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特許7457052ポリエステル/ウール混紡生地のリサイクル方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】ポリエステル/ウール混紡生地のリサイクル方法
(51)【国際特許分類】
   D06L 4/15 20170101AFI20240319BHJP
   D06L 4/23 20170101ALI20240319BHJP
   D06M 11/00 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
D06L4/15
D06L4/23
D06M11/00 130
D06M11/00 120
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022062276
(22)【出願日】2022-04-04
(65)【公開番号】P2023039897
(43)【公開日】2023-03-22
【審査請求日】2022-04-04
(31)【優先権主張番号】110133650
(32)【優先日】2021-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】501296612
【氏名又は名称】南亞塑膠工業股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】NAN YA PLASTICS CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【弁理士】
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【弁理士】
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【弁護士】
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】廖 ▲テ▼超
(72)【発明者】
【氏名】莊 榮仁
(72)【発明者】
【氏名】▲ホアン▼ 章鑑
(72)【発明者】
【氏名】蘇 崇智
【審査官】印出 亮太
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-035022(JP,A)
【文献】特表2016-537521(JP,A)
【文献】特開2012-050921(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 1/00 - 5/00
B09C 1/00 - 1/10
B29B 17/00 - 17/04
C08J 11/00 - 11/28
D06L 4/10 - 4/18
D06L 4/20 - 4/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
染料を含有するポリエステル/ウール混紡生地を、酸化剤を含有する酸性水溶液中に配置し、加熱及び浸漬し、前記ポリエステル/ウール混紡生地のウールの分解と、脱色による前記染料の除去とを同時に行い、
ろ過によりポリエステル生地が得られ、
前記浸漬は、130~200℃において前記酸性水溶液中で行われる、
ポリエステル/ウール混紡生地のリサイクル方法。
【請求項2】
前記染料は、物理染料又は化学染料を含む、請求項1に記載のリサイクル方法。
【請求項3】
前記浸漬は、ポリエステルのガラス転移点より高い温度で行われる、請求項1又は2に記載のリサイクル方法。
【請求項4】
前記酸性水溶液は、有機酸を含み、
前記有機酸は、一塩基酸、二塩基酸、1~18個の炭素を備えるカルボン酸無水物であり、ギ酸、酢酸、無水酢酸、シュウ酸、プロピオン酸、マロン酸、酪酸、コハク酸、吉草酸、グルタル酸、カプロン酸、アジピン酸、イソオクタン酸、クエン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、安息香酸、又はシクロヘキサン酸を含む、
請求項1又は2に記載のリサイクル方法。
【請求項5】
前記酸性水溶液中の前記有機酸は、0.1~3.0wt%の濃度を有する、請求項4に記載のリサイクル方法。
【請求項6】
前記酸性水溶液中の前記酸化剤は、0.06~1.2wt%の濃度を有する、請求項1又は2に記載のリサイクル方法。
【請求項7】
前記ポリエステル/ウール混紡生地の前記酸性水溶液に対する重量比は、1:8から1:30である、請求項1又は2に記載のリサイクル方法。
【請求項8】
前記浸漬は、0.5~3時間行われる、請求項1又は2に記載のリサイクル方法。
【請求項9】
前記酸化剤は、過酸化水素、過マンガン酸カリウム、次亜塩素酸カルシウム、オゾン、硝酸、硝酸塩、塩素酸ナトリウム、塩素酸カルシウム、塩素酸塩、過塩素酸塩、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸塩、過ホウ酸ナトリウム、二クロム酸ナトリウム、二クロム酸塩、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1又は2に記載のリサイクル方法。
【請求項10】
前記ろ過は、1~30mmのフィルタスクリーンを使用する、請求項1又は2に記載のリサイクル方法。
【請求項11】
得られた前記ポリエステル生地は、75%以上のL値、±4のa値、及び±8のb値を有する、請求項1又は2に記載のリサイクル方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、生地のリサイクル方法に関する。具体的には、本開示は、ポリエステル/ウール混紡生地に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエステル/ウール混紡生地のリサイクル及びリユース技術において、混紡生地のポリエステル及びウールをリサイクル可能及びリユース可能にするために、綿を分離及び脱色する必要がある。一般的に、従来の分離工程において、ウールは、有機酸水溶液を使用して分解される。しかしながら、分離されたポリエステル生地に染料が残る可能性があるので、ポリエステルをリサイクル可能及びリユース可能にするためには、さらに脱色により染料を除去する必要があるが、これは、コストを増加させ、手順を複雑にする。さらに、生物学的酵素を使用して、ポリエステル繊維に影響を与えずにポリエステル/ウール混紡生地のウール繊維を分解したとしても、ろ過により分離されたポリエステル繊維に染料が残る場合があり、脱色がさらに必要である。また、分離において、水酸化ナトリウムにより、ポリエステル繊維に影響を与えずにポリエステル/ウール混紡生地のウール繊維を
ケラチンに分解したとしても、ポリエステル繊維に染料が残る場合があり、脱色がさらに必要である。
【0003】
上記に基づいて、現在、分離及び脱色を同時に行うポリエステル/ウール混紡生地のリサイクル方法を発展させ、コストを削減し、手順を単純化することが研究課題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、酸化剤を含有する酸性水溶液に浸漬して、分離及び脱色を同時に行い、これにより、コストを削減し、手順を単純化できるポリエステル/ウール混紡生地のリサイクル方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のポリエステル/ウール混紡生地のリサイクル方法は、以下を含む。染料を含有するポリエステル/ウール混紡生地を、酸化剤を含有する酸性水溶液中に配置し、加熱及び浸漬し、ポリエステル/ウール混紡生地のウールの分解と、脱色による染料の除去とを同時に行う。その後、ろ過によりポリエステル生地が得られる。
【0006】
本開示の1つの実施形態において、染料は、物理染料及び化学染料を含む。
【0007】
本開示の1つの実施形態において、浸漬は、ポリエステルのガラス転移点より高い温度で行われる。
【0008】
本開示の1つの実施形態において、浸漬は、130~200℃において酸性水溶液中で行われる。
【0009】
本開示の1つの実施形態において、酸性水溶液は、有機酸を含み、有機酸は、一塩基酸、二塩基酸、1~18個の炭素を備えるカルボン酸無水物であり、ギ酸、酢酸、無水酢酸、シュウ酸、プロピオン酸、マロン酸、酪酸、コハク酸、吉草酸、グルタル酸、カプロン酸、アジピン酸、イソオクタン酸、クエン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、安息香酸、又はシクロヘキサン酸を含む。
【0010】
本開示の1つの実施形態において、酸性水溶液中の有機酸は、0.1~3.0wt%の濃度を有する。
【0011】
本開示の1つの実施形態において、酸性水溶液中の酸化剤は、0.06~1.2wt%の濃度を有する。
【0012】
本開示の1つの実施形態において、ポリエステル/ウール混紡生地の酸性水溶液に対する重量比は、1:8から1:30である。
【0013】
本開示の1つの実施形態において、浸漬は、0.5~3時間行われる。
【0014】
本開示の1つの実施形態において、酸化剤は、過酸化水素、過マンガン酸カリウム、次亜塩素酸カルシウム、オゾン、硝酸、硝酸塩、塩素酸ナトリウム、塩素酸カルシウム、塩素酸塩、過塩素酸塩、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸塩、過ホウ酸ナトリウム、二クロム酸ナトリウム、二クロム酸塩、又はそれらの組み合わせを含む。
【0015】
本開示の1つの実施形態において、ろ過は、1~30mmのフィルタスクリーンを使用する。
【0016】
本開示の1つの実施形態において、得られるポリエステル生地は、75%以上のL値、±4のa値m、及び±8のb値を有する。
【発明の効果】
【0017】
上記に基づいて、本開示は、酸化剤を含有する酸性水溶液を使用して浸漬してウールを分解し、同時にポリエステル生地上の染料を除去し、同じ製造工程においてポリエステルとウールとが分離され、脱色されたポリエステル繊維を得ることができる、ポリエステル/ウール混紡生地のリサイクル方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示の実施形態が以下に詳細に説明される。しかしながら、実施形態は例示であり、本開示を限定するものではない。
【0019】
本明細書において、「数値~別の数値」により表される範囲は、明細書において範囲内の全ての数値を列挙することを回避するための概略的な表現である。従って、特定の数値範囲の記載は、当該範囲のあらゆる数値を包含し、また、当該数値範囲内の任意の数値により定義されるより小さい数値範囲を包含しており、本明細書においても任意の数値及びより小さい数値が明示的に特定され得る。
【0020】
本開示は、ポリエステル/ウール混紡生地のリサイクル方法を提供し、方法は以下を含む。染料を含有するポリエステル/ウール混紡生地を、酸化剤を含有する酸性水溶液中に配置し、加熱及び浸漬し、ポリエステル/ウール混紡生地のウールの分解と、脱色による染料の除去とを同時に行う。その後、ろ過によりポリエステル生地が得られる。
【0021】
本実施形態において、染料は、物理染料又は化学染料を含んでよい。酸性水溶液は、有機酸を含む。有機酸は、一塩基酸、二塩基酸、又は1~18個の炭素を備えるカルボン酸無水物である。よく使用される有機酸は、一塩基酸、二塩基酸、1~18個の炭素を備えるカルボン酸無水物であり、ギ酸、酢酸、無水酢酸、シュウ酸、プロピオン酸、マロン酸、酪酸、コハク酸、吉草酸、グルタル酸、カプロン酸、アジピン酸、イソオクタン酸、クエン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、安息香酸、又はシクロヘキサン酸である。酸性水溶液中の有機酸は、例えば、0.1~3.0wt%の濃度を有し、好ましくは、0.2~2.0wt%の濃度を有する。酸性水溶液中の酸化剤は、過酸化水素、過マンガン酸カリウム、次亜塩素酸カルシウム、オゾン、硝酸、硝酸塩、塩素酸ナトリウム、塩素酸カルシウム、塩素酸塩、過塩素酸塩、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸塩、過ホウ酸ナトリウム、二クロム酸ナトリウム、二クロム酸塩、又はそれらの組み合わせを含んでよい。酸性水溶液中の酸化剤は、0.06~1.2wt%の濃度を有し、好ましくは、0.10~0.8wt%の濃度を有する。
【0022】
本実施形態において、ポリエステル/ウール混紡生地の酸性水溶液に対する重量比は、例えば、1:8~1:30であり、好ましくは、1:10~1:15である。染料を含有するポリエステル/ウール混紡生地は、酸化剤を含有する酸性水溶液中に配置され、好ましくはポリエステルのガラス転移点より高い温度で、加熱及び浸漬され、それにより、染料が酸性水溶液中に開放され、同時に、染料が除去されてよい。浸漬は、例えば、130~200℃温度、好ましくは、150~180℃の温度において酸性水溶液中で行われる。浸漬は、例えば、0.5~3時間、好ましくは、1~2時間行われる。
【0023】
ポリエステル/ウール混紡生地は、染料や表面処理剤等の不純物を含み得る。酸性水溶液を介することにより、ポリエステル繊維構造を維持したままウールを小さい液体分子に分解し、酸化剤により、酸性環境下で、不純物を除去することが可能である。染料が除去された後、又は染料が脱色された後、ろ過により白色ポリエステル生地を得ることができる。ここで、L値は、20%から75%に増加し、a値は、±4であり、b値は、±8である。L、a、bは、色を表す3つの基本的な座標であり、人間の眼に見える全ての色を表すために最も使用されるカラーモデルである。L値は、明度(L=0%は黒を示し、L=100%は、白を示す)を示し、a値は、赤と緑との間の位置(aは、負の値の時に緑を示し、正の値の時に赤を示す)を示し、b値は、黄色と青との間の位置(bは、負の値の時に青を示し、正の値の時に黄色を示す)を示す。リサイクルされた生地のより高いL値は、生地がより白く明るいことを示し、下流において染められ、処理され、製造された生地(布)は、より高い品質を有する。ろ過は、例えば、好適には金属フィルタスクリーンである、1~30mmのフィルタスクリーンを使用して行われ、ポリエステル生地と分解されたウールを含む水溶液が分離される。本開示のポリエステル/ウール混紡生地のリサイクル方法によれば、水溶液の場合、ポリエステルのIV(分子量)はその減少が10%以内である。
【0024】
本開示のポリエステル/ウール混紡生地のリサイクル方法は、以下の実施例により詳細に説明される。しかしながら、以下の実施例は、本開示の限定を意図しない。
【0025】
[実施例]
本開示において提供されるポリエステル/ウール混紡生地のリサイクル方法が分離手順及び脱色手順の両方を含むこと、及び同じ製造工程においてポリエステルとウールとが分離され、脱色されたポリエステル繊維を得ることができることを実証するために、以下の実施例が説明される。
【0026】
[実施例1]
1L耐圧反応槽内に、20gのPETポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)-ウール混紡生地(L=19%、PETポリエステル92重量%、ウール8重量パーセント)が配置され、500mlの水、10gのマレイン酸、2.0gの次亜塩素酸ナトリウムが投入され、混合物は、165℃において2時間攪拌された。その後、ウールがウールケラチンに分解された。
【0027】
次に、温度が60℃まで下げられ、PETポリエステルとウールケラチンの水溶液とが2mmフィルタスクリーンを介して分離され、PETポリエステル生地は、100mlの水で洗浄された。
【0028】
PETポリエステル生地は、105℃において2時間乾燥され、得られたPET生地は、重量比で99.5%の純度を有し、L=81%、a=1.9、b=6.2であった。
【0029】
分離後の純度分析:1000CC三角フラスコ内に、600CCの75wt%硫酸水溶液が加えられ、3gの分離されたPET生地のサンプルが投入された。フラスコは、50±5℃で1時間加熱され、10分毎に1回揺すられた。その後、3mmフィルタスクリーンを備える漏斗を使用して、排気による廃液を行う。生地を洗浄するために、200CCの75wt%硫酸水溶液が漏斗に加えられ、排気による廃液を行われた。次に、生地を洗浄するために、200CCの水が漏斗に2回加えられ、その度に吸気による廃液が行われた。PET生地は、105℃において2時間、オーブンで乾燥され、その後に測定された重量は2.984gであり、重量比で99.5%の純度を有することが確認された。以下に実施例及び比較例のそれぞれにおいても、この分析が使用され、従って、その説明は繰り返さない。
【0030】
[実施例2]
実施例1と同様であるが、マレイン酸の代わりにシュウ酸のみが使用され、得られたPET生地は、重量比で99.8%の純度を有し、L=79%、a=1.2、b=5.4であった。
【0031】
[実施例3]
実施例1と同様であるが、次亜塩素酸ナトリウムの代わりに次亜塩素酸カルシウムのみが使用され、得られたPET生地は、重量比で99.4%の純度を有し、L=84%、a=-0.4、b=4.6であった。
【0032】
[実施例4]
1L耐圧反応槽内に、20gのPETポリエステル-ウール混紡生地(L=18%、PETポリエステル73重量%、ウール27重量%)が配置され、500mlの水、12gの酢酸、1.5gの次亜塩素酸ナトリウムが投入され、混合物は、165℃において2時間攪拌された。その後、ウールがウールケラチンに分解された。
【0033】
次に、温度が60℃まで下げられ、PETポリエステルとウールケラチンの水溶液とが2mmフィルタスクリーンを介して分離され、PETポリエステル生地は、100mlの水で洗浄された。
【0034】
PETポリエステル生地は、105℃において2時間乾燥され、得られたPET生地は、重量比で99.2%の純度を有し、L=84%、a=2.7、b=7.2であった。
【0035】
[実施例5]
実施例4と同様であるが、酢酸の代わりにシュウ酸のみが使用され、得られたPET生地は、重量比で99.9%の純度を有し、L=85%、a=1.8、b=5.9であった。
【0036】
[実施例6]
実施例4と同様であるが、1.5gの代わりに2.5gの次亜塩素酸ナトリウムのみが使用され、得られたPET生地は、重量比で99.9%の純度を有し、L=88%、a=-0.1、b=4.3であった。
【0037】
[比較例1]
1L耐圧反応槽内に、20gのPETポリエステル-ウール混紡生地(L=19%、PETポリエステル92重量%、ウール8重量%)が配置され、500mlの水、10gのマレイン酸が投入され、混合物は、165℃において2時間攪拌された。その後、ウールがウールケラチンに分解された。
【0038】
次に、温度が80℃まで下げられ、PETポリエステルとウールケラチンの水溶液とが3mmフィルタスクリーンを介して分離され、PETポリエステル生地は、100mlの水で洗浄された。
【0039】
PETポリエステル生地は、105℃において2時間乾燥され、得られたPET生地は、重量比で99.1%の純度を有し、L=58%、a=4.8、b=8.7であった。
【0040】
[比較例2]
1L耐圧反応槽内に、20gのPETポリエステル-ウール混紡生地(L=20%、PETポリエステル76重量%、ウール24重量%)が配置され、500mlの水、10gのギ酸が投入され、混合物は、170℃において2時間攪拌された。その後、ウールがウールケラチンに分解された。
【0041】
次に、温度が60℃まで下げられ、PETポリエステルとウールケラチンの水溶液とが3mmフィルタスクリーンを介して分離され、PETポリエステル生地は、100mlの水で洗浄された。
【0042】
PETポリエステル生地は、105℃において2時間乾燥され、得られたPET生地は、重量比で99.2%の純度を有し、L=63%、a=4.9、b=9.4であった。
【0043】
上記の実験結果から、実施例1~6において、本開示のポリエステル/ウール混紡生地のリサイクル方法が使用され、酸化剤を含有する酸性水溶液中で浸漬が行われる。従って、75%以上のL値を備えるポリエステル生地が得られることが分かった。一方、比較例1及び2において、酸化剤は使用されなかった。従って、75%以上のL値を備えるポリエステル生地は得られなかった。製造工程において、0.4wt%の酸化剤を加えることにより、酸性環境下で、染料及び他の着色物質がPET生地から効果的に除去され、当該生地は白く(L値が75%以上)なり、a値が±4、b値が±8を維持する。酸化剤の濃度が1.2%に増加するにつれ、a値及びb値は、ゼロに近づく。酸化剤の濃度が9.96%に減少するにつれ、a値の絶対値は4に近づき、b値の絶対値は8に近づく。
【0044】
要約すると、本開示は、分離手順及び脱色手順の両方を含み、酸化剤を含有する酸性水溶液を使用して浸漬を行って、ウールを分解し、同時にポリエステル生地から染料を除去し、脱色されたポリエステル生地を得ることができる、ポリエステル/ウール混紡生地のリサイクル方法を提供する。従って、最初にウールを分解してポリエステル生地を得て、その後、溶媒によりポリエステル生地から染料を抽出することにより脱色を行うことが必要な従来技術と比較して、本開示は、コストが削減され、手順が簡略化される。さらに、得られたポリエステル生地は、高品質、高安全性、及び低コストである。そのため、リサイクルされたポリエステル生地の品質は向上し、その適用範囲は広くなり、続くポリエステル繊維の機械的又は化学的リサイクルを容易にする。
【0045】
本開示の実施形態について、本開示の範囲及び精神から逸脱せずに様々な変更及び変形を加えることができる点、当業者にとって明らかである。上記に鑑みて、本開示は、以下の請求の範囲及びその同等の範囲の変形及び変更を包含する。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本開示のポリエステル/ウール混紡生地のリサイクル方法は、ポリエステル/ウール混紡生地のリサイクル及びリユース技術、並びにその関連技術に適用することができる。