(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)リガンドおよびその使用方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/415 20060101AFI20240319BHJP
C07D 231/16 20060101ALI20240319BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240319BHJP
A61P 35/04 20060101ALI20240319BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240319BHJP
A61P 13/08 20060101ALI20240319BHJP
A61P 15/14 20060101ALI20240319BHJP
A61P 21/02 20060101ALI20240319BHJP
A61P 17/10 20060101ALI20240319BHJP
A61P 17/14 20060101ALI20240319BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240319BHJP
A61P 5/24 20060101ALI20240319BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20240319BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20240319BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20240319BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240319BHJP
A61K 9/107 20060101ALI20240319BHJP
A61K 9/127 20060101ALI20240319BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20240319BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20240319BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240319BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20240319BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
A61K31/415
C07D231/16
A61P35/00
A61P35/04
A61P43/00 121
A61P13/08
A61P15/14
A61P21/02
A61P17/10
A61P17/14
A61P17/00
A61P5/24
A61P15/00
A61P43/00 111
A61P9/00
A61K9/06
A61K9/08
A61K9/107
A61K9/127
A61K9/20
A61K8/49
A61Q19/00
A61Q19/10
A61Q5/02
(21)【出願番号】P 2020564332
(86)(22)【出願日】2019-05-16
(86)【国際出願番号】 US2019032751
(87)【国際公開番号】W WO2019222556
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2022-05-13
(32)【優先日】2018-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504206621
【氏名又は名称】オンクターナル セラピューティクス,インコーポレイテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】504326686
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ テネシー リサーチ ファウンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ナラヤナン,ラメシュ
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,デュアン,ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ポヌサミー,タマライ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ドン-ジン
(72)【発明者】
【氏名】ヘ,ヤリ
【審査官】奥谷 暢子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/214634(WO,A1)
【文献】特表2013-544768(JP,A)
【文献】国際公開第2016/172358(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61P
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の化学式のうちのいずれか1つによって表される化合物、
【化1-1】
【化1-2】
【化1-3】
【化1-4】
又はその光学異性体、又は薬学的に許容される塩からなる選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)。
【請求項2】
前記SARDが、AR-スプライス多様体(AR-SV)分解活性、全長(AR-FL)分解活性、AR-SV阻害性、又はAR-FL阻害活性のうちの少なくとも1つを示す、請求項1に記載のSARD。
【請求項3】
請求項1に記載のSAR
Dと、薬学的に許容される担体とを含む、薬学的組成物。
【請求項4】
前記組成物が、局所使用のために製剤化される、請求項3に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
前記組成物が、溶液、ローション、膏薬、クリーム、軟膏、リポソーム、スプレー、ゲル、泡沫剤、ローラースティック、洗浄石鹸若しくはバー、エマルジョン、ムース、エアロゾル、又はシャンプーの形態である、請求項4に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
前立腺癌(PCa)の治療、又は前立腺癌に罹患している男性対象の生存期間の増加のための薬学的組成物であって、治療上有効な量の請求項1に記載のSAR
Dを含む、薬学的組成物。
【請求項7】
前記前立腺癌が、進行前立腺癌、難治性前立腺癌、去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)、転移性CRPC(mCRPC)、非転移性CRPC(nmCRPC)、又は高リスクnmCRPCのうちの少なくとも1つである、請求項6に記載の薬学的組成物。
【請求項8】
アンドロゲン遮断療法(ADT)と投与される、請求項6に記載の薬学的組成物。
【請求項9】
前記前立腺癌が、アンドロゲン受容体アンタゴニスト(複数可)での治療に抵抗性である、請求項6に記載の薬学的組成物。
【請求項10】
前記アンドロゲン受容体アンタゴニストが、ダロルタミド、エンザルタミド、アパルタミド、ビカルタミド、アビラテロン、ODM-201(ダロルタミド)、EPI-001、EPI-506、AZD-3514、ガレテロン、ASC-J9、フルタミド、ヒドロキシフルタミド、ニルタミド、酢酸シプロテロン、ケトコナゾール、又はスピロノラクトンのうちの少なくとも1つである、請求項9に記載の薬学的組成物。
【請求項11】
対象におけるエンザルタミド抵抗性前立腺癌の治療のための薬学的組成物であって、治療上有効な量の請求項1に記載のSAR
Dを含む、薬学的組成物。
【請求項12】
対象におけるアパルタミド抵抗性前立腺癌の治療のための薬学的組成物であって、治療上有効な量の請求項1に記載のSAR
Dを含む、薬学的組成物。
【請求項13】
アビラテロン抵抗性前立腺癌の治療のための薬学的組成物であって、治療上有効な量の請求項1に記載のSAR
Dを含む、薬学的組成物。
【請求項14】
対象における三重陰性乳癌の治療のための薬学的組成物であって、治療上有効な量の請求項1に記載のSAR
Dを含む、薬学的組成物。
【請求項15】
対象におけるAR-スプライス多様体のレベルの低減のための薬学的組成物であって、治療上有効な量の請求項1に記載のSAR
Dを含む、薬学的組成物。
【請求項16】
当該薬学的組成物が、前記対象におけるAR-全長(AR-FL)のレベルを更に低減する、請求項15に記載の薬学的組成物。
【請求項17】
対象におけるケネディ病の治療のための薬学的組成物であって、治療上有効な量の請求項1に記載のSAR
Dを含む、薬学的組成物。
【請求項18】
対象における座瘡の治療のための薬学的組成物であって、治療上有効な量の請求項1に記載のSAR
Dを含む、薬学的組成物。
【請求項19】
前記座瘡が、尋常性座瘡である、請求項18に記載の薬学的組成物。
【請求項20】
対象における皮脂生成の減少のための薬学的組成物であって、治療上有効な量の請求項1に記載のSAR
Dを含む、薬学的組成物。
【請求項21】
当該薬学的組成物が、皮脂生成を減少させることにより、脂漏症、脂漏性皮膚炎、又は座瘡のうちの少なくとも1つを治療する、請求項20に記載の薬学的組成物。
【請求項22】
対象における多毛症又は脱毛症の治療のための薬学的組成物であって、治療上有効な量の請求項1に記載のSAR
Dを含む、薬学的組成物。
【請求項23】
前記脱毛症が、アンドロゲン性脱毛症、円形脱毛症、化学療法に起因する脱毛症、放射線療法に起因する脱毛症、瘢痕によって誘導される脱毛症、又はストレスによって誘導される脱毛症のうちの少なくとも1つである、請求項22に記載の薬学的組成物。
【請求項24】
女性におけるホルモン病態の治療のための薬学的組成物であって、治療上有効な量の請求項1に記載のSAR
Dを含む、薬学的組成物。
【請求項25】
前記ホルモン病態が、性早熟症、月経困難症、無月経症、多胞性子宮症候群、子宮内膜症、子宮筋腫、異常子宮出血、早発月経、線維嚢胞性乳腺疾患、子宮の類線維腫、卵巣嚢胞、多嚢胞性卵巣症候群、子癇前症、妊娠子癇、早期分娩、月経前症候群、又は膣乾燥のうちの少なくとも1つである、請求項24に記載の薬学的組成物。
【請求項26】
対象における性的倒錯、性行動亢進、又は性嗜好異常の治療のための薬学的組成物であって、治療上有効な量の請求項1に記載のSARDを含む、薬学的組成物。
【請求項27】
対象におけるアンドロゲン精神病の治療のための薬学的組成物であって、治療上有効な量の請求項1に記載のSAR
Dを含む、薬学的組成物。
【請求項28】
対象における男性化の治療のための薬学的組成物であって、治療上有効な量の請求項1に記載のSAR
Dを含む、薬学的組成物。
【請求項29】
対象におけるアンドロゲン不感性症候群の治療のための薬学的組成物であって、治療上有効な量の請求項1に記載のSAR
Dを含む、薬学的組成物。
【請求項30】
動物における排卵の増加又は調節のための薬学的組成物であって、治療上有効な量の請求項1に記載のSAR
Dを含む、薬学的組成物。
【請求項31】
対象におけるAR発現癌の治療のための薬学的組成物であって、治療上有効な量の請求項1に記載のSAR
Dを含む、薬学的組成物。
【請求項32】
前記癌が、乳癌、精巣癌、性腺腫瘍およびセミノーマなどの部分型アンドロゲン不感性症候群(PAIS)に関連する癌、子宮癌、卵巣癌、卵管癌若しくは腹膜癌、唾液腺癌、膀胱癌、泌尿生殖器癌、脳癌、皮膚癌、リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、肝癌、肝細胞癌、腎癌、腎細胞癌、骨肉腫、膵癌、子宮内膜癌、肺癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、胃癌、結腸癌、肛門周囲腺腫、又は中枢神経系癌のうちの少なくとも1つである、請求項31に記載の薬学的組成物。
【請求項33】
前記乳癌が、三重陰性乳癌である、請求項32に記載の薬学的組成物。
【請求項34】
対象におけるポリグルタミン(polyQ)AR多形のレベルの低減のための薬学的組成物であって、治療上有効な量の請求項1に記載のSAR
Dを含む、薬学的組成物。
【請求項35】
前記polyQ-ARが、短いpolyQ多形又は長いpolyQ多形である、請求項34に記載の薬学的組成物。
【請求項36】
前記polyQ-ARが、短いpolyQ多形であり、皮膚疾患を更に治療するための、請求項35に記載の薬学的組成物。
【請求項37】
前記皮膚疾患が、脱毛症、脂漏症、脂漏性皮膚炎、又は座瘡のうちの少なくとも1つである、請求項36に記載の薬学的組成物。
【請求項38】
前記polyQ-ARが、長いpolyQ多形であり、ケネディ病を更に治療するための、請求項34に記載の薬学的組成物。
【請求項39】
対象における筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療のための薬学的組成物であって、治療上有効な量の請求項1に記載のSAR
Dを含む、薬学的組成物。
【請求項40】
対象における子宮類線維症の治療のための薬学的組成物であって、治療上有効な量の請求項1に記載のSAR
Dを含む、薬学的組成物。
【請求項41】
対象における腹部大動脈瘤(AAA)の治療のための薬学的組成物であって、治療上有効な量の請求項1に記載のSARDを含む、薬学的組成物。
【請求項42】
ホルモン病態の治療、抑制、その発生の低減、その重症度の低減、又はその進行の阻害を必要とする男性における、ホルモン病態の治療、抑制、その発生の低減、その重症度の低減、又はその進行の阻害のための薬学的組成物であって、治療上有効な量の請求項1に記載のSAR
Dを含む、薬学的組成物。
【請求項43】
前記病態が、性腺機能亢進症、性行動亢進、性機能障害、女性化乳房症、男性の性早熟症、認知および気分の変化、うつ状態、脱毛、高アンドロゲン性皮膚障害、前立腺の前癌性病変、良性前立腺肥大症、前立腺癌、ならびに/又は他のアンドロゲン依存性癌である、請求項42に記載の薬学的組成物。
【請求項44】
難治性前立腺癌(PCa)の治療若しくはその進行の阻害、又は難治性前立腺癌に罹患している男性対象の生存期間の増加のための薬学的組成物であって、治療上有効な量の請求項1に記載のSAR
Dを含む、薬学的組成物。
【請求項45】
去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)に罹患している男性対象の治療又はその生存期間の増加のための薬学的組成物であって、治療上有効な量の請求項1に記載のSAR
Dを含む、薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複素環を含む選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物、ならびに前立腺癌、進行前立腺癌、去勢抵抗性前立腺癌、三重陰性乳癌、アンドロゲン受容体を発現する他の癌、アンドロゲン性脱毛症、または他の高アンドロゲン性皮膚疾患、ケネディ病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、腹部大動脈瘤(AAA)、および子宮類線維症の治療におけるそれらの薬学的組成物および使用、更に対象における病原性または抵抗性変異を含むアンドロゲン受容体-全長(AR-FL)、AR-スプライス多様体(AR-SV)、およびARの病原性ポリグルタミン(polyQ)多形のレベルを低減するための方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
前立腺癌(PCa)は、米国において男性の間で最も頻繁に診断される非皮膚癌のうちの1つであり、二番目に一般的な癌死亡の原因であり、米国において毎年200,000件より多くの新規症例および30,000件を超える死亡例を伴う。PCaの治療薬市場は、世界的に15~20%の年率で成長している。
【0003】
アンドロゲン遮断療法(ADT)は、進行PCaの標準治療である。進行前立腺癌を有する患者は、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アゴニスト、LHRHアンタゴニスト、または両側精巣摘除術のいずれかによってADTを受ける。ADTへの初期応答にもかかわらず、疾患進行は不可避であり、癌は、去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)として出現する。放射線または手術による一次治療を受ける前立腺癌患者の30%までが、一次治療の10年以内に転移性疾患を発症することになる。1年におよそ50,000人の患者が、転移性CRPC(mCRPC)と呼ばれる転移性疾患を発症することになる。
【0004】
CRPCを有する患者は、12~18ヶ月の生存期間中央値を有する。去勢抵抗性であるが、CRPCは、継続的成長のために、依然としてアンドロゲン受容体(AR)シグナル伝達軸に依存する。CRPC再出現の主な理由は、1)イントラクラインアンドロゲン合成、2)例えば、リガンド結合ドメイン(LBD)を欠くARスプライス多様体(AR-SV)、3)ARアンタゴニストに抵抗する能力を有するAR-LBD変異(すなわち、ARアンタゴニストによる阻害に敏感でない変異体、場合によってARアンタゴニストは、これらのLBD変異を担持するARのアゴニストとして作用する)、4)(例えば、転写因子のETSファミリーなどの他の遺伝子の融合によって駆動される(例えば、PMID:20478527、30033370を参照されたい))腫瘍内のAR遺伝子の増幅、および5)例えば、PMID:27897170に記載の腫瘍内のAR遺伝子の再編成などの代替機序によるARの再活性化である。CRPCの治療における進歩に対する重大な障壁は、LBDを通じて作用するダロルタミド、エンザルタミド、アパルタミド、ビカルタミド、およびアビラテロンなどのARシグナル伝達阻害剤が、最も卓越したAR-SVであるAR-V7などのN末端ドメイン(NTD)依存性構成的活性型AR-SVによって駆動される成長を阻害できないことである。CRPC患者におけるエンザルタミドおよびアビラテロンを用いた近年の影響の大きな臨床試験は、エンザルタミド(Xtandi)または酢酸アビラテロン(Zytiga)での治療を開始した202人の患者のうちAR-V7陽性患者のわずか13.9%が、これらの治療のいずれかに対してPSA応答を有したことを明示し(Antonarakis ES,Lu C,Luber B,et al.J.Clin.Oncol.2017 April6.doi:10.1200/JCO.2016.70.1961)、AR-SVを標的とする次世代ARアンタゴニストの要件を示す。加えて、著しい数のCRPC患者が、アビラテロンまたはエンザルタミドおよびアパルタミドに難治性となり、次世代ARアンタゴニストの必要性を強調する。
【0005】
現在の証拠は、CRPCの成長が、AR-V7などのLBDを欠くAR-SVのものを含む、構成的活性型ARに依存し、そのために従来のアンタゴニストによって阻害できないことを明示する。AR LBDとは異なるドメインへの結合を通じたARの阻害および分解は、CRPCを管理するための代替戦略を提供する。
【0006】
ARを分解する分子は、成長因子もしくはシグナル伝達経路を通じたいかなる不慮のAR活性化または乱雑なリガンド依存性AR活性化も予防する。加えて、AR-SVの構成的活性化を阻害する分子は、CRPC患者に広範囲の利益を提供するために極めて重要である。
【0007】
現在、ほんのわずかの化学種が、SARD ARN-509、AZD-3514、およびASC-J9を含むARを分解することが知られている。しかしながら、これらの分子は、それらの結合係数よりはるかに高い濃度でARを間接的に分解し、AR-SVを分解できないことが、近年において治療抵抗性CRPCの再起の主な理由となっている。
【0008】
本発明は、強力に(高い効能および有効性)かつ選択的にARに結合(場合によって既知のアンタゴニストより良好に、LBDおよび/またはNTDに結合)し、ARをアンタゴナイズし、AR全長(AR-FL)およびAR-SVを分解する、固有の薬理学を有する新規のARアンタゴニストを説明する。選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物は、二重分解およびAR-SV阻害機能を有し、したがっていかなる使用可能なCRPC療法とも異なる。これらの新規選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物は、増殖のためにAR-FLおよびAR-SVに依存するPCa細胞および腫瘍の成長を阻害する。
【0009】
SARDは、いかなる他のアンタゴニストでも治療不可能なCRPCを治療するための新規の療法として進化する可能性を有する。AR-SVを分解するこの固有の特性は、前立腺癌に対して極めて重要な健康結果を有する。現在まで、一連の合成分子(EPI-001、EPI-506など)、ならびにシンコタミドおよびグリセロールエーテルナフェテノンBなどのいくつかの海洋天然産物のみが、親和性がより低く、受容体を分解できないにもかかわらず、AR-NTDに結合し、AR機能およびPCa細胞成長を阻害すると報告されている。本明細書で報告されるSARDはまた、AR-NTDに結合し、NTD駆動型(例えば、リガンド非依存性)AR活性を阻害する。
【0010】
ARとPCaとの間の正の相関、およびフェイルセーフARアンタゴニストの欠乏は、新規もしくは代替機序および/または結合部位を通じてAR機能を阻害し、変更された細胞環境内でアンタゴニスト活性を引き出すことができる分子の必要性を強調する。
【0011】
エンザルタミド、アパルタミド、ビカルタミド、およびフルタミドなどの従来の抗アンドロゲン、ならびにアンドロゲン遮断療法(ADT)は、前立腺癌における使用が承認されたが、様々な他のホルモン依存性およびホルモン非依存性癌においても抗アンドロゲンを使用することができるという著しい証拠が存在する。例えば、抗アンドロゲンは、乳癌(エンザルタミド、Breast Cancer Res.(2014)16(1):R7)、非小細胞肺癌(shRNAi AR)、腎細胞癌(ASC-J9)、性腺腫瘍およびセミノーマなどの部分型アンドロゲン不感性症候群(PAIS)関連悪性腫瘍、進行膵癌(World J.Gastroenterology20(29),9229)、卵巣癌、卵管癌、または腹膜癌、唾液腺癌(Head and Neck(2016)38,724-731、ADTがAR発現再発性/転移性唾液腺癌において試験され、無進行生存期間および全生存期間エンドポイントに対して利益を有することが確認された)、膀胱癌(Oncotarget6(30),29860-29876)、Int J.Endocrinol(2015),Article ID384860)、膵癌、リンパ腫(マントル細胞を含む)、ならびに肝細胞癌において試験されている。これらの癌におけるSARDなどのより強力な抗アンドロゲンの使用は、これらの癌および他の癌の進行をより有効に治療する可能性がある。乳癌(例えば、三重陰性乳癌(TNBC))、精巣癌、性腺腫瘍およびセミノーマなどの部分型アンドロゲン不感性症候群(PAIS)に関連する癌、子宮癌、卵巣癌、卵管癌もしくは腹膜癌、唾液腺癌、膀胱癌、泌尿生殖器癌、脳癌、皮膚癌、リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、肝癌、肝細胞癌、腎癌、腎細胞癌、骨肉腫、膵癌、子宮内膜癌、肺癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、胃癌、結腸癌、肛門周囲腺腫、または中枢神経系癌などの他の癌もまた、SARD治療から利益を得る可能性がある。
【0012】
三重陰性乳癌(TNBC)は、エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PR)、およびHER2受容体キナーゼの発現を欠く乳癌の一種である。したがって、TNBCは、他の種類の原発性乳癌の治療に使用されるホルモンおよびキナーゼの治療標的を欠く。これに対応して、化学療法が、しばしばTNBCの初期薬物療法である。興味深いことに、ARは、しばしばTNBCにおいて依然として発現され、化学療法に代わるホルモンを標的とした治療代替案を提供する可能性がある。ER陽性乳癌では、ARの活性化が、乳房組織および腫瘍におけるERの効果を制限する、かつ/またはそれに対抗すると考えられているため、ARは、正の予後指標である。しかしながら、ERの不在下では、実際にはARが乳癌腫瘍の成長を支持している可能性がある。TNBCにおけるARの役割は、完全には理解されていないが、特定のTNBCが、LBDを欠くAR-SVのアンドロゲン非依存性活性化またはAR全長のアンドロゲン依存性活性化によって支持され得るという証拠が存在する。したがって、エンザルタミド、アパルタミド、および他の伝統的なLBD誘導ARアンタゴニストは、これらのTNBCではAR-SVをアンタゴナイズすることができない。しかしながら、ARのNTDの結合部位(US2017-0368003の実施例9を参照されたい)を通じてAR-SV(表1ならびに実施例2および7を参照されたい)を破壊することができる本発明のSARDは、TNBC患者由来の異種移植片において観察されるAR-SVを含むARをアンタゴナイズし、US2017-0368003の実施例8に示される抗腫瘍効果を提供することができる。
【0013】
ビカルタミドおよびフルタミドなどの伝統的な抗アンドロゲンは、前立腺癌における使用のために承認された。後続の研究は、アンドロゲン性脱毛症(男性型禿髪症)、尋常性座瘡、および(例えば、女性の顔の毛髪の)多毛症などのアンドロゲン依存性皮膚病態における抗アンドロゲン(例えば、フルタミド、スピロノラクトン、酢酸シプロテロン、フィナステリド、および酢酸クロルマジノン)の有用性を明示した。思春期前去勢は、皮脂生成およびアンドロゲン性脱毛症を予防するが、これはテストステロンの使用によって逆転される可能性があり、そのアンドロゲン依存性を示唆する。
【0014】
AR遺伝子は、エクソン1内のグルタミンリピート(polyQ)の多形を有し、これが短縮される場合、ARトランス活性化を増大させ得る(すなわち、アンドロゲン過剰症)。短縮されたpolyQの多形は、脱毛症、多毛症、および座瘡を有する人々においてより一般的であることが見出された。古典的な抗アンドロゲンは、皮膚投与を通じて無効であり、それらの長期全身性使用は、女性化乳房症およびインポテンスなどの不都合な性的効果のリスクを高めるため、これらの目的には望ましくない。更に、上述のCPRCと同様に、ARは、内在性アンドロゲンであるテストステロン(T)およびジヒドロテストステロン(DHT)以外の様々な細胞因子によって活性化され得るため(例えば、成長因子、キナーゼ、共活性化因子の過剰発現および/または他のホルモン(例えば、エストロゲンもしくはグルココルチコイド)による乱雑な活性化)、リガンド依存性AR活性の阻害単独では十分でない場合がある。結果として、古典的な抗アンドロゲンを用いてARへのTおよびDHTの結合を遮断することは、所望の有効性を有するために十分でない場合がある。
【0015】
新たなコンセプトは、いかなる全身性抗アンドロゲン症をも引き起こすことなく、皮膚または他の組織の罹患した領域に局所的にARを破壊するための、SARDの局所適用である。この使用のために、皮膚を貫通しないか、または急速に代謝されるSARDが好ましい。
【0016】
皮膚創傷の治癒が、アンドロゲンによって抑制されることが明示されたという観察が、このアプローチを支持している。マウスの去勢が、皮膚創傷の治癒を加速する一方で、創傷における炎症を軽減する。アンドロゲンレベルと皮膚の治癒および炎症との間の負の相関は、部分的に、高レベルの内在性アンドロゲンが、高アンドロゲン性皮膚病態を悪化させる、別の機序を説明する。更に、糖尿病性潰瘍もしくは更には外傷などの創傷、または座瘡もしくは乾癬などの炎症性成分を有する皮膚障害の、局所SARDでの治療のための根拠を提供する。
【0017】
アンドロゲン性脱毛症は、中年までに白人男性の約50%、および80歳までに90%において起こる。ミノキシジル(局所血管拡張剤)およびフィナステリド(全身性5α還元酵素II型阻害剤)は、脱毛症に対してFDA承認されているが、治療効果をもたらすために4~12ヶ月の治療を要し、大部分において脱毛を止めるに過ぎず、30~60%において軽度~中度の毛髪再生を伴う。現在使用可能な治療は、個体間で広く異なり、望まれない性的副作用をもたらす、遅く限定された有効性を有するため、アンドロゲン性脱毛症および他の高アンドロゲン性皮膚疾患を治療するための新規のアプローチを見出すことが重要である。
【0018】
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、上位運動ニューロンおよび下位運動ニューロンの選択的喪失ならびに骨格筋萎縮を特徴とする致命的な神経変性疾患である。疫学的および実験的証拠は、ALSの発病におけるアンドロゲンの関与を示唆する(“Anabolic/androgenic steroid nandrolone exacerbates gene expression modifications induced by mutant SOD1 in muscles of mice models of amyotrophic lateral sclerosis.”Galbiati M,Onesto E,Zito A,Crippa V,Rusmini P,Mariotti R,Bentivoglio M,Bendotti C,Poletti A.Pharmacol.Res.2012,65(2),221-230)が、アンドロゲンがALS表現型を修飾する機序は、不明である。ALSのトランスジェニック動物モデルは、外科的去勢(すなわち、アンドロゲン遮断)時の生存期間の改善を明示した。これらの去勢された動物をアンドロゲンアゴニストであるデカン酸ナンドロロンで治療すると、疾患の徴候が悪化した。去勢は、ARレベルを低減し、これが延長した生存期間の理由であり得る。生存期間の利益は、アンドロゲンアゴニストによって逆転する(“Androgens affect muscle,motor neuron,and survival in a mouse model of SOD1-related amyotrophic lateral sclerosis.”Aggarwal T,Polanco MJ,Scaramuzzino C,Rocchi A,Milioto C,Emionite L,Ognio E,Sambataro F,Galbiati M,Poletti A,Pennuto M.Neurobiol.Aging.2014 35(8),1929-1938)。明白に、デカン酸ナンドロロンによる刺激は、ドデシル硫酸ナトリウムに不溶性である生化学的複合体への内在性アンドロゲン受容体の動員を促進し、これは、タンパク質凝集と一致する発見であった。全体として、これらの結果は、アンドロゲン受容体ホメオスタシスの調節不全を介したALSの発病の修飾因子としてのアンドロゲンの役割に光を当てている。抗アンドロゲンは、ウンデカン酸ナンドロロンまたは内在性アンドロゲンの効果を遮断し、AR凝集による毒性を逆転させるべきである。更に、LBD依存性ARアゴニストの作用を遮断し、ARタンパク質レベルを同時に低下させることができる本発明のSARDなどの抗アンドロゲンは、ALSにおいて治療的である。リルゾールは、ALS治療のための使用可能な薬物であるが、それは、短期の効果を提供するに過ぎない。ALS患者の生存期間を延長する薬物に対する緊急の必要性がある。
【0019】
アンドロゲン受容体の作用は、子宮増殖を促進する。短いpolyQ ARの高アンドロゲン性は、平滑筋腫または子宮類線維症の増加に関連している。(Hsieh YY,Chang CC,Tsai FJ,Lin CC,Yeh LS,Peng CT.J.Assist.Reprod.Genet.2004,21(12),453-457)。ブラジル人女性の別個の研究では、ARのより短いおよびより長い[CAG](n)反復対立遺伝子が、彼女らの研究において平滑筋腫群に独占的であることを見出した(Rosa FE,Canevari Rde A,Ambrosio EP,Ramos Cirilo PD,Pontes A,Rainho CA,Rogatto SR.Clin.Chem.Lab.Med.2008,46(6),814-823)。同様に、アジア系インド人女性では、長いpolyQ ARは、子宮内膜症および平滑筋腫に関連しており、高リスクマーカーと見なすことができる。子宮類線維症を有する女性、特により短いおよびより長い[CAG](n)反復対立遺伝子を発現する女性において、SARDを使用して、既存の子宮類線維症を治療し、類線維腫の悪化を予防し、かつ/または類線維腫に関連する発癌性を寛解させることができる。
【0020】
腹部大動脈瘤(AAA)は、体に血液を供給する主要な血管である大動脈の下部にある拡大した領域である。およそ庭用ホースの太さである大動脈は、心臓から胸部および腹部の中心を通っている。大動脈は、体の主要な血液供給源であるため、破裂した腹部大動脈瘤は、生命を脅かす出血を引き起こす可能性がある。腹部大動脈瘤が成長するサイズおよび速度に応じて、治療は、慎重な経過観察から緊急手術まで異なる。腹部大動脈瘤が見出されると、医師は、それを注意深く監視して、必要に応じて手術を計画することができるようにする。破裂した腹部大動脈瘤の緊急手術は、リスクが高い場合がある。AR遮断(薬理学的または遺伝的)は、AAAを低減する。Davisら(Davis JP,Salmon M,Pope NH,Lu G,Su G,Meher A,Ailawadi G,Upchurch GR Jr.J Vasc Surg(2016)63(6):1602-1612)は、フルタミド(50mg/kg)またはケトコナゾール(150mg/kg)が、ビヒクル(121%)と比較して、ブタ膵エラスターゼ(0.35U/mL)誘導型AAAを84.2%および91.5%軽減することを示した。更に、AR-/-マウスは、野生型と比較して、AAA成長の軽減(64.4%)を示した(両方ともエラスターゼで治療)。これに対応して、AAAに罹患している患者へのSARDの投与は、AAAが手術が必要とされる点まで進行するのを逆転、治療、または遅延させるのに役立つ可能性がある。
【0021】
X連鎖球脊髄性萎縮症(SBMA-ケネディ病としても知られる)は、X染色体上のアンドロゲン受容体遺伝子における欠陥から生じる筋萎縮症である。四肢近位および球筋力低下は、場合によっては車椅子への依存を含む身体的制約をもたらす。変異は、アンドロゲン受容体(polyQ AR)のN末端ドメインに付加された長引くポリグルタミン鎖をもたらす。内在性アンドロゲン(テストステロンおよびDHT)によるこの伸長したpolyQ ARの結合および活性化は、変異体アンドロゲン受容体の展開および核移行をもたらす。polyQ ARタンパク質のアンドロゲン誘導毒性およびアンドロゲン依存性核蓄積は、発病の中心にあるようである。したがって、アンドロゲン活性化polyQ ARの阻害は、治療選択肢となる可能性がある(A.Baniahmad.Inhibition of the androgen receptor by antiandrogens in spinobulbar muscle atrophy.J.Mol.Neurosci.2016 58(3),343-347)。これらのステップが発病に必要であり、トランス活性化機能の部分的喪失(すなわち、アンドロゲン非感受性)および良く理解されていない神経筋変性をもたらす。抗アンドロゲンの使用の支持は、抗アンドロゲンフルタミドが球脊髄性筋萎縮症の3つのモデルにおいて雄マウスをアンドロゲン依存性毒性から保護するという報告にある(Renier KJ,Troxell-Smith SM,Johansen JA,Katsuno M,Adachi H,Sobue G,Chua JP,Sun Kim H,Lieberman AP,Breedlove SM,Jordan CL.Endocrinology 2014,155(7),2624-2634)。現在、疾患修飾治療は存在しないが、症状誘導治療のみが存在する。細胞機構を利用してその分解を促進することによって、すなわち、SARDの使用を通じて、ケネディ病のpolyQ ARを毒性の近位メディエーターとして標的とする試みは、治療的介入に期待できる。本明細書において報告されるものなどの選択的アンドロゲン受容体分解剤は、試験した全てのアンドロゲン受容体(全長、スプライス多様体、抗アンドロゲン抵抗性変異体など)に結合し、それらを分解するため、polyQ AR多形の分解もまた予想され、それらがSBMAの治療のための有望な手掛かりであることを示す。
【0022】
本明細書では、LBDならびに/またはNTD内に位置する代替結合および分解ドメイン(BDD)に結合し、ARをアンタゴナイズし、ARを分解し、それによりリガンド依存性およびリガンド非依存性AR活性を遮断することができる、選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物を説明する。この新規機序は、全身的に(例えば、前立腺癌の場合)または局所的に(例えば、皮膚科的疾患)投与される場合、改善された有効性をもたらす。
【発明の概要】
【0023】
本発明の一実施形態は、選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物、またはその異性体、薬学的に許容される塩、薬学的製品、多形、水和物、もしくはそれらの任意の組み合わせを包含し、該SARD化合物は、以下の構造の化合物によって表される。
【化1-1】
【化1-2】
【化1-3】
【0024】
本発明の一実施形態は、以下の特性、例えば、NTD内の代替結合および分解ドメイン(BDD)を通じてARに結合する;ARリガンド結合ドメイン(LBD)を通じてARに結合する;AR-スプライス多様体(AR-SV)分解活性を示す;その病原性変異を含むAR-全長(AR-FL)分解活性を示す;AR-SV阻害活性を示す(すなわち、AR-SVアンタゴニストである);その病原性変異を含むAR-FL阻害活性を示す(すなわち、AR-FLアンタゴニストである);二重AR-SV分解およびAR-SV阻害機能を有する;ならびに/または二重AR-FL分解およびAR-FL阻害機能のうちの少なくとも1つを有するSARD化合物を包含する。
【0025】
本発明の別の実施形態は、本発明によるSARD化合物、またはその異性体、薬学的に許容される塩、薬学的製品、多形、水和物、もしくはそれらの任意の組み合わせと、薬学的に許容される担体とを含む、薬学的組成物を包含する。薬学的組成物は、局所使用のために製剤化することができる。局所薬学的組成物は、溶液、ローション、膏薬、クリーム、軟膏、リポソーム、スプレー、ゲル、泡沫剤、ローラースティック、洗浄石鹸もしくはバー、エマルジョン、ムース、エアロゾル、またはシャンプーであり得る。
【0026】
本発明は、前立腺癌(PCa)の治療方法、または治療を必要とする男性対象における生存期間の増加方法であって、対象に、治療上有効な量の式I~IX、IA~ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、もしくはIXBによって定義される化合物、または本明細書に開示される化合物のいずれかを投与することを含む、方法を包含する。本発明は、前立腺癌(PCa)の治療方法、または治療を必要とする男性対象における生存期間の増加方法であって、対象に、治療上有効な量の式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068によって定義される化合物を投与することを含む、方法を包含する。前立腺癌には、進行前立腺癌、去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)、転移性CRPC(mCRPC)、非転移性CRPC(nmCRPC)、高リスクnmCRPC、またはそれらの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。本発明の別の実施形態は、アンドロゲン遮断療法を投与することを更に含む方法を包含する。代替的に、本方法は、既知のアンドロゲン受容体アンタゴニスト(複数可)またはADTでの治療に抵抗性である前立腺癌または他の癌を治療することができる。別の実施形態では、本方法は、ダロルタミド抵抗性前立腺癌を治療することができる。別の実施形態では、本方法は、エンザルタミド抵抗性前立腺癌を治療することができる。別の実施形態では、本方法は、アパルタミド抵抗性前立腺癌を治療することができる。別の実施形態では、本方法は、アビラテロン抵抗性前立腺癌を治療することができる。本発明の更に別の実施形態は、本発明のSARD化合物での、前立腺癌または他のARアンタゴニスト抵抗性癌の治療方法であって、アンドロゲン受容体アンタゴニスト(複数可)が、エンザルタミド、アパルタミド、ビカルタミド、アビラテロン、ODM-201(ダロルタミド)、EPI-001、EPI-506、AZD-3514、ガレテロン、ASC-J9、フルタミド、ヒドロキシフルタミド、ニルタミド、酢酸シプロテロン、ケトコナゾール、またはスピロノラクトンのうちの少なくとも1つである、方法を包含する。
【0027】
いくつかの実施形態では、前立腺癌は、糖質コルチコイド受容体(GR)を過剰発現するARアンタゴニスト抵抗性前立腺癌である。いくつかの実施形態では、GRの活性化は、前立腺癌の成長の支持を提供し、かつ/または前立腺癌に抗アンドロゲン抵抗性を付与する。いくつかの実施形態では、本発明のSARDを使用して、抗アンドロゲン抵抗性であるかどうかにかかわらず、GR依存性またはGR過剰発現前立腺癌を治療することができる。
【0028】
本発明の更に別の実施形態は、本発明のSARD化合物を使用した前立腺癌または他の癌の治療方法であって、他の癌が、三重陰性乳癌(TNBC)などの乳癌、精巣癌、性腺腫瘍およびセミノーマなどの部分型アンドロゲン不感性症候群(PAIS)に関連する癌、子宮癌、卵巣癌、卵管癌もしくは腹膜癌、唾液腺癌、膀胱癌、泌尿生殖器癌、脳癌、皮膚癌、リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、肝癌、肝細胞癌、腎癌、腎細胞癌、骨肉腫、膵癌、子宮内膜癌、肺癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、胃癌、結腸癌、肛門周囲腺腫、または中枢神経系癌から選択される、方法を包含する。別の実施形態では、乳癌は、三重陰性乳癌(TNBC)である。
【0029】
本発明は、対象におけるAR-スプライス多様体のレベルの低減方法であって、対象に、治療上有効な量の本発明の化合物、またはその異性体、薬学的に許容される塩、薬学的製品、多形、水和物、もしくはそれらの任意の組み合わせを投与することを含む、方法を包含する。本方法は、対象におけるAR-全長のレベルを更に低減することを含み得る。
【0030】
本発明の別の実施形態は、対象におけるケネディ病の治療方法であって、対象に、式I~IX、IA~ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、もしくはIXBの化合物、または本発明の別の式の化合物を投与することを含む、方法を包含する。
【0031】
本発明の別の実施形態は、対象におけるケネディ病の治療方法であって、対象に、式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068の化合物を投与することを含む、方法を包含する。
【0032】
本発明の更に別の実施形態は、本発明の化合物またはその薬学的組成物を投与することによる、(a)対象における座瘡、例えば、尋常性座瘡の治療方法、(b)対象における皮脂生成の減少、例えば、脂漏症、脂漏性皮膚炎、もしくは座瘡の治療方法、(c)対象における多毛症、例えば、女性の顔の毛髪の治療方法、(d)対象における脱毛症、例えば、アンドロゲン性脱毛症、円形脱毛症、化学療法に起因する脱毛症、放射線療法に起因する脱毛症、瘢痕によって誘導される脱毛症、もしくはストレスによって誘導される脱毛症の治療方法、(e)女性におけるホルモン病態、例えば、性早熟症、思春期早発症、月経困難症、無月経症、多胞性子宮症候群、子宮内膜症、子宮筋腫、異常子宮出血、早発月経、線維嚢胞性乳腺疾患、子宮の類線維腫、卵巣嚢胞、多嚢胞性卵巣症候群、子癇前症、妊娠子癇、早期分娩、月経前症候群、もしくは膣乾燥の治療方法、(f)対象における性的倒錯、性行動亢進、もしくは性嗜好異常の治療方法、(g)対象におけるアンドロゲン精神病の治療方法、(h)対象における男性化の治療方法、(i)対象における完全型もしくは部分型アンドロゲン不感性症候群の治療方法、(j)動物における排卵の増加もしくは調節方法、(k)対象における癌の治療方法、またはそれらの任意の組み合わせを包含する。
【0033】
本発明の一実施形態は、対象におけるポリグルタミン(polyQ)AR多形のレベルの低減方法であって、本発明による化合物を投与することを含む、方法を包含する。本方法は、ポリグルタミン(polyQ)AR多形(polyQ-AR)の機能を阻害、分解、またはその両方をし得る。polyQ-ARは、短いpolyQ多形または長いpolyQ多形であり得る。polyQ-ARが短いpolyQ多形である場合、本方法は、皮膚疾患を更に治療する。polyQ-ARが長いpolyQ多形である場合、本方法は、ケネディ病を更に治療する。
【0034】
本発明の別の実施形態は、治療上有効な量の本発明の化合物、またはその異性体、薬学的に許容される塩、薬学的製品、多形、水和物、もしくはそれらの任意の組み合わせ、あるいはその薬学的組成物を投与することによる、対象における筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療方法を包含する。
【0035】
本発明の別の実施形態は、治療上有効な量の本発明の化合物、またはその異性体、薬学的に許容される塩、薬学的製品、多形、水和物、もしくはそれらの任意の組み合わせ、あるいはその薬学的組成物を投与することによる、対象における腹部大動脈瘤(AAA)の治療方法を包含する。
【0036】
本発明の更に別の実施形態は、治療上有効な量の本発明の化合物、またはその異性体、薬学的に許容される塩、薬学的製品、多形、水和物、もしくはそれらの任意の組み合わせ、あるいはその薬学的組成物を投与することによる、対象における子宮類線維症の治療方法を包含する。
【0037】
更に別の態様では、本発明は、ホルモン病態の治療、抑制、その発生の低減、その重症度の低減、またはその進行の阻害を必要とする男性における、ホルモン病態の治療、抑制、その発生の低減、その重症度の低減、またはその進行の阻害方法であって、対象に、治療上有効な量の本発明の選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物を投与することを含む、方法を提供する。一実施形態では、本発明の方法における病態は、性腺機能亢進症、性行動亢進、性機能障害、女性化乳房症、男性の性早熟症、認知および気分の変化、うつ状態、脱毛、高アンドロゲン性皮膚障害、前立腺の前癌性病変、良性前立腺肥大症、前立腺癌、ならびに/または他のアンドロゲン依存性癌である。
【0038】
一実施形態では、本発明の方法における病態は、性機能障害、性欲の減少、勃起不全、性腺機能低下症、サルコペニア、骨減少症、骨粗鬆症、認知および気分の変化、うつ状態、貧血、脱毛、肥満症、良性前立腺肥大症、ならびに/または前立腺癌である。
【0039】
実例を単純かつ明確にするために、図に示される要素は、必ずしも縮尺どおりに描かれていないことが理解されるであろう。例えば、いくつかの要素の寸法は、明確にするために他の要素に比較して誇張され得る。更に、適切であると考えられる場合、対応する要素または類似の要素を示すために、参照番号が図の間で繰り返され得る。
【図面の簡単な説明】
【0040】
本発明とみなされる主題は、本明細書の結論部分で特に指摘され、明確に特許請求される。しかしながら、本発明は、組織および操作方法の両方に関して、その目的、特徴、および利点と併せて、以下の詳細な説明を参照することにより、添付の図面と共に読まれる場合に最も良く理解され得る。
【
図1】代表的な化合物のインビトロARアンタゴニズムを提示する。COS7細胞を、OptiMEM(登録商標)培地中のLipofectamineを使用して、0.25μgのGRE-LUC、0.01μgのCMV-レニラLUC、および25ngのCMV-hARでトランスフェクトした。細胞を、トランスフェクションの24時間後に示される濃度の代表的な化合物の用量応答で処理し、トランスフェクションの48時間後にルシフェラーゼアッセイを行った。ホタルルシフェラーゼ値を、レニラルシフェラーゼ値に対して正規化した。化合物構造については、表1を参照されたい。
【
図2】代表的な化合物のインビトロARアンタゴニズムを提示する。化合物構造については、表1を参照されたい。
【
図3】代表的な化合物のFL AR分解活性を提示する。各レーンの下の数字は、ビヒクルからの%変化を表す。バンドを、ImageJ(登録商標)ソフトウェアを使用して定量化した。各レーンについて、ARバンドを、GAPDHバンドによって割り、ビヒクルからの%差を計算し、各レーンの下に表した。示される数は、0(分解なし)であるか、またはGAPDHレベルに対して正規化したARレベルの減少として表す(いくつかの値は、正として表されるが、依然として分解を示す)。この実験から、1048、1058、および1017が、3μMの用量で高い有効性のAR分解剤であることが明らかである。化合物構造については、表1を参照されたい。
【
図4】代表的な化合物の体重変化を研究するためのハーシュバーガーアッセイの結果を示す。無傷のスプラーグドーリーラット(体重100~120g)(n=6/群)に、1日20mg/kgで13日間投与した。投与溶液は、20%DMSO+80%PEG中で調製した。治療開始から14日後に、動物を屠殺し、組織重量を記録した。体重は、1日目および屠殺時に測定した。組織重量を、体重に対して正規化し、ビヒクル治療動物からのパーセント変化として表した。見ることができるように、これらの化合物のほとんどは、体重を著しくは減少させず、この用量では、これらの化合物に著しい毒性がないことを示唆する。化合物構造については、表1を参照されたい。
【
図5】1日20mg/kgの投与後の精嚢の変化を提示する。試験した化合物の各々は、精嚢臓器重量の支持の減少において明らかになったように、インビボで少なくともいくらかのARアンタゴニズムを発揮した。インドール11は、インビトロで最も強力なSARD(表1の約85.1nMおよび表4の29nmのIC
50)であっても、11が、この組の化合物ではインビボで最も弱いARアンタゴニストであり、ビヒクル治療ラットからの20%未満の変化を明示することに留意されたい。トリアゾール1045、ピラゾール1017、および1002(Tart)は、このアッセイではピラゾール1002に対する機能は不確かであったが、1022および1058は、この用量でわずかにより高い有効性を示した可能性がある。(実施例8)しかしながら、化合物のいずれも、去勢ほどは精嚢重量を低減せず、より高い用量および/またはより良好なバイオアベイラビリティが望ましいことを示唆する。化合物構造については、表1を参照されたい。
【
図6】精嚢重量の低減および対応する血清濃度に関する、1048、1065、1058、1022、および1002のインビボARアンタゴニズム、ならびにインビトロアンタゴニズムおよび分解を提示する。この図には、1048に対する5mg/kgの用量が示される。この図では、他の全ての化合物は、20mg/kgで投与される。4つの化合物の各々が、1002を超えるインビボアンタゴニズムを生成し、これは、同様のバイオアベイラビリティを仮定すると、3~4倍増加したインビトロアンタゴニズムおよび改善された分解とよく一致する(表4)。屠殺時に、血液試料を採取し、血清薬物レベルを決定した。これらのレベルは、1065、1058、および1022が、20mg/kgで投与した場合、ラットにおいて約17、12、および2倍より高い血清レベルを有することを明らかにした(表4)。これに対応して、1065は、全ての以前のSARD化合物と比較して、予想外に改善された経口バイオアベイラビリティを明示し、インビボでの完全なARアンタゴニズムを明示した。化合物構造については、表1を参照されたい[実施例9]。
【
図7】1002からの臓器重量の%差(1002からの%差)を提示し、1002を0%変化と定義し、ビヒクルを100%変化と定義した。2つの研究にわたる全ての化合物の前立腺および精嚢の重量低減を一緒に報告する場合、いくつかの化合物は、1002と比較して、同等~わずかに改善された有効性を生成した。しかしながら、1065は、精嚢の去勢レベルに達した。化合物構造については、表1を参照されたい。
【
図8】代表的な化合物の血清テストステロンレベルを提示する。20mg/kgの示される化合物で治療した動物については、屠殺時に採血し、血清を単離した。血清をLC-MS/MSに通して、テストステロンレベルを検出した。見ることができるように、1065の化学的去勢を生成したレベルよりもはるかに高いレベルでも、血清テストステロンレベルの著しい低減は存在しない。1002および1058についても、同様の結果が得られた。これは、SARDがテストステロンの合成のいかなる効果も有しないが、ARに対する直接的な効果のために、強力なインビボARアンタゴニストであることを示した。更に、これは、SARDがこれらの無傷の動物に存在する内在性アンドロゲンを克服することができる強力なアンタゴニストであることを強調する。mpk-mg/kg。化合物構造については、表1を参照されたい。
【
図9】は、1058および陽性対照としてのデキサメタゾンのGRアンタゴニズムを提示する。1058は、インビトロで強力なARアンタゴニスト(83.7nM)であり、SVおよびFL AR分解を行うことができる(それぞれ、70%および80%)。更に、アンタゴニストモードでのこのGRトランス活性化アッセイにおける1058の用量応答は、インビトロで強力(1984nM)かつ完全な(RU486と同等の有効性)GRアンタゴニズムを生成した。代表的な例として、1002のGRアンタゴニズムの欠如を、
図9Bに示す。陽性対照として、デキサメタゾンは、同じアッセイシステムにおいて強力かつ高い有効性のアゴニズムを明示した(
図9A)。これは、予想外のバイオアベイラビリティと組み合わせて、1058が、Horm Cancer.(2014)5(2),72-89またはdoi:10.1007/s12672-014-0173-2、およびCell(2013)155,1309-1322またはdoi:10.1016/j.cell.2013.11.012で論じられるように、GRによって媒介される抗アンドロゲン抵抗性の出現を克服または予防することができる可能性があることを示唆する。化合物構造については、表1を参照されたい。
【
図10】1058および1002のPRアンタゴニズムを提示する。1058もまた、多くのSARD(1002を示す)と同様に、インビトロで強力なPRアンタゴニスト(144nM)であり、乳癌の治療の可能性も示唆する。プロゲステロンは、このシステムにおいて強力かつ高い有効性のアゴニストであり、このアッセイの陽性対照を提供する。
【
図11】1061、1068、および1002の改善された純粋なアンタゴニズムおよびSARD活性を提示する(構造については、実施例2および表1を参照されたい)。
【
図12】LNCaP-ARV7細胞における1058、1002、および1065でのARおよびAR-V7の分解を提示する(構造については、実施例12を参照されたい)。LNCaP-ARV7細胞を、成長培地中で24時間処理した。細胞を採取し、タンパク質を抽出し、ARおよびGAPDHのウェスタンブロットを行った。1058は、ARおよびAR-V7の分解においてより強力である。AR-V7の発現は、LNCaP-ARV7へのドキシサイクリン添加によって誘導された。加えて、1058、1002、および1065は、AR全長(T877A変異体である)およびAR-V7の分解を引き起こした。結果は、1058が、構造が近い類似体1002よりも、AR-V7の分解においてより活性であることを明示した。1058は、10μMで両方をほぼ完全に分解した。
【
図13】1002および1058による、LNCaP-ARV7細胞におけるR1881依存性FKBP5遺伝子発現の阻害を提示する。チャコール処理した血清含有培地中で維持したLNCaP-ARV7細胞を、24時間処理した。RNAを抽出し、FKBP5の発現を測定し、リアルタイムPCRを使用してGAPDHに対して正規化した。1058は、1002よりも強力である。LNCaP-ARV7細胞における、古典的に知られているAR依存性遺伝子であるFKBP5のR1881誘導性発現のアンタゴニズムにおいて、1058の予想外の10倍の効能の増加が観察された。
【
図14】LNCaP-ARV7細胞における1002および1058の抗増殖活性を提示する。LNCaP-ARV7細胞を、全血清中でプレーティングし、示されるように6日間処理した(3日後に培地交換および再処理した)。CellTiter Gloアッセイを使用して、生細胞を測定した。1058は、0.3uMから開始して、細胞の増殖を阻害する。1058は、LNCaP-ARV7細胞のAR-V7依存性増殖をより強力に阻害し、1058の0.3μM対1002の1μMのアンタゴニズムが見られた。
【
図15】1002および1058による、22RV1細胞におけるAR-V7依存性FKBP5遺伝子発現の阻害を提示する。22RV1細胞を、チャコール処理した血清含有培地中で3日間処理した。RNAを単離し、AR標的遺伝子FKBP5の発現を定量化し、リアルタイムPCRを使用してGAPDHに対して正規化した。1058は、AR-V7によって媒介される22RV1細胞のベースライン活性さえも阻害する。22RV1前立腺癌細胞は、全長AR(AR)およびAR-V7の両方を内在的かつ構成的に発現する。22RV1細胞におけるベースラインAR軸活性の大部分は、22RV1におけるエンザルタミドなどのLBD誘導抗アンドロゲンによる増殖の不良なARアンタゴニズムおよびAR依存性遺伝子によって反映される、AR-V7活性によるものと考えられる(図示せず)。
図15は、1002ではなく1058が、22RV1細胞におけるAR依存性遺伝子FKBP5のAR-V7依存性ベースライン発現(すなわち、活性AR-FLへのアンドロゲンの添加の不在下)を阻害することができたことを示す。1058および1002の構造的類似性を考慮すると、1058が1002よりも3倍以上強力であり、1002が試験した用量範囲でいかなる有効性も明示しなかったことは、予想外である。前立腺癌細胞におけるAR-V7の活性を分解および阻害する、
図12~15に示される1058対1002の効能および有効性の増加は、予想外であり、現在治療不可能なCRPCを含むAR-SV依存性前立腺癌を治療する改善された能力を示唆した。
【0041】
実例を単純かつ明確にするために、図に示される要素は、必ずしも縮尺どおりに描かれていないことが理解されるであろう。例えば、いくつかの要素の寸法は、明確にするために他の要素に比較して誇張され得る。更に、適切であると考えられる場合、対応する要素または類似の要素を示すために、参照番号が図の間で繰り返され得る。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下の詳細な説明において、本発明の完全な理解を提供するために、多くの具体的な詳細が記載される。しかしながら、本発明がこれらの具体的な詳細を伴わずに実行されてもよいということが、当業者によって理解されるであろう。他の事例では、本発明を不明瞭にしないように、周知の方法、手順、および構成要素は、詳細に説明されていない。
【0043】
アンドロゲンは、AR(転写因子のステロイド受容体スーパーファミリーのメンバー)に結合することによって細胞内で作用する。前立腺癌(PCa)の成長および維持は、アンドロゲンを循環させることによって主に制御されるため、PCaの治療は、ARを標的とする治療法に大きく依存する。受容体活性化を妨害するための、エンザルタミド、アパルタミド、ビカルタミド、またはヒドロキシフルタミドなどのARアンタゴニストでの治療は、PCaの成長を低減するために、過去において良好に使用されてきた。現在使用可能な全てのARアンタゴニストは、ARに競合的に結合し、NCoRおよびSMRTなどのコリプレッサーを動員して、標的遺伝子の転写を抑制する。しかしながら、変更された細胞内シグナル伝達、AR変異、および増加したコアクチベーターの発現は、アンタゴニストの機能障害、または更にはアンタゴニストの、アゴニストへの変容につながる。研究は、AR内のW741およびT877の変異が、ビカルタミドおよびヒドロキシフルタミドをそれぞれアゴニストに変換することを明示した。同様に、増加した細胞内サイトカインは、AR応答性プロモーターに対するコリプレッサーの代わりにコアクチベーターを動員し、後にビカルタミドをアゴニストに変換する。同様に、エンザルタミドおよびアパルタミド抵抗性と関係がある変異には、F876、H874、T877、および二変異体T877/S888、T877/D890、F876/T877(すなわち、MR49細胞)、およびH874/T877(Genome Biol.(2016)17:10(doi:10.1186/s13059-015-0864-1))が含まれる。アビラテロン抵抗性変異には、プレドニゾンなどの糖質コルチコイドによるARの活性化をもたらし、アビラテロンは通常プレドニゾンと組み合わせて処方されるため、アビラテロンに対する抵抗性を引き起こす、L702H変異が含まれる。エンザルタミドまたはアパルタミドに対する抵抗性が発達した場合、患者は、しばしばアビラテロンにも難治性であり、その逆も同様であるか、または応答の期間が非常に短い。この状況は、進行前立腺癌におけるARの再活性化を予防するための決定的なアンドロゲン遮断療法の必要性を強調する。Arora et al.in Cell 155,1309-1322は、前立腺癌細胞株(LNCaP/AR)および臨床試料の薬剤抵抗性腫瘍の一般的な特徴としての糖質コルチコイド受容体(GR)発現の誘導を報告した。GRは、同様であるが識別可能な標的遺伝子の組を活性化するためにARを置換し、抵抗性表現型の維持に必要であった。GRアゴニストであるデキサメタゾンは、エンザルタミド(またはアパルタミド)抵抗性を付与するのに十分であったが、GRアンタゴニストは、感受性を回復した。急性AR阻害は、GR発現のAR媒介性フィードバック抑制の緩和により、前立腺癌細胞のサブセットにおいてGR上方制御をもたらした。これらの発見は、薬物曝露時に代替核内受容体を介してAR標的遺伝子を駆動するようにプライミングされた細胞の増殖を通じてAR遮断から脱出する機序を確立する。場合によっては、本発明のSARDは、強力なARアンタゴニストに加えて、強力なGRアンタゴニストである。したがって、それらは、おそらくGR依存性抗アンドロゲン抵抗性の出現を予防するか、GRに依存する抗アンドロゲン抵抗性前立腺癌を治療する。
【0044】
アンドロゲン遮断療法(ADT)に対する初期応答に依らず、PCaの疾患進行は不可避であり、癌は、去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)として出現する。去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)再出現の主な理由は、以下のような代替機序によるアンドロゲン受容体(AR)の再活性化である。
(a)イントラクラインアンドロゲン合成、
(b)例えば、リガンド結合ドメイン(LBD)を欠くARスプライス多様体(AR-SV)の発現、
(c)アンタゴニストに抵抗する能力を持つAR-LBD変異、
(d)例えば、AR遺伝子増幅またはAR変異に起因する、低いアンドロゲンレベルへのARの超増感、
(e)腫瘍内のAR遺伝子の増幅、ならびに
(f)コアクチベーターの過剰発現および/または変更された細胞内シグナル伝達。
【0045】
本発明は、44~46、98、300~308、1050~1064、および1068によって包含される新規の選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物を包含し、これらは、増殖のために、病原性および抵抗性変異および野生型を含むAR全長(AR-FL)、ならびに/またはARスプライス多様体(AR-SV)に依存する前立腺癌(PCa)細胞および腫瘍の成長を阻害する。
【0046】
本発明は、式Iによって包含される新規の選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物を更に包含し、これらは、増殖のために、病原性および抵抗性変異および/もしくは野生型を含むAR全長(AR-FL)、ならびに/またはARスプライス多様体(AR-SV)に依存する前立腺癌(PCa)細胞および腫瘍の成長を阻害する。
【0047】
本明細書で使用される場合、別段定義されない限り、「選択的アンドロゲン受容体分解剤」(SARD)化合物は、増殖のために、AR-全長(AR-FL)および/またはARスプライス多様体(AR-SV)に依存する、PCa細胞および腫瘍の成長を阻害することができるアンドロゲン受容体アンタゴニストである。SARD化合物は、リガンド結合ドメイン(LBD)に結合しない場合がある。代替的に、「選択的アンドロゲン受容体分解剤」(SARD)化合物は、様々な病原性変異多様体ARおよび野生型ARの分解を引き起こすことができ、したがって抗アンドロゲン症を発揮することができるアンドロゲン受容体アンタゴニストであり、本発明で具体化される病状に見出される多種多様な変更された病原性細胞環境である。一実施形態では、SARDは、経口活性である。別の実施形態では、SARDは、作用部位に局所的に適用される。
【0048】
SARD化合物は、ARのN末端ドメイン(NTD)に、ARの代替結合および分解ドメイン(BDD)に、ARリガンド結合ドメイン(LBD)ならびに代替結合および分解ドメイン(BDD)の両方に、またはARのN末端ドメイン(NTD)およびリガンド結合ドメイン(LBD)の両方に結合することができる。一実施形態では、BDDは、NTD内に位置し得る。一実施形態では、BDDは、NTDのAF-1領域に位置する。代替的に、SARD化合物は、N末端ドメイン(NTD)依存性の構成的に活性なAR-SVによって駆動される成長を阻害すること、またはAR LBDとは異なるドメインへの結合を通じてARを阻害することができる可能性がある。また、SARD化合物は、他の既知のARアンタゴニスト(例えば、エンザルタミド、アパルタミド、ビカルタミド、およびアビラテロン)よりも強力にARをアンタゴナイズする、強力な(すなわち、高度に強力であり、高度に有効な)選択的アンドロゲン受容体アンタゴニストであり得る。
【0049】
SARD化合物は、従来のアンタゴニストによって阻害することができないAR-SVを標的とする、選択的アンドロゲン受容体アンタゴニストであり得る。SARD化合物は、AR-SV分解活性、AR-FL分解活性、AR-SV阻害活性(すなわち、AR-SVアンタゴニストである)、AR-FL阻害活性(すなわち、AR-FLアンタゴニストである)、AR-SVの構成的活性化の阻害、またはAR-FLの構成的活性化の阻害を含むがこれらに限定されない、いくつかの活性のうちのいずれか1つを示し得る。代替的に、SARD化合物は、二重AR-SV分解およびAR-SV阻害機能、ならびに/または二重AR-FL分解およびAR-FL阻害機能を有しても、代替的に、これらの活性の4つ全てを有してもよい。
【0050】
SARD化合物はまた、AR-FLおよびAR-SVも分解することができる。SARD化合物は、AR LBDとは異なるドメインへの結合を通じてARを分解することができる。SARD化合物は、いずれの使用可能なCRPC治療薬とも異なる、二重分解およびAR-SV阻害機能を有してもよい。SARD化合物は、イントラクラインアンドロゲン合成、リガンド結合ドメイン(LBD)を欠くAR-SVの発現、およびアンタゴニストに抵抗する能力を有するAR-LBD変異などの代替機序によってARの再活性化を阻害すること、または変更された病原性細胞環境に存在する再活性化アンドロゲン受容体を阻害することができる。
【0051】
AR-スプライス多様体の例には、AR-V7およびARv567es(別名AR-V12、S.Sun,et al.Castration resistance in human prostate cancer is conferred by a frequently occurring androgen receptor splice variant.J Clin Invest.(2010)120(8),2715-2730)が含まれるが、これらに限定されない。抗アンドロゲン抵抗性を付与するAR変異の非限定的な例は、W741L、T877A、およびF876L(J.D.Joseph et al.A clinically relevant androgen receptor mutation confers resistance to second-generation antiandrogens enzalutamide and ARN-509[apalutamide].Cancer Discov.(2013)3(9),1020-1029)変異である。多くの他のLBD抵抗性を付与する変異が、当該技術分野で既知であり、今後も発見され続けるであろう。AR-V7は、LBDを欠くARのスプライス多様体である(A.H.Bryce&E.S.Antonarakis.Androgen receptor splice variant 7 in castration-resistant prostate cancer:Clinical considerations.Int J Urol.(2016 Jun 3)23(8),646-53.doi:10.1111/iju.13134)。それは構成的に活性であり、侵襲性PCaおよび内分泌療法への抵抗に関与することが明示されてきた。
【0052】
本発明は、代替結合および分解ドメイン(BDD)、例えば、NTDまたはAF-1を通じてARに結合する、式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068の新規の選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物を包含する。SARDは、ARリガンド結合ドメイン(LBD)に更に結合することができる。
【0053】
本発明は、代替結合および分解ドメイン(BDD)、例えば、NTDまたはAF-1を通じてARに結合する、式I~IX、IA~ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの新規の選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物を更に包含する。SARDは、ARリガンド結合ドメイン(LBD)に更に結合することができる。
【0054】
SARD化合物は、いかなる他のアンタゴニストでも治療することができないCRPCの治療に使用することができる。SARD化合物は、AR-SVを分解することによってCRPCを治療することができる。SARD化合物は、通常ARアンタゴニストをアゴニストに変換するAR変異体においてそれらのアンタゴニスト活性を維持することができる。例えば、SARD化合物は、AR変異体W741L、T877A、およびF876Lに対するそれらのアンタゴニスト活性を維持する(J.D.Joseph et al.A clinically relevant androgen receptor mutation confers resistance to second-generation antiandrogens enzalutamide and ARN-509[apalutamide].Cancer Discov.(2013)3(9),1020-1029)。代替的に、SARD化合物は、LBDを標的とした薬剤が有効でないか、またはNTD依存性AR活性が構成的に活性である、変更された細胞環境内でアンタゴニスト活性を引き出す。代替的に、SARD化合物は、ARおよびGRの共アンタゴニストであってもよく、それによりGRが過剰発現され、かつ/またはGRがAR軸を活性化している抗アンドロゲン抵抗性CRPCを克服または予防する。
【0055】
選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物
本発明は、以下の構造のうちのいずれか1つから選択される選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物、
【化2-1】
【化2-2】
【化2-3】
またはその光学異性体、異性体、薬学的に許容される塩、薬学的製品、多形、水和物、もしくはそれらの任意の組み合わせを包含する。
【0056】
本発明は、式Iの構造によって表される選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物であって、
【化3】
式中、
Tが、H、OH、OR、OCOR、CH
3、-NHCOCH
3、もしくはNHCORであるか、
R
1が、H、CH
3、CH
2F、CHF
2、CF
3、CH
2CH
3、もしくはCF
2CF
3であるか、
またはTおよびR
1が、3~8炭素環もしくは複素環を形成し、
Yが、H、CF
3、F、I、Br、Cl、CN、もしくはC(R)
3であるか、
Zが、H、NO
2、CN、ハロゲン化物、COOH、COR、NHCOR、CONHRであるか、
またはYおよびZが、5~8員縮合環を形成し、
Xが、CHまたはNであり、
Rが、H、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、アルコール、CH
2CH
2OH、CF
3、CH
2Cl、CH
2CH
2Cl、アリール、F、Cl、Br、I、またはOHであり、
Aが、R
2またはR
3であり、
R
2が、各々が独立して水素、ケト、置換もしくは非置換の直鎖もしくは分岐アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、ハロアルキル、CF
3、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換フェニル、F、Cl、Br、I、CN、NO
2、ヒドロキシル、アルコキシ、OR、アリールアルキル、NCS、マレイミド、NHCOOR、N(R)
2、NHCOR、CONHR、COOR、またはCORから選択される、Q
1、Q
2、Q
3、およびQ
4のうちの少なくとも1つで任意に置換された、N-複素環であり、
R
3が、NHR
2、ハロゲン化物、N
3、OR
4、CF
3、COR
4、COCl、COOCOR
4、COOR
4、OCOR
4、OCONHR
4、NHCOOR
4、NHCONHR
4、OCOOR
4、CN、CONH
2、CONH(R
4)、CON(R
4)
2、SR
4、SO
2R
4、SOR
4 SO
3H、SO
2NH
2、SO
2NH(R
4)、SO
2N(R
4)
2、NH
2、NH(R
4)、N(R
4)
2、CO(N-複素環)、NO
2、シアネート、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、メシレート、トシレート、トリフレート、PO(OH)
2、またはOPO(OH)
2であり、
R
4が、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、該アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリール基が、任意に置換される、化合物、
またはその光学異性体、異性体、薬学的に許容される塩、薬学的製品、多形、水和物、もしくはそれらの任意の組み合わせを包含する。
【0057】
様々な実施形態では、式IのSARD化合物は、キラル炭素を有する。他の実施形態では、式IのSARD化合物は、ラセミ混合物である。他の実施形態では、式IのSARD化合物は、(S)異性体である。他の実施形態では、式IのSARD化合物は、(R)異性体である。
【0058】
本発明は、式IAの構造によって表される選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物であって、
【化4】
式中、
Tが、H、OH、OR、OCOR、CH
3、-NHCOCH
3、もしくはNHCORであるか、
R
1が、H、CH
3、CH
2F、CHF
2、CF
3、CH
2CH
3、もしくはCF
2CF
3であるか、
またはTおよびR
1が、3~8炭素環もしくは複素環を形成し、
Yが、H、CF
3、F、I、Br、Cl、CN、もしくはC(R)
3であるか、
Zが、H、NO
2、CN、ハロゲン化物、COOH、COR、NHCOR、CONHRであるか、
またはYおよびZが、5~8員縮合環を形成し、
Xが、CHまたはNであり、
Rが、H、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、アルコール、CH
2CH
2OH、CF
3、CH
2Cl、CH
2CH
2Cl、アリール、F、Cl、Br、I、またはOHであり、
Aが、R
2またはR
3であり、
R
2が、各々が独立して水素、ケト、置換もしくは非置換の直鎖もしくは分岐アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、ハロアルキル、CF
3、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換フェニル、F、Cl、Br、I、CN、NO
2、ヒドロキシル、アルコキシ、OR、アリールアルキル、NCS、マレイミド、NHCOOR、N(R)
2、NHCOR、CONHR、COOR、またはCORから選択される、Q
1、Q
2、Q
3、およびQ
4のうちの少なくとも1つで任意に置換された、N-複素環であり、
R
3が、NHR
2、ハロゲン化物、N
3、OR
4、CF
3、COR
4、COCl、COOCOR
4、COOR
4、OCOR
4、OCONHR
4、NHCOOR
4、NHCONHR
4、OCOOR
4、CN、CONH
2、CONH(R
4)、CON(R
4)
2、SR
4、SO
2R
4、SOR
4 SO
3H、SO
2NH
2、SO
2NH(R
4)、SO
2N(R
4)
2、NH
2、NH(R
4)、N(R
4)
2、CO(N-複素環)、NO
2、シアネート、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、メシレート、トシレート、トリフレート、PO(OH)
2、またはOPO(OH)
2であり、
R
4が、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、該アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリール基が、任意に置換される、化合物、
またはその異性体、薬学的に許容される塩、薬学的製品、多形、水和物、もしくはそれらの任意の組み合わせを包含する。
【0059】
本発明は、式IBの構造によって表される選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物であって、
【化5】
式中、
Tが、H、OH、OR、OCOR、CH
3、-NHCOCH
3、もしくはNHCORであるか、
R
1が、H、CH
3、CH
2F、CHF
2、CF
3、CH
2CH
3、もしくはCF
2CF
3であるか、
またはTおよびR
1が、3~8炭素環もしくは複素環を形成し、
Yが、H、CF
3、F、I、Br、Cl、CN、もしくはC(R)
3であるか、
Zが、H、NO
2、CN、ハロゲン化物、COOH、COR、NHCOR、CONHRであるか、
またはYおよびZが、5~8員縮合環を形成し、
Xが、CHまたはNであり、
Rが、H、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、アルコール、CH
2CH
2OH、CF
3、CH
2Cl、CH
2CH
2Cl、アリール、F、Cl、Br、I、またはOHであり、
Aが、R
2またはR
3であり、
R
2が、各々が独立して水素、ケト、置換もしくは非置換の直鎖もしくは分岐アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、ハロアルキル、CF
3、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換フェニル、F、Cl、Br、I、CN、NO
2、ヒドロキシル、アルコキシ、OR、アリールアルキル、NCS、マレイミド、NHCOOR、N(R)
2、NHCOR、CONHR、COOR、またはCORから選択される、Q
1、Q
2、Q
3、およびQ
4のうちの少なくとも1つで任意に置換された、N-複素環であり、
R
3が、NHR
2、ハロゲン化物、N
3、OR
4、CF
3、COR
4、COCl、COOCOR
4、COOR
4、OCOR
4、OCONHR
4、NHCOOR
4、NHCONHR
4、OCOOR
4、CN、CONH
2、CONH(R
4)、CON(R
4)
2、SR
4、SO
2R
4、SOR
4 SO
3H、SO
2NH
2、SO
2NH(R
4)、SO
2N(R
4)
2、NH
2、NH(R
4)、N(R
4)
2、CO(N-複素環)、NO
2、シアネート、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、メシレート、トシレート、トリフレート、PO(OH)
2、またはOPO(OH)
2であり、
R
4が、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、該アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリール基が、任意に置換される、化合物、
またはその異性体、薬学的に許容される塩、薬学的製品、多形、水和物、もしくはそれらの任意の組み合わせを包含する。
【0060】
本発明は、式ICの構造によって表される選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物であって、
【化6】
式中、
Tが、H、OH、OR、OCOR、CH
3、-NHCOCH
3、もしくはNHCORであるか、
R
1が、H、CH
3、CH
2F、CHF
2、CF
3、CH
2CH
3、もしくはCF
2CF
3であるか、
またはTおよびR
1が、3~8炭素環もしくは複素環を形成し、
Yが、H、CF
3、F、I、Br、Cl、CN、もしくはC(R)
3であるか、
Zが、H、NO
2、CN、ハロゲン化物、COOH、COR、NHCOR、CONHRであるか、
またはYおよびZが、5~8員縮合環を形成し、
Xが、CHまたはNであり、
Rが、H、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、アルコール、CH
2CH
2OH、CF
3、CH
2Cl、CH
2CH
2Cl、アリール、F、Cl、Br、I、またはOHであり、
R
2が、各々が独立して水素、ケト、置換もしくは非置換の直鎖もしくは分岐アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、ハロアルキル、CF
3、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換フェニル、F、Cl、Br、I、CN、NO
2、ヒドロキシル、アルコキシ、OR、アリールアルキル、NCS、マレイミド、NHCOOR、N(R)
2、NHCOR、CONHR、COOR、またはCORから選択される、Q
1、Q
2、Q
3、およびQ
4のうちの少なくとも1つで任意に置換されたN-複素環である、化合物、
またはその光学異性体、異性体、薬学的に許容される塩、薬学的製品、多形、水和物、もしくはそれらの任意の組み合わせを包含する。
【0061】
本発明は、式IDの構造によって表される選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物であって、
【化7】
式中、
Tが、H、OH、OR、OCOR、CH
3、-NHCOCH
3、もしくはNHCORであるか、
R
1が、H、CH
3、CH
2F、CHF
2、CF
3、CH
2CH
3、もしくはCF
2CF
3であるか、
またはTおよびR
1が、3~8炭素環もしくは複素環を形成し、
Yが、H、CF
3、F、I、Br、Cl、CN、もしくはC(R)
3であるか、
Zが、H、NO
2、CN、ハロゲン化物、COOH、COR、NHCOR、CONHRであるか、
またはYおよびZが、5~8員縮合環を形成し、
Xが、CHまたはNであり、
Rが、H、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、アルコール、CH
2CH
2OH、CF
3、CH
2Cl、CH
2CH
2Cl、アリール、F、Cl、Br、I、またはOHであり、
R
3が、NHR
2、ハロゲン化物、N
3、OR
4、CF
3、COR
4、COCl、COOCOR
4、COOR
4、OCOR
4、OCONHR
4、NHCOOR
4、NHCONHR
4、OCOOR
4、CN、CONH
2、CONH(R
4)、CON(R
4)
2、SR
4、SO
2R
4、SOR
4 SO
3H、SO
2NH
2、SO
2NH(R
4)、SO
2N(R
4)
2、NH
2、NH(R
4)、N(R
4)
2、CO(N-複素環)、NO
2、シアネート、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、メシレート、トシレート、トリフレート、PO(OH)
2、またはOPO(OH)
2であり、
R
4H、が、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、該アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリール基が、任意に置換される、化合物、
またはその光学異性体、異性体、薬学的に許容される塩、薬学的製品、多形、水和物、もしくはそれらの任意の組み合わせを包含する。
【0062】
本発明は、式IIの構造によって表されるSARD化合物であって、
【化8】
式中、
Tが、H、OH、OR、OCOR、CH
3、-NHCOCH
3、もしくはNHCORであるか、
R
1が、H、CH
3、CH
2F、CHF
2、CF
3、CH
2CH
3、もしくはCF
2CF
3であるか、
またはTおよびR
1が、3~8炭素環もしくは複素環を形成し、
Yが、H、CF
3、F、I、Br、Cl、CN、もしくはC(R)
3であるか、
Zが、H、NO
2、CN、ハロゲン化物、COOH、COR、NHCOR、CONHRであるか、
またはYおよびZが、5~8員縮合環を形成し、
Xが、CHまたはNであり、
Rが、H、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、アルコール、CH
2CH
2OH、CF
3、CH
2Cl、CH
2CH
2Cl、アリール、F、Cl、Br、I、またはOHであり、
Aが、R
2またはR
3であり、
R
2が、各々が独立して水素、ケト、置換もしくは非置換の直鎖もしくは分岐アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、ハロアルキル、CF
3、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換フェニル、F、Cl、Br、I、CN、NO
2、ヒドロキシル、アルコキシ、OR、アリールアルキル、NCS、マレイミド、NHCOOR、N(R)
2、NHCOR、CONHR、COOR、またはCORから選択される、Q
1、Q
2、Q
3、およびQ
4のうちの少なくとも1つで任意に置換された、N-複素環であり、
R
3が、NHR
2、ハロゲン化物、N
3、OR
4、CF
3、COR
4、COCl、COOCOR
4、COOR
4、OCOR
4、OCONHR
4、NHCOOR
4、NHCONHR
4、OCOOR
4、CN、CONH
2、CONH(R
4)、CON(R
4)
2、SR
4、SO
2R
4、SOR
4 SO
3H、SO
2NH
2、SO
2NH(R
4)、SO
2N(R
4)
2、NH
2、NH(R
4)、N(R
4)
2、CO(N-複素環)、NO
2、シアネート、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、メシレート、トシレート、トリフレート、PO(OH)
2、またはOPO(OH)
2であり、
R
4が、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、該アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリール基が、任意に置換される、化合物、
またはその光学異性体、異性体、薬学的に許容される塩、薬学的製品、多形、水和物、もしくはそれらの任意の組み合わせを包含する。
【0063】
様々な実施形態では、式IIのSARD化合物は、キラル炭素を有する。他の実施形態では、式IIのSARD化合物は、ラセミ混合物である。他の実施形態では、式IIのSARD化合物は、(S)異性体である。他の実施形態では、式IIのSARD化合物は、(R)異性体である。
【0064】
本発明は、式IIAの構造によって表されるSARD化合物であって、
【化9】
式中、
Tが、H、OH、OR、OCOR、CH
3、-NHCOCH
3、もしくはNHCORであるか、
R
1が、H、CH
3、CH
2F、CHF
2、CF
3、CH
2CH
3、もしくはCF
2CF
3であるか、
またはTおよびR
1が、3~8炭素環もしくは複素環を形成し、
Yが、H、CF
3、F、I、Br、Cl、CN、もしくはC(R)
3であるか、
Zが、H、NO
2、CN、ハロゲン化物、COOH、COR、NHCOR、CONHRであるか、
またはYおよびZが、5~8員縮合環を形成し、
Xが、CHまたはNであり、
Rが、H、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、アルコール、CH
2CH
2OH、CF
3、CH
2Cl、CH
2CH
2Cl、アリール、F、Cl、Br、I、またはOHであり、
Aが、R
2またはR
3であり、
R
2が、各々が独立して水素、ケト、置換もしくは非置換の直鎖もしくは分岐アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、ハロアルキル、CF
3、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換フェニル、F、Cl、Br、I、CN、NO
2、ヒドロキシル、アルコキシ、OR、アリールアルキル、NCS、マレイミド、NHCOOR、N(R)
2、NHCOR、CONHR、COOR、またはCORから選択される、Q
1、Q
2、Q
3、およびQ
4のうちの少なくとも1つで任意に置換された、N-複素環であり、
R
3が、NHR
2、ハロゲン化物、N
3、OR
4、CF
3、COR
4、COCl、COOCOR
4、COOR
4、OCOR
4、OCONHR
4、NHCOOR
4、NHCONHR
4、OCOOR
4、CN、CONH
2、CONH(R
4)、CON(R
4)
2、SR
4、SO
2R
4、SOR
4 SO
3H、SO
2NH
2、SO
2NH(R
4)、SO
2N(R
4)
2、NH
2、NH(R
4)、N(R
4)
2、CO(N-複素環)、NO
2、シアネート、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、メシレート、トシレート、トリフレート、PO(OH)
2、またはOPO(OH)
2であり、
R
4が、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、該アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリール基が、任意に置換される、化合物、
またはその異性体、薬学的に許容される塩、薬学的製品、多形、水和物、もしくはそれらの任意の組み合わせを包含する。
【0065】
本発明は、式IIBの構造によって表されるSARD化合物であって、
【化10】
式中、
R
1が、H、CH
3、CH
2F、CHF
2、CF
3、CH
2CH
3、もしくはCF
2CF
3であるか、
またはTおよびR
1が、3~8炭素環もしくは複素環を形成し、
Tが、H、OH、OR、OCOR、CH
3、-NHCOCH
3、またはNHCORであり、
Yが、H、CF
3、F、I、Br、Cl、CN、またはC(R)
3であるか、
Zが、H、NO
2、CN、ハロゲン化物、COOH、COR、NHCOR、CONHRであるか、
またはYおよびZが、5~8員縮合環を形成し、
Xが、CHまたはNであり、
Rが、H、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、アルコール、CH
2CH
2OH、CF
3、CH
2Cl、CH
2CH
2Cl、アリール、F、Cl、Br、I、またはOHであり、
Aが、R
2またはR
3であり、
R
2が、各々が独立して水素、ケト、置換もしくは非置換の直鎖もしくは分岐アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、ハロアルキル、CF
3、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換フェニル、F、Cl、Br、I、CN、NO
2、ヒドロキシル、アルコキシ、OR、アリールアルキル、NCS、マレイミド、NHCOOR、N(R)
2、NHCOR、CONHR、COOR、またはCORから選択される、Q
1、Q
2、Q
3、およびQ
4のうちの少なくとも1つで任意に置換された、N-複素環であり、
R
3が、NHR
2、ハロゲン化物、N
3、OR
4、CF
3、COR
4、COCl、COOCOR
4、COOR
4、OCOR
4、OCONHR
4、NHCOOR
4、NHCONHR
4、OCOOR
4、CN、CONH
2、CONH(R
4)、CON(R
4)
2、SR
4、SO
2R
4、SOR
4 SO
3H、SO
2NH
2、SO
2NH(R
4)、SO
2N(R
4)
2、NH
2、NH(R
4)、N(R
4)
2、CO(N-複素環)、NO
2、シアネート、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、メシレート、トシレート、トリフレート、PO(OH)
2、またはOPO(OH)
2であり、
R
4が、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、該アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリール基が、任意に置換される、化合物、
またはその異性体、薬学的に許容される塩、薬学的製品、多形、水和物、もしくはそれらの任意の組み合わせを包含する。
【0066】
本発明は、式IIIの構造によって表されるSARD化合物であって、
【化11】
式中、
Yが、H、CF
3、F、I、Br、Cl、CN、もしくはC(R)
3であるか、
Zが、H、NO
2、CN、ハロゲン化物、COOH、COR、NHCOR、CONHRであるか、
またはYおよびZが、5~8員縮合環を形成し、
Rが、H、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、アルコール、CH
2CH
2OH、CF
3、CH
2Cl、CH
2CH
2Cl、アリール、F、Cl、Br、I、またはOHであり、
Aが、R
2またはR
3であり、
R
2が、各々が独立して水素、ケト、置換もしくは非置換の直鎖もしくは分岐アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、ハロアルキル、CF
3、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換フェニル、F、Cl、Br、I、CN、NO
2、ヒドロキシル、アルコキシ、OR、アリールアルキル、NCS、マレイミド、NHCOOR、N(R)
2、NHCOR、CONHR、COOR、またはCORから選択される、Q
1、Q
2、Q
3、およびQ
4のうちの少なくとも1つで任意に置換された、N-複素環であり、
R
3が、NHR
2、ハロゲン化物、N
3、OR
4、CF
3、COR
4、COCl、COOCOR
4、COOR
4、OCOR
4、OCONHR
4、NHCOOR
4、NHCONHR
4、OCOOR
4、CN、CONH
2、CONH(R
4)、CON(R
4)
2、SR
4、SO
2R
4、SOR
4 SO
3H、SO
2NH
2、SO
2NH(R
4)、SO
2N(R
4)
2、NH
2、NH(R
4)、N(R
4)
2、CO(N-複素環)、NO
2、シアネート、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、メシレート、トシレート、トリフレート、PO(OH)
2、またはOPO(OH)
2であり、
R
4が、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、該アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリール基が、任意に置換される、化合物、
またはその光学異性体、異性体、薬学的に許容される塩、薬学的製品、多形、水和物、もしくはそれらの任意の組み合わせを包含する。
【0067】
様々な実施形態では、式IIIのSARD化合物は、キラル炭素を有する。他の実施形態では、式IIIのSARD化合物は、ラセミ混合物である。他の実施形態では、式IIIのSARD化合物は、(S)異性体である。他の実施形態では、式IIIのSARD化合物は、(R)異性体である。
【0068】
本発明は、式IVの構造によって表される選択的アンドロゲン受容体分解剤化合物であって、
【化12】
式中、
B
1、B
2、B
3、およびB
4が各々独立して、炭素または窒素であり、
Yが、H、CF
3、F、I、Br、Cl、CN、もしくはC(R)
3であるか、
Zが、H、NO
2、CN、ハロゲン化物、COOH、COR、NHCOR、CONHRであるか、
またはYおよびZが、5~8員縮合環を形成し、
R
1が、H、CH
3、CH
2F、CHF
2、CF
3、CH
2CH
3、もしくはCF
2CF
3であり、
Tが、H、OH、OR、OCOR、CH
3、-NHCOCH
3、もしくはNHCORであるか、
またはTおよびR
1が、3~8炭素環もしくは複素環を形成し、
Rが、H、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、アルコール、CH
2CH
2OH、CF
3、CH
2Cl、CH
2CH
2Cl、アリール、F、Cl、Br、I、またはOHであり、
Q
1、Q
2、Q
3、またはQ
4が各々独立して、水素、ケト、置換もしくは非置換の直鎖もしくは分岐アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、ハロアルキル、CF
3、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換フェニル、F、Cl、Br、I、CN、NO
2、ヒドロキシル、アルコキシ、OR、アリールアルキル、NCS、マレイミド、NHCOOR、N(R)
2、NHCOR、CONHR、COOR、またはCORから選択され、B
1、B
2、B
3、またはB
4が窒素である場合、Q
1、Q
2、Q
3、またはQ
4がそれぞれ、無である、化合物、
またはその光学異性体、異性体、薬学的に許容される塩、薬学的製品、多形、水和物、もしくはそれらの任意の組み合わせを包含する。
【0069】
様々な実施形態では、式IVのSARD化合物は、キラル炭素を有する。他の実施形態では、式IVのSARD化合物は、ラセミ混合物である。他の実施形態では、式IVのSARD化合物は、(S)異性体である。他の実施形態では、式IVのSARD化合物は、(R)異性体である。
【0070】
本発明は、式Vの構造によって表される選択的アンドロゲン受容体分解剤化合物であって、
【化13】
式中、
B
1およびB
2が各々独立して、炭素または窒素であり、
Yが、H、CF
3、F、I、Br、Cl、CN、もしくはC(R)
3であるか、
Zが、H、NO
2、CN、ハロゲン化物、COOH、COR、NHCOR、CONHRであるか、
またはYおよびZが、5~8員縮合環を形成し、
R
1が、H、CH
3、CH
2F、CHF
2、CF
3、CH
2CH
3、もしくはCF
2CF
3であるか、
Tが、H、OH、OR、OCOR、CH
3、-NHCOCH
3、もしくはNHCORであるか、
またはTおよびR
1が、3~8炭素環もしくは複素環を形成し、
Rが、H、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、アルコール、CH
2CH
2OH、CF
3、CH
2Cl、CH
2CH
2Cl、アリール、F、Cl、Br、I、またはOHであり、
Q
1、Q
2、Q
3、またはQ
4が各々独立して、水素、ケト、置換もしくは非置換の直鎖もしくは分岐アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、ハロアルキル、CF
3、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換フェニル、F、Cl、Br、I、CN、NO
2、ヒドロキシル、アルコキシ、OR、アリールアルキル、NCS、マレイミド、NHCOOR、N(R)
2、NHCOR、CONHR、COOR、またはCORから選択され、B
1またはB
2が窒素である場合、Q
1またはQ
2がそれぞれ、無である、化合物、
またはその光学異性体、異性体、薬学的に許容される塩、薬学的製品、多形、水和物、もしくはそれらの任意の組み合わせを包含する。
【0071】
様々な実施形態では、式VのSARD化合物は、キラル炭素を有する。他の実施形態では、式VのSARD化合物は、ラセミ混合物である。他の実施形態では、式VのSARD化合物は、(S)異性体である。他の実施形態では、式VのSARD化合物は、(R)異性体である。
【0072】
本発明は、式VIの構造によって表される選択的アンドロゲン受容体分解剤化合物であって、
【化14-1】
式中、
【化14-2】
が、一重または二重結合であり、
Yが、H、CF
3、F、I、Br、Cl、CN、もしくはC(R)
3であるか、
Zが、H、NO
2、CN、ハロゲン化物、COOH、COR、NHCOR、CONHRであるか、
またはYおよびZが、5~8員縮合環を形成し、
R
1が、H、CH
3、CH
2F、CHF
2、CF
3、CH
2CH
3、もしくはCF
2CF
3であるか、
Tが、H、OH、OR、OCOR、CH
3、-NHCOCH
3、もしくはNHCORであるか、
またはTおよびR
1が、3~8炭素環もしくは複素環を形成し、
Rが、H、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、アルコール、CH
2CH
2OH、CF
3、CH
2Cl、CH
2CH
2Cl、アリール、F、Cl、Br、I、またはOHであり、
Q
1、Q
2、Q
3、またはQ
4が各々独立して、水素、ケト、置換もしくは非置換の直鎖もしくは分岐アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、ハロアルキル、CF
3、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換フェニル、F、Cl、Br、I、CN、NO
2、ヒドロキシル、アルコキシ、OR、アリールアルキル、NCS、マレイミド、NHCOOR、N(R)
2、NHCOR、CONHR、COOR、またはCORから選択される、化合物、
またはその光学異性体、異性体、薬学的に許容される塩、薬学的製品、多形、水和物、もしくはそれらの任意の組み合わせを包含する。
【0073】
様々な実施形態では、式VIのSARD化合物は、キラル炭素を有する。他の実施形態では、式VIのSARD化合物は、ラセミ混合物である。他の実施形態では、式VIのSARD化合物は、(S)異性体である。他の実施形態では、式VIのSARD化合物は、(R)異性体である。
【0074】
本発明は、式VIIの構造によって表される選択的アンドロゲン受容体分解剤化合物であって、
【化15】
式中、
Xが、CHまたはNであり、
Yが、H、CF
3、F、I、Br、Cl、CN、もしくはC(R)
3であるか、
Zが、H、NO
2、CN、ハロゲン化物、COOH、COR、NHCOR、CONHRであるか、
またはYおよびZが、5~8員縮合環を形成し、
R
1が、H、CH
3、CH
2F、CHF
2、CF
3、CH
2CH
3、もしくはCF
2CF
3であるか、
Tが、H、OH、OR、OCOR、CH
3、-NHCOCH
3、もしくはNHCORであるか、
またはTおよびR
1が、3~8炭素環もしくは複素環を形成し、
Rが、H、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、アルコール、CH
2CH
2OH、CF
3、CH
2Cl、CH
2CH
2Cl、アリール、F、Cl、Br、I、またはOHであり、
Q
2、Q
3、またはQ
4が各々独立して、水素、ケト、置換もしくは非置換の直鎖もしくは分岐アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、ハロアルキル、CF
3、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換フェニル、F、Cl、Br、I、CN、NO
2、ヒドロキシル、アルコキシ、OR、アリールアルキル、NCS、マレイミド、NHCOOR、N(R)
2、NHCOR、CONHR、COOR、またはCORから選択される、化合物、
またはその光学異性体、異性体、薬学的に許容される塩、薬学的製品、多形、水和物、もしくはそれらの任意の組み合わせを包含する。
【0075】
様々な実施形態では、式VIIのSARD化合物は、キラル炭素を有する。他の実施形態では、式VIIのSARD化合物は、ラセミ混合物である。他の実施形態では、式VIIのSARD化合物は、(S)異性体である。他の実施形態では、式VIIのSARD化合物は、(R)異性体である。
【0076】
本発明は、式VIIAの構造によって表される選択的アンドロゲン受容体分解剤化合物であって、
【化16】
式中、
Xが、CHまたはNであり、
Yが、H、CF
3、F、I、Br、Cl、CN、もしくはC(R)
3であるか、
Zが、H、NO
2、CN、ハロゲン化物、COOH、COR、NHCOR、CONHRであるか、
またはYおよびZが、5~8員縮合環を形成し、
R
1が、H、CH
3、CH
2F、CHF
2、CF
3、CH
2CH
3、もしくはCF
2CF
3であるか、
Tが、H、OH、OR、OCOR、CH
3、-NHCOCH
3、もしくはNHCORであるか、
またはTおよびR
1が、3~8炭素環もしくは複素環を形成し、
Rが、H、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、アルコール、CH
2CH
2OH、CF
3、CH
2Cl、CH
2CH
2Cl、アリール、F、Cl、Br、I、またはOHであり、
Q
2、Q
3、またはQ
4が各々独立して、水素、ケト、置換もしくは非置換の直鎖もしくは分岐アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、ハロアルキル、CF
3、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換フェニル、F、Cl、Br、I、CN、NO
2、ヒドロキシル、アルコキシ、OR、アリールアルキル、NCS、マレイミド、NHCOOR、N(R)
2、NHCOR、CONHR、COOR、またはCORから選択される、化合物、
またはその異性体、薬学的に許容される塩、薬学的製品、多形、水和物、もしくはそれらの任意の組み合わせを包含する。
【0077】
本発明は、式VIIBの構造によって表される選択的アンドロゲン受容体分解剤化合物であって、
【化17】
式中、
Xが、CHまたはNであり、
Yが、H、CF
3、F、I、Br、Cl、CN、もしくはC(R)
3であるか、
Zが、H、NO
2、CN、ハロゲン化物、COOH、COR、NHCOR、CONHRであるか、
またはYおよびZが、5~8員縮合環を形成し、
R
1が、H、CH
3、CH
2F、CHF
2、CF
3、CH
2CH
3、もしくはCF
2CF
3であるか、
Tが、H、OH、OR、OCOR、CH
3、-NHCOCH
3、もしくはNHCORであるか、
またはTおよびR
1が、3~8炭素環もしくは複素環を形成し、
Rが、H、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、アルコール、CH
2CH
2OH、CF
3、CH
2Cl、CH
2CH
2Cl、アリール、F、Cl、Br、I、またはOHであり、
Q
2、Q
3、またはQ
4が各々独立して、水素、ケト、置換もしくは非置換の直鎖もしくは分岐アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、ハロアルキル、CF
3、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換フェニル、F、Cl、Br、I、CN、NO
2、ヒドロキシル、アルコキシ、OR、アリールアルキル、NCS、マレイミド、NHCOOR、N(R)
2、NHCOR、CONHR、COOR、またはCORから選択される、化合物、
またはその異性体、薬学的に許容される塩、薬学的製品、多形、水和物、もしくはそれらの任意の組み合わせを包含する。
【0078】
別の実施形態では、本発明は、式VIIIの構造によって表される選択的アンドロゲン受容体分解剤化合物であって、
【化18】
式中、
Xが、CHまたはNであり、
Yが、H、CF
3、F、I、Br、Cl、CN、もしくはC(R)
3であるか、
Zが、H、NO
2、CN、ハロゲン化物、COOH、COR、NHCOR、CONHRであるか、
またはYおよびZが、5~8員縮合環を形成し、
R
1が、H、CH
3、CH
2F、CHF
2、CF
3、CH
2CH
3、もしくはCF
2CF
3であるか、
Tが、H、OH、OR、OCOR、CH
3、-NHCOCH
3、もしくはNHCORであるか、
またはTおよびR
1が、3~8炭素環もしくは複素環を形成し、
Rが、H、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、アルコール、CH
2CH
2OH、CF
3、CH
2Cl、CH
2CH
2Cl、アリール、F、Cl、Br、I、またはOHであり、
Q
3およびQ
4が各々独立して、水素、ケト、置換もしくは非置換の直鎖もしくは分岐アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、ハロアルキル、CF
3、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換フェニル、F、Cl、Br、I、CN、NO
2、ヒドロキシル、アルコキシ、OR、アリールアルキル、NCS、マレイミド、NHCOOR、N(R)
2、NHCOR、CONHR、COOR、またはCORから選択される、化合物、
またはその光学異性体、異性体、薬学的に許容される塩、薬学的製品、多形、水和物、もしくはそれらの任意の組み合わせを包含する。
【0079】
別の実施形態では、本発明は、式VIIIAの構造によって表される選択的アンドロゲン受容体分解剤化合物であって、
【化19】
式中、
Xが、CHまたはNであり、
Yが、H、CF
3、F、I、Br、Cl、CN、もしくはC(R)
3であるか、
Zが、H、NO
2、CN、ハロゲン化物、COOH、COR、NHCOR、CONHRであるか、
またはYおよびZが、5~8員縮合環を形成し、
R
1が、H、CH
3、CH
2F、CHF
2、CF
3、CH
2CH
3、もしくはCF
2CF
3であるか、
Tが、H、OH、OR、OCOR、CH
3、-NHCOCH
3、もしくはNHCORであるか、
またはTおよびR
1が、3~8炭素環もしくは複素環を形成し、
Rが、H、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、アルコール、CH
2CH
2OH、CF
3、CH
2Cl、CH
2CH
2Cl、アリール、F、Cl、Br、I、またはOHであり、
Q
3およびQ
4が各々独立して、水素、ケト、置換もしくは非置換の直鎖もしくは分岐アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、ハロアルキル、CF
3、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換フェニル、F、Cl、Br、I、CN、NO
2、ヒドロキシル、アルコキシ、OR、アリールアルキル、NCS、マレイミド、NHCOOR、N(R)
2、NHCOR、CONHR、COOR、またはCORから選択される、化合物、
またはその異性体、薬学的に許容される塩、薬学的製品、多形、水和物、もしくはそれらの任意の組み合わせを包含する。
【0080】
別の実施形態では、本発明は、式VIIIBの構造によって表される選択的アンドロゲン受容体分解剤化合物であって、
【化20】
式中、
Xが、CHまたはNであり、
Yが、H、CF
3、F、I、Br、Cl、CN、もしくはC(R)
3であるか、
Zが、H、NO
2、CN、ハロゲン化物、COOH、COR、NHCOR、CONHRであるか、
またはYおよびZが、5~8員縮合環を形成し、
R
1が、H、CH
3、CH
2F、CHF
2、CF
3、CH
2CH
3、もしくはCF
2CF
3であるか、
Tが、H、OH、OR、OCOR、CH
3、-NHCOCH
3、もしくはNHCORであるか、
またはTおよびR
1が、3~8炭素環もしくは複素環を形成し、
Rが、H、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、アルコール、CH
2CH
2OH、CF
3、CH
2Cl、CH
2CH
2Cl、アリール、F、Cl、Br、I、またはOHであり、
Q
3およびQ
4が各々独立して、水素、ケト、置換もしくは非置換の直鎖もしくは分岐アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、ハロアルキル、CF
3、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換フェニル、F、Cl、Br、I、CN、NO
2、ヒドロキシル、アルコキシ、OR、アリールアルキル、NCS、マレイミド、NHCOOR、N(R)
2、NHCOR、CONHR、COOR、またはCORから選択される、化合物、
またはその異性体、薬学的に許容される塩、薬学的製品、多形、水和物、もしくはそれらの任意の組み合わせを包含する。
【0081】
別の実施形態では、本発明は、式IXの構造によって表される選択的アンドロゲン受容体分解剤化合物であって、
【化21】
式中、
Xが、CHまたはNであり、
Yが、H、CF
3、F、I、Br、Cl、CN、もしくはC(R)
3であるか、
Zが、H、NO
2、CN、ハロゲン化物、COOH、COR、NHCOR、CONHRであるか、
またはYおよびZが、5~8員縮合環を形成し、
R
1が、H、CH
3、CH
2F、CHF
2、CF
3、CH
2CH
3、もしくはCF
2CF
3であるか、
Tが、H、OH、OR、OCOR、CH
3、-NHCOCH
3、もしくはNHCORであるか、
またはTおよびR
1が、3~8炭素環もしくは複素環を形成し、
Rが、H、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、アルコール、CH
2CH
2OH、CF
3、CH
2Cl、CH
2CH
2Cl、アリール、F、Cl、Br、I、またはOHであり、
Q
4が、水素、ケト、置換もしくは非置換の直鎖もしくは分岐アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、ハロアルキル、CF
3、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換フェニル、F、Cl、Br、I、CN、NO
2、ヒドロキシル、アルコキシ、OR、アリールアルキル、NCS、マレイミド、NHCOOR、N(R)
2、NHCOR、CONHR、COOR、またはCORから選択される、化合物、
またはその光学異性体、異性体、薬学的に許容される塩、薬学的製品、多形、水和物、もしくはそれらの任意の組み合わせを包含する。
【0082】
別の実施形態では、本発明は、式IXAの構造によって表される選択的アンドロゲン受容体分解剤化合物であって、
【化22】
式中、
Xが、CHまたはNであり、
Yが、H、CF
3、F、I、Br、Cl、CN、もしくはC(R)
3であるか、
Zが、H、NO
2、CN、ハロゲン化物、COOH、COR、NHCOR、CONHRであるか、
またはYおよびZが、5~8員縮合環を形成し、
R
1が、H、CH
3、CH
2F、CHF
2、CF
3、CH
2CH
3、もしくはCF
2CF
3であるか、
Tが、H、OH、OR、OCOR、CH
3、-NHCOCH
3、もしくはNHCORであるか、
またはTおよびR
1が、3~8炭素環もしくは複素環を形成し、
Rが、H、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、アルコール、CH
2CH
2OH、CF
3、CH
2Cl、CH
2CH
2Cl、アリール、F、Cl、Br、I、またはOHであり、
Q
4が、水素、ケト、置換もしくは非置換の直鎖もしくは分岐アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、ハロアルキル、CF
3、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換フェニル、F、Cl、Br、I、CN、NO
2、ヒドロキシル、アルコキシ、OR、アリールアルキル、NCS、マレイミド、NHCOOR、N(R)
2、NHCOR、CONHR、COOR、またはCORから選択される、化合物、
またはその異性体、薬学的に許容される塩、薬学的製品、多形、水和物、もしくはそれらの任意の組み合わせを包含する。
【0083】
別の実施形態では、本発明は、式IXBの構造によって表される選択的アンドロゲン受容体分解剤化合物であって、
【化23】
式中、
Xが、CHまたはNであり、
Yが、H、CF
3、F、I、Br、Cl、CN、もしくはC(R)
3であるか、
Zが、H、NO
2、CN、ハロゲン化物、COOH、COR、NHCOR、CONHRであるか、
またはYおよびZが、5~8員縮合環を形成し、
R
1が、H、CH
3、CH
2F、CHF
2、CF
3、CH
2CH
3、もしくはCF
2CF
3であるか、
Tが、H、OH、OR、OCOR、CH
3、-NHCOCH
3、もしくはNHCORであるか、
またはTおよびR
1が、3~8炭素環もしくは複素環を形成し、
Rが、H、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、アルコール、CH
2CH
2OH、CF
3、CH
2Cl、CH
2CH
2Cl、アリール、F、Cl、Br、I、またはOHであり、
Q
4が、水素、ケト、置換もしくは非置換の直鎖もしくは分岐アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、ハロアルキル、CF
3、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換フェニル、F、Cl、Br、I、CN、NO
2、ヒドロキシル、アルコキシ、OR、アリールアルキル、NCS、マレイミド、NHCOOR、N(R)
2、NHCOR、CONHR、COOR、またはCORから選択される、化合物、
またはその異性体、薬学的に許容される塩、薬学的製品、多形、水和物、もしくはそれらの任意の組み合わせを包含する。
【0084】
一実施形態では、式I~III、IA、IB、IIA、およびIIBのA、ならびに式ICのR2は、少なくとも1個の窒素原子を有する5または6員の飽和または不飽和環である。別の実施形態では、Aは、置換もしくは非置換ピロール、ピロリン、ピロリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾリジン、イミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン、トリアゾール、テトラゾール、ピリジン、モルホリン、または他の複素環である。各々は、本発明の別個の実施形態を表す。別の実施形態では、Aは、5または6員複素環である。別の実施形態では、5または6員の飽和または不飽和環の窒素原子が、分子の骨格構造に結合している。別の実施形態では、5または6員の飽和または不飽和環の炭素原子が、分子の骨格構造に結合している。
【0085】
一実施形態では、式I~III、IA、IB、IIA、およびIIBのA、ならびに式IDのR3は、NHR2、ハロゲン化物、N3、OR4、CF3、COR4、COCl、COOCOR4、COOR4、OCOR4、OCONHR4、NHCOOR4、NHCONHR4、OCOOR4、CN、CONH2、CONH(R4)、CON(R4)2、SR4、SO2R4、SOR4 SO3H、SO2NH2、SO2NH(R4)、SO2N(R4)2、NH2、NH(R4)、N(R4)2、CO(N-複素環)、NO2、シアネート、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、メシレート、トシレート、トリフレート、PO(OH)2、またはOPO(OH)2であり、R4は、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、該アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリール基は、任意に置換される。
【0086】
一実施形態では、式I~III、IA、IB、IIA、およびIIBのA、ならびに式IDのR3は、NHR2である。一実施形態では、式I~III、IA、IB、IIA、およびIIBのA、ならびに式IDのR3は、ハロゲン化物である。一実施形態では、式I~III、IA、IB、IIA、およびIIBのA、ならびに式IDのR3は、Fである。一実施形態では、式I~III、IA、IB、IIA、およびIIBのA、ならびに式IDのR3は、Brである。一実施形態では、式I~III、IA、IB、IIA、およびIIBのA、ならびに式IDのR3は、Clである。一実施形態では、式I~III、IA、IB、IIA、およびIIBのA、ならびに式IDのR3は、Iである。一実施形態では、式I~III、IA、IB、IIA、およびIIBのA、ならびに式IDのR3は、N3である。一実施形態では、式I~III、IA、IB、IIA、およびIIBのA、ならびに式IDのR3は、OR4である。一実施形態では、式I~III、IA、IB、IIA、およびIIBのA、ならびに式IDのR3は、CF3である。一実施形態では、式I~III、IA、IB、IIA、およびIIBのA、ならびに式IDのR3は、COR4である。一実施形態では、式I~III、IA、IB、IIA、およびIIBのA、ならびに式IDのR3は、COClである。一実施形態では、式I~III、IA、IB、IIA、およびIIBのA、ならびに式IDのR3は、COOCOR4である。一実施形態では、式I~III、IA、IB、IIA、およびIIBのA、ならびに式IDのR3は、COOR4である。一実施形態では、式I~III、IA、IB、IIA、およびIIBのA、ならびに式IDのR3は、OCOR4である。一実施形態では、式I~III、IA、IB、IIA、およびIIBのA、ならびに式IDのR3は、OCONHR4である。一実施形態では、式I~III、IA、IB、IIA、およびIIBのA、ならびに式IDのR3は、NHCOOR4である。一実施形態では、式I~III、IA、IB、IIA、およびIIBのA、ならびに式IDのR3は、NHCONHR4である。一実施形態では、式I~III、IA、IB、IIA、およびIIBのA、ならびに式IDのR3は、OCOOR4である。一実施形態では、式I~III、IA、IB、IIA、およびIIBのA、ならびに式IDのR3は、CNである。一実施形態では、式I~III、IA、IB、IIA、およびIIBのA、ならびに式IDのR3は、CON(R4)2である。一実施形態では、式I~III、IA、IB、IIA、およびIIBのA、ならびに式IDのR3はSR4である。一実施形態では、式I~III、IA、IB、IIA、およびIIBのA、ならびに式IDのR3は、SO2R4である。一実施形態では、式I~III、IA、IB、IIA、およびIIBのA、ならびに式IDのR3は、SOR4である。一実施形態では、式I~III、IA、IB、IIA、およびIIBのA、ならびに式IDのR3は、SO3Hである。一実施形態では、式I~III、IA、IB、IIA、およびIIBのA、ならびに式IDのR3は、SO2NH2である。一実施形態では、式I~III、IA、IB、IIA、およびIIBのA、ならびに式IDのR3は、SO2NH(R4)である。一実施形態では、式I~III、IA、IB、IIA、およびIIBのA、ならびに式IDのR3は、SO2N(R4)2である。一実施形態では、式I~III、IA、IB、IIA、およびIIBのA、ならびに式IDのR3は、NH2である。一実施形態では、式I~III、IA、IB、IIA、およびIIBのA、ならびに式IDのR3は、NH(R4)である。一実施形態では、式I~III、IA、IB、IIA、およびIIBのA、ならびに式IDのR3は、N(R4)2である。一実施形態では、式I~III、IA、IB、IIA、およびIIBのA、ならびに式IDのR3は、CONH2である。一実施形態では、式I~III、IA、IB、IIA、およびIIBのA、ならびに式IDのR3は、CONH(R4)である。一実施形態では、式I~III、IA、IB、IIA、およびIIBのA、ならびに式IDのR3は、CO(N-複素環)である。一実施形態では、式I~III、IA、IB、IIA、およびIIBのA、ならびに式IDのR3は、NO2である。一実施形態では、式I~III、IA、IB、IIA、およびIIBのA、ならびに式IDのR3は、シアネートである。一実施形態では、式I~III、IA、IB、IIA、およびIIBのA、ならびに式IDのR3は、イソシアネートである。一実施形態では、式I~III、IA、IB、IIA、およびIIBのA、ならびに式IDのR3は、チオシアネートである。一実施形態では、式I~III、IA、IB、IIA、およびIIBのA、ならびに式IDのR3は、イソチオシアネートである。一実施形態では、式I~III、IA、IB、IIA、およびIIBのA、ならびに式IDのR3は、メシレートである。一実施形態では、式I~III、IA、IB、IIA、およびIIBのA、ならびに式IDのR3は、トシレートである。一実施形態では、式I~III、IA、IB、IIA、およびIIBのA、ならびに式IDのR3は、トリフレートである。一実施形態では、式I~III、IA、IB、IIA、およびIIBのA、ならびに式IDのR3は、PO(OH)2である。一実施形態では、式I~III、IA、IB、IIA、およびIIBのA、ならびに式IDのR3は、OPO(OH)2である。
【0087】
一実施形態では、R4は、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、該アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリール基は、任意に置換される。各々は、本発明の別個の実施形態を表す。他の実施形態では、R4は、Hである。他の実施形態では、R4は、アルキルである。他の実施形態では、アルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t-ブチル、ペンチル、ネオペンチル、イソ-ペンチル、ヘキシル、またはヘプチルであり、各々は、本発明の別個の実施形態を表す。他の実施形態では、R4は、ハロアルキルであり、別の実施形態では、ハロアルキルは、CF3、CF2CF3、ヨードメチル、ブロモメチル、ブロモエチル、ブロモプロピルであり、各々は、本発明の別個の実施形態を表す。他の実施形態では、R4は、シクロアルキルである。他の実施形態では、シクロアルキルは、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルである。様々な実施形態では、R4のアルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールは、ハロゲン化物、CN、CO2H、OH、SH、NH2、NO2、CO2-(C1-C6アルキル)、またはO-(C1-C6アルキル)から選択される1つ以上の基によって更に置換され、各々は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0088】
式I~VI、IA~IC、IIA、またはIIBの特定の実施形態では、Q1は、水素である。式I~VI、IA~IC、IIA、またはIIBの特定の実施形態では、Q1は、CNである。式I~VI、IA~IC、IIA、またはIIBの特定の実施形態では、Q1は、Fである。式I~VI、IA~IC、IIA、またはIIBの特定の実施形態では、Q1は、NCSである。式I~VI、IA~IC、IIA、またはIIBの特定の実施形態では、Q1は、マレイミドである。式I~VI、IA~IC、IIA、またはIIBの特定の実施形態では、Q1は、NHCOORである。式I~VI、IA~IC、IIA、またはIIBの特定の実施形態では、Q1は、N(R)2である。式I~VI、IA~IC、IIA、またはIIBの特定の実施形態では、Q1は、CONHRである。式I~VI、IA~IC、IIA、またはIIBの特定の実施形態では、Q1は、NHCORである。式I~VI、IA~IC、IIA、またはIIBの特定の実施形態では、Q1は、Clである。式I~VI、IA~IC、IIA、またはIIBの特定の実施形態では、Q1は、Brである。式I~VI、IA~IC、IIA、またはIIBの特定の実施形態では、Q1は、Iである。式I~VI、IA~IC、IIA、またはIIBの特定の実施形態では、Q1は、NO2である。式I~VI、IA~IC、IIA、またはIIBの特定の実施形態では、Q1は、フェニルである。式I~VI、IA~IC、IIA、またはIIBの特定の実施形態では、Q1は、4-フルオロフェニルである。式I~VI、IA~IC、IIA、またはIIBの特定の実施形態では、Q1は、CF3である。式I~VI、IA~IC、IIA、またはIIBの特定の実施形態では、Q1は、置換または非置換アルキルである。式I~VI、IA~IC、IIA、またはIIBの特定の実施形態では、Q1は、置換または非置換シクロアルキルである。式I~VI、IA~IC、IIA、またはIIBの特定の実施形態では、Q1は、置換または非置換ヘテロシクロアルキルである。式I~VI、IA~IC、IIA、またはIIBの特定の実施形態では、Q1は、ハロアルキルである。式I~VI、IA~IC、IIA、またはIIBの特定の実施形態では、Q1は、置換または非置換アリールである。式I~VI、IA~IC、IIA、またはIIBの特定の実施形態では、Q1は、ヒドロキシルである。式I~VI、IA~IC、IIA、またはIIBの特定の実施形態では、Q1は、アルコキシである。式I~VI、IA~IC、IIA、またはIIBの特定の実施形態では、Q1は、ORである。式I~VI、IA~IC、IIA、またはIIBの特定の実施形態では、Q1は、アリールアルキルである。式I~VI、IA~IC、IIA、またはIIBの特定の実施形態では、Q1は、アミンである。式I~VI、IA~IC、IIA、またはIIBの特定の実施形態では、Q1は、アミドである。式I~VI、IA~IC、IIA、およびIIBの特定の実施形態では、Q1は、COORである。式I~VI、IA~IC、IIA、またはIIBの特定の実施形態では、Q1は、CORである。式I~VI、IA~IC、IIA、またはIIBの特定の実施形態では、Q1は、ケトである。
【0089】
式I~VII、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの特定の実施形態では、Q2は、CNである。式I~VII、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの特定の実施形態では、Q2は、水素である。式I~VII、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの特定の実施形態では、Q2は、ケトである。式I~VII、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの特定の実施形態では、Q2は、NCSである。式I~VII、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの特定の実施形態では、Q2は、マレイミドである。式I~VII、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの特定の実施形態では、Q2は、NHCOORである。式I~VII、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの特定の実施形態では、Q2は、N(R)2である。式I~VII、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの特定の実施形態では、Q2は、CONHRである。式I~VII、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの特定の実施形態では、Q2は、NHCORである。式I~VII、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの特定の実施形態では、Q2は、Fである。式I~VII、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの特定の実施形態では、Q2は、Clである。式I~VII、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの特定の実施形態では、Q2は、Brである。式I~VII、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの特定の実施形態では、Q2は、Iである。式I~VII、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの特定の実施形態では、Q2は、NO2である。式I~VII、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの特定の実施形態では、Q2は、フェニルである。式I~VII、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの特定の実施形態では、Q2は、4-フルオロフェニルである。式I~VII、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの特定の実施形態では、Q2は、CF3である。式I~VII、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの特定の実施形態では、Q2は、置換または非置換アルキルである。式I~VII、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの特定の実施形態では、Q2は、置換または非置換シクロアルキルである。式I~VII、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの特定の実施形態では、Q2は、置換または非置換ヘテロシクロアルキルである。式I~VII、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの特定の実施形態では、Q2は、ハロアルキルである。式I~VII、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの特定の実施形態では、Q2は、置換または非置換アリールである。式I~VII、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの特定の実施形態では、Q2は、ヒドロキシルである。式I~VII、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの特定の実施形態では、Q2は、アルコキシである。式I~VII、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの特定の実施形態では、Q2は、ORである。式I~VII、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの特定の実施形態では、Q2は、アリールアルキルである。式I~VII、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの特定の実施形態では、Q2は、アミンである。式I~VII、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの特定の実施形態では、Q2は、アミドである。式I~VII、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの特定の実施形態では、Q2は、COORである。式I~VII、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの特定の実施形態では、Q2は、CORである。
【0090】
式I~VIII、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、またはVIIIBの特定の実施形態では、Q3は、CNである。式I~VIII、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、またはVIIIBの特定の実施形態では、Q3は、Fである。式I~VIII、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、またはVIIIBの特定の実施形態では、Q3は、NCSである。式I~VIII、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、またはVIIIBの特定の実施形態では、Q3は、マレイミドである。式I~VIII、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、またはVIIIBの特定の実施形態では、Q3は、NHCOORである。式I~VIII、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、またはVIIIBの特定の実施形態では、Q3は、N(R)2である。式I~VIII、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、またはVIIIBの特定の実施形態では、Q3は、CONHRである。式I~VIII、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、またはVIIIBの特定の実施形態では、Q3は、NHCORである。式I~VIII、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、またはVIIIBの特定の実施形態では、Q3は、水素である。式I~VIII、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、またはVIIIBの特定の実施形態では、Q3は、ケトである。式I~VIII、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、またはVIIIBの特定の実施形態では、Q3は、Clである。式I~VIII、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、またはVIIIBの特定の実施形態では、Q3は、Brである。式I~VIII、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、またはVIIIBの特定の実施形態では、Q3は、Iである。式I~VIII、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、またはVIIIBの特定の実施形態では、Q3は、NO2である。式I~VIII、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、またはVIIIBの特定の実施形態では、Q3は、フェニルである。式I~VIII、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、またはVIIIBの特定の実施形態では、Q3は、4-フルオロフェニルである。式I~VIII、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、またはVIIIBの特定の実施形態では、Q3は、CF3である。式I~VIII、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、またはVIIIBの特定の実施形態では、Q3は、置換または非置換アルキルである。式I~VIII、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、またはVIIIBの特定の実施形態では、Q3は、置換または非置換シクロアルキルである。式I~VIII、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、またはVIIIBの特定の実施形態では、Q3は、置換または非置換ヘテロシクロアルキルである。式I~VIII、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、またはVIIIBの特定の実施形態では、Q3は、ハロアルキルである。式I~VIII、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、またはVIIIBの特定の実施形態では、Q3は、置換または非置換アリールである。式I~VIII、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、またはVIIIBの特定の実施形態では、Q3は、ヒドロキシルである。式I~VIII、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、またはVIIIBの特定の実施形態では、Q3は、アルコキシである。式I~VIII、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、またはVIIIBの特定の実施形態では、Q3は、ORである。式I~VIII、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、またはVIIIBの特定の実施形態では、Q3は、アリールアルキルである。式I~VIII、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、またはVIIIBの特定の実施形態では、Q3は、アミンである。式I~VIII、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、またはVIIIBの特定の実施形態では、Q3は、アミドである。式I~VIII、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、またはVIIIBの特定の実施形態では、Q3は、COORである。式I~VIII、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、またはVIIIBの特定の実施形態では、Q3は、CORである。
【0091】
式I~IX、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、Q4は、CNである。式I~IX、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、Q4は、Fである。式I~IX、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、Q4は、NCSである。式I~IX、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、Q4は、マレイミドである。式I~IX、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、Q4は、NHCOORである。式I~IX、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、Q4は、N(R)2である。式I~IX、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、Q4は、CONHRである。式I~IX、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、Q4は、NHCORである。式I~IX、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、Q4は、水素である。式I~IX、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、Q4は、ケトである。式I~IX、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXB Bの特定の実施形態では、Q4は、Clである。式I~IX、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、Q4は、Brである。式I~IX、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、Q4は、Iである。式I~IX、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、Q4は、NO2である。式I~IX、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、Q4は、フェニルである。式I~IX、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、Q4は、4-フルオロフェニルである。式I~IX、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、Q4は、CF3である。式I~IX、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、Q4は、置換または非置換アルキルである。式I~IX、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、Q4は、置換または非置換シクロアルキルである。式I~IX、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、Q4は、置換または非置換ヘテロシクロアルキルである。式I~IX、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、Q4は、ハロアルキルである。式I~IX、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、Q4は、置換または非置換アリールである。式I~IX、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、Q4は、ヒドロキシルである。式I~IX、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、Q4は、アルコキシである。式I~IX、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、Q4は、ORである。式I~IX、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、Q4は、アリールアルキルである。式I~IX、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、Q4は、アミンである。式I~IX、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、Q3は、アミドである。式I~IX、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、Q4は、COORである。式I~IX、IA~IC、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、Q4は、CORである。
【0092】
式I、IA、IB、IC、ID、II、IIA、IIB、VII、VIIA、VIIB、VIII、VIIIA、VIIIB、IX、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、Xは、CHである。式I、IA、IB、IC、ID、II、IIA、IIB、VII、VIIA、VIIB、VIII、VIIIA、VIIIB、IX、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、Xは、Nである。
【0093】
式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、Yは、Hである。式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、Yは、CF3である。式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、Yは、Fである。式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、Yは、Iである。式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、Yは、Brである。式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、Yは、Clである。式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、Yは、CNである。式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、Yは、C(R)3である。
【0094】
式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、Zは、Hである。式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、Zは、NO2である。式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、Zは、CNである。式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、Zは、ハロゲン化物である。式I~VII、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの特定の実施形態では、Zは、Fである。式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、Zは、Clである。式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、Zは、Brである。式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、Zは、Iである。式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、Zは、COOHである。式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、Zは、CORである。式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、Zは、NHCORである。式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、Zは、CONHRである。
【0095】
式II~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、YおよびZは、フェニルと縮合環を形成する。他の実施形態では、フェニルとの縮合環は5~8員環である。他の実施形態では、フェニルとの縮合環は、5または6員環である。他の実施形態では、環は、炭素環または複素環である。他の実施形態では、YおよびZは、フェニルと併せて形成して、ナフチル、キノリニル、ベンズイミダゾリル、インダゾリル、インドリル、イソインドリル、インデニル、またはキナゾリニルを形成する。特定の実施形態では、YおよびZは、フェニルと併せて形成して、キナゾリン-6-イル環系を形成する。
【0096】
式I、II、IV、V、VI、VII、VIII、IX IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、R1は、Hである。式I、II、IV、V、VI、VII、VIII、IX IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、R1は、CH3である。式I、II、IV、V、VI、VII、VIII、IX IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、R1は、CH2Fである。式I、II、IV、V、VI、VII、VIII、IX IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、R1は、CHF2である。式I、II、IV、V、VI、VII、VIII、IX IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、R1は、CF3である。式I、II、IV、V、VI、VII、VIII、IX IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、R1は、CH2CH3である。式I、II、IV、V、VI、VII、VIII、IX IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、R1は、CF2CF3である。
【0097】
式I、II、IV、V、VI、VII、VIII、IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、Tは、Hである。式I、II、IV、V、VI、VII、VIII、IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、Tは、OHである。式I、II、IV、V、VI、VII、VIII、IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、Tは、ORである。式I、II、IV、V、VI、VII、VIII、IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、Tは、OCORである。式I、II、IV、V、VI、VII、VIII、IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、Tは、CH3である。式I、II、IV、V、VI、VII、VIII、IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、Tは、-NHCOCH3である。式I、II、IV、V、VI、VII、VIII、IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、Tは、NHCORである。
【0098】
式I、II、IV、V、VI、VII、VIII、IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、TおよびR1は、3~8炭素環または複素環を形成する。他の実施形態では、TおよびR1は、3、4、5、6、7、または8員炭素環または複素環を形成する。各々は、本発明の別個の実施形態を表す。いくつかの実施形態では、TおよびR1は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどの炭素環を形成する。いくつかの実施形態では、TおよびR1は、ピペリジン、ピリジン、フラン、チフェン、ピロール、ピラゾール、ピリミジンなどの複素環を形成する。
【0099】
式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、Rは、Hである。式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXAの特定の実施形態では、Rは、アルキルである。式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXAの特定の実施形態では、Rは、アルケニルである。式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXAの特定の実施形態では、Rは、ハロアルキルである。式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXAの特定の実施形態では、Rは、アルコールである。式I~VII、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの特定の実施形態では、Rは、CH2CH2OHである。式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXAの特定の実施形態では、Rは、CF3である。式I~VII、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの特定の実施形態では、Rは、CH2Clである。式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXAの特定の実施形態では、Rは、CH2CH2Clである。式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXAの特定の実施形態では、Rは、アリールである。式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXAの特定の実施形態では、Rは、Fである。式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXAの特定の実施形態では、Rは、Clである。式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXAの特定の実施形態では、Rは、Brである。式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXAの特定の実施形態では、Rは、Iである。式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXAの特定の実施形態では、Rは、OHである。
【0100】
式IVの特定の実施形態では、Q1は、H、CN、CF3、フェニル、4-フルオロフェニル、F、Br、Cl、I、COMe、NHCOOMe、NHCOMe、またはNHCOOC(CH3)3である。
【0101】
式Vの特定の実施形態では、Q1は、H、CN、CF3、フェニル、4-フルオロフェニル、F、Br、Cl、I、COMe、NHCOOMe、NHCOMe、またはNHCOOC(CH3)3である。
【0102】
式VIの特定の実施形態では、Q1は、H、CN、CF3、フェニル、4-フルオロフェニル、F、Br、Cl、I、COMe、NHCOOMe、NHCOMe、またはNHCOOC(CH3)3である。
【0103】
式IVの特定の実施形態では、Q2は、H、CN、CF3、フェニル、4-フルオロフェニル、F、Br、Cl、I、COMe、NHCOOMe、NHCOMe、またはNHCOOC(CH3)3である。
【0104】
式Vの特定の実施形態では、Q2は、H、CN、CF3、フェニル、4-フルオロフェニル、F、Br、Cl、I、COMe、NHCOOMe、NHCOMe、またはNHCOOC(CH3)3である。
【0105】
式VIの特定の実施形態では、Q2は、H、CN、CF3、フェニル、4-フルオロフェニル、F、Br、Cl、I、COMe、NHCOOMe、NHCOMe、またはNHCOOC(CH3)3である。
【0106】
式VIIの特定の実施形態では、Q2は、H、CN、CF3、フェニル、4-フルオロフェニル、F、Br、Cl、I、COMe、NHCOOMe、NHCOMe、またはNHCOOC(CH3)3である。
【0107】
式VIIAの特定の実施形態では、Q2は、H、CN、CF3、フェニル、4-フルオロフェニル、F、Br、Cl、I、COMe、NHCOOMe、NHCOMe、またはNHCOOC(CH3)3である。
【0108】
式VIIBの特定の実施形態では、Q2は、H、CN、CF3、フェニル、4-フルオロフェニル、F、Br、Cl、I、COMe、NHCOOMe、NHCOMe、またはNHCOOC(CH3)3である。
【0109】
式IVの特定の実施形態では、Q3は、H、CN、CF3、フェニル、4-フルオロフェニル、F、Br、Cl、I、COMe、NHCOOMe、NHCOMe、またはNHCOOC(CH3)3である。
【0110】
式Vの特定の実施形態では、Q3は、H、CN、CF3、フェニル、4-フルオロフェニル、F、Br、Cl、I、COMe、NHCOOMe、NHCOMe、またはNHCOOC(CH3)3である。
【0111】
式VIの特定の実施形態では、Q3は、H、CN、CF3、フェニル、4-フルオロフェニル、F、Br、Cl、I、COMe、NHCOOMe、NHCOMe、またはNHCOOC(CH3)3である。
【0112】
式VIIの特定の実施形態では、Q3は、H、CN、CF3、フェニル、4-フルオロフェニル、F、Br、Cl、I、COMe、NHCOOMe、NHCOMe、またはNHCOOC(CH3)3である。
【0113】
式VIIIの特定の実施形態では、Q3は、H、CN、CF3、フェニル、4-フルオロフェニル、F、Br、Cl、I、COMe、NHCOOMe、NHCOMe、またはNHCOOC(CH3)3である。
【0114】
式IVの特定の実施形態では、Q4は、H、CN、CF3、フェニル、4-フルオロフェニル、F、Br、Cl、I、COMe、NHCOOMe、NHCOMe、またはNHCOOC(CH3)3である。
【0115】
式Vの特定の実施形態では、Q4は、H、CN、CF3、フェニル、4-フルオロフェニル、F、Br、Cl、I、COMe、NHCOOMe、NHCOMe、またはNHCOOC(CH3)3である。
【0116】
式VIの特定の実施形態では、Q4は、H、CN、CF3、フェニル、4-フルオロフェニル、F、Br、Cl、I、COMe、NHCOOMe、NHCOMe、またはNHCOOC(CH3)3である。
【0117】
式VIIの特定の実施形態では、Q4は、H、CN、CF3、フェニル、4-フルオロフェニル、F、Br、Cl、I、COMe、NHCOOMe、NHCOMe、またはNHCOOC(CH3)3である。
【0118】
式VIIAの特定の実施形態では、Q4は、H、CN、CF3、フェニル、4-フルオロフェニル、F、Br、Cl、I、COMe、NHCOOMe、NHCOMe、またはNHCOOC(CH3)3である。
【0119】
式VIIBの特定の実施形態では、Q4は、H、CN、CF3、フェニル、4-フルオロフェニル、F、Br、Cl、I、COMe、NHCOOMe、NHCOMe、またはNHCOOC(CH3)3である。
【0120】
式VIII、VIIIA、またはVIIIBの特定の実施形態では、Q4は、H、CN、CF3、フェニル、4-フルオロフェニル、F、Br、Cl、I、COMe、NHCOOMe、NHCOMe、またはNHCOOC(CH3)3である。
【0121】
式IX、IXA、またはIXBの特定の実施形態では、Q4は、H、CN、CF3、フェニル、4-フルオロフェニル、F、Br、Cl、I、COMe、NHCOOMe、NHCOMe、またはNHCOOC(CH3)3である。
【0122】
本発明は、化合物1068の選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)を包含する。
【化24】
【0123】
本明細書で使用される場合、「複素環(heterocycle)」または「複素環(heterocyclic ring)」基という用語は、炭素原子に加えて、環の一部として、硫黄、酸素、窒素、またはそれらの任意の組み合わせの少なくとも1個の原子を含む環構造を指す。複素環は、3~12員環、4~8員環、5~7員環、または6員環であり得る。好ましくは、複素環は、5~6員環である。複素環の典型的な例には、ピペリジン、ピリジン、フラン、チオフェン、ピロール、ピロリジン、ピラゾール、ピラジン、ピペラジン、またはピリミジンが含まれるが、これらに限定されない。C5-C8複素環の例には、ピラン、ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、ジヒドロピロール、テトラヒドロピロール、ピラジン、ジヒドロピラジン、テトラヒドロピラジン、ピリミジン、ジヒドロ、テトラヒドロピラジン、ピリミジン、ジヒドロピリミジン、テトラヒドロピリミドン、ピラゾール、ジヒドロピラゾール、テトラヒドロピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピペリジン、ピペラジン、ピリジン、ジヒドロピリジン、テトラヒドロピリジン、モルホリン、チオモルホリン、フラン、ジヒドロフラン、テトラヒドロフラン、チオフェン、ジヒドロチオフェン、テトラヒドロチオフェン、チアゾール、イミダゾール、イソキサゾールなどが含まれる。一実施形態では、複素環には、インドール、インドリン、ベンゾトリアゾール、インダゾール、ピロロピリジン、ベンズイミダゾール、イソキノリンおよびキノリン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、ピロリン、ピロリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾリジン、イミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン、トリアゾール、テトラゾール、モルホリンが含まれるが、これらに限定されない。複素環は、別の飽和もしくは不飽和シクロアルキルまたは飽和もしくは不飽和複素環に縮合され得る。複素環が置換される場合、置換基には、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、カルボニル、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、シアノ、ニトロ、CO2H、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシル、チオール、またはチオアルキルのうちの少なくとも1つが含まれる。
【0124】
「シクロアルキル」という用語は、炭素および水素原子を含む非芳香族の単環式または多環式環を指す。シクロアルキル基は、環がそれらの存在によって芳香族にされない限り、環に1つ以上の炭素-炭素二重結合を有し得る。シクロアルキル基の例には、(C3~C7)シクロアルキル基(シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロヘプチルなど)、飽和環式および二環式テルペン、ならびに(C3~C7)シクロアルケニル基(シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、およびシクロヘプテニル)、不飽和環式および二環式テルペンが含まれるが、これらに限定されない。C5-C8炭素環の例には、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロヘキサン、およびシクロヘキセン環が含まれる。シクロアルキル基は、非置換であるか、または少なくとも1つの置換基によって置換され得る。好ましくは、シクロアルキル基は、単環式環または二環式環である。
【0125】
「アルキル」という用語は、直鎖および分岐鎖を含む飽和脂肪族炭化水素を指す。典型的には、アルキル基は、1~12個の炭素、1~7個の炭素、1~6個の炭素、または1~4個の炭素原子を有する。分岐アルキルは、1~5個の炭素のアルキル側鎖によって置換されたアルキルである。分岐アルキルは、C1-C5ハロアルキルによって置換されたアルキルを有し得る。加えて、アルキル基は、非置換、またはハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシカルボニル、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、ニトロ、CN、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシル、チオ、もしくはチオアルキルのうちの少なくとも1つによって置換され得る。
【0126】
「アリールアルキル」基は、アルキルおよびアリールが、本明細書に定義される通りである、アリールに結合したアルキルを指す。アリールアルキル基の例は、ベンジル基である。
【0127】
「アルケニル」基は、1つ以上の二重結合を有する直鎖および分岐鎖を含む、不飽和炭化水素を指す。アルケニル基は、2~12個の炭素を有することができ、好ましくはアルケニル基は、2~6個の炭素または2~4個の炭素を有する。アルケニル基の例には、エテニル、プロペニル、ブテニル、シクロヘキセニルなどが含まれるが、これらに限定されない。アルケニル基は、少なくとも1つのハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシカルボニル、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシル、チオ、またはチオアルキルによって置換されてもよい。
【0128】
本明細書で使用される場合、「アリール」基という用語は、非置換または置換され得る、少なくとも1つの炭素環芳香族基または複素環芳香族基を有する芳香族基を指す。存在する場合、置換基には、少なくとも1つのハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシカルボニル、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、またはチオ、またはチオアルキルが含まれるが、これらに限定されない。アリール環の非限定的な例は、フェニル、ナフチル、ピラニル、ピロリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピラゾリル、ピリジニル、フラニル、チオフェニル、チアゾリル、イミダゾリル、イソキサゾリルなどである。アリール基は、4~12員環であることができ、好ましくはアリール基は、4~8員環である。また、アリール基は、6または5員環であり得る。
【0129】
「ヘテロアリール」という用語は、少なくとも1つの複素環式芳香環を有する芳香族基を指す。一実施形態では、ヘテロアリールは、環の一部として、硫黄、酸素、窒素、ケイ素、リン、またはこれらの任意の組み合わせなどの少なくとも1個のヘテロ原子を含む。別の実施形態では、ヘテロアリールは、非置換、またはハロゲン、アリール、ヘテロアリール、シアノ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシカルボニル、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、またはチオ、またはチオアルキルから選択される1つ以上の基によって置換され得る。ヘテロアリール環の非限定的な例は、ピラニル、ピロリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピラゾリル、ピリジニル、フラニル、チオフェニル、チアゾリル、インドリル、イミダゾリル、イソキサゾリルなどである。一実施形態では、ヘテロアリール基は、5~12員環である。一実施形態では、ヘテロアリール基は、5員環である。一実施形態では、ヘテロアリール基は、6員環である。別の実施形態では、ヘテロアリール基は、5~8員環である。別の実施形態では、ヘテロアリール基は、1~4個の縮合環を含む。一実施形態では、ヘテロアリール基は、1,2,3-トリアゾールである。一実施形態では、ヘテロアリールは、ピリジルである。一実施形態では、ヘテロアリールは、ビピリジルである。一実施形態では、ヘテロアリールは、テルピリジルである。
【0130】
本明細書で使用される場合、「ハロアルキル」基という用語は、1個以上のハロゲン原子、例えば、F、Cl、Br、またはIによって置換されているアルキル基を指す。
【0131】
「ヒドロキシル」基は、OH基を指す。本発明の化合物におけるT、Q1、Q2、Q3、またはQ4が、ORである場合、Rが、OHでないことは、当業者によって理解される。
【0132】
「ハロゲン」または「ハロ」または「ハロゲン化物」という用語は、ハロゲン、F、Cl、Br、またはIを指す。
【0133】
一実施形態では、本発明は、化合物、および/またはその使用、および/またはその誘導体、光学異性体、異性体、代謝物、薬学的に許容される塩、薬学的製品、水和物、N-オキシド、プロドラッグ、多形、結晶、もしくはそれらの組み合わせを提供する。
【0134】
一実施形態では、本発明の方法は、本発明の化合物の、酸または塩基との反応によって生成され得る、化合物の「薬学的に許容される塩」を利用する。
【0135】
本発明の化合物は、薬学的に許容される塩に変換することができる。薬学的に許容される塩は、化合物と酸または塩基との反応によって生成することができる。
【0136】
アミンの好適な薬学的に許容される塩は、無機酸から、または有機酸から調製されてもよい。アミンの無機塩の例には、重硫酸塩、ホウ酸塩、臭化物、塩化物、ヘミ硫酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、2-ヒドロキシエチルスルホン酸塩(ヒドロキシエタンスルホネート)、ヨウ素酸塩、ヨウ化物、イソチオネート、硝酸塩、過硫酸塩、リン酸塩、硫酸塩、スルファミン酸塩、スルファニル酸塩、スルホン酸(アルキルスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩、ハロゲン置換アルキルスルホン酸塩、ハロゲン置換アリールスルホン酸塩)、スルホン酸塩、またはチオシアン酸塩が含まれるが、これらに限定されない。
【0137】
アミンの有機塩の例は、有機酸の脂肪族、脂環式、芳香族、芳香脂肪族、複素環式、カルボキシル、およびスルホンクラスから選択することができ、これらの例は、酢酸塩、アルギニン、アスパラギン酸塩、アスコルビン酸塩、アジピン酸塩、アントラニル酸塩、アルゲン酸塩、アルカンカルボン酸塩、置換アルカンカルボン酸塩、アルギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ブチル酸塩、重炭酸塩、重酒石酸塩、カルボン酸塩、クエン酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、シクロヘキシルスルファミン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、カルシウムエデト酸塩、カンシル酸塩、炭酸塩、クラブラン酸塩、桂皮酸塩、ジカルボン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシルスルホン酸塩、二塩酸塩、デカン酸塩、エナント酸塩、エタンスルホン酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストレート、エシル酸塩、フマル酸塩、ギ酸塩、フッ化物、ガラクツロン酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、グルコン酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、グルセプト酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、グルタル酸塩、グルタミン酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、ヒドロキシカルボン酸、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、フッ化水素酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、メチレンビス(β-オキシナフトエート)、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メタンスルホン酸塩、臭化メチル、硝酸メチル、メチルスルホン酸塩、一カリウムマレイン酸塩、ムチン酸塩、モノカルボン酸塩、硝酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、ナプシル酸塩、N-メチルグルカミン、オキサル酸塩、オクタン酸塩、オレイン酸塩、パモ酸塩、フェニル酢酸塩、ピクリン酸塩、フェニル安息香酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、フタル酸塩、ペクチン酸塩、フェニルプロピオン酸塩、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、ピルビン酸塩、キナ酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、ステアリン酸塩、スルファニル酸塩、塩基性酢酸塩、酒石酸塩、テオフィリン酢酸塩、p-トルエンスルホン酸塩(トシル酸塩)、トリフルオロ酢酸塩、テレフタル酸塩、タンニン酸塩、テオクル酸塩、トリハロ酢酸塩、トリエチオダイド、トリカルボン酸塩、ウンデカン酸塩、および吉草酸塩である。カルボン酸またはフェノールの無機塩の例は、アンモニウム、アルカリ金属、およびアルカリ土類金属から選択され得る。アルカリ金属には、リチウム、ナトリウム、カリウム、またはセシウムが含まれるが、これらに限定されない。アルカリ土類金属には、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、バリウム、コリン、または第4級アンモニウムが含まれるが、これらに限定されない。カルボン酸またはフェノールの有機塩の例は、アルギニン、脂肪族有機アミン、脂環式有機アミン、芳香族有機アミン、ベンザチン、t-ブチルアミン、ベネタミン(N-ベンジルフェネチルアミン)、ジシクロヘキシルアミン、ジメチルアミン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、エチレンジアミン、ヒドラバミン、イミダゾール、リジン、メチルアミン、メグルミン、N-メチル-D-グルカミン、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン、ニコチンアミド、有機アミン、オルニチン、ピリジン、ピコリン、ピペラジン、プロカイン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、トリメチルアミン、トロメタミン、および尿素を含めた有機アミンから選択され得る。
【0138】
様々な実施形態では、本発明の化合物の薬学的に許容される塩には、HCl塩、シュウ酸塩、L-(+)-酒石酸塩、HBr塩、およびコハク酸塩が含まれる。各々は、本発明の別個の実施形態を表す。例えば、1002の酒石酸塩(1002Tart.)を、表1に例示する。
【0139】
塩は、従来の手段によって、例えば、生成物の遊離塩基または遊離酸形態を、適切な酸または塩基のうちの1つ以上の相当物と、塩が不溶性である溶媒もしくは培地中、または真空で除去される水などの溶媒中で反応させることによって、あるいは凍結乾燥させることによって、あるいは既存の塩のイオンを別のイオンまたは好適なイオン交換樹脂と交換することによって形成され得る。
【0140】
本発明の方法は、非荷電化合物またはその化合物の薬学的に許容される塩を使用することができる。特に、本方法は、式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの化合物の薬学的に許容される塩を使用する。薬学的に許容される塩は、式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの化合物のアミン塩またはフェノールの塩であり得る。
【0141】
本発明の方法は、非荷電化合物またはその化合物の薬学的に許容される塩を使用することができる。特に、本方法は、式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068の化合物の薬学的に許容される塩を使用する。薬学的に許容される塩は、式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068の化合物のアミン塩またはフェノールの塩であり得る。
【0142】
一実施形態では、本発明の方法は、式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、もしくはIXBの遊離塩基、遊離酸、非電荷性、もしくは非複合化化合物、および/またはその異性体、薬学的製品、水和物、多形、もしくはそれらの組み合わせを利用する。
【0143】
一実施形態では、本発明の方法は、式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068の遊離塩基、遊離酸、非電荷性、もしくは非複合化化合物、ならびに/またはその異性体、薬学的製品、水和物、多形、もしくはそれらの組み合わせを利用する。
【0144】
一実施形態では、本発明の方法は、式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの化合物の光学異性体を利用する。一実施形態では、本発明の方法は、式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの化合物の異性体を利用する。一実施形態では、本発明の方法は、式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの化合物の薬学的製品を利用する。一実施形態では、本発明の方法は、I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの化合物の水和物を利用する。一実施形態では、本発明の方法は、式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの化合物の多形を利用する。一実施形態では、本発明の方法は、式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの化合物の代謝物を利用する。別の実施形態では、本発明の方法は、本明細書に記載される、式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、もしくはIXBの化合物を含む組成物、または別の実施形態では、式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、もしくはIXBの化合物の異性体、代謝物、薬学的製品、水和物、多形の組み合わせを利用する。
【0145】
一実施形態では、本発明の方法は、式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068の化合物の光学異性体を利用する。一実施形態では、本発明の方法は、式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068の化合物の異性体を利用する。一実施形態では、本発明の方法は、式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068の化合物の薬学的製品を利用する。一実施形態では、本発明の方法は、式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068の化合物の水和物を利用する。一実施形態では、本発明の方法は、式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068の化合物の多形を利用する。一実施形態では、本発明の方法は、式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068の化合物の代謝物を利用する。別の実施形態では、本発明の方法は、本明細書に記載される、式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068の化合物を含む組成物、または別の実施形態では、式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068の化合物の異性体、代謝物、薬学的製品、水和物、多形の組み合わせを利用する。
【0146】
本明細書で使用される場合、「異性体」という用語は、光学異性体、構造異性体、または配座異性体を含むが、これらに限定されない。
【0147】
「異性体」という用語は、SARD化合物の光学的異性体を包含することを意味する。本発明のSARDが、少なくとも1つのキラル中心を含有することは、当業者によって理解されるであろう。したがって、化合物は、光学活性((R)異性体もしくは(S)異性体など)またはラセミ形態として存在し得る。光学活性化合物は、鏡像異性的に濃縮された混合物として存在し得る。いくつかの化合物はまた、多形も示してもよい。本発明は、任意のラセミ、光学活性、多形、もしくは立体異性形態、またはそれらの混合物を包含することが理解されるものとする。したがって、本発明は、純粋な(R)異性体または純粋な(S)異性体としてのSARD化合物を包含し得る。光学活性形態の調製方法は、当該技術分野で既知である。例えば、再結晶化技法によるラセミ形態の解像による、光学的活性出発材料からの合成による、キラル合成による、またはキラル固定相を使用するクロマトグラフィー分離による。
【0148】
本発明の化合物は、化合物の水和物であり得る。本明細書で使用される場合、「水和物」という用語は、半水和物、一水和物、二水和物、または三水和物を含むが、これらに限定されない。本発明は、本明細書に記載される化合物のアミノ置換基のN-オキシドの使用も含む。
【0149】
本発明は、他の実施形態では、本明細書に記載される化合物の代謝物の使用を提供する。一実施形態では、「代謝物」は、代謝または代謝性プロセスによって別の物質から生成される任意の物質を意味する。
【0150】
一実施形態では、本発明の化合物は、実施例1、3~6、および12に従って調製される。
【0151】
選択的アンドロゲン受容体分解剤の生物活性
本発明は、前立腺癌(PCa)の治療方法、または前立腺癌に罹患している男性対象の生存期間の増加方法であって、対象に、式Iの化合物であって、
【化25】
式中、
Tが、H、OH、OR、OCOR、CH
3、-NHCOCH
3、もしくはNHCORであるか、
R
1が、H、CH
3、CH
2F、CHF
2、CF
3、CH
2CH
3、もしくはCF
2CF
3であるか、
またはTおよびR
1が、3~8炭素環もしくは複素環を形成し、
Yが、H、CF
3、F、I、Br、Cl、CN、もしくはC(R)
3であるか、
ZHが、NO
2、CN、ハロゲン化物、COOH、COR、NHCOR、CONHRであるか、またはYおよびZが、5~8員環を形成し、
Xが、CHまたはNであり、
Rが、H、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、アルコール、CH
2CH
2OH、CF
3、CH
2Cl、CH
2CH
2Cl、アリール、F、Cl、Br、I、またはOHであり、
Aが、R
2またはR
3であり、
R
2が、各々が独立して水素、ケト、置換もしくは非置換の直鎖もしくは分岐アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、ハロアルキル、CF
3、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換フェニル、F、Cl、Br、I、CN、NO
2、ヒドロキシル、アルコキシ、OR、アリールアルキル、NCS、マレイミド、NHCOOR、N(R)
2、NHCOR、CONHR、COOR、またはCORから選択される、Q
1、Q
2、Q
3、およびQ
4のうちの少なくとも1つで任意に置換された、N-複素環であり、
R
3が、NHR
2、ハロゲン化物、N
3、OR
4、CF
3、COR
4、COCl、COOCOR
4、COOR
4、OCOR
4、OCONHR
4、NHCOOR
4、NHCONHR
4、OCOOR
4、CN、CONH2、CONH(R4)、CON(R4)2、SR
4、SO
2R
4、SOR
4SO
3H、SO
2NH
2、SO
2NH(R
4)、SO
2N(R
4)
2、NH
2、NH(R
4)、N(R
4)
2、CO(N-複素環)、C(O)(C
1-C
10)アルキル、NO
2、シアネート、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、メシレート、トシレート、トリフレート、PO(OH)
2、またはOPO(OH)
2であり、
R
4が、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、該アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリール基が、任意に置換される、化合物によって表される治療上有効な量の化合物もしくはその薬学的に許容される塩、
またはその光学異性体、異性体、薬学的に許容される塩、薬学的製品、多形、水和物、もしくはそれらの任意の組み合わせを投与することを含む、方法を提供する。
【0152】
本発明は、前立腺癌(PCa)の治療方法、または前立腺癌に罹患している男性対象の生存期間の増加方法であって、対象に、式I~IX、IA~ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの化合物によって表される治療上有効な量の化合物もしくはその薬学的に許容される塩、または異性体を投与することを含む、方法を提供する。
【0153】
本発明は、前立腺癌(PCa)の治療方法、または前立腺癌に罹患している男性対象の生存期間の増加方法であって、対象に、式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068の化合物によって表される治療上有効な量の化合物もしくはその薬学的に許容される塩、または異性体を投与することを含む、方法を提供する。
【0154】
前立腺癌は、進行前立腺癌、難治性前立腺癌、去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)、転移性CRPC(mCRPC)、非転移性CRPC(nmCRPC)、高リスクnmCRPC、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。
【0155】
前立腺癌は、増殖のために、AR-FLおよび/またはAR-SVに依存し得る。前立腺癌または他の癌は、アンドロゲン受容体アンタゴニストでの治療に抵抗性であり得る。前立腺癌または他の癌は、エンザルタミド、アパルタミド、ビカルタミド、アビラテロン、ARN-509、ODM-201(ダロルタミド)、EPI-001、EPI-506、AZD-3514、ガレテロン、ASC-J9、フルタミド、ヒドロキシフルタミド、ニルタミド、酢酸シプロテロン、ケトコナゾール、スピロノラクトン、またはそれらの任意の組み合わせでの治療に抵抗性であり得る。本方法はまた、AR、AR-FL、抗アンドロゲン抵抗性を付与するAR-LBD変異を有するAR-FL、AR-SV、遺伝子増幅AR、またはそれらの任意の組み合わせのレベルも低減し得る。
【0156】
一実施形態では、本発明は、エンザルタミド抵抗性前立腺癌の治療方法であって、対象に、治療上有効な量の本発明の化合物、またはその光学異性体、異性体、薬学的に許容される塩、薬学的製品、多形、水和物、もしくはそれらの任意の組み合わせを投与することを含む、方法を提供する。
【0157】
一実施形態では、本発明は、アパルタミド抵抗性前立腺癌の治療方法であって、対象に、治療上有効な量の本発明の化合物、またはその光学異性体、異性体、薬学的に許容される塩、薬学的製品、多形、水和物、もしくはそれらの任意の組み合わせを投与することを含む、方法を対象とする。
【0158】
一実施形態では、本発明は、アビラテロン抵抗性前立腺癌の治療方法であって、対象に、治療上有効な量の本発明の化合物、またはその光学異性体、異性体、薬学的に許容される塩、薬学的製品、多形、水和物、もしくはそれらの任意の組み合わせを投与することを含む、方法を対象とする。
【0159】
一実施形態では、本発明は、三重陰性乳癌(TNBC)の治療方法であって、対象に、治療上有効な量の本発明の化合物、またはその光学異性体、異性体、薬学的に許容される塩、薬学的製品、多形、水和物、もしくはそれらの任意の組み合わせを投与することを含む、方法を対象とする。
【0160】
本方法は、アンドロゲン遮断療法(ADT)またはLHRHアゴニストもしくはアンタゴニストなどの第2の療法を更に含み得る。LHRHアゴニストには、酢酸リュープロリドが含まれるが、これに限定されない。
【0161】
本発明は、前立腺癌(PCa)の治療もしくはその進行の阻害方法、または前立腺癌に罹患している男性対象の生存期間の増加方法であって、対象に、治療上有効な量のSARD化合物または薬学的に許容される塩を投与することを含み、化合物が、式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、もしくはIXBの化合物、または本明細書に記載の任意の化合物によって表される、方法を包含する。
【0162】
本発明は、前立腺癌(PCa)の治療もしくはその進行の阻害方法、または前立腺癌に罹患している男性対象の生存期間の増加方法であって、対象に、治療上有効な量のSARD化合物または薬学的に許容される塩を投与することを含み、化合物が、化合物44~46、98、300~308、1050~1064、および1068のうちの少なくとも1つである、方法を包含する。
【0163】
本発明は、難治性前立腺癌(PCa)の治療もしくはその進行の阻害方法、または難治性前立腺癌に罹患している男性対象の生存期間の増加方法であって、対象に、治療上有効な量のSARD化合物または薬学的に許容される塩を投与することを含み、化合物が、式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、もしくはIXBの化合物、または本明細書に記載の任意の化合物によって表される、方法を包含する。
【0164】
本発明は、難治性前立腺癌(PCa)の治療もしくはその進行の阻害方法、または難治性前立腺癌に罹患している男性対象の生存期間の増加方法であって、対象に、治療上有効な量のSARD化合物または薬学的に許容される塩を投与することを含み、化合物が、式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068の化合物によって表される、方法を包含する。
【0165】
本発明は、去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)に罹患している男性対象の治療またはその生存期間の増加方法であって、対象に、治療上有効な量のSARDを投与することを含み、化合物が、式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、もしくはIXBの化合物、または本明細書に記載の任意の化合物によって表される、方法を包含する。
【0166】
本発明は、去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)に罹患している男性対象の治療またはその生存期間の増加方法であって、対象に、治療上有効な量のSARDを投与することを含み、化合物が、式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068の化合物によって表される、方法を包含する。
【0167】
本方法は、対象に、アンドロゲン遮断療法を投与することを更に含み得る。
【0168】
本発明は、エンザルタミド抵抗性前立腺癌(PCa)の治療もしくはその進行の阻害方法、またはエンザルタミド抵抗性前立腺癌に罹患している男性対象の生存期間の増加方法であって、対象に、治療上有効な量のSARD化合物または薬学的に許容される塩を投与することを含み、化合物が、式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、もしくはIXBの化合物、または本明細書に記載の任意の化合物によって表される、方法を包含する。
【0169】
本発明は、エンザルタミド抵抗性前立腺癌(PCa)の治療もしくはその進行の阻害方法、またはエンザルタミド抵抗性前立腺癌に罹患している男性対象の生存期間の増加方法であって、対象に、治療上有効な量のSARD化合物または薬学的に許容される塩を投与することを含み、化合物が、式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068の化合物によって表される、方法を包含する。
【0170】
本方法は、対象に、アンドロゲン遮断療法を投与することを更に含み得る。
【0171】
本発明は、アパルタミド抵抗性前立腺癌(PCa)の治療もしくはその進行の阻害方法、またはアパルタミド抵抗性前立腺癌に罹患している男性対象の生存期間の増加方法であって、対象に、治療上有効な量のSARD化合物または薬学的に許容される塩を投与することを含み、化合物が、式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、もしくはIXBの化合物、または本明細書に記載の任意の化合物によって表される、方法を包含する。
【0172】
本発明は、アパルタミド抵抗性前立腺癌(PCa)の治療もしくはその進行の阻害方法、またはアパルタミド抵抗性前立腺癌に罹患している男性対象の生存期間の増加方法であって、対象に、治療上有効な量のSARD化合物または薬学的に許容される塩を投与することを含み、化合物が、式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068の化合物によって表される、方法を包含する。
【0173】
本発明は、ダロルタミド抵抗性前立腺癌(PCa)の治療もしくはその進行の阻害方法、またはダロルタミド抵抗性前立腺癌に罹患している男性対象の生存期間の増加方法であって、対象に、治療上有効な量のSARD化合物または薬学的に許容される塩を投与することを含み、化合物が、式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、もしくはIXBの化合物、または本明細書に記載の任意の化合物によって表される、方法を包含する。
【0174】
本発明は、ダロルタミド抵抗性前立腺癌(PCa)の治療もしくはその進行の阻害方法、またはダロルタミド抵抗性前立腺癌に罹患している男性対象の生存期間の増加方法であって、対象に、治療上有効な量のSARD化合物または薬学的に許容される塩を投与することを含み、化合物が、式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068の化合物によって表される、方法を包含する。
【0175】
本方法は、対象に、アンドロゲン遮断療法を投与することを更に含み得る。
【0176】
本発明は、三重陰性乳癌(TNBC)の治療もしくはその進行の阻害方法、または三重陰性乳癌に罹患している女性対象の生存期間の増加方法であって、対象に、治療上有効な量のSARD化合物または薬学的に許容される塩を投与することを含み、化合物が、式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、もしくはIXBの化合物、または本明細書に記載の任意の化合物によって表される、方法を包含する。
【0177】
本発明は、三重陰性乳癌(TNBC)の治療もしくはその進行の阻害方法、または三重陰性乳癌に罹患している女性対象の生存期間の増加方法であって、対象に、治療上有効な量のSARD化合物または薬学的に許容される塩を投与することを含み、化合物が、式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068の化合物によって表される、方法を包含する。
【0178】
本発明は、乳癌の治療を必要とする対象における乳癌の治療方法であって、該対象が、AR発現乳癌、AR-SV発現乳癌、および/またはAR-V7発現乳癌を有し、対象に、治療上有効な量の選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物、またはその異性体、薬学的に許容される塩、薬学的製品、多形、水和物、もしくはそれらの任意の組み合わせを投与することを含み、該SARD化合物が、式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、もしくはIXBの構造、または本明細書に記載の任意の化合物によって表される、方法を包含する。
【0179】
本発明は、乳癌の治療を必要とする対象における乳癌の治療方法であって、該対象が、AR発現乳癌、AR-SV発現乳癌、および/またはAR-V7発現乳癌を有し、対象に、治療上有効な量の選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物、またはその異性体、薬学的に許容される塩、薬学的製品、多形、水和物、もしくはそれらの任意の組み合わせを投与することを含み、該SARD化合物が、式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068の化合物、または本明細書に記載の任意の化合物によって表される、方法を包含する。
【0180】
本発明は、AR発現乳癌の治療を必要とする対象におけるAR発現乳癌の治療方法であって、対象に、治療上有効な量の選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物、またはその異性体、薬学的に許容される塩、薬学的製品、多形、水和物、もしくはそれらの任意の組み合わせを投与することを含み、該SARD化合物が、式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、もしくはIXBの構造、または本明細書に記載の任意の化合物によって表される、方法を包含する。
【0181】
本発明は、AR発現乳癌の治療を必要とする対象におけるAR発現乳癌の治療方法であって、対象に、治療上有効な量の選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物、またはその異性体、薬学的に許容される塩、薬学的製品、多形、水和物、もしくはそれらの任意の組み合わせを投与することを含み、該SARD化合物が、式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068の化合物、または本明細書に記載の任意の化合物によって表される、方法を包含する。
【0182】
本発明は、AR-SV発現乳癌の治療を必要とする対象におけるAR-SV発現乳癌の治療方法であって、対象に、治療上有効な量の選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物、またはその異性体、薬学的に許容される塩、薬学的製品、多形、水和物、もしくはそれらの任意の組み合わせを投与することを含み、該SARD化合物が、式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、もしくはIXBの構造、または本明細書に記載の任意の化合物によって表される、方法を包含する。
【0183】
本発明は、AR-SV発現乳癌の治療を必要とする対象におけるAR-SV発現乳癌の治療方法であって、対象に、治療上有効な量の選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物、またはその異性体、薬学的に許容される塩、薬学的製品、多形、水和物、もしくはそれらの任意の組み合わせを投与することを含み、該SARD化合物が、式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068の化合物、または本明細書に記載の任意の化合物によって表される、方法を包含する。
【0184】
本発明は、AR-V7発現乳癌の治療を必要とする対象におけるAR-V7発現乳癌の治療方法であって、対象に、治療上有効な量の選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物、またはその異性体、薬学的に許容される塩、薬学的製品、多形、水和物、もしくはそれらの任意の組み合わせを投与することを含み、該SARD化合物が、式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、もしくはIXBの構造、または本明細書に記載の任意の化合物によって表される、方法を包含する。
【0185】
本発明は、AR-V7発現乳癌の治療を必要とする対象におけるAR-V7発現乳癌の治療方法であって、対象に、治療上有効な量の選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物、またはその異性体、薬学的に許容される塩、薬学的製品、多形、水和物、もしくはそれらの任意の組み合わせを投与することを含み、該SARD化合物が、式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068の化合物、または本明細書に記載の任意の化合物によって表される、方法を包含する。
【0186】
本明細書で使用される場合、「生存期間を増加させる」という用語は、対象の生存期間を説明する場合の時間の延長を指す。したがって、この文脈では、本発明の化合物を使用して、進行前立腺癌、難治性前立腺癌、去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)、転移性CRPC(mCRPC)、非転移性CRPC(nmCRPC)、もしくは高リスクnmCRPCを有する男性、またはTNBCを有する女性の生存期間を増加させることができる。
【0187】
代替的に、本明細書で使用される場合、「増加する」、「増加すること」、「増加した」という用語は、同義的に使用することができ、漸進的に(サイズ、量、数、または強度において)大きくなる実体を指し、例えば、この実体は、性ホルモン結合グロブリン(SHBG)または前立腺特異的抗原(PSA)である。
【0188】
本発明の化合物および組成物を使用して、非転移性前立腺癌に罹患している対象において無転移生存期間(MFS)を増加させることができる。非転移性前立腺癌は、非転移性進行前立腺癌、非転移性CRPC(nmCRPC)、または高リスクnmCRPCであり得る。
【0189】
本明細書に記載のSARD化合物を使用して、二重作用を提供することができる。例えば、SARD化合物は、前立腺癌を治療し、転移を予防することができる。前立腺癌は、難治性前立腺癌、進行前立腺癌、去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)、転移性CRPC(mCRPC)、非転移性CRPC(nmCRPC)、または高リスクnmCRPCであり得る。
【0190】
本明細書に記載のSARD化合物を使用して、二重作用を提供することができる。例えば、SARD化合物は、TNBCを治療し、転移を予防することができる。
【0191】
去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)への進行のリスクが高い進行前立腺癌を有する男性は、20ng/dL超の血清総テストステロン濃度でのADTを受けている男性であるか、あるいはADTの開始時に、(1)確認されたグリーソン型4もしくは5前立腺癌、(2)転移性前立腺癌、(3)3ヶ月未満のPSA倍加時間、(4)≧20ng/mLのPSA、または(5)原因局所療法(根治的前立腺摘出術もしくは放射線療法)後3年未満のPSA再発のうちのいずれかを有していた、進行前立腺癌を有する男性である。
【0192】
前立腺特異抗原(PSA)の正常なレベルは、中でもとりわけ、年齢および男性対象の前立腺のサイズなどのいくつかの因子に依存する。2.5~10ng/mLの範囲内のPSAレベルは、「高境界値」とみなされるが、10ng/mL超のレベルは、「高値」とみなされる。0.75/年超の速度(rate)変化または「PSA速度(velocity)」は、高いとみなされる。PSAレベルは、継続中のADTもしくはADTの履歴、外科的去勢にもかかわらず、または抗アンドロゲンおよび/もしくはLHRHアゴニストでの治療にもかかわらず増加する可能性がある。
【0193】
高リスク非転移性去勢抵抗性前立腺癌(高リスクnmCRPC)を有する男性には、およそ18ヶ月以下の予想無進行生存期間を有する、急速PSA倍加時間を有する者が含まれ得る(Miller K,Moul JW,Gleave M,et al.2013.“Phase III,randomized,placebo-controlled study of once-daily oral zibotentan(ZD4054)in patients with non-metastatic castration-resistant prostate cancer,”Prostate Canc Prost Dis.Feb;16:187-192)。この比較的速い疾患の進行は、このような個人に対する新規療法の重要性を強調する。
【0194】
本発明の方法は、対象が高リスクのnmCRPCに罹患している場合に、8ng/mL超のPSAレベルを有する対象を治療することができる。患者集団には、PSAが8ヶ月未満または10ヶ月未満で倍加するnmCRPCに罹患している対象が含まれる。本方法はまた、高リスクnmCRPCに罹患している対象において、総血清テストステロンレベルが20ng/mL超である患者集団も治療することができる。1つの場合では、血清遊離テストステロンレベルは、高リスクnmCRPCに罹患している対象において、精巣を摘出された男性において観察されるレベルよりも高い。
【0195】
本発明の薬学的組成物は、少なくとも1つのLHRHアゴニストもしくはアンタゴニスト、抗アンドロゲン、抗プログラム死受容体1(抗PD-1)薬、または抗PD-L1薬を更に含み得る。LHRHアゴニストには、酢酸リュープロリド(Lupron(登録商標))(参照により本明細書に組み込まれるUS5,480,656、US5,575,987、5,631,020、5,643,607、5,716,640、5,814,342、6,036,976)または酢酸ゴセレリン(Zoladex(登録商標))(参照により本明細書に組み込まれるUS7,118,552、7,220,247、7,500,964)が含まれるが、これらに限定されない。LHRHアンタゴニストには、デガレリクスまたはアバレリクスが含まれるが、これらに限定されない。抗アンドロゲンには、ビカルタミド、フルタミド、フィナステリド、デュタステリド、エンザルタミド、アパルタミド、ニルタミド、クロルマジノン、アビラテロン、またはそれらの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。抗PD-1薬には、AMP-224、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、ピジリズマブ、およびAMP-554が含まれるが、これらに限定されない。抗PD-L1薬には、BMS-936559、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、アベルマブ、およびMPDL3280Aが含まれるが、これらに限定されない。抗CTLA-4薬には、イピリムマブおよびトレメリムマブが含まれるが、これらに限定されない。
【0196】
前立腺癌、進行前立腺癌、CRPC、mCRPC、および/またはnmCRPCの治療は、前立腺癌関連症状、機能、および/または生存期間において臨床的に有意義な改善をもたらし得る。臨床的に有意義な改善は、中でもとりわけ、癌が転移性である場合はX線検査的無進行生存期間(rPFS)の増加、または癌が非転移性である場合は無転移生存期間(MFS)の増加によって決定され得る。
【0197】
本発明は、前立腺癌、進行前立腺癌、転移性前立腺癌、または去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)に罹患している男性対象における血清前立腺特異抗原(PSA)レベルの低下方法であって、治療上有効な量のSARD化合物を投与することを含み、化合物が、式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの構造によって表される、方法を包含する。
【0198】
本発明は、前立腺癌、進行前立腺癌、転移性前立腺癌、または去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)に罹患している男性対象における血清前立腺特異抗原(PSA)レベルの低下方法であって、治療上有効な量のSARD化合物を投与することを含み、化合物が、式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068の構造によって表される、方法を包含する。
【0199】
本発明は、去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)に罹患している男性対象における血清PSAを低減する二次ホルモン療法の方法であって、去勢抵抗性前立腺癌に罹患している男性対象における血清PSAを低減する、治療上有効な量の式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの化合物を投与することを含む、方法を包含する。
【0200】
本発明は、去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)に罹患している男性対象における血清PSAを低減する二次ホルモン療法の方法であって、去勢抵抗性前立腺癌に罹患している男性対象における血清PSAを低減する、治療上有効な量の式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068の化合物を投与することを含む、方法を包含する。
【0201】
本発明は、AR、AR-全長(AR-FL)、抗アンドロゲン抵抗性を付与するAR-LBD変異を有するAR-FL、AR-スプライス多様体(AR-SV)のレベル、および/または腫瘍内のAR遺伝子の増幅の低減を必要とする対象における、AR、AR-全長(AR-FL)、抗アンドロゲン抵抗性を付与するAR-LBD変異を有するAR-FL、AR-スプライス多様体(AR-SV)のレベル、および/または腫瘍内のAR遺伝子の増幅の低減方法であって、治療上有効な量の式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの化合物を投与して、AR、AR-全長(AR-FL)、抗アンドロゲン抵抗性を付与するAR-LBDもしくは他のAR変異を有するAR-FL、AR-スプライス多様体(AR-SV)のレベル、および/または腫瘍内のAR遺伝子の増幅を低減することを含む、方法を包含する。
【0202】
本発明は、AR、AR-全長(AR-FL)、抗アンドロゲン抵抗性を付与するAR-LBD変異を有するAR-FL、AR-スプライス多様体(AR-SV)のレベル、および/または腫瘍内のAR遺伝子の増幅の低減を必要とする対象における、AR、AR-全長(AR-FL)、抗アンドロゲン抵抗性を付与するAR-LBD変異を有するAR-FL、AR-スプライス多様体(AR-SV)のレベル、および/または腫瘍内のAR遺伝子の増幅の低減方法であって、治療上有効な量の式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068の化合物を投与して、AR、AR-全長(AR-FL)、抗アンドロゲン抵抗性を付与するAR-LBDもしくは他のAR変異を有するAR-FL、AR-スプライス多様体(AR-SV)のレベル、および/または腫瘍内のAR遺伝子の増幅を低減することを含む、方法を包含する。代替的に、本発明は、GRの過剰発現のために再活性化されたAR軸の阻害方法を包含する。
【0203】
本方法は、X線検査的無進行生存期間(rPFS)または無転移生存期間(MFS)を増加させることができる。
【0204】
対象は、非転移性癌を有するか、アンドロゲン遮断療法(ADT)が失敗しているか、精巣摘除術を受けているか、または高いもしくは増加する前立腺特異抗原(PSA)レベルを有する可能性があり、対象は、前立腺癌、進行前立腺癌、難治性前立腺癌、CRPC患者、転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)患者、または非転移性去勢抵抗性前立腺癌(nmCRPC)患者である可能性がある。これらの対象では、難治性は、エンザルタミド抵抗性前立腺癌であり得る。これらの対象では、nmCRPCは、高リスクnmCRPCであり得る。更に、対象は、去勢レベルの総Tの有無にかかわらず、アンドロゲン遮断療法(ADT)を受けている可能性がある。
【0205】
対象は、非転移性癌を有するか、アンドロゲン遮断療法(ADT)が失敗しているか、精巣摘除術を受けているか、または高いもしくは増加する前立腺特異抗原(PSA)レベルを有する可能性があり、対象は、前立腺癌、進行前立腺癌、難治性前立腺癌、CRPC患者、転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)患者、または非転移性去勢抵抗性前立腺癌(nmCRPC)患者である可能性がある。これらの対象では、難治性は、アパルタミド抵抗性前立腺癌であり得る。これらの対象では、nmCRPCは、高リスクnmCRPCであり得る。更に、対象は、去勢レベルの総Tの有無にかかわらず、アンドロゲン遮断療法(ADT)を受けている可能性がある。
【0206】
本明細書で使用される場合、「去勢抵抗性前立腺癌に罹患している対象」という語句は、以下の特徴、以前にアンドロゲン遮断療法(ADT)で治療されている;ADTに応答しており、現在>2ng/mLまたは>2ng/mLの血清PSAを有し、ADTで達成された底値を超える25%の増加を表す;アンドロゲン遮断療法の維持にもかかわらず、血清PSA進行を有すると診断された対象;去勢レベルの血清総テストステロン(<50ng/dL)または去勢レベルの血清総テストステロン(<20ng/dL)のうちの少なくとも1つを有する対象を指す。対象は、少なくとも2週間間隔の2回の連続評価で上昇する血清PSAを有するか、ADTで効果的に治療されているか、ADT開始後の血清PSA応答の履歴を有し得る。
【0207】
本明細書で使用される場合、「血清PSA進行」という用語は、血清PSAの25%以上の増加および底値からの2ng/mL以上の絶対増加、または血清PSA>2ng/mLもしくは>2ng/mL、およびアンドロゲン遮断療法(ADT)の開始後の底値より25%の増加を指す。「底値」という用語は、患者がADTを受けている間の最低PSAレベルを指す。
【0208】
「血清PSA応答」という用語は、ADTの開始前の血清PSA値の少なくとも90%の低減、任意の時点における<10ng/mLの検出不可能なレベルの血清PSA(<0.2ng/mL)、血清PSAのベースラインからの少なくとも50%の減少、血清PSAのベースラインからの少なくとも90%の減少、血清PSAのベースラインからの少なくとも30%の減少、または血清PSAのベースラインからの少なくとも10%の減少のうちの少なくとも1つを指す。
【0209】
本発明の方法は、ADTの形態と、本発明の化合物との組み合わせを投与することを含む。ADTの形態には、LHRHアゴニストが含まれる。LHRHアゴニストには、酢酸リュープロリド(Lupron(登録商標))(参照により本明細書に組み込まれるUS5,480,656、US5,575,987、5,631,020、5,643,607、5,716,640、5,814,342、6,036,976)または酢酸ゴセレリン(Zoladex(登録商標))(参照により本明細書に組み込まれるUS7,118,552、7,220,247、7,500,964)が含まれるが、これらに限定されない。ADTの形態には、LHRHアンタゴニスト、可逆的抗アンドロゲン、または両側性精巣摘除術が含まれるが、これらに限定されない。LHRHアンタゴニストには、デガレリクスおよびアバレリクスが含まれるが、これらに限定されない。抗アンドロゲンには、ビカルタミド、フルタミド、アパルタミド、フィナステリド、デュタステリド、エンザルタミド、アパルタミド、EPI-001、EPI-506、ARN-509、ODM-201(ダロルタミド)、ニルタミド、クロルマジノン、アビラテロン、またはそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0210】
本発明の方法は、本発明の少なくとも1つの化合物およびリアーゼ阻害剤(例えば、アビラテロン)を投与することを包含する。
【0211】
「進行前立腺癌」という用語は、前立腺に起源を有し、前立腺を越えて、精嚢、骨盤リンパ節、もしくは骨を含めた周囲組織など、または身体の他の部分へと広く転移した転移性癌を指す。前立腺癌の病理は、悪性度の増加する順に1~5のグリーソン等級で採点される。進行疾患および/または前立腺癌による死亡の著しいリスクを有する患者は、その定義に含まれるべきであり、IIBという低い病期の前立腺被膜の外側に癌を有するいかなる患者も、明らかに「進行」疾患を有する。「進行前立腺癌」は、局所的進行前立腺癌を指し得る。同様に、「進行乳癌」は、乳房で発生し、乳房を越えて肝臓、脳、肺、または骨などの周囲の組織または体の他の部分に広く転移した転移性癌を指す。
【0212】
「難治性」という用語は、治療に応答しない癌を指す場合がある。例えば、前立腺癌または乳癌は、治療の開始時に抵抗性であることも、治療中に抵抗性となることもある。「難治性癌」はまた、本明細書では「抵抗性癌」とも称され得る。
【0213】
「去勢抵抗性前立腺癌」(CRPC)という用語は、患者が依然としてADTもしくはテストステロンを低減するための他の療法中である間に、悪化もしくは進行する進行前立腺癌、あるいはホルモン難治性、ホルモンナイーブ、アンドロゲン非依存性、または化学的もしくは外科的去勢抵抗性とみなされる前立腺癌を指す。CRPCは、イントラクラインアンドロゲン合成によるAR活性化、リガンド結合ドメイン(LBD)を欠くAR-スプライス多様体(AR-SV)の発現、またはアンタゴニストに抵抗する能力を有するAR-LBDもしくは他のAR変異の発現の結果である可能性がある。去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)は、継続中のADTおよび/または外科的去勢にもかかわらず発達した進行前立腺癌である。去勢抵抗性前立腺癌は、以前の外科的去勢、ゴナドトロピン放出ホルモンアゴニスト(例えば、ロイプロリド)もしくはアンタゴニスト(例えば、デガレリクスもしくはアバレリクス)、抗アンドロゲン(例えば、ビカルタミド、フルタミド、アパルタミド、エンザルタミド、アパルタミド、ケトコナゾール、アミノグルテタミド)、化学療法剤(例えば、ドセタキセル、パクリタキセル、カバジタキセル、アドリアマイシン、ミトキサントロン、エストラムスチン、シクロホスファミド)、キナーゼ阻害剤(イマチニブ(Gleevec(登録商標))もしくはゲフィチニブ(Iressa(登録商標))、カボザンチニブ(Cometriq(商標)、XL184としても知られる)、または他の前立腺癌療法(例えば、ワクチン(シプロイセル-T(Provenge(登録商標))、GVAXなど)、ハーバル(PC-SPES)およびリアーゼ阻害剤(アビラテロン)での継続治療にもかかわらず進行もしくは悪化し続けるか、または患者の健康に悪影響を及ぼす前立腺癌として定義され、前立腺特異的抗原(PSA)の増加もしくはより高い血清レベル、転移、骨転移、疼痛、リンパ節関与、腫瘍成長のサイズもしくは血清マーカーの増加、予後判定の診断マーカーの悪化、または患者の状態によって証明される。
【0214】
去勢抵抗性前立腺癌は、ホルモンナイーブ前立腺癌として定義され得る。去勢抵抗性前立腺癌を有する男性では、腫瘍細胞は、アンドロゲン(男性性特徴の発達および維持を促進するホルモン)の不在下で成長する能力を有し得る。
【0215】
多くの早期前立腺癌は、成長のためにアンドロゲンを必要とするが、進行前立腺癌は、アンドロゲン非依存性またはホルモンナイーブである。
【0216】
「アンドロゲン遮断療法」(ADT)という用語には、精巣摘除術、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)類似体の投与、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アンタゴニストの投与、5α-レダクターゼ阻害剤の投与、抗アンドロゲンの投与、テストステロン生合成の阻害剤の投与、エストロゲンの投与、または17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20リアーゼ(CYP17A1)阻害剤の投与が含まれ得る。LHRH薬は、睾丸によって作られるテストステロンの量を低下させる。米国において使用可能なLHRH類似体の例には、ロイプロリド(Lupron(登録商標)、Viadur(登録商標)、Eligard(登録商標))、ゴセレリン(Zoladex(登録商標))、トリプトレリン(Trelstar(登録商標))、およびヒストレリン(Vantas(登録商標))が含まれる。抗アンドロゲンは、任意のアンドロゲンを使用する身体の能力を遮断する。抗アンドロゲン薬の例には、ダロルタミド、エンザルタミド(Xtandi(登録商標))、アパルタミド(Erleada(登録商標))、フルタミド(Eulexin(登録商標))、アパルタミド(Erleada(登録商標))、ビカルタミド(Casodex(登録商標))、およびニルタミド(Nilandron(登録商標))が含まれる。黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アンタゴニストには、アバレリクス(Plenaxis(登録商標))またはデガレリクス(Firmagon(登録商標))(進行前立腺癌の治療のために2008年にFDAによって使用が承認されている)が含まれる。5α-レダクターゼ阻害剤は、テストステロンをより活性なアンドロゲンである5α-ジヒドロテストステロン(DHT)に変換する身体の能力を遮断し、フィナステリド(Proscar(登録商標))およびデュタステリド(Avodart(登録商標))などの薬物を含む。テストステロン生合成の阻害剤には、ケトコナゾール(Nizoral(登録商標))などの薬物が含まれる。エストロゲンには、ジエチルスチルベストロールまたは17β-エストラジオールが含まれる。17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20リアーゼ(CYP17A1)阻害剤には、アビラテロン(Zytiga(登録商標))が含まれる。
【0217】
本発明は、抗アンドロゲン抵抗性前立腺癌の治療方法を包含する。抗アンドロゲンには、ビカルタミド、ヒドロキシフルタミド、フルタミド、エンザルタミド、アパルタミド、またはアビラテロンが含まれ得るが、これらに限定されない。
【0218】
本発明は、前立腺癌の治療を必要とする対象における前立腺癌の治療方法であって、該対象が、再編成されたAR、AR過剰発現前立腺癌、去勢抵抗性前立腺癌、去勢感受性前立腺癌、AR-V7発現前立腺癌、またはd567ES発現前立腺癌を有し、対象に、治療上有効な量の選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物、またはその異性体、薬学的に許容される塩、薬学的製品、多形、水和物、もしくはそれらの任意の組み合わせを投与することを含み、該SARD化合物が、式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、もしくはIXBの構造、または本明細書に記載の任意の化合物によって表される、方法を包含する。
【0219】
本発明は、前立腺癌の治療を必要とする対象における前立腺癌の治療方法であって、該対象が、再編成されたAR、AR過剰発現前立腺癌、去勢抵抗性前立腺癌、去勢感受性前立腺癌、AR-V7発現前立腺癌、またはd567ES発現前立腺癌を有し、対象に、治療上有効な量の選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物、またはその異性体、薬学的に許容される塩、薬学的製品、多形、水和物、もしくはそれらの任意の組み合わせを投与することを含み、該SARD化合物が、式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068の化合物、または本明細書に記載の任意の化合物によって表される、方法を包含する。
【0220】
一実施形態では、去勢抵抗性前立腺癌は、再編成されたAR、AR過剰発現去勢抵抗性前立腺癌、F876L変異発現去勢抵抗性前立腺癌、F876L_T877A二重変異発現去勢抵抗性前立腺癌、AR-V7発現去勢抵抗性前立腺癌、d567ES発現去勢抵抗性前立腺癌、および/または発現去勢抵抗性前立腺癌である。
【0221】
一実施形態では、去勢感受性前立腺癌は、F876L変異発現去勢感受性前立腺癌、F876L_T877A二重変異去勢感受性前立腺癌、および/または発現去勢感受性前立腺癌である。
【0222】
一実施形態では、去勢感受性前立腺癌の治療は、非去勢設定で、または単剤療法として、または去勢感受性前立腺癌腫瘍がダロルタミド、エンザルタミド、アパルタミド、および/もしくはアビラテロンに抵抗性である場合に行われる。
【0223】
本発明は、再編成されたARおよび/またはAR過剰発現前立腺癌の治療を必要とする対象における再編成されたARおよび/またはAR過剰発現前立腺癌の治療方法であって、対象に、治療上有効な量の選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物、またはその異性体、薬学的に許容される塩、薬学的製品、多形、水和物、もしくはそれらの任意の組み合わせを投与することを含み、該SARD化合物が、式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、もしくはIXBの構造、または本明細書に記載の任意の化合物によって表される、方法を包含する。
【0224】
本発明は、再編成されたARおよび/またはAR過剰発現前立腺癌の治療を必要とする対象における再編成されたARおよび/またはAR過剰発現前立腺癌の治療方法であって、対象に、治療上有効な量の選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物、またはその異性体、薬学的に許容される塩、薬学的製品、多形、水和物、もしくはそれらの任意の組み合わせを投与することを含み、該SARD化合物が、式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068の化合物、または本明細書に記載の任意の化合物によって表される、方法を包含する。
【0225】
本発明は、去勢抵抗性前立腺癌の治療を必要とする対象における去勢抵抗性前立腺癌の治療方法であって、対象に、治療上有効な量の選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物、またはその異性体、薬学的に許容される塩、薬学的製品、多形、水和物、もしくはそれらの任意の組み合わせを投与することを含み、該SARD化合物が、式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、もしくはIXBの構造、または本明細書に記載の任意の化合物によって表される、方法を包含する。一実施形態では、去勢抵抗性前立腺癌は、再編成されたAR、AR過剰発現去勢抵抗性前立腺癌、F876L変異発現去勢抵抗性前立腺癌、F876L_T877A二重変異発現去勢抵抗性前立腺癌、AR-V7発現去勢抵抗性前立腺癌、d567ES発現去勢抵抗性前立腺癌、および/または発現去勢抵抗性前立腺癌である。
【0226】
本発明は、去勢抵抗性前立腺癌の治療を必要とする対象における去勢抵抗性前立腺癌の治療方法であって、対象に、治療上有効な量の選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物、またはその異性体、薬学的に許容される塩、薬学的製品、多形、水和物、もしくはそれらの任意の組み合わせを投与することを含み、該SARD化合物が、式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068の化合物、または本明細書に記載の任意の化合物によって表される、方法を包含する。一実施形態では、去勢抵抗性前立腺癌は、再編成されたAR、AR過剰発現去勢抵抗性前立腺癌、F876L変異発現去勢抵抗性前立腺癌、F876L_T877A二重変異発現去勢抵抗性前立腺癌、AR-V7発現去勢抵抗性前立腺癌、d567ES発現去勢抵抗性前立腺癌、および/または発現去勢抵抗性前立腺癌である。
【0227】
本発明は、去勢感受性前立腺癌の治療を必要とする対象における去勢感受性前立腺癌の治療方法であって、対象に、治療上有効な量の選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物、またはその異性体、薬学的に許容される塩、薬学的製品、多形、水和物、もしくはそれらの任意の組み合わせを投与することを含み、該SARD化合物が、式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、もしくはIXBの構造、または本明細書に記載の任意の化合物によって表される、方法を包含する。一実施形態では、去勢感受性前立腺癌は、F876L変異発現去勢感受性前立腺癌、F876L_T877A二重変異去勢感受性前立腺癌、および/または発現去勢感受性前立腺癌である。一実施形態では、去勢感受性前立腺癌の治療は、非去勢設定で、または単剤療法として、または去勢感受性前立腺癌腫瘍がダロルタミド、エンザルタミド、アパルタミド、および/もしくはアビラテロンに抵抗性である場合に行われる。
【0228】
本発明は、去勢感受性前立腺癌の治療を必要とする対象における去勢感受性前立腺癌の治療方法であって、対象に、治療上有効な量の選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物、またはその異性体、薬学的に許容される塩、薬学的製品、多形、水和物、もしくはそれらの任意の組み合わせを投与することを含み、該SARD化合物が、式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068の化合物、または本明細書に記載の任意の化合物によって表される、方法を包含する。一実施形態では、去勢感受性前立腺癌は、F876L変異発現去勢感受性前立腺癌、F876L_T877A二重変異去勢感受性前立腺癌、および/または発現去勢感受性前立腺癌である。一実施形態では、去勢感受性前立腺癌の治療は、非去勢設定で、または単剤療法として、または去勢感受性前立腺癌腫瘍がダロルタミド、エンザルタミド、アパルタミド、および/もしくはアビラテロンに抵抗性である場合に行われる。
【0229】
本発明は、AR-V7発現前立腺癌の治療を必要とする対象におけるAR-V7発現前立腺癌の治療方法であって、対象に、治療上有効な量の選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物、またはその異性体、薬学的に許容される塩、薬学的製品、多形、水和物、もしくはそれらの任意の組み合わせを投与することを含み、該SARD化合物が、式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、もしくはIXBの構造、または本明細書に記載の任意の化合物によって表される、方法を包含する。
【0230】
本発明は、AR-V7発現前立腺癌の治療を必要とする対象におけるAR-V7発現前立腺癌の治療方法であって、対象に、治療上有効な量の選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物、またはその異性体、薬学的に許容される塩、薬学的製品、多形、水和物、もしくはそれらの任意の組み合わせを投与することを含み、該SARD化合物が、式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068の化合物、または本明細書に記載の任意の化合物によって表される、方法を包含する。
【0231】
本発明は、d567ES発現前立腺癌の治療を必要とする対象におけるd567ES発現前立腺癌の治療方法であって、対象に、治療上有効な量の選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物、またはその異性体、薬学的に許容される塩、薬学的製品、多形、水和物、もしくはそれらの任意の組み合わせを投与することを含み、該SARD化合物が、式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、もしくはIXBの構造、または本明細書に記載の任意の化合物によって表される、方法を包含する。
【0232】
本発明は、d567ES発現前立腺癌の治療を必要とする対象におけるd567ES発現前立腺癌の治療方法であって、対象に、治療上有効な量の選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物、またはその異性体、薬学的に許容される塩、薬学的製品、多形、水和物、もしくはそれらの任意の組み合わせを投与することを含み、該SARD化合物が、式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068の化合物、または本明細書に記載の任意の化合物によって表される、方法を包含する。
【0233】
三重陰性乳癌(TNBC)の治療
三重陰性乳癌(TNBC)は、エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PR)、およびHER2受容体キナーゼの発現を欠く乳癌の一種である。したがって、TNBCは、他の種類の原発性乳癌の治療に使用されるホルモンおよびキナーゼの治療標的を欠く。これに対応して、化学療法が、しばしばTNBCの初期薬物療法である。興味深いことに、ARは、しばしばTNBCにおいて依然として発現され、化学療法に代わるホルモンを標的とした治療代替案を提供する可能性がある。ER陽性乳癌では、ARの活性化が、乳房組織および腫瘍におけるERの効果を制限する、かつ/またはそれに対抗すると考えられているため、ARは、正の予後指標である。しかしながら、ERの不在下では、実際にはARが乳癌腫瘍の成長を支持している可能性がある。TNBCにおけるARの役割は、完全には理解されていないが、特定のTNBCが、LBDを欠くAR-SVのアンドロゲン非依存性活性化またはAR全長のアンドロゲン依存性活性化によって支持され得るという証拠が存在する。したがって、エンザルタミド、アパルタミド、および他の従来のLBD誘導ARアンタゴニストは、これらのTNBCではAR-SVをアンタゴナイズすることができない。しかしながら、ARのNTDの結合部位(US2017-0368003の実施例9を参照されたい)を通じてAR-SV(表1ならびに実施例2および7を参照されたい)を破壊することができる本発明のSARDは、これらのTNBCにおけるARをアンタゴナイズし、US2017-0368003の実施例8に示される抗腫瘍効果を提供することができる。
【0234】
ケネディ病の治療
筋委縮(MA)は、筋肉の消耗または減損、および筋質量の減少を特徴とする。例えば、ポリオ後MAは、ポリオ後症候群(PPS)の一部として起こる筋消耗である。萎縮には、脆弱、筋疲労、および疼痛が含まれる。別の種類のMAは、X連鎖球脊髄性萎縮症(SBMA-ケネディ病としても知られる)である。この疾患は、X染色体上のアンドロゲン受容体遺伝子内の欠陥から生じ、男性だけに影響を及ぼし、その発症は、後期青春期から成人期においてである。四肢近位および球筋力低下は、場合によっては車椅子への依存を含む身体的制約をもたらす。変異は、アンドロゲン受容体(polyQ AR)のN末端ドメインにおいて伸長ポリグルタミン鎖をもたらす。
【0235】
内在性アンドロゲン(テストステロンおよびDHT)によるpolyQ ARの結合および活性化は、変異体アンドロゲン受容体の展開および核移行をもたらす。polyQ ARタンパク質のアンドロゲン誘導毒性およびアンドロゲン依存性核蓄積は、発病の中心にあるようである。したがって、アンドロゲン活性化polyQ ARの阻害は、治療選択肢となる可能性がある(A.Baniahmad.Inhibition of the androgen receptor by antiandrogens in spinobulbar muscle atrophy.J.Mol.Neurosci.2016 58(3),343-347)。これらのステップが発病に必要であり、トランス活性化機能の部分的喪失(すなわち、アンドロゲン非感受性)および良く理解されていない神経筋変性をもたらす。末梢polyQ ARアンチセンス療法は、SBMAのマウスモデルにおいて疾患を救済する(Cell Reports 7,774-784,May 8,2014)。抗アンドロゲンの使用の更なる支持は、抗アンドロゲンフルタミドが球脊髄性筋萎縮症の3つのモデルにおいて雄マウスをアンドロゲン依存性毒性から保護するという報告にある(Renier KJ,Troxell-Smith SM,Johansen JA,Katsuno M,Adachi H,Sobue G,Chua JP,Sun Kim H,Lieberman AP,Breedlove SM,Jordan CL.Endocrinology 2014,155(7),2624-2634)。これらのステップが発病に必要であり、トランス活性化機能の部分的喪失(すなわち、アンドロゲン非感受性)および良く理解されていない神経筋変性をもたらす。現在、疾患修飾治療は存在しないが、症状誘導治療のみが存在する。細胞機構を利用してその分解を促進することによって、polyQ ARを毒性の近位メディエーターとして標的とする試みは、治療的介入に期待できる。
【0236】
本明細書で報告されるものなどの選択的アンドロゲン受容体分解剤は、これまで試験された全てのアンドロゲン受容体(全長、スプライス多様体、抗アンドロゲン抵抗性変異体など)に結合し、トランス活性化を阻害し、それらを分解し、それらがSBMAなどの発病がアンドロゲン依存性である疾患の治療のための有望な手掛かりであることを示す。
【0237】
本発明は、ケネディ病の治療方法であって、治療上有効な量の式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの化合物を投与することを含む、方法を包含する。
【0238】
本発明は、ケネディ病の治療方法であって、治療上有効な量の式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068の化合物を投与することを含む、方法を包含する。
【0239】
本明細書で使用される場合、「アンドロゲン受容体関連病態」または「アンドロゲン感受性疾患もしくは障害」または「アンドロゲン依存性疾患もしくは障害」は、アンドロゲン受容体によって調節されるか、またはその発病が、アンドロゲン受容体の活性に依存する、病態、疾患、または障害である。アンドロゲン受容体は、身体の大部分の組織において発現されるが、特に前立腺および皮膚において過剰発現される。ADTは、長年にわたって前立腺癌治療の主軸であり、SARDもまた、様々な前立腺癌、良性前立腺肥大、前立腺肥大、および他の前立腺の病気の治療に有用であり得る。
【0240】
本発明は、良性前立腺肥大の治療方法であって、治療上有効な量の式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの少なくとも1つの化合物を投与することを含む、方法を包含する。
【0241】
本発明は、良性前立腺肥大の治療方法であって、治療上有効な量の式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068の少なくとも1つの化合物を投与することを含む、方法を包含する。
【0242】
本発明は、前立腺肥大(prostamegaly)の治療方法であって、治療上有効な量の式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの少なくとも1つの化合物を投与することを含む、方法を包含する。
【0243】
本発明は、前立腺肥大の治療方法であって、治療上有効な量の式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068の少なくとも1つの化合物を投与することを含む、方法を包含する。
【0244】
本発明は、過剰増殖性前立腺障害および疾患の治療方法であって、治療上有効な量の式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの化合物を投与することを含む、方法を包含する。
【0245】
本発明は、過剰増殖性前立腺障害および疾患の治療方法であって、治療上有効な量の式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068の化合物を投与することを含む、方法を包含する。
【0246】
皮膚(skin)に対するARの効果は、十代および早期成年に一般的な性二形性および思春期関連の皮膚の(dermatological)問題において明らかである。思春期のアンドロゲン過剰症は、硬毛成長、皮脂生成を刺激し、十代男性の座瘡、尋常性座瘡、脂漏症、過剰皮脂、化膿性汗腺炎、多毛症、男性型多毛症、高有毛症、アンドロゲン性脱毛症、男性型禿髪症、および他の皮膚の病気の素因となる。抗アンドロゲンは、理論的に、論じられる高アンドロゲン性皮膚疾患を予防するはずであるが、それらは、局所的に適用された場合、毒性、性的副作用、および有効性の不足によって制限される。本発明のSARDは、リガンド依存性およびリガンド非依存性AR活性化を強力に阻害し、(場合によっては)血清中の短い生物学的半減期を有し、局所的に製剤化された本発明のSARDが、全身的副作用のリスクなしに、座瘡、脂漏性皮膚炎、および/または多毛症によって影響される領域に適用され得ることを示唆する。
【0247】
本発明は、座瘡、尋常性座瘡、脂漏症、脂漏性皮膚炎、化膿性汗腺炎(hidradenitis supporativa)、多毛症、男性型多毛症、高有毛症、または脱毛症の治療方法であって、治療上有効な量の式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、もしくはIXBの化合物、または本明細書に記載の任意の化合物を投与することを含む、方法を包含する。
【0248】
本発明は、座瘡、尋常性座瘡、脂漏症、脂漏性皮膚炎、化膿性汗腺炎、多毛症、男性型多毛症、高有毛症、または脱毛症の治療方法であって、治療上有効な量の式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068の化合物を投与することを含む、方法を包含する。
【0249】
本明細書に記載の化合物および/または組成物を使用して、脱毛、脱毛症、アンドロゲン性脱毛症、円形脱毛症、化学療法に起因する脱毛症、放射線療法に起因する脱毛症、瘢痕によって誘導される脱毛症、またはストレスによって誘導される脱毛症を治療することができる。一般に、「脱毛」または「脱毛症」は、非常に一般的な種類の男性型禿髪症と同様の禿髪症を指す。禿髪症は、典型的に頭皮上のパッチ脱毛から始まり、完全禿髪症および更には体毛の喪失へと進行する場合がある。脱毛は、男性および女性の両方に影響する。
【0250】
本発明は、アンドロゲン性脱毛症の治療方法であって、治療上有効な量の式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、もしくはIXBの化合物、または本明細書に記載の任意の化合物を投与することを含む、方法を包含する。
【0251】
本発明は、アンドロゲン性脱毛症の治療方法であって、治療上有効な量の式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068の化合物を投与することを含む、方法を包含する。
【0252】
本発明のSARDはまた、性早熟症、思春期早発症、月経困難症、無月経症、多胞性子宮症候群、子宮内膜症、子宮筋腫、異常子宮出血、早発月経、線維嚢胞性乳腺疾患、子宮の類線維腫、卵巣嚢胞、多嚢胞性卵巣症候群、子癇前症、妊娠子癇、早期分娩、月経前症候群、および/または膣乾燥などの、高アンドロゲン性発病を有し得る、女性におけるホルモン病態の治療にも有用であり得る。
【0253】
本発明は、性早熟症もしくは思春期早発症、月経困難症もしくは無月経症、多胞性子宮症候群、子宮内膜症、子宮筋腫、異常子宮出血、高アンドロゲン性疾患(多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)など)、線維嚢胞性乳腺疾患、子宮の類線維腫、卵巣嚢胞、多嚢胞性卵巣症候群、子癇前症、妊娠子癇、早期分娩、月経前症候群、または膣乾燥の治療方法であって、治療上有効な量の式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、もしくはIXBの化合物、または本明細書に記載の任意の化合物を投与することを含む、方法を包含する。
【0254】
本発明は、性早熟症もしくは思春期早発症、月経困難症もしくは無月経症、多胞性子宮症候群、子宮内膜症、子宮筋腫、異常子宮出血、高アンドロゲン性疾患(多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)など)、線維嚢胞性乳腺疾患、子宮の類線維腫、卵巣嚢胞、多嚢胞性卵巣症候群、子癇前症、妊娠子癇、早期分娩、月経前症候群、または膣乾燥の治療方法であって、治療上有効な量の式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068の化合物を投与することを含む、方法を包含する。
【0255】
本発明は、ホルモン病態の治療、抑制、その発生の低減、その重症度の低減、またはその進行の阻害を必要とする男性における、ホルモン病態の治療、抑制、その発生の低減、その重症度の低減、またはその進行の阻害方法であって、対象に、治療上有効な量の選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物、またはその異性体、薬学的に許容される塩、薬学的製品、多形、水和物、もしくはそれらの任意の組み合わせを投与することを含み、該SARD化合物が、式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、もしくはIXBの構造、または本明細書に記載の任意の化合物によって表される、方法を包含する。一実施形態では、病態は、性機能障害、性欲の減少、勃起不全、性腺機能低下症、サルコペニア、骨減少症、骨粗鬆症、認知および気分の変化、うつ状態、貧血、脱毛、肥満症、良性前立腺肥大症、ならびに/または前立腺癌である。一実施形態では、ホルモン病態には、性腺機能亢進症、性行動亢進、性機能障害、女性化乳房症、男性の性早熟症、認知および気分の変化、うつ状態、脱毛、高アンドロゲン性皮膚障害、前立腺の前癌性病変、良性前立腺肥大症、前立腺癌、ならびに/または他のアンドロゲン依存性癌が含まれるが、これらに限定されない。
【0256】
本発明は、ホルモン病態の治療、抑制、その発生の低減、その重症度の低減、またはその進行の阻害を必要とする男性における、ホルモン病態の治療、抑制、その発生の低減、その重症度の低減、またはその進行の阻害方法であって、治療上有効な量の式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068の化合物、またはその異性体、薬学的に許容される塩、薬学的製品、多形、水和物、もしくはそれらの任意の組み合わせを投与することを含む、方法。一実施形態では、ホルモン病態には、性腺機能亢進症、性行動亢進、性機能障害、女性化乳房症、男性の性早熟症、認知および気分の変化、うつ状態、脱毛、高アンドロゲン性皮膚障害、前立腺の前癌性病変、良性前立腺肥大症、前立腺癌、ならびに/または他のアンドロゲン依存性癌が含まれるが、これらに限定されない。一実施形態では、病態は、性機能障害、性欲の減少、勃起不全、性腺機能低下症、サルコペニア、骨減少症、骨粗鬆症、認知および気分の変化、うつ状態、貧血、脱毛、肥満症、良性前立腺肥大症、ならびに/または前立腺癌である。
【0257】
本発明のSARDはまた、性的倒錯、性行動亢進、性嗜好異常、アンドロゲン精神病、男性化、アンドロゲン不感性症候群(AIS)、例えば完全AIS(CAIS)および部分的AIS(PAIS)の治療、ならびに動物における排卵の改善における有用性も見出す。
【0258】
本発明は、性的倒錯、性行動亢進、性嗜好異常、アンドロゲン精神病、男性化、アンドロゲン不感性症候群の治療方法、または排卵の増加もしくは調節もしくは改善方法であって、治療上有効な量の式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、もしくはIXBの化合物、または本明細書に記載の任意の化合物を投与することを含む、方法を包含する。
【0259】
本発明は、性的倒錯、性行動亢進、性嗜好異常、アンドロゲン精神病、男性化、アンドロゲン不感性症候群の治療方法、または排卵の増加もしくは調節もしくは改善方法であって、治療上有効な量の式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068の化合物を投与することを含む、方法を包含する。
【0260】
本発明のSARDはまた、前立腺癌、乳癌、精巣癌、卵巣癌、肝細胞癌、泌尿生殖器癌などのホルモン依存性癌の治療にも有用であり得る。別の実施形態では、乳癌は、三重陰性乳癌である。更に、局所または全身SARD投与は、前立腺上皮内腫瘍(PIN)および非定型小腺房増殖(ASAP)などのホルモン依存性癌の前駆体の治療に有用であり得る。
【0261】
本発明は、乳癌、精巣癌、子宮癌、卵巣癌、泌尿生殖器癌、前立腺癌の前駆体、またはAR関連もしくはAR発現固形腫瘍の治療方法であって、治療上有効な量の式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの化合物を投与することを含む、方法を包含する。前立腺癌の前駆体は、前立腺上皮内腫瘍(PIN)または非定型小腺房増殖(ASAP)であり得る。腫瘍は、肝細胞癌(HCC)または膀胱癌であり得る。血清テストステロンは、HCCの発達と正の関係があり得る。疫学的、実験的観察、および明白に男性が女性より実質的に高い膀胱癌のリスクを有するという事実に基づいて、アンドロゲンおよび/またはARはまた、膀胱癌の開始においても役割を果たし得る。
【0262】
本発明は、乳癌、精巣癌、子宮癌、卵巣癌、泌尿生殖器癌、前立腺癌の前駆体、またはAR関連もしくはAR発現固形腫瘍の治療方法であって、治療上有効な量の式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068の化合物を投与することを含む、方法を包含する。前立腺癌の前駆体は、前立腺上皮内腫瘍(PIN)または非定型小腺房増殖(ASAP)であり得る。腫瘍は、肝細胞癌(HCC)または膀胱癌であり得る。血清テストステロンは、HCCの発達と正の関係があり得る。疫学的、実験的観察、および明白に男性が女性より実質的に高い膀胱癌のリスクを有するという事実に基づいて、アンドロゲンおよび/またはARはまた、膀胱癌の開始においても役割を果たし得る。
【0263】
エンザルタミド、アパルタミド、ビカルタミド、およびフルタミドなどの従来の抗アンドロゲン、ならびにロイプロリドなどのアンドロゲン遮断療法(ADT)は、前立腺癌における使用が承認されたが、様々な他のホルモン依存性およびホルモン非依存性癌においても抗アンドロゲンを使用することができるという著しい証拠が存在する。例えば、抗アンドロゲンは、乳癌(エンザルタミド、Breast Cancer Res.(2014)16(1):R7)、非小細胞肺癌(shRNAi AR)、腎細胞癌(ASC-J9)、性腺腫瘍およびセミノーマなどの部分型アンドロゲン不感性症候群関連悪性腫瘍、進行膵癌(World J Gastroenterology 20(29),9229)、卵巣癌、卵管癌、または腹膜癌、唾液腺癌(Head and Neck(2016)38,724-731、ADTがAR発現再発性/転移性唾液腺癌において試験され、無進行生存期間および全生存期間エンドポイントに対して利益を有することが確認された)、膀胱癌(Oncotarget 6(30),29860-29876)、Int J Endocrinol(2015),Article ID384860)、膵癌、リンパ腫(マントル細胞を含む)、ならびに肝細胞癌において良好に試験されている。これらの癌におけるSARDなどのより強力な抗アンドロゲンの使用は、これらの癌および他の癌の進行を治療する可能性がある。乳癌、精巣癌、子宮癌、卵巣癌、泌尿生殖器癌、脳癌、皮膚癌、リンパ腫、肝臓癌、腎臓癌、骨肉腫、膵臓癌、子宮内膜癌、肺癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、結腸癌、肛門周囲癌、または中枢神経系癌などの他の癌もまた、SARD治療から利益を得る可能性がある。
【0264】
本発明のSARDはまた、乳癌、脳癌、皮膚癌、卵巣癌、膀胱癌、リンパ腫、肝臓癌、腎臓癌、膵臓癌、子宮内膜癌、肺癌(例えば、NSCLC)、結腸癌、肛門周囲腺腫、骨肉腫、CNS、黒色腫、悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症、および転移性骨疾患などのARを含む、他の癌の治療にも有用であり得る。
【0265】
したがって、本発明は、悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症、転移性骨疾患、脳癌、皮膚癌、膀胱癌、リンパ腫、肝癌、腎癌、骨肉腫、膵癌、子宮内膜癌、肺癌、中枢神経系癌、胃癌、結腸癌、黒色腫、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、および/または子宮類線維症の治療方法であって、治療上有効な量の式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、もしくはIXBの化合物、または本明細書に記載の任意の化合物を投与することを含む、方法を包含する。肺癌は、非小細胞肺癌(NSCLC)であり得る。
【0266】
本発明は、悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症、転移性骨疾患、脳癌、皮膚癌、膀胱癌、リンパ腫、肝癌、腎癌、骨肉腫、膵癌、子宮内膜癌、肺癌、中枢神経系癌、胃癌、結腸癌、黒色腫、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、および/または子宮類線維症の治療方法であって、治療上有効な量の式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068の化合物を投与することを含む、方法を包含する。肺癌は、非小細胞肺癌(NSCLC)であり得る。
【0267】
本発明のSARDはまた、非ホルモン依存性癌の治療にも有用であり得る。ホルモン非依存性癌には、肝癌、唾液管癌などが含まれる。
【0268】
別の実施形態では、本発明のSARDは、胃癌の治療に使用される。別の実施形態では、本発明のSARDは、唾液管癌の治療に使用される。別の実施形態では、本発明のSARDは、膀胱癌の治療に使用される。別の実施形態では、本発明のSARDは、食道癌の治療に使用される。別の実施形態では、本発明のSARDは、膵癌の治療に使用される。別の実施形態では、本発明のSARDは、結腸癌の治療に使用される。別の実施形態では、本発明のSARDは、非小細胞肺癌の治療に使用される。別の実施形態では、本発明のSARDは、腎細胞癌の治療に使用される。
【0269】
ARは、肝細胞癌(HCC)の癌の開始において役割を果たす。したがって、ARを標的とすることは、初期HCCを有する患者にとって適切な治療である可能性がある。後期HCC疾患では、アンドロゲンによって転移が抑制されるという証拠が存在する。別の実施形態では、本発明のSARDは、肝細胞癌(HCC)の治療に使用される。
【0270】
Locati et al.in Head&Neck,2016,724-731は、AR発現再発性/転移性唾液腺癌におけるアンドロゲン遮断療法(ADT)の使用を明示し、ADTによる改善された無進行生存期間および全生存期間を確認した。別の実施形態では、本発明のSARDは、唾液腺癌の治療に使用される。
【0271】
Kawahara et al.in Oncotarget,2015,Vol6(30),29860-29876は、ELK1阻害が、AR不活性化と併せて、膀胱癌の治療アプローチとなる可能性を有することを明示した。McBeth et al.Int J Endocrinology,2015,Vol2015,Article ID384860は、抗アンドロゲン療法と糖質コルチコイドとの組み合わせを膀胱癌の治療として示唆したが、これは、膀胱癌が炎症性病因を有すると考えられているためである。別の実施形態では、本発明のSARDは、任意に糖質コルチコイドと組み合わせて、膀胱癌の治療に使用される。
【0272】
腹部大動脈瘤(AAA)
腹部大動脈瘤(AAA)は、体に血液を供給する主要な血管である大動脈の下部にある拡大した領域である。およそ庭用ホースの太さである大動脈は、心臓から胸部および腹部の中心を通っている。大動脈は、体の主要な血液供給源であるため、破裂した腹部大動脈瘤は、生命を脅かす出血を引き起こす可能性がある。腹部大動脈瘤が成長するサイズおよび速度に応じて、治療は、慎重な経過観察から緊急手術まで異なる。腹部大動脈瘤が見出されると、医師は、それを注意深く監視して、必要に応じて手術を計画することができるようにする。破裂した腹部大動脈瘤の緊急手術は、リスクが高い場合がある。AR遮断(薬理学的または遺伝的)は、AAAを低減する。Davisら(Davis JP,Salmon M,Pope NH,Lu G,Su G,Meher A,Ailawadi G,Upchurch GR Jr.J Vasc Surg(2016)63(6):1602-1612)は、フルタミド(50mg/kg)またはケトコナゾール(150mg/kg)が、ビヒクル(121%)と比較して、ブタ膵エラスターゼ(0.35U/mL)によって誘導されるAAAを84.2%および91.5%軽減することを示した。更に、AR-/-マウスは、野生型と比較して、AAA成長の軽減(64.4%)を示した(両方ともエラスターゼで治療)。これに対応して、AAAに罹患している患者へのSARDの投与は、AAAが手術が必要とされる点まで進行するのを逆転、治療、または遅延させるのに役立つ可能性がある。
【0273】
創傷の治療
創傷および/または潰瘍は、通常は皮膚から突出して、または粘膜表面上に、または臓器内の梗塞の結果として見出される。創傷は、軟性組織の欠陥もしくは病変、または基礎疾患の結果であり得る。「創傷」という用語は、組織構造の正常な完全性の妨害、傷、病変、壊死、および/または潰瘍を伴う体傷害を意味する。「傷」という用語は、皮膚または粘膜の任意の病変を指し、「潰瘍」という用語は、臓器または組織の表面の局所欠陥または陥没を指し、壊死性組織の崩壊によって生成される。「病変」は、一般に任意の組織欠陥を含む。「壊死」は、感染、傷害、炎症、または梗塞から生じる死細胞を指す。これらの全ては、「創傷」という用語によって包含され、任意の治癒が開始される前、または更には外科的切開のような特定の創傷が形成される前の段階(予防的治療)を含む、治癒過程における任意の特定の段階にある任意の創傷を示す。
【0274】
本発明に従って治療され得る創傷の例は、非感染創、挫創、切開創、裂傷、非穿通創(すなわち、皮膚分裂はないが、基底構造への傷害がある創傷)、開放創、穿通創、貫通創、穿刺創、感染創、皮下創などである。傷の例には、床擦れ、口内炎、単純疱疹、褥瘡などが含まれるが、これらに限定されない。潰瘍の例には、消化性潰瘍、十二指腸潰瘍、胃潰瘍、痛風潰瘍、糖尿病性潰瘍、高血圧虚血性潰瘍、うっ血性潰瘍、下腿潰瘍(静脈性潰瘍)、舌下潰瘍、粘膜下潰瘍、症状性潰瘍、栄養障害性潰瘍、熱帯潰瘍、例えば、淋病によって引き起こされる性病性潰瘍(尿道炎、子宮頚内膜炎、および直腸炎を含む)が含まれるが、これらに限定されない。本発明に従って良好に使用され得る創傷または傷に関連する病態には、火傷、炭疽症、破傷風、ガス壊疽、猩紅熱、丹毒、鬚毛瘡、毛包炎、伝染性膿痂疹、水疱性膿痂疹などが含まれるが、これらに限定されない。「創傷」および「潰瘍」または「創傷」および「傷」という用語の使用の間にある程度の重なりがあり、更にこれらの用語は、多くの場合ランダムに使用される。
【0275】
本発明に従って治療されるべき創傷の種類には、i)外科的、外傷的、感染性、虚血性、熱性、化学的、および水疱性創傷などの一般創傷;ii)例えば、抜歯後創傷、特に嚢胞および膿瘍、潰瘍、および細菌性、ウイルス性、または自己免疫性起源、機構的、化学的、熱的、感染性、および苔癬様創傷の病変の治療に関連する歯内治療学的創傷、などの口腔に特異的な創傷(ヘルペス潰瘍、アフタ性口内炎、急性壊死性潰瘍性歯肉炎、および口腔灼熱症候群が、特定の例である)、ならびにiii)例えば、新生物、火傷(例えば、化学的、熱的)、病変(細菌性、ウイルス性、自己免疫性)、咬傷、および外科的切開などの皮膚上の創傷も含まれる。創傷を分類する別の方法は、組織損失によるものであり、i)(外科的切開、小擦傷、および小咬傷に起因する)わずかな組織損失、またはii)著しい組織損失である。後者の群には、虚血性潰瘍、褥瘡、瘻孔、裂傷、重症咬傷、熱火傷、およびドナー部位創傷(軟組織および硬組織中)、ならびに梗塞が含まれる。その他の創傷には、虚血性潰瘍、褥瘡、瘻孔、重症咬傷、熱火傷、またはドナー部位創傷が含まれる。
【0276】
虚血性潰瘍および褥瘡は、通常は、非常にゆっくり治癒する創傷であり、特にそのような場合、改善されたより急速な治癒が、患者にとって非常に重要である。更に、そのような創傷を負っている患者の治療にかかる費用は、治癒が改善され、より急速に起こる場合に顕著に低減する。
【0277】
ドナー部位創傷は、例えば、身体の一部分から身体の別の部分への硬組織の除去に関連して、例えば、移植に関連して起こる創傷である。そのような手術から生じる創傷は、非常に痛いため、改善された治癒が最も大切である。
【0278】
1つの場合では、治療されるべき創傷は、非感染性創傷、梗塞、挫創、切開創傷、裂傷、穿通創、開放創、穿通創、貫通創、穿刺創、感染創、および皮下創からなる群から選択される。
【0279】
本発明は、創傷に罹患している対象の治療方法であって、対象に、治療上有効な量の式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、もしくはIXBの化合物、その薬学的に許容される塩、またはその薬学的組成物を投与することを含む、方法を包含する。
【0280】
本発明は、創傷に罹患している対象の治療方法であって、対象に、治療上有効な量の式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068の化合物、その薬学的に許容される塩、またはその薬学的組成物を投与することを含む、方法を包含する。
【0281】
本発明は、火傷に罹患している対象の治療方法であって、対象に、治療上有効な量の式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、もしくはIXBの化合物、その薬学的に許容される塩、またはその薬学的組成物を投与することを含む、方法を包含する。
【0282】
本発明は、火傷に罹患している対象の治療方法であって、対象に、治療上有効な量の式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068の化合物、その薬学的に許容される塩、またはその薬学的組成物を投与することを含む、方法を包含する。
【0283】
「皮膚」という用語は、皮膚の表皮層、および皮膚表面が多少傷害されている場合は皮膚の真皮層も包含して非常に広義に使用される。角質層とは別に、皮膚の表皮層は、皮膚の外部(上皮)層であり、より深い結合組織層は、真皮と呼ばれる。
【0284】
皮膚は、身体の最も露出した部分であるため、例えば、裂傷、切傷、擦傷、火傷、および凍傷などの様々な種類の傷害、または様々な疾患から生じる傷害を特に受けやすい。更に、多くの皮膚が、しばしば事故において破壊される。しかしながら、皮膚の重要な障壁および生理的機能に起因して、皮膚の完全性は、個体の健康にとって重要であり、いかなる破傷または裂傷も、その継続した存在を保護するために身体によって満たされなければならない脅威を表す。
【0285】
皮膚上の傷害とは別に、あらゆる種類の組織(すなわち、軟組織および硬組織)に傷害が存在する場合もある。粘膜および/または皮膚を含む軟組織上の傷害は、特に本発明と関連する。
【0286】
皮膚上または粘膜上の創傷の治癒は、一連の段階を経て、皮膚または粘膜の修復または再生のいずれかをもたらす。近年、再生および修復は、起こり得る2種類の治癒として区別されてきた。再生は、喪失した組織の構造および機能が完全に新生される生物学的過程として定義され得る。一方で修復は、崩壊した組織の継続性が、喪失した組織の構造および機能を複製しない新たな組織によって回復される生物学的過程である。
【0287】
創傷の大半は、修復を通じて治癒し、形成された新たな組織が、元の組織(瘢痕組織)とは構造的かつ化学的に異なることを意味する。組織修復の早期において、ほぼ常に関与する1つの過程は、組織傷害の領域における一過性結合組織の形成である。この過程は、線維芽細胞による新たな細胞外コラーゲンマトリクスの形成によって開始する。次いで、この新たな細胞外コラーゲンマトリクスは、最終治癒過程中の結合組織の支持体である。最終治癒は、大部分の組織において、結合組織を含有する瘢痕形成である。例えば、皮膚および骨などの再生特性を有する組織において、最終治癒には、元の組織の再生が含まれる。この再生された組織はまた、いくつかの瘢痕特徴、例えば、治癒した骨折の厚化を頻繁に有する。
【0288】
通常の状況下で、身体は、皮膚障壁または粘膜の完全性を回復するために、傷ついた皮膚または粘膜を治癒するための機構を提供する。わずかな裂傷または創傷の修復過程であっても、数時間および数日から数週間に及ぶ期間を要し得る。しかしながら、潰瘍形成において、治癒は非常に遅い可能性があり、創傷が長期間、すなわち数ヶ月または更には数年にわたって持続し得る。
【0289】
火傷は、低減したテストステロンレベルと関連し、性腺機能不全症は、遅延した創傷治癒と関連する。本発明は、本発明による少なくとも1つのSARD化合物を投与することによる、創傷または火傷に罹患している対象を治療するための方法を包含する。SARDは、火傷もしくは創傷の解消を促進するか、火傷もしくは創傷の治癒過程に関与するか、または火傷もしくは創傷の二次的合併症を治療することができる。
【0290】
火傷または創傷の治療は、創傷治癒を促進する、上皮成長因子(EGF)、形質転換成長因子-α(TGF-α)、血小板由来成長因子(PDGF)、酸性線維芽細胞成長因子(α-FGF)および塩基性線維芽細胞成長因子(β-FGF)を含む線維芽細胞成長因子(FGF)、形質転換成長因子-β(TGF-β)、ならびにインスリン様成長因子(IGF-1およびIGF-2)、またはそれらの組み合わせなどの少なくとも1つの成長因子を更に使用し得る。
【0291】
創傷治癒は、創傷引張強度、ヒドロキシプロリンもしくはコラーゲン含有量、プロコラーゲン発現、または再上皮化を含むがこれらに限定されない、当該技術分野で既知の多くの手順によって測定され得る。例として、本明細書に記載のSARDは、1日当たり約0.1~100mgの投与量で経口または局所投与され得る。治療効果は、SARD化合物の不在下と比較して、創傷治癒を増強する効果として測定される。強化された創傷治癒は、治癒時間の減少、コラーゲン密度の増加、ヒドロキシプロリンの増加、合併症の低減、引張強度の増加、および瘢痕組織の細胞性の増加などの既知の技法によって測定され得る。
【0292】
「発病を低減する」という用語は、特定の疾患、障害、または病態に関連する組織損傷または臓器損傷を低減することを包含することと理解されるものとする。この用語は、問題となるものに関連する疾患、障害、もしくは病態の発生もしくは重症度を低減すること、または示される症状もしくはそれに関連する症状に関連する疾患、障害、もしくは病態の数を低減することを含み得る。
【0293】
薬学的組成物
本発明の化合物は、薬学的組成物に使用することができる。本明細書で使用される場合、「薬学的組成物」は、薬学的に許容される担体または希釈剤を有する活性成分の化合物または薬学的に許容される塩のいずれかを意味する。本明細書で使用される場合、「治療上有効な量」は、所与の適応症および投与計画に治療効果を提供する量を指す。
【0294】
本明細書で使用される場合、「投与する」という用語は、対象を本発明の化合物と接触させることを指す。本明細書で使用される場合、投与は、インビトロ、すなわち試験管内で、またはインビボ、すなわち生きた生物、例えばヒトの細胞もしくは組織内で達成され得る。対象は、男性もしくは女性の対象、またはその両方であり得る。
【0295】
本発明の化合物の投与に好適な様々な組成物または製剤を調製するための手順を説明する、多くの標準対照が使用可能である。製剤および調製物の製造方法の例は、Handbook of Pharmaceutical Excipients,American Pharmaceutical Association(現行版)、Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets(Lieberman,Lachman and Schwartz,editors)(現行版、Marcel Dekker,Inc.による出版)、およびRemington’s Pharmaceutical Sciences(Arthur Osol,editor),1553-1593(現行版)に見出すことができる。
【0296】
投与モードおよび剤形は、所与の治療適用に望ましく有効である化合物または組成物の治療量に密接に関連する。
【0297】
本発明の薬学的組成物は、当業者に知られている任意の方法によって対象に投与することができる。これらの方法には、経口、非経口、血管内、傍癌、経粘膜、経皮、筋肉内、鼻腔内、静脈内、皮内、皮下、舌下、腹腔内、脳室内、頭蓋内、膣内、吸入、直腸、または腫瘍内が含まれるが、これらに限定されない。これらの方法には、組成物を組織に送達することができる任意の手段(例えば、針またはカテーテル)が含まれる。代替的に、皮膚、眼、または粘膜表面への適用のために局所投与が望ましい場合がある。別の投与方法は、吸引またはエアロゾル製剤によるものである。薬学的組成物は、体表面に局所投与されてもよく、したがって局所投与に好適な形態で製剤化される。好適な局所製剤には、ゲル、軟膏、クリーム、ローション、ドロップなどが含まれる。局所投与のために、組成物は、薬学的担体の有無にかかわらず、生理学的に許容される希釈剤中の溶液、懸濁液、またはエマルジョンとして調製および適用される。
【0298】
好適な剤形には、経口、直腸、舌下、粘膜、鼻腔、眼、皮下、筋肉内、静脈内、経皮、脊髄、髄腔内、関節内、動脈内、くも膜下、気管支、リンパ、および子宮内投与、ならびに活性成分の全身送達のための他の剤形が含まれるが、これらに限定されない。適応症に応じて、経口または局所投与に好適な製剤が好ましい。
【0299】
局所投与:式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの化合物は、局所投与することができる。本明細書で使用される場合、「局所投与」は、式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの化合物(および任意の担体)の、皮膚および/または毛髪への直接適用を指す。
【0300】
式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068の化合物は、局所投与することができる。一実施形態では、本明細書で使用される場合、「局所投与」は、式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068(ならびに任意の担体)の化合物の、皮膚および/または毛髪への直接適用を指す。
【0301】
本局所組成物は、溶液、ローション、膏薬、クリーム、軟膏、リポソーム、スプレー、ゲル、泡沫剤、ローラースティック、および皮膚科学において日常的に使用される任意の他の製剤の形態であり得る。
【0302】
局所投与は、多毛症、脱毛症、座瘡、および過剰皮脂などの皮膚に見出される適応症に使用される。用量は異なるが、一般的なガイドラインとして、化合物は、皮膚科学的に許容される担体中に、約0.01~50w/w%、より典型的には約0.1~10w/w%の量で存在する。典型的に、皮膚調製物は、罹患した領域に1日1~4回適用される。「皮膚科学的に許容される」は、皮膚または毛髪に適用され得る担体を指し、薬物が作用部位に拡散するのを可能にする。より具体的には、「作用部位」、それは、アンドロゲン受容体の阻害またはアンドロゲン受容体の分解が望まれる部位を指す。
【0303】
式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの化合物を局所的に使用して、脱毛症、特にアンドロゲン性脱毛症を軽減することができる。
【0304】
式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068の化合物を局所的に使用して、脱毛症、特にアンドロゲン性脱毛症を軽減することができる。
【0305】
アンドロゲンは、毛髪成長および脱毛の両方に甚大な影響を及ぼす。髭および陰毛などの大部分の身体部位において、アンドロゲンは、毛髪サイクルの成長相(成長期)を延長し、毛包サイズを増加させることによって毛髪成長を刺激する。頭皮上の毛髪成長は、アンドロゲンを必要としないが、逆説的に、アンドロゲンは、遺伝子的に素因がある個人における頭皮上の禿髪(アンドロゲン性脱毛症)に必須であり、成長期の期間および毛包サイズの漸進性減少が存在する。アンドロゲン性脱毛症は、女性においても一般的であり、通常は男性に見られるパターン化を示すのではなく拡散した脱毛として提示する。
【0306】
式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの化合物は、最も典型的にはアンドロゲン性脱毛症の軽減に使用されるが、この化合物を使用して、任意の種類の脱毛症を軽減することができる。
【0307】
式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068の化合物は、最も典型的にはアンドロゲン性脱毛症の軽減に使用され、この化合物を更に使用して、任意の種類の脱毛症を軽減することができる。
【0308】
非アンドロゲン性脱毛症の例には、円形脱毛症、放射線療法もしくは化学療法に起因する脱毛症、瘢痕性脱毛症、またはストレス関連脱毛症が含まれるが、これらに限定されない。
【0309】
式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの化合物を頭皮および毛髪に局所的に適用して、禿髪を予防または治療することができる。更に、式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの化合物を局所的に適用して、頭皮上の毛髪の成長または再成長を誘導または促進することができる。
【0310】
式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068の化合物を頭皮および毛髪に局所的に適用して、禿髪を予防または治療することができる。更に、式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068の化合物を局所的に適用して、頭皮上の毛髪の成長または再成長を誘導または促進することができる。
【0311】
本発明は更に、式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの化合物を局所投与して、毛髪成長が望ましくない領域におけるそのような毛髪の成長を治療または予防することを包含する。
【0312】
本発明はまた、式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068の化合物を局所投与して、毛髪成長が望ましくない領域におけるそのような毛髪の成長を治療または予防することを包含する。そのような使用の1つは、多毛症を軽減することになる。多毛症は、典型的には毛髪を有しない領域(例えば、女性の顔)における過剰な毛髪成長である。そのような不適切な毛髪成長は、女性において最も一般的であり、閉経時に頻繁に見られる。式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068の化合物の局所投与は、この不適切または望まれない毛髪成長の低減または排除につながるこの病態を軽減する。式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの化合物の局所投与は、この不適切または望まれない毛髪成長の低減または排除につながるこの病態を軽減する。
【0313】
式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの化合物を局所的に使用して、皮脂生成を減少させることができる。式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068の化合物を局所的に使用して、皮脂生成を減少させることもできる。皮脂は、トリグリセリド、蝋エステル、脂肪酸、ステロールエステル、およびスクアレンで構成される。皮脂は、皮脂腺の腺房細胞内で生成され、これらの細胞が老化するにつれて蓄積する。成熟時に、腺房細胞は溶解し、皮脂を管腔に放出し、それにより皮膚の表面上に堆積され得る。
【0314】
いくつかの個体において、過剰量の皮脂が皮膚の上に分泌される。これは、多くの有害結果を有し得る。皮脂は、座瘡の原因物質であるPropionbacterium acneの主要な食餌源であるため、座瘡を悪化させ得る。それが皮膚に脂ぎった外観をもたらし得、通常は審美的に魅力がないとみなされる。
【0315】
皮脂の形成は、成長因子およびアンドロゲンを含む様々なホルモンによって調節される。アンドロゲンが皮脂腺に対して影響を及ぼす細胞および分子機構は、完全に解明されていない。しかしながら、臨床実験は、アンドロゲンが皮脂生成に対して及ぼす影響を証明する。皮脂生成は、アンドロゲンレベルが最高となる思春期の間に著しく増加する。式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068の化合物は、皮脂の分泌を阻害するため皮膚の表面上の皮脂量を低減する。式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068の化合物を使用して、座瘡または脂漏性皮膚炎などの様々な皮膚疾患を治療することができる。更に、式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの化合物は、皮脂の分泌を阻害するため皮膚の表面上の皮脂量を低減する。式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの化合物を使用して、座瘡または脂漏性皮膚炎などの様々な皮膚疾患を治療することができる。
【0316】
過剰皮脂生成に関連する疾患の治療に加えて、式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068の化合物を使用して、審美的効果を達成することもできる。一部の消費者は、彼らが過剰活性した皮脂腺を患っていると考えている。彼らは、皮膚が油性であるため魅力的でないと感じている。これらの個人は、式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068の化合物を使用して、彼らの皮膚上の皮脂量を減少させることができる。皮脂の分泌を減少させることは、そのような病態に罹患している個人において、油性皮膚を軽減する。
【0317】
更に、過剰皮脂生成に関連する疾患の治療に加えて、式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの化合物を使用して、審美的効果を達成することもできる。一部の消費者は彼らが過剰活性した皮脂腺を患っていると考えており、彼らが皮膚が油性であるため魅力的でないと感じている場合、これらの個人は、式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの化合物を使用して、彼らの皮膚上の皮脂量を減少させることができる。
【0318】
これらの局所適応症を治療するために、本発明は、式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068の化合物のうちの少なくとも1つを含む審美的または薬学的組成物(皮膚組成物など)を更に包含する。本発明はまた、式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの化合物のうちの少なくとも1つを含む審美的または薬学的組成物(皮膚組成物など)も包含する。そのような皮膚組成物は、皮膚科学的に許容される担体との混和物中に0.001%~10%w/w%の化合物(複数可)、より典型的には0.1~5w/w%の化合物を含有する。そのような組成物は、典型的に1日1~4回適用される。そのような製剤の調製方法に関する考察について、読者の関心は、Remington′s Pharmaceutical Science,Edition 17,Mark Publishing Co.,Easton,PAに向けられる。
【0319】
本発明の組成物はまた、洗浄石鹸またはバーなどの固形調製物も含み得る。これらの組成物は、当該技術分野で既知の方法に従って調製される。
【0320】
水性、アルコール性、もしくは水性アルコール溶液、またはクリーム、ゲル、エマルジョンもしくはムース、または噴射剤を有するエアロゾル組成物などの製剤を使用して、毛髪が存在する場所で生じる適応症を治療することができる。したがって、本組成物はまた、毛髪ケア組成物であり得る。そのような毛髪ケア組成物には、シャンプー、ヘアセットローション、治療ローション、スタイリングクリームもしくはゲル、染料組成物、または脱毛予防用ローションもしくはゲルが含まれるが、これらに限定されない。皮膚組成物中の様々な成分の量は、考慮される分野で従来使用されているものである。
【0321】
式44~46、98、300~308、1050~1064、および1068の化合物を含有する薬剤および審美剤はまた、典型的には小売流通用にも包装される(すなわち、製造品(article of manufacture))。式I~IX、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、VIIB、VIIIA、VIIIB、IXA、またはIXBの化合物を含有する薬剤および審美剤はまた、典型的には小売流通用にも包装される(すなわち、製造品)。そのような物品は、製品の使用方法を患者に説明する様式でラベル化され、包装される。そのような説明には、治療される病態、治療期間、投与スケジュールなどが含まれる。
【0322】
フィナステリドまたはフルタミドなどの抗アンドロゲンは、皮膚においてある程度、アンドロゲン活性を減少させるか、またはアンドロゲン作用を遮断するが、望まれない全身効果を被ることが示されてきた。代替アプローチは、選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物を罹患した領域に局所的に適用することである。そのようなSARD化合物は、AR活性の強力であるが局所的な阻害、およびARの局所的な分解を示し、対象の全身循環に浸透しないか、または血液に入ると急速に代謝され、全身曝露を制限する。
【0323】
そのような薬学的剤形を調製するために、活性成分を、従来の薬学的化合技法に従って薬学的担体と混合することができる。担体は、投与に望まれる調製形態に応じて多種多様な形態を取り得る。
【0324】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体または希釈剤」は、当業者に周知である。担体または希釈剤は、固形製剤のための固形担体もしくは希釈剤、液体製剤のための液体担体もしくは希釈剤、またはそれらの混合物であり得る。
【0325】
固形担体/希釈剤には、ガム、デンプン(例えば、トウモロコシデンプン、アルファ化デンプン)、糖(例えば、ラクトース、マンニトール、スクロース、デキストロース)、セルロース材料(例えば、微結晶セルロース)、アクリレート(例えば、ポリメチルアクリレート)、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、タルク、またはそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0326】
経口および非経口投与:経口剤形の組成物の調製において、通常の薬学的溶媒のうちのいずれかを用いることができる。したがって、懸濁液、エリキシル、および溶液などの液体経口調製物の場合、好適な担体および添加剤には、水、グリコール、油、アルコール、香味剤、保存剤、着色剤などが含まれる。粉末、カプセル、および錠剤などの固形経口調製物の場合、好適な担体および添加剤には、デンプン、糖、希釈剤、造粒剤、潤沢剤、結合剤、崩壊剤などが含まれる。投与の容易さに起因して、錠剤およびカプセルは、最も有益な経口投与単位形態を表す。望まれる場合、錠剤は、標準技法によって糖コーティングまたは腸溶性コーティングされてもよい。
【0327】
非経口製剤の場合、担体は、典型的には滅菌水を含むが、溶解性を助ける成分または保存のための成分などの他の成分が含まれてもよい。注射剤は、適切な安定剤が用いられ得る場合に調整されてもよい。
【0328】
いくつかの適用において、例えば、リポソームもしくは他の封止剤培地中の活性剤のカプセル化によって、または例えば、タンパク質、リポタンパク質、糖タンパク質、および多糖類などの好適な生分子上の二価結合、キレート化、もしくは会合配位による活性剤の固定によって、「ベクトル化」形態の活性剤を用いることが有益であり得る。
【0329】
経口投与に好適な製剤を使用する治療方法は、カプセル、カシェット、錠剤、または舐剤などの別個の単位として提示されてもよく、各々が、既定量の活性成分を含有する。任意に、シロップ、エリキシル、エマルジョン、またはドラフトなどの水性アルコールまたは非水性液体中の懸濁液が用いられてもよい。
【0330】
錠剤は、圧縮もしくは成形、または湿式造粒によって、任意に1つ以上の副成分と共に作製することができる。圧縮錠剤は、好適な機械において、例えば、結合剤、崩壊剤、潤沢剤、不活性希釈剤、表面活性剤、または抜染剤と任意に混合される、粉末または顆粒などの自由流動形態である活性化合物と共に圧縮することによって調製することができる。粉末状活性化合物と、好適な担体との混合物で構成される成形錠剤は、好適な機械において成形することによって作製することができる。
【0331】
シロップは、活性化合物を、糖、例えばスクロースの濃縮水溶液に添加することによって作製することができ、これに任意の副成分(複数可)が添加されてもよい。そのような副成分(複数可)には、香味剤、好適な保存剤、糖の結晶化を遅延させる薬剤、およびポリヒドロキシアルコールなどの任意の他の成分の可溶性を高める薬剤、例えば、グリセロールまたはソルビトールが含まれ得る。
【0332】
非経口投与に好適な製剤は、好ましくはレシピエントの血液と等張性である活性化合物の滅菌水性調製物(例えば、生理食塩液)を含み得る。そのような製剤には、化合物が血液成分または1つ以上の臓器を標的とするように設計された、懸濁剤および増粘剤、ならびにリポソームまたは他の微粒子系が含まれ得る。これらの製剤は、単位用量または多用量形態で提示され得る。
【0333】
非経口投与は、全身送達の任意の好適な形態を含み得る。投与は、例えば、静脈内、動脈内、髄腔内、筋肉内、皮下、筋肉内、腹内(例えば、腹腔内)などであり得、注入ポンプ(外部もしくは埋込型)または望まれる投与形態に適切な任意の他の好適な手段によって行うことができる。
【0334】
経鼻および他の粘膜スプレー製剤(例えば、吸入形態)は、活性化合物の精製水溶液を、保存剤および等張剤と共に含み得る。そのような製剤は、好ましくは、鼻膜または他の粘膜と一致するpHおよび等張錠剤に調整される。代替的に、それらは、ガス担体中に懸濁された細分化固形粉末の形態であり得る。そのような製剤は、任意の好適な手段または方法によって、例えば、噴霧器、霧化器、計量吸入器などによって送達され得る。
【0335】
直腸投与のための製剤は、ココアバター、硬化脂肪、または硬化脂肪カルボン酸などの好適な担体と共に、坐薬として提示され得る。
【0336】
経皮製剤は、活性剤を、セルロース培地、例えばメチルセルロースまたはヒドロキシエチルセルロースなどのチキソトロピックまたはゼラチン質担体に組み込むことによって調製することができ、結果として得られる製剤は、着用者の肌と皮膚接触して固定されるように適応された経皮デバイスに封入される。
【0337】
前述の成分に加えて、本発明の製剤は、希釈剤、緩衝液、香味剤、結合剤、崩壊剤、表面活性剤、増粘剤、潤沢剤、保存剤(抗酸化剤を含む)などから選択される1つ以上の成分を更に含んでもよい。
【0338】
製剤は、即時放出、持続放出、遅発性放出、または当業者に既知の任意の他の放出プロファイルのものであり得る。
【0339】
哺乳動物、特にヒトへの投与の場合、医師が、個人に最も好適となり、特定個人の年齢、体重、遺伝学、および/または応答によって異なり得る、実際の投与量および治療期間を決定することが予想される。
【0340】
本発明の方法は、治療上有効な量の化合物の投与を含む。治療上有効な量は、様々な投与量を含み得る。
【0341】
一実施形態では、本発明の化合物は、1日当たり1~3000mgの投与量で投与される。追加の実施形態では、本発明の化合物は、1日当たり1~10mg、1日当たり3~26mg、1日当たり3~60mg、1日当たり3~16mg、1日当たり3~30mg、1日当たり10~26mg、1日当たり15~60mg、1日当たり50~100mg、1日当たり50~200mg、1日当たり100~250mg、1日当たり125~300mg、1日当たり20~50mg、1日当たり5~50mg、1日当たり200~500mg、1日当たり125~500mg、1日当たり500~1000mg、1日当たり200~1000mg、1日当たり1000~2000mg、1日当たり1000~3000mg、1日当たり125~3000mg、1日当たり2000~3000mg、1日当たり300~1500mg、または1日当たり100~1000mgの用量で投与される。一実施形態では、本発明の化合物は、1日当たり25mgの投与量で投与される。一実施形態では、本発明の化合物は、1日当たり40mgの投与量で投与される。一実施形態では、本発明の化合物は、1日当たり50mgの投与量で投与される。一実施形態では、本発明の化合物は、1日当たり67.5mgの投与量で投与される。一実施形態では、本発明の化合物は、1日当たり75mgの投与量で投与される。一実施形態では、本発明の化合物は、1日当たり80mgの投与量で投与される。一実施形態では、本発明の化合物は、1日当たり100mgの投与量で投与される。一実施形態では、本発明の化合物は、1日当たり125mgの投与量で投与される。一実施形態では、本発明の化合物は、1日当たり250mgの投与量で投与される。一実施形態では、本発明の化合物は、1日当たり300mgの投与量で投与される。一実施形態では、本発明の化合物は、1日当たり500mgの投与量で投与される。一実施形態では、本発明の化合物は、1日当たり600mgの投与量で投与される。一実施形態では、本発明の化合物は、1日当たり1000mgの投与量で投与される。一実施形態では、本発明の化合物は、1日当たり1500mgの投与量で投与される。一実施形態では、本発明の化合物は、1日当たり2000mgの投与量で投与される。一実施形態では、本発明の化合物は、1日当たり2500mgの投与量で投与される。一実施形態では、本発明の化合物は、1日当たり3000mgの投与量で投与される。
【0342】
本方法は、様々な投与量の化合物を投与することを含み得る。例えば、化合物は、3mg、10mg、30mg、40mg、50mg、80mg、100mg、120mg、125mg、200mg、250mg、300mg、450mg、500mg、600mg、900mg、1000mg、1500mg、2000mg、2500mg、または3000mgの投与量で投与され得る。
【0343】
代替的に、化合物は、0.1mg/kg/日の投与量で投与され得る。化合物は、0.2~30mg/kg/日、または0.2mg/kg/日、0.3mg/kg/日、1mg/kg/日、3mg/kg/日、5mg/kg/日、10mg/kg/日、20mg/kg/日、30mg/kg/日、50mg/kg/日、もしくは100mg/kg/日の投与量で投与され得る。
【0344】
薬学的組成物は、固形剤形、溶液、または経皮パッチであり得る。固形剤形には、錠剤およびカプセルが含まれるが、これらに限定されない。
【0345】
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態をより完全に例示するために提示される。しかしながら、それらは決して本発明の広い範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【実施例】
【0346】
実施例1
SARDの合成
中間体9-10の合成
【化26】
スキーム1.中間体9-10の合成
(2R)-1-メタクリロイルピロリジン-2-カルボン酸(2)
D-プロリン(1、14.93g、0.13mol)を、71mLの2N NaOHに溶解し、氷浴で冷却した。結果として得られるアルカリ溶液を、アセトン(71mL)で希釈した。メタクリロイルクロリド(13.56g、0.13mol)のアセトン溶液(71mL)および2N NaOH溶液(71mL)を、40分かけて氷浴中のD-プロリンの水溶液に同時に添加した。混合物の温度を、メタクリロイルクロリドの添加中に10~11度で保持した。撹拌後(3時間(h)、室温(RT))、混合物を真空下、35~45℃の温度で蒸発させて、アセトンを除去した。結果として得られる溶液を、エチルエーテルで洗浄し、濃縮HClでpH2に酸性化した。酸性混合物を、NaClで飽和させ、EtOAc(100mL×3)で抽出した。複合抽出物を、Na
2SO
4上で乾燥させ、Celite(登録商標)で濾過し、真空下で蒸発させて粗生成物を無色の油として得た。エチルエーテルおよびヘキサンからの油の再結晶化から、16.2(68%)の所望の化合物を無色の結晶として得た。mp102.1~103.4℃(lit.mp102.5~103.5℃)、本化合物のNMRスペクトルは、表題の化合物の2つの回転異性体の存在を明示した。
【0347】
1H NMR(300 MHz、DMSO-d6)δ5.28(s)および5.15(s)最初の回転異性体、5.15(s)および5.03(s)2番目の回転異性体(両方の回転異性体で合計2H、ビニルCH2)、最初の回転異性体の場合は4.48-4.44、2番目の回転異性体の場合は4.24-4.20(m)(両方の回転異性体で合計1H、キラル中心のCH)、3.57-3.38(m、2H、CH2)、2.27-2.12(1H、CH)、1.97-1.72(m、6H、CH2、CH、Me);13 C NMR(75 MHz、DMSO-d6)δ主回転異性体173.3、169.1、140.9、116.4、58.3、48.7、28.9、24.7、19.5:副回転異性体174.0、170.0、141.6、115.2、60.3、45.9、31.0、22.3、19.7;IR(KBr)3437(OH)、1737(C=O)、1647(CO、COOH)、1584、1508、1459、1369、1348、1178 cm-1;[α]D
26+80.8°(c=1、MeOH);分析C9H13NO3の計算値:C59.00、H7.15、N7.65。実測値:C59.13、H7.19、N7.61。
【0348】
(3R,8aR)-3-ブロモメチル-3-メチル-テトラヒドロ-ピロロ[2,1-c][1,4]オキサジン-1,4-ジオン(3)
100mLのDMF中のNBS(23.5g、0.132mol)の溶液を、70mLのDMF中の(メチル-アクロイル)-ピロリジン(16.1g、88mmol)の撹拌溶液にアルゴン下、室温で滴下添加し、結果として得られる混合物を3日間撹拌した。溶媒を真空下で除去し、黄色固体を沈殿させた。固体を水に懸濁し、一晩室温で撹拌し、濾過し、乾燥させて、18.6g(81%)(約34%まで乾燥させた場合、より小さい重量)の表題の化合物を黄色固体として得た。mp 158.1~160.3℃;
【0349】
1H NMR(300 MHz、DMSO-d6)δ4.69(dd、J=9.6 Hz、J=6.7 Hz、1H、キラル中心のCH)、4.02(d、J=11.4 Hz、1H、CHHa)、3.86(d、J=11.4 Hz、1H、CHH b)、3.53-3.24(m、4H、CH2)、2.30-2.20(m、1H、CH)、2.04-1.72(m、3H、CH2およびCH)、1.56(s、2H、Me);13C NMR(75 MHz、DMSO-d6)δ167.3、163.1、83.9、57.2、45.4、37.8、29.0、22.9、21.6;IR(KBr)3474、1745(C=O)、1687(C=O)、1448、1377、1360、1308、1227、1159、1062 cm-1;[α]D
26+124.5°(c=1.3、クロロホルム);分析C9H12BrNO3の計算値:C41.24、H4.61、N5.34。実測値:C41.46、H4.64、N5.32。
【0350】
(2R)-3-ブロモ-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン酸(4)
300mLの24%HBr中のブロモラクトン(18.5g、71mmol)の混合物を、1時間加熱還流した。結果として得られる溶液をブライン(200mL)で希釈し、酢酸エチル(100mL×4)で抽出した。複合抽出物を、飽和NaHCO3(100mL×4)で洗浄した。水溶液を、濃縮HClでpH=1に酸性化し、次に酢酸エチル(100mL×4)で抽出した。複合有機溶液を、Na2SO4上で乾燥させ、Celite(登録商標)で濾過し、真空下で蒸発乾燥させた。トルエンからの再結晶化から、10.2g(86%)の所望の化合物を無色の結晶として得た。mp 110.3~113.8℃;
【0351】
1H NMR(300 MHz、DMSO-d6)δ3.63(d、J=10.1 Hz、1H、CHHa)、3.52(d、J=10.1 Hz、1H、CHHb)、1.35(s、3H、Me);IR(KBr)3434(OH)、3300-2500(COOH)、1730(C=O)、1449、1421、1380、1292、1193、1085 cm-1;[α]D
26+10.5°(c=2.6、MeOH);分析C4H7BrO3の計算値:C26.25、H3.86。実測値:C26.28、H3.75。
【0352】
(2R)-3-ブロモ-N-[4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(8)
塩化チオニル(46.02g、0.39mol)を、300mLのTHF中の(R)-3-ブロモ-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン酸(4、51.13g、0.28mol)の冷却溶液(4℃未満)にアルゴン雰囲気下で滴下添加した。結果として得られる混合物を、同じ条件下で3時間撹拌した。これにEt3N(39.14g、0.39mol)を添加し、同じ条件下で20分間撹拌した。20分後、5-アミノ-2-シアノベンゾトリフルオリド(6、40.0g、0.21mol)、400mLのTHFを添加し、次いで混合物を室温で一晩撹拌させた。溶媒を減圧下で除去して固体を得て、これを300mLのH2Oで処理し、EtOAc(2×400mL)で抽出した。複合有機抽出物を、飽和NaHCO3溶液(2×300mL)およびブライン(300mL)で洗浄した。有機層をMgSO4上で乾燥させ、減圧下で濃縮して固体を得て、これをCH2Cl2/EtOAc(80:20)を使用するカラムクロマトグラフィーから精製して固体を得た。この固体を、CH2Cl2/ヘキサンから再結晶化して、55.8g(73.9%)の(2R)-3-ブロモ-N-[4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミドを薄黄色の固体として得た。
1H NMR(CDCl3/TMS)δ1.66(s、3H、CH3)、3.11(s、1H、OH)、3.63(d、J=10.8 Hz、1H、CH2)、4.05(d、J=10.8 Hz、1H、CH2)、7.85(d、J=8.4 Hz、1H、ArH)、7.99(dd、J=2.1、8.4 Hz、1H、ArH)、8.12(d、J=2.1 Hz、1H、ArH)、9.04(bs、1H、NH)。MS(ESI)349.0[M-H]-;mp124-126℃。
【0353】
(2R)-3-ブロモ-N-(4-シアノ-3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(7)
アルゴン雰囲気下で、塩化チオニル(15mL、0.20mol)を、氷水浴で300mLのTHF中の(R)-3-ブロモ-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン酸(4、24.3g、0.133mol)の冷却溶液(4℃未満)に滴下添加した。結果として得られる混合物を、同じ条件下で3時間撹拌した。これにEt3N(35mL、0.245mol)を添加し、同じ条件下で20分間撹拌した。20分後、100mLのTHF中の4-アミノ-2-クロロベンゾニトリル(5、15.6g、0.10mol)を添加し、次いで混合物を室温で一晩撹拌させた。溶媒を減圧下で除去して固体を得て、これを300mLのH2Oで処理し、EtOAc(2×150mL)で抽出した。複合有機抽出物を、飽和NaHCO3溶液(2×150mL)およびブライン(300mL)で洗浄した。有機層をMgSO4上で乾燥させ、減圧下で濃縮して固体を得て、これをCH2Cl2/EtOAc(80:20)を使用するフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して固体を得た。この固体を、CH2Cl2/ヘキサンから再結晶化して、31.8g(73%)の(2R)-3-ブロモ-N-(4-シアノ-3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(7)を薄黄色の固体として得た。
1H NMR(CDCl3、400MHz)δ1.7(s、3H、CH3)、3.0(s、1H、OH)、3.7(d、1H、CH)、4.0(d、1H、CH)、7.5(d、1H、ArH)、7.7(d、1H、ArH)、8.0(s、1H、ArH)、8.8(s、1H、NH)。MS:342(M+23);mp 129°C。
【0354】
(S)-N-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-2-メチルオキシラン-2-カルボキシアミド(9)
10mLのアセトン中の3-ブロモ-N-(4-シアノ-3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(7、0.84mmol)および炭酸カリウム(1.68mmol)の混合物を、30分間加熱還流した。TLCによって監視して、出発ブロミド7の、所望のエポキシド9への完全な変換後に、溶媒を減圧下で蒸発させて黄色がかった残渣を得て、これを10mLの無水EtOAcに注いだ。溶液をCelite(登録商標)パッドで濾過して、K2CO3残渣を除去し、減圧下で凝縮して、エポキシド9を淡黄色がかった固体として得た。
【0355】
1H NMR(CDCl3、400MHz)δ8.41(BS、NH)、8.02(D、J=2.0Hz、1H、ARH)、7.91(DD、J=2.0、8.4Hz、1H、ARH)、7.79(d、J=2.0 Hz、1H、ArH)、3.01(s、2H)、1.69(s、3H)。MS(ESI)m/z 235.0[M-H]-。
【0356】
実施例2
アンドロゲン受容体結合、トランス活性化、分解、ならびにピラゾール、インドール、ベンゾトリアゾール、およびインダゾールSARDの代謝
リガンド結合アッセイ
目的:AR-LBDへのSARD結合親和性を決定すること。
【0357】
方法:hAR-LBD(633-919)を、pGex4t.1にクローン化した。大規模GSTタグ付きAR-LBDを調製し、GSTカラムを使用して精製した。組み換えAR-LBDを、緩衝液A(10mM Tris、pH7.4、1.5mM二ナトリウムEDTA、0.25Mスクロース、10mMモリブデン酸ナトリウム、1mM PMSF)中の[3H]ミボレロン(PerkinElmer、Waltham,MA)と複合して、[3H]ミボレロンの平衡解離定数(Kd)を決定した。全結合および非特異的結合を決定するために、タンパク質を、高濃度の非標識ミボレロンの有り無し両方で、漸増濃度の[3H]ミボレロンと共に4℃で18時間インキュベートした。次いで、非特異的結合を全結合から差し引いて、特異的結合、および1つの飽和部位を有するリガンド結合曲線の非線形回帰を決定してミボレロンのKdを決定した。
【0358】
漸増濃度のSARDまたはDHT(範囲:10-12~10-2M)を、上記条件を使用して、[3H]ミボレロンおよびAR LBDと共にインキュベートした。インキュベーションに続いて、リガンド結合したAR-LBD複合体を、Bio Gel HT(登録商標)ヒドロキシアパタイトを使用して単離し、洗浄し、シンチレーションカクテルを添加した後にシンチレーション計数器で計数した。値を、Kiとして表し、表1に報告する。
【0359】
野生型ARによるトランス活性化アッセイ
目的:AR野生型(wt)のアンドロゲン誘導性トランス活性化に対するSARDの効果を決定すること。
【0360】
方法:HEK-293細胞を、フェノールレッドを含まないDME+5%csFBS中に125,000個の細胞/ウェルで24ウェルプレートに播種した。細胞を、optiMEM培地中のリポフェクタミントランスフェクション試薬を使用し、0.25μgのGRE-LUC、10ngのCMV-レニラLUC、および50ngのCMV-hAR(wt)でトランスフェクトした。フェノールレッドを含まないDME+5%csFBSへのトランスフェクションの24時間後に、培地を変え、用量応答の様々な薬物(1pM~10μM)で処理した。SARDおよびアンタゴニストを、0.1nM R1881と組み合わせて処理した。ルシフェラーゼアッセイを、Biotek synergy 4プレートリーダー上での処理から24時間後に行った。ホタルルシフェラーゼ値を、レニラルシフェラーゼ値に対して正規化した。結果を、IC50値として表1に報告する。
【0361】
インビトロトランス活性化アンタゴニズム(R1881の存在下)実験およびアゴニズム(R1881の非存在下)実験の代表的な例を、
図1A~1C(図および表1に示される11、1002、46の構造)、
図2A~2B(1002、1050、1047、1013、1049、1048、および1017の構造を図と表1に示す)、ならびに
図11A~11C(1068、1061、および1002の構造を表1に示す)に示す。これらの実験は、本発明のSARDが、ARおよびAR-SVを分解することに加えて、wtARのR1881誘導性アゴニスト活性も可逆的に阻害したが、固有のアゴニスト活性は有しないことを明示した。
【0362】
プラスミド構成体および一過性トランスフェクション
CMVベクター骨格にクローン化されたヒトARを、トランス活性化研究に使用した。HEK-293細胞を、DME+5%csFBS中に120,000個の細胞/ウェルで24ウェルプレートに播種した。細胞を、リポフェクタミン(Invitrogen、Carlsbad,CA)を、0.25μgのGRE-LUC、0.01μgのCMV-LUC(レニラルシフェラーゼ)、および25ngのARでトランスフェクトした。細胞を、図に示される通り、トランスフェクションの24時間後に処理し、ルシフェラーゼアッセイを、トランスフェクションの48時間後に行った。データを、4つのパラメータロジスティック曲線から得られるIC50として表す。
【0363】
Lncap遺伝子発現アッセイ
方法:LNCaP細胞を、フェノールレッドを含まないRPMI+1%csFBS中に15,000個の細胞/ウェルで96ウェルプレートに播種した。播種の48時間後に、細胞を、用量応答のSARDで処理した。処理の24時間後に、RNAを、cells-to-ct試薬を使用して単離し、cDNAを合成し、様々な遺伝子の発現を、taqmanプライマーおよびプローブを使用し、リアルタイムrtPCR(ABI 7900)によって測定した。遺伝子発現結果を、GAPDHに対して正規化した。本方法は、実施例12のLNCaP-ARV7細胞に適応した。
【0364】
LNCaP成長アッセイ
方法:LNCaP細胞を、フェノールレッドを含まないRPMI+1%csFBS中に10,000個の細胞/ウェルで96ウェルプレートに播種した。細胞を、用量応答のSARDで処理した。処理の3日後に、細胞を再度処理した。処理の6日後に、細胞を固定し、細胞生存性をSRBアッセイによって測定した。本方法は、実施例12のLNCaP-ARV7細胞に適応した。
【0365】
LNCaPまたはAD1分解
方法:全長ARを発現するLNCaPまたはAD1細胞を、成長培地(RPMI+10%FBS)中に750,000~1,000,000個の細胞/ウェルで6ウェルプレートに播種した。播種の24時間後に、培地を、フェノールレッドを含まないRPMI+1%csFBSに変え、この培地中で2日間維持した。培地を、フェノールレッドを含まないRPMI+1%csFBSに再度変え、細胞を、0.1nM R1881と併せて、SARD(1nM~10μM)で処理した。処理の24時間後に、細胞を冷たいPBSで洗浄し、採取した。塩含有溶解緩衝液を使用し、タンパク質を、3回の凍結融解サイクルで抽出した。タンパク質濃度を推定し、5μgの総タンパク質を、SDS-PAGE上に装填し、分画し、PVDF膜に移した。この膜を、SantaCruzからのAR N-20抗体、およびSigmaからのアクチン抗体でプローブした。結果を、表1に報告する(全長ARまたはAR-FL)。本方法は、実施例12のLNCaP-ARV7細胞に適応した。
【0366】
22RV1およびD567es分解
方法:ARスプライス多様体を発現する22RV1およびD567es細胞を、成長培地(RPMI+10%FBS)中に750,000~1,000,000個の細胞/ウェルで6ウェルプレートに播種した。播種の24時間後に培地を変え、処理した。処理の24~30時間後に、細胞を冷たいPBSで洗浄し、採取した。塩含有溶解緩衝液を使用し、タンパク質を、3回の凍結融解サイクルで抽出した。タンパク質濃度を推定し、5μgの総タンパク質を、SDS-PAGE上に装填し、分画し、PVDF膜に移した。この膜を、SantaCruzからのAR N-20抗体、およびSigmaからのアクチン抗体でプローブした。結果を、表1に報告する(S.V.ARまたはAR-SV)。
【0367】
22RV1成長および遺伝子発現
方法:細胞成長を、SRBアッセイによって上記の通り評価した。細胞を、全血清中、96ウェルプレートに播種し、6日間処理し、3日目後に培地を変えた。RPMI+10%FBS中に10,000個の細胞/ウェルで96ウェルプレートに播種された22RV1細胞において遺伝子発現研究を行った。播種の24時間後に、細胞を3日間処理し、遺伝子発現研究を上記の通り行った。
【0368】
試験化合物の代謝安定性(インビトロCLint)の決定
第I相代謝
アッセイを、0.5mLの最終量で二重に行った(n=2)。試験化合物(1μM)を、0.5mg/mLの肝ミクロソームタンパク質を含有する100mM Tris-HCl(pH7.5)中、37℃で10分間プレインキュベートした。プレインキュベーション後に、1mM NADPHの添加によって反応を開始した(37℃でプレインキュベート)。インキュベーションを三重に様々な時点で(0、5、10、15、30、および60分)で行い、100μL分量を除去し、内部標準を含有する100μLのアセトニトリルで停止させた。試料を還流混合し、4000rpmで10分間遠心分離した。上澄みを96ウェルプレートに移し、LC-MS/MS分析のために提出した。対照として、NADPHの不在下で行われた試料インキュベーションを含めた。%PCR(親化合物残留率(%))から、化合物消失率を決定し(傾斜)、インビトロCLint(μL/分/mgタンパク質)を計算した。
【0369】
第I相および第II相経路における代謝安定性
このアッセイにおいて、試験化合物を、肝ミクロソームでインキュベートし、薬物の消失を、ディスカバリーグレードLC-MS/MSを使用して決定した。第II相代謝経路を刺激するために(グルクロン酸抱合)、UDPGAおよびアラメチシンをアッセイに含めた。
【0370】
LC-MS/MS分析:
調査中の化合物の分析を、MDS/Sciex 4000 Q-Trap(商標)質量分析計を用い、Agilent 1100 HPLCからなるLC-MS/MSシステムを使用して行った。C18ガードカートリッジシステム(4.6mm IDカラム用SecurityGuard(商標)ULTRAカートリッジUHPLC、Phenomenex)によって保護されたC18分析カラム(Alltima(商標)、2.1×100mm、3μm)を使用して、分離を達成した。移動相は、チャネルA(95%アセトニトリル+5%水+0.1%ギ酸)およびチャネルC(95%水+5%アセトニトリル+0.1%ギ酸)からなり、0.4mL/分の流速で送達された。アセトニトリルおよび水の体積比を、分析物の各々について最適化した。多重反応モニタリング(MRM)走査を、各化合物について最適化されたカーテンガス、衝突ガス、噴霧器ガス、および補助ガスを用い、ソース温度550℃で行った。分子イオンを、-4200V(ネガティブモード)イオンスプレー電圧を使用して形成した。デクラスタリング電位、エントランス電位、衝突エネルギー、生成物イオン質量、および細胞出口電位を、各化合物について最適化した。結果を、表1に報告する。
【0371】
Log P:オクタノール-水分配係数(Log P)
Log Pは、特定の分子が生体膜を通過する可能性があるかどうかの概算として、創薬努力において初期に一般的に使用される、オクタノール-水分配係数の対数である。Log Pを、ChemDraw Ultraバージョンが12.0.2.1016(Perkin-Elmer、Waltham,Massachusetts02451)であるを使用して計算した。計算したLog P値を、表1の「Log P(-0.4~+5.6)」とラベル化した列に報告する。リピンスキーの5の法則は、経口バイオアベイラビリティを予測することを意図した一組の基準である。経口バイオアベイラビリティのこれらの基準のうちの1つは、Log Pが列の見出しに示される値(-0.4(比較的親水性)~+5.6(比較的親油性)の範囲)の間にあるか、より一般には<5であることである。SARD設計の目標のうちの1つは、水溶性を改善することであった。ピラゾール、インダゾール、テトラゾールなどの本発明の単環式テンプレートは、以前の類似体よりも水溶性であった。例えば、他のテンプレートのSARD、例えば、アルキル-アミン17、インドリン100、およびインドール11のLog P値を、本発明の単環式(44~46、98、300~308、1050~1064、および1068)と比較することができる。結果を、表1に報告する。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表1-8】
【0372】
実施例3
【化27】
3,5-ジフルオロ-1H-インドールの合成
磁気撹拌子を有する50mLの丸瓶フラスコに、Selectfluor(登録商標)(872mg、2.0mmol、2.0当量)、Li
2CO
3(296mg、4.0mmol、4.0当量)、ジクロロメタン(3.3mL)、および水(1.7mL)を添加した。次いで、カルボン酸(1.0mmol、1.0当量)を添加した。反応混合物を、氷浴で2時間撹拌した。反応混合物を、水(40mL)で希釈し、その後DCM(20mL×2)で抽出した。複合有機抽出物を、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で濃縮した。粗生成物を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン:DCM=2:1)によって精製して、3,5-ジフルオロ-1H-インドールを深褐色の油として得た。収率=68%;
【0373】
MS(ESI)m/z154.83[M+H]+;152.03[M-H]-;
【0374】
1H NMR(CDCl3、400 MHz)δ7.86(bs、1H、NH)、7.25(dd、J=9.2、2.4 Hz、1H)、7.20-7.16(m、1H)、6.97(t、J=2.6 Hz、1H)、6.93(dd、J=9.2、2.4 Hz、1H);
【0375】
19F NMR(CDCl
3)δ-123.99(d、J
F-F=2.8 Hz)、-174.74(d、J
F-F=4.0 Hz)。
【化28】
【0376】
(S)-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-3-(3,5-ジフルオロ-1H-インドール-1-イル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(44)
アルゴン雰囲気下で滴下漏斗を備えた乾燥した窒素パージした50mLの丸底フラスコに、鉱油(63mg、1.56mmol)中に60%分散したNaHを、氷水浴でフラスコ内の10mLの無水THF溶媒に添加し、3,5-ジフルオロ-1H-インドール(120mg、0.78mmol)を、氷水浴で30分間撹拌した。フラスコに、10mLの無水THF中の(R)-3-ブロモ-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(8)(275mg、0.78mmol)を、滴下漏斗を通じてアルゴン雰囲気下、氷水浴で添加し、室温で一晩撹拌した。1mLのH2Oを添加した後、反応混合物を減圧下で凝縮し、次いで50mLのEtOAc中に分散させ、50mL(×2)の水で洗浄し、蒸発させ、無水MgSO4上で乾燥させ、蒸発乾燥させた。混合物を、溶離液EtOAc/ヘキサン=1/2としてフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して、44を白色固体として白色粉末として生成した。
【0377】
収率53%;
【0378】
MS(ESI)m/z424.11[M+H]+;423.11[M-H]-;
【0379】
C20H15F5N3O2[M+H]+のHRMS(ESI)m/z計算値;正確な質量:424.1084[M+H]+。実測値:424.1065[M+H]+;
【0380】
HPLC:tR2.77分、純度99.06%、UV(λabs)196.45、270.45nm
【0381】
1H NMR:(CDCl3、400MHz)δ8.80(bs、1H、NH)、7.89(d、J=1.6 Hz、1H)、7.77(dd、J=8.4、1.6 Hz、1H)、7.74(d、J=8.4 Hz、1H)、7.33-7.29(m、1H)、7.20(dd、J=9.0、2.4 Hz、1H)、6.99(t、J=2.8 Hz、1H)、6.97(td、J=9.0、2.4 Hz、1H)、4.56(d、J=14.8 Hz、1H)、4.24(d、J=14.8 Hz、1H)、2.57(s、OH)、1.61(s、3H)。
【0382】
13C NMR(CDCl3、100MHz)δ172.3、157.5(d、JF-F=235 Hz)、140.9、135.8、134.1(d、JF-F=32.8 Hz)、130.4(d、JF-F=4.5Hz)、123.4、121.9、120.6、117.4(q、JF-F=4.9 Hz)、115.3、113.1(d、JF-F=2.59 Hz)、111.1(d、JF-F=9.3 Hz)、105.0、102.3、102.2、102.0(d、JF-F=25 Hz)、77.6、53.9、24.2;
【0383】
19F NMR(CDCl
3)δ-62.25、-123.48(d、J
F-F=3.2 Hz)、-173.54(d、J
F-F=2.8 Hz);2DNMRによってNOEおよびCOSYとして割り当てられる。
(S)-3-(3-クロロ-5-フルオロ-1H-インドール-1-イル)-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(45)
【化29】
【0384】
アルゴン雰囲気下で滴下漏斗を備えた乾燥した窒素パージした50mLの丸底フラスコに、鉱油(167mg、2.5mmol)中に60%分散したNaHを、氷水浴でフラスコ内の10mLの無水THF溶媒に添加し、3-クロロ-5-フルオロ-1H-インドール(170mg、1mmol)を、氷水浴で30分間撹拌した。フラスコに、10mLの無水THF中の(R)-3-ブロモ-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(8)(351mg、1mmol)を、滴下漏斗を通じてアルゴン雰囲気下、氷水浴で添加し、室温で一晩撹拌した。1mLのH2Oを添加した後、反応混合物を減圧下で凝縮し、次いで50mLのEtOAc中に分散させ、50mL(×2)の水で洗浄し、蒸発させ、無水MgSO4上で乾燥させ、蒸発乾燥させた。混合物を、溶離液EtOAc/ヘキサン=1/2としてフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して、45を白色固体として白色粉末として生成した。
【0385】
収率58%;
【0386】
MS(ESI)m/z440.08[M+H]+;439.01[M-H]-;
【0387】
C20H15ClF4N3O2のHRMS(ESI)m/z計算値、正確な質量:m/z C20H15ClF4N3O2:440.0789[M+H]+;440.0797[M+H]+;
【0388】
HPLC:tR2.89分、純度99.06%;
【0389】
UV(λabs)196.45,270.45 nm;
【0390】
1H NMR:(CDCl3、400MHz)δ 8.76(bs、1H、NH)、7.86(s、1H)、7.78-7.73(m、2H)、7.34(dd、J=9.2、4.0 Hz、1H)、7.29(dd、J=8.8、2.4 Hz、1H)、7.17(s、1H)、6.97(td、J=9.2、2.4 Hz、1H)、4.58(d、J=14.8 Hz、1H)、4.28(d、J=14.8 Hz、1H)、2.64(s、OH)、1.61(s、3H)。
【0391】
13C NMR(CDCl3、100MHz)δ172.3、157.5(d、JF-F= 235Hz)、140.8、135.8、134.0(d、JF-F=32Hz)、132.6、126.9、126.2(d、JF-F=10 Hz)、123.4、117.4(q、JF-F=4.9 Hz)、115.3、112.0(d、JF-F=26.4 Hz)、111.1(d、JF-F=9.5 Hz)、106.1、106.0、105.0、103.5(d、JF-F=25 Hz)、77.5、53.8、24.2。
【0392】
19F NMR(CDCl
3)δ-62.25、-12.76;2DNMRによってNOEおよびCOSYとして割り当てられる。
【化30】
【0393】
(S)-1-((4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ)-3-(5-フルオロ-1H-インドール-1-イル)-2-メチル-1-オキソプロパン-2-イルアセテート(46)
【0394】
アルゴン雰囲気下、10mLの無水DCM中の11(100mg、0.247mmol)およびトリエチルアミン(0.07mL、0.5mmol)の溶液に、氷水浴で塩化アセチル(0.02mL、0.3mmol)を添加した。30分間撹拌した後、温度を室温に上げ、混合物を2時間撹拌した。反応混合物を水で洗浄し、蒸発させ、無水MgSO4上で乾燥させ、蒸発乾燥させた。混合物を、溶離液EtOAc/ヘキサン(1/1、v/v)としてフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して、標的生成物を白色固体として生成した。
【0395】
収率=86%;
【0396】
MS(ESI)m/z 446.0[M-H]-;
【0397】
1H NMR(CDCl3、400MHz)δ8.75(bs、1H、C(O)NH)、7.88(s、1H、ArH)、7.79-7.73(m、2H、ArH)、7.35(dd、J=8.8、4.2 Hz、1H、ArH)、7.22(dd、J=9.6、2.6 Hz、1H、ArH)、7.16(d、J=2.6 Hz、1H、ArH)、6.94(m、1H、ArH)、6.46(d、J=3.2 Hz、1H、ArH)、4.65(d、J=14.8 Hz、1H、CH 2)、4.33(d、J=14.8 Hz、1H、CH2)、2.59(s、3H、OC(O)CH3)、1.57(s、3H、CH3);
【0398】
19F NMR(CDCl3、400MHz)δ-62.24、-124.54;2DNMRによってNOEおよびCOSYとして割り当てられる。
【0399】
実施例4
インダゾールSARD化合物の合成
【化31】
3,5-ジフルオロ-1H-インダゾール
磁気撹拌子を有する50mLの丸瓶フラスコに、Selectfluor(登録商標)(872mg、2.0mmol、2.0当量)、Li
2CO
3(296mg、4.0mmol、4.0当量)、ジクロロメタン(3.3mL)、および水(1.7mL)を添加した。次いで、カルボン酸(1.0mmol、1.0当量)を添加した。反応混合物を、氷浴で2時間撹拌した。反応混合物を、水(40mL)で希釈し、その後DCM(20mL×2)で抽出した。複合有機抽出物を、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で濃縮した。粗生成物を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン:DCM=2:1)によって精製して、所望の生成物を得た。
【0400】
収率48%;
【0401】
MS(ESI)m/z 152.0[M-H]-;
【0402】
1H NMR(CDCl3、400MHz)δ9.80(bs、1H、NH)、7.37(dt、J=8.8、2.4Hz、1H)、7.31(dd、J=8.0、1.6Hz、1H)、7.23(td、J=8.8、2.0 Hz、1H);
【0403】
19F NMR(CDCl
3)δ-121.46(d、J
F-F=4.4 Hz)、-133.92(d、J
F-F=4.4 Hz)。
【化32】
【0404】
(S)-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-3-(3,5-ジフルオロ-1H-インダゾール-1-イル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(98)
アルゴン雰囲気下で滴下漏斗を備えた乾燥した窒素パージした50mLの丸底フラスコに、鉱油(32mg、0.8mmol)中に60%分散したNaHを、氷水浴でフラスコ内の5mLの無水THF溶媒に添加し、3,5-ジフルオロ-1H-インダゾール(60mg、0.41mmol)を、氷水浴で30分間撹拌した。フラスコに、5mLの無水THF中の(R)-3-ブロモ-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(8)(148mg、0.41mmol)を、滴下漏斗を通じてアルゴン雰囲気下、氷水浴で添加し、室温で一晩撹拌した。1mLのH2Oを添加した後、反応混合物を減圧下で凝縮し、次いで50mLのEtOAc中に分散させ、50mL(×2)の水、ブラインで洗浄し、無水MgSO4上で乾燥させ、蒸発乾燥させた。混合物を、溶離液EtOAc/ヘキサン=2/3としてフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して、98を白色固体として生成した。
【0405】
収率=57%;
【0406】
MS(ESI)m/z423.17[M-H]-;447.21[M+Na]+;
【0407】
1H NMR:(CDCl3、400MHz)δ 9.07(bs、1H、NH)、7.92(s、1H)、7.78(d、J=8.6 Hz、1H)、7.73(d、J=8.6 Hz、1H)、7.42(d、J=8.4 Hz、1H)、7.28(m、1H)、7.25(m、1H)、5.28(bs、1H、OH)、4.82(d、J=14.0 Hz、1H)、4.27(d、J=14.0 Hz、1H)、1.52(s、3H)。
【0408】
19F NMR(CDCl3、400MHz)δ-61.27、-120.39、-131.15;2DNMRによってNOEおよびCOSYとして割り当てられる。
【0409】
実施例5
ベンゾトリアゾールSARD化合物の合成
(S)-N-(4-シアノ-3-トリフルオロメチル-フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチル-3-(5-(トリフルオロメチル)-2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-2-イル)プロパンアミド(C
19H
13F
6N
5O
2)(300)
【化33】
アルゴン雰囲気下、氷水浴で冷却された無水THF(5mL)中の5-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール(0.20g、0.0010688mol)の溶液に、水素化ナトリウム(油中の60%分散液、0.13g、0.0033134mol)を添加した。添加後に、結果として得られる混合物を3時間撹拌した。(R)-3-ブロモ-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(8)(0.375g、0.0010688mol)を、上記溶液に添加し、結果として得られる反応混合物を、アルゴン下、室温で一晩撹拌させた。反応を水によって停止させ、酢酸エチルで抽出した。有機層を、ブラインで洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。生成物を、DCMおよび酢酸エチル(9:1)を溶離液として使用し、シリカゲルカラムによって精製して、0.044g(9%)の表題の化合物を黄色がかった固体として得た。
【0410】
1H NMR(400 MHz、DMSO-d6)δ10.33(s、1H、NH)、8.40(s、1H、ArH)、8.38(s、1H、ArH)、8.23(d、J=8.4 Hz、1H、ArH)、8.11(d、J=8.4 Hz、2H、ArH)、7.67(d、J=8.6 Hz、、1H、ArH)、6.67(s、1H、OH)、5.24(d、J=14.0 Hz、1H、CH)、4.99(d、J=14.0 Hz、1H、CH)、1.55(s、3H、CH3)。
【0411】
質量(ESI、ネガティブ):456.25[M-H]-;(ESI、ポジティブ):458.10[M+H]+。
(S)-N-(4-シアノ-3-トリフルオロメチル-フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチル-3-(5-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-1-イル)プロパンアミド(C
19H
13F
6N
5O
2)(301)
【化34】
【0412】
アルゴン雰囲気下、氷水浴で冷却された無水THF(5mL)中の5-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール(0.20g、0.0010688mol)の溶液に、水素化ナトリウム(油中の60%分散液、0.13g、0.0033134mol)を添加した。添加後に、結果として得られる混合物を3時間撹拌した。(R)-3-ブロモ-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(8)(0.375g、0.0010688mol)を、上記溶液に添加し、結果として得られる反応混合物を、アルゴン下、室温で一晩撹拌させた。反応を水によって停止させ、酢酸エチルで抽出した。有機層を、ブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。生成物を、ヘキサンおよび酢酸エチル(3:1~2:1)を溶離液として使用し、シリカゲルカラムによって精製して、0.025g(5%)の表題の化合物を黄色がかった固体として得た。
【0413】
1H NMR(400 MHz、DMSO-d6)δ10.30(s、1H、NH)、8.39(d、J=1.6 Hz、1H、ArH)、8.33(s、1H、ArH)、8.25(d、J=8.8 Hz、1H、ArH)、8.12(dd、J=8.8 Hz、J=2.0 Hz、1H、ArH)、8.07(d、J=8.4 Hz、1H、ArH)、7.64(dd、J=8.8 Hz、J=1.6 Hz、1H、ArH)、6.64(s、1H、OH)、5.21(d、J=14.4 Hz、1H、CH)、5.01(d、J=14.4 Hz、1H、CH)、1.54(s、3H、CH3)。
【0414】
質量(ESI、ネガティブ):456.25[M-H]-;(ESI、ポジティブ):458.10[M+H]+。
(S)-N-(4-シアノ-3-トリフルオロメチル-フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチル-3-(6-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-1-イル)プロパンアミド(C
19H
13F
6N
5O
2)(302)
【化35】
【0415】
アルゴン雰囲気下、氷水浴で冷却された無水THF(5mL)中の5-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール(0.20g、0.0010688mol)の溶液に、水素化ナトリウム(油中の60%分散液、0.13g、0.0033134mol)を添加した。添加後に、結果として得られる混合物を3時間撹拌した。(R)-3-ブロモ-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(8)(0.375g、0.0010688mol)を、上記溶液に添加し、結果として得られる反応混合物を、アルゴン下、室温で一晩撹拌させた。反応を水によって停止させ、酢酸エチルで抽出した。有機層を、ブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。生成物を、ヘキサンおよび酢酸エチル(3:1~2:1)を溶離液として使用し、シリカゲルカラムによって精製して、0.023g(5%)の表題の化合物を黄色がかった固体として得た。
【0416】
1H NMR(400 MHz、DMSO-d6)δ10.31(s、1H、NH)、8.50(s、1H、ArH)、8.34(d、J=1.6 Hz、1H、ArH)、8.18(dd、J=8.8 Hz、J=2.0 Hz、1H、ArH)、8.10(d、J=8.8 Hz、1H、ArH)、8.08(d、J=8.4 Hz、1H、ArH)、7.84(dd、J=8.8 Hz、J=1.6 Hz、1H、ArH)、6.49(s、1H、OH)、5.15(d、J=14.4 Hz、1H、CH)、4.97(d、J=14.4 Hz、1H、CH)、1.52(s、3H、CH3)。
【0417】
質量(ESI、ネガティブ):456.25[M-H]-;(ESI、ポジティブ):458.10[M+H]+。
(S)-N-(4-シアノ-3-トリフルオロメチル-フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチル-3-(5-フルオロ-2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-2-イル)プロパンアミド(C
18H
13F
4N
5O
2)(303)
【化36】
【0418】
アルゴン雰囲気下、氷水浴で冷却された無水THF(5mL)中の5-フルオロ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール(0.20g、0.001459mol)の溶液に、水素化ナトリウム(油中の60%分散液、0.18g、0.004522mol)を添加した。添加後に、結果として得られる混合物を3時間撹拌した。(R)-3-ブロモ-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(8)(0.51g、0.001459mol)を、上記溶液に添加し、結果として得られる反応混合物を、アルゴン下、室温で一晩撹拌させた。反応を水によって停止させ、酢酸エチルで抽出した。有機層を、ブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。生成物を、ヘキサンおよび酢酸エチル(3:1~2:1)を溶離液として使用し、シリカゲルカラムによって精製して、0.115g(19.4%)の表題の化合物を黄色がかった固体として得た。
【0419】
1H NMR(400 MHz、DMSO-d6)δ10.35(s、1H、NH)、8.43(s、1H、ArH)、8.32(d、J=8.2 Hz、1H、ArH)、8.11(d、J=8.2 Hz、、1H、ArH)、7.95-7.91(m、1H、ArH)、.7.67(d、J=8.8 Hz、1H、ArH)、7.33-6-7.31(m、1H、ArH)、6.53(s、1H、OH)、5.14(d、J=13.6 Hz、1H、CH)、4.90(d、J=13.6 Hz、1H、CH)、1.53(s、3H、CH3)。
【0420】
質量(ESI、ポジティブ):430.09[M+Na]
+。
(S)-N-(4-シアノ-3-トリフルオロメチル-フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチル-3-(5-フルオロ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-1-イル)プロパンアミド(C
18H
13F
4N
5O
2)(304)
【化37】
【0421】
アルゴン雰囲気下、氷水浴で冷却された無水THF(5mL)中の5-フルオロ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール(0.20g、0.001459mol)の溶液に、水素化ナトリウム(油中の60%分散液、0.18g、0.004522mol)を添加した。添加後に、結果として得られる混合物を3時間撹拌した。(R)-3-ブロモ-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(8)(0.51g、0.001459mol)を、上記溶液に添加し、結果として得られる反応混合物を、アルゴン下、室温で一晩撹拌させた。反応を水によって停止させ、酢酸エチルで抽出した。有機層を、ブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。生成物を、ヘキサンおよび酢酸エチル(3:1~2:1)を溶離液として使用し、シリカゲルカラムによって精製して、0.075g(12.6%)の表題の化合物を黄色がかった固体として得た。
【0422】
1H NMR(400 MHz、DMSO-d6)δ10.35(s、1H、NH)、8.40(s、1H、ArH)、8.19(d、J=8.4 Hz、1H、ArH)、8.10(d、J=8.0 Hz、1H、ArH)、8.07-8.04(m、1H、ArH)、7.70(d、J=8.2 Hz、1H、ArH)、7.28-6-7.23(m、1H、ArH)、6.45(s、1H、OH)、5.05(d、J=14.4 Hz、1H、CH)、4.87(d、J=14.4 Hz、1H、CH)、1.50(s、3H、CH3)。
【0423】
質量(ESI、ポジティブ):430.09[M+Na]+。
(S)-N-(4-シアノ-3-トリフルオロメチル-フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチル-3-(6-フルオロ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-1-イル)プロパンアミド(C
18H
13F
4N
5O
2)(305)
【化38】
【0424】
アルゴン雰囲気下、氷水浴で冷却された無水THF(5mL)中の5-フルオロ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール(0.20g、0.001459mol)の溶液に、水素化ナトリウム(油中の60%分散液、0.18g、0.004522mol)を添加した。添加後に、結果として得られる混合物を3時間撹拌した。(R)-3-ブロモ-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(8)(0.51g、0.001459mol)を、上記溶液に添加し、結果として得られる反応混合物を、アルゴン下、室温で一晩撹拌させた。反応を水によって停止させ、酢酸エチルで抽出した。有機層を、ブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。生成物を、ヘキサンおよび酢酸エチル(3:1~2:1)を溶離液として使用し、シリカゲルカラムによって精製して、0.052g(8.8%)の表題の化合物を黄色がかった固体として得た。
【0425】
1H NMR(400 MHz、DMSO-d6)δ10.35(s、1H、NH)、8.38(s、1H、ArH)、8.20(d、J=8.8 Hz、1H、ArH)、8.10(d、J=8.4 Hz、、1H、ArH)、7.92-7.89(m、1H、ArH)、.7.84(d、J=8.8 Hz、1H、ArH)、7.46-7.42(m、1H、ArH)、6.46(s、1H、OH)、5.08(d、J=14.4 Hz、1H、CH)、4.90(d、J=14.4 Hz、1H、CH)、1.49(s、3H、CH3)。
【0426】
質量(ESI、ポジティブ):430.09[M+Na]+。
【化39】
(S)-3-(5-ブロモ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]-1-イル)-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(306)
【化40】
【0427】
アルゴン雰囲気下で滴下漏斗を備えた乾燥した窒素パージした100mLの丸底フラスコに、鉱油(260mg、6.5mmol)中に60%分散したNaHを、氷水浴でフラスコ内の30mLの無水THF溶媒に添加し、6-ブロモ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール(514mg、2.6mmol)を、氷水浴で30分間かけて撹拌し入れた。フラスコに、5mLの無水THF中の(R)-3-ブロモ-2-ヒドロキシ-2-メチル-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)プロパンアミド(8)(911mg、2.6mmol)を、滴下漏斗を通じてアルゴン雰囲気下、氷水浴で添加し、室温で一晩撹拌した。1mLのH2Oを添加した後、反応混合物を減圧下で凝縮し、次いで50mLのEtOAc中に分散させ、50mL(×2)の水で洗浄し、蒸発させ、無水MgSO4上で乾燥させ、蒸発乾燥させた。混合物を、溶離液EtOAc/ヘキサン=1/2としてフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して、設計された化合物(収率=65%:306は42%および23%の307)を黄色がかった固体として生成した。
【0428】
(S)-3-(5-ブロモ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]-1-イル)-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(306)
MS(ESI)m/z467.81[M-H]-;492.00[M+Na]+;
【0429】
1H NMR:(400MHz、CDCl3)δ 9.10(bs、1H、NH)、8.04(s、1H)、8.02(s、1H)、7.90(d、J=8.0 Hz、1H)、7.76(d、J=8.0 Hz、1H)、7.74(d、J=8.8 Hz、1H)、7.49(d、J=8.8 Hz、1H)、5.48(s、1H、OH)、5.26(d、J=13.6 Hz、1H)、4.94(d、J=13.6 Hz、1H)、1.54(s、3H)。
【0430】
19F NMR(CDCl3、分離)δ-62.19。
(S)-3-(5-ブロモ-2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-2-イル)-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(307)
【化41】
【0431】
MS(ESI)m/z 467.84[M-H]-;
【0432】
1H NMR:(400MHz、CDCl3)δ 8.97(bs、1H、NH)、8.15(s、1H)、7.92(s、1H)、7.75(m、2H)、7.62(d、J=9.0 Hz、1H)、7.53(d、J=9.0 Hz、1H)、5.16(d、J=14.2 Hz、1H)、4.79(s、1H、OH)、4.78(d、J=14.2 Hz、1H)、1.65(s、3H)。
【0433】
19F NMR(CDCl
3、分離)δ-62.26。
【化42】
(S)-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-3-(5-(4-フルオロフェニル)-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-1-イル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(308)
【化43】
【0434】
THF/MeOH(1/1mL)中の306(150mg、0.32mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(13mg、12mmol)、およびトリメトキシホウ酸(50mg、0.35mmol)と、エタノール/水(5mL/1mL)中の炭酸ナトリウム(82mg、7.69mmol)との混合物を、一晩加熱還流した。混合物を冷却して、減圧下で濃縮させ、EtOAcに注いで、これを水で洗浄し、無水MgSO4上で乾燥させ、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc/n-ヘキサン=2:3)によって精製して、308を黄色固体として得た。
【0435】
収率=90%;
【0436】
MS(ESI)m/z 482.25[M-H]-;
【0437】
1H NMR:(CDCl3、400MHz)δ 9.12(bs、1H、NH)、8.02(s、1H)、7.96(s、1H)、7.92(d、J=9.2 Hz、1H)、7.76(d、J=8.4 Hz、1H)、7.64(d、J=9.2 Hz、1H)、7.59(dd、J=7.6、5.2 Hz、2H)、7.17(t、J=8.4 Hz、2H)、5.72(s、1H、OH)、5.28(d、J=14.0 Hz、1H)、4.97(d、J=14.0 Hz、1H)、1.55(s、3H);19F NMR(CDCl3、分離)δ-62.20、-114.49。
【0438】
実施例6
ピラゾールSARD化合物の合成
(S)-3-(4-ブロモ-1H-ピラゾール-1-イル)-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(C
15H
12BrF
3N
4O
2)(1050)
【化44】
アルゴン雰囲気下、氷水浴で冷却された無水THF(5mL)中の4-ブロモ-1H-ピラゾール(0.20g、0.0013608mol)の溶液に、水素化ナトリウム(油中の60%分散液、0.16g、0.0040827mol)を添加した。添加後に、結果として得られる混合物を3時間撹拌した。(R)-3-ブロモ-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(8)(0.478g、0.001608mol)を、上記溶液に添加し、結果として得られる反応混合物を、アルゴン下、室温で一晩撹拌させた。反応を水によって停止させ、酢酸エチルで抽出した。有機層を、ブラインで洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。生成物を、DCMおよび酢酸エチル(19:1)を溶離液として使用し、シリカゲルカラムによって精製して、0.47g(79.6%)の表題の化合物を白色泡沫として得た。
【0439】
1H NMR(400 MHz、CDCl3)δ9.08(s、1H、NH)、8.00(d、J=2.0 Hz、1H、ArH)、7.87(dd、J=8.4 Hz、J=2.0 Hz、1H、ArH)、7.79(d、J=8.4 Hz、1H、ArH)、7.49(s、1H、ピラゾール-H)、7.47(s、1H、ピラゾール-H)、5.92(s、1H、OH)、4.64(d、J=14.0 Hz、1H、CH)、4.24(d、J=14.0 Hz、1H、CH)、1.47(s、3H、CH3)。
【0440】
質量(ESI、ネガティブ):371.68[M-H]-;(ESI、ポジティブ):440.94[M+Na]+。
(R)-3-ブロモ-N-(4-シアノ-2-ヨード-5-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(C
12H
9BrF
3IN
2O
2)(1051)
【化45】
【0441】
3-ブロモ-2-メチル-2-ヒドロキシプロパン酸(4)(0.50g、0.00273224mol)を、塩化チオニル(0.39g、0.0032787mol)、トリメチルアミン(0.36g、0.0035519mol)、および4-アミノ-5-ヨード-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル(0.81g、0.0025956mol)と反応させて、表題の化合物を得た。生成物を、DCMおよび酢酸エチル(9:1)を溶離液として使用し、シリカゲルカラムによって精製して、0.80g(64.6%)の表題の化合物を淡褐色固体として得た。
【0442】
1H NMR(400 MHz、CDCl3)δ9.53(s、1H、NH)、8.92(s、1H、ArH)、8.24(s、1H、ArH)、7.26(s、1H、OH)、4.04(d、J=10.4 Hz、1H、CH)、3.62(d、J=10.4 Hz、1H、CH)、1.67(s、3H、CH3)。
【0443】
質量(ESI、ポジティブ):479.25[M+H]
+。
(S)-N-(4-シアノ-2-ヨード-5-(トリフルオロメチル)フェニル)-3-(4-フルオロ-1H-ピラゾール-1-イル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(C
15H
11F
4IN
4O
2)(1052)
【化46】
【0444】
アルゴン雰囲気下、氷水浴で冷却された無水THF(5mL)中の4-フルオロ-1H-ピラゾール(0.09g、0.001048mol)の溶液に、水素化ナトリウム(油中の60%分散液、0.15g、0.003669mol)を添加した。添加後に、結果として得られる混合物を3時間撹拌した。(R)-3-ブロモ-N-(4-シアノ-2-ヨード-5-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(0.50g、0.001048mol)を、上記溶液に添加し、結果として得られる反応混合物を、アルゴン下、室温で一晩撹拌させた。反応を水によって停止させ、酢酸エチルで抽出した。有機層を、ブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。生成物を、ヘキサンおよび酢酸エチル(2:1~1:1)を溶離液として使用し、シリカゲルカラムによって精製して、0.32g(64%)の表題の化合物を白色固体として得た。
【0445】
1H NMR(400 MHz、CDCl3)δ9.60(s、1H、NH)、8.76(s、1H、ArH)、8.69(s、1H、ArH)、7.76(d、J=4.8 Hz、1H、ピラゾール-H)、7.36(d、J=4.4 Hz、1H、ピラゾール-H)、6.85(s、1H、OH)、4.39(d、J=14.0 Hz、1H、CH)、4.20(d、J=14.0 Hz、1H、CH)、1.41(s、3H、CH3)。
【0446】
質量(ESI、ネガティブ):481.00[M-H]
-;
(S)-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-3-(5-(4-フルオロフェニル)-1H-テトラゾール-1-イル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(C
19H
14F
4N
6O
2)(1053)
【化47】
【0447】
アルゴン雰囲気下、氷水浴で冷却された無水THF(5mL)中の5-(4-フルオロフェニル)-1H-テトラゾール(0.20g、0.001219mol)の溶液に、水素化ナトリウム(油中の60%分散液、0.17g、0.004265mol)を添加した。添加後に、結果として得られる混合物を3時間撹拌した。(R)-3-ブロモ-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(8)(0.43g、0.001219mol)を、上記溶液に添加し、結果として得られる反応混合物を、アルゴン下、室温で2日間撹拌させた。反応を水によって停止させ、酢酸エチルで抽出した。有機層を、ブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。生成物を、DCMおよび酢酸エチル(9:1)を溶離液として使用し、シリカゲルカラムによって精製して、0.053g(10%)の表題の化合物を黄色がかった固体として得た。
【0448】
1H NMR(400 MHz、CDCl3)δ10.39(s、1H、NH)、8.44(s、1H、ArH)、8.26(d、J=8.2 Hz、1H、ArH)、8.10(d、J=8.2 Hz、、1H、ArH)、7.93-7.89(m、2H、ArH)、7.30(t、J=8.2 Hz、2H、ArH)、6.64(s、1H、OH)、5.09(d、J=14.0 Hz、1H、CH)、4.92(d、J=14.0 Hz、1H、CH)、1.55(s、3H、CH3)。
【0449】
質量(ESI、ネガティブ):433.17[M-H]
-。
(S)-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-ヒドロキシ-3-(4-メトキシ-1H-ピラゾール-1-イル)-2-メチルプロパンアミド(C
16H
15F
3N
4O
3)(1054)
【化48】
【0450】
アルゴン雰囲気下、氷水浴で冷却された無水THF(5mL)中の4-メトキシ-1H-ピラゾール(0.12g、0.001233mol)の溶液に、水素化ナトリウム(油中の60%分散液、0.17g、0.004281mol)を添加した。添加後に、結果として得られる混合物を3時間撹拌した。(R)-3-ブロモ-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(8)(0.43g、0.001233mol)を、上記溶液に添加し、結果として得られる反応混合物を、アルゴン下、室温で一晩撹拌させた。反応を水によって停止させ、酢酸エチルで抽出した。有機層を、ブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。生成物を、DCMおよび酢酸エチル(9:1)を溶離液として使用し、シリカゲルカラムによって精製して、0.30g(60%)の表題の化合物を白色固体として得た。
【0451】
1H NMR(400 MHz、DMSO-d6)δ10.38(s、1H、NH)、8.46(d、J=2.0 Hz、1H、ArH)、8.24(dd、J=8.2 Hz、J=2.0 Hz、1H、ArH)、8.10(d、J=8.2 Hz、1H、ArH)、7.35(d、J=0.8 Hz、1H、ピラゾール-H)、7.15(d、J=0.8 Hz、1H、ピラゾール-H)、6.25(s、1H、OH)、4.35(d、J=14.0 Hz、1H、CH)、4.18(d、J=14.0 Hz、1H、CH)、3.61(s、3H、CH3)、1.36(s、3H、CH3)。
【0452】
HRMS[C
16H
16F
3N
4O
3
+]:計算値369.1175、実測値369.1182[M+H]
+。純度:99.28%(HPLC)。
(S)-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチル-3-(4-メチル-1H-ピラゾール-1-イル)プロパンアミド(C
16H
15F
3N
4O
2)(1055)
【化49】
【0453】
アルゴン雰囲気下、氷水浴で冷却された無水THF(5mL)中の4-メチル-1H-ピラゾール(0.10g、0.001218mol)の溶液に、水素化ナトリウム(油中の60%分散液、0.17g、0.004263mol)を添加した。添加後に、結果として得られる混合物を3時間撹拌した。(R)-3-ブロモ-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(8)(0.428g、0.001218mol)を、上記溶液に添加し、結果として得られる反応混合物を、アルゴン下、室温で一晩撹拌させた。反応を水によって停止させ、酢酸エチルで抽出した。有機層を、ブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。生成物を、DCMおよび酢酸エチル(19:1)を溶離液として使用し、シリカゲルカラムによって精製して、0.28g(66%)の表題の化合物を白色固体として得た。
【0454】
1H NMR(400 MHz、DMSO-d6)δ10.38(s、1H、NH)、8.46(d、J=2.0 Hz、1H、ArH)、8.23(dd、J=8.8 Hz、J=2.0 Hz、1H、ArH)、8.10(d、J=8.8 Hz、1H、ArH)、7.41(s、1H、ピラゾール-H)、7.17(s、1H、ピラゾール-H)、6.24(s、1H、OH)、4.40(d、J=14.0 Hz、1H、CH)、4.22(d、J=14.0 Hz、1H、CH)、1.97(s、3H、CH3)、1.36(s、3H、CH3)。
【0455】
HRMS[C
16H
16F
3N
4O
2
+]:計算値353.1225、実測値353.1232[M+H]
+。純度:99.75%(HPLC)。
N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-メチルオキシラン-2-カルボキシアミド(C
12H
9F
3N
2O
2)(1056)
【化50】
【0456】
2-メチルオキシラン-2-カルボン酸(1.00g、0.009892mol)を、塩化チオニル(1.41g、0.011871mol)、トリメチルアミン(1.30g、0.01286mol)、および4-アミノ-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル(1.84g、0.009892mol)と反応させて、表題の化合物を得た。
【0457】
生成物を、DCMおよび酢酸エチル(19:1)を溶離液として使用し、シリカゲルカラムによって精製して、1.52g(57%)の表題の化合物を黄色がかった固体として得た。
【0458】
1H NMR(400 MHz、DMSO-d6)δ10.54(s、1H、NH)、8.55(d、J=1.6-2.0 Hz、1H、ArH)、8.32(dd、J=8.8 Hz、J=2.0 Hz、1H、ArH)、8.12(d、J=8.8 Hz、1H、ArH)、6.39(s、1H、OH)、3.94(d、J=11.2 Hz、1H、CH)、3.70(d、J=11.2 Hz、1H、CH)、1.44(s、3H、CH3)。
【0459】
質量(ESI、ネガティブ):[M-H]
-;(ESI、ポジティブ):[M+Na]
+。
N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-3-(4-フルオロ-1H-ピラゾール-1-イル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(C
15H
12F
4N
4O
2)(1057)(1002のラセミ体)
【化51】
【0460】
アルゴン雰囲気下、氷水浴で冷却された無水THF(10mL)中の4-フルオロ-ピラゾール(0.10g、0.001162mol)の溶液に、水素化ナトリウム(油中の60%分散液、0.14g、0.003486mol)を添加した。添加後に、結果として得られる混合物を3時間撹拌した。N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-メチルオキシラン-2-カルボキシアミド(1056)(0.31g、0.001162mol)を、上記溶液に添加し、結果として得られる反応混合物を、アルゴン下、室温で一晩撹拌させた。反応を水によって停止させ、酢酸エチルで抽出した。有機層を、ブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。
【0461】
生成物を、ヘキサンおよび酢酸エチル(2:1~1:1)を溶離液として使用し、シリカゲルカラムによって精製して、0.37g(90%)の表題の化合物を黄色がかった固体として得た。
【0462】
1H NMR(400 MHz、DMSO-d6)δ10.38(s、1H、NH)、8.47(d、J=2.0 Hz、1H、ArH)、8.24(dd、J=8.8 Hz、J=2.0 Hz、1H、ArH)、8.10(d、J=8.8 Hz、1H、ArH)、7.74(d、J=4.4 Hz、1H、ピラゾール-H)、7.41(d、J=4.0 Hz、1H、ピラゾール-H)、6.31(s、1H、OH)、4.39(d、J=14.0 Hz、1H、CH)、4.21(d、J=14.4 Hz、1H、CH)、1.34(s、3H、CH3)。
【0463】
質量(ESI、ネガティブ):[M-H]
-;(ESI、ポジティブ):[M+Na]
+。
(S)-3-ブロモ-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(C
12H
9F
3N
2O
2)
【化52】
【0464】
(S)-3-ブロモ-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン酸(1.00g、0.0054645mol)を、塩化チオニル(0.78g、0.0065574mol)、トリメチルアミン(0.72g、0.0071038mol)、および4-アミノ-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル(1.02g、0.0054645mol)と反応させて、表題の化合物を得た。
【0465】
生成物を、DCMおよび酢酸エチル(19:1)を溶離液として使用し、シリカゲルカラムによって精製して、1.75g(90%)の表題の化合物を黄色がかった固体として得た。
【0466】
質量(ESI、ポジティブ):351.08[M+Na]
+。
(R)-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-3-(4-フルオロ-1H-ピラゾール-1-イル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(C
15H
12F
4N
4O
2)(1002のR-異性体)
【化53】
【0467】
アルゴン雰囲気下、氷水浴で冷却された無水THF(10mL)中の4-フルオロ-ピラゾール(0.10g、0.001162mol)の溶液に、水素化ナトリウム(油中の60%分散液、0.16g、0.0040665mol)を添加した。添加後に、結果として得られる混合物を3時間撹拌した。(S)-3-ブロモ-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(0.41g、0.001162mol)を、上記溶液に添加し、結果として得られる反応混合物を、アルゴン下、室温で一晩撹拌させた。反応を水によって停止させ、酢酸エチルで抽出した。有機層を、ブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。
【0468】
生成物を、ヘキサンおよび酢酸エチル(2:1~1:1)を溶離液として使用し、シリカゲルカラムによって精製して、0.27g(64%)の表題の化合物を黄色がかった固体として得た。
【0469】
1H NMR(400 MHz、DMSO-d6)δ10.38(s、1H、NH)、8.47(d、J=1.6-2.0 Hz、1H、ArH)、8.24(dd、J=8.4 Hz、J=2.0 Hz、1H、ArH)、8.10(d、J=8.4 Hz、1H、ArH)、7.74(d、J=4.4 Hz、1H、ピラゾール-H)、7.41(d、J=4.4 Hz、1H、ピラゾール-H)、6.31(s、1H、OH)、4.39(d、J=14.0 Hz、1H、CH)、4.21(d、J=14.4 Hz、1H、CH)、1.34(s、3H、CH3)。
【0470】
質量(ESI、ポジティブ):357.11[M+Na]
+。
(S)-3-(4-ブロモ-3-フルオロ-1H-ピラゾール-1-イル)-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(C
15H
11BrF
4N
4O
2)(1058)
【化54】
【0471】
アルゴン雰囲気下、氷水浴で冷却された無水THF(10mL)中の4-ブロモ-3-フルオロ-1H-ピラゾール(0.30g、0.001819mol)の溶液に、水素化ナトリウム(油中の60%分散液、0.26g、0.006365mol)を添加した。添加後に、結果として得られる混合物を3時間撹拌した。(R)-3-ブロモ-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(8)(0.64g、0.001819mol)を、上記溶液に添加し、結果として得られる反応混合物を、アルゴン下、室温で一晩撹拌させた。反応を水によって停止させ、酢酸エチルで抽出した。有機層を、ブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。生成物を、酢酸エチルおよびヘキサン(2:1)を溶離液として使用し、シリカゲルカラムによって精製して0.34g(34%)の表題の化合物を桃色がかった固体として得た。
【0472】
1H NMR(400 MHz、DMSO-d6)δ10.38(s、1H、NH)、8.45(d、J=2.0-1.6 Hz、1H、ArH)、8.23(dd、J=8.2 Hz、J=2.0 Hz、1H、ArH)、8.11(d、J=8.2 Hz、1H、ArH)、7.82(d、J=2.0 Hz、1H、ピラゾール-H)、6.35(s、1H、OH)、4.35(d、J=14.0 Hz、1H、CH)、4.04(d、J=14.0 Hz、1H、CH)、1.37(s、3H、CH3)。
【0473】
HRMS[C
15H
12BrF
4N
4O
2
+]:計算値435.0080、実測値435.0080[M+H]
+。純度:96.98%(HPLC)。
(S)-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-3-(3-フルオロ-4-(4-フルオロフェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(C
21H
15F
5N
4O
2)(1059)
【化55】
【0474】
ACN(4~5mL)およびH2O(2~3mL)の混合物中の(S)-3-(4-ブロモ-3-フルオロ-1H-ピラゾール-1-イル)-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(1058、0.20g、0.4596mmol)、4-フルオロボロン酸(77mg、0.5515mmol)、Pd(II)(OAc)2(2~3mg、0.009192mmol)、PPh3(7~8mg、0.02758mmol)、およびK2CO3(0.13g、0.965mmol)の混合物を脱気し、アルゴンを3回再充填した。結果として得られる反応混合物を、アルゴン下で3時間加熱還流した。生成物を、ヘキサンおよび酢酸エチル(2:1~1:1)を溶離液として使用し、シリカゲルカラムによって精製して、0.51mg(25%)の表題の化合物を黄色がかった固体として得た。
【0475】
1H NMR(400 MHz、cCDCl3)δ9.12(s、1H、NH)、8.06(d、J=1.6 Hz、1H、ArH)、7.85(dd、J=8.2 Hz、J=1.6 Hz、1H、ArH)、7.77(d、J=8.2 Hz、1H、ArH)、7.51(d、J=3.0 Hz、1H、ピラゾール-H)、7.43-7.40(m、2H、ArH)、7.08-7.04(m、2H、ArH)、4.57(d、J=10.5 Hz、1H、CH)、4.7(d、J=10.5 Hz、1H、CH)、1.26(s、3H、CH3)。
【0476】
HRMS[C
21H
16F
5N
4O
2
+]:計算値451.1193、実測値451.1196[M+H]
+。純度:%(HPLC)。
(S)-3-(3-ブロモ-4-シアノ-1H-ピラゾール-1-イル)-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(C
16H
11BrF
3N
5O
2)(1060)
【化56】
【0477】
アルゴン雰囲気下、氷水浴で冷却された無水THF(10mL)中の3-ブロモ-4-シアノ-1H-ピラゾール(0.20g、0.0011629mol)の溶液に、水素化ナトリウム(油中の60%分散液、0.163g、0.00407mol)を添加した。添加後に、結果として得られる混合物を3時間撹拌した。(R)-3-ブロモ-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(8)(0.41g、0.0011629mol)を、上記溶液に添加し、結果として得られる反応混合物を、アルゴン下、室温で一晩撹拌させた。反応を水によって停止させ、酢酸エチルで抽出した。有機層を、ブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。生成物を、酢酸エチルおよびヘキサン(2:1)を溶離液として使用し、シリカゲルカラムによって精製して、0.10g(20%)の表題の化合物をオフホワイトの固体として得た。
【0478】
1H NMR(400 MHz、DMSO-d6)δ10.32(s、1H、NH)、8.40(s 1H、ピラゾール-H)、8.41(s、1H、ArH)、8.20(d、J=8.4 Hz、1H、ArH)、8.11(d、J=8.4 Hz、1H、ArH)、6.47(s、1H、OH)、4.52(d、J=13.6 Hz、1H、CH)、4.33(d、J=13.6 Hz、1H、CH)、1.41(s、3H、CH3)。
【0479】
HRMS[C
16H
12BrF
3N
5O
2
+]:計算値442.0126、実測値442.0109[M+H]
+。純度:98.84%(HPLC)。
(S)-3-(3-クロロ-4-メチル-1H-ピラゾール-1-イル)-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(C
16H
14ClF
3N
4O
2)(1061)
【化57】
【0480】
アルゴン雰囲気下、氷水浴で冷却された無水THF(10mL)中の3-クロロ-4-メチル-1H-ピラゾール(0.15g、0.001287mol)の溶液に、水素化ナトリウム(油中の60%分散液、0.18g、0.0045045mol)を添加した。添加後に、結果として得られる混合物を3時間撹拌した。(R)-3-ブロモ-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(8)(0.45g、0.001287mol)を、上記溶液に添加し、結果として得られる反応混合物を、アルゴン下、室温で一晩撹拌させた。反応を水によって停止させ、酢酸エチルで抽出した。有機層を、ブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。生成物を、DCMおよび酢酸エチル(98:2~95:5)を溶離液として使用し、シリカゲルカラムによって精製して、0.27g(54%)の表題の化合物を白色固体として得た。
【0481】
1H NMR(400 MHz、DMSO-d6)δ10.33(s、1H、NH)、8.42(d、J=0.8 Hz、1H、ArH)、8.21(dd、J=8.4 Hz、J=0.8 Hz、1H、ArH)、8.10(d、J=8.2 Hz、1H、ArH)、7.50(s 1H、ピラゾール-H)、6.29(s、1H、OH)、4.36(d、J=14.4 Hz、1H、CH)、4.18(d、J=14.4 Hz、1H、CH)、1.91(s、3H、CH3)、1.35(s、3H、CH3)。
【0482】
HRMS[C
16H
15ClF
3N
4O
2
+]:計算値387.0836、実測値387.0839[M+H]
+。純度:97.07%(HPLC)。
(S)-3-(4-フルオロ-1H-ピラゾール-1-イル)-2-ヒドロキシ-2-メチル-N-(4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)プロパンアミド(1062)
【化58】
【0483】
アルゴン雰囲気下で滴下漏斗を備えた乾燥した窒素パージした100mLの丸底フラスコに、鉱油(674mg、16.9mmol)中に60%分散したNaHを、氷水浴でフラスコ内の60mLの無水THF溶媒に添加し、4-フルオロ-1H-ピラゾール(691mg、8.03mmol)を、氷水浴で30分間かけて撹拌し入れた。フラスコに、10mLの無水THF中の(R)-3-ブロモ-2-ヒドロキシ-2-メチル-N-(4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)プロパンアミド(2.98g、8.03mmol)を、滴下漏斗を通じてアルゴン雰囲気下、氷水浴で添加し、室温で一晩撹拌した。1mLのH2Oを添加した後、反応混合物を減圧下で凝縮し、次いで50mLのEtOAc中に分散させ、50mL(×2)の水、ブラインで洗浄し、無水MgSO4上で乾燥させ、蒸発乾燥させた。混合物を、溶離液EtOAc/ヘキサン=1/2としてフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して、設計された化合物(2.01g、67%)を黄色がかった固体として生成した。
【0484】
MS(ESI)m/z375.08[M-H]-;377.22[M+H]+;399.04[M+Na]+;
【0485】
19F NMR(CDCl
3、分離)δ-60.13、-176.47;NOEとCOSYによって割り当てられる。
1H NMR(400 MHz、CDCl
3)δ9.14(bs、1H、NH)、8.01(s、1H)、7.97-7.91(m、2H)、7.38(d、J=3.6 Hz、1H)、7.35(d、J=4.4 Hz、1H)、5.95(s、1H、OH)、4.56(d、J=14.0 Hz、1H)、4.17(d、J=14.0 Hz、1H)、1.48(s、3H)。
(S)-3-(4-フルオロ-1H-ピラゾール-1-イル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン酸(1062a)
【化59】
【0486】
EtOH(40ml)および水(20ml)中の1062(1.886g、5.29mmol)の溶液に、NaOH(424mg、10.59mmol)を添加し、反応混合物を2時間加熱還流し、蒸発させ(て、EtOHを除去し)、次いでEtOAcで抽出した。水相を、pH1に酸性化し、EtOAcで抽出した。抽出物を、Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、表題の化合物(845mg、85%)を褐色の油として得た。MS(ESI)m/z187.06[M-H]-;188.91[M+H]+;
【0487】
19F NMR(アセトン-d6、分離)δ-0.24;NOEおよびCOSYによって割り当てられる。
【0488】
1H NMR(400MHz、アセトン-d
6)δ7.66(d、J=4.4Hz、1H)、7.36(d、J=4.0Hz、1H)、4.45(d、J=14.0Hz、1H)、4.27(d、J=14.0Hz、1H)、1.38(s、3H)。
13C NMR(100 MHz、アセトン-d
6)δ175.70、150.36(d、J=24.12 Hz)、126.53(d、J=13.6 Hz)、118.21(d、J=28.0 Hz)、74.86、60.59、23.77。
(S)-N-(6-シアノ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)-3-(4-(4-フルオロフェニル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(1063)の調製
(S)-3-アジド-N-(6-シアノ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(1064)
【化60】
【0489】
10mLのDMF中の(R)-3-ブロモ-N-(6-シアノ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(352mg、1mmol)の溶液を、Ar下、80℃でNaN3(325mg、5mmol)で24時間処理した。次いで、反応混合物を冷却し、CH2Cl2(3×20mL)で抽出した。複合有機層を、H2O(3×20mL)およびブラインで洗浄し、乾燥させ、蒸発させて、粗油を得て、これをシリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc/n-ヘキサン=1:2、v/v)によって精製して、生成物を得た。収率=87%;
【0490】
MS(ESI)m/z 313.03[M-H]-;19F NMR(CDCl3、分離)δ-62.11;
【0491】
1H NMR(400MHz、CDCl
3)δ9.16(bs、1H,NH)、8.89(s、1H)、8.77(s、1H)、3.90(d,J=12.0 Hz、1H)、3.52(d、J=12.0 Hz、1H)、3.20(bs、1H、OH)、1.55(s、3H)。
【化61】
(S)-N-(6-シアノ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)-3-(4-(4-フルオロフェニル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(1063)
【0492】
アセトニトリル(7mL)/水(3mL)中のヨウ化銅(I)(11mg、0.055mmoL)の懸濁液に、室温で1064(57mg、0.182mmol)、および次いで1-エチニル-4-フルオロベンゼン(0.015mL、0.182mmol)を添加した。反応混合物を、室温で3日間撹拌した。混合物を減圧下で蒸発させ、水:ブライン(1:1)に注ぎ、次いで酢酸エチルで抽出した。次いで、複合有機抽出物をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、蒸発させた。クロマトグラフィー(シリカ、ヘキサン中60%酢酸エチル)による精製により、生成物を黄色固体(51.3mg、65%)として得た。
【0493】
MS(ESI)m/z433.09[M-H]-435.06[M+H]+;
【0494】
19F NMR(アセトン-d6、分離)δ114.58、61.66;NOEおよびCOSYによって割り当てられる。
【0495】
1H NMR(400MHz、アセトン-d6)δ10.16(bs、1H、NH)、9.28(s、1H)、8.88(s、1H)、8.31(s、1H)、7.90(t、J=7.8 Hz、2H)、7.20(t、J=8.8 Hz、2H)、5.73(bs、1H、OH)、4.94(d、J=14.2 Hz、1H)、4.73(d、J=14.2 Hz、1H)、1.62(s、3H)。
【0496】
実施例7
SARD活性を決定するためのインビトロアッセイ
LNCaPまたはAD1アンドロゲン受容体分解(全長AR):本発明の化合物を、全長ARタンパク質発現に対するそれらの効果について試験した。方法:全長ARを発現するLNCaPまたはAD1細胞を、成長培地(RPMI+10%FBS)中に750,000~1,000,000個の細胞/ウェルで6ウェルプレートに播種した。播種の24時間後に、培地を、フェノールレッドを含まないRPMI+1%csFBSに変え、この培地中で2日間維持した。培地を、フェノールレッドを含まないRPMI+1%csFBSに再度変え、細胞を、0.1nM R1881と併せて、SARD(1nM~10μM)で処理した。処理の24時間後に、細胞を冷たいPBSで洗浄し、採取した。塩含有溶解緩衝液を使用し、タンパク質を、3回の凍結融解サイクルで抽出した。タンパク質濃度を推定し、5μgの総タンパク質を、SDS-PAGE上に装填し、分画し、PVDF膜に移した。膜を、AR N-20抗体(SantaCruz Biotechnology,Inc.、Dallas,Texas75220)およびアクチン抗体(Sigma-Aldrich、St.Louis,MO)またはGAPDH抗体(Sigma-Aldrich、St.Louis,MO)でプローブした。
【0497】
結果:LNCaPまたはAD1細胞の分解を、表1の「1、10μMでの全長%阻害」とラベル化した列に報告する。このアッセイの結果を、ウエスタンブロットフィルム(化学発光露光フィルム)の画像として
図3に明示する。各レーンの下の数字は、ビヒクルからの%変化を表す。バンドを、ImageJソフトウェアを使用して定量化した。各レーンについて、ARバンドを、GAPDHバンドによって割り、ビヒクルから差を計算し、各レーンの下に表した。示される数は、0(分解なし)であるか、またはGAPDHレベルに対して正規化したARレベルの減少として表す(いくつかの値は、正として表されるが、依然として分解を示す)。この実験から、1048、1058、および1017が、3μMの用量で高い有効性のAR分解剤であることが明らかである。本明細書の他の場所では、1048は、耐えられないほど有毒であることが明示されている。
【0498】
実施例8
SARD化合物のインビボアンタゴニズム
ハーシュバーガー法:雄マウス(体重20~25グラム、n=5~7/群)を、13日間、図に示されるように、無傷のままにするか、または去勢(陽性対照)した。無傷のラットを、示される用量の示される化合物で、経口によって13日間毎日治療した。治療の14日目に、ラットを屠殺し、前立腺および精嚢の臓器を取り出し、秤量した。臓器重量は、そのままで表すか、または体重に対して正規化した。概要として、化合物11(インドール)、1002、1002(Tart)、1017、1022、1045、1048(有毒であるためデータなし)、1049、1058、1065、および1066についての(2バッチで行った)ラットにおける20mg/kgの固定用量スクリーニングハーシュバーガー、ならびに後に1048および1065で行ったラットにおける用量応答(1、5、10、および20mg/kg)ハーシュバーガー実験が存在した。実験の目標は、1002と同等またはそれ以上のインビボ抗アンドロゲン有効性を有する化合物を見出すことであった。表2および4に報告されるように、両方の実験について血清濃度を決定した。
【0499】
ハーシュバーガーラット(例えば、1065および1048)におけるSARD化合物の血清濃度の決定。最終投与から24~30時間後に、血清を採取した。100μLの血清を、200μLのアセトニトリル/内部標準と混合した。標準曲線を、nMの標準を100μLのラット血清で段階希釈することによって作成し、nMの濃度は、1000、500、250、125、62.5、31.2、15.6、7.8、3.9、1.9、0.97、および0であった。標準を、200μLのアセトニトリル/内部標準で抽出した。この実験の内部標準は、(S)-3-(4-シアノフェノキシ)-N-(3-(クロロ)-4-シアノフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミドであった。
【0500】
LC-MS/MS分析:1065の分析を、AB/Sciex Triple Quad4500Q-Trap(商標)質量分析計を用い、Shimadzu Nexera X2HPLCからなるLC-MS/MSシステムを使用して行った。C
18ガードカラム(Phenomenex(商標)4.6mm IDカートリッジ(ホルダー付き))によって保護されたC
18分析カラム(Alltima(商標)、2.1×100mm、3μm)を使用して、分離を達成した。移動相は、チャネルA(95%アセトニトリル+5%水+0.1%ギ酸)およびチャネルC(95%水+5%アセトニトリル+0.1%ギ酸)からなり、0.4mL/分の流速、70%Aおよび30%Bで均一濃度で送達された。1065の総実行時間は、2.50分であり、注入量は、10μLであった。多重反応モニタリング(MRM)走査を、10のカーテンガス、中程度の衝突ガス、60.0の噴霧器ガス、および60.0の補助ガスを用い、ソース温度550℃で行った。分子イオンを、4200(ネガティブモード)のイオンスプレー電圧(IS)を使用して形成した。デクラスタリング電位(DP)、エントランス電位(EP)、衝突エネルギー(CE)、生成物イオン質量、および細胞出口電位(CXP)を、質量ペア363.1/185.6について、それぞれ-75、-10、-30、および-13の値で最適化した。1、5、10、および20mg/kgで投与した個々のラットにおける1065の血清濃度を、以下に示す。
【表1-9】
【0501】
1048の血清濃度決定。最終投与から24~30時間後に、血清を採取した。100μLの血清を、200μLのアセトニトリル/内部標準と混合した。標準曲線を、nMの標準を100μLのラット血清で段階希釈することによって作成し、濃度は、1000、500、250、125、62.5、31.2、15.6、7.8、3.9、1.9、0.97、および0であった。標準を、200μLのアセトニトリル/内部標準で抽出した。この実験の内部標準は、(S)-3-(4-シアノフェノキシ)-N-(3-(クロロ)-4-シアノフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミドであった。
【0502】
LC-MS/MS分析:1048の分析を、AB/Sciex Triple Quad4500Q-Trap(商標)質量分析計を用い、Shimadzu Nexera X2HPLCからなるLC-MS/MSシステムを使用して行った。C
18ガードカラム(Phenomenex(商標)4.6mm IDカートリッジ(ホルダー付き))によって保護されたC
18分析カラム(Alltima(商標)、2.1×100mm、3μm)を使用して、分離を達成した。移動相は、チャネルA(95%アセトニトリル+5%水+0.1%ギ酸)およびチャネルC(95%水+5%アセトニトリル+0.1%ギ酸)からなり、0.4mL/分の流速、70%Aおよび30%Bで均一濃度で送達された。1048の総実行時間は、2.50分であり、注入量は、10μLであった。多重反応モニタリング(MRM)走査を、10のカーテンガス、中程度の衝突ガス、60.0の噴霧器ガス、および60.0の補助ガスを用い、ソース温度550℃で行った。分子イオンを、4200(ネガティブモード)のイオンスプレー電圧(IS)を使用して形成した。デクラスタリング電位(DP)、エントランス電位(EP)、衝突エネルギー(CE)、生成物イオン質量、および細胞出口電位(CXP)を、質量ペア362.29/184.6について、それぞれ-100、-10、-34、および-9の値で最適化した。
【表1-10】
【0503】
経口によって20mg/kgで13日間毎日試験した第1の組の化合物を、
図4に示す。見ることができるように、これらの化合物のほとんどは、体重を著しくは減少させず、この用量では、これらの化合物に著しい毒性がないことを示唆する。
【0504】
表2(以下)および
図5A~5Bは、精嚢臓器重量の支持の減少において明らかになったように、1002、11、1045、1002(Tart)、1017、1022、および1058についてインビボでARアンタゴニズムを明示したが、これらの化合物のいずれも、化学的去勢は達成しなかった。インドール11は、インビトロで最も強力なSARD(表1の約82nM)であっても、11が、この組の化合物ではインビボで最も弱いARアンタゴニストであり、ビヒクル治療ラットからの20%未満(表2の精嚢重量の13%阻害)の変化を明示することに留意されたい。トリアゾール1045、ピラゾール1017、および1002(Tart)は、このアッセイではピラゾール1002に対する機能は不確かであったが、1022および1058は、この用量でより大きな有効性を示した。これに対応して、1022および1058は、1002(9.3nM)よりも7倍(64nM)および43倍(404nM)高い血清濃度を達成し、これらのSARDの改善されたバイオアベイラビリティが、インビボ抗アンドロゲン有効性の増加につながったことを示唆する。1058(3-フルオロ-4-ブロモピラゾール)および1002(4-フルオロピラゾール)の改善されたバイオアベイラビリティは、わずかな構造的差を考慮すると予想外である。興味深いことに、1045は、130倍より高いバイオアベイラビリティ(1209nM)を明示したが、1002と比較して、不確かなインビボ有効性であるに過ぎなかった。
【表2】
【0505】
アンドロゲン組織重量の低減のパターンは、この実験の前立腺重量のものと同様であった。前立腺重量に関しては、1058、1022、1017、および1045は、1002よりも良好に機能した。ビヒクル治療ラットと比較して、前立腺重量の全ての低減(11を除く)が、有意であった(表3)。
【表3】
【0506】
図7A~7Dは、1002からの臓器重量の%差(1002からの%差)を提示し、1002を0%変化と定義し、ビヒクルを100%変化と定義した。2つの研究にわたる全ての化合物の精嚢(
図7Aおよび7B)重量低減を一緒に報告する場合、いくつかの化合物(11および1066)は、1002よりも劣り、いくつかの化合物は、1002と比較して、不確かな(1045、1002(Tart)、および1017)~わずかに改善された(1022、1058、エンザルタミド(30mg/kg)、および1049)有効性を生成したが、1065は、著しく改善された有効性を明示した。前立腺重量低減(
図7Cおよび7D)に関して、化合物のほとんどは、約10~25%改善された有効性を明示したが、1065は、約45%の改善を明示した。
【0507】
実施例9
構造活性の関連性
表4は、20mg/kgハーシュバーガー実験における、全ての化合物のインビトロ有効性(トランス活性化/分解)および代謝(ラット肝ミクロソーム(RLM)およびヒトLM(HLM)の半減期)データ、インビボ有効性(ラットにおけるS.V.および前立腺%差)、ならびにラットにおける血清濃度を報告する。明白に、トリアゾール1045は、顕著な薬物動態特性を明示したが、ARアンタゴニズムは比較的弱いものであった。同様に、1049は、1002と比較して、バイオアベイラビリティを4倍改善したが、20mg/kgでのインビボアンタゴニズムは大幅には増加させなかった。ピラゾール1058(404nM)は、構造類似体1022(64nM)、1002(33nM)、1049(125nM)、および1017(0nM)と比較して、予想外の改善されたバイオアベイラビリティを明示した。概要として、1058および1065は、これらの分子を固有のものにする、優れたインビトロ特性、インビボ有効性、および薬物動態特性の組み合わせを有する。
【表4】
【0508】
実施例10
血清テストステロンを低下させない化学的去勢
20mg/kgで治療したラットについて、屠殺時に採血し、血清を単離した。血清をLC-MS/MSに通して、テストステロンレベルを検出した。
図8に見ることができるように、1065について化学的去勢を生成したレベルよりもはるかに高いレベルでも、血清テストステロンレベルの著しい低減は存在しない。1002および1058についても、同様の結果が得られた。これは、SARDがテストステロンの合成のいかなる効果も有しないが、ARに対する直接的な効果のために、強力なインビボARアンタゴニストであることを示した。更に、これは、SARDが無傷の動物に存在する内在性アンドロゲンを克服することができる強力なアンタゴニストであることを強調する。
【0509】
実施例11
ARおよびGRの共アンタゴニスト
1058は、インビトロで強力なARアンタゴニスト(83.7nM)であり、SVおよびFL AR分解を行うことができる(それぞれ、70%および80%)。陽性対照としてのデキサメタゾンを使用する転写活性化アッセイ(
図9A)は、デキサメタゾンとしてのGRアゴニズムが、このアッセイシステムにおいて強力かつ完全な有効性アゴニズムを明示することを確認した。更に、アンタゴニストモードのこの転写活性化アッセイにおける1058の用量応答は、RU486と同様に、強力さはより少ないが完全であるGRアンタゴニズム(1984nMのIC
50)を生成した(
図9B)。1002(
図9B)およびこのテンプレートの他のSARD(図示せず)は、このアッセイでは、10μMまでの濃度でアンタゴニズムを生成しなかった。1058のGRアンタゴニズムは、1002と1058との間のわずかな構造的差を考慮すると、予想外である。更に、1002および本明細書で報告される他のピラゾールと比較して、1058の予想外のバイオアベイラビリティ(実施例10を参照されたい)を考慮すると、1058が、Horm Cancer.(2014)5(2),72-89またはdoi:10.1007/s12672-014-0173-2、およびCell(2013)155,1309-1322またはdoi:10.1016/j.cell.2013.11.012で論じられるように、GRによって媒介される抗アンドロゲン抵抗性の出現を克服または予防することができる可能性があることを示唆する。1058および本明細書に開示されるSARDのほとんど(1002を示す)もまた、インビトロで強力なPRアンタゴニストであり(
図10B)、乳癌の治療の可能性も示唆する。内在性プロゲスチンであるプロゲステロンを陽性対照として使用し、このシステムで強力かつ完全な有効性アゴニスト活性を生成した。(
図10A)。
【0510】
実施例12
化合物1058によるAR-V7依存性活性の予想外のアンタゴニズム
LNCaP-ARV7分解アッセイ
方法:文献(PMID:26378018および25008967)に記載の、全長ARを発現し、AR-V7を誘導的に発現するLNCaP-ARV7細胞を、成長培地(RPMI+10%FBS)中に750,000~1,000,000個の細胞/ウェルで6ウェルプレートに播種した。播種の24時間後に、培地を変え、示されるように10ng/mLのドキシサイクリンおよびSARDで処理した。処理の24時間後に、細胞を冷たいPBSで洗浄し、採取した。塩含有溶解緩衝液を使用し、タンパク質を、3回の凍結融解サイクルで抽出した。タンパク質濃度を推定し、5μgの総タンパク質を、SDS-PAGE上に装填し、分画し、PVDF膜に移した。この膜を、SantaCruzからのAR N-20抗体、およびSigmaからのGAPDH抗体でプローブした(Sigma-Aldrich、St.Louis,MO)。
【0511】
22RV1遺伝子発現アッセイ
方法:RPMI+1%csFBS中に10,000個の細胞/ウェルで96ウェルプレートに播種された(AR-V7を内在的に発現する)22RV1細胞において遺伝子発現研究を行った。細胞を、この培地で3日間維持し、次いで24時間処理し、RNAを、cells-to-ct試薬を使用して単離し、cDNAを合成し、様々な遺伝子の発現を、Taqmanプライマーおよびプローブを使用し、リアルタイムrtPCR(ABI7900)によって測定した。遺伝子発現結果を、GAPDHに対して正規化した。
【0512】
全血清アッセイにおけるLNCaP-ARV7増殖
LNCaP-ARV7細胞成長アッセイ:細胞を、RPMI+10%FBS中に10,000個の細胞/ウェルで96ウェルプレートに播種した。細胞を、示される培地中、ドキシサイクリンの存在下で、SARDの用量応答で処理した。3日間の終了時に、培地を変え、細胞を再処理した。6日間の終了時に、生細胞を、Cell-Titer-Glo(Promega)アッセイによって測定した。
【0513】
LNCaP-ARV7遺伝子発現アッセイ
方法:LNCaP-ARV7細胞を、フェノールレッドを含まないRPMI+1%csFBS中に15,000個の細胞/ウェルで96ウェルプレートに播種した。播種の48時間後に、細胞を、R1881の存在下、10ng/mLのドキシサイクリンの存在下で、SARDの用量応答で処理した。処理の24時間後に、RNAを、cells-to-ct試薬を使用して単離し、cDNAを合成し、様々な遺伝子の発現を、Taqmanプライマーおよびプローブを使用し、リアルタイムrtPCR(ABI7900)によって測定した。遺伝子発現結果を、GAPDHに対して正規化した。
【0514】
結果:
アンドロゲン受容体は、前立腺癌細胞の成長を支持し、FDAが承認した抗アンドロゲンおよびCYP17阻害剤療法の全てなどのLBD誘導アンタゴニストでの治療に応答して、前立腺癌細胞は、文献(PMID:26378018、25008967、および他の多くのもの)で説明されるように、LBDを欠き、AR軸の構成的かつリガンド非依存性の活性化を可能にする、様々なアンドロゲン受容体スプライス多様体(AR-SV)を発現する。アンドロゲン受容体(AR)スプライスバリアント7(AR-V7)を含むAR-SVの構成的活性は、去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)と呼ばれる去勢レベルのアンドロゲンにもかかわらず、腫瘍成長を可能にする。AR-V7、または別名ARV7は、エンザルタミドおよびアビラテロンなどのLBD誘導アンタゴニストに対する抵抗性を媒介する、1つのそのようなAR-SVである。本発明のSARDが、AR-V7をアンタゴナイズおよび分解し、AR-V7依存性CRPCを克服することができることを明示する試みにおいて、AR-V7を発現する前立腺癌のモデルを、AR-V7分解(上記のLNCaP-ARV7分解アッセイ)を誘導し、AR-V7依存性遺伝子発現(22RV1遺伝子発現およびLNCaP-ARV7遺伝子発現アッセイ)ならびに細胞増殖(全血清アッセイにおけるLNCaP-ARV7増殖)をアンタゴナイズする能力に関して研究した。予想外に、4つ全てのアッセイにおいて、1058は、1002と比較して、より優れた結果を明示した。1002は、構造類似体、および以前の手掛かりSARDである。
【化62】
【0515】
LNCaP-ARV7前立腺癌細胞は、内在的かつ構成的に全長AR(AR)を発現し、安定して組み込まれたテトラサイクリン誘導性AR-V7発現構成体を有する。ドキシサイクリンの添加は、これらの細胞内でAR-V7の発現を誘導し、AR-V7依存性前立腺癌のモデルとして機能する。
図12は、以前の手掛かり分子1002(4-フルオロピラゾール)が、3および10μMでは、ARレベルは低減することができたが、AR-V7レベルは低減することができなかった一方で、1058(3-フルオロ-4-ブロモピラゾール)が、AR-V7を発現するLNCaP-ARV7細胞内で、10μMでARおよびAR-V7の両方をほぼ完全に排除したことを示す。(1065もまた、この実験で試験した)。
図13は、LNCaP-ARV7細胞内で、古典的に知られているAR依存性遺伝子であるFKBP5のR1881誘導性発現のアンタゴニズムにおける、1058の予想外の10倍の効能の増加を明示した。同様に、
図14は、1058が、LNCaP-ARV7細胞のAR-V7依存性増殖をより強力に阻害し、1058の0.3μM対1002の1μMのアンタゴニズムが見られたことを示す。前立腺癌細胞におけるAR-V7の活性を分解および阻害する、1058対1002の効能および有効性の増加は、予想外であり、現在治療不可能なCRPCを含むAR-SV依存性前立腺癌を治療する改善された能力を示唆した。
【0516】
上記のCRPCモデルは、誘導性AR-V7を有したが、22RV1前立腺癌細胞は、全長AR(AR)およびAR-V7の両方を内在的かつ構成的に発現する。22RV1細胞におけるベースラインAR軸活性(すなわち、アンドロゲンの添加の不在下)の大部分は、22RV1におけるエンザルタミドなどのLBD誘導抗アンドロゲンによる増殖の不良なARアンタゴニズムおよびAR依存性遺伝子によって反映される、AR-V7活性によるものと考えられる(図示せず)。
図15は、1002ではなく1058が、22RV1細胞におけるAR依存性遺伝子FKBP5のAR-V7依存性ベースライン発現(すなわち、活性AR-FLへのアンドロゲンの添加の不在下)を阻害することができたことを示す。1058および1002の構造的類似性を考慮すると、1058が1002よりも3倍以上強力であったことは、予想外である。更に、1002は、試験した用量範囲でいかなる有効性も明示しなかったが、1058阻害は、10μMで50%を超えていた。
【0517】
累積的に、これらの結果は、1058が、1002および他の以前のSARDと比較して、AR-SVを発現するCRPCにおいて予想外の有効性を達成することができることを示唆する。
【0518】
実施例13
化合物1068の合成
【化63】
(S)-Tert-ブチル(1-(4-フルオロ-1H-ピラゾール-1-イル)プロパン-2-イル)カルバメート(C
11H
18FN
3O
2)
【化64】
(S)-tert-ブチル(1-ヒドロキシプロパン-2-イル)カルバメート(3.05g、0.0174277mol)、4-フルオロ-1H-ピラゾール(1.00g、0.01161845mol)、PPh
3(4.57g、0.0174277mol)、DIAD(4.01g、0.0174277mol)、および10mLの酢酸エチルの混合物を、アルゴン雰囲気下、20℃で一晩撹拌させた。反応を水によって停止させ、酢酸エチルで抽出した。有機層を、ブラインで洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。ワークアップ後、粗生成物を、更に精製することなく次のステップの反応に使用した。
【0519】
質量(ESI、ネガティブ):242.21[M-H]
-;
(S)-1-(4-フルオロ-1H-ピラゾール-1-イル)プロパン-2-アミン(C
6H
10FN
3)
【化65】
【0520】
(S)-Tert-ブチル(1-(4-フルオロ-1H-ピラゾール-1-イル)プロパン-2-イル)カルバメート(2.78g、0.0174277mol)を、エタノール中の80mLの10%HClに溶解し、結果として得られる反応混合物を、アルゴン雰囲気下で一晩撹拌させた。ワークアップ後、黄色の油としての粗生成物(0.38g、2ステップで23.3%の収率)を、更に精製することなく次のステップの反応に使用した。
【0521】
質量(ESI、ポジティブ):144.02[M+H]
+。
4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)安息香酸(C
9H
4F
3NO
2)
【化66】
【0522】
4-ヨード-3-(トリフルオロメチル)安息香酸(2.00g、0.0063287mol)、Cu(I)CN(1.70g、0.018986mol)、PPh3(2.49g、0.009493mol)、および40mLの乾燥DMFの混合物を、100±5℃で14時間加熱した。反応の終了をTLCによって確立した後、反応混合物を、酢酸エチルおよび水に分配し、水層を酢酸エチルで抽出した。複合有機層を、ブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。生成物を、ヘキサンおよび酢酸エチル(4:1~3:1および次いで2:1)を溶離液として使用し、シリカゲルカラムによって精製して、1.10g(85%)の表題の化合物を淡褐色固体として得た。
【0523】
1H NMR(400 MHz、DMSO-d6)δ14.02(br s、1H、OH)、8.39-8.32(m、2H、ArH)、7.41-7.31(m、1H、ArH)。
【0524】
質量(ESI、ネガティブ):213.91[M-H]
-;
(S)-4-シアノ-N-(1-(4-フルオロ-1H-ピラゾール-1-イル)プロパン-2-イル)-3-(トリフルオロメチル)ベンズアミド(C
15H
12F
4N
4O)(化合物1068)
【化67】
【0525】
(S)-1-(4-フルオロ-1H-ピラゾール-1-イル)プロパン-2-アミン(0.37g、0.0025845mol)、4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)安息香酸(0.67g、0.0031014mol)、EDCI(0.60g、0.0038768mol)、HOBt(0.12g、0.000773mol)、DIPEA(0.67g、0.005196mol)、および30mLの乾燥DMFをアルゴン雰囲気下で3日間撹拌した。反応を水によって停止させ、酢酸エチルで抽出した。有機層を、ブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。生成物を、ヘキサンおよび酢酸エチル(2:1~1:1)を溶離液として使用し、シリカゲルカラムによって精製して、0.15g(17%)の表題の化合物をオフホワイトの固体として得た。
【0526】
1H NMR(400 MHz、DMSO-d6)δ8.82(d、J=8.0 Hz、1H、NH)、8.33-8.29(m、2H、ArH)、8.24(d、J=8.0 Hz、1H、ArH)、7.87(d、J=4.8 Hz、1H、ピラゾール-H)、7.44(d、J=4.0 Hz、1H、ピラゾール-H)、4.43-4.36(m、1H、CH)、4.21-4.11(m、2H、2xCH)、1.55(d、J=6.8 Hz、3H、CH3)。
【0527】
質量(ESI、ネガティブ):339.22[M-H]-;(ESI、ポジティブ):341.17[M+H]+。
【0528】
本明細書では本発明の特定の特徴が図示され、説明されてきたが、多くの修正、置換、変更、および同等物が当業者に実施されるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の精神に収まるように、全てのそのような修正および変更を網羅することを意図していることを理解されたい。