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特許7456896流体機械の評価装置、その方法及びそのプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】流体機械の評価装置、その方法及びそのプログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20240319BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20240319BHJP
   G06Q 10/20 20230101ALI20240319BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G06Q50/04
G06Q10/20
G05B23/02 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020151502
(22)【出願日】2020-09-09
(65)【公開番号】P2022045744
(43)【公開日】2022-03-22
【審査請求日】2023-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】メドラノ カテレヤ
(72)【発明者】
【氏名】野村 優介
(72)【発明者】
【氏名】木村 謙児
(72)【発明者】
【氏名】矢敷 達朗
(72)【発明者】
【氏名】金 恩敬
【審査官】野口 俊明
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-025982(JP,A)
【文献】特開2011-048688(JP,A)
【文献】特開2012-059103(JP,A)
【文献】国際公開第2017/017744(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
G06Q 10/00-99/00
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理部と、データ記録部とを有する、流体機械の評価装置であって、
前記データ記録部は、
流体機械モデル識別子と、前記流体機械モデル識別子の製品仕様データを有する流体機械データと、
保守サービス識別子と、前記保守サービス識別子に対応するサービス内容を有する保守データとを保持し、
前記処理部は、
前記流体機械データから、前記流体機械モデル識別子及び動作要件を満たす設置位置のデータで構成されるモデル構成を生成する組み合わせ探索部と、
前記保守データから保守計画を生成し、初期コストと、電気コストと、保守コストとの合計として、評価期間にわたって累積された総コストを計算し、前記モデル構成、前記保守計画と、前記総コストから流体機械及び保守モデルを生成するコスト評価部と、
前記コスト評価部で生成した前記流体機械及び保守モデルを、予め定めた基準で選択する後処理部とを有する流体機械の評価装置。
【請求項2】
請求項1に記載の流体機械の評価装置において、
前記後処理部は、
前記流体機械及び保守モデルを前記総コストで評価して、
最低総コストの前記流体機械及び保守モデルを選択する流体機械の評価装置。
【請求項3】
請求項1に記載の流体機械の評価装置において、
前記後処理部は、
ベースライン基準による選択された評価項目のデザインスコアを計算し、
計算した前記デザインスコアに基づいて前記流体機械及び保守モデルをランキングすることによって前記流体機械及び保守モデルを評価し、
前記流体機械及び保守モデルの情報を、前記デザインスコアとともに表にすることによって流体機械テーブルを生成し、
選択された前記流体機械及び前記保守計画の前記デザインスコアの図を生成し、
選択された前記流体機械及び前記保守計画のコスト評価図を生成し、
選択された前記流体機械及び前記保守計画のレイアウト図を生成する流体機械の評価装置。
【請求項4】
請求項1に記載の流体機械の評価装置において、
サーバが、
前記組み合わせ探索部と、前記コスト評価部と、前記後処理部を実行する流体機械の評価装置。
【請求項5】
請求項1に記載の流体機械の評価装置において、
パーソナルコンピュータが、
前記組み合わせ探索部と、前記コスト評価部と、前記後処理部を実行する流体機械の評価装置。
【請求項6】
請求項1に記載の流体機械の評価装置において、
前記流体機械データと前記保守データを、入力画面から変更する流体機械の評価装置。
【請求項7】
請求項1に記載の流体機械の評価装置において、
サーバが、
前記組み合わせ探索部と前記コスト評価部を実行し、
パーソナルコンピュータが、
前記後処理部を実行する流体機械の評価装置。
【請求項8】
請求項1に記載の流体機械の評価装置において、
ディスプレイを有し、
末端機器及び配管網接続を示す工場レイアウトのグラフィック表示であり、前記流体機械を設置することができる領域である配管網レイアウトと、
前記末端機器と前記流体機械の製品仕様に関する流体圧力及び流量供給データである動作要件と、
前記流体機械及び前記保守計画の前記総コストが計算される時間スパンである評価期間と、
一年で工場が稼働する時間スパンである工場のスケジュールとを、前記ディスプレイから入力する流体機械の評価装置。
【請求項9】
請求項1に記載の流体機械の評価装置において、
ディスプレイを有し、
前記ディスプレイが、
前記流体機械及び保守モデルの表である流体機械テーブルと、
前記流体機械及び保守モデルの初期コストと、電気コストと、保守コストからなるコスト評価図と、
前記流体機械及び保守モデルの設置位置情報を示す設置レイアウト図と、を表示する流体機械の評価装置。
【請求項10】
処理部と、データ記録部とを有する、流体機械の評価方法であって、
流体機械モデル識別子と、前記流体機械モデル識別子の製品仕様データを有する流体機械データと、
保守サービス識別子と、前記保守サービス識別子に対応するサービス内容を有する保守データとが前記データ記録部に保持されており、
前記処理部の組み合わせ探索部が前記流体機械データから、前記流体機械モデル識別子及び動作要件を満たす設置位置のデータで構成されるモデル構成を生成するステップと、
前記処理部のコスト評価部が前記保守データから保守計画を生成
初期コストと、電気コストと、保守コストとの合計として、評価期間にわたって累積された総コストを計算
前記モデル構成、前記保守計画、前記総コストから、流体機械及び保守モデルを生成するステップと、
後処理部が生成した前記流体機械及び保守モデルを、予め定めた基準で選択するステップとを有する流体機械の評価方法。
【請求項11】
請求項10に記載の流体機械の評価方法をプロセッサーに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体機械の評価の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
工場のメンテナンス性及び収益性を最大にするには、工場を高効率で稼働することが重要である。ほとんどの種類の工場は、工場を稼働させるために空気圧縮機に依存するところが大きい。空気圧縮機は、配管網を介して空気圧機器(以下、末端機器とも称する)を駆動するための動力源となる圧縮空気を供給する役割を果たす。空気圧縮機が必要な圧縮空気を供給できない場合、工場は、稼働率低下、生産効率の低下、及び稼働停止に至ることとなり、かなりの経済的損失をもたらす。したがって、工場を高効率で稼働させるためには、機種・設置位置選定及び保守計画を含む空気圧縮機の全体的な評価を実施する必要がある。
【0003】
空気圧縮機の空気流れに関する流体特性を分析することにより、空気圧縮機の動作をより詳細に評価することが可能となる。特許文献1には、CAD上での三次元操作に関する専門知識を必要とすることなく、配管網内の圧縮空気の流れを容易に計算することができるネットワークシムレーション装置が開示される。特許文献1では、圧縮空気以外の流体を供給する配管網に対しても流体特性を分析でき、これにより、工場内の冷却水又は蒸気等の圧縮機空気以外のユーティリティを供給するシステムの動作を詳細に評価することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-162343号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
機種・設置位置選定及び保守計画を含む空気圧縮機の全体的な最適化は、工場の高効率化及びコスト最小化を達成するために重要である。特許文献1では、ユーザは配管網モデルを容易に作成して、圧縮空気の流れ、並びに圧力損失を計算することができる。
【0006】
しかしながら、特許文献1では、さらに分析を実行して、例えば、生成された配管網モデルの結果として生じる電気コスト又は設備コストを分析することについては配慮されていない。さらに、特許文献1では、空気圧縮機の機種・設置位置選定及び保守計画をユーザが評価できるような手段までは配慮してはいない。
【0007】
機種・設置位置選定及び保守計画を最適化するには、複数の計画案、評価項目を考慮する必要があるので、かなりの時間と専門知識を必要とする。一方、圧縮機が既に稼働中の工場においては、包括的な保守計画がすでに実施されているため、より適切な機種・設置位置を選定し、保守計画を評価することが困難である。
【0008】
本発明の目的は、機種・設置位置の選定、保守計画について、ユーザが評価することができる流体機械の評価装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の好ましい一例としては、処理部と、データ記録部とを有する、流体機械の評価装置であって、
前記データ記録部は、
流体機械モデル識別子と、前記流体機械モデル識別子の製品仕様データを有する流体機械データと、
保守サービス識別子と、前記保守サービス識別子に対応するサービス内容を有する保守データとを保持し、
前記処理部は、
前記流体機械データから、前記流体機械モデル識別子及び動作要件を満たす設置位置のデータで構成されるモデル構成を生成する組み合わせ探索部と、
前記保守データから保守計画を生成し、初期コストと、電気コストと、保守コストとの合計として、評価期間にわたって累積された総コストを計算し、前記モデル構成、前記保守計画と、前記総コストから流体機械及び保守モデルを生成するコスト評価部と、
前記コスト評価部で生成した前記流体機械及び保守モデルを、予め定めた基準で選択する後処理部とを有する流体機械の評価装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、機種・設置位置の選定、保守計画について、ユーザが評価することができる流体機械の評価装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例1における評価装置の構成を示す図である。
図2】実施例1における入力情報を示す図である。
図3】空気圧縮機データベースの具体例を示す図である。
図4】保守データベースの具体例を示す図である。
図5】配管網レイアウトの具体的な例を示す図である。
図6】実施例1における入力項目の入力画面の一例を示す図である。
図7】実施例1における全体処理を示す図である。
図8A】組み合わせ探索の処理フローチャートである。
図8B】組み合わせ探索で生成されるモデル構成の一例を示す図である。
図9A】コスト評価の処理フローチャートである。
図9B】コスト評価で生成された空気圧縮機及び保守モデルの一例を示す図である。
図10】実施例1における出力画面の一例を示す図である。
図11】実施例2における評価装置の構成を示す図である。
図12】実施例2における入力項目を示す図である。
図13】実施例2における評価項目の入力手段の一例を示す図である。
図14】実施例2における全体処理を示す図である。
図15】実施例2におけるデザインスコア計算の処理フローチャートである。
図16】実施例2における空気圧縮機テーブルの一例を示す図である。
図17】実施例2における出力表示の一例を示す図である。
図18】実施例2における評価項目を変更する入力画面の一例を示す図である。
図19】実施例3における評価装置の構成を示す図である。
図20】実施例4における入力項目の入力画面の一例を示す図である。
図21】実施例5における評価装置の構成を示す図である。
図22】実施例5における全体処理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、5つの実施例で構成される。実施例1と実施例2との差は、本発明が流体機械の機器及び保守計画をどのように評価するかにある。詳細は後述するが、評価処理の結果の差は、後処理部がコスト最適化による選択か、選択された評価項目によるランキングによる選択かによるものである。実施例1及び実施例2の他の実施例との差は、主に、後処理部を実装するために使用する機器(サーバー(server)、パーソナルコンピュータ(PC(personal computer))又はその両方)とユーザの入力手段にある。
【0013】
実施例1を最初に説明し、その後、先行する実施例との相違点を中心にして記載された他の実施例について説明する。
【0014】
以下、空気圧縮機(以下、単にAC(交流圧縮機(複数も含む)とも称する)を流体機械の例として用いて実施例を説明する。空気圧縮機は、大気よりも高い圧力の圧縮空気を生成する流体機械の一種である。本発明は、圧縮空気以外の流体を供給する流体機械にも適用することができる。
【実施例1】
【0015】
(評価装置)
評価装置1の構成を、図1に示す。評価装置1は、例えば、工場にサービスを提供する製品及びサービス会社によってウェブアプリケーションを介して操作される。ウェブアプリケーションによって操作すれば、デバイスへアクセスが便利になる。
【0016】
評価装置1は、端末装置11と、入出力装置21を有するサーバー13に接続されたディスプレイ12と、記憶装置22と、CPU(Central Processing Unit)23と、メモリ24とから構成されている。
【0017】
データ記録部としての記憶装置22は、入力31及び出力32の情報を記憶する。
【0018】
メモリ24は、組み合わせ探索部41及びコスト評価部42で構成される主処理ステップと、組み合わせ選択部43で構成される後処理部を保持する。
【0019】
処理部としてのCPU23は、プロセッサーである。CPU23が、メモリ24に記録される組み合わせ探索部41及びコスト評価部42、組み合わせ選択部43といったプログラムを呼び出して、組み合わせ探索処理部、コスト評価処理部、組み合わせ選択処理部といった各処理を実行する。
【0020】
(入力)
図2は、入力31のデータ構成を示す図である。入力31は、空気圧縮機データベースD1、保守データベースD2、配管網レイアウトI1、動作要件I2、評価期間I3、及び工場スケジュールI4(工場が稼働するスケジュール)を含む。これらのデータは、保守計画を有する流体機械を生成及び評価するのに不可欠である。各入力項目の詳細については後述する。
【0021】
空気圧縮機データベースD1は、図3とともに説明する。空気圧縮機データベースD1は、流体機械モデル識別子としてのモデル名D101、流体機械モデル識別子に対応したコストD102、吐出し圧力D103、流量D104、定格電力D105、潤滑油D106、モータ種別D107、乾燥機D108、周波数D109等の空気圧縮機モデルの製品仕様データを含む。空気圧縮機データベースD1は、空気圧縮機モデルを選択するために必要である。流体機械モデル識別子は、ここではモデル名として説明するが空気圧縮機などの流体機械を識別できる識別子であればモデル名に限らない。
【0022】
保守データベースD2は、図4に記載する。保守データベースD2は、保守サービス識別子としての保守サービス61、及び、その保守サービス61に対応するサービス内容を保持する。サービス内容としては、サブカテゴリ(複数を含む)62の情報を含み、対応する年間稼働時間63、初期導入費用64、及び年間費用(年間保守サービス費用)65を有する。
【0023】
保守サービス61は、例えば、遠隔による空気圧縮機の監視又は予備品の供給など、空気圧縮機に対して提供される保守サービスの一種である。適用可能な保守サービス61のタイプは、空気圧縮機モデルに依存するため、保守データベースD2は空気圧縮機モデルに従って分類される。図4には、型名AA D115を有する空気圧縮機モデルに対して適用可能な保守サービス61の情報が示されている。保守サービス61には、計画1、計画2、計画10などが含まれ、その他は、「..」で示す。
【0024】
サブカテゴリ62は、年間稼働時間63のレベルに従って、初期導入費用64及び年間費用65の価格を決定する保守サービス61の分類である。
【0025】
初期導入費用64は空気圧縮機の設置に伴うコスト、例えば、空気圧縮機の設備コストや建設費である。初期導入費用64は、「-」によって示される0もあり得る。なお、初期導入費用64を有する保守サービス61は、提供される保守サービスに初期導入作業も含むことを意味する。
【0026】
年間費用65は、空気圧縮機の保守に起因する年間コストである。
【0027】
保守データベースD2は、空気圧縮機の保守計画を選択するために必要である。
【0028】
空気圧縮機データベースD1及び保守データベースD2を通して、本発明は、いくつかの情報を集中させて「ユーザ」が大きなデータを管理しやすくすることができる。「ユーザ」は、評価装置のオペレータである。
【0029】
配管網レイアウトI1を図5に記載する。図5は、末端機器L1のような末端機器(圧縮空気によって駆動される機器)のネットワーク接続、及び配管P1のようなパイプ(圧縮空気を供給するパイプ)の配管網接続を示す工場レイアウト71のグラフ表示である。領域72を提示することによって、例えば、圧縮室など、空気圧縮機などの流体機械を配置するポイント(複数を含む)の情報が含まれる。図5では、P1やP2で流体機械を配置する位置を示す。工場レイアウト71の構成要素の寸法を示すためのスケール73が追加的に提示される。図5では、このスケールは、工場レイアウト71の長さに対応する「100m」の測定値によって示されている。配管網レイアウトI1を使用して、ユーザは、実際の工場を訪問することによって従来実装されている配管網情報を収集する時間を節約する。
【0030】
動作要件I2は、末端機器及び空気圧縮機の製品仕様に関する動作要件を記述する情報である。この情報は、ユーザのニーズに応じて空気圧縮機を作成するためにユーザが規定する。末端機器に対する動作要件I2は、時間に沿った圧縮空気の圧力及び流量データの情報を含む。圧力データ及び流量データは、空気圧縮機が工場内で圧縮空気を供給しなければならない圧力及び流量に対するユーザの要求をそれぞれ規定する。これらのデータは、実際の測定値から、又はユーザが投影したデータのような他の情報源からのものであり得る。
【0031】
空気圧縮機に対する動作要件I2は、ユーザが選択した空気圧縮機の仕様を含む。
【0032】
評価期間I3は、ユーザによって規定された空気圧縮機の総コストを計算する時間帯である。
【0033】
工場スケジュールI4は、1年間に工場が稼働される期間である。例えば、工場が1年に250日間稼働される場合、工場スケジュール値は、日/年の単位で250となる。
【0034】
(入力画面)
図6は、入力情報をユーザに変更させて確認する入力手段としてのディスプレイ12に表示される入力画面の一例を示す図である。この入力画面は、追加する情報を分類するためにタブ(例えば、タブ81、タブ82、タブ83、タブ84)に分割されている。これにより、ユーザは、どの情報が必要であるかを容易に認識することができる。ユーザは、例えばボタン91をクリックしてファイルを開いてアップロードすること、例えばボタン93をクリックして選択肢を選択すること、又は例えばテキストウィンドウ94内に値をタイプすることなどによって、情報を追加することができる。
【0035】
タブ81において、ユーザは、配管網レイアウトI1を開き、アップロードすることができる。
【0036】
タブ82において、ユーザは、動作要件I2の情報を追加することができる。「末端機器1」セクションでは、ユーザは、圧力及び流量データを含むファイルを開くことができる。なお、ユーザは、ボタン92をクリックすることによって、他の末端機器の圧力及び流量データを追加することができる。
【0037】
図6の「圧縮機仕様」セクションでは、ユーザが、動作要件I2において空気圧縮機に対する製品仕様を規定することができる。これらの製品仕様には、潤滑油D106、周波数D109、モータ種別D107、及び乾燥機D108が含まれるがこれらに限定されるものではない。
【0038】
潤滑油D106は、空気圧縮機の潤滑のタイプについての仕様である。周波数D109は、空気圧縮機の電気周波数の仕様である。モータ種別D107は、空気圧縮機のモータ動作の種類についての仕様である。乾燥機D108は、空気圧縮機が内蔵された乾燥機を有しているかいないかの仕様である。
【0039】
ユーザは、各空気圧縮機仕様に対して2つ以上の選択肢を選択することができる。
【0040】
タブ83では、ユーザは、評価期間I3を規定することができる。
【0041】
タブ84では、ユーザは、工場スケジュールI4を規定することができる。
【0042】
ユーザは、実行ボタン85をクリックすることによって、入力情報を確認し、評価処理を続行することができる。
【0043】
なお、ユーザは、空気圧縮機データベースD1及び保守データベースD2を変更する手段を有していない。
【0044】
(処理方法)
全体の処理を図7に沿って説明する。まず、入力31のデータは、組み合わせ探索部41及びコスト評価部42に送られる。
【0045】
組み合わせ探索部41は、空気圧縮機データベースD1、動作要件I2、配管網レイアウトI1、及び工場スケジュールI4の情報を受信する。受信された入力情報に基づいて、組み合わせ探索部41は、流体機械モデル識別子及び動作要件を満たす流体機械の設置位置のデータで構成されるモデル構成411を生成する。
【0046】
次に、組み合わせ探索部41からのモデル構成411と、入力31からの評価期間I3、保守データベースD2、空気圧縮機データベースD1、及び配管網レイアウトI1のデータを用いて、コスト評価部42は、空気圧縮機及び保守モデル420のデータを生成する。
【0047】
最後に、組み合わせ選択部43は、コスト評価部42からのデータを評価して、空気圧縮機テーブルU1、コスト評価図U2、及び空気圧縮機のレイアウト図U3を生成する。
【0048】
出力32は、空気圧縮機テーブルU1、コスト評価図U2、及びレイアウト図U3を記憶装置22に記憶する。
【0049】
ここでは、生成されたデータの詳細及び組み合わせ探索部41、コスト評価部42、及び組み合わせ選択部43の処理について説明する。
【0050】
(組み合わせ探索)
図8Bは、組み合わせ探索部41で生成されるモデル構成411の一例を示す図である。モデル構成411は、異なる組み合わせT01、空気圧縮機組み合わせX1、及び位置X2のデータで構成される。
【0051】
組み合わせT01は、異なる空気圧縮機組み合わせX1の識別番号である。
【0052】
空気圧縮機組み合わせX1は、選択された空気圧縮機モデル又はモデル名D101を用いて識別された空気圧縮機モデルの組み合わせである。
【0053】
位置X2は、配管網レイアウトI1で参照することができるシンボルによって識別される工場内に空気圧縮機組み合わせX1を設置することができる特定の領域を示す。
【0054】
モデル構成411をどのように生成するかの詳細は、図8Aに沿って説明する。
【0055】
ステップS11では、組み合わせ探索部41は、フィルタ処理された空気圧縮機データベースD1を作成する。ステップS11を実装する方法は、動作要件I2においてユーザが選択する製品仕様のいずれも満たさない空気圧縮機モデル(複数も含む)の情報を除去することにより、フィルタ処理された空気圧縮機データベースD1を作成することである。
【0056】
例えば、「オイルフリー」が潤滑油D106に対してユーザが選択した仕様である場合、対応する潤滑が「オイルフリー」ではないので、空気圧縮機モデル「YY」及び「ZZ」の情報は空気圧縮機データベースD1(図3)から排除される。組み合わせ探索部41は、圧力及び流量データなどの入力31の他の情報に基づいても除去することができる。
【0057】
ステップS12では、組み合わせ探索部41は、モデル構成411を生成する。具体的には、まず、組み合わせ探索部41は、ステップS11で作成されたフィルタ処理された空気圧縮機データベースD1から空気圧縮機組み合わせX1を選択する。
【0058】
空気圧縮機組み合わせX1を選択する方法は、空気圧縮機モデル又は空気圧縮機モデルの組み合わせの流量D104が、動作要件I2における流量データによって示される流量のユーザ要件を満たすかどうかをチェックすることによる。空気圧縮機組み合わせX1は、所与の流量データに対して組み合わせ探索部41によって選択することができる。
【0059】
なお、フィルタ処理された空気圧縮機データベースD1を使用して空気圧縮機組み合わせX1を選択することにより、空気圧縮機データベースD1における不要な情報の検査が回避されるので、組み合わせ探索部41は、結果をより迅速に生成することができるようになる。
【0060】
第2に、組み合わせ探索部41は、生成されたすべての空気圧縮機組み合わせX1に対して、識別、組み合わせT01を割り当てる。
【0061】
第3に、組み合わせ探索部41は、位置X2を選択する。位置X2を選択する方法は、例えば、領域72が配管網レイアウトI1内に位置する場所を分析することによる。
【0062】
長さD111及び幅D112のような他の要素は、空気圧縮機組み合わせX1及び位置X2を選択するものと考えることができる。
【0063】
最後に、組み合わせ探索部41は、選択された空気圧縮機組み合わせX1、選択された位置X2、及び割り当てられた組み合わせT01の情報を使用して、モデル構成411(図8B)を生成する。
【0064】
全体として、組み合わせ探索部41は、モデル構成411を生成することによって、従来は首尾よく完了するためには十分な時間及び専門知識を必要としていた、動作に対する要件を満たす空気圧縮機モデルを選択するタスクを容易にする。
【0065】
(コスト評価)
図9Bは、コスト評価部42において生成された空気圧縮機及び保守モデル420の一例を示す。これは、組み合わせT11、空気圧縮機組み合わせX1、位置X2、稼働率423(以下、OR423とも称する)、保守計画422、及び総コスト421で構成される。なお、空気圧縮機組み合わせX1及び位置X2は、モデル構成411からのデータである。図9Bにおいて他のデータをどのように生成するかの処理を、図9Aに沿って説明する。
【0066】
ステップS21では、コスト評価部42は、「消費電力」及びOR423のデータを取得する。「消費電力」とは、空気圧縮機の動作により消費される電力の量である。OR423は、空気圧縮機の動作時間と稼働中の工場の稼働時間との比で規定される空気圧縮機の動作負荷であり、動作時間は同じ期間内で評価される。
【0067】
消費電力及びOR423は、総コスト421を計算するために必要である。具体的には、このステップでは、コスト評価部42は、例えば特許文献1に記載されたネットワークシミュレータ(以下、NWSとも称する)に、モデル構成411のデータを用いて配管の圧力低下である圧力損失をシミュレートするように促す。
【0068】
配管網レイアウトI1のような、入力31における他の必要な情報を使用してこのシミュレーションを完了させてもよい。NWSを適用することにより、ユーザは手動計算又は推定を行う代わりに、圧力損失から消費電力を計算し、空気圧縮機の空気流量などからOR423用の正確なデータを迅速に得ることができる。
【0069】
ステップS22において、コスト評価部42は、保守計画422を生成する。具体的には、コスト評価部42は、全ての空気圧縮機組み合わせX1に対して、保守サービス61及びサブカテゴリ62を選択する。このステップにより、ユーザは、空気圧縮機の評価と同様に早く、保守作業の計画を自動的に生成することができる。
【0070】
保守サービス61を選択する方法は、空気圧縮機組み合わせX1に適用可能な全ての保守サービス61を拾い上げることによる。適用可能なサービスは、保守データベースD2を使用してチェックされる。
【0071】
サブカテゴリ62を選択する方法は、ステップS21で得られたOR423から導き出された空気圧縮機組み合わせの年間稼働時間をチェックすることによる。例えば、AA D115が、NWSから取得したOR423に基づいて、3000時間の年間稼働時間を有する場合、コスト評価部42は、「計画1」、「計画2」、「..」及び「計画10」を含む全ての適用可能な保守サービス61について、サブカテゴリ62として「A」を選択する。
【0072】
なお、コスト評価部42は、空気圧縮機組み合わせX1に対する異なる保守計画422を立てることが可能である。コスト評価部42は、組み合わせT11を割り当てて、異なる空気圧縮機組み合わせX1及び保守計画422によるその変動を識別する。
【0073】
ステップS23では、コスト評価部42は、ステップS21とステップS22で生成されたデータを用いて、総コスト421を計算する。具体的には、コスト評価部42は、組み合わせT11毎に、評価期間I3にわたって累積された「初期コスト」、「電気コスト」、「保守コスト」を集計する。
【0074】
「初期コスト」とは、空気圧縮機の初期導入に関連する総コストであり、例えば、空気圧縮機の購入コストや建設作業などを含む。
【0075】
初期コストの評価は、保守計画422に依存する。保守計画422が、初期費用が0に等しくない保守サービス61及びサブカテゴリ62を示す場合、初期コストは、初期導入費用64とする。或いは、初期コストは、コストD102及び工事など他の初期導入に対するコストに基づいて計算される。
【0076】
「電気コスト」は、ステップS21で生成された消費電力に関連する総コストである。電気コストはまた、OR423及び工場スケジュールI4のような他の要素の関数である。
【0077】
「保守コスト」は、年間費用65などの保守作業に関連するコストである。保守コストは、保守計画422に依存する。
【0078】
なお、保守コスト及び電気コストは、2年から評価期間I3の終了まで、年毎に計算される。
【0079】
ステップS24では、コスト評価部42は、ステップS22、ステップS23、及びモデル構成411からのデータを使用して空気圧縮機及び保守モデル420(図9B)を作成する。
【0080】
(組み合わせ選択)
後処理部としての組み合わせ選択部43は、総コスト421に従って空気圧縮機及び保守モデル420を評価する。具体的には、組み合わせ選択部43は、空気圧縮機及び保守モデル420から予め定めた基準で空気圧縮機の組み合わせを選択する。本実施例では総コスト421が最小となる組み合わせT11を選択する。組み合わせ選択部43は、最終的に、選択された組み合わせT11のデータを使用して以下の処理を実行する。
【0081】
(1)モデル名D101、位置X2、OR423、保守計画422、総コスト421の集計情報を表にする。
(2)評価期間I3に対して総コスト421をプロットする。
(3)配管網レイアウトI1上の位置X2を示す。
【0082】
(1)、(2)、(3)は、それぞれ空気圧縮機テーブルU1、コスト評価図U2、及びレイアウト図U3を生成する。
【0083】
(出力画面)
ディスプレイ12上の出力画面の例を、図10に沿って説明する。表示される情報は、ユーザが、最小限の総コストで空気圧縮機及び対応する保守計画を提案する上での助けとなる。
【0084】
具体的には、ユーザは、空気圧縮機テーブルU1を用いて次のようなものを特定して最小の総コスト421を達成する。
(1)モデル名D101により、どの空気圧縮機モデルを設置するか。
(2)位置X2により、工場内でどの位置に設置するか。
(3)稼働率423により、何れの動作負荷を与えるか。
(4)保守計画422により、どの保守サービスを使用するか。
【0085】
また、コスト評価図U2は、評価期間全体にわたって、ユーザが総コスト及びその要素(初期コスト、保守コスト、及び電気コスト)に対する予算計画を提案する助けとなる情報を示している。
【0086】
最後に、レイアウト図U3からの情報は、空気圧縮機を視覚化するのを助ける。空気圧縮機のレイアウト図U3は、位置X2を反映し、所与の配管網レイアウトI1内に空気圧縮機を設置する場所を示す。
【0087】
実施例1によれば、機種・設置位置の選定、保守計画について、ユーザが評価することができる流体機械の評価装置を実現できる。
【実施例2】
【0088】
実施例1によれば、ユーザは、最小限の総コストで空気圧縮機及び保守計画を提案することができるようになる。しかしながら、最小のコストの空気圧縮機及び保守計画にとっては、必ずしも最良の選択肢ではない。実施例2では、ユーザは、総コストだけでなく、例えば、高い信頼性、低い消費電力費、及び低資本コストで設計を達成するための他の要素に基づいて設計を評価する選択肢を有する。実施例1と同じ点は説明を省略する。
【0089】
(評価装置)
図11は、評価装置2の構成を示している。評価装置2は、実施例1と比較して、異なる入力33及び出力34で構成される。メモリ24はまた、デザインスコア計算部44で構成される異なる後処理部を保持する。
【0090】
CPU23が、メモリ24に記録される組み合わせ探索部41及びコスト評価部42、デザインスコア計算部44といったプログラムを呼び出して、組み合わせ探索処理部、コスト評価処理部、デザインスコア計算処理部といった各処理を実行する。
【0091】
(入力)
図12は、入力33を含むデータを示す。このデータは評価項目I5を含む。評価項目I5は、コスト評価部42からのデータを評価するために、デザインスコア計算部44が利用する、評価のためのユーザ選択要素である。評価のためのこれらの要素は、空気圧縮機にとって重要な特性であり、省エネルギーE1、低資本(初期投資の低さ)E2、保守の容易性E3、高い信頼性E4、及び低い総コストE5を含むことができるが、これらに限定されない。
【0092】
評価装置2は、評価項目I5を規定する予め設定された基準を有し、評価項目I5は、例えば、以下のものである。
(1)省エネルギーE1は、例えば、電気コストが最も低い空気圧縮機により例示される。
(2)低資本E2は、例えば、初期コストが最も低い空気圧縮機によって例示される。
(3)保守の容易性E3は、例えば、最も少ない空気圧縮機、最も類似した空気圧縮機、又は最も広範囲の保守計画を有する空気圧縮機によって例示される。
(4)高い信頼性E4は、例えば、最も広範囲の保守計画又は最大数のバックアップ空気圧縮機を有する空気圧縮機によって例示される。
(5)低い総コストE5は、例えば、総コストが最も低い空気圧縮機によって例示される。
【0093】
後で説明するが、この設定基準は、デザインスコア計算部44がベースライン基準を作成するために使用する。
【0094】
(入力画面)
図13は、評価項目I5の入力手段の一例を示す。ユーザは、チェックマークを評価項目選択欄I6に配置し、最後に実行ボタンT08をクリックすることにより評価項目I5を規定する。ここで、例えば、ユーザにより、評価項目I5として、「省エネ」及び「容易な保守」を選択する。
【0095】
(処理方法)
全体の処理を図14に示す。デザインスコア計算部44は、コスト評価部42からの空気圧縮機及び保守モデル420を使用して、空気圧縮機テーブルU11を生成する。ユーザが評価項目I5を規定した後、デザインスコア計算部44は、ランクU4、デザインスコアU5、コスト評価図U6、レイアウト図U7を用いて空気圧縮機を生成する。
【0096】
出力34は、空気圧縮機テーブルU11、ランクU4を有する空気圧縮機、デザインスコアU5、コスト評価図U6、及びレイアウト図U7で構成される。各詳細については後述する。
【0097】
(デザインスコア計算)
デザインスコア計算部44の処理フローチャートを、図15に示す。
【0098】
ステップS31では、デザインスコア計算部44は、評価項目が選択されたか否かを判定する。評価項目は、評価項目I5が図13に示す入力手段を使用してユーザによって既に規定されている場合に選択される。評価項目が選択されていない場合には、デザインスコア計算部44は、ステップS32に進む。或いは、処理はステップS33に進む。
【0099】
ステップS32では、デザインスコア計算部44は、表示用の空気圧縮機テーブルU11を作成する。図16は、空気圧縮機テーブルU11の一例を示す図である。空気圧縮機テーブルU11は、空気圧縮機及び保守モデル420からのデータを含み、このデータは、組み合わせT11、モデル名D101によって識別される空気圧縮機組み合わせX1、位置X2、OR423、保守計画422、及び総コスト421を含む。
【0100】
ステップS33では、デザインスコア計算部44は、特定の空気圧縮機及び保守計画が選択されたか否かを判断する。具体的な空気圧縮機及び保守計画は、例えば、図17に示す出力画面において、ユーザは列T02を規定し、実行ボタンT07をクリックすると選択される。
【0101】
具体的には、組み合わせT11毎に割り当てられたT04と同様のチェックマークをユーザが入れた場合に、列T02を規定する。なお、空気圧縮機及び保守計画を選択することは、組み合わせT11を選択することに対応する。デザインスコア計算部44は、特定の空気圧縮機及び保守モデル420が選択された場合には、ステップS34に進む。或いは、処理はステップS37へ進む。
【0102】
ステップS34では、デザインスコア計算部44は、「ベースライン基準」を生成する。ベースライン基準は、評価項目の特性を規定する新しい基準である。ベースライン基準を作成する方法は、どの組み合わせT11が選択された評価項目I5を最良に例示するかを判断し、組み合わせT11を選択された評価項目I5のベースライン設計として選択することによる。
【0103】
デザインスコア計算部44は、コスト評価部42(図9A)で生成された空気圧縮機及び保守モデル420のデータを、評価項目を規定する予め設定された基準と比較することによって、その評価を行う。例えば、先に述べた予め設定された基準の一例に基づいて、省エネルギーE1が選択された評価項目I5である場合、デザインスコア計算部44は、省エネルギーのベースライン設計として、最も低い電気コストを有する組み合わせT11を選択する。
【0104】
選択されたベースライン設計の特性は、ベースライン基準として設定される。例えば、省エネルギーE1のベースライン基準は、省エネルギーE1の選択されたベースライン設計の電気コストに等しい電気コストである。
【0105】
ステップS35では、デザインスコア計算部44は、選択された評価項目I5ごとにデザインスコアT09を計算する。デザインスコアT09は、評価項目I5を定量化する値である。デザインスコアT09を計算する方法は、まず、ステップS34において、選択された評価項目I5について規定されたベースライン設計に、最大のデザインスコアT09を割り当てることによる。具体的には、可能な限り高いデザインスコアT09が3である場合、省エネルギーE1について3のデザインスコアT09は、省エネルギーE1についてのベースライン設計に割り当てられる。
【0106】
第2に、最小のデザインスコアT09は、ステップS34で作成されたベースライン基準を最も少なく例示する特性を有すると判断された組み合わせT11に割り当てられる。例えば、可能な最小のデザインスコアT09が1である場合、省エネルギーE1に対して1のデザインスコアT09が、ベースライン基準により規定される電気コストと比べ差が最大となる電気コストを有する組み合わせT11に割り当てられる。
【0107】
第3に、最大のデザインスコアT09及び最小のデザインスコアT09について規定された特性を使用してスコアスケールが作成される。このようにして、デザインスコアT09は、相対比較により、選択された評価項目I5の特性を定量化する。相対比較は、組み合わせT11が他の組み合わせT11よりどれ位良い(又は悪い)かを直接に示す。これは、更なる分析が行われない限り、絶対的な比較では達成し得ない。
【0108】
デザインスコアT09の残りは、スコアスケールを使用して計算する。すなわち、デザインスコアT09の値は、組み合わせT11の特性が、最大及び最小のデザインスコアT09の特性をどのように表すかの度合いに比例する。例えば、組み合わせT11の電気コストが、最大(=3)と最小(=1)のデザインスコアT09の電気コストの中間である場合、組み合わせT11は、スコアスケール(=2)の途中の省エネルギーE1のデザインスコアT09が割り当てられる。
【0109】
ステップS35は、選択された評価項目I5に対する全ての組み合わせT11のデザインスコアT09が計算された後に完了する。
【0110】
ステップS36では、デザインスコア計算部44は、表示用のランクU4を有する空気圧縮機テーブルを作成する。具体的には、デザインスコア計算部44は、ステップS35で計算されたデザインスコアに従って、空気圧縮機及び保守モデル420内の組み合わせT11をランキングする。
【0111】
ランキングは、最大の組み合わせデザインスコアを有する組み合わせT11から、最小の組み合わせデザインスコアを有する組み合わせT11まで行われる。デザインスコアによるランキングは、評価装置1とは異なり、生成された空気圧縮機及び保守モデル420の評価を総コスト最小化に限定するものではない。
【0112】
さらに、組み合わせデザインスコアを使用すると、単一評価項目ではなく、複数評価項目に基づいて空気圧縮機及び保守モデル420を評価することが可能になる。詳細は、後述するが、図17は、ランクU4の空気圧縮機テーブルの一例を示す。
【0113】
組み合わせデザインスコアは、選択された評価項目I5の重み付けされたデザインスコアを合計することによって得られる。重み付けされたデザインスコアは、評価項目I5の重みに乗じられたデザインスコアT09である。それぞれの評価項目I5に対するデフォルトの重みは等しい。
【0114】
ユーザは、選択された評価項目I5の重みを変更することができる。このように、ユーザは評価項目の優先度を示すことができる。例えば、ユーザが、省エネルギーE1である空気圧縮機を優先する場合、ユーザは、省エネルギーE1の重量を増加させればよい。ディスプレイ12における評価項目I5の重みを変化させるための入力画面の例を図18に示す。スクロールバー501を使用して、表示領域502に表示される値を修正する。これらの値を使用して選択された評価項目の重みを計算する。
【0115】
ステップS37では、デザインスコア計算部44は、次のように実行する。
(1)計算されたデザインスコアT09を、選択された組み合わせT11のステップS36でプロットする。
(2)単一のプロットで選択された組み合わせT11の評価期間I3に対して総コスト421をプロットする。
(3)別の図で選択された組み合わせT11の配管網レイアウトI1上の位置X2を示す。
【0116】
(1)、(2)、(3)により、デザインスコアU5、コスト評価図U6、及びレイアウト図U7をそれぞれ生成してディスプレイ12に表示する。
【0117】
(出力画面)
ステップS37の後のディスプレイ12上の出力画面の例を図17に示す。この出力画面は、ランクU4、デザインスコアU5、コスト評価図U6、及びレイアウト図U7を有する空気圧縮機テーブルを示す。表示される情報は、ユーザが、評価項目I5によって規定される総コストだけでなく、異なる特性に従って最適化された空気圧縮機及び対応する保守計画を提案する助けとなる。
【0118】
具体的には、ユーザは、ランクU4の空気圧縮機テーブルを用いて、どの空気圧縮機が選択された評価項目I5を最良に達成するかを識別することができ、次の情報を得ることができる。
【0119】
(1)設置する空気圧縮機モデル(モデル名D101から)
(2)空気圧縮機設置位置(位置X2から)
(3)動作負荷(OR423から)
(4)使用する保守サービス(保守計画422から)
(5)評価項目(デザインスコアT09から)に応じた特性の定量測定
上記情報は、空気圧縮機の評価において有用である。
【0120】
さらに、デザインスコアU5は、ユーザがいくつかの空気圧縮機のデザインスコアを比較しやすいように視覚的に支援する。デザインスコアU5は、空気圧縮機の特性の全体像を提供する、選択された評価項目I5の組み合わせデザインスコアを示すのにも役立つ。ここで、レーダーチャートによってカバーされる最大面積を有する組み合わせT11によって、どの空気圧縮機が選択された評価項目I5を最もよく表すかが容易にわかる。
【0121】
コスト評価図U6は、評価期間全体にわたって、ユーザが総コスト及びその要素(初期コスト、保守コスト、及び電気コスト)に対する予算計画を提案する助けとなる情報と、いくつかの空気圧縮機の比較コスト分析を示している。
【0122】
レイアウト図U7は、位置X2を反映して、所与の配管網レイアウトI1において空気圧縮機を設置する場所を示す。レイアウト図U7はまた、いくつかの空気圧縮機の配置を比較するのに役立つ。
【0123】
ボタンT06は、ユーザに、選択された評価項目I5及びデザインスコア計算部44を変更する選択肢を与える。
【0124】
実施例2によれば、総コストだけでなく、例えば、高い信頼性、低い消費電力費、及び低資本コストで設計を達成するための他の要素に基づいてユーザに評価してもらう選択肢を提供できる。
【実施例3】
【0125】
実施例1及び実施例2において、評価装置はウェブアプリケーションを介して操作される。これは、デバイスへの便利なアクセスを可能にするが、計算電力は制限される。実施例3では、結果をより迅速に生成するために、この問題に対処する。
【0126】
以下、実施例3について、デザインスコア計算部44を後処理部として説明する。また、実施例3は、後処理部としての組み合わせ選択部43にも適用される。実施例1もしくは実施例2と同じ点は説明を省略する。
【0127】
(評価装置)
評価装置3の構成の一例を図19に示す。評価装置1及び評価装置2と比較すると、評価装置3は、サーバーの代わりにディスプレイ15に直接接続されたPC14から構成されている。評価装置3は、デスクトップコンピュータのようなPC14にソフトウェアをインストールすることによって操作可能である。
【0128】
評価装置3により、後処理部として、組み合わせ探索部41、コスト評価部42、及びデザインスコア計算部44を、CPU23といったプロセッサーが実行する速度が高速になる。このように、評価装置3は空気圧縮機及び保守モデル420を評価し、出力34をより速く表示する。
【0129】
(入力画面)
入力33の入力手段は、図6のような入力画面を表示することによりディスプレイ15に表示される。
【0130】
(出力画面)
図17のような出力画面が、ディスプレイ15上に表示される。
【0131】
実施例3によれば、実施例1及び実施例2に比べて、評価結果をより迅速に生成できる。
【実施例4】
【0132】
実施例1及び実施例2は、生成されたモデル構成411及び保守計画422を制限することができる空気圧縮機データベースD1及び保守データベースD2の情報をユーザが変更するための入力手段を有していない。
【0133】
実施例4では、ユーザは、空気圧縮機データベースD1及び保守データベースD2を更新する選択肢を有する。この選択肢は、例えば、新しい空気圧縮機及び保守サービスがユーザによって提供される場合、又は古い空気圧縮機及び保守サービスがもはや利用できない場合に有用である。この選択肢により、オペレータが例えば初期導入のサービス会社である場合に、第三者企業の空気圧縮機及び保守サービスの情報を記憶することもできるようになる。実施例1もしくは実施例2と同じ点は説明を省略する。
【0134】
(入力画面)
入力33の入力画面の一例は、図20に沿って説明する。空気圧縮機データベースD1及び保守データベースD2を開いてアップロードする手段は、タブ81に含まれている。これにより、組み合わせ選択部43及びデザインスコア計算部44は、単一製品及びサービス会社の情報だけでなく、第三者企業も利用して、空気圧縮機及び保守モデル420を評価することができる。
【0135】
(出力画面)
また、空気圧縮機データベースD1及び保守データベースD2において、第三者企業のデータが入手可能な場合には、他の欄として、会社名などの企業の情報を、U1、U11、U4に追加して表示することができる。このようにして、会社を横断する空気圧縮機及び保守計画の評価も可能である。
【0136】
実施例4によれば、入力画面から空気圧縮機データベースD1及び保守データベースD2の情報をユーザが更新することができる。
【実施例5】
【0137】
実施例1及び実施例2では、サーバーを介して評価装置への便利なアクセスが可能であるが、その処理能力は、利用可能なネットワークに大きく依存する。さらに、実施例3は、より迅速な処理が可能であるが、評価装置3へのアクセスは、ソフトウェアが設置されるPCの空間的位置によって制限される。実施例5では、サーバーとPCの間の処理を分割することによってこれらの問題に対処する。このようにして、便利なアクセス及び迅速な処理が同時に達成される。
【0138】
以下、実施例5について、デザインスコア計算部44を後処理部として説明する。また、実施例5は、後処理部としての組み合わせ選択部43にも適用することができる。実施例1もしくは実施例2と同じ点は説明を省略する。
【0139】
(評価装置)
評価装置4の構成の一例を図21に示す。評価装置4は、ディスプレイ18を有するPC17にネットワークを介して接続されたサーバー16から構成される。
【0140】
サーバー16は、互いに接続されたCPU26と、記憶装置27と、メモリ28とから構成されている。記憶装置27は、データアップロード35及び出力36の情報を記憶する。データアップロード35は、PC17から送信されるデータで構成され、出力36は空気圧縮機及び保守モデル420で構成される。
【0141】
PC17は、相互に接続された入出力装置B29、CPU B26、記憶装置B27、及びメモリB28から構成されている。
【0142】
記憶装置B27は、入力33、出力34、及びデータダウンロード37の情報を記憶する。データダウンロード37は、サーバー16から送信されたデータから構成される。
【0143】
メモリ28は、組み合わせ探索部41及びコスト評価部42を保持し、メモリB28は、デザインスコア計算部44で構成される後処理部を保持する。これにより、サーバー16及びPC17の両方のメモリ装置の処理負荷が分割される。
【0144】
したがって、評価装置4は、工場などのネットワークが限られた場所からサーバー16がアクセスされた場合であっても、容易に処理を行うことができる。同様に、PC17のCPU B26は、メモリB28に保持した後処理部のみを実行するように設計されているので、デスクトップコンピュータの代わりにタブレット又はスマートフォンなどの限定されたメモリを有するポータブルデバイスとすることができる。
【0145】
(入力画面)
図13及び図20に示される例のような入力33(図12)のための入力手段がディスプレイ18上に表示される。
【0146】
(処理方法)
全体の処理を図22に沿って説明する。まず、空気圧縮機データベースD1、保守データベースD2、配管網レイアウトI1、動作要件I2、評価期間I3、工場スケジュールI4が記憶装置にデータアップロード35として送信される。
【0147】
次に、データアップロード35からの空気圧縮機データベースD1、配管網レイアウトI1、動作要件I2、及び工場スケジュールI4の情報を組み合わせ探索部41に送信し、モデル構成411を生成する。
【0148】
第3に、コスト評価部42は、組み合わせ探索部41からモデル構成411、並びにデータアップロード35から評価期間I3、保守データベースD2、空気圧縮機データベースD1、及び配管網レイアウトI1の情報を受け取り、空気圧縮機及び保守モデル420を生成する。
【0149】
第4に、空気圧縮機及び保守モデル420は出力36として記憶され、その後、送信されてデータダウンロード37として記憶される。最後に、デザインスコア計算部44は、データダウンロード37及び評価項目I5において空気圧縮機及び保守モデル420を使用して、出力34を生成する。空気圧縮機及び保守モデル420からPC17へ送信された情報を使用することによって、デザインスコア計算部44は、サーバー16に接続されていない間でも、出力34を生成することができ、例えば図17を表示することができる。
【0150】
(出力画面)
図17のような出力画面が、ディスプレイ18上に表示される。
【0151】
実施例5によれば、実施例1から実施例4に比べて便利なアクセス及び迅速な処理が同時に達成できる。
【0152】
実施例では、流体機械として空気圧縮機を例に説明したが、ポンプやボイラなどの流体機械であっても、上記の実施例は適用できる。
【符号の説明】
【0153】
1、2、3、4 評価装置
11 端末装置
12、15、18 ディスプレイ
13、16 サーバー
14、17 PC
21 入出力装置
22、27、B27 記憶装置
23、26、B26 CPU
24、25、28、B28 メモリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22