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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】カートリッジ式容器、及びケース
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/00 20060101AFI20240319BHJP
   B65D 85/20 20060101ALI20240319BHJP
   A45D 34/04 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
B65D83/00 J
B65D85/20 Z
A45D34/04 525Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020145258
(22)【出願日】2020-08-31
(65)【公開番号】P2022040505
(43)【公開日】2022-03-11
【審査請求日】2023-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(74)【代理人】
【識別番号】100143786
【弁理士】
【氏名又は名称】根岸 宏子
(72)【発明者】
【氏名】本間 友梨
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-217104(JP,A)
【文献】特開平09-066246(JP,A)
【文献】実開昭63-025026(JP,U)
【文献】特開2020-103635(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/00
B65D 85/20
A45D 34/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容する本体部と、該本体部の先端側に設けられ該内容物を塗布する塗布具と、該本体部の後端側に設けられ径方向内側に向けて弾性変形可能な爪状部とを有するカートリッジと、
前記爪状部とともに前記本体部が挿入されて該本体部を保持する先端筒状壁と、該先端筒状壁を貫通し前記爪状部が係合するとともに該爪状部の外面を露出させる開口とを有するホルダーと、を備え
前記本体部内には、中皿が設けられ、前記中皿と前記塗布具との間に前記内容物が収容され、
前記ホルダーは、前記中皿に向けて軸方向に移動可能な軸体と、前記軸体に設けられたラチェット部に係合可能な係合爪を備えたホルダー本体部材と、前記開口および前記先端筒状壁を備えるとともに前記ホルダー本体部材に対して上下方向にスライド可能な先端部材とを備え、
前記軸体は、前記先端部材が前記ホルダー本体部材に対して引き上げられた際に前記本体部および前記中皿とともに移動し、前記先端部材が前記ホルダー本体部材に対して押し下げられた際に前記中皿の移動を阻止するようにして前記内容物を加圧可能であり、
前記ラチェット部は、前記軸体の軸方向に並ぶ複数の突起により構成されるとともに、前記軸体の周方向の一部に設けられ、
前記ラチェット部が前記係合爪に非係合の状態では、前記軸体は、前記中皿に向けて軸方向に移動可能であり、且つ、前記中皿とは反対側へ軸方向に移動可能であり、前記非係合の状態から前記軸体を周方向に所定角度回転させると、前記ラチェット部が前記係合爪に係合して前記中皿とは反対側への前記軸体の軸方向の移動が規制されるカートリッジ式容器。
【請求項2】
請求項1に記載されたカートリッジを収容するケースであって、
複数の前記カートリッジが横並びで載置されるトレーを備え、
前記トレーは、前記塗布具を覆う覆い部を有するケース。
【請求項3】
前記ケースは、前記トレーを収めるケース本体と、前記ケース本体を覆う蓋体とを備え、
前記ケース本体は、前記トレーと前記蓋体とを揺動可能に支持する揺動支持部を有し、
前記蓋体は、開側に揺動した際に前記トレーに係合して該トレーを開側に揺動させる持ち上げ部を有する請求項2に記載のケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カートリッジを用いたカートリッジ式容器、及びこのカートリッジを収容するケースに関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料等の内容物を収容した交換可能なカートリッジを用いたカートリッジ式容器が知られている。例えば特許文献1には、化粧料を収容したカートリッジと、カートリッジを保持するカートリッジホルダーとを備えるカートリッジ式容器が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-216958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで特許文献1に示されたものを含めて従来のカートリッジ式容器は、一般的には内容物を使い切った後に新たなカートリッジに交換することを想定している。すなわち、カートリッジは頻繁に交換されるものではないため、これを希に取り換える場合には負担を感じなくても、例えばその日の気分に合わせて別の色の内容物が収容されたカートリッジに取り換えようとする場合は、カートリッジの着脱作業に手間を要して負担になるものが多い。上述した特許文献1のカートリッジ式容器においては、カートリッジとカートリッジホルダーとをねじ結合していて、カートリッジを取り外すにはこれを繰り返し回転させなければならないため、交換頻度が高くなるとカートリッジの着脱作業が負担になる。
【0005】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであって、カートリッジの着脱作業が簡単に行えるため、頻繁に交換する場合でも負担になりにくいカートリッジ式容器、及びこのカートリッジを収容するケースを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、内容物を収容する本体部と、該本体部の先端側に設けられ該内容物を塗布する塗布具と、該本体部の後端側に設けられ径方向内側に向けて弾性変形可能な爪状部とを有するカートリッジと、前記爪状部とともに前記本体部が挿入されて該本体部を保持する先端筒状壁と、該先端筒状壁を貫通し前記爪状部が係合するとともに該爪状部の外面を露出させる開口とを有するホルダーと、を備え、前記本体部内には、中皿が設けられ、前記中皿と前記塗布具との間に前記内容物が収容され、前記ホルダーは、前記中皿に向けて軸方向に移動可能な軸体と、前記軸体に設けられたラチェット部に係合可能な係合爪を備えたホルダー本体部材と、前記開口および前記先端筒状壁を備えるとともに前記ホルダー本体部材に対して上下方向にスライド可能な先端部材とを備え、前記軸体は、前記先端部材が前記ホルダー本体部材に対して引き上げられた際に前記本体部および前記中皿とともに移動し、前記先端部材が前記ホルダー本体部材に対して押し下げられた際に前記中皿の移動を阻止するようにして前記内容物を加圧可能であり、前記ラチェット部は、前記軸体の軸方向に並ぶ複数の突起により構成されるとともに、前記軸体の周方向の一部に設けられ、前記ラチェット部が前記係合爪に非係合の状態では、前記軸体は、前記中皿に向けて軸方向に移動可能であり、且つ、前記中皿とは反対側へ軸方向に移動可能であり、前記非係合の状態から前記軸体を周方向に所定角度回転させると、前記ラチェット部が前記係合爪に係合して前記中皿とは反対側への前記軸体の軸方向の移動が規制されるカートリッジ式容器である。
【0007】
また本発明は、前記カートリッジを収容するケースであって、
複数の前記カートリッジが横並びで載置されるトレーを備え、
前記トレーは、前記塗布具を覆う覆い部を有するケースでもある。
【0008】
前記ケースは、前記トレーを収めるケース本体と、前記ケース本体を覆う蓋体とを備え、
前記ケース本体は、前記トレーと前記蓋体とを揺動可能に支持する揺動支持部を有し、
前記蓋体は、開側に揺動した際に前記トレーに係合して該トレーを開側に揺動させる持ち上げ部を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明のカートリッジ式容器によれば、ホルダーの先端筒状壁にカートリッジの爪状部と本体部を挿入することによって、カートリッジをホルダーに保持させることができ、またホルダーの開口から爪状部の外面を押圧して爪状部を径方向内側に向けて撓ませることによって、ホルダーからカートリッジを取り外すことができる。すなわち、従来のように繰り返し回転させることなくカートリッジを着脱することができるため、頻繁にカートリッジを交換する場合でも負担になることがない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係るカートリッジ式容器の一実施形態を示した図であって、(a)は断面図であり、(b)は外観図である。
図2図1に示した状態から軸体を押し上げた状態を示した図であって、(a)は断面図であり、(b)は外観図である。
図3図2に示した状態から軸体を回転させた状態を示した図であって、(a)は断面図であり、(b)は外観図である。
図4】(a)は、図3に示した状態からカートリッジの本体部を上方に移動させた状態を示す断面図であり、(b)はその後に本体部を下方に移動させた状態を示す断面図である。
図5図1に示したカートリッジ式容器に関し、(a)はホルダーからカートリッジを取り外す状態について示した図であり、(b)はカートリッジをホルダーに取り付ける状態について示した図である。
図6図1に示すカートリッジを収容するケースの一実施形態に関する図であって、(a)は蓋体を開いた状態での平面図であり、(b)は断面図であり、(c)はC-Cに沿う断面図である。
図7】(a)は図6に示したD-Dに沿う断面図であり、(b)は図6に示したE-Eに沿う断面図である。
図8】(a)は蓋体を開いた状態を示した断面図であり、(b)は蓋体を開いた状態でのC-Cに沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明に従うカートリッジ式容器及びケースの一実施形態(カートリッジ式容器1、ケース20)について説明する。まず、図1図5を参照しつつ、カートリッジ式容器1について説明する。なお以下の説明においては、便宜上、図1に示す向き(塗布具5が位置する側が上側、ホルダー底部材10が位置する側が下側)で説明する。
【0012】
図1に示すようにカートリッジ式容器1は、カートリッジ2とホルダー3を備えている。カートリッジ2は、カートリッジ本体部材4、塗布具5、中皿6、カートリッジ底部材7で構成される。またホルダー3は、ホルダー本体部材8、軸体9、ホルダー底部材10、先端部材11で構成されている。カートリッジ式容器1を構成する各部材は、基本的に合成樹脂で形成されている。また各部材の詳細な形態は後述するが、基本的に各部材の中心は何れもカートリッジ式容器1の軸線Oと一致している。
【0013】
カートリッジ本体部材4は、本明細書等で「本体部」と称するものである。図示したように本実施形態のカートリッジ本体部材4は、円筒状に形作られていて、上端部は長さ方向中間部よりも縮径している。
【0014】
塗布具5は、縮径させたカートリッジ本体部材4の上端部に取り付けられている。本実施形態の塗布具5は、軸線Oを中心として多数の毛体を集合させた筆状になるものである。これらの毛体は、有底筒状に形作られた基部5aによって保持されていて、基部5aは、カートリッジ本体部材4に保持されている。なお塗布具5は筆状になるものに限られず、例えば扁平状になるように毛体を集めたブラシ状になるものでもよい。また塗布具5は、フェルトやスポンジ等の多孔質体であってもよい。
【0015】
中皿6は、カートリッジ本体部材4の内周面に液密に当接するとともに、軸線Oに沿う向きにカートリッジ本体部材4の内周面に対して摺動するものである。カートリッジ本体部材4の内側において、塗布具5の基部5aと中皿6との間には、液状になる内容物(例えば液状の口紅のような化粧料)が収容される。
【0016】
カートリッジ底部材7は、中央部に貫通孔を有するリング状壁7aを備えている。リング状壁7aは、カートリッジ本体部材4の下端部に挿入されて、カートリッジ本体部材4に嵌合保持される。リング状壁7aの上面において、中央部の貫通孔の縁部には、上方に向かって延在していて、上端部が径方向内側に突出する第一係合爪7bが設けられている。本実施形態の第一係合爪7bは、図2のA-A断面図に示すように、軸線Oを挟んで対向するように一対設けられている。そしてリング状壁7aの下面には、下方に向かって延在するとともに下端部を径方向外側に向けて突出させた爪状部7cが設けられている。爪状部7cは、軸線Oを挟んで対向するように一対設けられている。また爪状部7cは、図5(a)に示すように、径方向内側に向けて弾性変形可能である。
【0017】
ホルダー本体部材8は、円筒状に形作られていて、下部には窓孔8aが設けられている。またホルダー本体部材8の上部には、径方向内側に向けて延在する内向きフランジ壁8bが設けられている。内向きフランジ壁8bの上面には、上端部を径方向外側に向けて突出させた抜け止め爪部8cが設けられている。また内向きフランジ壁8bの下面には、下方に向かって延在していて、下端部が径方向内側に突出する第二係合爪8dが設けられている。第二係合爪8dは、軸線Oを挟んで対向するように一対設けられている。
【0018】
軸体9は、比較的長尺になる軸部9aを備えている。軸部9aは、図2のA-A断面図に示すように円柱状であって、その外周面には、図3(a)に示すように、上方に向けて縮径するように形成された多数の突起で構成されるラチェット部9bが設けられている。ラチェット部9bは、上述した第一係合爪7bと第二係合爪8dが係合するように形作られていて、図2のA-A断面図に示すように軸線Oを挟んで対向するように一対設けられている。そして図1(a)に示すように軸部9aの下部には、断面視で逆L字状に形成され、窓孔8aを内側から覆い隠すカバー壁9cが設けられていて、カバー壁9cの外周面には、径方向外側に向けて突出する摘み部9dが設けられている。
【0019】
ホルダー底部材10は、円板状壁10aを備えている。円板状壁10aの上面には、比較的長尺になる円筒状の支持壁10bと、支持壁10bの径方向外側に位置するとともに比較的短尺であって周方向に間隔をあけて設けられる複数のリブ(嵌合壁10c)とを備えている。嵌合壁10cをホルダー本体部材8の下端部に挿入することにより、ホルダー底部材10はホルダー本体部材8に嵌合保持される。
【0020】
先端部材11は、円筒状をなす先端筒状壁11aを備えている。先端筒状壁11aには、これを貫通する開口11bが設けられている。図1に示すように開口11bは、爪状部7cにおける下端部(径方向外側に突出する部位)が係合し、またこの下端部の外面を露出させる程度の大きさで形成されている。また開口11bの下方には、図1の部分拡大図に示すように、先端筒状壁11aの内周面から径方向内側に向けて突出する抜け止め突起11cが設けられている。図1に示すようにホルダー本体部材8に取り付けた状態において、先端部材11はホルダー本体部材8に対して上下方向にスライド可能であって、また上方に引き上げた際は、抜け止め爪部8cと抜け止め突起11cが係合するため、先端部材11はホルダー本体部材8に抜け止め保持される。
【0021】
このような部材で構成されるカートリッジ式容器1は、以下のような手順で内容物が吐出される。
【0022】
まず、図1(b)に示したように下方に位置する摘み部9dに指をかけ、図2(b)に示したようにこれを上方に押し上げて、図2(a)に示すように軸部9aの先端部を中皿6の下面に当接させる。
【0023】
次いで、図2(b)に示す位置にある摘み部9dを、図3(b)に示すように周方向に動かす。これにより、円柱状の軸部9aに対して非係合であった第一係合爪7bと第二係合爪8d(図2(a)参照)が、ラチェット部9bに係合する(図3(a)参照)。
【0024】
その後は、図3に示す位置にある先端部材11を、図4(a)に示すように上方に引き上げる。これにより、カートリッジ2を構成するカートリッジ本体部材4、塗布具5、中皿6、カートリッジ底部材7が一体的に上方へ移動する。また第一係合爪7bにはラチェット部9bが係合しているため、軸体9も上方へ移動する。このとき、ラチェット部9bに係合していた第二係合爪8dは、係合していた突起から一旦外れて一つ下の突起に再び係合する。
【0025】
そして上方に引き上げていた先端部材11を、図4(b)に示すように下方に押し下げる。これにより、カートリッジ本体部材4、塗布具5、カートリッジ底部材7は下方に向けて一体的に移動する一方、中皿6は、上方へ移動した軸体9によって下方への移動が阻止されているため、カートリッジ本体部材4の内側でカートリッジ本体部材4に対して相対的に上昇する。なお、中皿6によって軸体9には下方へ向けての力が加わるが、ラチェット部9bが第二係合爪8dに係合しているため、軸体9の下方への移動は規制される。またカートリッジ底部材7が下方へ移動する際は、第一係合爪7bが径方向外側に撓んでラチェット部9bを乗り越えるため、カートリッジ底部材7の下方への移動が妨げられることはない。これにより、中皿6の上方に収容されている内容物が加圧され、カートリッジ本体部材4と基部5aの隙間から吐出される内容物が塗布具5に付着する。そして内容物が付着した塗布具5を使って唇等への化粧を行うことができる。
【0026】
本実施形態のカートリッジ式容器1は、図1に示すようにホルダー3にカートリッジ2を取り付けた状態において、カートリッジ本体部材4は先端筒状壁11aによって全周に亘って保持されている。このため、カートリッジ2がホルダー3に対してぐらつくことがないため、化粧中に塗布具5が傾く等の不具合を防止することができる。また爪状部7cが開口11bに係合しているため、カートリッジ2がホルダー3から不用意に抜け出すことがない。
【0027】
また図示したように爪状部7cの外面は、開口11bから露出している。このため、図5(a)に示すようにこの部位を径方向内側に向けて押し込むと、爪状部7cは径方向内側に撓んで開口11bとの係合が解除される。従って爪状部7cを径方向内側に向けて押し込みつつ、先端部材11に対してカートリッジ本体部材4を引き上げることにより、カートリッジ2をホルダー3から取り外すことができる。
【0028】
一方、カートリッジ2をホルダー3に取り付けるには、図5(b)に示すように、爪状部7cを先端部材11に挿入しつつ、先端部材11に対してカートリッジ本体部材4を押し込んでいけばよい。
【0029】
このように本実施形態のカートリッジ式容器1は、上述した特許文献1のように繰り返し回転させることなくカートリッジ2をホルダー3から取り外すことができ、またホルダー3に対してカートリッジ2を押し込むだけでこれを取り付けることができるため、頻繁にカートリッジ2を交換する場合でも負担になることがない。このため、例えば内容物として異なる色の口紅が収容された複数のカートリッジ2を準備しておくことにより、その日の気分に応じて好みの色のカートリッジ2に簡単に交換することができる。またカートリッジ2には塗布具5が一体的に設けられているため、カートリッジ2を交換した後にすぐに使うことができる。そして従来と同様、内容物を使い切って新たなカートリッジ2に交換する場合でもホルダー3は再利用できるため、環境に対する負荷を小さくすることができる。
【0030】
カートリッジ式容器1は、上述したカートリッジ2とホルダー3のみで使用することも可能であるが、図6図7に示したケース20を用いることでより便利に使用することができる。ケース20は、ケース本体21、フック22、トレー23、蓋体24、鏡25で構成される。なお以下の説明においては、便宜上、ケース本体21にフック22が取り付けられる側を前側とし、その逆側を後側として説明する。
【0031】
ケース本体21は、有底筒状であって、平面視において矩形状をなすものである。ケース本体21は、ホルダー3を収容する凹部21aを備えている。また。ケース本体21の前側には、フック22を前後方向に移動可能に保持する保持部21bが設けられていて、保持部21bの上方には、蓋体24を閉じた状態で維持するための第一係止爪21cが設けられている。なお図示は省略するが、ケース本体21の後側には、円柱状をなす軸部(揺動支持部)が設けられている。
【0032】
フック22は、保持部21bによってケース本体21に保持されていて、蓋体24を開く際に使用される。
【0033】
トレー23は、図7に示すように円弧状となる部位が横並びに複数設けられる形状となるものである。円弧状となる部位は、カートリッジ2の外径に応じた形状になっていて、
カートリッジ2はトレー23に横並びで載置される。またトレー23の後側には、図6(b)に示すように、断面視で横向きU字状をなし、載置されたカートリッジ2の塗布具5を覆う覆い部23aが設けられている。図6(b)、図7(b)に示すように覆い部23aの前側は、カートリッジ本体部材4における縮径した部位に当接又は近接していて、これにより、トレー23に載置したカートリッジ2が浮き上がって、覆い部23aの内面が塗布具5で汚れる不具合が有効に防止される。
【0034】
覆い部23aの後側には、図6(a)に示すように幅方向に間隔をあけて設けられる一対のアーム23bが設けられている。アーム23bには、ケース本体21に設けた軸部が挿入される第一軸孔23cが設けられている。またアーム23bにおける幅方向内側面には、図6(a)の部分拡大図、及び図6(c)に示すように、トレー側段部23dが設けられている。図6(c)に示すようにトレー側段部23dは、第一軸孔23cの周囲において、トレー23が閉じた状態での位置関係で前側上部に設けられている。
【0035】
蓋体24は、有蓋筒状であって、平面視において矩形状をなすものである。蓋体24の後側には、一対のアーム23bに対して幅方向内側に設けられる延出部24aが設けられている。延出部24aには、第一軸孔23cを挿通したケース本体21の軸部が挿入される第二軸孔24bが設けられている。延出部24aにおける幅方向外側面には、図6(a)の部分拡大図、及び図6(c)に示すように、蓋側段部24cが設けられている。図6(c)に示すように蓋側段部24cは、第二軸孔24bの周囲において、蓋体24が閉じた状態での位置関係で後側の上部から下部に亘って設けられている。なお蓋側段部24cは、本明細書における「持ち上げ部」に相当する。
【0036】
また蓋体24の内側には、図7(a)に示すように円弧状となる部位が横並びに複数設けられる形状になっていて、蓋体24を閉じた状態でカートリッジ本体部材4に当接又は近接するリブ24dが設けられている。またリブ24dの前側には、鏡25が設けられている。更に蓋体24の前側には、第一係止爪21cに係合する第二係止爪24eが設けられている。
【0037】
このような形態になるケース20によれば、トレー23に複数のカートリッジ2を収容することができるため、外出先で化粧を行う際にも好みの色の口紅を利便性良く使うことができる。なお、ケース20に複数のカートリッジ2を収容する際は、色違いの口紅のように種類が同じもので揃えてもよいし、カテゴリーが異なる(口紅やマニキュア等)ものを組み合わせてもよい。またカートリッジ2に収容される内容物は、上述した口紅、マニキュア、マスカラ、チークのような化粧料に限られず、例えば塗り薬等の医薬品でもよい。また本実施形態のケース20は、ホルダー3も収容できるため、外出にあたってはケース20のみ持ち運べばよく、使い勝手に優れる。また蓋体24を閉じた状態では、第一係止爪21cと第二係止爪24eが係合しているため、不用意に蓋体24が開くことがない。また蓋体24を閉じると、リブ24dがカートリッジ本体部材4に当接又は近接するため、ケース20内でカートリッジ2がバラバラになることもない。更に、カートリッジ2の塗布具5は覆い部23aで覆われているため、塗布具5に付着した内容物でケース20内が汚れてしまう不具合を防止することができる。
【0038】
化粧を行うにあたっては、フック22を後側に向けて押し込むと、フック22によって第二係止爪24eが持ち上げられる。これにより、第一係止爪21cと第二係止爪24eとの係合が外れて蓋体24を開くことができる。蓋体24を開いていくと、図8(b)に示すように蓋側段部24cがトレー側段部23dに当接してこれを持ち上げる。このため、図8(a)に示すように、蓋体24を開くだけでトレー23も一緒に揺動させることができる。
【0039】
図8に示すように蓋体24を開いた際、トレー23に収容されたカートリッジ2は、爪状部7cがトレー23の外側に位置していて、斜め上方を向いている。また爪状部7cは、トレー23の前端部よりも前側に露出している。このため、ホルダー3の先端部を爪状部7cに容易に挿入することができるため、トレー23に収容したままでホルダー3にカートリッジ2を簡単に取り付けることができる。ここで、トレー23でカートリッジ2が嵌合保持されるように構成する(例えば覆い部23aでカートリッジ本体部材4における縮径した部位を嵌合保持する)場合は、ホルダー3をカートリッジ2に挿入する際にカートリッジ2が動きにくいため、取り付け作業が更に行い易くなる。
【0040】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、上記の説明で特に限定しない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。また、上記の実施形態における効果は、本発明から生じる効果を例示したに過ぎず、本発明による効果が上記の効果に限定されることを意味するものではない。
【0041】
例えば本実施形態の爪状部7cと開口11bは、それぞれ2つ設けられていたが、数に限定はなく、それぞれ1つ設けてもよい。またトレー23を持ち上げる構成も、蓋側段部24cとトレー側段部23dに限られるものではない。また上述した実施形態において、ケース本体21の揺動支持部は円柱状の軸部であるとしたが、蓋体24に軸部を設け、トレー23とケース本体21に軸孔を設けてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1:カートリッジ式容器
2:カートリッジ
3:ホルダー
4:カートリッジ本体部材(本体部)
5:塗布具
5a:基部
6:中皿
7:カートリッジ底部材
7a:リング状壁
7b:第一係合爪
7c:爪状部
8:ホルダー本体部材
8a:窓孔
8b:内向きフランジ壁
8c:抜け止め爪部
8d:第二係合爪
9:軸体
9a:軸部
9b:ラチェット部
9c:カバー壁
9d:摘み部
10:ホルダー底部材
10a:円板状壁
10b:支持壁
10c:嵌合壁
11:先端部材
11a:先端筒状壁
11b:開口
11c:抜け止め突起
20:ケース
21:ケース本体
21a:凹部
21b:保持部
21c:第一係止爪
22:フック
23:トレー
23a:覆い部
23b:アーム
23c:第一軸孔
23d:トレー側段部
24:蓋体
24a:延出部
24b:第二軸孔
24c:蓋側段部(持ち上げ部)
24d:リブ
24e:第二係止爪
25:鏡
O:軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8