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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】積層型熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28D 7/16 20060101AFI20240319BHJP
   F28F 9/02 20060101ALI20240319BHJP
   F28F 9/26 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
F28D7/16 B
F28F9/02 E
F28F9/26
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020033631
(22)【出願日】2020-02-28
(65)【公開番号】P2021135026
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2023-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000222484
【氏名又は名称】株式会社ティラド
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】小林 俊道
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸丸 直哉
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-025649(JP,A)
【文献】特表2014-524005(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 7/16
F28F 9/02
F28F 9/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する一対の平面部(1a)と、両平面部(1a)間を連結する一対の側部(1b)とにより偏平チューブ(1)が形成され、夫々の平面部(1a)が平行に位置するように多数の偏平チューブ(1)が積層されてコアを形成し、
コアの外周に沿ってケーシングが被嵌され、各偏平チュー(1)内にガス流路が形成されると共に、各チューブ(1)の外周とケーシングとの間に冷媒流路が形成され、ガス流路に流通するガスと冷媒流路に流通する冷媒との間に熱交換が行われる熱交換器において、
それぞれ前記偏平チューブ(1)の積層体よりなる第1コア(2a)と、第2コア(2b)とを設け、
第1コア(2a)と、第2コア(2b)とを前記積層方向に並べ、第2コア(2b)寄りの第1コア(2a)の端部に位置する平面部(1a)と、第1コア(2a)寄りの第2コア(2b)の端部に位置する平面部(1a)との間にそれら平面部(1a)と平行に配置され、第2コア(2b)寄りの第1コア(2a)の端部に位置する平面部(1a)との間に第1冷媒流路(6a)を形成すると共に、第1コア(2a)寄りの第2コア(2b)の端部に位置する平面部(1a)との間に第2冷媒流路(6b)を形成し、さらに、第1コア(2a)の各チューブ(1)の外周とケーシング(4)との間に形成された第1冷媒流路と(6a)、第2コア(2b)の各チューブ(1)の外周とケーシング(4)との間に形成された第2冷媒流路(6b)とを分離する仕切板(3)を設け、
前記ケーシング(4)は、前記仕切板(3)を中間に位置して前記両コア(2a)(2b)の外周全体を被嵌しており、
ガス(17)の流れが、第1コア(2a)の第1ガス流路(5a)から第2コア(2b)の第2ガス流路(5b)へ反転され、
冷媒(16)の流れ、第1コア(2a)の第1冷媒流路(6a)から第2コア(2b)の第2冷媒流路(6b)へ反転する連絡路(8)が設けられ、
前記仕切板(3)には、その仕切板(3)の両面に隣接する第1冷媒流路(6a)及び第2冷媒流路(6b)のうち、仕切板(3)に隣接する一方の冷媒流路を拡張し、他方の冷媒流路を縮小する膨出部(3d)が設けられた積層型熱交換器。
【請求項2】
請求項1に記載の積層型熱交換器において、
前記仕切板(3)の断面が皿状に形成されており、
前記膨出部(3d)は、第1コア(2a)側から第2コア(2b)側に向けて膨出している積層型熱交換器。
【請求項3】
請求項1または請求項2のいずれかに記載の積層型熱交換器において、
前記仕切板(3)の膨出部(3d)に、その膨出部(3d)の膨出向きと逆方向に突出するディンプル(3e)が設けられた積層型熱交換器。
【請求項4】
請求項3に記載の積層型熱交換器において、
前記第1コア(2a)及び第2コア(2b)を形成する偏平チューブ(1)の平面部(1a)には、偏平チューブ(1)の外面側に向けて複数のディンプル(18)が突設されており、
前記仕切板(3)の膨出部(3d)に形成されたディンプル(3e)が、仕切板(3)の膨出部(3d)の膨出側に隣接する偏平チューブ(1)に設けられたディンプル(18)と同じ位置にある積層型熱交換器。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の積層型熱交換器において、
前記第1コア(2a)の第1ガス流路(5a)の一端と、前記第2コア(2b)の第2ガス流路(5b)の一端との間が、ガス(17)の流れを反転させるガス流れ反転部材(7)で連結されており、
前記仕切板(3)は、その外周縁の一部に前記ケーシング(4)の内面と接触しない縁(3c)を有し、前記縁(3c)とケーシング(4)との間に前記連絡路(8)が形成されている積層型熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の内燃機関等に用いられる熱交換器に最適なものに関し、特に、仕切板によって2つのコアを積層方向に分離した熱交換器に発生する熱応力低減に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1および特許文献2に記載の熱交換器は、偏平チューブの積層体からなるコアを有し、そのコア全体をカバーで被嵌したものである。各偏平チューブ内にガスが流通するガス流路が形成され、カバーと各偏平チューブの外面との間に冷媒流路が形成され、ガスと冷媒との間に熱交換を行うものである。
特許文献1、特許文献2に記載された熱交換器は、ガスのみがU字状タンクで反転され、ガス流路が2パスに形成される。一方、冷媒流路はUターンすることなく、1パスに流通する。
冷媒流路が1パスの場合、冷媒の出入口となる一対のパイプが離間して配置されることになり、一対のパイプを近接して配置する必要がある場合、その要望に対応できない欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-88010号公報
【文献】特許第6276054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この欠点を解決し、更に冷媒流れ反転構造を省スペース化するための構造として、発明者は図6に記載の積層型熱交換器を考案している。
この積層型熱交換器は、偏平チューブ1の積層体からなる第1コア2a及び第2コア2bを有し、その両コア2a、2bとの間を、偏平チューブ1の積層方向に分離して、偏平チューブ1の平面部1aに平行に仕切板3が配置されている。この仕切板3を両コア2a、2bの中間に配置した状態で、その両コア2a、2bの外周全体を1つのケーシング4で被嵌している。そして、仕切板3とケーシング4の内面側との間の一部に冷媒流れ反転構造を設け、冷媒流路側を2パス化している。
このような構造により、ガス流路側及び冷媒流路側をともに2パスに流通させることができ、更に、冷媒流れ反転構造の省スペース化を図ることができる。
なお、図6の構造は、本発明者が本願発明を創作するに当たり、その過程で考案したものであり、従来技術ではない。
【0005】
しかしながら、上記図6の積層型熱交換器において、仕切板3を介し、第1コア2aと第2コア2bが隣接するため、その仕切板3の近傍部分の温度差が大きいことから、仕切板3の近傍に配置されている各コア2a、2bの偏平チューブ1に熱応力が生じ破損に至るおそれがある。
本発明は、上記の問題点を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の本発明は、対向する一対の平面部1aと、両平面部1a間を連結する一対の側部1bとにより偏平チューブ1が形成され、夫々の平面部1aが平行に位置するように多数の偏平チューブ1が積層されてコアを形成し、
コアの外周に沿ってケーシングが被嵌され、各偏平チュー1内にガス流路が形成されると共に、各チューブ1の外周とケーシングとの間に冷媒流路が形成され、ガス流路に流通するガスと冷媒流路に流通する冷媒との間に熱交換が行われる熱交換器において、
それぞれ前記偏平チューブ1の積層体よりなる第1コア2aと、第2コア2bとを設け、
第1コア2aと、第2コア2bとを前記積層方向に並べ、第2コア2b寄りの第1コア2aの端部に位置する平面部1aと、第1コア2a寄りの第2コア2bの端部に位置する平面部1aとの間にそれら平面部1aと平行に配置され、第2コア2b寄りの第1コア2aの端部に位置する平面部1aとの間に第1冷媒流路6aを形成すると共に、第1コア2a寄りの第2コア2bの端部に位置する平面部1aとの間に第2冷媒流路6bを形成し、さらに、第1コア2aの各チューブ1の外周とケーシング4との間に形成された第1冷媒流路6aと、第2コア2bの各チューブ1の外周とケーシング4との間に形成された第2冷媒流路6bとを分離する仕切板3を設け、
前記ケーシング4は、前記仕切板3を中間に位置して前記両コア2a、2bの外周全体を被嵌しており、
ガス17の流れが、第1コア2aの第1ガス流路5aから第2コア2bの第2ガス流路5bへ反転され、
冷媒16の流れ、第1コア2aの第1冷媒流路6aから第2コア2bの第2冷媒流路6bへ反転する連絡路8が設けられ、
前記仕切板3には、その仕切板3の両面に隣接する第1冷媒流路6a及び第2冷媒流路6bのうち、仕切板3に隣接する一方の冷媒流路を拡張し、他方の冷媒流路を縮小する膨出部3dが設けられた積層型熱交換器である。
【0007】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の積層型熱交換器において、
前記仕切板3の断面が皿状に形成されており、
前記膨出部3dは、第1コア2a側から第2コア2b側に向けて膨出している積層型熱交換器である。
【0008】
請求項3に記載の本発明は、請求項1または請求項2のいずれかに記載の積層型熱交換器において、
前記仕切板3の膨出部3dに、その膨出部3dの膨出向きと逆方向に突出するディンプル3eが設けられた積層型熱交換器である。
【0009】
請求項4に記載の本発明は、請求項3に記載の積層型熱交換器において、
前記第1コア2a及び第2コア2bを形成する偏平チューブ1の平面部1aには、偏平チューブ1の外面側に向けて複数のディンプル18が突設されており、
前記仕切板3の膨出部3dに形成されたディンプル3eが、仕切板3の膨出部3dの膨出側に隣接する偏平チューブ1に設けられたディンプル18と同じ位置にある積層型熱交換器である。
【0010】
請求項5に記載の本発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の積層型熱交換器において、
前記第1コア2aの第1ガス流路5aの一端と、前記第2コア2bの第2ガス流路5bの一端との間が、ガス17の流れを反転させるガス流れ反転部材7で連結されており、
前記仕切板3は、その外周縁の一部に前記ケーシング4の内面と接触しない縁3cを有し、前記縁3cとケーシング4との間に連絡路8が形成されており、
冷媒16の流れが、前記連絡路8を介して、第1コア2aの第1冷媒流路6aから第2コア2bの第2冷媒流路6bへ反転されている積層型熱交換器である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の積層型熱交換器は、第1コア2aと第2コア2bとの間に、偏平チューブ1の積層方向に分離して、偏平チューブ1の平面部1aに平行に配置した仕切板3を有し、その仕切板3には、その仕切板3の両面に隣接する第1冷媒流路6a及び第2冷媒流路6bのうち、仕切板3に隣接する一方の冷媒流路を拡張し、他方の冷媒流路を縮小する膨出部3dを設けたものである。
このように、仕切板3に膨出部3dを設け、各コア2a、2bの仕切板3に隣接する偏平チューブとの間の流路を拡縮することで、仕切板3の近傍における第1冷媒流路6a及び第2冷媒流路6bの冷媒流量を調整する事ができる。
【0012】
請求項2に記載の積層型熱交換器は、仕切板3の断面が皿状に形成されており、その膨出部3dが第1コア2a側から第2コア2b側に向けて膨出しているものである。
この構造により、仕切板3とその仕切板3に隣接する第1コア2a側の偏平チューブ1との間の第1冷媒流路6aが拡張され、その拡張された部分の冷媒流量が流量を調整する前より多くなる。それにより、ガス入口側である第1コア2a側の仕切板3に隣接する偏平チューブ1の温度は、冷媒の流量を調整する前より、冷媒の温度に近づく。
また、仕切板3とその仕切板3に隣接する第2コア2b側の偏平チューブ1との間の第2冷媒流路6bは縮小され、その縮小された部分の冷媒流量が流量を調整する前より少なくなる。それにより、ガス出口側である第2コア2b側の仕切板3に隣接する偏平チューブ1の温度は、冷媒の流量を調整する前より、冷媒の温度に近づかなくなり、その偏平チューブ1の熱交換が抑制される。
その結果、仕切板3を挟んで隣接する第1コア2a側と第2コア2b側の偏平チューブ1の温度差が小さくなり、熱応力を低減することができる。
【0013】
請求項3に記載の積層型熱交換器は、仕切板3の膨出部3dに、その膨出部3dの膨出向きと逆方向に突出するディンプル3eが設けられたものである。
この構造により、仕切板3に隣接する第1冷媒流路6a及び第2冷媒流路6bにおける冷媒の撹拌が促進され、冷媒16と仕切板3に隣接する各コア2a、2bの偏平チューブ1との熱交換が促進される。
【0014】
請求項4に記載の積層型熱交換器は、仕切板3の膨出部3dに形成されたディンプル3eが、仕切板3の膨出部3dの膨出側に隣接する偏平チューブ1に設けられたディンプル18と同じ位置にあるものである。
この構造により、両ディンプル3e、18が重なるまで膨出部3dを第2コア2b側に膨出させることができ、第1コア2a側の第1冷媒流路6aをより拡張することで仕切板3に隣接する各コア2a、2bの偏平チューブ1の温度の調整範囲が広がり、熱応力を低減できる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、仕切板3は、その外周縁の一部にケーシング4の内面と接触しない縁3cを有し、その縁3cとケーシング4との間に連絡路8が形成されており、冷媒16の流れが、連絡路8を介して、第1コア2aの第1冷媒流路6aから第2コア2bの第2冷媒流路6bへ反転されているものである。
この構成により、冷媒の反転部をケーシングの内部に設けることができ、簡単な構造で省スペース化ができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施例の仕切板3を具備する積層型熱交換器の分解斜視図。
図2】同積層型熱交換器の断面図(A)及びB部拡大図(B)。
図3図2(A)のIII-III矢視断面図。
図4】本発明の第2実施例の仕切板3の平面図(A)、側面図(B)、並びに図4(A)のC-C矢視断面図(C)。
図5】本発明の第2実施例の仕切板3を具備する積層型熱交換器の断面図(A)及びB部拡大図(B)。
図6】本発明者が考案した積層型熱交換器の断面図(A)及びB部拡大図(B)。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、図面に基づいて、本発明の実施の形態につき、説明する。
図1図3は、本発明の第1実施例の仕切板3を具備する積層型熱交換器を示し、図1はその分解斜視図、図2(A)は同縦断面図、図2(B)は図2(A)のB部拡大図、図3図2(A)のIII-III矢視断面図である。
【0018】
この熱交換器は、それぞれ偏平チューブ1の積層体からなる第1コア2aと第2コア2bとを有する。各偏平チューブ1は、その横断面が矩形に形成されており、対向する一対の平面部1aと、その平面部1a間を連結する側部1bを有する。各コア2a、2bは、平面部1aが平行になるように積層される。
それらの各コア2a、2bが、後述の仕切板3を介して、さらに積層されて、積層コアが形成される。積層コアの外周がケーシング本体4aと蓋体4bとからなるケーシング4で被嵌される。
【0019】
この形態では、各偏平チューブ1の軸線方向の両端は、厚み方向に拡開され、その開口が方形となる拡開部1cが形成されている。そして、第1コア2a、第2コア2bはそれぞれ偏平チューブ1の拡開部1cにおいて、積層される。
第1コア2a、第2コア2bの軸線方向の両端には、一対のガスヘッダ13が被嵌されている。
【0020】
第1コア2a、第2コア2bを被嵌するケーシング4には、複数のケーシング膨出部20が形成されている。偏平チューブ1の平面部1aの4隅に配置されたケーシング膨出部20は、そのうちの1以上の隅部に連絡路8を構成するケーシング膨出部20を配置することが好ましい。この例では、後述にする第1冷媒流路6aの冷媒流れの下流側(又は、第2冷媒流路6bの冷媒流れの上流側)に相当する部分の2隅に、連絡路8を構成するケーシング膨出部20が形成されている。
また、各ケーシング膨出部20は、側部1bに平行で、且つケーシング4に一体に外側に膨出している。
【0021】
第1コア2aと第2コア2bとの間には、それらを積層方向に分離する仕切板3が、偏平チューブ1の平面部1aに平行に配置される。
仕切板3は、その平面において、2つの隅部(連絡路8以外のケーシング膨出部20に相当する位置)に、仕切板3の幅方向に突出する凸部3bを有し、ケーシング4の連絡路8を構成する2つの隅部には、ケーシング4と接触しない縁3cを有する。
そして、その連絡路8以外のケーシング膨出部20では、仕切板3の凸部3bがケーシング膨出部20の内面と接触し、ケーシング膨出部20内を積層方向に閉塞する。
図3に示す如く、仕切板3のケーシング4と接触しない縁3cとケーシング膨出部20とにより、第1冷媒流路6aと第2冷媒流路6bを連通する連絡路8が形成される。
【0022】
第1コア2a、第2コア2bの一方の端部間は、ガスヘッダ13を介して、ガス流れ反転部材7により連結される。この例では、ガス流れ反転部材7はU字状の幅広の管体で形成されている。さらに、第1コア2a、第2コア2bの他方の端部間は、フランジ9に接続される。フランジ9は、偏平チューブ1の積層方向の中間に架橋部9aが形成され、その内側に一対のガスヘッダ13の開口縁が接続される。
仕切板3は、第1コア2aのガスへッダ13と第2コア2bのガスへッダ13との間に、挟持されている。
【0023】
ケーシング4には、一対の冷媒パイプ14が突設される。
この例では、図1に示す如く、一方の冷媒パイプ14は、仕切板3で分離された第1コア2aの第1冷媒流路6aに連通し、第1冷媒流路6aの冷媒流れの上流側のケーシング膨出部20に突設されている。他方の冷媒パイプ14は、第2コア2bの第2冷媒流路6bに連通し、第2冷媒流路6bの冷媒流れの下流側で、一方の冷媒パイプ14と同一位置のケーシング膨出部20に突設されている。
【0024】
本発明の積層型熱交換器は、仕切板3の構造に特徴がある。
第1実施例の仕切板3は、図1及び図2に示す如く、その仕切板3の両面に隣接する第1冷媒流路6a及び第2冷媒流路6bのうち、仕切板3に隣接する一方の冷媒流路を拡張し、他方の冷媒流路を縮小する膨出部3dが形成されている。
その仕切板3の断面は、中央部がへこんだ皿状に形成されており、その膨出部3dは、第1コア2a側から第2コア2b側に向けて膨出している。この例では、図2に示す如く、第1コア2a側の仕切板3に隣接する第1冷媒流路6aを拡張し、第2コア2b側の仕切板3に隣接する第2冷媒流路6bを縮小している。
【0025】
このような仕切板3を具備する積層型熱交換器は、図2に示す如く、その積層型熱交換器の全体が重力方向に平行に位置され、ガス流れ反転部材7が下側に配置され、フランジ9が上側に配置される。
図2において、ガス17がフランジ9の架橋部9aの左上側から第1コア2aに流入する。そのガス17が偏平チューブ1の内部を下方へ流通して、ガス流れ反転部材7によりガス17の流れが上方に反転し、フランジ9の架橋部9aの右上側から流出する。
また、冷媒16は、第1冷媒流路6aと連通する左上側の冷媒パイプ14から流入し、第1コア2aの各偏平チューブ1の外面側を下方に流通する。その冷媒16の流れが、仕切板3の縁3c(図1参照)とケーシング4の内周との間に形成される連絡路8(図3参照)を流通することで、冷媒16の流れが上方に反転する。そして、第2コア2bの各偏平チューブ1の外面側を上方に流通して、それが第2冷媒流路6bと連通する右上側の冷媒パイプ14から流出する。
そして、冷媒16とガス17との間に熱交換が行われる。
【0026】
一例として、図2に示すように、冷媒流れとガス流れとは並行流とすることができる。その場合、ガスの流入口近傍に冷媒入口用の冷媒パイプ14を配管し、ガスの流出口近傍に冷媒出口用の冷媒パイプを配管すると、沸騰が起こりやすいガス入口側を集中的に冷却することができるため、沸騰を防止できる。
また、図1に示すように、仕切板3の側部端に空気抜き3aが欠設しておくと良い。この空気抜き3aは、積層型熱交換器を重力方向に平行に位置したとき、各コアの上端部に滞留する空気を一方のコアから他方のコアに流通させ、出口側の冷媒パイプ14から外部に滞留した空気を放出することができる。
【0027】
図2に示す如く、本発明の膨出部3dを有する仕切板3を第2コア2b側に膨出するように配置することにより、仕切板3に隣接する第1コア2a側の偏平チューブ1との間の第1冷媒流路6aが拡張され、その拡張された部分の冷媒流量が流量を調整する前より多くなる。それにより、ガス入口側である第1コア2a側の仕切板3に隣接する偏平チューブ1の温度は、冷媒の流量を調整する前より、冷媒の温度に近づく。
仕切板3に隣接する第2コア2b側の偏平チューブ1との間の第2冷媒流路6bは縮小され、その縮小された部分の冷媒流量が流量を調整する前より少なくなる。それにより、ガス出口側である第2コア2b側の仕切板3に隣接する偏平チューブ1の温度は、冷媒の流量を調整する前より、冷媒の温度に近づかなくなり、その偏平チューブ1の熱交換が抑制される。
その結果、仕切板3を挟んで隣接する第1コア2a側と第2コア2b側の偏平チューブ1の温度差が小さくなり、熱応力を低減することができる。
【0028】
次に、図4及び図5は、本発明の仕切板3の第2実施例であり、前記第1実施例と異なる点は、図4(C)に示す如く、仕切板3の膨出部3dに、その膨出部3dの膨出向きと逆方向に突出する複数のディンプル3eが設けられている点にある。そして、このディンプル3eは、図5(A)及び同図(B)に示すように、仕切板3の膨出部3dの膨出側に隣接する偏平チューブ1に設けられたディンプル18と同じ位置にある。
【0029】
このように仕切板3を形成することによって、仕切板3に隣接する第1冷媒流路6a及び第2冷媒流路6bにおける冷媒の撹拌が促進され、冷媒16と仕切板3に隣接する各コア2a、2bの偏平チューブ1との熱交換が促進される。
また、両ディンプル3e、18が重なるまで膨出部3dを第2コア2b側に膨出させることができ、第1コア2a側の第1冷媒流路6aをより拡張することで仕切板3に隣接する各コア2a、2bの偏平チューブ1の温度の調整範囲が広がり、熱応力を低減できる。
【0030】
本発明の積層型熱交換器の各コア2a、2bの構成、各コア2a、2bを形成する偏平チューブ1の構成、ケーシング4の構成、ガス流れ反転部材7の構成は、図示されているものに限定されるものではない。
例えば、第1コア2a、第2コア2bの軸線方向の両端にガスへッダ13を被嵌する替りに、コアを束ねる枠体を被嵌することもできる。また、ガス流れ反転部材7として、U字状の幅広の管体に替えて、湾曲したUターン部を有するタンクや、U字状のパイプを用いることもできる。
各偏平チューブ1の両端は、拡開部1cを有してなくともよい。その場合、一対のヘッダープレートの偏平孔に各偏平チューブ1を挿通し、各ヘッダープレートにそれぞれヘッダ本体が取付けられる。
また、仕切板3の空気抜き3a、ケーシング4の内面に接触しない縁3、ディンプル3eについて、それらを形成する位置、それらの数、それらの形状等は、図示されている内容及び上記で説明した内容に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0031】
1 偏平チューブ
1a 平面部
1b 側部
1c 拡開部
2a 第1コア
2b 第2コア
【0032】
3 仕切板
3a 空気抜き
3b 凸部
3c 縁
3d 膨出部
3e ディンプル
【0033】
4 ケーシング
4a ケーシング本体
4b 蓋体
5a 第1ガス流路
5b 第2ガス流路
6a 第1冷媒流路
6b 第2冷媒流路
7 ガス流れ反転部材
8 連絡路
9 フランジ
9a 架橋部
【0034】
13 ガスヘッダ
14 冷媒パイプ
16 冷媒
17 ガス
18 ディンプル
20 ケーシング膨出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6