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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】画像処理装置、及び画像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20240319BHJP
   G01N 25/72 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
G06T7/00 610
G01N25/72 K
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020125836
(22)【出願日】2020-07-22
(65)【公開番号】P2022021926
(43)【公開日】2022-02-03
【審査請求日】2023-06-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】深沢 茂臣
(72)【発明者】
【氏名】菊池 亮人
(72)【発明者】
【氏名】松原 道彦
(72)【発明者】
【氏名】山本 正人
(72)【発明者】
【氏名】菅田 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 康如
(72)【発明者】
【氏名】杉山 和也
【審査官】伊知地 和之
(56)【参考文献】
【文献】特許第5044755(JP,B1)
【文献】特開2011-099687(JP,A)
【文献】特開2011-179897(JP,A)
【文献】特開2002-310966(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N25/00 - 25/72
G06T 7/00 - 7/90
G06V10/00 - 20/90
G06V30/418
G06V40/16
G06V40/20
CSDB(日本国特許庁)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイル壁面の熱画像を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記熱画像に対してエッジ検出処理を行い、前記熱画像に対応するエッジ画像を生成するエッジ検出部と、
前記エッジ検出部により得られた前記エッジ画像に対して、タイルを表す矩形テンプレートによるマッチング処理を行い、矩形状のタイルを複数含むタイル画像を生成する生成部と、
前記生成部により生成された前記タイル画像の複数の前記タイルから、建物の端部に位置するタイルであって、かつタイルの温度が所定の温度以上であるタイルを表す熱源タイルを設定する熱源タイル設定部と、
前記熱源タイル設定部により設定された前記熱源タイルを始点として、注目しているタイルに隣接してかつ当該タイルよりも温度が低いタイルを熱影響タイルとして設定する処理を繰り返すことで、複数の前記熱影響タイルに対応する領域を表す熱影響領域を設定する熱影響領域設定部と、
前記熱影響領域設定部により設定された前記熱影響領域によって全方位を囲まれた領域を浮きタイル領域として特定する特定部と、
を備えた画像処理装置。
【請求項2】
前記特定部は、特定された前記浮きタイル領域に属する個々のタイルに対して、当該タイルの周縁部に接するタイルの温度を線形補間することにより仮想温度を算出し、前記仮想温度よりも所定値以上温度が高いタイルが属する領域を、浮きタイル領域として更に特定する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記線形補間は、バイリニア補間である
請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記特定部により特定された前記浮きタイル領域に属するタイルを、他のタイルと識別可能に表示する制御を行う表示制御部を更に備えた
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
タイル壁面の熱画像を取得し、
前記熱画像に対してエッジ検出処理を行い、前記熱画像に対応するエッジ画像を生成し、
前記エッジ画像に対して、タイルを表す矩形テンプレートによるマッチング処理を行い、矩形状のタイルを複数含むタイル画像を生成し、
前記タイル画像の複数の前記タイルから、建物の端部に位置するタイルであって、かつタイルの温度が所定の温度以上であるタイルを表す熱源タイルを設定し、
前記熱源タイルを始点として、注目しているタイルに隣接してかつ当該タイルよりも温度が低いタイルを熱影響タイルとして設定する処理を繰り返すことで、複数の前記熱影響タイルに対応する領域を表す熱影響領域を設定し、
前記熱影響領域によって全方位を囲まれた領域を浮きタイル領域として特定することを、
コンピュータに実行させるための画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、構造物の壁面を赤外線カメラ等で撮像し、それにより得られた熱画像を用いてタイル壁面を検査する技術が知られている。
【0003】
例えば、熱画像のある領域に含まれる対象ピクセルの温度データが示す温度と該対象ピクセル以外の別の基準ピクセルの温度データが示す基準温度との温度差に関連する色情報を対象ピクセルに付与して、タイル浮きを表示する技術が知られている(特許文献1)。
【0004】
また、構造物表面に生ずる温度勾配以外の温度変化の分布を赤外線熱画像から抽出し、赤外線熱画像のうち所定数の画素群毎に温度の平均を順次求める移動平均処理を行うことで平均温度分布画像を作成する技術が知られている(特許文献2)。
【0005】
また、赤外線放射温度計からの温度信号に基づいて周囲との温度差が0.3℃以上である領域を検知し、その領域が検出対象面の面積として200cm以上である場合に、その領域内に浮きがあり、200cm未満である場合に、浮きがないと判断する技術が知られている(特許文献3)。
【0006】
また、赤外線熱カメラの出力データを取得してトンネル壁面の熱画像を生成し、トンネル壁面の温度異常箇所を検出する技術が知られている(特許文献4)。
【0007】
また、被検体についてのサーモグラフィ画像と被検体をサーモグラフィカメラにより撮像して得られた基準サーモグラフィ画像との温度分布の差から、被検体の温度分布の変化量を検出し、検出された変化量が所定値以上である被検体の変化箇所を検出する技術が知られている(特許文献5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2012-221235号公報
【文献】WO2010/046967号公報
【文献】特開平9-145649号公報
【文献】特開2016-223796号公報
【文献】特開2019-158803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、熱画像からタイル浮きを検出する際、単に高温領域を検出するのみではタイル浮きを精度良く検出することはできない。例えば、太陽光の反射や熱伝導などの要因によって、大域高温部が発生する場合があるためである。
【0010】
一方、熱画像に対して単に高温部を除外するような処理を行うと、タイル浮き領域を除外してしまうことになり、タイル浮きを精度良く検出することができない。
【0011】
上記特許文献1~特許文献5に記載の技術では、いずれもタイル壁面に発生する大域高温部について考慮されていない。
【0012】
そこで、本件発明は、タイル壁面の熱画像からタイル浮きを検出する際に、タイル浮き領域を精度良く検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明に係る画像処理装置は、タイル壁面の熱画像を取得する取得部と、前記取得部により取得された前記熱画像に対してエッジ検出処理を行い、前記熱画像に対応するエッジ画像を生成するエッジ検出部と、前記エッジ検出部により得られた前記エッジ画像に対して、タイルを表す矩形テンプレートによるマッチング処理を行い、矩形状のタイルを複数含むタイル画像を生成する生成部と、前記生成部により生成された前記タイル画像の複数の前記タイルから、建物の端部に位置するタイルであって、かつタイルの温度が所定の温度以上であるタイルを表す熱源タイルを設定する熱源タイル設定部と、前記熱源タイル設定部により設定された前記熱源タイルを始点として、注目しているタイルに隣接してかつ当該タイルよりも温度が低いタイルを熱影響タイルとして設定する処理を繰り返すことで、複数の前記熱影響タイルに対応する領域を表す熱影響領域を設定する熱影響領域設定部と、前記熱影響領域設定部により設定された前記熱影響領域によって全方位を囲まれた領域を浮きタイル領域として特定する特定部と、を備えている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、タイル壁面の熱画像からタイル浮きを検出する際に、日射由来等による高温領域が除外されるため、タイル浮き領域を精度良く検出することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1の実施形態に係る浮きタイル検出装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図2】第1の実施形態に係る浮きタイル検出装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図3】(A)及び(B)は、大域高温部が発生した熱画像の一例を示す図である。
図4】比較例に係る単純閾値を用いた浮きタイル検出方法の説明に供する図である。
図5】(A)及び(B)は、比較例に係る平滑化を用いた浮きタイル検出方法の説明に供する図である。
図6】(A)~(C)は、実施形態に係る単純減少法の考え方の説明に供する図である。
図7】(A)は、実施形態に係る浮きタイル検出装置に入力されるタイル目地の熱画像の一例を示す図である。(B)は、実施形態に係る浮きタイル検出装置によって生成されるタイル画像の一例を示す図である。
図8】(A)~(C)は、実施形態に係るタイル壁面の端部熱源の推定に用いる熱画像の一例を示す図である。
図9】実施形態に係る熱影響タイル設定方法の説明に供する図である。
図10】実施形態に係る熱画像及びタイル画像の一例を示す図である。
図11】第1の実施形態に係る浮きタイル検出プログラムによる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図12】第2の実施形態に係る浮きタイル検出装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図13】実施形態に係る底部温度推定法の考え方の説明に供する図である。
図14】実施形態に係るバイリニア補間の説明に供する図である。
図15】実施形態に係るバイリニア補間を適用するタイル画像の一例を示す図である。
図16】第2の実施形態に係る浮きタイル検出プログラムによる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る浮きタイル検出装置について説明する。浮きタイル検出装置は、本発明の画像処理装置の一例である。
【0017】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る浮きタイル検出装置10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0018】
図1に示すように、浮きタイル検出装置10は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、ストレージ14、入力部15、モニタ16、及び通信インタフェース(I/F)17を備えている。各構成は、バス18を介して相互に通信可能に接続されている。
【0019】
CPU11は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU11は、ROM12又はストレージ14からプログラムを読み出し、RAM13を作業領域としてプログラムを実行する。CPU11は、ROM12又はストレージ14に記憶されているプログラムに従って、上記各構成の制御及び各種の演算処理を行う。本実施形態では、ROM12又はストレージ14には、浮きタイル検出プログラムが格納されている。なお、浮きタイル検出プログラムは、画像処理プログラムの一例である。
【0020】
ROM12は、各種プログラム及び各種データを格納する。RAM13は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ14は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、及び各種データを格納する。
【0021】
入力部15は、マウス等のポインティングデバイス、及びキーボードを含み、自装置に対して各種の入力を行うために使用される。
【0022】
モニタ16は、例えば、液晶ディスプレイであり、各種の情報を表示する。モニタ16は、タッチパネル方式を採用して、入力部15として機能しても良い。
【0023】
通信インタフェース17は、自装置が他の外部機器と通信するためのインタフェースであり、例えば、イーサネット(登録商標)、FDDI(Fiber Distributed Data Interface)、Wi-Fi(登録商標)等の規格が用いられる。
【0024】
次に、図2を参照して、浮きタイル検出装置10の機能構成について説明する。
【0025】
図2は、第1の実施形態に係る浮きタイル検出装置10の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0026】
図2に示すように、浮きタイル検出装置10は、機能構成として、取得部101、エッジ検出部102、生成部103、熱源タイル設定部104、熱影響領域設定部105、特定部106、及び表示制御部107を備えている。各機能構成は、CPU11がROM12又はストレージ14に記憶された浮きタイル検出プログラムを読み出し、RAM13に展開して実行することにより実現される。
【0027】
取得部101は、タイル壁面の熱画像を取得する。この熱画像は、例えば、構造物等のタイル壁面を赤外線カメラによって撮像された画像であり、タイル壁面の温度分布を表す画像である。この熱画像は、例えば、タイル壁面を含む実空間において2方向の直線群によって一様に区画されるタイル目地の熱画像である。
【0028】
エッジ検出部102は、取得部101により取得された熱画像に対して、エッジ検出処理を行い、熱画像に対応するエッジ画像を生成する。このエッジ画像は、タイル目地に対応するエッジを含む画像である。
【0029】
生成部103は、エッジ検出部102により得られたエッジ画像に対して、タイルを表す矩形テンプレートによるマッチング処理を行い、複数の矩形状タイルを含むタイル画像を生成する。なお、このタイル画像の生成には、例えば、テンプレートマッチング等の既知の画像処理技術が用いられる。
【0030】
熱源タイル設定部104は、生成部103により生成されたタイル画像の複数のタイルから、熱源タイルを設定する。この熱源タイルは、建物の端部に位置するタイルであり、かつ、タイルの温度が所定の温度以上であるタイルを表す。
【0031】
熱影響領域設定部105は、熱源タイル設定部104により設定された熱源タイルを始点として、注目しているタイルに隣接してかつ当該タイルよりも温度が低いタイルを熱影響タイルとして設定する処理を繰り返すことで、熱影響領域を設定する。この熱影響領域は、複数の熱影響タイルに対応する領域を表す。
【0032】
特定部106は、熱影響領域設定部105により設定された熱影響領域によって全方位を囲まれた領域を浮きタイル領域として特定する。
【0033】
表示制御部107は、特定部106により特定された浮きタイル領域に属するタイルを、他のタイルと識別可能に表示する制御を行う。例えば、色の違いによって浮きタイル領域に属するタイルを識別可能とする。
【0034】
次に、図3(A)、図3(B)、図4図5(A)、及び図5(B)を参照して、大域高温部のキャンセリングについて具体的に説明する。なお、大域高温部とは、浮きによるものではなく、太陽光の反射、熱伝導等の要因によって発生する比較的高温の部分のことをいう。
【0035】
図3(A)及び図3(B)は、大域高温部が発生した熱画像の一例を示す図である。
【0036】
図3(A)に示す熱画像では、建物の下端部及び右端部を熱源として、大域高温部が発生しており、図3(B)に示す熱画像では、建物の左端部を熱源として、大域高温部が発生している。浮いているタイルは高温になる。このため、熱画像に写る各タイルの温度に基づいて、浮きタイルを検出することは可能である。しかし、大域高温部は、タイルの浮きによるものではなく、太陽光の反射、熱伝導等の要因によって発生する。そのため、この大域高温部は、タイルの浮きを検出する上で、誤検出の要因となるため、キャンセル(除去)することが望ましい。
【0037】
図4は、比較例に係る単純閾値を用いた浮きタイル検出方法の説明に供する図である。なお、図4では、熱画像における温度を高さで表し、熱画像を横から見たときの温度分布の様子を模式的に表している。具体的には、図4の縦軸が、熱画像における温度に対応し、横軸が熱画像の各画素の位置に対応する。
【0038】
上述の図3(A)及び図3(B)に示すような温度分布を有する熱画像に対して、図4に示す単純閾値を用いて浮きを検出しようとした場合、浮きAは検出されるものの浮きBは検出されない。更に、浮きAの左側も浮きとして誤検出される。
【0039】
また、上述の大域高温部のような局所的、大域的なノイズを除去する目的で用いられる代表的な方法として、「平滑化」がある。「平滑化」とは、「滑らかにすること」であり、1次元では近似曲線を計算することで表され、2次元ではガウシアンフィルタ等を用いて画像を「ぼかす」ことで表される。平滑化された曲線、画像を、元のデータから減算することで、大域的なノイズが除去される。
【0040】
図5(A)及び図5(B)は、比較例に係る平滑化を用いた浮きタイル検出方法の説明に供する図である。なお、図5(A)及び図5(B)では、上述の図4と同様に、熱画像における温度を高さで表し、熱画像を横から見たときの温度分布の様子を模式的に表している。
【0041】
平滑化を用いて浮きのみを検出する場合、例えば、図5(A)に示すように、平滑化により得られる閾値曲線のなめらかさが高い場合には、浮きAのみが検出され、浮きBについては検出されない。また、図5(B)に示すように、閾値曲線のなめらかさが低い場合には、浮きBのみが検出され、浮きAについては検出されない。
【0042】
つまり、タイルの浮きの大きさ(温度)は大小様々であることから、「平滑化」によってはタイルの浮きを精度良く検出することができない。
【0043】
そこで、本実施形態においては、大域高温部の原因となっている熱源のタイルから、その影響範囲を設定することにより、浮きタイルを特定する方法を用いる。以下、当該方法を「単純減少法」という。この「単純減少法」では、熱画像から得られる温度分布に対し液体が流れるように、熱勾配に沿った曲線が生成される。
【0044】
次に、図6(A)~図6(C)を参照して、本実施形態に係る単純減少法の考え方について説明する。
【0045】
図6(A)~図6(C)は、本実施形態に係る単純減少法の考え方の説明に供する図である。なお、図6(A)~図6(C)において、左側の図は熱画像を立体的に見た図を示し、右側の図は熱画像を横から見た図を示す。
【0046】
図6(A)に示すように、温度を高さとして考えると、浮きの部分は大域高温部の中に存在する「コブ」のように見える。
【0047】
図6(B)に示すように、熱源で発生する熱を、熱源から流れる液体のように考え、液体が流れる面を液面20として表す。この液面20は、液体の流れ、つまり、熱源からの影響範囲を表している。
【0048】
図6(C)に示すように、浮きの可能性がある「コブ」の部分には液体は流れない。このため、液面20において「コブ」の部分を特定することで、タイルの浮きを検出することが可能とされる。
【0049】
つまり、大域高温部は、上述したように、日射、熱伝導等により熱の影響を受けた結果、全体的に浮きではない熱の勾配が発生した部分とされる。これより、大域高温部は、熱源から離れるほど、温度が低下する、という性質を持つと考えられる。また、日射、熱伝導等の影響により熱源となるタイルは、タイル集合の端部に存在するとみなすことができる。単純減少法の具体例については後述する。
【0050】
次に、図7(A)及び図7(B)を参照して、本実施形態に係るタイル画像を生成する方法について具体的に説明する。
【0051】
図7(A)は、本実施形態に係る浮きタイル検出装置10に入力されるタイル目地の熱画像の一例を示す図であり、図7(B)は、本実施形態に係る浮きタイル検出装置10によって生成されるタイル画像の一例を示す図である。
【0052】
一例として、図7(A)に示すタイル目地の熱画像を取得した場合、浮きタイル検出装置10は、熱画像に含まれるノイズを除去するために、熱画像に対して平滑化(例えば、ガウス平滑化)を行う。そして、浮きタイル検出装置10は、平滑化がなされた熱画像の輝度の勾配を算出して、エッジを検出する。なお、浮きタイル検出装置10は、エッジが途切れている箇所の補強、及び目地ではない余分なエッジを取り除く等のノイズの除去も行い、エッジ画像を生成する。
【0053】
浮きタイル検出装置10は、エッジ画像に含まれるエッジと、予め定められた矩形テンプレートとのパターンマッチングを行い、エッジに対して矩形テンプレートを適応して、一例として、図7(B)に示すように、複数の矩形状タイルを含むタイル画像を生成する。
【0054】
次に、図8(A)~図8(C)を参照して、本実施形態に係るタイル壁面の端部熱源を推定する方法について具体的に説明する。
【0055】
図8(A)~図8(C)は、本実施形態に係るタイル壁面の端部熱源の推定に用いる熱画像30、31の一例を示す図である。なお、図8(A)~図8(C)において、熱画像30及び熱画像31の各々は、複数のタイルを含むタイル壁面を表す画像である。
【0056】
図8(A)に示すように、公知の技術を用いて、熱画像30に対して、タイル集合の端部Ed1を特定し、熱画像31に対して、タイル集合の端部Ed2を特定する。
【0057】
次に、図8(B)に示すように、上記で特定した端部に接している高温部を特定する。具体的に、熱画像30から得られる温度が閾値以上となる部分を高温部R1として特定し、熱画像31から得られる温度が閾値以上となる部分を高温部R2として特定する。
【0058】
次に、図8(C)に示すように、いずれかの辺における高温部の含有率が一定値(例えば、90%)を超えた場合に、その高温部の領域を端部熱源として推定する。具体的に、熱画像30の右辺及び下辺における高温部R1の含有率は100%となり、端部熱源として推定される。一方、熱画像31の左辺の高温部R2の含有率は50%となり、端部熱源として推定されない。
【0059】
次に、上述したように、端部熱源に含まれる複数のタイルの中から熱源タイルを設定し、設定した熱源タイルを始点として、注目するタイルに隣接してかつ当該タイルよりも温度が低いタイルを熱影響タイルとして設定する処理を繰り返し、熱影響領域を設定する。
【0060】
図9は、本実施形態に係る熱影響タイル設定方法の説明に供する図である。
【0061】
具体的に、図9に示すように、端部熱源に位置する熱源タイルTHからスタートして、自タイルよりも温度が低い隣接タイルを次々に熱影響タイルとして設定する。
【0062】
図9の例では、タイルに付与された数字(1→2→3→4→5→6)の順に熱影響タイルが設定される。例えば、温度が低い順に、熱源タイルTH→タイルT1→タイルT2→タイルT3→タイルT4→タイルT9→タイルT14となり、これらタイルT1、T2、T3、T4、T9、T14が熱影響タイルとして設定される。また、温度が低い順に、熱源タイルTH→タイルT5→タイルT10→タイルT11→タイルT12→タイルT13→タイルT14となり、これらタイルT5、T10、T11、T12、T13、T14が熱影響タイルとして設定される。また、温度が低い順に、熱源タイルTH→タイルT5→タイルT6となり、これらタイルT5、T6が熱影響タイルとして設定される。このようにして設定された複数の熱影響タイルによって熱影響領域が設定される。
【0063】
図9に示す熱影響タイルの設定は、あたかも液体が高所から低所へ流れるような挙動となる。このとき、中央部分に位置するタイルT7及びタイルT8は、周辺のタイルよりも高温であるため、液体が流入しない領域となる。これらのタイルT7及びタイルT8は、端部熱源の影響以外の要因、すなわち、浮きによって温度上昇が起こっていると推測される。
【0064】
上記のようにして、液体が流入するタイル(低温タイル)と液体が流入しないタイル(高温タイル)とが設定される。
【0065】
そして、設定された熱影響領域によって全方位を囲まれた領域を浮きタイル領域として特定する。つまり、液体が流入するタイル=浮きではないタイル、液体が流入しないタイル=浮きタイル、として、タイル壁面における浮きタイル領域を特定する。この結果、例えば、図10に示す画像が得られる。
【0066】
図10は、本実施形態に係る熱画像40及びタイル画像41の一例を示す図である。
【0067】
図10に示すタイル画像41は、熱画像40に対応するタイル画像である。タイル画像41は、上述の単純減少法を用いて浮きタイル領域を特定した結果を示す画像である。タイル画像41は、端部熱源領域41A、熱影響領域41B、及び浮きタイル領域41Cの各々が識別可能に表示される。例えば、タイルの枠の色を異ならせてもよい。具体的に、端部熱源領域41Aに含まれるタイルの枠の色を例えば赤色とし、熱影響領域41Bに含まれるタイルの枠の色を例えば紫色とし、浮きタイル領域41Cに含まれるタイルの枠の色を例えば白色として表示する。なお、図10の例では、色の違いをハッチングの違いで表している。
【0068】
次に、図11を参照して、第1の実施形態に係る浮きタイル検出装置10の作用について説明する。
【0069】
図11は、第1の実施形態に係る浮きタイル検出プログラムによる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0070】
CPU11がROM12又はストレージ14から浮きタイル検出プログラムを読み出し、実行することによって、図11に示す各ステップが実行される。浮きタイル検出プログラムは、例えば、ユーザによってタイル壁面の熱画像が入力された場合に実行が開始される。
【0071】
まず、ステップS101では、CPU11が、ユーザによって入力されたタイル壁面の熱画像を取得する。
【0072】
ステップS102では、CPU11が、上記ステップS101で生成した熱画像に対してエッジ検出処理を行い、熱画像に対応するエッジ画像を生成する。
【0073】
ステップS103では、CPU11が、上記ステップS102で生成したエッジ画像に対して、タイルを表す矩形テンプレートによるマッチング処理を行い、複数の矩形状タイルを含むタイル画像を生成する。
【0074】
ステップS104では、CPU11が、上記ステップS103で生成したタイル画像の複数のタイルから、一例として、上述の図9に示すように、熱源タイルを設定する。
【0075】
ステップS105では、CPU11が、上記ステップS104で設定した熱源タイルを始点として、一例として、上述の図9に示すように、注目しているタイルに隣接してかつ当該タイルよりも温度が低いタイルを熱影響タイルとして設定する処理を繰り返すことで、熱影響領域を設定する。
【0076】
ステップS106では、CPU11が、一例として、上述の図9に示すように、上記ステップS105で設定した熱影響領域によって全方位を囲まれた領域を浮きタイル領域として特定する。そして、CPU11は、一例として、上述の図10に示すように、特定した浮きタイル領域に属するタイルを、他のタイルと識別可能に表示する制御を行い、本浮きタイル検出プログラムによる一連の処理を終了する。
【0077】
以上説明したように、本実施形態に係る浮きタイル検出装置10によれば、タイル壁面の熱画像からタイル浮きを検出する際に、単純減少法を用いることで、日射由来等による高温領域が除外される。このため、タイル浮き領域を精度良く検出することができる。
【0078】
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では、単純減少法を用いて浮きタイル領域を特定する形態について説明したが、この場合、偶然に温度が高かったタイルも浮きタイルとして判定してしまう可能性がある。このため、第2の実施形態では、単純減少法に加え、更に線形補間を用いる形態について説明する。
【0079】
図12は、第2の実施形態に係る浮きタイル検出装置10Aの機能構成の一例を示すブロック図である。
【0080】
図12に示すように、浮きタイル検出装置10Aは、機能構成として、取得部101、エッジ検出部102、生成部103、熱源タイル設定部104、熱影響領域設定部105、特定部108、及び表示制御部107を備えている。各機能構成は、CPU11がROM12又はストレージ14に記憶された浮きタイル検出プログラムを読み出し、RAM13に展開して実行することにより実現される。なお、第1の実施形態で示した浮きタイル検出装置10と同一の機能を有する構成要素には、同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0081】
特定部108は、上述の単純減少法を用いて特定された浮きタイル領域に属する個々のタイルに対して、当該タイルの周縁部に接するタイルの温度を線形補間することにより仮想温度を算出し、仮想温度よりも所定値以上温度が高いタイルが属する領域を、浮きタイル領域として更に特定する。線形補間には、例えば、バイリニア補間が用いられる。バイリニア補間は、一般的に、画像の拡大等に用いられるアルゴリズムであり、2次元平面上に適用可能な線形補間の一種である。また、浮きタイルを判定するための所定値には、経験的あるいは解析的に適切な値が設定される。
【0082】
つまり、熱画像から得られる周辺タイルの温度よりも対象タイルの温度が高く(熱勾配が正)、かつ、線形補間によって周辺タイルの温度から推定された対象タイルの温度よりも熱画像から得られる対象タイルの温度が高い場合に、対象タイルを浮きタイルとして特定する。これにより、浮きタイルをより精度良く検出することができる。以下では、単純減少法と線形補間とを組み合わせた方法を「底部温度推定法」という。
【0083】
次に、図13を参照して、本実施形態に係る底部温度推定法の考え方について説明する。
【0084】
図13は、本実施形態に係る底部温度推定法の考え方の説明に供する図である。なお、図13において、左側の図は熱画像を立体的に見た図を示し、右側の図は熱画像を横から見た図を示す。
【0085】
上述の図6(A)~図6(C)を参照して説明したように、温度を高さとして考えると、浮きの部分は大域高温部の中に存在する「コブ」のように見える。そして、液面20から突き出た「コブ」の中でも、顕著な高さを持つ「コブ」は浮きの部分である可能性が高いと考えられる。この場合、「コブの高さ」は、液面20から突き出た量として定義される。しかし、「コブの高さ」を得るには、「コブ」の底部21、22が存在する液面20の高さ、すなわち、底部温度を推定する必要がある。なお、底部温度は、上述の単純減少法における、端部熱源の影響のみを受けた(つまり、浮きの影響を受けない)と考えたときの仮想的な温度である。
【0086】
ここで、「コブ」の底部21、22は、「コブ」の存在によって温度情報が欠損しているため、周囲の温度から底部温度を推定することを考える。上述の単純減少法では、端部熱源からの大域的な熱が一方向に伝搬していることを前提としている。このため、欠損した底部温度は、周囲温度を線形補間することで推定することが可能とされる。
【0087】
図14は、本実施形態に係るバイリニア補間の説明に供する図である。
【0088】
バイリニア補間では、図14に示すように、例えば、基準点S~基準点Sの4点に囲まれた任意の点Pの値を、内挿的に補間して求める。基準点S~基準点Sの値は、既知である。このとき、点Pと、基準点S~基準点Sの各々との距離を計算し、その逆数で重み付けした加重平均を計算することで、点Pの値を求める。
【0089】
具体的には、点Pの値をVal(P)とすると、ベクトルを用いて下記の式(1)により求めることができる。但し、Val(S)は、基準点Sの値を示す。
【0090】
(1)
【0091】
次に、図15を参照して、本実施形態に係るバイリニア補間に用いる基準点を設定する方法について具体的に説明する。
【0092】
図15は、本実施形態に係るバイリニア補間を適用するタイル画像60の一例を示す図である。
【0093】
図15に示すタイル画像60において、浮きタイル領域に属するタイルを対象タイルTAとし、対象タイルTAの仮想温度を、周囲のタイルの温度から推定する。なお、対象タイルTAの仮想温度は、上述の底部温度に相当する。
【0094】
具体的には、対象タイルTAに対して、対象タイルTAの周縁部に接するタイル、つまり、タイルT1~タイルT8を特定する。そして、上述の点Pを対象タイルTA内の任意の位置に設定し、点Pを起点として、放射状に複数の方向に線を引く。図15の例では、8つの方向に線が引かれている。タイルT1を通る線上において、例えば、タイルT1内で点Pから最も近い点を基準点Sとして設定する。同様に、タイルT2~タイルT8についても基準点Sを設定する。なお、1つのタイルには1つの線が対応するようにして、タイル間で1つの線が重複して用いられることがないようにする。図15の例では、タイルT1~タイルT8の8個のタイルに8個の基準点Sが設定され、各基準点Sの温度が得られる。そして、得られた各基準点Sの温度に基づいて、上述の式(1)を適用し、対象タイルTAの仮想温度を推定する。
【0095】
次に、図16を参照して、第2の実施形態に係る浮きタイル検出装置10Aの作用について説明する。
【0096】
図16は、第2の実施形態に係る浮きタイル検出プログラムによる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0097】
CPU11がROM12又はストレージ14から浮きタイル検出プログラムを読み出し、実行することによって、図16に示す各ステップが実行される。浮きタイル検出プログラムは、例えば、ユーザによってタイル壁面の熱画像が入力された場合に実行が開始される。
【0098】
まず、ステップS111では、CPU11が、ユーザによって入力されたタイル壁面の熱画像を取得する。
【0099】
ステップS112では、CPU11が、上記ステップS111で生成した熱画像に対してエッジ検出処理を行い、熱画像に対応するエッジ画像を生成する。
【0100】
ステップS113では、CPU11が、上記ステップS112で生成したエッジ画像に対して、タイルを表す矩形テンプレートによるマッチング処理を行い、複数の矩形状タイルを含むタイル画像を生成する。
【0101】
ステップS114では、CPU11が、上記ステップS113で生成したタイル画像の複数のタイルから、一例として、上述の図9に示すように、熱源タイルを設定する。
【0102】
ステップS115では、CPU11が、上記ステップS114で設定した熱源タイルを始点として、一例として、上述の図9に示すように、注目しているタイルに隣接してかつ当該タイルよりも温度が低いタイルを熱影響タイルとして設定する処理を繰り返すことで、熱影響領域を設定する。
【0103】
ステップS116では、CPU11が、一例として、上述の図9に示すように、上記ステップS115で設定した熱影響領域によって全方位を囲まれた領域を浮きタイル領域として特定する。
【0104】
ステップS117では、CPU11が、一例として、上述の図15に示すように、上記ステップS116で特定した浮きタイル領域に属する個々のタイルに対して、当該タイルの周縁部に接するタイルの温度を線形補間することにより仮想温度を算出する。
【0105】
ステップS118では、CPU11が、上記ステップS117で仮想温度を算出した対象タイルについて、熱画像から得られる対象タイルの温度と、算出した仮想温度との差が所定値以上であるか否かを判定する。対象タイルの温度と仮想温度との差が所定値以上であると判定した場合(肯定判定の場合)、ステップS119に移行し、対象タイルの温度と仮想温度との差が所定値未満であると判定した場合(否定判定の場合)、ステップS120に移行する。
【0106】
ステップS119では、CPU11が、上記ステップS116で特定した浮きタイル領域のうち、仮想温度よりも所定値以上温度が高いタイルが属する領域を、最終的な浮きタイル領域として更に特定する。そして、CPU11は、一例として、上述の図10に示すように、特定した最終的な浮きタイル領域に属するタイルを、他のタイルと識別可能に表示する制御を行い、本浮きタイル検出プログラムによる一連の処理を終了する。
【0107】
一方、ステップS120では、CPU11が、上記ステップS116で特定した浮きタイル領域を最終的な浮きタイル領域ではないと判定し、判定結果を表示する制御を行い、本浮きタイル検出プログラムによる一連の処理を終了する。
【0108】
以上説明したように、本実施形態に係る浮きタイル検出装置10Aによれば、タイル壁面の熱画像からタイル浮きを検出する際に、底部温度推定法を用いることで、日射由来等による高温領域が除外され、更に、偶然に温度が高い領域も除外される。このため、タイル浮き領域をより精度良く検出することができる。
【0109】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【0110】
上記各実施形態では、タイルが縦横に規則正しく並べられた芋目地を撮影した熱画像を用いた形態について説明した。しかし、これに限定されない。実空間において2方向の直線群によって一様に区画される目地を有する熱画像であれば、どのようなものであってもよい。例えば、馬目地を撮影した熱画像であってもよいし、規則正しく周期的に並べられたタイルであれば如何なる熱画像であってもよい。
【符号の説明】
【0111】
10、10A 浮きタイル検出装置
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 ストレージ
15 入力部
16 モニタ
17 通信I/F
18 バス
101 取得部
102 エッジ検出部
103 生成部
104 熱源タイル設定部
105 熱影響領域設定部
106、108 特定部
107 表示制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16