(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 29/861 20060101AFI20240319BHJP
H01L 29/868 20060101ALI20240319BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20240319BHJP
H01L 29/739 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
H01L29/91 D
H01L29/78 657D
H01L29/78 655G
(21)【出願番号】P 2020156337
(22)【出願日】2020-09-17
【審査請求日】2022-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】糸数 裕子
(72)【発明者】
【氏名】末代 知子
(72)【発明者】
【氏名】岩鍜治 陽子
(72)【発明者】
【氏名】もたい 貴子
(72)【発明者】
【氏名】河村 圭子
(72)【発明者】
【氏名】布施 香織
【審査官】鈴木 聡一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-067763(JP,A)
【文献】特開2004-186413(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103956388(CN,A)
【文献】国際公開第2021/010000(WO,A1)
【文献】特開2006-049341(JP,A)
【文献】特開2020-047636(JP,A)
【文献】特開2017-135255(JP,A)
【文献】特開2017-050471(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/861
H01L 29/868
H01L 29/78
H01L 29/739
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電形の第1半導体層と、
前記第1半導体層上に設けられ、前記第1半導体層の第1導電形不純物よりも低濃度の第1導電形不純物を含む前記第1導電形の第2半導体層と、
前記第2半導体層の上に設けられ、前記第1半導体層と反対側に第1方向及び前記第1方向と交差する第2方向に延在する第1面を有する第2導電形の第3半導体層と、
前記第2半導体層上に設けられ、前記第1面から前記第2半導体層中に至るまで複数のトレンチの内部に延在する複数の電極と、
前記複数の電極と前記第3半導体層との間および前記複数の電極と前記第2半導体層との間にそれぞれ設けられた複数の第1絶縁膜と、
を備え、
前記複数の電極は、前記第1面において前記第1方向に第1距離ずつ離間して1列に並んだ第1電極群と、前記第1方向に前記第1距離ずつ離間して1列に並び、前記第1電極群と前記第2方向において第2距離離間した第2電極群と、を含
み、
前記第1方向に並ぶ電極の第1列および第2列は、前記第2方向において隣り合い、前記第2列の電極は、それぞれ、前記第1列中の隣り合う電極間のスペースに前記第2方向において隣り合う位置に設けられ
、
前記第1列及び第2列のそれぞれにおいて、前記第1方向に隣り合う電極間の間隔は、前記電極の前記第1方向の長さよりも広い、半導体装置。
【請求項2】
前記第1距離は、前記第1半導体層と前記第3半導体層との間に所定の電圧を印加した時に、前記第2半導体層の前記隣り合う2つのトレンチ間に位置する部分が空乏化する距離以下である請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1距離は、2マイクロメートル以下である請求項1記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1面における前記第3半導体層の面積は、前記第1面における前記複数の第1絶縁膜の面積と前記複数の電極の面積の和よりも広い請求項1~3のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記複数のトレンチは、前記第1方向において第1長さを有し、前記第2方向において
第2長さを有し、
前記第2長さは、前記第1長さよりも短い請求項1~4のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2距離は、1マイクロメートル以下である請求項1~5のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項7】
前記電極のそれぞれは、前記第1面に平行な断面が、円形、円形のリング状、のいずれかである、請求項1~6のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1半導体層に電気的に接続された第2電極と、
第1平面の上に設けられた第2絶縁膜と、
前記第1平面よりも上に設けられ、前記第3半導体層と電気的に接続され、前記第2方向に延在する複数の部分を有する第1配線と、
前記第2絶縁膜上に設けられ、前記複数の電極と電気的に接続され、前記第1配線と前記第1方向に離間し、第2方向に延在する複数の配線と、をさらに備えた請求項1~
5のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1電極群および第2電極群は、前記第3半導体
層中において、前記第1方向に前記第1距離よりも短い第3距離ずつ離間した請求項2または3に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)およびダイオード等の半導体装置は、インバータなどの電力変換器に用いられる。例えば、ダイオードは、所謂、FWD(Free Wheeling Diode)として、IGBTと逆並列に接続される。このような電力変換器の高効率化には、FWDの特性を改善することが重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態は、スイッチング損失を低減し、逆方向耐圧を向上させた半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る半導体装置は、第1導電形の第1半導体層と、第2導電形の第3半導体層と、前記第1導電形の第2半導体層と、複数の電極と、複数の第1絶縁膜と、を備える。第2半導体層は、前記第1半導体層上に設けられ、前記第1半導体層の第1導電形不純物よりも低濃度の第1導電形不純物を含む。第3半導体層は、前記第2半導体層の上に設けられ、前記第1半導体層と反対側に第1方向及び前記第1方向と交差する第2方向に延在する第1面を有する。前記複数の電極は、前記第2半導体層上に設けられ、前記第1面から前記第2半導体層中に至るまで複数のトレンチの内部に延在する。前記複数の第1絶縁膜は、前記複数の電極と前記第3半導体層との間および前記複数の電極と前記第2半導体層との間にそれぞれ設けられる。前記複数の電極は、前記第1面において前記第1方向に第1距離ずつ離間して1列に並んだ第1電極群と、前記第1方向に前記第1距離ずつ離間して1列に並び、前記第1電極群と前記第2方向において第2距離離間した第2電極群と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態に係る半導体装置を示す模式図である。
【
図2】実施形態に係る半導体装置の特性を示す模式図である。
【
図3】実施形態に係る半導体装置の別の特性を示すグラフである。
【
図4】実施形態に係る半導体装置のトレンチ配置を示す模式図である。
【
図5】実施形態の変形例に係る半導体装置のトレンチ配置を示す模式図である。
【
図6】実施形態の別の変形例に係る半導体装置のトレンチ配置を示す模式図である。
【
図7】実施形態の変形例に係る半導体装置を示す模式断面図である。
【
図8】実施形態の別の変形例に係る半導体装置の配線の設け方を示す模式図である。
【
図9】実施形態に係る半導体装置の配線の設け方を示す模式図である。
【
図10】実施形態に係る半導体装置の配線の設け方の別の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。図面中の同一部分には、同一番号を付してその詳しい説明は適宜省略し、異なる部分について説明する。なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
【0008】
さらに、各図中に示すX軸、Y軸およびZ軸を用いて各部分の配置および構成を説明する。X軸、Y軸、Z軸は、相互に直交し、それぞれX方向、Y方向、Z方向を表す。また、Z方向を上方、その反対方向を下方として説明する場合がある。
【0009】
図1(a)および(b)は、実施形態に係る半導体装置1を示す模式図である。
図1(a)は、X-Z平面に沿った断面図である。
図1(b)は、
図1(a)中に示すA-A線に沿った断面を表す平面図である。
【0010】
半導体装置1は、例えば、ダイオードである。半導体装置1は、例えば、IGBTと一体化して用いられる。なお、以下に示す実施形態は例示であり、これらに限定される訳ではない。
【0011】
図1(a)に示すように、半導体装置1は、第1導電形の第1半導体層11と、第1導電形の第2半導体層12と、第2導電形の第3半導体層13と、を備える。第2半導体層12は、第1半導体層11上に設けられる。第3半導体層13は、第2半導体層12上に設けられる。第2半導体層12は、第1半導体層11の第1導電形不純物よりも低濃度の第1導電形不純物を含む。
【0012】
第1半導体層11は、例えば、n形カソード層である。第3半導体層13は、例えば、p形アノード層である。以下の説明では、第1導電形をn形、第2導電形をp形として記載する。
【0013】
半導体装置1は、電極30をさらに備える。電極30は、第3半導体層13の表面から第2半導体層12に至る深さを有するトレンチATの内部に設けられる。電極30は、第3半導体層13中および第2半導体層12中に延在する。電極30は、例えば、導電性のポリシリコンである。電極30は、例えば、絶縁膜33により、第3半導体層13および第2半導体層12から電気的に絶縁される。絶縁膜33は、電極30と第3半導体層13との間、電極30と第2半導体層12との間に設けられる。絶縁膜33は、例えば、シリコン酸化膜である。
【0014】
第1半導体層11は、電極10(カソード電極)に電気的に接続される。第3半導体層13は、電極20(アノード電極)に電気的に接続される。また、電極30は、例えば、電極20に電気的に接続され、第3半導体層13と同電位となる。なお、実施形態は、これに限定される訳ではなく、例えば、電極30は、図示しない別の電極に電気的に接続され、第3半導体層13とは異なる電位にバイアスされても良い。
【0015】
図1(b)に示すように、電極30は、複数設けられ、複数のトレンチATの内部に、それぞれ設けられる。複数の電極30の一部は、例えば、Y方向に並んだ複数の列を構成し、Y方向に並んだ電極30の列がX方向に並ぶ。
【0016】
複数のトレンチATは、例えば、第1半導体層11と第3半導体層13との間に印加される所定の逆バイアス下、例えば、1Vにおいて、第2半導体層12の近接するトレンチAT間に位置する領域が空乏化されるように配置される。すなわち、近接するトレンチAT間がピンチオフするように、近接するトレンチAT間の最大幅WMを設定する。
【0017】
例えば、第2半導体13上の任意の点をおいて、XY平面上にある点を含む直線を引いたとき、異なるトレンチATに挟まれた点を含む線分の長さが近接するトレンチAT間の距離である。トレンチAT間の距離や間隔及びトレンチの長さは、トレンチATの側壁またはトレンチATが有する絶縁膜33の外縁の位置を基準に測定する。第2半導体13上における、近接するトレンチAT間の距離の最大値が最大幅WMである。
【0018】
図2(a)~(c)および
図3は、実施形態に係る半導体装置1の特性を示す模式図である。
図2(a)~(c)および
図3は、トレンチATの深さを、例えば、5.5μmとした場合の隣り合うトレンチAT間の表面からトレンチ底部までの断面図である。
図2(a)~(c)は、所定の逆バイアス下、例えば、1Vにおける第3半導体層13中および第2半導体層12中の空乏層をそれぞれ表している。
図3は、半導体装置1の逆方向耐圧を表すグラフである。
【0019】
図2(a)~(c)に示すように、隣り合うトレンチAT間の間隔(
図1参照)は、それぞれ1.6マイクロメートル(以下、μm)、2.0μmおよび2.5μmである。各図中に示す等電位面は、空乏層の広がりを表している。
【0020】
図2(a)および(b)に示すように、隣り合うトレンチAT間の間隔1.6μm、2.0μmでは、第2半導体層12の隣り合うトレンチAT間に位置する部分は空乏化される。一方、
図2(c)に示すように、隣り合うトレンチAT間の間隔2.5μmでは、第2半導体層12は、隣り合うトレンチAT間において、空乏化されない部分を含む。
【0021】
図3は、隣り合うトレンチATの間隔と逆方向耐圧(ブレークダウン電圧)との関係を表している。
図3に示すように、ブレークダウン電圧は、WMが広くなるほど低下する。
【0022】
実施形態に係る半導体装置1は、逆方向耐圧およびアノード・カソード間の破壊耐量を確保するために、トレンチ構造を有する電極30を備える。しかしながら、電極30を設けることにより、第2半導体層12のX-Y平面における面積が狭くなる。このため、電極30を設けない場合に比べて、キャリアの導通経路が狭まり、第3半導体層13中のキャリア密度(電子および正孔の密度)が高くなる。
【0023】
例えば、インバータなどの電力変換装置では、オン電圧(導通状態での電圧降下)、リカバリ時間(リバースリカバリ時のリカバリ電流の消滅時間)、リカバリ時の安全動作領域(リバースリカバリ電流が流れている状態で電圧が印加されても破壊しない動作領域)、およびリカバリ時の電流・電圧振動等の特性を改善することが望まれる。なかでも、リカバリ時間を短縮しつつ、リカバリ時の安全動作領域を広くすることは重要である。
【0024】
半導体装置1では、電極30を配置したトレンチATを設けることにより、その底部において均一なアバランシェ現象を生じさせ、破壊耐量を向上させることができる。さらに、隣り合うトレンチAT間の間隔WMを、逆バイアス印加時にピンチオフする間隔よりも狭くすることにより、逆方向耐圧を向上させることができる。
【0025】
しかしながら、トレンチATを形成することにより、第2半導体層12および第3半導体層13中のキャリア密度が高くなる。このため、オン状態からオフ状態へ移行するリカバリ特性が劣化し、電極30を設けない場合に比べてリカバリ損失が大きくなる。
【0026】
そこで、半導体装置1では、第3半導体層13のX-Y断面におけるトレンチATの占有比率を小さくすることにより、第3半導体層13から第2半導体層12へ注入される正孔の密度を低下させる。これにより、逆方向耐圧および破壊耐量の低下を抑制しつつ、リカバリ損失を低減することができる。
【0027】
図4(a)および(b)は、実施形態に係る半導体装置1の構成を例示する模式平面図である。
図4(a)および(b)は、トレンチATの配置を例示する平面図である。なお、以下に示すトレンチATの配置図では、電極30、絶縁膜33および第3半導体層13を省略している。
【0028】
図4(a)に示すように、トレンチATは、例えば、辺がX方向及びY方向に延びる長方形のX-Y断面を有する。複数のトレンチATはY方向に並んで列をなし、X方向に並んで行をなすことでマトリクス状に配置される。トレンチATのY方向の長さLYは、X方向の長さLXよりも長い。隣り合うトレンチAT間の間隔は、例えば、複数のトレンチATの配列の対角方向において最大となる。対角方向とは、X方向にLX+WDX、Y方向にLY+WDYを足し合わせた方向である。最大間隔WMは、例えば、対角方向に近接するトレンチATの端部間の距離であって、2μm以下である。
【0029】
図4(b)に示す例では、複数のトレンチATのうちのY方向に並ぶ第1列に含まれるトレンチATは、第1列に隣り合う第2列のトレンチAT間のスペースとX方向において並ぶように配置される。複数のトレンチATはY方向並んで列をなし、X方向に並んで行をなすことでマトリクス状に配置される。また、Y方向において隣り合うトレンチAT間の間隔WDYは、トレンチATのY方向の長さLYよりも狭い。さらに、WDXは、例えば、1μm以下である。この場合、隣り合うトレンチAT間の間隔WMは、Y方向において隣り合うトレンチATの間で最大となる。隣り合うトレンチATの間隔WMは、例えば、2μm以下である。
【0030】
図5(a)および(b)は、実施形態の変形例に係る半導体装置1の構成を例示する模式図である。
図5(a)および(b)は、トレンチATの配置を例示する平面図である。
【0031】
図5(a)に示すように、複数のトレンチATのうちのY方向に並ぶ第1列に含まれるトレンチATは、第1列に隣り合う第2列のトレンチAT間のスペースとX方向において並ぶように配置される。Y方向において隣り合うトレンチAT間の間隔WDYは、トレンチATのY方向の長さLYよりも広い。さらに、WDXは、例えば、1μm以下である。この場合も、隣り合うトレンチAT間の間隔WMは、Y方向において隣り合うトレンチATの間で最大となる。隣り合うトレンチAT間の間隔WMは、例えば、2μm以下である。
【0032】
図5(b)に示すように、トレンチATは、例えば、円形のX-Y断面を有するように設けられても良い。トレンチATは、例えば、その配置の対角方向に並ぶ。対角方向において隣り合うトレンチAT間の間隔WMは、例えば、2μm以下である。
【0033】
図6(a)および(b)は、実施形態の別の変形例に係る半導体装置1の構成を示す模式図である。
図6(a)および(b)は、トレンチATの配置を例示する平面図である。
【0034】
図6(a)に示すように、トレンチATは、例えば、円形のリング状の断面を有するように設けられても良い。トレンチATは、第3半導体層13の一部および第2半導体層12の一部を囲むように設けられる。トレンチATは、例えば、その配置の対角方向に並ぶ。対角方向において隣り合うトレンチAT間の間隔WMは、例えば、2μm以下である。さらに、トレンチATの内径は、例えば、2μm以下である。
【0035】
図6(b)に示すように、トレンチATは、例えば、六角形のリング状の断面を有する。トレンチATは、例えば、その配置の対角方向に並ぶ。対角方向において隣り合うトレンチAT間の間隔WMは、例えば、2μm以下である。さらに、トレンチ内径は、例えば2μm以下である。なお、トレンチATの断面の外形は、六角形に限定される訳ではなく、他の多角形でもよい。
【0036】
上記のトレンチATの配置において、トレンチATのX-Y断面積の合計は、例えば、第3半導体層13のX-Y平面における面積よりも狭いことが好ましい。これにより、第3半導体層13から第2半導体層12へ注入される正孔の密度を低減することが可能となり、第2半導体層12中のキャリア密度を低下させることができる。
【0037】
図7(a)および(b)は、実施形態の変形例に係る半導体装置2および3を示す模式図である。
【0038】
図7(a)に示す半導体装置2では、トレンチATは、第2半導体層12中に位置する底部のX方向の幅が、第3半導体層13中に位置する部分のX方向の幅よりも広い逆テーパ状に設けられる。トレンチATの内部に設けられる電極30も同様のX-Y断面形状を有する。
【0039】
半導体装置2では、隣り合うトレンチATの底面間においてX方向の間隔WMが確保される。間隔WMは、逆バイアス下においてピンチオフする間隔である。これに対し、第3半導体層13のX方向の幅は、トレンチATの底面間の間隔WMよりも広くなる。
【0040】
図7(b)に示す半導体装置3では、トレンチATは、第2半導体層12中に位置する部分のX方向の幅が、第3半導体層13の上部に位置する部分のX方向の幅よりも広くなるように設けられる。トレンチATの内部に設けられる電極30も同様のX-Y断面形状を有する。
【0041】
半導体装置3では、隣り合うトレンチATの第2半導体層12中に位置する部分間においてX方向の間隔WMが確保される。間隔WMは、逆バイアス下においてピンチオフする間隔である。これに対し、第3半導体層13の上部のX方向の幅は、間隔WMよりも広い。
【0042】
このように、半導体装置2および3では、複数のトレンチATは、隣り合うトレンチATのそれぞれの底部の間隔WMがピンチオフする間隔よりも狭くなるように配置される。第3半導体層13の上部の間隔は、WMよりも広くできるため、X-Y平面における第3半導体層13の占有率を大きくすることでキャリア密度低減が可能となる。
【0043】
図8は、実施形態に係る半導体装置4の配線40の設け方を示す模式図である。
半導体装置4は、
図1に示す半導体装置1と同様に、第3半導体層13と電極30とが配線40によって電気的に接続される。配線40は、たとえば、第3半導体層13、電極30、及び絶縁膜33の上に設けられた金属膜である。配線40はアノード電極20に接続される。実施形態に係る半導体装置は、いずれも
図8のように配線40を設けることができる。
【0044】
図9(a)及び(b)は、実施形態に係る半導体装置5の配線の設け方を示す模式図である。実施形態に係る半導体装置5では、第3半導体層13と電極30とに異なる電位が印加できる。半導体装置5は、半導体装置1の構成に加え、絶縁膜50、配線40A、及び配線40Bをさらに有する。
図9(a)は、
図4(a)に示す半導体装置の構成に、配線40Aおよび40Bを設けた例を示す模式平面図である。
図9(b)は、
図9(a)中に示すB-B線に沿った断面図である。
【0045】
絶縁膜50が、第3半導体層13、電極30、及び絶縁膜33の上に設けられる。配線40A(
図9(a)中に一点破線で示す)は、絶縁膜50上に、X方向に延在して設けられる。複数の配線40Aは、Y方向に延在する電極20Aと接続される。
【0046】
配線40Aは、絶縁膜50を貫通するコンタクト30c(
図9(a)中に斜線部で示す)を介して、複数の電極30に接続される。配線40Aは、第3半導体層13と電気的に分離される。
【0047】
配線40Bは、絶縁膜50上にX方向に延在して設けられる。配線40B(
図9(a)中に破線で示す)は、絶縁膜50を貫通するコンタクト13cを介して、第3半導体層13に接続される。複数の配線40Bは、Y方向に延在する電極20Bと接続される。配線40Bは、電極30と電気的に分離される。配線40Aと配線40Bとは、Y方向において離間して設けられ、電気的に絶縁される。配線40Aと配線40Bとは、Y方向において互いに交互に設けられる。配線40Aおよび配線40Bは、例えば、金属膜である。
【0048】
図10は、実施形態に係る半導体装置5の配線40の設け方の別の例を示す模式図である。
図10は、
図4(b)に示す半導体装置の構成に配線40Aおよび40Bを設けた例を示す模式平面図である。
図10では、配線40Bのコンタクトを省略して示す。
【0049】
図10に示すように配線40Aのコンタクト30cがトレンチATのY方向端部に設けられることで、コンタクト30cをトレンチATの中央に設けるよりも、配線40Aの占有面積に対するコンタクト面積の割合を大きくすることができる。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0051】
1、2、3…半導体装置、 10、20、20A、20B、30…電極、 11…第1半導体層、 12…第2半導体層、 13…第3半導体層、 13c、30c…コンタクト、 33、50…絶縁膜、 40、40A、40B…配線、 AT…トレンチ