(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】ファルネソイドX受容体の調節に有用な化合物並びに当該化合物の製造方法及び使用方法
(51)【国際特許分類】
C07D 261/08 20060101AFI20240319BHJP
C07D 413/12 20060101ALI20240319BHJP
C07D 451/06 20060101ALI20240319BHJP
A61K 31/42 20060101ALI20240319BHJP
A61K 31/422 20060101ALI20240319BHJP
A61K 31/46 20060101ALI20240319BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20240319BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20240319BHJP
A61P 1/12 20060101ALI20240319BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20240319BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20240319BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20240319BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20240319BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20240319BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20240319BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240319BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240319BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
C07D261/08
C07D413/12 CSP
C07D451/06
A61K31/42
A61K31/422
A61K31/46
A61P1/00
A61P1/04
A61P1/12
A61P1/16
A61P1/16 101
A61P3/04
A61P3/06
A61P3/10
A61P9/10
A61P13/12
A61P25/00
A61P35/00
A61P37/06
(21)【出願番号】P 2021531453
(86)(22)【出願日】2019-08-06
(86)【国際出願番号】 US2019045266
(87)【国際公開番号】W WO2020033382
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2022-06-27
(32)【優先日】2018-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521055910
【氏名又は名称】インオルビット セラピューティクス エイビー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャーマ、ラジブ
(72)【発明者】
【氏名】ベンセム、ランベルタス
(72)【発明者】
【氏名】ユドキンス、ロベルト
【審査官】神谷 昌克
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-500317(JP,A)
【文献】特表2014-520823(JP,A)
【文献】国際公開第2018/039386(WO,A1)
【文献】特表2018-500305(JP,A)
【文献】国際公開第2018/075207(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/218379(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式II、VI又はVII:
【化1】
[式中、
R
1は、1~3個のR
1aで任意選択的に置換されているC
3~10シクロアルキル、フェニル又はピリジルであり、
各R
1aは、ハロゲン、C
1~6アルキル、ハロC
1~6アルキル、C
1~6アルコキシ、ハロC
1~6アルコキシ及びシクロプロピルからなる群から独立して選択され、
各R
5は、C
1~6アルキル、C
3~6シクロアルキル、ハロC
1~6アルキル、C
1~6アルコキシ、ハロC
1~6アルコキシ及びハロゲンからなる群から独立して選択され、
かつ
nは、0、1、2又は3の整数である]で表される構造を有する化合物、
或いはそのエナンチオマー、立体異性体、互変異性体、溶媒和物、水和
物、C
1~6アルキルスルフィン酸エステル誘導体、もしくは薬学的に許容可能な塩。
【請求項2】
R
1が、1~3個のR
1aで任意選択的に置換されているフェニルであり、各R
1aは、ハロゲン、C
1~6アルキル、ハロC
1~6アルキル、C
1~6アルコキシ、及びハロC
1~6アルコキシからなる群から独立して選択される、請求項1に記載の化合物、又はそのエナンチオマー、立体異性体、互変異性体、溶媒和物、水和
物、C
1~6アルキルスルフィン酸エステル誘導体、もしくは薬学的に許容可能な塩。
【請求項3】
R
1が、1~3個のR
1aで任意選択的に置換されているフェニルであり、各R
1aは、ハロゲン、メトキシ、メチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、及びジフルオロメトキシからなる群から独立して選択される、請求項1に記載の化合物、又はそのエナンチオマー、立体異性体、互変異性体、溶媒和物、水和
物、C
1~6アルキルスルフィン酸エステル誘導体、もしくは薬学的に許容可能な塩。
【請求項4】
式IIa:
【化2】
[式中、
各R
1aは、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ及びジフルオロメトキシからなる群から独立して選択され、
R
5は、メチル、メトキシ、フルオロ又はトリフルオロメトキシであり、
pは、0又は1の整数である]で表される構造を有する、請求項1に記載の化合物、或いはそのエナンチオマー、立体異性体、互変異性体、溶媒和物、水和
物、C
1~6アルキルスルフィン酸エステル誘導体、もしく
は薬学的に許容可能な塩。
【請求項5】
化合物が、
2-(3-((5-シクロプロピル-3-(2-(トリフルオロメトキシ)フェニル)イソオキサゾール-4-イル)メトキシ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)-4-フルオロベンゾ[d]チアゾール-6-スルフィン酸ナトリウム、
2-((1R,3r,5S)-3-((5-シクロプロピル-3-(2-(トリフルオロメトキシ)フェニル)イソオキサゾール-4-イル)メトキシ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)-4-メチルベンゾ[d]チアゾール-6-スルフィン酸ナトリウム、
3-(3-(2-クロロ-4-((5-シクロプロピル-3-(2,6-ジクロロフェニル)イソオキサゾール-4-イル)メトキシ)フェニル)-3-ヒドロキシアゼチジン-1-イル)ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、
4-(3-(2-クロロ-4-((5-シクロプロピル-3-(2,6-ジクロロフェニル)イソオキサゾール-4-イル)メトキシ)フェニル)-3-ヒドロキシシクロブチル)ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物、
又はそのエナンチオマー、立体異性体、互変異性体、溶媒和物、水和
物、C
1~6アルキルスルフィン酸エステル誘導体、もしく
は薬学的に許容可能な塩。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物と薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物。
【請求項7】
医薬品に使用するための、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
胆汁酸関連障害、メタボリックシンドローム、2型糖尿病、糖尿病性腎症、高脂血症、高トリグリセリド血症、肥満、肝硬変、原発性胆汁性胆管炎(PBC)、原発性硬化性胆管炎(PSC)、脂肪性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、アルコール性肝疾患、化学療法関連脂肪性肝炎(CASH)、B型肝炎、炎症性自己免疫疾患、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、直腸炎、回腸嚢炎、セリアック病、胆汁酸下痢、多発性硬化症、アテローム性動脈硬化症、腎臓障害(慢性腎臓病を含む)、及びがん(肝がん、結腸がん及び乳がんを含む)からなる群から選択される疾患又は障害の治療及び/又は予防に使用するための、請求項6に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願データ
本出願は、2018年8月8日に出願された米国仮特許出願番号第62/716,015号の利益を主張し、この開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、ファルネソイドX受容体(FXR)のモジュレーターとして作用することができ、FXRに関連する疾患及び/又は障害の治療に有用であり得る化合物に関する。いくつかの実施形態では、本発明は、FXRを調節する化合物及び組成物、並びにそれらの調製及び使用のための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ファルネソイドX受容体は、核内ホルモン受容体スーパーファミリーのメンバーである。FXRは、レチノイドX受容体(RXR)とのヘテロ二量体として機能し、標的遺伝子のプロモーター領域にある応答エレメントに結合して遺伝子の転写を調節する。
FXRは、胆汁酸の腸肝循環、胆汁酸合成、及び肝細胞への分泌と胆汁酸取り込みの制御に重要な役割を果たしていることが研究で明らかになっている。この側面は、NASH/NAFLDの治療に適した薬物標的を見つけるために多くの研究者によって利用されてきた。
【0004】
ファルネソイドX受容体は、ラット肝臓のcDNAライブラリー(BM.Forman,et al.,Cell,1995,81(5),687-693)から最初に同定されたオーファン核内受容体であり、昆虫のエクジソン受容体に最も密接に関連している。FXRは、ステロイド、レチノイド、及び甲状腺ホルモンの受容体を含む、リガンド活性化転写因子の核内受容体スーパーファミリーのメンバーである(DJ.Mangelsdorf,et al.,Cell,1995,83(6),841-850)。FXRは、肝臓、腎臓、腸、結腸、卵巣及び、副腎を含む様々な組織で発現し(Forman et al,Cell 81:687-693,1995;Lu et al,J.Biol.Chem.,17:17,2001を参照)、コレステロールの恒常性、トリグリセリド合成及び脂質生成の重要な調節因子である(Crawley,Expert Opinion Ther.Patents(2010),20(8):1047-1057。
【0005】
FXRの関連する生理的リガンドは胆汁酸である(D.Parks et al.,Science,1999,284(5418),1362-1365)。最も強力なものは、胆汁酸の恒常性に関与するいくつかの遺伝子の発現を調節するケノデオキシコール酸(CDCA)である。ファルネソールとその誘導体は、ともにファルネソイドと呼ばれ、ラットのオルソログを高濃度で活性化するとの記載がもともとあるが、ヒト又はマウスの受容体を活性化することはない。FXRは、細胞内遺伝子発現の制御に加えて、サイトカインである線維芽細胞成長因子の発現をアップレギュレートすることで、パラクリン及び内分泌シグナル伝達にも関与していると考えられている(J.Holt et al.,Genes Dev.,2003,17(13),1581-1591;T.Inagaki et al.,Cell Metab.,2005,2(4),217-225)。
【0006】
FXRの活性化は、胆汁酸関連障害、メタボリックシンドローム、2型糖尿病、高脂血症、高トリグリセリド血症、原発性胆汁性胆管炎(PBC)、脂肪性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、炎症性自己免疫疾患、クローン病、多発性硬化症、アテローム性動脈硬化症、腎臓障害(慢性腎臓病を含む)、肝がん・結腸がん、及び他の障害を含む、幅広い疾患の治療になる可能性を秘めている。多数のFXRモジュレーターが知られており、開示されているが(最近の例については、A.Zampella et al.,Expert Opinion Ther.Patents(2018),28(5):351-364を参照)、疾患の治療及び予防のための新規で効力の高い化合物の開発の必要性が依然として存在している。
【0007】
本明細書において明らかに以前に公開された文書の記載又は議論は、その文書が先行技術の一部であるか、又は通常の技術常識であることを認めるものとして必ずしも解釈されるべきではない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、式Iで表される化合物、そのエナンチオマー、立体異性体、互変異性体、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、アミノ酸コンジュゲート、代謝物、又はそれらの薬学的に許容可能な塩に関する:
【化1】
[式中、
R
1は、C
3~10シクロアルキル、フェニル又はピリジルであり、これらのそれぞれは1~3個のR
1aで任意選択的に置換されており、
各R
1aは、ハロゲン、C
1~6アルキル、ハロC
1~6アルキル、C
1~6アルコキシ、ハロC
1~6アルコキシ及びシクロプロピルからなる群から独立して選択され、
R
2は、C
1~3アルキル、ハロC
1~3アルキル又はシクロプロピルであり、これらのそれぞれはC
1~3アルキル又はハロC
1~3アルキルで任意選択的に置換されており、
Aは、
【化2】
から選択され、
Yは、-S(O)OH又はS(O)
2OHであり、任意選択的にYは-S(O)OHであり、
Zは、フェニル、又はN、O及びSから選択される1~2個のヘテロ原子を含む5~10員の単環式もしくは二環式ヘテロアリールであり、フェニル又は5~10員の単環式もしくは二環式ヘテロアリールは、1~2個のR
6で任意選択的に置換されており、
Wは、N、O及びSからの1~3個のヘテロ原子を含む4もしくは5員の単環式ヘテロ環又はヘテロアリールであり、
各R
6は、ハロゲン、C
1~6アルキル、ハロC
1~6アルキル、C
1~6アルコキシ、ハロC
1~6アルコキシ、及びシクロプロピルからなる群から独立して選択され、
Xは、N又はCHであり、
R
4は、H、C
1~6アルキル、C
1~6アルコキシ、ハロC
1~6アルキル、C
3~6シクロアルキル、又はハロゲンであり、
各R
5は、C
1~6アルキル、C
3~6シクロアルキル、ハロC
1~6アルキル、C
1~6アルコキシ、ハロC
1~6アルコキシ及びハロゲンからなる群から独立して選択され、
mは、0、1、又は2の整数であり、かつ
nは、0、1、2又は3の整数である]、
上記の化合物、エナンチオマー、立体異性体、互変異性体、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、アミノ酸コンジュゲート、代謝物、及び薬学的に許容可能な塩は、これ以降、「本発明の化合物」と呼ぶ。いくつかの実施形態では、本発明は、R
2がシクロプロピルである式Iの化合物を提供する。
【0009】
いくつかの実施形態では、本発明は、以下からなる群から選択される化合物を提供する:
【化3-1】
【化3-2】
[式中、R
1、R
5及びnは、それぞれ上記で定義されたとおりである]。
【0010】
いくつかの実施形態では、本発明は、式I~Xの化合物であって、R1が、1~3個のR1aで任意選択的に置換されているフェニルであり、各R1aは、ハロゲン、C1~6アルキル、ハロC1~6アルキル、C1~6アルコキシ、及びハロC1~6アルコキシからなる群から独立して選択され、任意選択的に、各R1aは、ハロゲン、メトキシ、メチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、及びジフルオロメトキシからなる群から独立して選択される化合物である。
【0011】
いくつかの実施形態では、本発明は、式IIa:
【化4】
[式中、各R
1aは、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ及びジフルオロメトキシからなる群から独立して選択され、R
5は、メチル、メトキシ、フルオロ又はトリフルオロメトキシであり、pは、0又は1の整数である]で表される構造を有する化合物、又はそのエナンチオマー、立体異性体、互変異性体、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、アミノ酸コンジュゲート、代謝物、もしくは薬学的に許容可能な塩を提供する。
【0012】
いくつかの実施形態では、本発明は、2-(3-((5-シクロプロピル-3-(2-(トリフルオロメトキシ)フェニル)イソオキサゾール-4-イル)メトキシ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)-4-フルオロベンゾ[d]チアゾール-6-スルフィン酸ナトリウム、2-((1R,3r,5S)-3-((5-シクロプロピル-3-(2-(トリフルオロメトキシ)フェニル)イソオキサゾール-4-イル)メトキシ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)-4-メチルベンゾ[d]チアゾール-6-スルフィン酸ナトリウム、3-(3-(2-クロロ-4-((5-シクロプロピル-3-(2,6-ジクロロフェニル)イソオキサゾール-4-イル)メトキシ)フェニル)-3-ヒドロキシアゼチジン-1-イル)ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、4-(3-(2-クロロ-4-((5-シクロプロピル-3-(2,6-ジクロロフェニル)イソオキサゾール-4-イル)メトキシ)フェニル)-3-ヒドロキシシクロブチル)ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、4-(2-(2-クロロ-4-((5-シクロプロピル-3-(2,6-ジクロロフェニル)イソオキサゾール-4-イル)メトキシ)フェニル)シクロプロピル)ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される化合物を提供する。
【0013】
本発明の別の態様は、FXRを調節する方法に関する。この方法は、有効量の本発明の化合物(例えば、式Iの化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体、もしくは互変異性体)を必要とする対象に、有効量の本発明の化合物を投与することを含む。
【0014】
本発明の別の態様は、FXRを活性化する方法に関する。この方法は、有効量の本発明の化合物(例えば、式Iの化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体、もしくは互変異性体)を必要とする対象に、有効量の本発明の化合物を投与することを含む。
【0015】
本発明の別の態様は、疾患及び/又は障害を治療及び/又は予防する方法に関する。いくつかの実施形態では、疾患及び/又は障害は、胆汁酸関連障害、メタボリックシンドローム、2型糖尿病、糖尿病性腎症、高脂血症、高トリグリセリド血症、肥満、肝硬変、原発性胆汁性胆管炎(PBC)、原発性硬化性胆管炎(PSC)、脂肪性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、アルコール性肝疾患、化学療法関連脂肪性肝炎(CASH)、B型肝炎、炎症性自己免疫疾患、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、直腸炎、回腸嚢炎、セリアック病、胆汁酸下痢、多発性硬化症、アテローム性動脈硬化症、腎臓障害(慢性腎臓病を含む)、肝がん、結腸がん及び乳がんを含むがん、及び他の障害である。この方法は、治療有効量の本発明の化合物(例えば、式Iの化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体、もしくは互変異性体)又は本発明の上記化合物を含む医薬組成物を必要とする対象に、治療有効量の本発明の化合物又は本発明の上記化合物を含む医薬組成物を投与することを含む。
【0016】
本発明の更なる態様は、本発明の化合物(例えば、式Iの化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体、もしくは互変異性体)と薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物に関する。医薬組成物は、賦形剤、希釈剤、及び/又は界面活性剤をさらに含み得る。
【0017】
本発明の別の態様は、ファルネソイドX受容体(FXR)が役割を果たす疾患及び/又は障害を治療及び/又は予防するための医薬品の製造に使用するための本発明の化合物(例えば、式Iの化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体、もしくは互変異性体)に関する。いくつかの実施形態では、FXRは、例えば、胆汁酸の腸肝循環、胆汁酸合成、及び/又は肝細胞への分泌及び胆汁酸取り込みの制御などにおいて、FXRが、疾患及び/又は障害に関連する経路、機構、又は作用に関与しているという点で、疾患及び/又は障害において役割を果たす。
【0018】
一実施形態に関して記載された本発明の態様は、それに関して具体的には記載されていないが、異なる実施形態に組み込まれ得ることに留意されたい。すなわち、すべての実施形態及び/又は任意の実施形態の特徴は、任意の方法及び/又は組み合わせで組み合わせることができる。出願人は、出願当初の請求項を変更する権利及び/又はそれに応じて新しい請求項を出願する権利を留保し、これには、出願当初の任意の請求項を修正して、出願当初はそのような形式ではなかったが、他の任意の一請求項又は複数の請求項の任意の特徴に従属させ、かつ/又はそれらの特徴を組み込む権利が含まれる。本発明のこれらと他の目的及び/又は態様は、以下に記載される明細書において詳細に説明される。本発明の更なる特徴、利点及び詳細は、当業者であれば、図面及び後続の好ましい実施形態の詳細な説明を読み取ることで理解できるであろうが、そのような説明は本発明の単なる例示に過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】例4の化合物の代謝物のMS/MSスペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
これから、本発明の実施形態が示される添付図面を参照して、本発明をより詳細に説明する。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具現化することができ、本明細書に記載される実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が綿密かつ完全であり、本発明の範囲を当業者に十分に伝わるように提供される。
【0021】
本明細書の本発明の説明で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、本発明を限定することを意図するものではない。本発明の説明及び添付の特許請求の範囲で使用されているように、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈上特に明記されていない限り、複数形も含むことが意図されている。
【0022】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。さらに、一般に使用されている辞書で定義されているような用語は、本出願及び関連技術の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、理想化された、又は過度に形式的な意味で解釈されるべきではないことが理解されるであろう。本明細書の本発明の説明で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書で言及されるすべての刊行物、特許出願、特許及び他の参考文献は、参照によりその全体が組み込まれる。用語が矛盾している場合は、本明細書が優先される。
【0023】
また、本明細書で使用される場合、「及び/又は」は、関連する記載項目の1つ又は複数のありとあらゆる可能な組み合わせだけでなく、選択肢(「又は」)で解釈される場合の組み合わせの欠如も指し、包含する。
【0024】
文脈上明記されていない限り、本明細書に記載される本発明の様々な特徴を任意の組み合わせで使用できることが特に意図されている。さらに、本発明はまた、本発明のいくつかの実施形態では、本明細書に記載される任意の特徴又は特徴の組み合わせを除外又は省略できることを企図している。説明のために、複合体が成分A、B及びCを含むと明細書で述べられている場合、A、BもしくはCのいずれか、又はそれらの組み合わせを省略して放棄できることが特に意図されている。
【0025】
本明細書で使用される場合、「から本質的になる」(及び文法的変形)という移行句は、引用された材料又はステップ「及び請求項に係る発明の基本的かつ新規な特性」を包含するものと解釈されるべきである。In re Herz,537 F.2d 549,551-52,190 U.S.P.Q.461,463(CCPA 1976)を参照された(強調は原文どおり);MPEP§2111.03も参照されたい。したがって、本明細書で使用される「から本質的になる」という用語は、「含む」と同等であると解釈されるべきではない。
【0026】
量又は濃度などの測定可能な値を指すときに本明細書で使用される「約」という用語は、指定された値の±10%、±5%、±1%、±0.5%、さらには±0.1%の変動だけでなく、指定された値も包含することを意味している。例えば、Xが測定可能な値である「約X」は、Xだけでなく、Xの±10%、±5%、±1%、±0.5%、さらには±0.1%の変動も含むことを意味している。測定可能な値について本明細書で提供される範囲は、他の任意の範囲及び/又は個々の値を含み得る。本明細書で使用される「ファルネソイドX受容体」又は「FXR」は、任意の供給源に由来すし、かつ/又は対象に存在し、かつ/又は任意の形態で発現しているファルネソイドX受容体である。いくつかの実施形態では、ファルネソイドX受容体は、例えば、哺乳類などの動物に由来し、かつ/又は存在し、かつ/又は発現している。いくつかの実施形態では、ファルネソイドX受容体は、霊長類、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウス、魚、鳥などに由来し、かつ/又は存在し、かつ/又は発現している。いくつかの実施形態では、ファルネソイドX受容体は、ヒトに由来し、かつ/又は存在し、かつ/又は発現している。
【0027】
FXRに関しての「調節する」及び「調節」という用語は、FXRの1つもしくは複数の機能、作用、及び/又は特性を直接的又は間接的に活性化又は阻害する化合物(例えば、本発明の化合物)の能力を指す。これは、インビトロ又はインビボで起こり得、FXRに関連する機能、作用、及び/又は特性の拮抗作用、活性化作用、部分拮抗作用及び/又は部分活性化作用を包含することを意図している。
【0028】
FXRに関しての「活性化」という用語は、FXRに関連する機能、作用、及び/又は特性を活性化、増加又は増強する化合物(例えば、本発明の化合物)の能力を指し、したがって、この化合物はFXRアゴニストである。
【0029】
FXRに関しての「モジュレーター」という用語は、FXRを調節する化合物(例えば、本発明の化合物)を指す。いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、FXRの1つもしくは複数の機能、作用、及び/又は特性を活性化することによってFXRを調節する。
【0030】
「アゴニスト」という用語は、特定の受容体(例えば、FXR)と化合及び/又は結合し、受容体に関連する機能、作用、及び/又は特性を活性化、増加又は増強する化合物(例えば、本発明の化合物)を指す。「アゴニスト」という用語は、完全アゴニスト及び部分アゴニストの両方を含み、部分アゴニストは、完全アゴニストよりも少ない程度で受容体(例えば、FXR)に関連する機能、作用、及び/又は特性を活性化、増加又は増強し、かつ/又は完全アゴニストと比較して受容体において部分的な効力を有する。いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、FXRアゴニストである。いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、アゴニストであり、FXRを活性化して、内因性アゴニストの結合によって典型的に生成される同じもしくは実質的に同じ反応及び/又は薬理学的応答を提供する。
【0031】
測定可能な値及び/又は応答に関して本明細書で使用される「実質的に同じ」とは、値及び/又は応答と比較して約±10%以内であることを意味する。
【0032】
「C1~3アルキル」という用語は、直鎖又は分枝鎖であってもよい1~3個の炭素原子を有する飽和又は不飽和アルキル鎖を意味する。それらの例としては、メチル、エチル、プロピル及びイソプロピルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
「C1~6アルキル」という用語は、直鎖又は分岐鎖であってもよい1~6個の炭素原子を有する飽和又は不飽和アルキル鎖を意味する。それらの例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル及びヘキシルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
「C1~3アルコキシ」という用語は、直鎖もしくは分岐鎖の飽和又は不飽和炭化水素であって鎖中に末端酸素を含む1~3個の炭素原子を含むものを意味し、直鎖もしくは分岐鎖の飽和又は不飽和炭化水素は、酸素を介して親化合物又は主化合物に結合されている。それらの例としては、メトキシ、エトキシ及びプロポキシが挙げられるが、これらに限定されない。
【0035】
「C1~6アルコキシ」という用語は、直鎖もしくは分岐鎖の飽和又は不飽和炭化水素であって鎖中に末端酸素を含む1~6個の炭素原子を含むものを意味し、直鎖もしくは分岐鎖の飽和又は不飽和炭化水素は、酸素を介して親化合物又は主化合物に結合されている。それらの例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、t-ブトキシ、及びペントキシが挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
「ハロC1~3アルキル」及び「ハロC1~6アルキル」という用語は、それぞれ、C1~3アルキル及びC1~6アルキルのアルキル鎖中の1つ又は複数の水素原子がハロゲン原子で置き換えられていることを意味する。それらの例としては、ジフルオロメチル及びトリフルオロメチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
「ハロC1~6アルコキシ」という用語は、C1~6アルコキシの炭化水素鎖中の1つ又は複数の水素原子がハロゲン原子で置き換えられていることを意味する。
【0038】
「C3~6シクロアルキル」という用語は、3~6個の炭素原子を含む飽和又は不飽和(例えば、部分的もしくは完全に不飽和)の単環式又は二環式環系を意味する。それらの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
「C3~10シクロアルキル」という用語は、3~10個の炭素原子を含む飽和又は不飽和(例えば、部分的もしくは完全に不飽和)の単環式、二環式、スピロ環式又は多環式環系を意味する。それらの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノナン、シクロデカン、ビシクロ[3.2.0]ヘプタン、ビシクロ[3.3.0]オクタン、ビシクロ[4.3.0]ノナン、スピロ[2.3]ヘキサン、スピロ[2.5]オクタン、スピロ[3.4]オクタン、スピロ[4.5]デカン及びスピロ[5.5]デカンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
「1~2個のヘテロ原子を含む5~10員の単環式又は二環式ヘテロアリール」という用語は、炭素、窒素、酸素、及び/又は硫黄から選択される5~10個の原子を含み、そのうちの1~2個の原子がヘテロ原子(すなわち、窒素、酸素、及び/又は硫黄)である単環式又は二環式ヘテロ芳香族環を意味する。そのような二環式ヘテロ芳香族環系の場合、ヘテロ原子は、任意の橋頭原子を含む一方又は両方の環に存在していてもよい。1~2個のヘテロ原子を含む5~10員の単環式ヘテロアリールの例としては、ピロリル、イミダゾリル、フラニル、チオフェニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピラゾリル、オキサゾリル及びイソオキサゾリルが挙げられるが、これらに限定されない。1~2個のヘテロ原子を含む5~10員の二環式ヘテロアリールの例としては、キノリニル、イソキノリニル、キノキサリニル、ベンズイミダゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、インドリル及びインドリジニルが挙げられるが、これらに限定されない。1~2個のヘテロ原子を含む5~10員の単環式又は二環式ヘテロアリールの窒素又は硫黄原子はまた、任意選択的に、対応するN-オキシド、S-オキシド又はS,S-ジオキシドに酸化されていてもよい。別段の記載がない場合、本明細書に記載されているような5~10員の単環式又は二環式ヘテロアリール系は、炭素又は窒素原子を介して連結されていてもよい。
【0041】
「N、O及びSからの1~3個のヘテロ原子を含む4もしくは5員の単環式ヘテロ環又はヘテロアリール」という用語は、炭素、窒素、酸素及び/又は硫黄から選択される4もしくは5個の原子を含み、そのうちの1~3個の原子が窒素、酸素及び/又は硫黄である単環式環を意味する。ヘテロ環基は飽和又は不飽和(例えば、完全又は部分的に不飽和)であってもよく、ヘテロアリール基は不飽和かつ芳香族である。N、O及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む4もしくは5員の単環式ヘテロ環の例としては、オキセタン、テトラヒドロフラン、ピロリジン、イソオキサゾリン、オキサゾリジノン、及びγ-ラクタムが挙げられるが、これらに限定されない。N、O及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む4員もしくは5員の単環式ヘテロ環の更なる例としては、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、イソオキサゾール、及びオキサジアゾールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
「N-オキシド」という用語は、ヘテロ芳香族系の窒素(例えば、ピリジニル)が酸化されている化合物を意味する。そのような化合物は、本発明の化合物(ピリジニルを含むものなど)を不活性溶媒中でH2O2又は過酸と反応させることにより得ることができる。
【0043】
「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を指す。いくつかの実施形態では、ハロゲンはフッ素又は塩素である。
【0044】
「任意選択的に置換された」という用語は、所与の化学的部分(例えば、アルキル基)が他の置換基(例えば、ヘテロ原子)に結合できる(ただし、必須ではない)ことを意味すると理解される。例えば、任意選択的に置換されているアルキル基は、完全に飽和したアルキル鎖(例えば、純粋な炭化水素)であってもよい。あるいは、同じ任意選択的に置換されたアルキル基は、水素とは異なる1つ又は複数の置換基を有していてもよい例えば、そのアルキル基は、鎖に沿った任意の点で、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、又は本明細書に記載される他の任意の置換基に結合していてもよい。したがって、「任意選択的に置換された」という用語は、所与の化学的部分が他の官能基を有する可能性があるが、必ずしもそれ以上の官能基を有するとは限らないことを意味する。
【0045】
「立体異性体」という用語は、同じ原子が同じ結合で結合してできているが、互換性のない異なる三次元構造を有する化合物を指す。本発明は、様々な立体異性体及びそれらの混合物を企図し、「エナンチオマー」を含み、これは、分子が互いに重ね合わせることのできない鏡像である2つの立体異性体を指す。
【0046】
「薬学的に許容可能な塩」という用語は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などを伴わずに、ヒト及び下等動物の組織と接触させて使用するのに適しており、合理的なベネフィット・リスク比に見合った化合物の塩を指す。薬学的に許容可能な塩は当該技術分野で周知である。
【0047】
薬学的に許容可能な塩の詳細なレビューについては、BergeらによるJ.Pharmaceutical Sciences,66:1-19(1977)を参照されたい。いくつかの実施形態では、塩は、本発明の化合物の最終的な単離及び/もしくは精製中にその場で調製することができるか、又は遊離酸官能基と適切な無機もしくは有機塩基との反応によって別個に調製することができる。適切な塩としては、ナトリウム、カリウム及びカルシウムなどの金属、又はトリエチルアンモニウム、エタノールアンモニウム及びリシンなどのアミンが挙げられる、これらに限定されない。
【0048】
「溶媒和物」という用語は、溶質と溶媒とで形成される化学量論的に可変な複合体を指す。本発明の目的のためのそのような溶媒は、溶質の生物学的活性を阻害してはならない。適切な溶媒の例としては、水、MeOH、EtOH、及びAcOHが挙げられる、これらに限定されない。水が溶媒分子である溶媒和物は、通常、水和物と呼ばれる。水和物としては、化学量論量の水を含む組成物、及び可変量の水を含む組成物が挙げられる。
【0049】
「プロドラッグ」という用語は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などを伴うヒト及び下等動物の組織と接触させて使用するのに適しており、合理的なベネフィット・リスク比に見合っており、かつそれらの意図された使用、並びに可能であれば本発明の化合物の双性イオン形態に効果的である化合物のプロドラッグを指す。本明細書で使用される「プロドラッグ」は、代謝手段によって(例えば、加水分解によって)インビボで変換可能であり、本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)を与える化合物を意味する。様々な形態のプロドラッグが当該技術分野で知られており、例えば、Bundgaard,(ed.),Design of Prodrugs,Elsevier(1985);Widder,et al.(ed.),Methods in Enzymology,Vol.4,Academic Press(1985);Krogsgaard-Larsen,et al.,(ed).「Design and Application of Prodrugs,Textbook of Drug Design and Development,Chapter 5,113-191(1991);Bundgaard,et al.,Journal of Drug Deliver Reviews,8:1-38(1992);Bundgaard,J.of Pharmaceutical Sciences,77:285 et seq.(1988);Higuchi and Stella(eds.)Prodrugs as Novel Drug Delivery Systems,American Chemical Society(1975);及びBernard Testa&Joachim Mayer,「Hydrolysis In Drug And Prodrug Metabolism:Chemistry,Biochemistry And Enzymology,」John Wiley and Sons,Ltd.(2002)で論じられている。
【0050】
「アミノ酸コンジュゲート」という用語は、本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)とアミノ酸とのコンジュゲートを指す。好ましくは、本発明のそのようなアミノ酸コンジュゲートは、胆汁及び/又は腸液中での結合性を高めるという追加の利点を有する。適切なアミノ酸としては、グリシン及びタウリンが挙げられるが、これらに限定されない。したがって、本発明は、式Iの化合物のグリシン及びタウリンコンジュゲートを包含する。
【0051】
「GW4064」という用語は、以下の構造を有するFXRアゴニスト化合物である:
【化5】
【0052】
特に明記されない限り、本明細書で使用される化学基又は化学的部分を説明するために使用される命名法は、名前を左から右に読み取る場合、分子の残りの部分への結合点が名前の右側にあるという慣習に従う。例えば、基「(C1~3アルコキシ)C1~3アルキル」は、アルキル末端で分子の残りに結合している。更なる例としては、結合点がエチル末端にあるメトキシエチル、及び結合点がアミン末端にあるメチルアミノが挙げられる。
【0053】
特に明記されない限り、一価又は二価の基が、「-」で示される1個もしくは2個の末端結合部分を含むその化学式によって記載される場合、結合は左から右に読み取られることが理解される。
【0054】
特に明記されない限り、本明細書に示される構造は、構造のすべてのエナンチオマー、ジアステレオマー、及び幾何学的(又は立体配座)形態、例えば、各不斉中心のR及びS配置、(Z)及び(E)二重結合異性体、並びに(Z)及び(E)配座異性体を含むことを意味している。したがって、単一の立体化学異性体だけでなく、本発明の化合物のエナンチオマー、ジアステレオマー、及び幾何学的(又は立体配座)混合物も、本発明の範囲内にある。特に明記されない限り、本発明の化合物のすべての互変異性型は、本発明の範囲内にある。
【0055】
本発明の実施形態によれば、式I:
【化6】
[式中、
R
1は、C
3~10シクロアルキル、フェニル又はピリジルであり、これらのそれぞれは1~3個のR
1aで任意選択的に置換されており、
各R
1aは、ハロゲン、C
1~6アルキル、ハロC
1~6アルキル、C
1~6アルコキシ、ハロC
1~6アルコキシ及びシクロプロピルからなる群から独立して選択され、
R
2は、C
1~3アルキル、ハロC
1~3アルキル又はシクロプロピルであり、これらのそれぞれはC
1~3アルキル又はハロC
1~3アルキルで任意選択的に置換されており、
Aは、
【化7】
から選択され、
Yは、-S(O)OH又はS(O)
2OHであり、任意選択的にYは-S(O)OHであり、
Zは、フェニル、又はN、O及びSから選択される1~2個のヘテロ原子を含む5~10員の単環式もしくは二環式ヘテロアリールであり、フェニル又は5~10員の単環式もしくは二環式ヘテロアリールは、1~2個のR
6で任意選択的に置換されており、
Wは、N、O及びSからの1~3個のヘテロ原子を含む4もしくは5員の単環式ヘテロ環又はヘテロアリールであり、
各R
6は、ハロゲン、C
1~6アルキル、ハロC
1~6アルキル、C
1~6アルコキシ、ハロC
1~6アルコキシ、及びシクロプロピルからなる群から独立して選択され、
Xは、N又はCHであり、
R
4は、H、C
1~6アルキル、C
1~6アルコキシ、ハロC
1~6アルキル、C
3~6シクロアルキル、又はハロゲンであり、
各R
5は、C
1~6アルキル、C
3~6シクロアルキル、ハロC
1~6アルキル、C
1~6アルコキシ、ハロC
1~6アルコキシ及びハロゲンからなる群から独立して選択され、
mは、0、1、又は2の整数であり、かつ
nは、0、1、2又は3の整数である]で表される構造を有する化合物、又はそのエナンチオマー、立体異性体、互変異性体、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、アミノ酸コンジュゲート、代謝物、もしくは薬学的に許容可能な塩が提供される。
【0056】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、代謝物(すなわち、対象において代謝又は生体内変化を受けたもの)である。いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、スルフィン酸(又はその対応するスルフィン酸塩)化合物又はスルホン酸(又はその対応するスルホン酸塩)化合物である。いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、スルフィン酸代謝物であってもよく、これは、化合物の対応するスルホン酸(例えば、化合物中の-S(O)OHもしくは-S(O)O-基の代わりに-S(O)2OHもしくは-S(O)2O-基を有する化合物)、又は化合物の対応するスルフィン酸エステル(例えば、化合物中の-S(O)OHもしくは-S(O)O-基の代わりに-S(O)O(C1~6アルキル)基を有する化合物)であってもよい。いくつかの実施形態では、本発明の化合物はナトリウム塩である。いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、スルフィン酸塩(例えば、スルフィン酸ナトリウム塩)である。
【0057】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、対応するカルボン酸化合物(すなわち、化合物中の-S(O)OH又はS(O)O-基の代わりに-COOH又はCOO-基を有する化合物)と比較して、異なる代謝プロファイルを有していてもよい。いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、例えば、対応するカルボン酸化合物などの別の化合物と比較して、肝臓の安全性に与える有益な影響及び/又は改善された肝臓安全性を有し得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、先行技術で知られている化合物よりも、より効果的であり、より毒性が低く、より作用時間が長く、より効能が高く、より少ない副作用を生じ、より吸収されやすく、より良好な薬物動態プロファイル(例えば、より高い経口バイオアベイラビリティ及び/もしくはより低いクリアランス)を有し、かつ/又は他の有用な薬理学的、物理的又は化学的特性を有していてもよい。そのような効果は、医療専門家、治療対象者又は観察者によって、臨床的、客観的及び/又は主観的に評価され得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物において、Aは以下から選択される:
【化8】
式中、Z、X、W、R
4、R
5及びnは、それぞれ上記で定義されたとおりである。
【0060】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物において、Aは以下から選択される:
【化9】
[式中、Z、X、W、R
4、R
5及びnは、それぞれ上記で定義されたとおりである]。
【0061】
また、本発明の実施形態によれば、式II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX及びX:
【化10-1】
【化10-2】
[式中、R
1、R
5及びnは、それぞれ上記で定義されたとおり]で表される構造を有する化合物、又はそのエナンチオマー、立体異性体、互変異性体、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、アミノ酸コンジュゲート、代謝物、もしくはそれらの薬学的に許容可能な塩も提供される。
【0062】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物(例えば、式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX又はXの化合物)のR1は、1~3個のR1aで任意選択的に置換されているフェニルであり、各R1aは、ハロゲン、C1~6アルキル、ハロC1~6アルキル、C1~6アルコキシ、及びハロC1~6アルコキシからなる群から独立して選択される。いくつかの実施形態では、本発明の化合物のR1は、1~3個のR1aで任意選択的に置換されるフェニルであり、各R1aは、ハロゲン、メトキシ、メチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、及びジフルオロメトキシからなる群から独立して選択される。いくつかの実施形態では、本発明の化合物のR1はフェニルである。本発明の化合物のYは、フェニル環又は5~10員の単環式もしくは二環式ヘテロアリール環の炭素又はヘテロ原子を介してZに直接結合しており、それによって硫黄-炭素又は硫黄-ヘテロ原子結合を提供する。
【0063】
いくつかの実施形態によれば、式IIa:
【化11】
[式中、
各R
1aは、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ及びジフルオロメトキシからなる群から独立して選択され、
R
5は、メチル、メトキシ、フルオロ又はトリフルオロメトキシであり、
pは、0又は1の整数である]で表される構造を有する化合物、又はそのエナンチオマー、立体異性体、互変異性体、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、アミノ酸コンジュゲート、代謝物、もしくはそれらの薬学的に許容可能な塩が提供される。
【0064】
本発明のいくつかの実施形態は、2-(3-((5-シクロプロピル-3-(2-(トリフルオロメトキシ)フェニル)イソオキサゾール-4-イル)メトキシ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)-4-フルオロベンゾ[d]チアゾール-6-スルフィン酸ナトリウム、2-((1R,3r,5S)-3-((5-シクロプロピル-3-(2-(トリフルオロメトキシ)フェニル)イソオキサゾール-4-イル)メトキシ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)-4-メチルベンゾ[d]チアゾール-6-スルフィン酸ナトリウム、3-(3-(2-クロロ-4-((5-シクロプロピル-3-(2,6-ジクロロフェニル)イソオキサゾール-4-イル)メトキシ)フェニル)-3-ヒドロキシアゼチジン-1-イル)ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、4-(3-(2-クロロ-4-((5-シクロプロピル-3-(2,6-ジクロロフェニル)イソオキサゾール-4-イル)メトキシ)フェニル)-3-ヒドロキシシクロブチル)ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、及び/又は4-(2-(2-クロロ-4-((5-シクロプロピル-3-(2,6-ジクロロフェニル)イソオキサゾール-4-イル)メトキシ)フェニル)シクロプロピル)ベンゼンスルフィン酸ナトリウムから選択される化合物を提供する。
【0065】
本発明のいくつかの実施形態によれば、本発明の化合物(例えば、式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX又はXの化合物)を含む組成物(例えば、医薬組成物)が提供される。いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物と薬学的に許容可能な担体とを含む。
【0066】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容可能な担体」という用語には、当業者に知られているように、ありとあらゆる溶媒、分散媒体、コーティング剤、界面活性剤、酸化防止剤、防腐剤(例えば、抗菌剤、抗真菌剤)、等張剤、吸収遅延剤、塩、防腐剤、薬物、薬物安定剤、結合剤、賦形剤、崩壊剤、潤滑剤、甘味剤、香味剤、染料など、及びそれらの組み合わせが含まれ(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.Mack Printing Company,1990,pp.1289-1329を参照されたい)。従来の任意の担体が有効成分(例えば、本発明の化合物)と適合しない場合を除いて、治療用及び/又は医薬組成物におけるその使用が企図されている。
【0067】
本発明の化合物は、医薬品として示される。本発明の更なる態様によれば、医薬品として使用するための(例えば、医学で使用するための)本発明の化合物が提供される。
【0068】
いくつかの実施形態によれば、本発明の化合物及び/又は組成物は、対象に投与される。いくつかの実施形態では、対象においてファルネソイドX受容体(FXR)を調節する方法が提供され、この方法は、本発明の化合物及び/又は本発明の組成物を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、ファルネソイドX受容体(FXR)を活性化する方法が提供され、この方法は、本発明の化合物及び/又は本発明の組成物を対象に投与することを含む。
【0069】
いくつかの実施形態では、ファルネソイドX受容体(FXR)が役割を果たす疾患又は障害を治療及び/又は予防する方法が提供され、その方法は、有効量(例えば、治療有効量、処置有効量、及び/又は予防有効量)の本発明の化合物及び/又は本発明の組成物を必要とする対象に、有効量の本発明の化合物及び/又は本発明の組成物を投与することを含む。いくつかの実施形態では、疾患又は障害は、胆汁酸関連障害、メタボリックシンドローム、2型糖尿病、糖尿病性腎症、高脂血症、高トリグリセリド血症、肥満、肝硬変、原発性胆汁性胆管炎(PBC)、原発性硬化性胆管炎(PSC)、脂肪性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、アルコール性肝疾患、化学療法関連脂肪性肝炎(CASH)、B型肝炎、炎症性自己免疫疾患、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、直腸炎、回腸嚢炎、セリアック病、胆汁酸下痢、多発性硬化症、アテローム性動脈硬化症、腎臓障害(慢性腎臓病を含む)、又はがん(例えば、肝がん、結腸がんもしくは乳がん)である。
【0070】
「治療有効量」という用語は、対象において治療上有用な応答又は一定の効果を達成又は惹起するのに十分な本発明の化合物(例えば、式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX又はXの化合物)の量を指す。したがって、FXRによって媒介される状態の治療に使用される式Iの化合物の治療有効量は、FXRによって媒介される状態の治療に十分な量であり得る。
【0071】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は動物を指す。通常、動物は哺乳類である。対象はまた、例えば、霊長類(例えば、ヒト、雄又は雌)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウス、魚、鳥などを指す。特定の実施形態では、対象は霊長類である。さらに他の実施形態では、対象はヒトである。
【0072】
疾患又は状態に関しての「治療する」、「治療」、「~の治療」という用語、及びそれらの文法的変形は、対象に利益を与えるあらゆるタイプの治療を指し、対象の状態の重症度が低減され、少なくとも部分的に好転もしくは改善され、かつ/又は疾患、障害、もしくは状態に関連する少なくとも1つの臨床症状のいくらかの軽減、緩和もしくは減少が達成され、かつ/又は症状の進行が遅れることを意味し得る。いくつかの実施形態では、FXRによって媒介される疾患、障害、又は状態に関連する症状の重症度は、本発明の方法がない場合の症状の重症度と比較して、対象において低減され得る。いくつかの実施形態では、疾患又は障害に関しての「治療する」、「治療」、「~の治療」、及びそれらの文法的変形は、疾患又は障害を改善すること(すなわち、疾患又は障害又はそれらの少なくとも1つの臨床症状の発症を遅らせるか、停止させるか、又は低減させること)を指す。いくつかの実施形態では、疾患又は障害に関しての「治療する」、「治療」又は「~の治療」、及びそれらの文法的変形は、対象によって識別できない可能性があるものを含む少なくとも1つの物理的パラメータを軽減又は改善することを指す。いくつかの実施形態では、疾患又は障害に関しての「治療する」、「治療」又は「~の治療」、及びそれらの文法的変形は、物理的(例えば、識別可能な症状の安定化)、生理的(例えば、物理的パラメータの安定化)、又はその両方のいずれかで疾患又は障害を調節することを指す。
【0073】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、治療有効量で対象に投与され得る。本明細書で使用される「治療有効」量は、対象を(本明細書で定義されるように)治療するのに十分な量である。当業者であれば、対象に何らかの利益が提供される限り、治療効果は完全又は治癒的なものである必要はないことを理解するであろう。いくつかの実施形態では、治療有効量は、本発明の組成物を投与することによって達成され得る。
【0074】
「予防する」、「予防」及び「~の予防」(及びそれらの文法的変形)という用語は、本発明の方法がない場合に起こることと比較して、疾患もしくは障害(例えば、FXRによって媒介される疾患、障害、もしくは状態)に関連する症状の発症の回避、低減、及び/もしくは遅延)、並びに/又は疾患もしくは障害(例えば、FXRによって媒介される疾患、障害、もしくは状態)に関連する症状の発症の重症度の低減を指す。予防は完全なもの、例えば、症状が全体的になくなることであり得る。予防はまた、対象における症状の発生及び/又は発症の重症度が、本発明の方法がない場合に発生するものよりも少ないように、部分的なものであり得る。
【0075】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、予防有効量で投与され得る。本明細書で使用される「予防有効」量は、対象における疾患又は障害(例えば、FXRによって媒介される疾患、障害、又は状態)に関連する症状を(本明細書で定義されるように)予防するのに十分な量である。当業者であれば、対象に何らかの利益が提供される限り、予防のレベルは完全なものである必要はないことを理解するであろう。いくつかの実施形態では、予防有効量は、本発明の組成物を投与することによって達成され得る。
【0076】
本明細書で使用される「投与する」、「投与」、「~の投与」という用語、及びそれらの文法的変形は、本発明の化合物(又はその薬学的に許容可能な塩など)及び/又は本発明の組成物を対象に直接投与することを指す。いくつかの実施形態では、本発明の化合物及び/又は組成物は、対象の体内で相当量の活性化合物を形成することができる量で対象に投与される。
【0077】
本発明の化合物は、疾患もしくは障害を治療及び/もしくは予防するために、並びに/又は対象におけるその発症を予防するために、治療有効量で投与することができる。本発明の化合物の投与は、例えば、経口投与、直腸投与、局所投与、及び/又は非経口投与などの治療剤の任意の投与様式を介して達成することができる。いくつかの実施形態では、本発明の化合物は経口投与される。
【0078】
意図される投与様式に応じて、本発明の化合物及び/又は本発明の組成物は、例えば、注射剤、錠剤、坐剤、丸剤、徐放性カプセル、乳剤、シロップ、粉末、液体、懸濁剤、及び/又は同種のものなどの薬務に関わる当業者に知られている剤形であり得る。
【0079】
典型的な医薬組成物としては、有効成分(例えば、本発明の化合物)と、例えば、以下のような薬学的に許容可能な担体とを含む錠剤、丸剤、粉末又はゼラチンカプセルが挙げられるが、これらに限定されない:
a)希釈剤、例えば、精製水、トウモロコシ油、オリーブ油、ヒマワリ油、EPAもしくはDHAなどの魚油もしくはそれらのエステルもしくはトリグリセリドもしくはそれらの混合物、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロース及び/又はグリシン;
b)潤滑剤、例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸、そのマグネシウムもしくはカルシウム塩及び/又はポリエチレングリコール;錠剤用も;
c)結合剤、例えば、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、デンプンペースト、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、天然及び合成ゴム、アカシアトラガカントもしくはアルギン酸ナトリウム、ワックス及び/又はポリビニルピロリドン(必要に応じて);
d)崩壊剤、例えば、デンプン、寒天、アルギン酸もしくはそのナトリウム塩、及び/又は発泡性混合物;
e)吸収剤、着色剤、香料及び/又は甘味料;
f)乳化剤又は分散剤、例えば、Labrasol、HPMC、Labrafil、Peceol、Capmul、ビタミンE TGPS及び/もしくは他の許容可能な乳化剤;並びに/又は
g)シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン、PEG400、及び/又はPEG200などの化合物の吸収を促進する薬剤。
【0080】
液体、特に注射可能な組成物は、例えば、溶解、分散などによって調製することができる。例えば、本発明の化合物は、例えば、水、生理食塩水、水性デキストロース、グリセロール、エタノール、及び/又は同種のものなどの薬学的に許容可能な溶媒に溶解又は混合され、それによって注射可能な等張液又は懸濁液が形成される。上記組成物は、滅菌されていてもよく、かつ/又はアジュバント、例えば保存剤、安定剤、湿潤剤もしくは乳化剤、溶解促進剤、浸透圧を調節するための塩及び/又は緩衝剤を含んでいてもよい。
【0081】
本発明の化合物はまた、脂肪性エマルジョン又は懸濁液から調製することができる坐剤として製剤化することができ、担体としてプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコールを使用する。
【0082】
本発明の化合物はまた、化合物が結合される個々の担体としてモノクローナル抗体を使用することによって送達されてもよい。本発明の化合物は、標的化可能な薬物担体として可溶性ポリマーと結合されていてもよい。そのようなポリマーとしては、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシエチルアスパナミドフェノール、又はパルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキシドポリリジンが挙げられ得るが、これらに限定されない。さらに、本発明の化合物は、薬物の制御された放出を達成するのに有用な生分解性ポリマーのクラス、例えば、ポリ乳酸、ポリ-ε-カプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクラート及びヒドロゲルの架橋又は両性ブロックコポリマーに結合されていてもよい。一実施形態では、開示された化合物は、ポリマー、例えば、ポリカルボン酸ポリマー、又はポリアクリラートに共有結合していない。
【0083】
非経口注射投与は、一般的に皮下注射、筋肉内注射又は静脈内注射及び注入に使用される。注射剤は、液体溶液もしくは懸濁液、又は注射前に液体に溶解するのに適した原薬形態のいずれかとして、従来の形態で調製することができる。さらに、それらはまた他の治療上有用な物質を含んでいてもよい。上記組成物は、それぞれ従来の混合、造粒及び/又はコーティング方法に従って調製することができ、約0.1~75%、又は約1~50%の有効成分を含む。
【0084】
軟膏、ペースト、クリーム及びゲルは、本発明の活性化合物に加えて、賦形剤、例えば動物性及び植物性脂肪、油脂、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルク、酸化亜鉛、又はそれらの混合物を含んでいてもよい。
【0085】
粉末及び噴霧液は、本発明の化合物に加えて、賦形剤、例えば乳糖、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム及びポリアミド粉末、又はこれらの物質の混合物を含んでいてもよい。噴霧液には、クロロフルオロ炭化水素などの通常の噴射剤が追加で含まれていてもよい。
【0086】
経皮パッチには、体内への化合物の制御された送達を提供するという追加の利点がある。そのような剤形は、本発明の化合物を適切な培地に溶解又は分注することによって作製することができる。吸収促進剤を使用して、皮膚を通り抜ける化合物の流れを増加させることもできる。速度は、速度制御膜を提供することによって、又は化合物をポリマーマトリックスもしくはゲルに分散させることによって制御することができる。
【0087】
本発明の組成物は、それぞれ従来の混合、造粒及び/又はコーティング方法に従って調製することができ、本発明の医薬組成物は、約0.1重量もしくは体積%~約99重量もしくは体積%の化合物を含むことができる。
【0088】
本発明はさらに、有効成分としての本発明の化合物が分解する速度を低下させる1種以上の薬剤を含む医薬組成物及び剤形を提供する。本明細書で「安定剤」と称されるそのような薬剤としては、酸化防止剤、例えばアスコルビン酸、pH緩衝剤、及び/又は塩緩衝剤などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0089】
本発明の化合物を利用する投薬計画は、対象のタイプ、種、年齢、体重、性別及び/又は病状、治療すべき状態の重症度;投与経路;対象の腎機能又は肝機能;用いられる特定の開示された化合物を含む様々な要因に従って選択することができる。通常の技量を有する医師、臨床医又は獣医師であれば、障害又は疾患の進行を予防、治療、又は阻害するのに必要な各有効成分の有効量を容易に決定することができる。
【0090】
本発明の化合物の有効投与量は、示された効果のために使用される場合、状態を治療するのに必要とされる化合物の約0.5mg~約5000mgの範囲である。
【0091】
本発明の化合物は、1種以上の他の治療剤と同時に、又はその前もしくは後に投与してもよい。本発明の化合物は、別々に、同じもしくは異なる投与経路で、又は他の治療剤と同じ医薬組成物中で一緒に投与してもよい。
【0092】
いくつかの実施形態では、本発明は、式Iの化合物と少なくとも1種の他の治療剤とを含む組み合わせ製剤としての、治療における同時使用、別個の使用又は順次使用のための製品を提供する。いくつかの実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、ACE阻害剤、アセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤、アデノシンA3受容体アゴニスト、アディポネクチン受容体アゴニスト、AKTプロテインキナーゼ阻害剤、AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)、アミリン受容体アゴニスト、アンギオテンシンII AT-1受容体アンタゴニスト、オートタキシン阻害剤、生物活性脂質、カルシトニンアゴニスト、カスパーゼ阻害剤、カスパーゼ-3刺激因子、カテプシン阻害剤、カベオリン1阻害剤、CCR2ケモカインアンタゴニスト、CCR3ケモカインアンタゴニスト、CCR5ケモカインアンタゴニスト、クロライドチャネル刺激因子、CNR1阻害剤、サイクリンD1阻害剤、チトクロームP450 7A1阻害剤、DGAT1/2阻害剤、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤、エンドシアリンモジュレーター、エオタキシンリガンド阻害剤、細胞外マトリックスタンパク質モジュレーター、ファルネソイドX受容体アゴニスト、脂肪酸シンターゼ阻害剤、FGF1受容体アゴニスト、線維芽細胞成長因子(FGF-15、FGF-19、FGF-21)リガンド、ガレクチン-3阻害剤、グルカゴン受容体アゴニスト、グルカゴン様ペプチド1アゴニスト、Gタンパク質結合胆汁酸受容体1アゴニスト、ヘッジホッグ(Hh)モジュレーター、C型肝炎ウイルスNS3プロテアーゼ阻害剤、肝細胞核内因子4αモジュレーター(HNF4A)、肝細胞増殖因子モジュレーター、HMG CoAレダクターゼ阻害剤、IL-10アゴニスト、IL-17アンタゴニスト、回腸ナトリウム胆汁酸共輸送体阻害剤、インスリン増感剤、インテグリンモジュレーター、インターロイキン-1受容体関連キナーゼ4(IRAK4)阻害剤、Jak2チロシンキナーゼ阻害剤、β-Klotho刺激因子、5-リポキシゲナーゼ阻害剤、リポタンパク質リパーゼ阻害剤、肝臓X受容体、LPL遺伝子刺激因子、リゾホスファチジン酸-1受容体アンタゴニスト、リジルオキシダーゼホモログ2阻害剤、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)阻害剤、MEKK-5プロテインキナーゼ阻害剤、膜内在性銅アミンオキシダーゼ(VAP-1)阻害剤、メチオニンアミノペプチダーゼ-2阻害剤、メチルCpG結合タンパク質2モジュレーター、マイクロRNA-21(miR-21)阻害剤、ミトコンドリア脱共役剤、ミエリン塩基性タンパク質刺激因子、NACHT LRR PYDドメインタンパク質3(NLRP3)阻害剤、NAD-d依存性デアセチラーゼサーチュイン刺激因子、NADPHオキシダーゼ阻害剤(NOX)、ニコチン酸受容体1アゴニスト、P2Y13プリン受容体刺激因子、PDE3阻害剤、PDE4阻害剤、PDE5阻害剤、PDGF受容体βモジュレーター、ホスホリパーゼC阻害剤、PPARαアゴニスト、PPARδアゴニスト、PPARγアゴニスト、PPARγモジュレーター、プロテアーゼ活性化受容体-2アンタゴニスト、プロテインキナーゼモジュレーター、Rho関連プロテインキナーゼ阻害剤、ナトリウムグルコーストランスポーター-2阻害剤、SREBP転写因子阻害剤、STAT-1阻害剤、ステアロイルCoAデサチュラーゼ-1阻害剤、サイトカインシグナル伝達のサプレッサー-1刺激因子、サイトカインシグナル伝達-3刺激因子のサプレッサー、形質転換成長因子3(TGF-β3)、形質転換成長因子β活性化キナーゼ1(TAKi)、甲状腺ホルモン受容体βアゴニスト、TLR-4アンタゴニスト、トランスグルタミナーゼ阻害剤、チロシンキナーゼ受容体モジュレーター、GPCRモジュレーター、核内ホルモン受容体モジュレーター、WNTモジュレーター、及び/又はYAP/TAZモジュレーターである
【0093】
いくつかの実施形態では、治療は、FXRによって媒介される疾患又は状態の治療又は予防である。組み合わせ製剤として提供される製品としては、式Iの化合物と1種以上の治療剤とを同じ医薬組成物中に一緒に含む組成物、又は別々の形態、例えばキットの形態における式Iの化合物及び1種以上の治療剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0094】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、同位体標識化合物である。本明細書で使用される「同位体標識化合物」とは、少なくとも1つの原子位置が、指定された元素の特定の同位体において、その同位体の天然存在比よりも有意に大きいレベルまで富化されている化合物を指す。例えば、化合物中の1つ以上の水素原子位置を、重水素の天然存在比よりも有意に大きいレベルまで、例えば、少なくとも1%、好ましくは少なくとも20%又は少なくとも50%のレベルまで重水素で富化することができる。そのような重水素化化合物は、例えば、その非重水素化類似体よりも代謝が遅く、したがって、対象に投与されたときに、より長い半減期を示すことができる(Annual Reports In Medicinal Chemistry,Vol.26,2011,Chapter 24-Deuterium in Drug Discovery and Development,pages403-417)。そのような化合物は、当該技術分野で知られている方法を使用して、例えば、重水素化出発物質を用いることによって合成することができる。別途記載がない限り、同位体標識化合物は薬学的に許容可能である。
【0095】
本発明を、以下の非限定的な例においてより詳細に説明する。
【0096】
例
以下に記載される反応スキームは、本発明の化合物の調製に用いられる方法論の一般的な説明を提供することを意図している。本明細書で提供される例は、本発明の化合物、並びにそのような化合物及び中間体の調製を説明するために提供されるが、これらに限定されない。
【0097】
本発明の化合物を合成するために利用されるすべての出発物質、構成単位、試薬、酸、塩基、脱水剤、溶媒及び触媒は、市販されているか、又は文献、例えば、Houben-Weyl「Science of Synthesis」volumes 1-48,Georg Thieme Verlag及びその後続版に記載の手順によって慣例的に調製することができる。
【0098】
反応は、有機合成の当業者に知られている方法で、適切な溶媒又は希釈剤又はそれらの混合物の存在下で行うことができる。反応はまた、必要に応じて、酸又は塩基の存在下で、例えば、約-30℃~約150℃の温度範囲で、冷却又は加熱しながら行ってもよい。いくつかの実施形態では、反応は、約0℃~約100℃の温度範囲、より具体的には、室温~約80℃の温度範囲で、開放又は閉鎖された反応容器中、かつ/又は不活性ガス、例えば窒素の雰囲気中で行われる。
【0099】
略語
aq.水溶液
AMP アデノシン一リン酸
ATP アデノシン三リン酸
Boc tert-ブチルカルボキシ
br ブロード
n-BuLi n-ブチルリチウム
cDNA 相補的デオキシリボ核酸
CO2 二酸化炭素
Cu(I)ヨウ化銅(I)
d ダブレット
dd ダブルダブレット
DIBAL-H 水素化ジイソブチルアルミニウム
DMF ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
Et3N トリエチルアミン
EtOAc 酢酸エチル
EtOH エタノール
g グラム
h 時間
LCMS 液体クロマトグラフィー質量分析
m マルチプレット
M モル
MeOH メタノール
MgSO4 硫酸マグネシウム
MS 質量分析
N ノーマル
NaHCO3 炭酸水素ナトリウム
NaOH 水酸化ナトリウム
NaOMe ナトリウムメトキシド
m マルチプレット
mg ミリグラム
min(s)分
ml ミリリットル
m モル
mmol ミリモル
Na2SO4 硫酸ナトリウム
NMR 核磁気共鳴
O2 酸素
pet 石油
s シングレット
sat.飽和
tert tertiary(第三級)
THF テトラヒドロフラン
トリプレット
【実施例】
【0100】
例1
4-((8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イルオキシ)メチル)-5-シクロプロピル-3-(2-(トリフルオロメトキシ)フェニル)イソオキサゾールの調製
(E)-2-(トリフルオロメトキシ)ベンズアルデヒドオキシム
【化12】
水(64ml)中の水酸化ナトリウム(3.75g、0.093mol)の溶液を、水(64ml)中の塩酸ヒドロキシルアミン(6.3g、0.0907mol)の撹拌溶液に0℃で加えた。10分後、エタノール(64ml)中の2-(トリフルオロメトキシ)ベンズアルデヒド(15g、0.078mol)の溶液を加えた。得られた溶液を室温でさらに1時間撹拌した。得られた溶液を氷水で希釈し、酢酸エチルで抽出し、合一した有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濾液を減圧下で濃縮して、表題化合物(16.5g、86%)を固体として得た。
【数1】
【0101】
(Z)-N-ヒドロキシ-2-(トリフルオロメトキシ)ベンズイミドイルクロリド
【化13】
N-クロロスクシンイミド(12g、0.0901mol)を、N,N-ジメチルホルムアミド(165ml)中の(E)-2-(トリフルオロメトキシ)ベンズアルデヒドオキシム(16.5g、0.0804mol)の溶液に室温でゆっくりと加えた。1時間後、溶液を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。合一した有機層をブラインで洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、表題化合物(20g、92%)を固体として得た。
【数2】
【0102】
5-シクロプロピル-3-(2-(トリフルオロメトキシ)フェニル)イソオキサゾール-4-カルボン酸メチル
【化14】
ジクロロメタン(50ml)中の3-シクロプロピル-3-オキソプロパン酸メチル(26g、0.166mol)の溶液を、ジクロロメタン(150ml)中の(Z)-2-(トリフルオロメトキシ)ベンゾイルクロリドオキシム(20g、0.083mol)及びトリエチルアミン(100ml)の溶液に0℃で加えた。10分後、混合物を室温まで温め、さらに16時間撹拌した。次いで、反応混合物を水及びジクロロメタンで希釈し、分離し、有機層を無水Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物を、石油エーテル中の20%酢酸エチルで溶出するシリカゲル100~200メッシュを使用したフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、表題化合物(12g、44%)を固体として得た。
【数3】
【0103】
(5-シクロプロピル-3-(2-(トリフルオロメトキシ)フェニル)イソオキサゾール-4-イル)メタノール
【化15】
THF中の2Mの水素化アルミニウムリチウム(50ml、0.1009mol)を、テトラヒドロフラン(120ml)中の5-シクロプロピル-3-(2-(トリフルオロメトキシ)フェニル)イソオキサゾール-4-カルボン酸メチル(12g、0.035mol)の溶液に-10℃の窒素下で滴加した。30分後、酢酸エチル、水及び15%水酸化ナトリウム水溶液を加え、得られた混合物を濾過し、酢酸エチルで洗浄した。濾液をブラインで洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、表題化合物(9.5g、31%)を油状物として得た。
【数4】
【0104】
4-(ブロモメチル)-5-シクロプロピル-3-(2-(トリフルオロメトキシ)フェニル)イソオキサゾール
【化16】
ジクロロメタン(50ml)中の四臭化炭素(15.8g、0.0476mol)の溶液を、ジクロロメタン(100ml)中のトリフェニルホスフィン(12.5g、0.047mol)及び(5-シクロプロピル-3-(2-(トリフルオロメトキシ)フェニル)イソオキサゾール-4-イル)メタノール(9.5g、0.0317mol)の溶液に室温で滴加した。1時間後、反応混合物を減圧下で濃縮し、石油エーテル中の35%酢酸エチルで溶出するシリカゲル100~200メッシュを使用したフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、表題化合物(7g、60%)を油状物として得た。
【数5】
【0105】
4-((8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イルオキシ)メチル)-5-シクロプロピル-3-(2-(トリフルオロメトキシ)フェニル)イソオキサゾール
【化17】
18-クラウン-6(5.6g、0.021mol)及びカリウムtert-ブトキシド(4.7g、0.042mol)をテトラヒドロフラン(100ml)中のN-Boc-ノルトロピン(4.8g、0.021mol)の溶液に加えた。1時間後、テトラヒドロフラン(40ml)中の4-(ブロモメチル)-5-シクロプロピル-3-(2-(トリフルオロメトキシ)-フェニル)イソオキサゾール(7g、0.019mol)の溶液を室温で滴加した。16時間後、反応混合物を濃縮し、水と酢酸エチルで希釈し、分離し、有機層をブラインで洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物を、石油エーテル中の0~100%酢酸エチルで溶出するシリカゲル100~200メッシュを使用したフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、3-((5-シクロプロピル-3-(2-(トリフルオロメトキシ)フェニル))イソオキサゾール-4-イル)メトキシ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル(7g、71%)を油状物として得た。これをジクロロメタン(80ml)に溶解し、トリフルオロ酢酸(20ml)を室温で加えた。1時間後、反応混合物を減圧下で蒸発させ、残留物を酢酸エチルに溶解し、飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、次いで有機層を無水Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、濾液を減圧下で濃縮して、表題化合物(5.4g、70%)を無色の油状物として得た。
【数6】
【0106】
例2
(5-シクロプロピル-3-(2,6-ジクロロフェニル)イソオキサゾール-4-イル)メタノールの調製
2,6-ジクロロベンズアルデヒドオキシム
【化18】
3Nの水酸化ナトリウム(8.35g、0.208mol)を、水(130ml)中のヒドロキシルアミン塩酸塩(14.51g、0.208mol)の溶液に0℃で滴加した。次いで、エタノール(250ml)中の2,6-ジクロロ-ベンズアルデヒド(32.0g、0.182mol)の溶液を加え、反応混合物を90℃で16時間加熱した。次いで、混合物を室温まで冷却し、濃縮乾固し、粗生成物を10:1の水/EtOHで粉砕し、濾過し、減圧下で乾燥させて、表題化合物を固体(27.0g、収率78%)として得た。
【数7】
【0107】
2,6-ジクロロ-N-ヒドロキシベンズイミドイルクロリド
【化19】
N-クロロスクシンイミド(19.06g、0.1428mol)を、DMF(300ml)中の2,6-ジクロロベンズアルデヒドオキシム(27g、0.1428モル)の溶液に少しずつ加えた。2時間後、反応物を水に注ぎ、生成物を酢酸エチルで抽出した。合一した有機層を水、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。濾過後、溶媒を減圧下で除去して、表題化合物を黄色の油状物として得た(29g、90%)。
【数8】
【0108】
5-シクロプロピル-3-(2,6-ジクロロフェニル)イソオキサゾール-4-カルボン酸エチル
【化20】
トリエチルアミン(110ml)を、ジクロロメタン(100ml)中の2,6-ジクロロ-N-ヒドロキシベンズイミドイルクロリド(25g、0.129mol)及び3-シクロプロピル-3-オキソプロパン酸エチル(100g、0.70mol)の撹拌溶液に室温で加えた。16時間後、混合物を減圧下で濃縮し、石油エーテル中の10%EtOAcで溶出するシリカゲルベースのクロマトグラフィーにより精製して、表題化合物を固体として得た(27g、75%)。
【数9】
【0109】
(5-シクロプロピル-3-(2,6-ジクロロフェニル)イソオキサゾール-4-イル)メタノール
【化21】
ヘキサン中の1NのDIBAL-H(270ml、0.274mol)を、テトラヒドロフラン(300ml)中の5-シクロプロピル-3-(2,6-ジクロロフェニル)イソオキサゾール-4-カルボン酸エチル(27g、0.083mol)の溶液に-70~-75℃で滴加した。次いで、混合物を室温まで温め、さらに16時間撹拌した。次いで、反応混合物を塩化アンモニウム飽和溶液でクエンチし、濾過し、残留物を酢酸エチルで洗浄した。濾液を乾燥し、減圧下で濃縮して、表題化合物を固体(21g、89%)として得た。
【数10】
【0110】
例3
(4-((4-ブロモ-3-クロロフェノキシ)メチル)-5-シクロプロピル-3-(2,6-ジクロロフェニル)イソオキサゾールの調製
【化22】
塩化チオニル(62ml、0.52mol)をジクロロメタン(100ml)中の(5-シクロプロピル-3-(2,6-ジクロロフェニル)イソオキサゾール-4-イル)メタノール(21g、0.073mol)の溶液に0~5℃でゆっくりと加えた。次いで、反応混合物を25~30℃に温め、さらに2時間撹拌した後、減圧下で濃縮した。次いで、粗生成物を、DMF(100ml)中のブロモ-3-クロロフェノール(16.2g、0.081mol)、炭酸カリウム(67g、0.48mol)及びヨウ化ナトリウム(19g、0.12mol)の混合物に加えた。混合物を60~65℃で16時間加熱し、水(500ml)に注ぎ、酢酸エチル(600ml)で抽出した。有機層を水、ブラインで洗浄し、乾燥し、減圧下で濃縮し、粗生成物を、石油エーテル中の20%EtOAcで溶出するシリカゲルベースのクロマトグラフィーにより精製して、表題化合物を固体(18g、60%)として得た。
【数11】
【0111】
例4
2-(3-((5-シクロプロピル-3-(2-(トリフルオロメトキシ)フェニル)イソオキサゾール-4-イル)メトキシ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)-4-フルオロベンゾ[d]チアゾール-6-スルフィン酸ナトリウムの調製
2,6-ジブロモ-4-フルオロベンゾ[d]チアゾール
【化23】
酢酸(50ml)中の臭素(7ml、0.131mol)の溶液を、酢酸(200ml)中の4-ブロモ-2-フルオロアニリン(25g、0.131mol)及びチオシアニドナトリウム(43g、0.526mol)の溶液に0℃で加え、次いで、得られた混合物を40℃に温めた。16時間後、反応混合物を氷水で希釈し、pHを水酸化アンモニウム溶液で8~9に調整した。得られた混合物を濾過し、残りの固体を乾燥させて、粗製6-ブロモ-4-フルオロベンゾ[d]チアゾール-2-アミンを固体として得た。生成物を0℃でアセトニトリル(60ml)に溶解した後、亜硝酸tert-ブチル(3.6ml)、次いで臭化銅(II)(5.41g、0.024mol)を加えた。反応混合物を40℃に温め、16時間後、反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水で洗浄し、有機層を無水Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、表題化合物(4g、10%)を固体として得た。
【数12】
【0112】
4-((8-(6-ブロモ-4-フルオロベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イルオキシ)メチル)-5-シクロプロピル-3-(2-(トリフルオロメトキシ)フェニル)イソオキサゾール
【化24】
炭酸カリウム(0.86g、0.0062mol)を、DMF(16ml)中の4-((8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イルオキシ)メチル)-5-シクロプロピル-3-(2-(トリフルオロメトキシ)フェニル)イソオキサゾール(0.85g、0.0020mol)及び2,6-ジブロモ-4-フルオロベンゾ[d]チアゾール(0.64g、0.0020mol)の溶液に室温で加えた。16時間後、反応混合物を氷水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。合一した有機層をブラインで洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、石油エーテル中の80%酢酸エチルで溶出するシリカゲル100-200メッシュを使用したカラムクロマトグラフィーにより精製して、表題化合物(0.75g、57%)を固体として得た。
【数13】
【0113】
3-(2-(3-((5-シクロプロピル-3-(2-(トリフルオロメトキシ)フェニル)イソオキサゾール-4-イル)メトキシ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)-4-フルオロベンゾ[d]チアゾール-6-イルスルホニル)プロパン酸メチル
【化25】
ヨウ化銅(I)(0.19g、0.0010mol)を、ジメチルスルホキシド(13ml)中の4-((8-(6-ブロモ-4-フルオロベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イルオキシ)メチル)-5-シクロプロピル-3-(2-(トリフルオロメトキシ)フェニル)イソオキサゾール(0.65g、0.0010mol)、3-メトキシ-3-オキソプロパン-1-スルフィン酸ナトリウム(0.35g、0.0020mol)及びL-プロリン(0.117g、0.0010mol)の溶液に室温で加え、得られた混合物を130℃に温めた。16時間後、水と酢酸エチルを加え、混合物をセライトで濾過した。次いで、濾液を冷水、ブラインで洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、石油エーテル中の0~70%酢酸エチルで溶出するシリカゲル100~200メッシュを使用したフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、表題化合物(0.15g、20%)を固体として得た。
【数14】
【0114】
2-(3-((5-シクロプロピル-3-(2-(トリフルオロメトキシ)フェニル)イソオキサゾール-4-イル)メトキシ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)-4-フルオロベンゾ[d]チアゾール-6-スルフィン酸ナトリウム
【化26】
メタノール(0.5ml)中の1Mのナトリウムメトキシドを、メタノール(2ml)中の3-(2-(3-((5-シクロプロピル-3-(2-(トリフルオロメトキシ)フェニル)イソオキサゾール-4-イル)メトキシ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)-4-フルオロベンゾ[d]チアゾール-6-イルスルホニル)プロパン酸メチル(0.15g、0.0002mol)の溶液に0℃で加えた。5時間後、室温で反応混合物を濃縮し、ジエチルエーテルで粉砕し、n-ペンタンで洗浄し、減圧下で乾燥させて、表題化合物(0.102g、75%)を固体として得た。
【数15】
【0115】
例5
2,6-ジブロモ-4-メチルベンゾ[d]チアゾール
【化27】
酢酸(20ml)中の臭素(2.7ml、53.76mmol)の溶液を、酢酸(80ml)中の4-ブロモ-2-フルオロアニリン(10g、53.76ミリモル)及びチオシアニドナトリウム(17.4g、215mmol)の溶液に0℃で加え、得られた混合物を40℃に温めた。16時間後、反応混合物を氷水で希釈し、pHを水酸化アンモニウム溶液で8~9に調整した。得られた混合物を濾過し、残りの固体を乾燥させて、粗製6-ブロモ-4-メチルベンゾ[d]チアゾール-2-アミン(3.2g)を固体として得た。6-ブロモ-4-メチルベンゾ[d]チアゾール-2-アミン(3g)を0℃でアセトニトリル(60 ml)に溶解した後、亜硝酸tert-ブチル(3.84ml)、次いで、アセトニトリル(60ml)中の臭化銅(II)の溶液(5.88g、223mmol)を加えた。反応混合物を40℃に温め、16時間後、反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水で洗浄し、有機層を無水Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、表題化合物(1.4g、35%)を固体として得た。
【数16】
【0116】
4-((8-(6-ブロモ-4-メチルベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イルオキシ)メチル)-5-シクロプロピル-3-(2-(トリフルオロメトキシ)フェニル)イソオキサゾール
【化28】
炭酸カリウム(1.5g、11.02mmol)を、N,N-ジメチルホルムアミド(20ml)中の4-((8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イルオキシ)メチル)-5-シクロプロピル-3-(2-(トリフルオロメトキシ)フェニル)イソオキサゾール(1.5g、3.67mmol)及び2,6-ジブロモ-4-メチルベンゾ[d]チアゾール(1.12g、3.67mmol)の撹拌溶液に室温で加えた。16時間後、反応混合物を氷水に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、合一した有機層をブラインで洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、石油エーテル中の73%酢酸エチルで溶出するシリカゲル100~200メッシュを使用したフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、表題化合物(1.06g、46%)を固体として得た。
【数17】
【0117】
3-(2-(3-((5-シクロプロピル-3-(2-(トリフルオロメトキシ)フェニル)イソオキサゾール-4-イル)メトキシ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)-4-メチルベンゾ[d]チアゾール-6-イルスルホニル)プロパン酸メチル
【化29】
Cu(I)I(570mg、3.02mmol)を、ジメチルスルホキシド(20ml)中の4-((8-(6-ブロモ-4-メチルベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イルオキシ)メチル)-5-シクロプロピル-3-(2-(トリフルオロメトキシ)フェニル)イソオキサゾール(960mg、1.51mmol)、3-メトキシ-3-オキソプロパン-1-スルフィン酸ナトリウム(790mg、4.54mmol)及びL-プロリン(174mg、1.51mmol)の溶液に室温で加え、得られた混合物を130℃に温めた。16時間後、水と酢酸エチルを加え、混合物をセライトで濾過した。次いで、濾液を冷水、ブラインで洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、石油エーテル中の0~65%酢酸エチルで溶出するシリカゲル100~200メッシュを使用したフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、表題化合物(0.25g、25%)を固体として得た。
【数18】
【0118】
2-(3-((5-シクロプロピル-3-(2-(トリフルオロメトキシ)フェニル)イソオキサゾール-4-イル)メトキシ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)-4-メチルベンゾ[d]チアゾール-6-スルフィン酸ナトリウム
【化30】
メタノール(7ml)中の1Mのナトリウムメトキシドを、メタノール(2.5ml)中の3-(2-(3-((5-シクロプロピル-3-(2-(トリフルオロメトキシ)フェニル)イソオキサゾール-4-イル)メトキシ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)-4-フルオロベンゾ[d]チアゾール-6-イルスルホニル)プロパン酸メチル(0.25g、0.35mmol)の溶液に0℃で加えた。5時間後、室温で反応混合物を濃縮し、ジエチルエーテルで粉砕し、n-ペンタンで洗浄し、減圧下で乾燥させて、表題化合物(0.112g、51%)を固体として得た。
【数19】
【0119】
例6
3-(3-(2-クロロ-4-((5-シクロプロピル-3-(2,6-ジクロロフェニル)イソオキサゾール-4-イル)メトキシ)フェニル)-3-ヒドロキシアゼチジン-1-イル)ベンゼンスルフィン酸ナトリウムの調製
1-(3-ブロモフェニル)アゼチジン-3-オール
【化31】
ヨウ化銅(I)(1.32g、7.34mmol)を、ジメチルスルホキシド(150ml)中の1-ブロモ-3-ヨードベンゼン(16g、56.53mmol)、アゼチジン-3-オール塩酸塩(6g、56.53mmol)、炭酸セシウム(31g、96.11mmol)及びL-プロリン(0.66g、15.26mmol)の溶液に室温で加えた。次いで、得られた混合物を130℃で16時間加熱し、水と酢酸エチルで分配し、濾過し、合一した有機層を水、ブラインで洗浄し、石油中の0~60%酢酸エチルで溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、表題化合物(8g、62.5%)を固体として得た。
【数20】
【0120】
1-(3-ブロモフェニル)アゼチジン-3-オン
【化32】
DMSO(7.4ml、105mmol)を、ジクロロメタン(160ml)中の塩化オキサリル(6.1ml、70.48mmol)の溶液に-78℃でゆっくりと加え、続いてジクロロメタン(15ml)中の1-(3-ブロモフェニル)アゼチジン-3-オール(8.0g、35.24mmol)を滴加した。45分後、Et
3N(30ml、211mmol)を加え、得られた混合物を-78℃でさらに1時間撹拌した。次いで、混合物を徐々に0℃まで温め、この温度でさらに30分間保持し、飽和NaHCO
3水溶液の添加によりクエンチし、ジクロロメタンで抽出した。合一した有機層を無水Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させて、表題化合物を黄色の油状物(5g、63%)として得た。
【数21】
【0121】
1-(3-ブロモフェニル)-3-(2-クロロ-4-((5-シクロプロピル-3-(2,6-ジクロロフェニル)イソオキサゾール-4-イル)メトキシ)フェニル)アゼチジン-3-オール
【化33】
ヘキサン(5.8ml、14.587mmol)中の2.5Mのn-BuLiを、THF(92ml)中の4-((4-ブロモ-3-クロロフェノキシ)メチル)-5-シクロプロピル-3-(2,6-ジクロロフェニル)イソオキサゾール(4.6g、9.725mmol)の溶液に-78℃で加えた。30分後、1-(3-ブロモフェニル)アゼチジン-3-オン(1.7g、7.780mmol)を加え、得られた混合物を-78℃でさらに1時間撹拌した。次いで、反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液及び酢酸エチルで分配した。有機層を水とブライン溶液で洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、粗生成物を石油エーテル中の0~50%酢酸エチルで溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、表題化合物(1.6g、30%)を白色の固体として得た。
【数22】
【0122】
3-(3-(3-(2-クロロ-4-((5-シクロプロピル-3-(2,6-ジクロロフェニル)イソオキサゾール-4-イル)メトキシ)フェニル)-3-ヒドロキシアゼチジン-1-イル)フェニルスルホニル)プロパン酸メチル
【化34】
ヨウ化銅(I)(0.96g、5.16mmol)を、ジメチルスルホキシド(32ml)中の1-(3-ブロモフェニル)-3-(2-クロロ-4-((5-シクロプロピル-3-(2,6-ジクロロフェニル))イソオキサゾール-4-イル)メトキシ)フェニル)アゼチジン-3-オール(1.6g、2.58mmol)、3-メトキシ-3-オキソプロパン-1-スルフィン酸ナトリウム(1.34g、7.74mol)及びL-プロリン(0.28g、2.4mmol)の溶液に室温で加えた。得られた混合物を130℃で16時間撹拌し、次いで水と酢酸エチルで分配した後、セライトで濾過した。合一した有機層を冷水とブライン溶液で洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、石油エーテル中の0~60%酢酸エチルで溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、表題化合物(320mg、18%)を固体として得た。
【数23】
【0123】
3-(3-(2-クロロ-4-((5-シクロプロピル-3-(2,6-ジクロロフェニル)イソオキサゾール-4-イル)メトキシ)フェニル)-3-ヒドロキシアゼチジン-1-イル)ベンゼンスルフィン酸ナトリウム
【化35】
メタノール(5ml、4.6mmol)中の1MのNaOMeを、メタノール(5ml)中の3-(3-(3-(2-クロロ-4-((5-シクロプロピル-3-(2,6-ジクロロフェニル)イソオキサゾール-4-イル)メトキシ)フェニル)-3-ヒドロキシアゼチジン-1-イル)フェニルスルホニル)プロパン酸メチル(0.32g、0.46mmol)の混合物に0℃で加えた。室温で5時間後、反応混合物を減圧下で濃縮し、残留物をジエチルエーテルで粉砕し、n-ペンタンで洗浄して、表題化合物を固体(0.13g、46%)として得た。
【数24】
【0124】
例7
4-(3-(2-クロロ-4-((5-シクロプロピル-3-(2,6-ジクロロフェニル)イソオキサゾール-4-イル)メトキシ)フェニル)-3-ヒドロキシシクロブチル)ベンゼンスルフィン酸ナトリウムの調製
3-(4-ブロモフェニル)シクロブタノン
【化36】
活性亜鉛粉末(10.7g、163mmol)、次いでトリクロロアセチルクロリド(24.8g、136mmol)を、乾燥ジエチルエーテル(300ml)中の1-ブロモ-4-ビニルベンゼン(10g、54.64mmol)の溶液に0℃で加えた。反応混合物を4時間温めて還流し、室温まで冷却し、濾過し、有機相を飽和NaHCO
3でクエンチした。得られた混合物を酢酸エチルで抽出し、合一した有機相をMgSO
4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、粗製3-(4-ブロモフェニル)-2,2-ジクロロシクロブタノンを得た。これを酢酸(136ml)に溶解し、0℃に冷却した後、活性亜鉛粉末(10.2g、157mmol)を加えました。次いで、反応混合物を還流で16時間温め、濾過し、濾液を2MのNaOH水溶液で中和し、ジエチルエーテルを抽出した。有機層をブラインで洗浄し、MgSO
4上で乾燥させ、減圧下で濃縮し、石油エーテル中の0~50%酢酸エチルで溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、表題化合物(8g、66%)を固体として得た。
【数25】
【0125】
3-(4-ブロモフェニル)-1-(2-クロロ-4-((5-シクロプロピル-3-(2,6-ジクロロフェニル)イソオキサゾール-4-イル)メトキシ)フェニル)シクロブタノール
【化37】
ヘキサン(6.3ml、15.8mmol)中の2.5Mのn-BuLiを、THF(100ml)中の4-((4-ブロモ-3-クロロフェノキシ)メチル)-5-シクロプロピル-3-(2,6-ジクロロフェニル)イソオキサゾール(5g、10.57mmol)の溶液に-78℃で加えた。30分後、3-(4-ブロモフェニル)シクロブタノン(1.9g、8.456mmol)を加え、反応混合物を-78℃で1時間保持した後、飽和塩化アンモニウムと酢酸エチルで分配した。有機層を冷水、ブラインで洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、石油エーテル中の0~50%酢酸エチルで溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーを使用して精製し、表題化合物(1.2g、18%)を固体として得た。
【数26】
【0126】
3-(4-(3-(2-クロロ-4-((5-シクロプロピル-3-(2,6-ジクロロフェニル)イソオキサゾール-4-イル)メトキシ)フェニル)-3-ヒドロキシシクロブチル)フェニルスルホニル)プロパン酸メチル
【化38】
ヨウ化銅(I)(0.87g、0.0046mol)を、ジメチルスルホキシド(12ml)中の3-(4-ブロモフェニル)-1-(2-クロロ-4-((5-シクロプロピル-3-(2,6-ジクロロフェニル))イソオキサゾール-4-イル)メトキシ)フェニル)シクロブタノール(1.2g、0.0022mol)、3-メトキシ-3-オキソプロパン-1-スルフィン酸ナトリウム(0.8g、0.0046mol)及びL-プロリン(1.05g、0.0092mol)の溶液に室温で加えた。得られた混合物を130℃で16時間撹拌した後、水と酢酸エチルで分配した。セライトで濾過した後、有機層を冷水、ブラインで洗浄し、石油エーテル中の0~70%酢酸エチルで溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、表題化合物(210mg、16%)を固体として得た。
【数27】
【0127】
4-(3-(2-クロロ-4-((5-シクロプロピル-3-(2,6-ジクロロフェニル)イソオキサゾール-4-イル)メトキシ)フェニル)-3-ヒドロキシシクロブチル)ベンゼンスルフィン酸ナトリウム
【化39】
MeOH(5ml、28.9mmol)中の1MのNaOMeを、メタノール(3ml)中の3-(4-(3-(2-クロロ-4-((5-シクロプロピル-3-(2,6-ジクロロフェニル)イソオキサゾール)-4-イル)メトキシ)フェニル)-3-ヒドロキシシクロブチル)フェニルスルホニル)プロパン酸メチル(0.21g、0.289mol)の撹拌混合物に0℃で加えた。反応混合物を室温で5時間撹拌し、次いで減圧下で濃縮し、残留物をジエチルエーテルで粉砕し、n-ペンタンで洗浄して、4-(3-(2-クロロ-4-((5-シクロプロピル-3-(2,6-ジクロロフェニル)イソオキサゾール-4-イル)メトキシ)フェニル)-3-ヒドロキシシクロブチル)ベンゼンスルフィン酸を固体(0.12g、66%)として得た。
【数28】
【0128】
例8
4-(2-(2-クロロ-4-((5-シクロプロピル-3-(2,6-ジクロロフェニル)イソオキサゾール-4-イル)メトキシ)フェニル)シクロプロピル)ベンゼンスルフィン酸ナトリウムの調製
1-(2-(4-ブロモフェニル)シクロプロピル)-2-クロロ-4-メトキシベンゼン:
【化40】
2-クロロ-4-メトキシベンズアルデヒド(10g、58.82mmol)を、ジオキサン(25ml)中のトシルヒドラジド(11.6g、64.70mmol)の撹拌溶液に室温で加えた。3時間後、反応混合物を0℃に冷却し、濾過し、単離された固体を冷ジオキサン、次いで熱石油エーテルで慎重に洗浄した。次いで、中間体をジオキサン(100ml)に溶解し、窒素下で炭酸カリウム(12.19g、88.23mmol)及び4-ブロモスチレン(21g、117.64mmol)とともに70℃で撹拌した。24時間後、反応混合物を濃縮し、フラッシュクロマトグラフィーにより精製して、表題化合物2.2g(19.8%)を固体として得た。
【数29】
【0129】
4-(2-(4-ブロモフェニル)シクロプロピル)-3-クロロフェノール:
【化41】
三臭化ホウ素(1.56g、6.23mmol)を、ジクロロメタン(20ml)中の1-(2-(4-ブロモフェニル)シクロプロピル)-2-クロロ-4-メトキシベンゼン(2.1g、6.23mmol)の撹拌溶液に0℃でゆっくりと加え、得られた混合物を室温まで温めた。3時間後、反応をメタノールでクエンチし、濃縮し、粗生成物を酢酸エチルで溶解した。次いで、これを飽和重炭酸ナトリウム溶液、飽和ブライン溶液で洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。固体をn-ペンタン(20ml)中で1時間撹拌し、濾過し、真空下で乾燥させて、表題化合物(1.9g、95%)を固体として得た。
【数30】
【0130】
4-((4-(2-(4-ブロモフェニル)シクロプロピル)-3-クロロフェノキシ)メチル)-5-シクロプロピル-3-(2,6-ジクロロフェニル)イソオキサゾール
【化42】
塩化チオニル(62ml、0.52mol)を、ジクロロメタン(100ml)中の(5-シクロプロピル-3-(2,6-ジクロロフェニル)イソオキサゾール-4-イル)メタノール(1.5g、5.3mmol)の溶液に0~5℃でゆっくりと加え、得られた混合物を室温まで温めた。2時間後、反応混合物を減圧下で濃縮し、DMF(15ml)に溶解した。次いで、4-(2-(4-ブロモフェニル)シクロプロピル)-3-クロロフェノール(1.8g、5.80mmol)、炭酸カリウム(4.7g、34.33mmol)及びヨウ化ナトリウム(800mg、5.33mmol)を加え、反応混合物を60~65℃で加熱した。16時間後、反応物を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、有機層を水、ブラインで洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、石油エーテル中の20%EtOAcで溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーを使用して精製し、表題化合物(710mg、23%)を固体として得た。
【数31】
【0131】
3-(4-(2-(2-クロロ-4-((5-シクロプロピル-3-(2,6-ジクロロフェニル)イソオキサゾール-4-イル)メトキシ)フェニル)シクロプロピル)フェニルスルホニル)プロパン酸メチル
【化43】
ヨウ化銅(I)(458mg、2.41mmol)を、ジメチルスルホキシド(10ml)中の4-((4-(2-(4-ブロモフェニル)シクロプロピル)-3-クロロフェノキシ)メチル)-5-シクロプロピル-3-(2,6-ジクロロフェニル)イソオキサゾール(710mg、1.20mmol)、3-メトキシ-3-オキソプロパン-1-スルフィン酸ナトリウム(629mg、3.6mmol)及びL-プロリン(138mg、1.20mmol)の溶液に室温で加え、得られた混合物を130℃で加熱した。16時間後、反応物を水と酢酸エチルで分配した後、セライトで濾過した。有機層を冷水、ブラインで洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、0~50%石油エーテル及び酢酸エチルで溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーを使用して精製し、表題化合物(210mg、26%)を固体として得た。
【数32】
【0132】
4-(2-(2-クロロ-4-((5-シクロプロピル-3-(2,6-ジクロロフェニル)イソオキサゾール-4-イル)メトキシ)フェニル)シクロプロピル)ベンゼンスルフィン酸ナトリウム
【化44】
MeOH(6.3ml、3.1mmol)中の1MのNaOMeを、メタノール(5ml)中の3-(4-(3-(2-クロロ-4-((5-シクロプロピル-3-(2,6-ジクロロフェニル)イソオキサゾール)-4-イル)メトキシ)フェニル)-3-ヒドロキシシクロブチル)フェニルスルホニル)プロパン酸メチル(0.21g、0.31mol)の撹拌混合物に0℃で加えた。反応混合物を室温で5時間撹拌し、次いで減圧下で濃縮し、残留物をジエチルエーテルで粉砕し、n-ペンタンで洗浄して、4-(2-(2-クロロ-4-((5-シクロプロピル-3-(2,6-ジクロロフェニル)イソオキサゾール-4-イル)メトキシ)フェニル)シクロプロピル)ベンゼンスルフィン酸ナトリウムを固体(0.118g、65%)として得た。
【数33】
【0133】
例9
ヒトファルネソイドX受容体(NR1H4、FXR)レポーターアッセイ
FXRのリガンド結合媒介性活性化を定量化するためのリガンド媒介性Gal4プロモーターで駆動されたトランス活性化の測定。FXRレポーターアッセイキットをIndigo Bioscience(カタログ番号:IB00601-32)から購入して、FXR活性化を誘導し得る化合物の効能及び有効性を測定した。核内受容体アッセイシステムは、リガンド依存性転写因子であるヒトFXR受容体(NR1H4)の構成的高レベル発現を提供するように操作された非ヒト哺乳類細胞を利用する。レポーター細胞は、FXR応答プロモーターに連結されたルシフェラーゼレポーター遺伝子の機能性を含む。処理されたレポーター細胞におけるルシフェラーゼ発現の変化を定量化することで、FXR活性の変化の高感度の代替的測定が提供される。
【0134】
レポーター細胞は、共基質としてO2とATPを消費するMg2+依存性の反応でD-ルシフェリンのモノ酸化を触媒するタンパク質であるカブトムシルシフェラーゼをコードするcDNAを組み込んで、生成物であるオキシルシフェリン、AMP、PPi、CO2、及び光子(光)放出をもたらす。反応の発光強度は、ルミノメーターを使用して定量化し、相対発光量(RLU)で報告する。
【0135】
製造業者の指示に従ってアッセイを行った。簡単に説明すると、試験化合物を秤量し、10mMのストック溶液としてリン酸緩衝溶液に溶解し、化合物スクリーニング培地(CSM)を使用して適切な濃度に希釈した。凍結したレポーター細胞を解凍し、37℃の細胞回復培地に懸濁した。次いで、直ちに化合物を細胞プレートに加え、プレートを37℃の加湿CO2インキュベーターに入れて22~24時間静置した。インキュベーション後、培地を慎重に除去し、ルシフェラーゼ検出溶液を加え、ルミノメーターでプレートを読み取った。データをキットの指示書に従って計算し、化合物アゴニスト活性の増加に正比例して発光が増加する。
【0136】
表1は、本発明の化合物の効力範囲をまとめたものである。EC
50値はヒトFXR(NR1H4)アッセイを使用して測定し、有効性はGW4064を100%として正規化した(A=EC50<0.5μM;B=0.5<EC50>5μM;C=EC50>5μM)。
【表1】
【0137】
例10
ヒトミクロソームにおける代謝
ヒトミクロソーム(1250μL、4mg/ml)、リン酸カリウム緩衝液(1250μL)、アラメチシン(12.5μL、5mg/ml)及び補因子ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸NADPH(1250μL、4mM)/ウリジン5’-ジホスホ-グルクロン酸UDPGA(1250μL、4mM)又はUDPGAのみのミクロソームミックス(247.5μL)をシェーカーに10分間装填した。次いで、試験化合物(2.5μL、100μM)を両方のミクロソームミックス(すなわち、NADPHを含むミックスとNADPHを含まないミックス)に別々に加え、37℃でインキュベートし、所定の時点でサンプリングした。分析は、AB SCIEX QTRAP 4500 LC-MS/MS、Kinetex C18、50*4.6mm、5μmカラムを使用し、10mM酢酸アンモニウム/メタノールで溶出して行った。
【0138】
表2は、補因子UDPGA及びNADPH又はUDPGAのみの存在下でヒトミクロソームと45分間インキュベートした後に残存する化合物の割合をまとめたものである。
【0139】
【0140】
ヒトミクロソームによる有意な代謝は、補因子NADPHの存在下でのみ起こり、これは、化合物がcyp酸化経路を介して代謝されることを示している。補因子UDPGAの存在下での化合物の安定性は、アシルグルクロン酸抱合による代謝が起こっていないことを示している。
【0141】
例11
肝細胞における代謝同定
例4からの試験化合物の10mMのストック溶液(2-(3-((5-シクロプロピル-3-(2-(トリフルオロメトキシ)フェニル)イソオキサゾール-4-イル)メトキシ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)-4-フルオロベンゾ[d]チアゾール-6-スルフィン酸ナトリウム)をDMSO中で調製した。次いで、クレブス・ヘンゼライト緩衝液1996μLに10mMのストック溶液4μLを希釈することにより20μMの最終的な作業ストック溶液を調製した。
【0142】
肝細胞懸濁液(2x106細胞/mL)200μLをTPP社製48ウェルプレートに加え、インキュベーター内で37℃にて30分間プレインキュベートした。試験化合物の20μMの作業ストック溶液200μLを細胞懸濁液に加え、500rpmの振動速度でvibramax上のインキュベーター内でインキュベートした。0分のサンプルでは、肝細胞懸濁液25μLをアセトニトリル200μLで沈殿させ、20μMの試験化合物25μLを加えた。インキュベーション混合物50μLをアセトニトリル200μLで沈殿させることにより、15、30、60、90、120分で反応を停止させた。サンプルを1200rpmで5分間ボルテックスし、4000rpmで10分間遠心分離した。上清を分離し、水で2倍に希釈し、HPLC(Shimadzu SIL HTS)及び質量分析計(5500 Qtrap)を使用して分析した。アセトニトリル及びMilli-q水中の0.1%ギ酸を移動相として使用し、Waters Xbridge C18、250×3.0mm、粒子径5.0μ、又はPhenomnex kinetex 5μ EVO C18 100A、50×4.6mm、粒子径5.0μのカラムを使用した。
【0143】
表3は、本発明の例4の化合物がヒト、イヌ又はマウスの肝細胞においてインキュベートされたときに観察された主要代謝物をまとめたものである。
【0144】
【0145】
図1は、例4の化合物をヒト肝細胞と120分間インキュベートして形成された主要代謝物のMS/MSスペクトルを示している。[M+H]
+イオンとフラグメンテーションパターンは、対応するヒドロキシ化合物を与える酸化的代謝と一致している。
【0146】
ミクロソーム(例10)及び肝細胞(例11)を用いたインキュベーション研究は、試験された化合物がアシルグルクロン酸抱合を介してではなく、cyp酸化のみを介して代謝されることを示している。これは、典型的にはアシルグルクロニドに代謝される対応するカルボン酸化合物とは異なる代謝プロファイルである。そのような代謝は、肝毒性及び薬物誘発性肝障害を引き起こす反応性代謝物を生じさせる可能性がある(Shipkova M,Armstrong VW,Oellerich M,and Wieland E(2003)Acyl glucuronide drug metabolites:Toxicological and analytical implications.Ther Drug Monit 25:1-16;Regan S,Maggs J,Hammond T,Lambert C,Williams D and Park BK(2010)Acyl glucuronides:the good,the bad and the ugly.Biopharm Drug Dispos 31:367-395;Shipkova M,Armstrong VW,Oellerich M,and Wieland E(2003)Acyl glucuronide drug metabolites:Toxicological and analytical implications.Ther Drug Monit 25:1-16)。
【0147】
胆汁酸、例えばオベチコール酸及び非胆汁酸の誘導体であるFXRアゴニストの両クラスは、一般的にカルボン酸官能基を含み、それらの固有の化学的特性のために、アシルグルクロン酸抱合などのフェーズ2コンジュゲーションを介して代謝される(Center for Drug Evaluation and Research,Application Number:207999Orig1s000,Pharmacology Review(s);Gege C,Hambruch E,Hambruch N,Kinzel O,Kremoser C.Nonsteroidal FXR Ligands:Current Status and Clinical Applications,Handb Exp Pharmacol.2019 Jun 14;Tully DC,Rucker PV,Chianelli D,Williams J,Vidal A,Alper PB,Mutnick D,Bursulaya B,Schmeits J,Wu X,Bao D,Zoll J,Kim Y,Groessl T,McNamara P,Seidel HM,Molteni V,Liu B,Phimister A,Joseph SB,Laffitte B.,Discovery of Tropifexor(LJN452),a Highly Potent Non-bile Acid FXR Agonist for the Treatment of Cholestatic Liver Diseases and Nonalcoholic Steatohepatitis(NASH),J Med Chem.2017 Dec 28,60(24),9960-9973)。
【0148】
本明細書に記載された例及び実施形態は、例示のみを目的としており、それに照らして様々な修正又は変更が当業者に提案され、本願並びに添付の特許請求の範囲の精神及び範囲内に含まれることが理解される。