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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】回路モジュール
(51)【国際特許分類】
   H05K 9/00 20060101AFI20240319BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20240319BHJP
   H01L 23/00 20060101ALI20240319BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20240319BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20240319BHJP
   H05K 3/28 20060101ALN20240319BHJP
【FI】
H05K9/00 R
H05K1/02 N
H05K1/02 P
H01L23/00 C
H01L23/30 D
H01L23/30 R
H05K3/28 G
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020060436
(22)【出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2021158325
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000237606
【氏名又は名称】加賀FEI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】市川 洋平
(72)【発明者】
【氏名】吉井 豊
(72)【発明者】
【氏名】石田 晋一
【審査官】原田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/106599(WO,A1)
【文献】特開2005-317935(JP,A)
【文献】特開2004-095607(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 9/00
H05K 1/02
H01L 23/00
H01L 23/29
H05K 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の回路領域と第2の回路領域とを有する部品実装面と、前記部品実装面に設けられ前記第1の回路領域を区画する第1の導体パターンと、前記部品実装面に設けられ前記第2の回路領域を区画する第2の導体パターンと、を有する回路基板と、
前記第1の回路領域および前記第2の回路領域に搭載された複数の実装部品と、
前記第1の回路領域および前記第2の回路領域に設けられ前記複数の実装部品を被覆する封止体と、
前記封止体の天面に設けられた第1の外部シールド部と、前記第1の外部シールド部を前記第1の導体パターンに接続し、少なくとも一部が前記封止体の内部に配置された第1の内部シールド部とを有する、導電性材料で構成された第1シールドと、
前記封止体の天面に設けられた第2の外部シールド部と、前記第2の外部シールド部を前記第2の導体パターンに接続し、少なくとも一部が前記封止体の内部に配置された第2の内部シールド部とを有し、導電性材料で構成され、前記第1シールドと電気的に分離された第2シールドと
を具備し、
前記回路基板は、前記第1の導体パターンに接続される第1のグランド配線と、前記第2の導体パターンに接続され前記第1のグランド配線と電気的に分離された第2のグランド配線と、をさらに有する
回路モジュール。
【請求項2】
請求項に記載の回路モジュールであって、
前記第1の内部シールド部は、前記第1の外部シールド部から前記部品実装面に向かって垂下する少なくとも4側面を有する筒形状に形成され、
前記第2の内部シールド部は、前記第2の外部シールド部から前記部品実装面に向かって垂下する少なくとも4側面を有する筒形状に形成される
回路モジュール。
【請求項3】
請求項に記載の回路モジュールであって、
前記第1の内部シールド部および前記第2の内部シールド部の少なくとも4側面は、前記封止体で被覆される
回路モジュール。
【請求項4】
請求項1~のいずれか1つに記載の回路モジュールであって、
前記第1の外部シールド部は、前記第1の内部シールド部よりも前記第1の回路領域の外側に向かって延びる延長部を有し、
前記第2の外部シールド部は、前記第2の内部シールド部よりも前記第2の回路領域の外側に向かって延びる延長部を有する
回路モジュール。
【請求項5】
請求項1~のいずれか1つに記載の回路モジュールであって、
前記封止体は、前記天面に設けられ前記第1の外部シールド部と前記第2の外部シールド部とを相互に分離する溝部を有する
回路モジュール。
【請求項6】
請求項に記載の回路モジュールであって、
前記溝部は、前記天面から前記部品実装面に到達する深さで形成される
回路モジュール。
【請求項7】
請求項1~のいずれか1つに記載の回路モジュールであって、
前記第1の回路領域にはデジタル回路が形成され、前記第2の回路領域にはアナログ回路が形成される
回路モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実装部品が回路基板に実装され、封止された回路モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル回路とアナログ回路とが混在して実装された回路基板が広く用いられている。このような回路基板において、アナログ回路の信号はそれぞれの周波数成分が時々刻々と連続的に変化しており、これを忠実にデジタル回路部あるいは外部部品に伝送する必要がある。一方、デジタル回路はアナログ回路に比べ信号レベルが高く、かつパルスのため高調波成分が多い。したがって、アナログ回路は、デジタル回路からの信号が混入するのを防止する必要がある。そのため、デジタル回路とアナログ回路とを分離して実装した回路基板が広く用いられている。
【0003】
回路モジュール内外の電磁波に起因する障害(電磁障害)を防止するため、金属ケースによる電磁シールドを形成する構成、あるいは、実装部品を被覆する封止体上に電磁シールドを形成する構成が採用される。金属ケースによる電磁シールドを形成する場合、基板表面に金属ケース装着のためのハンダ付けランドが必要になるため、回路モジュールの小型化には支障があった。一方、実装部品を被覆する封止体上に電磁シールドを形成する場合、実装部品間の電磁障害を防止するため、実装部品間を隔てるように内部シールドを配設した回路モジュールも開発されている。また、実装部品は上述のように封止体によって被覆されているため、封止体を部分的に除去してトレンチ(溝)を形成し、当該トレンチ内に導電体を形成することにより上記内部シールドとすることができる。
【0004】
例えば、複数の実装部品を被覆する封止体に、回路基板内部までトレンチが形成され、当該トレンチ内に導電体が形成された回路モジュールが知られている(例えば特許文献1参照)。また、実装部品を被覆する封止体上に、回路基板表層配線層までのトレンチが形成され、当該トレンチ内に導電体が形成された回路モジュールが知られている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-225620号公報
【文献】特開2015-53298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した構成の回路モジュールでは、デジタル回路部の電磁シールドとアナログ回路部の電磁シールドが電気的に結合しているため、電磁シールドを介してアナログ回路へデジタル回路からの信号が混入するおそれがある。
【0007】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、基板上の複数の回路領域間における信号の混入を防ぐことができる回路モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一形態に係る回路モジュールは、回路基板と、複数の電子部品と、封止体と、第1シールドと、第2シールドとを具備する。
前記回路基板は、部品実装面と、第1の導体パターンと、第2の導体パターンとを有する。前記部品実装面は、第1の回路領域と第2の回路領域とを有する。前記第1の導体パターンは、前記部品実装面に設けられ、前記第1の回路領域を区画する。前記第2の導体パターンは、前記部品実装面に設けられ、前記第2の回路領域を区画する。
前記複数の電子部品は、前記第1の回路領域および前記第2の回路領域に搭載される。
前記封止体は、前記第1の回路領域および前記第2の回路領域に設けられ、前記複数の実装部品を被覆する。
前記第1シールドは、導電性材料で構成される。前記第1シールドは、第1の外部シールド部と、第1の内部シールド部とを有する。前記第1の外部シールド部は、前記封止体の天面に設けられる。前記第1の内部シールド部は、前記第1の外部シールド部を前記第1の導体パターンに接続し、少なくとも一部が前記封止体の内部に配置される。
前記第2シールドは、導電性材料で構成され、前記第1シールドと電気的に分離される。前記第2シールドは、第2の外部シールド部と、第2の内部シールド部とを有する。前記第2の外部シールド部は、前記封止体の天面に設けられる。前記第2の内部シールド部は、前記第2の外部シールド部を前記第2の導体パターンに接続し、少なくとも一部が前記封止体の内部に配置される。
【0009】
前記回路基板は、前記第1の導体パターンに接続される第1のグランド配線と、前記第2の導体パターンに接続され前記第1のグランド配線と電気的に分離された第2のグランド配線と、をさらに有してもよい。
【0010】
前記第1の内部シールド部は、前記第1の外部シールド部から前記部品実装面に向かって垂下する少なくとも4側面を有する筒形状に形成されてもよい。同様に、前記第2の内部シールド部は、前記第2の外部シールド部から前記部品実装面に向かって垂下する少なくとも4側面を有する筒形状に形成されてもよい。
【0011】
前記第1の内部シールド部および前記第2の内部シールド部の少なくとも4側面は、前記封止体で被覆されてもよい。
【0012】
前記第1の外部シールド部は、前記第1の内部シールド部よりも前記第1の回路領域の外側に向かって延びる延長部を有してもよい。同様に、前記第2の外部シールド部は、前記第2の内部シールド部よりも前記第2の回路領域の外側に向かって延びる延長部を有してもよい。
【0013】
前記封止体は、前記天面に設けられ前記第1の外部シールド部と前記第2の外部シールド部とを相互に分離する溝部を有してもよい。
【0014】
前記溝部は、前記天面から前記部品実装面に到達する深さで形成されてもよい。
【0015】
前記第1の回路領域にはデジタル回路が形成され、前記第2の回路領域にはアナログ回路が形成されてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、基板上の複数の回路領域間における信号の混入を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1の実施形態に係る回路モジュールの斜視図である。
図2】上記回路モジュールの平面図である。
図3図2におけるA-A線方向の断面図である。
図4図1に示す回路モジュールの製造方法を示す工程図である。
図5図1に示す回路モジュールの製造方法を示す工程図である。
図6】本発明の第2の実施形態に係る回路モジュールの斜視図である。
図7図6の回路モジュールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態に係る回路モジュールについて説明する。
【0019】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の一実施形態に係る回路モジュール100を示す斜視図である。図2は、回路モジュール100の平面図である。図3は、図2におけるA-A線断面図である。
各図において、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は互いに直交する方向を示し、Z軸方向は回路モジュールの厚み方向(上下方向)に相当する。
以下、図1図3を参照して、回路モジュール100の構成について説明する。
【0020】
[回路モジュールの構成]
本実施形態の回路モジュール100は、回路基板10と、複数の実装部品(21,22)と、封止体30と、第1シールド41と、第2シールド42とを備える。
【0021】
回路モジュール100は、回路基板10の部品実装面B上に第1の実装部品21および第2の実装部品22が実装され、それらを被覆するように封止体30と第1および第2シールド41,42が形成される。複数の実装部品は、第1および第2の実装部品21に限られず、3つ以上であってもよい。回路モジュール100の大きさや形状は特に限定されないが、例えば、数十mm角で厚さ数mmの直方体形状であるものとすることができる。
【0022】
(回路基板)
回路基板10は、多層配線基板である。回路基板10の配線層を構成する材料は、典型的には銅箔等の金属箔で構成される。各層の配線層は、それぞれ所定形状の配線パターンで構成される。回路基板10の絶縁層を構成する材料は、典型的にはガラスエポキシ系材料が適用されるが、これに限定されず、例えば絶縁性セラミック材料等も採用可能である。
【0023】
回路基板10の表面(図1において上面)は、第1および第2の実装部品21,22が実装される部品実装面Bを形成する。部品実装面Bは、第1の回路領域B1と、第2の回路領域B2とを有する(図2参照)。図3に示すように、第1の回路領域B1には第1の実装部品21が搭載される複数のランド部111が設けられ、第2の回路領域B2には第2の実装部品21が搭載される複数のランド部112が設けられる。ランド部111,112は、図3において回路基板10の最上層に位置する配線パターンの一部として形成される。
【0024】
一方、回路基板10の裏面(図1において下面)には図示しないマザーボードに電気的に接続される複数の外部接続端子113が設けられる。外部接続端子113は、図3において回路基板10の最下層に位置する配線パターンの一部として形成される。さらに、回路基板10の内部には、表面のランド部111,112と裏面の外部接続端子113との間を電気的に接続する複数の配線層114が形成される。
【0025】
第1の回路領域B1および第2の回路領域B2は、それぞれが独立した電気回路の一部を構成する。電気回路は、アナログ回路であってもよいし、デジタル回路であってもよい。本実施形態では、第1の回路領域B1がデジタル回路の少なくとも一部を構成しており、第2の回路領域B2はアナログ回路の少なくとも一部を構成している。
【0026】
部品実装面Bには、第1の回路領域B1を区画する第1の導体パターン121と、第2の回路領域B2を区画する第2の導体パターン122が形成される。第1および第2の導体パターン121,122は、互いに独立した配線パターンであり、それぞれ矩形の枠形状に形成される。
【0027】
図2に示すように、第1および第2のシールド41、42は、X軸方向に間隔をおいて配置される。第1および第2のシールド41、42の形状や大きさは互いに同一とされるが、勿論これに限られない。第1および第2の導体パターン121、122は、それぞれシールド41、42の内部シールド部412、422と接続される。第1の実装部品21が搭載されるランド部111は、第1の導体パターン121で囲まれる領域の内側に設けられ、第2の実装部品22が搭載されるランド部112は、第2の導体パターン122で囲まれる領域の内側に設けられる(図3参照)。なお、回路領域が3つ以上ある場合、これに対応するように導体パターンも3つ以上設けられる。
【0028】
図3に示すように、回路基板10には、第1の導体パターン121と接続される第1のグランド配線131と、第2の導体パターン122と接続される第2のグランド配線132が形成される。第1および第2のグランド配線131,132の形成位置は特に限定されず、例えば、第1のグランド配線131は回路基板10の一方側(図3において左側)の内層部に形成され、第2のグランド配線132は回路基板10の他方側(図3において右側)の内層部に形成される。
【0029】
第1および第2のグランド配線131,132は互いに電気的に分離されており、それぞれ独立したグランドラインを形成して、複数の外部接続端子113のうちグランド(GND)接続用の外部接続端子113に接続される。グランド接続用の外部接続端子113は、各グランドラインに対応する2つの端子であってもよいし、各グランドラインに共通の1つの端子であってもよい。グランドラインの位置も特に限定されず、回路基板10の内部に形成されてもよいし、回路基板10の側面部に形成されてもよい。
【0030】
(実装部品)
第1及び第2の実装部品21,22は、いずれも、回路基板10の部品実装面Bに実装された電子部品等であり、例えば、集積回路(IC)、コンデンサ、インダクタ、抵抗、水晶振動子、デュプレクサ、フィルタ、パワーアンプ等である。本実施形態において、第1の実装部品21は、第1の回路領域B1に形成されるデジタル回路の一部を構成する電子部品であり、第2の実装部品22は、第2の回路領域B2に形成されるアナログ回路の一部を構成する電子部品である。
【0031】
(封止体)
封止体30は、回路基板10の部品実装面B上に形成され、第1の実装部品21および第2の実装部品22を被覆する。封止体30は、絶縁性の合成樹脂材料からなる封止材で形成される。当該封止材には、具体的には、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が適用可能であり、強度や熱膨張係数を調整する目的でシリカやアルミナ、ガラス繊維等のフィラーが添加されてもよい。封止体30の形成により、回路モジュール100の強度が向上するため、外力に対する折損や実装部品21,22の破損を防止できる。また、封止体30で部品実装面Bが封止されるため、回路領域B1,B2への水分や埃などの付着を防止でき、これにより回路モジュール100の安定した動作を確保することができる。
【0032】
封止体30は、回路基板10と同一の幅(X軸方向の大きさ)および長さ(Y軸方向の大きさ)の直方体形状に形成される。封止体30の厚み(Z軸方向の大きさ)は特に限定されず、少なくとも第1および第2の実装部品21,22を被覆できる厚みであればよい。封止体30の天面301は、部品実装面Bと平行な平面で形成される。
【0033】
(第1シールドおよび第2シールド)
第1シールド41は、外部シールド部411(第1の外部シールド部)と、内部シールド部412(第1の内部シールド部)とを有する。外部シールド部411および内部シールド部412は、導電性材料で構成されており、第1の実装部品21を含む第1の回路領域B1の全領域を立体的に包囲するように形成される。
【0034】
外部シールド部411は、封止体30の天面301に設けられ、特に、第1の回路領域B1にZ軸方向に対向する天面301の領域に形成される。内部シールド部412は、外部シールド部411を第1の導体パターン121に接続するように封止体30の内部に配置される。本実施形態において内部シールド部412は、外部シールド部411から部品実装面Bに向かって垂下する少なくとも4側面を有する筒形状に形成されることで、第1の回路領域B1が内部シールド部412によって包囲される。筒形状は、4側面を有する4角筒形状の他に、5側面を有する5角形などの多角筒形状、4角筒形状の一部を切り欠いたL字形状の6側面の筒形状やコの字形状の8側面の筒形状でもよい。これより、回路モジュールの形状や部品配置で設計の自由度が増すことになり、小型化や小型化に伴う材料費を削減することができる。
【0035】
第2シールド42は、外部シールド部421(第2の外部シールド部)と、内部シールド部422(第2の内部シールド部)とを有する。外部シールド部421および内部シールド部422は、導電性材料で構成されており、第2の実装部品22を含む第2の回路領域B2の全領域を立体的に包囲するように形成される。第2シールド42は、第1シールド41とは電気的に分離されている。
【0036】
外部シールド部421は、封止体30の天面301に設けられ、特に、第2の回路領域B2にZ軸方向に対向する天面301の領域に形成される。内部シールド部422は、外部シールド部421を第2の導体パターン122に接続するように封止体30の内部に配置される。本実施形態において内部シールド部422は、外部シールド部421から部品実装面Bに向かって垂下する少なくとも4側面を有する筒形状に形成されることで、第2の回路領域B2が内部シールド部422によって包囲される。
【0037】
第1シールド41および第2シールド42を構成する導電材料としては、典型的には、導電ペーストの硬化物等の導電性樹脂材料が用いられる。導電ペーストとしては、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂材料にAgやCu等の導電性粒子を含有した複合材料を用いることができる。導電性材料は、導電ペースト以外にも、スパッタ法や真空蒸着法等で形成された金属膜であってもよい。
【0038】
外部シールド部411,421は、後述するように、封止体30の天面301に導電性樹脂材料からなる導体層を形成した後、封止体30の天面301に溝部302を形成することにより、互いに分離される。溝部302は、Y軸方向に平行に直線的に形成され、その深さは、外部シールド部411,421を形成する上記導体層の厚みより大きければよい。溝部302のX軸方向に沿った幅も特に限定されず、第1シールド41の内部シールド部412と第2シールド42の内部シールド部422との間の距離よりも小さければよい。溝部302のZ軸方向に沿った深さは、封止体30の厚みの半分以下の大きさに形成される。これにより、封止体30の抗折強度を維持することができる。なお、溝部302は、図示するような角溝形状である場合に限られず、丸溝、V字溝などの他の形状であってもよい。
【0039】
内部シールド部412,422は、後述するように、封止体30にその厚み方向に貫通する直線的なトレンチを形成し、このトレンチ内を導電性樹脂材料で埋め込むことにより形成される。内部シールド部412を形成するトレンチは、第1の導体パターン121に対応する矩形環状に形成され、内部シールド部422を形成するトレンチは、第2の導体パターン122に対応する矩形環状に形成される。トレンチの形成方法は特に限定されず、典型的には、レーザー加工法によって形成される。
【0040】
本実施形態では、内部シールド部412,422の少なくとも4側面のすべてが封止体30の内部に配置される。つまり、内部シールド部412,422は、回路モジュール100の外部へ露出しておらず、各側面が封止体30により被覆される。これにより、内部シールド部412,422の経時変化による劣化を抑えることができるとともに、回路モジュール100のハンドリング時における封止体30からの剥離から内部シールド部412,422を保護することができる。
【0041】
さらに本実施形態では、図3に示すように、外部シールド部411は、内部シールド部412よりも第1の回路領域B1の外側に向かって延びる延長部411aを有する。延長部411aは、外部シールド部411と内部シールド部412との接続領域から封止体30の天面301の周縁部に到達する長さにわたって形成される。
【0042】
同様に、外部シールド部421は、内部シールド部422よりも第2の回路領域B2の外側に向かって延びる延長部421aを有する。延長部421aは、外部シールド部421と内部シールド部422との接続領域から封止体30の天面301の周縁部に到達する長さにわたって形成される。
【0043】
外部シールド部411,421が延長部411a,421aを有することにより、例えば、回路モジュール100のハンドリング時(例えば、搬送時あるいはマザーボードへの実装時など)において封止体30の上面周縁部に外部機器などの何等かの接触物が接触したとしても、これら延長部411a,421aを当該接触部と接触させることができるため、外部シールド部411,421と内部シールド部412,422との接続領域が上記接触部との接触摩擦等によって分離されることを極力防ぐことができる。
【0044】
以上のように構成される本実施形態の回路モジュール100によれば、第1の回路領域B1を被覆する第1シールド41と第2の回路領域B2を被覆する第2シールド42が相互に電気的に分離されているため、第1の回路領域B1および第2の回路領域B2の相互間における信号の混入を抑えることができる。これにより、第1の回路領域B1と第2の回路領域B2との間における電気的なクロストークを防ぐことができるため、回路モジュール100の動作の信頼性を高めることができる。
【0045】
特に、デジタル回路とアナログ回路とが混載された本実施形態の回路モジュール100においては、デジタル回路を形成する第1の回路領域B1からアナログ回路を形成する第2の回路領域B2への信号の混入を防ぐことができるため、第2の回路領域B2における信号処理精度を高めることができる。
【0046】
また、本実施形態によれば、第1シールド41に接続される第1の導体パターン121と第2シールド42に接続される第2の導体パターン122がそれぞれ電気的に分離された第1のグランド配線131および第2のグランド配線132に接続されているため、グランドラインを介しての第1および第2の回路領域B1、B2間での信号の混入を防ぐことができる。
【0047】
[回路モジュールの製造方法]
続いて、図4および図5を参照して、本実施形態の回路モジュール100の製造方法について説明する。
【0048】
まず、図4(a)に示すように、回路基板10A上の第1の回路領域B1および第2の回路領域B2上に、第1の実装部品21および第2の実装部品22をそれぞれ実装する。本実施形態では、回路基板10Aは複数個の回路基板10の集合体である集合基板であり、最終工程において個々の製品サイズに個片化されることで回路モジュール100が作製される。第1および第2の実装部品21,22の実装方法は特に限定されず、典型的には、リフローはんだ付け法が採用される。
【0049】
続いて図4(b)に示すように、回路基板10の部品実装面B上に第1の実装部品21および第2の実装部品22を被覆する封止体30を形成する。封止体30の形成方法は特に限定されず、例えばスクリーン印刷法、真空印刷法、トランスファー成形法等が採用可能である。
【0050】
続いて図4(c)に示すように、封止体30の所定位置に、内部シールド部412,422を形成するためのトレンチCを形成する。トレンチCは、封止体30の天面301に向けて回路基板10に対して垂直な方向にレーザー光を照射することで形成される。レーザー光の波長は、封止体30を構成する材料が吸収性を有する帯域であれば特に限定されず、例えば、YAGレーザー等の赤外レーザーが用いられる。トレンチCは、第1および第2の導体パターン121,122の直上位置に、これら導体パターン121,122の表面に達する深さで形成される。本実施形態では、レーザー光の走査により、トレンチCは、導体パターン121,122の形状に対応する矩形の環状に形成される。
【0051】
次に、図5(a)に示すように、封止体30の天面301に導電性材料を塗布することで封止体30の天面301およびトレンチCの内部に外部シールド部411,421および内部シールド部412,422をそれぞれ形成する。外部シールド部411,421および内部シールド部412,422の形成方法は特に限定されず、例えば、真空印刷法が用いられる。
【0052】
続いて、図5(b)に示すように、封止体30の天面301に溝部302を形成することで、外部シールド部411と外部シールド部421とを分離する。これにより、相互に分離された第1シールド41および第2シールド42が形成される。最後に図5(c)に示すように、分割ラインDに沿って回路基板10Aを切断し、製品サイズに個片化する。切断方法は特に限定されず、典型的にはダイサーが用いられる。以上のようにして本実施形態の回路モジュール100が作製される。
【0053】
<第2の実施形態>
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。
図6は、本実施形態に係る回路モジュール200の斜視図、図7は、回路モジュール200の側断面図である。
以下、第1の実施形態と異なる構成について主に説明し、第1の実施形態と同様の構成については同様の符号を付しその説明を省略または簡略化する。
【0054】
本実施形態の回路モジュール200は、第1シールド41と第2シールド42の外部シールド部411,421を分断する溝部303の深さが第1の実施形態と異なる。本実施形態において溝部303は、封止体30の天面301から回路基板10の部品実装面Bに到達する深さで形成される。
【0055】
以上のように構成される本実施形態の回路モジュール200においても、上述の第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。本実施形態の回路モジュール200によれば、溝部303が部品実装面Bに到達する深さで形成されているため、第1の回路領域B1を封止する封止体30のブロックと、第2の回路領域B2を封止する封止体30のブロックとの間を機械的に分離することができる。これにより、マザーボードへの回路モジュール200のリフロー実装時において、回路基板10と封止体30との間の熱膨張率差に起因する回路モジュール200の反りを緩和でき、マザーボードに対する回路モジュール200の実装信頼性を高めることができる。
【0056】
なお、溝部303の深さは、上述のように部品実装面Bに達する深さとされる場合に限られず、例えば、封止体30の厚みの半分以上の深さであってもよい。この場合、上述した熱膨張率差に起因する回路モジュール200の反りを軽減しつつ、回路モジュール200の抗折強度の低下を抑制できる。
【0057】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく種々変更を加え得ることは勿論である。
【0058】
例えば以上の実施形態では、回路基板10としてガラスエポキシ基板等の配線基板で構成されたが、回路基板10が金属コアを含む基板であってもよい。この場合、回路基板は、金属コアにキャビティを形成し、当該キャビティにICや受動部品等を内蔵した部品内蔵基板として構成されてもよい。これにより、強度および放熱性の高い回路モジュールが得られるとともに、部品の高密度実装化を図ることができる。
【符号の説明】
【0059】
10,10A…回路基板
21…第1の実装部品
22…第2の実装部品
30…封止体
41…第1シールド
42…第2シールド
100…回路モジュール
121…第1の導体パターン
122…第2の導体パターン
131…第1のグランド配線
132…第2のグランド配線
200…回路モジュール
301…天面
302,303…溝部
411…外部シールド部(第1の外部シールド部)
411a,421a…延長部
412…内部シールド部(第1の内部シールド部)
421…外部シールド部(第2の外部シールド部)
422…内部シールド部(第2の内部シールド部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7