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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】アフェレーシス装置コントローラ
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/02 20060101AFI20240319BHJP
   A61M 1/34 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
A61M1/02 120
A61M1/02 180
A61M1/34
【請求項の数】 38
(21)【出願番号】P 2021510214
(86)(22)【出願日】2019-08-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 US2019048123
(87)【国際公開番号】W WO2020046805
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】62/722,932
(32)【優先日】2018-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594202615
【氏名又は名称】ヘモネティクス・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Haemonetics Corporation
【住所又は居所原語表記】125 Summer Street Boston MA 02110 UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】タン,メルヴィン
【審査官】白土 博之
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-516490(JP,A)
【文献】特表2014-529409(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液処理装置用のコントローラであって:
第1の血液処理装置とドッキングしてコントローラを第1の血液処理装置に接続するよう構成された本体であって、また第1の血液処理装置から脱ドッキングされてコントローラを第1の血液処理装置離脱させるよう構成された本体と;
コントローラが第1の血液処理装置とドッキングした場合に第1の血液処理装置を制御し、脱ドッキングした場合には第1の血液処理装置を遠隔制御するよう構成されたプロセッサと;および
コントローラが第1の血液処理装置にドッキングした場合およびコントローラが第1の血液処理装置から脱ドッキングした場合に、第1の血液処理装置および進行中のアフェレーシス手順に関する情報を表示するよう構成されたユーザーインタフェースを含む、コントローラ。
【請求項2】
コントローラはポータブルコンピュータである、請求項1のコントローラ。
【請求項3】
コントローラおよび/またはプロセッサは、第1の血液処理装置に加えて少なくとも第2の血液処理装置を制御するよう構成されている、請求項1のコントローラ。
【請求項4】
コントローラは第1の血液処理装置にドッキングした場合に少なくとも第2の血液処理装置を制御するよう構成されている、請求項3のコントローラ。
【請求項5】
コントローラは第1の血液処理装置から脱ドッキングした場合に少なくとも第2の血液処理装置を制御するよう構成されている、請求項3のコントローラ。
【請求項6】
コントローラは少なくとも第2の血液処理装置を遠隔制御するよう構成されている、請求項3のコントローラ。
【請求項7】
ユーザーインタフェースはユーザーがどの血液処理装置を制御するかを選択することを許容するよう構成されている、請求項3のコントローラ。
【請求項8】
本体は第2の血液処理装置にドッキングしてコントローラを第2の血液処理装置に接続するよう構成されている、請求項3のコントローラ。
【請求項9】
コントローラはそれがドッキングしている血液処理装置の制御を自動的に開始する、請求項1のコントローラ。
【請求項10】
コントローラは、血液処理装置の較正、血液処理システムの付加的な部品の較正、手順のデータの記録、手順中のインシデントの記録および追跡、ドナーの行動の記録、およびサンプルの収集に関するデータの記録からなる群より選択される少なくとも1つの機能を実行するよう構成されている、請求項1のコントローラ。
【請求項11】
さらに:
本体上に配置されたコントローラコネクタを含み、コントローラコネクタはコントローラが第1の血液処理装置とドッキングした場合に第1の血液処理装置上の装置コネクタと接続し、それによりコントローラを第1の血液処理装置に電気的に接続するよう構成されている、請求項1のコントローラ。
【請求項12】
本体は第1の血液処理装置のドッキング部内に嵌合するよう構成されており、ドッキング部はコントローラが第1の血液処理装置にドッキングした場合に本体を支持し、それによりコントローラを第1の血液処理装置に物理的に接続する、請求項1のコントローラ。
【請求項13】
ドッキング部は凹部を含み、本体はドッキング時に凹部内に嵌合するよう構成されている、請求項12のコントローラ。
【請求項14】
アフェレーシス手順に関するデータを記憶するよう構成されたデータ記憶装置をさらに含む、請求項1のコントローラ。
【請求項15】
第1の血液処理装置はアフェレーシス装置である、請求項1のコントローラ。
【請求項16】
ドッキング時のコントローラと第1の血液処理装置との間の接続は無線接続である、請求項1のコントローラ。
【請求項17】
血液処理装置であって:
血液処理装置の構造を画定し、血液処理装置の1つまたはより多くの部品を収容するキャビネットであって、ドッキング部を含んでいるキャビネットと;
全血を1つまたはより多くの血液成分に分離する血液成分分離装置と;
血液処理装置を通る全血および/または血液成分の流れを制御するよう構成された少なくとも1つのポンプと;および
ドッキング部とドッキングしてコントローラを血液処理装置に接続するように構成された本体を有するコントローラとを含み、本体はまた血液処理装置から脱ドッキングされてコントローラを血液処理装置から離脱させるよう構成されており、コントローラは:
コントローラが血液処理装置とドッキングした場合に血液処理装置を制御し、脱ドッキングした場合に血液処理装置を遠隔制御するよう構成されたプロセッサ;および
コントローラが血液処理装置にドッキングした場合およびコントローラが血液処理装置から脱ドッキングした場合に、血液処理装置および進行中のアフェレーシス手順に関する情報を表示するよう構成されたユーザーインタフェースを含む、コントローラ。
【請求項18】
コントローラはポータブルコンピュータである、請求項17の血液処理装置。
【請求項19】
コントローラおよび/またはプロセッサはその血液処理装置に加えて少なくとも1つの追加の血液処理装置を制御するよう構成されている、請求項17の血液処理装置。
【請求項20】
コントローラは血液処理装置にドッキングした場合に少なくとも1つの追加の血液処理装置を制御するよう構成されている、請求項19の血液処理装置。
【請求項21】
コントローラはその血液処理装置から脱ドッキングした場合に少なくとも1つの追加の血液処理装置を制御するよう構成されている、請求項19の血液処理装置。
【請求項22】
コントローラは少なくとも1つの追加の血液処理装置を遠隔制御するよう構成されている、請求項19の血液処理装置。
【請求項23】
ユーザーインタフェースはユーザーがどの血液処理装置を制御するかを選択することを許容するよう構成されている、請求項19の血液処理装置。
【請求項24】
本体は少なくとも1つの追加の血液処理装置にドッキングしてコントローラを少なくとも1つの追加の血液処理装置に接続するよう構成されている、請求項19の血液処理装置。
【請求項25】
コントローラはそれがドッキングしている血液処理装置の制御を自動的に開始する、請求項17の血液処理装置。
【請求項26】
コントローラは、血液処理装置の較正、血液処理システムの付加的な部品の較正、手順のデータの記録、手順中のインシデントの記録および追跡、ドナーの行動の記録、およびサンプルの収集に関するデータの記録からなる群より選択される少なくとも1つの機能を実行するよう構成されている、請求項17の血液処理装置。
【請求項27】
さらに:
キャビネット内に配置された血液処理装置コネクタ;および
コントローラの本体内に配置されたコントローラコネクタを含み、コントローラコネクタはコントローラが血液処理装置とドッキングした場合に血液処理装置コネクタと接続し、それによりコントローラを血液処理装置に電気的に接続するよう構成されている、請求項17の血液処理装置。
【請求項28】
血液処理装置コネクタはドッキング部内に配置されている、請求項27の血液処理装置。
【請求項29】
ドッキング部は凹部を含み、本体はドッキング時に凹部内に嵌合するよう構成されており、それによりコントローラを血液処理装置に物理的に接続する、請求項17の血液処理装置。
【請求項30】
コントローラはアフェレーシス手順に関するデータを記憶するよう構成されたデータ記憶装置をさらに含む、請求項17の血液処理装置。
【請求項31】
血液処理装置はアフェレーシス装置である、請求項17の血液処理装置。
【請求項32】
ドッキング時のコントローラと第1の血液処理装置との間の接続は無線接続である、請求項17の血液処理装置。
【請求項33】
血液処理装置の制御方法であって:
血液処理装置を提供し、血液処理装置は:
血液処理装置の構造を画定し、血液処理装置の1つまたはより多くの部品を収容するキャビネットであって、ドッキング部を含んでいるキャビネット;および
全血を1つまたはより多くの血液成分に分離する血液成分分離装置を含み;
コントローラを血液処理装置にドッキングし、コントローラはドッキング部とドッキングしてコントローラを血液処理装置に接続するよう構成された本体を有し、コントローラはまたプロセッサおよびユーザーインタフェースを有し;
コントローラおよび/またはプロセッサを使用して、血液処理装置を制御し;
コントローラを血液処理装置から脱ドッキングし、コントローラの脱ドッキングはコントローラを血液処理装置から離脱させ;そして
脱ドッキングしたコントローラを使用して血液処理装置を遠隔制御することを含む、方法。
【請求項34】
さらに:
ユーザーインタフェースを使用して、第2の血液処理装置を選択し;そして
コントローラを使用して第2の血液処理装置を遠隔制御することを含む、請求項33の方法。
【請求項35】
さらに:
コントローラを第2の血液処理装置にドッキングし;そして
コントローラで第2の血液処理装置を制御することを含む、請求項33の方法。
【請求項36】
さらに:
第2のコントローラを血液処理装置にドッキングし;そして
第2のコントローラで血液処理装置を制御することを含む、請求項33の方法。
【請求項37】
さらに:
第2のコントローラ上の第2のユーザーインタフェースを使用して、血液処理装置を選択し;そして
第2のコントローラを使用して血液処理装置を遠隔制御することを含む、請求項33の方法。
【請求項38】
ドッキング時のコントローラと血液処理装置との間の接続は、物理的接続、電気的接続および/または無線的接続からなる群より選択された少なくとも1つである、請求項33の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
このPCT特許出願は、代理人文書番号130670-09301(従前は1611/C93)が割り当てられ、メルヴィン・タンを発明者とする、「アフェレーシス装置コントローラ」と題する2018年8月26日出願の米国仮出願第62/722932の優先権を主張しており、その開示内容はここで参照することによって全体的に本願に取り入れられている。
【0002】
本発明はアフェレーシス装置の作動に関し、より詳しくは、ドッキングおよび脱ドッキング状態においてアフェレーシス装置を制御し作動させるために使用される着脱式部材、並びにその方法に関する。
【背景技術】
【0003】
アフェレーシスは、対象者から取り出した全血から個々の血液成分を分離および収集することのできる手順である。アフェレーシス装置は、アフェレーシス手順を実行するよう設計および企図された医療機器である。アフェレーシス装置は、機械的で電気的な、そしてコンピュータ化された装置であり、装置に組み込まれた入力コントローラおよび出力コントローラと相互作用することによって、採血(瀉血)者または資格のあるユーザーによって操作される。装置に対するオペレーターの入力結果は、アフェレーシス装置コントローラ上の視覚的ディスプレイまたは可聴式フィードバックとして出力される。
【0004】
上記したように、幾つかの従来技術のシステムにおいては、アフェレーシス装置コントローラは装置に組み込まれている。そうしたシステムでは、コントローラは保守や交換のためだけに装置から取り外されてよいが、しかしコントローラがアフェレーシス装置それ自体から物理的に切り離されている場合、コントローラは装置を作動させなくてよい。アフェレーシス装置コントローラは装置に組み込まれ、装置と常時物理的に接続されていなければならないから、ユーザーは装置を制御または操作するために、アフェレーシス装置に手の届く範囲内にいなければならない(例えば、装置およびディスプレイに物理的にタッチ可能な場合)。このことは、それらの移動自在性、および遠隔から追加の手順を実行することのできる性能を制限する。
【0005】
幾つかの従来技術のシステムは、装置を部分的にプログラムし、アフェレーシス装置による情報出力を捕捉するために、別個のポータブルコンピューティング装置付属品を使用していてよい。このポータブルコンピューティング装置は、しかしながら、装置を制御することはない。
【0006】
遠隔から追加的な手順を実行する必要がある場合には、ユーザーはシステムに情報を記録するのを遅らせるか、情報を紙に記録して後でその情報をシステムに入力するか、またはポータブルコンピューティング装置を作動させる別個のシステムを使用して追加の手順を実行するかの何れかである。このことは採血室に追加の設備を必要とし、またアフェレーシスシステムとポータブルコンピューティング装置システムの間に接続性を必要とする。
【発明の概要】
【0007】
本発明の種々の実施形態においては、コンピュータタブレットのようなポータブルコンピュータがコントローラとして使用されて、アフェレーシス装置を作動させる。ポータブルコンピュータコントローラは、「ドッキング」として知られるようにアフェレーシス装置に取着されている間に、または「脱ドッキング」として知られるようにアフェレーシス装置から取り外されている間に、アフェレーシス装置を作動させてよい。
【0008】
アフェレーシス装置は、ポータブルコンピュータが装置から脱ドッキングされている場合、遠隔地から無線制御可能である。この動作モードにおいては、ポータブルコンピュータは無線リモートコントローラとして作動しており、オペレーターは装置を作動させるためにアフェレーシス装置に手の届く距離内にいる必要はない。視覚的および聴覚的なフィードバック機構は、リモートモードにおいても引き続いて機能する。
【0009】
ポータブルコンピュータはアフェレーシス装置に再ドッキングさせることができる。このモードでは、コントローラは通常の、取着されたアフェレーシス装置コントローラとして機能し、標準的な入力、視覚的および聴覚的フィードバック機構を保持する。
【0010】
ポータブルコンピュータのドッキングおよび脱ドッキングは、アフェレーシス装置上のコネクタをポータブルコンピュータ上のコネクタに取り付ける、単一工程の動作であり、アフェレーシス装置またはポータブルコンピュータのいずれについても、追加の接続、取り付け、または操作を必要としない。アフェレーシス装置上のコネクタをポータブルコンピュータ上のコネクタに取り付ける作業は、物理的に、電気的に(例えば、USBポートを介して)、および/またはデジタル手段を介して無線的に(例えば、Bluetoothまたは他の無線技術を使用して)行われてよい。
【0011】
本発明の他の実施形態においては、アフェレーシス装置を操作するためのコントローラとして使用されるポータブルコンピュータは、複数の装置を制御するために使用されてよい。オペレーターは複数のモードでどの装置を作動させるかを選択することができ、そしてポータブルコンピュータによって現在制御されている装置を確認するために、視覚的または聴覚的フィードバックがユーザーにもたらされる。
【0012】
ポータブルコンピュータは、アフェレーシス装置に再ドッキングした場合、それがドッキングしていた装置の制御を開始する。ポータブルコンピュータが別のアフェレーシス装置にドッキングした場合には、コンピュータはいまドッキングしている新たな装置を制御するように作用し、ポータブルコンピュータが制御していた以前の装置は、もはやそのポータブルコンピュータによって制御されることはない。ユーザーがコンピュータコントローラを、それが最近ドッキングしていた装置から脱ドッキングした場合、コントローラは、オペレーターが別の装置を制御することを選択する時点まで、最近ドッキングしていたアフェレーシス装置の作動を継続する。
【0013】
本発明の追加的な実施形態においては、ポータブルコンピュータをアフェレーシス装置にドッキングさせることによって、新たなポータブルコンピュータをシステム内へと導入することができる。こうした実施形態においては、システムは新たなポータブルコンピュータのシステム内への導入を、その新たなポータブルコンピュータがシステムと互換性がある場合に許容してよい。追加的にまたは代替的に、システムはまたポータブルコンピュータ/コントローラのシステムからの取り外しを、それがリモートモードにおいて任意のアフェレーシス装置を作動できないようにして許容してよい。ポータブルコンピュータをシステムに追加し戻すためには、新たなポータブルコンピュータを追加するのに用いた工程が辿られなければならない。
【0014】
ポータブルコンピュータはまた、アフェレーシス装置の制御に関連していない作業を実行するためにも使用されてよい。例えばシステムは、アフェレーシス装置または任意の他の保守可能な装置に関する保守を行い、保守情報を記録してよい。この作業は、ポータブルコンピュータがアフェレーシス装置に対してドッキングしている間および脱ドッキングしている間の両方について実行可能である。追加的にまたは代替的に、システムはポータブルコンピュータ装置を使用して、異常事象および例外事象を捕捉してよい。この作業は同様にして、ポータブルコンピュータがアフェレーシス装置に対してドッキングしている間および脱ドッキングしている間に実行することができる。
【0015】
さらなる実施形態によれば、血液処理装置用コントローラは、本体と、プロセッサと、そしてユーザーインタフェースとを含んでいる。本体は第1の血液処理装置とドッキングしてコントローラ(例えばポータブルコンピュータ)を第1の血液処理装置に接続してよく、また第1の血液処理装置から脱ドッキングされてコントローラを第1の血液処理装置から取り外してよい。コントローラと第1の血液処理装置との間の接続は物理的(例えば、コントローラが血液処理装置に物理的に係合する)、電気的(例えば、USBまたは類似の電気的接続を介して)、および/または無線的(例えば、Bluetoothまたは類似の近接/接触技術を介して)であってよい。プロセッサは第1の血液処理装置とドッキングしている場合は第1の血液処理装置を制御してよく、そして脱ドッキングしている場合は第1の血液処理装置を遠隔制御してよい。ユーザーインタフェースは、コントローラが第1の血液処理装置にドッキングしている場合、およびコントローラが第1の血液処理装置から脱ドッキングしている場合に、第1の血液処理装置および進行中のアフェレーシス手順に関する情報を表示してよい。
【0016】
コントローラおよび/またはプロセッサは、第1の血液処理装置に加えて、少なくとも第2の血液処理装置を制御してよい。例えばコントローラは、第1の血液処理装置にドッキングしている場合および/または第1の血液処理装置から脱ドッキングしている場合に、第2の血液処理装置を制御してよい。コントローラは第2の血液処理装置を遠隔制御してよい。ユーザーインタフェースは、ユーザーがどの血液処理装置を制御するか選択することを許容してよい。本体は第2の血液処理装置とドッキングして、コントローラを第2の血液処理装置に対して接続(例えば、物理的、電気的または無線的に)してよい。コントローラは、それがドッキングした血液処理装置の制御を自動的に開始してよい。
【0017】
コントローラはまた、少なくとも1つの追加機能を実行してよい。例えば、コントローラは血液処理装置を較正してよく、血液処理システムの付加的な部品を較正してよく、手順のデータを記録してよく、手順中のインシデント(事故その他の出来事)を記録および追跡してよく、ドナーの行動を記録してよく、そしてサンプルの収集に関するデータを記録してよい。コントローラは、本体上に配置されたコントローラコネクタを含んでいてよい。コントローラコネクタは、コントローラが第1の血液処理装置とドッキングする場合には、第1の血液処理装置上の装置コネクタと接続してよい。本体は、コントローラが第1の血液処理装置とドッキングする場合には、第1の血液処理装置のドッキング部内に嵌合して、ドッキング部が本体を支持するようにしてよい。ドッキング部は凹部を含んでいてよく、そして本体はドッキング時に凹部内に嵌合されてよい。幾つかの実施形態においては、コントローラはまた、アフェレーシス手順に関するデータを記憶する記憶装置をも有していてよい。第1の血液処理装置は、アフェレーシス装置であってよい。
【0018】
さらなる実施形態においては、血液処理装置は、血液処理装置の構造を画定し、そして血液処理装置の1つまたはより多くの部品を収容するキャビネットを含んでいる。このキャビネットはまた、ドッキング部を含んでいてよい。血液処理装置はまた、全血を1つまたはより多くの成分へと分離する血液成分分離装置、血液処理装置を通る全血および/または血液成分の流れを制御するよう構成された少なくとも1つのポンプ、およびコントローラを有していてよい。コントローラは、ドッキング部とドッキングするよう構成されていて、コントローラを血液処理装置に接続する本体を有していてよい。コントローラと第1の血液処理装置との間の接続は、物理的(例えば、コントローラが血液処理装置に物理的に係合する)、電気的(例えば、USBまたは類似の電気的接続を介して)、および/または無線的(例えば、Bluetoothまたは類似の近接/接触技術を介して)であってよい。本体はまた血液処理装置から脱ドッキングされて、コントローラを血液処理装置から離脱させてよい。コントローラは、プロセッサおよびユーザーインタフェースを含まんでいてよい。プロセッサはコントローラが血液処理装置とドッキングしている場合は血液処理装置を制御し、そして脱ドッキングしている場合は血液処理装置を遠隔制御してよい。ユーザーインタフェースは、コントローラが血液処理装置にドッキングしている場合、およびコントローラが血液処理装置から脱ドッキングしている場合に、血液処理装置および進行中のアフェレーシス手順に関する情報を表示してよい。
【0019】
コントローラはポータブルコンピュータであってよい。コントローラおよび/またはプロセッサは、血液処理装置に加えて少なくとも1つの追加の血液処理装置を制御してよい。コントローラは血液処理装置にドッキングしている場合、および/または血液処理装置から脱ドッキングしている場合に、追加の血液処理装置を制御してよい。コントローラは、追加の血液処理装置を遠隔的に制御してよい。ユーザーインタフェースは、ユーザーがどの血液処理装置を制御するか選択することを許容してよい。幾つかの実施形態においては、追加の血液処理装置を制御する性能は、ユーザーが不注意で異なる/誤った装置を制御することを防止するために、「ロックアウト(排除)」(例えば管理者により)されてよい。
【0020】
幾つかの実施形態においては、本体は追加の血液処理装置(単数または複数)とドッキングされて、コントローラを追加の血液処理装置(単数または複数)と接続(例えば物理的、電気的、または無線的に)してよい。コントローラは、それがドッキングした血液処理装置の制御を、自動的に開始してよい。コントローラは血液処理装置を較正してよく、血液処理システムの付加的な部品を較正してよく、手順のデータを記録してよく、手順中のインシデントを記録および追跡してよく、ドナーの行動を記録してよく、そしてサンプルの収集に関するデータを記録してよい。
【0021】
幾つかの実施形態においては、血液処理装置は、キャビネット上に配置された血液処理装置コネクタと、コントローラの本体上に配置されたコントローラコネクタを含んでいてよい。コントローラコネクタは、コントローラが血液処理装置とドッキングしている場合に、血液処理装置コネクタと接続されていてよい。コントローラとの物理的または電気的な接続が構成されてよい実施形態においては、血液処理装置コネクタはドッキング部内に配置されていてよい。例えば、ドッキング部は凹部を含んでいてよく、そして本体はドッキング時に凹部内に嵌合してよい。無線接続が行われる実施形態においては、血液処理装置コネクタはドッキング部の通信距離内にあってよく、かくしてコントローラは無線的に接続されてよい。コントローラは、アフェレーシス手順に関するデータを記憶するよう構成されたデータ記憶装置を含んでいてよい。血液処理装置はアフェレーシス装置であってよい。
【0022】
追加的な実施形態によれば、血液処理装置上でアフェレーシス手順を制御するための方法が、キャビネットおよび血液成分分離装置を有する血液処理装置を提供することを含んでいる。キャビネットは血液処理装置の構造を画定してよく、また血液処理装置の1つまたはより多くの部品を収容してよい。キャビネットはまた、ドッキング部をも含んでいてよい。血液成分分離装置は、全血を1つまたはより多くの血液成分へと分離してよい。この方法はまた、コントローラを血液処理装置にドッキングすることを含んでいてよい。コントローラは、(1)ドッキング部とドッキングしてコントローラを血液処理装置に接続するよう構成された本体、(2)プロセッサ、および(3)ユーザーインタフェースを有していてよい。この方法は次いで、コントローラおよび/またはプロセッサを使用して、血液処理装置を制御してよい。追加的にまたは代替的に、この方法はコントローラを血液処理装置から脱ドッキングし、そして脱ドッキングされたコントローラを使用して血液処理装置を遠隔制御してよい。
【0023】
他の実施形態においては、この方法はユーザーインタフェースを使用して第2の血液処理装置を選択し、そしてコントローラを使用して第2の血液処理装置を遠隔制御してよい。代替的に、この方法はコントローラを第2の血液処理装置とドッキングさせ、コントローラで第2の血液処理装置を制御してよい。
【0024】
さらなる実施形態においては、この方法は第2のコントローラを血液処理装置にドッキングさせ、そして第2のコントローラで血液処理装置を制御してよい。加えてこの方法は、第2のコントローラ上の第2のユーザーインタフェースを使用して、血液処理装置を選択してよい。この方法は次いで、第2のコントローラを使用して血液処理装置を遠隔制御してよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
上記した実施形態の特徴は、以下の詳細な説明を添付図面に関連して参照することにより、より容易に理解される。添付図面において:
【0026】
図1は、本発明の幾つかの実施形態による血液処理システムの斜視図を概略的に示している。
【0027】
図2は、本発明の幾つかの実施形態による、図1の血液処理システムの上面図を概略的に示している。
【0028】
図3は、本発明の幾つかの実施形態による、図1の血液処理システム内に装填された使い捨てセットを概略的に示している。
【0029】
図4は、本発明の幾つかの実施形態による、アフェレーシス装置にドッキングしたポータブルコントローラを概略的に示している。
【0030】
図5は、本発明の幾つかの実施形態による、遠隔位置からアフェレーシス装置を無線制御可能なポータブルコンピュータへとアフェレーシス装置コントローラを脱ドッキングする性能を示している。
【0031】
図6は、本発明の追加的な実施形態による、脱ドッキングした場合に他のアフェレーシス装置(単数または複数)を制御する性能を有するアフェレーシス装置コントローラを示している。
【0032】
図7は、本発明の種々の実施形態による、脱ドッキングされ、次いで異なるアフェレーシス装置にドッキングされて新たな装置を制御するアフェレーシス装置コントローラを示している。
【0033】
図8は、本発明の幾つかの実施形態による、非アフェレーシス手順の機能を実行可能なアフェレーシス装置コントローラを示している。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図示の実施形態において、血液処理装置用のコントローラは、血液処理装置にドッキングされてコントローラを血液処理装置に接続してよく、また第1の血液処理装置に対して脱ドッキングされてコントローラを第1の血液処理装置から離脱させてよい本体を含んでいる。コントローラは、ドッキング時に血液処理装置を制御し、または脱ドッキング時に遠隔制御するプロセッサを有していてよい。ユーザーインタフェースは、第1の血液処理装置、および進行中のアフェレーシス手順に関する情報を表示する。コントローラと血液処理装置との間の接続および脱離(例えばドッキング)は、物理的、電気的、および/または無線的であってよい。
【0035】
図1および図2に示されているように、血液処理システム100はキャビネット110を含んでおり、これはシステム100の主要部品(例えば使い捨てでない部品)を収容している。キャビネット110の内部において、システム100は、全血を対象者から引き出す第1/血液ポンプ232、および抗凝固剤をシステム100を通じて、取り出された全血中に給送する第2/抗凝固剤ポンプ234を含んでいてよい。加えて、システム100は、開放および/または閉鎖されてシステム100を通る流体の流れを制御するための、いくつものバルブを含んでいてよい。例えば、システム100は、ドナー(供血)ライン218(例えば入口ライン;図3)を通る流体の流れを選択的に阻止または許容するために開閉されてよい、ドナーバルブ120を含んでいてよく、また出口/血漿ライン222(図3)を通る流体の流れを選択的に阻止または許容する血漿バルブ130を含んでいてよい。いくつかの実施形態はまた生理食塩水バルブ135を含んでいてよく、これは生理食塩水が生理食塩水ライン223を通って流れるのを選択的に阻止または許容する。
【0036】
使い捨てセットの接続および装着を容易にするために、そして対応する流体容器を支持するために、システム100は抗凝固剤ポール150を含んでいてよく、抗凝固剤溶液容器210(図3)はその上に吊り下げられてよく、また生理食塩水溶液容器217(図3)が吊り下げられてよい生理食塩水ポール160を含んでいてよい(例えば、実行される手順が生理食塩水の使用を必要とする場合)。加えて、いくつかの用途においては、対象者から処理のために取り出された全血を濾過することが必要および/または望ましい場合がある。その目的のために、システム100は血液フィルターホルダー170を含んでいてよく、その中に血液フィルター(使い捨てセット内に位置する)が配置されてよい。
【0037】
以下でより詳細に説明するように、本発明の実施形態によるアフェレーシスシステム100は、血液ポンプ232を使用して、静脈アクセスデバイス206(図3)を通じて対象者から全血を引き出す。システム100が全血を対象者から引き出すにつれて、全血はレーサム型式の遠心分離器(限定するものではないが、ここで番号を参照することによってその内容を本願に取り入れる、米国特許第4,983,158号および第4,943,273号に記載のような一体型ブロー成形遠心分離ボウルといった、他の型式の分離チャンバーおよび装置も使用されてよい)のような血液成分分離装置214に流入する。血液成分分離装置214は、全血をその構成成分に分離する(例えば、赤血球、白血球、血漿、および血小板)。したがって、分離装置214の動作を容易にするために、システム100はまたウェル(井戸)180を含んでいてよく、その中に分離装置214が配置されてよく、その中で分離装置214が回転する(例えば、全血を分離するのに必要な遠心力を発生する)。
【0038】
ユーザー/技師がシステムの動作を監視(モニター)し、手順の種々のパラメータを制御/設定することを許容するために、システム100は、動作パラメータ、何らかの通知(警告)メッセージ、および各種パラメータを制御するためにユーザー/技師が押すことのできるボタンを表示する、ユーザーインタフェース190(例えば、タッチスクリーン装置)を含んでいてよい。血液処理システム100の付加的な部品については、以下でより詳細に説明する(例えば、システムの動作に関連して)。
【0039】
図3は、本発明による血液処理システム100、および本発明により血液処理システム100上/内へと装填されてよい使い捨て収集セット200(入口使い捨てセット200Aおよび出口使い捨てセット200Bを備える)の概略的なブロック図である。この収集セット200は、ドナー(供血者)の腕208から血液を引き出すための静脈アクセスデバイス206(例えば、静脈穿刺針)、抗凝固剤容器210、遠心分離ボウル214(例えば、血液成分分離装置)、生理食塩水容器217、および最終的な血漿収集バッグ216を含んでいる。血液/入口ライン218は静脈アクセスデバイス206をボウル214の入口ポート220に結合し、血漿/出口ライン222はボウル214の出口ポート224を血漿収集バッグ216に結合し、そして生理食塩水ライン223はボウル214の出口ポート224を生理食塩水容器217に結合する。抗凝固剤ライン225は抗凝固剤容器210を入口ライン218に接続する。上述した図3に示すような部品に加えて、血液処理システム100はコントローラ226、モーター228、および遠心チャック230を含んでいる。コントローラ226は2つのポンプ232および234、並びにモーター228を作動可能とするように結合されており、モーターはまたチャック230を駆動する。
【0040】
作動時には、血液処理に先立って、使い捨て収集セット200(例えば、入口使い捨てセット200Aおよび出口使い捨てセット200B)を血液処理システム100上/内に装填してよい。具体的には、血液/入口ライン218を血液/第1ポンプ232を介して引き回し、そして抗凝固剤容器210からの抗凝固剤ライン225を抗凝固剤/第2ポンプ234を介して引き回す。次いで遠心分離ボウル214をチャック230内にしっかりと装填してよい。ボウル214が所定位置に固定されたなら、技師は出口使い捨てセット200Bを装填してよい。例えば技師はボウルコネクタ300をボウル214の出口224に接続し、血漿容器216を重量センサー195に装着し、生理食塩水ライン223をバルブ135を通して配置し、そして血漿/出口ライン222をバルブ130およびラインセンサー185を介して配置してよい。使い捨てセット200が装着され、抗凝固剤および生理食塩水の容器210/217が接続されたならば、システム100は血液処理を開始する準備が整っている。
【0041】
上述したように、上記したアフェレーシス装置100の種々の実施形態はコントローラ226を有している。コントローラ226は処理の間、アフェレーシス装置100にロードされたプログラムにしたがって、アフェレーシス装置100の部品のそれぞれ(例えば、バルブ122/130/135、ポンプ232/234、分離装置214、モーター228、その他)の作動を制御してよい。幾つかの実施形態においては、コントローラ226はシステム100のキャビネット110内部に配置されていてよく、処理の間は取り外されなくてよい(例えば、それは保守、修理、その他の間を除いては固定である)。
【0042】
代替的には、図4および図5に示されているように、コントローラ226はアフェレーシス装置100に関して可搬性(ポータブル)であってよい。例えばコントローラ226は、アフェレーシス装置100から取り外して持ち去ってよいポータブルコンピュータであってよい。そうした実施形態においては、コントローラ226は、物理的に、そして恐らくは電気的および/または無線的にコントローラ226をアフェレーシス装置100へと接続するため、アフェレーシス装置100内のドッキング部410(例えば、ドッキングポッド/ステーション)とドッキングする本体227を有していてよい。例えば、アフェレーシス装置は凹部415を有していてよく、コントローラ226をアフェレーシス装置100内に支持するように、コントローラ226はその凹部へと挿入されてよい。加えて、図5に示されているように、ドッキング部410は電気コネクタ420を含んでいてよく、これはコントローラ226上にある対応するコネクタ229と接続されて、コントローラ226とアフェレーシス装置を関連して作動するように接続する。コントローラ226との物理的な接続をもたらすことに加えて、コネクタ420/229はまた、コントローラ226が装置100とドッキングしている場合に、アフェレーシス装置100がコントローラ226を充電することを許容してよい。
【0043】
上述した実施形態はドッキングポッド/ステーション410用の凹部415を有しているが、他の実施形態はこうした凹部を有さなくてもよく、そしてコントローラ226は、装置100上のコネクタ420をコントローラ226上のコネクタ229と接続することによって(例えば、コントローラ226と装置100を電気的に接続するために)、アフェレーシス装置100に対して単純に接続/ドッキングされてよいことに留意すべきである。しかしながら、いずれの場合でも、コントローラ226はアフェレーシス装置100に対して一段階で接続されてよい。追加的にまたは代替的に、コントローラ226は血液処理装置100に対して無線的に接続/ドッキングされてよい。そうした実施形態においては、コントローラ226および血液処理装置100は、ドッキング部410内または近傍に配置されたBluetoothモジュール(または類似の無線、近接または接触技術)を有していてよく、そしてコントローラ226は、血液処理装置100のドッキング部410に十分近い近傍に持って来られた場合に、血液処理装置100に対して無線的に接続/ドッキングされてよい。
【0044】
ポータブルコントローラ226は、アフェレーシス装置100を制御および監視するプロセッサ430を含んでいてよく、またアフェレーシス装置(単数または複数)100、ドナー、および/またはアフェレーシス装置(単数または複数)100によって実行された任意の進行中または過去のアフェレーシス手順に関する情報を記憶するためのメモリ440(例えばデータ記憶装置)を含んでいてよい。加えて、コントローラ226は、ユーザー/オペレーターに対して情報を提供する、通信ポート450およびコントローラインタフェース/ディスプレイ460を含んでいてよい。幾つかの実施形態においては、ディスプレイ460はアフェレーシス装置上のディスプレイ190に対応していてよい(例えば、コントローラ226上のインタフェース460は装置100上のインタフェース190として作用する)。
【0045】
図5に示されているように、コントローラ226はまたアフェレーシス装置100から「脱ドッキング」されてよく、アフェレーシス装置100を遠隔制御してよい。そのために、ユーザー/オペレーターはコントローラ226をアフェレーシス装置上のドッキング部410から取り外してよく、このことは次いで、コントローラのコネクタ229をアフェレーシス装置100上のコネクタ420から離脱させる。例えば、コントローラ226とアフェレーシス装置100の間に物理的な接続がある場合、ユーザーはコントローラを凹部415から取り外してよく、このことはコントローラのコネクタ229を自動的に切り離してよい。代替的に、接続が単なる電気的接続(例えば、USBポートまたは類似の有線接続を介した)である場合には、ユーザーはコントローラの接続229を手動で切り離して、コントローラ226を脱ドッキングさせてよい。最後に、接続が無線接続(例えば、Bluetooth経由)である場合には、ユーザーはコントローラ226をドッキング部/領域から単に取り外して、無線接続がもはや十分に近くは近接しないようにしてよい。
【0046】
コントローラ226がアフェレーシス装置100から脱ドッキングされている場合、コントローラ226はリモートコントローラとして動作してよく、そしてオペレーターはアフェレーシス装置100を作動させるために、アフェレーシス装置100に触れられる距離内(例えば、インタフェース190または任意の他の部品に触れられる距離内)にいる必要はない。コントローラ226がアフェレーシス装置100とドッキング(または再ドッキング)している場合には、コントローラ226は本質的に、標準的な入力およびフィードバック機構を備えた通常の取着されている装置コントローラとして機能する。
【0047】
脱ドッキング時であっても、コントローラ226は、それがアフェレーシス装置100とドッキングしている場合と全く同じ機能を提供し、制御を行ってよいことに留意することが重要である(例えば、それはアフェレーシス装置100と一体のコントローラと同じ制御および情報を提供してよい)。例えば、コントローラ106はコントローラ226上のディスプレイ460を介して、アフェレーシス装置100および手順の進捗および状態を示してよい。加えて、コントローラ226は、アフェレーシス装置100からのエラーメッセージに対応する可聴性アラームおよび/または触知性アラームを備えて構成されてよい。アフェレーシス装置100のすべての制御を提供することにより、コントローラ226はアフェレーシス装置100と一体のコントローラ、および/またはアフェレーシス装置上の内蔵ディスプレイ190を置き換え、補完し、または再現してよい。
【0048】
コントローラ226がドッキングしている(または以前に/当初ドッキングしていた)装置100を制御することに加えて、図6に示すように、コントローラ226は、例えば採血センター内部にあるいくつもの他のアフェレーシス装置100を監視および/または制御してよい。そのためにコントローラ226は、それが通信状態にあり制御を行ってよい、種々のアフェレーシス装置100(装置100A/B/C)を表示する複数のモードを含んでいてよい。ユーザーは次いで、所望とするアフェレーシス装置100を選択してよく、それによりユーザーは、選択したアフェレーシス装置100A/B/Cを制御および/または監視することが許容される。コントローラ226は、制御可能なアフェレーシス装置100A/B/Cをいくつもの異なる仕方で表示してよい。例えば、コントローラ226は、制御可能な装置100A/B/Cのリストを単に表示してよい。いくつかの場合には、どの装置の制御を行うかの有用かつ容易な決定をできるように、装置100A/B/Cのリストは、ドナーの写真、装置のID、またはその他のような付加情報で補完してよい。代替的には、コントローラ226は、採血センターの見取り図およびそれぞれのアフェレーシス装置100A/B/Cの配置イメージを表示してよく、そしてユーザーは単に、制御を行おうとするアフェレーシス装置に触れるだけでよい。幾つかの実施形態においては、追加の血液処理装置を制御する機能は、ユーザーが不注意で異なる/誤った装置を制御することを防止するために、「ロックアウト(排除)」(例えば管理者により)されてよいことに留意すべきである。
【0049】
コントローラ226がアフェレーシス装置100と再ドッキングした場合(または新たなアフェレーシス装置とドッキングした場合)、コントローラ226は、それがドッキングしていた装置100の制御を自動的に開始してよいことに留意すべきである(例えば、それはユーザーが特定の装置を選択することを必要としない)。例えば、コントローラ226が現在装置100Bに対して接続および/または遠隔制御しており、次いで装置100Aとドッキングした場合、コントローラ226は装置100A(例えば、それが今度ドッキングした装置)の制御へと自動的に切り替わってよい。同様にして、コントローラ226が異なるアフェレーシス装置にドッキングした場合(例えば、それがその後装置100Cとドッキングした場合)、コントローラ226はそれが今回ドッキングした新たな装置(例えば装置100C)を制御することができる。追加的にまたは代替的に、ユーザーがコントローラ226を最近ドッキングしていた装置から脱ドッキングした場合、オペレーターが別の装置を制御することを選択するといった時点まで、コントローラ226は最近ドッキングしていたアフェレーシス装置100の作動を継続してよい(例えば、コントローラ装置が装置100Aから脱ドッキングされた場合、ユーザーが新たに制御する装置を選択するまで、それは装置100Aの制御を継続する)。
【0050】
アフェレーシス装置100A/B/Cの各々は、いくつもの異なるコントローラ226と互換性があってよい。したがって新たなコントローラ226は、その新たなコントローラ226を装置100A/B/Cの1つへと単にドッキングすることにより、および/または新たなコントローラ226上で装置100A/B/Cを選択することにより、システムへと導入されてよい。したがって、新規ユーザーが採血センターに入った場合、または最初のコントローラ226が誤動作を始めた場合、新たなコントローラ226を簡単に導入して、血液処理手順を予定通りに継続可能であることを確実ならしめてよい。同様に、図7に示されているように、コントローラ226がいくつものアフェレーシス装置と互換性を有していることから、それぞれのコントローラ226は異なるアフェレーシス装置(例えば、第2のアフェレーシス装置120)に接続/ドッキングさせてよく、かくして採血センター内の幾つかのまたは全部のアフェレーシス装置を制御するために、種々のコントローラ226が互換的に使用されてよい。
【0051】
幾つかの実施形態においては、あるユーザー/コントローラ226が、現在別のユーザー/コントローラ226の制御下にあるアフェレーシス装置100に対する制御を取得することを防止するために、セキュリティ手段を講じてよい。例えば、アフェレーシス装置100が現在別のコントローラ226によって制御されており、そして新たなコントローラ226が装置100に接続して制御を取得しようとしている場合、装置100および/または新たなコントローラ226は、新たなコントローラ226が装置100に接続/制御しようとする要求に関して、当初のコントローラ226に対してメッセージを送り、またはその他により警告を行ってよい。現在接続されているコントローラ226のユーザーは次いで、新たなコントローラ226が制御を取得することを許容してよく、および/または許容しなくてよい(例えば、コントローラ226上に表示される「許可」または「不許可」ボタンを押すことにより)。追加的にまたは代替的に、必要であればこの新たな制御は、当初のコントローラ226に対して、装置100に対して接続/制御を行うための高い特権的優先性をもたらしてよい。
【0052】
任意の数のアフェレーシス装置100A/B/Cを制御することに加えて、図8に示すように、コントローラ(単数または複数)226は、アフェレーシス装置(単数または複数)100の制御には必ずしも関係のない、追加的な動作を行ってよい。例えば、コントローラ(単数または複数)226は、アフェレーシス装置100A/B/C、または血液処理手順に関する任意の他の保守可能な装置に関する保守を行い、保守情報を記録してよい。この動作は、コントローラ226がアフェレーシス装置(単数または複数)100に対してドッキングおよび脱ドッキングしている両方の時点で実行可能である。追加的にまたは代替的に、コントローラ226はアフェレーシス手順の間の異常事象および例外事象(例えば、手順的な事象)を捕捉してよい。またアフェレーシス手順を実行していない場合にも、コントローラ226は、血液処理手順に関して使用される種々の装置(アフェレーシス装置100および他の非アフェレーシス装置を含む)を較正したり、ドナーの行動およびサンプルの収集を監視および記録するのを助けるように使用されてよい。これらの動作は、コントローラ226がアフェレーシス装置(単数または複数)100に対してドッキングおよび脱ドッキングしている両方の時点で実行可能である。これらの追加的な機能を実行する作用は、ユーザーが構成可能である(例えば、ユーザーはコントローラ226がこの機能を有すること、またはこの機能を有しないことを選択的に許容してよい)ことに留意すべきである。
【0053】
さらにまた、コントローラ(単数または複数)226は、アフェレーシス装置100が電源オフの場合でさえも、アフェレーシス装置の制御に必ずしも関係しない追加的な動作を継続的に実行してよい。このことはアフェレーシス装置100に対して、安全上の理由から電源オフ時にも保守を行うことを許容するが、しかしコントローラ(単数または複数)226は依然として、装置100を保守するのに必要な機能を提供する。アフェレーシス装置100が電源オフの間にコントローラ(単数または複数)226において行われた作業は、コントローラ(単数または複数)100においてローカルに保持され、任意選択的に遠隔のコンピュータシステムへと無線的に伝送され(例えば、通信ポート450を使用して)、別の電源投入されているアフェレーシス装置100へと無線的に伝送され、または電源オフのアフェレーシス装置100へと後で、それが再度電源投入された場合に伝送される。
【0054】
個々のアフェレーシス装置100に加えて、コントローラ(単数または複数)226は無線通信システムを介して、および/または通信ポート450を使用して、集中型データシステムと関連して作動するように接続されてよい。集中型データシステムは、採血センターのネットワーク、ローカルエリアネットワーク、インターネット/クラウド型ネットワーク、または複数の採血センターを接続するネットワークなどの一部であってよい。集中型データシステムはデータベースを含んでいてよく、また例えばドナーの記録およびアフェレーシス手順に関する情報を、コントローラ226に提供してよい。アフェレーシス手順の間、コントローラ226は例えばディスプレイ460上に、ドナー情報および装置情報/識別子を表示してよい。加えて、コントローラ226は、監視/制御されたアフェレーシス手順に関する情報を、集中型データシステムにアップロードしてよい。
【0055】
また、「コントローラ」、「プロセッサ」および「サーバー」といった用語は本願において、本発明の特定の実施形態に使用されてよい装置を記述するために使用されてよく、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除いて、本発明を何らかの特定の装置の種類またはシステムに限定するものでないことにも留意すべきである。かくしてシステムとは、限定するものではないが、クライアント、サーバー、コンピュータ、機器、または他の種類の装置を包含するものであってよい。こうした装置は典型的には、通信ネットワークを介して通信するための1つまたはより多くののネットワークインタフェース、並びに装置および/またはシステムの機能を営むよう相応に構成されたプロセッサ(例えば、メモリおよび他の周辺機器および/または特定用途向けハードウェアを備えたマイクロプロセッサ)が含まれる。通信ネットワークは一般に、パブリックおよび/またはプライベートネットワークを含んでいてよく;ローカルエリア、ワイドエリア、メトロポリタンエリア、ストレージ、および/またはたの種類のネットワークを含んでいてよく;そしてアナログ技術、デジタル技術、光学技術、無線技術、ネットワーク技術、および相互ネットワーク技術を含む、通信技術を用いていてよいが、いかなる意味でもこれらに限定されるものではない。
【0056】
制御プログラムの種々の構成要素は、個別に実施されてよく、または組み合わせて実施されてよい。例えば、各々の構成要素は専用サーバー上で、または分散した形で構成されている一群のサーバー上で実施されてよい。
【0057】
また、装置は通信プロトコルおよびメッセージ(例えば、システムによって生成され、送信され、受信され、保存され、および/または処理されたメッセージ)を使用してよく、またそうしたメッセージは通信ネットワークまたは媒体によって伝達されてよいことに注意しなければならない。文脈が別様に要求するのでない限り、本発明は、任意の特定の通信メッセージの種類、通信メッセージのフォーマット、または通信プロトコルに制約を受けているものと解釈されてはならない。かくして、通信メッセージは一般に、限定するものではないが、フレーム、パケット、データグラム、ユーザーデータグラム、セル、または他の種類の通信メッセージを含んでいてよい。文脈が別様に要求するのでない限り、特定の通信プロトコルに対する参照は例示的なものであり、また代替的な実施形態は適宜、そうした通信プロトコルの変形例(例えば、ときどき行われてよいプロトコルに対する変更または拡張)、或いは既に知られたまたは将来開発される他のプロトコルを採用してよいことが理解されねばならない。
【0058】
また本願においてロジック(論理)の流れは、本発明の種々の態様を例証するために記述されてよく、本発明を任意の特定のロジックの流れまたはロジックの実施に限定するものと解釈されてはならないことにも注意しなければならない。記述されたロジックは、全般的な結果を変更することなしに、または他の場合には本発明の真の範囲から逸脱することなしに、異なるロジックブロック(例えば、プログラム、モジュール、インタフェース、機能、またはサブルーチン)へと区切られてよい。多くの場合に、全般的な結果を変更することなしに、または他の場合には本発明の真の範囲から逸脱することなしに、ロジック素子は追加され、変更され、省略され、異なる順序で実施され、または異なるロジック構成(例えば、ロジックゲート、ループプリミティブ、条件付きロジック、および他のロジック構成)を使用して実施されてよい。
【0059】
本発明は多くの異なる形態で実施されてよく、それにはいかなる意味でも限定するものではないが、プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、または汎用コンピュータ)について使用するためのコンピュータプログラムロジック、プログラマブル(プログラム可能な)ロジックデバイス(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または他のプログラマブルロジックデバイス(PLD))について使用するためのプログラマブルロジック、ディスクリート部品、集積回路(例えば、特定用途向け集積回路(ASIC))、またはこれらの任意の組み合わせを含む他の任意の手段が含まれる。本発明のいくつかの実施形態において、上記で説明したすべてのロジックは主としてコンピュータプログラム命令のセットとして実施され、それはコンピュータで実行可能な形態に変換され、コンピュータで読み取り可能な媒体にそのように記憶され、またオペレーティングシステムの制御の下にマイクロプロセッサによって実行される。
【0060】
本願でこれまでに説明した機能の全部または一部を実施するコンピュータプログラムロジックは種々の形態で実施されてよく、それにはいかなる意味でも限定するものではないが、ソースコードの形態、コンピュータで実行可能な形態、および種々の中間の形態(例えば、アセンブラ、コンパイラ、リンカー、またはロケータによって生成された形態)が含まれる。ソースコードは、種々のオペレーティングシステムまたはオペレーティング環境について使用するための、種々のプログラム言語(例えば、オブジェクトコード、アセンブリ言語、またはFORTRAN、C、C++、JAVA、またはHTMLのような高級言語)の任意のもので実施された、一連のコンピュータプログラム命令を含んでいてよい。ソースコードは、種々のデータ構造および通信メッセージを定義し、使用してよい。ソースコードは、コンピュータで実行可能な形態(例えば、インタプリタを介して)であってよく、またはソースコードは、コンピュータで実行可能な形態へと変換(例えば、変換装置、アセンブラ、またはコンパイラを介して)されてよい。
【0061】
コンピュータプログラムは任意の形態(例えば、ソースコードの形態、コンピュータで実行可能な形態、または中間の形態)において、半導体メモリデバイス(例えば、RAM、ROM、PROM、EEPROM、またはフラッシュプログラマブルRAM)、磁気メモリデバイス(例えば、ディスケットまたは固定ディスク)、光学メモリデバイス(例えば、CD-ROM)、PCカード(例えば、PCMCIAカード)、または他のメモリデバイスのような有形の記憶媒体に、永続的または一時的のいずれかで固定されてよい。コンピュータプログラムは、いかなる意味でも限定するものではないが、アナログ技術、デジタル技術、光学技術、無線技術、ネットワーク技術、および相互ネットワーク技術を含む、種々の通信技術の任意のものを使用してコンピュータに伝送可能な信号に、任意の形態で固定されてよい。コンピュータプログラムは、添付された印刷文書または電子文書を含むリムーバブル記憶媒体(例えば、収縮包装された市販のソフトウェア)のような任意の形態で配布されてよく、コンピュータシステムに予めロードされてよく(例えば、システムROMまたは固定ディスク上に)、または通信システム(例えば、インターネットまたはワールドワイドウェブ)を介してサーバーまたは電子掲示板から配布されてよい。
【0062】
本願でこれまでに説明した機能の全部または一部を実施するハードウェアロジック(プログラマブルロジックデバイスについて使用するプログラマブルロジックを含む)は、在来の手動的方法を用いて設計されてよく、または、コンピュータ支援設計(CAD)、ハードウェア記述言語(例えば、VHDLまたはAHDL)、またはPLDプログラミング言語(例えば、PALASM、ABEL、またはCUPL)のような種々のツールを使用して、設計され、キャプチャされ、シミュレートされ、または電子的に文書化されてよい。
【0063】
プログラマブルロジックは、半導体メモリデバイス(例えば、RAM、ROM、PROM、EEPROM、またはフラッシュプログラマブルRAM)、磁気メモリデバイス(例えば、ディスケットまたは固定ディスク)、光学メモリデバイス(例えば、CD-ROM)、または他のメモリデバイスのような有形の記憶媒体に、永続的または一時的の何れかで固定されてよい。プログラマブルロジックは、いかなる意味でも限定するものではないが、アナログ技術、デジタル技術、光学技術、無線技術(例えば、Bluetooth)、ネットワーク技術、および相互ネットワーク技術を含む、種々の通信技術の任意のものを使用してコンピュータに伝送可能な信号に、固定されてよい。プログラマブルロジックは、添付された印刷文書または電子文書を含むリムーバブル記憶媒体(例えば、収縮包装された市販のソフトウェア)として配布されてよく、コンピュータシステムに予めロードされてよく(例えば、システムROMまたは固定ディスク上に)、または通信システム(例えば、インターネットまたはワールドワイドウェブ)を介してサーバーまたは電子掲示板から配布されてよい。実際上、幾つかの実施形態は、サービスとしてのソフトウェア(「SAAS」)モデルで、またはクラウドコンピューティングモデルで実施されてよい。もちろん、本発明のいくつかの実施形態は、ソフトウェア(例えば、コンピュータプログラム製品)およびハードウェアの両者の組み合わせとして実施されてよい。本発明のさらに他の実施形態は、完全にハードウェアとして、または完全にソフトウェアとして実施される。
【0064】
上述した本発明の実施形態は、単に例示的であることを意図している;当業者には数多くの変形例および修正例が明らかである。そうした変形例および修正例はすべて、添付の請求項に規定された本発明の範囲内に包含されることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8