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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】シート材料のレーザー支援機械加工
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/38 20140101AFI20240319BHJP
   B21D 28/24 20060101ALI20240319BHJP
   B21D 28/34 20060101ALI20240319BHJP
   B21D 1/02 20060101ALI20240319BHJP
   B26F 1/44 20060101ALI20240319BHJP
   B26D 7/18 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
B23K26/38 A
B21D28/24 Z
B21D28/34 M
B21D1/02 Z
B26F1/44 G
B26D7/18 F
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2020556303
(86)(22)【出願日】2019-04-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-26
(86)【国際出願番号】 US2019027363
(87)【国際公開番号】W WO2019200339
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2022-04-11
(31)【優先権主張番号】62/657,242
(32)【優先日】2018-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501012517
【氏名又は名称】アイピージー フォトニクス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】レオニート・シー・レフ
(72)【発明者】
【氏名】シュテッフェン・ミュラー
【審査官】岩見 勤
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04356377(US,A)
【文献】特開2001-097620(JP,A)
【文献】特開平01-241331(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0306706(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/38
B21D 28/24
B21D 28/34
B21D 1/02
B26F 1/44
B26D 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構成部品をシート材料から打抜きするための刻み支援方法であって、
シート材料において外側刻み線の少なくとも一部を高エネルギー放射源で刻むステップであって、前記外側刻み線は構成部品の外周の形を定める、ステップと、
前記刻むステップの後に、前記シート材料の刻まれた部分を平坦化装置で平坦化するステップであって、前記シート材料の前記刻まれた部分は前記外側刻み線を含む、ステップと、
前記平坦化するステップの後に、前記構成部品を前記シート材料から分離するために前記シート材料を貫いて構成部品パンチを駆動するステップであって、前記構成部品パンチは前記外側刻み線の中で前記シート材料と接触する、ステップと、
を含む刻み支援方法。
【請求項2】
前記平坦化するステップの前に、前記シート材料から廃棄物を分離するために、前記高エネルギー放射源で前記廃棄物を前記シート材料から切り出すステップを含む、請求項1に記載の刻み支援方法。
【請求項3】
前記平坦化するステップの前に、前記シート材料において廃棄刻み線の少なくとも一部を前記高エネルギー放射源で刻むステップであって、前記廃棄刻み線は廃棄物の外周の形を定め、前記廃棄刻み線は前記外側刻み線によって包囲される、ステップと、
前記構成部品パンチを駆動するステップの前に、前記廃棄物を前記シート材料から分離するために前記シート材料を貫いて廃棄物パンチを駆動するステップであって、前記廃棄物パンチは前記廃棄刻み線の中で前記シート材料と接触する、ステップと、
を含む、請求項1に記載の刻み支援方法。
【請求項4】
前記廃棄物パンチを駆動するステップの前に、前記構成部品の輪郭を廃棄物ダイと位置合わせするステップであって、前記廃棄物ダイは前記廃棄物パンチを受け入れるように位置決めおよび構成される、ステップを含む、請求項3に記載の刻み支援方法。
【請求項5】
前記シート材料の厚さの少なくとも1倍かつ3倍以下である最小のダイクリアランスギャップを定めるように、前記廃棄物パンチを前記廃棄物ダイの中に挿入させるように構成するステップを含む、請求項4に記載の刻み支援方法。
【請求項6】
前記構成部品パンチを駆動するステップの前に、前記外側刻み線を構成部品ダイと位置合わせするステップであって、前記構成部品ダイは前記構成部品パンチを受け入れるように位置決めおよび構成される、ステップを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の刻み支援方法。
【請求項7】
前記シート材料の厚さの少なくとも1倍かつ3倍以下である最小のダイギャップクリアランスを定めるように、前記構成部品パンチを前記構成部品ダイの中に挿入させるように構成するステップを含む、請求項6に記載の刻み支援方法。
【請求項8】
平坦化する前記ステップにおける前記平坦化装置は、2つのローラを備えるローラ組立体である、請求項1に記載の刻み支援方法。
【請求項9】
前記シート材料の公称厚さ以上であり、前記公称厚さよりも1マイクロメートルを超えない離間を、前記2つのローラの間で維持するステップを含む、請求項8に記載の刻み支援方法。
【請求項10】
平坦化する前記ステップの間にローラ圧力が加えられ、前記ローラ圧力は前記シート材料の降伏強度未満である、請求項9に記載の刻み支援方法。
【請求項11】
包括的に20マイクロメートル~400マイクロメートルの範囲内の厚さを有する前記シート材料を提供するステップを含む、請求項1に記載の刻み支援方法。
【請求項12】
金属材料の前記シート材料を提供するステップを含む、請求項1または11に記載の刻み支援方法。
【請求項13】
アモルファス金属の前記シート材料を提供するステップを含む、請求項1または11に記載の刻み支援方法。
【請求項14】
前記刻むステップは、前記シート材料の厚さの20%以上かつ95%以下である範囲内にある溝深さを定める、請求項1に記載の刻み支援方法。
【請求項15】
前記シート材料に外側刻み線を刻むステップにおける前記高エネルギー放射源はレーザーである、請求項1に記載の刻み支援方法。
【請求項16】
前記刻むステップの後かつ前記駆動するステップの前に、表面破片を前記シート材料の一部分から除去するステップを含む、請求項1に記載の刻み支援方法。
【請求項17】
剥がれた材料を除去するステップは圧縮空気を用いて実施される、請求項16に記載の刻み支援方法。
【請求項18】
構成部品をシート材料から製造するための刻み支援システムであって、
シート材料を搬送経路に沿って搬送するためのコンベヤと、
構成部品の外周の形を定める外側刻み線を、前記シート材料に形成するための高エネルギー放射源と、
前記シート材料の刻まれた部分を平坦化するための平坦化装置と、
前記外側刻み線において前記シート材料から構成部品を分離するための構成部品パンチと、
前記構成部品パンチを受け入れるように構成される構成部品ダイと、
を備え、
前記平坦化装置は、前記搬送経路に沿って前記高エネルギー放射源と前記構成部品パンチとの間に配置される、刻み支援システム。
【請求項19】
前記高エネルギー放射源は、前記シート材料から廃棄物を分離するために、前記廃棄物を前記外側刻み線の中から切り出すように構成される、請求項18に記載の刻み支援システム。
【請求項20】
前記高エネルギー放射源は、前記外側刻み線によって包囲される廃棄刻み線を形成するように構成され、前記廃棄刻み線は廃棄物の外周の形を定める、請求項18に記載の刻み支援システム。
【請求項21】
前記廃棄刻み線において前記シート材料から前記廃棄物を分離するための廃棄物パンチと、
前記廃棄物パンチを受け入れるように構成される廃棄物ダイと、
を備え、
前記廃棄物パンチは、前記搬送経路に沿って前記平坦化装置と前記構成部品パンチとの間に配置される、請求項20に記載の刻み支援システム。
【請求項22】
包括的に20マイクロメートル~400マイクロメートルの範囲内の厚さを有するシート材料を取り扱うように構成される、請求項18に記載の刻み支援システム。
【請求項23】
前記高エネルギー放射源はレーザーである、請求項18に記載の刻み支援システム。
【請求項24】
前記平坦化装置は圧縮ローラである、請求項18に記載の刻み支援システム。
【請求項25】
前記圧縮ローラは、前記シート材料の降伏強度未満であるローラ圧力を前記シート材料に加えるように構成される、請求項24に記載の刻み支援システム。
【請求項26】
前記高エネルギー放射源は、前記シート材料の厚さの20%以上かつ80%以下である範囲内にある溝深さを形成するように構成される、請求項18に記載の刻み支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2018年4月13日に出願された米国仮出願第62/657,242号の便益を主張し、この米国仮出願の開示は、その全体において本明細書に参照により組み込まれている。
【0002】
本出願は概して、シートストックから構成部品を製作するための方法およびシステムに関し、より詳細には、工具およびダイによる製作の加工およびシステムにおけるシートストックのレーザー機械加工に関する。
【背景技術】
【0003】
幅広い範囲のシート金属部品がシートストックから型打ちおよび打抜きによって製造される。従来から、ダイとパンチとの間のギャップは、典型的には材料厚さの5%~15%といった厳しいクリアランスを要求する。薄いシートストックについては、ダイおよびパンチは、要求される嵌合いを提供するために公差内で機械加工されなければならない。
【0004】
さらに、特定の材料は型打ちまたは打抜きに向いていない。型打ちまたは打抜きするのが難しい材料の例には電磁鋼があり、電磁鋼は、通常の摩耗ならびに型およびダイの引裂きにより、不十分な縁の品質またはシート自体への損傷(シートの割れ)を伴う部品を最終的に作り出すことになる。工具に繰り返し作用する大きな力のため、工具における摩耗の速さは非常に高く、そのため頻繁な改修または交換を必要とする可能性がある。
【0005】
薄いシートの型打ちに必要とされる厳しい公差は、頻繁な改修または交換の必要性に加えて、特定の材料の型打ちを受け入れ難くする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第9,649,727号明細書
【非特許文献】
【0007】
【文献】2018年3月27日に最後に訪問されたhttps://wp.optics.arizona.edu/optomech/wp-content/uploads/sites/53/20l6/l0/OPTI-52l-Tutorial-on-Hertz-contact-stress-Xiaoyin-Zhu.pdfにおいて利用可能なXiaoyin Zhu、「Tutorial on Hertz Contact Stress」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これらの問題に対処するシステムおよび方法は歓迎される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の様々な実施形態は、切込み加工、刻み加工、および分離加工を、平坦化加工と組み合わせることで、シートまたはコイルの材料から構成部品または部品を作る加工を記載している。切込み加工は、レーザービームなどの高出力エネルギー源を用いて、構成部品の周囲の一部の輪郭を切り込むことを含む。切込み加工は、構成部品の周囲の20%~97%の間の切込みを含み得る。刻み加工は、構成部品周囲の少なくとも一部の輪郭を刻むことを含む。構成部品周囲は、レーザービームなどの高出力エネルギー源を用いて刻まれる。刻み加工は、構成部品の周囲の20%~100%の刻みを含み得る。分離の加工は、打抜き工程などによって構成部品をシートまたはコイルから分離することと、構成部品を圧縮空気または電磁パルスで除去することと、を含む。
【0010】
また、刻まれた線を含むシート材料の刻まれた部分が打抜き工程の前に平坦化加工を受けるシステムおよび加工が開示されている。打抜き工程の前に平坦化工程を実施することは、加工を効率化する効果を有する。つまり、シート材料は、構成部品の分離の取扱いの必要なく、刻み加工および任意の切込み加工から平坦化加工を通じて分離加工へと容易に取扱いおよび搬送できる。このような効率化は、一部の場合にはホイル材料に類似した薄いシートを取り扱うとき、特に価値のあることである。本明細書では、「シート材料」は、型打ちまたは貫く打抜きの工程において加工され得る従来のシート、リボン、薄板、リール、コイル、および他のこのような形態を含むように、幅広く解釈される。
【0011】
平坦化加工は、刻まれた溝の角において形成し得る溶融材料の浮きかすまたはビードなど、切込み加工または刻み加工において生じ得る、高くなった特徴部を平坦化することによって、シート材料の切込み部分および/または刻まれた部分を実質的の元の厚さに戻すように作用する。シートの切込み部分および/または刻まれた部分は、切込み加工および刻み加工の間に被られる温度勾配のため、ある程度の反りまたは歪みを受ける可能性がある。平坦化加工は、このような反りまたは歪みを除去または軽減することができ、シート材料の刻まれた部分を平面の状態に戻すことができる。
【0012】
開示されたシステムおよび加工の別の態様は、刻み線が分離加工の間に構成部品とシート材料との間の分離の線の場所を定めることである。分離加工が硬いパンチおよびダイで実施される場合、パンチとダイとの間の厳しい公差は、所望の形の構成部品をもたらすために必要とされない。これは工作機械の公差要件を緩和し、そのため、シート材料の厚さの5%~15%の代わりに、ダイギャップは、シート材料の厚さの1倍もしくは2倍とすることができ、またはそれより大きくてもよい。したがって、工作機械のコストは低減させられ、工作機械は、交換または改修を必要とする前により大きな度合いの摩耗を被る可能性がある。さらに、刻み線において構成部品をせん断するために必要とされる力が、シート材料の全体の厚さをせん断することに対して低減させられるため、工具摩耗の速さは大幅に低減させられ得る。
【0013】
驚くべきことに、多くの用途について、分離加工の前にシート材料の切込み部分および/または刻まれた部分を圧縮で平坦化する流れは、完成またはほとんど完成した構成部品を作り出す。縁の粗さは、一部の用途について、完成の仕様内にある。しばしば、平坦化加工の間に切り込まれた溝および/または刻まれた溝の角において、押し下げられた浮きかすまたは改質された溶融材料は、予備ストレスをかけられおよび疲労させられ、簡単な仕上げ技術によって容易に除去される。構成部品はまた、より大きなパンチおよびダイのクリアランスで製作されたとしても、打抜き加工を通じて十分な平面性を保持できる。
【0014】
構造的に、本開示の様々な実施形態は、構成部品をシート材料から打抜きするための刻み支援方法であって、シート材料において外側刻み線を高エネルギー放射源で刻むステップであって、外側刻み線は構成部品の外周の形を定める、ステップと、刻むステップの後に、シート材料の刻まれた部分を平坦化装置で平坦化するステップであって、シート材料の刻まれた部分は外側刻み線を含む、ステップと、平坦化するステップの後に、構成部品をシート材料から分離するためにシート材料を貫いて構成部品パンチを駆動するステップであって、構成部品パンチは外側刻み線の中でシート材料と接触する、ステップと、を含む刻み支援方法を含む。一部の実施形態では、シート材料に外側刻み線を刻むステップにおける高エネルギー放射源はレーザーである。
【0015】
方法は、平坦化するステップの前に、シート材料から廃棄物を分離するために、高エネルギー放射源で廃棄物をシート材料から切り出すステップを含み得る。代替で、一部の実施形態では、平坦化するステップの前に、方法は、シート材料において廃棄刻み線を高エネルギー放射源で刻むステップであって、廃棄刻み線は廃棄物の外周の形を定め、廃棄刻み線は外側刻み線によって包囲される、ステップを含む。構成部品パンチを駆動するステップの前に、方法は、廃棄物をシート材料から分離するためにシート材料を貫いて廃棄物パンチを駆動するステップであって、廃棄物パンチは廃棄刻み線の中でシート材料と接触する、ステップを含み得る。廃棄物パンチを駆動するステップの前に、方法は、輪郭を廃棄物ダイと位置合わせするステップであって、廃棄物ダイは廃棄物パンチを受け入れるように位置決めおよび構成される、ステップを含み得る。一部の実施形態では、方法は、シート材料の厚さの少なくとも1倍かつ3倍以下である最小のダイクリアランスギャップを定めるように、廃棄物パンチを廃棄物ダイの中に挿入させるように構成するステップを含む。
【0016】
様々な実施形態では、構成部品パンチを駆動するステップの前に、方法は、外側刻み線を構成部品ダイと位置合わせするステップであって、構成部品ダイは構成部品パンチを受け入れるように位置決めおよび構成される、ステップを含む。方法は、シート材料の厚さの少なくとも1倍かつ3倍以下である最小のダイギャップクリアランスを定めるように、構成部品パンチを構成部品ダイの中に挿入させるように構成するステップも含み得る。一部の実施形態では、平坦化するステップにおける平坦化装置は圧縮ローラである。平坦化するステップの間、前記シート材料の降伏強度未満であるローラ圧力が、圧縮ローラによって加えられ得る。
【0017】
一部の実施形態では、方法は、包括的に20マイクロメートル~400マイクロメートルの範囲内の厚さを有するシート材料を提供することを含む。シート材料は、金属材料のものとすることができ、アモルファス金属のものとすることもでき、さらにケイ素鋼のものとすることができる。一部の実施形態では、刻むステップは、シート材料の厚さの20%以上かつ80%以下である範囲内にある溝深さを定める。一部の実施形態では、刻むステップの後で、駆動するステップの前に、方法は、表面破片をシート材料の一部分から除去するステップを含む。剥がれた材料を除去するステップは圧縮空気で実施され得る。
【0018】
本開示の様々な実施形態では、構成部品をシート材料から製造するための刻み支援システムであって、シート材料を搬送経路に沿って搬送するためのコンベヤと、構成部品の外周の形を定める外側刻み線をシート材料に形成するための高エネルギー放射源と、シート材料を平坦化するための平坦化装置と、外側刻み線においてシート材料から構成部品を分離するための構成部品パンチと、構成部品パンチを受け入れるように構成される構成部品ダイと、を備える刻み支援システムが開示されている。一部の実施形態では、平坦化装置は、搬送経路に沿って高エネルギー放射源と構成部品パンチとの間に配置される。高エネルギー放射源は、シート材料から廃棄物を分離するために、廃棄物を外側刻み線の中から切り出すように構成され得る。
【0019】
代替で、高エネルギー放射源は、外側刻み線によって包囲される廃棄刻み線を形成するように構成されてもよく、廃棄刻み線は廃棄物の外周の形を定める。このような実施形態では、システムは、廃棄刻み線においてシート材料から廃棄物を分離するための廃棄物パンチと、廃棄物パンチを受け入れるように構成される廃棄物ダイと、を備えてもよく、廃棄物パンチは、搬送経路に沿って平坦化装置と構成部品パンチとの間に配置される。
【0020】
刻み支援システムは、包括的に20マイクロメートル~400マイクロメートルの範囲内の厚さを有するシート材料を取り扱うように構成され得る。一部の実施形態では、高エネルギー放射源はレーザーである。一部の実施形態では、平坦化装置は圧縮ローラである。圧縮ローラは、シート材料の降伏強度未満であるローラ圧力をシート材料に加えるように構成され得る。高エネルギー放射源は、シート材料の厚さの20%以上で80%以下である範囲にある溝深さを形成するように構成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本開示の一実施形態による刻み支援システムの一部の斜視図である。
図2】本開示の一実施形態による、廃棄物パンチおよびダイを含む刻み支援システムの一部の斜視図である。
図3】本開示の一実施形態による、平坦化の前後における刻み線溝の端断面図である。
図4】本開示の一実施形態による、貫いた切込みを橋渡しする刻まれたタブの断面図である。
図5】本開示の一実施形態による、穿孔された刻み線の平面図である。
図6】本開示の一実施形態による、図5の穿孔された刻み線の側方からの断面図である。
図7】本開示の一実施形態による、代替の穿孔された刻み線の側方からの断面図である。
図8】本開示の一実施形態による、別の代替の穿孔された刻み線の側方からの断面図である。
図9】本開示の一実施形態による、シート材料の刻まれた区域との位置合わせにおける廃棄物パンチおよび廃棄物ダイの斜視図である。
図10】本開示の一実施形態による、廃棄物が除去されているシート材料の刻まれた区域との位置合わせにおける構成部品パンチおよび構成部品ダイの斜視図である。
図11】本開示の一実施形態による、シート材料およびダイの上に中心付けられたパンチの立面での部分断面図である。
図12】本開示の一実施形態による、ダイクリアランスギャップを描写している図11の断面図の一部の拡大図である。
図13】本開示の一実施形態による、シート材料を通じて図11のダイへと挿入されるパンチの立面図である。
図14】本開示の一実施形態による、廃棄物ダイに挿入される廃棄物パンチについての図13の平面A-Aにおける断面図である。
図15】本開示の一実施形態による、構成部品ダイに挿入される構成部品パンチについての図13の平面A-Aにおける断面図である。
図16】本開示の一実施形態による、1キロワットのイッテルビウム単一モード連続波切込みレーザーの1回の通過についての走査速さに対する溝の切込み深さのグラフである。
図17】本開示の一実施形態による、1秒間あたり20メートルの走査速さでの1キロワットのイッテルビウム単一モード連続波切込みレーザーについての数回の通過に対する溝の切込み深さのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1を参照すると、シート材料34から構成部品32を製作するための刻み支援システム30aが、本開示の一実施形態により描写されている。描写されている実施形態では、刻み支援システム30aは、走査放射源42と、シート平坦化装置44と、構成部品パンチ48と、構成部品ダイ54と、を備える。描写されている実施形態には、シート材料34に向けられた空気ノズル56もある。廃棄物入れ物72が、走査放射源42によってシート材料34から除去される廃棄物74を受け入れるように構成され得る。廃棄物74は、単一の連続した品物(描写されている)とすることができるか、または複数の品物(例えば、複数の隔離された開口)とすることができる。同様に、構成部品入れ物75が、構成部品パンチ48によってシート材料34から除去される構成部品32を受け入れるように構成され得る。
【0023】
図2を参照すると、シート材料34から構成部品32を製作するための刻み支援システム30bが、本開示の一実施形態により描写されている。刻み支援システム30bは、刻み支援システム30aと同じ構成要素および特性の多くを含み、それらは同じ符号で指示されている。また、刻み支援システム30bは廃棄物パンチ46と廃棄物ダイ52とを備える。空気ノズル56は図2に描写されていないが、空気ノズル56が刻み支援システム30bにおいても利用できることは検討されている。刻み支援システム30bについて、廃棄物74は廃棄物パンチ46の作動によって発生させられ、そのため廃棄物入れ物72は、廃棄物74を廃棄物ダイ52から受け入れるように位置決めおよび構成されている。
【0024】
刻み支援システム30aおよび30bは、本明細書においては、刻み支援システム30として一般的または集合的に称されている。刻み支援システム30は、シート材料34の所与の部分が走査放射源42の下でシート平坦化装置44を通じて構成部品パンチ48と構成部品ダイ54との間に連続して搬送されるように、シート材料34を搬送経路64に沿う方向62において搬送するように構成されている。
【0025】
走査放射源42は、放射の集中ビーム80を送り、構成部品32の輪郭82をシート材料34に素早くトレースするように構成され得る。素早く移動する放射源の例は、例えば本出願の所有者によって所有されるKancharlaへの特許文献1内に見出され、その開示は、それに含まれる表現の定義および特許請求項を除いて、本明細書によりその全体において参照により本明細書において組み込まれている。走査放射源42はレーザー88であり得る。レーザー88は連続波(CW)またはパルスのいずれかであり得る。適切なレーザーの非限定的な例には、IPG Photonicsによって製造されるYLR-1000-WC-Y14など、イッテルビウム単一モードCWレーザーがある。十分な出力、パルス、または連続波の他の単一モードレーザーが利用されてもよい。ベータ線放射源(つまり、電子ビーム)も走査放射源42としての使用のために検討されている。一部の実施形態では、放射源42は、包括的に0.5kW(キロワット)~2kWの範囲内の出力を送るように構成される。本明細書では、「包括的」と言われる範囲は、範囲の端点の値と、範囲内のすべての中間値とを含む。
【0026】
輪郭82が刻まれるシート材料34の一部分は、本明細書ではシート材料34の刻まれた部分83として称される。描写されている実施形態では、輪郭82は内側または廃棄の刻み線84と外側刻み線86とを含む。内側刻み線84は廃棄物74の外周85をトレースする。外側刻み線86は構成部品32の外周87をトレースする。内側刻み線84および外側刻み線86は構成部品32の境界を定めるように組み合わさる。走査放射源42は、複数の経路にわたってシート材料34の厚さt内で所望の深さまで輪郭82を刻むように構成され得る(例えば、図12)。刻み線84および86の所望の深さの非限定的な例は、シート材料34の厚さtの包括的に20%~80%の範囲にある。一部の実施形態では、厚さtは、包括的に20μm(マイクロメートル)~400μmの範囲にある。
【0027】
空気ノズル56はシート平坦化装置44と構成部品パンチ48(描写されている)との間に配置され得る。代替で、空気ノズル56は走査放射源42とシート平坦化装置44との間に配置されてもよい。一部の実施形態では、空気ノズルがシート平坦化装置44の両側に配置されるように、追加の空気ノズルが組み込まれる。空気ノズル56は、シート材料34(描写されている)にわたって横方向にさっと動かす手法で空気ジェットを送るように構成され得る。一部の実施形態では、空気ノズル56は、シート材料34に近接して輪郭82の上をトレースするように構成される。一部の実施形態では、刻み線84、86は、ブラシ、空気ナイフ、または水濯ぎなど、空気ノズル56以外の装置および技術によって表面破片が洗浄されてもよい。表面破片の洗浄は、平坦化加工の前、平坦化加工の後、またはそれら両方に行われ得る。
【0028】
図3を参照すると、刻み線84および86を形成するために走査放射源42で複数回の通過を実施する効果が、本開示の一実施形態により描写されている。刻み線84および86は、溝96の側部同士を橋渡しするウェブ部分98で、シート材料34の厚さt内の深さdを有する溝96を定めている。放射の集中ビーム80でシート材料34を刻むことは、いくらかの改質された溶融材料または浮きかすの材料102を、溝96の角104に集中させ、シート材料34の表面106から高くなるように延ばす。描写されている実施形態では、シート材料34の一部は気化によって溝96から除去され、そのため、改質された材料102の体積および質量は、溝96から除去されるシート材料34の全体のごく一部だけである。
【0029】
一部の実施形態では、走査放射源42は、包括的に5m/s(1秒間あたりのメートル)~30m/sの範囲にある速さで輪郭82を走査するように構成される。一部の実施形態では、走査放射源42は、包括的に0.1kW~2kWの範囲において放射を送る。図5の溝96の描写された断面は、20m/sの走査速さにおいて全体で4倍の1kWのレーザーで走査された公称厚さ97μmの軟鋼のシート材料34の断面から撮られた写真の非限定的な描写である。ケイ素鋼のシートにおける同じ刻みパラメータについての結果は同様であった。軟鋼およびケイ素鋼の両方について、述べられた刻む条件の下で、走査放射源42の各々の通過について溝96から除去される材料の厚さは、包括的に15μm~35μmの範囲になるように観察されており、除去された材料の公称厚さは包括的に16μm~20μmとなっている。様々な走査速さおよび通過の回数における軟鋼およびケイ素鋼の切込み深さについてのデータが、図16および図17において後に提示されている。
【0030】
機能的に、刻み線84および86を複数回の通過にわたって形成することで、シート材料34の熱によって影響を受ける領域が、溝96を形成できるだけの長さで滞留する1回の通過での熱によって影響を受ける領域に対して、縮小させられる。また、集中放射ビーム80によって送られるエネルギーの損失がシート材料34によって吸収されるため、連続的な通過の間に気化させられる材料の量が、単一の通過による同様の深さの溝の形成に対して増加させられ得る。また、(例えば浮きかすの再形成により)最初の通過の間の溝96の側部において形成され得る不規則性は、よりきれいでより良好に定められた溝96を形成するために、連続的な通過において除去される傾向があり得る。
【0031】
一部の実施形態では、1つの輪郭線が完全に貫いた切込みであり得る一方で、別の輪郭線が刻まれ得る。このような仕組みは刻み支援システム30aに描写されており、ここで廃棄物74は走査放射源42によって完全に貫いて切り込まれている一方で、外側刻み線86は残っている。この仕組みは、廃棄物パンチ加工の必要性を排除する一方で、搬送経路64に沿ってシート平坦化装置44を通じて構成部品ダイ54へと搬送するのに、シート材料34に取り付けられた構成部品32を残したままである。
【0032】
図4を参照すると、刻まれたタブ構成100が、本開示の一実施形態により描写されている。この実施形態では、刻むことは、構成部品32の輪郭線の一部分がシート材料34の厚さtを貫いて切り込まれる一方で、材料は輪郭線の別の部分に沿って残るように、貫いて切り込むことと組み合わされている。例えば、周囲85、87の一方または両方は、貫いて切り込まれた部分91とタブ部分93とを含むことができ、タブ部分93は貫いて切り込まれた部分91を橋渡ししている。一部の実施形態では、タブ部分93は、図3において描写された手法において溝96で刻まれる。一部の実施形態では、複数のこのようなタブ部分93が周囲85、87に沿って形成される。一部の実施形態では、対応する周囲85、87の全体の長さに対するタブ93の接線長さ95の合計の割合が包括的に50%~97%の範囲にあり、一部の実施形態では、割合は75%~95%の範囲内にあり、一部の実施形態では、割合は85%~95%の範囲内にある。
【0033】
機能的に、タブ93は、構成部品32とシート材料34との間、または構成部品32および廃棄物74とシート材料34との間の結合を維持し、構成部品32、または組み合わされた構成部品32および廃棄物74を、連続して構成部品ダイ54または廃棄物ダイ52および構成部品ダイ54の両方の上に位置決めするために、シート材料34と共に搬送経路64に沿って安定して搬送させることができる。従来の型打ち加工に対して、廃棄物74と構成部品32との間および構成部品32とシート材料34との間の低減した橋渡しは、必要な分離力を低減させる。タブ部分93が刻まれる実施形態では、力はさらに低減させられ、分離の線は、刻まれていないタブ部分93とよりも小さい公差内で予測可能であり得る。
【0034】
描写された実施形態では、シート平坦化装置44は、シート材料34の両側における相対するローラ92、94を含むローラ組立体90である。相対するローラ92、94は、ローラ92、94の分離を最大所定距離で制限するように構成されるローラ装着部89に結合され得る。一部の実施形態では、ローラ92、94の最大分離は、少なくともシート材料の公称厚さtで、公称厚さtよりも1μmを超えないように設定される。一部の実施形態では、ローラ装着部89がローラ92、94の硬い分離を提供するように構成される。各々のローラ92、94のシート材料34との接触は、電気接触測定によって確立され得る。一部の実施形態では、ローラ92、94は硬い金属材料のものである。一部の実施形態では、ローラ92および94は異なる電位において動作し、それによって、ローラ組立体90を通る搬送の間、シート材料34を通じて電流を流れさせる。
【0035】
機能的に、ローラ92、94の間の分離を公称厚さtにおける最大寸法に制限すること、または分離をシート材料34の公称厚さtにしっかりと維持することは、ローラ組立体90に、シート材料のコアに実質的な応力を発揮することなく平坦化機能を実施させることができる。シート材料の刻まれた部分83がローラ組立体90を通過するとき、角104における改質された溶融材料および浮きかすの材料102など(図3)、表面106に対して高くなった特徴部だけが、シート材料34の公称厚さtを越え、ローラ92、94と圧縮して接触する。ローラ92、94の間の分離が、公称厚さtを越えないため、または公称厚さtにおいて一定に保持されるため、改質された溶融材料および浮きかすの材料102はローラ92、94に局所的に降伏させ、これらの特徴部を押し下げる塑性変形をもたらす。
【0036】
したがって、シート材料の刻まれた部分83は、実質的なヘルツの接触応力を発生させることなく平坦化させられる。ヘルツの接触理論は、湾曲した応力の接触によって発生させられる応力を特徴とし、例えば非特許文献1に記載されており、その開示は、それに含まれる表現の定義を除いて、その全体において参照により本明細書において組み込まれている。過度のヘルツの接触応力は、例えば、材料の磁気特性に悪影響を与えることが知られている。
【0037】
代替で、ローラ組立体90は、シート材料34がローラ組立体90を通じて搬送されるとき、所定の力を用いてシート材料34をローラの間で圧縮するように構成される圧縮ローラであり得る。ローラ92、94の間の圧縮は、例えば液圧アクチュエータ(図示略)で遂行され得る。ローラ組立体90によって発生させられる所定の力は、材料の降伏強度を越えない応力をシート材料34に送るように合わせられ得る。改質された溶融材料および浮きかすの材料102がシート材料34の表面106に対して高く立ち、ローラ組立体90の全体の線接触の小さな一部を構成するため、改質された溶融および浮きかすの材料102における局所的な応力はシート材料34における平均応力をはるかに越え、それによってシート材料34のコアの変形を防止しつつ、改質された溶融および浮きかすの材料102の平坦化(塑性変形)をなおも提供することになる。一部の実施形態では、ローラ組立体90は、シート材料34がローラ組立体90を通じて移動しているときだけシート材料34に圧縮力を加えるように構成される。代替で、平坦化装置44は、平坦な型打ちの板(図示略)、ロッキングプレス(図示略)、または当業者に利用可能なシート材料を平坦化するための他の装置および技術を備えてもよい。
【0038】
刻んだ後で打抜きの前にシート材料34を平坦化する効果は、本開示の一実施形態により、図3にも描写されている。シート材料34は、改質された材料102が平坦化させられる(つまり、表面106と実質的に平面状にさせられる)ように、ローラ組立体90を通じて前進させられる。軟鋼およびアモルファスケイ素鋼などの一部の材料について、改質された材料102は比較的延性があり、そのため、改質された材料は角104において押し下げられる。また、角104に僅かに取り付けられている一部の改質された材料は、平坦化加工の間に、予備ストレスをかけられおよび疲労させられ得るか、または粉砕および切離しされ得る。異なる電位においてローラ92、94を動作させることは、平坦化加工を増進させるために、シート材料34の局所的な加熱を提供してもよい。電流は、平坦化加工において望まれる塑性変形を増進させるために、構成部品32のコアと相互作用もする。
【0039】
したがって、シート材料34を「平坦化」することは、改質された溶融材料および浮きかすの材料102を、実質的にシート材料34の元の厚さtまたは元の厚さt内とするように、およびシート材料の反りおよび歪みを緩和するように、圧縮または戻すことである。つまり、シート材料34は、平坦化加工の後に輪郭82をなおも定めることになる。平坦化加工は、刻み線82および84を取り除いてしまうところまでシート材料34を圧縮しない。
【0040】
一部の実施形態では、圧縮力は、シート材料34が通過して前進させられるときだけローラ90によって加えられる。シート材料34がローラ組立体90を通過しているときだけローラ組立体90で圧縮力を加えることで、システムは、材料がローラ92、94の中で瞬間的に滞留するときにそうでないと起こり得るシート材料34の窪み形成を回避する。
【0041】
図5図8を参照すると、穿孔された刻み線108が本開示の一実施形態において描写されている。穿孔された刻み線108は、溝96の中のウェブ部分98の長さに沿って形成された穿孔部110を有するとして特徴付けられている。一部の実施形態では、刻み輪郭82の、廃棄刻み線84および外側刻み線86の一方または両方の少なくとも一部分が、このような穿孔された刻み線108で形成される。穿孔された刻み線108は、先に検討されているように複数回の通過にわたって形成され得る。図5および図6では、刻み輪郭82は連続的とし、実質的に均一な深さのものとして最初に形成され、穿孔部110を形成するために溝96の長さに沿う離散した位置において放射エネルギーのバーストが続く。一部の実施形態では、穿孔部は走査放射源42(図7)によって形成される。つまり、刻み支援システム30は、走査放射源42が不連続な刻み輪郭82を形成するために穿孔部110の所望の場所においてのみ放射のバーストを送るように構成される。一部の実施形態では、走査速さは、穿孔部110が形成される領域の上で集中放射ビーム80が滞留またはよりゆっくりと通過するように波動状にさせられる(図8)。穿孔された刻み線108の形成の後、刻み線82および84がこのように形成されたシート材料34は、前述されているように圧縮で平坦化させられ得る。
【0042】
機能的に、穿孔部110は、構成部品32、廃棄物74、またはそれら両方をシート材料34から分離するために必要とされる力を低減するように供する。穿孔部110の境界に沿って形成され得る任意の浮きかす材料は、前述した角104と同じ手法で平坦化装置44によって平坦化または除去され得る。穿孔部110は、分離の線に沿っての引裂きまたは切取りの効果を制限するように、および、ウェブ部分98に沿って中心付けられた分離の線を維持するようにも供することができ、そのため、構成部品32の公称の周辺は実質的に均一である。
【0043】
図9を参照すると、廃棄物パンチ46および廃棄物ダイ52は本開示の一実施形態により描写されている。廃棄物パンチ46および廃棄物ダイ52は、完成した構成部品32の一部ではないシート材料34から廃棄物74を除去するように機能するため、そのように名付けられている。廃棄物パンチ46は、廃棄物74の内側または廃棄の刻み線84に近いがその中にあるフットプリント112を定め得る。廃棄物ダイ52は、利用されるとき、廃棄物パンチ46を受け入れるように構成され、輪郭82の廃棄刻み線84に近いがその中にあるフットプリント114を定め得る。
【0044】
図10を参照すると、構成部品パンチ48および構成部品ダイ54が本開示の一実施形態により描写されている。構成部品パンチ48および構成部品ダイ54は、構成部品32をシート材料34から除去するように機能するため、そのように名付けられている。構成部品パンチ48は、構成部品32の外側刻み線86に近いがその中にあるフットプリント142を定め得る。構成部品ダイ54は、利用されるとき、構成部品パンチ48を受け入れるように構成され、輪郭82の外側刻み線86に近いがその外側にあるフットプリント144を定め得る。描写された実施形態では、外側刻み線86と、延いては構成部品ダイ54の受部146と、は円形である。
【0045】
一部の実施形態では、パンチ46および48ならびにダイ52および54は、シート材料34と接触する硬い材料(例えば工具用鋼)から作られる。一部の実施形態では、パンチ46および48ならびにダイ52および54の一部または全部は、ポリウレタンまたはゴムのような材料など、シート材料34と接触する半剛性または柔軟性の材料を含む。半剛性または柔軟性の材料は、例えばオーバーモールド加工で、廃棄物パンチ46もしくは廃棄物ダイ52に配置され得る、または、廃棄物パンチ46もしくは廃棄物ダイ52と一体化され得る。
【0046】
図11図15を参照すると、廃棄物パンチ46および廃棄物ダイ52の動作と、構成部品パンチ48および構成部品ダイ54の動作と、が本開示の一実施形態により描写されている。廃棄物パンチ46および廃棄物ダイ52の動作は構成部品パンチ48および構成部品ダイ54の動作と同様であるため、図11図13は、これらのパンチおよびダイの組合せの両方の動作を描写するように注釈が付けられる。構成部品32は走査放射源42で刻まれた後、構成部品32の輪郭82の内側または廃棄の刻み線84は、廃棄物パンチ46と廃棄物ダイ52との間にダイクリアランスギャップ122を定めるために廃棄物ダイ52の上で位置合わせされる(図11および図12)。刻み支援システム30は、刻み線82および84が廃棄物パンチ46および廃棄物ダイ52と同じ回転配向となるように構成されてもよく、それによって廃棄刻み線84は、輪郭82を廃棄物ダイ52の上で並進させることでダイクリアランスギャップ122の上に位置決めされる。構成部品の輪郭82が廃棄物ダイ52と位置合わせされるとき、廃棄刻み線84はダイクリアランスギャップ122の上をトレースする。
【0047】
次に、廃棄刻み線84の中で位置合わせする廃棄物パンチ46は、廃棄刻み線84においてシート材料34から廃棄物74を分離するために(図13)、シート材料34を貫いて押し出される。廃棄物74の分離の間、廃棄物パンチ46は廃棄物ダイ52へと少なくとも一部挿入される。廃棄物ダイ52の中での廃棄物パンチ46の断面図が図14に示されており、廃棄物パンチの断面124と廃棄物ダイの断面126とを描写している。一部の実施形態では、ダイクリアランスギャップ122は、廃棄物パンチ46が廃棄物ダイ52へと挿入されるとき、廃棄物パンチ46と廃棄物ダイ52との間で側方に定められる。一部の実施形態では、ダイクリアランスギャップ122についての最小寸法128が前記シート材料34の厚さtの少なくとも1倍かつ3倍以下である。
【0048】
廃棄物74がシート材料34から除去された後、輪郭82の外側刻み線86は構成部品ダイ54の上で位置合わせされ、構成部品32は外側刻み線86において径方向に吊るされる。位置合わせしているとき、構成部品パンチ48および構成部品ダイ54はダイクリアランスギャップ166を定め、ダイクリアランスギャップ166の上に外側刻み線86は位置決めされる(図11および図12)。次に、構成部品パンチ48は、構成部品32を外側刻み線86においてシート材料34(図13)から分離するためにシート材料34を貫いて押し出され、そのため構成部品32は構成部品入れ物75へと落下する。構成部品32の分離の間、構成部品パンチ48は構成部品ダイ54へと少なくとも一部挿入される。構成部品ダイ54の中での構成部品パンチ48の断面図が図15に示されており、構成部品パンチの断面162と構成部品ダイの断面164とを描写している。連続的なダイクリアランスギャップ166は構成部品パンチ48と構成部品ダイ54との間に定められる。一部の実施形態では、ダイクリアランスギャップ166についての最小寸法168がシート材料34の厚さtの少なくとも1倍かつ3倍以下である。
【0049】
機能的に、刻み輪郭82は、刻み支援システム30bにおいて廃棄物74の打抜き加工と構成部品32の打抜き加工との両方における分離の線を制御し、刻み支援システム30aにおいて構成部品32の分離の線を制御する。これは、分離の線が厳しい公差によって工具とダイとの間で制御される従来の型打ち加工とは対照的である。したがって、構成部品パンチ48と構成部品ダイ54との間の公差と、利用される場合に、廃棄物パンチ46と廃棄物ダイ52との間の公差と、はより大きくすることができる。刻んだ後および任意の切込み加工の後で、打抜き工程の前に行われる圧縮の回転加工のため、構成部品32の少なくとも平坦化は、シート材料34からの分離において完成した状態にある。次に、構成部品32の縁は、例えばサンドブラスト、旋削、フライス加工、研削、ホーニング加工、電食、または当業者に利用可能な他の仕上げ加工によって、最終的な仕様へと仕上げられ得る。
【0050】
図16を参照すると、レーザーの走査速さ(切込み速度)174に対する溝の切込み深さパラメータ172を特徴とするデータのグラフ170が、本開示の一実施形態により示されている。データは、14μmのファイバ直径を利用する出力レベル1000ワットでのIPG Photonics YLR-1000-WC-Y14イッテルビウム単一モードCWレーザーを使用する実験装置で得られた。レーザーは、200mmのコリメータおよび254mmの焦点レンズを伴うIPG 2D High Power Scannerで走査させられた。焦点スポット直径は18μmで計算された。試験は、固定スキャナ装置においてABB IRB2400ロボット作業ステーションで実施された。試験は、空気ナイフパージが加工領域へ方向付けられた状態で、真空ハニカム切込みテーブルにおいて実施された。試験は、100μmの公称厚さの軟鋼シートストックおよびケイ素鋼シートストックにおいて実施された。軟鋼のデータ176とケイ素鋼のデータ178とがグラフ170において示されている。
【0051】
データは、7.0m/s、8.0m/s、10.0m/s、15.0m/s、および20.0m/sの走査速さにおける切込みレーザーの1回の通過について取られた。グラフ170は、走査速さが増加させられるにつれて切込み深さが低下させられていることと、結果が軟鋼およびケイ素鋼について実質的に同様であったことと、を明示している。より大きい走査速さにおいてより少ない浮きかす材料が境界に沿って形成されることも観察された。
【0052】
図17を参照すると、レーザーの通過の回数184に対する溝の切込み深さパラメータ182を特徴とするデータのグラフ180が、本開示の一実施形態により示されている。データは、14μmのファイバ直径を利用する出力レベル1000ワットでのIPG Photonics YLR-1000-WC-Y14イッテルビウム単一モードCWレーザーを使用する実験装置で得られた。レーザーは、200mmのコリメータおよび254mmの焦点レンズを伴うIPG 2D High Power Scannerで走査させられた。焦点スポット直径は18μmで計算された。試験は、固定スキャナ装置においてABB IRB2400ロボット作業ステーションで実施された。試験は、空気ナイフパージが加工領域へ方向付けられた状態で、真空ハニカム切込みテーブルにおいて実施された。試験は、100μmの公称厚さの軟鋼シートストックおよびケイ素鋼シートストックにおいて実施された。軟鋼のデータ186とケイ素鋼のデータ188とが、グラフ180において示されている。
【0053】
データは、包括的に1回~5回の範囲の通過の回数での切込みレーザーについて、20m/sの走査速さで取られた。グラフ180は、通過の回数を増加させると切込み深さも増加させることと、結果が軟鋼およびケイ素鋼について実質的に同様であったことと、を明示している。ストック材料を完全に貫く切込みが20m/sの走査速さにおいて5回の通過で達成されることも観察された。
【0054】
本明細書に開示されている追加の図および方法の各々は、それらを行うおよび使うための改良された装置および方法を提供するために、別々に、または他の特徴および方法と組み合わせて使用できる。そのため、本明細書に開示されている特徴および方法の組合せは、本開示をその最も幅広い意味において実施するために必要であるとは限らない可能性があり、代わりに、代表的な好ましい実施形態を具体的に説明するためだけに開示されている。
【0055】
実施形態への様々な改良は、本開示を読むことで当業者には明らかとなり得る。例えば、当業者は、異なる実施形態について記載された様々な特徴が、他の特徴と、単独で、または異なる組合せで、適切に組み合わされてもよい、組み合わされなくてもよい、および再び組み合わされてもよい。同様に、前述した様々な特徴はすべて、本開示の範囲または精神への限定ではなく、例の実施形態として解釈されるべきである。
【0056】
当業者は、様々な実施形態が、前述の任意の個々の実施形態に示されているものよりも少ない特徴を備えてもよいことを認識するものである。本明細書に記載されている実施形態は、様々な特徴が組み合わされ得る方法の排他的な提示となるように意味されていない。したがって、実施形態は特徴の相互に排他的な組合せではなく、むしろ、請求項は、当業者によって理解されるように、異なる個々の実施形態から選択される異なる個々の特徴の組合せを含み得る。
【0057】
先の文献の参照による任意の組込みは、本明細書における明示的な開示と矛盾する主題が組み込まれないように制限されている。先の文献の参照による任意の組込みは、文献において含まれている請求項が本明細書において参照により組み込まれないようにさらに制限されている。先の文献の参照による任意の組込みは、文献において提供されている任意の定義が、本明細書において明らかに含まれていない場合、本明細書において参照により組み込まれないように、なおもさらに制限されている。
【0058】
他に指示されていない場合、本明細書に含まれる「実施形態」、「開示」、「本開示」、「開示の実施形態」、および「開示されている実施形態」などの言及は、先行技術で認められていないこの特許出願の明細書(請求項に含まれる文言および図)に言及している。
【0059】
請求項の解釈の目的のために、「~のための手段」または「~のためのステップ」という特定の用語がそれぞれの請求項において提唱されていない場合、35 米国特許法第112条(f)の条項が行使されないことは、明確に意図されている。
【符号の説明】
【0060】
30、30a、30b 刻み支援システム
32 構成部品
34 シート材料
42 走査放射源
44 シート平坦化装置
46 廃棄物パンチ、パンチ
48 構成部品パンチ、パンチ
52 廃棄物ダイ、ダイ
54 構成部品ダイ、ダイ
56 空気ノズル
62 方向
64 搬送経路
72 廃棄物入れ物
74 廃棄物
75 構成部品入れ物
80 放射の集中ビーム、集中放射ビーム
82 輪郭、刻み輪郭、刻み線
83 刻まれた部分
84 内側刻み線、廃棄刻み線、刻み線
85 廃棄物の外周、周囲
86 外側刻み線、刻み線
87 構成部品の外周、周囲
88 レーザー
89 ローラ装着部
90 ローラ組立体、ローラ
91 貫いて切り込まれた部分
92、94 ローラ
93 タブ部分
96 溝
98 ウェブ部分
102 改質された溶融材料または浮きかすの材料、改質された材料
104 溝の角、角
106 シート材料の表面、表面
108 刻み線
110 穿孔部
112 廃棄物パンチのフットプリント
114 廃棄物ダイのフットプリント
122 ダイクリアランスギャップ
124 廃棄物パンチの断面
126 廃棄物ダイの断面
128 ダイクリアランスギャップの最小寸法
142 構成部品パンチのフットプリント
144 構成部品ダイのフットプリント
146 受部
162 構成部品パンチの断面
164 構成部品ダイの断面
166 ダイクリアランスギャップ
168 ダイクリアランスギャップの最小寸法
170 グラフ
172 溝の切込み深さパラメータ
174 レーザーの走査速さ、切込み速度
176 軟鋼のデータ
178 ケイ素鋼のデータ
180 グラフ
182 溝の切込み深さパラメータ
184 レーザーの通過の回数
186 軟鋼のデータ
188 ケイ素鋼のデータ
d 溝の深さ
t シート材料の厚さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17