(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】土工機械において力を測定するためのシステム及び方法、その制御、並びに、自動または半自動機械
(51)【国際特許分類】
E02F 9/28 20060101AFI20240319BHJP
E02F 9/26 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
E02F9/28 A
E02F9/26 B
(21)【出願番号】P 2021533316
(86)(22)【出願日】2019-12-12
(86)【国際出願番号】 EP2019084995
(87)【国際公開番号】W WO2020120718
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2022-12-12
(32)【優先日】2018-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521251741
【氏名又は名称】メタロジェニア リサーチ アンド テクノロジーズ ソシエダッド リミターダ
(74)【代理人】
【識別番号】100105795
【氏名又は名称】名塚 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100105131
【氏名又は名称】井上 満
(74)【代理人】
【識別番号】100154184
【氏名又は名称】生富 成一
(74)【代理人】
【識別番号】100187377
【氏名又は名称】芳野 理之
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルヴェ ベルトラン ニル
(72)【発明者】
【氏名】トリギナー カスタニェ ハヴィエル
(72)【発明者】
【氏名】マルケス リナス ジョルディ
(72)【発明者】
【氏名】ヒメノ トルデラ アルバート
(72)【発明者】
【氏名】アロンソ フリゴラ エスター
(72)【発明者】
【氏名】トリギナー ボイシェダ ジョージ
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-505331(JP,A)
【文献】特開2012-072636(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0000097(US,A1)
【文献】国際公開第2018/095536(WO,A1)
【文献】特開2005-163470(JP,A)
【文献】特表2014-528531(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/28
E02F 9/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
土工機械(100)用のシステム(1-3)であって、
土工機械(100)の掘削器具(110
)と結合するように適合された複数の摩耗要素(10-15)と、
力を測定するための1または複数のセンサ(20)と、
前記摩耗要素(10-15)によって耐えられる力を計算するために、前記1または複数のセンサ(20)の測定値を処理
し、これにより、処理された力の値を提供するための中央制御手段(50)と、
を備え、
前記1または複数のセンサ(20)のうちの各センサは、前記複数の摩耗要素(10-15)のうちの1つの摩耗要素に、または、前記複数の摩耗要素(10-15)のうちの2つの摩耗要素の間に、配置されて
おり、
前記中央制御手段(50)は、少なくとも前記処理された力の値に基づいて出力指令(55)を提供し、その結果、当該出力指令(55)が、
前記処理された力の値が第1の所定の力の閾値を超える時、少なくとも1つの知覚可能な信号の形態で警告を発すること、及び/または、前記機械(100)の掘削力を低減すること、並びに、
前記処理された力の値が第2の所定の力の閾値より小さい時、少なくとも1つの知覚可能な信号の形態で警告を発すること、及び/または、前記掘削力を増大させること、
のうちの少なくとも1つを有する
ことを特徴とするシステム(1-3)。
【請求項2】
前記1または複数のセンサ(20)のうちの少なくとも1つのセンサが、当該少なくとも1つのセンサが配置されるそれぞれの摩耗要素(10-15)に形成された空洞(16a-16g)内に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム(1-3)。
【請求項3】
前記少なくとも1つのセンサ(20)は、前記空洞(16a-16g)を区切る壁に配置されている
ことを特徴とする請求項2に記載のシステム(1-3)。
【請求項4】
少なくとも1つのセンサがその中に配置されている前記複数の摩耗要素のうちの1または複数の摩耗要素が、軸方向軸、横軸及び縦軸を有しており、
前記空洞内の1つのセンサ、幾つかのセンサ、または各センサは、その横軸または縦軸に関して当該空洞を区切る1または複数の壁に配置され、及び/または、前記空洞内の1つのセンサ、幾つかのセンサ、または各センサは、その軸方向軸に関して当該空洞を区切る壁に配置されている
ことを特徴とする請求項2または3に記載のシステム(1-3)。
【請求項5】
少なくとも1つのセンサ(20)がその中に配置されている少なくとも1つの空洞(16a-16f)が、対応する摩耗要素の軸方向軸に関して先細の形状を有している
ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載のシステム(1-3)。
【請求項6】
第1厚さt1が、前記摩耗要素(10-15)の外側部分と、地面と接触するそれぞれの摩耗要素の第1縁(32)に対向する第2縁(32)に最も近い第2部分(y2)より前記第1縁(31)に最も近い前記空洞(16a-16g)の第1部分(y1)における当該空洞(16a-16g)と、の間に規定され、
第2厚さt2が、前記摩耗要素(10-15)の前記外側部分と、前記第2部分(y2)における前記空洞(16a-16g)と、の間に規定され、
前記第1厚さt1は、前記第2厚さt2より小さいか、前記第2厚さt2と等しい
ことを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載のシステム(1-3)。
【請求項7】
前記掘削力を増大ないし低減することは、
前記機械(100)の油圧システムのシリンダ(105)に適用される圧力を、それぞれ、増大ないし低減すること、
前記掘削器具(110)の迎角を変更して、前記掘削力を、それぞれ、増大ないし低減すること、並びに、
前記掘削器具(110)が辿る軌道を変更して、前記掘削力を、それぞれ、増大ないし低減すること、
のうちの少なくとも1つを有する
ことを特徴とする請求項
1乃至6のいずれかに記載のシステム(1-3)。
【請求項8】
前記中央制御手段(50)は、前記機械(100)の1または複数の入力を受容するように構成されており、
前記中央制御手段(50)は、更に前記1または複数の入力に基づいて前記出力指令(55)を提供する
ことを特徴とする請求項
1乃至7のいずれかに記載のシステム(1-3)。
【請求項9】
前記1または複数の入力は、前記機械(100)が供給する電力、掘削力、エネルギ消費、及び、前記機械(100)の油圧システムの性能、のうちの1または複数を含む
ことを特徴とする請求項
8に記載のシステム(1-3)。
【請求項10】
前記1または複数のセンサ(20)のうちの1つのセンサ、幾つかのセンサ、または各センサは、
前記複数の摩耗要素(10-15)の歯部(11)、
前記複数の摩耗要素(10-15)の歯バー(12)、及び、
前記複数の摩耗要素(10-15)の固定要素(13、14)、のいずれか1つに配置されている
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のシステム(1-3)。
【請求項11】
前記1または複数のセンサ(20)の各センサは、
前記複数の摩耗要素(10-15)の前記歯バー(12)内に配置されている
ことを特徴とする請求項
10に記載のシステム(1-3)。
【請求項12】
前記1または複数のセンサ(20)の各センサは、
前記複数の摩耗要素(10-15)の前記歯部(11)内または
前記複数の摩耗要素(10-15)の前記固定要素(13、14)内に配置されている
ことを特徴とする請求項
10に記載のシステム(1-3)。
【請求項13】
前記1または複数のセンサ(20)のうちの1つのセンサ、幾つかのセンサ、または各センサは、前記複数の摩耗要素(10-15)のうちの2つの摩耗要素(13、14)の間に配置されている
ことを特徴とする請求項1乃至
9のいずれかに記載のシステム(1-3)。
【請求項14】
前記掘削器具(110)は、バケット、ショベル、カッタヘッド、または、浚渫ヘッド、のうちの1つを含む
ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載のシステム(1-3)。
【請求項15】
掘削器具(110)と、
請求項1乃至14のいずれかに記載のシステム(1-3)と、
を備え、
前記複数の摩耗要素(10-15)は、前記掘削器具(110
)と結合されている
ことを特徴とする土工機械(100)。
【請求項16】
当該機械(100)を作動させるための制御センター(150)
を更に備え
、
前記中央制御手段(50)は、前記制御センター(150)と通信可能に結合されており、
前記中央制御手段(50)は、少なくとも前記1または複数のセンサ(20)の測定値に基づいて当該機械(100)を作動させるために前記制御センター(150)に出力指令(55)を提供し、
前記制御センター(150)は、前記制御センター(150)によって提供される指令(55)によって少なくとも部分的に当該機械(100)が作動されるように、少なくとも前記出力指令(55)に基づいて当該機械(100)を作動させる
ことを特徴とする請求項15に記載の土工機械(100)。
【請求項17】
コンピュータ
ビジョン手段と、
当該機械(100)のブーム(106)の位置と向きとの両方を検知するための第1手段(125)と、
当該機械(100)のスティック(108)の位置と向きとの両方を検知するための第2手段(125)と、
前記掘削器具(110)の位置と向きとの両方を検知するための第3手段(125)と、
を更に備えたことを特徴とする請求項16に記載の土工機械(100)。
【請求項18】
前記制御センター(150)は、前記制御センター(150)によって提供される指令(55)によって当該機械(100)が完全に作動されるように、少なくとも前記出力指令(55)に基づいて当該機械(100)を作動させる
ことを特徴とする請求項17に記載の土工機械(100)。
【請求項19】
土工機械にシステム(1-3)を提供する工程(410)であって、
前記システム(1-3)は、
土工機械(100)の掘削器具(110
)と結合するように適合された複数の摩耗要素(10-15)と、
力を測定するための1または複数のセンサ(20)と、
を有しており、
前記1または複数のセンサ(20)のうちの各センサは、前記複数の摩耗要素(10-15)のうちの1つの摩耗要素に、または、前記複数の摩耗要素(10-15)のうちの2つの摩耗要素の間に、配置されている
という工程(410)と、
前記1または複数のセンサ(20)を用いて歪
または単一変形を測定する工程(420)と、
前記1または複数のセンサ(20)の測定値を中央制御手段(50)で処理して前記測定値に基づいて力を計算する工程(430)と、
前記中央制御手段(50)で、前記計算された力に基づいて実施されるべき動作を判定する工程(440a-440c)と、
を備え、
前記計算された力が所定の過剰な力の閾値を超える時、前記動作は、少なくとも1つの知覚可能な信号の形態で警告を発すること(440a)、及び、自動的態様で前記機械(100)の掘削力を低減すること(440b)、の少なくとも1つであり
前記計算された力が所定の最適な力の閾値より小さい時、前記動作は、少なくとも1つの知覚可能な信号の形態で警告を発すること(440a)、及び、自動的態様で前記掘削力を増大させること(440c)、の少なくとも1つである
ことを特徴とする方法(400)。
【請求項20】
前記掘削力を増大すること(440c)ないし低減すること(440b)は、
前記機械(100)の油圧システムのシリンダ(105)に適用される圧力を、それぞれ、増大ないし低減すること、
前記掘削器具(110)の迎角を変更して、前記掘削力を、それぞれ、増大ないし低減すること、並びに、
前記掘削器具(110)が辿る軌道を変更して、前記掘削力を、それぞれ、増大ないし低減すること、
のうちの少なくとも1つを有する
ことを特徴とする請求項19に記載の方法(400)。
【請求項21】
前記機械(100)は、当該機械(100)を作動させるための制御センター(150)を有しており、
前記中央制御手段(50)で判定される動作は、少なくとも、
前記計算された力が所定の過剰な力の閾値を超える時、自動的態様で前記機械(100)の前記掘削力を低減すること(440b)、及び、
前記計算された力が所定の最適な力の閾値より小さい時、自動的態様で前記掘削力を増大させること(440c)、
を有しており、
前記制御センター(150)は、前記制御センター(150)によって提供される指令(55)によって少なくとも部分的に前記機械(100)が作動されるように、少なくとも前記動作に基づいて前記機械(100)を作動させる
ことを特徴とする請求項19または20に記載の方法(400)。
【請求項22】
前記制御センター(150)は、前記制御センター(150)によって提供される指令(55)によって前記機械(100)が完全に作動されるように、少なくとも前記動作に基づいて前記機械(100)を作動させ、
前記機械(100)は、更に、
コンピュータ
ビジョン手段と、
当該機械(100)のブーム(106)の位置と向きとの両方を検知するための第1手段(125)と、
当該機械(100)のスティック(108)の位置と向きとの両方を検知するための第2手段(125)と、
前記掘削器具(110)の位置と向きとの両方を検知するための第3手段(125)と、
を有する
ことを特徴とする請求項21に記載の方法(400)。
【請求項23】
前記システムは、請求項1乃至
13のいずれかに記載のシステム(1-3)である
ことを特徴とする請求項19乃至22のいずれかに記載の方法(400)。
【請求項24】
前記掘削器具(110)は、バケット、ショベル、カッタヘッド、または、浚渫ヘッド、のうちの1つを含む
ことを特徴とする請求項19乃至23のいずれかに記載の方法(400
)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土工機械(土木工事機械)のためのシステムの分野に関する。より具体的には、本発明は、土工機械の力を測定するためのシステム及び方法、並びに、そのような機械を制御するためのシステム及び方法、並びに、当該機械自体、に関する。土工機械は、例えば、公共事業及び鉱業用の掘削機ないし積込機(ローダー)や、浚渫船等であり得る。
【背景技術】
【0002】
例えば、建設現場での作業、採掘、浚渫等のために、掘削機や積込機等の土工機械を使用することは、一般的である。これらの機械は、一般に、その中に材料が収集される掘削器具(バケット、シャベル、浚渫ヘッド等)を備えている。当該掘削器具、例えばバケットは、主にブレードと呼ばれる領域で、高い応力と大きな摩耗とに曝される。この理由のため、一般に、ブレードは通常、当該ブレードと当該掘削器具とを摩耗から保護しつつ、当該バケットの地形への浸透を増大させることに役立つ複数のインストール要素を有している。
【0003】
これらの保護要素は、以下を含んでいる:
-複数の歯部:地形を貫通しつつ、掘削器具のブレードを保護する機能を有する。
-歯バー :ブレードを保護しつつ、複数の歯部を支える機能を有する。
-前方ガードまたはシュラウド:複数の歯部間に含まれる領域内のリップ部を保護する機能を有し、貫通の機能も実行するが、複数の歯部よりも程度は低い。
-側方ガードまたはシュラウド:掘削器具の側面を保護する。
-固定要素 :摩耗要素をそれらの間に固定するための要素(例えば、複数の歯部を歯バーに固定するための要素)、または、摩耗要素を掘削器具のブレードに固定するための要素(例えば、歯バーをブレードに固定するための要素)。
【0004】
これらの要素は全て、強烈な機械的要件や、歪みや、激しい摩耗に曝される。この理由のため、それらは、通常、経験摩耗がそれを必要とする時、所定の頻度で交換される必要がある。全体として、これらの保護要素は、通常、摩耗要素ないし地面係合ツール(ground engaging tool)、すなわちGET、と呼ばれる。
【0005】
これらの土工機械において、最も重要なパラメータは、信頼性、生産性、及び、効率である。すなわち、掘削され及び積載された材料の量あたりのコストと、事故のない機械の稼働時間と、である。
【0006】
機械の生産性及び効率を保証するために、とりわけ通常は掘削及び積込動作である機械動作の最も要求の厳しい部分の間に、摩耗要素が曝される前記の機械的要件または力を測定及び計算することが重要である。今日では、複数の歯部や他の摩耗要素が曝される力、圧力及び荷重を、可能な限り正確な態様で知るために、理論的研究が行われており、複雑で洗練された数学的解決策が提供されている。それらは、実際の地形データの近似値である。
【0007】
これらの現在の解決策は、複雑で理論的な機械シミュレーションを含んでおり、それらは、特に特定の地面条件等の特定の状況下で、機械の最良の設計基準を提供するために、機械の完全な挙動及びその動作の近似値である。これらの現在の解決策によって提供される情報は、理論的であるため、それを掘削作業の現実と相関させることは、困難である。更に、これらのシミュレーションは理論上のものであって、実際のケースの近似にすぎないため、正確に言うならばGETが曝される応力の実際の正確なデータが不足しているため、従来技術では、応力のためのGETの急過ぎる破損のリスクを最小限に抑えるために、例えば、掘削力が当該最大破壊力に達しない多くの場合でさえ、機械の最大破壊力を考慮に入れて、それらは機械の動作用に過剰技術で設計されている。これにより、掘削処理の効率が、曝される応力レベルに(真に)対応するサイズのGETを備えた機械のそれよりも、低くなっている。
【0008】
GETに作用する力を正確に知ることで、土工条件により適した摩耗要素をバケットのブレード上に配置することが可能になるだけでなく、以下のことも可能になる。すなわち、土工作業が効率的に実施されているか否かを判定してそれらをより効率的にし、GETの破損リスクを低減し、摩耗要素の耐用年数を予測またはより良好に予測し、機械の操作を支援または機械を制御して、例えば、移動量1トンあたりのコストを改善し、エネルギ消費を削減し、摩耗要素及び/または機械の耐用年数を改善する、等をもたらす。
【0009】
更に、前述の力を知ることで、掘削及び積込動作全体を通じてGETでの地形の反応がどんなものであるかを判定することもできる。これは、地面がどのように噛み合っているかに関する情報を提供する。対照的に、単一の摩耗要素(例えばバケット)に対する地形の反応をシンプルに判定することは、地形が実際にどのように反応しているかを示さないため、当該情報は、掘削及び積込動作がどのように実行されているかを判定可能とするのには不十分である。そのような情報は、現在進行中の動作と、当該動作(または類似の動作、すなわち、類似条件下)のための摩耗要素の調整と、の両方に役立つ。
【0010】
従って、土工機械の摩耗要素が曝される力、圧力及び/または負荷を判定するためのシステム及び方法を提供することに関心があり、その結果、メトリクス(測定基準)の欠如による仮想変数への依存が低減され、複数の摩耗要素に関する地形の反応が判定可能となる。また、機械の操作者を支援するためのシステム及び方法を提供することや、あるいは、前記の力、圧力及び/または負荷に基づいて操作者のいない機械を制御すること、更には、そのような機械を提供すること、にも関心がある。
【発明の概要】
【0011】
本発明のシステム、方法及び機械は、前記の問題を克服することが意図されている。
【0012】
本発明の第1の態様は、土工機械、特にはその掘削器具(例えば、バケット、ショベル、カッターヘッド、または、浚渫ヘッド)、のためのシステムに関しており、当該システムは、土工機械の掘削器具のブレードと結合するように構成された複数の摩耗要素と、力(例えば、歪や単一変形(unitary deformation)を測定するための1または複数のセンサと、を備え、前記1または複数のセンサのうちの各センサが、前記複数の摩耗要素のうちの1つの摩耗要素に配置されているか、前記複数の摩耗要素のうちの2つの摩耗要素の間に配置されている。
【0013】
当該システムは、土工機械(掘削機、積込機(ローダー)、浚渫船など)の力、特には土工機械の摩耗要素が耐える機械的要件または力、を測定することを可能にする力測定システムである。センサの測定、すなわち、実際のデータのフィールド取得により、土工機械及び摩耗要素またはそのGETの設計において、理論的な数学的近似の使用が回避され得る。更に、それらは、摩耗要素を有するそのような機械の動作において回避され得る。フィールドデータの取得は、機械が動作する態様を調整することを可能にする。
【0014】
前記1または複数のセンサの各センサは、機械が作動している間、特に(しかしそれだけではない)掘削器具(バケットという用語が、以下において、掘削器具と同等なものとして使用されるが、本開示は、ショベル、カッターヘッド、または、浚渫ヘッド等の他の掘削器具にも等しく適用される)が地面に係合して幾つかまたは全ての摩耗要素が地面に接触している掘削及び積込作業中に、1または複数の摩耗要素が耐える機械的要件または力に起因する当該1または複数の摩耗要素の状態の変化を測定することを可能にする。この意味で、前記1または複数の摩耗要素は、少なくとも、その中にセンサが配置されている摩耗要素であり、好ましくは、前記摩耗要素と機械的に結合された1または複数の他の摩耗要素であり、あるいは、センサが2つの摩耗要素の間にある時、前記1または複数の摩耗要素は、前記2つの摩耗要素のうちの1つであり、好ましくは両方の摩耗要素であり、より好ましくは、当該一方または両方の摩擦要素と機械的に結合された1または複数の他の摩耗要素である。状態の変化は、変形、圧力、負荷、トルク、位置、などの1または複数であり得て、そのようなデータは、異なる軸の力の判定によって、摩耗要素が曝されている実際の機械的要件または力、並びに、摩擦要素が曝されている力の角度、を判定するために処理される。
【0015】
システムの複数の摩耗要素は、歯部、歯バー、ガード(前面ガード及び/または側面ガード)、固定要素(例えば、ピン、クランプなどの形態)、及び、それらの組み合わせ、のうちのいずれか1つを含む。これに関して、幾つかの実施形態では、複数の摩耗要素は、複数の歯バー、複数の歯部、複数のガード、及び、複数の固定要素、を含む。
【0016】
摩耗要素に1または複数のセンサを配置することにより、当該センサは、当該機械の地形とは直接的に接触しない他の構造要素すなわちGET以外の構造要素(例えば、バケット、リップ、ブームなど)内に配置されるセンサよりも、各位置のより正確なデータを個別に提供する。このような他の構造要素は地面に噛み合わないため、これらの要素の測定値から、地面が様々な摩耗要素にどのように力を作用させているかを判定することはできない。従って、そのような測定値から、ある摩耗要素は、全ての力、またはそれらの一部、またはそれらの全て、を受け取っている可能性があって、分別することは不可能である。更に、地面が摩耗要素に力を作用させている場所からセンサが離れるほど、前記力から生じる張力が低くなり、前記力の方向性に対する感度が低くなる。このため、摩擦要素に適用された力、及び、その角度、を測定することが不可能となる。一例として、前記力の張力は、歯部で1200MPAを超える可能性があり、歯バーでは約600MPAであり得て、そのブレードを超えたバケット上では約50MPA以下であり得る。歯部上及び歯バー上では、力の値は摩耗要素に加えられる力及びその方向性を表すが、バケットにおいてこれは当てはまらないし、バケット以外の他の要素は言うに及ばない。
【0017】
本開示によるシステムは、好ましくは、寸法、形状、及び、その数、に関して異なるタイプの摩耗要素を考慮して設計及び製造される。すなわち、力を測定するための1または複数のセンサがその中に配置されることを考慮して、バケット用の様々なGETのセットが設計及び製造され得る。このようにして、本開示によるシステムは、大量生産され得て、産業レベルで当該システムを実施する可能性のため、そのコスト効果の高い製造に帰結する。GETは時々交換される必要があり、幾つかの摩耗要素は他の摩耗要素よりも頻繁に交換される必要があり、従って、センサやシステムのあらゆる電子機器の交換も必要である。当該交換は、機械が非アクティブである時間を低減するために、摩耗要素が交換されるのと同時に実行され得る。
【0018】
幾つかの実施形態では、前記1または複数のセンサのうちの1つのセンサ、幾つかのセンサ、または各センサが、前記複数の摩耗要素のうちの1つの摩耗要素に配置され、前記1または複数のセンサのうちの残りのセンサ(無し、1つ、または、幾つか)は、前記複数の摩耗要素のうちの2つの摩耗要素の間に配置されている。幾つかの実施形態では、前記1または複数のセンサのうちの1つのセンサ、幾つかのセンサ、または各センサが、前記複数の摩耗要素のうちの2つの摩耗要素の間に配置されており、前記1または複数のセンサのうちの残りのセンサ(無し、1つ、または、幾つか)は、前記複数の摩耗要素のうちの1つの摩耗要素に配置されている。
【0019】
幾つかの実施形態では、前記1または複数のセンサの各センサは、歪ゲージ、圧力ゲージ、相対変位ゲージ、光ファイバーストリップ、及び、圧電ストリップ、のうちの1つである。これらの実施形態の幾つかでは、前記1または複数のセンサの全てのセンサが、同じタイプのゲージまたはストリップである。
【0020】
幾つかの実施形態では、前記1または複数のセンサのうちの少なくとも1つのセンサ(または各センサ)が、当該少なくとも1つのセンサ(または各センサ)が配置されるそれぞれの摩耗要素内に形成された空洞内に配置されている。
【0021】
これらの実施形態の幾つかでは、前記少なくとも1つのセンサ(または各センサ)は、前記空洞を区切る壁に配置されている。
【0022】
これらの実施形態の幾つかでは、少なくとも1つのセンサがその中に配置されている前記複数の摩耗要素のうちの1または複数の摩耗要素が、軸方向軸、横軸及び縦軸を有しており、前記空洞内の1つのセンサ、幾つかのセンサ、または各センサは、その横軸または縦軸に関して当該空洞を区切る1または複数の壁(例えば側壁)に配置され、及び/または、前記空洞内の1つのセンサ、幾つかのセンサ、または各センサは、その軸方向軸に関して当該空洞を区切る壁(例えば前壁)に配置されている。
【0023】
一例として、1または複数のセンサが、前記空洞の前壁に配置される。それは、好ましい実施形態では、地面に接触する複数の摩耗要素の縁(地面に接触する歯部の縁)に最も近い、軸方向軸における前記空洞の1つの壁である。そして(更に)選択的に、1または複数のセンサが、前記空洞の1または複数の側壁に配置される。別の一例として、1または複数のセンサが、前記空洞の1または複数の側壁に配置され。そして(更に)選択的に、1または複数のセンサが前記空洞の前壁に配置される。幾つかの例では、前壁は、軸方向軸について反対側において当該空洞を形成する開口部のために、軸方向軸について前記空洞を区切る唯一の壁である。
【0024】
(1または複数の)センサを前壁及び/または(複数の)側壁に配置することにより、力の測定は、掘削プロセス中の力の分布に起因して、他の場所に配置されたセンサを使用した測定よりも正確であり得る。換言すれば、力が複数の摩耗要素上に通常分散される態様は、力が空洞の壁により大きく作用するというものであるため、摩耗要素に作用する歪のより正確な値が、これらの場所に配置されたセンサで測定され得る。
【0025】
幾つかの実施形態では、摩耗要素に形成された1つの空洞、幾つかの空洞、または各空洞が、その中に配置された1または複数のセンサを有する。これらの実施形態の幾つかでは、1または複数の空洞内に配置されるセンサの数は、3と5の間である。
【0026】
好ましくは、これらの場合、1つまたは幾つかのセンサが前壁に配置され、1つまたは幾つかのセンサが1または複数の側壁に配置され、それによって空洞の異なる位置で力を測定することが可能である。これによれば、力が空洞の壁に均等に適用されないため(適用されないことを考慮して)、複数の摩耗要素が受ける力をより正確に判定することが可能になる。対向する壁に配置された複数のセンサで測定される歪または単一変形は、通常、機械の動作中に地形が歯部に力を及ぼす態様によって、かなりの違いがある。これらの歪または単一変形の各々の測定は、摩耗要素及び機械の設計の最適化、並びに、摩耗要素及び機械の動作の最適化、の両方にとって重要である。
【0027】
幾つかの実施形態では、摩耗要素に形成された1または複数の空洞が、先細の形状を有しており、当該先細の形状は、好ましくは、対応する摩耗要素の軸方向軸に関して先細の形状である。これらの実施形態の幾つかでは、1または複数の空洞は、第1縁と反対の第2縁に最も近い第2部分よりも、地面に接触するそれぞれの摩耗要素の第1縁に最も近いその第1部分において、より狭い。
【0028】
幾つかの実施形態では、第1厚さt1が、摩耗要素の外側部分と、地面と接触するそれぞれの摩耗要素の第1縁に対向する第2縁に最も近い第2部分より前記第1縁に最も近い空洞の第1部分における当該空洞(その中に少なくとも1つのセンサが配置されている)と、の間に規定され、第2厚さt2が、前記摩耗要素の前記外側部分と、前記第2部分における前記空洞と、の間に規定され、前記第1厚さt1は、前記第2厚さt2より小さいか、前記第2厚さt2と等しい(t1とt2とは共に0より大きい)。これらの実施形態の幾つかでは、前記空洞(または複数の空洞)は、歯部または歯バーである摩耗要素内に形成される。
【0029】
幾つかの実施形態では、少なくとも1つのセンサが配置されている1つの空洞、複数の空洞、または各空洞は、それぞれの少なくとも1つのセンサまたはその制御電子機器を保護するための要素を含む。これらの実施形態の幾つかでは、当該要素は、シリコンコーティングや樹脂コーティングなどのコーティングであるか、または(更に)当該コーティングを含む。これらの実施形態の幾つかでは、前記要素は、例えばスチールのような金属製であり得るプレートなどの固体保護要素であるか、または(更に)当該固体保護要素を含む。
【0030】
掘削及び積込動作中に摩耗要素に適用される力は、通常、数百キロニュートンの範囲内であり、当該力は、摩耗要素内の任意の要素に適用される。コーティングまたは固体保護要素の形態で保護要素を設けることにより、センサ及びそれに関連する任意の構成要素、例えば以下に説明される制御電子機器、の耐用年数が改善される。そうでなければ、1または複数のセンサが、摩耗要素の地面との係合(作用)の結果としてそれらが移動するため、歪または単一変形を正確に測定しない、ということが生じ得て、更に、当該1または複数のセンサが曝される機械的要件に起因して当該センサが動作を停止し得る。この事象の発生時、摩耗要素は未だ動作状態にあるが、それらが曝される力をこれ以上測定することは不可能で、人員または機械は、摩耗要素の動作状態がどういったものであるか、及び、地面への作用が効果的に実行されているか否か、を知ることができない。これらの問題の両方が、摩耗要素の状態が実際のデータに基づいて判定され得ないため、機械の動作全体に悪影響を及ぼす。これは、幾つかの不利な状況を挙げれば、地面に係合する動作に関して提供されるデータが少なくなるため、摩耗要素の突然の破損に帰結し得て、それは、機械の動作の停止をもたらし、また、移動量1トンあたりのコストが増大する。
【0031】
幾つかの実施形態では、当該システムは、前記1または複数のセンサと結合された制御電子機器を更に備える。これらの実施形態の幾つかでは、当該制御電子機器は、複数の摩耗要素のうちの1つの摩耗要素の空洞内に配置され、それにより、(1または複数の)センサと制御電子機器との間のデータ送信が簡素化され、当該通信が有線形式で実行され得るし、あるいは、無線形式でも実行され得て、(1または複数の)センサと制御電子機器との間の短い分離のため干渉がほとんど生じないで、両者間の障害はほとんど無いか全く無い。制御電子機器を設けることは、例えば以下に説明される中央制御手段などの当該システムの他の構成要素への、または、例えば当該(土工)機械の制御中心特徴部への、データ送信を簡素化する。制御電子機器には、好ましくは、無線データ送受信用のアンテナを含む通信モジュールが設けられる。
【0032】
幾つかの実施形態では、当該システムは、前記1または複数のセンサの測定値(例えば歪や単一変形)に基づいて前記摩耗要素によって耐えられる力を計算するための中央制御手段を更に備えている。これらの実施形態の幾つかでは、中央制御手段は、前記1または複数のセンサに通信可能に結合されている、及び/または、前記制御電子機器に通信可能に結合されている(当該システムが前記電子機器を備える実施形態の場合)。通信結合は、例えばRF通信による無線形式であるが、幾つかの実施形態では、通信結合は、有線形式である。この目的で、中央制御手段には、無線データ送受信用のアンテナを含む通信モジュールが設けられ得る。
【0033】
中央制御手段は、例えば当該機械の操作者に、力が所定の閾値(例えば、所定の過剰な力の閾値)を超えているか否か、を通知するための情報目的で構成され、当該閾値は関連する1または複数の摩耗要素のその後の破損リスクに関するものであり、及び/または、力が最適な動作レベル(例えば、所定の最適な力の閾値)よりも低いか否か、を通知するための情報目的で構成され、当該動作レベルはその後に更なる力に耐えることができ従って更なる力を供給して掘削する可能性に関するものである。これらのタイプの通知の両方が、掘削及び積込サイクルの改善または最適化をもたらし得て、関連する1または複数の摩耗要素の破損経験のリスクが低減され、あるいは、その後の力が前記1または複数のセンサで再度測定されるため、即時のリスクは全く無い。従って、当該機械によるその後の掘削は、より多くの掘削力がそれに適用される時に摩耗要素が曝される過剰の(excessive)または次善の(suboptimal)力について監視される。
【0034】
中央制御手段は、1または複数のプロセッサ、1または複数のメモリ、及び、(1または複数の)センサまたは制御電子機器からデータを受信するための通信モジュール(無線通信または有線通信のいずれかとして)、を有する。
【0035】
幾つかの実施形態では、中央制御手段は、それ上に配置された1または複数のセンサを有する摩耗要素ごとに、あるいは、それら間に配置された1または複数のセンサを有する摩耗要素の対ごとに、少なくとも1つのプロセッサ及び少なくとも1つのメモリを有する。各少なくとも1つのプロセッサは、それらの測定値に基づいて、それぞれのセンサが耐えている力を計算する。この態様では、監視される摩耗要素の各々が、その力の計算のための少なくとも1つのプロセッサを有する。
【0036】
幾つかの実施形態では、中央制御手段は、更に、当該機械によって適用されている力を調整する、掘削器具(従って、GET)の迎角を変更する、及び、掘削器具の軌道を変更する、のうちの少なくとも1つのための指示を提供する。この目的のために、中央制御手段は、計算された力が所定の閾値(例えば、所定の過剰な力の閾値)を超えているか否か、及び/または、計算された力が最適な動作レベル(例えば、所定の最適な力の閾値)未満であるか否か、に基づいて前記指示を提供する。当該指示の提供は、例えば、監視対象の摩耗要素ごとに計算された力を処理する追加の1または複数のプロセッサ及び追加の1または複数のメモリによって、実行され得る。この場合、異なるプロセッサが、それらの組み合わせ処理のために、前記計算された力を前記追加のプロセッサに提供する。
【0037】
中央制御手段は、当該機械によって適用される力、バケットの迎角、及び、バケットの軌道、のうちの少なくとも1つを自動的に調整、規制、及び修正するための指示によって、当該機械の操作者を支援し得る。これによって、中央制御手段に設定された所定の閾値に基づいて、最適かつ最も生産的な態様で、操作者が掘削及び積込動作を実行するのを支援する。これにより、予定外の停止が防止され、移動量1トンあたりのコストが改善される。調整、規制、及び修正が実行される態様は、地面に係合する時のバケットに多かれ少なかれ力を加えることによって(すなわち、油圧システムのシリンダに多かれ少なかれ圧力が加えられることによって)、及び/または、掘削及び積込動作中にバケットが地面に接触する迎角を変更することによって、及び/または、掘削及び負荷操作中にバケットが辿る軌道を変更することによって、である。後者は、機械のブーム及びスティックを動かすことによって、達成される。
【0038】
追加的または代替的に、前記追加の1または複数のプロセッサ及び1または複数のメモリが、計算された力を処理し得て、GETの動作及び選択的に機械の動作に関する情報を提供し得る。
【0039】
中央制御手段によって実行される処理は、好ましくは、摩耗要素及び選択的に機械の状態及び動作をより正確に漸進的に判定するように、機械学習を実施することを含む。これにより、摩耗要素及び機械が置かれている状況により適切に調整された指示の提供が可能になる。これに関して、中央制御手段は、摩耗要素及び/または機械の動作の履歴データ、機械の動作中に受信された機械からの入力及び/またはその履歴データ、などを利用可能である。
【0040】
幾つかの実施形態では、中央制御手段は、機械の(1または複数の)入力に更に基づいて摩耗要素が耐える力を計算する。(当該入力は、典型的には機械の中央制御手段によって提供されるが、当該機械のそれぞれの構成要素またはシステム内で生成されたデータの全てを収集するユニットによって提供されてもよい。)当該入力は、機械が供給する電力、掘削力(すなわち、BOF)、エネルギ消費、機械の油圧システムの性能、等のうちの1または複数であり得て、これらは、中央制御手段がその通信モジュールを介して受容する。中央制御手段は、計算された力と共に入力を解釈し、その完全な処理の後、当該手段は、前述のように、供給されるべき力を自動的に調整、規制、及び修正する出力指令を提供する。これに関して、機械の(1または複数の)入力は、所定の閾値の調整に帰結する可能性があり、従って、2つの異なる状況での同じ力の値が、異なる出力指令をもたらす場合がある。
【0041】
一例として、掘削力及び/またはエネルギ消費が、過剰と定義されている特定の値を超えていて、従って、機械の動作に不便があるとみなされる時、当該所定の過剰の力の閾値が低下され得る。このように、力の値が関連する摩耗要素の破損のリスクを伴わないと思われる場合でも、機械の全体的な動作においては、例えば油圧システムの故障等、他の問題が発生するリスクは存在する。機械の入力と力の値とを組み合わせたデータは、中央制御手段によって処理され得て、指示に従った機械の調整を行い得る。あるいは、中央制御手段は、機械の入力に基づいて所定の閾値を調整しない場合があるが、力の値は、例えば、処理された力の値を変更する実数の形式の補正係数を適用することによって、前記入力に基づいて調整される。両方の態様で、同じ結果が得られる可能性がある。
【0042】
同様に、中央制御手段は、機械の入力と力の値との両方を処理して、掘削及び積込動作を改善して操作者を支援する指令を提供する。これは、前述のように、最適で最も生産的な態様で当該動作を実施して、予定外の停止を防ぎ、移動量トンあたりのコストを改善する、ということに帰結し得る。
【0043】
中央制御手段が力の値のみを処理する時、及び、当該手段が力の値と機械の入力との両方を使用する時、中央制御手段は、動作中に適用される力を処理されたデータに依存して規制することで、その最適な動作のために機械を管理して、機械の効率と動作自体の生産性とを最大化する。
【0044】
本開示の文脈において、「掘削力」という用語は、「適用される力」及び「掘る力」と交換可能に用いられており、地面に係合(作用)するためにバケットに適用される力を指している。
【0045】
幾つかの実施形態では、中央制御手段は、(当該中央制御手段によって処理されたような)センサからの情報を機械の制御センターに提供するべく、機械の制御センター特徴部と通信可能に結合するように構成されており、それによって、中央制御手段によって提供される実際のデータによって機械が情報を管理することを可能にしている。
【0046】
中央制御手段と機械との間のリアルタイム通信により、当該機械は、受け取った圧力、力または負荷の読取値に基づいて、データを解釈して判定を下すことができる。
【0047】
当該システムの(1または複数の)センサで測定される力または圧力が、所定の閾値(例えば、所定の過剰な力の閾値)を超える計算された力の値に帰結する時、中央制御手段は、好ましくは、以下のうちの少なくとも1つを実施する。なお、前記閾値は、通常、摩耗要素の機械的特性(例えばその抵抗)に基づいて確立され、選択的にはそれらが曝される摩耗に基づいて確立される。
・適用される掘削力が低減されない場合、及び/または、摩耗要素に作用する力を低減するべくバケットの迎角または軌道が変更されない場合、関連する摩耗要素の差し迫った破損の可能性があることについて、1または複数の知覚可能な信号(通常、機械の制御センターによって制御されるもので、当該理由のために中央制御手段がそのような信号を出力するための指令を提供する)によって操作者に通知すること。
・摩耗要素の破損の可能性を低減するか、更にはそれを防止するために、適用される掘削力を低減するかバケットの迎角または軌道を変更するように指令を機械に提供すること。
【0048】
当該(1または複数の)センサで測定される力または圧力が、前記摩耗要素の確立された最適レベル(例えば、所定の最適な力の閾値)未満である時、中央制御手段は、好ましくは、当該動作中により大きい力を適用できる可能性について、1または複数の知覚可能な信号によって操作者に通知する。前記閾値は、通常、少なくとも摩耗要素の機械的特性と既知であればそれらが曝される摩耗とに基づいて確立される。中央制御手段が、モータ、油圧システム、伝送ケーブル等の機械の他の構成要素の制限及び条件に対して、並びに、機械の実際の構造的抵抗に対して、機械から入力を受容する場合、当該中央制御手段は、それらの入力が、掘削力の可能性ある増大、迎角の変化、あるいは、バケットが辿る軌道の変化(より大きな適用力に帰結する)、を示すが、機械に危険を及ぼさない時にのみ、操作者に通知し得る。その結果、力の値と入力との両方を処理する時に、中央制御手段が、適用される力が増大される場合に可能性あるリスクを判定する場合、当該手段は、好ましくは、掘削力の増大の可能性を操作者に通知しないか、あるいは、当該手段は、操作者に通知し得るが当該操作者がそれらの他の構成要素の制限及び条件を考慮しなければならないことをも示す。これは、中央制御手段が、前記入力を受け取らない時にも当て嵌まる。別の代替案では、中央制御手段が、適用される力を増大させるか、または、適用される力を増大させるようにバケットの軌道または迎角を変更するように、機械に指令を提供し、これにより、掘削及び積込動作を最適化し、それによって積込サイクルを短縮して動作自体の効率を改善する。この場合も、中央制御手段は、当該手段が機械から前記入力を受容し、適用される力が増大される場合に機械を損傷するリスクが存在する場合、前記指令を提供しないことを決定し得る。
【0049】
一方で、これは、システム(摩耗要素、1または複数のセンサ、等)の破損を低減または防止することを許容する。それは、機械の予定外の停止を防ぐ。機械の予定外の停止は、鉱山、採石場、建設現場等の生産性に影響を与えるために、非常にコスト高である。他方で、それは、摩耗要素のサイズを最適化することを許容し、破損のリスク無しでのより多くの浸透、それらが破損しない保証付きのより小さくてより貫通する歯部、の間の最適なバランスを追求することを許容する。なぜなら、最終的な応力に近づく場合、機械は、掘削力を低減するべく、対応する情報及び/または指令を受容し、それによってより高い掘削効率を提供し、より高い生産性をより低いエネルギ消費で提供する。摩耗要素のサイズは、本開示のシステムから得られる計算された力、並びに、可能性として、エネルギ消費、積込ごとに移動されるトン数、地形の特性、等の機械及び/または動作の他の値、を監視することによって最適化され得る。これらの情報を使用して、例えば、その後の摩耗要素の交換が行われるべき時、操作者は、そうすることを決定し得るが、異なる形状の摩耗要素(例えば、より長いまたはより短い歯部、より鋭いまたはより鈍い歯部)または異なるサイズの摩耗要素を伴い得るし、GET全体または歯バーが交換されてもよい。それらの両方が動作の効率を改善させる。一例として、更なる力が摩耗要素に適用され得る時、より長くてより鋭い歯部が動作を改善し得て、一方、過剰な力が摩耗要素に適用されてしまっている時、より短くてより幅広な歯部が動作を改善し得る。
【0050】
摩耗要素に関するデータをリアルタイムで機械に提供する当該機能により、二重通信システムが可能になる。すなわち、機械自体に関するデータ(電力、油圧システム等)を、当該システムで測定された地形のデータと組合せることが可能である。このフィードバックは、機械の操作者が実際のデータを入手することを許容し、掘削及び積込プロセス中により良好な決定をなすことを許容する。更に、当該システムは、適用される力を自動的に規制、修正及び調整することで操作者を支援し得て、操作者の作業をより容易かつより正確にする。同一のシステムは、機械自体の操作者無しで、自律的な機械環境内で作動可能である。操作者室内に操作者がいない遠隔制御の機械であれ、自律型の機械であれ、当該システムは、より正確かつ効率的に掘削プロセスを実行しつつ、摩耗要素の破損を低減または防止することを可能にする。
【0051】
適用される力を増大ないし低減することは、好ましくは、バケットを移動させるためにシリンダで適用される力を、それぞれ、増大ないし低減することを意味する。迎角を変更して適用される力を増大ないし低減させることは、好ましくは、バケットが地面に係合する1または複数の角度を変更することを意味する。なぜなら、シリンダで適用される力の増大ないし低減が指令されていない場合であっても、バケットが地面に係合する角度に依存して、結果として生じ適用力がより大きくなるかより小さくなるからである。バケットが辿る軌道を変更して適用される力を増大ないし低減させることは、好ましくは、地面に係合する前にバケットがその軌道全体をどのように移動するかを変更することを意味する。なぜなら、シリンダで適用される力の増大ないし低減が指令されていない場合であっても、地面に係合するためにバケットが移動する態様に依存して、結果として生じ適用力がより大きくなるかより小さくなるからである。
【0052】
幾つかの実施形態では、当該システムは、当該機械を更に含み、当該機械は、中央制御手段と通信可能に結合された制御センターを含む。
【0053】
本発明の第2の態様は、掘削器具と、本発明の第1の態様によるシステムであって、その複数の摩耗要素が掘削器具のブレードと結合されている、というシステムと、を含む土工機械に関する。
【0054】
幾つかの実施形態では、当該機械は、当該機械を作動させるための制御センターを更に備える。更に、これらの実施形態では、当該システムは、中央制御手段を含み、当該中央制御手段は、制御センターと通信可能に結合されている。中央制御手段は、少なくとも前記1または複数のセンサの測定値に基づいて当該機械を作動させるために、出力指令を制御センターに提供する。そして、制御センターは、当該制御センターによって提供される指令によって少なくとも部分的に当該機械が作動されるように、少なくとも前記出力指令に基づいて当該機械を作動させる。
【0055】
当該システムは、半自動(すなわち、コントロールセンターによって提供される指示によって部分的に操作される)及び/または自動の機械環境内で作動することを可能にし、すなわち、機械の操作において操作者を支援するか、または、当該操作について操作者なしでデジタル操作される機械を支援する。当該システムは、当該システムによって測定されるデータと機械自体によって提供されるデータとの統合により、より高い精度と効率で掘削プロセスを実行し、摩耗要素の予期しない破損の可能性を減らすないし防ぐことを許容する。また、半自動機械環境内では、操作者は、機械内にいてもよいし、機械から離れていてもよい。すなわち、機械を制御及び操作できる他の施設にいてもよい。
【0056】
幾つかの実施形態では、当該機械は、コンピュータビジョン手段と、当該機械のブームの位置と向きとの両方を検知するための第1手段と、スティックの位置と向きとの両方を検知するための第2手段と、掘削器具の位置と向きとの両方を検知するための第3手段と、を更に備える。
【0057】
コンピュータビジョン手段は、カメラ、及び、LIDARシステム、のうちの少なくとも1つであり得る。このような手段を使用して、環境と地形とがどのようになっているのかを判定することができ、従って、機械の向きを変えてGETで地面に作用(係合)できる。第1手段、第2手段及び第3手段は、各々、当該技術分野で知られているように、ブーム、スティック及びバケットの位置及び向きの測定値を提供するセンサを含み、例えば、カメラ、レーダー、LIDAR、及び、それらの可動部分間の角度を測定するためのセンサ、を含む。
【0058】
中央制御手段と通信可能に結合されることに加えて、制御センターは、好ましくは、機械から離れた制御ステーションと通信可能に(無線で)結合され、そこで操作者は当該機械を制御及び操作できる。この目的のために、制御ステーションは、コンピュータビジョン手段や第1、第2及び第3手段からのデータが操作者に示される1または複数のユーザ提示手段を備える。
【0059】
制御ステーションは、更に、機械の遠隔操作のための1または複数のユーザ入力手段を備える。制御ステーションは、ユーザの指令を機械の制御センターに送信する。機械の制御センターは、当該指令の受信時に当該指令を実行するか、あるいは、中央制御手段から受信した入力及び機械の任意の他の入力に基づいて当該指令を処理する。後者の場合、ユーザの指令は、機械の状態に応じて調整、規制及び修正のいずれかがなされて、本発明の第1の態様を参照して前述されたように、操作者は、機械内で生成されたデータのおかげで機械の動作において支援される。
【0060】
機械が自律的に作動される場合、制御センターは、少なくとも、コンピュータビジョン手段、第1手段、第2手段、第3手段、及び、中央制御手段、の各々からのデータを使用して当該機械をナビゲートし、ブーム、スティック及びバケットを作動させる。この結果、掘削及び積込動作、輸送動作、並びに、排出動作が実行される。この意味で、中央制御手段から受容されるデータ及び/または指令は、ブーム、スティック及びバケットを作動させるように制御センターによって処理される。なぜなら、当該データは、掘削動作がどのように実行されているか、掘削力か過剰であるか最適以下であるか、バケット及びその摩耗要素が地面にどのように作用しているか、を示しているからである。
【0061】
様々な摩耗要素からの測定値は、摩耗要素自体にかかっている負荷という観点からだけでなく、摩耗要素が噛み合っている地面のタイプという観点からも、それらがどのように地面に噛み合っているかを示している。後者に関して、力の値は、地面の特殊性を示している可能性があり(特に、限定ではないが、機械学習技術がこれらの値に適用される時)、それは、当該地面が係合される態様や、より効率的な土木作業に必要とされる摩耗要素のタイプ及びサイズの両方に、影響を与えるものである。
【0062】
コンピュータビジョン手段によって、制御センターは、例えば掘削手順の様々な工程を実行するために採石場内で、機械をナビゲートする。また、それは、機械と地面との間の距離がバケットが地面に到達可能な距離値の範囲内となるように、制御センターまたは中央制御手段によって決定された通りのバケットの迎角及び軌道で、作業(係合)されるべき地面に向けて機械を移動させる。この意味で、コンピュータビジョン手段は、地形に関してそれらが提供するデータ(例えば、その形状、GETで噛み合わせてバケットを引き出す時にそれがどのように変化するか、等)のおかげで、動作を更に支援することができる。明らかなように、決定される迎角は、バケットが地面に作用(係合)する迎角でなければならない。これにより、機械と地面との間の距離が適切に制御されていないと、バケットが異なる迎角で地面に作用(係合)する結果となり得る。同様に、制御センターは、距離に関して(地面がどのように係合される予定かに従って)機械を適切に位置決めする必要があるだけでなく、(機械自体によって、あるいは、操作者によって(幾つかの場合、機械によって支援される)指令されるように地面に噛み合うように機械を適切に方向付ける必要がある。従って、制御センターは、コンピュータビジョン手段からのデータを、半自動または自動の動作が適切に実行されるように、地面係合の指令と共に処理する。
【0063】
幾つかの実施形態では、制御センターは、当該制御センターによって提供される指令によって当該機械が完全に作動される(すなわち、自律的である)ように、少なくとも前記出力指令に基づいて当該機械を作動させる。
【0064】
幾つかの場合、コンピュータビジョン手段は、移動可能及び/または回転可能であり、制御センターは、それらが地形から提供するデータを変更するためにコンピュータビジョン手段を操作する。
【0065】
本発明の第3の態様は、本発明の第2の態様の実施形態による自律型の(すなわち、操作者なしの)土工機械に関する。
【0066】
本発明の第4の態様は、
土工機械にシステムを提供する工程であって、
前記システムは、
土工機械の掘削器具のブレードと結合するように適合された複数の摩耗要素と、
力を測定するための1または複数のセンサと、
を有しており、
前記1または複数のセンサのうちの各センサは、前記複数の摩耗要素のうちの1つの摩耗要素に、または、前記複数の摩耗要素のうちの2つの摩耗要素の間に、配置されている
という工程と、
前記1または複数のセンサを用いて力(例えば、歪や単一変形の形態)を測定する工程と、
前記1または複数のセンサの測定値を中央制御手段で処理して前記測定値に基づいて力を計算する工程と、
前記中央制御手段で、前記計算された力に基づいて実施されるべき動作を判定する工程と、
を備え、
前記計算された力が所定の過剰な力の閾値を超える時、前記動作は、少なくとも1つの知覚可能な信号の形態で警告を発すること、及び、自動的態様で前記土工機械の掘削力を低減すること、の少なくとも1つであり
前記計算された力が所定の最適な力の閾値より小さい時、前記動作は、少なくとも1つの知覚可能な信号の形態で警告を発すること、及び、自動的態様で前記掘削力を増大させること、の少なくとも1つである
ことを特徴とする方法に関する。
【0067】
当該システムは、土工機械のバケットのブレード内に配置されており、これによって、摩耗要素に作用する力、圧力、及び/または、負荷、に関する実際のデータを取得することを可能にしている。
【0068】
土工機械による掘削中に、前記1または複数のセンサが、摩耗要素が曝されている歪または単一変形を測定する。中央制御手段は、前記1または複数のセンサから測定値を受け取り、それらを処理して、警告を発する、及び/または、所定の閾値に関連する力の値に従って機械の掘削力を変更する。中央制御手段は、これらの動作のいずれかに対応する出力指令を提供し得て、その結果、機械の制御センターが当該動作を実行し得る。この目的のために、中央制御手段は、1または複数のプロセッサ、1または複数のメモリ、及び、センサから、更に選択的に機械から、データを受信するための通信モジュール、を有している。通信モジュールはまた、機械に、例えば機械の動作を制御するその制御センターまたはユニットに、データを送信してもよい。
【0069】
幾つかの実施形態では、前記掘削力を増大ないし低減することは、前記機械の油圧システムのシリンダに適用される圧力を、それぞれ、増大ないし低減すること、前記掘削器具の迎角を変更して、前記掘削力を、それぞれ、増大ないし低減すること、並びに、前記掘削器具が辿る軌道を変更して、前記掘削力を、それぞれ、増大ないし低減すること、のうちの少なくとも1つを有する。
【0070】
幾つかの実施形態では、前記土工機械は、当該機械を作動させるための制御センターを有しており、前記中央制御手段で判定される動作は、少なくとも、前記計算された力が所定の過剰な力の閾値を超える時、自動的態様で前記土工機械の前記掘削力を低減すること、及び、前記計算された力が所定の最適な力の閾値より小さい時、自動的態様で前記掘削力を増大させること、を有している。更に、これらの実施形態において、前記制御センターは、前記制御センターによって提供される指令によって少なくとも部分的に前記機械が作動されるように、前記機械を作動させる。
【0071】
幾つかの実施形態では、前記機械は、更に、コンピュータビジョン手段と、当該機械のブームの位置と向きとの両方を検知するための第1手段と、当該機械のスティックの位置と向きとの両方を検知するための第2手段と、当該機械のバケットの位置と向きとの両方を検知するための第3手段と、を有する。これらの実施形態の幾つかでは、前記制御センターは、前記制御センターによって提供される指令によって前記機械が完全に作動されるように、少なくとも前記動作に基づいて前記機械を作動させる。
【0072】
幾つかの実施形態では、当該システムは、本発明の第1の態様によるシステムである。
【0073】
幾つかの実施形態では、当該機械は、本発明の第2または第3の態様による機械である。
【0074】
本発明の第1の態様について説明されたものと同様の利点が、本発明の第2、第3及び第4の態様にも適用可能である。
【0075】
本発明の第5の態様は、
破砕ステーションの計算装置によって、土工機械の複数の摩耗要素に適用される力の値、または、土工機械に投入される材料の特性を示すデータ、を受信する工程と、
前記計算装置によって、前記力の値が受信される時の当該力の値に少なくとも基づいて、材料の特性を判定する工程と、
前記計算装置によって、受信または判定された材料の特性に少なくとも基づいて、前記破砕ステーションの動作を調整する工程と、
を備えたことを特徴とする方法に関する。
【0076】
土工作業により発生した材料を破砕するステーション(破砕機)の計算装置は、破砕対象の材料の特性に応じた破砕ステーションを構成するべく、前記力の値や前記データを処理し得る。材料が均質であるか、不均質であるか、圧縮されているか、岩成分が多いか、緩いか、圧縮されていないか、硬度などは、材料を高速かつ低エネルギ消費で粉砕するために、粉砕ステーションを可能な限り最適に設定するための重要な情報である。
【0077】
好ましくは本発明の第1の態様によるシステムまたは本発明の第2及び第3の態様のいずれかによる機械からの、前記値または前記データの受信時、前記計算装置は、材料の特性を決定し(それが受けた力の値である場合)、それに応じて動作を調整する。そうでなく、データが受信される場合、計算装置は当該データを使用して、それに応じて動作を調整する。
【0078】
幾つかの実施形態では、破砕ステーションの動作を調整することは、その力を変更すること、その回転を変更すること、及び、その円錐を調整すること、のうちの少なくとも1つを含む。
【0079】
説明を完成させるため、そして本発明のより良い理解を提供するため、一組の図面が提供される。前記図面は、当該説明の一体的な一部分を形成し、本発明の実施形態を例示する。それらは、本発明の範囲を制限するものとして解釈されるべきではなく、本発明がどのように実施され得るかの例として解釈されるべきである。当該図面は以下の図で構成される。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【
図1】
図1乃至
図3は、様々な実施形態によるシステムを、ブロック図形式で示している。
【
図2】
図1乃至
図3は、様々な実施形態によるシステムを、ブロック図形式で示している。
【
図3】
図1乃至
図3は、様々な実施形態によるシステムを、ブロック図形式で示している。
【
図4】
図4及び
図5は、センサ付きの歯部を含む一実施形態によるシステムの一部分の斜視図及び縦断面立面図である。
図5には、前記システムと共に土工機械を使用した結果の力ベクトルも示されている。
【
図5】
図4及び
図5は、センサ付きの歯部を含む一実施形態によるシステムの一部分の斜視図及び縦断面立面図である。
図5には、前記システムと共に土工機械を使用した結果の力ベクトルも示されている。
【
図6】
図6は、センサ付きの歯部及び歯バーアセンブリを含む一実施形態によるシステムの縦断面立面図である。
【
図7】
図7は、センサ付きの歯部及び歯バーアセンブリを含む一実施形態によるシステムの縦断面平面図である。
【
図8】
図8は、センサ付きの歯バーを含む一実施形態によるシステムの縦断面立面図である。
【
図9】
図9は、少なくとも歯バー内にセンサを含む一実施形態によるシステムの縦断面立面図である。
【
図12】
図12は、複数の実施形態によるシステム用のセンサを図式的に示している。
【
図13】
図13は、摩耗要素間にセンサを有する一実施形態によるシステムの縦断面立面図である。
【
図14】
図14は、少なくとも歯バー内にセンサを有する一実施形態によるシステムの一部分の斜視図である。
【
図15】
図15乃至
図17は、センサを有するクランプの形態の固定要素を含む複数の実施形態によるシステムの一部分の斜視図である。
【
図16】
図15乃至
図17は、センサを有するクランプの形態の固定要素を含む複数の実施形態によるシステムの一部分の斜視図である。
【
図17】
図15乃至
図17は、センサを有するクランプの形態の固定要素を含む複数の実施形態によるシステムの一部分の斜視図である。
【
図19A】
図19A及び
図19Bは、少なくとも歯部のハウジング内に受容されるべき歯バーの一部内にセンサを含む一実施形態によるシステムの歯バー及び歯部の斜視図である。
【
図19B】
図19A及び
図19Bは、少なくとも歯部のハウジング内に受容されるべき歯バーの一部内にセンサを含む一実施形態によるシステムの歯バー及び歯部の斜視図である。
【
図20】
図20は、土工機械のバケット上のセンサを使用して行われた力測定のグラフを示している。
【
図21】
図21は、機械のブーム内のシリンダ上の複数のセンサによる複数の力の測定値のグラフを示している。
【
図23A】
図23A乃至
図23Eは、一実施形態によるシステムの測定値を処理することによる、計算された力及びバケットの角度のグラフを示している。
【
図23B】
図23A乃至
図23Eは、一実施形態によるシステムの測定値を処理することによる、計算された力及びバケットの角度のグラフを示している。
【
図23C】
図23A乃至
図23Eは、一実施形態によるシステムの測定値を処理することによる、計算された力及びバケットの角度のグラフを示している。
【
図23D】
図23A乃至
図23Eは、一実施形態によるシステムの測定値を処理することによる、計算された力及びバケットの角度のグラフを示している。
【
図23E】
図23A乃至
図23Eは、一実施形態によるシステムの測定値を処理することによる、計算された力及びバケットの角度のグラフを示している。
【
図24】
図24は、一実施形態によるシステムを有する土工機械を遠隔制御する操作者を示している。
【
図25A】
図25A乃至
図25Cは、複数の実施形態によるシステムで計算された、バケットに作用する力または迎角の様々な例を示している。
【
図25B】
図25A乃至
図25Cは、複数の実施形態によるシステムで計算された、バケットに作用する力または迎角の様々な例を示している。
【
図25C】
図25A乃至
図25Cは、複数の実施形態によるシステムで計算された、バケットに作用する力または迎角の様々な例を示している。
【
図27】
図27は、複数の実施形態によるシステムの中央制御手段による例示的な処理をブロック図の形態で示している。
【
図28】
図28は、一実施形態による方法をブロック図の形態で示している。
【
図29】
図29乃至
図32は、土工機械の掘削及び積込作業を調整する例示的な方法を示している。
【
図30】
図29乃至
図32は、土工機械の掘削及び積込作業を調整する例示的な方法を示している。
【
図31】
図29乃至
図32は、土工機械の掘削及び積込作業を調整する例示的な方法を示している。
【
図32】
図29乃至
図32は、土工機械の掘削及び積込作業を調整する例示的な方法を示している。
【発明を実施するための形態】
【0081】
図1は、幾つかの実施形態によるシステム1を示している。システム1は、土工機械のバケットまたはショベルのブレードと結合するように適合された複数の摩耗要素10を備えている。当該複数の摩耗要素10は、少なくとも、歯部11、歯バー12、固定要素13、14、並びに、前方及び/または側方ガード15、を含んでいる。これらの摩耗要素の幾つかの異なる例が、他の図を参照して以下に説明される。
【0082】
当該システム1はまた、複数の摩耗要素10のうちの1つの摩耗要素(その表面、または、当該摩耗要素に形成された空洞、のいずれかに取り付けられている)に、あるいは、複数の摩耗要素10のうちの2つの摩耗要素の間(その表面間の空間、または、当該2つの摩耗要素の間に形成された空洞、のいずれかに取り付けられている)に配置された1または複数のセンサ20を含んでいる。一例として、当該システム1は、30個のセンサ20を含み得て、そのうちの15個が、5個の歯部の各歯部11内に3個のセンサが存在するように配置され、残りの15個のセンサ20が、5本の歯バーの各歯バー12内に3個のセンサが存在するように配置されている。
【0083】
摩耗要素の1つにある各センサは、軸の1つに従って力の値を計算するための測定値を提供する。従って、3つの軸の全ての力を計算するために、摩耗要素ごとに少なくとも3つのセンサが配置されている。
【0084】
センサ20は、摩耗要素または摩耗要素間に配置されている間に力を測定するように構成されている。例えば、センサは、摩耗要素に適用される力に関連する歪または単一変形を測定可能である。
【0085】
図2は、幾つかの実施形態によるシステム2を示している。システム2は、複数の摩耗要素10、1または複数のセンサ20、並びに、制御電子機器40及び中央制御手段50の両方、を含む。
【0086】
制御電子機器40は、1または複数のセンサ20と(有線または無線通信を介して)、中央制御手段50と(無線または有線通信を介して;中央制御手段50は、好ましくは、同じ摩耗要素に配置されていないか、または、同じ摩耗要素間に配置されておらず、摩耗要素の外側にあり、これらの場合、好ましくは、通信は無線である)、通信可能に結合されており、通信モジュール(不図示)を介してセンサ20の測定値を後者50に提供する。各センサ20は、それぞれの制御電子機器40を有し得て、あるいは、同じ摩耗要素10内にまたは同じ摩耗要素10間に配置された幾つかのセンサ20が、1または複数の制御電子機器40を共有し得る。制御電子機器40は、測定値を受信し、それらをアナログ-デジタル変換器でデジタル化し、デジタル化と同時に、あるいは当該処理の後、測定値のデータストリーム出力を提供する。例えば、制御電子機器40は、ノイズを除去するために、測定値にデジタルフィルタを適用し得る。
【0087】
中央制御手段50は、好ましくはシステムの各センサ20について、少なくとも1つのプロセッサ51、少なくとも1つのメモリ52、及び、通信モジュール53を有する。中央制御手段50は、制御電子機器40から測定値を受容し、それらを処理して、摩耗要素10に作用する力の値を計算する。次に、通信モジュール53によって、これらの値は、システム2を組み込んだ機械の制御センターに送信され得て、掘削手順中に摩耗要素10に適用された力について操作者に通知し、当該データを知った上で機械をどのように操作するか、異なる摩耗要素が当該掘削手順にとってより好適であり得るか否か、及び/または、摩耗要素の故障のリスクがあってその交換が好都合であるか否か、を当該操作者が決定できるようにし得る。制御センターはまた、受容した力の値を処理し得て、少なくともそれに基づいた指令を提供し得る。
【0088】
また、少なくとも1つのプロセッサ51により、中央制御手段50は、例えば、前記測定値を用いて当該少なくとも1つのプロセッサ51によって決定されるような、摩耗要素10の状態、または、掘削力の推奨レベル、を示す1または複数のユーザ知覚信号の提供を指示する指令を提供可能であり、並びに/または、例えば、掘削力、機械のバケットの迎角、及び/若しくは、機械のバケットが辿る軌道、を変更することによって、システム2を組み込んだ機械の動作を制御または支援するための指令を提供可能である。中央制御手段50は、そのような指令を機械の制御センターに送信し、機械の制御センターは、手段50から受容した指令を実行し得る、または、当該制御センターが機械の他の構成要素から入手する測定値に従ってそれら(指令)を処理及び修正し得る。
【0089】
中央制御手段50による指令の提供のため、当該手段50はまた、機械から(例えば、制御センターからまたはその様々なユニットから)、機械の他の構成要素の状態に関する入力を受容し得る。従って、手段50のプロセッサ51は、計算された力の値と共にそのような入力を処理し、両方のデータソースに基づいて指令を提供する。
【0090】
力を計算するために、感知される要素の機械的挙動を定義する方程式のセットが、歪または単一変形が受容される時に力の値を出力する中央制御手段50の少なくとも1つのメモリ52内に格納される。当該方程式のセットは、物理法則に依存し、好ましくは、当該技術分野で知られているように、力の合計がゼロに等しくなり、且つ、運動量の合計もゼロに等しくなるように、静的平衡条件を設定する。当該状況では、摩耗要素は平衡状態にあり、移動しておらず変形もされていないため、当該摩耗要素は、シミュレーションによってモデル化され得る所与の剛性を有しており、当該摩耗要素に作用する力に歪または単一変形を関連付ける方程式の係数が、実験的テストによって較正されて、前記測定値に基づいて正確な力の値を提供することを可能にする当該係数の値に到達する。従って、前記係数の前記値は、摩耗要素内のセンサの位置と、システムが機械のバケット内に搭載される時に使用されるセンサの数と、を考慮して較正される。
【0091】
システム2はまた、少なくとも制御電子機器40に電力供給するための、1または複数のバッテリ等の、1または複数の電力供給装置25を備える。好ましくは、必須ではないが、前記電力供給装置25のうちの1または複数は、摩耗要素10内に配置される。この態様では、摩耗要素10が交換される時はいつでも、センサ20、制御電子機器40及び電力供給装置25も同様に交換される。
【0092】
好ましくは、1または複数の電力供給装置25は、中央制御手段50に電力を供給するために、中央制御手段50の同じ場所に配置される。中央制御手段50は、好ましくは、摩耗要素10(そこはスペースが乏しく、追加のプロセッサ、メモリ及び電力供給装置を割り当てることが困難)の外側、例えば機械の操作者室(キャブ)内、に配置される。これらの場合、中央制御手段50は、機械自体の電力供給装置によって電力供給されてもよい。
【0093】
幾つかの実施形態では、センサ20は、センサ及び制御電子機器の全体的な寸法を低減するために、それに埋め込まれた制御電子機器40を有し得る。例えば、センサ20は、それに埋め込まれたアナログ-デジタル変換器と、通信モジュールと、を有し得る。これは、センサ20及び制御電子機器40の配置のためのスペース(摩耗要素内または摩耗要素間)が前記構成要素を取り付けるために可能な限りの最小化を要求する場合に、当て嵌まり得る。システム2によって提供され得るデータは、摩耗要素(例えば、それらの寸法、形状、数など)を、機械が直面する条件に合わせて調整することを可能にし、摩耗要素の寸法が低減され得て、過剰設計を回避することができ、センサ20及び制御電子機器40を割り当てるためのサイズはより制限されるようになる、ということが理解され得る。
【0094】
図3は、幾つかの実施形態によるシステム3を示している。システム3は、複数の摩耗要素10、1または複数のセンサ20、1または複数の電力供給装置25、制御電子機器40、及び、中央制御手段50を備えている。システム3はまた、バケット110及びその制御センター150を有する機械100を備えている。制御センター150には、少なくとも1つのプロセッサ151、少なくとも1つのメモリ152、及び、有線及び/または無線のデータ送受信のための通信モジュール153、が設けられている。バケット110は、スティック108と結合され、次いでブーム106と結合されている。
【0095】
図3の実施形態等の幾つかの実施形態では、機械100は半自動である、すなわち、少なくとも中央制御手段50及び制御センター150の支援を用いて操作者によって操作される、あるいは、機械100は自動である、すなわち、中央制御手段50及び制御センター150によって操作され、コンピュータ
ビジョン手段120、ブーム106の位置及び向きの両方を検知するための第1手段125、スティック108の位置及び向きの両方を検知するための第2手段130、及び、バケット110の位置及び向きの両方を検知するための第3手段135、を備える。制御センター150は、コンピュータ
ビジョン手段120の助けによって機械100の移動手段(不図示)、第1手段125の助けによってブーム、第2手段130の助けによってスティック、及び、第3手段135の助けによってバケット110、の各々を作動させ得る。また、中央制御手段50は、掘削力、バケット110の迎角、または、バケットの軌道(それらの各々が、ブーム及び/またはバケット110を操作することによって調整され得る)を調整するための指令;及び/または、中央制御手段50によってなされる計算に基づく、摩耗要素10の状態、計算された力の値、掘削力や迎角や軌道に対する可能性ある変化、等を示すユーザ知覚可能信号の提供またはデータの送信を指示することで機械100の操作者(もしあれば)に通知するための指令;を制御センター150に提供する。この目的のために、制御センター150は、データを例えば通信モジュール153によってリモートステーションに送信するか、あるいは、スクリーン、スピーカー、LED、振動装置等の機械100のユーザ提示手段(不図示)によってユーザ知覚可能信号を提供する。
【0096】
図4は、一実施形態によるシステムの摩耗要素としての歯部11の一部(
図5に示されるハウジング19は表されていない)を示している。
図5には、歯部11の全体が示されている。歯部11は、当該技術分野で知られているように、掘削作業中に地面に係合するように適合された第1端(以下、前部と呼ぶ)と、歯バー(例えば
図6及び
図7に示される)を受け入れるように適合された第2端(以下、後部と呼ぶ)と、を有する。歯バーは、土工機械のバケットに取り付けられたままであり得るように、歯部11を支持している(例えば、
図25A乃至
図25Cに示されるように)。
【0097】
歯部11は、第2端32の側、すなわち、歯バーが受容される側、に形成された空洞16aを有する。空洞16aは、当該側から開放している領域であり、当該領域は、歯バーに取り付けられる時に歯バーから自由である、すなわち、歯バーは取付時に当該空洞16aに到達しない。当該空洞16a内に、1または複数のセンサ20a-20bが、歯部11が曝される力を測定するために配置される。最も重要な力は、通常、掘削及び積込動作中の力である。理想的には、第1端31が地面に係合する。前記力は、最終的には、掘削力、バケットの軌道、バケットの迎角、ブレード上の摩耗要素の配置、及び、摩耗要素の形状、に依存する。
【0098】
当該実施形態では、空洞16a内に4つのセンサ20a-20bが配置されているが、それらのうちの2つは、歯部11の遠近法のために(
図4では)見えていない。4つのセンサ20a~20bは、それらの各々が、図示されたY軸及びZ軸に従って空洞16aを区切る壁の1つに取り付けられて配置されている。この意味で、力の測定は、好ましいことに、前記力が耐えられる場所に可能な限り近い点で行われる。センサがこれらの位置に配置されると、歯部11に適用される歪または単一変形は、歯部11の構造のかなりの部分にわたって測定可能である。なぜなら、各側の歪または変形の大きさ及び成分は、通常、他の側の歪または変形の大きさ及び成分とは異なるからである。これは、更に、歯部11(または、センサが異なる摩耗要素に配置されている実施形態における他の摩耗要素)が曝される力を計算するために使用され得る、より豊富な量の実際のデータを提供する。
【0099】
他の実施形態では、1または複数のセンサ、あるいは、各センサ20a-20bが、図示のX軸に従って空洞16aを区切る壁に配置されている。前記壁は、通常平坦であり、それによって、それへのセンサの取り付けが単純化される。
【0100】
1または複数のセンサ20a-20bは、例えば、平坦状または円筒状であり得る歪ゲージ、圧力ゲージ、相対変位ゲージ、光ファイバーストリップ、圧電ストリップ、または、圧力センサである。
【0101】
当該技術分野で知られているように、フックの法則によって、力に関連する応力と電圧に関連する応力とは、両方共がそれら自身の線形比例特性を有していることにより、リンク(関連付け)される。それらは、数学的に同じ比例定数の下にあると判定されリンクされ得る。従って、センサ20a-20b、例えば歪ゲージ、の所与の変形の下で、電圧が変化して、歯部11が受けた力が判定され得て、較正の対象とされ得る。
【0102】
明確のために、以下、X軸は、軸方向または長手方向と呼ばれ、Y軸は、横方向または横断方向と呼ばれ、Z軸は、縦方向と呼ばれる。本発明の範囲から逸脱することなく、軸及びそれらの名前が異なって定義され得ることは、容易に明らかである。
【0103】
図5に見られるように、歯部11は、当該歯部11への取付時に歯バーの一部を収容するハウジング19に接続された空洞16aを有する。前述のように、前記空洞16a内で、4つのセンサ20a-20d(断面図のためにセンサ20dの1つが別のセンサ20bと重なっている)は、その壁、特に側壁、に配置されているが、他の実施形態では、1つのセンサ、幾つかのセンサ、または全てのセンサが、前壁(すなわち、第1端31に最も近く、軸方向に関して空洞16aを区切る壁)に配置されている。
【0104】
空洞16aは、第1端31(幅矢印y1で示される)に近い空洞16aの一部(幅矢印wiで示されるように)、すなわち前部において、第2端(幅矢印y2で示される)に近い空洞16aの一部、すなわち後部よりも狭い、という先細の形状を有している。歯部11の外側部分と空洞16aとの間に定義される第1厚さは、後部よりも前部において、より厚い(厚さ矢印ti及びt2で示される)。
【0105】
歯部11に形成された(または後述されるように他の摩耗要素に形成された)空洞16aの幾何形状は、測定が十分に高感度であり得るように、且つ、極端に(過度に)高感度ではないように、変形及び電圧の両方を考慮に入れたようなものであり得る。これにより、測定値が電子ノイズと混同されないようになっている。従って、空洞16aの幾何形状はまた、掘削手順に典型的な作業応力に耐えるのに十分に頑丈であるようなものであり、更に、センサ20a-20bが変形によって損傷されて測定値を得ることを不可能にする(これは、センサ20a-20dの材料の弾性領域が超えられる時に、それらが永久的に変形されるために発生する)であろう最大変形限界を超えないようなものである。また、ハウジング19の幾何形状は、空洞が形成されない場合、接触点が一定になるように、ハウジングに関して変更され得る。この態様では、適用力と反作用点との間の距離が変化しない。なぜなら、さもなくば、それは、測定値に基づいて計算される力の精度を悪化させる測定値におけるエラー原因であり得るからである。
【0106】
好ましくは、センサは、より正確で安定した測定のために、その厚さが実質的に一定である壁の部分に配置される。
【0107】
図6は、センサ(不図示)に加えて、中央制御手段50、及び、歯部11内に形成された空洞16a内に配置された制御電子機器40、を含む一実施形態によるシステムを示している。
【0108】
この例では、歯バー12が、歯部11のハウジング内に受容されて、歯部11に取り付けられた状態で示されている。例えば、
図7にも見られるように、ピン14が、歯バー12を歯部11に固定している。歯部11内への歯バー12の導入にもかかわらず、破線に示すように、空洞16aが歯バー12から自由であり、これにより、力を測定するための構成要素を割り当てることができる、ということが視認され得る。
【0109】
制御電子機器40は、無線または有線形態のいずれかで、センサに接続されており、無線またはケーブルのいずれかで、信号を中央制御手段50に送信する。中央制御手段50は、当該実施形態では、摩耗要素11-12の外側に配置されている(例えば、機械100の操作者室(キャブ)内)。当該信号は、空洞16a内のセンサの測定値を含み、これにより、歯部11に作用する力または圧力がリアルタイムで取得され得る。
【0110】
中央制御手段50は、これらの測定値に基づいて、力の値を計算し、機械100(例えばその制御センター)と制御電子機器40またはセンサとの間の通信により、中央制御手段50によって展開される任意の指令55が、機械の作業を管理するために機械100に提供され得て、及び/または、中央制御手段50によって行われた任意の判定(決定)について、その操作者に通知し得る。また、中央制御手段50は、例えば、測定値の活性化または非活性化、サンプリングレートまたは伝送レートの調整、等を指示するために、センサまたはその制御電子機器40にデータを送信し得る。
【0111】
空洞16a内の制御電子機器40及び/またはセンサの偶発的な損傷を防止するために、それらを保護するための1または複数の要素が、好ましくは、湿気、水及び汚れに対して空洞16a内の構成要素を隔離するように設けられる。この意味で、例えばスチール等の金属製の固体板70の形態の保護要素が、前記空洞16a内に配置され、及び/または、前記空洞16aが、シリコーンや樹脂などの保護材でコーティングされる。これにより、空洞16a内の任意の自由空間が、部分的にまたは完全に充填される。更に、制御電子機器40は、その正しい機能に影響を与え得る粒子の衝突及び侵入に対して抵抗性能のある保護ケース内に収容されてもよい。
【0112】
図7は、
図6の実施形態と同様の一実施形態によるシステムの平面図を示しているが、歯部11は異なる幾何形状を有し、その中に形成された空洞16bは先細形状ではなく、むしろ、その側壁(すなわち、Y軸に関して空洞16bを区切る壁)は一定の厚さを有している。当該平面図では、歯バー12を歯部11と機械的に結合するピン14が、
図6におけるよりも、より良好に視認される。
【0113】
図6及び
図7のシステムの歯部11及び歯バー12は、歯バー12が好ましくはバケットのブレード(不図示)に溶接されるようなサイズである。
【0114】
図8は、歯バー12の空洞16c内に複数のセンサ20a-20eを含む一実施形態によるシステムを示している。
【0115】
空洞16cは、歯バー12の一部に形成され、そこで歯バー12は2つのアームに分岐し、それらの間にバケットのブレードが受容されて収容される。空洞16c内に、少なくとも5つのセンサ20a~20eが配置されており、2つのセンサ20b、20cが、空洞16cを縦方向に区切る一つの壁に配置され、2つのセンサ20d、20eが、空洞16cを縦方向に区切る反対側の壁に配置され、1つのセンサ20aが、空洞16cを軸方向に区切る壁に配置されている。本開示の範囲から逸脱することなく、センサの他の配置及び数が可能である。
【0116】
当該実施形態では、センサが歯部11内に配置されていないため、歯部11はその中に形成された空洞を有しないが、他の実施形態では、センサは、歯バー12に加えて歯部11内にも配置され得て、その場合、空洞が、同様に歯部11内に形成され得る。
【0117】
図9は、歯バー12のアーム内に形成された空洞16d内に1または複数のセンサを含む一実施形態によるシステムを示している。
【0118】
歯バー12は、ピン14によって歯部11に取り付けられており、当該歯バー12のアーム間でバケットのブレード111を受容している。歯バー12は、クランプ13(この場合はC型クランプ)及び楔14である固定要素13、14によって、ブレード111と機械的に結合されている。
【0119】
空洞16dは、各アームに形成された1または複数の貫通穴であり、その中に1または複数のセンサが導入されている。このようなセンサの一例が
図12に示されている。アームが分岐している場所に最も近いアームの部分に空洞16dを形成することは、歯バー12の機械的特性(地面との係合中の力に耐える)とセンサの力の測定値の精度との間の良好なトレードオフを提供する、ということが見出された。これらの空洞16の直径は、好ましくは、10ミリメートル以下であり、2ミリメートル以上であり、当該直径は、より好ましくは、5ミリメートルである。
【0120】
図10A及び
図10Bは、
図9の実施形態と同様の一実施形態によるシステムを示している。空洞16dは、
図9の実施形態と同じアームの部分に形成され、すなわち、アームが分岐する部分に形成されている。
【0121】
そのような空洞16d内に、例えば歪ゲージ(例えば円筒形)の形態のセンサ20a、20bが、歯バー12の歪または単一変形を測定するために導入される。
【0122】
図11A及び
図11Bは、
図9の実施形態と同様の一実施形態によるシステムを示している。空洞16eは、
図10A及び
図10Bの実施形態と同じアームの部分に形成され、すなわち、アームが分岐する部分に形成されている。
【0123】
空洞16eは、好ましくは、25ミリメートル以下の直径の穴であり、より好ましくは、15~25ミリメートルの範囲内の直径の穴である(両方の端点が含まれる)。これらの空洞16eは、貫通穴ではなく、それらは1つの開口部のみを特徴とする。前記空洞16e内には、必須ではないが、円筒形の歪ゲージまたは相対変位ゲージ等の1または複数のセンサ20、20bが、力を測定するために配置されている。
【0124】
【0125】
歪ゲージ21は、例えばスチール製の、貫通孔22を有するシリンダ23に取り付けられている。歪ゲージ21は、貫通孔22に導入されて取り付けられている。
【0126】
この例では、シリンダ23の直径は、約4または5ミリメートルであり、歯バー12に形成された空洞16dの直径よりも小さい。シリンダの貫通孔22の直径は、約2ミリメートルである。シリンダ23は、例えば接着剤24によって空洞16dの壁に取り付けられており、当該システムを組み込んだ機械の動作中にシリンダ23が空洞16dから抜け出ないようになっている。
【0127】
歪ゲージ21は、ケーブル(不図示)を介して、通常は空洞16dの外側にある制御電子機器または中央制御手段に、生成された測定値を提供する。測定値を送信することに加えて、当該ケーブルは、空洞16dの穴の直径の少なくとも一部を占めるので、空洞16d内への粒子の侵入を防ぎ、これによって、粒子に起因してセンサが損傷される可能性を低減する。
【0128】
図13は、センサ20a、20bが異なる摩耗要素間に配置されている一実施形態によるシステムを示している。特に、センサ20a、20bは、固定要素13a(C型クランプ)と歯バー12との間の空間内に配置されている。
【0129】
センサ20a、20bの測定値から、固定要素13aによって、または歯バー12によって、または好ましくはそれらの両方によって、耐えられている力が計算され得る。
【0130】
図14は、1または複数のセンサ20がシート上またはケース上に配置され(この例ではケースが示されている)、前記シートまたはケースが、歯バー12の一側面またはアームに形成された空洞16f内に配置されている、一実施形態によるシステムの一部を示している。
【0131】
空洞16fは、2つのアームが分岐している場所に近い歯バー12のアームの一部に形成されている。空洞16fは、アームの外側、すなわち、バケットのブレードが受容される場所の反対側に形成されている。
【0132】
シートまたはケースは、固定取り付け法または取り外し可能取り付け法のいずれかによって、空洞16f内で歯バー12に取り付けられている。前者に関して、シートまたはケースは、それを空洞に溶接することによって、または、接着剤を用いて、取り付けられ得る。この場合、接着剤は、空洞16fに適用される力が当該接着剤によって低減されてセンサ20によって測定される値が低減されないように、できるだけ剛性であることが好ましい。示されるように、取り外し可能取り付け法による取り付けは、少なくとも1つのネジ付きジョイント(好ましくは、シートまたはケースを歯バー12に確実に固定するための複数のそのようなジョイント)を提供することによって可能である。この目的のために、空洞16fには、ネジ付きジョイントを受容するための穴が設けられている。
【0133】
このようにシートまたはケースを配置することにより、歯バー12が最初にバケットのブレードに取り付けられ得て、必要に応じて溶接され、その後に、センサ20を有するシートまたはケースが歯バー12と機械的に結合され得る。シートまたはケースの構成要素(センサ、存在する場合の制御電子機器、電力供給装置等)の誤動作または故障の場合、歯バー12をバケットのブレードから引き抜くこと無しで、当該構成要素の交換が実行され得る。
【0134】
好ましくは、保護ケースが、前記シートまたはケースに取り付けられている。歯バー12がその機械的結合のためにバケットのブレードに溶接される場合、または、溶接接合部においてはんだ除去がなされる場合、前記保護ケース(シートまたはケースをその中に伴う)が既に空洞16f内に配置されていれば、当該保護ケースが、溶接作業やはんだ除去作業中に到達される高温に起因する構成要素の損傷を回避し得る。
【0135】
幾つかの実施形態では、両方のアームが、1または複数のセンサ20を伴うシートまたはケースを受容するようにその中に形成された空洞16fを有する。このようにして、各アームによって耐えられる力が、計算され得る。
【0136】
図15は、1または複数のセンサ(不図示)をその上に組み込んだボード20が固定要素13bに取り付けられている一実施形態によるシステムの一部を示している。
【0137】
固定要素13bは、歯バーをバケットのブレードに固定するためのC型クランプであり、溶接ジョイントは提供される必要がないか、または提供され得ない。これは、典型的には、ブレード及び/または歯バーが大きい寸法であって、溶接ジョイントでは、機械の動作に対して十分な信頼性がない可能性がある、という場合である。
【0138】
ボード20には、センサに加えて制御電子機器が設けられ得て、その場合、当該ボード20がC型クランプの一側面に取り付けられる時、制御電子機器は既にセンサに接続されている。
【0139】
ボード20の類似の配置が
図17に示されている。
図17は、C型クランプ13cが凹部を含むように形成されている他の実施形態によるシステムの一部を示している。当該凹部に、弾性構成要素(不図示)が、典型的にはC型クランプと楔との間の機械的結合を確実にするために配置されている。ボード20は、当該凹部内の壁上に配置されており、前記弾性構成要素は、前述のように前記機械的結合を確実にするべく、当該凹部内において、ボード20の上部に配置可能である。
【0140】
図16は、凹部を有するC型クランプ13cがその上に配置されたセンサ20を含む、他の実施形態によるシステムの一部を示している。この場合、当該凹部の側面に、相対変位ゲージが取り付けられている。
【0141】
図18A及び
図18Bは、歯バー12(その一部のみが図示されている)がその中に配置された複数のセンサ20を有する一実施形態によるシステムを示している。
【0142】
センサ20は、本体部25の異なる側面に取り付けられている(
図18Cに別個に図示されている)。本体部25は、固定要素を受容するように適合された歯バー12の空洞16g内に予圧縮されて配置されている。固定要素は、歯バー12が歯部11のハウジングに受容される時はいつでも、当該歯バー12を歯部11と機械的に結合する。センサ20は、本体部25に取り付けられており、本体部25は、この例では、空洞16g内に適合する押し出された六角形の形状を特徴としているが、本開示の範囲から逸脱することなく、他の形状、例えば円筒形状、も同様に可能である。本体部25は、空洞16gが受ける変形を再現することを可能にする弾性率を有する材料で製造される。一例として、本体部25は、プラスチック、樹脂、アルミニウム等から作製され得る。
【0143】
力が歯部11に作用する時(第1端31から歯部11の他端に向かって伸びて歯バー12に到達する矢印で示されている。当該矢印は、第1端の隣の3つの直線矢印でも示されるように、歯部11に力が作用し得る様々な方向を示すために、曲線形で示されている。)、力は歯バー12に作用し、それによって、
図18Aの複数の楕円によって例示的に示されるように、その空洞16gを変形させる。これにより、空洞16g内の本体部25が、前記変形を再現する。
【0144】
本体部25の変形に応じて、幾つかのセンサ20または他のセンサが、本体部25の歪または単一変形を測定し、力の値が、当該測定値から計算され得る。これらの場合、例えば、歯バー12を歯部11と機械的に結合するために、空洞16gの各側から1つのピンが導入され得て、本体部25は、2つのピンの間に配置される。
【0145】
幾つかの他の実施形態では、センサ20は、歯バー12の空洞16gの壁に取り付けられ、その場合、本体部25は提供されない。この態様では、センサ20は、空洞16gが変形する時、歪または単一変形を測定する。センサ20がそのより大きな直径で壁に取り付けられ、それによって固定要素の通過を妨げないように、その途中で、空洞16gの直径よりも大きな直径を機械加工することも可能である。
【0146】
図19A及び
図19Bは、一実施形態によるシステムの歯バー12及び歯部11の斜視図である。
【0147】
図19Aにおいては、歯バー12の一部のみ、特に、歯部のハウジング(
図5のハウジング19等)に受容される部分である、歯バー12のノーズ部と呼ばれることもある外部部分のみ、が図示されている。歯バー12のノーズ部の異なる面上または凹部上に、複数のセンサ20a-20d(そのうちの2つのセンサ20b、20dは、歯バー12の反対側の面に取り付けられていて実際には視認できないことを示すべく、破線で示されている)が、力を測定するために配置されている。この意味で、センサ20a-20dは、ノーズ部の変形の大きさ及び方向を測定する(明確のためにのみ矢印で示されている)。
【0148】
センサ20a-20dを有する歯バー12は、
図19Bにおいては、歯部11のハウジング内に示されている。センサ20a-20dは歯部11のハウジング内にある歯バー12の外側部分上にあることが、視認され得る。
【0149】
【0150】
図20は、土工作業全体における土工機械のバケット上のセンサの力測定を含むグラフを示している。
【0151】
当該グラフは、積込作業191、輸送作業192、及び、排出作業193、の間に、バケット上の単一のセンサで測定された力のレベルを定性的に示している。
【0152】
理解され得るように、最も要求の厳しい作業は、積込作業191であり、その間、過度の掘削力が適用されると、機械と摩耗要素とが破損し得る。バケット上にセンサを設けると、摩耗要素または機械の実際の状態を判定するのには十分ではない可能性がある力の値の大きさしか提供しない、すなわち、摩耗要素と機械とが性能低下しているか否か、過剰性能であるか否か、差し迫った故障が発生しそうであるか否か、土工作業が効率的であるか否か、等を示すのに十分なデータでない、ということも理解され得る。更に、これらのデータは、機械を作動させるのに有用であり得るが、実際に地面に係合する要素である摩耗要素に作用する力を表すものではない。
【0153】
図21は、機械のブーム内のシリンダ上のセンサを使用して行われた複数の力測定のグラフを示している。
【0154】
当該グラフは、縦方向(破線で示されている)及び軸方向(実線で示されている)に対応するキロニュートン単位の力の測定値と、結果として得られる力の測定値の大きさ(点線で示されている)と、を含んでいる。
【0155】
このようなセンサを使用することで2つの異なる成分の力測定が提供され得るが(X-Z平面に対応する)、機械の構成要素の状態に関連する横方向に対応する力測定は提供されない。従って、ブームのシリンダ内にセンサを配置しても、少なくともバケット及び摩耗要素の状態を判定するのに十分なデータが提供されない。
【0156】
図22A及び
図22Bは、一実施形態によるシステムの2つの歯の力の値を示すグラフを示す。当該力の値は、時間に対してプロットされている。
【0157】
当該力の値は、システムの中央制御手段によって計算される。それは、摩耗要素の第1の歯に配置された少なくとも3つのセンサの測定値を処理し、それによって、
図22Aに示すように、軸方向(点線)、横方向(一点鎖線)及び縦方向(実線)に従って、当該第1の歯の力の値を提供する。中央制御手段はまた、摩耗要素の第2の歯に配置された少なくとも3つのセンサの測定値を処理し、
図22Bに示すように、軸方向(点線)、横方向(一点鎖線)及び縦方向(一点鎖線)に従って、当該第2の歯の力の値を提供する。複数の摩耗要素の第1の歯及び第2の歯は、互いに隣接しており、すなわち、それらの間に他の歯はなかった。
【0158】
観察され得るように、2つの歯が近接しているにもかかわらず、2つの歯の間で同じ成分の力の値に顕著な差がある。この意味で、(ブレードの縁における)軸方向の第1の歯の力の値は、幾つかの期間中、第2の歯のそれぞれの値より、3倍ないし4倍小さい(1/3ないし1/4である)。同様に、縦方向の第1の歯の力の値は、幾つかの期間中、第2の歯のそれぞれの値より、約3倍小さい(約1/3である)。
【0159】
中央制御手段、機械の制御センター、及び/または、操作者が、様々な摩耗要素に対して、好ましくは3つの軸において、これらの力の値を使用し得て、例えば、地形の様々な摩耗要素との反応、どの摩耗要素がより大きな力に曝されているか、どの方向で曝されているか、係合対象の地形の特性(断片化性、硬度、緊密性、等)、等に関する情報を抽出し得る。当該情報は、次いで、操作者を支援し得る、あるいは、中央制御手段または制御センターが以下のことを判定(決定)することを可能にし得る:バケットによって辿られる軌道、現在の状況においてより好適であり得る迎角、及び/または、適用される力の量。また、力の値を経時的に監視することで、いずれかの摩耗要素が破損しそうか否か、地形の更なる特性、エネルギ消費、等を判定(決定)することも可能になる。
【0160】
図23A乃至
図23Cは、複数のセンサが配置された単一の歯バーについて、計算された力についてのキロニュートン単位のグラフを示している。特に、
図23Aは、軸方向に対応する力の値を示し、
図23Bは、横方向に対応する力の値を示し、
図23Cは、縦方向に対応する力の値を示す。
【0161】
また、
図23D及び
図23Eは、
図23A乃至
図23Cの力の値に従って、力が歯バーに適用されている角度についてのグラフを示している。これは、力の値から2つの異なる角度が計算され得て、これらの角度を組み合わせて処理する時、前記力の方向が判定され得る、ということを意味する。この目的のために、
図23Dの角度値は、軸方向の力の値を縦方向の力の値で割った値の接線角度であり、
図23Eの角度値は、軸方向の力の値を横方向の力の値で割った値の接線角度である。
【0162】
従って、力の値だけでなく、角度値も計算される。更に、迎角は、幾つかの実施形態では、
図23Dに示されるように、縦方向の力の値に対する軸方向の力の値の比の接線角度として定義され得る。
【0163】
摩耗要素に過度の力が作用しているか否か、及び、何らかの是正措置を講じる必要があるか否か、を判断するために、両方の値のセットが使用され得ることが、容易に明らかである。
【0164】
図24は、一実施形態によるシステムを有する土工機械100を遠隔制御する操作者300を示している。
【0165】
機械100は、複数の実施形態によるシステムで、部分的に(すなわち、半自動で)制御可能であるが、場合によっては、複数の実施形態によるシステムで、完全に(すなわち、自動的または自律的に)制御可能であり得る。
【0166】
機械100は、操作者室(キャブ)102、移動手段104、ブーム106、ブーム106と結合されたスティック108、及び、スティック108と結合されたバケット110、を備える。ブーム106、スティック108及びバケット110の各々は、複数のシリンダ105を含む油圧システムによって移動可能及び回転可能である。
【0167】
操作者300は、特に、ユーザ入力手段260(例えば、ジョイスティック、キーボード、ボタン等)及びユーザ提示手段270(例えば、スクリーン、ラウドスピーカー、LEDインジケータ等)が設けられた制御ステーション250に居て、機械100から離れている。制御ステーション250は、無線通信リンクを介して、機械100との間でデータを送受信する。機械100は、そのコンピュータビジョン手段、並びに、ブーム、スティック及びバケットの位置及び向きを示すその手段、に関連するデータを送信する。機械100はまた、当該機械100に組み込まれた力測定システムの中央制御手段によって計算された力及び/または提供される指令を含むが、これらに限定されない、他の構成要素の状態に関連するデータをも送信し得る。
【0168】
操作者300は、ユーザ提示手段270によって当該データを見ることができ、ユーザ入力手段260を介して機械100を遠隔制御することができる。制御ステーション250は、ユーザ入力手段260を介して入力されたユーザ指令を機械100、特にはその制御センター、に送信し、当該機械100は、受信された通りの指令を実行するか、または、機械100の異なるデータに基づいて自動的に調整された指令を実行する。
【0169】
図25A乃至
図25Cは、複数の実施形態によるシステムで計算された、バケット110に作用する力、または、迎角、の様々な例を示している。
【0170】
これらの図から理解され得るように、前記システムの存在は、掘削及び積込作業中に地面が係合される時、様々な摩耗要素10(バケットのブレード111と結合されている)に地面がどのように力を及ぼすか、を検出することを可能にする。少なくとも1つのセンサが、各GETを提供する摩耗要素10の各歯部、歯バーまたは固定要素、あるいは、各GETを提供するこれらの摩耗要素10のうちの2つの間、に配置される。
【0171】
この意味で、
図25Aは、全ての摩耗要素10に適用される2つの異なる力成分を、それらの各々において同様の大きさで示している。第1成分(実線で示されている)は、軸方向に沿っており、第2成分(破線で示されている)は、縦方向(鉛直方向)に沿っている。第1成分に対応する力は、軸方向の力のために設定された所定の過剰力閾値に従って、過剰ではないが、第2成分に対応する力は、縦方向(鉛直方向)の力のために設定された所定の過剰力閾値に従って、過剰であり、これによってリスク状況が存在している(明確のためにのみ感嘆符付きで示されている)。従って、システムの中央制御手段は、センサの測定値に基づいてこれらの力を計算したことに加えて、警告の形態あるいは機械の動作方法の変更の形態で、指令を提供し得る。
【0172】
力を測定するためのシステムがこれらの成分の各々の力を計算できない時には、例えば、計算された力の大きさが、当該大きさの値のために設定された所定の過剰力閾値よりも小さい場合、システムはリスクがないと判断することになる。ただし、これは、力の第2成分のために摩耗要素に適用される結果としてのトルクを表してはいない。これは、当該システム及び方法で計算可能である。3つの軸における力の計算に加えて、本開示のシステムは、(測定値のおかげで)RMSエネルギ、摩耗要素により多くの応力が適用される結果となる角度、等の推定を可能にし得る。
【0173】
図25Bを参照して、当該例は、地面が摩耗要素10に係合し得る例示的な方向を示しており、センサの測定値に基づいて、システムの中央制御手段によって、現在の状況のセット下において、どの迎角が、掘削手順にとって最も効果的であるか、あるいは、摩耗要素10にとって害が最も少ないか、が計算される。
【0174】
中央制御手段は、実線の矢印に従って地面に接触することが、摩耗要素10にとってより害が少ないと計算する。従って、破線の矢印で示されるように地面が係合される場合、摩耗要素10はより損傷を受けるため、摩耗要素10の故障を回避するためには、より低いBOF(掘削力)が適用されることになり、掘削手順があまり効果的ではなくなる。なぜなら、この態様では、収集され得る材料がより少なくなるからである。そして、摩耗要素10の完全性にとって更に悪いことは、それらが点線の矢印に従って地面に係合することであり、その結果として、摩耗要素10をより大きなレートで損傷するリスクが高くなる(感嘆符付きで示されるように)。
【0175】
従って、測定値によって、中央制御手段は、好ましい迎角を決定することができる。地面が摩耗要素10によって係合される方向に関する矢印のみが示されているが、迎角は、当該矢印と軸方向との間に形成される角度によって定義されることは、容易に明らかである。当該例では、好ましい迎角は、約-15°である。可能性ある迎角の許容範囲は、約-60°から30°であるが、-15°から離れるほどに好ましさが低下する。
【0176】
図25Cは、摩耗要素10が、主にX軸に沿った力が当該要素10に作用するような迎角で、地面に係合する、という他の例を示している。ただし、5本の歯部は、力を均等に受ける訳ではない。バケット110の左側に最も近い歯部は、バケット110の右側に最も近い歯部より、より大きな大きさの力が適用されている。より具体的には、各歯部は、その左側にある歯部より、より小さい大きさで、それに力が作用している。
【0177】
従って、左側の最初の2つの歯部は、所定の過剰力閾値に従って過剰である力を受ける一方で、右側の3つの歯部(すなわち、中央の歯部と右側の2つの歯部)は、所定の過剰力閾値に従って過剰ではない力を受ける。
【0178】
例えば、バケット110上の単一のセンサでは、幾つかの歯部には過度の力が適用されているが、他の歯部には適用されていない、ということを検知できないことは、容易に明らかである。実際、そのような単一のセンサの測定値に基づいて計算された力が、所定の過剰力閾値を下回っているために、リスク状況が存在するとは検知されない、ということが生じ得る。
【0179】
図25A乃至
図25Cの例では、5つの歯部がバケット110上に設けられているが、他の例では、歯部の数は、例えば、4であり、あるいは、5より大きい数であるが、後者の場合、その数は、典型的には、20よりは小さい。例えば、幾つかの例では、8本の歯部が配置され、10本の歯部が配置され、14本の歯部が配置され、あるいは、15本の歯部が配置される、等。また、バケット110は、異なる形状を有し得て、その結果、そのブレード111もまた、当技術分野で知られているような様々な形状を有する。
【0180】
図26Aは、複数の実施形態によるシステムの第1の例示的な動作モードのグラフを示し、
図26Bは、第2の例示的な動作モードのグラフを示している。
【0181】
第1の例示的なモードでは、摩耗要素内の1または複数のセンサは、連続的に(すなわち、アナログ動作で)、歪または単一変形200を測定する。前記測定値は、三角矢印205で示されるように、所与の周波数でサンプリングされる。サンプリングされた測定値は、パルス210で示されるように、所与の周波数でセンサまたは制御電子機器によって中央制御手段に送信される。各送信は、サンプリングよりも多くのエネルギを消費するため、例えば、バッテリーの寿命は、当該送信によってかなり影響される。測定値の頻繁な送信は、測定された歪または単一変形200に関係なく実行される。このため、例えば、積込、輸送及び排出のタスクを含む機械の全作業を通じて、摩耗要素によって耐えられている力を計算するために使用され得る。
【0182】
第2の例示的なモードでは、1または複数のセンサは、同じ態様で測定するが、サンプリングは、測定された歪または単一変形に依存して実行される。従って、測定値が、掘削及び積込動作、または、摩耗要素に適用されている力のかなりの量(大きさ)、を示すものとして設定され得る特定の閾値を超える場合、サンプリングは、より効率的でより危険の少ないGETでの積込のために、操作者に警告するべく、あるいは、地面が係合される態様を調整するべく、進行中の動作についてより多くのデータを収集するために第1の例示的なモードよりも高い頻度で実行される。これらの時間中、送信210は、力を計算するためになされ、それについて設定された基準に従って中央制御手段によって決定される時にはいつでも、出力命令を提供する。測定値の値に基づいて送信210の周波数を上げることも可能であり、測定値の値が大きいほど周波数が高くなり、測定値の値が下がる時にはいつでも、送信210の周波数も下がる。
【0183】
第1モード及び第2モードの両方が、同じシステムの中央制御手段で選択的に使用され得て、反応時間を改善し得る、あるいは、異なるエネルギプロファイルでデータを収集し得る。第2モードでは、積込中の消費電力がより大きくなり、より迅速な応答時間を得ることを可能にするが、測定値の値が低いために測定値が送信されない期間が発生し得る。一方、第1モードでは、消費電力が均一になり、掘削手順の全体を通じて情報を得ることが可能である。両方のモードを組み合わせて、それらの異なる頻度(周波数)を調整することにより、電力供給装置によって提供され得るエネルギが、長時間持続し得る。
【0184】
図27は、複数の実施形態によるシステムの中央制御手段50による例示的な処理をブロック図の形態で示している。
【0185】
システムは、複数のプロセッサ51、複数のメモリ52、及び、複数の通信モジュール(不図示)を含む中央制御手段50と、その各々が好ましくはそれに接続された制御電子機器40(センサ20毎に1つ、あるいは、幾つかのセンサ20毎に1つ)を有する複数のセンサ20と、複数の摩耗要素10と、を少なくとも備える。機械の制御センター150は、幾つかの実施形態では、システムの一部である。
【0186】
各センサ20またはセンサ20のグループは、摩耗要素のそれぞれのグループ(この場合、歯部11、歯バー12、及び、(1または複数の)固定要素14)の歪または単一変形を測定する。この例では、摩耗要素の2つのグループが示されているが、1つだけ、または、3つ以上であってもよい(点で示されている)。
【0187】
中央制御手段50の1または複数のプロセッサ及びメモリ51、52は、それぞれの摩耗要素11、12、14によって耐えられている力を計算するべく、センサ20またはセンサ20のグループの測定値を処理する。次に、当該力の値は、他の1または複数のプロセッサ及びメモリに提供される(中央制御手段50の最上部のブロックで示される)。これらは、監視対象の各摩耗要素10に対応する力の値を受け取り、それらをそのまま制御センター150に提供する(制御センター150は、次いで、少なくともこれらの力の値に基づいて、指令を生成し得る)、及び/または、全ての力の値を処理して、いずれかの(1または複数の)摩耗要素10が設定された所定の閾値に従って性能低下しているか過剰性能であるかを判定し、なされた判定に基づいて出力指令を提供する。それは、その後、制御センター150に送られる。
【0188】
幾つかの実施形態では、その他の1または複数のプロセッサ及びメモリは、制御センター150または機械の他のユニットから入力を受け取り、何らかの是正措置を講じる必要があるか否かを判定するために、力の値とともに前記入力を処理する。この意味で、当該入力は、機械の構成要素の感知データに限定される必要はなく、機械または作業のパラメータもまた、計算の実行に関連し得る。例えば、機械のバケットのタイプまたは機械自体のタイプ(すなわち、その幾何形状、その質量、及び/または、その寸法等)、地形のタイプ(材料のタイプ、その硬度、圧縮の程度等)、掘削力、慣性情報、等。
【0189】
同様に、幾つかの実施形態では、その他の1または複数のプロセッサ及びメモリは、GETの力の値の処理中に機械学習技術を適用するべく、計算された力の値及び機械の他の入力の履歴データを格納及び/または受容し、それによって、以前の値に基づいて生成された出力指令を調整することを可能にし、機械学習技術の結果を徐々に高める。機械学習で使用される履歴データは、タスクをタグ付けることによって処理されることが好ましく、これにより、担当者は、例えば、操作者によって登録されるログまたはカメラ映像と共に、データを確認できる。この態様で、当該担当者は、教師あり訓練のために様々なデータセットを分類し、それによって、後続の掘削手順において機械学習技術によってなされる分類及び出力の結果を強化する。
【0190】
中央制御手段50によって計算されたデータは、機械の当該動作中に使用され得て、また、摩耗要素及び機械がどのように動作したか、並びに、当該機械が存在したシナリオにとって他の摩耗要素(例えば、そのサイズ、その形状、歯部の数、等)がより好適であり得るか否か、を判定するための、それらの事後分析に使用され得る。
【0191】
図28は、一実施形態による方法400をブロック図の形態で示している。
【0192】
方法400は、本発明によるシステムを提供する工程410を含み、それにより、当該システムの摩耗要素によって耐えられる力が測定され得る。当該システムの摩耗要素は、土工機械のバケットのブレードに結合されている。
【0193】
方法400は、当該システムのセンサを用いて力(例えば、歪、単一変形)を測定する工程420を更に含む。
【0194】
方法400は、摩耗要素によって耐えられる力を計算するために測定値を処理する工程430を更に含む。システムの中央制御手段は、耐えている力を計算するために、当該手段が各センサの測定値を処理する(432)、というように処理を実行し、次に、前記処理(432)で計算された力の値が他のセンサについて計算された力の値と共に処理される(434)(複数のセンサがシステム内に存在する時)。この態様で、全ての測定値によって、摩耗要素の挙動が判定され得る。すなわち、最初に各センサの測定値が処理され(432)、次に計算された力の値が組み合わされて処理され(434)、摩耗要素によって耐えられている力が評価される。次いで、当該結果は、例えば機械の制御センターに450に提供され得る(450)。
【0195】
当該方法は、中央制御手段を用いて、組み合わされた力の値(434)に基づいて実行されるべき動作440a-440cを決定し、工程450で制御センターに送信される出力指令の形態で前記動作を提供する工程を、更に含み得る。
【0196】
実行されるべき動作は、例えば次の通りである:
-工程434の計算された力の値が第1の所定の閾値(例えば、所定の過剰な力の閾値)を超えている、または、第2の所定の閾値(例えば、所定の最適な力の閾値)未満である、時にはいつでも、少なくとも1つの知覚可能な信号の形態で警告を発する(440a);
-(操作者の指示を調整することによって)その操作者を支援するか、または、工程434の計算された力の値が第2の所定の閾値未満である時にはいつでもそうするように機械に自動的に指示することによって、機械の掘削力を増大させる(440b);及び
-(操作者の指示を調整することによって)その操作者を支援するか、または、工程434の計算された力の値が第1の所定の閾値よりも大きい時にはいつでもそうするように機械に自動的に指示することによって、機械の掘削力を減少させる(440c)。
【0197】
最後に、方法400は、センサの更なる測定(420)に従う力の値の計算(432、434)、それらに基づく行動の決定(440a~440c)(何らかの行動をとる必要がある場合)、力の値または出力指令を制御センターに提供すること(450)、を繰り返す工程460を含む。これらの工程は、好ましくは、掘削手順全体を通して繰り返される(460)。
【0198】
図29乃至
図32は、土工機械の掘削及び積込作業を調整する例示的な方法を示している。
【0199】
図29に関して、積込対象の材料500は、例えば、均質で緩い(または圧縮されていない)。機械は、材料500に対して可能な限り90°に近い角度を形成するように摩耗要素で当該材料500を係合させることを意図した軌道550に従って、そのブーム及びスティックによって、バケット110を移動させる。一旦係合すると、摩耗要素に過度の力が作用する場合に備えて、中央制御手段によって計算される力の値が監視される。次に、バケット110は、回転運動560に従って回転され、それによって、材料500がバケット110内への導入のために積込(装入)される時のバケット110の迎角の変更をもたらす。これは、好ましくは、バケット110が材料500の表面に可能な限り平行になるように実行される。その後、バケット110が材料500で満たされると、回転運動560は、材料500がそこから落下しないように、バケット110が上向きになるように継続し、機械がトラックに移動した時点で、当該トラック上に材料500を排出する。
【0200】
図30では、積込対象の材料501は、例えば、均質で緊密である(圧縮されている)。機械は、
図29を参照して説明されたような軌道550に従って、バケット110を移動させる。材料501をGETで係合させると、中央制御手段によって計算される力は、所定の過剰な力の閾値を超える。中央制御手段は、機械の操作者に通知するための警告を発する(もしあれば、すなわち、操作者が自律的でない場合)か、あるいは、材料501を積込するために回転運動560を実行しようとしながら小さな移動量(矢印で示される)で上下移動されるようにバケット110の軌道を変更する(または操作者が変更するのを支援する)、ための出力指令を提供する。これらの動きは、圧縮されている材料501を開放し、それによってGETに作用する力を低減し、材料501を更に積み込むことを許容することが意図されている。材料501が解放されると、バケット110は、材料501がバケツ110を満たすまで更に回転し、その後、機械はそれをトラックに輸送して、それを排出する。
【0201】
図31は、例えば不均質で緩い積込対象の材料502を示している。バケット110が辿る軌道550は、2つの前述の例で説明されたものと同じである。材料502が摩耗要素によって接触されると、計算される力は、所定の過剰な力の閾値を下回る。バケット110を材料502で満たすための回転運動中に、岩石570がバケット110の動きを妨害し、閾値に従って過剰である力をGETに及ぼす。この場合、摩耗要素を損傷するリスクを低減するために、掘削力が維持または低減され得て、岩石570によって妨害されることを停止することが可能な場合には、バケット110について
図30と同じ上下運動が試みられ、バケット110を材料502で満たすために回転運動551が継続される。
【0202】
最後に、
図32において、材料503の特性は知られていない。機械は、材料503と係合するように、前述の軌道550に従って、バケット110を移動させる。材料503と係合した後、力が計算され、その角度も計算され、これにより、第1の力F1が、F1とは異なって摩耗要素の軸方向にはない第2の力F2よりも大きな大きさであることが明らかになる。計算された角度と両方の力の大きさとに基づいて、F2が実質的に摩耗要素の軸方向にあるような迎角となるように、バケット110の軌道が調整されるべきである。この目的のために、中央制御手段は、それに応じて、操作者に通知するため、あるいは、軌道または迎角を自動的に調整するため、指令を提供する。このようにして、より低い力が摩耗要素に作用し、積込作業がより効率的になされ得て、摩耗要素への損傷がより稀になる。
【0203】
当該書面において、用語「comprises(含む)」及びその派生語(「comprising」等)は、除外する意味で理解されるべきではない。すなわち、これらの用語は、説明され及び定義されているものが、更なる要素、工程、等を含み得る可能性を除外するものとして解釈されるべきではない。
【0204】
他方、本発明は、明らかに、本明細書に記載された特定の実施形態に限定されず、特許請求の範囲で定義される本発明の一般的な範囲内において、当業者によって考慮され得る任意の変形(例えば、材料、寸法、構成要素、形態、等の選択に関して)を包含する。