(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/34 20060101AFI20240319BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20240319BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
G01C21/34
G08G1/00 A
G09B29/10 A
(21)【出願番号】P 2020169170
(22)【出願日】2020-10-06
【審査請求日】2023-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】501271479
【氏名又は名称】株式会社トヨタマップマスター
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】太田 洋介
(72)【発明者】
【氏名】浜野 修輔
(72)【発明者】
【氏名】北村 竜義
(72)【発明者】
【氏名】山下 由美子
(72)【発明者】
【氏名】大崎 新太郎
(72)【発明者】
【氏名】山田 哲
【審査官】上野 博史
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-233725(JP,A)
【文献】特開2007-024833(JP,A)
【文献】特開2019-120601(JP,A)
【文献】特開2020-153919(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/34
G08G 1/00
G09B 29/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に関する車両情報に含まれる車両の移動に関する移動経路情報に基づいた、車両に対して移動経路を案内する際に探索された移動経路と、車両の実際の移動経路と
に応じた点数を加点する又は減点する評価を車両に対して行い、当該評価の点数が閾値以上の車両を、経路差が相対的に大きい車両
として特定する特定部と、
出発地と目的地との間の移動経路としての複数の第1移動経路を新たに生成する場合、前記特定部によって特定された車両の過去の移動経路情報に基づいて、前記出発地と前記目的地との間の少なくとも一部の移動経路としての第2移動経路を複数取得する取得部と、
前記取得部によって取得した第2移動経路に基づいて第1移動経路を生成する生成部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記特定部は、車両の実際の移動経路に基づいて、車両が走行する地域を、車両の走行回数が相対的に多い日常圏と、車両の走行回数が相対的に少ない非日常圏とに分割し、日常圏を走行する際の移動経路情報に基づいて、前記経路差が相対的に大きい車両を特定する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記特定部は、予め設定される、車両を安全に運転する際の安全運転基準を満たす車両の移動経路情報に基づいて、前記経路差が相対的に大きい車両を特定する
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記特定部は、車両の実際の移動経路に基づき車両が細街路を走行する回数が相対的に少ない場合、当該車両の移動経路情報に基づいて前記経路差が相対的に大きい車両を特定する
請求項1~3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記特定部は、車両の実際の移動経路の第1交通状況と、前記車両が
実際の移動経路を走行した際の出発時点で探索された移動経路の第2交通状況とを比較し、車両の実際の移動経路の第1交通状況が第2交通状況よりも良い場合には
実際の移動経路を走行した
車両の点数を加点する
請求項1~4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記特定部は、第1交通状況が良い場合として、車両の実際の移動経路に渋滞がない場合には当該
実際の移動経路を走行した
車両の点数を加点する
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
コンピュータが、
車両に関する車両情報に含まれる車両の移動に関する移動経路情報に基づいて、車両に対して移動経路を案内する際に探索された移動経路と、車両の実際の移動経路と
に応じた点数を加点する又は減点する評価を車両に対して行い、当該評価の点数が閾値以上の車両を、経路差が相対的に大きい車両
として特定する特定ステップと、
出発地と目的地との間の移動経路としての複数の第1移動経路を新たに生成する場合、前記特定ステップによって特定された車両の過去の移動経路情報に基づいて、前記出発地と前記目的地との間の少なくとも一部の移動経路としての第2移動経路を複数取得する取得ステップと、
前記取得ステップによって取得した第2移動経路に基づいて第1移動経路を生成する生成ステップと、
を実行する情報処理方法。
【請求項8】
コンピュータに、
車両に関する車両情報に含まれる車両の移動に関する移動経路情報に基づいて、車両に対して移動経路を案内する際に探索された移動経路と、車両の実際の移動経路と
に応じた点数を加点する又は減点する評価を車両に対して行い、当該評価の点数が閾値以上の車両を、経路差が相対的に大きい車両
として特定する特定機能と、
出発地と目的地との間の移動経路としての複数の第1移動経路を新たに生成する場合、前記特定機能によって特定された車両の過去の移動経路情報に基づいて、前記出発地と前記目的地との間の少なくとも一部の移動経路としての第2移動経路を複数取得する取得機能と、
前記取得機能によって取得した第2移動経路に基づいて第1移動経路を生成する生成機能と、
を実現させる情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ナビゲーション装置等の車両の移動経路を案内する装置が存在する。特許文献1に記載された技術は、車両の位置情報及び時刻情報を記録した走行履歴に基づいて、2地点間を結ぶ異なる複数の移動経路を抽出すると共に、それらの移動経路それぞれの所要時間を算出する。特許文献1に記載された技術は、得られた移動経路及び所要時間を車両の現在位置に関連付けてユーザに提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ナビゲーション装置は、出発地と目的地とを結ぶ移動経路をドライバに提供する。しかし、ドライバは、ナビゲーション装置によって提供される移動経路に従って車両を走行させず、自身の知見等に基づいて出発地から目的地まで車両を走行させる場合がある。このようなドライバは、道路及び交通状況に詳しいと考えられる。そのドライバの移動経路を利用して車両を走行させると、ナビゲーション装置によって提供される移動経路に従って車両を走行させるよりも、早く目的地まで到着する場合がある。
【0005】
本発明は、ドライバの知見等を利用して移動経路を生成する情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様の情報処理装置は、車両に関する車両情報に含まれる車両の移動に関する移動経路情報に基づいて、車両に対して移動経路を案内する際に探索された移動経路と、車両の実際の移動経路との経路差が相対的に大きい車両を特定する特定部と、出発地と目的地との間の移動経路としての複数の第1移動経路を新たに生成する場合、特定部によって特定された車両の過去の移動経路情報に基づいて、出発地と目的地との間の少なくとも一部の移動経路としての第2移動経路を複数取得する取得部と、取得部によって取得した第2移動経路に基づいて第1移動経路を生成する生成部と、を備える。
【0007】
一態様の情報処理装置では、特定部は、車両の実際の移動経路に基づいて、車両が走行する地域を、車両の走行回数が相対的に多い日常圏と、車両の走行回数が相対的に少ない非日常圏とに分割し、日常圏を走行する際の移動経路情報に基づいて、経路差が相対的に大きい車両を特定することとしてもよい。
【0008】
一態様の情報処理装置では、特定部は、予め設定される、車両を安全に運転する際の安全運転基準を満たす車両の移動経路情報に基づいて、経路差が相対的に大きい車両を特定することとしてもよい。
【0009】
一態様の情報処理装置では、特定部は、車両の実際の移動経路に基づき車両が細街路を走行する回数が相対的に少ない場合、その車両の移動経路情報に基づいて経路差が相対的に大きい車両を特定することとしてもよい。
【0010】
一態様の情報処理装置では、特定部は、車両の実際の移動経路の第1交通状況と、車両がその移動経路を走行した際の出発時点で探索された移動経路の第2交通状況とを比較し、車両の実際の移動経路の第1交通状況が第2交通状況よりも良い場合にはその実際の移動経路を走行した車両を特定することとしてもよい。
【0011】
一態様の情報処理装置では、特定部は、第1交通状況が良い場合として、車両の実際の移動経路に渋滞がない場合にはその移動経路を走行した車両を特定することとしてもよい。
【0012】
一態様の情報処理方法では、コンピュータが、車両に関する車両情報に含まれる車両の移動に関する移動経路情報に基づいて、車両に対して移動経路を案内する際に探索された移動経路と、車両の実際の移動経路との経路差が相対的に大きい車両を特定する特定ステップと、出発地と目的地との間の移動経路としての複数の第1移動経路を新たに生成する場合、特定ステップによって特定された車両の過去の移動経路情報に基づいて、出発地と目的地との間の少なくとも一部の移動経路としての第2移動経路を複数取得する取得ステップと、取得ステップによって取得した第2移動経路に基づいて第1移動経路を生成する生成ステップと、を実行する。
【0013】
一態様の情報処理プログラムは、コンピュータに、車両に関する車両情報に含まれる車両の移動に関する移動経路情報に基づいて、車両に対して移動経路を案内する際に探索された移動経路と、車両の実際の移動経路との経路差が相対的に大きい車両を特定する特定機能と、出発地と目的地との間の移動経路としての複数の第1移動経路を新たに生成する場合、特定機能によって特定された車両の過去の移動経路情報に基づいて、出発地と目的地との間の少なくとも一部の移動経路としての第2移動経路を複数取得する取得機能と、取得機能によって取得した第2移動経路に基づいて第1移動経路を生成する生成機能と、を実現させる。
【発明の効果】
【0014】
一態様の情報処理装置は、車両に関する車両情報に含まれる車両の移動に関する移動経路情報に基づいて、車両に対して移動経路を案内する際に探索された移動経路と、車両の実際の移動経路との経路差が相対的に大きい車両を特定し、出発地と目的地との間の移動経路としての複数の第1移動経路を新たに生成する場合、特定された車両の過去の移動経路情報に基づいて、出発地と目的地との間の少なくとも一部の移動経路としての第2移動経路を複数取得し、その第2移動経路に基づいて第1移動経路を生成するので、ドライバの知見等を利用して移動経路を生成することができる。
また、一態様の情報処理方法及び情報処理プログラムは、上述した一態様の情報処理装置と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】一実施形態に係る情報処理システムについて説明するための図である。
【
図2】一実施形態に係る情報処理装置について説明するためのブロック図である。
【
図3】日常圏及び非日常圏の一例について説明するための図である。
【
図4】第1交通状況及び第2交通状況に応じた加点及び減点の一例について説明するための図である。
【
図5】複数の第2移動経路を取得する場合の取得例について説明するための図である。(A)は複数の第2移動経路について説明するための図、(B)は複数の第1移動経路について説明するための図である。
【
図6】一実施形態に係る情報処理方法について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について説明する。
本明細書では、「情報」の文言を使用しているが、「情報」の文言は「データ」と言い換えることができ、「データ」の文言は「情報」と言い換えることができる。
【0017】
まず、情報処理システム1の概略について説明する。
図1は、一実施形態に係る情報処理システム1について説明するための図である。
【0018】
情報処理システム1は、サーバ20及び情報処理装置30を備える。
サーバ20は、種々の情報を記憶する。サーバ20は、例えば、車両10で生成されるCAN(Controller Area Network)情報及びプローブ情報等の車両10の走行に関する車両情報を記憶する。車両情報には、車両10が走行した位置に関する位置情報に基づいた、その車両10の移動経路情報が記録されていてもよい。また、車両情報には、車両10のナビゲーション機能において移動経路が探索された結果が記録されていてもよい。サーバ20は、車両10から送信される車両情報を受信して記憶する。なお、サーバ20が記憶する情報は、上述した情報に限らず、他の種々の情報であってもよい。
【0019】
情報処理装置30は、例えば、パーソナルコンピュータ、ラップトップ、又は、サーバ等であってもよい。
まず、情報処理装置30は、サーバ20から車両情報を取得し、車両10のナビゲーション機能において移動経路が探索された結果と、実際の車両10の移動経路とを比較する。情報処理装置30は、車両10において探索された移動経路と、その車両10の実際の移動経路とが異なる場合に、その車両10を特定する。
次に、情報処理装置30は、第1地点(例えば、出発地等)と第2地点(例えば、目的地等)との間の移動経路(第1移動経路)を生成する際に、特定した車両10の車両情報をサーバ20から取得する。この場合、情報処理装置30は、特定した車両10の車両情報のうち、一例として、出発地と目的地との間の少なくとも一部の移動経路となる第2移動経路を過去に走行した車両10の車両情報に基づく車両10の移動状況が所定の条件を満たす場合には、その車両10の第2移動経路を取得する。なお、情報処理装置30は、取得した第2移動経路が出発地から目的地までの移動経路(第1移動経路)の一部の場合には、出発地から目的地まで移動できるように複数の第2移動経路を取得して、その複数の第2移動経路を繋げる。情報処理装置30は、1又は複数の第2移動経路に基づいて、第1移動経路を生成する。
なお、上述した第1地点(出発地)及び第2地点(目的地)は、車両の全移動経路のうちのの任意の地点を第1地点(出発地)及び第2地点(目的地)としてもよい。
【0020】
以下、情報処理装置30について詳細に説明する。
図2は、一実施形態に係る情報処理装置30について説明するためのブロック図である。
【0021】
情報処理装置30は、通信部35、記憶部36、表示部37、特定部32、取得部33及び生成部34を備える。特定部32、取得部33及び生成部34は、情報処理装置30の制御部31(例えば、演算処理装置)の一機能として実現されてもよい。
【0022】
通信部35は、例えば、種々の情報を送受信することが可能な装置である。通信部35は、例えば、1又は複数のサーバ20と通信を行う。なお、
図1では、1つのサーバ20のみ記載する。通信部35は、例えば、車両10と通信を行うこととしてもよい。また、通信部35は、例えば、携帯端末(図示せず)と通信を行うこととしてもよい。携帯端末は、例えば、ユーザが使用する、スマートフォン又はタブレット等の端末である。通信部35は、後述する生成部34によって生成される第1移動経路を外部(例えば、サーバ20及び携帯端末等)に送信することとしてもよい。
【0023】
記憶部36は、例えば、種々の情報を記憶することが可能な装置である。記憶部36は、例えば、道路地図に関する地図情報を記憶することが可能である。地図情報には、道路の法定速度(制限速度)、一時停止線(停止線)、及び、車両通行帯(追い越し禁止及び車線変更禁止等を示す道路標示)等の交通規制に関する情報が記録されていてもよい。記憶部36は、例えば、後述する生成部34によって生成される第1移動経路に関する情報を記憶することとしてもよい。
【0024】
表示部37は、例えば、文字及び画像等を表示することが可能な装置である。表示部37は、例えば、後述する生成部34によって生成される第1移動経路を表示することとしてもよい。
【0025】
特定部32は、車両10に関する車両情報に含まれる車両10の移動に関する移動経路情報に基づいて、車両10に対して移動経路を案内する際に探索された移動経路と、車両10の実際の移動経路との経路差が相対的に大きい車両10を特定する。
すなわち、まず、特定部32は、車両10の実際の移動経路と、ナビゲーション装置等によって探索された移動経路との間に差異のある車両10を特定する。
【0026】
車両10の実際の移動経路は、移動経路情報に基づいて取得される。例えば、車両10は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)(図示せず)等により取得された位置情報に基づいて所定のタイミング毎に車両10の位置を取得することにより、移動経路情報を生成することが可能である。
また、車両10には、例えば、ナビゲーション装置(図示せず)が搭載される場合がある。ナビゲーション装置は、例えば、出発地から目的地までの移動経路を探索し、探索された移動経路に沿って車両10の移動を案内する。ナビゲーション装置で探索された移動経路は、例えば、移動経路情報に記録される。
車両10は移動経路情報をサーバ20に送信する。
【0027】
上述したナビゲーション装置は、車載ナビゲーション装置に限定されず、携帯端末(図示せず)等に配されるナビゲーション機能であってもよい。携帯端末は、例えば、スマートフォン、タブレット及びラップトップ等であってもよい。ナビゲーション機能は、携帯端末にインストールされるナビゲーションアプリ等が実行されることに基づいて実現されてもよい。ナビゲーション機能(携帯端末)は、上述したナビゲーション装置と同様に、例えば、出発地から目的地までの移動経路を探索し、探索された移動経路に沿って車両10の移動を案内すると共に、携帯端末等を所有するユーザの実際の移動経路を取得する。ナビゲーション機能(携帯端末)は、探索された移動経路と、実際の移動経路とを移動経路情報として生成して、サーバ20に送信する。
【0028】
なお、ナビゲーション機能(携帯端末)は、例えば、移動経路の探索と、実際の移動経路の取得とのうちいずれか一方のみを行い、その一方の情報を移動経路情報として生成してもよい。ナビゲーション機能(携帯端末)は、例えば、自機及びユーザの少なくとも一方を識別する識別情報を移動経路情報に含ませてもよい。この場合、サーバ20は、ナビゲーション機能(携帯端末)から取得した、探索された移動経路と実際の移動経路とのうちいずれか一方を記録した移動経路情報Aを取得すると共に、ナビゲーション装置(車両10)から取得した、探索された移動経路と実際の移動経路とのうちいずれか他方を取得した移動経路情報Bを取得してもよい。ここで、例えば、移動経路情報Bには、ナビゲーション装置(車両10)又はユーザを識別する識別番号が記録されている。サーバ20は、ナビゲーション機能(携帯端末)と、ナビゲーション装置(車両10)と、ユーザとの識別番号を予め対応付けておくことにより、移動経路情報Aに含まれる識別情報と移動経路情報Bに含まれる識別情報に基づいて移動経路情報Aと移動経路情報Bとを対応付けることが可能になる。これにより、サーバ20は、移動経路情報A,Bに基づいて、探索された移動経路と実際の移動経路と蓄積することが可能になる。
【0029】
特定部32は、通信部35を介して、サーバ20から移動経路情報を取得する。特定部32は、移動経路情報に基づいて、実際の移動経路と、探索された移動経路とに差がある車両10を特定する。特定部32は、次のようにして車両10を特定してもよい。
【0030】
特定部32は、車両10の実際の移動経路に基づいて、車両10が走行する地域を、車両10の走行回数が相対的に多い日常圏と、車両10の走行回数が相対的に少ない非日常圏とに分割し、日常圏を走行する際の移動経路情報に基づいて、経路差が相対的に大きい車両10を特定することとしてもよい。ドライバが、例えば、通勤及び買い物等で日常的に車両10を使用する場合には、その車両10の行動範囲は、おおよそ決まった範囲となる。特定部32は、車両10の移動経路情報に基づいて、出発地が同一又は略同一の場合(出発地が所定の範囲内にある場合)及び目的地が同一又は略同一の場合(目的地が所定の範囲内にある場合)において、その出発地からその目的地へ移動する走行回数が所定の第1回数以上のときには、その出発地とその目的地とを含む範囲をドライバ(車両10)の日常圏と推定する。出発地が同一(略同一)と推定する所定の範囲、及び、目的地が同一(略同一)と推定する所定の範囲は、例えば、特定部32に予め設定されていてもよく、情報処理装置30のユーザによって適宜設定されてもよい。
【0031】
特定部32は、それらの所定の範囲として、例えば、同一位置(略同一位置)とみなすことができる範囲が設定されてもよく、具体的な一例として、100m、200m、300m、500m、1km、2km、3km、5km等の範囲が設定されてもよく、それ以外の距離が設定されてもよい。所定の第1回数は、特定部32に予め設定されていてもよく、情報処理装置30のユーザによって適宜設定されてもよい。所定の第1回数は、平日に車両10を利用するか、又は、休日に車両10を利用するかに応じて、適宜設定されてもよい。一例として、所定の第1回数は、平日に車両10を利用する場合には回数Aが設定され、休日に車両10を利用する場合には回数B(回数B<回数A)が設定されてもよい。
【0032】
一方、特定部32は、出発地から目的地へ移動する走行回数が所定の第1回数未満のときには、その出発地とその目的地とを含む範囲をドライバ(車両10)の非日常圏と推定する。すなわち、特定部32は、上述したように推定される日常圏の外側を非日常圏と推定することとしてもよい。
【0033】
次に、日常圏及び非日常圏について具体的に説明する。
図3は、日常圏及び非日常圏の一例について説明するための図である。
【0034】
例えば、車両10は、出発地Xとなる自宅から目的地Y1,Y2,Y3となる会社及び食料品店等へ頻繁(例えば、それぞれの走行回数が第1回数以上)に走行している。この場合、特定部32は、出発地Xと目的地Y1,Y2,Y3とを含む範囲を日常圏R1と推定し、それ以外(例えば、出発地から目的地までの走行回数が第1回数未満)を非日常圏R2と推定してもよい。
なお、特定部32は、出発地Xと目的地Y1,Y2,Y3とを含むように日常圏R1を推定する場合、出発地X及び目的地Y1,Y2,Y3に加えて、それぞれの移動経路Z1,Z2,Z3を含むように日常圏R1を推定してもよい。これにより、特定部32は、出発地から目的地まで最短経路で移動するばかりでなく、大回りした経路で移動する場合でも日常圏と推定することができる。一例として、特定部32は、出発地から目的地まで移動する場合に1又は複数の施設等の中継地に寄り道をするときでも、中継地を含むように日常圏を推定することができる。すなわち、特定部32は、車両10の実際の移動に応じて日常圏を推定することができる。また、車両10は、出発地から目的地まで移動する場合、最短経路は渋滞等により交通状況が相対的に悪いことが多いため、大回りした経路で移動している可能性がある。特定部32は、そのような車両10の走行に関する意図に応じて日常圏を推定することができる。
【0035】
特定部32は、予め設定される、車両10を安全に運転する際の安全運転基準を満たす車両10の移動経路情報に基づいて、経路差が相対的に大きい車両10を特定することとしてもよい。特定部32は、車両情報に基づいて、安全運転基準を満たす車両10として、例えば、法定速度以下の速度で走行する車両10、一時停止線で停止する車両10、急制動を行わない車両10、及び、急なハンドル操作を行わない車両10を特定する。
【0036】
この場合、特定部32は、例えば、車両情報に含まれる位置情報、及び、記憶部36に記憶される道路地図情報に基づいて、交通規則に従って走行している車両10を特定することとしてもよい。すなわち、特定部32は、位置情報及び道路地図情報に基づいて、道路地図上の車両10の位置と、その車両10が走行する位置における交通規則とを取得し、その際の車両10の車両情報に基づいて車両10が交通規則に従って走行しているかを判定することとしてもよい。
【0037】
また、特定部32は、車両情報に基づいて、車両10が急制動を行っているか否か、急なハンドル操作をしているか否かを判定することとしてもよい。一例として、特定部32は、ABS(Anti-lock Brake System)が動作しているか否かに基づいて、車両10が急制動を行っているか否かを判定することとしてもよい。また、一例として、特定部32は、所定時間当たりのハンドル操作の回転角度に基づいて、急なハンドル操作を行っているか否かを判定することとしてもよい。
また、特定部32は、上述した例示に限らず、種々の方法により車両情報に基づいて安全運転基準を満たす車両10を特定してもよい。
【0038】
特定部32は、車両10の実際の移動経路に基づき車両10が細街路を走行する回数が相対的に少ない場合、その車両10の移動経路情報に基づいて経路差が相対的に大きい車両10を特定することとしてもよい。ドライバは、細街路を車両10で走行する場合、一般的に、道幅が狭い等の理由で車両10を走行させにくいと考える場合が多い。このため、特定部32は、細街路を走行する回数が相対的に多い車両10を除外する。特定部32は、例えば、車両情報に含まれる位置情報、及び、記憶部36に記憶される道路地図情報に基づいて、車両10が細街路を走行しているか否かを判定することとしてもよい。特定部32は、細街路を走行する回数が所定の第2回数未満の場合、車両10が細街路を走行する回数が相対的に少ないと判定することとしてもよい。
【0039】
所定の第2回数は、例えば、特定部32に予め設定されていてもよく、情報処理装置30のユーザによって適宜設定されてもよい。所定の第2回数は、例えば、所定期間毎に設定されていてもよく、具体的な一例として、最近1ヶ月以内に3回未満等が設定されていてもよい。又は、所定の第2回数は、例えば、車両10の利用頻度に応じて設定されていてもよく、出発地から目的地までの走行を1トリップとすると、10トリップにつき1回未満等が設定されていてもよい。なお、所定の第2回数は、上述した一例に限定されず、種々の回数が適宜設定されてもよい。
【0040】
特定部32は、経路差が相対的に大きい車両10として、例えば、次のような車両10を特定することとしてもよい。
例えば、特定部32は、車両Aが移動経路を走行した際の走行時間と、車両Aにおいて探索された移動経路を走行した他車両Bの走行時間と比較し、車両Aの走行時間が他車両Bの走行時間よりも早い場合、又は、車両Aの走行時間が他車両Bの走行時間よりも閾値となる第1時間以上早い場合に、車両Aの評価に加点してもよい。第1時間は、例えば、特定部32に予め設定されていてもよく、又は、情報処理装置30のユーザによって適宜設定されてもよい。第1時間は、例えば、車両Aの実際の移動経路が探索された移動経路よりも優れていると判定できる時間であってもよく、具体的な一例として、10分、15分、20分、30分等の時間が設定されてもよい。
【0041】
また、特定部32は、車両10の実際の移動経路の第1交通状況と、車両10がその移動経路を走行した際の出発時点で探索された移動経路の第2交通状況とを比較し、車両10の実際の移動経路の第1交通状況が第2交通状況よりも良い場合にはその移動経路を走行した車両10を特定することとしてもよい。この場合、特定部32は、第1交通状況が良い場合として、例えば、車両10の実際の移動経路に渋滞がない場合にはその移動経路を走行した車両10を特定することとしてもよい。
【0042】
すなわち、例えば、特定部32は、外部のサーバ20等からVICS(Vehicle Informartion and Communication System)(登録商標)情報を取得し、探索された移動経路が渋滞している一方、車両10が実施に走行した移動経路が渋滞していない場合に、実際の移動経路を走行した車両10の評価に加点してもよい。
なお、特定部32は、探索された移動経路及び車両10の実際の移動経路の両方が渋滞していた場合でも、実際の移動経路の走行時間が探索された移動経路の走行時間よりも早い場合、実際の移動経路を走行した車両10の評価を加点してもよい。特定部32は、VICS情報を利用する場合でも、実際の移動経路の走行時間が探索された移動経路の走行時間よりも上述した閾値としての第1時間以上早い場合に、実際の移動経路を走行した車両10の評価を加点してもよい。
【0043】
なお、特定部32は、VICS情報に基づいて探索された移動経路が渋滞していなかった場合でも、車両10の実際の移動経路でも渋滞がなくスムーズに走行できたときには、実際の移動経路の走行時間が探索された移動経路の走行時間と同等又は早ければ、実際の移動経路を走行した車両10の評価を加点してもよい。この場合でも、特定部32は、例えば、実際の移動経路の走行時間が探索された移動経路の走行時間よりも上述した閾値としての第1時間以上早い場合に、実際の移動経路を走行した車両10の評価を加点してもよい。
【0044】
また、特定部32は、VICS情報に基づいて探索された移動経路が渋滞していない一方、車両10の実際の移動経路が渋滞していた場合には、実際の移動経路を走行した車両10の評価を減点する。
【0045】
上記の加点及び減点をまとめると
図4に示すようになる。
図4は、第1交通状況及び第2交通状況に応じた加点及び減点の一例について説明するための図である。
【0046】
例えば、第2交通状況(探索された移動経路)が渋滞し、第1交通状況(実際の移動経路)が渋滞している場合、原則として、特定部32は、車両10の評価について加点及び減点のいずれも行わない。しかし、この場合でも例外として、特定部32は、例えば、実際の移動経路の走行時間が探索された移動経路の走行時間よりも早い場合、実際の移動経路を走行した車両10の評価を加点してもよい。
【0047】
例えば、第2交通状況が渋滞し、第1交通状況が早い(車両10の実際の移動経路が渋滞していなく、探索された移動経路よりも早く目的地に到着した)場合、特定部32は、実際の移動経路を走行した車両10の評価を加点(UP)する。
【0048】
例えば、第2交通状況が早く(探索された移動経路が渋滞していなく、車両10の実際の移動経路よりも早く目的地に到着した)、第1交通状況が渋滞していた場合、特定部32は、実際の移動経路を走行した車両10の評価を減点(DOWN)する。
【0049】
例えば、第2交通状況及び第1交通状況のいずれも早い場合(探索された移動経路と、車両10の実際の移動経路の両方が渋滞していない場合)、特定部32は、実際の移動経路の走行時間が探索された移動経路の走行時間と同等又は早ければ、実際の移動経路を走行した車両10の評価を加点(UP)する。
【0050】
特定部32は、上述した車両10の評価を集計し、閾値となる第1点数以上の車両10を「経路差が相対的に大きい車両10」として特定する。第1点数は、例えば、特定部32に予め設定されていてもよく、又は、情報処理装置30のユーザによって適宜設定されてもよい。
【0051】
次に、情報処理装置30は、新たな車両Cの出発地から目的地までの移動経路(第1移動経路)を生成する場合、上述したように特定された車両Aの車両情報(車両Aが過去に走行した第2移動経路)を利用して第1移動経路を生成する。
すなわち、取得部33は、出発地と目的地との間の移動経路としての複数の第1移動経路を新たに生成する場合、特定部32によって特定された車両10の過去の移動経路情報に基づいて、出発地と目的地との間の少なくとも一部の移動経路としての第2移動経路を複数取得する。取得部33は、新たな車両Cにおいて出発地から目的地までの移動経路(第1移動経路)を探索する場合、その出発地とその目的地との間の道路を過去に走行した車両Aの移動経路情報に基づいて、その車両Aの移動経路(第2移動経路)を取得する。第2移動経路は、出発地から目的地までの移動経路の全部又は一部であってもよい。
【0052】
取得部33は、第2移動経路が出発地から目的地までの移動経路の一部の場合、出発地から目的地までの移動経路の全てを連続させることのできる複数の第2移動経路を取得する。
【0053】
図5は、複数の第2移動経路を取得する場合の取得例について説明するための図である。
図5(A)は複数の第2移動経路について説明するための図、
図5(B)は複数の第1移動経路について説明するための図である。
【0054】
例えば、車両Cが出発地Rから目的地Sまで移動する場合を考える。
この場合、取得部33は、出発地Rと目的地Sとの間の道路を過去に走行したことのある、特定部32によって特定された複数の車両A(A1,A2)の移動経路情報に基づいて、複数の第2移動経路U,Wを取得する。車両A1は、出発地Rと目的地Sとの間の移動経路であって、出発地Rから途中地点Tまでの第2移動経路Uを移動している。車両A2は、出発地Rと目的地Sとの間の移動経路であって、途中地点Tから目的地Sまでの第2移動経路Wを移動している。取得部33は、第2移動経路U,Wを取得する。取得部33は、車両A1の移動経路のうちの一部となる出発地Rと途中地点Tとの間の移動経路を第2移動経路Uとして取得し、車両A2の移動経路のうちの一部となる途中地点Tと目的地Sとの間の移動経路を第2移動経路Wとして取得してもよい。
なお、取得部33は、後述する生成部34によって異なる複数の第1移動経路Q1,Q2を生成するために、出発地から目的地までの複数の異なる第2移動経路を取得してもよい。
【0055】
生成部34は、取得部33によって取得した第2移動経路に基づいて第1移動経路を生成する。生成部34は、取得部33によって取得した1つの第2移動経路によって出発地から目的地まで連続して結ぶことができる場合には、その第2移動経路を第1移動経路として生成する。生成部34は、取得部33によって取得した第2移動経路によって出発地から目的地までをつなぎ合わせて結ぶことができる場合には、その複数の第2移動経路から第1移動経路を生成する。
【0056】
制御部31は、生成部34によって生成された第1移動経路を出力するよう出力部を制御することとしてもよい。出力部は、例えば、上述した、通信部35、記憶部36及び表示部37であってよい。
すなわち、制御部31は、第1移動経路を、通信部35を介して、直接又は間接的に車両10に送信する。間接的に車両10に送信する場合とは、例えば、サーバ20を介して、車両10又は携帯端末に送信する場合である。
また、制御部31は、第1移動経路を記憶部36に記憶してもよい。
また、制御部31は、第1移動経路を表示部37に表示してもよい。
第1移動経路は、出発地から目的地までの車両10の移動経路を案内する際に利用される。
【0057】
次に、一実施形態に係る情報処理方法について説明する。
図6は、一実施形態に係る情報処理方法について説明するためのフローチャートである。
【0058】
ステップST101において、特定部32は、通信部35を介して外部(例えば、サーバ20等)から車両情報を取得する。車両情報には、例えば、移動経路情報等が含まれている。移動経路情報には、例えば、車両10の実際の移動経路に関する情報、及び、ナビゲーション装置(ナビゲーション機能)によって探索された移動経路に関する情報等が含まれている。
【0059】
ステップST102において、特定部32は、ステップST101で取得した車両情報に基づいて、車両10の実際の移動経路と、ナビゲーション装置等によって探索された移動経路との間に差異(経路差)のある車両10を特定する。
この場合、特定部32は、例えば、車両10の実際の移動経路に基づいて車両10が走行する地域を日常圏及び非日常圏に分割し、日常圏を走行する際の移動経路情報に基づいて経路差が相対的に大きい車両10を特定することとしてもよい。
また、特定部32は、例えば、予め設定される安全運転基準を満たす車両10の移動経路情報に基づいて、経路差が相対的に大きい車両10を特定することとしてもよい。
また、特定部32は、例えば、細街路を走行する回数が相対的に少ない車両10の移動経路情報に基づいて、経路差が相対的に大きい車両10を特定することとしてもよい。
また、特定部32は、例えば、車両10の実際の移動経路の第1交通状況と、車両10がその移動経路を走行した際の探索された移動経路の第2交通状況とを比較し、第1交通状況が第2交通状況よりも良い場合には、実際の移動経路を走行した車両10を特定することとしてもよい。この場合、特定部32は、第1交通状況が良い場合として、例えば、車両10の実際の移動経路に渋滞がない場合にはその移動経路を走行した車両10を特定することとしてもよい。
【0060】
ステップST103において、取得部33は、新たな車両10についての出発地から目的地までの第1移動経路を生成する場合、ステップST102で特定された車両10の移動経路情報に基づいて、その出発地とその目的地との間の少なくとも一部を移動した際の移動経路(第2移動経路)を取得する。
【0061】
ステップST104において、生成部34は、ステップST103で取得した第2移動経路に基づいて、第1移動経路を生成する。
【0062】
次に、本実施形態の効果について説明する。
情報処理装置30は、車両10に関する車両情報に含まれる車両10の移動に関する移動経路情報に基づいて、車両10に対して移動経路を案内する際に探索された移動経路と、車両10の実際の移動経路との経路差が相対的に大きい車両10を特定する特定部32と、出発地と目的地との間の移動経路としての複数の第1移動経路を新たに生成する場合、特定部32によって特定された車両10の過去の移動経路情報に基づいて、出発地と目的地との間の少なくとも一部の移動経路としての第2移動経路を複数取得する取得部33と、取得部33によって取得した第2移動経路に基づいて第1移動経路を生成する生成部34と、を備える。
ドライバは、日常圏を走行回数が相対的に多い場合、ナビゲーション装置(ナビゲーション機能)による移動経路案内を利用しなくとも、自身の知見等に基づいて目的地まで相対的に早く移動可能な経路を選択することが可能と考えられる。情報処理装置30は、そのようなドライバの知見等を利用して、他のドライバ(車両10)の出発地から目的地までの移動経路を生成することができる。
【0063】
情報処理装置30では、特定部32は、車両10の実際の移動経路に基づいて、車両10が走行する地域を、車両10の走行回数が相対的に多い日常圏と、車両10の走行回数が相対的に少ない非日常圏とに分割し、日常圏を走行する際の移動経路情報に基づいて、経路差が相対的に大きい車両10を特定することとしてもよい。
ドライバは、日常圏であれば、日常的に利用する道路の状況を把握できていると考えられる。このため、情報処理装置30は、ドライバ(車両10)の日常圏と非日常圏とで区分けし、日常圏を走行した際の移動経路情報を利用して、他のドライバ(車両10)の出発地から目的地までの移動経路を生成することができる。
【0064】
情報処理装置30では、特定部32は、予め設定される、車両10を安全に運転する際の安全運転基準を満たす車両10の移動経路情報に基づいて、経路差が相対的に大きい車両10を特定することとしてもよい。
ドライバの知見を利用する場合でも、そのドライバが交通規則を守らない傾向のときには、そのドライバの移動経路情報に基づいて移動経路を生成すると、他のドライバも走行に関して危険な状況になる可能性がある。このため、情報処理装置30は、交通規則を守る傾向のあるドライバ(車両10)の移動経路情報に基づいて移動経路を生成することにより、その移動経路を利用する他のドライバ(車両10)の走行に関する安全を確保することができる。
【0065】
情報処理装置30では、特定部32は、車両10の実際の移動経路に基づき車両10が細街路を走行する回数が相対的に少ない場合、その車両10の移動経路情報に基づいて経路差が相対的に大きい車両10を特定することとしてもよい。
ドライバ(車両10)は、細街路を走行する場合、道幅が狭いために車両10を走行させにくいと感じる可能性がある。このため、情報処理装置30は、細街路を走行する傾向のあるドライバ(車両10)の移動経路情報を除外することにより、他のドライバ(車両10)の走行に関する安全を確保することができる。
【0066】
情報処理装置30では、特定部32は、車両10の実際の移動経路の第1交通状況と、車両10がその移動経路を走行した際の出発時点で探索された移動経路の第2交通状況とを比較し、車両10の実際の移動経路の第1交通状況が第2交通状況よりも良い場合にはその移動経路を走行した車両10を特定することとしてもよい。
車両10の実際の移動経路の第1交通状況が第2交通状況よりも良い場合、その車両10のドライバは、交通状況を良く理解できていると推定することができる。情報処理装置30は、そのようなドライバの知見を利用して、他のドライバ(車両10)の出発地から目的地までの移動経路を生成することにより、他のドライバ(車両10)を出発地から目的地までスムーズに移動させることができ、他のドライバ(車両10)の利便性を向上させることができる。
【0067】
情報処理装置30では、特定部32は、第1交通状況が良い場合として、車両10の実際の移動経路に渋滞がない場合にはその移動経路を走行した車両10を特定することとしてもよい。
車両10の実際の移動経路に渋滞がない場合、ドライバ(車両10)は、他の道路で発生している渋滞等を回避して走行しているため、交通状況を良く理解できていると推定することができる。よって、情報処理装置30は、他のドライバ(車両10)を出発地から目的地までスムーズに移動させることができ、他のドライバ(車両10)の利便性を向上させることができる。
【0068】
情報処理方法では、コンピュータが、車両10に関する車両情報に含まれる車両10の移動に関する移動経路情報に基づいて、車両10に対して移動経路を案内する際に探索された移動経路と、車両10の実際の移動経路との経路差が相対的に大きい車両10を特定する特定ステップと、出発地と目的地との間の移動経路としての複数の第1移動経路を新たに生成する場合、特定ステップによって特定された車両10の過去の移動経路情報に基づいて、出発地と目的地との間の少なくとも一部の移動経路としての第2移動経路を複数取得する取得ステップと、取得ステップによって取得した第2移動経路に基づいて第1移動経路を生成する生成ステップと、を実行する。
ドライバは、日常圏を走行回数が相対的に多い場合、ナビゲーション装置(ナビゲーション機能)による移動経路案内を利用しなくとも、自身の知見等に基づいて目的地まで相対的に早く移動可能な経路を選択することが可能と考えられる。情報処理方法は、そのようなドライバの知見等を利用して、他のドライバ(車両10)の出発地から目的地までの移動経路を生成することができる。
【0069】
情報処理プログラムは、コンピュータに、車両10に関する車両情報に含まれる車両10の移動に関する移動経路情報に基づいて、車両10に対して移動経路を案内する際に探索された移動経路と、車両10の実際の移動経路との経路差が相対的に大きい車両10を特定する特定機能と、出発地と目的地との間の移動経路としての複数の第1移動経路を新たに生成する場合、特定機能によって特定された車両10の過去の移動経路情報に基づいて、出発地と目的地との間の少なくとも一部の移動経路としての第2移動経路を複数取得する取得機能と、取得機能によって取得した第2移動経路に基づいて第1移動経路を生成する生成機能と、を実現させる。
ドライバは、日常圏を走行回数が相対的に多い場合、ナビゲーション装置(ナビゲーション機能)による移動経路案内を利用しなくとも、自身の知見等に基づいて目的地まで相対的に早く移動可能な経路を選択することが可能と考えられる。情報処理プログラムは、そのようなドライバの知見等を利用して、他のドライバ(車両10)の出発地から目的地までの移動経路を生成することができる。
【0070】
上述した情報処理装置30の各部は、コンピュータの演算処理装置等の機能として実現されてもよい。すなわち、情報処理装置30の特定部32、取得部33及び生成部34は、コンピュータの演算処理装置等による特定機能、取得機能及び生成機能としてそれぞれ実現されてもよい。
情報処理プログラムは、上述した各機能をコンピュータに実現させることができる。情報処理プログラムは、外部メモリ又は光ディスク等の、コンピュータで読み取り可能な非一時的な記録媒体に記録されていてもよい。
また、上述したように、情報処理装置30の各部は、コンピュータの演算処理装置等で実現されてもよい。その演算処理装置等は、例えば、集積回路等によって構成される。このため、情報処理装置30の各部は、演算処理装置等を構成する回路として実現されてもよい。すなわち、情報処理装置30の特定部32、取得部33及び生成部34は、コンピュータの演算処理装置等を構成する特定回路、取得回路及び生成回路として実現されてもよい。
また、情報処理装置30の通信部35、記憶部36及び表示部37は、例えば、演算処理装置等の機能を含む通信機能、記憶機能及び表示機能として実現されもよい。また、情報処理装置30の通信部35、記憶部36及び表示部37は、例えば、集積回路等によって構成されることにより通信回路、記憶回路及び表示回路として実現されてもよい。また、情報処理装置30の通信部35、記憶部36及び表示部37は、例えば、複数のデバイスによって構成されることにより通信装置、記憶装置及び表示装置として構成されてもよい。
【0071】
なお、上述した実施形態では、車両10の移動経路(第1移動経路)を生成する例について説明した。情報処理システム1(情報処理装置30)は、その実施形態に限定されず、例えば、鉄道等の公共交通機関を利用して移動する場合の移動経路を生成してもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 情報処理システム
10 車両
20 サーバ
30 情報処理装置
31 制御部
32 特定部
33 取得部
34 生成部
35 通信部
36 記憶部
37 表示部