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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】自動かんな盤
(51)【国際特許分類】
   B27C 1/14 20060101AFI20240319BHJP
   B27C 1/04 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
B27C1/14 Z
B27C1/04
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020120978
(22)【出願日】2020-07-14
(65)【公開番号】P2021014124
(43)【公開日】2021-02-12
【審査請求日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】201910633904.0
(32)【優先日】2019-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003052
【氏名又は名称】弁理士法人勇智国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】趙 作秀
(72)【発明者】
【氏名】ホウ シセン
(72)【発明者】
【氏名】王 彭生
(72)【発明者】
【氏名】温 雄斐
【審査官】落合 弘之
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-198104(JP,A)
【文献】特開2015-127114(JP,A)
【文献】特開2019-089261(JP,A)
【文献】国際公開第2017/150030(WO,A1)
【文献】特開2014-079873(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B27C 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータの駆動力によって被切削部材を切削可能な自動かんな盤であって、
ハウジングと、
ハウジングに収容されたモータと、
前記モータの駆動制御を行う制御基板を有するコントローラと、
前記ハウジングに設けられた吸気口と、
前記ハウジングに設けられた排気口と、
前記ハウジングの内部に設けられ、前記吸気口から取り込まれたエアが前記モータを経由して前記排気口に向けて流通可能に構成されたエア流路と、
前記吸気口から前記エア流路を経由して前記排気口に向かうエアの流れを発生させるためのファンと、
を備え、
前記エア流路は、前記エアの流通する方向を基準にして前記モータよりも下流側において、前記エア流路を複数の分岐流路に分岐する分岐部を有し、
前記エア流路のうち、前記分岐部よりも上流側の前記エア流路をメインエア流路と定義し、前記分岐部よりも下流側の複数のエア流路のそれぞれを分岐エア流路と定義した場合に、
第1の分岐エア流路は、前記排気口に連通するように構成され、
第2の分岐エア流路は、前記メインエア流路の前記分岐部よりも上流側に接続され、前記エア流路を流通するエアの一部を循環させるように構成され、
前記コントローラの一部は、前記第2の分岐エア流路上に配置されている
自動かんな盤。
【請求項2】
請求項1に記載の自動かんな盤であって、
前記排気口は、前記被切削部材が切削されたときに発生する切削屑に向けてエアを噴出する噴出口を兼用するように構成されている
自動かんな盤。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の自動かんな盤であって、
前記モータは、ステータとロータとを有し、
前記エア流路は、前記ステータと前記ロータとの間隙を含むように構成されている
自動かんな盤。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の自動かんな盤であって、
前記モータは、ステータとロータとを有し、
前記第2の分岐エア流路は、前記メインエア流路における前記ステータの下流側端部よりも上流側に接続されている
自動かんな盤。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の自動かんな盤であって、
前記制御基板は、前記モータへ流れる電流をスイッチングするトランジスタを有し、
前記コントローラの一部は、前記トランジスタが設けられている領域を含む
自動かんな盤。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一つに記載の自動かんな盤であって、さらに、
前記モータへ電力を供給するバッテリパックを取り付けるためのバッテリパック取付ユニットを備え、
前記制御基板は、前記バッテリパックから供給された電力を前記モータの駆動に適した電力に変換し、前記変換した電力を前記モータに供給するように構成されている
自動かんな盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動かんな盤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許第4165917号公報には、コントローラにより制御されるモータを備える自動かんな盤が記載されている。この自動かんな盤においては、モータを冷却するために、冷却風吸入口から取り込まれた冷却風を流通させるための風路が本体の内部に形成されている。風路を形成するための部材に熱伝導性部材が用いられ、当該熱伝導性部材の風路側の反対側に、コントローラが備える半導体素子の発熱部が密着固定されることによって、半導体素子が冷却される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4165917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された自動かんな盤においては、半導体素子を備えるコントローラに対してある程度の冷却効果を得ることができるが、長時間に亘って連続使用される自動かんな盤においては、コントローラの冷却効率のさらなる向上が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、自動かんな盤において、コントローラの冷却効率のさらなる向上に資する技術を提供することを目的とするものである。
【0006】
本発明の一態様によれば、モータの駆動力によって被切削部材を切削可能な自動かんな盤が提供される。この自動かんな盤は、ハウジングと、ハウジングに収容されたモータと、モータの駆動制御を行う制御基板を有するコントローラと、ハウジングに設けられた吸気口と、ハウジングに設けられた排気口と、エア流路と、ファンとを備える。エア流路は、ハウジングの内部に設けられ、吸気口から取り込まれたエアがモータを経由して排気口に向けて流通可能に構成されている。ファンは、吸気口からエア流路を経由して排気口に向かうエアの流れを発生させるように構成されている。そして、本態様の自動カンナ盤では、コントローラの特定領域は、エア流路上に配置されている。本態様によれば、吸気口から取り込まれたエアによって、モータと、コントローラの特定領域とを直接的に冷却することができるので、コントローラの冷却効率をさらに向上させることができる。
【0007】
なお、本態様において、コントローラの特定領域は、典型的には、コントローラのうちの発熱を伴う領域であって、冷却要請のある領域を指す。例えば、コントローラのうち、モータのPWM制御のためのスイッチング素子としてのトランジスタが設けられている領域は、発熱量が多く、冷却要請の高い領域である。従って、本発明の一態様において、特定領域は、コントローラのうちトランジスタが設けられている領域であってもよい。ただし、特定領域は、PWM制御のためのトランジスタが設けられている領域等の冷却要請の高い領域に限定されず、冷却要請のある領域であれば、他の領域であってもよい。例えば、PWM制御のためのトランジスタが設けられている領域以外の領域であって、トランジスタ以外の半導体素子やその他の電気回路用部材が設けられている領域は、トランジスタが設けられている領域ほどではないがモータの駆動時に発熱を伴うため、冷却要請のある領域である。従って、本発明の一態様において、特定領域は、PWM制御のためのトランジスタ以外の半導体素子やその他の電気回路用部材が設けられている領域であってもよい。また、本発明の一態様において、特定領域は、コントローラの一部の領域に限定されず、コントローラの全領域であってもよい。例えば、PWM制御のためのトランジスタがコントローラの全領域に分散して配置されている構成においては、コントローラの全領域が冷却要請のある領域となる。この構成においては、特定領域は、コントローラの全領域となる。また、本発明の一態様において、特定領域は、コントローラのうちで最も温度が高くなる最高温度領域に限定されず、当該最高温度領域に準じて温度が高くなる領域であってもよい。
【0008】
本発明の一態様において、排気口は、被切削部材が切削されたときに発生する切削屑に向けてエアを噴出する噴出口を兼用するように構成されていてもよい。本態様によれば、切削屑に向けてエアを噴出する噴出口を排気口とは別に設ける必要がないので、構造の簡易化を実現することができる。
【0009】
本発明の一態様において、モータは、ステータとロータとを有していてもよい。そして、エア流路は、ステータとロータとの間隙を含むように構成されていてもよい。本態様によれば、ステータとロータとの間隙をエアが流通するので、モータを効率的に冷却することができる。
【0010】
本発明の一態様において、エア流路は、エアの流通する方向を基準にしてモータよりも下流側において、エア流路を複数の分岐流路に分岐する分岐部を有していてもよい。エア流路のうち、分岐部よりも上流側のエア流路をメインエア流路と定義し、分岐部よりも下流側の複数のエア流路のそれぞれを分岐エア流路と定義した場合に、第1の分岐エア流路は、排気口に連通するように構成されていてもよい。第2の分岐エア流路は、メインエア流路の分岐部よりも上流側に接続され、エア流路を流通するエアの一部を循環させるように構成されていてもよい。特定領域は、第2の分岐エア流路上に配置されていてもよい。本態様によれば、循環するエアによって特定領域が冷却されるので、エアが循環しない構成と比較して、吸気口から取り込まれた単位体積当たりのエアが特定領域に接触している時間を増加させることができ、吸気口から取り込まれたエアによって効率的かつ重点的に特定領域を冷却することができる。
【0011】
本発明の一態様において、第2の分岐エア流路は、メインエア流路におけるステータの下流側端部よりも上流側に接続されていてもよい。本態様によれば、ステータは、吸気口から取り込まれてメインエア流路を流通するエアによって冷却されるだけでなく、第2の分岐エア流路からメインエア流路へ循環するエアによっても冷却される。従って、モータを効率的に冷却することができる。
【0012】
本発明の一態様において、制御基板は、モータへ流れる電流をスイッチングするトランジスタを有していてもよい。そして、特定領域は、トランジスタが設けられている領域を含んでもよい。本態様によれば、発熱して高温になりやすいトランジスタをエアによって効率的かつ重点的に冷却することができる。
【0013】
本発明の一態様において、エア流路は、エアの流通する方向を基準にしてモータよりも下流側において、エア流路を複数の分岐流路に分岐する分岐部を有していてもよい。そして、エア流路のうち、分岐部よりも上流側のエア流路をメインエア流路と定義し、分岐部よりも下流側の複数のエア流路のそれぞれを分岐エア流路と定義した場合に、第1の分岐エア流路は、排気口としての第1の排気口に連通するように構成されていてもよい。第1の排気口は、被切削部材が切削されたときに発生する切削屑に向けてエアを噴出する噴出口を兼用するように構成されていてもよい。第2の分岐エア流路は、排気口としての第2の排気口に連通するように構成されていてもよい。特定領域は、第2の分岐エア流路上に配置されていてもよい。本態様によれば、吸気口からメインエア流路に取り込まれたエアが第1の分岐エア流路と第2の分岐エア流路とに流通し、第1の排気口と第2の排気口とから排気されるので、排気口を一つ備える構成と比較して、エアの排気に伴うファンの負荷を軽減しつつ、モータと、コントローラの特定領域とを直接的に冷却することができる。また、切削屑に向けてエアを噴出する噴出口を排出口とは別に設ける必要がないので、構造の簡易化を実現することができる。
【0014】
本発明の一態様において、自動かんな盤は、さらに、吸気口としての第1の吸気口と、吸気口としての第2の吸気口とを備えていてもよい。そして、エア流路は、第1の吸気口から取り込まれたエアが流通可能に構成された第1のエア流路と、第2の吸気口から取り込まれたエアが流通可能に構成された第2のエア流路と、第1のエア流路と第2のエア流路とが合流し、第1の吸気口から取り込まれたエアと第2の吸気口から取り込まれたエアとが排気口に向けて流通可能に構成された合流エア流路とを有していてもよい。そして、第1のエア流路は、ステータとロータとの間隙を含むように構成されていてもよい。そして、特定領域は、第2のエア流路上に配置されていてもよい。本態様によれば、第1の吸気口と第2の吸気口とからエアが取り込まれるので、吸気口を一つ備える構成と比較して、エアの吸気に伴うファンの負荷を軽減することができる。また、モータと特定領域とが、各々、別々の吸気口から取り込まれたエアによって冷却されるので、モータと特定領域とを、各々、効率的に冷却することができる。また、ステータとロータとの間隙にエアが流通するので、モータを効率的に冷却することができる。
【0015】
本発明の一態様において、自動かんな盤は、さらに、モータへ電力を供給するバッテリパックを取り付けるためのバッテリパック取付ユニットを備えていてもよい。そして、制御基板は、バッテリパックから供給された電力をモータの駆動に適した電力に変換し、変換した電力をモータに供給するように構成されていてもよい。本態様によれば、制御基板は、バッテリパックから供給された電力をモータの駆動に適した電力に変換するので高温になりやすく冷却要請のある部分である。本態様においては、制御基板を有するコントローラの特定領域が、エア流路上に配置されているので、制御基板を適切に冷却することができる。その結果、温度上昇に起因する制御基板の電力変換能力の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】自動かんな盤の前側を示す斜視図である。
図2】自動かんな盤の移送領域を示す斜視図である。
図3】自動かんな盤の正面図である。
図4】自動かんな盤の後側を示す斜視図である。
図5】自動かんな盤の背面図である。
図6】左側方カバーが取り外された状態の自動かんな盤の左側面図である。
図7】右側方カバーが取り外された状態の自動かんな盤の右側面図である。
図8】バッテリパック取付ユニットの配置位置を示す図である。
図9】メインハウジングの内部構成を示す図である。
図10】自動かんな盤の駆動機構を示す説明図である。
図11】バッテリパック取付ユニットを示す図である。
図12】バッテリパックを示す図である。
図13】バッテリパックの背面を示した図である。
図14】収納時の自動かんな盤を示す分解図である。
図15】メインハウジングの断面を示す説明図である。
図16】チップカバー及び切削屑排出口の周辺を示す説明図である。
図17】第2実施形態に係るメインハウジングの断面を示す説明図である。
図18】第3実施形態に係るメインハウジングの断面を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1実施形態]
図1図5を参照して、本発明の一実施形態である自動かんな盤1の概略構成について説明する。
【0018】
自動かんな盤1は、テーブル43が有する載置面431に載置された被切削部材CMを切削領域CAに移送し、切削領域CAを通過する被切削部材CMの上方面を切削可能に構成されている。本実施形態においては、自動かんな盤1は、テーブル43に載置された被切削部材を図1に示した矢印の移送方向に移送する。
【0019】
以下の説明では、便宜上、移送方向を前後方向と定義し、自動かんな盤1における被切削部材CMが移送される先を後側、反対側を前側と定義する。すなわち、被切削部材CMは、自動かんな盤1の前側から後側に向けて移送される。また、テーブル43における被切削部材CMを載置するための載置面431に垂直な方向を上下方向と定義し、上下方向のうちテーブル43から切削部材に向かう方向を上方向と定義し、上方向の逆方向を下方向と定義する。さらに、前後方向および上下方向に垂直な方向を左右方向と定義する。左右方向のうち、移送方向に向かって左側を左方向と定義し、移送方向に向かって右側を右方向と定義する。
【0020】
図示するように、自動かんな盤1は、切削機能を有する本体ユニット10を備える。本体ユニット10の上方にはトップカバー41が配置され、下方には、ベース80が配置されている。ベース80の上部には、テーブル43が配置される。また、本体ユニット10の左側方には左側方カバー46が配置され、右側方には右側方カバー47が配置される。
【0021】
トップカバー41には、昇降ハンドル48が設けられている。昇降ハンドル48は、上下方向に延在する回動軸周りに回動可能に構成されている。本体ユニット10は、昇降ハンドル48が使用者によって回動されることによって、テーブル43に対して相対的に上下方向に昇降可能に構成されている。本体ユニット10が昇降することによって、本体ユニット10とテーブル43と左側方カバー46と右側方カバー47とによって囲われた切削領域CAの上下方向の長さは調整可能である。被切削部材CMの厚さ(上下方向の長さ)に応じて切削領域CAの上下方向の長さが調整されることによって、自動かんな盤1は種々の厚さの被切削部材CMを切削可能に構成されている。
【0022】
テーブル43の前側端部には、前側補助テーブル44が、左右方向に延在する回動軸周りに回動可能に支持されている。また、テーブル43の後側端部には、後側補助テーブル45が、左右方向に延在する回動軸周りに回動可能に支持されている。前側補助テーブル44は、被切削部材CMを載置可能な載置面441を有する。後側補助テーブル45は、被切削部材CMを載置可能な載置面451を有する。前側補助テーブル44および後側補助テーブル45が水平状態(開状態)のときには、載置面441と、載置面431と、載置面451とは、同一平面上に位置するように構成されている。前側補助テーブル44および後側補助テーブル45が回動軸周りに上方側へ回動した状態のときは、前側補助テーブル44および後側補助テーブル45は、テーブル43の前後端部上方に折り畳まれた状態(閉状態)となる。
【0023】
なお、上述したように、本体ユニット10とテーブル43と左側方カバー46と右側方カバー47とによって囲われた領域を切削領域CAと定義する。また、図2に示すように、移送される被切削部材CMが通過する領域を移送領域TAと定義する。さらに、図3に示すように、昇降ハンドル48を含むトップカバー41よりも上方側の領域をカバー上方領域CUAと定義する。メインハウジング100の上端よりも上方の領域をハウジング上方領域HUAと定義する。メインフレーム30の下端からメインハウジング100の上端までの領域を駆動機構配置領域DMAと定義する。テーブル43の載置面431よりも下方の領域をベース領域BSAと定義する。左側方カバー46よりも左方の領域を左側方領域LSAと定義する。右側方カバー47よりも右方の領域を右側方領域RSAと定義する。
【0024】
本実施形態においては、メインハウジング100よりも上方であって、トップカバー41よりも下方の領域に、バッテリパック取付ユニット50が取り付けられている。すなわち、バッテリパック取付ユニット50は、ハウジング上方領域HUAに取り付けられている。具体的には、トップカバー41の下面に、バッテリパック取付ユニット50が複数のネジ部によって締結されている。バッテリパック取付ユニット50は、2つのバッテリパック60が取り外し自在な状態で取り付け可能である。バッテリパック60は、バッテリパック取付ユニット50に対してスライドさせることによって着脱される。
【0025】
図4および図5に示すように、バッテリパック60は、自動かんな盤1の後方側から、バッテリパック取付ユニット50に対して前後方向にスライドされることによって着脱される。トップカバー41の後方側には、アーチ形状の逃がし形状420が形成されている。逃がし形状420は、使用者によるバッテリパック60の着脱作業を容易にする。
【0026】
バッテリパック取付ユニット50と本体ユニット10とは、電気コード52によって互いに電気的に接続されている。本実施形態における自動かんな盤1は、定格電圧が36ボルトである。バッテリパック取付ユニット50には、公称電圧が18ボルトである2つのバッテリパック60が、電気的に直列に接続されて取り付けられている。自動かんな盤1は、バッテリパック取付ユニット50に取り付けられた2つのバッテリパック60から供給される電力によって駆動する。バッテリパック取付ユニット50およびバッテリパック60の詳細については後述する。
【0027】
図3に示すように、本体ユニット10は、メインハウジング100と、メインフレーム30とを含む。メインハウジング100には、バッテリパック取付ユニット50に取り付けられた2つのバッテリパック60の各々のバッテリ残容量を表示する残容量表示部19が設けられている。残容量表示部19には、残容量ゲージ191と残容量ゲージ192とが配置されている。残容量ゲージ191は、バッテリパック取付ユニット50に取り付けられた2つのバッテリパック60のうちの一方のバッテリ残容量を表示する。残容量ゲージ192は、バッテリパック取付ユニット50に取り付けられた2つのバッテリパック60のうちの他方のバッテリ残容量を表示する。残容量ゲージ191には、3つのLEDランプが左右方向に一列に並んだ状態で配置されている。残容量ゲージ191に対応するバッテリパック60がフル充電の状態のときには、残容量ゲージ191の3つのLEDランプが点灯する。当該バッテリパック60の残容量が減少するにしたがって、3つのLEDランプが順次消灯する。残容量ゲージ192の構成は、残容量ゲージ191と同様の構成であるので、残容量ゲージ192の構成についての説明を省略する。
【0028】
また、メインハウジング100には、メインスイッチ71とレバースイッチ72とが設けられている。メインスイッチ71をON状態にすることで、バッテリパック取付ユニット50に取り付けられたバッテリパック60から後述するモータ15までの電気回路のうち、レバースイッチ72まで電力が供給される。メインスイッチ71をON状態に維持し、レバースイッチ72をON状態にすることで、モータ15に電力が供給され、モータ15は回転を開始し、自動かんな盤1は被切削部材CMを切削可能な駆動状態となる。
【0029】
メインスイッチ71は、押圧式のオルタネートスイッチである。OFF状態のメインスイッチ71は、一度押圧されると、OFF状態からON状態になり、ON状態を維持する。また、ON状態のメインスイッチ71は一度押圧されると、ON状態からOFF状態となり、OFF状態を維持する。
【0030】
レバースイッチ72は、左右方向に延在する回動軸周りを回動可能にメインハウジング100に支持されている。OFF状態のレバースイッチ72は回動軸周りに上方側に所定角度回動されるとON状態となり、ON状態を維持する。ON状態のレバースイッチ72は回動軸周りに下方側に回動されて初期の位置に戻されると、OFF状態となり、OFF状態を維持する。なお、図1図5に示した自動かんな盤1においては、レバースイッチ72はOFF状態である。本実施形態の自動かんな盤1においては、メインスイッチ71とレバースイッチ72とを隣接して配置することによって、使用者が操作しやすい構成としている。
【0031】
メインスイッチ71およびレバースイッチ72がON状態であり自動かんな盤1が駆動している状態で、切削領域CAに被切削部材CMが移送されると、自動かんな盤1は被切削部材CMを切削する。自動かんな盤1が被切削部材CMを切削することによって発生する切削屑は、本体ユニット10の後方側に設けられた切削屑排出口145から排出される。切削屑排出口145からはエアが噴出する。切削屑排出口145から噴出するエアは、切削屑排出口145から排出された切削屑を吹き飛ばし、切削屑排出口145の近傍に切削屑が蓄積することを抑制する。また、切削屑排出口145の上方には、板状形状のチップカバー350が、メインフレーム30にネジ部351とネジ部352によって締結されている。チップカバー350は、切削屑排出口145から排出される切削屑の飛散を抑制する。
【0032】
図6図10を参照して、自動かんな盤1の詳細な構成について説明する。
【0033】
図6図7および図8に示すように、ベース80の四つの角には、支柱411、支柱412、支柱413、支柱414が、載置面431に垂直に立設されている。支柱411、支柱412、支柱413、支柱414の各上端部は、各々、ネジ部415、ネジ部416、ネジ部417、ネジ部418によって、トップカバー41と締結されている。また、メインフレーム30の4つの角には、支柱411、支柱412、支柱413、支柱414に対して上下方向にスライド可能なスライド部341、スライド部342、スライド部343、スライド部344が設けられている。スライド部341、スライド部342、スライド部343、スライド部344は、各々貫通孔を有し、各貫通孔には支柱411、支柱412、支柱413、支柱414がスライド可能に挿入されている。
【0034】
ベース80の左端部および右端部には、昇降ネジ軸485、昇降ネジ軸486が、載置面431が備える軸受部材を介して回動可能に載置面431に垂直に立設されている。また、昇降ネジ軸485の下端部と、昇降ネジ軸486の下端部は、いずれも、ベース80の下方側に突出している。ベース80の下方側には空間(下方側領域)が形成されている。ベース80の下方側領域には、左右方向に延在する回動軸である昇降シャフト(図示省略)が配置されている。昇降ネジ軸485の下端部と、昇降ネジ軸486の下端部は、昇降シャフトによって接続されている。昇降シャフトは、昇降ネジ軸485の回動と、昇降ネジ軸486の回動とを同期させるために設けられている。昇降シャフトは、昇降ネジ軸485の上下方向に延在する回動軸周りの回動を、左右方向に延在する回動軸周りの回動に変換して、さらに、上下方向に延在する回動軸周りの回動に変換して、昇降ネジ軸486を回動させる。
【0035】
メインフレーム30の左端部および右端部には、昇降ネジ孔部345、昇降ネジ孔部346が設けられている。昇降ネジ孔部345および昇降ネジ孔部346は、上下方向に貫通する貫通口を有し、当該貫通口に昇降ネジ軸485および昇降ネジ軸486が回動可能に螺合している。図8に示すように、昇降ネジ軸485の上端部は、トップカバー41を貫通し、昇降ハンドル48と接続されている。使用者によって昇降ハンドル48が回動されると、昇降ネジ軸485が昇降ハンドル48と一体的に回動する。また、昇降ネジ軸485の回動と同期して昇降ネジ軸486が回動する。昇降ネジ軸485および昇降ネジ軸486の回動によって、昇降ネジ孔部345および昇降ネジ孔部346が、昇降ネジ軸485および昇降ネジ軸486から上方または下方の力を受けて、メインフレーム30が上方または下方にスライドする。メインフレーム30が上方または下方にスライドすることによって、本体ユニット10が上方または下方にスライドし、切削領域CAの上下方向の長さが変更される。このように、使用者によって昇降ハンドル48が回動されることで、切削領域CAの上下方向の長さが変更される。
【0036】
次に、本体ユニット10の詳細について説明する。
【0037】
図9に示すように、メインハウジング100は、第1ハウジング110と、第2ハウジング160と、第3ハウジング180とを有する。第1ハウジング110には、モータ15と、コントローラ112が収容されている。コントローラ112は、モータ15の駆動を制御する制御基板114を有する。制御基板114は、モータ15へ流れる電流をスイッチングするトランジスタ115を有する。本実施例においては、トランジスタ115として、FET(Field effect transistor)を採用する。制御基板114は、トランジスタ115を用いたPWM制御(Pulse Width Modulation)によってモータ15の駆動を制御する。
【0038】
モータ15は、コントローラ112の下方に配置されている。本実施形態では、モータ15として、ステータ151と、ロータ152と、ロータ152から延設されたモータシャフト153とを備えたブラシレスモータが採用される。左右方向に延在するモータシャフト153は、左右端部において、ベアリング154およびベアリング155によって回動可能に支持されている。なお、本実施形態においては、モータ15およびベアリング155が第1ハウジング110に組み込まれる際に、第1ハウジング110が有する右端壁部118の外側から第1ハウジング110の内側に向けてモータシャフト153が挿入される。モータシャフト153が第1ハウジング110に挿入された後、ベアリング155が、モータシャフト153を軸支するように、右端壁部118の外側から第1ハウジング110に取り付けられる。
【0039】
モータシャフト153におけるベアリング154とロータ152との間には、ファン156が設けられている。ファン156は、モータシャフト153を回動軸にしてモータシャフト153と一体的に回動する。メインハウジング100には、吸気口121と排気口125とが設けられている。また、メインハウジング100の内部には、吸気口121と排気口125とを連通するエア流路が形成されている。ファン156は、吸気口121からエア流路を経由して排気口125へと流通するエアの流れを発生させる。エア流路を流通するエアは、モータ15およびコントローラ112を冷却する。
【0040】
第2ハウジング160には、ギア161と、ギア162と、ギア163とが収容されている。この3つのギアは、モータシャフト153の回動軸と平行な回動軸周りに回動可能に構成されている。モータシャフト153の左端部は第2ハウジング160内に突出しており、この部分にギア161が噛合する。ギア161はギア162と噛合し、ギア162はギア163と噛合する。第3ハウジング180には、ドライブシャフト164が収容されており、ギア163には、ドライブシャフト164の右端部が一体的に連結されている。ドライブシャフト164は、モータシャフト153の回動軸と平行な回動軸周りに回動可能に構成されている。ドライブシャフト164は、ギア163と一体的に回動する。モータ15の回転動力は、ギア161、ギア162、およびギア163を介して適宜変速されて、ドライブシャフト164に伝達される。図10に示すように、ドライブシャフト164の左端部には、ドライブシャフト164と一体的に回動するギア166が連結されている。ギア166には、チェーン301が架け渡されている。メインフレーム30には、移送ローラ31および移送ローラ33が収容されている。チェーン301は、移送ローラ31が有するギア312に架け渡されるとともに、移送ローラ33が有するギア332に架け渡されている。ドライブシャフト164の回転動力は、ギア166、チェーン301、ギア312を介して移送ローラ31に伝達されるとともに、ギア166、チェーン301、ギア332を介して移送ローラ33に伝達される。
【0041】
図10に示すように、メインフレーム30には、被切削部材CMを切削するためのかんな胴21と、被切削部材CMを移送するための移送ローラ31および移送ローラ33が配置されている。移送ローラ31は、かんな胴21の前方に配置され、移送ローラ33は、かんな胴21の後方に配置される。移送ローラ31は、シャフト311と、ギア312と、ローラ部313とを有する。シャフト311は、左右方向に延在する回動軸周りを回動可能に構成されている。シャフト311の左端部には、ギア312がシャフト311と一体的に連結されている。シャフト311の回動軸周縁には、被切削部材CMを移送するときに当該被切削部材CMと当接するローラ部313が周設されている。移送ローラ33は、シャフト331と、ギア332と、ローラ部333とを有する。シャフト331は、左右方向に延在する回動軸周りを回動可能に構成されている。シャフト331の回動軸周縁には、被切削部材CMを移送するときに当該被切削部材CMと当接するローラ部333が周設されている。ローラ部313およびローラ部333は、移送ローラ31および移送ローラ33の回動力を、推進力として被切削部材CMに伝達するように構成されている。
【0042】
図10に示すように、モータシャフト153の右端部には、プーリ157が、モータシャフト153と一体的に回動可能に連結されている。プーリ157にはベルト201が架け渡されている。ベルト201は、かんな胴21が有するプーリ211に架け渡されている。モータ15の回転動力は、プーリ157、ベルト201、プーリ211を介して適宜変速されてかんな胴21に伝達される。
【0043】
かんな胴21は、左右方向に延在する回動軸周りに回動可能に構成されている。かんな胴21の周縁には、かんな刃213およびかんな刃214が、回動軸方向に平行に延設されている。かんな刃213およびかんな刃214は、かんな胴21の回動軸を中心として対称的な位置に、複数のネジ部215によって締結されている。かんな胴21の右端部には、プーリ211が、かんな胴21と一体的に回動可能に連結されている。上述したように、かんな胴21は、プーリ157、ベルト201、プーリ211を介して伝達されたモータ15の回転動力によって回動する。かんな胴21のかんな刃213およびかんな刃214は、移送ローラ31および移送ローラ33によって前方から後方に向けて移送される被切削部材CMを切削する。
【0044】
次に、図8図11図14を参照して、バッテリパック取付ユニット50およびバッテリパック60について説明する。
【0045】
バッテリパック60は、公称電圧が18ボルトのバッテリパックである。バッテリパック60は、自動かんな盤1の電源として使用可能である。さらに、バッテリパック60は、自動かんな盤1以外の他の電動工具の電源として使用可能である。自動かんな盤1以外の他の電動工具として、例えば、電動ドリル、電動ドライバ、電動レンチ、電動グラインダ、電動マルノコ、電動レシプロソー、電動ジグソー、電動ハンマ、電動カッター、電動チェーンソー、電動カンナ、電動釘打ち機、電動ヘッジトリマ、電動芝生バリカン、電動芝刈機、電動刈払機、電動ブロワー、電動クリーナなどの電動工具が挙げられる。
【0046】
バッテリパック60は、バッテリーパッケージや組電池と呼ばれる場合があり、所定のサイズに成形された外郭ハウジングと当該外郭ハウジング内に収容され、直列に接続された5個のリチウムイオン電池セルを有している。バッテリパック60は、再充電可能なバッテリパックであり、自動かんな盤1および他の電動工具の電源として使用された後に、充電器(図示省略)によって再充電することができる。バッテリパック60は、いわゆるスライド式のバッテリパックであり、自動かんな盤1が有するバッテリパック取付ユニット50や充電器に、取り外し自在な状態で取り付け可能である。
【0047】
図12に示すように、バッテリパック60には、左右一対のレール受け部61aが設けられている。以下の説明では、バッテリパック60において、レール受け部61aが配置されている側を、バッテリパック60の上方とし、バッテリパック60の上方と逆方向を、バッテリパック60の下方とする。左右のレール受け部61aの間には、正極出力端子61bおよび負極出力端子61cが配置されている。正極出力端子61bと負極出力端子61cとの間には、バッテリパック60が充電器によって充電される際に充電器との間で制御信号を送受信するためのコネクタ部61dが配置されている。また、バッテリパック60の上方部には、ロック部材61eが設けられている。また、バッテリパック60の筐体内部であってロック部材61eの下方には、バネ部材(図示省略)が配置されている。当該バネ部材は、ロック部材61eを上方に押し上げるように付勢している。バッテリパック60の背面には、アンロックボタン61fが配置されている。アンロックボタン61f(図13参照)が下方側に押下されると、ロック部材61eは下方側に移動する。
【0048】
図11に示すように、バッテリパック取付ユニット50には、取付部51が2つ配置されている。2つの取付部51は互いに同様の構成を備えている。2つの取付部51は電気的に直列に接続されている。従って、バッテリパック取付ユニット50は、公称電圧が18ボルトである2つのバッテリパック60を直列に接続することができる。上述のように、自動かんな盤1は、定格電圧が36ボルトである。バッテリパック60が2つ取り付けられたバッテリパック取付ユニット50から供給される電力で、自動かんな盤1は駆動することができる。取付部51には、左右一対のレール部51aが設けられている。左右のレール部51aの間には、正極入力端子51bと負極入力端子51cが配置されている。また、取付部51には、バッテリパック60のロック部材61eが係合するロック受入穴51eが設けられている。
【0049】
取付部51に対してバッテリパック60が取り付け方向にスライドされることで、レール受け部61aがレール部51aに係合して、バッテリパック60は取付部51に取り付けられる。なお、以下の説明では、バッテリパック取付ユニット50のレール部51aに沿った方向をスライド方向と定義する。バッテリパック60が取付部51に取り付けられると、取付部51が有する正極入力端子51bおよび負極入力端子51cが、バッテリパック60が有する正極出力端子61bおよび負極出力端子61cに電気的に接続される。また、バッテリパック60が取付部51に取り付けられると、ロック部材61eがロック受入穴51eに係合し、バッテリパック60がスライド方向に移動不能に固定されたロック状態となる。
【0050】
取付部51に取り付けられたバッテリパック60のアンロックボタン61fが使用者によって押下されると、ロック部材61eとロック受入穴51eとの係合が解除された状態(アンロック状態)となる。アンロック状態において、取付部51に対してバッテリパック60が取り外し方向にスライドされることによって、バッテリパック60は取付部51から取り外される。このように、バッテリパック60は、バッテリパック取付ユニット50が有する取付部51に、取り外し自在な状態で取り付け可能である。
【0051】
次に、図8および図14を参照して、本実施形態の自動かんな盤1においてバッテリパック取付ユニット50が取り付けられている位置について詳細に説明する。
【0052】
バッテリパック取付ユニット50は、バッテリパック取付ユニット50とバッテリパック60とが移送領域TA(図2参照)を回避した位置に存在するように、自動かんな盤1に配置されている。本実施形態においては、ハウジング上方領域HUA(図3参照)に、バッテリパック取付ユニット50とバッテリパック60とが配置されている。具体的には、バッテリパック取付ユニット50は、メインハウジング100よりも上方、かつ、トップカバー41よりも下方に配置されている。ここで、図14に示すように、本実施形態の自動かんな盤1においては、メインハウジング100の前後方向の長さHLは、メインフレーム30の前後方向の長さFLよりも短い。また、メインハウジング100は、メインフレーム30の上方領域の前方側に配置されている。したがって、メインフレーム30の上方領域の後方側にはスペースが存在する。そこで、本実施形態においては、バッテリパック取付ユニット50は、トップカバー41の下面であって、当該下面の後方側に複数のネジ部によって固定される。このような構成を採用することで、本体ユニット10がテーブル43に対して相対的に上昇し得る最も高い位置に上昇したときには、バッテリパック60およびバッテリパック取付ユニット50は当該スペースに収まり、バッテリパック60およびバッテリパック取付ユニット50が本体ユニット10と接触することを回避することができる。
【0053】
本実施形態では、取付部51、レール部51a、正極入力端子51b、負極入力端子51cが、バッテリパック取付ユニット50の下方に位置するように、バッテリパック取付ユニット50はトップカバー41に取り付けられている。すなわち、レール受け部61a、正極出力端子61b、負極出力端子61cが上方を向いた状態のバッテリパック60が、バッテリパック取付ユニット50に取り付けられる。
【0054】
また、上述したように、バッテリパック取付ユニット50とメインハウジング100とは、電気コード52によって接続されている。本実施形態においては、バッテリパック取付ユニット50から電気コード52が延出する方向と、メインハウジング100から電気コード52が延出する方向とは、ねじれの位置にある。具体的には、図8に示すように、バッテリパック取付ユニット50から電気コード52が延出する方向は左右方向であり、メインハウジング100から電気コード52が延出する方向は前後方向である。すなわち、上方から見た場合、バッテリパック取付ユニット50から電気コード52が延出する方向と、メインハウジング100から電気コード52が延出する方向とは、略直角である。このような構成を採用することで、本体ユニット10がテーブル43に対して相対的に上昇して、メインハウジング100とバッテリパック取付ユニット50との距離が短くなった場合に、メインハウジング100の後方、且つ、バッテリパック取付ユニット50の左方に位置する空間に、メインハウジング100とバッテリパック取付ユニット50との距離に対して余った電気コード52が緩やかに曲がりながら逃げることができる。このような構成を採用することで、本体ユニット10が上昇した場合に、電気コード52は、急なカーブで屈曲することを回避することができる。
【0055】
図14に示すように、自動かんな盤1が運搬される場合や、収納される場合には、前側補助テーブル44および後側補助テーブル45は、左右方向に延在する回動軸周りに上方側へ回動され、テーブル43の前後端部上方に折り畳まれた状態(閉状態)となる。本実施形態の自動かんな盤1は、バッテリパック取付ユニット50およびバッテリパック60の後端部が、閉状態の後側補助テーブル45の後端部よりも前方側(内側)に位置するように構成されている。従って、自動かんな盤1が運搬される場合や、収納される場合に、バッテリパック取付ユニット50およびバッテリパック60が、作業者や周囲の設備などの外的な要素と接触することが回避される。
【0056】
また、トップカバー41の上面に設けられた昇降ハンドル48は、回動軸483によって支持されている。図4に示すように、自動かんな盤1が使用される場合には、昇降ハンドル48は、昇降ハンドル48が有する操作部481が上方を向くように、回動軸483回りに回動される。一方、図14に示すように、自動かんな盤1が運搬される場合や、収納される場合には、昇降ハンドル48は、昇降ハンドル48が有する操作部481が下方を向くように、回動軸483回りに回動され折り畳まれる。昇降ハンドル48が折り畳まれた場合、昇降ハンドル48の上端は、トップカバー41の上端よりも下方側に位置する。このような構成を採用することによって、自動かんな盤1が運搬される場合や、収納される場合に、昇降ハンドル48が、作業者や周囲の設備などの外的な要素と接触することが回避される。
【0057】
次に、図15及び図16を参照して、モータ15及びコントローラ112を冷却するための構造について説明する。
【0058】
図15は、メインハウジング100の断面を示す説明図である。本実施形態では、図15に示すように、メインハウジング100の右側面には、吸気口121が設けられており、メインハウジング100の底面には、排気口125が設けられている。メインハウジング100の内部には、吸気口121から取り込まれたエアがモータ15を経由して排気口125に向けて流通可能に構成されたエア流路130と、吸気口121からエア流路130を経由して排気口125に向かうエアの流れを発生させるためのファン156とが設けられている。エア流路130上には、コントローラ112が配置されている。以下、本実施形態の構成の詳細について説明する。
【0059】
本実施形態では、エア流路130は、エアの流通する方向を基準にしてモータ15よりも下流側において、エア流路130を複数の分岐流路に分岐する分岐部131を有している。エア流路130のうち、分岐部131よりも上流側の流路をメインエア流路132と定義し、分岐部131よりも下流側の2つの流路のそれぞれを第1分岐エア流路133、第2分岐エア流路134と定義する。すなわち、エア流路130は、メインエア流路132と、第1分岐エア流路133と、第2分岐エア流路134とを有している。
【0060】
メインエア流路132上には、モータ15が配置されており、吸気口121から取り込まれたエアは、モータ15のステータ151とロータ152との間隙を流通することが可能である。換言すれば、メインエア流路132は、モータ15のステータ151とロータ152との間隙を含むように構成されている。
【0061】
第1分岐エア流路133は、ファン156を経由して排気口125に連通するように構成されている。
【0062】
第2分岐エア流路134は、ファン156を経由してメインエア流路132の分岐部131よりも上流側に接続されており、エア流路130を流通するエアの一部を循環させるように構成されている。特に、本実施形態では、第2分岐エア流路134は、メインエア流路132におけるステータ151の下流側端部151aよりも上流側に接続されている。
【0063】
第2分岐エア流路134上には、コントローラ112が配置されている。以下、第2分岐エア流路134上に配置されているコントローラ112について説明する。本実施形態では、コントローラ112の制御基板114は、モータ15のPWM制御のためのスイッチング素子としてのトランジスタ115を有しており、当該トランジスタ115は、コントローラ112の左側下部領域113に設けられている。トランジスタ115が設けられている左側下部領域113は、モータ15のPWM制御のためのトランジスタ115のスイッチング動作により高温になるため、冷却要請の高い領域である。そこで、本実施形態では、コントローラ112のうち、冷却要請の高い左側下部領域113が第2分岐エア流路134上に配置されており、当該第2分岐エア流路134を流通するエアによって左側下部領域113が冷却される。
【0064】
また、本実施形態では、図16に示すように、排気口125から排気されたエアの流通先には、切削屑の飛散を防ぐためのチップカバー350が設けられている。チップカバー350内に溜まった切削屑は、排気口125から排気されたエアによって、切削屑排出口145から外部に排出される。すなわち、排気口125は、被切削部材が切削されたときに発生する切削屑に向けてエアを噴出する噴出口を兼用するように構成されている。
【0065】
以上説明したように、本実施形態では、メインハウジング100の内部に、吸気口121から取り込まれたエアがモータ15を経由して排気口125に向けて流通可能に構成されたエア流路130が設けられている。そして、コントローラ112の左側下部領域113は、エア流路130上に配置されている。従って、本実施形態によれば、吸気口121から取り込まれたエアによって、モータ15と、コントローラ112の左側下部領域113とを直接的に冷却することができる。換言すれば、モータ15を冷却するためのエアを利用してコントローラ112の左側下部領域113を直接的に冷却することができるので、コントローラ112の冷却効率をさらに向上させることができる。
【0066】
また、本実施形態では、制御基板114は、バッテリパック60から供給された電力をモータの駆動に適した電力に変換するので高温になりやすく冷却要請のある部分である。本実施形態においては、制御基板114を有するコントローラ112が、エア流路130上に配置されているので、制御基板114を適切に冷却することができる。その結果、温度上昇に起因する制御基板114の電力変換能力の低下を抑制することができる。
【0067】
特に、本実施形態では、コントローラ112の左側下部領域113は、エア流路130の第2分岐エア流路134上に配置されている。したがって、循環するエアによってコントローラ112の左側下部領域113が冷却されるので、エアが循環しない構成と比較して、吸気口121から取り込まれた単位体積当たりのエアがコントローラ112の左側下部領域113に接触している時間を増加させることができ、吸気口121から取り込まれたエアによって効率的かつ重点的にコントローラ112の左側下部領域113を冷却することができる。
【0068】
また、本実施形態では、第2分岐エア流路134は、メインエア流路132におけるステータ151の下流側端部151aよりも上流側に接続されているので、ステータ151は、吸気口121から取り込まれてメインエア流路132を流通するエアによって冷却されるだけでなく、第2分岐エア流路134からメインエア流路132へ循環するエアによっても冷却される。従って、モータ15を効率的に冷却することができる。
【0069】
また、本実施形態では、メインエア流路132は、ステータ151とロータ152との間隙を含むように構成されているので、ステータ151とロータ152との間隙をエアが流通する。従って、モータ15を効率的に冷却することができる。
【0070】
また、本実施形態では、トランジスタ115が設けられている左側下部領域113が第2分岐エア流路134上に配置されているので、発熱して高温になりやすいトランジスタ115をエアによって効率的かつ重点的に冷却することができる。
【0071】
また、本実施形態では、排気口125は、被切削部材が切削されたときに発生する切削屑に向けてエアを噴出する噴出口を兼用するように構成されているので、切削屑に向けてエアを噴出する噴出口を排気口125とは別に設ける必要がなく、構造の簡易化を実現することができる。
【0072】
[第2実施形態]
以下、図17を参照して、第2実施形態に係る自動かんな盤1Aについて説明する。本実施形態の自動かんな盤1Aが備えるメインハウジング100A及びエア流路130Aの構成は、第1実施形態の自動かんな盤1が備えるメインハウジング100及びエア流路130とは異なっている。以下では、第1実施形態と同一の構成については、図示および説明を省略または簡略化し、主に異なる構成について図を参照して説明する。
【0073】
図17は、第2実施形態に係るメインハウジング100Aの断面を示す説明図である。本実施形態では、図17に示すように、メインハウジング100Aの右側面には、吸気口121と排気口126とが設けられており、メインハウジング100Aの底面には、排気口125が設けられている。メインハウジング100Aの内部には、吸気口121から取り込まれたエアがモータ15を経由して排気口125又は排気口126に向けて流通可能に構成されたエア流路130Aと、吸気口121からエア流路130を経由して排気口125又は排気口126に向かうエアの流れを発生させるためのファン156とが設けられている。エア流路130A上には、コントローラ112が配置されている。以下、本実施形態の構成の詳細について説明する。
【0074】
本実施形態では、エア流路130Aは、エアの流通する方向を基準にしてモータ15よりも下流側において、エア流路130Aを複数の分岐流路に分岐する分岐部131を有している。そして、エア流路130Aのうち、分岐部131よりも上流側の流路をメインエア流路132と定義し、分岐部131よりも下流側の2つの流路のそれぞれを第1分岐エア流路133、第2分岐エア流路134Aと定義する。すなわち、エア流路130Aは、メインエア流路132と、第1分岐エア流路133と、第2分岐エア流路134Aとを有している。
【0075】
メインエア流路132上には、モータ15が配置されており、吸気口121から取り込まれたエアは、モータ15のステータ151とロータ152との間隙を流通することが可能である。換言すれば、メインエア流路132は、モータ15のステータ151とロータ152との間隙を含むように構成されている。
【0076】
第1分岐エア流路133は、ファン156を経由して排気口125に連通するように構成されている。
【0077】
第2分岐エア流路134Aは、ファン156を経由して排気口126に連通するように構成されている。
【0078】
第2分岐エア流路134A上には、コントローラ112が配置されている。以下、第2分岐エア流路134上に配置されているコントローラ112について説明する。本実施形態では、コントローラ112の制御基板114は、モータ15のPWM制御のためのスイッチング素子としてのトランジスタ115を有しており、当該トランジスタ115は、コントローラ112の左側下部領域113に設けられている。また、左側下部領域113の右側の領域である右側下部領域113Aには、トランジスタ115以外の半導体素子やその他の電気回路用部材が設けられている。ここで、トランジスタ115が設けられている左側下部領域113は、モータ15のPWM制御のためのトランジスタ115のスイッチング動作により高温になるため、冷却要請の高い領域である。また、トランジスタ115以外の半導体素子やその他の電気回路用部材が設けられている右側下部領域113Aは、左側下部領域113ほどではないがモータ15の駆動時に発熱を伴うため、左側下部領域113に準じて冷却要請のある領域である。そこで、本実施形態では、コントローラ112のうち、冷却要請の高い左側下部領域113と、左側下部領域113に準じて冷却要請のある右側下部領域113Aとが第2分岐エア流路134上に配置されており、当該第2分岐エア流路134を流通するエアによって左側下部領域113と、右側下部領域113Aとが冷却される。
【0079】
排気口125は、上記第1実施形態と同様に、被切削部材が切削されたときに発生する切削屑に向けてエアを噴出する噴出口を兼用するように構成されている。
【0080】
以上説明したように、本実施形態では、メインハウジング100Aの内部に、吸気口121から取り込まれたエアがモータ15を経由して排気口125に向けて流通可能に構成されたエア流路130Aが設けられている。そして、コントローラ112の下部領域113Aは、エア流路130A上に配置されている。従って、本実施形態によれば、吸気口121から取り込まれたエアによって、モータ15と、コントローラ112の下部領域113とを直接的に冷却することができる。換言すれば、モータ15を冷却するためのエアを利用してコントローラ112の下部領域113を直接的に冷却することができる。
【0081】
特に、本実施形態では、エア流路130Aは、吸気口121に連通するメインエア流路132と、メインエア流路132から分岐して排気口125に連通する第1分岐エア流路133と、メインエア流路132から分岐して排気口126に連通する第2分岐エア流路134Aとを有しており、メインエア流路132上にモータ15が配置され、第2分岐エア流路134A上にコントローラ112の左側下部領域113及び右側下部領域113Aが配置されている。従って、本実施形態によれば、吸気口121からメインエア流路132に取り込まれたエアは、第1分岐エア流路133と第2分岐エア流路134Aとに流通し、2つの排気口(排気口125と排気口126)から排気されるので、排気口を一つ備える構成と比較して、エアの排気に伴うファン156の負荷を軽減しつつ、モータ15と、コントローラ112の左側下部領域113及び右側下部領域113Aとを直接的に冷却することができる。
【0082】
また、本実施形態では、トランジスタ115が設けられている左側下部領域113が第2分岐エア流路134A上に配置されているので、発熱して高温になりやすいトランジスタ115をエアによって効率的かつ重点的に冷却することができる。また、本実施形態では、右側下部領域113Aが第2分岐エア流路134上に配置されているので、左側下部領域113に準じて冷却要請のある右側下部領域113Aをエアによって効率的かつ重点的に冷却することができる。
【0083】
また、本実施形態では、メインエア流路132は、ステータ151とロータ152との間隙を含むように構成されているので、ステータ151とロータ152との間隙をエアが流通する。従って、モータ15を効率的に冷却することができる。
【0084】
また、本実施形態では、上記の第1実施形態と同様に、排気口125は、被切削部材が切削されたときに発生する切削屑に向けてエアを噴出する噴出口を兼用するように構成されているので、切削屑に向けてエアを噴出する噴出口を排気口125とは別に設ける必要がなく、構造の簡易化を実現することができる。
【0085】
[第3実施形態]
以下、図18を参照して、第3実施形態に係る自動かんな盤1Bについて説明する。本実施形態の自動かんな盤1Bが備えるメインハウジング100B及びエア流路130Bの構成は、第1実施形態の自動かんな盤1が備えるメインハウジング100及びエア流路130とは異なっている。以下では、第1実施形態と同一の構成については、図示および説明を省略または簡略化し、主に異なる構成について図を参照して説明する。
【0086】
図18は、第3実施形態に係るメインハウジング100Bの断面を示す説明図である。本実施形態では、図18に示すように、メインハウジング100Bの右側面には、吸気口121と吸気口122とが設けられており、メインハウジング100Bの底面には、排気口125が設けられている。メインハウジング100Bの内部には、吸気口121又は吸気口122から取り込まれたエアがモータ15を経由して排気口125に向けて流通可能に構成されたエア流路130Bと、吸気口121又は吸気口122からエア流路130を経由して排気口125に向かうエアの流れを発生させるためのファン156とが設けられている。エア流路130B上には、コントローラ112が配置されている。以下、本実施形態の構成の詳細について説明する。
【0087】
本実施形態では、エア流路130Bは、吸気口121から取り込まれたエアが流通可能に構成された第1エア流路136と、吸気口122から取り込まれたエアが流通可能に構成された第2エア流路137とを有している。さらに、エア流路130Bは、第1エア流路136と第2エア流路137とが合流し、吸気口121から取り込まれたエアと吸気口122から取り込まれたエアとが排気口125に向けて流通可能に構成された合流エア流路138を有している。
【0088】
第1エア流路136上には、モータ15が配置されており、吸気口121から取り込まれたエアは、モータ15のステータ151とロータ152との間隙を流通することが可能である。換言すれば、第1エア流路136は、モータ15のステータ151とロータ152との間隙を含むように構成されている。
【0089】
第2エア流路137上には、コントローラ112が配置されている。以下、第2エア流路137上に配置されているコントローラ112について説明する。本実施形態では、コントローラ112の制御基板114は、モータ15のPWM制御のためのスイッチング素子としてのトランジスタ115を有しており、当該トランジスタ115は、コントローラ112の左側下部領域113に設けられている。また、左側下部領域113の右側の領域である右側下部領域113Aには、トランジスタ115以外の半導体素子やその他の電気回路用部材が設けられている。ここで、トランジスタ115が設けられている左側下部領域113は、モータ15のPWM制御のためのトランジスタ115のスイッチング動作により高温になるため、冷却要請の高い領域である。また、トランジスタ115以外の半導体素子やその他の電気回路用部材が設けられている右側下部領域113Aは、左側下部領域113ほどではないがモータ15の駆動時に発熱を伴うため、左側下部領域113に準じて冷却要請のある領域である。そこで、本実施形態では、コントローラ112のうち、冷却要請の高い左側下部領域113と、左側下部領域113に準じて冷却要請のある右側下部領域113Aとが第2エア流路137上に配置されており、当該第2エア流路137を流通するエアによって左側下部領域113と、右側下部領域113Aとが冷却される。
【0090】
合流エア流路138は、ファン156を経由して排気口125に連通するように構成されている。なお、本実施形態では、第1エア流路136と第2エア流路137は、エアの流通する方向を基準にしてステータ151の下流側端部151aよりも上流側において合流している。
【0091】
排気口125は、上記第1実施形態及び上記第2実施形態と同様に、被切削部材が切削されたときに発生する切削屑に向けてエアを噴出する噴出口を兼用するように構成されている。
【0092】
以上説明したように、本実施形態では、メインハウジング100Bの内部に、吸気口121から取り込まれたエアがモータ15を経由して排気口125に向けて流通可能に構成されたエア流路130Bが設けられている。そして、コントローラ112の左側下部領域113及び右側下部領域113Aは、エア流路130B上に配置されている。従って、本実施形態によれば、吸気口121から取り込まれたエアによって、モータ15と、コントローラ112の左側下部領域113及び右側下部領域113Aとを直接的に冷却することができる。換言すれば、モータ15を冷却するためのエアを利用してコントローラ112の左側下部領域113及び右側下部領域113Aを直接的に冷却することができる。
【0093】
特に、本実施形態では、エア流路130Bは、吸気口121から取り込まれたエアが流通可能に構成された第1エア流路136と、吸気口122から取り込まれたエアが流通可能に構成された第2エア流路137とを有しており、第1エア流路136上にモータ15が配置され、第2エア流路137上にコントローラ112の左側下部領域113及び右側下部領域113Aが配置されている。従って、本実施形態によれば、2つの吸気口(吸気口121と吸気口122)からエアが取り込まれるので、吸気口を一つ備える構成と比較して、エアの吸気に伴うファン156の負荷を軽減することができる。また、モータ15と、コントローラ112の左側下部領域113及び右側下部領域113Aとが、各々、別々の吸気口から取り込まれたエアによって冷却されるので、モータ15と、コントローラ112の左側下部領域113及び右側下部領域113Aとを、各々、効率的に冷却することができる。
【0094】
また、本実施形態では、トランジスタ115が設けられている左側下部領域113が第2エア流路137上に配置されているので、発熱して高温になりやすいトランジスタ115をエアによって効率的かつ重点的に冷却することができる。また、本実施形態では、右側下部領域113Aが第2分岐エア流路134上に配置されているので、左側下部領域113に準じて冷却要請のある右側下部領域113Aををエアによって効率的かつ重点的に冷却することができる。
【0095】
また、本実施形態では、第1エア流路136は、ステータ151とロータ152との間隙を含むように構成されているので、ステータ151とロータ152との間隙をエアが流通する。従って、モータ15を効率的に冷却することができる。
【0096】
また、本実施形態では、上記第1実施形態及び上記第2実施形態と同様に、排気口125は、被切削部材が切削されたときに発生する切削屑に向けてエアを噴出する噴出口を兼用するように構成されているので、切削屑に向けてエアを噴出する噴出口を排気口125とは別に設ける必要がなく、構造の簡易化を実現することができる。
【0097】
また、本実施形態では、第1エア流路136と第2エア流路137は、エアの流通する方向を基準にしてステータ151の下流側端部151aよりも上流側において合流しているので、第2エア流路137を流通したエアは、ステータ151の一部を経由することになる。したがって、ステータ151は、吸気口121から取り込まれて第1エア流路136を流通するエアによって冷却されるだけでなく、第2エア流路137を流通してきたエアによっても冷却される。従って、モータ15を効率的に冷却することができる。
【0098】
[変形例]
上記実施形態は単なる例示であり、本発明に係る自動かんな盤は、例示された自動かんな盤1、1A、1Bの構成に限定されるものではない。例えば、下記に例示される変更を加えることができる。なお、これらの変更は、これらのうちいずれか1つのみ、あるいは複数が、実施形態に示す自動かんな盤1、1A、1B、あるいは各請求項に記載された発明と組み合わされて採用されうる。
【0099】
上記第1実施形態では、第2分岐エア流路134の末端が複数の流路に分岐している構成が採用されている。しかしながら、第2分岐エア流路134の末端が分岐していない構成が採用されてもよい。
【0100】
上記第1実施形態では、第2分岐エア流路134の末端の複数の流路の全てがステータ151の下流側端部151aよりも上流側に接続されている構成が採用されている。しかしながら、第2分岐エア流路134の末端の複数の流路のうちの一部の流路のみがステータ151の下流側端部151aよりも上流側に接続されている構成が採用されてもよい。
【0101】
上記第1実施形態では、第2分岐エア流路134は、メインエア流路132におけるステータ151の下流側端部151aよりも上流側に接続されている構成が採用されている。しかしながら、第2分岐エア流路134は、メインエア流路132におけるステータ151の下流側端部151aよりも下流側に接続されている構成が採用されてもよい。
【0102】
上記第3実施形態では、第2エア流路137の末端が複数の流路に分岐している構成が採用されている。しかしながら、第2エア流路137の末端が分岐していない構成が採用されてもよい。
【0103】
上記第3実施形態では、第1エア流路136と第2エア流路137は、エアの流通する方向を基準にしてステータ151の下流側端部151aよりも上流側において合流する構成が採用されている。しかしながら、第1エア流路136と第2エア流路137は、エアの流通する方向を基準にしてステータ151の下流側端部151aよりも下流側において合流する構成が採用されてもよい。
【0104】
上記各実施形態では、コントローラ112における冷却要請の高い領域又は冷却要請のある領域がエア流路130上に設けられている。具体的には、上記第1実施形態では、コントローラ112の左側下部領域113がエア流路130上に配置されている構成が採用され、上記第2実施形態では、コントローラ112の左側下部領域113及び右側下部領域113Aがエア流路130A上に配置されている構成が採用され、上記第3実施形態では、コントローラ112の左側下部領域113及び右側下部領域113Aがエア流路130B上に配置されている構成が採用されている。すなわち、上記各実施形態では、コントローラ112の一部の領域がエア流路上に配置されている構成が採用されている。しかしながら、コントローラ112の全領域がエア流路上に配置されている構成、例えば、コントローラ112の上方、下方、側方の全てにエアが流通する流路が設けられている構成が採用されてもよい。この構成によれば、コントローラ112の冷却効率をより一層向上させることができる。以上より、コントローラ112の少なくとも一部の領域がエア流路上に配置されている構成が採用されればよく、この構成によれば、コントローラ112を効率的に冷却することができる。
【0105】
上記各実施形態では、モータ15としてブラシレスモータが採用され、コントローラ112として当該ブラシレスモータのPWM制御を実行する制御基板を有するコントローラが採用されている。しかしながら、モータ15として、他の種類のモータが採用されてもよく、コントローラ112として、当該他の種類のモータの制御を実行する制御基板を有するコントローラが採用されてもよい。具体的には、例えば、モータ15として、ブラシ付きDCモータや、三相誘導モータ、単層誘導モータ等が採用されてもよく、コントローラ112として、これらの各種のモータの制御を実行する制御基板を有する各種のコントローラが採用されてもよい。
【0106】
上記各実施形態では、排気口125は、被切削部材が切削されたときに発生する切削屑に向けてエアを噴出する噴出口を兼用するように構成されている。しかしながら、排気口125は、被切削部材が切削されたときに発生する切削屑に向けてエアを噴出する噴出口を兼用するように構成されていなくてもよい。
【0107】
上記各実施形態では、エア流路130、130A、130Bは、ステータ151とロータ152との間隙を含むように構成されている。しかしながら、エア流路130、130A、130Bは、ステータ151とロータ152との間隙を含むように構成されていなくてもよい。すなわち、エア流路130、130A、130Bを流通するエアがモータ15の周縁を流通する構成が採用されてもよい。
【0108】
[対応関係]
上記実施形態の各構成要素と本発明の各構成要素の対応関係を以下に示す。自動かんな盤1、1A、1Bの各々は、本発明の「自動かんな盤」の一例である。メインハウジング100、100A、100Bは、本発明の「ハウジング」の一例である。吸気口121、122の各々は、本発明の「吸気口」の一例である。吸気口121は、本発明の「第1の吸気口」の一例である。吸気口122は、本発明の「第2の吸気口」の一例である。排気口125、126の各々は、本発明の「排気口」の一例である。排気口125は、本発明の「第1の排気口」の一例である。排気口126は、本発明の「第2の排気口」の一例である。モータ15は、本発明の「モータ」の一例である。ステータ151は、本発明の「ステータ」の一例である。下流側端部151aは、本発明の「下流側端部」の一例である。ロータ152は、本発明の「ロータ」の一例である。ファン156は、本発明の「ファン」の一例である。コントローラ112は、本発明の「コントローラ」の一例である。左側下部領域113、右側下部領域113A、全領域の各々は、本発明の「特定領域」の一例である。制御基板114は、本発明の「制御基板」の一例である。トランジスタ115は、本発明の「トランジスタ」の一例である。エア流路130、130A、130Bの各々は、本発明の「エア流路」の一例である。分岐部131は、本発明の「分岐部」の一例である。メインエア流路132は、本発明の「メインエア流路」の一例である。第1分岐エア流路133は、本発明の「第1の分岐エア流路」の一例である。第2分岐エア流路134、134Aの各々は、本発明の「第2の分岐エア流路」の一例である。第1エア流路136は、本発明の「第1のエア流路」の一例である。第2エア流路137は、本発明の「第2のエア流路」の一例である。合流エア流路138は、本発明の「合流エア流路」の一例である。
【符号の説明】
【0109】
1、1A、1B...自動かんな盤
10...本体ユニット
15...モータ
19...残容量表示部
21...かんな胴
30...メインフレーム
31,33...移送ローラ
41...トップカバー
43...テーブル
44...前側補助テーブル
45...後側補助テーブル
46...左側方カバー
47...右側方カバー
48...昇降ハンドル
50...バッテリパック取付ユニット
51...取付部
51a...レール部
51b...正極入力端子
51c...負極入力端子
51e...ロック受入穴
52...電気コード
60...バッテリパック
61a...レール受け部
61b...正極出力端子
61c...負極出力端子
61d...コネクタ部
61e...ロック部材
61f...アンロックボタン
71...メインスイッチ
72...レバースイッチ
80...ベース
100、100A、100B...メインハウジング
110...第1ハウジング
112...コントローラ
113...左側下部領域
113A...右側下部領域
114...制御基板
115...トランジスタ
118...右端壁部
121...吸気口
122...吸気口
125...排気口
126...排気口
130...エア流路
130A...エア流路
130B...エア流路
131...分岐部
132...メインエア流路
133...第1分岐エア流路
134...第2分岐エア流路
134A...第2分岐エア流路
136...第1エア流路
137...第2エア流路
138...合流エア流路
145...切削屑排出口
151...ステータ
151a...下流側端部
152...ロータ
153...モータシャフト
154,155...ベアリング
156...ファン
157...プーリ
160...第2ハウジング
161~163...ギア
164...ドライブシャフト
166...ギア
180...第3ハウジング
191,192...残容量ゲージ
201...ベルト
211...プーリ
213,214...かんな刃
215...ネジ部
301...チェーン
311...シャフト
312...ギア
313...ローラ部
331...シャフト
332...ギア
333...ローラ部
341~344...スライド部
345,346...昇降ネジ孔部
350...チップカバー
351...ネジ部
352...ネジ部
411~414...支柱
415~418...ネジ部
420...逃がし形状
431...載置面
441...載置面
451...載置面
481...操作部
483...回動軸
485,486...昇降ネジ軸
CA...切削領域
TA...移送領域
CM...被切削部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17
図18