IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝ライフスタイル株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-情報処理システム 図1
  • 特許-情報処理システム 図2
  • 特許-情報処理システム 図3
  • 特許-情報処理システム 図4
  • 特許-情報処理システム 図5
  • 特許-情報処理システム 図6
  • 特許-情報処理システム 図7
  • 特許-情報処理システム 図8
  • 特許-情報処理システム 図9
  • 特許-情報処理システム 図10
  • 特許-情報処理システム 図11
  • 特許-情報処理システム 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   F25D 11/00 20060101AFI20240319BHJP
   F25D 23/00 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
F25D11/00 101B
F25D23/00 301G
F25D23/00 301K
F25D23/00 301N
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020084528
(22)【出願日】2020-05-13
(65)【公開番号】P2021179276
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2022-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【弁理士】
【氏名又は名称】橋口 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【弁理士】
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】丸谷 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】中川 達也
(72)【発明者】
【氏名】瀧川 正史
(72)【発明者】
【氏名】金山 将也
【審査官】奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-078506(JP,A)
【文献】国際公開第2018/167946(WO,A1)
【文献】特開2017-211168(JP,A)
【文献】特開2016-194762(JP,A)
【文献】国際公開第2018/142764(WO,A1)
【文献】特開2016-213867(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0089973(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 1/00-31/00
G06N 3/00-99/00
G06Q 10/00-99/00
G08B 1/00-31/00
G09F 1/00-27/00
G16Y 1/00-40/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵庫の状態に関するデータを取得する取得部と、
機械学習により生成された学習済みモデルを用いて、前記取得部により取得された前記データに基づき前記冷蔵庫のユーザの属性を推定する推定部と、
を備え、
前記データは、前記冷蔵庫の機種、扉の種類、扉の開閉回数、扉の開閉時刻、扉の開閉時間、庫内温度、コンプレッサの動作、冷却ファンの動作、製氷機の動作または急速冷凍動作に関する情報を含み、
前記推定部は、前記ユーザの属性として、前記冷蔵庫の使用人数に関する属性を推定する、
報処理システム。
【請求項2】
冷蔵庫の状態に関するデータを取得する取得部と、
機械学習により生成された学習済みモデルを用いて、前記取得部により取得された前記データに基づき前記冷蔵庫のユーザの属性を推定する推定部と、
を備え、
前記データは、前記冷蔵庫に格納された食材を示す情報を含み、
前記推定部は、前記ユーザの属性として、前記ユーザの性別または婚姻の有無に関する属性を推定する、
報処理システム。
【請求項3】
冷蔵庫の状態に関するデータを取得する取得部と、
機械学習により生成された学習済みモデルを用いて、前記取得部により取得された前記データに基づき前記冷蔵庫のユーザの属性を推定する推定部と、
を備え、
前記データは、前記冷蔵庫の扉の開閉時刻または庫内温度に関する情報を含み、
前記推定部は、前記ユーザの属性として、前記ユーザの年齢に関する属性を推定する、
報処理システム。
【請求項4】
冷蔵庫の状態に関するデータを取得する取得部と、
機械学習により生成された学習済みモデルを用いて、前記取得部により取得された前記データに基づき前記冷蔵庫のユーザの属性を推定する推定部と、
を備え、
前記データは、前記冷蔵庫が設置された建屋内部の温度または湿度に関する情報を含み、
前記推定部は、前記ユーザの属性として、前記ユーザの住居形態に関する属性を推定する、
報処理システム。
【請求項5】
冷蔵庫の状態に関するデータを取得する取得部と、
機械学習により生成された学習済みモデルを用いて、前記取得部により取得された前記データに基づき前記冷蔵庫のユーザの属性を推定する推定部と、
を備え、
前記データは、前記冷蔵庫が設置された建屋内部の温度または湿度に関する情報を含み、
前記推定部は、前記ユーザの属性として、前記冷蔵庫の設置位置に関する属性を推定する、
報処理システム。
【請求項6】
冷蔵庫の状態に関するデータを取得する取得部と、
機械学習により生成された学習済みモデルを用いて、前記取得部により取得された前記データに基づき前記冷蔵庫のユーザの属性を推定する推定部と、
を備え、
前記データは、前記冷蔵庫の扉の開閉回数、扉の開閉時刻、扉の開閉時間、庫内温度、コンプレッサの動作、ファンの動作、製氷機の動作、急速冷凍動作に関する情報を含み、
前記推定部は、前記ユーザの属性として、前記ユーザの就業形態に関する属性を推定する、
報処理システム。
【請求項7】
冷蔵庫の状態に関するデータを取得する取得部と、
機械学習により生成された学習済みモデルを用いて、前記取得部により取得された前記データに基づき前記冷蔵庫のユーザの属性を推定する推定部と、
を備え、
前記データは、前記冷蔵庫が設置された建屋内部の温度または湿度に関する情報を含み、
前記推定部は、前記ユーザの属性として、前記ユーザの居住地域に関する属性を推定する、
報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線通信機能を搭載し、インターネットに接続可能な家電機器の普及が進んでいる。このような技術分野は一般にIoT(Internet of Things)と呼ばれ、家電機器の分野に限らず、様々な産業界において注目されている。例えば、家電機器のメーカは、スマートフォンのアプリ(以下「家電アプリ」という。)から家電機器の状態を遠隔から確認したり、家電機器を遠隔から操作したりすることを可能にするサービスを展開している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-120178号公報
【文献】特開2019-78506号公報
【文献】再公表WO2017/179188号公報
【文献】特開2011-33325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のサービスは、ユーザが遠隔から家電機器の状態を確認したり、家電機器の遠隔操作を行ったりといったユーザの操作を起点とするものであったため、ユーザが家電アプリを操作する頻度が高く、必ずしもユーザにとって利便性の高いものではなかった。このため、ユーザの属性に応じて家電機器を制御することができる家電アプリの提供が望まれている。このような家電アプリを提供するためにはユーザの設定行為によらずに、ユーザの属性を推定することが必要となる。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、冷蔵庫を使用するユーザの属性を推定することができる情報処理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の情報処理システムは、取得部と、推定部と、を持つ。取得部は、冷蔵庫の状態に関するデータを取得する。推定部は、機械学習により生成された学習済みモデルを用いて、前記取得部により取得された前記データに基づき前記冷蔵庫のユーザの属性を推定する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態の情報処理システム(ユーザ情報収集システム)の全体構成を示す図。
図2】実施形態の冷蔵庫の構成例を示す外観図。
図3】実施形態の冷蔵庫の構成例を示す断面図。
図4】実施形態の冷蔵庫の制御に関する構成例を示すブロック図。
図5】実施形態の冷蔵庫の庫内画像の具体例を示す図。
図6】実施形態のサーバの構成例を示すブロック図。
図7】実施形態の情報処理システムにおいて使用人数推定用入力情報の生成に用いられるデータDの具体例を示す図。
図8】実施形態の冷蔵庫が設置された建屋内部の温度変化の第1の具体例を示す図。
図9】実施形態の冷蔵庫が設置された建屋内部の温度変化の第2の具体例を示す図。
図10】実施形態のユーザ登録情報の具体例を示す図。
図11】実施形態の冷蔵庫における処理の流れを示す図。
図12】実施形態のサーバにおける処理の流れを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態の情報処理システムを、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。「XXに基づく」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含み得る。「XXに基づく」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含み得る。「XXまたはYY」とは、XXとYYのうちいずれか一方の場合に限定されず、XXとYYの両方の場合も含み得る。これは選択的要素が3つ以上の場合も同様である。「XX」および「YY」は、任意の要素(例えば任意の情報)である。
【0009】
(第1実施形態)
<1.情報処理システムの全体構成>
図1は、実施形態の情報処理システム(ユーザ情報収集システム)1の全体構成を示す図である。情報処理システム1は、例えば、各家庭に配置された冷蔵庫100、サーバ200、および端末装置300を含む。ただし、本明細書で「情報処理システム」とは、冷蔵庫100および端末装置300を含まず、サーバ200のみを意味してもよい。後述するネットワークNWは、例えば、インターネット、セルラー網、Wi-Fi網、LPWA(Low Power Wide Area)、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、その他の公衆回線、専用回線などを状況に応じて利用すればよい。
【0010】
冷蔵庫100は、ユーザUの住居内に配置される。冷蔵庫100は、例えば、ユーザUの住居内に配置された無線ルータRおよびネットワークNWを介して、サーバ200と通信可能である。冷蔵庫100については、詳しく後述する。
【0011】
サーバ200は、1台以上のサーバ装置SD(例えばクラウドサーバ)で構成される。サーバ200は、「サーバシステム」と称されてもよい。サーバ200は、ネットワークNW中のルータに含まれる情報処理部など、エッジコンピューティングやフォグコンピューティングを行う情報処理部を含んでもよい。サーバ200については、詳しく後述する。
【0012】
端末装置300は、パーソナルコンピュータなどの機器であり、ネットワークNWを介してサーバ200と通信可能である。端末装置300は、液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイ(Electro Luminescence)ディスプレイなどの表示装置300aを含む。ただし、端末装置300とサーバ装置SDは、1つの装置で一体に設けられてもよい。
【0013】
<2.冷蔵庫>
<2.1 冷蔵庫の全体構成>
図2は、冷蔵庫100の構成例を示す外観図である。冷蔵庫100は、例えば、冷蔵室10、野菜室20、冷凍室30および製氷室40を貯蔵室として備え、各貯蔵室を開閉するための扉として冷蔵室扉11、野菜室扉21、冷凍室扉31および製氷室扉41を備えている。また、冷蔵室扉11、野菜室扉21、冷凍室扉31および製氷室扉41には、それぞれの開閉状態を検知するためのセンサとして冷蔵室扉スイッチ12、野菜室扉スイッチ22、冷凍室扉スイッチ32および製氷室扉スイッチ42を備えている。さらに、冷蔵庫100の外面には、ユーザUの近接を検知するための人感センサ66が備えられている。
【0014】
図3は、冷蔵庫100の構成例を示す断面図である。図3は、図2におけるA-A線に沿った断面図である。図3は、冷蔵庫100の一例として2つの冷却機構を有する、いわゆるツイン冷却式の冷蔵庫を示す。冷蔵庫100は、例えば、冷凍サイクルを実現するための構成要素として、冷蔵冷却器13、冷凍冷却器33、冷蔵冷却ファン14、冷凍冷却ファン34、コンプレッサ51、冷媒切替弁52、ダンパ53、製氷皿モータ54、給水モータ55を備えている。
【0015】
コンプレッサ51は、熱交換媒体として冷凍サイクルを循環する冷媒を圧縮する装置である。冷蔵冷却器13は、冷媒との熱交換により、冷蔵冷却室15内の空気を冷却する蒸発器である。冷蔵冷却器13によって冷却された空気は冷蔵冷却ファン14の回転により、連通部533を介して冷蔵室10または野菜室20に供給される。同様に、冷凍冷却器33は、冷媒との熱交換により、冷凍冷却室35内の空気を冷却する蒸発器である。冷凍冷却器33によって冷却された空気は冷凍冷却ファン34の回転により、連通部533を介して冷凍室30または製氷室40に供給される。
【0016】
冷媒切替弁52は、冷媒が冷蔵冷却器13および冷凍冷却器33の一方または両方に送られるように冷媒の流路を切り替える弁である。冷蔵冷却ダンパ531は、連通部533を介して冷蔵冷却室15と冷蔵室10との間を流通する空気の流量を調整する装置である。冷凍冷却ダンパ532は、連通部533を介して冷凍冷却室35と冷凍室30との間を流通する空気の流量を調整する装置である。製氷皿モータ54は、製氷室40において製氷皿に生成された氷を受け皿に移動させるために製氷皿を回転させるためモータである。給水モータ55は、製氷室40において給水タンクに蓄えられている水を製氷皿に供給するためのモータである。
【0017】
<2.2 冷蔵庫のセンサ群および制御部の構成>
図4は、冷蔵庫100の制御に関する構成例を示すブロック図である。図4に示すとおり、冷蔵庫100は、自身を他の通信機器と通信可能に接続するための無線モジュール70と、自身を冷凍サイクル装置として機能させるための制御部80と、冷凍サイクルの制御に必要な各種情報を取得するためのセンサ群SUと、を備える。制御部80は、冷蔵庫100内部の通信線によりセンサ群SUと通信可能に接続され、無線モジュール70を介してサーバ200と無線通信可能に接続される。無線モジュール70は、無線ルータRを介してサーバ200と無線通信する。
【0018】
制御部80は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、SRAM(Static Random Access Memory)やDRAM(Dynamic Random Access Memory)等のメモリ、SSD(Solid State Drive)やHDD(Hard Disk Drive)等の補助記憶装置を含んで構成される。制御部80は、プロセッサが補助記憶装置に記憶されているプログラムをメモリ上に読み出して実行することにより、冷凍サイクル制御部81、記憶部82、情報記録部83および情報出力部84を備える装置として機能する。なお、制御部80の機能の全部または一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、またはFPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。
【0019】
冷凍サイクル制御部81は、冷蔵庫100を冷凍サイクル装置として機能させるため、冷蔵室10の温度、野菜室20の温度、冷凍室30の温度、製氷室40の温度に基づいて冷蔵冷却ファン14、冷凍冷却ファン34、コンプレッサ51、冷媒切替弁52、ダンパ53、製氷皿モータ54、給水モータ55の動作を制御する機能を有する。冷凍サイクル制御部81は、各貯蔵室の温度に基づく制御に加えて、ユーザUの設定に基づく制御を行うように構成されてもよい。
【0020】
記憶部82は、識別情報I1および状態情報I2を記憶する。識別情報I1は、冷蔵庫100を識別するために各冷蔵庫100に付与された機器IDを示す。状態情報I2は、冷蔵庫100の状態を示す時系列情報である。
【0021】
情報記録部83は、例えば不図示のタイマを参照し、冷蔵庫100の状態を示す情報と日時情報とを対応付けて、記憶部82の状態情報I2に追加する。「冷蔵庫100の状態」は、例えば、冷蔵庫100の電源のON/OFFの状態や、コンプレッサ51、冷媒切替弁52、冷蔵冷却ファン14、冷凍冷却ファン34の運転状態などを含む。また、「冷蔵庫100の状態」は冷蔵庫100が収納するモノの状態を含んでもよい。日時情報は、曜日および時刻を示す情報を含む。
【0022】
さらに、情報記録部83は、センサ群SUの検出結果を示す情報と日時情報とを対応付けて、記憶部82の状態情報I2に追加する。ここで、冷蔵庫100は、センサ群SUとして、上記の冷蔵室扉スイッチ12、野菜室扉スイッチ22、冷凍室扉スイッチ32、製氷室扉スイッチ42に加え、冷蔵室温度センサ61、野菜室温度センサ62、冷凍室温度センサ63、製氷室温度センサ64、庫内カメラ65、人感センサ66、周囲温度センサ67、周囲湿度センサ68、電源検出部69を備えている。冷蔵室温度センサ61、野菜室温度センサ62、冷凍室温度センサ63、製氷室温度センサ64は、それぞれ、冷蔵室10、野菜室20、冷凍室30および製氷室40の室内温度を測定するための温度センサである。
【0023】
庫内カメラ65は、冷蔵庫100の庫内を撮像するカメラである。例えば図5は、庫内カメラ65によって冷蔵庫100の庫内が撮像された画像(以下「庫内画像」という。)の具体例を示す図である。冷蔵室10の内部を撮像するように設置された例である。庫内カメラ65は、必要に応じて野菜室20や冷凍室30、製氷室40の内部を撮像するように設置されてもよい。また、複数の貯蔵室の内部を撮像するために、冷蔵庫100の内部には複数の庫内カメラ65が設置されてもよい。センサ群SUの検出結果は、上述した各種センサやスイッチの検出結果である。これら情報は、生データが記録されてもよいし、必要な演算(加工)が行われた状態で記録されてもよい。
【0024】
人感センサ66は、冷蔵庫100付近の人を検知するセンサである。人感センサ66は赤外線によって人を検知するものであってもよいし、冷蔵庫100付近を撮像した画像に基づいて人を検知するものであってもよい。
【0025】
周囲温度センサ67は、冷蔵庫100付近の温度を検知するセンサである。周囲湿度センサは、冷蔵庫100付近の湿度を検知するセンサである。電源検出部69は、冷蔵庫100が接続された外部電源の周波数を検知するセンサである。
【0026】
情報出力部84は、無線モジュール70を介して、記憶部82に記憶された状態情報I2をサーバ200に送信する。情報出力部84は、例えば所定の周期で、状態情報I2をサーバ200に送信する。このとき、情報出力部84は、状態情報I2と、記憶部82に記憶された識別情報I1とを紐付けてサーバ200に送信する。識別情報I1は、冷蔵庫100を識別するために各冷蔵庫100に付与された機器IDである。状態情報I2および識別情報I1は、冷蔵庫100からサーバ200に送信されるデータの一例である。以下では、状態情報I2および識別情報I1を纏めて「データD」と称する。
【0027】
なお上記構成に代えて、情報記録部83が省略され、情報出力部84は、冷蔵庫100の運転状態およびセンサ群SUの検出結果を、リアルタイムでサーバ200に送信してもよい。この場合、冷蔵庫100の運転状態およびセンサ群SUの検出結果と、日時情報との対応付けは、サーバ200で行われてもよい。
【0028】
<3.サーバ>
図6は、サーバ200の構成例を示すブロック図である。サーバ200は、例えば、情報取得部201、情報変換部202、学習部203、推定部204、情報記録部205、および情報出力部206を含む。これら機能部は、サーバ200が有するCPUのようなハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。ただし、これら機能部の全部または一部は、ASIC、PLD、またはFPGAなどのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。
【0029】
さらに、サーバ200は、記憶部207を有する。記憶部207は、例えば、RAM、ROM、HDD、フラッシュメモリ、またはこれらのうち複数の組み合わせにより実現される。記憶部207には、蓄積情報I11、ユーザ登録情報I12、学習モデルL、推定モデル(学習済みモデル)M、およびユーザ属性情報I13が記憶される。
【0030】
情報取得部201は、冷蔵庫100から送信されたデータDを取得する(受け取る)。なお、推定モデルMの学習が行われる場合には、情報取得部201は、複数の家庭でそれぞれ使用される複数の冷蔵庫100からデータDを収集する。情報取得部201は、取得したデータDを蓄積情報I11として記憶部207に蓄積する。情報取得部201は、例えば各冷蔵庫100について、所定期間(例えば3ヶ月)に亘りデータDを蓄積する。情報取得部201は、「取得部」の一例である。
【0031】
情報変換部202は、各冷蔵庫100のデータDが蓄積された蓄積情報I11と学習モデルLとに基づき、後述する推定モデルMに入力する入力情報を生成する。学習モデルLは機械学習を行うためのアルゴリズムを示すモデルである。推定モデルMは、学習モデルLを用いた蓄積情報I11の学習によって生成される学習済みモデルであって、ユーザUの属性を推定するモデルである。例えばユーザUの属性の一例として、(a)冷蔵庫100の使用人数、(b)性別、(c)年齢、(d)住居形態、(e)設置位置、(f)就業形態、(g)婚姻の有無、(h)居住地域などが挙げられる。ただし、推定するユーザUの属性は、ユーザUに関して蓄積情報I11に基づいて推定することのできる事項であれば、上記列挙した事項以外の事項であってもよい。
【0032】
(a.使用人数を推定するための入力情報)
情報変換部202は、例えば、使用人数に関する属性を推定するために推定モデルMに入力する入力情報(以下「使用人数推定用入力情報」と称する)として、次に列挙する情報のうち1つ以上を、蓄積情報I11に基づき生成する。これらの情報は、少なくとも以下に説明する観点において使用人数との相関性を有する。そのため、以下に列挙する各情報のうち1つ以上を、使用人数に関する属性を出力情報とする推定モデルMの入力情報として用いることができる。
【0033】
・冷蔵庫100の機種に関する情報
・冷蔵庫100の扉の種類に関する情報
・冷蔵庫100の扉の開閉回数に関する情報
・冷蔵庫100の扉の開閉時刻に関する情報
・冷蔵庫100の扉の開閉時間に関する情報
・冷蔵庫100の庫内温度に関する情報
・冷蔵庫100のコンプレッサ51の動作に関する情報
・冷蔵庫100の冷却ファンの動作に関する情報
・冷蔵庫100の製氷機の動作に関する情報
・冷蔵庫100の急速冷凍動作に関する情報
【0034】
例えば、一般に冷蔵庫のメーカは、冷蔵庫を使用する人数に応じた機能性を有する機種をラインアップするため、ユーザはラインアップされた機種のうちから自身が想定する使用人数に応じた機種を選択して購入すると考えられる。そのため、冷蔵庫100は、その機種に応じた人数のユーザによって使用される可能性が高いと考えられる。また、このような使用人数に応じた機種のラインアップでは、より使用人数が多い機種ほど扉部にも使用人数に応じた設計がなされることが多い。そのため、冷蔵庫100は、その扉の種類に応じた人数のユーザによって使用される可能性が高いと考えられる。
【0035】
また、一般に、冷蔵庫100にかかる負荷は、冷蔵庫100を使用する人数(例えば、ユーザの同居家族の人数)が多いほど大きくなる傾向にある。そのため、冷蔵庫100にかかる負荷の大きさを示す各種の指標値は、冷蔵庫100の使用人数と相関性を有する。ここで、冷蔵庫100にかかる負荷の大きさを示す指標値としては、「冷蔵庫100の扉の開閉回数」、「冷蔵庫100の扉の開閉時刻」、「冷蔵庫100の扉の開閉時間」、「冷蔵庫100の庫内温度」、「冷蔵庫100のコンプレッサ51の動作状況」、「冷蔵庫100の冷却ファンの動作状況」、「冷蔵庫100の製氷動作の状況」、「冷蔵庫100の急速冷凍動作の状況」などが挙げられる。
【0036】
図7は、使用人数推定用入力情報の生成に用いられるデータDの具体例を示す図である。データDはセンサ群SUの検出結果を示す時系列データである。図7において、冷蔵庫100の使用タイミングは人感センサ66によって検知されることが分かる。また、各使用タイミングにおいて使用される貯蔵室は、各貯蔵室の扉スイッチのON/OFFによって検知されることが分かる。また、各貯蔵室の温度、コンプレッサ51、冷蔵冷却ファン14、冷凍冷却ファン34の動作状況によって、各使用タイミングにおいて負荷が変動することが分かる。
【0037】
情報返還部202は、このようなデータDに基づいて取得される「冷蔵庫100の扉の開閉回数」、「冷蔵庫100の扉の開閉時刻」、「冷蔵庫100の扉の開閉時間」、「冷蔵庫100の庫内温度」、「冷蔵庫100のコンプレッサ51の動作状況」、「冷蔵庫100の冷却ファンの動作状況」、「冷蔵庫100の製氷動作の状況」、「冷蔵庫100の急速冷凍動作の状況」などの情報を使用人数推定用入力情報として生成する。
【0038】
なお、冷蔵庫100の使用人数に関する属性の他の例としてユーザの世帯構成が挙げられる。例えば、冷蔵庫100のユーザが1人と推定された場合、そのユーザの世帯構成は単独世帯と考えることができる。また、例えば、冷蔵庫100の使用人数が2人であり、かつ年代が同世代であると推定された場合、そのユーザの世帯構成は夫婦のみの世帯であると考えることができる。この場合、ユーザの年齢や年代を推定するために、後述する年齢推定用入力情報が人数推定用入力情報に含められてもよい。
【0039】
また、例えば冷蔵庫100の使用人数が複数人であり、その中に子供と大人が含まれると推定された場合、そのユーザの世帯構成は親と子の世帯であると考えることができる。この場合、子供の有無を推定するために、後述する年齢推定用入力情報や就業形態推定用入力情報などの情報が人数推定用入力情報に含められてもよい。
【0040】
また、この場合、大人の中に、子育て世代の大人と、老齢の大人が含まれると推定された場合、そのユーザの世帯構成は3世代世帯であると考えることができる。この場合、大人の年代を推定するために、後述する年齢推定用入力情報や就業形態推定用入力情報などの情報が人数推定用入力情報に含められてもよい。
【0041】
(b.性別を推定するための入力情報)
情報変換部202は、例えば、ユーザUの性別に関する属性を推定するために推定モデルMに入力する入力情報(以下「性別推定用入力情報」と称する)として、次に列挙する情報のうち1つ以上を、蓄積情報I11に基づき生成する。これらの情報は、少なくとも以下に説明する観点においてユーザUの性別との相関性を有する。そのため、以下に列挙する各情報のうち1つ以上を、ユーザUの性別に関する属性を出力情報とする推定モデルMの入力情報として用いることができる。
【0042】
・冷蔵庫100の庫内に格納された食材に関する情報
・冷蔵庫100のユーザUの身体的特徴に関する情報
【0043】
「冷蔵庫100の庫内に格納されている食材」には、ユーザUの性別に関する傾向が表れると考えられる。例えば、女性は男性に比べて料理をする頻度が高い傾向にあるため、冷蔵庫100のユーザが女性である場合、その冷蔵庫100の庫内には生鮮食材が多く格納されている可能性が高いと考えられる。また、女性は男性に比べて野菜類を多く食する傾向があるため、冷蔵庫100のユーザが女性である場合には、その冷蔵庫100の庫内には野菜類が多く格納されている可能性が高いと考えられる。
【0044】
具体的には、情報変換部202は庫内カメラ65によって撮像された冷蔵庫100の庫内画像(例えば図5を参照。)について、撮像されている食材を識別する画像認識処理を実行する。庫内画像データはデータDの一態様である。この場合、画像認識処理は、庫内画像に撮像されている食材を識別することができるものであればどのような方法によるものであってもよい。
【0045】
例えば、画像認識処理には、画像データの各画素値を用いて取得される各種の特徴量に基づいて食材の有無及び種類を識別する方法を用いることができる。そこで情報変換部202は画像認識処理による食材の識別結果を示す情報を性別推定用入力情報として生成する。なお、画像データの各画素値には被写体の特徴を示す情報が含まれていると考えられるため、情報変換部202は、その画像データ自体を性別推定用入力情報として生成してもよい。
【0046】
また、「ユーザUの身体的特徴」には、冷蔵庫100のユーザUの性別に関する傾向が表れると考えられる。例えば、男性は女性よりも身長が高い傾向がある。また、男性の手や腕は女性の手や腕よりも大きく太い傾向がある。また、女性は男性よりも宝飾品を手や腕に付けている場合が多いことに加え、その宝飾品が女性用であるか男性用であるかはその外観から見て取れることが多い。
【0047】
具体的には、冷蔵庫100のユーザUの身体的特徴に関する情報は、例えば、人感センサ66の検知結果や冷蔵庫100の庫内画像データを用いて取得することができる。例えば、人感センサ66が所定の高さ以上の身長を有する人を検知する場合、人感センサ66の検知結果は、冷蔵庫100のユーザUの身長が上記所定の高さ以上であるか否かを示す情報として使用することができる。また、例えば、冷蔵庫100の庫内画像には食材を出し入れするユーザUの手が撮像される場合がある。そのため、情報変換部202は、画像認識処理により庫内画像に撮像されている人の手を検出し、検出された手の属性(例えば、大きさ、太さ、装飾品の有無など)を識別する。
【0048】
情報変換部202は画像認識処理による手の属性の識別結果を示す情報を性別推定用入力情報として生成する。なお、画像データの各画素値には被写体の特徴を示す情報が含まれていると考えられるため、情報変換部202は、その画像データ自体を性別推定用入力情報として生成してもよい。
【0049】
(c.年齢を推定するための入力情報)
情報変換部202は、例えば、ユーザUの年齢に関する属性を推定するために推定モデルMに入力する入力情報(以下「年齢推定用入力情報」と称する)として、次に列挙する情報のうち1つ以上を、蓄積情報I11に基づき生成する。これらの情報は、少なくとも以下に説明する観点においてユーザUの年齢との相関性を有する。そのため、以下に列挙する各情報のうち1つ以上を、ユーザUの年齢に関する属性を出力情報とする推定モデルMの入力情報として用いることができる。
【0050】
・冷蔵庫100の扉の開閉時刻に関する情報
・冷蔵庫100の庫内温度に関する情報
【0051】
「冷蔵庫100の扉の開閉時刻」には、ユーザUの年齢に関する傾向が表れると考えられる。例えば、年配の人は若年の人に比べて朝早くから活動する傾向があるため、冷蔵庫100の開閉を開始する時刻が若年の人よりも早いと考えられる。また、朝6時ごろから8時ごろまで定期的に冷蔵庫の扉が開閉されている場合、ユーザは朝ごはんの準備に加えてお弁当を作っている可能性が高いと考えられる。さらに、お弁当が必要になるのは学生を子に持つ世代の家族である可能性が高いと考えられる。
【0052】
具体的には、冷蔵庫100の扉の開閉時刻は、冷蔵室扉スイッチ12、野菜室扉スイッチ22、冷凍室扉スイッチ32、製氷室扉スイッチ42のオン/オフ状態を記録した蓄積情報I11に基づいて取得することができる。例えば、各扉が閉まっているときにスイッチがオン状態となり、各扉が開いているときにスイッチがオフ状態となる場合、各スイッチがオン状態からオフ状態に変化したタイミング、又は各スイッチがオフ状態からオン状態に変化したタイミングを検出することにより、ユーザが扉を開閉した時刻を求めることができる。
【0053】
そこで情報変換部202はユーザが冷蔵庫100の扉を開閉した時刻を示す情報を年齢推定用入力情報として生成する。また、「冷蔵庫100の庫内温度」は、冷蔵室扉11の開閉のタイミングでも大きく変化しやすいため、情報変換部202は、冷蔵庫100の庫内温度の変化から冷蔵室扉11の開閉タイミングを識別するように構成されてもよい。
【0054】
(d.住居形態に関する属性を推定するための入力情報)
情報変換部202は、例えば、住居形態に関する属性を推定するために推定モデルMに入力する入力情報(以下「住居形態推定用入力情報」と称する)として、次に列挙する情報のうち1つ以上を、蓄積情報I11に基づき生成する。これらの情報は、少なくとも以下に説明する観点において住居形態との相関性を有する。そのため、以下に列挙する各情報のうち1つ以上を、住居形態に関する属性を出力情報とする推定モデルMの入力情報として用いることができる。
【0055】
・冷蔵庫100が設置された建屋内部の温度に関する情報
・冷蔵庫100が設置された建屋内部の湿度に関する情報
【0056】
図8は、冷蔵庫100が設置された建屋内部の温度変化の第1の具体例を示す図である。図8に示すように「冷蔵庫100が設置された建屋内部の温度」には、その建屋の種別に応じた室内の温度変化の傾向が表れると考えられる。例えば、マンションは戸建ての家屋よりも室内の温度変化が小さい傾向にある。具体的には、冷蔵庫100が設置された建屋内部の温度に関する情報は、蓄積情報I11に含まれる周囲温度センサ67の検出結果に基づいて取得することができる。そこで情報変換部202は、冷蔵庫100が設置された建屋内部の温度を示す情報を住居形態推定用入力情報として生成する。
【0057】
また、マンションは戸建ての家屋よりも外気温の影響を受けにくいため、建屋内部の温度変化が時間帯や季節等によらず小さくなる傾向にある。室内の温度変化は少なからず屋外の温度の影響を受けるため、室内の温度変化の要因をより正確に判断するためには「冷蔵庫100が設置された建屋外部の温度」も住居形態推定用入力情報に含められてもよい。また、温度変化に加え、マンションは戸建ての家屋おりも室内の湿度変化が小さい傾向にある。このため、温度変化と同様に「冷蔵庫100が設置された建屋内部の湿度」が住居形態推定用入力情報に含められてもよい。
【0058】
(e.冷蔵庫100の設置位置に関する属性を推定するための入力情報)
情報変換部202は、例えば、冷蔵庫100の設置位置に関する属性を推定するために推定モデルMに入力する入力情報(以下「設置位置推定用入力情報」と称する)として、次に列挙する情報のうち1つ以上を、蓄積情報I11に基づき生成する。これらの情報は、少なくとも以下に説明する観点において冷蔵庫100の設置位置との相関性を有する。そのため、以下に列挙する各情報のうち1つ以上を、冷蔵庫100の設置位置に関する属性を出力情報とする推定モデルMの入力情報として用いることができる。
【0059】
・冷蔵庫100が設置された建屋内部の温度に関する情報
・冷蔵庫100が設置された建屋内部の湿度に関する情報
【0060】
図9は、冷蔵庫100が設置された建屋内部の温度変化の第2の具体例を示す図である。一般に冷蔵庫100はキッチンに設置され、その設置位置の近くにはコンロが設置されていることが多い。そして、冷蔵庫100の付近にコンロが設置されている場合、冷蔵庫100の付近の温度がコンロの使用タイミングにおいて上昇すると考えられる。また、コンロは食事の時間帯に使用される可能性が高いことから、食事の時間帯において冷蔵庫100の付近で温度が上昇する頻度が高い場合、当該冷蔵庫100の設置場所がキッチンである可能性が高い。このように、「冷蔵庫100が設置された建屋内部の温度」は、冷蔵庫100の設置場所に関する属性と相関性を有すると考えられる。そこで情報変換部202は、冷蔵庫100が設置された建屋内部の温度を示す情報を設置位置推定用入力情報として生成する。
【0061】
また、「冷蔵庫100が設置された建屋内部の湿度」には、その建屋内部の空間の用途に応じた湿度変化が表れると考えられる。例えば、冷蔵庫100の設置場所として一般的なキッチンでは、調理の際に生じる蒸気によって一時的に湿度が高くなる傾向にある。また、キッチン以外の空間であっても、その空間の使用時には、使用者の呼気や飲み物等によって一時的に湿度が高くなる傾向にある。また、一時的に湿度が高くなる傾向の度合いは、その空間の用途によって異なる場合があり、その傾向は湿度の変化量や湿度が変化する時間帯などの特徴として現れる。具体的には、冷蔵庫100が設置された建屋内部の湿度に関する情報は、蓄積情報I11に含まれる周囲湿度センサ68の検出結果に基づいて取得することができる。そこで情報変換部202は、冷蔵庫100が設置された建屋内部の湿度を示す情報を設置位置推定用入力情報として生成する。
【0062】
(f.就業形態を推定するための入力情報)
情報変換部202は、例えば、ユーザUの就業形態に関する属性を推定するために推定モデルMに入力する入力情報(以下「就業形態推定用入力情報」と称する)として、次に列挙する情報のうち1つ以上を、蓄積情報I11に基づき生成する。これらの情報は、少なくとも以下に説明する観点においてユーザUの就業形態との相関性を有する。そのため、以下に列挙する各情報のうち1つ以上をユーザUの就業形態に関する属性を出力情報とする推定モデルMの入力情報として用いることができる。
【0063】
・冷蔵庫100の扉の開閉回数に関する情報
・冷蔵庫100の扉の開閉時刻に関する情報
・冷蔵庫100の扉の開閉時間に関する情報
・冷蔵庫100の庫内温度に関する情報
・冷蔵庫100のコンプレッサ51の動作に関する情報
・冷蔵庫100のファンの動作に関する情報
・冷蔵庫100の製氷機の動作に関する情報
・冷蔵庫100の急速冷凍動作に関する情報
【0064】
例えば、ユーザUの勤務形態や勤務時間帯などの属性は、ユーザUの生活パターンに現れると考えられる。また、ユーザUの生活パターンの一部は冷蔵庫100の使用パターンに現れ、冷蔵庫100の使用パターンは、冷蔵庫100にかかる負荷の変動パターンに現れる。例えば、ユーザUの勤務形態がパートタイムである場合は、冷蔵庫100の使用が一旦終了してから再開されるまでの時間間隔が比較的短時間(例えば数時間未満)であるという特徴として現れ、ユーザUの勤務形態がフルタイムである場合は、冷蔵庫100の使用が一旦終了してから再開されるまでの時間間隔が比較的長時間(例えば10時間以上)であるという特徴として現れる。
【0065】
また、例えば、ユーザUの勤務時間帯は、冷蔵庫100の使用が一旦終了してから再開されるまでの時間帯として、その生活パターンが冷蔵庫100の使用パターンに現れる。例えば、朝9時から夕方20時までを勤務時間とするユーザUの生活パターンは、平日の朝9時より前に冷蔵庫100の使用を一旦終了し、夕方20時以降で冷蔵庫100の使用を再開するという冷蔵庫100の使用パターンとして現れる。また、夜21時から翌朝6時までを勤務時間とするユーザUの生活パターンは、平日の夜21時より前に冷蔵庫100の使用を一旦終了し、翌朝6時以降で冷蔵庫100の使用を再開するという冷蔵庫100の使用パターンとして現れる。
【0066】
また、例えば、ユーザが学生である場合、平日の日ごとには異なるパターンで冷蔵庫100が使用される場合があるものの、週ごとにはほぼ同じパターンの繰り返しで冷蔵庫100が使用されるといった使用パターンとして、ユーザUの生活パターンが現れる。
【0067】
(g.冷蔵庫100のユーザUの婚姻の有無を推定するための入力情報)
情報変換部202は、例えば、ユーザUの婚姻の有無(結婚/未婚)に関する属性を推定するために推定モデルMに入力する入力情報(以下「婚姻推定用入力情報」と称する)として、次に列挙する情報のうち1つ以上を、蓄積情報I11に基づき生成する。これらの情報は、少なくとも以下に説明する観点においてユーザUの婚姻の有無との相関性を有する。そのため、以下に列挙する各情報のうち1つ以上をユーザUの婚姻の有無に関する属性を出力情報とする推定モデルMの入力情報として用いることができる。
【0068】
・冷蔵庫100の庫内に格納された食材に関する情報
・冷蔵庫100のユーザUの身体的特徴に関する情報
【0069】
「冷蔵庫100の庫内に格納されている食材」には、ユーザUの婚姻の有無に関する傾向が表れると考えられる。例えば、冷蔵庫100の庫内に男性が嗜好する食材と、女性が施行する食材とのいずれか一方が格納されている場合、ユーザUは未婚である可能性が高いと考えられ、男性が嗜好する食材と女性が嗜好する食材との両方が庫内に格納されている場合には、ユーザUは結婚している可能性が高いと考えられる。また、大人が嗜好する食材と、子供が嗜好する食材とが庫内に格納されている場合も、ユーザUが結婚している可能性が高いと考えられる。
【0070】
そこで情報変換部202は画像認識処理による食材の識別結果を示す情報を婚姻推定用入力情報として生成する。また、画像データの各画素値には被写体の特徴を示す情報が含まれていると考えられるため、情報変換部202は、その画像データ自体を婚姻推定用入力情報として生成してもよい。
【0071】
また、「冷蔵庫100のユーザUの身体的特徴」にもユーザUの婚姻の有無に関する傾向が表れると考えられる。例えば、婚姻の有無に関する傾向を示す身体的特徴として婚姻指輪の装着の有無が挙げられる。画像認識処理によって庫内画像に撮像されたユーザUの手に結婚指輪が装着されていることが識別された場合、ユーザUは結婚している可能性が高いと考えられる。
【0072】
そこで情報変換部202は画像認識処理による身体的特徴の識別結果を示す情報を婚姻推定用入力情報として生成する。また、画像データの各画素値には被写体の特徴を示す情報が含まれていると考えられるため、情報変換部202は、その画像データ自体を婚姻推定用入力情報として生成してもよい。
【0073】
(h.居住地域を推定するための入力情報)
情報変換部202は、例えば、ユーザUの居住地域に関する属性を推定するために推定モデルMに入力する入力情報(以下「居住地域推定用入力情報」と称する)として、次に列挙する情報のうち1つ以上を、蓄積情報I11に基づき生成する。これらの情報は、少なくとも以下に説明する観点においてユーザUの居住地域との相関性を有する。そのため、以下に列挙する各情報のうち1つ以上をユーザUの居住地域に関する属性を出力情報とする推定モデルMの入力情報として用いることができる。
【0074】
・冷蔵庫100が設置された建屋内部の温度に関する情報
・冷蔵庫100が設置された建屋内部の湿度に関する情報
・外部電源の周波数に関する情報
【0075】
「冷蔵庫100が設置された建屋内部の温度」には、ユーザUの居住地域に関する傾向が表れると考えられる。例えば、冷蔵庫100が設置された建屋内部の温度は、外気温に対して相対的に変化すると考えられ、外気温は地域に応じて異なる分布を示す。このため、冷蔵庫100が設置された建屋内部の温度は、ユーザUの居住地域の気候を反映するものと考えられる。また、「冷蔵庫100が設置された建屋内部の湿度」にも、ユーザUの居住地域に関する傾向が表れると考えられる。さらに、「冷蔵庫100が設置された建屋内部の温度」と「冷蔵庫100が設置された建屋内部の湿度」の組み合わせは、居住地域の気候をより詳細に特徴づけると考えられる。
【0076】
そこで情報変換部202は冷蔵庫100が設置された建屋内部の温度を示す情報を居住地域推定用入力情報として生成する。なお、情報変換部202は、気象庁のサーバから各地の気温情報を取得し、取得した各地の気温情報と周囲温度センサ67の検出結果との比較結果を居住地域推定用入力情報としてもよい。
【0077】
また、「外部電源の周波数に関する情報」は、冷蔵庫100が接続された外部電源の交流周波数が50Hzであるか60Hzであるかを示す情報などである。この情報は、例えば、データDに含まれる電源検出部69の検出結果に基づき導出される。ここで、東日本での商用電源の周波数は50Hzであり、西日本での商用電源の周波数は60Hzである。
【0078】
次に、学習部203について説明する。学習部203は、上述した各種入力情報を機械学習の学習モデルLに適用することにより、ユーザUの属性を推定するための推定モデルMを学習済みモデルとして生成する。推定モデルMは、冷蔵庫100に関する情報が入力されると、冷蔵庫100のユーザUの属性の推定結果を出力するように学習される。
【0079】
本実施形態では、学習部203は、ユーザUの属性を推定するための推定モデルMとして、使用人数に関する属性を推定する推定モデルMA、に関する属性を推定する推定モデルMB、年齢に関する属性を推定する推定モデルMC、住居形態に関する属性を推定する推定モデルMD、設置位置に関する属性を推定する推定モデルME、就業形態に関する属性を推定する推定モデルMF、婚姻の有無に関する属性を推定する推定モデルMG、居住地域に関する属性を推定する推定モデルMHを生成する。
【0080】
なお、本明細書で「学習」とは、教師なし学習または教師あり学習のいずれを意味してもよい。以下では、主に推定モデルMが教師あり学習によって生成される場合について説明するが、推定モデルMは教師なし学習によって生成されてもよい。例えば、学習鵜203は、情報変換部202によって生成された各種推定用入力情報とユーザ登録情報I12とを教師データとして学習モデルLに適用して各種推定用入力情報とユーザ登録情報I12との関係性を学習することにより、学習済みモデルとして推定モデルMA~MHを生成する。学習モデルLには、例えばニューラルネットワーク、強化学習、ディープラーニングなどを用いることができるが、学習モデルLはこれらに限定されない。学習モデルLは、回帰曲線や分類器を上記関係性の学習結果として生成するものであってもよい。例えば、ニューラルネットワーク以外の学習モデルLとしてSVM(Support Vector Machine)や決定木(Decision Tree)、ランダムフォレスト、k近傍法などが用いられてもよい。
【0081】
図10は、ユーザ登録情報I12の具体例を示す図である。ユーザ登録情報I12には、各ユーザUの識別情報(ユーザID)ごとに、ユーザが所有する冷蔵庫100の使用人数、設置位置、ユーザUの性別、年齢、就業形態、婚姻の有無、居住地域、ユーザが居住する住居の形態(住居形態)などが挙げられる。ただし、推定するユーザUの属性は、ユーザUに関して蓄積情報I11に基づいて推定することのできる事項であれば、上記列挙した事項以外の事項であってもよい。学習部203は、このようなユーザUの各属性と、それらに相関性を有する各種推定用入力情報とが対応づけられたデータを教師データとする機械学習を行うことにより、ユーザUの各属性と各種推定用入力情報との関係性を学習することができる。
【0082】
なお、ユーザUの各属性と各種推定用入力情報との対応づけは手動で実施されてもよいし、機械的に実施されてもよい。例えば、学習鵜203は、各種推定用入力情報について各属性との相関性の強さを求め、各種推定用入力情報を最も相関性の強い属性と対応付けることによって教師データを生成してもよい。
【0083】
推定部204は、学習部203により得られた推定モデルMを用いて、ユーザ属性の判定対象の冷蔵庫100(以下「判定対象冷蔵庫100」と称する)から受信したデータDに基づき、判定対象冷蔵庫100のユーザUのユーザ属性を推定する。ここで「推定」とは、最も確からしい1つの属性候補を判定することに限定されず、複数の属性候補のそれぞれの確率(例えば、使用人数が1人である可能性:10%、使用人数が2人である可能性:20%、使用人数が3人である可能性:50%、使用人数が4人以上である可能性:20%)などを出力する場合も含む。
【0084】
推定部204は、判定対象冷蔵庫100から得られたデータDに基づく各種推定用入力情報を推定モデルMに入力し、推定モデルMの出力情報として判定対象冷蔵庫100のユーザUのユーザ属性の推定結果を得る。本実施形態では、推定部204は、判定対象冷蔵庫100から得られたデータDに基づく入力情報として、上述した使用人数推定用入力情報、性別推定用入力情報、年齢推定用入力情報、住居形態推定用入力情報、設置位置推定用入力情報、就業形態推定用入力情報、婚姻推定用入力情報、居住地域推定用入力情報をそれぞれ対応する推定モデルMA~MHに入力し、推定モデルMA~MHの出力情報として、(a)冷蔵庫100の使用人数、(b)性別、(c)年齢、(d)住居形態、(e)設置位置、(f)就業形態、(g)婚姻の有無、(h)居住地域の推定結果を出力させる。
【0085】
情報記録部205は、推定部204によって推定されたユーザ属性を、ユーザ属性情報I13として記憶部207に記憶させる。
【0086】
情報出力部206は、上述した処理によって得られたユーザ属性情報I13を、端末装置300に送信する。これにより、ユーザ属性情報I13は、製品開発やサービス提供に利用可能になる。
【0087】
<4.処理の流れ>
次に、処理の流れについて説明する。
図11は、冷蔵庫100における処理の流れを示す図である。まず、制御部80は、冷蔵庫100の電源がONにされたか否かを判定する(S101)。冷蔵庫100の電源がOFFである場合、制御部80は、冷蔵庫100の電源がONにされるまで待機する。
【0088】
一方で、冷蔵庫100の電源がONにされた場合(S101:YES)、制御部80は、センサ群SUで検出された検出結果を、所定の周期またはリアルタイムで、サーバ200に送信する(S102)。
【0089】
次に、制御部80は、冷蔵庫100の電源がOFFにされたか否かを判定する(S103)。冷蔵庫100の電源がONである場合(S103:NO)、制御部80は、S102の処理を繰り返す。一方で、冷蔵庫100の電源がOFFにされた場合(S103:YES)、制御部80は、一連の処理を終了する。そして、冷蔵庫100は、例えば、所定期間に亘り上述した処理(S101~S103)を繰り返す。
【0090】
図12は、サーバ200における処理の流れを示す図である。前提として、冷蔵庫100からサーバ200に送信されたデータDは、情報取得部201によって取得され、蓄積情報I11として蓄積されている。
【0091】
まず、情報変換部202は、蓄積情報I11に基づき、上述した各種推定用入力情報を生成する(S201)。次に、推定部204は、生成した各種推定用入力情報を推定モデルMA~MHにそれぞれ入力することで、出力情報としてユーザUの属性に関する推定結果を得る(S202)。次に、情報出力部206は、推定部204により推定されたユーザUの属性に関する推定結果を示す情報を端末装置300に出力させる。
【0092】
<5.作用>
比較例として、アンケートやウェブ上で性別、年齢、使用人数や、居住地域などの情報を入力してもらうことで、ユーザUの属性情報を収集することが考えられる。しかしながらこれらの場合、入力が手間でユーザが情報を入力してくれないことがあり、またユーザが入力してくれる情報が実態と合わない場合もある。また、詳細な使用状況をアンケート形式でユーザに確認することも難しい。
【0093】
一方で、本実施形態では、情報処理システム1は、冷蔵庫100から送信されたデータDを取得する情報取得部201と、機械学習された推定モデルMを用いて、情報取得部201により取得されたデータDから得られる各種推定用入力情報に基づき冷蔵庫100のユーザUの属性を推定する推定部204とを含む。このような構成によれば、ユーザUによる入力がなくても、ユーザUの冷蔵庫100の使用結果に基づきユーザUの属性を推定することができる。これにより、ユーザUの属性情報の収集負担の低減を図ることができる。
【0094】
なお、サーバ200は、ネットワークを介して通信可能に接続された複数台の情報処理装置を用いて実装されてもよい。この場合、サーバ200が備える各機能部は、複数の情報処理装置に分散して実装されてもよい。例えば、学習鵜203と推定部204とはそれぞれ異なる情報処理装置に実装されてもよい。
【0095】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、冷蔵庫の状態に関するデータを取得する取得部と、機械学習により生成された学習済みモデルを用いて、前記取得部により取得された前記データに基づき前記冷蔵庫のユーザの属性を推定する推定部と、を持つことにより、ユーザの設定行為によらずに、冷蔵庫を使用するユーザの属性を推定することができる。
【0096】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0097】
1…情報処理システム、100…冷蔵庫、10…冷蔵室、11…冷蔵室扉、12…冷蔵室扉スイッチ、13…冷蔵冷却器、14…冷蔵冷却ファン、15…冷蔵冷却室、20…野菜室、21…野菜室扉、22…野菜室扉スイッチ、30…冷凍室、31…冷凍室扉、32…冷凍室扉スイッチ、33…冷凍冷却器、34…冷凍冷却ファン、35…冷凍冷却室、40…製氷室、41…製氷室扉、42…製氷室扉スイッチ、51…コンプレッサ、52…冷媒切替弁、53…ダンパ、531…冷蔵冷却ダンパ、532…冷凍冷却ダンパ、533…連通部、54…製氷皿モータ、55…給水モータ、61…冷蔵室温度センサ、62…野菜室温度センサ、63…冷凍室温度センサ、64…製氷室温度センサ、65…庫内カメラ、66…人感センサ、67…周囲温度センサ、68…周囲湿度センサ、69…電源検出部、70…無線モジュール、80…制御部、81…冷凍サイクル制御部、82…記憶部、83…情報記録部、84…情報出力部、200…サーバ、201…情報取得部、202…情報返還部、202…情報変換部、203…学習鵜、203…学習部、204…推定部、205…情報記録部、206…情報出力部、207…記憶部、300…端末装置、300a…表示装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12