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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】バスバーモジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/507 20210101AFI20240319BHJP
   H01M 50/569 20210101ALI20240319BHJP
   H01M 50/298 20210101ALI20240319BHJP
【FI】
H01M50/507
H01M50/569
H01M50/298
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020002178
(22)【出願日】2020-01-09
(65)【公開番号】P2021111502
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡▲崎▼ 裕太郎
【審査官】小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-022256(JP,A)
【文献】特開2013-105571(JP,A)
【文献】特開2014-107161(JP,A)
【文献】特開2018-014296(JP,A)
【文献】特開2018-137081(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50-50/598
H01M 50/20-50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単電池で構成された電池集合体に組付けられるケースと、前記ケースに支持され、前記電池集合体の前記単電池の電極に電気的に接続されるバスバーと、前記ケースに配索される複数の電線と、を備えたバスバーモジュールであって、
前記ケースは、前記単電池の配列方向に分割されて互いに連結される複数の分割ケースから構成され、
前記分割ケースは、前記バスバーが収容されるバスバー収容部同士を連結する第1連結部と、前記電線が配索される電線配索溝部同士を連結する第2連結部と、を有し、
前記第1連結部に対して前記第2連結部が前記ケースの幅方向に隣り合う位置に設けられ
前記第1連結部及び前記第2連結部は、
一方の前記分割ケースに設けられたメスロック部と、
他方の前記分割ケースに設けられて前記メスロック部を係止するオスロック部と、
を有し、
前記第1連結部及び前記第2連結部の少なくとも一方は、前記メスロック部が互いに前記ケースの幅方向に間隔をあけて対向された側壁を有し、前記オスロック部が前記メスロック部の前記側壁の間に嵌め込まれる、
ことを特徴とするバスバーモジュール。
【請求項2】
前記バスバー収容部及び前記電線配索溝部がそれぞれ複数列設けられ、
前記バスバー収容部を連結する少なくとも一つの前記第1連結部に対して、前記電線配索溝部を連結する少なくとも一つの前記第2連結部が前記ケースの幅方向に隣り合う位置に設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載のバスバーモジュール。
【請求項3】
前記第1連結部は、
前記メスロック部が、前記分割ケースの端面に対して隙間をあけて設けられた係止枠を有し、
前記オスロック部が、前記分割ケースの端面から延びて二か所で逆方向に屈曲された一対の弾性アームと、前記弾性アームの端部に架け渡された支持板部と、前記支持板部に形成されて前記メスロック部の前記隙間に挿し込まれる係止板部と、前記係止板部に設けられ、前記隙間に前記係止板部が挿し込まれることにより前記係止枠を係止するロック爪と、を有し、
前記オスロック部の前記支持板部には、前記係止板部における前記弾性アーム側に、スリットがそれぞれ形成されている、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のバスバーモジュール。
【請求項4】
前記第1連結部の前記メスロック部は、前記係止枠の両側における前記弾性アームとの対向位置に、弾性変形される前記弾性アームを収容可能な収容凹部を有する、
ことを特徴とする請求項3に記載のバスバーモジュール。
【請求項5】
前記第1連結部の前記メスロック部は、前記ロック爪が前記係止枠を係止した前記オスロック部の前記支持板部が突き当てられる当接面を有する、
ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載のバスバーモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バスバーモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電動モータを用いて走行する電気自動車や、エンジンと電動モータとを併用して走行するハイブリッド自動車等の各種車両に搭載される電源装置は、複数の単電池からなる電池集合体の上部にバスバーモジュールが組付けられている。このバスバーモジュールは、複数の単電池の電極に電気的に接続される複数のバスバーを有している。これらのバスバーは、電池集合体の上部に取り付けられる樹脂製のケースに収容されて保持される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-164591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バスバーモジュールには、複数の分割ケースを連結部で互いに連結するケースを備えるものがある。しかし、このバスバーモジュールでは、連結部におけるガタつきによって分割ケース同士に面方向の捻じれが生じ、分割ケースのバスバーを収容する収容部同士の間に大きなガタつきが生じてしまう。すると、単電池の電極に対してバスバーを円滑に位置合わせして組み付けることが困難となる場合がある。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電池集合体を構成する単電池同士の電極へバスバーを円滑に組付けることが可能なバスバーモジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記目的は、下記構成により達成される。
(1) 複数の単電池で構成された電池集合体に組付けられるケースと、前記ケースに支持され、前記電池集合体の前記単電池の電極に電気的に接続されるバスバーと、前記ケースに配索される複数の電線と、を備えたバスバーモジュールであって、
前記ケースは、前記単電池の配列方向に分割されて互いに連結される複数の分割ケースから構成され、
前記分割ケースは、前記バスバーが収容されるバスバー収容部同士を連結する第1連結部と、前記電線が配索される電線配索溝部同士を連結する第2連結部と、を有し、
前記第1連結部に対して前記第2連結部が前記ケースの幅方向に隣り合う位置に設けられ
前記第1連結部及び前記第2連結部は、
一方の前記分割ケースに設けられたメスロック部と、
他方の前記分割ケースに設けられて前記メスロック部を係止するオスロック部と、
を有し、
前記第1連結部及び前記第2連結部の少なくとも一方は、前記メスロック部が互いに前記ケースの幅方向に間隔をあけて対向された側壁を有し、前記オスロック部が前記メスロック部の前記側壁の間に嵌め込まれる、ことを特徴とするバスバーモジュール。
【0007】
上記(1)の構成のバスバーモジュールによれば、第1連結部と第2連結部とで分割ケース同士を連結させてケースを構成することができる。このとき、分割ケースのバスバー収容部同士を連結する第1連結部に対して、電線配索溝部同士を連結する第2連結部がケースの幅方向に隣り合う位置に設けられている。これにより、第1連結部に対して第2連結部が近い位置に配置されることとなり、バスバー収容部同士を連結する第1連結部において、分割ケース同士の面方向の捻じれを第2連結部で効果的に抑制させることができる。したがって、電池集合体を構成する単電池の電極に対するバスバー収容部に収容させたバスバーの位置ずれを抑えることができ、よって、電池集合体へ良好かつ円滑に組付けることができる。
更に、上記(1)の構成のバスバーモジュールによれば、メスロック部に設けられた側壁の間にオスロック部が嵌め込まれる。これにより、分割ケース同士が面方向に捻じれようとすると、オスロック部が側壁に当接し、分割ケースの面方向の捻じれが抑制される。したがって、電池集合体へさらに良好に組付けることができる。
【0008】
(2) 前記バスバー収容部及び前記電線配索溝部がそれぞれ複数列設けられ、
前記バスバー収容部を連結する少なくとも一つの前記第1連結部に対して、前記電線配索溝部を連結する少なくとも一つの前記第2連結部が前記ケースの幅方向に隣り合う位置に設けられている、ことを特徴とする(1)に記載のバスバーモジュール。
【0009】
上記(2)の構成のバスバーモジュールによれば、バスバー収容部及び電線配索溝部がそれぞれ複数列設けられた構造において、バスバー収容部を連結する少なくとも一つの第1連結部に対して、電線配索溝部を連結する少なくとも一つの第2連結部がケースの幅方向に隣り合う位置に設けられている。したがって、少なくとも一つの第1連結部に対して少なくとも一つの第2連結部が近い位置に配置されることとなり、バスバー収容部同士を連結する第1連結部において、分割ケース同士の面方向の捻じれを第2連結部で効果的に抑制させることができる。
【0012】
) 前記第1連結部は、
前記メスロック部が、前記分割ケースの端面に対して隙間をあけて設けられた係止枠を有し、
前記オスロック部が、前記分割ケースの端面から延びて二か所で逆方向に屈曲された一対の弾性アームと、前記弾性アームの端部に架け渡された支持板部と、前記支持板部に形成されて前記メスロック部の前記隙間に挿し込まれる係止板部と、前記係止板部に設けられ、前記隙間に前記係止板部が挿し込まれることにより前記係止枠を係止するロック爪と、を有し、
前記オスロック部の前記支持板部には、前記係止板部における前記弾性アーム側に、スリットがそれぞれ形成されている、ことを特徴とする(1)又は(2)に記載のバスバーモジュール。
【0013】
上記()の構成のバスバーモジュールによれば、メスロック部における端面と係止枠との隙間にオスロック部の係止板部を挿し込むことにより、係止板部のロック爪が係止枠を係止する。これにより、メスロック部とオスロック部とからなる連結部において分割ケース同士を容易に連結させることができる。また、オスロック部の支持板部には、係止板部における弾性アーム側にスリットがそれぞれ形成されている。したがって、オスロック部の支持板部の剛性を下げることができる。これにより、単電池同士の電極の配列ピッチの公差を、分割ケース同士の第1連結部において十分に吸収することができ、電池集合体へ良好かつ円滑に組付けることができる。
【0014】
) 前記第1連結部の前記メスロック部は、前記係止枠の両側における前記弾性アームとの対向位置に、弾性変形される前記弾性アームを収容可能な収容凹部を有する、ことを特徴とする()に記載のバスバーモジュール。
【0015】
上記()の構成のバスバーモジュールによれば、弾性アームがメスロック部側へ弾性変形されると、メスロック部の係止枠の両側における弾性アームとの対向位置に設けられた収容凹部に弾性アームが収容される。これにより、分割ケース同士の連結部での公差の吸収範囲を拡大することができ、電池集合体へさらに良好かつ円滑に組付けることができる。
【0016】
) 前記第1連結部の前記メスロック部は、前記ロック爪が前記係止枠を係止した前記オスロック部の前記支持板部が突き当てられる当接面を有する、ことを特徴とする()または()に記載のバスバーモジュール。
【0017】
上記()の構成のバスバーモジュールによれば、メスロック部の係止枠にオスロック部の係止板部のロック爪を係止させると、オスロック部の支持板部がメスロック部の当接面に突き当てられる。これにより、長手方向を軸とした分割ケース同士の捻じれを抑制することができ、電池集合体へさらに良好に組付けることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、電池集合体を構成する単電池同士の電極へバスバーを円滑に組付けることが可能なバスバーモジュールを提供できる。
【0019】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本実施形態に係るバスバーモジュール及び電池集合体の斜視図である。
図2図2は、本実施形態に係るバスバーモジュールの分解斜視図である。
図3図3は、分割ケース同士の連結箇所の斜視図である。
図4図4は、分割ケース同士の連結箇所の平面図である。
図5図5は、分割ケースの第1連結部及び第2連結部の斜視図である。
図6図6の(a)は図4におけるA-A断面図、図6の(b)は図4におけるB-B断面図である。
図7図7は、連結された状態の分割ケースの第1連結部及び第2連結部を示す平面図である。
図8図8の(a)は図7におけるC-C断面図、図8の(b)は図7におけるD-D断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係るバスバーモジュール及び電池集合体の斜視図である。
【0022】
図1に示すように、本実施形態に係るバスバーモジュール10は、電池集合体1の上部に組付けられて電源装置2を構成する。電源装置2は、電動モータを用いて走行する電気自動車や、エンジンと電動モータを併用して走行するハイブリッド自動車等の各種車両に搭載されて用いられ、電動モータに動力を供給するものである。
【0023】
電池集合体1は、一方向に沿って一列に配列された複数の単電池3で構成されている。各単電池3は、直方体状に形成され、上面の一端寄り及び他端寄りからそれぞれ突出して設けられた一対の電極5を備えている。一対の電極5のうち一方は正極であり、他方は負極である。
【0024】
電池集合体1は、互いに隣り合う複数個(本例では4個)の単電池3が1セットとされて電極5の極が揃えられており、バスバーモジュール10は、後述するバスバー50によって単電池3の各セットを直列に接続する。
【0025】
図2は、本実施形態に係るバスバーモジュールの分解斜視図である。
図2に示すように、バスバーモジュール10は、ケース20と、バスバー50と、複数の電線61からなるワイヤハーネス60と、を備えている。
【0026】
ケース20は、例えば、電気絶縁性の合成樹脂等によって成形されており、複数のバスバー収容部21を有している。
【0027】
バスバー収容部21は、複数の単電池3の配列方向に沿って二列に並べられている。バスバー収容部21は、枠状に形成されており、このバスバー収容部21内にバスバー50が収容される。
【0028】
二列のバスバー収容部21の間には、第1電線配索溝部31A及び第2電線配索溝部31Bが設けられている。これらの第1電線配索溝部31A及び第2電線配索溝部31Bは、それぞれバスバー収容部21の列に沿ってケース20の長手方向にわたって形成されている。また、第1電線配索溝部31Aと第2電線配索溝部31Bとの間には、第1電線渡し部33A、第2電線渡し部33B及び第3電線渡し部33Cが設けられている。
【0029】
第1電線渡し部33Aは、ケース20における一端20A近傍に設けられ、第2電線渡し部33Bは、ケース20における中間に設けられ、第3電線渡し部33Cは、ケース20における他端20B近傍に設けられている。図1に示すように、ケース20には、その上方からカバー25が装着される。そして、このカバー25をケース20に装着することにより、第1電線配索溝部31A、第2電線配索溝部31B、第1電線渡し部33A、第2電線渡し部33B及び第3電線渡し部33Cがカバー25によって覆われる。
【0030】
また、ケース20は、電線取出部35を有している。この電線取出部35は、第1電線配索溝部31Aにおける第1電線渡し部33Aと第2電線渡し部33Bとの間に設けられている。この電線取出部35には、その上方から電線押えカバー36が装着可能とされている。
【0031】
図2に示すように、ワイヤハーネス60を構成する複数の電線61は、端部に接続端子62が接続された電圧検出用の電線や、端部にサーミスタ63が接続された温度測定用の電線である。接続端子62は、各バスバー50とともに単電池3の電極5に共締めされ、バスバー50に電気的に接続される。また、サーミスタ63は、電池集合体1の特定の単電池3に接触されて単電池3の温度を測定する。このワイヤハーネス60は、各電線61が電圧監視回路及び温度監視回路を備えた制御回路基板(図示略)に接続される。
【0032】
ワイヤハーネス60の電線61は、第1電線配索溝部31A、第2電線配索溝部31B、第1電線渡し部33A、第2電線渡し部33B及び第3電線渡し部33Cに収容されて配索される。そして、それぞれの電線61は、第1電線配索溝部31Aに設けられた電線取出部35から外部に引き出される。
【0033】
バスバーモジュール10を構成するケース20は、長手方向の略中間部で分割されている。これにより、ケース20は、長手方向に分割された二つの分割ケース22,23から構成されている。これらの分割ケース22,23は、互いに連結されてケース20を構成する。
【0034】
次に、分割ケース22,23同士の連結構造について説明する。
図3は、分割ケース同士の連結箇所の斜視図である。図4は、分割ケース同士の連結箇所の平面図である。
【0035】
図3及び図4に示すように、互いに連結される分割ケース22,23は、第1連結部41と第2連結部45とを有している。
【0036】
第1連結部41は、ケース20のバスバー収容部21にそれぞれ設けられ、第2連結部45は、ケース20の第1電線配索溝部31A及び第2電線配索溝部31Bに設けられている。
【0037】
一つの第1連結部41に対して二つの第2連結部45は、ケース20の幅方向に隣り合う位置に設けられて並列に配置されている。また、他の第1連結部41は、互いにケース20の幅方向に隣り合う位置に設けられた一つの第1連結部41及び二つの第2連結部45に対して、ケース20の長手方向に僅かにずれた位置に配置されている。
【0038】
図5は、分割ケースの第1連結部及び第2連結部の斜視図である。図6の(a)は図4におけるA-A断面図、図6の(b)は図4におけるB-B断面図である。
図5及び図6の(a)に示すように、第1連結部41は、一方の分割ケース22のバスバー収容部21の端部に設けられたメスロック部42と、他方の分割ケース23のバスバー収容部21の端部に設けられたオスロック部43とから構成されている。
【0039】
メスロック部42は、一方の分割ケース22のバスバー収容部21の端面21aに設けられている。メスロック部42は、係止枠71を有している。係止枠71は、その両端部が固定部71aを介して端面21aに支持されており、端面21aに対して隙間Gをあけて平行に配置されている。また、端面21aには、係止枠71の両側に、支持部72を有している。これらの支持部72は、端面21aから突設されており、その上面は水平面からなる当接面72aとされている。さらに、メスロック部42は、係止枠71の両側における支持部72の下方側に収容凹部73を有している。この収容凹部73は、オスロック部43と連結した際に、オスロック部43の後述する弾性アーム75との対向位置に設けられている。また、メスロック部42は、その両側部に側壁74を有している。
【0040】
オスロック部43は、他方の分割ケース23のバスバー収容部21の端面21bに設けられている。オスロック部43は、帯状に形成された一対の弾性アーム75を有している。弾性アーム75は、一端が端面21bにおける下端近傍に連設されている。弾性アーム75は、一端側から上方へ屈曲されて延在され、他端が端面21bから離間する方向へ屈曲されている。これらの弾性アーム75の他端は、支持板部76に連設されている。支持板部76は、弾性アーム75に支持されて水平方向に沿って配置されている。この支持板部76には、その中間部に、下方へ向かって延在する係止板部77が一体に形成されている。この係止板部77には、その下端における端面21b側の面に、ロック爪78が突設されている。また、オスロック部43の支持板部76には、一対のスリット79が形成されている。これらのスリット79は、弾性アーム75側にそれぞれ形成されている。このように、オスロック部43では、係止板部77と弾性アーム75との間にスリット79を有することから、弾性アーム75が係止板部77から離間した位置に配置されている。
【0041】
図5及び図6の(a)に示すように、第2連結部45は、一方の分割ケース22の第1電線配索溝部31A及び第2電線配索溝部31Bの端部に設けられたメスロック部46と、他方の分割ケース23の第1電線配索溝部31A及び第2電線配索溝部31Bの端部に設けられたオスロック部47とから構成されている。
【0042】
メスロック部46は、上方及び前方が開放された係合凹部81を有している。係合凹部81は、その両側壁81aに、内方へ突出する係止爪82が形成されている。また、係合凹部81には、その底壁81bに、上方へ突出する係合突部83が形成されている。
【0043】
オスロック部47は、平板状に形成された係合板部85を有している。この係合板部85は、メスロック部46の係合凹部81に嵌合可能な幅寸法を有している。この係合板部85には、幅方向の中央部に、長孔からなる係合孔部86が長手方向に沿って形成されている。
【0044】
次に、分割ケース22,23を互いに連結させてケース20を構成する場合について説明する。
図7は、連結された状態の分割ケースの第1連結部及び第2連結部を示す平面図である。図8の(a)は図7におけるC-C断面図、図8の(b)は図7におけるD-D断面図である。
【0045】
分割ケース22,23を互いに連結させるには、第1連結部41のメスロック部42とオスロック部43とを互いに係合させるとともに、第2連結部45のメスロック部46とオスロック部47とを互いに係合させる。
【0046】
図7及び図8の(a)に示すように、第1連結部41では、メスロック部42の端面21aと係止枠71との隙間Gに、その上方からオスロック部43の係止板部77を挿し込む。すると、隙間Gに挿し込まれた係止板部77のロック爪78が係止枠71の下縁を係止する。これにより、メスロック部42とオスロック部43とが互いに係合される。この係合状態において、オスロック部43の支持板部76がメスロック部42の支持部72の当接面72aに当接される。さらに、メスロック部42の収容凹部73との対向位置にオスロック部43の弾性アーム75が配置される。また、メスロック部42の係止枠71にオスロック部43の係止板部77のロック爪78を係止させた状態で、オスロック部43がメスロック部42の側壁74の間に嵌め込まれた状態となる。
【0047】
図7及び図8の(b)に示すように、第2連結部45では、メスロック部46の係合凹部81に、その上方からオスロック部47の係合板部85が嵌め込まれる。すると、係合凹部81に嵌め込まれた係合板部85の係合孔部86に係合突部83が挿し込まれるとともに、係合板部85の両側部が係止爪82によって係止される。この状態で、係合板部85が係合凹部81の側壁81aの間に嵌め込まれた状態となる。
【0048】
これにより、分割ケース22,23が、第1連結部41及び第2連結部45で互いに連結されてケース20とされる。
【0049】
ところで、ケースが複数の分割ケースに分割されたバスバーモジュールでは、分割ケース同士の連結部でのガタつきによって、分割ケース同士に面方向の捻じれが生じ、分割ケースのバスバーを収容する収容部同士の間に大きなガタつきが生じてしまう。すると、単電池の電極に対してバスバーを円滑に位置合わせして組み付けることが困難となる場合がある。
【0050】
本実施形態に係るバスバーモジュール10によれば、バスバー収容部21同士の間を連結する第1連結部41を有し、また、第1電線配索溝部31A及び第2電線配索溝部31Bを連結する第2連結部45を有しているので、分割ケース22,23のバスバー収容部21との間でのガタつきを抑えることができる。しかも、分割ケース22,23のバスバー収容部21同士を連結する第1連結部41に対して、第2連結部45がケース20の幅方向に隣り合う位置に設けられている。これにより、第1連結部41に対して第2連結部45が近い位置に配置されることとなり、バスバー収容部21同士を連結する第1連結部41において、分割ケース22,23同士の面方向の捻じれを第2連結部45で効果的に抑制させることができる。したがって、電池集合体1を構成する単電池3の電極5に対するバスバー収容部21に収容させたバスバー50の位置ずれを抑えることができ、よって、電池集合体1へ良好かつ円滑に組付けることができる。
【0051】
しかも、第1連結部41では、メスロック部42の側壁74の間にオスロック部43が嵌め込まれ、また、第2連結部45では、メスロック部46の側壁81aの間にオスロック部47が嵌め込まれる。これにより、分割ケース22,23同士が面方向に捻じれようとすると、オスロック部43が側壁74に当接するとともに、オスロック部47が側壁81aに当接し、分割ケース22,23の面方向の捻じれが抑制される。したがって、電池集合体1へさらに良好に組付けることができる。
【0052】
また、本実施形態に係るバスバーモジュール10によれば、第1連結部41のオスロック部43の支持板部76には、係止板部77における弾性アーム75側にスリット79がそれぞれ形成されている。したがって、オスロック部43の支持板部76の剛性を下げることができる。これにより、単電池3同士の電極5の配列ピッチの公差を、分割ケース22,23同士の第1連結部41において十分に吸収することができ、電池集合体1へ良好かつ円滑に組付けることができる。
【0053】
しかも、メスロック部42が、係止枠71の両側における弾性アーム75との対向位置に、弾性変形される弾性アーム75を収容可能な収容凹部73を有している。ここで、オスロック部43では、係止板部77と弾性アーム75との間にスリット79を設けたことで係止板部77に対して弾性アーム75が離間した位置に配置されている。これにより、メスロック部42では、係止枠71の両側における弾性アーム75との対向位置に収容凹部73を無理なく設けることができる。そして、この収容凹部73をメスロック部42に設けることで、弾性アーム75がメスロック部42側へ弾性変形されると、収容凹部73に弾性アーム75が収容される。したがって、分割ケース22,23同士の第1連結部41での公差の吸収範囲を拡大することができ、電池集合体1へさらに良好かつ円滑に組付けることができる。
【0054】
また、メスロック部42の係止枠71にオスロック部43の係止板部77のロック爪78を係止させると、オスロック部43の支持板部76がメスロック部42の当接面72aに突き当てられる。これにより、長手方向を軸とした分割ケース22,23同士の捻じれを抑制することができ、電池集合体1へさらに良好に組付けることができる。
【0055】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0056】
ここで、上述した本発明に係るバスバーモジュールの実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[6]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 複数の単電池(3)で構成された電池集合体(1)に組付けられるケース(20)と、前記ケース(20)に支持され、前記電池集合体(1)の前記単電池(3)の電極(5)に電気的に接続されるバスバー(50)と、前記ケース(20)に配索される複数の電線(61)と、を備えたバスバーモジュール(10)であって、
前記ケース(20)は、前記単電池(3)の配列方向に分割されて互いに連結される複数の分割ケース(22,23)から構成され、
前記分割ケース(22,23)は、前記バスバー(50)が収容されるバスバー収容部(21)同士を連結する第1連結部(41)と、前記電線(61)が配索される電線配索溝部(第1電線配索溝部31A,第2電線配索溝部31B)同士を連結する第2連結部(45)と、を有し、
前記第1連結部(31)に対して前記第2連結部(45)が前記ケース(20)の幅方向に隣り合う位置に設けられている、ことを特徴とするバスバーモジュール。
[2] 前記バスバー収容部(21)及び前記電線配索溝部(第1電線配索溝部31A,第2電線配索溝部31B)がそれぞれ複数列設けられ、
前記バスバー収容部(21)を連結する少なくとも一つの前記第1連結部(41)に対して、前記電線配索溝部(第1電線配索溝部31A,第2電線配索溝部31B)を連結する少なくとも一つの前記第2連結部(45)が前記ケース(20)の幅方向に隣り合う位置に設けられている、ことを特徴とする[1]に記載のバスバーモジュール。
[3] 前記第1連結部(41)及び前記第2連結部(45)は、
一方の前記分割ケース(22)に設けられたメスロック部(42,46)と、
他方の前記分割ケース(23)に設けられて前記メスロック部(42,46)を係止するオスロック部(43,47)と、
を有し、
前記第1連結部(41)及び前記第2連結部(45)の少なくとも一方は、前記メスロック部(42,46)が互いに前記ケース(20)の幅方向に間隔をあけて対向された側壁(74,81a)を有し、前記オスロック部(43,47)が前記メスロック部(42,46)の前記側壁(74,81a)の間に嵌め込まれる、ことを特徴とする[1]または[2]に記載のバスバーモジュール。
[4] 前記第1連結部(41)は、
前記メスロック部(42)が、前記分割ケース(22)の端面(21a)に対して隙間(G)をあけて設けられた係止枠(71)を有し、
前記オスロック部(43)が、前記分割ケース(23)の端面(21b)から延びて二か所で逆方向に屈曲された一対の弾性アーム(75)と、前記弾性アーム(75)の端部に架け渡された支持板部(76)と、前記支持板部(76)に形成されて前記メスロック部(42)の前記隙間(G)に挿し込まれる係止板部(77)と、前記係止板部(77)に設けられ、前記隙間(G)に前記係止板部(77)が挿し込まれることにより前記係止枠(71)を係止するロック爪(78)と、を有し、
前記オスロック部(43)の前記支持板部(76)には、前記係止板部(77)における前記弾性アーム(75)側に、スリット(79)がそれぞれ形成されている、ことを特徴とする[3]に記載のバスバーモジュール。
[5] 前記第1連結部(41)の前記メスロック部(42)は、前記係止枠(71)の両側における前記弾性アーム(75)との対向位置に、弾性変形される前記弾性アーム(75)を収容可能な収容凹部(73)を有する、ことを特徴とする[4]に記載のバスバーモジュール。
[6] 前記第1連結部(41)の前記メスロック部(42)は、前記ロック爪(78)が前記係止枠(71)を係止した前記オスロック部(43)の前記支持板部(76)が突き当てられる当接面(72a)を有する、ことを特徴とする[4]または[5]に記載のバスバーモジュール。
【符号の説明】
【0057】
1:電池集合体
3:単電池
5:電極
10:バスバーモジュール
20:ケース
21:バスバー収容部
21a,21b:端面
22,23:分割ケース
31A:第1電線配索溝部(電線配索溝部)
31B:第2電線配索溝部(電線配索溝部)
41:第1連結部
42:メスロック部
43:オスロック部
45:第2連結部
46:メスロック部
47:オスロック部
50:バスバー
60:ワイヤハーネス
61:電線
71:係止枠
72a:当接面
73:収容凹部
74:側壁
75:弾性アーム
76:支持板部
77:係止板部
78:ロック爪
79:スリット
81a:側壁
G:隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8