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特許7457026器具取付具、当該器具取付具を備える可動プラットフォーム及びその用途
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】器具取付具、当該器具取付具を備える可動プラットフォーム及びその用途
(51)【国際特許分類】
   F16M 11/04 20060101AFI20240319BHJP
   G03B 17/56 20210101ALI20240319BHJP
   B64D 47/08 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
F16M11/04 H
G03B17/56 A
B64D47/08
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021538431
(86)(22)【出願日】2019-12-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-24
(86)【国際出願番号】 EP2019086764
(87)【国際公開番号】W WO2020136129
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-12-14
(31)【優先権主張番号】18445001.3
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521285322
【氏名又は名称】ディーエスティー コントロール アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【弁理士】
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【弁理士】
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【弁護士】
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】ヤン-エリック ストロンバーグ
【審査官】宇佐美 琴
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0316685(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0105619(US,A1)
【文献】特開平06-288498(JP,A)
【文献】特表平08-504255(JP,A)
【文献】国際公開第94/013999(WO,A1)
【文献】特開2011-209540(JP,A)
【文献】米国特許第09777793(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16M 11/04-11/14,13/00-13/08
B64D 47/00-47/08
G03B 17/56-17/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
器具を可動プラットフォームに取り付けるための取付具(1)であって、
前記プラットフォームに取り付け可能な基部(11)と、
前記器具が取り付けられる器具部(12)と、
前記基部(11)及び前記器具部(12)の間で動作可能であり、前記器具部(12)を前記基部(11)に対して動かすばね及びダンパ構造(14、15)と、
記基部(11)及び前記器具部(12)の一方に軸回転可能に接続され、平行に配置された一対のレバー(131)と、
前記レバー(131)を含み形成される第1及び第2のレバーセット(13、13a、13b、13c)と、
を備え、
各前記レバー(131)は、互いに離隔して配置され、接続部材(132)を介して接続されており、
前記第1及び第2のレバーセット(13、13a、13b、13c)は、前記レバー(131)の接部(131p)を中心に軸回転可能であり、
前記第1及び第2のレバーセット(13、13a、13b、13c)は、前記近接部(131p)に設けられ互いに平行でない第1及び第2の幾何学的軸をそれぞれ備え、前記第1及び第2の幾何学的軸のそれぞれを中心に軸回転可能であり、
各前記レバー(131)の遠隔部(131d)は、内部ヒステリシスを示す各延伸柔軟部材(14)により、前記基部及び前記器具部の他方に接続される、
ことを特徴とする取付具。
【請求項2】
前記柔軟部材の厚さは、1~7mmであることを特徴とする請求項1の取付具。
【請求項3】
前記柔軟部材の長さは、20~80mmであることを特徴とする請求項1又は2の取付具。
【請求項4】
前記柔軟部材の少なくとも1つは、複数の金属フィラメントと、少なくとも1つのゴム弾性ポリマー部材と、少なくとも1つの強化ポリマー部材と、の少なくとも1つを備えることを特徴とする請求項1乃至3の取付具。
【請求項5】
前記軸は、45~135度の相対角度を有することを特徴とする請求項1乃至4の取付具。
【請求項6】
前記第1及び第2のレバーセットの数の合計は、2~6個であることを特徴とする請求項1乃至5の取付具。
【請求項7】
前記基部及び前記器具部を所定の相対位置に向かって付勢するように構成される少なくとも1つの付勢部材(15)をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至6の取付具。
【請求項8】
前記基部及び前記器具部の一方に配置される少なくとも1つの位置リミッタ(16)をさらに備え、
前記基部及び前記器具部の他方は、前記位置リミッタに向かって付勢される、
ことを特徴とする請求項1乃至7の取付具。
【請求項9】
前記レバー(531)の少なくとも1つは、前記基部(11)及び前記器具部(12)の一方に軸回転可能に接続される車軸(532)により、互いに接続されることを特徴とする請求項1乃至8の取付具。
【請求項10】
前記レバー(131)の少なくとも1つは、各ピン(1332)部材によりレバー基部(133)に軸回転可能に接続されることを特徴とする請求項1乃至9の取付具。
【請求項11】
前記レバーセット(13、13a、13b、13c)は、少なくとも1セットの交差板ばね(435a、435b)により、前記基部(11)及び前記器具部(12)の一方に接続されることを特徴とする請求項1乃至10の取付具。
【請求項12】
プラットフォーム本体と、
器具と、
請求項1乃至11の取付具と、
を備え、
前記器具は、前記取付具により、前記プラットフォーム本体に取り付けられる、
ことを特徴とする可動プラットフォーム。
【請求項13】
前記器具は、ジンバル、カメラ、レーザーレンジファインダー、アンテナ、ガス検出器、レーダー送信機/検出器の少なくとも1つを備えることを特徴とする請求項12の可動プラットフォーム。
【請求項14】
航空機、又は、前記器具の可動部分又は振動部分に取り付けられることを特徴とする請求項12又は13の可動プラットフォーム。
【請求項15】
前記器具を前記可動プラットフォームに取り付けるための、請求項1乃至11の取付具の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カメラ、レーザーレンジファインダー、アンテナ、ガス検出器、レーダー、及びその他の高感度センサ等の器具用の取付具に関する。さらに、そのようなセンサは、向きを変えることができるように、取付具に対して回転するように配置されている。
【0002】
取付具は、航空機等の可動プラットフォームに器具を取り付けるために特に使用されるが、低柔軟性柱状体の上及びその他等、固定構造の可動部分又は振動部分に器具を取り付けるためにも使用される。
【背景技術】
【0003】
例えば、航空機、具体的にはヘリコプター、又はその他の有人若しくは無人回転翼機に器具を取り付ける際、潜在的に有害及び/又は性能に悪影響を与える振動が相当量、航空機から器具に伝達され得る。低柔軟性柱状体及びその他等の柔軟固定構造に器具を取り付ける際にも、同様の問題が発生する。
【0004】
器具に伝達される振動エネルギーの量を減らすために、振動動作を減衰させるための構造を備える取付具が使用できる。
【0005】
そのような既知の取付具は、航空機の胴体に取り付けられる基部と、器具が取り付けられる器具部と、備える。基部から器具部に伝達される振動エネルギーの量を減らすため及び器具部/それらの接点を所定の位置に維持するために、例えば、ばねである複数の弾性要素がそれらの間に使用される。また、エネルギー伝達を最低限にするために、2つの部分/それらの接点の間の弾性要素は、エネルギーを放散させる必要がある。従って、ばねは、通常、何らかの減衰要素により補完される。
【0006】
上記の取付具の問題は、例えば風力又は加速の結果として、器具が胴体から突出する方向に垂直な力を受けた場合、胴体に対する器具の方向が変化し得ることである。つまり、器具は胴体に対して傾く可能性がある。これにより、器具は、隣接する構造に衝突し得る、又は胴体に対する器具の方向が重要である場合において間違ったデータを提供し得る。上記のような取付具の別の固有な問題として、特にセンサ構造の重心が基部から遠い場合において、水平方向の振動が、器具の制御不能な振り子動作を起こし得ることである。
【0007】
様々なロール安定化構造を設けることにより、これらの問題を解決することが試みられている。しかしながら、既知のロール安定化構造は、ベアリング及びボールジョイント構造を必要とする連結部を備える。そのような既知の構造の問題は、硬い連結アームの動作に必要なベアリング及びボールジョイントによりもたらされる固有の摩擦が、基部から器具部に振動を伝達させ得ることである。従って、そのような構造は、取付具の振動減衰特性を完全に相殺又は少なくとも大幅に減衰させ得る。
【0008】
器具が軽いほど、摩擦による損傷効果が深刻になる。上記のロール安定化構造の別の問題は、本質的に摩耗傾向があること、及び埃や泥等による汚染に敏感なことである。ベアリング及びボールジョイントが埃や泥に耐えられるように密封される場合、摩擦が悪化し、摩耗傾向がより大きくなる。
【0009】
従来技術の解決方法に一例が米国出願201203167851A1、これは、請求項1のプレアンブルを形成する。
【0010】
従って、より良い取付具、特に、基部に対する器具部の傾きを低減でき、摩耗や汚染に対して強い取付具が必要である。
【発明の概要】
【0011】
本開示の目的は、上記の問題を排除又は低減する取付具を提供することである。具体的には、器具の傾きを相殺でき、より強靭な取付具を提供することを目的とする。
【0012】
本開示は、添付される独立クレームにより画定される。以下の説明及び添付される図面において、実施形態は、添付される従属クレームにより記載される。
【0013】
第1様態によれば、器具を可動プラットフォームに取り付けるための取付具が提供される。取付具は、プラットフォームに取り付け可能な基部と、器具が取り付けられる器具部と、基部及び器具部の間で動作可能であり、器具部を基部に対して動かすばね及びダンパ構造と、第1及び第2のレバーセットであって、各レバーセットは、互いに強く接続され、基部及び器具部の一方に軸回転可能に接続される少なくとも2つの平行離隔レバーを備える、第1及び第2のレバーセットと、を備える。レバーセットは、レバーの各近接部を中心に軸回転可能である。レバーセットは、互いに平行でない第1及び第2の幾何学的軸のそれぞれを中心に軸回転可能である。各レバーの遠隔部は、内部ヒステリシスを示す各延伸柔軟部材により、基部及び器具部の他方に接続される。
【0014】
基部は、取付具を運ぶ構造に取り付けられる部分である、器具部は、器具が取り付けられる部分である。あるいは、器具部は、器具と一体であってもよい。
【0015】
柔軟部材における「柔軟」は、部材が、各適用例において適切な力により本明細書に開示されるように変形できるように十分に柔軟であることを示すことが理解される。そのような力の量は、取付具が運ぶ器具の重量及びサイズ、並びにプラットフォーム又はプラットフォームの動作により生成される外力(例えば、加速及び風力)に応じて異なることが理解される。
【0016】
任意の場合において、部材は、基部及び器具部よりも低い(好ましくは、とても低い)曲げ剛性を示すという意味で、より柔軟である。
【0017】
従って、基部及び器具部は、それらの柔軟性を無視してよいという意味で、本開示においては硬いとみなされてよい。同様に、レバーが互いに強く接続されるということは、任意のレバーセットの柔軟性が無視されてよいことを意味する。
【0018】
部材は、延伸し、その全長にわたってほぼ一定の断面を有してよい。
【0019】
特に、部材の厚さは、1~7mm、好ましくは、2~6mmであってよく、部材の長さは、20~80mm、好ましくは、30~70mmであってよい。
【0020】
従って、各部材の長さに対する厚さの比率は、3~80、好ましくは、4~70、5~70、10~40、又は15~30であってよい。
【0021】
柔軟部材は、曲げ及び戻り動作が減衰されるような内部ヒステリシスを示す。
【0022】
任意の場合において、各柔軟部材は、同じ厚さの固体金属ロッドより大きい内部ヒステリシスを示す。
【0023】
器具と基部とを接続するレバーセット及び柔軟部材の組み合わせは、基部の主平面に平行な方向及び基部の主平面に垂直な方向への基部及び器具部の相対的な直線の動きを容易に可能にする。しかしながら、器具部に加えられる基部の主平面に平行な軸の周りのトルクにより発生するような、基部及び器具部の相対位置を変化させる動きは、相殺される。
【0024】
さらに、柔軟部材がヒステリシスを示すため、振動は吸収され、基部及び器具部の間の相対的な動きは減衰される。
【0025】
従って、取付具は、基部及び器具部の間の相対的な動きをある程度許容するが、特に望ましくない動作については相殺し、振動を減衰する。
【0026】
柔軟部材の厚さは、1~7mm、好ましくは、2~5mmであってよい。
【0027】
柔軟部材の長さは、20~80mm、好ましくは、30~70mmであってよい。
【0028】
柔軟部材の少なくとも1つは、複数の金属フィラメントの少なくとも1つと、少なくとも1つのゴム弾性ポリマー部材と、少なくとも1つの強化ポリマー部材と、を備えてよい。
【0029】
例えば、部材は、金属ワイヤ、ロッド若しくはチューブ等の強化ポリマー部材、ロッド若しくはチューブ等の延伸ゴム部材、又は1つ以上の金属フィラメント、ポリマー/金属ワイヤ若しくはフィラメント、チューブ、若しくはロッドのハイブリッドであってよい。
【0030】
軸は、45~135度、好ましくは、45~75度の相対角度を有してよい。
【0031】
レバーセットの数は、2~6個、好ましくは、2~5個又は3~4個であってよい。
【0032】
取付具は、さらに、器具部及び基部を所定の相対位置に向かって付勢するように構成される少なくとも1つの付勢部材を備える。
【0033】
具体的には、所定の相対位置は、取付具がその平衡/静止状態において基部及び器具部の所定の相対位置を提供するように、取付具により運ばれる器具部の重量に基づいて決定されてよい。
【0034】
例えば、付勢部材は、器具部を基部に向かって付勢するように構成されてよい。
【0035】
取付具は、さらに、基部及び器具部の一方に配置される少なくとも1つの位置リミッタを備えてよく、基部及び器具部の他方は、位置リミッタに向かって付勢される。
【0036】
レバーの少なくとも1つは、前記基部及び器具部の一方に軸回転可能に接続される車軸により、互いに接続されてよい。
【0037】
レバーの少なくとも1つは、各ピン部材によりレバー基部に軸回転可能に接続されてよい。
【0038】
レバーセットは、少なくとも1セットの交差板ばねにより、前記基部及び器具部の一方に接続されてよい。
【0039】
この具体的な配置の利点は、摩擦及び摩耗が完全に起きないことである。また、適切な材料を選択することにより、汚染を本質的に無視できる。この配置において、(湾曲する際の柔軟部材中の意図的な動作を除く)部分の全ての滑り運動が完全に排除される。
【0040】
レバーセットの板ばねは、X構成で配置されてよく、レバーセットの軸は、X構成の交差点と実質的に一致していてよい。しかしながら、軸の位置には若干のずれが生じ得る。
【0041】
第2の様態によれば、プラットフォーム本体と、器具と、上記の器具取付具と、を備える可動プラットフォームが提供され、器具は、取付具により、プラットフォーム本体に取り付けられる。
【0042】
器具は、ジンバル、カメラ、レーザーレンジファインダー、アンテナ、ガス検出器、レーダー送信機/検出器の少なくとも1つを備えてよい。
【0043】
可動プラットフォームは、航空機であってよい。
【0044】
可動プラットフォームは、低柔軟性柱状体であってよい。
【0045】
第3の様態によれば、器具を可動プラットフォームに取り付けるための、上記の取付具の使用方法が提供される。
【0046】
使用方法において、器具は、ジンバル、カメラ、レーザーレンジファインダー、アンテナ、ガス検出器、レーダー送信機/検出器の少なくとも1つを備えてよい。
【0047】
使用方法において、プラットフォームは、航空機である。
【0048】
使用方法において、プラットフォームは、低柔軟性柱状体である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1図1は、器具取付具の概略斜視図である。
図2図2は、図1の器具取付具の概略分解斜視図である。
図3図3は、図1及び図2の器具取付具のヒンジ部の概略分解斜視図である。
図4図4A及び4Bは、図1及ぶ図2の器具取付具において使用されるレバーセットの概略分解斜視図及び概略組立斜視図である。
図5図5A乃至5Cは、軸荷重が加えられた時の取付具を概略的に示す。
図6図6A及び6Bは、ラジアル荷重が加えられた時の取付具を概略的に示す。
図7図7A及び7Bは、ラジアル荷重が加えられた時の取付具を概略的に示す。
図8図8は、水平軸周りのトルクが加えられた時の取付具を概略的に示す。
図9図9は、器具取付具及び器具取付具に運ばれる器具の概略斜視図である。
図10図10は、器具取付具により器具を運ぶ航空機の概略斜視図である。
図11図11A及び11Bは、それぞれ、組立状態及び分解状態における器具取付具の別の実施形態の概略斜視図である。
図12図12A乃至12Cは、様々な動作状態における図11A及び11Bの器具取付具を概略的に示す。
図13図13A及び13Bは、さらなる動作状態における図11A及び11Bの器具取付具を概略的に示す。
図14図14A及び14Bは、さらなる動作状態における図11A及び11Bの器具取付具を概略的に示す。
図15図15A及び15Bは、それぞれ、組立状態及び分解状態における器具取付具のさらなる別の実施形態の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1を参照すると、基部11と、器具部12と、を備える器具取付具1が示される。図示される例において、基部11及び器具部12は、全体が円形であり、本質的に同軸に配置される環状部分である。図示されるように、これらの部分は、それぞれ、全体が円形であってよい中央開口を有してよい。
【0051】
しかしながら、本明細書に開示される概念は、全体正方形、全体長方形、全体多角形、全体楕円形、その他等の他の外形を有する基部及び/又は器具部に等しく適用可能である点が理解される。
【0052】
基部11は、取付具を運ぶ構造に対向する略平面を有する。この略平面は、基部の主平面を画定する。主平面に垂直な方向が、取付具の軸方向と定義される。軸方向に垂直な方向は、径方向と定義される。
【0053】
基部11及び器具部12は、アルミニウム若しくはチタン合金等の軽量金属若しくは金属合金、又はガラス又は炭素強化プラスチック、又は好適な品質及び剛性の熱可塑性素材から製造されてよい。製造方法の非限定的な例は、キャスティング及び様々な追加の製造技術を含む。
【0054】
基部11及び器具部12は、全体がL字形状を有してよい。具体的には、基部11は、上下逆のL字形状で設計されてよく、水平部111が平面を形成し、縦部112が基部11の外縁を形成する。器具部12は、L字外形状で形成されてよく、縦部122が環状フレームの内側に対向する部分を形成し、水平部121が下側に対向する部分を形成する。
【0055】
基部11及び器具部12の両方には、部品を取り付けられるために設けられ得る複数の強化体113、114、124、125、126が設けられてよく、これらは、以下に説明される。
【0056】
基部11及び器具部12の一方又は両方は、中央開口を有さずともよいことがさらに理解される。
【0057】
図示される取付具は、3つのレバーセット13a、13b、13cを備え、各レバーセットは、実際に平行である一対のレバー131を備える。
【0058】
図示される例において、レバーセット13a、13b、13cは、基部11上に配置される。しかしながら、代替的に、レバーセット13a、13b、13cは、器具部12上に配置されてもよいことが理解される。
【0059】
レバーセット13a、13b、13cは、それぞれ、各レバー131の近接部131pにおおよそ設けられる幾何学的軸の周りを軸回転可能である。
【0060】
レバーの近接部は、レバーがその周りを回転する幾何学的軸と一致する。
【0061】
幾何学的軸は、互いに平行ではない。例えば、軸が2つである場合、軸は互いに垂直であってよい。軸が3つである場合、軸は、互いに約60度の角度を有してよい。軸が4つである場合、軸は、正方形の辺上に配置されてよい。軸が5つである場合、軸は、正五角形の辺上に配置されてよい。
【0062】
レバーセット13a、13b、13cを形成するレバー131は、レバーを接続する接続部材132が歪まない限りレバーの軸位置が同じであるように、互いに強く接続される。従って、レバーを接続する接続部材132は、当該システムが受ける荷重により変形しないように設計される。すなわち、接続部材132が通常受ける力による変形量は、無視できるものである。
【0063】
レバー131の遠隔部分131dにおいて、各レバー131は、それぞれ、内部ヒステリシスを示す延伸柔軟部材14により器具部12に接続される。
【0064】
各柔軟部材14は、金属マルチフィラメントワイヤ、柔軟ロッド、又は柔軟チューブにより形成されてよい。ロッド又はチューブである場合、柔軟部材14は、ゴム弾性材料等のポリマー材料により形成されてよい。さらに、繊維強化ポリマー材料等の複合材料であってもよい。また、複合部材は、異なる材料から作られた複数のフィラメントを含むワイヤが妥当である。
【0065】
部材14は、器具部12が基部11の平面に平行な方向に動き得るように弾性的に曲がることを可能とするように十分に柔軟である。
【0066】
さらに、部材14は、基部に対する器具部12の傾きを相殺するように十分に硬い。具体的には、部材は、縦方向の十分に高い圧縮力に抵抗できる。
【0067】
最後に、部材14は、曲がり動作がエネルギーを放散し、従ってエネルギーを効果的に減衰させるような内部ヒステリシスを示す。
【0068】
試験が成功した実施形態において、少なくとも1~15kgの質量を有する器具において、2~4mmの厚さを有するステンレス鋼金属マルチフィラメントワイヤが有益であった。
【0069】
各レバーセット13、13a、13b、13cにおいて、レバー131は、互いに離隔している。通常、レバーは、可能な限り互いに離隔していることが好ましい。例えば、レバーの間隔は、基部11の水平寸法の25~75%ほどであってよい。例えば、基部11が環状である場合、レバー間の間隔は、当該環の外形の25~75%ほどであってよい。
【0070】
いくつかの実際の実施形態において、レバーの間隔は、50~200mmほど、好ましくは、100~200mmほどであってよい。
【0071】
取付具は、さらに、静止する器具の質量(重力)を運ぶための1つ以上の付勢ばねを備えてよい。図示される実施形態において、当該付勢ばね15は、基部11及び器具部12を所定の相対位置に向かって付勢するように配置されてよい。そのために、ばね15は、張った状態で作用する巻きばねにより形成されてよい。
【0072】
図2を参照すると、図1の器具取付具1の概略分解斜視図を示す。この分解図において、1つのレバーセット13aが、レバーセット基部133から外されている。さらに、2つの付勢ばね15が、基部から外されており、第3の付勢ばね15が、完全に外されている。5つの部材14が、関連するレバー131から外されており、第6の部材14は、完全に外されている。
【0073】
図2から分かる通り、部材14は、クランプ123により、器具部12に接続されてよく、各クランプは、一対のクランプ部材及びクランプ部材を1つにする力を加える1つ以上のねじ又はボルトを備える。部材14を受けるために、溝が提供されてよい。また、図15A及び15Bに示されるように、他のクランプ構造が使用されてよい。
【0074】
レバー131の遠隔部131dには、対応するクランプ1314が設けられてよい。
【0075】
ばね15は、例えば、ラグ、その他により、基部11及び器具部12に取り付けられてよい。当該ラグは、基部11及び器具部12のそれぞれの強化部114及び124に設けられてよい。
【0076】
図3を参照すると、レバーセット基部133は、基部本体1331と、基部本体1331に挿入可能な車軸1332と、を備えてよい。車軸1332は、基部本体1331に対して固定可能であってよい。
【0077】
本実施形態においてそうであるように、基部本体1331は、基部11又は器具部12に順番に接続されてよい。
【0078】
レバー基部133は、関連する基部11及び器具部12に接続されてよく、図示される例においては、基部11の強化体113に設けられている。例えば、当該強化体113は、基部11の材料がより厚い部分に設けられてよい。強化体には、ねじ状であってよい穴又は溝が設けられてよく、ねじ又はボルト等によりレバーセット基部133に取り付け可能となる。
【0079】
図4A及び4Bを参照すると、レバーセット13a、13b、13cがさらに図示される。本実施形態において、レバーセットは、一対のレバー形成部材1311を接続する接続部材132により形成される。
【0080】
レバー形成部材1311は、それぞれ、車軸1332が係合され得る各ベアリング1313を受けるための溝1312を備えてよい。溝は、その周りをレバーセット13が軸回転する軸Aに平行な方向に空いていてよく、好ましくは同軸であってよい。
【0081】
図示される例において、少なくとも1つのクランプ部材13141、13142と、少なくとも1つのファスタ13143と、を備えるクランプ1314は、レバー形成部材1311の遠端部131dに設けられて接続される。
【0082】
また、図示される例において、クランプ1314は、一対のクランプ部材13141、13142を備え、各クランプ部材13141、13142は、それぞれ、柔軟部材14を受けるための溝を備え、クランプ部材は1つあれば十分であって良く、レバー形成部材がその他のクランプ部材を提供する。
【0083】
クランプは、関連する基部11及び器具部12に接続されてよく、図示される例においては、器具部12に形成される強化部125に接続される。また、当該強化部は、その周囲の部分の厚さよりも材料が厚い部分として設けられている。当該強化部は、ねじ状であってよい穴又は溝が設けられてよく、ねじ又はボルト等のねじ部材により取り付けを容易にする。
【0084】
取付具1の作用が、図5A乃至5C、図6A及び6B、並びに図7A及び7Bを参照してここに説明される。
【0085】
図5A、5B、及び5Cについて、器具が器具部12に取り付けられていると仮定する。器具は、図面を簡略化するために図示されない。
【0086】
図5Aは、非荷重状態の取付具を概略的に示し、基部11及び器具部12の両方が水平に配置されている。この状態において、付勢ばね15は、器具部12を基部11に向かって付勢しており、それにより、器具部12は、平衡状態、すなわち、器具が取り付けられている(従って、力F0が取付具に加えられている)が、プラットフォーム及び器具の両方は静止している状態にある。図5Aの拡大部分から分かる通り、付勢ばね15は若干延伸しており、レバー131は略水平に延伸しており、柔軟部材14は直状かつ垂直である。なお、付勢ばね15は、この平衡状態(柔軟部材により運ばれる荷重は無視できる)を達成するように、器具の質量に基づいて選択されてよいことが理解される。
【0087】
ワイヤが梁上に接続されているため、この状態において、ワイヤは若干曲がることになる。
【0088】
図5Bは、負の方向に軸が荷重されている状態の取付具を概略的に示し、器具部12には、垂直上方向に作用する力F1が加わっている。この力は、プラットフォームの加速に起因して、又は振動により、器具部12に取り付けられた器具により与えられる慣性力によるものである。
【0089】
図5Cは、正の方向に軸が荷重されている状態の取付具を概略的に示し、器具部12には、垂直下方向に作用する力F2が加わっている。また、上記の通り、この力は、プラットフォームの振動及び/又は加速によるものであってよい。図5Cから分かる通り、付勢ばね15はさらに延伸しており、レバー131は、若干下を向いている。基部11及び器具部12の間の相対的な動きは、柔軟部材14により制限される。
【0090】
なお、基部11及び器具部12の間の相対的な軸の動きは、それに対応して動きを制限する柔軟部材により、レバーセット13a、13b、13cを等しく軸回転させることが理解される。従って、基部及び器具部の接触面は、垂直方向への力が作用しているような状態の全ておいて、略平行を維持する。
【0091】
なお、図5A乃至5Cに示される位置の間の動きは、柔軟部材14によりもたらされる内部ヒステリシスにより効果的に減衰されることが理解される。
【0092】
従って、基部11及び器具部12の間の相対的な軸の動きは、減衰された動きである。
【0093】
図6A及び6B並びに図7A及び7Bは、径方向に作用する力F3、すなわち、力F1、F2に垂直であり、従って図において水平方向である力が加えられる取付具を示す。
【0094】
力F3が器具部12に加えられると、器具部12は、柔軟部材14及び付勢ばね15の柔軟性により、水平に、基部の平面に平行な方向に動く。すなわち、部材間の一定の距離は、器具部12が器具11に対して平行四辺形状に動き、従って、基部に対する器具部の動きを制限し、それにより、2つの部材は、本質的に平行を維持する。
【0095】
また、付勢ばね15からの付勢並びに柔軟部材14の減衰及び弾性効果は、基部11及び器具部12の相対的な動きを減衰するように作用する。
【0096】
従って、図5A乃至5C、図6A及び6B、並びに図7A及び7Bを参照すると、取付具は、基部11及び器具部12が軸方向及び径方向に相対的に動くことを容易に可能にし、同時に、全ての振り子動作を効果的に妨害/減衰させる。これは、従来のロール安定化構造におけるボールジョイントにより起こされるような損傷を与える摩擦を発生させずに達成される。また、柔軟部材は、適切な材料を選択することにより、汚染及び摩耗に対して本質的に耐性を有する。
【0097】
従って、図8を参照すると、図から分かるように、取付具に水平軸周りに作用するトルクTが加わる場合、各レバーセット13を形成する一対のレバー及び柔軟部材14は、柔軟部材14の硬さにより、基部11に対する器具部12の全ての傾きを効果的に相殺する。
【0098】
図9を参照すると、(2つ以上の方向に動作可能なように遠隔制御される)回転するカメラ2である器具が取り付けられる取付具1が図示される。さらに、取付具には、取付具壁16が設けられる。取付具の器具部12への器具の取り付け性は、器具部12に強化部126を設けることにより向上可能である。当該強化部は、ねじ状であってよい穴又は溝が設けられてよく、ねじ又はボルト等のねじ部材により取り付けを容易にする。
【0099】
図10を参照すると、飛行機の翼の下に取り付けられ、回転するカメラである器具2を運ぶ取付具1が示される。代替的には、取付具及び取付具に運ばれる器具は、飛行機、ヘリコプター、又はドローンの胴体の下側に取り付けられてもよい。
【0100】
なお、取付具は、典型的には、それを運ぶ乗り物又は他の構造の下側に取り付けられる基部11と共に取り付けられ、器具部12は、典型的には、基部11の直下につるされることが理解される。
【0101】
図11A及び11Bを参照すると、硬いシャフトが交差配置された板ばねにより回転する、器具取付具の別の実施形態を示す。図11A及び11Bは、図1~2に対応し、そのため、同一の部品には同じ参照番号を付する。当該部品についての説明は、図1~2を参照して行われる。
【0102】
図11A及び11B、図12A及び12B、並びに13A及び13Bの実施形態は、レバーセット43の構造が、上記の開示と異なる。
【0103】
レバーセットは、レバー本体4311により形成される一対のレバー431と、レバー431を強く接続する接続部材432と、を備える。さらに、基部11に接続するためのレバー基部433が、上記のレバーセット基部133と同様の方法で設けられる。第1の実施形態と同様に、レバー431は、近接端431p及び遠隔端431dを有してよい。
【0104】
しかしながら、車軸とベアリングの代わりに、1セット以上のレバー板ばね435a、435bが設けられる。板バネの各セットは、少なくとも2つの延伸板ばねを備え、これらは、板ばねの平面が90度±30度、好ましくは、±15度、±5度、又は直角の角度で交差するような、X構造で配置される。
【0105】
図11Bに示されるように、各板ばねは、1つの板ばねにより形成されてよい。板ばねには、板ばねが互いに横方向に重なるように、溝又は穴が形成されてよい。
【0106】
代替的には、図12Aに示されるように、各板ばねは、2つ以上の個別の互いに離隔した板ばねにより形成されてよい。具体的には、板ばねの各セットは、第1の平面上を延伸する1つの中央板と、第1の平面に垂直な第2の平面上を延伸し、互いに中央板ばねに対して横方向反対側にある一対の周辺板ばねと、により形成されてよい。
【0107】
図示されるように、板ばねは、ねじにより、接続部材432及びレバー基部433に接続されてよい。溶接、リベット、又はスナップ構造等の他の取付方法が使用されてもよい。
【0108】
レバーセットは、1つの板ばねにより接続されてよく、また、複数の平行の板ばねにより接続されてもよい。
【0109】
図12A乃至12Cを参照すると、図11A及び11Bに開示される実施形態の作用が説明される。
【0110】
図12A乃至12Cは、それぞれ、図5A乃至5Cに対応する。
【0111】
図12Aにおいて、レバー板ばねは、静止位置において実質的に平面であることが分かる。
【0112】
図12Bにおいて、縦方向上向きに荷重される場合、レバー431は、上向きに軸回転する。これを達成するために、レバー板ばね435a、435bの両方は、径方向外側に向かって凸状になるように曲がる。
【0113】
同様に、図12Cにおいて、縦方向下向きに荷重される場合、レバー431は、上向きに軸回転し、レバー板ばねは、径方向外側に向かって凹状になるように、反対方向に曲がる。
【0114】
図13A及び13B並びに14A及び14Bは、それぞれ、図6A及び6B並びに7A及び7Bに対応し、器具部に径方向の荷重が加えられた時の取付具の挙動を示す。
【0115】
その作用は、第1の実施形態と同様である。
【0116】
図15A及び15Bを参照すると、硬いシャフトが標準的な円筒ロッドに基づく器具取付具の別の実施形態を示す。図15A及び15Bは、図1~2に対応し、そのため、同一の部品には同じ参照番号を付する。当該部品についての説明は、図1~2を参照して行われる。
【0117】
図15A及び15Bの実施形態は、レバーセット53の構造が上記のものとは異なる。
【0118】
図15A及び15Bに開示される実施形態は、基部11への取り付けのための一対のレバー基部533を備える。レバー基部には、ここでは貫通穴5331であり、ベアリング5313を受ける溝がそれぞれ予め設けられている。ベアリング5313は車軸532を受け、車軸521の離隔する部分には、レバー531が取り付けられる。図示されるように、レバー531は、例えば、ねじ5311により、開放可能に取り付けられてよい。スプライン等の別の取付構造が使用されてもよい。
【0119】
柔軟部材14を接続するためのクランプ5314が、レバー531の遠隔部に設けられてよい。図示されるように、クランプ5314は、ナット53134又はボルト53142の構造により作動してよい。
【0120】
レバー基部533の軸遠隔部には、軸リミッタ16が設けられてよい。軸リミッタは、例えば衝撃、雑音、及び/又は摩耗を低減するために、柔らかい材料を使用して設けられてよい。
【0121】
レバー531が車軸532に強く取り付けられ、柔軟部材14がクランプ5314及び器具部12に接続される状態において、この実施形態の作用は、本明細書に開示さえる他の実施形態と同様である。
【0122】
軸リミッタ16は、基部11又は器具部12の一方から軸状に延伸する個別の部材であってよい。さらに、軸リミッタを、レバー131の軸遠隔部131dに設けることも可能である。
【0123】
なお、本明細書において、例えば、各レバーセットを1つ、各レバーセットを2つ等の異なるレバーセットの組み合わせが使用されてもよいことが理解される。
【0124】
また、柔軟部材14は、各特定の実装の荷重状態のために選択及び適用される必要がある。例えば、材料又は材料の組み合わせ(純金属、合金、複合材料、その他)、部材の構成(フィラメントの数、フィラメントの材料、フィラメントの厚さ、その他)、部材の長さ及び厚さは、柔軟部材14に十分な軸の硬さ、曲げ硬さ、及びヒステリシスをもたらすように選択されてよい。
【0125】
適用されるレバーセットの数は、異なる適用、特に異なる荷重状態に合わせるために変更されてよい。
【0126】
付勢部材15は、望ましい静止位置を達成可能とするために、各荷重状態に合わせて選択される必要がある。

図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B