(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】空気処理装置
(51)【国際特許分類】
F24F 11/89 20180101AFI20240319BHJP
F24F 11/88 20180101ALI20240319BHJP
G08C 15/06 20060101ALI20240319BHJP
G08C 25/00 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
F24F11/89
F24F11/88
G08C15/06 F
G08C25/00 B
(21)【出願番号】P 2020215117
(22)【出願日】2020-12-24
【審査請求日】2021-10-08
【審判番号】
【審判請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神野 弘明
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 崇文
(72)【発明者】
【氏名】内田 充哉
【合議体】
【審判長】鈴木 充
【審判官】村山 美保
【審判官】間中 耕治
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-242085(JP,A)
【文献】特開2019-152426(JP,A)
【文献】特開2020-118438(JP,A)
【文献】特開2004-317015(JP,A)
【文献】特開2000-230743(JP,A)
【文献】特開2017-181314(JP,A)
【文献】特開2018-081723(JP,A)
【文献】特開2005-055058(JP,A)
【文献】中国実用新案第210605698(CN,U)
【文献】特開2011-113351(JP,A)
【文献】特開2004-345533(JP,A)
【文献】特許第6511457(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調又は換気を行う空気処理装置であって、
装置本体のケーシング(1c)と、
前記ケーシング(1c)の外部に設けられ、第1通信規格で出力する第1センサ(3
,15,16)と、
前記第1センサ(3
,15,16)の出力信号を、前記第1通信規格よりノイズ耐性が高い第2通信規格の信号に変換して出力する変換部(7
,14)と、
前記ケーシング(1c)の内部に設けられ、前記変換部(7
,14)の出力信号を受信する主制御部(2)と、
を備え、
前記変換部(7
,14)は、前記第1通信規格の信号を前記第2通信規格の信号に変換するためのハードウェアにより構成された回路のみによって構成される、空気処理装置。
【請求項2】
前記第1センサ(3
,15,16)から前記変換部(7
,14)までの第1通信線(5,6)よりも、前記変換部(7
,14)から前記主制御部(2)までの第2通信線(9,9a,9b)の方が長い請求項1に記載の空気処理装置。
【請求項3】
前記主制御部(2)は、前記第2通信規格の入力ポート(2p)を有し、当該入力ポート(2p)を介して、前記変換部(7
,14)の出力信号を受信する請求項1又は請求項2に記載の空気処理装置。
【請求項4】
前記ケーシング(1c)に又はその内部に、前記第1通信規格で出力する第2センサ(12,13)が設けられ、
前記主制御部(2)は、前記第2センサ(12,13)と接続される入力ポート(2p3,2p4)を備えている、
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の空気処理装置。
【請求項5】
前記変換部(
7)と前記第1センサ(
3)とは、1つのセンサユニット(10,11)を構成する請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の空気処理装置。
【請求項6】
前記第1通信規格で出力する第3センサ(17,18,19)が、前記第1センサ(15,16)と並列的に、前記変換部(14)に接続される請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の空気処理装置。
【請求項7】
前記ケーシング(1c)の外部に設けられ、第1通信規格で出力する第
4センサ(
4)と、
前記第
4センサ(
4)の出力信号を、前記第1通信規格よりノイズ耐性が高い第2通信規格の信号に変換して出力する第2変換部(
8)と、をさらに備え、
前記主制御部は、前記第2変換部の出力信号を受信する、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の空気処理装置。
【請求項8】
前記空気処理装置は、換気を行う換気装置である、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の空気処理装置。
【請求項9】
前記空気処理装置は、空調を行う空気処理装置の室内機であ
る、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の空気処理装置。
【請求項10】
前記ハードウェアにより構成された回路は、前記第1通信規格の信号を、前記第1通信規格及び前記第2通信規格とは異なる第3通信規格の信号に変換するためのハードウェアにより構成された第1変換回路と、前記第3通信規格の信号を前記第2通信規格の信号に変換するためのハードウェアにより構成された第2変換回路とを含む、請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の空気処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気処理装置のセンサ接続に関する。ここで、空気処理装置とは、空調又は換気を行う装置の総称として用いている。
【背景技術】
【0002】
空調機は、空調の対象となる空間の温度、湿度、外気の温度、その他各種のセンサ情報に基づいて運転制御を行う。例えば業務用の室内機は、その外観を成すケーシング内にすべての機器が収まっている訳ではなく、センサはケーシングの外部にも設けられる。ケーシングから、外部にあるセンサまでの通信線(ケーブル)の距離は、据え付け現場により異なるが、ケーシング内に設けられるセンサと比べると、かなり長い場合もある。
【0003】
センサの出力を伝送する通信規格は、現状では、I2C(Inter-Integrated Circuit)が概ね主流であるが、それ以外の規格も多く用いられている。センサの通信規格が異なると、空調機の主制御部である制御基板もそれに対応した設計が必要である。一方で、生産効率及び信頼性向上の観点からは、制御基板を標準化することが好ましい(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
外部にあるセンサまでの通信線が長いと、I2Cでは外来ノイズが混入しやすい。
本開示は、空気処理装置において、センサ用の通信線への外来ノイズの影響を抑制することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)開示するのは、空調又は換気を行う空気処理装置であって、装置本体のケーシングと、前記ケーシングの外部に設けられ、第1通信規格で出力する第1センサと、前記第1センサの出力信号を、前記第1通信規格よりノイズ耐性が高い第2通信規格の信号に変換して出力する変換部と、前記ケーシングの内部に設けられ、前記変換部の出力信号を受信する主制御部と、を備える空気処理装置である。
【0007】
このような空気処理装置では、信号伝送の通信線上に、第1通信規格よりノイズ耐性が高い第2通信規格の通信線が存在することで、外来ノイズの影響を抑制することができる。
【0008】
(2)前記(1)の空気処理装置において、前記第1センサから前記変換部までの第1通信線よりも、前記変換部から前記主制御部までの第2通信線の方が長いことが好ましい。
この場合、外来ノイズの影響を、より効果的に低減することができる。
【0009】
(3)前記(1)又は(2)の空気処理装置において、前記変換部はマイクロコンピュータを内蔵し、当該マイクロコンピュータを用いて前記第1通信規格の信号を前記第2通信規格の信号に変換するようにしてもよい。
この場合、空気処理装置によって、センサ側の通信規格が異なる場合にも、変換部のコンピュータプログラムの変更により容易に対応することができる。
【0010】
(4)前記(1)から(3)までのいずれかの空気処理装置において、前記主制御部は、例えば、前記第2通信規格の入力ポートを有し、当該入力ポートを介して、前記変換部の出力信号を受信する。
この場合、現場施工における、変換部と主制御部との接続が容易である。
【0011】
(5)前記(1)又は(2)の空気処理装置において、前記変換部は、ハードウェアにより構成された回路のみによって、前記第1通信規格の信号を前記第2通信規格の信号に変換するようにしてもよい。
この場合、マイクロコンピュータを用いる場合のようなソフトウェア設計が不要である。
【0012】
(6)前記(1)から(5)までのいずれかに記載の空気処理装置において、前記ケーシングに又はその内部に、前記第1通信規格で出力する第2センサが設けられ、前記主制御部は、前記第2センサと接続される入力ポートを備えている、という構成であってもよい。
この場合、変換部経由のみならず、主制御部に近い場所にある各種のセンサと主制御部との、直接の接続も可能である。
【0013】
(7)前記(1)から(6)までのいずれかの空気処理装置において、前記変換部と前記第1センサとは、1つのセンサユニットを構成するものであってもよい。
この場合、変換部と第1センサとの間での外来ノイズの影響を、より効果的に抑制できる。
【0014】
(8)前記(1)から(7)までのいずれかの空気処理装置において、前記第1通信規格で出力する第3センサが、前記第1センサと並列的に、前記変換部に接続されていてもよい。
この場合、複数個又は複数種類のセンサを、変換部に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】センサ接続の観点から見た空気処理装置の第1実施形態を示す接続図である。
【
図2】
図1の接続図を、より具体的にした第1の例を示す図である。
【
図3】
図1の接続図を、より具体的にした第2の例を示す図である。
【
図4】センサ接続の観点から見た空気処理装置の第2実施形態を示す接続図である。
【
図5】センサ接続の観点から見た空気処理装置の第3実施形態を示す接続図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示の実施形態について説明する。
最初に、空気処理装置の一例である空調機の、冷媒回路を含む構成の概要について説明する。
【0017】
《冷媒回路》
図6は、空調機100の冷媒回路の一例を示す図である。図において、熱源側ユニットとしての室外機200は、圧縮機201と、四路切換弁202と、アキュムレータ203と、熱交換器204と、ファン205と、膨張弁206と、液側の遮断弁207と、ガス側の遮断弁208とを備えている。利用側ユニットとしての室内機1は、熱交換器101と、ファン102と、膨張弁103とを備えている。室外機200と室内機1とは、冷媒配管P
L及びP
Gを介して互いに接続され、図示のような冷媒回路が構成されている。弁207,208は電動弁であり、例えば電子膨張弁を用いることもできる。
【0018】
冷房運転時の四路切換弁202は、実線で示されるように内部流路が構成されている。これにより、圧縮機201から、四路切換弁202、熱交換器204、膨張弁206、開いている遮断弁207、膨張弁103、熱交換器101、開いている遮断弁208、四路切換弁202、及び、アキュムレータ203を通って、圧縮機201に戻る冷媒の流路が形成される。このとき、室外機200の熱交換器204は凝縮器として機能し、室内機1の熱交換器101は蒸発器として機能する。
【0019】
暖房運転時の四路切換弁202は、点線で示されるように内部流路が構成されている。これにより、圧縮機201から、四路切換弁202、開いている遮断弁208、熱交換器101、膨張弁103、開いている遮断弁207、膨張弁206、熱交換器204、四路切換弁202、及び、アキュムレータ203を通って、圧縮機201に戻る冷媒の流路が形成される。このとき、室外機200の熱交換器204は蒸発器として機能し、室内機1の熱交換器101は凝縮器として機能する。
【0020】
次に、本開示の空気処理装置におけるセンサ接続について説明する。
【0021】
《第1実施形態》
図1は、センサ接続の観点から見た空気処理装置100の第1実施形態を示す接続図である。この図は、本開示の基本コンセプトを簡略に示したものである。前述のように、空気処理装置とは、空調又は換気を行う装置の総称として用いる。この空気処理装置100としては、一例として、天井埋め込み型の、空調機の室内機1を示している。なお、室内機の形態はこれに限らず、床置き型、壁掛け型、天井吊り下げ型等であってもよい。
【0022】
図1において、室内機1のケーシング1cの内部に、主制御部2が設けられている。主制御部2は、マイクロコンピュータ21と、これに接続されたインターフェース回路22とを搭載する制御基板となっている。マイクロコンピュータ21は、CPU、クロック、メモリ、内蔵インターフェースその他、を搭載している。主制御部2は、センサ信号を受け付ける入力ポート2pを備えている。
【0023】
インターフェース回路22は、通信規格としてLIN(Local Internet Network)で伝送されてきた信号を、UART(Universal Asynchronous Receiver/Transmitter)又はI2Cに変換してマイクロコンピュータ21に入力する。
【0024】
室内機1には、温度センサ、湿度センサ、CO2センサ、赤外線センサ、室内空気質センサ(IAQセンサ)等、各種のセンサが設けられる。これらのセンサには、ケーシング1cの内部又は表面に設けられるセンサのほか、ケーシング1cの外部の、離れた位置に設けられるセンサもある。図示しているのは、ケーシング1cの外部に設けられるセンサ3,4である。ケーシング1cの外部に設けられるセンサの数が2個であるのは、あくまで一例であり、1個の場合もあれば、3個以上の場合もある。
【0025】
センサ3,4は共に、I2Cで信号を出力する。I2Cは外来ノイズの侵入を受けやすいので、通信線5,6は、できるだけ短い方が好ましい。例えば最長でも1.2m程度に抑える必要がある。センサ3には、変換部7が接続されている。センサ4には、変換部8が接続されている。変換部7は、I2Cの信号を、LINの信号に変換する。変換部8も同様である。変換部7,8の出力側(
図1における変換部7,8の左側)は、並列にディジーチェーン接続されている。
【0026】
変換部7,8は、LINの通信線9を介して主制御部2の入力ポート2pに接続されている。LINは、I2Cに比べてノイズ耐性が高い。そのため、通信線9は、最長で40mの距離に延ばすことが可能である。変換部7,8及びセンサ3,4に必要な制御電源電圧(例えばDC5V)は、主制御部2から通信線9,5,6を介して供給される。
【0027】
このように、変換部7,8を設けることにより、センサ3,4はI2Cで信号を出力し、また、主制御部2はLINで信号を受信することができる。信号伝送の通信線5,6,9上に、I2Cよりノイズ耐性が高いLINの通信線9が存在することで、外来ノイズの影響を抑制することができる。I2Cの通信線5,6を極力短くして、LINの通信線9により必要な距離の大部分を確保するようにすれば、外来ノイズの影響を、より効果的に低減することができる。
【0028】
(接続図の具体例1)
図2は、
図1の接続図を、より具体的にした第1の例を示す図である。但し、センサ接続は1センサ系統のみを示している。
図2において、変換部7は、1つの基板上に、マイクロコンピュータ71と、UARTからLINへの変換を行う変換回路72とを搭載している。マイクロコンピュータ71は、CPU、クロック、メモリ、内蔵インターフェースその他、を搭載している。マイクロコンピュータ71には、I2CからUARTへの変換を行うためのコンピュータプログラムが書き込まれている。
【0029】
マイクロコンピュータ71と、変換回路72とは、UARTの信号を伝送する基板上の2伝送路により互いに接続されている。マイクロコンピュータ71は、センサ3と、I2Cの信号を伝送する通信線5で接続されている。
【0030】
主制御部2は、1つの基板上に、マイクロコンピュータ21と、LINからUARTへの変換を行う変換回路22a(
図1のインターフェース回路22に相当する。)と、センサ信号を受け付ける入力ポート2pとを備えている。マイクロコンピュータ21と、変換回路22aとは、UARTの信号を伝送する基板上の2伝送路により互いに接続されている。
【0031】
センサ側の、UARTからLINへの変換回路72は、主制御部側の、LINからUARTへの変換回路22aと接続された入力ポート2pと、LINの通信線9(フラットケーブル又は多芯ケーブル)により互いに接続されている。通信線9は1本で足りるので、工事が容易である。
【0032】
図2の構成によれば、センサ3はI2Cで信号を出力し、これを、マイクロコンピュータ71がUARTの信号に変換する。UARTの信号は、変換回路72により、LINの信号に変換され、通信線9により伝送される。主制御部2では、変換回路22aにより、LINの信号をUARTの信号に変換する。このUARTの信号が、マイクロコンピュータ21に入力される。
【0033】
センサ側の変換部7にマイクロコンピュータ71を用いることにより、空気処理装置100によって、センサ側の通信規格が異なる場合にも、変換部7のコンピュータプログラムの変更により容易に対応することができる。さらに、センサが同一通信規格で複数個あるか又は異種も含む通信規格で複数個であっても、それぞれに対応する変換を行うことができ、個々のアドレスによる識別も可能である。従って、センサに合わせた信号変換を容易に実行することができる。また、主制御部2は、センサの通信規格の違いに応じて設計変更する必要が無い。
なお、変換部にマイクロコンピュータを用いた場合、変換部と主制御部とを繋ぐ通信線(フラットケーブル又は多芯ケーブル)を1本とすることができ、工事が容易である。
【0034】
(接続図の具体例2)
図3は、
図1の接続図を、より具体的にした第2の例を示す図である。但し、センサ接続は1センサ系統のみを示している。
図3において、変換部7は、1つの基板上に、I2CからUARTへの変換を行う変換回路73と、UARTからLINへの変換を行う変換回路74,75とを搭載している。I2CからUARTへの変換回路73の出力は、以後2系統に分かれて伝送される。
【0035】
I2CからUARTへの変換回路73と、UARTからLINへの変換回路74とは、UARTの信号を伝送する基板上の2伝送路により互いに接続されている。同様に、I2CからUARTへの変換回路73と、UARTからLINへの変換回路75とは、UARTの信号を伝送する基板上の2伝送路により互いに接続されている。I2CからUARTへの変換回路73は、センサ3と、I2Cの信号を伝送する通信線5で接続されている。
【0036】
主制御部2は、1つの基板上に、マイクロコンピュータ21と、UARTからI2Cへの変換を行う変換回路22bと、LINからUARTへの変換を行う2つの変換回路22c,22dと、センサ信号を受け付ける入力ポート2p1,2p2を備えている。これらの変換回路22b,22c,22dは、
図1のインターフェース回路22に相当する。
【0037】
UARTからI2Cへの変換回路22bと、LINからUARTへの変換回路22cとは、UARTの信号を伝送する基板上の2伝送路により互いに接続されている。同様に、UARTからI2Cへの変換回路22bと、LINからUARTへの変換回路22dとは、UARTの信号を伝送する基板上の2伝送路により互いに接続されている。マイクロコンピュータ21と、変換回路22bとは、I2Cの信号を伝送する基板上の2伝送路により互いに接続されている。
【0038】
センサ側の、UARTからLINへの変換回路74は、主制御部側の、LINからUARTへの変換回路22cと接続された入力ポート2p1と、LINの通信線9a(フラットケーブル又は多芯ケーブル)により互いに接続されている。同様に、センサ側の、UARTからLINへの変換回路75は、主制御部側の、LINからUARTへの変換回路22dと接続された入力ポート2p2と、LINの通信線9b(フラットケーブル又は多芯ケーブル)により互いに接続されている。
【0039】
図3の構成によれば、センサ3はI2Cで信号を出力し、これを、I2CからUARTへの変換回路73がUARTの信号に変換する。UARTの信号は、2つの、UARTからLINへの変換回路74,75により、LINの信号に変換され、通信線9a,9bにより伝送される。主制御部2では、2つの、LINからUARTへの変換回路22c,22dにより、LINの信号をUARTの信号に変換する。2系統のUARTの信号は、変換回路22bによりI2Cの信号に変換される。このI2Cの信号が、マイクロコンピュータ21に入力される。
【0040】
このように、
図3の変換部7は、ハードウェアにより構成された回路のみによって、センサの出力するI2Cの信号をLINの信号に変換する。この場合の変換部7はI2Cのセンサ3専用となるが、マイクロコンピュータのようなソフトウェア設計が不要である。
【0041】
《第2実施形態》
図4は、センサ接続の観点から見た空気処理装置100の第2実施形態を示す接続図である。
図1との違いは、変換部7とセンサ3とを1つの基板上に搭載するか又は1つのケースに収め、センサユニット10とした点、同様に、変換部8とセンサ4とを1つの基板上に搭載するか又は1つのケースに収め、センサユニット11とした点である。ここで、「1つのケースに収め」とは、例えば樹脂製のケーシングに、変換部及びセンサが共に収容され、1ユニットとなっていることである。このようなユニット化により、センサ3と変換部7とが、互いに接近し、かつ、物理的に固定された関係となり、変換部7とセンサ3との間での外来ノイズの影響を、より効果的に抑制できる。センサ4と変換部8とについても同様である。
【0042】
また、
図4に示す主制御部2は、外部からのLINの信号を受け付ける入力ポート2pのほか、ケーシング1cの外面又はその内部に設けられるセンサ12,13を接続するための入力ポート2p3,2p4を備えている。入力ポート2p3はマイクロコンピュータ21に接続されるI2Cの信号用ポートであり、入力ポート2p4はマイクロコンピュータ21に接続されるUARTの信号用ポートである。センサ12は、I2Cで信号を出力する。センサ13は、UARTで信号を出力する。
【0043】
このような入力ポート2p3,2p4を備えることにより、変換部7,8経由のみならず、主制御部2に近い場所にある各種のセンサと主制御部2との、直接の接続も可能である。また、ケーシング1cの内外で、複数種類(I2C,UART)の通信規格のセンサを接続することもできる。
【0044】
《第3実施形態》
図5は、センサ接続の観点から見た空気処理装置100の第3実施形態を示す接続図である。
図1との違いは、センサ側の変換部14が、複数種類の出力タイプに対応した変換機能を備えている点である。例えば、変換部14には、I2Cで出力する高機能センサ15,16と、抵抗変化で検知レベルを表す抵抗変化型センサ17,18と、UARTで出力するUART出力型センサ19とが、互いに並列的に接続されている。
【0045】
上記の変換部14はハードウェアのみの構成でも製作可能であるが、マイクロコンピュータを内蔵する構成の方が好適である。マイクロコンピュータを用いることにより、センサの出力タイプに応じた変換をソフトウェアにより行い、個々のアドレスによりセンサを識別することができる。こうして、複数個又は複数種類のセンサを、変換部14に接続することができる。
【0046】
《開示のまとめ》
上記の開示は、以下のように一般化して表現することができる。なお、以下に述べる「第1センサ」とは、例えば、上記実施形態におけるセンサ3,4,15,16である。「第2センサ」とは、例えば、センサ12,13である。「第3センサ」とは、例えば、センサ17,18,19である。「変換部」は、上記各実施形態における変換部7,8又は14である。「第1通信規格」とは、センサから直接出力される信号規格であり、例えば、I2C又はUARTである。「第2通信規格」とは、「第1通信規格」よりノイズ耐性が高い信号規格であり、例えばLINである。「第1通信線」とは、例えば、通信線5又は6である。「第2通信線」とは、例えば、通信線9又は、通信線9a及び9bである。
【0047】
以上、開示したのは、空調又は換気を行う空気処理装置100であって、装置本体のケーシング1cと、第1センサと、変換部と、主制御部2とを備えている。第1センサは、ケーシング1cの外部に設けられ、第1通信規格で出力する。変換部は、第1センサの出力信号を、第1通信規格よりノイズ耐性が高い第2通信規格の信号に変換して出力する。主制御部2は、ケーシング1cの内部に設けられ、変換部の出力信号を受信する。
【0048】
このような空気処理装置100では、変換部を設けることにより、第1センサは第1通信規格で信号を出力し、また、主制御部2は第2通信規格で信号を受信することができる。信号伝送の通信線上に、第1通信規格よりノイズ耐性が高い第2通信規格の通信線が存在することで、外来ノイズの影響を抑制することができる。
また、第1センサ及び第1通信規格として、複数の相異なる種類があっても、変換部がこれらに対応できる仕様とすれば、主制御部2は共通の仕様とすることができる。
【0049】
特に、第1センサから変換部までの、第1通信線よりも、変換部から主制御部2までの、第2通信線の方が長くなるようにすれば、外来ノイズの影響を、より効果的に低減することができる。
【0050】
例えば変換部は、マイクロコンピュータを内蔵し、当該マイクロコンピュータを用いて第1通信規格の信号を第2通信規格の信号に変換することができる。変換部にマイクロコンピュータを用いることにより、空気処理装置によって、センサ側の通信規格が異なる場合にも、変換部のコンピュータプログラムの変更により容易に対応することができる。さらに、センサが同一通信規格で複数個あるか又は異種も含む通信規格で複数個であっても、それぞれに対応する変換を行うことができ、個々のアドレスによる識別も可能である。従って、センサに合わせた信号変換を容易に実行することができる。また、主制御部2は、センサの規格の違いに応じて設計変更する必要が無い。
なお、変換部にマイクロコンピュータを用いた場合、変換部と主制御部とを繋ぐ通信線(フラットケーブル又は多芯ケーブル)を1本とすることができ、工事が容易である。
【0051】
主制御部2が、第2通信規格の入力ポート2pを有している場合は、当該入力ポート2pを介して、変換部の出力信号を受信することができる。
この場合、現場施工における、変換部と主制御部2との接続が容易である。
【0052】
変換部は、ハードウェアにより構成された回路のみによって、第1通信規格の信号を第2通信規格の信号に変換するものであってもよい。
この場合、変換部は特定の第1センサ専用となるが、マイクロコンピュータのようなソフトウェア設計が不要である。
【0053】
ケーシング1cに又はその内部に、第1通信規格で出力する第2センサが設けられる場合もある。主制御部2は、これらの第2センサと接続される入力ポート2p3,2p4を備えている。
この場合、変換部経由のみならず、主制御部2に近い場所にある各種のセンサと主制御部との、直接の接続も可能である。また、ケーシング1cの内外で複数種類の第1通信規格のセンサを接続することもできる。
【0054】
変換部と第1センサとは、1つのセンサユニットを構成するものであってもよい。
この場合、具体的には、変換部と第1センサとは、1つの基板上に設けられるか又は1つのケース内に設けられる。そのため、互いに接近し、かつ、物理的に固定された関係となり、変換部と第1センサとの間での外来ノイズの影響を、より効果的に抑制できる。
【0055】
図5に示すように、第1通信規格で出力する第3センサ(センサ17,18,19)が、第1センサ(センサ15,16)と並列的に、変換部14に接続されていてもよい。
このように、複数個又は複数種類のセンサを、変換部に接続することができる。
【0056】
《その他》
上記のケーシング1cは室内機1のケーシングとして説明したが、同様なセンサ接続を受け付ける母体は、室外機のケーシングや、内外一体型空調機のケーシングであってもよい。
【0057】
なお、上記実施形態における通信規格のLINは、これに代えて、CAN(Controller Area Network)を採用してもよい。
また、上記実施形態は空気処理装置として、空調機の室内機を例示したが、換気装置にも同様のセンサ接続を適用可能である。
【0058】
《補記》
なお、上述の各実施形態については、その少なくとも一部を、相互に任意に組み合わせてもよい。
以上、実施形態について説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0059】
1:室内機、1c:ケーシング、2:主制御部、2p,2p1,2p2,2p3,2p4:入力ポート、3,4:センサ、5,6:通信線、7,8:変換部、9,9a,9b:通信線、10,11:センサユニット、12,13:センサ、14:変換部、15,16:高機能センサ、17,18:抵抗変化型センサ、19:UART出力型センサ、21:マイクロコンピュータ、22:インターフェース回路、22a,22b,22c,22d:変換回路、71:マイクロコンピュータ、72,73,74,75:変換回路、100:空調機(空気処理装置)、101:熱交換器、102:ファン、103:膨張弁、200:室外機、201:圧縮機、202:四路切換弁、203:アキュムレータ、204:熱交換器、205:ファン、206:膨張弁、207:遮断弁(液側)、208:遮断弁(ガス側)