(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 23/02 20060101AFI20240319BHJP
F25D 25/00 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
F25D23/02 A
F25D23/02 304Z
F25D23/02 305Z
F25D25/00 M
(21)【出願番号】P 2020094708
(22)【出願日】2020-05-29
【審査請求日】2022-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003395
【氏名又は名称】弁理士法人蔦田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坪川 充央
(72)【発明者】
【氏名】秋吉 浩一
(72)【発明者】
【氏名】山尾 明
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-052776(JP,A)
【文献】特開2012-229826(JP,A)
【文献】特開2009-008279(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 23/02
F25D 23/08
F25D 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方に開口する貯蔵室が内部に設けられた冷蔵庫本体と、
前記貯蔵室の前面開口部を閉塞する引き出し式の扉と、
前記扉の前記貯蔵室側に固定された容器支持体と、
前記貯蔵室に固定され前記容器支持体を前後方向に摺動可能に支持する内箱レールと、
前記容器支持体に支持され前記扉とともに引き出し可能に前記貯蔵室に収納された収納容器と、
を備えた冷蔵庫において、
前記扉は、前記容器支持体が固定された位置より上方に設けられた手掛け部と、前記容器支持体が固定された位置より下方に設けられ前記扉の貯蔵室側から前記収納容器の前壁へ向けて突出する突起とを備え
、
前記冷蔵庫本体と前記扉との間に設けられ、前記貯蔵室の前面開口部と前記扉との間をシールする密閉部材と、前記突起と前記収納容器の前壁との間に形成された隙間とを備え、
前記扉が前記前面開口部を閉塞した状態から前記手掛け部を前方へ引くと、前記扉の上部が前方へ移動し、前記扉の下部が後方へ移動して前記突起が前記収納容器の前壁に当接する冷蔵庫。
【請求項2】
前記容器支持体が固定された位置が、前記扉の上下方向中央部より下側である請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記突起の上側に後方へ行くほど下方へ向かうように傾斜する傾斜面が設けられている請求項1又は2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記貯蔵室に上から順に上段容器、中段容器、下段容器が収納され、
前記下段容器が、上下方向に最も大きく設けられ、前記容器支持体に支持された前記収納容器であり、
前記上段容器は、前記中段容器より上下方向に大きく、前記貯蔵室の内壁に支持されている請求項1~3のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記貯蔵室に上から順に上段容器、中段容器、下段容器が収納され、
前記下段容器が、上下方向に最も大きく設けられ、前記容器支持体に支持された前記収納容器であり、
前記上段容器及び前記中段容器の少なくとも一方の前壁の上端に前方へ行くほど下方に向かうように傾斜する鍔部が設けられている請求項1~4のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記扉は内部に設けられた断熱材を備え、
前記鍔部の前方における前記断熱材の厚みが、前記下段容器の前方における前記断熱材の厚みより大きい請求項5に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関するものである。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫では、野菜室や冷凍室等の貯蔵室について、貯蔵物の出し入れ操作の利便性から扉の貯蔵室側に収納容器を取り付け、扉とともに収納容器が前後に引き出し可能とする引き出し式の扉を採用するものが多い(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
このような引き出し式の扉では、閉扉状態から開扉する場合、扉が貯蔵室の前面開口部の周縁部とガスケットと呼ばれる密閉部材を介して密着しているため、大きな力が必要になることがある。特に、引き出し式の扉を採用する貯蔵室を大容量化すると、収納容器に収納される貯蔵物の重量も大きくなりやすく、開扉時に非常に大きな力が必要になりやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態は、上記事情を考慮してなされたものであり、引き出し式の扉の開扉に必要な力を抑え、冷蔵庫の使い勝手を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態の冷蔵庫は、前方に開口する貯蔵室が内部に設けられた冷蔵庫本体と、前記貯蔵室の前面開口部を閉塞する引き出し式の扉と、前記扉の前記貯蔵室側に固定された容器支持体と、前記貯蔵室に固定され前記容器支持体を前後方向に摺動可能に支持する内箱レールと、前記容器支持体に支持され前記扉とともに引き出し可能に前記貯蔵室に収納された収納容器と、を備えた冷蔵庫において、前記扉は、前記容器支持体が固定された位置より上方に設けられた手掛け部と、前記容器支持体が固定された位置より下方に設けられ前記扉の貯蔵室側から前記収納容器の前壁へ向けて突出する突起とを備え、前記冷蔵庫本体と前記扉との間に設けられ、前記貯蔵室の前面開口部と前記扉との間をシールする密閉部材と、前記突起と前記収納容器の前壁との間に形成された隙間とを備え、前記扉が前記前面開口部を閉塞した状態から前記手掛け部を前方へ引くと、前記扉の上部が前方へ移動し、前記扉の下部が後方へ移動して前記突起が前記収納容器の前壁に当接するものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施形態の冷蔵庫の概略構成を示す縦断面図
【
図5】冷凍室扉、下段容器、中段容器及び上段容器を引き出した状態の冷蔵庫の断面図
【
図6】容器支持体が取り付けられた冷凍室扉を後方から見た斜視図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態の冷蔵庫1について図面に基づき説明する。なお、以下の実施形態は例示であり、発明の範囲はこれに限定されない。以下の実施形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲で様々な省略、置換、変更を行うことができる。以下の実施形態やその変形は、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0009】
なお、以下の説明において、左右方向、前後方向、上下方向とは、冷蔵庫を正面から見たときの方向を示し、左右方向は冷蔵庫の幅方向に相当する。また、右、左、上、下、奥、背、手前とは、特に規定がない場合には冷蔵庫を正面から見たときの位置や側などを示す。また、冷蔵庫1の内箱4において貯蔵室に向く側を庫内側とし、断熱材を介して外箱3と対向する側を断熱空間側とする。
【0010】
(1)冷蔵庫1の構成
冷蔵庫1の構成について図面を参照して説明する。冷蔵庫1は、
図1~
図3に示すように、前面に開口する冷蔵庫本体2を備える。冷蔵庫本体2は、鋼板製の外箱3と合成樹脂製の内箱4とを備え、外箱3及び内箱4との間に発泡断熱材や真空断熱パネルなどの断熱材を収納する断熱空間5が形成されている。冷蔵庫本体2は内箱4の内側に複数の貯蔵室が設けられている。具体的には、
図1に示すように、上段から順に、冷蔵室6、野菜室7が設けられ、その下方に冷凍室10が設けられている。
【0011】
冷蔵室6及び野菜室7は、その後面に設けられた冷蔵室温度センサ36の検出温度に基づいて冷蔵温度帯(例えば、1~4℃)に冷却される貯蔵室である。冷蔵室6と野菜室7の間は、合成樹脂製の仕切板11により上下に仕切られているが、仕切板11の後端部に設けられた連通孔17を介して冷蔵室6の空気が野菜室7へ流れるようになっている。冷蔵室6の前面開口部には、ヒンジで枢支された回動式の断熱扉6aが設けられている。
【0012】
冷蔵室6の後面は、内箱背面4eの前方に間隔をあけて設けられた後壁部材40によって区画されている。後壁部材40は、内箱背面4eとの間で、冷蔵室6へ供給する冷気が流れる冷蔵側流路24の一部を構成する第1流路部24b及び第2流路部24cを形成する。また、後壁部材40には、使用者が冷蔵室6や冷凍室10等の温度設定等の各種設定を行うための操作パネル39や、冷蔵室6内の温度を検出する冷蔵室温度センサ36が設けられている。
【0013】
冷蔵室6の内部空間には、上下に間隔をあけて複数の棚板12が設けられている。仕切板11と最下段の棚板12aとで上下に仕切られた空間には、給水タンク30や収納容器14のような引き出し式の容器を収納する下側貯蔵室6bが形成され、最下段の棚板12aの上方に区画された空間には、棚板12を設ける上側貯蔵室6cが形成されている。
【0014】
上側貯蔵室6cは、冷蔵庫1において最上段に配置された貯蔵室であり、貯蔵品を収納しない状態において、上側貯蔵室6cの後部に配置された後壁部材40の後壁板41が露出し前方から視認可能となっている。
【0015】
後壁板41は、後壁部材40の前面部分を構成する板状体からなり、上側貯蔵室6cのほぼ全幅に渡って設けられ上側貯蔵室6cの後面を区画する。後壁板41は、最下段の棚板12aより下方位置の左右両側に切欠部が設けられており、一方側の切欠部に給水装置31及びハウジングケース38が配置され、他方側の切欠部の下方に連通孔17が設けられている。
【0016】
下側貯蔵室6bは、冷蔵室6の一方側壁(左側壁)に寄せて配設された縦仕切壁13によって冷蔵庫幅方向に区画されている(
図4参照)。冷蔵室6の左側壁と縦仕切壁13に挟まれた空間(以下、タンク室ということもある)には、給水タンク30及び給水装置31が設けられている。
【0017】
縦仕切壁13と冷蔵室6の他方側壁(右側壁)に挟まれた空間(以下、チルド室ということもある)には、前方へ引き出し可能に設けられた引き出し式の収納容器14が収納されている。縦仕切壁13は、
図3に示すように収納容器14の前側部分の後方に隠れるように配置されている。
【0018】
給水タンク30及び収納容器14は、仕切板11に設けられた不図示の位置決め部によって前後方向における所定位置に収納される引き出し式の容器である。
【0019】
下側貯蔵室6bでは、その後部に配置された後壁部材40やハウジングケース38が、前方から給水タンク30及び収納容器14によって覆い隠されている。
【0020】
なお、
図5に示すように、最下段の棚板12aはその前端部下側に前端に行くほど板厚が薄くなるように上方へ向けて傾斜する傾斜部が形成されていることが好ましい。また、最下段の棚板12aは、内箱4の左右側面4a、4bに固定されていてもよく、あるいは、内箱4の左右側面4a、4bに対して着脱可能に取り付けられていてもよい。
【0021】
冷蔵室6の天井面を形成する冷蔵庫本体2の天井壁は、庫内側に冷蔵室6内を照明する照明装置80が収納されている。
【0022】
野菜室7の前面開口部には、引き出し式の断熱扉7aが設けられている。この断熱扉7aの背面部には、貯蔵容器を構成する収納容器15が連結されており、開扉動作とともに収納容器15が庫外に引き出されるように構成されている。
【0023】
冷凍室10は、その後面に設けられた冷凍室温度センサ37の検出温度に基づいて冷凍温度帯(例えば、-10~-20℃)に冷却される貯蔵室である。野菜室7と冷凍室10との間は、内部に断熱材が設けられた断熱仕切壁16により上下に仕切られている。冷凍室10の前面開口部には、引き出し式の断熱扉110が設けられている。
【0024】
冷凍室10には、
図1、
図4及び
図5に示すように、下段容器100、中段容器101及び上段容器102とからなる3つの収納容器が上下に並べて設けられている。断熱扉110の背面部には、下段容器100を支持する容器支持体120が連結されており、開扉動作とともに下段容器100と、下段容器100に上面に支持された中段容器101が庫外に引き出されるように構成されている。
【0025】
上段容器102の上方には、製氷皿と離氷機構を含む製氷装置105が設けられており、製氷装置105で作製した氷は上段容器102へ落下され上段容器102で貯氷される。製氷装置105は、冷蔵室6に設けられた給水タンク30及び給水装置31とともに自動製氷装置を構成し、給水装置31によって吸い上げられた給水タンク30の水が製氷皿に供給されるようになっている。
【0026】
冷凍室10の奥部には、貯蔵室6,7,10を冷却する冷気を生成する冷却器21と、冷却器ファン22を収納する冷却器室23が設けられている。冷却器室23には、冷却器21で生成した冷気を冷蔵室6へ供給する冷蔵側流路24と、冷却器21で生成した冷気を冷凍室10へ供給する冷凍側流路26と、各貯蔵室6、7、10を流れた空気を冷却器室23へ戻すリターンダクト19が接続されている。冷却器室23と冷蔵側流路24との接続部分には冷蔵ダンパ25が設けられ、冷却器室23と冷凍側流路26との接続部分には冷凍ダンパ27が設けられている。
【0027】
冷蔵側流路24は、野菜室7の後面に設けられた野菜室流路24aと、冷蔵室6の後方に設けられた第1流路部24b及び第2流路部24cを下方から順に接続して形成される。
【0028】
野菜室流路24aは、その幅方向中心が野菜室7の幅方向中心より幅方向一方側(本実施形態では、右側)に寄せて配置されている。野菜室流路24aは、冷蔵ダンパ25から上方に行くに従い流路幅が広がり第1流路部24bの下端部に接続されている。
【0029】
第1流路部24bは、下側貯蔵室6bの下端から上方に延び、最下段の棚板12aより上方位置まで延びており、下側貯蔵室6bの後方及び上側貯蔵室6cの下部後方に設けられている。第1流路部24bは、その幅方向中心が冷蔵室6の幅方向中心より幅方向一方側(本実施形態では、右側)に寄せて配置されている。
【0030】
第1流路部24bの上端は、上下方向に対して幅方向内方(本実施形態では、左側)へ向けて斜めに傾斜した傾斜部24dを介して第2流路部24cに接続されている。第2流路部24cは、その幅方向中心が第1流路部24bの幅方向中心より冷蔵室6の幅方向中央に寄せて配置されている。
【0031】
第1流路部24bの前面には、下側貯蔵室6bに開口する吹出口18bが設けられ、第2流路部24cの前面には、上側貯蔵室6cに開口する吹出口18cが設けられている。
【0032】
冷却器21は、冷蔵庫本体2の背面下部に形成された機械室28に収納された圧縮機29や凝縮器とともに冷凍サイクルを構成し、圧縮機29から吐出された冷媒によって冷却される。冷却器21は、冷却器室23の空気を冷却して各貯蔵室6,7,10を冷却するための冷気を生成する。
【0033】
冷凍側流路26は、冷凍室10の後方に設けられた冷凍ダンパ27と冷凍室10とを繋ぐ流路である。冷凍側流路26は、途中で3つに流路に分岐し、下段容器100、中段容器101及び上段容器102のそれぞれの後方に開口する吹出口34に接続されている。
【0034】
吹出口34は、少なくとも一部が、前方に配置された容器100,101,102の後壁の上端より上方に位置するように冷凍室10に開口している。
【0035】
冷蔵庫本体2の背面上部には、
図1に示すように、前方へ陥没する基板収納部60が設けられ、その内部に冷蔵庫1を制御する制御基板70と、リアクトル等の電気部品71が設けられている。
【0036】
制御基板70は、各種センサ36、37や操作パネル39から入力される検出信号と予めメモリに記憶された制御プログラムに基づいて、冷蔵ダンパ25及び冷凍ダンパ27の開閉や、冷却器ファン22の回転速度や、圧縮機29の運転周波数や、照明装置80を制御して冷蔵庫1の動作全般を制御する。
【0037】
このような構成の冷蔵庫1では、冷却器ファン22の回転と、冷蔵ダンパ25及び冷凍ダンパ27の開閉を制御して、冷却器21が生成した冷気を冷蔵室6及び野菜室7と、冷凍室10へ切り替えて供給することによって、冷蔵室温度センサ36や冷凍室温度センサ37の検出温度が所定の温度条件を満たすように、各貯蔵室6,7,10を冷却する。
【0038】
具体的には、冷蔵室6及び野菜室7を冷却する場合、圧縮機29を駆動することで冷却器21を低温化しつつ、冷蔵ダンパ25を開放し冷凍ダンパ27を閉止した状態で冷却器ファン22を駆動する。これにより、冷却器21で冷却された空気は、野菜室流路24a、第1流路部24b、傾斜部24d及び第2流路部24cを通って上方へ流れ、吹出口18b、18cより冷蔵室6に供給され、冷蔵室6を冷却する。冷蔵室6を流れた空気は、仕切板11に設けられた連通孔17を通って野菜室7に流れ込み、野菜室7内を冷却した後、野菜室7の背面に設けられた吸込口19aからリターンダクト19に取り込まれ、冷却器室23に戻り、再び冷却器21と熱交換して冷却される。
【0039】
冷凍室10を冷却する場合、圧縮機29を駆動することで冷却器21を低温化しつつ、冷凍ダンパ27を開放し冷蔵ダンパ25を閉止した状態で冷却器ファン22を駆動する。これにより、冷却器21で冷却された空気は、冷凍側流路26を通って吹出口34より各容器100,101,102の上方へ吹き出して冷凍室10に供給される。
【0040】
吹出口34から各容器100,101,102の上方へ吹き出した冷気は、一部が各容器100,101,102の内部に進入して貯蔵品と接触して直接冷却する。残りの冷気は、各容器100,101,102の前方へ流れ、断熱扉110の背面(貯蔵室側)に当たって各容器100,101,102の前方を下方へ向けて流れ、下段容器100の下方を後方へ向けて流れる。その後、冷凍室10の背面に設けられた吸込口19bからリターンダクト19に取り込まれ、冷却器室23に戻り、再び冷却器21と熱交換して冷却される。
【0041】
また、冷蔵庫1では、冷蔵室6の扉6aの開扉時に制御基板70が照明装置80に駆動電源を供給して冷蔵室6内を照明する。
【0042】
(2)断熱扉110
次に、冷凍室10の前面開口部を閉塞する断熱扉110について説明する。
【0043】
断熱扉110は、
図4~
図6に示すように、扉面材111、扉内板112、上キャップ部材113、下キャップ部材114及び側面キャップ115から外郭を構成し、その内部に断熱材116を配設する空間が形成されている。
【0044】
扉面材111は、鋼板やガラス板などを所定形状に成型してなり、冷凍室10の前面開口部を閉塞した時に冷蔵庫1の正面の一部を構成する。扉内板112は、平板形状の合成樹脂成形体からなり、扉面材111の後方に間隔をあけて設けられ、扉面材111との間で断熱材116を配設する空間を形成する。
【0045】
扉面材111及び扉内板112の間に形成される空間の厚み、つまり、扉面材111と扉内板112との間隔は、下段容器100の前方に比べ、後述する中段容器101及び上段容器102の鍔部101c、102cの前方において大きくなっている。これに伴い、中段容器101及び上段容器102の鍔部101c、102cの前方における断熱扉110に設けられた断熱材116の厚みt1が、下段容器100の前方における断熱材116の厚みt0より大きくなっている。
【0046】
扉内板112の周縁部には、冷凍室10の前面開口部の周縁と対向する位置に密閉部材117が取り付けられている。密閉部材117は、内部に配した磁石の磁力により冷蔵庫本体2の開口部周縁に密着することで、断熱扉110と冷凍室10の前面開口部との間をシールする。
【0047】
上キャップ部材113、下キャップ部材114及び側面キャップ115は、扉面材111及び扉内板112の上端部、下端部及び側端部とそれぞれ接合され、扉面材111及び扉内板112の周囲を保持する。上キャップ部材113の前側(扉面材111側)には、下方に向けて陥没する手掛け部118が断熱扉110の全幅にわたって設けられている。
【0048】
図5及び
図6に示すように、扉内板112の左右両端部には、内箱レール119によって摺動自在に支持される左右一対の容器支持体120が固定され、この容器支持体120に下段容器100が支持されている。また、扉内板112には、容器支持体120が固定された位置より下方に冷凍室10側へ突出する突起140が設けられている。
【0049】
(3)内箱レール119及び容器支持体120
次に、内箱レール119及び容器支持体120について説明する。
【0050】
図5に示すように、内箱レール119は、冷凍室10を区画する内箱4の左右側壁に前後方向にわたって配設されている。内箱レール119の前部には、支持部122を下方から支持して前後方向に摺動自在とする滑車123が設けられている。滑車123の後方には、前後方向に延びる収納部126が設けられている。収納部126は、支持部122の後端部に設けられた摺動体125を前後方向に摺動可能に支持する。
【0051】
図6に示すように、左右一対の容器支持体120は、扉内板112の左右側端部に固定された平板状の取付部121と、取付部121から後方へ向けて折れ曲がり冷凍室10の左右の内側壁に沿って前後方向へ延びる支持部122を備える。
【0052】
取付部121は、扉内板112の冷凍室10側に重ねて設けられ、ネジなどの固定手段によって扉内板112に固定される。ネジによって容器支持体120を扉内板112に固定する場合、取付部121に設けるネジ固定部121aの位置は、任意の位置に設定することができるが、取付部121の幅方向中央部より外側(支持部122側)に配置することが好ましく、支持部122に近接させてネジ固定部121aを配置することが好ましい。このように取付部121の支持部122側にネジ固定部121aを配置することで、冷蔵庫幅方向へのぐらつきを抑えて容器支持体120を断熱扉110に固定することができる。
【0053】
支持部122は、冷凍室10の左右の内側壁に略平行に設けられた前後方向に細長く延びる板状をなしており、上下端縁に冷凍室10の左右の内側壁へ向けて折れ曲がる上鍔部122a下及び下鍔部122bが設けられている。上鍔部122aの上面は、下段容器100の左右側端上部に形成した縁部が載置され、下段容器100を下方より支持する。
【0054】
下鍔部122bの下面は、内箱レール119に配設された滑車123によって摺動可能に支持される(
図5参照)。下鍔部122bの後部には下方へ突出するストッパ122cが設けられている。
【0055】
支持部122の後端部には、具体的には、上鍔部122aに載置された下段容器100より後方には、左右の支持部122を連結するように設けられた後支持体124と、内箱レール119内を摺動する摺動体125とが設けられている。後支持体124は、下段容器100の後端上部に形成した縁部が載置され、下段容器100を下方より支持する。
【0056】
このような容器支持体120には、冷凍室10の内方へ突出する第1ビード部122d、第2ビード部122e及び第3ビード部122fが設けられている。
【0057】
第1ビード部122dは、支持部122の上下端縁に上鍔部122a及び下鍔部122bに沿って前後方向に設けられている。本実施形態では、上側の第1ビード部122dの上端から上鍔部122aが、下側の第1ビード部122dの下端から下鍔部122bが、冷凍室10の左右の内側壁へ向けて延びている。
【0058】
第2ビード部122eは、上下の第1ビード部122dの間に、支持部122及び取付部121に跨がるように設けられている。第3ビード部122fは、取付部121と支持部122との間に設けられた折り曲げ部に、第1ビード部122dと前後に重なるように設けられている。
【0059】
このような容器支持体120を断熱扉110の扉内板112に取り付ける上下方向の位置は、手掛け部118が設けられた位置より下方であれば、容器支持体120が支持する容器の大きさ等に応じて任意の位置に設定することができる。容器支持体120を扉内板112に取り付ける上下方向の位置は、断熱扉110の上下方向中央部Hcより下側において容器支持体120を断熱扉110に固定することが好ましい。
【0060】
つまり、
図6に示すように、ネジによって容器支持体120を扉内板112に固定する場合、取付部121に設けられた全てのネジ固定部121aを、断熱扉110の上下方向中央部Hcより下方に配置することが好ましい。
【0061】
(4)突起140
次に、断熱扉110の扉内板112に設けられた突起140について説明する。
【0062】
突起140は、
図4~
図6に示すように、容器支持体120が固定された位置より下方において、扉内板112から冷凍室10側へ容器支持体120に支持された下段容器100の前壁100aに向けて突出する。
【0063】
図4に示すように、断熱扉110が冷凍室10の前面開口部を閉塞する閉扉状態において、扉内板112から後方へ突出する突起140の先端(後端)は、下段容器100の前壁100aに当接することなく、前壁100aとの間に隙間141を形成している。
【0064】
突起140の上側には、後方に行くほど低くなるように傾斜する、言い換えれば、突起140が先細になるように傾斜する傾斜面142が形成されている。
【0065】
(5)下段容器100、中段容器101及び上段容器102
次に、冷凍室10に設けられた下段容器100、中段容器101及び上段容器102について説明する。
【0066】
下段容器100は、冷凍室10に配置された3つの容器のうち最も下側に配置された容器である。下段容器100は、前壁100a、左右側壁及び後壁によって囲まれた上方に開口する有底の箱状をなしている。下段容器100は、冷凍室10に配置された他の容器101,102に比べて収容深さが大きく、上下方向に最も大きく設けられている。
【0067】
なお、収容深さとは、容器に貯蔵品を収容しても他の容器や冷凍室10に配置された部材と接触することなく容器を冷凍室10から出し入れできる深さである。本実施形態の場合、
図4に示すように、下段容器100では、下段容器100の内底面から中段容器101の外底面までの上下方向の長さH1、中段容器101では、中段容器101の内底面から上段容器102の外底面までの上下方向の長さH2、上段容器102では、上段容器102の内底面から上段容器102の前壁の上端までの上下方向の長さH3である。各寸法の一例を挙げると、下段容器100の収容深さH1を210~230mm、中段容器101の収容深さH2を60~80mm、上段容器102の収容深さH3を105~125mmとすることができる。
【0068】
下段容器100は、上記したように断熱扉110の冷凍室10側に固着された左右一対の容器支持体120に保持され、断熱扉110の開扉動作とともに庫外へ引き出されるように構成されている。下段容器100の左右側壁の上端は、中段容器101に設けられた下脚部101bが載置されるとともに前後方向に摺動する摺動面100bをなしており、この摺動面100bの前部に上方へ突出する凸部100cが設けられている。
【0069】
下段容器100の上方に設けられた中段容器101は、前壁101a、左右側壁及び後壁によって囲まれた上方に開口する有底の箱状をなしており、上段容器102の底面の下方に間隔をあけて配置されている。中段容器101は、冷凍室10に配置された他の容器100,102に比べて収容深さが小さく、上下方向に最も低い容器である。
【0070】
中段容器101は、底面から前壁101aの上端までの突出量が、底面から左右側壁や後壁の上端まで突出量より小さくなっている。また、左右側壁の前端部は、前方に行くに従って底面からの突出量が漸次小さくなるように傾斜している。これにより、中段容器101の前端部において中段容器101と上段容器102との間隔が広がっている。
【0071】
前壁101aの上端には、前方へ行くほど下方に向かうように傾斜する鍔部101cが突出している。この鍔部101cは、左右側壁の前端部に設けられた傾斜部を前方へ延長するように、当該傾斜部と平行に設けられている。
【0072】
中段容器101の左右側壁には、幅方向外方へ突出する下脚部101b及び上脚部101dが設けられている。
【0073】
下脚部101bは、中段容器101の左右側壁の下部に位置し、左右側壁の前部及び後部にそれぞれ設けられている。下脚部101bは、下段容器100の左右側壁の上端に設けられた摺動面100bに載置されている。
【0074】
上脚部101dは、中段容器101の左右側壁の上端部に前後方向に沿って設けられている。上脚部101dは、冷凍室10を区画する内箱4の左右側壁に前後方向にわたって設けられた中段レール127(
図5参照)に載置される。
【0075】
中段容器101は、下脚部101b及び上脚部101dが、下段容器100の摺動面100bと中段レール127を前後方向に摺動することで、下段容器100と独立して庫外へ引き出し可能に冷凍室10に設けられている。
【0076】
このような中段容器101は、
図4に示すような断熱扉110の閉扉状態において、下脚部101bが下段容器100の凸部100cの前方に位置するように摺動面100bに支持され、上脚部101dが中段レール127に支持される。
【0077】
そして、断熱扉110が閉扉された状態から開扉され下段容器100が庫外へ引き出されると、下脚部101bが下段容器100の凸部100cの前側に当接して前方へ押され、中段容器101も下段容器100とともに庫外へ引き出される(
図5参照)。
【0078】
また、断熱扉110の閉扉動作とともに下段容器100が後方へ移動すると、下段容器100の前壁100aが中段容器101の前壁101aの下部に当接して後方へ押し込み、下段容器100とともに中段容器101も後方へ移動し庫内へ収納される。
【0079】
上段容器102は、中段容器101の上方に配置され、前壁102a、左右側壁及び後壁によって囲まれた上方に開口する有底の箱状をなしており、冷凍室10に配置された容器の中で最も上段に配置されている。
【0080】
上段容器102は、中段容器101と同様、底面から前壁102aの上端までの突出量が、底面から左右側壁や後壁の上端まで突出量より小さくなっている。また、左右側壁の前端部は、前方に行くに従って底面からの突出量が漸次小さくなるように傾斜している。これにより、上段容器102の前端部において上段容器102と断熱仕切壁16の間隔が広がっている。
【0081】
前壁102aの上端には、前方へ行くほど下方に向かうように傾斜する鍔部102cが突出している。この鍔部102cは、左右側壁の前端部に設けられた傾斜部を前方へ延長するように、当該傾斜部と平行に設けられている。
【0082】
上段容器102の左右側壁には、幅方向外方へ突出する脚部102dが設けられている。脚部102dは、上段容器102の左右側壁に前後方向に沿って設けられ、冷凍室10を区画する内箱4の左右側壁に前後方向にわたって設けられた上段レール128(
図5参照)に載置されている。つまり、上段容器102は、上段レール128を介して冷凍室10の左右側壁に支持されている。
【0083】
上段容器102は、脚部102dが、上段レール128を前後方向に摺動することで、下段容器100や中段容器101と独立して庫外へ引き出し可能に冷凍室10に設けられている。
【0084】
(6)断熱扉110の開閉動作
次に、断熱扉110の開閉動作について説明する。
【0085】
図4に示すように、断熱扉110が冷凍室10の前面開口部を閉塞する閉扉状態では、密閉部材117が、内部に配した磁石の磁力により冷蔵庫本体2の開口部周縁に密着することで、断熱扉110と冷凍室10の前面開口部との間をシール(封止)している。この時、下段容器100及び中段容器101に収納された貯蔵品の重量の一部が、断熱扉110において容器支持体120を固定した位置に作用している。つまり、本実施形態では、ネジ固定部121aに下段容器100及び中段容器101に収納された貯蔵品の重量の一部が作用する。
【0086】
このような閉扉状態から使用者が断熱扉110を開扉するために手掛け部118を前方へ引くと、断熱扉110において容器支持体120を固定した位置(ネジ固定部121a)は下段容器100及び中段容器101に収納された貯蔵品の重量を受けて前方への移動が制限される。そのため、手掛け部118を前方へ引くと、断熱扉110に対して下側が後方へ移動するような変形力が作用するが、断熱扉110の扉内板112に設けられた突起140が下段容器100の前壁100aに当接して断熱扉110の変形移動を規制する。
【0087】
また、本実施形態では、突起140と下段容器100の前壁100aとの間に隙間141が設けられているため、手掛け部118を前方へ引くと、断熱扉110は上下方向における中央部に対して扉上部が前方へ移動する。つまり、断熱扉110は、容器支持体120を固定した位置を中心として、上側が前方へ、下側が後方へ、隙間141を無くすように回動移動する。
【0088】
これにより、断熱扉110に設けられた密閉部材117が、断熱扉110の上端から下方へ冷蔵庫本体2より引き剥がされる。そして、断熱扉110の下側が所定量後方へ移動すると、断熱扉110の扉内板112に設けられた突起140が下段容器100の前壁100aに当接する。
【0089】
(7)効果
本実施形態の冷蔵庫1では、断熱扉110に下段容器100の前壁100aへ向けて突出する突起140が設けられているため、使用者が手掛け部118を前方へ引っ張った際に、断熱扉110に対して下側が後方へ移動するような変形力が作用しても、突起140が下段容器100の前壁100aに当接して断熱扉110が過度に変形するのを防ぐことができる。
【0090】
本実施形態において突起140と下段容器100の前壁100aとの間に隙間141が設けられている場合、断熱扉110の閉扉状態から手掛け部118を前方へ引くと、断熱扉110の上部が前方へ移動し、断熱扉110の下部が隙間141を無くすように後方へ移動する。そのため、断熱扉110の上端に設けられた密閉部材117から冷蔵庫本体2より引き剥がされ、断熱扉110が大きい場合であっても、断熱扉110の開扉に要する力(開扉力)を大幅に低減することができる。そして、断熱扉110の下側が所定量後方へ移動すると、断熱扉110の扉内板112に設けられた突起140が下段容器100の前壁100aに当接し、断熱扉110が過度に回動するのを規制し、断熱扉110や容器支持体120の変形や破損を防ぐことができる。
【0091】
本実施形態において、断熱扉110に容器支持体120を固定する位置が、断熱扉110の上下方向中央部より下側である場合、容器支持体120を固定する位置から手掛け部118までの距離を大きくすることができ、より小さいで断熱扉110の上部を前方へ移動させ、開扉することができる。
【0092】
しかも、断熱扉110に容器支持体120を固定する位置が、断熱扉110の上下方向中央部より下側である場合、断熱扉110の容器支持体120が固定された位置に大きな荷重が作用しても、断熱扉110の下端部と冷蔵庫本体2との間に隙間が生じるような変形が断熱扉110及び容器支持体120に生じるのを抑えることができる。
【0093】
つまり、下段容器100及び中段容器101に収容された貯蔵品の重量が大きく、断熱扉110の容器支持体120が固定された位置に大きな荷重が作用する場合において、容器支持体120を固定する位置が断熱扉110の上下方向中央部より上側にあると、断熱扉110の上部が後方へ移動し、断熱扉110の下部が前方へ移動するように、断熱扉110及び容器支持体120が変形する。その結果、断熱扉110の下端部において、密閉部材117が冷蔵庫本体2から離れ、冷凍室10が開放することがある。本実施形態のように断熱扉110に容器支持体120を固定する位置が、断熱扉110の上下方向中央部より下側であれば、貯蔵品の重量が大きくなっても断熱扉110の下部が前方へ移動しにくくなり、断熱扉110の下端部において、冷凍室10が開放するのを抑えることができる。
【0094】
本実施形態において、断熱扉110の冷凍室10側から突出す突起140の上側に後方へ行くほど下方へ向かうように傾斜する傾斜面142を設ける場合、下段容器100を容器支持体120の上鍔部122aに支持させる際に、下段容器100の底面が突起140の上側に当たっても、下段容器100を傾斜面142によって後方へ誘導して所定の位置に装着することができる。
【0095】
本実施形態において、冷凍室10に上段容器102、中段容器101及び下段容器100が上下に並べて設けられ、最も下側に配置した下段容器100が、上下方向に最も大きく、断熱扉110に固定された容器支持体120に支持され、上段容器102は、中段容器101より上下方向に大きく、冷凍室10の内壁に支持されている場合、冷凍室10内部を上段容器102、中段容器101及び下段容器100によって上下に区画することができるため、使い勝手を損なうことなく冷凍室10の容積を大きくすることができる。また、最も大きい下段容器100は、断熱扉110に固定された容器支持体120に支持させて前方への引出し量を大きく設定しやすい構成とし、2番目に大きい上段容器102を冷凍室10に支持させて、断熱扉110の容器支持体120が固定された位置に作用する荷重を低減することができる。
【0096】
本実施形態において、上段容器102や中段容器101の前壁102a、101aの上端に前方へ行くほど下方に向かうように傾斜する鍔部102c、101cが設けられている場合、上段容器102及び中段容器101の前端部において、上段容器102と断熱仕切壁16の間隔や、中段容器101と上段容器102の間隔が広くなる。そのため、吹出口34から冷凍室10へ吹き出した冷気は、上段容器102と断熱仕切壁16との間や、中段容器101と上段容器102との間を後方から前方へ流れた後、上段容器102及び中段容器101の前端部で滞留しにくくなり、冷凍室10を均一に冷却することができる。
【0097】
このような場合において、吹出口34から吹き出した冷気が、鍔部101c、102cの前方における断熱扉110に当たりやすくなり、当該部分の庫外側(前側)に結露が生じるやすくなるが、本実施形態のように、鍔部101c、102cの前方における断熱扉110の断熱材116の厚みt1が、下段容器100の前方における断熱材116の厚みt0より大きい場合、断熱扉110に結露が生じるのを抑えることができる。
【0098】
なお、本実施形態では、
図6に示すように、突起140が断熱扉110の下部の左右両端部に設ける場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、断熱扉110の左右方向の中央部に1つ突起140を設けたり、左右方向の両端部と中央部にそれぞれ1つずつ突起140を設けたり、左右方向の一端部から他端部に延びる筋状の突起140を設けるなど、断熱扉110の左右方向の任意の位置に突起140を設けることができる。使用者が手掛け部118の左右方向の一端部を前方へ引くと、断熱扉110に対して左右方向の他端下部が後方へ移動するように断熱扉110を変形する力が作用するが、断熱扉110の少なくとも左右方向の両端部に突起140がある場合、断熱扉110の変形の比較的早い段階で突起140が下段容器100の前壁100aに当接し、断熱扉110の変形を抑えることができる。
【0099】
また、本実施形態では、突起140と下段容器100の前壁100aとの間に隙間141を設ける場合について説明したが、使用者が断熱扉110に力を掛けていない状態において下段容器100の前壁100aに当接するように突起140を設けたり、隙間141にクッション性を有する部材を設けたりしてもよい。隙間141にクッション性を有する部材を設ける場合、上記のような断熱扉110の開扉に要する開扉力を大幅に低減することができるとともに、突起140が下段容器100の前壁100aに当接するときの衝撃を和らげることができる。
【符号の説明】
【0100】
1…冷蔵庫、2…冷蔵庫本体、6…冷蔵室、7…野菜室、10…冷凍室、100…下段容器、100a…前壁、100b…摺動面、100c…凸部、101…中段容器、101a…前壁、101b…下脚部、101c…鍔部、101d…上脚部、102…上段容器、102a…前壁、102c…鍔部、102d…脚部、110…断熱扉、111…扉面材、112…扉内板、113…上キャップ部材、114…下キャップ部材、115…側面キャップ、116…断熱材、117…密閉部材、118…手掛け部、119…内箱レール体、120…容器支持体、121…取付部、121a…ネジ固定部、122…支持部、122a…上鍔部、122b…下鍔部、122c…ストッパ、122d…第1ビード部、122e…第2ビード部、122f…第3ビード部、123…滑車、124…後支持部、125…摺動体、126…収納部、127…中段レール、128…上段レール、140…突起、141…隙間、142…傾斜面