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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】梱包体及び梱包方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 61/00 20060101AFI20240319BHJP
   B65D 71/00 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
B65D61/00 G
B65D71/00 200
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020110001
(22)【出願日】2020-06-25
(65)【公開番号】P2022007201
(43)【公開日】2022-01-13
【審査請求日】2023-04-03
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】椎木 裕介
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-087828(JP,A)
【文献】特開2005-320026(JP,A)
【文献】実公昭49-035381(JP,Y1)
【文献】特開2006-176167(JP,A)
【文献】特開2005-297980(JP,A)
【文献】実開昭51-113773(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 61/00
B65D 71/00
B65D 19/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
梱包体であって、
複数の搬送物が六面体状に積層される搬送物群の4つの側面の下端部と下面とを収容し、パレットに載置される下側蓋材と、
前記搬送物群の4つの側面の上端部と上面とを覆う上側蓋材と、
前記搬送物群の4つの側面により形成される4つの角部をそれぞれが覆うように上下方向に延在し、下端部分が前記下側蓋材と前記搬送物群の側面との間隙に挿入され、上端部分が前記上側蓋材と前記搬送物群の側面との間隙に挿入される、4つの補助部材と、
を備え
前記上側蓋材と前記下側蓋材との内法寸法が異なり、前記上側蓋材及び前記下側蓋材のうち内法寸法が大きい一方が、内法寸法が小さい他方の外周側に嵌って一体的な箱体になるように構成され、
当該梱包体は、前記上側蓋材及び前記下側蓋材のうち内法寸法が大きい方と前記搬送物群との隙間に挿入される隙間調整部材を備え、
前記補助部材と前記隙間調整部材とが、前記上側蓋材及び前記下側蓋材のうち内法寸法が小さい方の内部に収容可能なサイズで形成される、
梱包体。
【請求項2】
前記下側蓋材と前記補助部材とを連結する第1連結部と、
前記上側蓋材と前記補助部材とを連結する第2連結部と、
を備える、
請求項1に記載の梱包体。
【請求項3】
前記第1連結部は、前記補助部材の外側面及び前記下側蓋材の側板部の内側面の一方に設けられる第1凸部と、他方に設けられる第1凹部とを有し、前記補助部材が前記下側蓋材と前記搬送物群の側面との間隙に挿入された際に前記第1凸部が前記第1凹部に篏合されることにより前記下側蓋材と前記補助部材とを連結し、
前記第2連結部は、前記補助部材の外側面及び前記上側蓋材の側板部の内側面の一方に設けられる第2凸部と、他方に設けられる第2凹部とを有し、前記補助部材が前記上側蓋材と前記搬送物群の側面との間隙に挿入された際に前記第2凸部が前記第2凹部に篏合されることにより前記上側蓋材と前記補助部材とを連結する、
請求項2に記載の梱包体。
【請求項4】
前記下側蓋材、前記上側蓋材、及び前記補助部材は、段ボールシートで形成される、
請求項1~3のいずれか1項に記載の梱包体。
【請求項5】
複数の搬送物が六面体状に積層される搬送物群の4つの側面の下端部と下面とを、パレットに載置される下側蓋材に収容するステップと、
上下方向に延在する4つの補助部材を、前記搬送物群の4つの側面により形成される4つの角部をそれぞれが覆うように配置して、前記補助部材の下端部分を、前記収容するステップにて前記下側蓋材に収容された前記搬送物群の側面と前記下側蓋材との間隙に挿入するステップと、
前記搬送物群の4つの側面の上端部と上面と、前記挿入するステップにて前記搬送物群の前記4つの角部に配置された前記4つの補助部材と、を覆うように上側蓋材を設置するステップと、
を含み、
前記上側蓋材と前記下側蓋材との内法寸法が異なり、前記上側蓋材及び前記下側蓋材のうち内法寸法が大きい一方が、内法寸法が小さい他方の外周側に嵌って一体的な箱体になるように構成され、
前記上側蓋材及び前記下側蓋材のうち内法寸法が大きい方と前記搬送物群との隙間に隙間調整部材が挿入され、
前記補助部材と前記隙間調整部材とが、前記上側蓋材及び前記下側蓋材のうち内法寸法が小さい方の内部に収容可能なサイズで形成される、
梱包方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、梱包体及び梱包方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パレットに製品を積載してトラックで運送する場合、運送途中でパレット上に積載されている製品が前後もしくは左右方向にずれてしまう荷崩れを起こす場合がある。荷崩れが生じると、搬送先の倉庫内にパレット毎に積んだ場合にも製品が斜めに積まれた状態となって不安定となり、長期間の在庫に耐えられない場合がある。従来、このような荷崩れ発生を防止するために、パレットに積載された製品群をシュリンクフィルムで包装する手法が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-104639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、現在世界的な温暖化対策として化石燃料の使用を制限しようとする動きがみられ、石油系プラスチックの使用量削減の取り組みが進んでいる。このため、石油系プラスチックを原料とするシュリンクフィルムの使用を減らすことが望ましい。
【0005】
本開示は、シュリンクフィルムを使用せずに搬送物の荷崩れを防止できる梱包体及び梱包方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態の一観点に係る梱包体は、複数の搬送物が六面体状に積層される搬送物群の4つの側面の下端部と下面とを収容し、パレットに載置される下側蓋材と、前記搬送物群の4つの側面の上端部と上面とを覆う上側蓋材と、前記搬送物群の4つの側面により形成される4つの角部をそれぞれが覆うように上下方向に延在し、下端部分が前記下側蓋材と前記搬送物群の側面との間隙に挿入され、上端部分が前記上側蓋材と前記搬送物群の側面との間隙に挿入される、4つの補助部材と、を備え、前記上側蓋材と前記下側蓋材との内法寸法が異なり、前記上側蓋材及び前記下側蓋材のうち内法寸法が大きい一方が、内法寸法が小さい他方の外周側に嵌って一体的な箱体になるように構成され、当該梱包体は、前記上側蓋材及び前記下側蓋材のうち内法寸法が大きい方と前記搬送物群との隙間に挿入される隙間調整部材を備え、前記補助部材と前記隙間調整部材とが、前記上側蓋材及び前記下側蓋材のうち内法寸法が小さい方の内部に収容可能なサイズで形成される
【0007】
同様に、本発明の実施形態の一観点に係る梱包方法は、複数の搬送物が六面体状に積層される搬送物群の4つの側面の下端部と下面とを、パレットに載置される下側蓋材に収容するステップと、上下方向に延在する4つの補助部材を、前記搬送物群の4つの側面により形成される4つの角部をそれぞれが覆うように配置して、前記補助部材の下端部分を、前記収容するステップにて前記下側蓋材に収容された前記搬送物群の側面と前記下側蓋材との間隙に挿入するステップと、前記搬送物群の4つの側面の上端部と上面と、前記挿入するステップにて前記搬送物群の前記4つの角部に配置された前記4つの補助部材と、を覆うように上側蓋材を設置するステップと、を含み、前記上側蓋材と前記下側蓋材との内法寸法が異なり、前記上側蓋材及び前記下側蓋材のうち内法寸法が大きい一方が、内法寸法が小さい他方の外周側に嵌って一体的な箱体になるように構成され、前記上側蓋材及び前記下側蓋材のうち内法寸法が大きい方と前記搬送物群との隙間に隙間調整部材が挿入され、前記補助部材と前記隙間調整部材とが、前記上側蓋材及び前記下側蓋材のうち内法寸法が小さい方の内部に収容可能なサイズで形成される


【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、シュリンクフィルムを使用せずに搬送物の荷崩れを防止できる梱包体及び梱包方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る梱包体の概略構成を示す斜視図
図2図1に示す梱包体の分解斜視図
図3】梱包体の製造手順の第一段階を示す図
図4】第1連結部の突起と孔との篏合動作を説明する模式図
図5】梱包体の製造手順の第二段階を示す図
図6】変形例に係る梱包体の分解時の各要素の搬送形態の一例を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0011】
なお、以下の説明において、x方向、y方向、z方向は互いに垂直な方向である。x方向及びy方向は水平方向であり、z方向は鉛直方向である。x方向は、梱包体1の4つの側面のうち一方の一対の側面の対向方向であり、y方向は他方の一対の側面の対向方向である。また、以下では説明の便宜上、z正方向側を上側、z負方向側を下側とも表現する場合がある。
【0012】
図1は、実施形態に係る梱包体1の概略構成を示す斜視図である。図2は、図1に示す梱包体1の分解斜視図である。図1に示す梱包体1は、パレット10上に積層される搬送物群2を一体的に纏めて一度に搬送可能な構成とした物体である。
【0013】
搬送物群2は、複数の搬送物21が六面体状に積層される(図3参照)。個々の搬送物21は、同一形状であるのが好ましく、直方体または立方体の箱であるのがさらに好ましい。本実施形態の例では、4個の略直方体形状の搬送物21が配置される層が三層積層され、合計12個の搬送物によって全体として略六面体状の搬送物群2が形成されている。以降の説明では、搬送物群2の六面のうち、搬送時に上方(z正方向)を向く面を上面2aとし、下方(z負方向)を向く面を下面2bとし、その他の四面を側面2c、2d、2e、2fとする。
【0014】
搬送物21は、例えば、トイレットロール、キッチンロール、ペーパータオル、カートンティシュー、フィルムパックティシュー等の製品を複数個集めてフィルム材等で包装した集合体や、この製品や集合体を段ボール箱に収容したもの、段ボールシートやクラフト紙等で包装したもの、等を含む。
【0015】
なお、梱包体1や搬送物群2の形状は六面体状であればよく、三辺が略同一である立方体形状に限られず、例えば直方体形状でもよい。また、搬送物群2の各搬送物21は、全体として六面体形状となればよく、個々の形状や大きさは異なる構成でもよい。
【0016】
図1図2に示すように、梱包体1は、下側蓋材3と、上側蓋材4と、4つの補助部材5とを備える。
【0017】
下側蓋材3は、搬送物群2の4つの側面2c~2fの下端部と下面2bとを収容し、パレット10に載置される有底の容器である。下側蓋材3の形状は、パレット10に載置される矩形状の底板3aと、この底板3aの各辺から上方に立設する4つの側板3bとが接続されて形成されている。
【0018】
上側蓋材4は、搬送物群2の4つの側面2c~2fの上端部と上面2aとを覆う。上側蓋材4の形状は、下側蓋材3と同様であり、側板4bと天板(底板)4aとの位置関係がz方向に沿って反対向きとなっている。
【0019】
補助部材5は、搬送物群2の4つの側面2c~2fにより形成される4つの角部をそれぞれが覆うように上下方向に延在する柱状部材である。図2に示すように、補助部材5は、上下方向を長手方向とする2つの板状部材が、それぞれの短手方向がx方向、y方向となるよう略直角に接続された形状をとり、z方向から視た断面が略L字状となるよう形成される。
【0020】
補助部材5は、図1に示す梱包体1の組立時には、下端部分が下側蓋材3と搬送物群2の側面2c~2fとの間隙A(図4参照)に挿入され、上端部分が上側蓋材4と搬送物群2の側面2c~2fとの間隙に挿入されて、下側蓋材3と上側蓋材4と連結されている。
【0021】
下側蓋材3、上側蓋材4、及び補助部材5は、段ボールシートで形成されるのが好ましい。段ボールシートとは、段ボール製品の素材であり、ライナーにフルーテッド(波型)に加工した中芯を貼り付け、さらに裏側にライナーで補強したシート状(板状)のものをいう。段ボールシートとしては、中芯に両側を貼り合わせたもっとも一般的な両面段ボール、より強度を高めた2層の複両面段ボールや、3層の複々両面段ボールなどが、梱包体1の重量等や用途に応じて使用できる。
【0022】
下側蓋材3の側板3bと上側蓋材4の側板4bにより形成される矩形状の領域の大きさは、搬送物群2が内部に配置されたときの間隙Aが補助部材5の厚さと同程度であり、補助部材5が挿入可能となるように、搬送物群2の形状や補助部材5の厚さとの関係により決定することができる。
【0023】
補助部材5の短手方向の寸法は、搬送物群2の角部を覆うことができる程度の長さであればよく、少なくとも搬送物群2の側面2c~2fの水平方向の長さの半分より小さく、より短いのが好ましい。短手方向の寸法を短くするほど補助部材5の面積を小さくでき、材料のコストを抑えることができる。さらに、補助部材5の短手方向の寸法は、梱包体1をパレット二段積みとしても、トラックでの搬送中や倉庫内での保管中などに搬送物群2が崩れない程度の天地方向の強度を補助部材5が持つことができる程度の寸法であるのが望ましい。
【0024】
また、梱包体1は、下側蓋材3と補助部材5とを連結する第1連結部6と、上側蓋材4と補助部材5とを連結する第2連結部7と、を備える。
【0025】
図2に示すように、第1連結部6は、補助部材5の外側面の下端に設けられる突起6a(第1凸部)と、下側蓋材3の側板部3bの内側面に設けられる孔6b(第1凹部)とで構成される。第1連結部6は、補助部材5が下側蓋材3と搬送物群2の側面2c~2fとの間隙に挿入された際に、突起6aが孔6bに篏合されることにより、下側蓋材3と補助部材5とを連結する。
【0026】
突起6aは、例えば、1つの補助部材5の直交する2方向に向く2つの外側面にそれぞれ1つずつ設けられる。突起6aのz方向の位置は、補助部材5が下側蓋材3に挿入されたときに下側蓋材3の側板3bと重なる部分に配置される。また、孔6bは、補助部材5が下側蓋材3に挿入されたときに突起6aと対向する側板3bの角部近傍の位置に配置される。つまり本実施形態のように4つの補助部材5のそれぞれに2つの突起6aを設ける場合、孔6bは合計8つ設けられる。
【0027】
第2連結部7は、補助部材5の外側面の上端に設けられる突起7a(第2凸部)と、上側蓋材4の側板部4bの内側面に設けられる孔7b(第2凹部)とで構成される。第2連結部7は、補助部材5が上側蓋材4と搬送物群2の側面2c~2fとの間隙に挿入された際に、突起7aが孔7bに篏合されることにより、上側蓋材4と補助部材5とを連結する。
【0028】
突起7aは、例えば、1つの補助部材5の直交する2方向に向く2つの外側面にそれぞれ1つずつ設けられる。突起7aのz方向の位置は、補助部材5が上側蓋材4に挿入されたときに上側蓋材4の側板4bと重なる部分に配置される。また、孔7bは、補助部材5が上側蓋材4に挿入されたときに突起7aと対向する側板4bの角部近傍の位置に配置される。つまり本実施形態のように4つの補助部材5のそれぞれに2つの突起7aを設ける場合、孔7bは合計8つ設けられる。
【0029】
なお、孔6b、7bは、それぞれ突起6a、7aを篏合可能であればよく、側板3b、4bを貫通しない凹形状でもよい。また、図1図2の構成とは反対に、突起6a、7aが下側蓋材3、上側蓋材4に設けられ、孔6b、7bが補助部材5に設けられる構成でもよい。
【0030】
次に図3図5を参照して梱包体1の製造手順を説明する。図3は、梱包体1の製造手順の第一段階を示す図である。図3に示すように製造手順の第一段階では、まず下側蓋材3がパレット10上に載置される。そして、複数の搬送物21が六面体状に積層される搬送物群2が、搬送物群2の4つの側面2c~2fの下端部と下面2bとが下側蓋材3に収容されるように配置される。
【0031】
次に、上下方向に延在する4つの補助部材5が、搬送物群2の4つの側面2c~2fにより形成される4つの角部をそれぞれが覆うように配置される。そして、補助部材5の下端部分が、下側蓋材3に収容された搬送物群2の側面2c~2fと下側蓋材3との間隙に挿入される。このとき、各補助部材5に設けられる第1連結部6の複数の突起6aが、下側蓋材3の側板3bの対向する位置に設けられる孔6bにそれぞれ篏合され、これにより補助部材5が下側蓋材3に連結される。
【0032】
図4は、第1連結部6の突起6aと孔6bとの篏合動作を説明する模式図である。図4では、説明の便宜上、下蓋部材3の側板3b、補助部材5、突起6a、搬送物群2をすべて断面で表している。また、これらの部材の材料は上述のように段ボールシートが好ましいが、図示の都合上すべて金属ハッチングで示している。図4では、篏合動作の過程を(a)、(b)、(c)の三段階で示している。
【0033】
図4(a)に示すように、補助部材5が下側蓋材3と搬送物群2の側面2c~2fとの間隙Aに挿入されると、突起6aは間隙Aよりも外側に突出しているため、まず突起6aの下端面6a1が、下側蓋材3の側板3bの上端と接触する。この状態から補助部材5がさらに上方から外力を受けてさらに間隙Aに挿入されると、突起6aの下端面6a1が側板3bを下方に押圧する。これにより突起6aは、下端面6a1を介して側板3bから反力を受けて、図4(b)に示すように、この反力によって補助部材5に一時的にめりこむ。この結果、突起6aの突出量が低減して、突起6aの部分も間隙Aに挿入される。
【0034】
そして図4(c)に示すように、補助部材5の間隙Aへの挿入がさらに進み、突起6aが側壁3bの孔6bと対向する位置に到達すると、突起6aが弾性回復して再び側板3b側に突出する。これにより突起6aが孔6bに篏合された状態となり、補助部材5と下側蓋材3とが連結されて、補助部材5が間隙Aから上方に抜け出すことが抑制される。
【0035】
図4(b)のように突起6aが補助部材5にめりこむように変形し、間隙Aに挿入可能な状態に遷移しやすくするために、突起6aの下端面6a1、すなわち挿入方向側の端面は、例えば図4に例示するように補助部材5側が挿入方向に進出するよう形成される傾斜面であるのが好ましい。同様の機能を発揮するような突起6aの他の形状としては、例えば四角錐形状(ピラミッド状)が挙げられる。
【0036】
なお、第2連結部7の突起7aと孔7bとの篏合の過程も、図4に示した第1連結部6の場合と挿入方向や各要素の配置が上下反転する点以外は同様である。
【0037】
図5は、梱包体1の製造手順の第二段階を示す図である。図5に示すように製造手順の第二段階では、搬送物群2の4つの側面2c~2fの上端部と上面2aと、第一段階にて搬送物群2の4つの角部に配置された4つの補助部材5とを覆うように上側蓋材4が上方から設置される。このとき、各補助部材5に設けられる第2連結部7の複数の突起7aが、上側蓋材4の側板4bの対向する位置に設けられる孔7bにそれぞれ篏合され、これにより補助部材5が上側蓋材4に連結される。この結果、図1に示した梱包体1が形成される。
【0038】
図1などに例示する梱包体1の寸法は、例えば底面が0.9m四方であり、高さが1.2mである。搬送物群2の各搬送物21の重量は例えば11.62kgであり、この場合梱包体1の総重量は約140kgである。この場合、梱包体1は大型トラックに36個(約5トン)を積み込める。
【0039】
このように本実施形態に係る梱包体1は、搬送物群2の側面2c~2fの4つの角部をそれぞれ補助部材5で覆い、搬送物群2の側面2c~2fの下端部と下面2bを下側蓋材3で覆い、かつ、搬送物群2の側面2c~2fの上端部と上面2aを上側蓋材4で覆う。これにより、搬送物群2がトラック等に積載されて搬送されている最中に、例えば振動や加減速やカーブ走行時の遠心力等の影響によって水平方向に外力を受けても、梱包体1の各部材が搬送物群2の各搬送物21の水平方向の移動を規制できるので、搬送物21の荷崩れを防止できる。また、従来のように荷崩れ防止のためにシュリンクフィルムを使用する必要がなくなるため、シュリンクフィルムの原料である石油系プラスチックの使用量削減を実現でき、エコロジーの観点でも優れたものにできる。
【0040】
また、本実施形態の梱包体1は、下側蓋材3と補助部材5とを連結する第1連結部6と、上側蓋材4と補助部材5とを連結する第2連結部7と、を備えるのが好ましい。これにより、下側蓋材3、補助部材5、上側蓋材4の相互の連結をより強固にでき、搬送物21の荷崩れをより確実に防止できる。
【0041】
また、本実施形態の梱包体1において、下側蓋材3、上側蓋材4、及び補助部材5は、段ボールシートで形成されるのが好ましい。これにより、搬送後の梱包体1の分解を容易にでき、梱包体1の再利用を容易に実現できる。また、梱包体1の各部材の再資源化も可能となる。
【0042】
梱包体1の分解手順としては、例えば、梱包体1が組み立てられた状態から、まず第2連結部7の突起7aを外側から押圧して内側へ押し込み、突起7aを補助部材5にめりこませることによって、突起7aを篏合されていた孔7bから取り外す。この手順を4つの補助部材5のすべてで行って、上側蓋材4と補助部材5との連結を解除し、上側蓋材4を上方に移動させて取り外す。次に、第1連結部6の突起6aを、第2連結部7と同様に、篏合されていた孔6bから取り外し、下側蓋材3と補助部材5との連結を解除し、補助部材5を上方に移動させて下側蓋材3から引き抜く。このような分解手順によって、下側蓋材3、上側蓋材4、及び補助部材5のいずれも破損させずに梱包体1を分解できる。破損せずに分解できた下側蓋材3、上側蓋材4、及び補助部材5は、補修等の手間をかけずに容易に再利用できる。
【0043】
図6は、変形例に係る梱包体の分解時の各要素の搬送形態の一例を示す模式図である。上記実施形態の梱包体1について、上側蓋材4と下側蓋材3との内法寸法を変えて(例えば、上側蓋材4の内法を下側蓋材3の内法よりも小さくする)構成としてもよい。この構成により、下側蓋材3、上側蓋材4、及び補助部材5を分解した状態において、例えば図6に示すように、上側蓋材4を箱容器に下側蓋材5を蓋に見立て、箱容器の中に4つの補助部材5を入れたセットとすれば、梱包体1の分解時の各要素をコンパクトかつ一体的に纏めることができる。そして、図6に示すように各要素をコンパクトに纏めた状態を搬送態様とすることができる。これにより梱包体1の各要素の搬送が容易となるので、梱包体1の販売、配送、回収などを行う際の利便性を向上できる。
【0044】
また、このような上側蓋材4と下側蓋材3との内法寸法を変えた構成では、上側蓋材4と搬送物群2との外形関係が適正な関係とすると、下側蓋材3と搬送物群2との寸法関係はぶかぶかになると考えられる。そこでこの場合、組み立て時には、搬送物群2と下側蓋材3との間に隙間調整用の段ボール板材をかませる構成とすればよい。これにより、梱包体1の解体時は、まず、この隙間調整用の板材を抜き取れば、下側蓋材3と補助部材5とがゆるゆるの状態になるので、解体が容易になる。なお、下側蓋材3、上側蓋材4、及び補助部材5を一体的に纏めたセットの中にこの隙間調整用の板材を入れておけばよい。
【0045】
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【0046】
上記実施形態では、補助部材5と下側蓋材3及び上側蓋材4とを連結する第1連結部6及び第2連結部7の構成として突起6a、7aと孔6b、7bとの組み合わせを例示したが、補助部材5と下側蓋材3及び上側蓋材4とを連結できれば他の構成でもよい。例えば、補助部材5の下端及び上端に突起を設け、下側蓋材3の底板3aと上側蓋材4の天板4aに孔部を設け、これらの突起と孔部とを篏合させる構成でもよい。また、接着剤等を用いて補助部材5と下側蓋材3及び上側蓋材4とを接着する構成でもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 梱包体
2 搬送物群
21 搬送物
3 下側蓋材
4 上側蓋材
5 補助部材
6 第1連結部
6a 突起(第1凸部)
6b 孔(第1凹部)
7 第2連結部
7a 突起(第2凸部)
7b 孔(第2凹部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6