任意の発酵段階)及び焼成段階を含み、少なくとも1つの任意の第1のさらなる原料及び任意の第2のさらなる原料は、安定剤を含み(焼成用組成物が前記安定剤を含む)、特に、(a)任意の第1のさらなる原料及び/若しくは任意の第2のさらなる原料は、任意の膨張剤及び特に(また)糖を含み、並びに/又はタンパク質混合段階は、任意の膨張剤を液体混合物に提供し且つ膨張剤と液体混合物とを混合することをさらに含み、並びに/又は(b)タンパク質混合段階は、ガスを液体混合物に提供することをさらに含む。実施形態では、タンパク質混合段階は、任意の膨張剤を液体混合物に提供し、(さらに)膨張剤(及びタンパク質含有粉末)と液体混合物とを混合する(焼成される焼成用組成物を提供する)ことをさらに含む。さらなる実施形態では、タンパク質混合段階は、糖を液体混合物に提供し、(さらに)糖と液体混合物とを混合することをさらに含む。
【0078】
特に、任意の膨張剤は、1又は2以上の予混合段階、さらなる混合段階及びタンパク質混合段階において、提供され得る(且つそれぞれの混合物と混合される)。また、糖もまた、1又は2以上の予混合段階、さらなる混合段階及びタンパク質混合段階において、提供され得る(且つそれぞれの混合物と混合される)。代替的に、(乾燥剤若しくは固形剤を含む)任意の膨張剤は、最初の混合段階において提供され、及び/又は(流動剤若しくは液体剤を含む)任意の膨張剤は最終の混合段階において提供される。
【0079】
特に、方法は、発酵段階を含む。特に、焼成用組成物中の糖の量は、発酵段階において、特に実質的にゼロまで減少する。さらなる実施形態では、焼成用組成物中の糖の量は、(焼成用組成物の重量に関して)発酵段階において、2wt%以下の量まで減少する。焼成段階は、焼成用組成物を加熱することを含む。加熱することにより、焼成用組成物を固定させることができる。加熱することにより、(固定前に)焼成用組成物の(さらなる)膨らしをさらにもたらし得る。加熱は、放射、対流又は伝導により提供され得る。実施形態では、加熱は焼成炉中で提供される。さらなる実施形態では、加熱は、(また)(マイクロ波により)マイクロ波炉中で提供されてもよい。また、さらなる実施形態では、加熱は、ラジオ周波数(RF)加熱及び/又は通電加熱により(さらに)提供されてもよい。実施形態では、加熱をもたらすための上述と異なる手法を組み合わせてもよい。加熱は、特に、少なくとも100℃、特に少なくとも120℃の(加熱)温度で提供される。加熱は、300℃以下、例えば290℃以下など、特に260℃以下の(加熱)温度でさらに提供され得る。特に、焼成段階は、焼成用組成物を、120℃~290℃、例えば120℃~240℃などの範囲で選択される(加熱)温度で加熱することを含む。加熱は、特に20分~120分の範囲、例えば30~90分など、特に30~60分の範囲で選択される(焼成)期間中に提供され得る。実施形態では、焼成期間は、30分以下であるように選択され、例えば5~30分など、特に10~25分、例えば10~20分などの範囲で選択される。さらなる実施形態では、焼成期間は、30分以上、例えば60分以上などである。実施形態では、焼成期間は2時間以上である。
【0080】
焼成期間は、特に、5~120分の範囲から選択される。例えばバン又はロールなどの小さい製品は、例えば、短い焼成期間(5~10分)及び例えば240~290℃のような高い焼成温度を必要とし得る。例えば1塊のパンなどのより大きい製品は、より低い加熱温度と組み合わせてより長い焼成期間を必要とし得る。実施形態では、加熱は、140℃以上、特に160℃以上の温度で提供される。さらなる実施形態では、加熱は、220℃以下、特に200℃以下の温度で提供される。特定の実施形態では、焼成段階は、120℃~290℃の範囲で選択される温度で、5分~120分の範囲で選択される焼成期間中、焼成用組成物を加熱することを含む。
【0081】
焼成期間及び加熱温度は、(焼成される)焼成用組成物の体積に関連して選択されてもよい。焼成期間は、さらに、加熱が供給される手法(焼成炉における規範的な加熱又は例えばマイクロ波中での加熱のような容量加熱方法、RF加熱による加熱又は通電加熱による加熱)に基づいて選択されてもよい。焼成炉で加熱する場合の加熱期間は、容量加熱方法を使用する加熱期間より長く選択され得る。
【0082】
さらなる実施形態では、焼成段階は、(焼成される)焼成用組成物に(部分)真空をもたらすことを(さらに)含む。真空をもたらすことにより、(焼成される)食品の(塊の)体積を改善することができる。真空をもたらすことにより、焼成される焼成用組成物を冷却する(ように構成される)ことができ、特に、真空冷却と表されてもよい。真空は、特に、焼成される焼成用組成物、特に焼成される焼成用組成物の中心部を、30~50℃、例えば35~45℃など、特に35~40℃の範囲から選択される中心部温度まで冷却するように構成される。真空は、例えば、1~10分、特に4~8分、例えば5~6分などの範囲から選択される期間もたらされてもよい。焼成用組成物にもたらされる真空は、10mbar~500mbar、特に50mbar~200mbar(絶対)の範囲から選択される(絶対)圧力を含んでもよい。真空中にもたらされる圧力は、特に、少なくとも50mbar(絶対)、例えば70mbar(絶対)などである。圧力は、特に、250mbar以下(絶対)、例えば150mbar(絶対)など、特に100mbar(絶対)である。本質的に、圧力及び期間は、食品のサイズに関連し得る。大きいサイズを有する食品は、相対的に小さい製品を冷却するより長い期間及び/又はより低い圧力を必要とし得る。したがって、実施形態では、圧力及び/又は期間は、上に与えられた範囲と異なってもよい。本質的に、圧力及び期間は、30~50℃、例えば35~45℃など、特に35~40℃の範囲の食品の中心部温度をもたらすように選択される。
【0083】
したがって、一実施形態では、焼成期間中に焼成用組成物を加熱した後の焼成段階は、焼成される焼成用組成物に真空をもたらすことをさらに含み、真空は、35~40℃の範囲から選択される中心部温度まで焼成用組成物の中心部を冷却するように構成される。
【0084】
一実施形態では、空気を含むバッター又はタンパク質泡は、(タンパク質混合段階における)混合によりもたらされる。連続して、(被包されたガスを含む)タンパク質泡は、焼成中に固定され得る。
【0085】
さらなる態様では、本発明は、本明細書に記載の方法により得ることができる焼成用組成物、特に本明細書に記載の焼成用組成物を提供する。本発明の実施形態に基づいて提供されるパンは、1又は2以上の(面積サイズ当たりの)気泡数、気泡直径、気泡壁厚さ、気泡伸び、気泡体積、気泡面積のスライス面積に対する比(%)、スライスの光度などを、UK Bread and Flour Regulations 1998(19th 1998年2月施行;http://www.legislation.gov.uk/uksi/1998/141/made)に準拠して定義されたパンと同じ範囲内で有し得る。この規定により、「パン」は、(a)通例、パンとして知られており、且つ(b)小麦粉及び水から、他の原料を伴うか又は伴わず作製される生地からなり、酵母により発酵されるか又はそうでなければ膨張され、引き続き焼成又は部分焼成されるが、バン、バンローフ、チャパティ、チョラ(chollas)、ピタパン、ジャガイモパン又は腹腔の罹患者用に特別に準備されたパンは含まない、あらゆるサイズ、形状又は形態の食品として定義されている。本明細書では、比較のために、特に、この規定下で引き続き焼成された製品を表す。したがって、1又は2以上の感覚器官による特性、特に視覚、又は触覚、質感、及び構造は、前述の規定に準拠して定義されたパンと同じ範囲内であり得る。
【0086】
本明細書では、例えば「実質的になる」におけるなどの用語「実質的に」は、当業者により理解されるであろう。用語「実質的に」はまた、「全体的に」、「完全に」、「全て」などを伴う実施形態を含み得る。したがって、実施形態では、実質的にという形容詞は取り除かれてもよい。適用可能な場合、用語「実質的に」はまた、90%以上、例えば95%以上など、特に99%以上、またさらに特に99.5%以上に関連し、100%を含み得る。用語「含む(comprise)」はまた、用語「含む(comprises)」が「からなる(consists of)」を意味する実施形態も含む。用語「及び/又は」は、特に、「及び/又は」の前及び後に述べられた事項のうち1又は2以上に関連する。例えば、語句「事項1及び/又は事項2」並びに同様の語句は、事項1及び事項2のうち1又は2以上に関連し得る。用語「含む(comprising)」は、一実施形態では、「からなる(consisting of)」を表し得るが、別の実施形態ではまた、「少なくとも定義された種類及び任意に1又は2以上の他の種類を含有する」ことも表し得る。
【0087】
さらに、本記載及び特許請求の範囲における用語「第1の」、「第2の」、「第3の」等は、同様の要素を区別するために使用され、必ずしも連続的又は時系列的な順序を記載しているわけではない。そのように使用される用語は適切な状況下で互換的であり、且つ本明細書に記載の本発明の実施形態は、本明細書に記載されるか又は説明されるものとは別の順番で操作可能であることを理解されたい。
【0088】
本明細書の装置は、とりわけ、操作中に記載されている。当業者には明らかなように、本発明は、操作方法又は操作中の装置に限定されない。
【0089】
上述の実施形態は、本発明を限定するのではなく例示するものであり、当業者は、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、多くの代替の実施形態を設計できることに留意されたい。特許請求の範囲では、括弧の間に置かれたいかなる引用符号も、特許請求の範囲を制限すると解釈されるべきではない。動詞「含む(to comprise)」及びその活用型の使用は、特許請求の範囲中で述べられたもの以外の要素又はステップの存在を除外することはない。要素の前に置かれる冠詞「a」又は「an」は、そのような要素の複数の存在を除外することはない。本発明は、いくつかの別個の要素を含むハードウェアにより、且つ好適にプログラムされたコンピュータにより実行され得る。いくつかの手段を列挙する装置の請求項では、これらの手段のいくつかは、ハードウェアの1つ及び同じ事項により具体化され得る。ある特定の手段が互いに異なる従属項に再び引用されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用され得ないことを示すものではない。
【0090】
本発明は、本記載に記載され、及び/又は添付の図面に示される特徴構成のうち1又は2以上を含む装置にさらに適用される。本発明は、本記載に記載され、及び/又は添付の図面に示される特徴構成のうち1又は2以上を含む方法又はプロセスに関する。
【0091】
本特許において論じられる様々な態様は、付加的な利点をもたらすために組み合わせることができる。さらに、特徴の一部は、1又は2以上の分割出願の基礎を形成し得る。
【0092】
実験
実験の初期設定
パン様の製品を調製し、評価した。原料を以下の表に示す:
【0093】
【0094】
以下に示す方法条件を使用:
1.イヌリン1を温水に溶解;2分間混合(設定2/3)(→透明な溶液)
2.乾燥原料(柑橘類繊維、塩、キサンタン、亜麻仁)を予混合(→均質の混合物)
3.設定1でミキサー、1分内、イヌリン1を溶解した水に乾燥混合物を添加(→凝集物の形成なし)。
4.設定2でミキサー、1.5分間混合(→均質の混合物)。
5.設定3でミキサー、3.5分間混合(→粘性の混合物)。
6.ボールの側面から乾燥原料を除去(こすり取る)(→ボールから除去した残余粉末)。
7.設定2でミキサー、タンパク質粉末を1.5分内に添加(→微粉末の形成なし)。
8.設定3でミキサーを用いて2分間混合(→バッター)。
9.ボールの側面から乾燥原料をこすり取る(→ボールの側面から除去した残余粉末)。
10.設定2で1.5分間混合(→こすり取ったものを組み込む)
11.設定3で2分間混合(→空気を含み且つ粘着性のバッター)
12.ミキサーを操作設定1で用いて、30秒中にベーキングパウダーを徐々に添加(→微粉末なし)。
13.設定2で30秒間混合(→微粉末なし)。
14.設定3で20秒間混合(→均質な分布)。
15.焼成用の型に脂肪ベースの離型剤を塗布(→粘着なし)。
16.縁から下に約2センチメートルまで型を満たす(→あふれ出るのを防ぐ)。
17.型を炉に入れる。
18.好ましくは予め蒸気処理(→膨らしプロセスを改善し得る)
19.175℃で45分間焼成(酵母に関しては他の条件を使用)(→膨張パン)
20.焼成後に型からパンを迅速に取り出す(→粘着なし)。
【0095】
(焼成される)焼成用組成物の組成
【0096】
【0097】
品質パラメータ
・伸縮性、クラムの裂開、パリパリしたクラスト:質感分析器
・膨張体積及び形状、弾力:Volscan(体積)、C-cell、質感分析器
・クラム(気泡)のサイズ及び壁厚さ:C-Cell
・できぐあい、湿分損失、湿分:秤量、中心部温度を測定、感覚的評価
・クラストのパリパリ感、クラストの焦げ目:感覚的評価、LAB色測定、質感分析器
【0098】
第1の結果
11.1:非容認。緊密過ぎる、空気を含んでいない。下限のタンパク質/上限の繊維。
11.2:良好。空気を含み、弾力のある、良好なクラスト色、白パン用の外見。
11.3:非容認。緊密過ぎる、空気を含んでいない。下限のタンパク質/上限の繊維。
11.4:非容認:プラスチックのような外観、異臭、上限のタンパク質。
12.1:許容される。膨張体積が少ない。上限の繊維。
12.2:非容認。焼成中にパンが崩壊、緊密、湿った感じ。下限のタンパク質/上限の水。
12.3:良好。11.2のようであるが、亜麻仁の視覚効果を伴う。
13.1:良好。糖なし、乾燥繊維を繊維シロップと置き換え。焦げ目の色が消失。
13.2:非容認。膨らしが乏しく、含まれる空気が少ないパン、体積が小さい。下限のキサンタン。
13.3:良好。改善された質感、より多くの気泡、より大きい体積、フワフワ感が少ない、よりパン様である。
【0099】
これらの結果に基づいて、(焼成用組成物の総重量に対して)原料濃度を変化させて新規の試行を実施した、以下の表を参照されたい:
【0100】
【0101】
結果
4.1:良好。より緊密且つクラムがより堅く、より小さいバブル/気泡
4.2:非容認。形が崩れ、クラストがプラスチック様の光沢。上限のタンパク質
4.3:非容認。形が崩れ、生焼け、不均一に(強く)膨張されている。上限のキサンタン(単独)
4.5:非容認。形が崩れ、プラスチックのような光沢、大き過ぎる気泡、均一に調理されていない。下限の(柑橘類)繊維。
4.6:非容認。4.5のようであるが、効果が増強されている。下限未満の(柑橘類)繊維
4:10:良好。良いクラム、大きいバブル、パンのような弾性。12.3と比較して改善された質感。
4:10:非容認。塩辛く、金属のような味、ベーキングパウダー原料が高過ぎ、多孔質のクラスト、しかし非常に良好に空気を含む質感。
【0102】
実験に基づいて、以下の準備段階の技術的制限を推測することができる。注記:全ての可能な組み合わせを試験できるわけではなく、例えば試行4.3対4.4の結果を参照されたい(両方ともキサンタンを増加しているが、最後の結果は他の関係のため変化する)。wtパーセントは、焼成用組成物の総重量に対して記載されている。
【0103】
【0104】
論評:この混合物では、特に、水、卵タンパク質、繊維原料(複数可)、膨張剤及び安定剤が最も関連していると考えられる。イヌリン1は、食物繊維シロップ(オリゴ糖)であり、長鎖イヌリン粉末又は異なる乾燥食物繊維と交換することができる。必要とされる繊維(柑橘類+イヌリン1+イヌリン2のイヌリン)の総最小量、及び依然として作用する最大量は、推定値である。総繊維は、およそ7.5~17.5wt%の間であると予測される。データは、良好な結果を得ることがなかった配合物の値に基づいており、したがって、機能的制限を提供する。
【0105】
さらなる実験
大規模製造の目的のために、方法ステップを、さらなる実験において最適化し/組み合わせた。これらの実験で使用される平均的配合物を次の表に示す:
【0106】
【0107】
1000グラムの配合物及び以下に収載する方法段階を使用して、約750~780グラムの最終重量を有するパンを焼成した;すなわち、焼成中に総焼成用組成物の22~25%(平均で約23~24%)が水として失われた。
1.約50%の水を、全ての混合された乾燥原料及び脂肪が既に入れてある生地捏ね機に添加;
2.原料を堅いバッターまで混合する;
3.残りの水を液体酵母と共に添加し、混合してなめらかなわずかに弾性のあるバッターとする(混合をゆっくりと開始し、より速くして終了);
4.焼成用の型に脂肪ベースの離型剤を塗布;
5.型に325~350gのバッターを満たす;
6.約30~35分間、生地発酵;
7.約180~210℃で30~40分間焼成;
8.35~40℃の中心部温度までの間、パンを真空冷却してもよい。
【0108】
3つの市販の調製されたダッチパン系、すなわち、白パン(「wit brood」)、全粒小麦/黒パン(「bruin brood」)、及び全粒パン(「volkorenbrood」)、同様に市販の調製されたグルテン非含有パンと同様の感覚的結果を得るために、黒っぽい色のために付け足しの種子及び付け足しの褐色の果実抽出物を含む、淡褐色食品(コードBL)並びにより黒っぽい食品(コードMZ)を、以下の配合物を使用して製造した:
【0109】
【0110】
市販のパンを、標準的産業方法により同時に調製した。
【0111】
製品の分析
製品を、質感分析器及びC-Cellを用いて、American Association of Cereal Chemist(AACC)協会の、それぞれAACCI74-09及びAACCI10-18.01法により承認された標準的方法を使用して分析した。
【0112】
クラムの硬度(弾性的柔らかさとも表される)を、質感分析器を用いて、第1の測定により決定した;25mmの厚さを有する立方体のクラム(25mmの1枚のスライス又は上下に重ねた12.5mmの2枚のスライス)に、プローブを2mm/秒の速度で押し付けて、20mm圧縮するために必要な力。
【0113】
緩和の程度(粘着性とも表される)を、第2の測定により決定した:この測定は第1の測定として開始されるが、測定の最後にプローブを20mmの深さで30秒間保持し、次に力を再度測定する。第2の力の硬度に対する比が、緩和の程度である。
【0114】
C-Cellを使用して、色、1cm2当たりの気泡数、気泡直径、気泡壁厚さ、気泡伸び、気泡体積、気泡面積のスライス総面積に対する比(%)、及びスライスの光度を決定した。
【0115】
構造的及び質感的な態様の次に、BL及びMZ製品中の可消化炭水化物の量を分析した。
【0116】
結果
質感的態様
異なる種類のパンの質感分析の標準偏差(std,standard deviation)を含む測定データを次の表に示す。
【0117】
【0118】
通常のパン(白色、褐色及び全粒)は、BL及びMZの試料より柔らかい。市販のグルテン非含有製品は、BL及びMZの試料より著しく硬かった。BL及びMZの試料の緩和パーセントは、市販の種類のパンより少し高く、BL及びMZの試料がより弾力があることが示された。上に示した結果は、製造の日に分析されたパンに関するものである。
【0119】
針入度計を使用して、さらなる分析も実施し、製造の1日後及び製造の2日後の試料の圧縮率を決定した(結果は、本特許文書に組込まれていない)。これらの実験により、製造の1日後に対して製造の2日後には、市販のパンの硬度の大きな増加及び緩和パーセントの著しい減少が示され、一方、MZ及びBLの試料はそれらの最初の圧縮率(柔らかみ)を保持していることが示された。この差異は、全ての市販のパンにはデンプンが存在することに起因すると推定される。デンプン含有のパンは、デンプンの老化変性のために、短期間に新鮮さを失う。本発明の食品は、実質的にデンプンを含有せず、その質感的品質を(市販のデンプン含有のパンに対して)長期間保持することができる。
【0120】
構造的態様
C-Cell測定を使用して得られた分析データを、下の表に示す:
【0121】
【0122】
これらの結果に基づいて、BL及びMZの試料の構造的パラメータは、市販の通常のパン及び市販のグルテン非含有(GF,gluten free)パンのパラメータに匹敵すると結論付けられる。測定された構造的パラメータは、異なる種類の市販の小麦デンプン及びグルテン非含有のパンの範囲に入り得る。本発明のパン様の食品の構造的パラメータの値は、白パンの値と最も類似している。
【0123】
可消化炭水化物
可消化炭水化物の総量を、分析されたデンプンの量及び糖の合計量に基づいて以下に示す。分析値に基づいて、乾物に基づく量を算出する。
【0124】
【0125】
結論:ヒマワリ種子を含有する炭水化物を含む配合物(MZ)においてさえも、最終製品中の可消化炭水化物の量は、最終製品の乾物に基づいて、1wt%未満及び約1.5wt%である。