(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】ショベル
(51)【国際特許分類】
E02F 9/24 20060101AFI20240319BHJP
E02F 9/26 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
E02F9/24 B
E02F9/26 B
(21)【出願番号】P 2022016759
(22)【出願日】2022-02-04
(62)【分割の表示】P 2020148563の分割
【原出願日】2018-02-22
【審査請求日】2022-02-16
(31)【優先権主張番号】P 2017030792
(32)【優先日】2017-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】502246528
【氏名又は名称】住友建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】山本 崇司
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-181509(JP,A)
【文献】特開2013-179517(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/24
E02F 9/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体と、前記下部走行体に旋回可能に搭載される上部旋回体と、を備えたショベルであって、
油圧アクチュエータと、
前記油圧アクチュエータを操作するための操作装置と、
操作者が前記操作装置を操作すると対応する前記油圧アクチュエータが動作する状態である前記操作装置の有効状態をもたらすロック解除状態と、操作者が前記操作装置を操作しても対応する前記油圧アクチュエータが動作しない状態である前記操作装置の無効状態をもたらすロック状態とを切り替えできるゲートロックレバーと、
ショベルの周囲における所定領域内の物体を検出する物体検出装置と、
前記ショベルに搭載され、前記物体検出装置が物体を検出しているか否かを判定する判定手段と、を有し、
前記ゲートロックレバーが前記ロック状態からロック解除状態に切り替えられた場合であっても、前記判定手段は、前記物体検出装置が物体を検出しているか否かを判定し、
前記物体検出装置が物体を検出していない場合であっても、操作者が所定の条件を満たす場合には、前記操作装置の無効状態を維持する、
ショベル。
【請求項2】
操作者が所定の条件が満たす場合は、操作者が運転席に着座していない場合、又は、操作者がシートベルトを着用していない場合である、
請求項1に記載のショベル。
【請求項3】
前記判定手段は、前記物体検出装置が物体を検出していると判定して前記操作装置を無効状態にした後で、所定の条件を満たした場合、前記操作装置を有効状態に戻す、
請求項1に記載のショベル。
【請求項4】
前記判定手段は、操作者の意思を確認できるまでは、前記操作装置を無効状態から有効状態に切り替えない、
請求項1に記載のショベル。
【請求項5】
前記判定手段によって無効状態に切り替えられた前記操作装置を有効状態に戻すスイッチを更に有する、
請求項3に記載のショベル。
【請求項6】
下部走行体と、前記下部走行体に旋回可能に搭載される上部旋回体と、を備えたショベルであって、
油圧アクチュエータと、
前記油圧アクチュエータを操作するための操作装置と、
操作者が前記操作装置を操作すると対応する前記油圧アクチュエータが動作する状態である前記操作装置の有効状態をもたらすロック解除状態と、操作者が前記操作装置を操作しても対応する前記油圧アクチュエータが動作しない状態である前記操作装置の無効状態をもたらすロック状態とを切り替えできるゲートロックレバーと、
ショベルの周囲における所定領域内の物体を検出する物体検出装置と、
前記ショベルに搭載され、前記物体検出装置が物体を検出しているか否かを判定する判定手段と、を有し、
前記ゲートロックレバーが前記ロック状態からロック解除状態に切り替えられた場合であっても、前記判定手段は、前記物体検出装置が物体を検出しているか否かを判定し、操作者が所定の条件を満たす場合には、前記操作装置の無効状態を維持し、
前記判定手段は、前記物体検出装置の出力に基づいて前記所定領域内に物体が存在すると判定して前記操作装置を無効状態にした後で、前記物体検出装置の出力に基づいて前記所定領域内に物体が存在しないと判定する場合であって、且つ、操作者が運転席に着座していない場合又は操作者がシートベルトを着用していない場合
であっても、前記操作装置を無効状態から有効状態に切替可能である、
ショベル。
【請求項7】
下部走行体と、前記下部走行体に旋回可能に搭載される上部旋回体と、を備えたショベルであって、
油圧アクチュエータと、
前記油圧アクチュエータを操作するための操作装置と、
操作者が前記操作装置を操作すると対応する前記油圧アクチュエータが動作する状態である前記操作装置の有効状態をもたらすロック解除状態と、操作者が前記操作装置を操作しても対応する前記油圧アクチュエータが動作しない状態である前記操作装置の無効状態をもたらすロック状態とを切り替えできるゲートロックレバーと、
ショベルの周囲における所定領域内の物体を検出する物体検出装置と、
前記ショベルに搭載され、前記物体検出装置が物体を検出しているか否かを判定する判定手段と、を有し、
前記ゲートロックレバーが前記ロック状態からロック解除状態に切り替えられた場合であっても、前記判定手段は、前記物体検出装置が物体を検出しているか否かを判定し、操作者が所定の条件を満たす場合には、前記操作装置の無効状態を維持し、
前記判定手段は、前記物体検出装置の出力に基づいて前記所定領域内に物体が存在すると判定して前記操作装置を無効状態にした後で、前記物体検出装置の出力に基づいて前記所定領域内に物体が存在しないと判定する場合であって、且つ、操作者が運転席に着座していない場合又は操作者がシートベルトを着用していない場合
であっても、解除手段が操作されると前記操作装置を無効状態から有効状態に切り替える、
ショベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲートロックレバーを備えたショベルに関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ロック状態と油圧ロック解除状態とを切り替えるゲートロックレバーを備えたショベルが知られている(特許文献1参照。)。油圧ロック解除状態では、操作者が操作レバーを操作すると対応する油圧アクチュエータが動作する。すなわち、操作装置は有効状態にある。油圧ロック状態では、操作者が操作レバーを操作しても対応する油圧アクチュエータは動作しない。すなわち、操作装置は無効状態にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、油圧ロック解除状態であれば、油圧アクチュエータは動作する。そのため、上述のショベルでは、操作者の意図とは無関係に油圧アクチュエータが動いてしまうおそれがある。
【0005】
そこで、操作者の意図とは無関係に油圧アクチュエータが動いてしまうのを防止できるショベルを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施例に係るショベルは、下部走行体と、前記下部走行体に旋回可能に搭載される上部旋回体と、を備えたショベルであって、油圧アクチュエータと、前記油圧アクチュエータを操作するための操作装置と、操作者が前記操作装置を操作すると対応する前記油圧アクチュエータが動作する状態である前記操作装置の有効状態をもたらすロック解除状態と、操作者が前記操作装置を操作しても対応する前記油圧アクチュエータが動作しない状態である前記操作装置の無効状態をもたらすロック状態とを切り替えできるゲートロックレバーと、ショベルの周囲における所定領域内の物体を検出する物体検出装置と、前記ショベルに搭載され、前記物体検出装置が物体を検出しているか否かを判定する判定手段と、を有し、前記ゲートロックレバーが前記ロック状態からロック解除状態に切り替えられた場合であっても、前記判定手段は、前記物体検出装置が物体を検出しているか否かを判定し、前記物体検出装置が物体を検出していない場合であっても、操作者が所定の条件を満たす場合には、前記操作装置の無効状態を維持する。
【発明の効果】
【0007】
上述の手段により、操作装置が有効状態のままでショベルの操作が中断されているときに操作装置が不注意に或いは不適切に動かされてしまい、操作者の意図とは無関係に油圧アクチュエータが動いてしまうのを防止できるショベルが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】本発明の実施例に係るショベルの側面図である。
【
図1B】本発明の実施例に係るショベルの上面図である。
【
図2】本発明の実施例に係るショベルに搭載される制御システムの構成例を示す概略図である。
【
図3A】
図2のゲートロックリレーの拡大図である。
【
図3B】
図2のゲートロックリレーの拡大図である。
【
図3C】
図2のゲートロックリレーの拡大図である。
【
図5】切替処理の別の一例のフローチャートである。
【
図6A】本発明の別の実施例に係るショベルの側面図である。
【
図6B】本発明の別の実施例に係るショベルの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
最初に、
図1A及び
図1Bを参照して、本発明の実施例に係る建設機械としてのショベル(掘削機)について説明する。
図1Aはショベルの側面図であり、
図1Bはショベルの上面図である。
図1A及び
図1Bに示すショベルの下部走行体1には旋回機構2を介して上部旋回体3が旋回可能に搭載されている。上部旋回体3には作業要素としてのブーム4が取り付けられている。ブーム4の先端には作業要素としてのアーム5が取り付けられ、アーム5の先端には作業要素及びエンドアタッチメントとしてのバケット6が取り付けられている。ブーム4、アーム5、バケット6は、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9によりそれぞれ油圧駆動される。上部旋回体3には、キャビン10が設けられ、且つエンジン11等の動力源が搭載されている。また、上部旋回体3には、コントローラ30、カメラS1等が取り付けられている。
【0010】
コントローラ30は、ショベルを制御するための制御装置である。本実施例では、コントローラ30は、CPU、RAM、NVRAM、ROM等を備えたコンピュータで構成されている。また、コントローラ30は、各種機能要素に対応するプログラムをROMから読み出してRAMにロードし、対応する処理をCPUに実行させる。
【0011】
カメラS1はショベルの周囲を撮像する。本実施例では、上部旋回体3の上面後端に取り付けられたバックカメラS1B、上部旋回体3の上面左端に取り付けられた左カメラS1L、及び、上部旋回体3の上面右端に取り付けられた右カメラS1Rを含む。カメラS1は、ショベルの周囲における所定領域内の物体を検出し或いは監視する物体検出装置として機能する。この場合、カメラS1は、画像処理装置を含んでいてもよい。画像処理装置は、カメラS1が撮像した画像(入力画像)に各種画像処理を施して入力画像に含まれる物体の画像を検出する。物体の画像を検出した場合、カメラS1は、物体検出信号をコントローラ30に対して出力する。物体は、人、動物、車両、機械等を含む。また、物体は、人、動物、車両、機械、建屋、標識等を含んでいてもよい。更に、物体は、進入物としての人、動物、車両、機械等を含み、地物としての建屋、標識等を含んでいてもよい。ここで、画像処理装置は、ショベルの周囲における所定領域内に進入した物体を進入物とし、所定領域外の物体を進入物ではないと判断してもよい。このとき、物体検出装置は、物体としての人、動物、車両、機械、建屋、標識等を検出してもよい。また、物体検出装置は、進入物としての人、動物、車両、機械等を検出し、地物としての建屋、標識等を検出しないように構成されてもよい。画像処理装置は、動体を検出する構成であってもよい。また、画像処理装置は、コントローラ30に統合されていてもよい。物体検出装置は、超音波センサ、ミリ波センサ、レーザレーダセンサ、赤外線センサ等であってもよい。本実施例では、画像処理装置は、ショベルから所定の距離離間した所定範囲内に進入物が存在する場合、パターン認識等により進入物が存在することを検知する。また、パターン認識では無く、進入物が装着している通信機器の出力を利用してショベル側で進入物を検知してもよい。更に、画像処理装置は、現在の地形形状を把握している場合には、現在の地形形状を検知対象から除外することで、崖等の直立する地形を進入物として誤検知することを防止できる。
【0012】
図1Bの破線で示す領域は、ショベルの周囲における所定領域の一例を表す。具体的には、所定領域は、ショベルの前後軸方向に延びる前後幅A、及び、ショベルの左右軸方向に延びる左右幅Bを有する。前後幅Aは、例えば、下部走行体1の前方1メートルから下部走行体1の後方4メートルの幅である。左右幅Bは、例えば、下部走行体1の左方3メートルから下部走行体1の右方3メートルの幅である。所定領域の上面視形状は、例えば、円形、楕円形等、矩形以外の形状であってもよい。
【0013】
ショベルは、上部旋回体3の上の領域を監視する物体検出装置を備えていてもよい。上部旋回体3の上で作業する作業者等を検出するためである。また、下部走行体1の下の領域を監視する物体検出装置を備えていてもよい。下部走行体1の下に潜り込んで作業する作業者等を検出するためである。
【0014】
次に、
図2を参照し、本実施例に係るショベルに搭載される制御システム100について説明する。
図2は、制御システム100の構成例を示す概略図であり、機械的動力伝達ライン、作動油ライン、パイロットライン、電気制御ラインをそれぞれ二重線、太実線、破線、点線で示す。
【0015】
制御システム100は、主に、エンジン11、メインポンプ14、パイロットポンプ15、コントロールバルブ17、操作装置26、リモコン弁27、操作圧センサ29、コントローラ30、ゲートロック弁50、ゲートロックリレー51、ゲートロックレバーD1等を含む。
【0016】
エンジン11は、ショベルの駆動源である。本実施例では、エンジン11は、例えば、所定の回転数を維持するように動作する内燃機関としてのディーゼルエンジンである。また、エンジン11の出力軸は、メインポンプ14及びパイロットポンプ15のそれぞれの入力軸に連結されている。
【0017】
メインポンプ14は、作動油ラインを介して作動油をコントロールバルブ17に供給するための装置であり、例えば、斜板式可変容量型油圧ポンプである。
【0018】
パイロットポンプ15は、パイロットラインを介して操作装置26を含む各種油圧制御機器に作動油を供給する装置であり、例えば、固定容量型油圧ポンプである。
【0019】
コントロールバルブ17は、ショベルにおける油圧システムを制御する油圧制御装置である。具体的には、コントロールバルブ17は、メインポンプ14が吐出する作動油の流れを制御する複数の制御弁を含む。そして、コントロールバルブ17は、それら制御弁を通じ、メインポンプ14が吐出する作動油を1又は複数の油圧アクチュエータに選択的に供給できる。それら制御弁は、メインポンプ14から油圧アクチュエータに流れる作動油の流量、及び、油圧アクチュエータから作動油タンクに流れる作動油の流量を制御できる。油圧アクチュエータは、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、左側走行用油圧モータ、右側走行用油圧モータ及び旋回用油圧モータ2Aを含む。
図2は、コントロールバルブ17に含まれる制御弁の例として、旋回用油圧モータ2Aに関する制御弁17Aと、アームシリンダ8に関する制御弁17Bとを代表的に示している。
【0020】
操作装置26は、操作者が油圧アクチュエータの操作のために用いる装置である。本実施例では、操作装置26は、パイロットラインを介して、パイロットポンプ15が吐出する作動油を油圧アクチュエータのそれぞれに対応する制御弁のパイロットポートに供給できる。パイロットポートのそれぞれに供給される作動油の圧力(以下、「パイロット圧」とする。)は、油圧アクチュエータのそれぞれに対応する操作装置26のレバー又はペダルの操作方向及び操作量に応じた圧力である。
図2は、操作装置26の例として、旋回操作レバー26Aとアーム操作レバー26Bとを代表的に示している。
【0021】
リモコン弁27は、操作装置26の操作に応じて開閉される弁である。
図2は、リモコン弁27の例として、リモコン弁27Aとリモコン弁27Bとを代表的に示している。パイロットポンプ15からリモコン弁27Aへ供給される作動油は、旋回操作レバー26Aの傾倒によって開閉されるリモコン弁27Aの開度に応じた流量で、制御弁17Aのパイロットポートへ伝達される。同様に、パイロットポンプ15からリモコン弁27Bへ供給される作動油は、アーム操作レバー26Bの傾倒によって開閉されるリモコン弁27Bの開度に応じた流量で、制御弁17Bのパイロットポートへ伝達される。
【0022】
操作圧センサ29は、操作装置26を用いた操作者の操作内容を検出するためのセンサである。本実施例では、操作圧センサ29は、例えば、油圧アクチュエータのそれぞれに対応する操作装置26のレバー又はペダルの操作方向及び操作量を圧力の形で検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
図2は、操作圧センサ29の例として、旋回操作レバー26Aの操作内容を検出する操作圧センサ29Aと、アーム操作レバー26Bの操作内容を検出する操作圧センサ29Bとを代表的に示している。操作装置26の操作内容は、レバーの傾きを検出するセンサ等の圧力センサ以外の他のセンサを用いて検出されてもよい。また、
図2では、旋回操作レバー26A及びアーム操作レバー26Bは、便宜的に別々に図示されているが、1つのレバーとして構成されていてもよい。この場合、旋回操作レバー26Aとしてもアーム操作レバー26Bとしても機能する1つのレバーは、傾倒方向の違いによって使い分けられる。例えば、この1つのレバーは、前後方向に傾倒された場合にアーム操作レバー26Bとして機能し、左右方向に傾倒された場合に旋回操作レバー26Aとして機能するように構成されていてもよい。
【0023】
ゲートロックレバーD1は、操作装置26の有効状態と無効状態を切り替えできるように構成されている。操作装置26の有効状態は、操作者が操作装置26を操作すると対応する油圧アクチュエータが動作する状態を意味する。操作装置26の無効状態は、操作者が操作装置26を操作しても対応する油圧アクチュエータが動作しない状態を意味する。
【0024】
本実施例では、ゲートロックレバーD1は、運転席D2の左側前端部に設置されている。操作者は、ゲートロックレバーD1を引き上げてロック解除状態D1U(実線で示された状態)にすることで操作装置26を有効状態にすることができる。また、ゲートロックレバーD1を押し下げてロック状態D1L(点線で示された状態)にすることで操作装置26を無効状態にすることができる。
【0025】
ゲートロックスイッチS2は、ゲートロック弁50を作動させる信号を出力する装置である。本実施例では、ゲートロックスイッチS2は、ゲートロックレバーD1によって状態が切り替わるように構成されている。例えば、ゲートロックレバーD1がロック解除状態D1Uのときにロック解除信号を出力し、ゲートロックレバーD1がロック状態D1Lのときにロック解除信号を出力しないように構成されている。ゲートロックレバーD1がロック状態D1Lのときにロック信号を出力してもよい。ロック解除信号、ロック信号は電流信号であってもよく電圧信号であってもよい。ロック解除信号、ロック信号は、コントローラ30が出力する場合もある。
【0026】
ゲートロック弁50は、操作装置26とパイロットポンプ15とを接続する管路L1の連通・遮断を切り替える電磁弁である。本実施例では、ロック解除信号を受けたときに管路L1を連通させ、ロック解除信号を受けていないときに管路L1を遮断する。ロック信号を受けたときに管路L1を遮断する構成であってもよい。
【0027】
ゲートロック弁50は、複数の電磁弁で構成されていてもよい。
図2の位置50A~50Fは、ゲートロック弁50が配置され得る位置を示す。ゲートロック弁50は、パイロットポンプ15とリモコン弁27のそれぞれとの間に設けられていてもよい。例えば、旋回操作レバー26Aのみを無効状態に切り替えられるよう、位置50Aで示すようにリモコン弁27Aに関する個別管路に設けられていてもよく、アーム操作レバー26Bのみを無効状態に切り替えられるよう、位置50Bで示すようにリモコン弁27Bに関する個別管路に設けられていてもよい。個別管路は、管路L1とリモコン弁27のそれぞれとを接続する管路である。或いは、ゲートロック弁50は、リモコン弁27と制御弁との間に設けられていてもよい。例えば、旋回操作レバー26Aのみを無効状態に切り替えられるよう、位置50C及び位置50Dで示すように、リモコン弁27Aと制御弁17Aとの間に設けられていてもよく、アーム操作レバー26Bのみを無効状態に切り替えられるよう、位置50E及び位置50Fで示すように、リモコン弁27Bと制御弁17Bとの間に設けられていてもよい。このように、コントローラ30は、複数の操作装置26の有効状態と無効状態とを個別に切り替えできるように構成されていてもよい。
【0028】
ゲートロックリレー51は、ゲートロックスイッチS2とゲートロック弁50とを接続する電路E1の連通・遮断を切り替える。ゲートロックリレー51は、例えば、接触子、バネ、コイル等で構成される電磁継電器である。ゲートロックリレー51は、MOSFET、トランジスタ、サイリスタ等の半導体スイッチング素子で構成されていてもよい。
【0029】
ここで、
図3A~
図3Cを参照し、ゲートロックリレー51の機能について説明する。
図3A~
図3Cのそれぞれは、
図2のゲートロックリレー51の拡大図である。具体的には、
図3Aは、電路E1が遮断状態のときのゲートロックリレー51の状態(オフ状態)を示す。
図3Bは、電路E1が遮断状態から連通状態に移行するときのゲートロックリレー51の状態を示す。
図3Cは、電路E1が連通状態のときのゲートロックリレー51の状態(オン状態)を示す。
図3の太点線は、関連する2つの端子間が導通状態となっていることを表し、太実線は、コイルW1に電流が流れている状態を表す。
【0030】
ゲートロックリレー51は、5つの端子T1~T5を有する。端子T1は、電路E1aを介してゲートロックスイッチS2に接続されている。電路E1aは、
図2に示すように電路E1bを介してコントローラ30にも接続されている。端子T2は、電路E2を介してコントローラ30に接続されている。端子T3は接地されている。端子T4は、電路E1cを介してゲートロック弁50に接続されている。端子T5はオープン端子であり、どこにも接続されていない。
【0031】
図3Aに示すように、コイルW1に電流が流れていない場合、接触子B1は、接点C1と接点C2とを接続している。そのため、太点線で示すように、端子T1と端子T5とが導通状態となっている。しかし、端子T5がオープン端子であるため、端子T1に信号が入力されたとしても、その信号がゲートロック弁50に伝達されることはない。この場合、例えば、ゲートロックスイッチS2がロック解除信号を出力している場合であっても、ゲートロック弁50は管路L1を連通させない。ゲートロック弁50は、ロック解除信号を受信できないためである。
【0032】
図3Bに示すように、コントローラ30から電路E2を介してコイルW1に電流が流れると、接触子B1は、コイルW1が発生させる磁力によってコイルW1に引き付けられる。その結果、
図3Cに示すように、接触子B1は、接点C1と接点C3とを接続する。そして、太点線で示すように、端子T1と端子T4とが導通状態となる。端子T4は電路E1cを介してゲートロック弁50に接続されている。この状態において、ゲートロックリレー51は、ゲートロックスイッチS2又はコントローラ30からの信号(例えば、ロック解除信号、ロック信号等)をゲートロック弁50に伝達できる。
【0033】
ここで、再び
図2を参照し、制御システム100の他の構成要素について説明する。キースイッチS3は、エンジンキーの状態を表す信号をコントローラ30に対して出力する。例えば、エンジン11が作動中のときにキーオン信号を出力し、エンジン11が停止中のときにキーオン信号を出力しない。エンジン11が停止中のときにキーオフ信号を出力してもよい。
【0034】
シート着座スイッチS4は、操作者の着座状態を表す信号をコントローラ30に対して出力する。例えば、操作者が運転席D2に着座しているときに着座信号を出力する。操作者が運転席D2に着座していないときには着座信号を出力しない。
【0035】
シートベルトスイッチS5は、シートベルトの着用状態を表す信号をコントローラ30に対して出力する。例えば、運転席D2に着座する操作者がシートベルトを着用しているときにシートベルト着用信号を出力する。操作者がシートベルトを着用していないときにはシートベルト着用信号を出力しない。
【0036】
解除スイッチS6は、ゲートロック弁50による管路L1の遮断を解除する。例えば、解除スイッチS6は、タッチパネル付きの車載ディスプレイに表示されるソフトウェアスイッチである。解除スイッチS6は、キャビン10内に設置されたハードウェアスイッチであってもよい。例えば、旋回操作レバー26Aの先端に設けられるスイッチであってもよい。
【0037】
解除スイッチS6は、操作者によって操作されると、遮断解除信号をコントローラ30に対して出力する。コントローラ30は、遮断解除信号を受けると、ゲートロック弁50に向けてロック解除信号を出力する。この場合、コントローラ30は、ロック解除信号の出力を所定時間に亘って継続してもよく、或いは、ロック信号の出力を所定時間に亘って禁止してもよい。ゲートロック弁50により管路L1が連通された直後に管路L1が再び遮断されてしまうのを防止するためである。
【0038】
コントローラ30は、例えば、ゲートロックレバーD1がロック解除状態D1Uで且つゲートロック弁50が遮断状態の場合に解除スイッチS6から遮断解除信号を受けると、ゲートロック弁50に向けてロック解除信号を出力する。すなわち、ゲートロック弁50に向けてロック解除信号を出力していない場合、或いは、ゲートロック弁50に向けてロック信号を出力している場合に、解除スイッチS6から遮断解除信号を受けると、ゲートロック弁50に向けてロック解除信号を出力する。但し、ゲートロックレバーD1がロック状態D1Lの場合に解除スイッチS6から遮断解除信号を受けたときにはゲートロック弁50に向けてロック解除信号を出力しない。ゲートロックレバーD1によって無効状態に切り替えられている操作装置26を有効状態に切り替えてしまうことがないようにするためである。この場合、コントローラ30は、ゲートロック弁50に向けてロック信号を出力してもよい。
【0039】
次に、コントローラ30が有する機能要素としての判定部31及び切替部32について説明する。
【0040】
判定部31は、ショベルの周囲にある所定領域内に物体が存在するか否かを判定する。例えば、判定部31は、物体検出装置としてのカメラS1の出力に基づいて所定領域内に物体が存在するか否かを判定する。カメラS1が画像処理装置を含む場合には、カメラS1が検出信号を出力しているときに所定領域内に物体が存在すると判定する。カメラS1が画像処理装置を含まない場合には、カメラS1が撮像した入力画像に各種画像処理を施して所定領域内に物体が存在するか否かを判定する。
【0041】
切替部32は、操作装置26の状態を制御する。例えば、ショベルが待機状態であり、且つ、ゲートロックレバーD1によって操作装置26が有効状態に切り替えられている場合に操作装置26の状態を制御する。待機状態は、例えば、少なくともコントローラ30が起動中で、エンジン11が作動中で、且つ、操作装置26が操作されていない状態(中立状態)であることを意味する。但し、操作装置26の操作が中止されてから所定時間が経過するまでの状態は除外されてもよい。すなわち、操作中止後に所定時間が経過するまでは、操作装置26が中立状態であったとしても待機状態であるとは判定されないようにしてもよい。
【0042】
切替部32は、例えば、所定のロック条件が満たされた場合に操作装置26を無効状態に切り替える。この場合、ゲートロックレバーD1がロック解除状態D1Uであっても操作装置26は無効状態に切り替えられる。また、切替部32は、操作装置26を無効状態に切り替えた後で、所定のロック解除条件が満たされた場合に操作装置26を有効状態に切り替える。但し、ゲートロックレバーD1がロック状態D1Lの場合には操作装置26を有効状態に切り替えることはない。
【0043】
ロック条件は、例えば、判定部31によって所定領域内に物体が存在すると判定されたことである。更に、シート着座スイッチS4が出力する着座信号が途切れたこと、シートベルトスイッチS5が出力するシートベルト着用信号が途切れたこと、及び、ショベルの待機状態が所定時間に亘って継続したこと等を含んでいてもよい。切替部32は、これらのロック条件のうちの少なくとも1つが満たされた場合に操作装置26を無効状態に切り替えてもよく、これらのロック条件のうちの所定の組み合わせが全て満たされた場合に操作装置26を無効状態に切り替えてもよい。
【0044】
ロック解除条件は、例えば、解除スイッチS6が操作されたこと、判定部31によって物体が所定領域から退出したと判定されたこと、シート着座スイッチS4が着座信号の出力を再開したこと、シートベルトスイッチS5がシートベルト着用信号の出力を再開したこと、及び、ゲートロックレバーD1がロック状態D1Lからロック解除状態D1Uに操作されたこと等を含む。切替部32は、これらのロック解除条件のうちの少なくとも1つが満たされた場合に操作装置26を有効状態に切り替えてもよく、これらのロック解除条件のうちの所定の組み合わせが全て満たされた場合に操作装置26を有効状態に切り替えてもよい。
【0045】
次に、
図4を参照し、コントローラ30が操作装置26の状態を切り替える処理(以下、「切替処理」とする。)の一例について説明する。
図4は切替処理の一例のフローチャートである。コントローラ30は、所定の制御周期で繰り返しこの切替処理を実行する。
【0046】
最初に、コントローラ30の切替部32は、ショベルが待機状態であるか否かを判定する(ステップST1)。本実施例では、切替部32は、キースイッチS3の出力と、操作圧センサ29の出力に基づいてショベルが待機状態であるか否かを判定する。
【0047】
ショベルが待機状態でないと判定した場合(ステップST1のNO)、切替部32は、今回の切替処理を終了させる。
【0048】
ショベルが待機状態であると判定した場合(ステップST1のYES)、切替部32は、操作装置26が有効状態であるか否かを判定する(ステップST2)。本実施例では、切替部32は、ゲートロックスイッチS2の出力と、ゲートロックリレー51の状態とに基づいて操作装置26が有効状態であるか否かを判定する。また、切替部32は、自身がロック解除信号を出力している場合には、操作装置26が有効状態であると判定する。また、切替部32は、ゲートロックリレー51のコイルW1に電流を供給している場合、ゲートロックリレー51がオン状態(
図3C参照。)であると判定する。また、コイルW1に電流を供給していない場合、ゲートロックリレー51がオフ状態(
図3A参照。)であると判定する。
【0049】
具体的には、切替部32は、ゲートロックリレー51がオン状態で且つゲートロックスイッチS2又は切替部32自身がロック解除信号を出力している場合、操作装置26が有効状態であると判定する。一方、ゲートロックリレー51がオフ状態の場合、操作装置26が無効状態であると判定する。また、ゲートロックリレー51がオン状態で且つゲートロックスイッチS2及び切替部32が何れもロック解除信号を出力していない場合、操作装置26が無効状態であると判定する。或いは、ゲートロックリレー51がオン状態で且つゲートロックスイッチS2又は切替部32がロック信号を出力している場合に、操作装置26が無効状態であると判定してもよい。
【0050】
切替部32によって操作装置26が有効状態であると判定された場合(ステップST2のYES)、コントローラ30の判定部31は、所定領域内に物体が存在するか否かを判定する(ステップST3)。このとき、判定部31によって物体が存在しないと判定された場合(ステップST3のNO)、コントローラ30は、今回の切替処理を終了させる。
【0051】
判定部31によって物体が存在すると判定された場合(ステップST3のYES)、切替部32は、操作装置26を無効状態に切り替える(ステップST4)。本実施例では、
図3Aに示すようにゲートロックリレー51をオフ状態にすることで、すなわち、ロック解除信号がゲートロック弁50に伝達されないようにすることで、操作装置26を無効状態に切り替える。そして、コントローラ30は、上述の切替処理を所定の制御周期で繰り返し実行する。
【0052】
切替部32は、比例弁等を用いて操作装置26が生成するパイロット圧を低下させることで操作装置26を無効状態に切り替えてもよい。或いは、付属品として取り付けられるレバーロック装置を作動させて操作装置26の動きをロックすることで操作装置26を無効状態に切り替えてもよい。或いは、メインポンプ14のリリーフ圧を低減させることで操作装置26を無効状態に切り替えてもよい。すなわち、メインポンプ14が吐出する作動油を作動油タンクにリリーフさせ、油圧アクチュエータを動かすことができないレベルまでその吐出圧を低減させることで操作装置26を無効状態に切り替えてもよい。
【0053】
ステップST2において、切替部32によって操作装置26が無効状態であると判定された場合(ステップST2のNO)、判定部31は、所定領域内に物体が存在するか否かを判定する(ステップST5)。この判定は、例えば、所定領域内に存在すると判定された物体が所定領域から退出したか否かを判定することを含む。例えば、ステップST3で所定領域内に物体が存在すると判定し、且つ、操作装置26を無効状態に切り替えた後で、コントローラ30は、ステップST5の判定を実行する。このとき、判定部31によって所定領域内に物体が存在すると判定された場合(ステップST5のYES)、コントローラ30は、操作装置26の無効状態を継続させ(ステップST8)、今回の切替処理を終了させる。例えば、判定部31によって物体が所定領域から退出していない(物体が依然として所定領域内に存在する)と判定された場合(ステップST5のYES)、コントローラ30は、操作装置26の無効状態を継続させ(ステップST8)、今回の切替処理を終了させる。
【0054】
判定部31によって所定領域内に物体が存在しないと判定された場合(ステップST5のNO)、切替部32は、ステップST4で操作装置26が無効状態に切り替えられたか否かを判定する(ステップST6)。例えば、判定部31によって物体が所定領域から退出した(物体がもはや所定領域内に存在しない)と判定された場合(ステップST5のNO)、切替部32は、操作装置26の現在の無効状態がステップST4で切り替えられたことによるものであるか否かを判定する。但し、切替部32は、操作装置26の現在の無効状態がステップST4で切り替えられたことによるものであるか否かを判定する代わりに、ゲートロックレバーD1がロック解除状態D1Uであるか否かを判定してもよい。
【0055】
ステップST4で操作装置26が無効状態に切り替えられていない、すなわち、操作装置26の現在の無効状態がステップST4で切り替えられたことによるものではないと判定した場合(ステップST6のNO)、コントローラ30は、操作装置26の無効状態を継続させ(ステップST8)、今回の切替処理を終了させる。例えば、操作装置26の現在の無効状態がゲートロックレバーD1のロック状態D1Lによるものであると判定した場合、コントローラ30は、操作装置26を有効状態に切り替えることなく、今回の切替処理を終了させる。このように、コントローラ30は、ショベルの待機状態において、ゲートロックレバーD1によって操作装置26が無効状態に切り替えられている場合には、所定領域内に物体が存在するか否かにかかわらず、操作装置26の無効状態を継続する。
【0056】
一方、ステップST4で操作装置26が無効状態に切り替えられた、すなわち、操作装置26の現在の無効状態がステップST4で切り替えられたことによるものであると判定した場合(ステップST6のYES)、コントローラ30は、操作装置26を有効状態に切り替える(ステップST7)。本実施例では、
図3Cに示すようにゲートロックリレー51をオン状態にし、ロック解除信号がゲートロック弁50に伝達されるようにする。この場合、ゲートロックレバーD1はロック解除状態D1Uにあり、ゲートロックスイッチS2は、ロック解除信号を出力している。そのため、そのロック解除信号は、電路E1a、電路E1cを介してゲートロック弁50に伝達される。その結果、ゲートロック弁50は、そのロック解除信号を受けて管路L1を連通させ、操作装置26は有効状態に切り替わる。ゲートロックレバーD1がロック解除状態D1UであるにもかかわらずゲートロックスイッチS2がロック解除信号を出力していない場合には、切替部32は、ゲートロックスイッチS2の代わりにロック解除信号を出力することで操作装置26を有効状態に切り替えてもよい。
【0057】
切替部32は、判定部31によって物体が所定領域から退出したと判定され、且つ、操作装置26が中立状態であると判定された場合に、操作装置26を有効状態に戻すようにしてもよい。操作装置26が中立状態でないときに操作装置26が有効状態になってしまうのを防止するためである。
【0058】
また、切替部32は、判定部31によって物体が所定領域から退出したと判定された場合であっても、ゲートロックレバーD1によって操作装置26が無効状態に切り替えられた後で更に有効状態に切り替えられるまでは、操作装置26の無効状態を維持してもよい。すなわち、操作者によってゲートロックレバーD1がロック状態D1Lに切り替えられ、更に操作者によってロック解除状態D1Uに切り替えられるまでは、操作装置26が有効状態に戻らないようにしてもよい。操作装置26を有効状態に戻したいという操作者の意思を確認するためである。例えば、物体としての作業者が上部旋回体3の上に登ったり、下部走行体1の下に潜ったりした場合、物体検出装置の配置によっては、判定部31は、物体が所定領域から退出したと判定してしまう場合がある。そのため、例えば、操作者によってゲートロックレバーD1がロック状態D1Lに切り替えられ、更に操作者によってロック解除状態D1Uに切り替えられるまでの期間等、操作者の意思を確認できるまでの期間では、切替部32は、操作装置26が有効状態に戻らないようにしてもよい。
【0059】
コントローラ30は、操作装置26を無効状態に切り替えた後であっても、操作者によって解除スイッチS6が押下された場合には、操作装置26を有効状態に戻すようにしてもよい。例えば、所定領域内に物体が存在すると判定されている場合であっても、操作装置26を有効状態に戻すようにしてもよい。
【0060】
以上の構成により、コントローラ30は、ゲートロックレバーD1がロック解除状態D1Uであっても、所定領域内に物体が存在すると判定した場合には、操作装置26を無効状態にすることができる。また、操作装置26を無効状態に切り替えた後で、物体が所定領域内から退出したと判定した場合には、操作装置26を有効状態に戻すことができる。
【0061】
そのため、操作装置26が有効状態のままでショベルの操作が中断されているときに操作装置26が不適切に動かされて油圧アクチュエータが動いてしまうのを防止できる。例えば、ゲートロックレバーD1がロック解除状態D1Uのときに所定領域内に物体が存在すると判定した場合に、ゲートロックレバーD1の操作とは無関係に、操作装置26を無効状態にすることができる。そのため、操作者がその物体に気付かないまま、操作装置26を操作してしまい油圧アクチュエータを動かしてしまうのを防止できる。
【0062】
次に、
図5を参照し、切替処理の別の一例について説明する。
図5は切替処理の別の一例のフローチャートである。コントローラ30は、所定の制御周期で繰り返しこの切替処理を実行する。
図5のフローチャートは、ステップST3A及びステップST5Aの内容が
図4のフローチャートと異なるがその他のステップで共通している。そのため、共通部分の説明を省略し、相違部分を詳説する。
【0063】
操作装置26が有効状態であると判定した場合(ステップST2のYES)、切替部32は、ロック条件が満たされているか否かを判定する(ステップST3A)。このとき、ロック条件が満たされていないと判定した場合(ステップST3AのNO)、切替部32は、今回の切替処理を終了させる。
【0064】
ロック条件が満たされていると判定した場合(ステップST3AのYES)、切替部32は、操作装置26を無効状態に切り替える(ステップST4)。例えば、切替部32は、ゲートロックスイッチS2、キースイッチS3、シート着座スイッチS4、及び、シートベルトスイッチS5の少なくとも1つの出力に基づいてゲートロックリレー51を制御する。この場合、判定部31による判定結果、待機状態の継続時間等を考慮してもよい。具体的には、ゲートロックスイッチS2がロック解除信号を出力し、且つ、キースイッチS3がキーオン信号を出力している場合であって、シート着座スイッチS4が着座信号を出力していない場合に、ゲートロックリレー51をオフ状態にすることで操作装置26を無効状態に切り替える。或いは、ゲートロックスイッチS2がロック解除信号を出力し、且つ、キースイッチS3がキーオン信号を出力している場合であって、シートベルトスイッチS5がシートベルト着用信号を出力していない場合に、ゲートロックリレー51をオフ状態にすることで操作装置26を無効状態に切り替える。
【0065】
ステップST2において、操作装置26が無効状態であると判定した場合(ステップST2のNO)、切替部32は、ロック解除条件が満たされているか否かを判定する(ステップST5A)。このとき、ロック解除条件が満たされていないと判定した場合(ステップST5AのNO)、切替部32は、操作装置26の無効状態を継続させ(ステップST8)、今回の切替処理を終了させる。
【0066】
ロック解除条件が満たされていると判定した場合(ステップST5AのYES)、切替部32は、ステップST4で操作装置26が無効状態に切り替えられたか否かを判定する(ステップST6)。例えば、切替部32は、操作装置26の現在の無効状態がステップST4で切り替えられたことによるものであるか否かを判定する。但し、切替部32は、操作装置26の現在の無効状態がステップST4で切り替えられたことによるものであるか否かを判定する代わりに、ゲートロックレバーD1がロック解除状態D1Uであるか否かを判定してもよい。
【0067】
ステップST4で操作装置26が無効状態に切り替えられていない、すなわち、操作装置26の現在の無効状態がステップST4で切り替えられたことによるものではないと判定した場合(ステップST6のNO)、コントローラ30は、操作装置26の無効状態を継続させ(ステップST8)、今回の切替処理を終了させる。例えば、操作装置26の現在の無効状態がゲートロックレバーD1のロック状態D1Lによるものであると判定した場合、コントローラ30は、操作装置26を有効状態に切り替えることなく、今回の切替処理を終了させる。このように、コントローラ30は、ショベルの待機状態において、ゲートロックレバーD1によって操作装置26が無効状態に切り替えられている場合には、ロック解除条件が満たされているか否かにかかわらず、操作装置26の無効状態を継続する。
【0068】
一方、ステップST4で操作装置26が無効状態に切り替えられた、すなわち、操作装置26の現在の無効状態がステップST4で切り替えられたことによるものであると判定した場合(ステップST6のYES)、コントローラ30は、操作装置26を有効状態に切り替える(ステップST7)。例えば、切替部32は、判定部31による判定結果と、ゲートロックスイッチS2、キースイッチS3、シート着座スイッチS4、及び、シートベルトスイッチS5の少なくとも1つの出力とに基づいてゲートロックリレー51を制御する。この場合、無効状態の継続時間等を考慮してもよい。具体的には、所定領域に物体が存在しないと判定されている場合であって、ゲートロックスイッチS2がロック解除信号を出力し、キースイッチS3がキーオン信号を出力し、シート着座スイッチS4が着座信号を出力し、且つ、シートベルトスイッチS5がシートベルト着用信号を出力している場合に、ゲートロックリレー51をオン状態にすることで操作装置26を有効状態に切り替える。
【0069】
この構成により、コントローラ30は、ゲートロックレバーD1がロック解除状態D1Uであっても、ロック条件が満たされている場合には、操作装置26を無効状態にすることができる。また、操作装置26を無効状態に切り替えた後であっても、ロック解除条件が満たされている場合には、操作装置26を有効状態に戻すことができる。
【0070】
そのため、操作装置26が有効状態のままでショベルの操作が中断されているときに操作装置26が不注意に或いは不適切に動かされて油圧アクチュエータが動いてしまうのを防止できる。例えば、ゲートロックレバーD1がロック解除状態D1Uのままでショベルの待機状態が所定時間に亘って継続した場合に、ゲートロックレバーD1の操作とは無関係に、操作装置26を無効状態にすることができる。そのため、その後に操作装置26が誤って動かされた場合であっても油圧アクチュエータが動いてしまうのを防止できる。ゲートロックレバーD1がロック解除状態D1Uのままでシートベルトが外された場合、ゲートロックレバーD1がロック解除状態D1Uのままで操作者が座席から立ち上がった場合等についても同様である。
【0071】
コントローラ30は、操作装置26を無効状態に切り替えた後であっても、解除スイッチS6が押下された場合には、操作装置26を有効状態に戻すことができる。例えば、他のロック解除条件が満たされていない場合であっても、操作装置26を有効状態に戻すことができる。
【0072】
次に、
図6A及び
図6Bを参照し、本発明の別の実施例に係るショベルについて説明する。
図6Aはショベルの側面図であり、
図1Aに対応する。
図6Bはショベルの上面図であり、
図1Bに対応する。
【0073】
図6A及び
図6Bに示すショベルは、カメラS1とは別に、物体検出装置S7を搭載している点で、
図1A及び
図1Bに示すショベルと異なるが、その他の点で共通する。そのため、共通部分の説明を省略し、相違部分を詳説する。
【0074】
物体検出装置S7は、ショベルの周囲における所定領域内の物体を検出するように構成されている。物体検出装置S7は、例えば、LIDAR、超音波センサ、ミリ波センサ、レーザレーダセンサ、赤外線センサ、ステレオカメラ等である。この例では、上部旋回体3の上面前端に取り付けられた前センサS7F、上部旋回体3の上面後端に取り付けられたバックセンサS7B、上部旋回体3の上面左端に取り付けられた左センサS7L、及び、上部旋回体3の上面右端に取り付けられた右センサS7Rを含む。
【0075】
バックセンサS7BはバックカメラS1Bに隣接して配置され、左センサS7Lは左カメラS1Lに隣接して配置され、且つ、右センサS7Rは右カメラS1Rに隣接して配置されている。
【0076】
物体検出装置S7は、上部旋回体3の上の領域を監視する物体検出装置を含んでいてもよい。上部旋回体3の上で作業する作業者等を検出するためである。また、下部走行体1の下の領域を監視する物体検出装置を含んでいてもよい。下部走行体1の下に潜り込んで作業する作業者等を検出するためである。
【0077】
この構成により、ショベルは、ショベルの周囲にある所定領域内に物体が存在するか否かをより正確に判定できる。
【0078】
以上、本発明の好ましい実施例が詳説された。しかしながら、本発明は、上述した実施形態に制限されることはない。上述した実施形態は、本発明の範囲を逸脱することなしに、種々の変形、置換等が適用され得る。
【0079】
例えば、上述の実施例では、油圧式パイロット回路を備えた油圧式操作レバーが開示されている。具体的には、旋回操作レバー26Aに関する油圧式パイロット回路では、パイロットポンプ15からリモコン弁27Aへ供給される作動油が、旋回操作レバー26Aの傾倒によって開閉されるリモコン弁27Aの開度に応じた流量で、制御弁17Aのパイロットポートへ伝達される。或いは、アーム操作レバー26Bに関する油圧式パイロット回路では、パイロットポンプ15からリモコン弁27Bへ供給される作動油が、アーム操作レバー26Bの傾倒によって開閉されるリモコン弁27Bの開度に応じた流量で、制御弁17Bのパイロットポートへ伝達される。
【0080】
但し、このような油圧式パイロット回路を備えた油圧式操作レバーではなく、電気式パイロット回路を備えた電気式操作レバーが採用されてもよい。この場合、電気式操作レバーのレバー操作量は、電気信号としてコントローラ30へ入力される。また、パイロットポンプ15と各制御弁のパイロットポートとの間には電磁弁が配置される。電磁弁は、コントローラ30からの電気信号に応じて動作するように構成される。この構成により、電気式操作レバーを用いた手動操作が行われると、コントローラ30は、レバー操作量に対応する電気信号によって電磁弁を制御してパイロット圧を増減させることで各制御弁を移動させることができる。なお、各制御弁は電磁スプール弁で構成されていてもよい。この場合、電磁スプール弁は、電気式操作レバーのレバー操作量に対応するコントローラ30からの電気信号に応じて動作する。
【0081】
また、上述の実施例では、物体検出装置が物体を検出している。ここで、検出された物体の画像は、表示装置40に表示されてもよい。また、表示装置40は、上部旋回体3に設けられるカメラS1のそれぞれが撮像した画像を個別に表示してもよいし、複数の画像から合成される俯瞰画像を表示してもよい。また、表示装置40は、表示画面上にショベルの図形等を表示した上で、物体検出装置が検出した物体の位置を表示してもよい。表示装置40は、例えば、ショベルの図形と、このショベルの図形の周辺で領域分けされた複数の領域図形とを表示し、物体検出装置が検出した物体の位置を含む領域を表す領域図形を強調表示してもよい。このように、表示装置40は、上部旋回体3と物体検出装置により検出した物体との位置関係に基づいて、上部旋回体3を示す図形の周囲に物体検出装置により検出された物体の位置との関係を示すように表示を行う。また、表示装置40は、例えば、ショベルの図形の周辺に、ショベルに近い第1の領域を表す第1領域図形と、第1の領域よりもショベルから離間している第2の領域を表す第2領域図形とを表示してもよい。この際、第1領域図形が赤で強調表示され、第2領域図形が黄色で強調表示されるというように、距離に応じて強調方法が変更されてもよい。これにより、操作者は、ショベルの周囲のどの箇所で物体が検出されたかを確認できる。また、物体検出装置によって物体が検出された場合、表示装置40は、現在表示している画像を、検出された物体を撮像しているカメラの画像に切り替えてもよい。例えば、バックカメラS1Bが撮像した後方画像を表示しているときに、ショベルの右側の空間で物体が検出された場合、表示装置40は、ショベルの右側の空間を映し出す画像(例えば、俯瞰画像又は右カメラS1Rが撮像した右方画像)に切り替えてもよいし、後方画像に加えて右方画像を表示してもよい。
【0082】
また、ショベルは、運転席D2の周囲に複数個のスピーカを備え、上部旋回体3と物体検出装置により検出した物体との位置関係に基づいて、位置関係に対応するスピーカから注意喚起の音を発するように構成されていてもよい。例えば、ショベルは、運転席D2の左右と後方の3箇所にスピーカを備え、上部旋回体3の後方にて物体を検知した場合には、後方スピーカから音を出すように構成されていてもよい。
【0083】
本願は、2017年2月22日に出願した日本国特許出願2017-030792号に基づく優先権を主張するものであり、この日本国特許出願の全内容を本願に参照により援用する。
【符号の説明】
【0084】
1・・・下部走行体 2・・・旋回機構 2A・・・旋回用油圧モータ 3・・・上部旋回体 4・・・ブーム 5・・・アーム 6・・・バケット 7・・・ブームシリンダ 8・・・アームシリンダ 9・・・バケットシリンダ 10・・・キャビン 11・・・エンジン 14・・・メインポンプ 15・・・パイロットポンプ 17・・・コントロールバルブ 17A、17B・・・制御弁 26・・・操作装置 26A・・・旋回操作レバー 26B・・・アーム操作レバー 27、27A、27B・・・リモコン弁 29、29A、29B・・・操作圧センサ 30・・・コントローラ 31・・・判定部 32・・・切替部 40・・・表示装置 50・・・ゲートロック弁 51・・・ゲートロックリレー 100・・・制御システム D1・・・ゲートロックレバー D2・・・運転席 S1・・・カメラ S2・・・ゲートロックスイッチ S3・・・キースイッチ S4・・・シート着座スイッチ S5・・・シートベルトスイッチ S6・・・解除スイッチ