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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】設計支援装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/13 20200101AFI20240319BHJP
   E04B 1/00 20060101ALI20240319BHJP
   G06F 30/10 20200101ALI20240319BHJP
   G06F 30/27 20200101ALI20240319BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20240319BHJP
【FI】
G06F30/13
E04B1/00 ESW
G06F30/10
G06F30/27
G06Q50/04
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020068421
(22)【出願日】2020-04-06
(65)【公開番号】P2021165894
(43)【公開日】2021-10-14
【審査請求日】2023-03-30
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成31年4月20日関東学院大学金沢八景キャンパスにおいて開催された第65回構造工学シンポジウムで発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和1年7月1日一般財団法人日本建築構造技術者協会が発行したstructure NO.151 2019.7で公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和1年7月1日株式会社日経BPが発行した日経アーキテクチュア NO.1146 2019 6-27で公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和1年10月10日東京ビッグサイトにおいて開催された日経XTECH EXPO 2019で発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和1年12月13日建築会館において開催された日本建築学会 第42回 情報・システム・利用・技術シンポジウムで発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年1月17日ホテルメトロポリタンエドモントにおいて開催されたJSCA30周年記念シンポジウムで発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年1月22日広島国際会議場において開催されたJSCA広島新春技術発表会で発表
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内山 元希
(72)【発明者】
【氏名】石田 高義
(72)【発明者】
【氏名】亀森 淳也
(72)【発明者】
【氏名】金子 侑樹
(72)【発明者】
【氏名】川上 沢馬
(72)【発明者】
【氏名】中村 亮太
(72)【発明者】
【氏名】前田 周作
(72)【発明者】
【氏名】和多田 遼
(72)【発明者】
【氏名】木下 拓也
(72)【発明者】
【氏名】松岡 康友
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 琢也
(72)【発明者】
【氏名】九嶋 壮一郎
(72)【発明者】
【氏名】池田 周英
(72)【発明者】
【氏名】鹿島 孝
【審査官】合田 幸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-299385(JP,A)
【文献】特開2004-199718(JP,A)
【文献】特開2005-256345(JP,A)
【文献】特開2006-185204(JP,A)
【文献】国際公開第2016/154312(WO,A1)
【文献】中村壮志 ほか,部材グルーピングを用いた構造断面最適化の試み ,人工知能学会全国大会(第30回)論文集,日本,一般社団法人 人工知能学会,2016年06月06日,pages 1-4
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/13
E04B 1/00
G06F 30/10
G06F 30/27
G06Q 50/04
IEEE Xplore
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された設計対象の建物のボリューム又は平面形状に対して複数の構造部材を取得する構造部材取得部と、
前記複数の構造部材のうちの2つの構造部材からなる構造部材ペアの各々について、前記2つの構造部材の各々の構造部材情報に基づいて、グルーピングすべき度合いを計算するグルーピング度合い計算部と、
前記グルーピングすべき度合いに応じて、前記構造部材ペアの2つの構造部材を同一グループとするグルーピングを、指定されたグループ数になるまで繰り返し行うグルーピング処理部と、
を含む設計支援装置。
【請求項2】
前記グルーピング度合い計算部は、前記構造部材ペアの各々について、前記2つの構造部材の各々の構造部材情報に基づいて、2つの構造部材の各々の構造部材情報を入力とし、前記グルーピングすべき度合いを計算する予め学習された学習済みモデルを用いて、前記グルーピングすべき度合いを計算する請求項1記載の設計支援装置。
【請求項3】
前記指定されたグループ数は複数種類であり、
前記グルーピング処理部は、前記グループ数毎に、前記グルーピングを、前記グループ数になるまで繰り返し行い、
前記グループ数毎に、グルーピング結果に基づいて、前記構造部材の数量、重さ、又はコストを計算し、
前記グループ数と前記構造部材の数量、重さ、又はコストとの関係を表示部に表示させる請求項1又は2記載の設計支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設計支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄骨構造物の基本事項データを入力する工程と、前記基本事項データと予め設定された所定の部材配置ルールとに基づいて鉄骨構造物の構造部材データを生成する工程とを備えたことを特徴とする鉄骨構造物の設計支援システムが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、意匠設計用CAD情報を入力し、意匠設計用CAD情報に含まれる複数の柱又は複数の壁の形状、寸法、及び位置を示す情報に基づいて建物の通り芯を示す情報を生成する構造解析用情報生成装置が知られている(例えば、特許文献2)。
【0004】
また、強度部材が配設されるべき座標上の基線を特定し、要素部材と基線との位置関係からグループ化する要素部材を識別可能にして、個々の有限要素データに特別な識別タグを付すような手間暇を必要とする入力作業を必要とせず、基線の特定だけでグルーピング作業をコンピュータに実行させる骨組構造最適化設計装置が知られている(例えば、特許文献3)。
【0005】
また、識別情報及び形状情報と関連付けられた構造部材を用いて、架構をモデリングし、モデリングされた架構の構造計算を行う設計システムが知られている(例えば、特許文献4)。
【0006】
また、建物の部位毎に指定された条件に従ってその部位に使用される構造材の配置を決定し、部位の全ての場所に使用することができる単数または複数の構造材を選択し、選択する構造材が、指定された条件を満たしているかどうかを検定し、選択した構造材のうち接合部を有するものについて、データベースから読み出したデータを比較して、接合部構造が共通するものを候補データに残し、複数の構造材の候補には評価を付し、全ての場所に対して、評価が最高位の構造材を採用し、所定の構造計算をして、その構造計算の結果を出力する構造設計装置が知られている(例えば、特許文献5)。
【0007】
複数の構造部材に関する情報に従って、前記構造部材を仮想的に組み上げ、組み上げられた前記構造部材同士が接続される接続点を、接続の態様に応じて分類し、分類された前記接続点に応じて、前記接続点の構成を決定する設計システムが知られている(例えば、特許文献6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2004-245040号公報
【文献】特開2008-158793号公報
【文献】特開2008-299385号公報
【文献】特開2013-11961号公報
【文献】特開2015-179347号公報
【文献】特開2019-160100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献1に記載の技術では、入力画面における基本事項データの入力完了後に、鉄骨構造物の構造部材データを生成して生成結果を表示する。しかしながら、上記特許文献1には、構造部材のグルーピングを考慮して構造部材データを生成することについては記載されていない。
【0010】
上記特許文献2に記載の技術では、建物のボリュームを含む意匠設計のCADデータから構造解析用のデータを一連の流れで作成する。しかしながら、上記特許文献2には、構造部材データの組み合わせを生成してスコアリングしたり、構造部材の特定組み合わせについての記載、示唆は無い。
【0011】
上記特許文献3に記載の技術では、要素部材を一定の条件の基でグループ化して骨組構造の最適化設計をする。しかしながら、上記特許文献3には、構造部材のペアについて、グルーピングすべき度合いを算出することについては記載されていない。
【0012】
上記特許文献4に記載の技術では、設計者が納まりを確認しながら構造部材の組み合わせを可能にする。しかしながら、上記特許文献4には、構造部材のペアについて、グルーピングすべき度合いを算出することについては記載されていない。
【0013】
上記特許文献5に記載の技術では、構造材の選択を自動化する際に、同一箇所での複数の構造材候補の選択の場合のランク付けを行う。しかしながら、上記特許文献5には、構造部材のペアについて、グルーピングすべき度合いを算出することについては記載されていない。
【0014】
上記特許文献6に記載の技術では、複数の構造部材の情報で、構造部材を仮想的に組み上げ、部材の接続点の構成を決定する。しかしながら、上記特許文献6には、構造部材のペアについて、グルーピングすべき度合いを算出することについては記載されていない。
【0015】
本発明は上記事実を考慮して、適切なグループ数の構造部材を用いた建物の構造設計を支援することができることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る設計支援装置は、入力された設計対象の建物のボリューム又は平面形状に対して複数の構造部材を取得する構造部材取得部と、前記複数の構造部材のうちの2つの構造部材からなる構造部材ペアの各々について、前記2つの構造部材の各々の構造部材情報に基づいて、グルーピングすべき度合いを計算するグルーピング度合い計算部と、前記グルーピングすべき度合いに応じて、前記構造部材ペアの2つの構造部材を同一グループとするグルーピングを、指定されたグループ数になるまで繰り返し行うグルーピング処理部と、を含んで構成されている。
【0017】
本発明に係る設計支援装置によれば、構造部材取得部によって、入力された設計対象の建物のボリューム又は平面形状に対して複数の構造部材を取得する。グルーピング度合い計算部によって、前記複数の構造部材のうちの2つの構造部材からなる構造部材ペアの各々について、前記2つの構造部材の各々の構造部材情報に基づいて、グルーピングすべき度合いを計算する。そして、グルーピング処理部によって、前記グルーピングすべき度合いに応じて、前記構造部材ペアの2つの構造部材を同一グループとするグルーピングを、指定されたグループ数になるまで繰り返し行う。
【0018】
このように、設計対象の建物のボリューム又は平面形状に対して取得された複数の構造部材のうちの2つの構造部材からなる構造部材ペアの各々について、構造部材情報に基づいて、グルーピングすべき度合いを計算し、構造部材ペアの2つの構造部材を同一グループとするグルーピングを、指定されたグループ数になるまで繰り返し行うことにより、適切なグループ数の構造部材を用いた建物の構造設計を支援することができる。
【0019】
本発明に係る設計支援装置は、前記グルーピング度合い計算部は、前記構造部材ペアの各々について、前記2つの構造部材の各々の構造部材情報に基づいて、2つの構造部材の各々の構造部材情報を入力とし、前記グルーピングすべき度合いを計算する予め学習された学習済みモデルを用いて、前記グルーピングすべき度合いを計算することができる。これにより、学習済みモデルを用いて、2つの構造部材についてのグルーピングすべき度合いを精度よく計算することができる。
【0020】
本発明に係る設計支援装置は、前記指定されたグループ数は複数種類であり、前記グルーピング処理部は、前記グループ数毎に、前記グルーピングを、前記グループ数になるまで繰り返し行い、前記グループ数毎に、グルーピング結果に基づいて、前記構造部材の数量、重さ、又はコストを計算し、前記グループ数と前記構造部材の数量、重さ、又はコストとの関係を表示部に表示させることができる。これにより、適切なグループ数の決定を支援することができる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明の設計支援装置によれば、設計対象の建物のボリューム又は平面形状に対して取得された複数の構造部材のうちの2つの構造部材からなる構造部材ペアの各々について、構造部材情報に基づいて、グルーピングすべき度合いを計算し、構造部材ペアの2つの構造部材を同一グループとするグルーピングを、指定されたグループ数になるまで繰り返し行うことにより、適切なグループ数の構造部材を用いた建物の構造設計を支援することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施の形態に係る学習装置及び設計支援装置を示すブロック図である。
図2】本発明の実施の形態に係る学習装置を示す機能ブロック図である。
図3】構造部材の部材情報を説明するための図である。
図4】学習済みモデルの例を示す図である。
図5】本発明の実施の形態に係る設計支援装置を示す機能ブロック図である。
図6】グループ数と計算結果との関係を表示する画面の例を示す図である。
図7】本発明の実施の形態に係る設計支援装置の設計支援処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0024】
<本発明の形態の学習装置の構成>
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る学習装置100は、CPU12、グラフィックカード13、GPU14、RAM16、HDD18、通信インタフェース21、及びこれらを相互に接続するためのバス23を備えている。
【0025】
CPU12、GPU14は、各種プログラムを実行する。RAM16は、CPU12による各種プログラムの実行時におけるワークエリア等として用いられる。記録媒体としてのHDD18には、後述する学習処理ルーチンを実行するためのプログラムを含む各種プログラムや各種データが記憶されている。
【0026】
本実施の形態における学習装置100を、学習処理ルーチンを実行するためのプログラムに沿って、機能ブロックで表すと、図2に示すようになる。学習装置100は、入力部10、演算部20、及び出力部50を備えている。
【0027】
入力部10は、建物の実績情報から構造部材について得られる、すべての構造部材のうちの2つの構造部材からなる構造部材ペアの各々についての、2つの構造部材の各々の構造部材情報に基づいてグルーピングされているか否かを判断した判断結果と、2つの構造部材の各々の構造部材情報と、を含む学習用データを入力として受け付ける。
【0028】
具体的には、建物の実績情報から、すべての構造部材のうちの2つの構造部材からなる構造部材ペアについて、2つの構造部材の部材情報(図3の長さL、角度θ、建物内の位置(高さ方向の位置、平面上の位置)、階高、部材密度(スパン)、負担面積、その他部材を特徴付ける情報(図3の部材幅D、部材成B、部材厚tなど))と、2つの構造部材の各々の構造部材情報に基づいてグルーピングされているか否かを判断した判断結果とを含む学習用データを作成しておく。そして、構造部材ペア毎に、2つの構造部材の部材情報とグルーピングされているか否かの判断結果との組み合わせを含む学習用データを受け付ける。
【0029】
本実施の形態では、この学習用データを、構造部材の種類(柱、梁、壁、ブレース等)毎に受け付ける。
【0030】
演算部20は、学習部22を備えている。
【0031】
学習部22は、入力部10により受け付けた複数の学習用データに基づいて、構造部材の種類毎に、学習済みモデルを得る。
【0032】
具体的には、学習済みモデルは、2つの構造部材の部材情報(長さ、角度、建物内の位置(高さ方向の位置、平面上の位置)、階高、部材密度(スパン)、負担面積、その他部材を特徴付ける情報)を入力データとし、当該2つの構造部材をグルーピングすべき度合いを出力データとする(図4参照)。例えば、図4に示されるように、モデルの一例としてニューラルネットワークを用いることができ、学習アルゴリズムの一例としてディープラーニングを用いることができ、学習用データの2つの構造部材の部材情報を入力したときに、当該学習用データの判断結果が出力されるように、学習済みモデルが学習される。
【0033】
本実施の形態では、構造部材の種類(柱、梁、壁、ブレース等)毎に、学習済みモデルを生成する。
【0034】
<本発明の形態の設計支援装置の構成>
上記図1に示すように、本発明の実施の形態に係る設計支援装置200は、学習装置100と同様に、CPU12、グラフィックカード13、GPU14、RAM16、HDD18、通信インタフェース21、及びこれらを相互に接続するためのバス23を備えている。
【0035】
CPU12、GPU14は、各種プログラムを実行する。RAM16は、CPU12による各種プログラムの実行時におけるワークエリア等として用いられる。記録媒体としてのHDD18には、後述する設計支援処理ルーチンを実行するためのプログラムを含む各種プログラムや各種データが記憶されている。
【0036】
本実施の形態における設計支援装置200を、設計支援処理ルーチンを実行するためのプログラムに沿って、機能ブロックで表すと、図5に示すようになる。設計支援装置200は、入力部110、演算部120、及び出力部150を備えている。
【0037】
入力部110は、設計対象の建物のボリューム又は平面形状を入力として受け付ける。また、入力部110は、設計条件に関する値を入力として受け付ける。例えば、設計条件に関する値として、階数、部材密度(スパン)、負担面積、荷重条件、フレームのせん断力負担率、等を受け付ける。
【0038】
演算部120は、構造部材生成部122、グルーピング度計算部124、モデル記憶部126、グルーピング処理部128、及び構造部材情報計算部130を備えている。
【0039】
構造部材生成部122は、構造部材の種類(柱、梁、壁、ブレース等)毎に、入力された設計対象の建物のボリューム又は平面形状に対して、入力部110で受け付けた設計条件に関する値に基づいて、複数の構造部材を生成する。例えば、構造部材の種類毎に、建物のボリューム又は平面形状に対して、設計条件に関する値に基づいて複数の構造部材を生成するための予め学習された生成モデルを用いて、複数の構造部材を生成する。なお、設計対象の建物の構造種別(例えば、SRC)、構造部材生成案数(例えば、12)、使用する生成モデル(例えば、ジェネレータA)、生成モデルパラメータ(例えば、123)が、予め設定されているものとする。
【0040】
本実施の形態では、構造部材の種類毎に、複数の構造部材生成案を生成する。
【0041】
グルーピング度計算部124は、構造部材の種類(柱、梁、壁、ブレース等)毎に、各構造部材生成案に対して、生成したすべての構造部材のうちの2つの構造部材からなる構造部材ペアの各々について、2つの構造部材の各々の構造部材情報と当該構造部材の種類の学習済みモデルとに基づいて、グルーピングすべき度合いを計算する。
【0042】
例えば、構造部材ペア毎に、2つの構造部材の部材情報(長さ、角度、建物内の位置(高さ方向の位置、平面上の位置)、階高、部材密度(スパン)、負担面積、その他部材を特徴付ける情報)を学習済みモデルに入力して、グルーピングすべき度合いを求める。
【0043】
モデル記憶部126には、学習装置100によって構造部材の種類毎に学習された学習済みモデルが記憶されている。
【0044】
グルーピング処理部128は、構造部材の種類(柱、梁、壁、ブレース等)毎に、各構造部材生成案に対して、以下のグルーピング処理を行う。
【0045】
グルーピング処理では、指定されたグループ数になるように、グルーピングすべき度合いの降順に、構造部材ペアの2つの構造部材を同一グループとすることを繰り返す。これにより、指定されたグループ数のグルーピング結果が得られる。また、グルーピングの数の指定を順に変更して、同様に、構造部材ペアをグルーピングする。これにより、グループ数毎に、グルーピング結果が得られる。
【0046】
構造部材情報計算部130は、構造部材の種類(柱、梁、壁、ブレース等)毎に、各構造部材生成案に対して、以下の構造部材情報の計算を行う。
【0047】
構造部材情報の計算では、グループ数毎に、グルーピング結果に基づいて、構造部材の数量、重さ、コストを計算し、グループ数と計算結果との関係をプロットしたグラフ(図6)を出力部150により表示する。
【0048】
図6では、柱についての構造部材生成案に対し、グループ数と構造部材の数量との関係をプロットしたグラフの例を示している。この例では、プロットした点をクリックすると、構造部材のグルーピング結果に応じて色分けした構造部材生成案が表示されると共に、推奨されるグループ数のプロット点が強調表示されている。設計担当者は、このグラフを参照して、適切なグループ数を決定することができる。
【0049】
<学習装置の動作>
次に、本発明の実施の形態に係る学習装置100の動作について説明する。
【0050】
入力部10によって、建物の実績情報から構造部材について得られる、すべての構造部材のうちの2つの構造部材からなる構造部材ペアについての、2つの構造部材の各々の構造部材情報に基づいてグルーピングされているか否かを判断した判断結果と、2つの構造部材の各々の構造部材情報と、を含む学習用データを入力として受け付ける。そして、学習部22は、入力部10により受け付けた複数の学習用データに基づいて、構造部材の種類毎に、学習済みモデルを得る。
【0051】
<設計支援装置の動作>
次に、本発明の実施の形態に係る設計支援装置200の動作について説明する。
【0052】
まず、学習装置100によって学習された構造部材の種類毎の学習済みモデルに関するデータが、モデル記憶部126に格納される。
【0053】
そして、入力部110によって、設計対象の建物のボリューム又は平面形状を入力として受け付けると共に、設計条件に関する値を受け付けると、設計支援装置200によって、図7に示す設計支援処理ルーチンが実行される。
【0054】
まず、ステップS100において、構造部材生成部122は、入力された設計対象の建物のボリューム又は平面形状と、入力部110で受け付けた設計条件に関する値とを取得する。
【0055】
ステップS102では、構造部材生成部122は、構造部材の種類(柱、梁、壁、ブレース等)毎に、入力された設計対象の建物のボリューム又は平面形状に対して、入力部110で受け付けた設計条件に関する値に基づいて、複数の構造部材を生成する。このとき、複数の構造部材生成案を生成する。
【0056】
ステップS104では、グルーピング度計算部124は、構造部材の種類(柱、梁、壁、ブレース等)毎に、各構造部材生成案に対して、生成したすべての構造部材のうちの2つの構造部材からなる構造部材ペアの各々について、2つの構造部材の各々の構造部材情報と当該構造部材の種類の学習済みモデルとに基づいて、グルーピングすべき度合いを計算する。
【0057】
ステップS106では、グルーピング処理部128は、構造部材の種類(柱、梁、壁、ブレース等)毎に、各構造部材生成案に対して、以下のグルーピング処理を行う。
【0058】
グルーピング処理では、指定されたグループ数になるように、グルーピングすべき度合いの降順に、構造部材ペアをグルーピングすることを繰り返す。グルーピングの数の指定を順に変更して、同様に、構造部材ペアをグルーピングする。これにより、グループ数毎に、グルーピング結果を得る。
【0059】
ステップS108では、構造部材情報計算部130は、構造部材の種類(柱、梁、壁、ブレース等)毎に、各構造部材生成案に対して、構造部材情報の計算を行う。構造部材情報の計算では、グループ数毎に、グルーピング結果に基づいて、構造部材の数量、重さ、コストを計算する。
【0060】
ステップS110では、構造部材情報計算部130は、構造部材の種類(柱、梁、壁、ブレース等)毎に、各構造部材生成案に対して、グループ数と計算結果との関係をプロットしたグラフ(図6)を出力部150により表示し、設計支援処理ルーチンを終了する。
【0061】
以上説明したように、本発明の実施の形態に係る設計支援装置によれば、設計対象の建物のボリュームに対して取得された複数の構造部材のうちの2つの構造部材からなる構造部材ペアの各々について、構造部材情報に基づいて、グルーピングすべき度合いを計算し、構造部材ペアの2つの構造部材を同一グループとするグルーピングを、指定されたグループ数になるまで繰り返し行うことにより、適切なグループ数の構造部材を用いた建物の構造設計を支援することができる。
【0062】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【0063】
例えば、上述した実施形態では、学習済みモデルを用いて構造部材をグルーピングする場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、部材情報の分布に応じた教師なし学習を用いて、構造部材をグルーピングするようにしてもよい。この教師なし学習の場合には、学習用データに基づかずに、グルーピングさせるべき構造部材群の部材情報の分布に基づいて、グルーピングすべき度合いを出力データとする。教師なし学習のアルゴリズムの一例として、クラスタリング手法を用いることができる。また、グルーピング度計算部は、教師なし学習のアルゴリズムにより、グルーピングすべき度合いを計算する。
【0064】
また、上述した実施形態では、学習装置と設計支援装置とが別々の装置として構成されている場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、学習装置と設計支援装置とを一つの装置として構成してもよい。
【0065】
また、本発明のプログラムは、記憶媒体に格納して提供するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0066】
10、110 入力部
20、120 演算部
22 学習部
50、150 出力部
100 学習装置
122 構造部材生成部
124 グルーピング度計算部
126 モデル記憶部
128 グルーピング処理部
130 構造部材情報計算部
200 設計支援装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7