(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】シリコーンノズル配列を有する噴霧システム
(51)【国際特許分類】
B05B 1/14 20060101AFI20240319BHJP
B05B 5/025 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
B05B1/14 Z
B05B5/025 A
(21)【出願番号】P 2021536235
(86)(22)【出願日】2019-12-19
(86)【国際出願番号】 EP2019086282
(87)【国際公開番号】W WO2020127713
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-08-16
(31)【優先権主張番号】102018133440.0
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】318011417
【氏名又は名称】ジェイ. ワグナー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】マンゴールド セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】フィーゼル マニュエル
(72)【発明者】
【氏名】バルテルメス ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ラック レオン
(72)【発明者】
【氏名】フライシンガー ビョルン
【審査官】清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0361405(US,A1)
【文献】特開平01-034459(JP,A)
【文献】特開2000-237638(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106076676(CN,A)
【文献】特表2020-517439(JP,A)
【文献】特開2000-037642(JP,A)
【文献】特開2015-058402(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 1/00-9/047
12/00-12/14
13/00-13/06
17/00-17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気流体力学的噴霧器用の噴霧ノズルシステムであって、ノズルキャップ(40
、100、200)は複数のノズル(10、11、12)を備え、
前記ノズル(10、11、12)は少なくとも1つのノズル開口部(21、22、23、61、215)、少なくとも1つのノズル流路(62)および少なくとも1つのノズルソケット(63)を備えることで構成されており、前記ノズルキャップ(40、100、200)は少なくとも1つのキャリア(41、101、201)上に配置され、前記キャリア(41、101、201)は各ノズルソケットに対しノズルコネクタ(64)を備え、
前記ノズルキャップ(40、100、200)は
、少なくとも部分的に可撓性材料で構成され、前記キャリア(41、64、101、201)上に
弾性的に着脱可能に固定されるように配置され
る、
ことを特徴とする、噴霧ノズルシステム。
【請求項2】
前記キャリア(41、101、201)は、硬質材
料で製造される、ことを特徴とする、請求項
1に記載の噴霧ノズルシステム。
【請求項3】
前記ノズルキャップ(40、100、200)は
弾性的に前記キャリア(41、101、201)上に固定され
ることを特徴とする、請求項1
又は2に記載の噴霧
ノズルシステム。
【請求項4】
前記ノズルキャップ(40、100、200)はベース構造(
45、203
)を備え、
前記ベース構造(45、203)上にノズル構造
(42、202)が配置され
、前記ノズル構造(42、202)と比較して、前記ベース構造
(45、203)はより硬質な材料で製造さ
れ、キャリア(41、101、201)との解除可能な接続
が構成されるよう、少なくとも1つ
のラッチ要素(50)を備える、ことを特徴とする、
請求項1~3のいずれか1項に記載の噴霧
ノズルシステム。
【請求項5】
前記ノズルキャップ(40、100、200)は少なくとも3つのノズル開口部(21、22、23、61、215)を備え、それぞれにノズル流路(62、213)およびノズルソケット(63、212)が割り当てられており、前記ノズル開口部(
21、22、23、61
、215)は、ノズルエリアにおいて
、互いに離間し
ている、ことを特徴とする、
請求項1~4のいずれか1項に記載の噴霧
ノズルシステム。
【請求項6】
前記ノズル
(10、11、12)の前記ノズル開口部(21、22、23、61、215)が、前記ノズルキャップ
(40、100、200)の面(13)から突出し、突出する前記ノズルの縁(110、111、112a)が
、連続的に湾曲した曲線として具体化され
、前記ノズルの前記縁(110、111、112a)は、前記ノズルの反対側の縁に対して縁側で非対称であ
る、ことを特徴とする、
請求項1~5のいずれか1項に記載の噴霧
ノズルシステム。
【請求項7】
前記ノズルキャップ(40、100、200)、および/または、
ベース構造(45、203)、および/または、前記キャリア
(41、101、201)が、一体
に構成される、ことを特徴とする、
請求項1~6のいずれか1項に記載の噴霧
ノズルシステム。
【請求項8】
前記ノズルキャップ(40、100、200)および
ベース構造(45、203)、および/または前記キャリア
(41、101、201)が、一体に
構成される、ことを特徴とする、
請求項1~6のいずれか1項に記載の噴霧
ノズルシステム。
【請求項9】
前記ノズルキャップ(40、100、200)は接続フランジ(112b、113、114、204)の周りで前記ノズルコネクタ(64)上の弾性部と噛み合い、
弾性的に密閉を構成する、ことを特徴とする、
請求項1~8のいずれか1項に記載の噴霧
ノズルシステム。
【請求項10】
前記ノズルコネクタ(64)は
、周囲シールリング(210)を備えた円筒状の接続フランジ(112b、113、114、204
)上に一体化されて形成される密閉ビード(bead)を有し、前記ノズルソケット(63、212)は対応する円筒状の容器を構成し、連結
し密閉成形を提供する、ことを特徴とする、
請求項1~9のいずれか1項に記載の噴霧
ノズルシステム。
【請求項11】
前記ノズルコネクタ(64)は円錐状の接続フランジ(112b、113、114、204)を有し、前記ノズルソケットは対応する円錐状の容器を形成し、連結
し密閉成形を提供する、ことを特徴とする、
請求項1~10のいずれか1項に記載の噴霧
ノズルシステム。
【請求項12】
前記ノズル流路(62、213)は円錐状の部分として、または円錐状のキャップとしての形状にて具体化され
、前記ノズル開口部(21、22、23、61、215)に向かう端部流路を構成し
、前記端部流路(214)が円筒状または円錐状の部分として具体化される、ことを特徴とする、
請求項1~11のいずれか1項に記載の噴霧
ノズルシステム。
【請求項13】
前記ノズル
(10、11、12)の前記ノズル開口部(21、22、23、61、215)
の直径は、0.1mmから0.3mmの
間であって、
前記ノズル流路
(62、213)の長さは4mmから6mmの
間である、ことを特徴とする、
請求項1~12のいずれか1項に記載の噴霧
ノズルシステム。
【請求項14】
電気的接触要素(206
)は、前記ノズルコネクタ(64)内に形成され、前記
電気的接触要素(206)は液体流路(
65、205)内に突出し
、前記液体流路(65、205)は
前記電気的接触要素(206)を介して導かれ
、前記電気的接触要素
(206)と前記ノズル開口部
(21、22、23、61、215)との間の距離は5mmから20mmの間
である、ことを特徴とする、
請求項1~13のいずれか1項に記載の噴霧
ノズルシステム。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
液体の電気流体力学的噴霧は、コーティング法の分野において重要性を増している。例えばPCT/EP2018/060117号には、例えば人体への日焼け止めなどのケア製品を塗布するための電気流体力学的噴霧を使用する装置が開示されている。
【0002】
しかし、多数の噴霧ノズルを電気流体力学的噴霧へ適用することが有利であることは証明されていない。さらに、電気流体力学的噴霧に必要な高電圧を考慮すると、水での単純な洗浄は容易なことではないため、必要なシステムの洗浄にはしばしば問題がある。
それゆえ、本発明の目的は、電気流体力学的噴霧器の機能を改善すること、また、特に、洗浄を簡潔にすることである。
【0003】
当該目的は、請求項1に記載される発明の主題により達成される。従属請求項には、有利な開発と適切な改良が開示されている。
本発明は、特に、電気流体力学的噴霧器用の、噴霧ノズルシステムに関し、ノズルキャップが複数のノズルを備え、ノズルは少なくとも1つのノズル開口部、少なくとも1つのノズル流路、および少なくとも1つのノズルソケットを備えることで構成されており、ノズルキャップは少なくとも1つのキャリア上に配置され、キャリアが各ノズルソケットに対しノズルコネクタを備える。本発明は、ノズルキャップが、キャリア上に着脱可能に固定されるように配置されることを特徴とする。
【0004】
ノズルキャップがキャリアに着脱可能に固定されることにより、ノズルキャップは、例えば水または他の溶剤で洗浄された電気流体力学的噴霧器の装置ユニットから取り外し、取り除くことができる。これにより、摩耗が発生した後に、より簡潔化された方法でユーザによって交換がなされることも考えられる。さらに、形状や他の性質を他の噴霧される液体に適合させた別のノズルキャップが使用されてもよい。
【0005】
ある好ましい実施形態によると、ノズルキャップは、少なくとも部分的に、可撓性材料、特に、可撓性のある電気絶縁体、好ましくはシリコーンで製造される。
シリコーンなどの可撓性材料の使用により、例えば、指でその部分をなでること等により、表面の単純な変形により乾燥した液体残留物を除去することが可能になる。つまり、硬化した残留物は、変形により崩れ、それにより除去することが可能である
意外なことに、絶縁体の使用もまた電気流体力学的噴霧に有利であることが証明されている。高電圧が印加される液体によってもたらされる噴霧効果は、電気絶縁性のノズル流路へのその導入により改善され、例えば、日焼け止めクリームなどのケア製品を塗布する時など、噴霧器の電気流体力学的な適用中のプロセス信頼性の向上につながる。
【0006】
さらに好ましい実施形態によれば、キャリアは硬質材料、好ましくはPC、ABS、PE、PETまたはPP等のプラスチックで製造される。
例えば、配向および締結のための硬質な要素を用いることにより、硬質なキャリアが可撓性のあるノズルキャップを精確で操作上信頼性のある方法で締結すること許容する。
【0007】
そのような硬質な要素は、カラーまたはキノコ型ヘッドなどの突出部または構造により構成され得るが、対応するノズルキャップの嵌め合い構造が後に係合し、特に、弾性をもって留められる、舌状や溝状の要素によっても構成され得る。
【0008】
ある実施形態の1つの有利な開発によると、ラッチ要素を弾性的に引っ張ること、または可撓性材料を引っ張ることで、ノズルキャップはキャリア上に固定され、好ましくは確実にロックされるように保持される。
【0009】
柔軟性のあるゴム状の、好ましくはシリコーンで構成されるノズルキャップを使用することで、弾性的にキャリアに固定することが可能になり、それゆえ工具なしで外すことが可能になる。柔軟性がないか、部分的にのみ柔軟性があるノズルキャップの場合、そのために、ラッチ要素の使用等によっては、工具なしで取り外せる簡単な接続を実施することが可能になる。
【0010】
更なる好ましい実施形態によると、ノズルキャップは、ベース構造、特に、その上にノズル構造が配置されて噴霧ノズルを形成するベースプレートまたはベースフレームを備え、好ましくはシリコーンで製造されるノズル構造と比較して、ベース構造は、特に、PC、ABS、PE、PETまたはPP等、より硬質な材料で製造され、キャリアとの解除可能な接続が好適に構成されるよう、少なくとも1つの連結部材、特にラッチ要素を備えることが好ましい。
【0011】
硬質なベース構造上に構成される、ノズル構造の柔軟で積層可能な層により、ノズル構造は、キャリアに着脱可能に接続するための機械的ラッチ要素を分配する(dispense)必要なく、シリコーン等により利用可能になる。さらに、ある程度の寸法安定性が達成されるため、ノズルキャップを取り外したり取り付けたりする際の感触がこのようにして改善される。ここで、ベース構造は、ノズルコネクタおよび/またはノズルソケット用の貫通孔を含むプレートの一種として、または、必要な箇所のみにて支持され、安定化されるフレーム構造として具体化されてもよい。
【0012】
さらに改善された開発によると、ノズルキャップは、それぞれにノズル流路およびノズルソケットが割り当てられている少なくとも3つのノズル開口部を備え、ノズル開口部は、ノズルエリアにおいて、最大限に互いに離間しており、特に、ジグザグ線に沿って互いに配置されている。
【0013】
少なくとも3つのノズル開口部を配置することで、プロセス信頼性のある噴霧挙動がもたらされることは明白になってきている。比較的多くの数のノズル開口部も考えられ得るが、ノズル開口部の数としては1桁の範囲内で異なることが好ましい。
【0014】
しかし、ノズル開口部同士が、最大の範囲で離間していること、つまり、配置のために利用可能な、ノズルキャップの領域内において、可能な限り最大の距離を保つことが重要である。当該例では、ノズル開口部同士の距離を最大にできるため、表面においてジグザグ配置を目指すものとする。開口部は一般的にはノズル流路を収容するノズル本体に囲まれているもので、領域の端に直接的に位置することはあり得ないため、ノズル開口部同士の距離の規定において、ノズル自体の構造も考慮されなければならない。
【0015】
ある有利な開発では、ノズルのノズル開口部がノズルキャップの面から突出し、突出するノズルの縁が、好ましくは連続的に湾曲した曲線として具体化され、特に、ノズルの縁は、ノズルの反対側の縁側に対して縁側で非対称であり、特に、曲率が少なくとも1.5倍大きいことをさらなる特徴とする。
【0016】
ノズル本体を通って配されたノズル開口部は、ノズル構造を規定するために、特に、ノズル本体の内部にノズル流路を収容するためにノズルキャップの面から突出する。ノズルキャップの面は、本質的に平坦でその上にノズル構造が配される支持構造の表面として理解されるものとする。ここで、後の例示的な実施形態にて図示される隆起した縁の領域は、外側に留まる。
【0017】
ここで、ノズル本体の端部または側壁は、連続的に湾曲した形状にて延在する。可能なかぎり最大の距離でのこの配置により、反対側よりもノズルキャップの縁に近接して横たわるノズル本体の先端側において、利用可能な取り付けスペースが小さくなる。この点において、後の例示的な実施形態にて明らかにされるが、端部から離間した側での湾曲が平たい状態で終息してもよい。その結果、柔和な移行が達成され、洗浄に有利となる。
【0018】
更なる好都合な実施形態によると、ノズルキャップ、および/または、ベースプレート、および/または、キャリアプレートが、一体となって具体化され、射出成形方法を用いて製造されることが好ましい。
【0019】
対応する製造方法により、高い費用効果で、効率的に1個の部品または複数の部品を製造することが可能となる。
また、さらに好都合な実施形態では、ノズルキャップおよびベースプレート、および/または、キャリアプレートは一体にて具体化され、多成分射出成形法を用いて製造されるか、または接着または加硫処理など他の方法にて、互いに接続されることが好ましい。
【0020】
対応する製造処理により、高い費用効果で、効率的に1個の部品または複数の部品を製造することが可能となる。さらに、前述した2つの製造方法により、ノズルキャップの部品が不注意に分離されることが回避され、不備に対する高いレベルでの安全性をユーザに提供する。
【0021】
また、ある実施形態においては、ノズルキャップは接続フランジの周りでノズルコネクタ上の弾性部と噛み合い、弾性変形により、後者上に密閉を構成する。
ノズルキャップは、その脱着性のために、キャリアのノズルコネクタ上に密閉構成による接続部を形成する必要がある。これは、好ましくはシリコーンで製造される弾性部が、密閉を構成するようにしてノズルコネクタの接続フランジの周りで係合することで達成され、弾性部の緊張力は、電気流体力学的噴霧器の操作中、噴霧される液体の送出圧力の勢いに耐え得るものでなければならない。
【0022】
この点において好ましい実施形態によると、ノズルコネクタは、特に周囲シールリングを備えた円筒状の接続フランジを有し、ノズルソケットは対応する円筒状の容器を構成し、連結しつつぴったりした密閉構成を提供する。
【0023】
シールリングは、接続フランジから直接構成されるビード(bead)としても、特に、追加の部品または作業工程を避けるため、射出成形の最中に直接製造されるビード構造としても具体化され得る。
【0024】
対応する円筒状の接続フランジは、製造方法の間に、プロセス信頼性をもって簡単に製造することができ、着脱可能に接続したノズルキャップが取り付けられ、取り外される間、信頼性のある密閉効果をもって、ユーザにとって簡潔な液体システムの接続を提供する。
【0025】
形成され、接続フランジに確実に接続された密閉ビードは、柔軟でやわらかい素材、特にノズルキャップのシリコーンが、締め付けにより、キャリア上のノズルキャップが密閉ビードに固定されるようにして、密閉を伴って接続フランジ上で密閉ビードとの充分な締め付け力をもたらすべく、使用され得る。
【0026】
別の好ましい実施形態によると、ノズルコネクタは円錐状の接続フランジを有し、連結しつつぴったりした密閉成形を提供するため、ノズルソケットは対応する円錐状の容器を構成する。
【0027】
また、円錐状の接続フランジにより、接続フランジの円錐状の端部とノズルソケットは互いに突き当たることで、密閉を構成する接点を形成し、組み立て中に好ましいセンタリング効果が可能になる。
【0028】
更に好ましい実施形態によると、ノズル流路は円錐状の部分として、または円錐状のキャップとしての形状にて具体化され、特にノズル開口部に向かう端部流路を構成し、端部流路は円筒状または円錐筒状の部分として具体化されるのが好ましい。
【0029】
ノズル流路についてのある実施形態は、ドイツ出願第10 2018 133 406.0号の主題であり、ここでその開示について言及する。ノズル流路に対応する構成は、印加された高電圧による電気流体力学的噴霧の効果が始まる前に、噴霧される液体の開放噴流の有利な実施形態を構成する。
【0030】
ここで、特に好ましく規定すると、噴霧ノズルのノズル開口部は0.1mmから0.3mmの間、好ましくは0.2mmであり、ノズル流路の長さは4mmから6mmの間、好ましくは5.5mmである。
【0031】
噴霧ノズルシステムのある有利な実施形態によると、電気的接触要素、特に高電圧接触部は、ノズルコネクタ内に形成され、当該接触部は流路内に突出し、当該流路は好ましくは接触部を介して導かれ、特に、電気的接触要素とノズル開口部の間の距離は、5mmから20mmの間であり、好ましくは11mmから15mmの間、14mmが特に好ましい。
【0032】
電気流体力学的噴霧を実施するにあたり、噴霧される対象の液体が高電圧にさらされることが必要である。この高電圧は特にキャリアの領域内で有意に印加される。さもなければ、この高電圧の代わりに、接点形成の手段をノズルキャップ内に備える必要があるためである。
【0033】
液体流路へと突出する電気的接触要素として、高電圧の接触点を形成することは、特に有意である。ここで、液体流路は、ノズルソケットを通る経路を備える。電気的接触要素は、特に、電気的接触要素内の開口部を介して流れる液体が流れる経路に沿って配置されるように、具体化されることが特に好ましい。このようにして、高電圧の最適な効果および関連する液体の充填が確保され、プロセス信頼性のある噴霧動作をもたらす。
【0034】
電気流体力学的噴霧は、高度に不均質な電界において、帯電性のある液体、特に高電圧下で充分に導電性のある液体の不安定性に基づく。液体は、ここで高電圧にさらされる。液体は円錐状の形になり、その先端から細い噴流が放射され、その後細かく分散した液滴のしぶきへと直接分解する。特定の状況下、テイラーコーンの状態において、液滴はサイズ分布が狭くなる。
【0035】
噴霧効果は、ポンプなど、強制的に供された水流の水圧との交流によっても改善させられ得る。
本発明を、以下に示す例示的な実施形態を基により詳しく説明する。しかし、本発明は図示される実施形態に限られるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図2】ノズルキャップおよびキャリア付き噴霧ノズルシステムの第1実施形態の概略的断面図、およびノズルコネクタの変形例の詳細図を示す。
【
図3a】ノズルキャップおよびキャリア付き噴霧ノズルシステムの第2実施形態の概略的斜視図をす。
【
図3b】噴霧ノズルシステムの噴霧ノズルの拡大断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
特に、
図1は、噴霧器部2および液体槽3を備える電気流体力学的噴霧器1を示す。
ノズルシステム4は、噴霧器部2上の上部前方領域に配置されている。ここで、ノズルシステムは、第1ノズル10、第2ノズル11、第3ノズル12を備える。
【0038】
ここで、ノズル10、11、12は、ノズルシステム14の面13から突出するノズル本体14、15、16として具体化され、ノズル本体は、横方向17に湾曲する横方向の縁を有しつつ非対称に形成され、ノズルシステム4に広がりを持たせている。
【0039】
ノズル10、11、12は、それぞれ先端にノズル開口部21、22、23を有する。ノズル開口部21および22は、可能な限りの最大距離である距離24をもって互いに離間している。ノズル22および23は、可能な限りの最大距離である距離25をもって互いに離間している。ノズル21、22、23の配置は、間隔を置いたジグザグパターンに沿っており、ノズルシステム4の面13において、可能なかぎり最良の間隔が形成される。
【0040】
噴霧器部2は、ノズルシステム4の周囲に、運搬状態にある際にノズルシステム4を覆い、保護する蓋(図示せず)用の容器30を有する。
さらに、噴霧器部2は、電気流体力学的噴霧器1を起動させるため、そして噴霧の最中において必要な電流を流すべく、ユーザとの接触を構成するために使用される、少なくとも1つのオペレータ制御押しボタンキー31を備える。電気流体力学的噴霧器1を、左手右手のどちらでも難なく操作できるよう、さらに2つの接触部、特にオペレータ制御押しボタンキー(後側に配置されているため、ここでは図示されていない)が備えられることが好ましい。
【0041】
さらに、噴霧器部2において、噴霧器部2と液体槽3の間の領域に、ここでは接触リング32であるが、導電性の、好ましくは金属性または金属化された接触領域が、全周にわたって備えられ、噴霧の最中において必要な電流を流すための、ユーザにとっての接触構成手段となる。プロセスの信頼性をもって接触部の良好な構成を伴う限りにおいて、装置上におけるその他の配置も考えられ得る。
【0042】
図2は、ノズルキャップおよびキャリア付き噴霧ノズルシステムの第1実施形態の概略的断面図、およびノズルコネクタの変形例の詳細図を示す。
ここで、ノズルキャップ40はキャリア41から持ち上がった状態で示される。ノズルキャップ40は、シリコーンで製造されるノズル構造42を備える。ノズル構造42は、ノズルキャップの面44から突出するノズル本体43を構成する。
【0043】
ここで、ノズル構造42の下方では、ノズルキャップ40は、ノズル構造42のシリコーンより硬質な材料、特に、比較的硬質なプラスチックで製造されるベースプレート45を備える。このように、ノズルキャップ40は良好にキャリア41に固定され、再び取り外すことのできる硬質なアセンブリとして提供される。
【0044】
ノズルキャップ40をキャリア41上に着脱可能に取り付けるべく、キャリア41上に位置するノズルキャップ40を締め付けるようにして固定する、ラッチ要素50が構成される。
【0045】
ノズルキャップ40の噴霧ノズル60は、ノズル開口部61およびノズルソケット63に対し開放されるノズル流路62を備える。ノズルソケット63の嵌合片は、キャリア41上でノズルコネクタ64により構成される。ここで図示されている実施形態では、ノズルコネクタ64およびノズルソケット63は、円錐状に形成され、ノズルキャップ40がキャリア41に取り付けられる際に、2つの円錐状の端部が互いに突き当たることで、密閉を構成する。
【0046】
ノズルコネクタ64内には、液体流路65が備えられており、その下端部には、液体に高電圧を導入するための電気接点66が配置されている。ここで、電気接点には、流路65の領域内にドリル穴が施されているため、液体はノズル開口部61へと運搬されつつ、電気接点66を介して流れる。
【0047】
抜粋された
図Iでは、ノズルコネクタの別の変形例は円錐状の形状ではなく、密閉要素が配置された円筒状の形状を使用して描写されている。この変形例は、以下の
図3Bで更に詳しく説明されるが、後述するキャリア41上の指定点で使用され得る。
【0048】
図3aは、ノズルキャップ100およびキャリア101付き噴霧ノズルシステムの第2実施形態の概略的斜視図を示す。
3つの噴霧ノズル102、103、104は、ノズルキャップ100上に配置されている。噴霧ノズルは、湾曲した縁をノズル本体に有する。例として、ノズル103を参照する。ここで、手前に図示される縁105は、連続的に湾曲した輪郭を有し、後方に図示された縁106と比較すると、曲率はかなり際立っている。ノズル本体110、111、112aの縁における隆起状の構造により、洗浄が容易で、上昇させたノズル本体を有する表面を設けることができ、その表面では、ノズル102、103、104が可能なかぎりの最大距離にて離間している。
【0049】
ノズルキャップ100の下に配置されるキャリア101は、噴霧ノズル102、103、104それぞれに対し接続フランジ112b、113、114を備える。ここで、接続フランジは円筒状であり、ここでは一体に構成された密閉ビードとして設計されているシールリングを上端部に備える。
【0050】
図3bは、キャリア201に取り付けられるノズルキャップ200が順当に拡大された図を示す。
ここで再び、ノズルキャップ200は、シリコーンで構成され、比較的硬質なプラスチックで構成されるベース構造203上に配置される、ノズル構造202を備える。
【0051】
ここで、キャリア201の接続フランジ204は円筒状に設計されている。液体流路205は、接続フランジ204の中心を通る。電気的接触要素206は液体流路205の下端部に配置されており、接触要素206は、電気流体力学的噴霧流動のため充填され、処理中に高電圧の印加で帯電する液体が通る、中央のドリル穴206を有する。
【0052】
接続フランジ204aの上端には、シールリング210が備えられている。ここで、ノズル本体211は、円筒状のノズルソケット212を備え、その内部に接続フランジ204が突出し、シールリング210によりノズル本体211のシリコーンの可撓性材料に対し密閉を構成する。接続フランジ204の上には、ノズル本体211の中に、端部流路214へと上端が開放されたノズル流路213が存在する。次に、ノズル開口部215は端部流路214の上端により構成される。ここで、ノズル流路213は円錐形状にて、特に、円錐状のキャップ部分の形状にて具体化されている。
【0053】
ここで、ある実施形態においては、ノズル開口部215の直径220が0.2mmであることが好ましい。ノズル213は、約5.5mmの長さ221で具体化されることが好ましい。ノズル内部のノズル流路213を合わせ、液体流路205の全長222は約14mm以内であることが好ましく、その結果として、噴霧効果が始まる前に、10mmから15mmの長さの開放噴流で、噴霧された液体(図示せず)の開放噴流がノズル開口部の手前で発生する。
【符号の説明】
【0054】
I…ノズルコネクタの変形例、1…噴霧器、2…噴霧部、3…液体槽、3a…噴霧ノズルシステムの変形例の実施形態、3B…変形例の実施形態、3b…拡大図、4…ノズルシステム、10…ノズル、11…ノズル、12…ノズル、13…面、14…ノズル本体、15…ノズル本体、16…ノズル本体、17…横方向、21…ノズル開口部、22…ノズル開口部、23…ノズル開口部、24…距離、25…距離、30…容器、31…オペレータ制御押しボタンキー、32…接触リング、40…ノズルキャップ、41…キャリア、42…ノズル構造、43…ノズル本体、44…ノズルキャップの面、45…ベースプレート、50…ラッチ要素、60…噴霧ノズル、61…ノズル開口部、62…ノズル流路、63…ノズルソケット、64…ノズルコネクタ、65…液体流路、66…電気接点、100…ノズルキャップ、101…キャリア、102…噴霧ノズル、103…噴霧ノズル、104…噴霧ノズル、110…ノズル本体の縁、111…ノズル本体の縁、112a…ノズル本体の縁、112b…接続フランジ、113…接続フランジ、114…接続フランジ、200…ノズルキャップ、201…キャリア、202…ノズル構造、203…ベース構造、204…接続フランジ、205…液体流路、206…電気的接触要素、207…ドリル穴、210…シールリング、211…ノズル本体、212…ノズルソケット、213…ノズル流路、214…端部流路、215…ノズル開口部、220…ノズル開口部の直径