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特許74569503Dプリント材料としてのポリシクロオレフィン単量体および光酸発生化合物により活性化する触媒
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  • 特許-3Dプリント材料としてのポリシクロオレフィン単量体および光酸発生化合物により活性化する触媒 図1A
  • 特許-3Dプリント材料としてのポリシクロオレフィン単量体および光酸発生化合物により活性化する触媒 図1B
  • 特許-3Dプリント材料としてのポリシクロオレフィン単量体および光酸発生化合物により活性化する触媒 図1C
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】3Dプリント材料としてのポリシクロオレフィン単量体および光酸発生化合物により活性化する触媒
(51)【国際特許分類】
   C08G 61/08 20060101AFI20240319BHJP
   B33Y 70/00 20200101ALI20240319BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20240319BHJP
【FI】
C08G61/08
B33Y70/00
B33Y80/00
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020572774
(86)(22)【出願日】2019-06-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-04
(86)【国際出願番号】 US2019039712
(87)【国際公開番号】W WO2020006345
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-06-24
(31)【優先権主張番号】62/691,833
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/798,047
(32)【優先日】2019-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/831,250
(32)【優先日】2019-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】303043461
【氏名又は名称】プロメラス, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100136423
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100154449
【弁理士】
【氏名又は名称】谷 征史
(72)【発明者】
【氏名】ブルトヴィ, オレクサンドル
(72)【発明者】
【氏名】バーチョク, マシュー エル.
(72)【発明者】
【氏名】チャン, ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ローズ, ラリー エフ.
【審査官】藤原 研司
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-537178(JP,A)
【文献】特表2013-541191(JP,A)
【文献】特開2010-260916(JP,A)
【文献】特許第5332883(JP,B2)
【文献】国際公開第2005/000579(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0154099(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B33Y
C08G
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって、
a)式(I)の1種以上の単量体:
【化1】
(ここで、
mは0、1、または2の整数であり、
【化2】
は単結合または二重結合であり、
、R、RおよびRは、同一であるかまたは異なっており、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、メチル、エチル、直鎖もしくは分岐の(C-C16)アルキル、(C-C16)アルケニル、パーフルオロ(C-C12)アルキル、(C-C12)シクロアルキル、(C-C12)ビシクロアルキル、(C-C12)ビシクロアルケニル(C-C12)アルキル、(C-C14)トリシクロアルキル、メトキシ、エトキシ、直鎖もしくは分岐の(C-C16)アルコキシ、(C-C)アシル、(C-C)アシルオキシ、ヒドロキシ(C-C16)アルキル、(C-C)アシルオキシ(C-C16)アルキル、(C-C14)アリール、(C-C14)アリール(C-C)アルキル、パーフルオロ(C-C14)アリール、パーフルオロ(C-C14)アリール(C-C)アルキル、(C-C14)アリールオキシ、(C-C14)アリール(C-C)アルコキシ、トリ(C-C)アルコキシシリル、および下記の式(A)の基からなる群より選択され、
-Z-Aryl (A)
ここで、
Zは、結合であるか、または(CR、O(CR、(CRO、(CR-O-(CR、(CR-O-(SiR、(CR-(CO)O-(CR、(CR-O(CO)-(CR、(CR-(CO)-(CRからなる群より選択される基であり、aおよびbは同一であるかまたは異なっていてもよく、それぞれ独立して、1~12の整数であり、
およびRは、同一であるかまたは異なっており、それぞれ独立して水素、メチル、エチル、直鎖もしくは分岐の(C-C)アルキル、メトキシ、エトキシ、直鎖もしくは分岐の(C-C)アルキルオキシ、(C-C)アシル、(C-C)アシルオキシ、フェニル、およびフェノキシからなる群より選択され、
Arylは、フェニルであるか、またはメチル、エチル、直鎖もしくは分岐の(C-C)アルキル、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、直鎖もしくは分岐の(C-C)アルキルオキシ、(C-C)アシル、(C-C)アシルオキシ、フェニル、およびフェノキシからなる群より選択される1つ以上の基で置換されたフェニルであり;あるいは
、Rのうちの1つが、R、Rのうちの1つおよびそれらが結合している炭素原子とともに、1つ以上の二重結合を任意に含有する(C-C)シクロアルキルまたは(C-C12)ビシクロアルキル環を形成する);
b)任意に含まれる式(IV)の1種以上の単量体:
【化3】
(ここで、
【化4】
は単結合または二重結合であり、
16およびR17は、同一であるかまたは異なっており、それぞれ独立して、水素、メチル、エチル、直鎖もしくは分岐の(C-C)アルキル、メトキシ、エトキシ、直鎖もしくは分岐の(C-C)アルキルオキシ、アセトキシ、(C-C)アシル、フェニル、およびフェノキシからなる群より選択され、あるいは、
16はR17およびそれらが結合している炭素原子とともに1つ以上の二重結合を任意に含有する(C-C)シクロアルキルまたは(C-C12)ビシクロアルキル環を形成し、
18は、水素、ハロゲン、メチル、エチル、直鎖もしくは分岐の(C-C16)アルキル、(C-C10)アリール、(C-C10)アリール(C-C)アルキル、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、直鎖もしくは分岐の(C-C16)アルコキシ、(C-C10)アリールオキシ、(C-C10)アリール(C-C)アルコキシ、-O(CO)R19および-O(CO)OR19であり、ここで、R19はメチル、エチル、直鎖もしくは分岐の(C-C16)アルキル、(C-C10)アリールおよび(C-C10)アリール(C-C)アルキルである);
c)ルテニウムおよびオスミウムからなる群より選択される金属を含む潜在オルガノ遷移金属触媒;および、
d)光分解条件下でブレンステッド酸を放出可能な化合物であって、
式(V)の化合物:
【化18】
(ここで、
Yはハロゲンであり、
30およびR31は、同一であるかまたは異なっており、それぞれ独立して、水素、メチル、エチル、直鎖もしくは分岐の(C-C12)アルキル、(C-C12)シクロアルキル、(C-C12)ビシクロアルキル、(C-C14)トリシクロアルキル、(C-C10)アリール、(C-C10)アリール(C-C)アルキル、(C-C12)アルコキシ、(C-C12)シクロアルコキシ、(C-C12)ビシクロアルコキシ、(C-C14)トリシクロアルコキシ、(C-C10)アリールオキシ(C-C)アルキル、(C-C10)-アリールオキシからなる群より選択される);
含み、
前記組成物は25℃において透明な液体である、組成物。
【請求項2】
前記組成物は、互いに異なる式(I)の第1単量体および第2単量体を含み、前記第1単量体および第2単量体のうちの1つは25℃において50センチポアズ未満の粘度を有し、前記第1単量体は、前記第2単量体と完全に混和されて透明な溶液を形成する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物は、mが1であり、R、R、R、およびRがそれぞれ水素である式(I)の単量体を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物は、R18が水素である式(IV)の単量体を含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物は、互いに異なる式(I)の第1単量体および第2単量体を含み、前記第1単量体は、mが1であり、R、R、R、およびRがそれぞれ水素である式(I)の単量体であり、前記第2単量体は、mが0であり、Rがデシル、R、R、Rがそれぞれ水素である式(I)の単量体である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記式(I)の単量体が、
【化5-1】
【化5-2】
【化5-3】
【化5-4】
からなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
【化6-1】
【化6-2】
からなる群より選択される式(IV)の1種以上の単量体を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記式(I)の1種以上の単量体は、
テトラシクロドデセン(TD);
2-ヘキシル-1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロ-1,4:5,8-ジメタノナフタレン(HexylTD);
2-デシル-1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロ-1,4:5,8-ジメタノナフタレン(DecylTD);
5-ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(BuNB);
5-ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(HexylNB);
5-デシルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(DecylNB);
5-フェネチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(PENB);
5-(2-([1,1’-ビフェニル]-4-イルオキシ)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン;
5-(2-([1,1’-ビフェニル]-2-イルオキシ)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(NBEtO-2-PhPh)およびこれらの混合物からなる群より選択され、
前記式(IV)の単量体はジシクロペンタジエン(DCPD)である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記潜在触媒は、式(IIA)の化合物、式(IIB)の化合物、式(IIIA)の化合物、式(IIIB)の化合物および式(IIIC)の化合物からなる群より選択されるオルガノ-ルテニウム化合物であり、
【化7】
ここで、
Xはハロゲンまたはアニオン配位子であり、
YはOおよびSからなる群より選択され、
Y’はOR、SRまたは-N=CHC(O)O(C-C)アルキルであり、ここで、Rはメチル、エチル、直鎖もしくは分岐の(C-C)アルキル、(C-C10)アリール、メトキシ、エトキシ、直鎖もしくは分岐の(C-C)アルコキシ、(C-C10)アリールオキシおよび-OCH(CH)C(O)N(CH)(OCH)からなる群より選択され、
LはPRまたはO=PRであり、ここで、Rは、独立して、イソプロピル、sec-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシル、ビシクロ(C-C10)アルキル、フェニル、ベンジル、イソプロポキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、シクロヘキシルオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシからなる群より選択され、あるいは、
XおよびLは、式X-Lで表される二座アニオン配位子を形成し、
イソプロピル、sec-ブチル、tert-ブチル、置換もしくは未置換のシクロヘキシル、置換もしくは未置換のフェニル、置換もしくは未置換のビフェニル、置換もしくは未置換のナフチルからなる群より選択され、ここで前記置換シクロヘキシル、前記置換フェニル、前記置換ビフェニルおよび前記置換ナフチルの各々における置換基は、それぞれ独立に、メチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、フェニルからなる群より選択され
はメチル、エチル、直鎖もしくは分岐の(C-C)アルキル、(C-C10)アリール、メトキシ、エトキシ、直鎖もしくは分岐の(C-C)アルコキシ、(C-C10)アリールオキシ、-NHCO(C-C)アルキル、-NHCO-パーフルオロ(C-C)アルキル、-SON((C-C)アルキル)、および-NOからなる群より選択され、
Ar、Ar、Ar、およびAr同一であるかまたは異なっており、それぞれ独立して、置換もしくは未置換のフェニル、置換もしくは未置換のビフェニル、置換もしくは未置換のナフチルからなる群より選択され、ここで前記置換フェニル、前記置換ビフェニルおよび前記置換ナフチルの各々における置換基は、それぞれ独立に、メチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、フェニルからなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記潜在オルガノ遷移金属触媒としてオルガノ-ルテニウム化合物を含み、前記オルガノ-ルテニウム化合物は、
【化8-1】
【化8-2】
【化8-3】
からなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記光分解条件下でブレンステッド酸を発生可能な前記化合物は、下記式(V)の化合物:
【化9】
(ここで、
Yは塩素であり、
30は水素であり、R31は水素、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシおよびブトキシからなる群より選択される);
である、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記光分解条件下でブレンステッド酸を発生可能な前記化合物は
【化11-1】
【化11-2】
らなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
ジシクロペンタジエン(DCPD)、5-ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(BuNB)、1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニルイミダゾリジン-2-イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)-(2-オキソベンジリデン)ルテニウム(VI)ヨウ化物、および1-クロロ-4-プロポキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(CPTX)の混合物;
ジシクロペンタジエン(DCPD)、5-ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(HexylNB)、1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニルイミダゾリジン-2-イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)-(2-オキソベンジリデン)ルテニウム(VI)ヨウ化物、1-クロロ-4-プロポキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(CPTX)の混合物;
ジシクロペンタジエン(DCPD)、5-デシルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(DecylNB)、1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニルイミダゾリジン-2-イリデン)-(2-オキソベンジリデン)-2-(((2,6-ジイソプロピルフェニル-イミノ)メチル)フェノキシ)ルテニウム、および1-クロロ-4-プロポキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(CPTX)の混合物;
ジシクロペンタジエン(DCPD)、5-フェネチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(PENB)、1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニルイミダゾリジン-2-イリデン)-(2-オキソベンジリデン)-2-(((2,6-ジイソプロピルフェニル-イミノ)メチル)フェノキシ)ルテニウム、および1-クロロ-4-プロポキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(CPTX)の混合物;
5-フェネチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(PENB)、5-(2-([1,1’-ビフェニル]-2-イルオキシ)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(NBEtO-2-PhPh)、1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニルイミダゾリジン-2-イリデン)-(2-オキソベンジリデン)-2-(((2,6-ジイソプロピルフェニル-イミノ)メチル)フェノキシ)ルテニウム、および1-クロロ-4-プロポキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(CPTX)の混合物;
ジシクロペンタジエン(DCPD)、テトラシクロドデセン(TD)、1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニルイミダゾリジン-2-イリデン)-(2-オキソベンジリデン)-2-(((2,6-ジイソプロピルフェニル-イミノ)メチル)フェノキシ)ルテニウム、および1-クロロ-4-プロポキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(CPTX)の混合物;
ジシクロペンタジエン(DCPD)、テトラシクロドデカジエン(TDD)、1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニルイミダゾリジン-2-イリデン)-(2-オキソベンジリデン)-2-(((2,6-ジイソプロピルフェニル-イミノ)メチル)フェノキシ)ルテニウム、および1-クロロ-4-プロポキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(CPTX)の混合物;
テトラシクロドデセン(TD)、1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニルイミダゾリジン-2-イリデン)-(2-オキソベンジリデン)-2-(((2,6-ジイソプロピルフェニル-イミノ)メチル)フェノキシ)ルテニウム、および1-クロロ-4-プロポキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(CPTX)の混合物;
らなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
3Dオブジェクトを形成するキットであって、
a)式(I)の1種以上の単量体:
【化12】
(ここで、
mは0、1、または2の整数であり、
【化13】
は単結合または二重結合であり、
、R、RおよびRは、同一であるかまたは異なっており、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、メチル、エチル、直鎖もしくは分岐の(C-C16)アルキル、(C-C16)アルケニル、パーフルオロ(C-C12)アルキル、(C-C12)シクロアルキル、(C-C12)ビシクロアルキル、(C-C12)ビシクロアルケニル(C-C12)アルキル、(C-C14)トリシクロアルキル、メトキシ、エトキシ、直鎖もしくは分岐の(C-C16)アルコキシ、(C-C)アシル、(C-C)アシルオキシ、ヒドロキシ(C-C16)アルキル、(C-C)アシルオキシ(C-C16)アルキル、(C-C14)アリール、(C-C14)アリール(C-C)アルキル、パーフルオロ(C-C14)アリール、パーフルオロ(C-C14)アリール(C-C)アルキル、(C-C14)アリールオキシ、(C-C14)アリール(C-C)アルコキシ、トリ(C-C)アルコキシシリル、および下記の式(A)の基からなる群より選択され、
-Z-Aryl (A)
ここで、
Zは、結合であるか、または(CR、O(CR、(CRO、(CR-O-(CR、(CR-O-(SiR、(CR-(CO)O-(CR、(CR-O(CO)-(CR、(CR-(CO)-(CRからなる群より選択される基であり、aおよびbは、同一であるかまたは異なっていてもよく、それぞれ独立して、1~12の整数であり、
およびRは、同一であるかまたは異なっており、それぞれ独立して、水素、メチル、エチル、直鎖もしくは分岐の(C-C)アルキル、メトキシ、エトキシ、直鎖もしくは分岐の(C-C)アルキルオキシ、(C-C)アシル、(C-C)アシルオキシ、フェニル、およびフェノキシからなる群より選択され、
Arylは、フェニルであるか、またはメチル、エチル、直鎖もしくは分岐の(C-C)アルキル、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、直鎖もしくは分岐の(C-C)アルキルオキシ、(C-C)アシル、(C-C)アシルオキシ、フェニル、およびフェノキシからなる群より選択される1つ以上の基で置換されたフェニルであり;あるいは
、Rのうちの1つが、R、Rのうちの1つおよびそれらが結合している炭素原子とともに、1つ以上の二重結合を任意に含有する(C-C)シクロアルキルまたは(C-C12)ビシクロアルキル環を形成する);
b)任意に含まれる式(IV)の1種以上の単量体:
【化14】
(ここで、
【化15】
は単結合または二重結合であり、
16およびR17は、同一であるかまたは異なっており、それぞれ独立して、水素、メチル、エチル、直鎖もしくは分岐の(C-C)アルキル、メトキシ、エトキシ、直鎖もしくは分岐の(C-C)アルキルオキシ、アセトキシ、(C-C)アシル、フェニル、およびフェノキシからなる群より選択され、あるいは、
16はR17およびそれらが結合している炭素原子とともに1つ以上の二重結合を任意に含有する(C-C)シクロアルキルまたは(C-C12)ビシクロアルキル環を形成し、
18は水素、ハロゲン、メチル、エチル、直鎖もしくは分岐の(C-C16)アルキル、(C-C10)アリール、(C-C10)アリール(C-C)アルキル、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、直鎖もしくは分岐の(C-C16)アルコキシ、(C-C10)アリールオキシ、(C-C10)アリール(C-C)アルコキシ、-O(CO)R19および-O(CO)OR19であり、ここで、R19はメチル、エチル、直鎖もしくは分岐の(C-C16)アルキル、(C-C10)アリールおよび(C-C10)アリール(C-C)アルキルである);
c)ルテニウムおよびオスミウムからなる群より選択される金属を含む潜在オルガノ遷移金属触媒;および、
d)式(V)の化合物:
【化16】
(ここで、
Yはハロゲンであり、
30およびR31は、同一であるかまたは異なっており、それぞれ独立して、水素、メチル、エチル、直鎖もしくは分岐の(C-C12)アルキル、(C-C12)シクロアルキル、(C-C12)ビシクロアルキル、(C-C14)トリシクロアルキル、(C-C10)アリール、(C-C10)アリール(C-C)アルキル、(C-C12)アルコキシ、(C-C12)シクロアルコキシ、(C-C12)ビシクロアルコキシ、(C-C14)トリシクロアルコキシ、(C-C10)アリールオキシ(C-C)アルキル、および(C-C10)-アリールオキシからなる群より選択される)
を含む、キット。
【請求項15】
【化17-1】
【化17-2】
からなる群より選択される式(V)の化合物を含む、請求項14に記載のキット。
【請求項16】
互いに異なる式(I)の単量体を少なくとも2種含有し、1種の単量体が別の単量体に完全に溶解可能であり、395nmの放射線で十分な時間露光されたときに、3Dオブジェクトを形成する、請求項14に記載のキット。
【請求項17】
テトラシクロドデセン(TD)、1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニルイミダゾリジン-2-イリデン)-(2-オキソベンジリデン)-2-(((2,6-ジイソプロピルフェニル-イミノ)メチル)フェノキシ)ルテニウム、および1-クロロ-4-プロポキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(CPTX)の混合物を含む、請求項14に記載のキット。
【請求項18】
ジシクロペンタジエン(DCPD)、テトラシクロドデセン(TD)、1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニルイミダゾリジン-2-イリデン)-(2-オキソベンジリデン)-2-(((2,6-ジイソプロピルフェニル-イミノ)メチル)フェノキシ)ルテニウム、および1-クロロ-4-プロポキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(CPTX)の混合物を含む、請求項14に記載のキット。
【請求項19】
ジシクロペンタジエン(DCPD)、5-デシルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(DecylNB)、1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニルイミダゾリジン-2-イリデン)-(2-オキソベンジリデン)-2-(((2,6-ジイソプロピルフェニル-イミノ)メチル)フェノキシ)ルテニウム、および1-クロロ-4-プロポキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(CPTX)の混合物を含む、請求項14に記載のキット。
【請求項20】
請求項1の組成物を含む3Dオブジェクト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本願は、2018年6月29日付で出願された米国仮出願第62/691,833号、2019年1月29日付で出願された米国仮出願第62/798,047号、2019年4月9日付で出願された米国仮出願第62/831,250号の権利を主張しており、前記仮出願はすべて本願に援用される。
【0002】
本発明の実施形態は、概して、塊重合性ポリシクロオレフィン単量体、および潜在触媒を調整および活性化する対イオン(counterion)を有し、ブレンステッド酸を発生させる化合物によって光分解的に活性化する触媒を含有する、3Dプリント材料に有用な単一成分組成物に関する。そのように形成された組成物は優れた機械的性質を有し、特に衝撃強度が高く、3Dインク組成物を含む多様な用途に応用することができる。具体的には、本発明は、室温で安定的な単一成分の組成物であり、ノルボルネン(NB)系オレフィン単量体およびジシクロペンタジエン(DCPD)系オレフィン単量体と、光分解条件下で活性化する酸素感受性の触媒系を含み、塊重合を起こしてフィルム、ビア(via)、パターンラインなどを含む固体物質を形成する組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、ミクロンレベルの微細構造を有する3Dオブジェクトを製作可能な3Dインク組成物の開発が注目を集めている。最近導入された3Dインク系では、人間組織工学から電子部品に至るまで多種多様な分野で有用に用いられる3Dオブジェクトを連続して製作することができる。一例として、J.M.DeSimone et al.,Science,Vol.347,pp 1349-1352(2015)は、「デッドゾーン(dead zone)」を制御して3Dインク物質の酸素感受性を回避することで、より速く、かつより高解像度で一連のオブジェクトを製作できる連続液体界面製造(CLIP)を開示している。CLIPで形成されるオブジェクトは、50~100ミクロンの範囲のパターンを有することができる。
【0004】
WO2017/068590A1は、開環メタセシス重合法で重合可能なジシクロペンタジエン化合物を使用した一連の3Dインクジェットプリント材料を開示している。
【0005】
米国登録特許第9,909,022号は、プリントおよび硬化を通じて基板上に有機薄膜を形成する各種のインク組成物を開示している。該インク組成物は、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイに使用されるように考案されたものである。開示された組成物は、一般に、硬化性ポリエチレングリコールアクリレートとポリオールアクリレートであるが、これらの物質は200℃を超える温度下では安定性を失うことが知られている。
【0006】
したがって、より速い速度で硬化でき、産業的に有用な3Dオブジェクト、フィルム、パターンの安価な製作に好適な熱的・機械的性質を有する3Dプリント材料を開発する必要がある。前記組成物は、その他の用途にも用いることができ、例えば、スピンコーティングまたはスロットダイコーティングなどの伝統的な手法で各種の表面に塗布される光コーティング組成物として使用することも可能である。さらに、該コーティングは、前記組成物を含有する単一層または複数層のいずれであってもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、該技術分野において直面した問題を解決することができる3Dプリント組成物を提供することである。具体的には、本発明の目的は、非活性雰囲気下で急速に塊重合を起こして、3Dプリントシステムの条件で3Dオブジェクトを形成する単一成分組成物を提供することである。本発明のまた別の目的は、安定性に優れた単一成分の塊重合性組成物であり、通常の保管条件下で粘度に変化を起こさず、3D工程条件下でのみ塊重合を起こす組成物を提供することである。
【0008】
本発明のその他の目的および用途の範囲については、以下の説明で詳細に示される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
単一成分のフィラー組成物を採択することで、熱的・機械的性質を改善した3Dオブジェクトを形成することが可能であることが見出された。最も注目すべき点は、本発明の組成物を適切に制御して所望の水準の熱機械的性質を得ることができることである。例えば、本発明の組成物を制御して150℃を超えるガラス転移温度(Tg)、高い熱変形温度(HDT、1.82MPa/264psiで50゜Cを超える)、高い延伸破断点(100パーセントを超える)、高い衝撃強度(アイゾッド衝撃強度が約50J/m以上)、高い引張強度(50MPaを超える)を表すようにできる。また、本発明の組成物は、光分解条件下でより速く塊重合を起こすので、3D技術分野であればいずれにも採用が可能であり、例えば、3Dオブジェクトの連続液体界面製造を含み、積層方式、インクジェット配合、光造形用途にも用いられる。本発明の組成物の光重合速度は非常に速いことが期待され、したがって全体の大きさが10インチ以上であり、微細構造が50μm未満であるオブジェクトを含む、様々な大きさの各種のオブジェクトを形成することができる。さらに、本発明の組成物は、ポリシクロオレフィンの剛性構造のために収縮率が低いことが予想される。また、本発明の成分は、応用時に極めて速い速度で塊重合を起こすので、小分子を残さず追加処理を必要としない。一般的には、他の小分子添加剤を採用する必要がないため、一定の特性が付与される。最も重要な点は、本発明の組成物は、最大35℃の大気温度条件下で数時間安定的(すなわち粘度に変化が起こらない)であり、光分解条件下でのみ塊重合を起こすことである。
【0010】
したがって、本発明は、
a)式(I)の1種以上の単量体:
【化1】
(ここで、
mは0、1、または2の整数であり、
【化2】
は単一結合または二重結合であり、
、R、R、およびRは同一であるかまたは異なっており、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、メチル、エチル、直鎖もしくは分岐の(C-C16)アルキル、(C-C16)アルケニル、パーフルオロ(C-C12)アルキル、(C-C12)シクロアルキル、(C-C12)ビシクロアルキル、(C-C12)ビシクロアルケニル(C-C12)アルキル、(C-C14)トリシクロアルキル、メトキシ、エトキシ、直鎖もしくは分岐の(C-C16)アルコキシ、(C-C)アシル、(C-C)アシルオキシ、ヒドロキシ(C-C16)アルキル、(C-C)アシルオキシ(C-C16)アルキル、(C-C14)アリール、(C-C14)アリール(C-C)アルキル、パーフルオロ(C-C14)アリール、パーフルオロ(C-C14)アリール(C-C)アルキル、(C-C14)アリールオキシ、(C-C14)アリール(C-C)アルコキシ、トリ(C-C)アルコキシシリル、下記の式(A)の基からなる群より選択され、
-Z-Aryl (A)
ここで、
Zは、(CR、O(CR、(CRO、(CR-O-(CR、(CR-O-(SiR、(CR-(CO)O-(CR、(CR-O(CO)-(CR、(CR-(CO)-(CRからなる群より選択される結合または基であり、aおよびbは同一であるかまたは異なっていてもよく、それぞれ独立して、1~12の整数であり、
およびRは、同一であるかまたは異なっており、それぞれ独立して水素、メチル、エチル、直鎖もしくは分岐の(C-C)アルキル、メトキシ、エトキシ、直鎖もしくは分岐の(C-C)アルキルオキシ、(C-C)アシル、(C-C)アシルオキシ、フェニル、およびフェノキシからなる群より選択され、
Arylは、フェニル、またはメチル、エチル、直鎖もしくは分岐の(C-C)アルキル、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、直鎖もしくは分岐の(C-C)アルキルオキシ、(C-C)アシル、(C-C)アシルオキシ、フェニル、およびフェノキシからなる群より選択される1つ以上の基で置換されたフェニルであり;あるいは、
またはRのうちの1つが、RまたはRのうちの1つとともに炭素原子に付着して、1つ以上の二重結合を任意に含有する(C-C)シクロアルキルまたは(C-C12)ビシクロアルキル環を形成する);
b)任意に含まれる式(IV)の1種以上の単量体:
【化3】
(ここで、
【化4】
は単一結合または二重結合であり、
16およびR17は、同一であるかまたは異なっており、それぞれ独立して、水素、メチル、エチル、直鎖もしくは分岐の(C-C)アルキル、メトキシ、エトキシ、直鎖もしくは分岐の(C-C)アルキルオキシ、アセトキシ、(C-C)アシル、フェニル、およびフェノキシからなる群より選択され、
16はR17とともに炭素原子に付着して、1つ以上の二重結合を任意に含有する(C-C)シクロアルキルまたは(C-C12)ビシクロアルキル環を形成し、
18は、水素、ハロゲン、メチル、エチル、直鎖もしくは分岐の(C-C16)アルキル、(C-C10)アリール、(C-C10)アリール(C-C)アルキル、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、直鎖もしくは分岐の(C-C16)アルコキシ、(C-C10)アリールオキシ、(C-C10)アリール(C-C)アルコキシ、-O(CO)R19および-O(CO)OR19であり、ここで、R19は、メチル、エチル、直鎖もしくは分岐の(C-C16)アルキル、(C-C10)アリールおよび(C-C10)アリール(C-C)アルキルである);
c)ルテニウムおよびオスミウムからなる群より選択される金属を含む潜在オルガノ遷移金属触媒;
d)光分解条件下でブレンステッド酸を放出可能な化合物を含み、
前記組成物は室温で透明な液体である、組成物を提供する。
【0011】
本発明のまた別の態様において、本発明はさらに、本発明の組成物を含んで3Dオブジェクトを形成するキットを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
添付の図面および/または画像を参照して、本発明による実施例を以下に説明する。図面は、本発明の各種の実施例を単純化したものであり、説明のみを目的とする。
図1A図1Aは、抗酸化剤および相乗剤を含む本発明の組成物で製造された重合体で製作されたドッグボーン形状の引張バーであり、本願に記載のエージング試験前の状態を表したものである。
図1B図1Bは、抗酸化剤および相乗剤を含む本発明の組成物で製造された重合体で製作された同一のドッグボーン形状の引張バーであり、本願に記載のエージング試験後の状態を表したものである。
図1C図1Cは、抗酸化剤および相乗剤を含まない本発明の組成物で製造した重合体で作ったものであり、本願に記載のエージング試験以後の状態を表したものである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書で用いられる用語は下記のような意味を有する。
【0014】
冠詞「a」、「an」、「the」を用いる場合、明示的に1つの対象に限定されない限り、複数の対象まで含むものとみなす。
【0015】
本明細書および明細書に添付された特許請求の範囲に使用される成分、反応条件などの量を表す数字、数値および/または式は、該数字、数値および/または式を得るために実施された測定上の多様な不確定要素が反映されるため、別途記載がない限り、すべて「約(about)」という表現を含むものとみなす。
【0016】
本明細書に数字の範囲が開示されている場合、前記範囲は連続的であり、該範囲の最大値と最小値、さらに前記最大値と最小値の間のすべての値を含むものとみなす。前記範囲が整数に関連する場合、範囲の最大値と最小値の間のすべての整数を含む。さらに特徴または特性を説明するために複数の範囲が提示されている場合、前記複数の範囲を組み合わせることも可能である。言い換えると、別途指示がない限り、本明細書に開示されるすべての範囲は、該範囲が含むすべての下位範囲を網羅する。例えば「1~10」という範囲が提示されている場合、該範囲は最小値1と最大値10の間のすべての下位範囲を含むものとみなされなければならない。1と10の間の下位範囲の例としては、1~6.1、3.5~7.8、5.5~10などを挙げることができるが、これに限定されない。
【0017】
本明細書において、「アルキル」とは、特定の数の炭素原子を有する飽和、直鎖もしくは分岐の炭化水素置換基を示す。特定のアルキル基は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、tert-ブチルなどをいう。「アルコキシ」、「チオアルキル」、「アルコキシアルキル」、「ヒドロキシアルキル」、「アルキルカルボニル」、「アルコキシカルボニルアルキル」、「アルコキシカルボニル」、「ジフェニルアルキル」、「フェニルアルキル」、「フェニルカルボキシアルキル」、および「フェノキシアルキル」などの派生表現も同様に解釈することができる。
【0018】
本明細書において「シクロアルキル」は、公知の環状基をすべて含む。「シクロアルキル」の代表例としてはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどを挙げることができるが、これに限定されない。「シクロアルコキシ」、「シクロアルキルアルキル」、「シクロアルキルアリール」、「シクロアルキルカルボニル」などの派生表現も同様に解釈することができる。
【0019】
本明細書において「パーハロアルキル」は、上記で定義したアルキルにおいて、該アルキル基の水素原子がすべてフッ素、塩素、臭素またはヨウ素から選択されるハロゲン原子で置換されたアルキルを示す。代表例としては、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、トリブロモメチル、トリヨードメチル、ペンタフルオロエチル、ペンタクロロエチル、ペンタブロモエチル、ペンタヨードエチル、直鎖もしくは分岐のヘプタフルオロプロピル、ヘプタクロロプロピル、ヘプタブロモプロピル、ノナフルオロブチル、ノナクロロブチル、ウンデカフルオロペンチル、ウンデカクロロペンチル、トリデカフルオロヘキシル、トリデカクロロヘキシルなどを挙げることができる。派生表現である「パーハロアルコキシ」も同様に解釈することができる。本明細書に記載の特定アルキル基、例えば「アルキル」は、部分的にフルオロ化されてもよい。言い換えると、該アルキル基内の水素原子の一部だけがフッ素原子で置換されてもよく、派生表現もまた同様に解釈する。
【0020】
本明細書において「アシル」は、「アルカノイル」と同義であり、構造式「R-CO-」と表すことができ、ここで、Rは、特定の数の炭素原子を有する上記で定義された「アルキル」に該当する。さらに「アルキルカルボニル」は、本明細書で定義される「アシル」と同義とみなす。特に「(C-C)アシル」はホルミル、アセチル、またはエタノイル、プロパノイル、n-ブタノイルなどを意味する。「アシルオキシ」および「アシルオキシアルキル」などの派生表現も同様に解釈する。
【0021】
本明細書において「アリール」は、置換もしくは未置換のフェニルまたはナフチルを示す。置換フェニルまたは置換ナフチルの具体例としてはo-、p-、m-トリル、1,2-、1,3-、1,4-キシリル、1-メチルナフチル、2-メチルナフチルなどを挙げることができる。また、「置換フェニル」または「置換ナフチル」は、本明細書で定義されるものまたは当該分野で公知のものの中で可能な置換基をすべて含むものとする。
【0022】
本明細書において「アリールアルキル」は、本明細書で定義されるアリールが本明細書で定義されるアルキルに結合されていることを示す。代表例としてはベンジル、フェニルエチル、2-フェニルプロピル、1-ナフチルメチル、2-ナフチルメチルなどを挙げることができる。
【0023】
本明細書において「アルケニル」は、特定の数の炭素原子を有し、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含有する非環状の直鎖もしくは分岐の炭化水素鎖を意味し、エテニル基、直鎖もしくは分岐のプロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基を含む。派生表現である「アリールアルケニル」、および5員または6員「ヘテロアリールアルケニル」も同様に解釈する。上記の派生表現の代表例としては、フラン-2-エテニル、フェニルエテニル、4-メトキシフェニルエテニルなどを挙げることができる。
【0024】
本明細書において「ヘテロアリール」は、芳香族ラジカルを含有する公知のすべてのヘテロ原子を含む。5員ヘテロアリールラジカルの代表例としては、フラニル、チエニルまたはチオフェニル、ピロリル、イソピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリルなどを挙げることができる。6員ヘテロアリールラジカルの代表例としては、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニルなどを挙げることができる。二環式ヘテロアリールラジカルの代表例としては、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリル、ベンゾイミダゾリル、インダゾリル、ピリドフラニル、ピリドチエニルなどを挙げることができる。
【0025】
「ハロゲン」または「ハロ」は、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヨードを意味する。
【0026】
広義で「置換(substituted)」は、有機化合物の許容可能な置換基をすべて含むものと解釈することができる。本明細書に開示された一部の特定の実施形態において、「置換」は、独立して、(C-C)アルキル、(C-C)アルケニル、(C-C)パーフルオロアルキル、フェニル、ヒドロキシ、-COH、エステル、アミド、(C-C)アルコキシ、(C-C)チオアルキル、および(C-C)パーフルオロアルコキシからなる群より選択された1つ以上の置換基で置換されたものをいう。しかし、該実施形態においては、当業者に知られている適切なその他の置換基を使用することもできる。
【0027】
本文、図解(scheme)、実施例、および表において原子が原子価(valence)を満たすことができない場合、該原子価を満たす適切な数の水素原子を有するものとみなすこととする。
【0028】
本明細書において「潜在オルガノ遷移金属触媒」は、特定温度(一般的に周辺大気条件下の温度)で触媒活性を殆ど示さないか、適切な光に露出されたときに触媒反応が活性化するオルガノ遷移金属化合物を意味する。
【0029】
「3次元オブジェクト」または「3Dオブジェクト」は、電子、光電子またはその他の分野を含む広範囲な応用が可能な公知の技術のうちの任意の技術により本発明の組成物から形成することができる任意の巨視的または微視的オブジェクトを示す。
【0030】
本明細書において「由来(derived)」は、重合体繰り返し単位が、例えば式(I)または(IV)による多環ノルボルネン型単量体から重合(形成)されることを意味する。この場合、結果的に得られた重合体は開環メタセシス重合(ROMP:ring opened metathesis polymerized)されたものであり、例えば、下記のようにノルボルネン型単量体の2,3二重結合が開環重合されて形成される。
【化5】
【0031】
したがって、本発明の実施によると、単一成分の組成物であって、
a)式(I)の1種以上の単量体:
【化6】
(ここで、
mは0、1、または2の整数であり、
【化7】
は単一結合または二重結合であり、
、R、R、およびRは同一であるかまたは異なっており、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、メチル、エチル、直鎖もしくは分岐の(C-C16)アルキル、(C-C16)アルケニル、パーフルオロ(C-C12)アルキル、(C-C12)シクロアルキル、(C-C12)ビシクロアルキル、(C-C12)ビシクロアルケニル(C-C12)アルキル、(C-C14)トリシクロアルキル、メトキシ、エトキシ、直鎖もしくは分岐の(C-C16)アルコキシ、(C-C)アシル、(C-C)アシルオキシ、ヒドロキシ(C-C16)アルキル、(C-C)アシルオキシ(C-C16)アルキル、(C-C14)アリール、(C-C14)アリール(C-C)アルキル、パーフルオロ(C-C14)アリール、パーフルオロ(C-C14)アリール(C-C)アルキル、(C-C14)アリールオキシ、(C-C14)アリール(C-C)アルコキシ、トリ(C-C)アルコキシシリル、および下記の式(A)の基からなる群より選択され、
-Z-Aryl (A)
ここで、
Zは、(CR、O(CR、(CRO、(CR-O-(CR、(CR-O-(SiR、(CR-(CO)O-(CR、(CR-O(CO)-(CR、(CR-(CO)-(CRからなる群より選択される結合または基であり、aおよびbは同一であるかまたは異なっていてもよく、それぞれ独立して、1~12の整数であり、
およびRは、同一であるかまたは異なっており、それぞれ独立して、水素、メチル、エチル、直鎖もしくは分岐の(C-C)アルキル、メトキシ、エトキシ、直鎖もしくは分岐の(C-C)アルキルオキシ、(C-C)アシル、(C-C)アシルオキシ、フェニル、およびフェノキシからなる群より選択され、
Arylは、フェニル、またはメチル、エチル、直鎖もしくは分岐の(C-C)アルキル、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、直鎖もしくは分岐の(C-C)アルキルオキシ、(C-C)アシル、(C-C)アシルオキシ、フェニル、およびフェノキシからなる群より選択される1つ以上の基で置換されたフェニルであり;あるいは
またはRのうちの1つが、RまたはRのうちの1つとともに炭素原子に付着して、1つ以上の二重結合を任意に含有する(C-C)シクロアルキルまたは(C-C12)ビシクロアルキル環を形成する);
b)任意に含まれる式(IV)の1種以上の単量体:
【化8】
(ここで、
【化9】
は単一結合または二重結合であり、
16およびR17は、同一であるかまたは異なっており、それぞれ独立して、水素、メチルエチル、直鎖もしくは分岐の(C-C)アルキル、メトキシ、エトキシ、直鎖もしくは分岐の(C-C)アルキルオキシ、アセトキシ、(C-C)アシル、フェニル、およびフェノキシからなる群より選択され、
16はR17とともに炭素原子に付着して、1つ以上の二重結合を任意に含有する(C-C)シクロアルキルまたは(C-C12)ビシクロアルキル環を形成し、
18は、水素、ハロゲン、メチル、エチル、直鎖もしくは分岐の(C-C16)アルキル、(C-C10)アリール、(C-C10)アリール(C-C)アルキル、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、直鎖もしくは分岐の(C-C16)アルコキシ、(C-C10)アリールオキシ、(C-C10)アリール(C-C)アルコキシ、-O(CO)R19および-O(CO)OR19であり、ここで、R19は、メチル、エチル、直鎖もしくは分岐の(C-C16)アルキル、(C-C10)アリールおよび(C-C10)アリール(C-C)アルキルである);
c)ルテニウムおよびオスミウムからなる群より選択される金属を含む潜在オルガノ遷移金属触媒;
d)光分解条件下でブレンステッド酸を放出可能な化合物を含み、
前記組成物は、室温で透明な液体である、組成物を提供する。
【0032】
本明細書で用いられるArylは、さらに以下の成分を含んでもよい。
【化10】
ここで、各式のRは、独立して、メチル、エチル、直鎖もしくは分岐の(C-C12)アルキル、(C-C10)アリールからなる群より選択される。
【0033】
本発明の組成物において採択される単量体は、参考文献に記載の公知の物質を採択してもよく、本分野において該当する単量体または類似の単量体を生成する公知の方法のうちの任意の方法で生成することも可能である。
【0034】
さらに、本明細書に記載の単量体は、容易に塊重合できる。言い換えると、溶媒をまったく使用しない純粋な(neat)形態であるときに、特定の遷移金属触媒、例えば、オルガノ-ルテニウムおよびオルガノ-オスミウム化合物を使用して開環メタセシス重合(ROMP)条件下で塊重合を実施すると塊重合を起こす。一例として、R.H.Grubbs et al.,Handbook of Metathesis,Ed.:Wiley-VCH,Weinheim,Germany,2003,R.H.Grubbs et al.,Acc.Chem.Res.2001,34,18-29,R.H.Grubbs et al.,Angew.Chem.Int.Ed.,2006,45,3760-3765を参照されたい。本明細書に援用されている米国登録特許第6,838,489号を参照してもよい。本明細書において「塊重合」とは、該分野で一般的に通用する概念を意味する。言い換えると、実質的に溶媒なしに進行される重合反応を示す。しかし、一部の場合には、反応媒体内に溶媒が少量存在することもある。例えば、少量の溶媒を潜在触媒および/または活性化剤の溶解、または反応媒体に潜在触媒および/または活性化剤を運搬するのに使用してもよい。一部の溶媒は、単量体の粘度を低減するのに用いられることもある。反応媒体内に存在する溶媒の量は、単量体の総重量に対して0~5重量%の範囲であってもよい。触媒、活性化剤および/または単量体を溶解することができれば、溶媒の種類は限定されない。該溶媒の例としては、アルカン、シクロアルカン、トルエン、THF、ジクロロメタン、ジクロロエタンなどを挙げることができる。
【0035】
現在、1種以上の単量体自体を潜在触媒および活性化剤の溶解に使用することで、溶媒の使用を回避できることが見出された。さらに、単量体のうちの1種が他の単量体の溶媒として機能することで、追加的な溶媒使用の必要性を排除することもできる。例えば、式(I)の第1単量体が室温で固体である場合、室温で液体である式(I)の第2単量体を固体である式(I)の第1単量体の溶媒として使用することができ、その逆も同様である。したがって、上記のような状況においては、1種以上の単量体を本発明の組成物として採択することができる。
【0036】
一部の実施形態においては、触媒の溶媒とブレンステッド酸発生剤として使用され、大気条件下で安定性を維持する式(I)の単量体のうちの1種のみが採択される。しかし、光分解条件下で急速な塊重合が起きるので、本発明で考慮する多様な応用分野において有用に用いることができる。
【0037】
これにより、式(I)の1種以上の単量体が公知の3次元(3D)技術のうちの任意の技術を用いて、3Dオブジェクトを製作する新規材質として用いることができることが見出された。一般的に、本発明の組成物は、粘度が低く、25℃で100センチポアズ未満であってもよく、一部の実施形態においては、25℃で50センチポアズ(cP)未満でもよい。一部の実施形態において、本発明の組成物は、25℃で40センチポアズ未満の粘度を有する。別の実施形態において、本発明の組成物は、25℃で約10~40センチポアズの範囲の粘度を有する。また別の実施形態において、本発明の組成物は、25℃で30cP未満、20cP未満、15cP未満、12cP未満の粘度を有する。また別の実施形態においては、40℃で10cP未満であってもよい。また別の実施形態において、本発明の組成物は、40℃で約8~12cPの範囲の粘度を有する。
【0038】
本発明の組成物が2種以上の単量体を含む場合、例えば、粘度変更、熱機械的性質の向上、またはその両方を含む、所望の利点が得られる望ましい量で単量体を含有することができる。よって、式(I)の第1単量体と式(I)の第2単量体(第1単量体と異なる)とのモル比は1:99~99:1の範囲になる。一部の実施形態において、式(I)の第1単量体と式(I)の第2単量体とのモル比は5:95~95:5の範囲であり、また別の実施形態においては、10:90~90:10、20:80~80:20、30:70~70:30、60:40~40:60、50:50などである。同様に、式(I)の異なる2種以上の単量体を採択する場合であっても、所望の結果が得られるのであれば、単量体のモル比は制限されない。
【0039】
一般的に、本発明による組成物は、前記式(I)で表される単量体を1種以上含有し、後述のように式(I)で表されるが互いに異なる単量体がさらに必要である場合、多様な実施形態の組成物を選択して所望の用途に望ましくかつ適切な性質を該実施形態に付与することで、各種の特定の用途に合わせて該実施形態を調整することができる。
【0040】
例えば、上述のように、式(I)で表される異なる単量体を適切に組み合わせて所望の粘度、熱的性質および機械的性質を有するように組成物を調整することが可能である。さらに、後述のように、その他の重合体物質または単量体物質、例えば、最終用途により異なる所望の光学的性質を提供する無機ナノ粒子を含有することが望ましい場合もある。したがって、本発明の組成物は、所望の利点を創出できるその他の重合体物質および/またはナノ粒子をさらに含んでもよい。該重合体の例としては、ポリスチレン、ポリ(α-メチルスチレン)、ポリ(ビニル-トルエン)、α-メチルスチレンおよびビニル-トルエンの共重合体などを挙げることができるが、これに限定されない。一部の実施形態において、これらの重合体および/またはナノ粒子の一部は、使用する単量体の種類により、粘度調節剤として機能する場合もある。よって、本発明の一部の実施形態において、ポリスチレンは粘度調節剤として用いられる。本発明の組成物に用いられる添加剤として好適であり得るその他の重合体としては、天然ゴムや合成ゴムを始めとする多様なゴムを含むエラストマー重合体を挙げることができる。合成ゴムとしては、ポリイソブチレン(PIB)、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエンおよび/またはイソプレンとスチレンのランダムまたはブロック共重合体、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴムなどを挙げることができるがこれに限定されない。一部の実施形態において、これらの重合体および/またはナノ粒子の一部は、使用する単量体の種類により、粘度調節剤として機能する場合もある。よって、本発明の一部の実施形態において、ポリスチレンは粘度調節剤として用いられる。また別の実施形態では、各種の官能化ポリノルボルネンを本発明の組成物において追加成分として使用する。好適なポリノルボルネンとしては、ポリブチルノルボルネン、ポリヘキシルノルボルネン、ポリデシルノルボルネンなどが挙げられるが、これに限定されない。所望の効果が得られる量であれば、重合体添加剤の量は制限されない。したがって、一部の実施形態において、重合体添加剤の使用量は、約0.5重量%ないし約20重量%の範囲であり、また別の実施形態では、約1重量%ないし約10重量%の範囲である。
【0041】
本発明による組成物は、該組成物と該組成物で製作されたオブジェクトの性質を改善するのに有用であり得る任意の添加剤をさらに含有してもよい。任意の添加剤は、例えば抗酸化剤または相乗剤を含んでもよい。所望の効果が得られる抗酸化剤であれば、本発明の組成物に制限なく用いることができる。該抗酸化剤の例としてはペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)(BASF社、IRGANOXTM1010)、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ-オクタデシルエステルベンゼンプロパン酸(BASF社、IRGANOXTM1076)、チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニル)プロピオネート](BASF社、IRGANOXTM1035)が挙げられるが、これに限定されない。
【0042】
相乗剤としては、例えば、酸化と酸化による本発明の組成物の劣化とを防止して1次抗酸化剤の効能を拡張するような効果を与える特定の2次抗酸化剤を使用することができるが、これに限定されない。相乗剤には、トリ(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト(BASF社、市販名:IRGAFOS168)が含まれる。
【0043】
また、本発明の組成物は、単量体をさらに含有することができることが見出された。一部の実施形態において、本発明の組成物は、式(IV)で表される単量体より選択された1種以上の第2単量体をさらに含有してもよい。
【0044】
本発明の上記態様において、現在、式(IV)の単量体が更なる利点を組成物に付与することが見出された。言い換えると、式(IV)の単量体は、該単量体の性質によって高度の熱機械的性質を付与し、それにより用途に応じて性質を調節することができる。さらに、式(IV)の単量体は、それ以外に得られる利点の中でも特に潜在触媒および/または活性化剤に対して低粘度かつ優れた溶解性を示す。
【0045】
本発明の組成物の形成に採択される式(I)と単量体と式(IV)の単量体の使用量には特に制限はない。よって、式(I)の単量体と式(IV)の単量体とのモル比は1:99~99:1の範囲となる。一部の実施形態において、式(I)の単量体と式(IV)の単量体とのモル比は5:95~95:5の範囲であり、また別の実施形態においては、10:90~90:10、20:80~80:20、30:70~70:30、60:40~40:60、50:50などである。同様に、式(I)の1種以上の単量体と式(IV)の1種以上の単量体を採択する場合においても、所望の結果が得られるのであれば、単量体のモル比は制限されない。
【0046】
一部の実施形態において、本発明の組成物は、mが1であり、それぞれR、R、R、およびRが水素である式(I)の単量体を含む。また別の実施形態において、本発明の組成物は、mが0であり、R、R、R、およびRのうちの少なくとも1つが水素ではない上記で定義した基のうちの1つであり、R、R、R、およびRのうちの残りが水素である式(I)の単量体を含む。
【0047】
一部の実施形態において、本発明の組成物は、R18が水素である式(IV)の単量体を含む。一部の実施形態において、本発明の組成物は、R18がメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、フェニル、ベンジル、フェネチル、メトキシ、エトキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、アセトキシ、ベンゾイルである式(IV)の単量体を含む。
【0048】
一部の実施形態において、本発明の組成物は、互いに異なる式(I)の第1単量体と第2単量体とを含み、ここで、第1単量体は、mが1であり、それぞれR、R、R、およびRが水素である式(I)の単量体であり、第2単量体は、mが0であり、Rがデシルであり、それぞれR、R、およびRは水素である式(I)の単量体である。
【0049】
したがって、式(I)で表される単量体の範疇に属する単量体であれば、制限なく本発明の組成物として採択することができる。式(I)の単量体の代表例は以下のとおりであるが、これに限定されない。
【化11-1】
【化11-2】
【化11-3】
【化11-4】
【化11-5】
【0050】
式(IV)の単量体の代表例としては以下の化合物を挙げることができるが、これに限定されない。
【化12-1】
【化12-2】
【0051】
一部の実施形態において、本発明の組成物は、
テトラシクロドデセン(TD);
2-フェネチル-1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロ-1,4:5,8-ジメタノナフタレン(PETD);
2-ヘキシル-1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロ-1,4:5,8-ジメタノナフタレン(HexylTD);
2-デシル-1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロ-1,4:5,8-ジメタノナフタレン(DecylTD);
5-ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(BuNB);
5-ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(HexylNB);
5-デシルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(DecylNB);
5-フェネチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(PENB);
5-(2-([1,1’-ビフェニル]-4-イルオキシ)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン;
ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2-イルメチルアセテート(MeOAcNB);
1,4-ジ(ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2-イル)ブタン(NBBuNB);
3a,4,4a,5,8,8a,9,9a-オクタヒドロ-1H-4,9:5,8-ジメタノシクロペンタ[b]ナフタレン(シクロペンタジエンの三量体のうちの1種、CPD3、TCPD1ともいう);および
5-(2-([1,1’-ビフェニル]-2-イルオキシ)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(NBEtO-2-PhPh)
からなる群より選択される式(I)の1種以上の単量体を含む。
【0052】
一部の実施形態において、本発明の組成物は、ジシクロペンタジエン(DCPD)である式(IV)の単量体を含む。所望の3Dオブジェクトを形成するために意図した効果を得ることができ、かつ該3Dオブジェクトの形成に必要な性質に応じて調節することが可能であれば、本発明の組成物として採択する前記式(I)の単量体と前記式(IV)の単量体との組み合わせは制限されない。
【0053】
本発明のまた別の実施形態において、該組成物は、本明細書に記載のようにROMP条件下で塊重合を誘発し得る潜在触媒を種類に制限なく含有する。一般的に、好適な潜在触媒の例としては、公知のオルガノ遷移金属錯体を多数挙げることができるが、その中でもオルガノ-ルテニウムまたはオルガノ-オスミウム化合物が挙げられる。例えば、本願に一部が援用されている米国登録特許第9,328,132号は、オレフィンメタセシス反応に用いられる一連のオルガノ-ルテニウム化合物を開示しており、前記触媒は、すべて本発明の組成物において潜在触媒として好適に用いることができる。
【0054】
したがって、本発明の組成物は、式(IIA)の化合物、式(IIB)の化合物、式(IIIA)の化合物、式(IIIB)の化合物、および式(IIIC)の化合物からなる群より選択されるオルガノ-ルテニウム化合物である潜在触媒を含有する。
【化13】
ここで、
Xは、ハロゲンまたはアニオン配位子であり、
Yは、OおよびSからなる群より選択され、
Y’は、ORSRおよび-N=CHC(O)O(C-C)アルキルであり、ここで、Rは、メチル、エチル、直鎖もしくは分岐の(C-C)アルキル、(C-C10)アリール、メトキシ、エトキシ、直鎖もしくは分岐の(C-C)アルコキシ、(C-C10)アリールオキシ、-OCH(CH)C(O)N(CH)(OCH)からなる群より選択され、
Lは、PRまたはO=PRであり、ここで、Rは、独立して、イソプロピル、sec-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシル、ビシクロ(C-C10)アルキル、フェニル、ベンジル、イソプロポキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、シクロヘキシルオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシからなる群より選択され、あるいは、
XおよびLは、式X-Lで表される二座アニオン配位子を形成し、
は、イソプロピル、sec-ブチル、tert-ブチル、置換もしくは未置換のシクロヘキシル、置換もしくは未置換のフェニル、置換もしくは未置換のビフェニル、置換もしくは未置換のナフチルからなる群より選択され;
は、メチル、エチル、直鎖もしくは分岐の(C-C)アルキル、(C-C10)アリール、メトキシ、エトキシ、直鎖もしくは分岐の(C-C)アルコキシ、(C-C10)アリールオキシ、-NHCO(C-C)アルキル、-NHCO-パーフルオロ(C-C)アルキル、-SON((C-C)アルキル)、および-NOからなる群より選択され、
Ar、Ar、Ar、およびArは、同一であるかまたは異なっており、それぞれ独立して、置換もしくは未置換のフェニル、置換もしくは未置換のビフェニル、置換もしくは未置換のナフチルからなる群より選択され、
ここで、前記置換基はメチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、およびフェニルからなる群より選択される。
【0055】
前記式(IIA)、式(IIB)、式(IIIA)、式(IIIB)、および式(IIIC)において、Xは任意のハロゲンを含むことができる。一部の実施形態において、Xは塩素、臭素、ヨウ素である。
【0056】
一般的に、式(I)で表される単量体の開環メタセシス重合を誘発する潜在オルガノ遷移金属触媒であれば、種類に制限なく本発明の組成物として採択することができる。より具体的には、大気温度で殆ど活性化しないオルガノ-ルテニウムまたはオルガノ-オスミウム化合物を採択することができる。言い換えると、室温または室温に近い温度で安定的な潜在触媒が本発明の組成物により好適であると言える。潜在触媒は、各条件下で活性化させてもよく、これには熱活性化、酸活性化、光活性化、化学的活性化が含まれるが、これに限定されない。化学的活性化は、熱酸発生剤または光酸発生剤の使用を含んでもよい。
【0057】
本発明の組成物に好適な潜在触媒は、参考文献に記載の公知の触媒であってもよく、本分野で公知の方法のうちの任意の方法で容易に生成することができる。一例として、Grubbs,et al.,Organometallics,2011,30(24):6713-6717;Sutar et al.,Angew.Chem.Int.Ed.2016,55,764-767;Leitgeh,et al.,Monatsh Chem(2014)145:1513-1517;van Hensbergen,et al.,J.Mater.Chem.C.2015,3,693-702;Grubbs,et al.,J.Am.Chem.Soc.,2009,131,203802039;Zak,et al.,Eur.J.Inorg.Chem.,2014,1131-1136;Gawin,et al.,ACS Catal.2017,7,5443-5449を参照されたい。その他の例としては、米国登録特許第9,328,132号を参照してもよい。例示するいくつかの潜在触媒、すなわちオルガノ-ルテニウム化合物は、
【化14-1】
【化14-2】
【化14-3】
からなる群より選択されてもよいが、これに限定されない。
【0058】
上述のように、本発明の組成物は、好適な光分解条件下でブレンステッド酸を放出することのできる化合物をさらに含んでもよい。放出されたブレンステッド酸のアニオン、例えば塩化物は潜在触媒を活性化する。公知の特定の光活性化合物、例えば置換キサントン誘導体をこの目的に使用することができることが見出された。
【0059】
したがって、一部の実施形態において、該キサントン誘導体は下記の式(V)で表される。
【化15】
ここで、Yはハロゲンであり、R30およびR31は、同一であるかまたは異なっており、それぞれ独立して、水素、メチル、エチル、直鎖もしくは分岐の(C-C12)アルキル、(C-C12)シクロアルキル、(C-C12)ビシクロアルキル、(C-C14)トリシクロアルキル、(C-C10)アリール、(C-C10)アリール(C-C)アルキル、(C-C12)アルコキシ、(C-C12)シクロアルコキシ、(C-C12)ビシクロアルコキシ、(C-C14)トリシクロアルコキシ、(C-C10)アリールオキシ(C-C)アルキル、および(C-C10)-アリールオキシからなる群より選択される。一部の実施形態において、Yはフッ素、塩素、臭素、またはヨウ素からなる群より選択される。また別の実施形態において、Yは塩素である。また別の実施形態において、R30は水素であり、R31はメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシなどからなる群より選択される。
【0060】
また、式(VI)の各種の置換トリアジンも好適な光分解条件下でブレンステッド酸を放出することができる化合物であることが見出された。
【化16】
ここで、
32、R33、R34は、同一であるかまたは異なっており、それぞれ独立して、ハロゲン、メチル、エチル、直鎖もしくは分岐の(C-C12)アルキル、トリハロメチル、ペンタハロエチル、直鎖もしくは分岐のパーハロ(C-C12)アルキル、(C-C10)アリール、(C-C10)アリール(C-C)アルキル、パーハロ(C-C10)アリール、パーハロ(C-C10)アリールパーハロ(C-C)アルキル、置換もしくは未置換の5員または6員ヘテロアリール(C-C)アルケニル、および置換もしくは未置換の(C-C10)アリール(C-C)アルケニルからなる群より選択され、ただし、R32、R33、R34のうちの1つは、トリハロメチル、ペンタハロエチル、直鎖もしくは分岐のパーハロ(C-C12)アルキルである。
【0061】
式(V)の化合物の代表例は以下のとおりである。
【化17-1】
【化17-2】
【0062】
式(IV)の化合物の代表例としては以下の化合物を挙げることができるが、これに限定されない。
【化18-1】
【化18-2】
【0063】
ブレンステッド酸を発生させる式(V)の化合物であれば、特別な制限なく本発明の組成物に使用することができることが見出された。発生したブレンステッド酸は、式(IIA)、(IIB)、(IIIA)、(IIIB)または(IIIC)の潜在触媒を活性化し、式(I)の単量体、さらに存在する場合、式(IV)の単量体のROMPを開始することで、本発明の組成物は、3Dオブジェクトを形成するようになる。一般的に、ブレンステッド酸は、種類に制限なく触媒の活性化を誘発することができる。ブレンステッド酸の例としては、フッ化水素酸、塩化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸などが挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態において、発生したブレンステッド酸は塩化水素酸である。
【0064】
一部の実施形態において、式(V)の化合物は、一定の波長、一般的に約240nm~400nmの電子放射で活性化することができる。よって、前記電子放射で活性化する化合物は、特別な制限なく、3D製作方法において安定的な本発明の組成物に使用可能である。一部の実施形態において、式(V)の化合物は、波長260nmの放射線で活性化する。また別の実施形態において、式(V)の化合物は、波長310nmの放射線で活性化する。また別の実施形態において、式(V)の化合物は、波長395nmの放射線で活性化する。
【0065】
しかし、本発明で採択された潜在触媒を活性化するブレンステッド酸を発生させる公知の光活性化合物であれば、特別な制限なく本発明の組成物に用いることができる。これらの化合物は、すべて本発明の範疇に属するものとみなす。
【0066】
本発明の一部の実施形態において、本発明の組成物は、式(I)の単量体、さらに存在する場合、式(IV)の単量体の塊重合を促進するために、オルガノ遷移化合物を活性化させる光増感剤化合物をさらに含むことができる。この目的を達成するために好適な増感剤化合物であれば、種類に制限なく本発明の組成物に用いることができる。好適な増感剤化合物としては、アントラセン、フェナントレン、クリセン、ベンツピレン、フルオランテン、ルブレン、ピレン、キサントン、インダンスレン、およびこれらの混合物のような光増感剤が挙げられる。好適な増感剤成分は、これらの混合物を含む。一般的に、光増感剤は、光源で照射したエネルギーを吸収して該エネルギーを必要な基板/反応物に移送する。本発明では、本発明の組成物として採択された式(V)の化合物が、上記の基板/反応物に該当する。
【0067】
本発明の組成物において、所望の結果を得ることができるのであれば、潜在触媒と式(V)の化合物の含有量に特に制限はない。一般的に、単量体、潜在触媒、式(V)の化合物のモル比は、10,000:1:1~5,000:1:1、またはそれ以下の範囲である。また別の実施形態において、式(V)の化合物は、潜在触媒より高い水準で用いられる。例えば、単量体、潜在触媒、光活性開始剤の比率は、10,000:1:2、10,000:1:4またはそれ以上の範囲であり得る。また別の実施形態において、単量体、潜在触媒、光活性開始剤の比率は、15,000:1:4、20,000:1:4、またはそれ以上である。
【0068】
一般的に、260nm~400nmの波長を有する好適な放射線に露光して塊重合を実施すると、本発明による組成物が実質的に3Dオブジェクトを形成することが見出された。言い換えると、本発明の組成物を好適な放射線に露光すると、単量体が塊重合を起こして一般的な3Dプリント技術の固体オブジェクトを形成する。
【0069】
一部の実施形態において、本発明の組成物は、好適なUV放射線に露光したときに塊重合を起こし、単量体または揮発性オリゴマー生成物を実質的に殆ど生成しなかった。
【0070】
また、塊重合条件下に置く前に、該組成物の粘度を調節するために本発明の組成物と互換するその他の各種の粘度調節剤を用いることが可能であることも見出された。好適な粘度調節剤の例としては、ポリスチレン、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、PET)などの透明重合体を挙げることができる。
【0071】
したがって、本発明の一部の実施形態においては、上述したように、式(I)の1種以上の単量体、必要である場合、式(IV)の1種以上の単量体、潜在触媒、式(V)の化合物を含む組成物を提供する。本発明の該態様においては、上述した式(I)の単量体であれば、使用に特に制限はなく、必要に応じて、式(IV)の1種以上の単量体と組み合わせることもできる。一般的に、式(I)の単量体の中で粘度が50センチポアズ未満である単量体が採択される。式(I)の単量体が2種以上である場合、第1単量体は、第2単量体と完全に混和されて透明な溶液を形成する。前記組成物を好適な放射線に露光して好適な3Dプリント条件下で製作すると、3Dオブジェクトを形成することができる。
【0072】
本発明のまた別の実施形態において、本発明の組成物は、ジシクロペンタジエン(DCPD)、5-ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(BuNB)、1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニルイミダゾリジン-2-イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)-(2-オキソベンジリデン)ルテニウム(VI)ヨウ化物、および1-クロロ-4-プロポキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(CPTX)の混合物を含む。
【0073】
本発明のまた別の実施形態において、本発明の組成物は、ジシクロペンタジエン(DCPD)、5-ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(HexylNB)、1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニルイミダゾリジン-2-イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)-(2-オキソベンジリデン)ルテニウム(VI)ヨウ化物、および1-クロロ-4-プロポキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(CPTX)の混合物を含む。
【0074】
本発明のまた別の実施形態において、本発明の組成物は、ジシクロペンタジエン(DCPD)、5-デシルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(DecylNB)、1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニルイミダゾリジン-2-イリデン)-(2-オキソベンジリデン)-2-(((2,6-ジイソプロピルフェニル-イミノ)メチル)フェノキシ)ルテニウム、および1-クロロ-4-プロポキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(CPTX)の混合物を含む。
【0075】
本発明のまた別の実施形態において、本発明の組成物は、ジシクロペンタジエン(DCPD)、5-フェネチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(PENB)、1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニルイミダゾリジン-2-イリデン)-(2-オキソベンジリデン)-2-(((2,6-ジイソプロピルフェニル-イミノ)メチル)フェノキシ)ルテニウム、および1-クロロ-4-プロポキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(CPTX)の混合物を含む。
【0076】
本発明のまた別の実施形態において、本発明の組成物は、5-フェネチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(PENB)、5-(2-([1,1’-ビフェニル]-2-イルオキシ)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(NBEtO-2-PhPh)、1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニルイミダゾリジン-2-イリデン)-(2-オキソベンジリデン)-2-(((2,6-ジイソプロピルフェニル-イミノ)メチル)フェノキシ)ルテニウム、および1-クロロ-4-プロポキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(CPTX)の混合物を含む。
【0077】
本発明のまた別の実施形態において、本発明の組成物は、ジシクロペンタジエン(DCPD)、テトラシクロドデセン(TD)、1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニルイミダゾリジン-2-イリデン)-(2-オキソベンジリデン)-2-(((2,6-ジイソプロピルフェニル-イミノ)メチル)フェノキシ)ルテニウム、および1-クロロ-4-プロポキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(CPTX)の混合物を含む。
【0078】
本発明のまた別の実施形態において、本発明の組成物は、ジシクロペンタジエン(DCPD)、テトラシクロドデカジエン(TDD)、1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニルイミダゾリジン-2-イリデン)-(2-オキソベンジリデン)-2-(((2,6-ジイソプロピルフェニル-イミノ)メチル)フェノキシ)ルテニウム、1-クロロ-4-プロポキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(CPTX)の混合物を含む。
【0079】
本発明のまた別の実施形態において、本発明の組成物は、テトラシクロドデセン(TD)、1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニルイミダゾリジン-2-イリデン)-(2-オキソベンジリデン)-2-(((2,6-ジイソプロピルフェニル-イミノ)メチル)フェノキシ)ルテニウム、および1-クロロ-4-プロポキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(CPTX)の混合物を含む。
【0080】
本発明のまた別の実施形態において、本発明の組成物は、ジシクロペンタジエン(DCPD)、5-デシルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(DecylNB)、1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニルイミダゾリジン-2-イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)-(2-オキソベンジリデン)-ルテニウム(VI)ヨウ化物、および2-(4-メトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジンの混合物を含む。
【0081】
本発明のまた別の態様において、本発明は、3Dオブジェクトを形成するキットを提供する。本発明の組成物は、該キット内に分散される。よって、一部の実施形態において、式(I)の1種以上の単量体、必要に応じて式(IV)の1種以上の単量体および式(V)の化合物を分散させて、所望の結果を得るかまたは所望の目的を達成することができるキットが提供される。さらに、該キットは本明細書に記載の潜在触媒を含む。式(I)または(IV)の単量体は上述のとおりである。
【0082】
一部の実施形態において、前記キットは、本明細書に記載の式(I)で表される互いに異なる単量体2種以上を含む。また別の実施形態において、本発明のキットは少なくとも2種の単量体を含み、第1単量体は第2単量体および/または本明細書に記載の潜在触媒と添加剤の溶解を促進する。本明細書に記載の式(I)の単量体であれば、種類に制限なく、本実施形態に用いることができる。これらの成分に含有される式(I)の第1単量体と第2単量体とのモル比は変えることができ、1:99~99:1、10:90~90:10、20:80~80:20、30:70~70:30、60:40~40:60、50:50などの範囲でもよい。90:10、20:80~80:20、30:70~70:30、60:40~40:60、50:50などの範囲でもよい。また別の実施形態において、キットは、式(I)の互いに異なる2種以上の単量体が分散されている組成物を含む。さらに上述のように、式(I)の第1単量体は、式(I)の第2単量体に完全に溶解されて室温で透明な溶液を形成する。一部の実施形態において、単量体混合物は、塊重合を起こす前に、若干昇温した温度で、例えば30℃、40℃または50℃で透明な溶液になる。本発明のまた別の実施形態において、本発明の組成物は、好適な放射線に十分な時間露光されると、塊重合を起こして3Dオブジェクトを形成する。言い換えると、本発明の組成物を好適な放射線に露光できる好適な3Dプリントシステムで使用すると、所望の3Dオブジェクトを形成する。上述のように、重合は一般的に、約260nm~400nmあるいはそれ以上の波長を有する好適な放射線で露光して実施することができる。260nm~400nm、または本明細書に記載の好適な波長で段階的に露光することも可能である。本発明を実施することにより、公知の3Dプリント技術のうちの任意の技術を用いて3Dオブジェクトを形成することができる。
【0083】
一部の実施形態において、本発明のキットは、互いに異なる式(I)の単量体を少なくとも2種類含み、一方の単量体は他方の単量体に完全に溶解され、前記組成物は、395nmの放射線で十分な時間露光されたとき、3Dオブジェクトを形成する。
【0084】
一部の実施形態において、前記キットは、ジシクロペンタジエン(DCPD)、5-ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(BuNB)、1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニルイミダゾリジン-2-イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)-(2-オキソベンジリデン)ルテニウム(VI)ヨウ化物、および1-クロロ-4-プロポキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(CPTX)の混合物を含む組成物を含む。
【0085】
一部の実施形態において、前記キットは、ジシクロペンタジエン(DCPD)、5-ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(HexylNB)、1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニルイミダゾリジン-2-イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)-(2-オキソベンジリデン)ルテニウム(VI)ヨウ化物、および1-クロロ-4-プロポキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(CPTX)の混合物を含む組成物を含む。
【0086】
一部の実施形態において、前記キットは、テトラシクロドデセン(TD)、1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニルイミダゾリジン-2-イリデン)-(2-オキソベンジリデン)-2-(((2,6-ジイソプロピルフェニル-イミノ)メチル)フェノキシ)ルテニウム、および1-クロロ-4-プロポキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(CPTX)の混合物を含む組成物を含む。
【0087】
一部の実施形態において、前記キットは、ジシクロペンタジエン(DCPD)、テトラシクロドデセン(TD)、1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニルイミダゾリジン-2-イリデン)-(2-オキソベンジリデン)-2-(((2,6-ジイソプロピルフェニル-イミノ)メチル)フェノキシ)ルテニウム、および1-クロロ-4-プロポキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(CPTX)の混合物を含む組成物を含む。
【0088】
一部の実施形態において、前記キットは、ジシクロペンタジエン(DCPD)、5-デシルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(DecylNB)、1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニルイミダゾリジン-2-イリデン)-(2-オキソベンジリデン)-2-(((2,6-ジイソプロピルフェニル-イミノ)メチル)フェノキシ)ルテニウム、および1-クロロ-4-プロポキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(CPTX)の混合物を含む組成物を含む。
【0089】
一部の実施形態において、前記キットは、ジシクロペンタジエン(DCPD)、テトラシクロドデカジエン(TDD)、1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニルイミダゾリジン-2-イリデン)-(2-オキソベンジリデン)-2-(((2,6-ジイソプロピルフェニル-イミノ)メチル)フェノキシ)ルテニウム、および1-クロロ-4-プロポキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(CPTX)の混合物を含む組成物を含む。
【0090】
一部の実施形態において、前記キットは、5-フェネチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(PENB)、5-(2-([1,1’-ビフェニル]-2-イルオキシ)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(NBEtO-2-PhPh)、1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニルイミダゾリジン-2-イリデン)-(2-オキソベンジリデン)-2-(((2,6-ジイソプロピルフェニル-イミノ)メチル)フェノキシ)ルテニウム、および1-クロロ-4-プロポキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(CPTX)の混合物を含む組成物を含む。
【0091】
一部の実施形態において、前記キットは、ジシクロペンタジエン(DCPD)、5-フェネチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(PENB)、1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニルイミダゾリジン-2-イリデン)-(2-オキソベンジリデン)-2-(((2,6-ジイソプロピルフェニル-イミノ)メチル)フェノキシ)ルテニウム、および1-クロロ-4-プロポキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(CPTX)の混合物を含む組成物を含む。
【0092】
一部の実施形態において、前記キットは、ジシクロペンタジエン(DCPD)、5-デシルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(デシルNB)、1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニルイミダゾリジン-2-イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)-(2-オキソベンジリデン)-ルテニウム(VI)ヨウ化物、および2-(4-メトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジンの混合物を含む組成物を含む。
【0093】
上述のように、本発明の組成物は、公知の3次元(3D)プリント技術およびその他のプリント技術のうちの任意の技術で使用することができる。該分野において公知の3Dプリントの手順のうちの一部には、連続液体界面製造(continuous liquid interface production、CLIP)、積層方式(layer by layer approach、LBL)、インクジェット印刷、および前面重合法(frontal polymerization)(前面開環メタセシス[frontal ring open metathesis、FROMP];例として、Robertson et al.,Nature,Vol.557,223-227(2018)を参照)が含まれる。
【0094】
CLIPの場合、本発明の組成物を含む透明レジンバス(bath)の酸素透過性/UV透過性窓を通じて連続UVイメージシーケンス(デジタル光処理[DLP]撮像装置またはレーザーで生成)を投射して3Dオブジェクトを連続して形成する。窓の上に生成されたデッドゾーン(deadzone)は、作業部(advancingpart)の下で液体界面を維持する。デッドゾーンの上では硬化部を引き出してレジンバスの外に出し続ける。同時に、引き出すことで発生する吸入力がレジンバスのレジンを補う。このような方式で、最大数cmの大きさで100ミクロン未満の解像度を有する各種の部品を製作することができる。
【0095】
3Dインクジェットプリント技術の場合、本発明の組成物は、基板、一般的にシリコンウェハ上に線とビア(via)を形成する光重合性インク組成物として用いられ得る。したがって、本発明の組成物を使用して電子および光電子分野において有用な多様な部品を製造することが可能である。これには多様な基板にOLEDを製造することも含まれ(これに限定されない)、実質的に粒子がない大気において高収率で生産することができる。本発明の組成物は、OLEDデバイスの一部で有機密封層および/またはフィラーとして機能し得る。
【0096】
本発明のまた別の態様によると、本発明は、3Dオブジェクトを形成する方法であって、
式(I)の1種以上の単量体と、潜在触媒と、式(V)の化合物または式(VI)の化合物を含み、必要に応じて式(IV)の1種以上の単量体を含む組成物として均一で透明な組成物を好適な容器に入れ、
好適なUV放射線に露光しながら該組成物を容器から出して、
3Dオブジェクトを形成する方法を提供する。
【0097】
本発明の方法で形成された3Dオブジェクトは、優れた熱的および機械的性質を有する。一般的に該オブジェクトの性質は、所望の最終用途に合わせて調節することができる。例えば、該3Dオブジェクトの形成に用いられる組成物において、式(IV)の単量体と組み合わされた式(I)の単量体の種類によって、3Dオブジェクトの熱的性質を最大180℃以上の温度で安定性を維持するように調整することが可能である。同様に、上述した単量体のうちの好適な単量体を選択することで所望の機械的性質を有するようにすることもできる。一般的に、好適な単量体を選択すると、衝撃強度が非常に高い部品を製作することができる。
【0098】
したがって、本発明の一部の実施形態においては、本発明の組成物を含み、優れた熱的および機械的性質を有する3Dオブジェクトを提供する。本発明の一部の実施形態においては、本発明によって製造した3Dオブジェクトが少なくとも40J/mの衝撃強度を有する。本発明のまた別の実施形態においては、本発明の組成物で形成された3Dオブジェクトの衝撃強度は、少なくとも60J/mである。また別の実施形態においては、本発明の組成物で形成された3Dオブジェクトの衝撃強度は、少なくとも80J/m、100J/m以上、140J/m以上であり、上述のように、採択した単量体の種類によって160J/mを超え得る。例えば、170J/m、180J/m、200J/m、220J/m、240J/m、300J/m、400J/m、さらには500J/m、550J/m、600J/m、700J/m、800J/mより高いこともあり得る。
【0099】
本発明の組成物は、コーティング、特に光学的に透明なコーティングを必要とする各分野において、コーティング組成物として使用することも可能であることが見出された。本発明の組成物を公知の多様なコーティング技法のうちのスピンコーティングまたはスロットダイのような任意の技法を用いて様々な表面に塗布することができる。さらに、該コーティングは、前記組成物を含む単一層であってもよく、複数層でもよい。一部の実施形態においては、本発明の組成物を好適な基板にスピンコーティングで被覆し、好適なUV放射線で露光して硬化させることで表面に固定させる。また別の実施形態においては、組成物のコーティング段階と好適なUV放射線を用いた露光段階とを数回繰り返して、本発明の組成物からなる複数の層を対象基板に形成した。
【0100】
上述したように、1種以上の添加剤、例えば相乗剤と組み合わせた抗酸化剤を採択すれば、本発明の組成物で製造した重合体は、長期にわたり高温に露出された後も性質の安定性を卓越した水準で維持することが見出されている。一例として、本発明の組成物で製作された重合体の機械的性質は、約70℃~120℃の範囲の高温に約1週から4週、あるいはそれ以上にわたり露出させた後も殆どそのまま維持されることが見出された。一部の実施形態において、本発明の組成物で製造した重合体は、1週間以内に破断延伸率(ETB)が約50%~約30%損失し、その後は約2~6週間にわたりETBをそのまま維持する。また別の実施形態においては、ETBの損失は1週目に約40%程度にとどまり、その後約2~6週間にわたりETBをそのまま維持する。
【0101】
以下の実施例は、本発明の特定の化合物/単量体、重合体、組成物の生成および利用方法を詳細に説明するものである。詳細な生成方法は、上述した一般的な生成方法の範疇に属し、またその例示に該当する。実施例は説明のみを目的とし、本発明を限定するためのものではない。実施例および本明細書において、単量体と触媒との比率はモル比である。
【0102】
[実施例]
次の略語は、本明細書において本発明の特定の実施形態を説明するために採択された一部の化合物、機構および/または方法を記述するために用いられる。
PENB:5-フェネチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン;
BuNB:5-ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン;
HexylNB:5-ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン;
DecylNB:5-デシルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン;
TD:テトラシクロドデセン;
DCPD:ジシクロペンタジエン;
NBEtO-2-PhPh:5-(2-([1,1’-ビフェニル]-2-イルオキシ)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン;
MeOAcNB:ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2-イルメチルアセテート;
ButylTD:2-ブチル-1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロ-1,4:5,8-ジメタノナフタレン;
HexylTD:2-ヘキシル-1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロ-1,4:5,8-ジメタノナフタレン;
PETD:2-フェネチル-1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロ-1,4:5,8-ジメタノナフタレン;
NBBuNB:1,4-ジ(ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2-イル)ブタン;
CPD3:3a,4,4a,5,8,8a,9,9a-オクタヒドロ-1H-4,9:5,8-ジメタノシクロペンタ[b]ナフタレン;
Ru-I:1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニルイミダゾリジン-2-イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)-(2-オキソベンジリデン)ルテニウム(VI)ヨウ化物;
Ru-II:1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニルイミダゾリジン-2-イリデン)-(2-オキソベンジリデン)-2-(((2,6-ジイソプロピルフェニル-イミノ)メチル)フェノキシ)ルテニウム;
CPTX:1-クロロ-4-プロポキシ-9H-チオキサンテン-9-オン;
IRGANOXTM1076:3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ-オクタデシルエステルベンゼンプロパン酸;
IRGAFOS168:トリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)ホスファイト;
DSC:示差走査熱量測定;
TGA:熱重量分析。
【0103】
本発明で用いられる各種の単量体は、市販のものか、または米国登録出願第9,944,818号に記載の方式で容易に生成することができる。
【0104】
以下の実施例は、本発明の組成物が35℃で数日間安定性を維持し、後述のように好適な放射線に露光すると、非常に容易に塊重合を起こすことができることを立証する。
【0105】
実施例1
DCPD/BuNBの塊重合
ガラス瓶内で、Ru-I(1モル部)およびCPTX(4モル部)を、溶媒を使用せずにDCPD/BuNBの混合物(モル比:91/9、10,000モル部)に溶解して透明な溶液を形成した。該溶液をUV光に3分間露光させた(LED:5W、395nm)。該溶液は、固形化して単量体が完全に重合されたことが分かった。これをDSCおよびTGAを通じて確認した。UV露光後に等温性TGA(100℃で1時間)で測定された残存率は>99%であった。未露光溶液は、室温で3日後も自由流動性を維持した。これは、UV露光中にCPTXがRu-I触媒を活性化させる塩化イオンを放出したことを示している。
【0106】
実施例2~27
各種の単量体の塊重合
実施例1の過程を実施例2~27でも同様に繰り返し、RU-IIを潜在触媒として使用して、表1に示すように単量体の種類と充填量を多様に変化させた。さらに各実験で溶液をUV光に4秒間(LED:1J/cm)露光して塊重合に影響を与えた。各実施例2~27で用いられた単量体、触媒充填量、CPTX充填量を表1に纏めた。
【0107】
【表1】
【0108】
以下の実施例28~29は、本発明の組成物が周囲大気条件において安定的であり、貯蔵寿命は使用された単量体混合物および触媒によって異なることを示している。
【0109】
実施例28
貯蔵寿命試験
ガラス瓶内で、Ru-II(1モル部)およびCPTX(4モル部)を、溶媒を使用せずにDCPD/DecylNB(モル比:80/20、10,000モル部)に溶解して透明な溶液を形成した。未露光溶液は、室温で3週後も自由流動性を維持した。
【0110】
実施例29
貯蔵寿命試験
ガラス瓶内で、Ru-I(1モル部)およびCPTX(4モル部)を、溶媒を使用せずにDCPD/DecylNB(モル比:80/20、10,000モル部)に溶解して透明な溶液を形成した。未露光溶液は、室温で2日後にゲル化した。
【0111】
以下の実施例30~33は、本発明の組成物が大気条件下で塊重合を起こさないため、上述した3DオブジェクトのCLIPで必要な「デッドゾーン」を形成することを例示するためのものである。
【0112】
実施例30~33
各種の雰囲気下での塊重合
実施例1の過程を実施例30~33でも同様に繰り返し、HexylNBを単量体として、Ru-Iを潜在触媒として使用してCPTXのモル部を表2に示すように設定した。該組成物を乾いた窒素、湿った窒素、乾燥空気、湿った空気の大気条件でUVで露光した。表2に纏めたデータから分かるように、Ru-Iを触媒として使用した本発明の組成物は、空気の存在下で塊重合を起こさなかった。
【0113】
【表2】
【0114】
実施例34
ガラス瓶内で、Ru-I(1モル部)および2-(4-メトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン(4モル部)をDCPD/DecylNB(モル比:80/20、10,000モル部)に溶解して透明な溶液を形成した。該溶液をUV光に4秒間(LED:1J/cm)露光した。該溶液は固形化して単量体が完全に重合されたことが分かった。これをDSCおよびTGAを通じて確認した。UV露光後に等温性TGA(100゜Cで1時間)で測定された残存率は>99%であった。未露光溶液は、室温で2時間自由流動性を維持した。
【0115】
実施例35
3Dオブジェクトの形成
実施例35では、実施例1の組成物を使用して3Dオブジェクトの形成に本発明の組成物が有用であることを立証している。組成物を電動シリンジに充填してノズルをUV光(LED:1J/cm)に露光しながら一定の速度でゆっくりとノズルの外に押し出す。ノズルの外に押し出された液体はすぐに固形化して3Dオブジェクトを形成する。
【0116】
実施例36~45
衝撃強度測定
実施例36~45では、ガラス瓶内で、Ru-II(1モル部)およびCPTX(8モル部)をそれぞれの単量体または単量体混合物に溶解して透明な溶液を形成した。実施例36~45でそれぞれ使用した単量体または単量体混合物を表3に纏めた。該溶液を70℃に加熱してUV光(LED:270mW/cm、395nm)に4秒間露光した。該溶液は固形化して単量体が完全に重合されたことが分かった。これをDSCおよびTGAを通じて確認した。UV露光後に等温性TGA(100℃で1時間)で測定された残存率は、実施例36~45の各実施例で>99%であった。実施例36~45の各未露光溶液は、室温で21日が経過した後も自由流動性を維持した。これはUV露光中にCPTXがRu-II触媒を活性化する塩化イオンを放出したことを示唆する。衝撃強度測定用サンプルをASTM D256によって製作して実施例36~45のそれぞれの衝撃強度を測定し、結果を表3に纏めた。
【0117】
【表3】
【0118】
実施例46
重合体のエージング試験
ガラス瓶内で、Ru-II(1モル部)、CPTX(8モル部)、IRGANOX1076(形成された重合体100部当たり1重量部)、IRGAFOS168(形成された重合体100部当たり0.5重量部)を、溶媒を使用せずにHexylTD(9,000モル部)およびCPD3(1,000モル部)に溶解して透明な溶液を形成した。該溶液を50℃に加熱してUV光(LED:270mW/cm、395nm)に4秒間露光した。該溶液は固形化して単量体が完全に重合されたことが分かった。これをDSCおよびTGAを通じて確認した。UV露光後に等温性TGA(100℃で1時間)で測定された残存率は>99%であった。引張力測定のためドッグボーンの形状のサンプルを製作した。サンプルを湿度85%、温度85℃で4週間保管した。初めは、破断延伸率が250%から140%に低下した(1週間以内)。しかしその後2週目と4週目に同一の条件下でサンプル試験を行った結果、サンプルはそれ以上変化が見られなかった。試験の4週後も色の変化は観察されなかった(図1B)。図1Aは試験前のサンプルであり、図1Bは4週間後のサンプルである。
【0119】
比較例1
ガラス瓶内で、Ru-I(1モル部)およびITX(2モル部)を、溶媒を使用せずにPENB(10,000モル部)に溶解して透明な溶液を形成した。該溶液をUV光に3分間露光した(LED:5W、395nm)。該溶液は自由流動性を維持し、粘度の変化は観測されなかったので、該触媒が前記条件で非活性化状態であることが分かった。
ITXは、下記の式で表される2-イソプロピルチオキサントンを意味する。
【化19】
【0120】
比較例2
比較例2では、IRGANOX1076またはIRGAFOS168を組成物に添加しなかったことを除いて、実施例46の過程を同様に繰り返した。該重合体で製造したドッグボーンの形状のサンプルは、最初の1週間で破断延伸率が急激に低下した(250%から3%)。図1Cに示すように、わずか1週間で急激な色の変化が起きたため、重合体が急速に酸化し、それによって性質が劣化したことが分かる。
【0121】
上述の実施例により本発明について説明したが、本発明はそれらに限定されると解釈されてはならず、本明細書で開示した一般的な領域を総体的に包括している。本発明の趣旨から逸脱しない限り、種々の改良および実施形態をなすことも可能である。
この明細書により開示される事項には、以下のものが含まれる。
〔1〕
組成物であって、
a)式(I)の1種以上の単量体:
【化21】
(ここで、
mは0、1、または2の整数であり、
【化22】
は単一結合(単結合)または二重結合であり、
、R 、R およびR は、同一であるかまたは異なっており、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、メチル、エチル、直鎖もしくは分岐の(C -C 16 )アルキル、(C -C 16 )アルケニル、パーフルオロ(C -C 12 )アルキル、(C -C 12 )シクロアルキル、(C -C 12 )ビシクロアルキル、(C -C 12 )ビシクロアルケニル(C -C 12 )アルキル、(C -C 14 )トリシクロアルキル、メトキシ、エトキシ、直鎖もしくは分岐の(C -C 16 )アルコキシ、(C -C )アシル、(C -C )アシルオキシ、ヒドロキシ(C -C 16 )アルキル、(C -C )アシルオキシ(C -C 16 )アルキル、(C -C 14 )アリール、(C -C 14 )アリール(C -C )アルキル、パーフルオロ(C -C 14 )アリール、パーフルオロ(C -C 14 )アリール(C -C )アルキル、(C -C 14 )アリールオキシ、(C -C 14 )アリール(C -C )アルコキシ、トリ(C -C )アルコキシシリル、および下記の式(A)の基からなる群より選択され、
-Z-Aryl (A)
ここで、
Zは、(CR 、O(CR 、(CR O、(CR -O-(CR 、(CR -O-(SiR 、(CR -(CO)O-(CR 、(CR -O(CO)-(CR 、(CR -(CO)-(CR からなる群より選択される結合または基であり、aおよびbは同一であるかまたは異なっていてもよく、それぞれ独立して、1~12の整数であり、
およびR は、同一であるかまたは異なっており、それぞれ独立して水素、メチル、エチル、直鎖もしくは分岐の(C -C )アルキル、メトキシ、エトキシ、直鎖もしくは分岐の(C -C )アルキルオキシ、(C -C )アシル、(C -C )アシルオキシ、フェニル、およびフェノキシからなる群より選択され、
Arylは、フェニル、またはメチル、エチル、直鎖もしくは分岐の(C -C )アルキル、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、直鎖もしくは分岐の(C -C )アルキルオキシ、(C -C )アシル、(C -C )アシルオキシ、フェニル、およびフェノキシからなる群より選択される1つ以上の基で置換されたフェニルであり;あるいは
またはR のうちの1つが、R またはR のうちの1つとともに炭素原子に付着して、1つ以上の二重結合を任意に含有する(C -C )シクロアルキルまたは(C -C 12 )ビシクロアルキル環を形成する);
b)任意に含まれる式(IV)の1種以上の単量体:
【化23】
(ここで、
【化24】
は単一結合(単結合)または二重結合であり、
16 およびR 17 は、同一であるかまたは異なっており、それぞれ独立して、水素、メチル、エチル、直鎖もしくは分岐の(C -C )アルキル、メトキシ、エトキシ、直鎖もしくは分岐の(C -C )アルキルオキシ、アセトキシ、(C -C )アシル、フェニル、およびフェノキシからなる群より選択され、
16 はR 17 とともに炭素原子に付着して、1つ以上の二重結合を任意に含有する(C -C )シクロアルキルまたは(C -C 12 )ビシクロアルキル環を形成し、
18 は、水素、ハロゲン、メチル、エチル、直鎖もしくは分岐の(C -C 16 )アルキル、(C -C 10 )アリール、(C -C 10 )アリール(C -C )アルキル、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、直鎖もしくは分岐の(C -C 16 )アルコキシ、(C -C 10 )アリールオキシ、(C -C 10 )アリール(C -C )アルコキシ、-O(CO)R 19 および-O(CO)OR 19 であり、ここで、R 19 はメチル、エチル、直鎖もしくは分岐の(C -C 16 )アルキル、(C -C 10 )アリールおよび(C -C 10 )アリール(C -C )アルキルである);
c)ルテニウムおよびオスミウムからなる群より選択される金属を含む潜在オルガノ遷移金属触媒;
d)光分解条件下でブレンステッド酸を放出可能な化合物を含み、
前記組成物は室温で透明な液体である、組成物。
〔2〕
前記組成物は、互いに異なる式(I)の第1単量体および第2単量体を含み、前記第1単量体および第2単量体は、50センチポアズ未満の粘度を有し、前記第1単量体は、前記第2単量体と完全に混和されて透明な溶液を形成する、上記〔1〕に記載の組成物。
〔3〕
前記組成物は、mが1であり、R 、R 、R 、およびR がそれぞれ水素である式(I)の単量体を含む、上記〔1〕に記載の組成物。
〔4〕
前記組成物は、R 18 が水素である式(IV)の化合物を含む、上記〔3〕に記載の組成物。
〔5〕
前記組成物は、互いに異なる式(I)の第1単量体および第2単量体を含み、前記第1単量体は、mが1であり、R 、R 、R 、およびR がそれぞれ水素である式(I)の単量体であり、前記第2単量体は、mが0であり、R がデシル、R 、R 、R がそれぞれ水素である式(I)の単量体である、上記〔1〕に記載の組成物。
〔6〕
前記式(I)の単量体が、
【化25-1】
【化25-2】
【化25-3】
【化25-4】
からなる群より選択される、上記〔1〕に記載の組成物。
〔7〕
【化26-1】
【化26-2】
からなる群より選択される式(IV)の1種以上の単量体を含む、上記〔1〕に記載の組成物。
〔8〕
前記式(I)の1種以上の単量体は、
テトラシクロドデセン(TD);
2-ヘキシル-1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロ-1,4:5,8-ジメタノナフタレン(HexylTD);
2-デシル-1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロ-1,4:5,8-ジメタノナフタレン(DecylTD);
5-ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(BuNB);
5-ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(HexylNB);
5-デシルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(DecylNB);
5-フェネチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(PENB);
5-(2-([1,1’-ビフェニル]-4-イルオキシ)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン;
5-(2-([1,1’-ビフェニル]-2-イルオキシ)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(NBEtO-2-PhPh)およびこれらの混合物からなる群より選択され、
前記式(IV)の単量体はジシクロペンタジエン(DCPD)である、上記〔1〕に記載の組成物。
〔9〕
前記潜在触媒は、式(IIA)の化合物、式(IIB)の化合物、式(IIIA)の化合物、式(IIIB)の化合物、式(IIIC)の化合物からなる群より選択されるオルガノ-ルテニウム化合物であり、
【化27】
ここで、
Xはハロゲンまたはアニオン配位子であり、
YはOおよびSからなる群より選択され、
Y’はOR SR および-N=CHC(O)O(C -C )アルキルであり、ここで、R はメチル、エチル、直鎖もしくは分岐の(C -C )アルキル、(C -C 10 )アリール、メトキシ、エトキシ、直鎖もしくは分岐の(C -C )アルコキシ、(C -C 10 )アリールオキシ、-OCH(CH )C(O)N(CH )(OCH )からなる群より選択され、
LはPR またはO=PR であり、ここで、Rは、独立して、イソプロピル、sec-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシル、ビシクロ(C -C 10 )アルキル、フェニル、ベンジル、イソプロポキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、シクロヘキシルオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシからなる群より選択され、あるいは、
XおよびLは、式X-Lで表される二座アニオン配位子を形成し、
はイソプロピル、sec-ブチル、tert-ブチル、置換もしくは未置換のシクロヘキシル、置換もしくは未置換のフェニル、置換もしくは未置換のビフェニル、置換もしくは未置換のナフチルからなる群より選択され;
はメチル、エチル、直鎖もしくは分岐の(C -C )アルキル、(C -C 10 )アリール、メトキシ、エトキシ、直鎖もしくは分岐の(C -C )アルコキシ、(C -C 10 )アリールオキシ、-NHCO(C -C )アルキル、-NHCO-パーフルオロ(C -C )アルキル、-SO N((C -C )アルキル) 、および-NO からなる群より選択され、
Ar 、Ar 、Ar 、およびAr は同一であるかまたは異なっており、それぞれ独立して、置換もしくは未置換のフェニル、置換もしくは未置換のビフェニル、置換もしくは未置換のナフチルからなる群より選択され、
前記置換基はメチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、フェニルからなる群より選択される、上記〔1〕に記載の組成物。
〔10〕
前記オルガノ-ルテニウム化合物は、
【化28-1】
【化28-2】
【化28-3】
からなる群より選択される、上記〔9〕に記載の組成物。
〔11〕
前記光分解条件下でブレンステッド酸を発生可能な前記化合物は、
式(V)の化合物:
【化29】
(ここで、
Yはハロゲンであり、
30 およびR 31 は同一であるかまたは異なっており、それぞれ独立して、水素、メチル、エチル、直鎖もしくは分岐の(C -C 12 )アルキル、(C -C 12 )シクロアルキル、(C -C 12 )ビシクロアルキル、(C -C 14 )トリシクロアルキル、(C -C 10 )アリール、(C -C 10 )アリール(C -C )アルキル、(C -C 12 )アルコキシ、(C -C 12 )シクロアルコキシ、(C -C 12 )ビシクロアルコキシ、(C -C 14 )トリシクロアルコキシ、(C -C 10 )アリールオキシ(C -C )アルキル、(C -C 10 )-アリールオキシからなる群より選択される);および
式(VI)の化合物:
【化30】
(ここで、
32 、R 33 、R 34 は同一であるかまたは異なっており、それぞれ独立して、ハロゲン、メチル、エチル、直鎖もしくは分岐の(C -C 12 )アルキル、トリハロメチル、ペンタハロエチル、直鎖もしくは分岐のパーハロ(C -C 12 )アルキル、(C -C 10 )アリール、(C -C 10 )アリール(C -C )アルキル、パーハロ(C -C 10 )アリール、パーハロ(C -C 10 )アリールパーハロ(C -C )アルキル、置換もしくは未置換の5員または6員ヘテロアリール(C -C )アルケニル、置換もしくは未置換の(C -C 10 )アリール(C -C )アルケニルからなる群より選択され、ただし、R 32 、R 33 、R 34 のうちの1つはトリハロメチル、ペンタハロエチル、直鎖もしくは分岐のパーハロ(C -C 12 )アルキルである)
からなる群より選択される、上記〔1〕に記載の組成物。
〔12〕
前記光分解条件下でブレンステッド酸を発生可能な前記化合物は
【化31-1】
【化31-2】
【化31-3】
【化31-4】
からなる群より選択される、上記〔11〕に記載の組成物。
〔13〕
ジシクロペンタジエン(DCPD)、5-ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(BuNB)、1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニルイミダゾリジン-2-イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)-(2-オキソベンジリデン)ルテニウム(VI)ヨウ化物、および1-クロロ-4-プロポキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(CPTX)の混合物;
ジシクロペンタジエン(DCPD)、5-ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(HexylNB)、1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニルイミダゾリジン-2-イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)-(2-オキソベンジリデン)ルテニウム(VI)ヨウ化物、1-クロロ-4-プロポキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(CPTX)の混合物;
ジシクロペンタジエン(DCPD)、5-デシルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(DecylNB)、1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニルイミダゾリジン-2-イリデン)-(2-オキソベンジリデン)-2-(((2,6-ジイソプロピルフェニル-イミノ)メチル)フェノキシ)ルテニウム、および1-クロロ-4-プロポキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(CPTX)の混合物;
ジシクロペンタジエン(DCPD)、5-フェネチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(PENB)、1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニルイミダゾリジン-2-イリデン)-(2-オキソベンジリデン)-2-(((2,6-ジイソプロピルフェニル-イミノ)メチル)フェノキシ)ルテニウム、および1-クロロ-4-プロポキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(CPTX)の混合物;
5-フェネチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(PENB)、5-(2-([1,1’-ビフェニル]-2-イルオキシ)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(NBEtO-2-PhPh)、1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニルイミダゾリジン-2-イリデン)-(2-オキソベンジリデン)-2-(((2,6-ジイソプロピルフェニル-イミノ)メチル)フェノキシ)ルテニウム、および1-クロロ-4-プロポキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(CPTX)の混合物;
ジシクロペンタジエン(DCPD)、テトラシクロドデセン(TD)、1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニルイミダゾリジン-2-イリデン)-(2-オキソベンジリデン)-2-(((2,6-ジイソプロピルフェニル-イミノ)メチル)フェノキシ)ルテニウム、および1-クロロ-4-プロポキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(CPTX)の混合物;
ジシクロペンタジエン(DCPD)、テトラシクロドデカジエン(TDD)、1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニルイミダゾリジン-2-イリデン)-(2-オキソベンジリデン)-2-(((2,6-ジイソプロピルフェニル-イミノ)メチル)フェノキシ)ルテニウム、および1-クロロ-4-プロポキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(CPTX)の混合物;
テトラシクロドデセン(TD)、1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニルイミダゾリジン-2-イリデン)-(2-オキソベンジリデン)-2-(((2,6-ジイソプロピルフェニル-イミノ)メチル)フェノキシ)ルテニウム、および1-クロロ-4-プロポキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(CPTX)の混合物;
ジシクロペンタジエン(DCPD)、5-デシルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(DecylNB)、1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニルイミダゾリジン-2-イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)-(2-オキソベンジリデン)-ルテニウム(VI)ヨウ化物、および2-(4-メトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジンの混合物、
からなる群より選択される、上記〔1〕に記載の組成物。
〔14〕
3Dオブジェクトを形成するキットであって、
a)式(I)の1種以上の単量体:
【化32】
(ここで、
mは0、1、または2の整数であり、
【化33】
は単一結合(単結合)または二重結合であり、
、R 、R およびR は、同一であるかまたは異なっており、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、メチル、エチル、直鎖もしくは分岐の(C -C 16 )アルキル、(C -C 16 )アルケニル、パーフルオロ(C -C 12 )アルキル、(C -C 12 )シクロアルキル、(C -C 12 )ビシクロアルキル、(C -C 12 )ビシクロアルケニル(C -C 12 )アルキル、(C -C 14 )トリシクロアルキル、メトキシ、エトキシ、直鎖もしくは分岐の(C -C 16 )アルコキシ、(C -C )アシル、(C -C )アシルオキシ、ヒドロキシ(C -C 16 )アルキル、(C -C )アシルオキシ(C -C 16 )アルキル、(C -C 14 )アリール、(C -C 14 )アリール(C -C )アルキル、パーフルオロ(C -C 14 )アリール、パーフルオロ(C -C 14 )アリール(C -C )アルキル、(C -C 14 )アリールオキシ、(C -C 14 )アリール(C -C )アルコキシ、トリ(C -C )アルコキシシリル、および下記の式(A)の基からなる群より選択され、
-Z-Aryl (A)
ここで、
Zは、(CR 、O(CR 、(CR O、(CR -O-(CR 、(CR -O-(SiR 、(CR -(CO)O-(CR 、(CR -O(CO)-(CR 、(CR -(CO)-(CR からなる群より選択される結合または基であり、aおよびbは、同一であるかまたは異なっていてもよく、それぞれ独立して、1~12の整数であり、
およびR は、同一であるかまたは異なっており、それぞれ独立して、水素、メチル、エチル、直鎖もしくは分岐の(C -C )アルキル、メトキシ、エトキシ、直鎖もしくは分岐の(C -C )アルキルオキシ、(C -C )アシル、(C -C )アシルオキシ、フェニル、およびフェノキシからなる群より選択され、
Arylは、フェニル、またはメチル、エチル、直鎖もしくは分岐の(C -C )アルキル、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、直鎖もしくは分岐の(C -C )アルキルオキシ、(C -C )アシル、(C -C )アシルオキシ、フェニル、およびフェノキシからなる群より選択される1つ以上の基で置換されたフェニルであり;あるいは
またはR のうちの1つが、R またはR のうちの1つとともに炭素原子に付着して、1つ以上の二重結合を任意に含有する(C -C )シクロアルキルまたは(C -C 12 )ビシクロアルキル環を形成する);
b)任意に含まれる式(IV)の1種以上の単量体:
【化34】
(ここで、
【化35】
は単一結合(単結合)または二重結合であり、
16 およびR 17 は、同一であるかまたは異なっており、それぞれ独立して、水素、メチル、エチル、直鎖もしくは分岐の(C -C )アルキル、メトキシ、エトキシ、直鎖もしくは分岐の(C -C )アルキルオキシ、アセトキシ、(C -C )アシル、フェニル、およびフェノキシからなる群より選択され、
16 はR 17 とともに炭素原子に付着して、1つ以上の二重結合を任意に含有する(C -C )シクロアルキルまたは(C -C 12 )ビシクロアルキル環を形成し、
18 は水素、ハロゲン、メチル、エチル、直鎖もしくは分岐の(C -C 16 )アルキル、(C -C 10 )アリール、(C -C 10 )アリール(C -C )アルキル、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、直鎖もしくは分岐の(C -C 16 )アルコキシ、(C -C 10 )アリールオキシ、(C -C 10 )アリール(C -C )アルコキシ、-O(CO)R 19 および-O(CO)OR 19 であり、ここで、R 19 はメチル、エチル、直鎖もしくは分岐の(C -C 16 )アルキル、(C -C 10 )アリールおよび(C -C 10 )アリール(C -C )アルキルである);
c)ルテニウムおよびオスミウムからなる群より選択される金属を含む潜在オルガノ遷移金属触媒;
d)式(V)の化合物:
【化36】
(ここで、
Yはハロゲンであり、
30 およびR 31 は、同一であるかまたは異なっており、それぞれ独立して、水素、メチル、エチル、直鎖もしくは分岐の(C -C 12 )アルキル、(C -C 12 )シクロアルキル、(C -C 12 )ビシクロアルキル、(C -C 14 )トリシクロアルキル、(C -C 10 )アリール、(C -C 10 )アリール(C -C )アルキル、(C -C 12 )アルコキシ、(C -C 12 )シクロアルコキシ、(C -C 12 )ビシクロアルコキシ、(C -C 14 )トリシクロアルコキシ、(C -C 10 )アリールオキシ(C -C )アルキル、および(C -C 10 )-アリールオキシからなる群より選択される)
を含む、キット。
〔15〕
【化37-1】
【化37-2】
からなる群より選択される式(V)の化合物を含む、上記〔14〕に記載のキット。
〔16〕
互いに異なる式(I)の単量体を少なくとも2種含有し、1種の単量体が別の単量体に完全に溶解可能であり、前記組成物は、395nmの放射線で十分な時間露光されたときに、3Dオブジェクトを形成する、上記〔14〕に記載のキット。
〔17〕
テトラシクロドデセン(TD)、1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニルイミダゾリジン-2-イリデン)-(2-オキソベンジリデン)-2-(((2,6-ジイソプロピルフェニル-イミノ)メチル)フェノキシ)ルテニウム、および1-クロロ-4-プロポキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(CPTX)の混合物を含む、上記〔14〕に記載のキット。
〔18〕
ジシクロペンタジエン(DCPD)、テトラシクロドデセン(TD)、1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニルイミダゾリジン-2-イリデン)-(2-オキソベンジリデン)-2-(((2,6-ジイソプロピルフェニル-イミノ)メチル)フェノキシ)ルテニウム、および1-クロロ-4-プロポキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(CPTX)の混合物を含む、上記〔14〕に記載のキット。
〔19〕
ジシクロペンタジエン(DCPD)、5-デシルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(DecylNB)、1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニルイミダゾリジン-2-イリデン)-(2-オキソベンジリデン)-2-(((2,6-ジイソプロピルフェニル-イミノ)メチル)フェノキシ)ルテニウム、および1-クロロ-4-プロポキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(CPTX)の混合物を含む、上記〔14〕に記載のキット。
〔20〕
上記〔1〕に記載の組成物を含む3Dオブジェクト。
図1A
図1B
図1C