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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】放射能測定方法、および放射能測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/167 20060101AFI20240319BHJP
   G01T 1/20 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
G01T1/167 C
G01T1/20 G
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020078013
(22)【出願日】2020-04-27
(65)【公開番号】P2021173652
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉原 有里
(72)【発明者】
【氏名】名雲 靖
(72)【発明者】
【氏名】大島 佑己
(72)【発明者】
【氏名】杉本 洋平
【審査官】後藤 慎平
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-111793(JP,A)
【文献】特開2014-115272(JP,A)
【文献】特開2013-113610(JP,A)
【文献】特開2015-172513(JP,A)
【文献】特開2009-198469(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0264317(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/00-1/16
G01T 1/167-7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射能測定対象の放射能量、または放射能濃度を測定する放射能測定方法であって、
前記放射能測定対象の質量を取得する工程と、
前記放射能測定対象の形状を取得する工程と、
前記放射能測定対象と二次元アレイ型の放射線検出器との位置関係を取得する工程と、
前記二次元アレイ型の放射線検出器を前記放射能測定対象に近接化させる工程と、
前記二次元アレイ型の放射線検出器により放射線計数率を測定する工程と、
前記二次元アレイ型の放射線検出器における放射線計数率分布から放射線の線源位置を推定する工程と、
局所的な汚染として推定された放射線の線源位置の中から放射能が高くなる位置を選定する工程と、
選定された放射能が高くなる位置と前記放射能測定対象の形状とを重ね合わせた位置に放射線の線源があると想定し、前記二次元アレイ型の放射線検出器の各検出位置から想定された放射線の線源位置までの距離情報を用い、放射線計数率から放射能量に換算する工程と、
を含む、
ことを特徴とする放射能測定方法。
【請求項2】
請求項において、
前記放射能測定対象の形状を取得する工程は、レーザーや光学カメラによる形状検出手段によって得られた情報から所定のアルゴリズムを用いて形状情報を抽出する、
ことを特徴とする放射能測定方法。
【請求項3】
請求項において、
前記放射能測定対象の形状を取得する工程は、あらかじめ入力したデータベースや内部構造のCADデータを参照して取得する、
ことを特徴とする放射能測定方法。
【請求項4】
請求項1において、
前記二次元アレイ型の放射線検出器により放射線計数率を測定する工程において、
前記放射線検出器は、γ線を検出する、
ことを特徴とする放射能測定方法。
【請求項5】
請求項1において、
前記二次元アレイ型の放射線検出器における放射線計数率分布から放射線の線源位置を推定する工程において、
前記放射線検出器で得られた放射線計数率の二次元分布の情報を利用して、放射能の位置を三次元空間上に推定する、
ことを特徴とする放射能測定方法。
【請求項6】
請求項において、
前記放射能の位置を三次元空間上に推定する放射能の位置推定方法として、
デコンボリューションとフィッティングにより放射線計数率分布の各ピークの位置と広がりに対応する線源位置を限定する、あるいはニューラルネットワーク機械学習を用いて線源位置を限定し、
限定された線源位置を放射能測定対象の形状に重ね合わせ、放射線計数率を放射能に換算したときに放射能が高くなる位置に放射線源があると推定する、
ことを特徴とする放射能測定方法。
【請求項7】
請求項において、
放射能測定対象を設置しない状態で放射線検出器を用いて放射線計数率を測定し、
放射能測定対象を設置した状態で放射線検出器を用いて測定した放射線計数率から前記放射能測定対象を設置しない状態での放射線計数率を差し引く、
ことを特徴とする放射能測定方法。
【請求項8】
請求項において、放射能汚染が放射能測定対象の表面および内部に一様分布していることを想定してモンテカルロシミュレーションを実施し、
前記放射線検出器で得られた放射線計数率の二次元分布の情報を基に、局所汚染と一様分布を分離し、
局所汚染に関しては、前記放射能測定対象の形状と前記放射線計数率の二次元分布から線源位置の推定を行い、放射線計数率から放射能に換算し、
一様分布には、前記放射能測定対象の形状のある空間の中で放射能が高くなる位置に線源があると想定し、モンテカルロシミュレーションで得られた換算係数を適用して放射能に換算する、
ことを特徴とする放射能測定方法。
【請求項9】
二次元アレイ型の放射線検出器を具備し、放射能測定対象の放射線を検出する放射線検出部と、
放射能測定対象の形状を検出する形状検出部と、
前記放射線検出部を放射能測定対象に近接化させる放射線検出器位置調整部と、
放射能測定対象の質量を取得する質量検出部と、
放射能測定対象の形状と、放射能測定対象と前記放射線検出部との位置関係を、前記形状検出部の情報に基づき把握する形状認識部と、
記放射線検出部の情報に基づき、各放射線検出位置で取得した放射能測定対象の放射線の計数率を算出する放射線計数率算出部と、
前記放射線計数率算出部の放射線の計数率に基づき、放射線源の位置を推定する放射線源位置推定部と、
前記放射線源位置推定部の放射線の情報と前記形状認識部の放射能測定対象の形状の情報とを基に、放射線源位置の放射能に換算する放射能換算部と、
放射能測定の一連の処理を制御する制御管理部と、
を備え、
前記放射線検出器位置調整部を用いて放射能測定対象に前記放射線検出部を近接化させ、
前記放射線検出部と前記放射線計数率算出部を用いて放射線の計数率を求め、
前記放射線源位置推定部を用いて前記放射線検出部での計数率分布から放射線源の位置を推定し、
前記放射線源位置推定部を用いて推定した放射能位置の中で局所的な汚染として放射能が高くなる位置を選定し、選定された放射能が高くなる位置と前記放射能測定対象の形状とを重ね合わせた位置に放射線の線源があると想定し、想定した放射線の線源から放射線検出器の各検出位置までの距離情報と、質量検出部の放射能測定対象の質量情報とを用いて前記放射能換算部が放射能に換算する、
ことを特徴とする放射能測定装置。
【請求項10】
二次元アレイ型の放射線検出器を具備し、放射能測定対象の放射線を検出する放射線検出部と、
前記放射線検出部を放射能測定対象に近接化させる放射線検出器位置調整部と、
放射能測定対象の質量を取得する質量検出部と、
記放射線検出部が各放射線検出位置で取得した放射線に関する情報に基づき、放射能測定対象の放射線の計数率を算出する放射線計数率算出部と、
前記放射線計数率算出部の放射線の計数率に基づき放射線源の位置を推定する放射線源位置推定部と、
事前に登録した放射能測定対象の形状に関する情報と前記放射線源位置推定部の放射線の情報を基に、放射線源位置の放射能に換算する放射能換算部と、
放射能測定の一連の処理を制御する制御管理部と、
を備え、
前記放射線検出器位置調整部を用いて放射能測定対象に前記放射線検出部を近接化させ、
前記放射線検出部と前記放射線計数率算出部を用いて放射線の計数率を求め、
前記放射線源位置推定部を用いて前記放射線検出部での計数率分布から放射線源の位置を推定し、
前記放射線源位置推定部を用いて推定した放射能位置が一様分布と推定される場合に、前記放射能測定対象の形状のある空間の中で放射能が高くなる位置に線源があると想定し、質量検出部の放射能測定対象の質量情報を用いて前記放射能換算部が放射能に換算する、
ことを特徴とする放射能測定装置。
【請求項11】
請求項または請求項10において
前記二次元アレイ型の放射線検出器は、アレイ型シンチレータとそれに対応するアレイ型光センサーの組み合わせ、または平板シンチレータ1枚とアレイ型光センサーの組み合わせ、または平板シンチレータ1枚と複数の光センサーの組み合わせである、
ことを特徴とする放射能測定装置。
【請求項12】
請求項または請求項10において、
前記放射線検出部の放射線検出器は、γ線を検出する放射線検出器である、
ことを特徴とする放射能測定装置。
【請求項13】
請求項または請求項10において、
放射能測定対象を移動させる運搬手段を具備し、
前記運搬手段によって、放射能測定時には放射能測定対象を前記放射線検出部の直下に運搬する、
ことを特徴とする放射能測定装置。
【請求項14】
請求項または請求項10において、
前記制御管理部は、情報を入力する入力手段と、情報を表示する表示手段を具備し、
前記入力手段によって、放射能測定の設定測定時間と放射能測定対象の材料情報を入力し、
前記表示手段によって、放射能測定対象の形状情報と位置情報、前記放射線検出部を介して得られた放射線計数率分布や放射線源の位置を表示する、
ことを特徴とする放射能測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射能測定方法、および放射能測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
放射能、または放射能濃度を計測することは、様々な分野で重要なテーマとなる。
放射能、または放射能濃度を計測する方法に関連するものとして、特許文献1がある。また、α線やβ線などの線源位置と、その放射線を検出した位置関係を明らかにする方法に関連するものとして、特許文献2がある。
【0003】
例えば、特許文献1の[要約]には、「[課題]より少ない放射能測定対象の情報から放射能換算係数を決定して、作業の効率よく放射能測定対象の放射能を評価すること。[解決手段]放射能測定対象の形状情報及び材料情報を、放射能測定装置が備える放射能換算係数算出部へ入力する(ステップS101)。次に、放射能測定装置が備えるトレイに放射能測定対象を載せ、放射線検出手段の直下まで搬送して、放射能測定対象の質量W、高さh0、計数又は計数率を測定する(ステップS102)。放射能測定対象の質量W、高さh0、計数又は計数率を測定したら、放射能換算係数算出部が、放射能測定対象の質量W、高さh0から放射能換算係数K(CPS/Bq)を求め(ステップS103)、放射能測定対象の計数又は計数率を放射能濃度に換算する(ステップS104)。」と記載され、放射能測定方法の技術が開示されている。
なお、特許文献1に記載の方法では、放射能測定装置が備えるトレイに放射能測定対象を載せ、放射線検出手段の直下まで搬送して、放射能測定対象の質量、高さ、計数又は計数率を測定する。そして放射能測定対象の質量、高さ、計数又は計数率を測定したら、計数又は計数率から放射能へと換算している。
【0004】
また、特許文献2の[要約]には、「[課題]環境中に管理対象放射性物質とそれ以外の放射性物質が混在する場合であっても、管理対象放射性物質に起因する放射能汚染を短時間に計測して評価する放射線計測方法を提供する。[解決手段]測定試料に付着している放射性物質に感応して検出信号を発生する多数の検出ピクセルを平面状に並べて放射線検出面を構成した放射線検出器の多数の検出ピクセルから出力される検出信号を、放射線検出面を複数の領域に分割して各分割領域に該当する検出ピクセルから出力される検出信号を検出処理し、分割領域毎に検出される放射線検出結果を出力する信号処理装置を用いて測定試料中の放射性物質の放射線量を計測する。」と記載され、放射線計測方法の技術が開示されている。
なお、特許文献2に記載の方法では、多数の検出ピクセルを平面状に並べて放射線検出面を構成した放射線検出器を用いて測定試料に付着している放射線物質から放出されるα線やβ線を検出することで、測定試料中の放射性物質の放射計数を計測している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-140706号公報
【文献】特開2016-151454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の方法では、放射能測定対象に放射線検出器を近接化させることで、測定時間の短縮化による高スループット化を図っている。また、一般的に、放射能測定対象を大面積化することで測定時間の短縮化により高スループット化が可能である。
しかしながら、大面積化した放射線検出器を放射能測定対象に近接化させると、放射線の線源位置とその放射線を検出した位置関係の不確実性が増し、計数率から放射能への換算精度が低下するという課題(問題)がある。
【0007】
また、特許文献2に記載の方法では、放射線の線源位置とその放射線を検出した位置関係を明らかにするため、二次元アレイ放射線検出器を用いてα線やβ線などを測定している。
しかしながら、二次元アレイ放射線検出器を用いたγ線の測定方法はない。その理由は、α線やβ線は飛程が短いため、放射線検出器を放射線測定対象に密着させた場合、放射線検出器内で放射線を検出した位置の近い放射線検出器表面にα線やβ線を放出する放射能があると見なせるが、γ線は放射線検出器内のどこでも検出される可能性があるため、γ線を検出した位置とγ線の線源位置関係が単純には結び付かない。すなわち、γ線の測定には適していないという課題(問題)がある。
【0008】
本発明は、前記した課題に鑑みて創案されたものであって、α線やβ線のみならず、γ線を含む放射能測定対象の放射能を高精度で決定できる放射能測定方法、および放射能測定装置を提供することを課題(目的)とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題を解決するために、本発明を以下のように構成した。
すなわち、本発明の放射能測定方法は、放射能測定対象の放射能量、または放射能濃度を測定する放射能測定方法であって、前記放射能測定対象の質量を取得する工程と、前記放射能測定対象の形状を取得する工程と、前記放射能測定対象と二次元アレイ型の放射線検出器との位置関係を取得する工程と、前記二次元アレイ型の放射線検出器を前記放射能測定対象に近接化させる工程と、前記二次元アレイ型の放射線検出器により放射線計数率を測定する工程と、前記二次元アレイ型の放射線検出器における放射線計数率分布から放射線の線源位置を推定する工程と、局所的な汚染として推定された放射線の線源位置の中から放射能が高くなる位置を選定する工程と、選定された放射能が高くなる位置と前記放射能測定対象の形状とを重ね合わせた位置に放射線の線源があると想定し、前記二次元アレイ型の放射線検出器の各検出位置から想定された放射線の線源位置までの距離情報を用い、放射線計数率から放射能量に換算する工程と、を含むことを特徴とする。
【0010】
また、その他の手段は、発明を実施するための形態のなかで説明する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、α線やβ線のみならず、γ線を含む放射能測定対象の放射能を高精度で決定できる放射能測定方法、および放射能測定装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態に係る放射能測定装置の構成例を示す図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る放射能測定装置におけるモニタの詳細な機能・表示例を示す図である。
図3A】本発明の第1実施形態に係る放射線検出部に用いられる放射線検出器の第1の組み合わせ構成例を示す図である。
図3B】本発明の第1実施形態に係る放射線検出部に用いられる放射線検出器の第2の組み合わせ構成例を示す図である。
図3C】本発明の第1実施形態に係る放射線検出部に用いられる放射線検出器の第3の組み合わせ構成例を示す図である。
図4A】放射線検出部が可動式放射線検出部である場合の放射線検出器の配置構成を示す図である。
図4B】放射線検出部が可動式放射線検出部とともに固定式放射線検出部を設けた放射線検出器の配置構成を示す図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る放射線計測装置を用いた放射能測定の処理フローをフローチャート例として示す図である。
図6】本発明の第1実施形態に係る放射能測定装置の測定における線源位置の推定をする処理フローを、フローチャートの第1例として、またフローに対応するグラフを示す図である。
図7】本発明の第1実施形態に係る放射能測定装置の測定における線源位置の推定をする処理フローを、フローチャートの第2例として、またフローに対応するグラフを示す図である。
図8】本発明の第1実施形態に係る放射能測定装置の測定における線源位置の推定をする処理フローを、フローチャートの第3例として、またフローに対応するグラフを示す図である。
図9】本発明の第2実施形態に係る放射能測定装置の構成例を示す図である。
図10】本発明の第3実施形態に係る放射能測定装置の一部が示されており、放射能検出部の近傍の部分構成例を示す図である。
図11】本発明の第4実施形態に係る放射能測定装置の一部が示されており、放射能検出部の近傍の部分構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態(以下においては「実施形態」と表記する)を、適宜、図面を参照して説明する。
【0014】
≪第1実施形態・放射能測定装置、放射能測定方法≫
本発明の第1実施形態に係る放射能測定装置の構成と機能を、適宜、図を参照して説明する。なお、以下の説明は、主として「放射能測定装置」として説明するが、「放射能測定方法」の説明を兼ねる。
【0015】
図1は、本発明の第1実施形態に係る放射能測定装置100の構成例を示す図である。
図1において、放射能測定装置100は、放射線検出部10、形状検出部20、放射線検出器位置調整部30、質量検出部40、形状認識部50、放射線計数率算出部60、放射線源位置推定部70、放射能換算部80、制御管理部90を備えて構成されている。
次に、前記の各部について順に説明する。
【0016】
《放射線検出部10》
放射線検出部10は、放射線検出器11としてシンチレータを有している。シンチレータとしては、α線やβ線やγ線を、それぞれ対象とする様々な放射線検出器がある。図1における放射線検出部10の放射線検出器11としては、特にγ線に対応したγ線シンチレータを有しているものを代表として説明する。ただし、α線やβ線のシンチレータの場合についても、同様の構成と説明を適用する。
シンチレータは、放射能測定対象1の放射線を検出する。放射線検出器11は、大面積の二次元アレイで構成されている。
放射線検出部10で取得された放射能測定対象1の放射線に関する情報は、後記する放射線計数率算出部60に送られる。
【0017】
放射線検出部10は、水平方向支持部31と垂直方向支持部37と可動部32によって支持されている。
可動部32が垂直方向支持部37において垂直方向に移動することによって、水平方向支持部31に支持されている放射線検出部10が垂直方向に移動し、放射線検出部10と放射能測定対象1との位置関係が変更、決定される。
また、可動部32には、レーザー距離計33が備えられている。レーザー距離計33が放射線検出部10(放射線検出器11)からトレイ41までの距離を検出する。なお、トレイ41には、放射能測定対象1が搭載されている。つまり放射能測定対象1との距離をレーザー距離計33で測定することによって、放射能測定対象1と可動部32との距離、位置関係を把握する。すなわち、放射能測定対象1と放射線検出部10(放射線検出器11)との距離を把握する。
また、レーザー距離計33で取得された情報は、後記する放射線検出器位置調整部30の高さ測定手段35に送られる。そして、放射線検出器位置調整部30の高さ調整手段34の情報によって、可動部32が電動等で移動、調整される。
【0018】
《形状検出部20》
形状検出部20は、放射能測定対象1の形状を検出、認識する形状検出手段21を有している。形状検出手段21は、例えば、単体または複数の光学カメラ、あるいはレーザースキャナを備えて構成される。
形状検出手段21によって検出された放射能測定対象1の形状に関する情報は、後記する形状認識部50に送られる。
【0019】
《放射線検出器位置調整部30》
放射線検出器位置調整部30は、高さ測定手段35と高さ調整手段34を有している。
高さ測定手段35は、前記のレーザー距離計33の情報によって、放射線検出部10の放射能測定対象1からの高さを測定する。そして、この高さの情報を、高さ調整手段34に送る。
高さ調整手段34は、前記の高さの情報と、後記する制御管理部90の制御信号とによって、前記の可動部32に、高さ調整信号を送り、可動部32を適正に移動させる。
放射線検出器位置調整部30は、以上の構成と手順によって、放射線検出部10を放射能測定対象1に近接化させる。
【0020】
《質量検出部40》
質量検出部(ロードセル)40は、トレイ41を備えている。トレイ41に放射能測定対象1が搭載されている。
質量検出部40は、例えば、荷重を電気信号に変換するロードセル(Load cell)で構成されている。質量検出部40は、トレイ41に配置されている放射能測定対象1の質量を計測、検出して、その荷重を電気信号に変換する。電気信号に変換された放射能測定対象1の質量の情報は、後記する放射能換算部80に送られる。
なお、放射能測定対象1は、トレイ41上の任意位置に設置することが可能であるものとするが、トレイ41上における放射能測定対象1の配置は、放射線検出器11の大きさの2倍以内範囲に配置するものとする。
【0021】
《形状認識部50》
形状認識部50は、画像認識手段51を有している。
形状認識部50には、前記の形状検出部20から、放射能測定対象1の形状に関する情報が送られてくる。
形状認識部50の画像認識手段51によって、放射能測定対象1の形状に関する情報を所定のアルゴリズムを用いて処理し、放射能測定対象1の形状を認識するとともに、放射能測定対象1と放射線検出部10との位置関係、あるいは放射能測定対象1がトレイ41のどの位置に配置されているか、などを把握する。
画像認識手段51で取得された放射能測定対象1の形状、並びに放射能測定対象1と放射線検出部10との位置に関する情報は、後記する放射能換算部80と制御管理部90に送られる。
【0022】
《放射線計数率算出部60》
放射線計数率算出部60は、信号処理回路61と演算手段62を有している。
信号処理回路61には、前記した放射線検出部10で取得された放射能測定対象1の放射線に関する情報が入力している。そして、信号処理回路61において、ノイズ除去、A/D(Analog-to-Digital)変換等の信号処理がなされる。そして、この信号処理をした信号を、演算手段62に送る。
演算手段62は、各放射線検出位置での放射線(γ線)の計数率(単位時間当たりのカウント数、cps)を求める。
そして、各放射線検出位置での放射線(γ線)の計数率の情報は、放射線源位置推定部70に送られる。
なお、演算手段62には、後記する制御管理部90(制御管理手段91)から制御信号が入力されている。
【0023】
《放射線源位置推定部70》
放射線源位置推定部70は、位置推定手段71と判定手段72を有している。
位置推定手段71は、放射線計数率算出部60から得られた各放射線検出位置での放射線(γ線)の計数率の情報を、各放射線検出位置に対応するように放射線の計数率を二次元に並べる。この二次元の配列をしたときに、無作為、あるいは一つか複数のピークからなる二次元計数率分布が得られる。
前記の放射線の二次元計数率分布にて複数のピークを得られた場合は、ピークごとに計数率分布を分離し、それぞれの一つのピークを有する放射線の二次元計数率分布に対して、ピーク位置とその広がりを求める。
【0024】
判定手段72は、所定の判定基準に基づいて、それぞれの放射線の二次元計数率分布が、放射能の局所的な汚染から来ているものかを判定する。
判定可の場合、判定可信号並びに位置推定手段71で得られたピーク位置と広がりの情報を放射能換算部80に送る。
また、判定不可の場合、判定不可信号を放射能換算部80に送る。
このように、放射線源位置推定部70は、放射線源位置を推定する。
【0025】
《放射能換算部80》
放射能換算部80は、放射能換算手段81とメモリ82を有している。
放射能換算部80には、前記の判定手段72から判定可信号とピーク位置と広がりの情報、または判定不可信号が入力する。また、質量検出部(ロードセル)40から、電気信号に変換された放射能測定対象1の質量の情報が入力する。
また、形状認識部50から、放射能測定対象1の形状、並びに放射能測定対象1と放射線検出部10との位置に関する情報が入力する。
放射能換算部80の放射能換算手段81で、判定可信号を受けた場合には、さらに与えられたピーク位置と広がりのなかで、換算したときに放射能が高くなる位置に線源があると仮定(推定)する。
あるいは、判定不可信号を受けた場合には、前記の形状認識部50で得られた形状のある空間の中で放射能が高くなる位置に線源があると仮定(推定)する。
【0026】
これらの仮定(推定)した線源位置に対して、各検出位置の距離を求めて放射線の計数率を放射能に換算する。
このように、放射能換算部80は、推定した位置の中で放射能が高くなる位置を線源位置として、各検出位置までの距離情報を用いて放射能に換算する。
すなわち、放射能換算部80は、放射線源位置推定部70の放射線の情報と、形状認識部50の放射能測定対象の形状の情報とを基に、放射線源位置の放射能に換算、出力する。
また、質量検出部(ロードセル)40の放射能測定対象1の質量の情報によって、必要に応じて、単位質量あたりの放射能に換算する。
【0027】
また、放射能換算部80のメモリ82で、前記の放射能に関する情報を記録する。また、メモリ82は、後記する制御管理部90に備えられたモニタ92に、メモリ82に記録された放射能に関する情報を送っている。
【0028】
《制御管理部90》
制御管理部90は、制御管理手段91とモニタ92(表示手段)とキーボード93(入力手段)を備えている。
制御管理部90(制御管理手段91)には、放射能換算部80と形状認識部50とキーボード93から、それぞれの信号を入力している。
また、制御管理部90(制御管理手段91)は、放射線検出器位置調整部30と放射線計数率算出部60とモニタ92とに、制御する信号を出力している。
【0029】
制御管理部90(制御管理手段91)は、キーボード93から事前に入力した設定測定時間と放射能測定対象に関する情報を得る。
また、制御管理部90(制御管理手段91)は、形状認識部50から画像認識手段51で取得された放射能測定対象1の形状に関する情報を得る。
また、制御管理部90(制御管理手段91)は、放射能換算部80から換算終了の合図(信号)を受ける。
【0030】
制御管理部90(制御管理手段91)は、放射線検出器位置調整部30の高さ調整手段34に対して放射能測定対象へ近接化するように指示を与える制御信号を出力する。
また、制御管理部90(制御管理手段91)は、放射線計数率算出部60に、放射線の測定開始の指示を与え、設定測定時間経過後に放射線計数率算出部60に計算率計算指示を与える制御信号を出力する。
また、制御管理部90(制御管理手段91)は、放射能換算部80から換算終了の合図を受けて、メモリ82から放射能の情報を読み出し、モニタ92に表示する制御信号を出力する。
以上のように、制御管理部90は、一連の処理を制御する。
なお、モニタ92の詳細については、後記する。
【0031】
<放射能測定装置の機能・動作の概要>
以上の図1で示した第1実施形態の放射能測定装置100の機能・動作の概要をあらためて説明する。
前記したように、図1の放射能測定装置100は、放射線検出部10、形状検出部20、放射線検出器位置調整部30と、質量検出部40、形状認識部50、放射線計数率算出部60、放射線源位置推定部70、放射能換算部80、制御管理部90を備えて構成されている。
放射線検出器位置調整手段(30)を用いて放射能測定対象1に放射線検出手段(10)を近接化させ、放射線検出手段(10)と放射線計数率算出手段(60)を用いて放射線の計数率を求め、放射線源位置推定手段(70)を用いて放射線検出手段(10)で得た放射線の計数率分布から放射線源の位置を推定する。そして、放射能換算手段(81,80)を用いて、その推定した放射能位置の中で放射能が高くなる位置に放射線源があるとして、各検出位置までの距離情報を用いて放射能に換算する。
【0032】
また、形状検出部20、形状認識部50、質量検出部40によって、放射能測定対象1を把握する。また、一連の処理を制御管理部90が制御する。
以上の点に、本発明の第1実施形態の放射能測定装置100は特徴がある。
なお、以上は、放射能測定装置100のハードの構成から見た観点である。
【0033】
また、図1の放射能測定装置100を用いた放射能測定方法というソフトから見ると、次のように表記できる。つまり、図1の放射能測定装置100を用いた放射能測定方法は、放射能測定対象の放射能量、または放射能濃度を測定する放射能測定方法であって、前記放射能測定対象の質量を取得する工程と、前記放射能測定対象と二次元アレイ型の放射線検出器との位置関係を取得する工程と、前記二次元アレイ型の放射線検出器を前記放射能測定対象に近接化させる工程と、前記二次元アレイ型の放射線検出器により放射線計数率を測定する工程と、前記二次元アレイ型の放射線検出器における放射線計数率分布から放射線の線源位置を推定する工程と、推定された放射線の線源位置の中から放射能が高くなる位置を選定する工程と、選定された放射能が高くなる位置に放射線の線源があると想定し、前記二次元アレイ型の放射線検出器の各検出位置から推定された放射線の線源位置までの距離情報を用い、放射線計数率から放射能量に換算する工程と、を含むことを特徴としている。
【0034】
なお、放射能測定装置100の放射能測定の処理フロー例の詳細やバリエーションについては、後記する。
【0035】
次に、さらに放射能測定装置100のモニタ92と放射線検出器11の詳細な構成と機能について、順に説明する。
【0036】
<モニタ92の詳細>
図1におけるモニタ92(表示手段)について、詳しく説明する。
モニタ92には、放射能換算部80のメモリ82から放射能の情報と、制御管理部90の制御信号が入力している。また、メモリ82の情報は、制御管理部90によって画像化される。
図2は、本発明の第1実施形態に係る放射能測定装置100におけるモニタ92の詳細な機能・表示例を示す図である。
図2に示すモニタ92におけるモニタのスクリーン92Sにおいて、第1の画像2010、第2の画像2020、第3の画像2030が表示される。
【0037】
《第1の画像2010》
第1の画像2010においては、レーザー距離計33から得られた放射線検出器11(放射線検出部10)からトレイ41までの距離、及び形状認識部50が備える画像認識手段51から得られた放射能測定対象の形状情報、並びに放射能測定対象1と放射線検出器11との位置関係が分かる数値情報、および二次元あるいは三次元の画像を表示する。
第1の画像2010には、トレイ41から放射線検出器11までの距離2011、放射能測定対象1と放射線検出部10との距離2012、トレイ41上での放射線検出器11の端から放射能測定対象1の最短距離2013、トレイ41上での放射線検出部10の端から放射能測定対象1の最長距離2014を数値情報(画像)として表示する。
ただし、数値情報は、数値として表す必要がない単純形状や、反対に数値として表すことが困難な形状の場合等は、必ずしも表示するものではない。
【0038】
《第2の画像2020》
第2の画像2020においては、放射線検出器11における検出位置に対応する設定測定時間内の放射線計数(Counts)、あるいは放射線計数率(Counts Per Sec;cps、Cps)、あるいは放射線線量率(Sv/h)を二次元マップとして表示する。
また、第2の画像2020において、検出位置における設定測定時間内の放射線計数、あるいは放射線計数率、あるいは放射線線量率のいずれかは、強度を示すカラーバー2021と共に示される。
【0039】
《第3の画像2030》
第3の画像2030においては、線源位置推定後、限定された放射能分布2031、および仮定した放射能位置2032を、放射能測定対象上に投影して、二次元あるいは三次元画像として表示する。
なお、この第3の画像2030は、限定された放射能分布2031、および仮定した放射能位置2032を放射能測定対象上のどこに位置するのかを、ユーザーが視覚情報として把握するものであり、同等の情報が得られるのであれば、前記の表示に限定されない。
【0040】
《その他の画像》
また、図2におけるモニタ92には、前記の第1~第3の画像以外にも、キーボード93(図1)から入力された設定情報、形状検出部20および形状認識部50で得られたデータ、放射線検出部10(放射線検出器11)から得られたデータ、あるいは放射線計数率算出部60、放射線源位置推定部70、放射能換算部80の処理方法の選択、途中計算結果、プラグラム処理情報などを示す各種の情報、あるいは画像を、必要に応じて表示できるものとする。
【0041】
<放射線検出器11の構成>
図1における放射線検出部10に用いられる放射線検出器11の構成について、図3A図3B図3Cを参照して、詳しく説明する。
【0042】
《放射線検出器の第1の組み合わせ構成例》
図3Aは、本発明の第1実施形態に係る放射線検出部10に用いられる放射線検出器11の第1の組み合わせ構成例を示す図である。
図3Aにおいて、放射線検出器11を構成する大面積二次元アレイ型放射線検出器は、アレイ型シンチレータ7011と、それに対応するアレイ型光センサー7012の組み合わせで構成(第1の組み合わせ構成)されている。この第1の組み合わせ構成の放射線検出器11を放射線検出器7010とする。
【0043】
図3Aに示すように、第1の組み合わせ構成の放射線検出器7010は、アレイ型シンチレータ7011とアレイ型光センサー7012が、ともにアレイ状に構成され、それぞれのアレイが対応した構成となっている。
アレイ型シンチレータ7011で放射線を検出すると放射線を光に変換して、光信号をアレイ型光センサー7012の対応する画素に送る。
アレイ型光センサー7012は、光信号を電気信号に変換して、各画素の電気信号として、送信する。
【0044】
《放射線検出器の第2の組み合わせ構成例》
図3Bは、本発明の第1実施形態に係る放射線検出部10に用いられる放射線検出器11の第2の組み合わせ構成例を示す図である。
図3Bにおいて、1枚の平板シンチレータ7021とアレイ型あるいは複数の光センサー7022との組み合わせで構成(第2の組み合わせ構成)されている。この第2の組み合わせ構成の放射線検出器11を放射線検出器7020とする。
放射線検出器7020では、平板シンチレータ7021で放射線を検出すると、放射線は光に変換される。アレイ型あるいは複数の光センサー7022は、各画素で光(光信号)を電気信号に変換して、各画素の電気信号として送信する。
【0045】
《放射線検出器の第3の構成例》
図3Cは、本発明の第1実施形態に係る放射線検出部10に用いられる放射線検出器11の第3の組み合わせ構成例を示す図である。
図3Cにおいて、放射線検出器11を構成するアレイ型放射線検出器は、アレイ状に配置されたシンチレータ(あるいは半導体、もしくは化合物半導体)7031と、シンチレータ7031の両面に配置されたアレイ型(あるいは複数)の光センサー7032とアレイ型(あるいは複数)の光センサー7033の組み合わせで構成(第3の組み合わせ構成)されている。この第3の組み合わせ構成の放射線検出器11を放射線検出器7030とする。
【0046】
図3Cで示す構成の放射線検出器7030においては、シンチレータ(あるいは半導体、もしくは化合物半導体)7031で放射線を検出して、光に変換される。この光(光信号)を、両面に配置された光センサー7032と光センサー7033で光信号を電気信号に変換する。
このような第3の組み合わせ構成の放射線検出器7030においては、シンチレータ7031内の深さ情報を含めた三次元位置情報を取得することができる。
【0047】
<放射線検出器の配置>
図1における放射線検出部10に用いられる放射線検出器11の配置構成について、図4A図4Bを参照して、詳しく説明する。
図4Aは、図1で示した放射線検出部10(放射線検出器11)の構成を再記して示す図である。また、図4Bは、放射線検出部10(可動式放射線検出部)とは別の放射線検出部10B(固定式放射線検出部)を設けた構成を示す図である。
図4Aに示す放射線検出部10(放射線検出器11)の構成は、図1における放射線検出部10(放射線検出器11)の説明と一部重複するが、図4Bに示す放射線検出部10B(固定式放射線検出部)との比較のために、まず図4Aの放射線検出部10(放射線検出器11)を説明し、その後、図4Bの放射線検出部10B(固定式放射線検出部)について説明する。
【0048】
《可動式放射線検出部》
図4Aは、放射線検出部10が可動式放射線検出部である場合の放射線検出器11の配置構成を示す図である。
図4Aの放射線検出部10(放射線検出器11)においては、図1の放射線検出部10(放射線検出器11)において説明したように、可動部32の構造により、放射能測定対象1に対して一方向(垂直方向)のみに、配置して近接化させる。
しかし、放射線検出器11は、一般的に深さ方向に対して、放射能測定対象1から距離が離れるほどピークが広がるため位置推定精度が低下する。それとともに、ピークが広がることによりピーク検出、および他の検出位置に置けるピークとの識別が困難になるため、位置推定の判定不可が発生するなどの問題がある。
【0049】
《固定式放射線検出部10B》
図4Bは、放射線検出部10が可動式の放射線検出部(可動式放射線検出部10)であるとともに、固定式の放射線検出部10B(固定式放射線検出部10B)を設けた放射線検出部の配置構成を示す図である。
図4Bにおいては、前記のピークの識別が困難となる問題を解決するために、固定式放射線検出部10Bをさらに備えたものである。
図4Bにおいては、可動式放射線検出部10を上面、固定式放射線検出部10Bを下面に設置している。固定式放射線検出部10Bを下面に配置して、放射能測定対象1を固定式放射線検出部10Bの上面に配置し、可動式放射線検出部10と固定式放射線検出部10Bとによって、放射能測定対象1の放射線を検出する。
【0050】
図4Bに示すように、可動式放射線検出部10(可動式放射線検出器11)と固定式放射線検出部10B(固定式放射線検出器11B)の二つを対面配置した装置においては、フィッティング(フィッティング手法)を用いた位置推定を適用する際には、二つの放射線検出器(11,11B)において位置推定を実施する。
また、位置推定を実施した際に、判定可と判定不可の結果が得られた場合において、判定可が得られる線源が近い側の放射線検出器の推定位置情報をもとに、二つの放射線検出器の計数率から放射能に換算する。
あるいは、機械学習においては、二つの放射線検出器の情報を同一の学習機に入力して学習させる。また、二つの放射線検出器のデータ処理は、制御装置により同期され連動する形で動作する。
【0051】
<放射能測定装置の放射能測定の処理フロー>
図1に示した放射能測定装置100の放射能測定の基本的な処理フローを、図5を参照して説明する。
図5は、本発明の第1実施形態に係る放射能測定装置100(図1)を用いた放射能測定の処理フローを、フローチャート例として示す図である。
図5において、ステップS301~ステップS310について説明する。なお、「ステップ」は「工程」に相当する。
【0052】
〈ステップS301〉
ステップS301において、放射能測定対象1がトレイ41に設置されたのち、放射能測定対象1の質量を、質量検出部(ロードセル)40で測定する(質量の測定)、「質量を取得する工程」。
【0053】
〈ステップS302〉
ステップS302において、形状検出手段21として、例えば、光学カメラあるいはレーザースキャナを用いて、放射能測定対象1を捉える。そして、その形状に関するデータを形状認識部50に送る。
形状認識部50が備える画像認識手段51において、放射能測定対象1の形状情報、並びに放射能測定対象1と放射線検出部10との位置関係(距離)を得る(距離・形状情報の取得)、「形状を取得する工程」、「位置関係を取得する工程」。
【0054】
〈ステップS303〉
ステップS303において、制御管理手段91から送られてきた高さ情報と、レーザー距離計33から送られてきた情報に基づく高さ測定手段35から得られた高さ情報が十分近くなるまで、高さ調整手段34の信号によって、可動部32を移動させる(検出器近接化)、「近接化させる工程」。
【0055】
〈ステップS304〉
放射線検出部10にて検出された放射線は、検出位置と放射線エネルギー情報を有した状態で放射線計数率算出部60に送られる。放射線計数率算出部60に備えられる演算手段62が、各放射線検出位置での放射線の計数率(cps)を求める(計数率測定)、「測定する工程」。
【0056】
〈ステップS305〉
放射線源位置推定部70に備えられる位置推定手段71が、各放射線検出位置に対応するように計数率を二次元に並べたとき、無作為、あるいは一つか複数のピークからなる二次元計数率分布が得られる。
この二次元計数率分布が複数のピークを得られた場合は、ピークごとに計数率分布を分離し、それぞれの一つのピークを有する二次元計数率分布に対して、ピーク位置とその広がりを求める(線源位置の推定)、「線源位置を推定する工程」。
【0057】
〈ステップS306〉
放射線源位置推定部70に備えられる判定手段72にて、所定の判定基準に基づいて、それぞれの二次元計数率分布が局所的な汚染から来ているものか判定する。
判定可の信号を受けた場合、与えられたピーク位置と広がりのなかで、換算したときに放射能が高くなる位置に線源があると仮定(推定)し、選定する。
判定不可の信号を受けた場合には、形状認識部50で得られた形状のある空間の中で放射能が高くなる位置に線源があると仮定(推定)し、選定する(計数率から放射能への換算、および線源の選定)、「選定する工程」。
【0058】
〈ステップS307〉
仮定した線源位置に対して、各検出位置の距離を求めて計数率を放射能に換算する。
放射能濃度(Bq/g)を得る際には、ステップS301で得た放射能測定対象の質量で放射能(Bq)を除することで放射能濃度を得る(放射能から放射能濃度への換算)、「放射能量に換算する工程」。
【0059】
〈ステップS308〉
ステップS307で得られた放射能濃度に対して、人体に影響しない放射能濃度のレベルであるクリアランスレベルを超えているか否かのクリアランス判定を行う(クリアランス判定?)。
核種に応じて規定されたクリアランスレベルよりも放射能濃度が高い場合(Yes)には、クリアランス廃棄物(S309)と判定される。
また、クリアランスレベルよりも放射能濃度が低い場合(No)には、低レベル放射性廃棄物(S310)と判定される。
なお、前記のように、クリアランス測定における放射能濃度は、核種に応じてクリアランスレベルが規定されている。例えば、原子力学会推奨の裕度不要の簡易判断では、(Sr-90/Co-60)<0.05にて、Co-60の放射能濃度は、クリアランスレベルは0.1[Bq/g]である。
【0060】
実際に、前記の本提案手法をクリアランス測定に用いる際、測定上の統計誤差や線源位置の推定精度などから算定される放射能の過小評価リスクを抑えるため、形状認識部で認識された形状のグループごとに安全係数を用意する。
そして、得られた放射能濃度に対して安全係数をかけることで予め放射能を多く見積もるなどの処置を講じる。この処置は、適用時の規制や測定環境に応じて検討して、適宜、必要な処置を講じる。
【0061】
〈ステップS309〉
前記したように、ステップS308でクリアランスレベルよりも放射能濃度が高い場合(Yes)には、クリアランス廃棄物(S309)と判定される。
ステップS309におけるクリアランス廃棄物は、放射能濃度が高いとして所定の取り扱いを受ける。
【0062】
〈ステップS310〉
前記したように、ステップS308でクリアランスレベルよりも放射能濃度が低い場合(No)には、低レベル放射性廃棄物(S310)と判定される。
ステップS310における低レベル放射性廃棄物は、放射能濃度が低いとして所定の取り扱いを受ける。
【0063】
<線源位置の推定における具体的な処理フローの第1例>
図5のフローチャートのステップS305(図5)における線源位置の推定の具体的な処理フローの第1例を図6に示す。
図6は、本発明の第1実施形態に係る放射能測定装置100の測定における線源位置の推定をする処理フローを、フローチャートの第1例として、またフローに対応するグラフを示す図である。
すなわち、図6において、S401~S406がフローチャートの各ステップであり、グラフG401~G403、G456が、それぞれS401~S403、およびS405とS406に対応する各グラフである。
なお、図6では表記の簡略化の都合により、計数率分布は、二次元ではなく、一次元で記載されている。ただし、放射線検出器が二次元であることから、実際には二次元分布を想定している。なお、後記する方法で実質的に三次元に拡張することも可能である。
【0064】
〈ステップS401:グラフG401〉
ステップS401において、放射線源位置推定部70に備えられる位置推定手段71が、各放射線検出位置に対応するように計数率を二次元に並べる(計数率の二次元配置)。
この計数率を二次元で表記したものが、グラフG401であり、放射線の検出位置に対応した計数率分布が得られる。
なお、グラフG401における縦軸は計数率[cps]であり、横軸はピクセル列番号である。
【0065】
〈ステップS402:グラフG402〉
ステップS402において、ステップS401で得られた計数率分布をより鮮明にするための数学的手法であるデコンボリューションを実施する(デコンボリューション)。
この計数率分布をデコンボリューションした結果を表記したものが、グラフG402である。グラフG402で分るように、無作為、あるいは一つか複数のピーク(例えば、「分布1」、「分布2」)からなる二次元計数率分布が得られる。
なお、グラフG402における縦軸は計数率[cps]であり、横軸はピクセル列番号である。
【0066】
〈ステップS403:グラフG403〉
ステップS403において、ステップS402で実行したデコンボリューションによって得られたそれぞれのピークに対して、フィッティング(フィッティング手法)を適用する。そして、それぞれの計数率分布をなす二次元上のピーク位置および広がりと、それぞれのフィッティング精度を得る(各分布へのフィッティング)。
さらに、ピーク位置によって二次元方向の位置推定、広がりによって深さ方向の位置推定が可能であるため、実質的にはそれぞれの計数率分布に対応する三次元空間上のピーク位置、および広がりが得られる。
【0067】
なお、深さ方向に重なりを有さない平板などの単純形状を有する放射能測定対象に関しては、深さ方向は、形状認識部により取得可能であるため、必要に応じて二次元位置の推定に限定しても構わない。
以上の結果を表記したものが、グラフG403である。なお、グラフG403において、FWHM1、FWHM2は、それぞれ分布1、分布2における半値全幅(FWHM)を示している。また、グラフG403における、縦軸は計数率[cps]であり、横軸はピクセル列番号である。
【0068】
〈ステップS404〉
ステップS404において、それぞれの計数率分布のピーク位置、広がり、フィッティング精度、放射能測定対象の形状情報を踏まえて、局所的な汚染から来ているものか否かを判定する(局所的汚染判定?)。
そして、フィッティング精度が高く、局所的な汚染から来ていると判定される場合(Yes)には、ステップS405に進む。
また、フィッティング精度が低く、局所的な汚染から来ているのではないと判定される場合(No)、あるいは、限定された線源位置に放射能測定対象がないなど明らかなエラーが生じた場合で、判定不可のフローと判定される場合(No)には、ステップS406に進む。
【0069】
なお、形状が単純で線源が放射能測定対象内に一様分布している場合には、フィッティング精度のみで判定する。しかし、放射能測定対象の形状が複雑で線源が一様分布に、検出器に何らかのピークを有する計数率分布をもたらす場合には、線源が一様分布の際の計数率分布も事前にシミュレーションで求めておき、その計数率分布と比較して優位なピークの有無を判定しても良い。
【0070】
〈ステップS405:グラフG456〉
ステップS404における判定で、それぞれフィッティング精度が高い場合には、それぞれのピークを有する計数率分布を放射能測定対象の形状と重ね合わせて、与えられた三次元空間上のピーク位置と広がりのなかに線源位置を限定する(形状との重ね合わせで位置を限定)。
以上を表記したものが、グラフG456である。グラフG456は、ステップS405やステップS406で放射能が高くなる位置に線源があるとする状況を示している。
なお、グラフG456において、四角形の形状で示した領域が線源位置を限定した範囲である。
そして、ステップS406に進む。
【0071】
〈ステップS406:グラフG456〉
ステップS406では、ステップS404で、限定された線源位置に放射能測定対象がないなど明らかなエラーが生じた場合や、ステップS405を経た場合に対して、限定された線源位置のうち、換算したときに放射能が高くなる位置に線源があると仮定する。
また、深さ判定不可信号を受けた場合には、線源位置は限定されず、形状認識部50で得られた形状のある空間の中で放射能が高くなる位置に線源があると仮定する。
以上の放射能が高くなる位置に線源があると仮定することによって、放射能が高くなる位置を選択(選定)する(放射能が高くなる位置を選択)。
【0072】
なお、一様分布の線源に対する計数率分布をシミュレーションで事前に求めている場合、これに該当する計数率に対しては、一様分布の換算係数を適用することで放射能に換算することもできる。
グラフG456は、ステップS405やステップS406で放射能が高くなる位置に線源があるとする状況を示している。
また、グラフG456において、黒い丸で表記したポイントが形状認識部50で得られた形状のある空間の中で放射能が高くなる位置とされる線源を示している。
【0073】
以上のフローのステップを経ることによって、放射能が高くなる位置とされる線源が推定される。
以上が、線源位置の推定における具体的な処理の第1例である。
次に、線源位置の推定における具体的な処理の第2例について説明する。
【0074】
<線源位置の推定における具体的な処理の第2例>
図5のフローチャートのステップS305(図5)における線源位置の推定の具体的な処理の第2例を図7に示す。
図7は、本発明の第1実施形態に係る放射能測定装置100の測定における線源位置の推定をする処理フローを、フローチャートの第2例として、またフローに対応するグラフを示す図である。
すなわち、図7において、S501~S506がフローチャートの各ステップであり、G501~G502、G556が、それぞれS501~S502、およびS505とS506に対応する各グラフである。
図7におけるフローチャートのステップS501~S506は、図6におけるフローチャートのステップS401~S406と類似している。
図7のステップにおいて、図6のステップと共通、類似しているところでは、重複する説明は省略して、相違する点について主に説明する。
【0075】
〈ステップS501~S502、グラフG501~G502〉
図7におけるステップS501~S502、およびグラフG501~G502は、図6におけるステップS401~S402、およびグラフG401~G402と、それぞれ事実上、同一であるので、重複する説明は、省略する。
【0076】
〈ステップS503〉
ステップS503において、ステップS502で実行したデコンボリューションによって得られたそれぞれのピークを有する計数率分布を、検出位置情報と計数率が対応するデータセットとして事前に学習させておいた機械学習にかける。
そして、それぞれの計数率分布に対応する三次元空間上のピーク位置および広がりが得られる(機械学習)。
【0077】
〈ステップS504〉
ステップS504において、それぞれの計数率分布から得られたピーク位置、広がり、学習精度、放射能測定対象の形状情報を踏まえて、局所的な汚染から来ているものか否かを判定する(局所的汚染判定?)。
そして、学習精度が高く、局所的な汚染から来ていると判定される場合(Yes)には、ステップS505に進む。
また、学習精度が低く、局所的な汚染から来ているのではないと判定される場合(No)には、あるいは、限定された線源位置に放射能測定対象がないなど、明らかなエラーが生じた場合で、判定不可のフローと判定される場合(No)には、ステップS506に進む。
【0078】
なお、形状が単純で線源が放射能測定対象内に一様分布している場合には、学習精度のみで判定する。しかし、放射能測定対象の形状が複雑で線源が一様分布に、検出器に何らかのピークを有する計数率分布をもたらす場合には、線源が一様分布の際の計数率分布も事前にシミュレーションで求めておき、検出位置情報と計数率が対応するデータセットとして事前に学習させておいた機械学習にかけて得られた結果と比較して、優位なピークの有無を判定しても良い。
【0079】
〈ステップS505:グラフG556〉
ステップS504における判定で、それぞれ学習精度が高い場合には、それぞれのピークを有する計数率分布を放射能測定対象の形状と重ね合わせ、与えられた三次元空間上のピーク位置と広がりのなかに線源位置を限定する(形状との重ね合わせで位置を限定)。
以上を表記したものが、グラフG556である。グラフG556は、ステップS505やステップS506で放射能が高くなる位置に線源があるとする状況を示している。
なお、グラフG556において、四角形の形状で示した領域が線源位置を限定した範囲である。
そして、ステップS506に進む。
【0080】
〈ステップS506:グラフG556〉
ステップS506については、ステップS406と事実上、同一であるので、重複する説明は、省略する。
なお、グラフG556において、黒い丸で表記したポイントが形状認識部50で得られた形状のある空間の中で放射能が高くなる位置とされる線源を示している。
【0081】
《ステップS503の補足》
前記のステップS503について補足する。
ステップS502からステップS503において、計数率分布が関連するが、一様分布の線源に対する計数率分布をシミュレーションで事前に求めている場合には、該当する計数率に対しては、一様分布の換算係数を適用することで放射能に換算することもできる。
また、ステップS503における機械学習に関しては、点線源1個を既知の位置に配置したシミュレーションあるいは測定を実施し、線源位置と放射線検出器で得られる計数率分布を用いて学習させ、計数率分布と線源位置の関係性を学習させる。
【0082】
なお、この学習に用いる学習機に関しては、ニューラルネットワークなどの深層学習も含むものとする。計数率分布と線源位置との関係性を学習させるものであれば、学習方法を問わない。
また、学習データ数や計数率の統計誤差にもよるが、位置情報と計数率分布の直接的な関係を求めるため、図7で示したステップS503の機械学習による手法は、図6で示したステップS403におけるフィッティングを用いる手法よりもより高精度な位置推定が可能となる。
【0083】
<線源位置の推定における具体的な処理の第3例>
図5のフローチャートのステップS305(図5)における線源位置の推定の具体的な処理の第3例を図8に示す。
図8は、本発明の第1実施形態に係る放射能測定装置100の測定における線源位置の推定をする処理フローを、フローチャートの第3例として、またフローに対応するグラフを示す図である。
図8においては、S601~S605がフローチャートの各ステップであり、G601、G645が、それぞれS601、およびS604とS605に対応するグラフである。
【0084】
図8におけるフローチャートのステップS601~S605は、図7におけるフローチャートのステップS501~S506と類似している。
すなわち、図8におけるステップS601は、図7におけるステップS501に対応している。また、図8におけるステップS602~S605は、図7におけるステップS503~S506にそれぞれ対応している。
また、図8におけるグラフG601とG645は、図7におけるグラフG501とG556にそれぞれ対応している。
図8のステップにおいて、図7のステップと共通、類似しているところでは、重複する説明は省略して、相違する点について主に説明する。
【0085】
〈ステップS601、グラフG601〉
図8において、グラフG601(ステップS601に対応)では、表記簡略のため、計数率分布は二次元ではなく、一次元になっているが、検出器が二次元であることから実際には二次元分布を想定している。
図8のステップS601において、放射線源位置推定部70(図1)に備えられる位置推定手段71が、各放射線検出位置に対応するように、計数率を二次元に並べる(計数率の二次元配置)。
すると、グラフG601に示すように、放射線の検出位置に対応した計数率分布が得られる。
【0086】
〈ステップS602〉
ステップS602では、ステップS601で得られた計数率分布を、検出位置情報と計数率が対応するデータセットとして事前に学習させておいた機械学習にかける。
この工程によって、一つか複数のピークからなる計数率分布に対応する三次元空間上のピーク位置、および広がりが得られる(機械学習)。
【0087】
〈ステップS603~S605〉
図8のステップS603(局所的汚染判定?)、ステップS604(形状との重ね合わせで位置を限定)、ステップS605(放射能が高くなる位置を選択)は、図7におけるステップS504~S506にそれぞれ順に対応するので、重複する説明は省略する。
【0088】
<機械学習の詳細>
図8におけるステップS602の「機械学習」について、以下に、詳しく説明する。
機械学習に関しては、点線源1個を既知の位置に配置したシミュレーションあるいは測定を実施し、線源位置と放射線検出器で得られる計数率分布を用いて学習させ、計数率分布と線源位置の関係性を学習させる。
この学習機に関しては、ニューラルネットワークなどの深層学習も含むものとして、計数率分布と線源位置の関係性を学習させるものであれば学習方法を問わない。
また、図8は複数線源の分布も含むため、学習すべきパターンが図7より多くなり事前に学習させるデータ数が増加するが、実際の放射能測定フローでは、図6図7と比べてデータ処理工程を削減することができる。
【0089】
さらに、単線源に対しては、図8におけるステップS602の「機械学習」は、図6のフィッティングを用いる手法より、かつ複雑な線源分布に対しては図7のデコンボリューション後に機械学習にかける手法より、より高精度な位置推定が可能となる。
前記の放射能換算部80においては、各検出位置の距離と線源から計数率から放射能へと換算している。具体的には以下のような計算を実施する。前記放射線検出器に対して線源がjの位置にあるとき、検出位置iにおける放射能は(1)式のように表される。
【0090】
Aij = 1/(∫dΩj (1-exp(-μtij)) ) Cij ・・・(1)
【0091】
(1)式において、Aijは放射能(Bq)、Ωは検出器の張る立体角、μは前記放射線検出器の減衰係数(1/cm)、tijは検出位置末端iと線源位置jを結んだ空間において検出器を通る長さ(cm)である。Aij/Cijは前記放射線検出器の検出位置iに対する放射能換算係数(Bq/Cps)と同義である。
(1)式は、解析的に詳細に導いても構わないし、積分における立体角Ωを大きくすれば、より簡単な計算に変換できる。
さらに、(1)式の計算は、事前に既知の位置に線源を配置して、計数率を得ておき、その逆数を換算係数として使用するのは、距離情報を用いていることとほぼ同義となる。
ちなみに、その場合、同時に入射した放射線の計数率は、放射能換算時に考慮に入れないものとする。また、前記放射線検出器の構成によって、(1)式は、適宜、変形を要する。
なお、自己遮蔽については、放射線が線源位置から前記放射線検出器を通過する間に存在する前期放射能測定対象の材料と長さに基づいて、(1)式に自己遮蔽係数を加え、放射線の線源がjの位置にあるとき、前記放射線検出器の検出位置iにおける放射能は、次に示す(2)式のように表される。
【0092】
Aij = 1/(∫dΩj (1-exp(-μtij))exp( -μ't'ij)) Cij
・・・(2)
【0093】
(2)式において、Aijは放射能(Bq)、Ωは検出器の張る立体角、μは放射線検出器の減衰係数(1/cm)、μ'は放射能測定対象の減衰係数(1/cm)、tijは検出位置末端iと線源位置jを結んだ空間において検出器を通る長さ(cm)、t'ijは検出位置末端iと線源位置jを結んだ空間において前記放射線検出器を通る長さ(cm)である。
Aij/Cijは前記放射線検出器の検出位置iに対する放射能換算係数(Bq/Cps)と同義である。(2)式は解析的に詳細に導いても構わないし、積分における立体角Ωを大きくすればより簡単な計算に変換できる。
【0094】
さらに、前記の(2)式の計算は、事前に既知の位置に線源を配置して、計数率を得ておき、その逆数を換算係数として使用するのは、距離情報を用いていることとほぼ同義となり、実験的にもシミュレーションでも、その計数率情報を得ることができる。
その場合、シミュレーション体系に応じて、同時に入射した放射線の計数率を放射能換算時に考慮すべきかを決めるが、自己遮蔽も含める場合には、シミュレーションとして、モンテカルロシミュレーションが有効である。
モンテカルロシミュレーションでは、検出器全体を配置してシミュレーションする場合が多いため、その時には同時に入射した放射線の計数率を放射能換算時に考慮する。
【0095】
放射能測定対象の全体の放射能は、前記した(1)式や(2)式を用いて解析的に用いる場合において、実質的にすべての検出位置の放射能の平均値か、あるいは平均値をとると、線源位置から遠い検出位置における計数率の統計誤差が過剰に反映される。
この計数率の統計誤差が過剰に反映されるのを防ぐために、線源位置から近い順に重みづけした放射能を採用する。
あるいは線源位置から最も近い検出位置における計数率が十分に多い場合には、線源から最も近い検出位置における放射能を採用する。
また、シミュレーションを用いる場合には、対応する線源位置における換算係数をそのままかけて放射能を求めても構わない。
【0096】
これらの処理により、線源が一様分布の場合には、一様分布の換算係数を適用することも可能である。さらに線源分布が局所にある場合には、その位置を測定対象形状によらず三次元空間上に限定できることから、より高精度な放射能換算が可能となる。
また、計数率もコリメータを用いない位置推定によって、大面積化に応じた計数率を得ることができる。
【0097】
図5図6図7のフローチャートの補足>
図5図6図7のフローチャートの説明において、放射能測定対象1の放射線核種について、特に説明をしなかった。放射線核種としては、α線放出核種、β線放出核種、γ線放出核種があるが、どの放射線核種についても、前記のフローチャートによる放射能測定(放射線測定)は、有効である。
ただし、測定対象とする放射能汚染が、例えばCo-60である場合には、測定する放射線の線種は、Co-60から放出されるγ線である場合には、前記のフローチャートによる放射能測定(放射線測定)は、特に有効となる。
【0098】
つまり、γ線の場合には、任意形状の非検査対象(放射能測定対象1)に対して、内部汚染の測定が可能である。
非検査対象の内部に汚染がある場合、α線やβ線は、非検査対象の外に出てこないので測定ができない。それに対して、前記したように、γ線の場合には、非検査対象の内部に汚染がある場合でも測定が可能である。
すなわち、測定対象の検査領域が3次元空間である場合には、本願の第1実施形態に係る放射能測定装置および放射能測定方法において、γ線の任意形状の非検査対象(放射能測定対象)の場合には、特に有効となる。
【0099】
<第1実施形態の総括>
第1実施形態の放射能測定方法、および放射能測定装置では、放射線検出器内の放射線の計数率分布(特に、γ線の計数率分布)から放射能位置を推定し、推定された放射能位置の中で放射能が高くなる位置に線源があるとする。そして、その線源位置から各放射線検出領域の距離情報を用いて測定した計数率から放射能または放射能濃度を決定する。
また、大面積二次元アレイ放射線検出器を放射能対象に近接化させ、測定時間の短縮化により高スループット化を図る。
また、第1実施形態の放射能測定方法、および放射能測定装置は、γ線の任意形状の非検査対象(放射能測定対象)であって、測定対象の検査領域が三次元空間の場合には、特に有効となる。
【0100】
<第1実施形態の効果>
以上の本発明の第1実施形態によれば、α線やβ線のみならずγ線を含む放射能測定対象の放射能を高精度で決定できる放射能測定方法、および放射能測定装置を提供できる。
また、γ線の任意形状の非検査対象であって、測定対象の検査領域が三次元空間の場合には、内部汚染の測定が可能であり、特に有効となる。
また、大面積二次元アレイ放射線検出器を放射能対象に近接化させ、測定時間の短縮化によりクリアランス測定の高スループット化が可能となる。
【0101】
≪第2実施形態・放射能測定装置、放射能測定方法≫
本発明の第2実施形態に係る放射能測定装置の構成と機能を、適宜、図9を参照して説明する。なお、以下の説明は、主として「放射能測定装置」として説明するが、「放射能測定方法」の説明を兼ねる。
【0102】
図9は、本発明の第2実施形態に係る放射能測定装置200の構成例を示す図である。
図9において、放射能測定装置200は、放射線検出部10、放射線検出器位置調整部30と、質量検出部(ロードセル)40、放射線計数率算出部60、放射線源位置推定部70、放射能換算部80、制御管理部90、対象固定部120を備えて構成されている。
第2実施形態を示した図9を、第1実施形態を示した図1と比較すると、図9においては、図1における形状検出部20と形状認識部50が無い簡易的な構成となっている。ただし、図9では、図1になかった対象固定部120が備えられている。
【0103】
図9に示した第2実施形態の放射能測定装置200は、放射能測定対象1が単純形状の場合を想定しており、簡易な構成によって放射能測定を行うものである。
すなわち、前記したように、図1の形状検出部20と形状認識部50が無いかわりに、対象固定部120を有する。
また、キーボード93(入力手段)から、第1実施形態における入力情報に加え、放射能測定対象1の形状、寸法、そして対象固定部120の位置などの情報も入力する。また、放射能測定対象1は、放射能測定対象1が放射線検出部10の真下に来るように設置され、対象固定部120によって固定される。
【0104】
図9におけるモニタ92には、数値情報として、図2で示したトレイ41から放射線検出器(放射線検出部)までの距離2011、放射能測定対象1と放射線検出器(放射線検出部)との距離2012、トレイ41上での放射線検出器(放射線検出部)端から放射能測定対象1の最短距離2013、トレイ41上での放射線検出器(放射能検出部)端から放射能測定対象1の最長距離2014を表示する。
また、線源位置推定後、限定された放射能分布2031、および仮定した放射能位置を、放射能測定対象1の形状、寸法、そして対象固定部120の位置などから算出して、放射能測定対象1をモニタ92に描き、その上に投影して、放射能分布2031や放射能位置2032を、二次元あるいは三次元画像として示す。
放射能測定対象の形状が単純形状に限定される場合、形状検出部および形状認識部の構成要素とデータ処理が不要になり、より簡単な設備で高精度な放射能測定対象の放射能測定が可能になる。
【0105】
<第2実施形態の効果>
放射能測定対象の形状が単純形状に限定される場合、形状検出部および形状認識部の構成要素とデータ処理が不要になり、より簡単な設備で高精度な放射能測定対象の放射能測定が可能になる。
【0106】
≪第3実施形態・放射能測定装置、放射能測定方法≫
本発明の第3実施形態に係る放射能測定装置の構成と機能を、図10を参照して説明する。なお、以下の説明は、主として「放射能測定装置」として説明するが、「放射能測定方法」の説明を兼ねる。
図10は、本発明の第3実施形態に係る放射能測定装置300の一部が示されており、放射線検出部10の近傍の部分構成例を示す図である。
図10に示す放射能測定装置300は、大量の放射能測定対象1を効率的に測定することに適した放射能測定装置である。
【0107】
図10において、放射線検出部10、水平方向支持部31、垂直方向支持部37、可動部32、レーザー距離計33、および放射能測定対象1は、図1と同様である。重複する説明は省略する。
また、図10においては、図1におけるトレイ41がなく、その代りにベルトコンベア399(運搬手段)が備えられている。また、図10においては、図1の質量検出部(ロードセル)40が無い。
なお、図10において、可動部32は、垂直方向支持部37の裏側に位置するので、見えない筈であるが、分かりやすさの観点から実線で表記している。
【0108】
図10に示した構成、構造において、形状検出部20(図1)、および形状認識部50(図1)で得られたデータをもとに、放射能測定対象1が放射線検出部10(放射線検出器11、シンチレータ)の真下に到達したときにベルトコンベア399を制止させる。そして、可動部32を移動し、放射線検出部10(放射線検出器11、シンチレータ)を放射能測定対象1に近接化させて測定する。
この方法によれば、放射能測定対象1が大量に存在する場合、放射能測定対象1を手作業で設置する必要がなく、連続的に放射能測定の動作を継続することができて、効率的に放射能測定対象1の放射能測定が可能となる。
なお、放射能測定対象1をベルトコンベア399に乗せて放射線検出部10(放射線検出器11)の下まで運搬する場合には、放射能測定対象1が放射線検出部10の下の中央に来る位置で停止させる。そして、放射能測定が行われる。
測定終了後は、次の放射能測定対象1(測定対象廃棄物)が来るまでベルトコンベア399を移動させる。
【0109】
また、図10において、前記したように、質量検出部(ロードセル)40が無い。
そのため、放射能測定対象1の質量が既知であるならば、キーボード93(図1)から質量の情報を入力する。
放射能測定対象1の質量が未知であるならば、放射能測定対象1をベルトコンベア399に載せる前後で、放射能測定対象1の質量を測定する工程を設ける。
【0110】
<第3実施形態の効果>
以上の第3実施形態の放射能測定装置および放射能測定方法を用いることで、放射能測定対象1が大量に存在する場合、放射能測定対象1を手作業で設置する必要がなく、連続的に放射能測定の動作を継続することができて、効率的に放射能測定対象1の放射能測定が可能となる。
【0111】
≪第4実施形態・放射能測定装置、放射能測定方法≫
本発明の第4実施形態に係る放射能測定装置の構成と機能を、図11を参照して説明する。なお、以下の説明は、主として「放射能測定装置」として説明するが、「放射能測定方法」の説明を兼ねる。
図11は、本発明の第4実施形態に係る放射能測定装置400の一部が示されており、放射線検出部10の近傍の部分構成例を示す図である。
図11に示す放射能測定装置400は、放射能測定対象1が複雑な形状である場合に対して、有効な放射能測定手段である。
【0112】
図11において、放射線検出部10、水平方向支持部31、垂直方向支持部37、可動部32、レーザー距離計33、トレイ41、質量検出部40、および放射能測定対象1は、図1と同様である。重複する説明は省略する。
なお、図11において、可動部32は、垂直方向支持部37の裏側に位置するので、見えない筈であるが、分かりやすさの観点から実線で表記している。
図11に示した構成、構造において、形状検出部20(図1)、および形状認識部50(図1)で取得した情報を利用して、CAD(Computer Aided Design)データを参照し、照合するデータから放射能測定対象の材料、形状情報を取得する。
このような方法を用いることによって、キーボード93による放射能測定対象1の材料などの設定情報を入力する必要がなくなり、かつ形状検出部20、および形状認識部50では捉えられない内部構造を有する放射能測定対象1などに関しても、放射能の位置推定がより高精度で行えるようになる。
【0113】
<第4実施形態の効果>
以上の第4実施形態の放射能測定装置および放射能測定方法を用いることで、キーボード93による放射能測定対象1の材料などの設定情報を入力する必要がなくなり、かつ形状検出部20、および形状認識部50では捉えられない内部構造を有する放射能測定対象1などに関しても、放射能の位置推定がより高精度で行えるようになる。
【0114】
≪その他の実施形態≫
なお、本発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものでなく、さらに様々な変形例が含まれる。例えば、前記の実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために、詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成の一部で置き換えることが可能であり、さらに、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成の一部または全部を追加・削除・置換をすることも可能である。
以下に、その他の実施形態や変形例について、さらに説明する。
【0115】
《放射線検出器、シンチレータ》
図1で示した本発明の第1実施形態の説明においては、放射線検出器11として、特にγ線を対象とするシンチレータ(γ線シンチレータ)を例にあげて説明した。
これは、γ線を対象とするシンチレータの場合、γ線の透過性が強いことから、放射線(放射能)の二次元分布のみならず、三次元分布に対応できる特徴があるので、特にγ線シンチレータを例示したものである。
ただし、α線やβ線に対しても、第1実施形態で示した放射能測定装置や放射能測定方法は有効である。
【0116】
《放射線検出器の構成》
図3A図3Cを参照して、放射線検出器の第1~第3の組み合わせ構成例を説明したが、放射線検出器の構成は、前記の構成に限定されない。
例えば、シンチレーションファイバーを並列配置させて2枚交差するように配置して、シンチレーションファイバーの先に光センサーを接続させる組み合わせの構成もある。
また、放射線検出器(シンチレータ)として、両面ストリップ半導体検出器、ピクセル型半導体検出器、ピクセル型化合物半導体などを使うこともある。
なお、前記の放射線検出器は、すべて、配列の大きさ、ピクセルサイズ、ピクセル数など、また放射線検出器の材料や構造によらず二次元の位置情報が得られるものとする。
【0117】
《放射線検出器の配置》
図1および図4Aでは、可動式の放射線検出部10(放射線検出器11)を放射能測定対象1の上面に配置している。また、図4Bでは、可動式の放射線検出部10(放射線検出器11)を放射能測定対象1の上面に配置し、固定式の放射線検出部10B(放射線検出器11B)を下面に設置している。
しかし、可動式の放射線検出部10(放射線検出器11)の配置方法は、前記の方法に限定されない。可動式の放射線検出部10(放射線検出器11)を放射能測定対象1の上面と下面の両方に配置する方法もある。
【0118】
《放射能測定対象の形状の取得方法》
放射能測定対象1の形状は、図1を参照して前記したように、レーザー距離計や光学カメラ等の形状検出部20から得られた情報を、所定のアルゴリズムを用いて形状情報として抽出し認識する。
ただし、推定平板や配管を含む単純形状のものなどは、あらかじめデータベース入力しておき、設定するとい方法もある。あるいは、小型機器などの内部構造を有する等の複雑形状に対しては、CADデータを参照して、形状情報を取得する方法もある。
【0119】
《形状検出部と形状認識部》
図1において、形状検出部20と形状認識部50が記載されている。そして形状検出部20によって取得された放射能測定対象1の形状情報や、トレイ41における放射能測定対象1の配置情報や、放射線検出部10と放射能測定対象1の位置関係の情報が形状認識部50に送られている。そして、形状認識部50の画像認識手段51で処理されている。
図1では、前記したように、形状検出部20と形状認識部50と分けて設けられているが、これらの機能は密接に結びついているので、一体化してもよい。例えば、形状検出部20と形状認識部50を「形状検出認識部」として統合する方法もある。
【0120】
《放射線計数率の測定方法》
放射能測定対象の近傍において、他の放射能汚染がある場合には、放射能測定対象の放射線と他の放射能汚染の放射線の識別が難しい。
この状況に対処する方法を簡潔に例えれば、放射能測定対象を設置しない状態で放射線検出器を用いて放射線計数率を測定し、放射能測定対象を設置した状態で放射線検出器を用いて測定した放射線計数率から前記放射能測定対象を設置しない状態での放射線計数率を差し引く、放射能測定方法が有効である。
【0121】
《可動部の構造》
図1において、可動部32は、垂直方向支持部37に沿って垂直方向に移動すると説明した。しかし、可動部32の移動方向は垂直方向に限定されない。水平方向支持部31に沿って水平方向に移動できるような構造にしてもよい。移動方向に自由度が増えれば、放射能測定対象1の放射線を、放射線検出部10がより精度が高く検出できる。
【符号の説明】
【0122】
1 放射能測定対象
10 放射線検出部(放射線検出手段、可動式放射線検出部)
10B 放射線検出部(固定式放射線検出部)
11 放射線検出器(可動式放射線検出器、シンチレータ、γ線用シンチレータ)
11B 放射線検出器(固定式放射線検出器、シンチレータ、γ線用シンチレータ)
20 形状検出部
21 形状検出手段
30 放射線検出器位置調整部(放射線検出器位置調整手段)
31 水平方向支持部
32 可動部
33 レーザー距離計
34 高さ調整手段
35 高さ測定手段
37 垂直方向支持部
40 質量検出部、ロードセル
41 トレイ
50 形状認識部
51 画像認識手段
60 放射線計数率算出部(放射線計数率算出手段)
61 信号処理回路
62 演算手段
70 放射線源位置推定部(放射線源位置推定手段)
71 位置推定手段
72 判定手段
80 放射能換算部
81 放射能換算手段
82 メモリ
90 制御管理部
91 制御管理手段
92 モニタ(表示手段)
93 キーボード(入力手段)
100、200、300、400 放射能測定装置
120 対象固定部
399 ベルトコンベア、運搬手段
S301 質量を取得する工程
S302 形状を取得する工程、位置関係を取得する工程
S303 近接化させる工程
S304 測定する工程
S305 線源位置を推定する工程
S306 選定する工程
S307 放射能量に換算する工程
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11