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特許7457068眼科症状を処置するまたは予防するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】眼科症状を処置するまたは予防するための方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/60 20170101AFI20240319BHJP
   A61K 31/712 20060101ALI20240319BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20240319BHJP
   C12N 15/115 20100101ALI20240319BHJP
【FI】
A61K47/60
A61K31/712
A61P27/02 ZNA
C12N15/115 Z
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022121240
(22)【出願日】2022-07-29
(62)【分割の表示】P 2020106892の分割
【原出願日】2014-07-11
(65)【公開番号】P2022153570
(43)【公開日】2022-10-12
【審査請求日】2022-07-29
(31)【優先権主張番号】61/845,938
(32)【優先日】2013-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/845,935
(32)【優先日】2013-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/845,936
(32)【優先日】2013-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/866,502
(32)【優先日】2013-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/866,503
(32)【優先日】2013-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/866,507
(32)【優先日】2013-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/911,854
(32)【優先日】2013-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/911,860
(32)【優先日】2013-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/911,894
(32)【優先日】2013-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/926,848
(32)【優先日】2014-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/926,825
(32)【優先日】2014-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/926,812
(32)【優先日】2014-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/931,116
(32)【優先日】2014-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/931,125
(32)【優先日】2014-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/931,135
(32)【優先日】2014-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514173191
【氏名又は名称】イヴェリック・バイオ,インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】IVERIC bio, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100188374
【弁理士】
【氏名又は名称】一宮 維幸
(72)【発明者】
【氏名】ペイテル,サミール
【審査官】鶴見 秀紀
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-529058(JP,A)
【文献】IVOS,2003年,Vol. 44, Issue 13, No. 1718
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 47/00-47/69
A61K 31/00-31/80
A61P 27/02
C12N 15/115
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗C5剤を含む、ヒト対象における地図状萎縮を処置するための医薬組成物であって、
抗C5剤は、配列
fCmGfCfCGfCmGmGfUfCfUfCmAmGmGfCGfCfUmGmAmGfUfCfUmGmAmGfUfUfUAfCfCfUmGfCmG-3T(配列番号26)(式中、fC及びfU=2’-フルオロヌクレオチドであり、mG及びmA=2’-OMeヌクレオチドであり、全ての他のヌクレオチドは2’-OHであり、3Tは逆位デオキシチミジンを示す)
を含むPEG化されたアプタマー、またはその塩を含み、
PEG化されたアプタマーは、約2mg/眼の量で、隔週、毎月、または四半期ごとに、対象に硝子体内注射により投与され、該量は、対象における地図状萎縮に伴う病変の成長を低減させるのに十分である、医薬組成物。
【請求項2】
PEG化されたアプタマーが、リンカーを介してアプタマーにコンジュゲートされたPEG化された部分を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
PEG化された部分が、アプタマーの5’末端にコンジュゲートされている、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
PEG化された部分が、分岐鎖PEGである、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項5】
PEG化された部分が、1±1kDaより大きい分子量を有する、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項6】
PEG化された部分が、4±4kDaの分子量を有する、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項7】
PEG化された部分が、以下の構造:
【化1】
(式中、各20kDaのmPEGは20±2kDaの分子量を有する)を有する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】
対象におけるGA病変の成長が、抗C5剤の投与を受けていない対象と比較して少なくとも10%低減される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項9】
抗C5剤が、毎月投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項10】
抗C5剤が、3回の注射について毎月投与され、4回目および5回目の注射が3回目の注射の3または4カ月後に投与される、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
抗C5剤が、隔月投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項12】
抗C5剤が、四半期ごとに投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項13】
対象におけるGA病変の成長が、抗C5剤の投与を受けていない対象と比較して少なくとも20%低減される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項14】
対象におけるGA病変の成長が、抗C5剤の投与を受けていない対象と比較して少なくとも30%低減される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項15】
対象におけるGA病変の成長が、抗C5剤の投与を受けていない対象と比較して少なくとも40%低減される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項16】
対象におけるGA病変の成長が、抗C5剤の投与を受けていない対象と比較して少なくとも50%低減される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項17】
病変の成長が、自家蛍光イメージングまたは光干渉断層法を使用して評価される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項18】
抗C5剤を含む、ヒト対象における地図状萎縮を処置するための医薬組成物であって、
抗C5剤は、配列
fCmGfCfCGfCmGmGfUfCfUfCmAmGmGfCGfCfUmGmAmGfUfCfUmGmAmGfUfUfUAfCfCfUmGfCmG-3T(配列番号26)(式中、fC及びfU=2’-フルオロヌクレオチドであり、mG及びmA=2’-OMeヌクレオチドであり、全ての他のヌクレオチドは2’-OHであり、3Tは逆位デオキシチミジンを示す)
を含むPEG化されたアプタマー、またはその塩を含み、
該PEG化されたアプタマーは、約2mg/眼の量で、隔週、毎月、または四半期ごとに、対象に硝子体内注射により投与され、該量は、対象における地図状萎縮に伴う病変の成長を低減させるのに十分であり、
PEG化された部分は、分岐鎖PEGであり、1±1kDaより大きい分子量を有し、
対象におけるGA病変の成長は、抗C5剤の投与を受けていない対象と比較して少なくとも30%低減される、医薬組成物。
【請求項19】
抗C5剤を含む、ヒト対象における地図状萎縮を処置するための医薬組成物であって、
抗C5剤は、配列
fCmGfCfCGfCmGmGfUfCfUfCmAmGmGfCGfCfUmGmAmGfUfCfUmGmAmGfUfUfUAfCfCfUmGfCmG-3T(配列番号26)(式中、fC及びfU=2’-フルオロヌクレオチドであり、mG及びmA=2’-OMeヌクレオチドであり、全ての他のヌクレオチドは2’-OHであり、3Tは逆位デオキシチミジンを示す)
を含むPEG化されたアプタマー、またはその塩を含み、
PEG化されたアプタマーは、約2mg/眼の量で、隔週、毎月、または四半期ごとに、対象に硝子体内注射により投与され、該量は、対象における地図状萎縮に伴う病変の成長を低減させるのに十分であり、
PEG化された部分は、分岐鎖PEGであり、1±1kDaより大きい分子量を有し、
対象におけるGA病変の成長は、抗C5剤の投与を受けていない対象と比較して少なくとも40%低減される、医薬組成物。
【請求項20】
抗C5剤が、ARC1905である、請求項1~19のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、そのそれぞれが参照によりその全体において本明細書に組み込まれる、米国仮特許出願第61/845,938号(2013年7月12日に出願)、61/845,935号(2013年7月12日に出願)、61/845,936号(2013年7月12日に出願)、61/866,502号(2013年8月15日に出願)、61/866,503号(2013年8月15日に出願)、61/866,507号(2013年8月15日に出願)、61/911,854号(2013年12月4日に出願)、61/911,860号(2013年12月4日に出願)、61/911,894号(2013年12月4日に出願)、61/926,812号(2014年1月13日に出願)、61/926,825号(2014年1月13日に出願)、61/926,848号(2014年1月13日に出願)、61/931,116号(2014年1月24日に出願)、61/931,125号(2014年1月24日に出願)、及び61/931,135号(2014年1月24日に出願)、の利益を主張する。
【0002】
配列表
本出願と関連する配列表は、紙コピーの代わりにテキストフォーマットで提供され、参照により本明細書内に組み込まれる。該配列表を含有するテキストファイルの名称は、OPHT_012_06WO_SeqList_ST25.txtである。該テキストファイルは、約372KBであり、2014年7月10日に作成され、EFS-Webを介して電子提出されている。
【0003】
本発明は、眼科疾患または障害の処置または予防に有用な方法及び組成物に関し、有効量のアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩の投与を含む。
【背景技術】
【0004】
眼の種々の障害は、脈絡膜新生血管、網膜新生血管または虹彩新生血管または網膜浮腫を特徴とし、要因とし、または結果もたらす。これらの障害の1つが黄斑変性である。加齢黄斑変性症(AMD)は、65歳超のアメリカ人のおおよそ10人に1人が罹患する疾患である。AMDの一種に「湿潤型AMD」があり、加齢黄斑変性症の症例のおおよそ10%を占めるにすぎないが、老齢者における黄斑変性症に起因する法的失明のおおよそ90%の症例をもたらす。眼の別の障害は、糖尿病網膜症である。糖尿病網膜症は、糖尿病を10年間またはそれ以上有する全患者の最大80%まで罹患し得、成人失明の第三の主因であり、米国における失明のほぼ7%を占める。別の障害には、高血圧網膜症、中心性漿液性脈絡網膜症、嚢胞様黄斑浮腫、コーツ病及び、脈絡膜血管腫、網膜色素上皮癌腫、網膜静脈閉塞症及び眼内リンパ腫などの眼球及び眼球付属器の腫瘍を含む。
【0005】
それゆえ、新生血管を伴う分子事象の理解における進歩がなされているが、AMD、糖尿病網膜症、及び網膜静脈閉塞症で起こる新生血管などの眼の新生血管疾患及び障害を含む新生血管疾患の障害を処置するまたは予防するための改善した方法を開発するためにこの理解を活用する必要性が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、眼科疾患または障害の処置または予防に有用な方法及び組成物に関する。
【0007】
本発明は、湿潤型加齢黄斑変性症(湿潤型AMD)を処置するまたは予防するための方
法であって、それを必要とする対象に(a)アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、及び(b)VEGFアンタゴニストを投与することを含み、(a)及び(b)は湿潤型AMDを処置するまたは予防するために有効である量で投与され、前記投与が1カ月±約7日間毎に1回、少なくとも3カ月連続の第一投与期間にわたって生じ、その後(a)及び(b)の投与を第二投与期間にわたり少なくとも一カ月±約7日間おきの頻度で(a)及び(b)が投与された前記第一投与期間の最終月の日から2か月±約7日後に開始する、前記方法を提供する。
【0008】
本発明はまた、網膜下線維症を処置するまたは予防するための方法であって、それを必要とする対象に(a)アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩を、網膜下線維症を処置するまたは予防するために有効である量で投与することを含む、前記方法も提供する。
【0009】
フォン・ヒッペル・リンドウ(VHL)病を処置するまたは予防するための方法であって、それを必要とする対象にアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩を、VHL病を処置するまたは予防するために有効である量で投与することを含む、前記方法も本明細書に提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
例示的な実施形態及び添付の図面を明記する、次の詳細な説明を参照する。
図1A図1A~Fは、アンタゴニストAの化学構造を示し、そのアプタマー(配列番号1)の5’末端は、Me(OCHCHOC(O)NH(CHCH(NHC(O)O(CHCHO)Me)C(O)NH(CH-を用いて修飾され、式中nは約450である。記号(B)~(F)は、前のパネルからの継続を示す。
図1B図1A~Fは、アンタゴニストAの化学構造を示し、そのアプタマー(配列番号1)の5’末端は、Me(OCHCHOC(O)NH(CHCH(NHC(O)O(CHCHO)Me)C(O)NH(CH-を用いて修飾され、式中nは約450である。記号(B)~(F)は、前のパネルからの継続を示す。
図1C図1A~Fは、アンタゴニストAの化学構造を示し、そのアプタマー(配列番号1)の5’末端は、Me(OCHCHOC(O)NH(CHCH(NHC(O)O(CHCHO)Me)C(O)NH(CH-を用いて修飾され、式中nは約450である。記号(B)~(F)は、前のパネルからの継続を示す。
図1D図1A~Fは、アンタゴニストAの化学構造を示し、そのアプタマー(配列番号1)の5’末端は、Me(OCHCHOC(O)NH(CHCH(NHC(O)O(CHCHO)Me)C(O)NH(CH-を用いて修飾され、式中nは約450である。記号(B)~(F)は、前のパネルからの継続を示す。
図1E図1A~Fは、アンタゴニストAの化学構造を示し、そのアプタマー(配列番号1)の5’末端は、Me(OCHCHOC(O)NH(CHCH(NHC(O)O(CHCHO)Me)C(O)NH(CH-を用いて修飾され、式中nは約450である。記号(B)~(F)は、前のパネルからの継続を示す。
図1F図1A~Fは、アンタゴニストAの化学構造を示し、そのアプタマー(配列番号1)の5’末端は、Me(OCHCHOC(O)NH(CHCH(NHC(O)O(CHCHO)Me)C(O)NH(CH-を用いて修飾され、式中nは約450である。記号(B)~(F)は、前のパネルからの継続を示す。
図2】0.5mgのLucentis(登録商標)単独を用いてまたは0.5mgのLucentis(登録商標)及び1.5mgのアンタゴニストAまたは0.3mgのアンタゴニストAのいずれかを用いて処置された、第2b相臨床試験での湿潤型AMD患者の視力における平均変化を描くグラフを示す。
図3】Lucentis(登録商標)単独療法(0.5mg)を用いた処置と比較した0.5mgのLucentis(登録商標)及び1.5mgまたは0.3mgのアンタゴニストAのいずれかを用いた処置の湿潤型AMD患者の比較視覚利益を示す棒グラフを示す。
図4】Lucentis(登録商標)単独療法(0.5mg)を用いてまたは0.5mgのLucentis(登録商標)及び1.5mgのアンタゴニストまたは0.3mgのアンタゴニストAのいずれかを用いて処置された湿潤型AMD患者の継時的な早期及び持続視覚改善を描くグラフを示す。
図5図5A及び5Aは、湿潤型AMDを有する患者におけるLucentis(登録商標)単独療法(0.5mg)を用いた処置と比較した0.5mgのLucentis(登録商標)及び1.5mgまたは0.3mgのアンタゴニストAのいずれかを用いた処置の有効性の増加が、ベースラインの病変部サイズまたはベースラインの視覚から独立していることを示す棒グラフを提供する。図5Aは、それぞれの示されたベースラインの病変四部位における患者についての視力における平均変化を示し、図5Bは、示されたベースラインの視覚を有する患者についての視力における平均変化を示す。
図6図6A及び6Bは、Lucentis(登録商標)単独療法(0.5mg)を用いて処置された患者のコホートと比較して、0.5mgのLucentis(登録商標)及び1.5mgのアンタゴニストAを併用して処置された患者のコホートではより多くの割合の患者で有意な視力改善(図6A)が見られ、より少ない患者で視力低下(図6B)が見られることを示す棒グラフを提供する。
図7図7A~Cは、Lucentis(登録商標)単独療法(0.5mg)を用いて処置された患者と比較して、0.5mgのLucentis(登録商標)及び1.5mgのアンタゴニストAを用いて処置された患者が最終視力においてより大きな平均改善を呈したことを示す棒グラフを提供する。図7Aは、20/40またはより良い視力を実証した患者の割合(%)を示す;図7Bは、20/25またはより良い視力を実証した患者の割合(%)を示す;及び図7Cは、20/200またはより悪い視力を実証した患者の割合(%)を示す。
図8図8A及び8Bは、Lucentis(登録商標)単独療法(0.5mg)を用いて処置された患者と比較して、0.5mgのLucentis(登録商標)及び1.5mgのアンタゴニストAの両方を用いて処置された湿潤型AMD患者での大小ベースラインCNV病変における脈絡膜新生血管(CNV)病変部サイズの減少量の増加を示す棒グラフを提供する。図8Aは、全患者における結果を示し、図8Bは、視覚結果>3ラインの患者における結果を示す。
図9】第2a相臨床試験にて0~24週目まで月1回、0.3mgまたは1mgいずれかの投与量のARC1905を用いて処置された患者において24週で測定された乾燥型AMD患者の地図状萎縮(GA)病変面積における平均変化を描くグラフを示す。
図10】第2a相臨床試験にて0~48週目まで月1回、0.3mgまたは1mgいずれかの投与量のARC1905を用いて処置された患者における第24週及び第48週で測定された乾燥型AMD患者のGA病変面積における平均変化を描くグラフを示す。
図11図11は、糖尿病網膜症早期治療試験(「ETDRS」)チャート1を示す。
図12図12は、糖尿病網膜症早期治療試験(「ETDRS」)チャート2を示す。
図13図13は、糖尿病網膜症早期治療試験(「ETDRS」)チャートRを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ある特定の態様では、本発明は、例えば、新規用途、併用療法、処置及び投与計画、及び共製剤を含む、眼科疾患及び障害を処置する及び予防するための新しい及び改善された方法及び組成物を提供する。
【0012】
一態様では、本発明は、眼科疾患または障害を処置するまたは予防するための方法であ
って、それを必要とする対象に有効量のアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩を投与することを含む、前記方法を提供する。特定の実施形態では、対象は、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩を投与され、抗C5剤を投与されない。いくつかの実施形態では、対象は、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩を投与され、VEGFアンタゴニストを投与されない。
【0013】
特定の実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩は、VEGFアンタゴニストと併用投与される。一実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩は、ラニビズマブ、ベバシズマブ、アフリベルセプト、ペガプタニブナトリウム、またはESBA1008と併用投与される。
【0014】
特定の実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩は、VEGFアンタゴニスト及び抗C5剤と併用投与される。一実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩は、VEGFアンタゴニスト(例えば、ラニビズマブ、ベバシズマブ、アフリベルセプト、ペガプタニブナトリウム、またはESBA1008)、及びARC1905と併用投与される。
【0015】
本発明は、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニストの(任意選択的に抗C5剤も併用する)共投与に関する、処置及び投与計画を含む、処置計画も提供する。
【0016】
さらなる実施形態では、眼科疾患または障害を処置するまたは予防するのに有用である別の薬剤(例えば、アンタゴニストA、VEGFアンタゴニストまたは抗C5剤ではない薬剤)が投与される。いくつかの実施形態では、本方法は、1つまたは複数(例えば、2つ)のVEGFアンタゴニスト及び/または1つまたは複数(例えば、2つ)の抗C5剤を、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0017】
別の態様では、本発明は、眼科疾患または障害を処置するまたは予防するための方法であって、それを必要とする対象に有効量の抗C5剤(例えば、ARC1905)を投与することを含む、前記方法を提供する。特定の実施形態では、対象は、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩を投与されない。いくつかの実施形態では、対象は、VEGFアンタゴニストを投与されない。
【0018】
加えて、本発明は、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニストを含む共製剤を提供する。ある特定の実施形態では、共製剤は、抗C5剤をさらに含む。ある特定の実施形態では、共製剤は、有効量のアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニスト、及び医薬的に許容され得るキャリアまたはビヒクルを含む医薬組成物である。ある特定の実施形態では、共製剤は、有効量のアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、VEGFアンタゴニスト、及び抗C5剤、及び医薬的に許容され得るキャリアまたはビヒクルを含む医薬組成物である。
【0019】
一実施形態では、本発明は、眼科疾患または障害を処置するまたは予防するための方法であって、それを必要とする対象にアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及び任意選択的にVEGFアンタゴニストを投与することを含み、眼科疾患または障害を処置するための手術を行うこと及び/または抗C5剤の投与をさらに含む、前記方法を提供する。
【0020】
定義及び略語
【0021】
本明細書で用いるとき、以下の用語及び句は下記の意味を有するものとする。別段の指定がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び学術用語は、本発明が属する分野の当業者に一般に理解されるものと同一の意味を有する。
【0022】
用語「約」は、言及された数字表記に関して使用されるとき、言及された数字表記プラスまたはマイナスその言及された数字表記の最大10%までを意味する。例えば、「約100」は、90から110を意味し、「約6」は、5.4から6.6を意味する。
【0023】
用語「アンタゴニスト」は、標的分子の活性または産生を部分的にかまたは完全にかのいずれかで阻害する薬剤を指す。具体的には、本明細書で選択的に適用される「アンタゴニスト」という用語は、標的分子の遺伝子発現のレベル、mRNAレベル、タンパク質レベルまたはタンパク質活性を低下させることができる薬剤を意味する。アンタゴニストの例示的な形態としては、例えばタンパク質、ポリペプチド、ペプチド(環状ペプチドなど)、抗体または抗体断片、ペプチド模倣薬、核酸分子、アンチセンス分子、リボザイム、アプタマー、RNAi分子及び小有機分子が挙げられる。アンタゴニスト阻害の例示的な非限定的機構としては、リガンドの合成及び/または安定性の抑制(例えば、リガンド遺伝子/核酸を標的するアンチセンス、リボザイムまたはRNAi組成物を使用して)、リガンドのその同源受容体への結合のブロッキング(例えば、抗リガンドアプタマー、抗体または可溶性のデコイ同源受容体を使用して)、受容体の合成及び/または安定性の抑制(例えば、リガンド受容体遺伝子/核酸を標的するアンチセンス、リボザイムまたはRNAi組成物を使用して)、受容体のその同源受容体への結合のブロッキング(例えば、受容体抗体を使用して)、及びその同源リガンドによる受容体の活性化のブロッキング(例えば、受容体チロシンキナーゼ阻害剤を使用して)が挙げられる。加えて、アンタゴニストは標的分子を直接または間接的に阻害し得る。
【0024】
用語「抗体断片」は、抗原結合断片である抗体またはその単鎖の一部分を含む。抗体断片は、合成的または遺伝子的に操作されたポリペプチドであり得る。抗体の「抗原結合部分」という用語内に包含される結合断片の例としては、(i)Fab断片、V、V、C、及びCH1ドメインからなる一価断片;(ii)F(ab’)断片、ヒンジ領域にてジスルフィド架橋によって結合される2つのFab断片からなる二価断片;(iii)V及びCH1ドメインからなるFd断片;(iv)抗体の単一アームのV及びVドメインからなるFv断片、(v)Vドメインからなる、dAb断片(Wardら、(1989)Nature 341:544-546);及び(vi)単離された相補性決定領域(CDR)が挙げられる。さらに、Fv断片の2つのドメイン、V及びVは、別個の遺伝子によってコードされるが、それらは、組み換え方法を用いて、それらがV及びV領域が対になり一価分子を形成する単一タンパク質鎖として作成されることを可能にする合成リンカーによって、結び付けられることができる(一本鎖抗体Fv(scFv)として知られる;例えば、Birdら、(1988)Science 242:423-426;及びHustonら、(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879-5883を参照)。かかる一本鎖抗体もまた、抗体の「抗原結合断片」という用語内に包含されることが意図される。これらの抗体断片は、当業者に公知の従来技術を用いて獲得され、断片は、全抗体と同じ様式で有用性に関してスクリーニングされることができる。
【0025】
用語「アプタマー」は、標的に対して阻害効果を有するペプチドまたは核酸を指す。アプタマーによる標的の阻害は、標的に結合することによって、標的を触媒的に変化させることによって、標的または標的の機能的活性を修飾する方法で標的と反応することによって、自殺型阻害薬において標的にイオン的または共有結合的に付着することによって、または標的と別の分子との間の反応を促進することによって、生じることができる。アプタマーは、ペプチド、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、他の核酸、または異
なる種類の核酸の混合物であることができる。アプタマーは、本明細書にさらに詳細に説明されるように、1つまたは複数の修飾されたアミノ酸、塩基、糖、ポリエチレングリコールスペーサー、またはリン酸骨格単位を含むことができる。
【0026】
ヌクレオチド配列は、2つの配列のそれぞれの塩基が合致する場合、つまり、ワトソン・クリック型塩基対を形成することができる場合に、別のヌクレオチド配列に「相補的」である。核酸鎖の補体は、コード鎖の補体または非コード鎖の補体であることができる。
【0027】
句「保存残基」は、特定の共通の性質を有するアミノ酸群のアミノ酸を指す。個々のアミノ酸間の共通の性質を定義するための機能的な方法は、相同生物の対応タンパク質の間のアミノ酸変化の正規度数を分析することである。かかる分析に従って、アミノ酸の群は、群内のアミノ酸がお互いに優先的に交換する場合に特徴付けられ得、それゆえタンパク質の構造全体に及ぼすそれらの影響において互いに多くの点で類似する(Schulz,G.E.及びR.H.Schirmer,Principles of Protein
Structure,Springer-Verlag)。この様式で定義されるアミノ酸の群の例としては:
【0028】
(i)Glu及びAsp、Lys、Arg及びHisからなる、電荷を有する群、
【0029】
(ii)Lys、Arg及びHisからなる正電荷を有する群、
【0030】
(iii)Glu及びAspからなる負電荷を有する群、
【0031】
(iv)Phe、Tyr及びTrpからなる芳香族群、
【0032】
(v)His及びTrpからなる窒素環群、
【0033】
(vi)Val、Leu及びIleからなる大脂肪族非極性群、
【0034】
(vii)Met及びCysからなる微極性群、
【0035】
(viii)Ser、Thr、Asp、Asn、Gly、Ala、Glu、Gln及びProからなる小残基群、
【0036】
(ix)Val、Leu、Ile、Met及びCys、からなる脂肪族群、
【0037】
(x)Ser及びThrからなる小ヒドロキシル群が挙げられる。
【0038】
上記のそれぞれの群のメンバーは保存残基である。
【0039】
用語「標識」は、放射性同位体、フルオロフォア、化学発光部分、酵素、酵素基質、酵素補因子、酵素阻害薬、染料、金属イオン、リガンド(例えば、ビオチンまたはハプテン)などを含むが、これに限定されない。フルオロフォア標識の例としては、フルオレセイン、ローダミン、ダンシル、ウンベリフェロン、テキサスレッド、及びルミノール、NADPH、α-β-ガラクトシダーゼ、及び西洋ワサビペルオキシダーゼが挙げられる。
【0040】
用語「核酸」は、デオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)などのポリヌクレオチドを指す。この用語はまた、ヌクレオチド類似体から作成されるRNAまたはDNAの類似体、及び、説明される実施形態に応じて、一本鎖(センスまたはアンチセンス)及び二本鎖ポリヌクレオチド、EST、染色体、cDNA、mRNA、及びrRNAを
含む。
【0041】
用語「RNA干渉」、「RNAi」、「miRNA」、及び「siRNA」は、それによって、遺伝子または遺伝子産生物の発現が、対象の遺伝子に(特に、対象の遺伝子のメッセンジャーRNA、例えば、PDGFまたはVEGFに)相同である、1つまたは複数の二本鎖RNAを標的細胞内に導入することにより低減される、任意の方法を指す。
【0042】
用語「新生血管」は、異常な組織または異常な位置における新しい血管形成を指す。
【0043】
用語「血管形成」は、正常または異常な組織または位置における新しい血管の形成を指す。
【0044】
用語「眼科疾患」は、眼及び眼付属器の疾患を含む。
【0045】
用語「眼新生血管障害」は、新生血管によって特徴付けられる眼障害を指す。一実施形態では、眼新生血管障害は、癌以外の障害である。眼新生血管障害の例としては、糖尿病性網膜症及び加齢黄斑変性症が挙げられる。
【0046】
用語「哺乳類」は、ヒト、サル、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット及びマウスを含む。ある特定の実施形態では、対象は哺乳類である。
【0047】
用語「PDGF」は、細胞の成長または分裂を調節する血小板由来成長因子を指す。本明細書で用いるとき、用語「PDGF」は、PDGF-B(配列番号2(核酸)及び3(ポリペプチド)を参照)、PDGF-A(配列番号4(核酸)及び5(ポリペプチド)を参照)、PDGF-C(配列番号6(核酸)及び7(ポリペプチド)を参照)、PDGF-D、変異体1(配列番号8(核酸)及び9(ポリペプチド)を参照)及び変異体2(配列番号10(核酸)及び11(ポリペプチド)を参照)を含むPDGFの種々のサブタイプ、及びPDGF-AA、PDGF-AB、PDGF-BB、PDGF-CC、及びPDGF-DDを含むそれらの二量体化された形態を含む。血小板由来成長因子としては、2つの関連する受容体チロシンキナーゼ血小板由来成長因子細胞表面受容体(すなわち、PDGFR)への結合及び二量体化を介してそれらの作用を発揮するA鎖(PDGF-A)及びB鎖(PDGF-B)のホモまたはヘテロ二量体、PDGFR-α(配列番号12(核酸)及び13(ポリペプチド)を参照)及びPDGFR-β(配列番号14(核酸)及び15(ポリペプチド)を参照)が挙げられる。加えて、PDGFR複合体に関する2つのさらなるプロテアーゼ活性化リガンド、PDGF-C及びPDGF-Dが、同定されている(Liら、(2000)Nat.Cell.Biol.2:302-9;Bergstenら、(2001)Nat.Cell.Biol.3:512-6;及びUuteleら、(2001)Circulation 103:2242-47)。PDGFRの2つの異なるリガンド結合特異性のため、PDGFR-α/αは、PDGF-AA、PDGF-BB、PDGF-AB、及びPDGF-CCを結合し;PDGFR-β/βは、PDGF-BB及びPDGF-DDを結合し;一方でPDGFR-α/βは、PDGF-AB、PDGF-BB、PDGF-CC、及びPDGF-DDを結合することが知られている(Betsholtzら、(2001)BioEssays 23:494-507)。本明細書で用いるとき、用語「PDGF」はまた、応答する細胞型上のPDGFRの結合及び活性化を通してDNA合成及び有系分裂を誘発する、成長因子のクラスのメンバーを指す。PDGFは、例えば、有向細胞移動(走化性)及び細胞活性化;ホスホリパーゼ活性化;増大されたホスファチジルイノシトール代謝回転及びプロスタグランジン代謝;応答細胞によるコラーゲン及びコラゲナーゼの双方の合成の刺激;マトリックス合成、サイトカイン産生、及びリポタンパク質取り込みを含む、細胞代謝活動の変更;PDGF受容体を欠損する細胞における増殖応答の間接的な誘発;及び強力な血管収縮活性をもたら
すことができる。用語「PDGF」は、「PDGF」ポリペプチド、「PDGF」コード化遺伝子または核酸、またはそれらの二量体化された形態を指すために使用されることができる。
【0048】
用語「PDGF-A」は、PDGFのA鎖ポリペプチドまたはその対応するコード化遺伝子または核酸を指す。
【0049】
用語「PDGF-B」は、PDGFのB鎖ポリペプチドまたはその対応するコード化遺伝子または核酸を指す。
【0050】
用語「PDGF-C」は、PDGFのC鎖ポリペプチドまたはその対応するコード化遺伝子または核酸を指す。
【0051】
用語「PDGF-D」は、PDGFのD鎖ポリペプチドまたはその対応するコード化遺伝子または核酸を指し、PDGFのD鎖ポリペプチドの変異体1及び2を含む。
【0052】
用語「PDGF-AA」は、2つのPDGF-A鎖ポリペプチドを有する二量体を指す。
【0053】
用語「PDGF-AB」は、1つのPDGF-A鎖ポリペプチドと1つのPDGF-B鎖ポリペプチドとを有する二量体を指す。
【0054】
用語「PDGF-BB」は、2つのPDGF-B鎖ポリペプチドを有する二量体を指す。
【0055】
用語「PDGF-CC」は、2つのPDGF-C鎖ポリペプチドを有する二量体を指す。
【0056】
用語「PDGF-DD」は、2つのPDGF-D鎖ポリペプチドを有する二量体を指す。
【0057】
用語「VEGF」は、血管形成または血管形成プロセスを誘発する血管内皮成長因子を指す。本明細書で用いるとき、用語「VEGF」は、例えば、VEGF121、VEGF165、及びVEGF189を含むVEGF-A/VPF遺伝子の選択的スプライシングによって発生する、VEGFの種々のサブタイプを含む(血管透過性因子(VPF)及びVEGF-Aとしても既知である)(配列番号16(核酸)及び17(ポリペプチド)を参照)。さらに、本明細書で用いるとき、用語「VEGF」は、PIGF(胎盤成長因子)、VEGF-B、VEGF-C、VEGF-D、及びVEGF-EなどのVEGF関連血管形成因子を含み、それらは、同源VEFG受容体(すなわち、VEGFR)を通して作用して、血管形成または血管形成プロセスを誘発する。用語「VEGF」は、VEGFR-1(Flt-1)(配列番号18(核酸)及び19(ポリペプチド)を参照)、VEGFR-2(KDR/Flk-1)(配列番号20(核酸)及び21(ポリペプチド)を参照)、またはVEGFR-3(FLT-4)などの、VEGF受容体に結合する成長因子のクラスの任意のメンバーを含む。用語「VEGF」は、「VEGF」ポリペプチドまたは「VEGF」コード化遺伝子または核酸を指すために使用され得る。
【0058】
用語「PDGFアンタゴニスト」は、PDGFの活性または産生を、部分的にかまたは完全にかのいずれかで低減または阻害する薬剤を指す。ある特定の実施形態では、PDGFアンタゴニストは、PDGF-A、PDGF-B、PDGF-C及びPDGF-Dの1つまたは複数を阻害する。ある特定の実施形態では、PDGFアンタゴニストはPDGF
-A、PDGF-B、及びPDGF-Cの1つまたは複数を阻害する。いくつかの実施形態では、PDGFアンタゴニストは、PDGF-AA、PDGF-AB、PDGF-BB、PDGF-CC、及びPDGF-DDなどのPDGFの二量体化された形態を阻害する。ある特定の実施形態では、PDGFアンタゴニストはPDGF-BBを阻害する。他の実施形態では、PDGFアンタゴニストは、PDGF-ABを阻害する。PDGFアンタゴニストは、PDGF-Bなどの特定のPDGFの活性または産生を直接的または間接的に低減または阻害することができる。さらに、上述の「アンタゴニスト」の定義に一致する「PDGFアンタゴニスト」は、PDGFリガンドまたはその同源受容体に作用して、PDGFに関連付けられる受容体シグナルを低減または阻害する薬剤を含む。「PDGFアンタゴニスト」の例としては、PDGF核酸を標的とする、アンチセンス分子、リポザイム、またはRNAi;抗PDGFアプタマー、PDGF自体またはその受容体に対する抗PDGF抗体、またはPDGFのその同源受容体への結合を防ぐ可溶性PDGF受容体デコイ;同源PDGF受容体(PDGFR)核酸を標的とする、アンチセンス分子、リポザイム、またはRNAi;同源PDGFR受容体に結合する抗PDGFRアプタマーまたは抗PDGFR抗体;及びPDGFRチロシンキナーゼ阻害薬が挙げられる。
【0059】
用語「VEGFアンタゴニスト」は、VEGFの活性または産生を、部分的にかまたは完全にかのいずれかで低減または阻害する薬剤を指す。ある特定の実施形態では、VEGFアンタゴニストは、VEGF-A、VEGF-B、VEGF-C及びVEGF-Dの1つまたは複数を阻害する。VEGFアンタゴニストは、VEGF165などの特定のVEGFの活性または産生を、直接的または間接的に低減または阻害することができる。さらに、上述の「アンタゴニスト」の定義に一致する「VEGFアンタゴニスト」は、VEGFリガンドまたはその同源受容体かのいずれかに作用して、VEGFに関連付けられる受容体シグナルを低減または阻害する薬剤を含む。「VEGFアンタゴニスト」の例としては、VEGF核酸を標的とする、アンチセンス分子、リポザイム、またはRNAi;抗VEGFアプタマー、VEGF自体またはその受容体に対する抗VEGF抗体、またはVEGFのその同源受容体への結合を防ぐ可溶性VEGF受容体デコイ;同源VEGF受容体(VEGFR)核酸を標的とするアンチセンス分子、リポザイム、またはRNAi;同源VEGFR受容体に結合する抗VEGFRアプタマーまたは抗VEGFR抗体;及びVEGFRチロシンキナーゼ阻害薬が挙げられる。ある特定の実施形態では、VEGFアンタゴニストはペプチド、例えば、三つまたはそれ以上のアミノ酸残基を含むペプチドである。ある特定の実施形態では、VEGFアンタゴニストは、二環性ペプチドである。
【0060】
用語「有効量」は、活性剤に関して使用するとき、眼科疾患または障害を処置または予防するのに有用な、単独または別の活性剤と組み合わせた、活性剤、例えばPDGFアンタゴニスト、VEGFアンタゴニストまたは抗C5剤、の量を指す。「有効量」は、投与の方式、眼科疾患または障害の特定の場所、年齢、体重、及び対象の健康全般に応じて変動し得る。2つ以上の活性剤の有効量とは、1つまたは複数の他の薬剤の非存在下で1つの薬剤の量では眼科疾患または障害を処置するまたは予防するのに有効でなかったとしても、眼科疾患または障害を処置するまたは予防するために有用である活性剤の組み合わさった量である。
【0061】
ポリペプチドXの「変異体」は、1つ以上のアミノ酸残基において変更されたポリペプチドXのアミノ酸配列を有するポリペプチドを指す。変異体は、置換されたアミノ酸が類似の構造的または化学的性質を有する、「保守的」変化を有することができる(例えば、イソロイシンによるロイシンの置き換え)。より稀には、変異体は、「非保存的」変化を有することができる(例えば、トリプトファンによるグリシンの置き換え)。類似の僅かな変異はまた、アミノ酸の欠失、挿入、またはその両方を含んでもよい。生物学的または免疫学的活性を除去することなく、どのアミノ酸残基が、置換、挿入、または欠失され得るかを決定する手引きは、当該技術分野において公知のコンピュータプログラム、例えば
、LASERGENEソフトウェア(DNASTAR)を用いて、決定され得る。
【0062】
用語「変異体」は、ポリヌクレオチド配列の文脈で使用するとき、遺伝子またはそのコード配列のそれに関連するポリヌクレオチド配列を包含することができる。この定義はまた、例えば、「対立遺伝子」、「スプライス」、「種」、または「多型」変異体を含む。スプライス変異体は、参照分子に対して著しい同一性を有し得るが、概して、mRNA処理中のエクソンの選択的スプライシングのために、より多数またはより少数のポリヌクレオチドを有するであろう。対応するポリペプチドは、さらなる機能ドメインまたはドメイン不在を有することができる。種変異体は、種によって異なるポリヌクレオチド配列である。結果生じるポリペプチドは概して、互いに対して著しいアミノ酸同一性を有するだろう。多型変異体は、所与の種の個体間での特定の遺伝子のポリヌクレオチド配列における変異である。
【0063】
用語「抗C5剤」は、C5補体タンパク質またはその変異体の活性または産生を、部分的にかまたは完全にかのいずれかで低減または阻害する薬剤を指す。抗C5剤は、C5補体タンパク質またはその変異体の活性または産生を、直接的または間接的に低減または阻害することができる。抗C5剤は、C5補体タンパク質のその構成ポリペプチドC5a及びC5bへの転換を低減するまたは阻害することができる。抗C5剤もまた、C5a及び/またはC5bの活性または産生を低減するまたは阻害することができる。「抗C5剤」の例としては、C5核酸を標的するアンチセンス分子、リボザイムまたはRNAi;抗C5a及び抗C5bアプタマーを含む抗C5アプタマー、C5、C5a、C5b、またはC5b-9に対する抗C5抗体、またはC5補体タンパク質またはその変異体または断片(例えば、C5aまたはC5b)の結合パートナーまたは受容体への結合を防ぐ可溶性C5受容体デコイが挙げられる。
【0064】
眼科(Opthalmological)疾患または障害の処置または予防に有用な薬剤
【0065】
アンタゴニストA
【0066】
アンタゴニストAは、2’-フルオロ-2’-デオキシウリジンを位置6、19及び28で;2’-フルオロ-2’-デオキシシチジンを位置8、20、26、及び27で;2’-O-メチル-2’-デオキシグアノシンを位置9、14、16、及び29で;2’-O-メチル-2’-デオキシアデノシンを位置21で;逆方向T(つまり、3’-3’-が結合する)を位置30で;及びリンカーとそれぞれのヌクレオチドとの間のホスホジエステル結合を介して、9番目と10番目のヌクレオチド、及び21番目と22番目のヌクレオチドとを一緒につなぐ、2つのヘキサエチレングリコールホスホラミダイト結合を有する配列CAGGCUACGCGTAGAGCAUCATGATCCUGT(配列番号1)(参照によりその全体において本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第20050096257号の実施例3を参照)を有するPEG化された、抗PDGFアプタマーである。
【0067】
アンタゴニストAの化学名は、[(モノメトキシ20Kポリエチレングリコールカルバモイル-N2-)(モノメトキシ20Kポリエチレングリコールカルバモイル-N6-)]-リシン-アミド-6-ヘキサンジリル(hexandilyl)-(1-5’)-2’-デオキシシチジリル-(3’-5’)-2’-デオキシアデニリル-(3’-5’)-2’-デオキシグアニリル-(3’-5’)-2’-デオキシグアニリル-(3’-5’)-2’-デオキシシチジリル-(3’-5’)-2’-デオキシ-2’-フルオロウリジリル-(3’-5’)-2’-デオキシアデニリル-(3’-5’)-2’-デオキシ-2’-フルオロシチジリル-(3’-5’)-2’-デオキシ-2’-メトキシグア
ニリル-(3’-1)-PO-ヘキサ(エチルオキシ)-(18-5’)-2’-デオキシシチジリル-(3’-5’)-2’-デオキシグアニリル-(3’-5’)-チミジリル-(3’-5’)-2’-デオキシアデニリル-(3’-5’)-2’-デオキシ-2’-メトキシグアニリル-(3’-5’)-2’-デオキシアデニリル-(3’-5’)-2’-デオキシ-2’-メトキシグアニリル-(3’-5’)-2’-デオキシシチジリル-(3’-5’)-2’-デオキシアデニリル-(3’-5’)-2’-デオキシ-2’-フルオロウリジリル-(3’-5’)-2’-デオキシ-2’-フルオロシチジリル-(3’-5’)-2’-デオキシ-2’-メトキシアデニリル-(3’-1)-PO-ヘキサ(エチルオキシ)-(18-5’)-チミジリル-(3’-5’)-2’-デオキシグアニリル-(3’-5’)-2’-デオキシアデニリル-(3’-5’)-チミジリル-(3’-5’)-2’-デオキシ-2’-フルオロシチジリル-(3’-5’)-2’-デオキシ-2’-フルオロシチジリル-(3’-5’)-2’-デオキシ-2’-フルオロウリジリル-(3’-5’)-2’-デオキシ-2’-メトキシグアニリル-(3’-3’)-チミジンである。
【0068】
アンタゴニストAの構造を図1に示す。
【0069】
アンタゴニストAの配列は、
【0070】
5’-[mPEG2 40kD]-[HN-(CHO]CAGGCUAC[PO(CHCHO)]CGTAGAGCAU[PO(CHCHO)]TGATC-[3T]-3’であり、そのアプタマー配列は(配列番号1)に明記され、
【0071】
ここで、[3T]は、リボース糖上の3’位置にてオリゴヌクレオチドの3’末端に付着される逆方向チミジンヌクレオチドを指し、[mPEG2 40kD]は、2つの20kDのポリエチレングリコール(PEG)ポリマー鎖を表し、一実施形態では、カルバメート結合を介してリシン残基の2つのアミノ基に共有結合的に付着される、2つの約20kDのPEGポリマー鎖を表す。この部分は次に、下に説明されるアミノリンカーを介してオリゴヌクレオチドと結合される。
【0072】
[HN-(CHO]は、アミド結合を介してPEGポリマーに共有結合的に付着される二官能性α-ヒドロキシ-ω-アミノリンカーを表す。リンカーは、ホスホジエステル結合によってアンタゴニストAの-5’末端にてオリゴヌクレオチドに付着される。
【0073】
[PO(CHCHO)]は、ホスホジエステル結合を介してオリゴヌクレオチドのセグメントをつなぐ、ヘキサエチレングリコール(HEX)部分を表す。アンタゴニストAは、リンカーとそれぞれのヌクレオチドとの間のホスホジエステル結合を介して、9番目と10番目のヌクレオチド、及び21番目と22番目のヌクレオチドとを一緒につなぐ、2つのHEX結合を有する。
【0074】
C、A、G、及びTは、それぞれ、シトシン、アデノシン、グアノシン、及びチミジン核酸の2’-デオキシ誘導体に対する1文字記号を表す。アンタゴニストAは、4個の2’-デオキシリボシトシン、6個の2’-デオキシリボアデノシン、4個の2’-デオキシリボグアノシン、及び4個の2’-デオキシリボチミジンを有する。
【0075】
及びAは、それぞれ、グアノシン及びアデノシンの2’-メトキシ置換形態を表す。アンタゴニストAは、4個の2’-メトキシグアノシン及び1個の2’-メトキシアデノシンを有する。C及びUは、それぞれ、シトシン及びウリジンの2’-フルオロ置換形態を表す。アンタゴニストAは、4個の2’-フルオロシトシン及び3個の2’-
フルオロウリジンを有する。
【0076】
オリゴヌクレオチド内のホスホジエステル結合は、3’-末端を除き、標準ヌクレオシドホスホジエステル結合でリボース環の5’-及び3’-酸素を接続する。3’-末端チミジンと最後から2番目のGとの間のホスホジエステル結合は、そのそれぞれの3’-酸素を結合し、それは3’,3’-キャップと称される。
【0077】
アンタゴニストAは、40,000~60,000ダルトンの分子量を有し、一実施形態では、約40,000~約60,000ダルトンの分子量を有し、溶液では無色から僅かに黄色であり得る。アンタゴニストAは、緩衝剤としての一塩基性リン酸ナトリウム一水和物及び二塩基性リン酸ナトリウム七水和物の溶液中に、及び張性調整剤としての塩化ナトリウムの溶液中に、存在することができる。アンタゴニストAは、親水性ポリマーである。アンタゴニストAは、水及びリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で、目視検査によって評価する際に、少なくとも50mg(オリゴヌクレオチド重量を基準とする)/mLの溶液まで可溶性である。
【0078】
アンタゴニストAは、オリゴヌクレオチド部分を産生するための反復的化学合成手順を用いて合成することができ、該オリゴヌクレオチド部分は次に、米国特許公開第2012/0100136号の実施例4に説明されるように、PEG化試薬に共有結合される。
【0079】
アンタゴニストAは、ペルナトリウム(persodium)塩である。しかしながら、アンタゴニストの他の医薬的に許容され得る塩は、本明細書に開示の組成物及び方法において有用である。
【0080】
VEGFアンタゴニスト
【0081】
いくつかの実施形態では、VEGFアンタゴニストは、ラニビズマブ(商品名Lucentis(登録商標)で市販されている(Genentech,カリフォルニア州サンフランシスコ);重鎖及び軽鎖可変領域配列について米国特許第7,060,269号の図1を参照)、ベバシズマブ(商品名Avastin(登録商標)で市販されている(Genentech,カリフォルニア州サンフランシスコ);重鎖及び軽鎖可変領域配列について米国特許第6,054,297号の図1を参照)、アフリベルセプト(商品名Eylea(登録商標)で市販されている(Regeneron,ニューヨーク州タリータウン)、KH902 VEGF受容体-Fc融合タンパク質(Zhangら、(2008)Mol Vis.14:37-49を参照)、2C3抗体(米国特許第6,342,221号、8欄、48-67行、9欄、1-21行を参照)、ORA102(Ora Bio,Ltd.から入手可能)、ペガプタニブ(例えば、ペガプタニブナトリウム;Macugen(登録商標)で市販されている(Valeant Pharmaceuticals,ニュージャージー州ブリッジウォーター;米国特許第6,051,698号の図1を参照))、ベバシラニブ(Dejnekaら、(2008)Mol Vis.14:997-1005を参照)、SIRNA-027(Shenら、(2006)Gene Ther.13:225-34を参照)、デクルシン(米国特許第6,525,089号(3欄、5-16行)を参照)、デクルシノール(Ahnら、(1997)Planta Med.63:360-1を参照)、ピクロポドフィリン(Economou(2008)Investigative Ophthalmology&Visual Science.49:2620-6を参照)、ググルステロン(Kimら、(2008)Oncol.Rep.20:1321-7を参照)、PLG101(Ahmadi及びLim(2008)Expert Opin Pharmacother.9:3045-52を参照)、PLG201(Ahmadi及びLim(2008)を参照)、エイコサノイドLXA4(Bakerら、(2009)J Immun.182:3819-26を参照)、
PTK787(商品名Vitalanib(商標)で市販されている;Barakat及びKaiser(2009)Expert Opin Investig Drugs18:637-46を参照)、パゾパニブ(Takahashiら、(2009)Arch
Ophthalmol.127:494-9を参照)、アキシチニブ(Hu-Loweら、(2008)Clin Cancer Res.14:7272-83を参照)、CDDO-Me(Sognoら、(2009)Recent Results Cancer Res.181:209-12を参照)、CDDO-Imm(Sognoら、(2009)を参照)、シコニン(Hisaら、(1998)Anticancer Res.18:783-90を参照)、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン(Hisaら、(1998)を参照)、ガングリオシドGM3(Chungら、(2009)Glycobio.19:229-39を参照)、DC101抗体(米国特許第6,448,077号、2欄、61-65行を参照)、Mab25抗体(米国特許第6,448,077号、2欄、61-65行を参照)、Mab73抗体(米国特許第6,448,077号、2欄、61-65行を参照)、4A5抗体(米国特許第6,383,484号、12欄、50-54行を参照)、4E10抗体(米国特許第6,383,484号、10欄、66-67行、11欄、1-2行を参照)、5F12抗体(米国特許第6,383,484号、10欄、62-65行を参照)、VA01抗体(米国特許第5,730,977号、6欄、26-30行を参照)、BL2抗体(米国特許第5,730,977号、6欄、30-32行を参照)、VEGF関連タンパク質(米国特許第6,451,764号、図1を参照)、sFLT01(Pechanら、(2009)Gene Ther.16:10-6を参照)、sFLT02(Pechanら、(2009)を参照)、ペプチドB3(Lacalら、(2008)Eur J Cancer44:1914-21を参照)、TG100801(Palankiら、(2008)J Med Chem.51:1546-59を参照)、ソラフェニブ(商品名Nexavar(商標)で入手可能;Kerntら、(2008)Acta Ophthalmol.86:456-8を参照)、G6-31抗体(Crawfordら、(2009)Cancer Cell 15:21-34を参照)、ESBA1008(米国特許第8,349,322号を参照)、チボザニブ(その全体において参照により組み込まれる、米国特許第6,821,987号;Campasら、(2009)Drugs Fut2009,34(10):793を参照)、またはその医薬的に許容され得る塩である。
【0082】
別の実施形態では、VEGFアンタゴニストは、エピトープVEGF-A(配列番号22)またはVEGF-B(配列番号23)に結合する抗体または抗体断片、またはエピトープの任意の部分である。一実施形態では、VEGFアンタゴニストは、VEGF(例えば、配列番号22及び23)の1つまたは複数のエピトープに結合する抗体または抗体断片である。別の実施形態では、VEGFアンタゴニストは、VEGF-A、VEGF-B、VEGF-C、VEGF-D、またはVEGF-Eのエピトープなどの、VEGFのエピトープに結合する抗体または抗体断片である。いくつかの実施形態では、VEGFアンタゴニストは、VEGF及びVEGFRの結合が阻害されるようにVEGFのエピトープに結合する。一実施形態では、エピトープは、エピトープが折り畳まれたVEGF分子の表面上に露出するように表示される、VEGFの3次元構造の構成要素を包含する。一実施形態では、エピトープは、VEGFからの直鎖アミノ酸配列である。
【0083】
いくつかの実施形態では、VEGFに対する阻害抗体は当該分野で公知であり、例えば、その全体において参照によりその内容が組み込まれる、米国特許第6,524,583号、6,451,764号(VRP抗体)、6,448,077号、6,416,758号、6,403,088号(対VEGF-C)、6,383,484号(対VEGF-D)、6,342,221号(抗VEGF抗体)、6,342,219号、6,331,301号(VEGF-B抗体)、及び5,730,977号、及びPCT公開W096/30046、WO97/44453、及びWO98/45331に記載のものが挙げられる
【0084】
他の非抗体VEGFアンタゴニストは、VEGFアンタゴニスト活性を伴う、抗体模倣薬(例えば、Affibody(登録商標)分子、アフィリン(affilin)、アフィチン(affitin)、アンチカリン、アビマー、Kunitzドメインペプチド、及びモノボディ)を含む。これは、VEGF-Aを結合し、それがVEGFR-2に結合することを防ぐアンキリン反復ドメインを含む組み換え結合タンパク質を含む。一例は、AGN150998(DARPin(登録商標))としても知られるMP0112である。アンキリン結合ドメインは、配列番号97のアミノ酸配列を有し得る。
【0085】
VEGF-Aを結合し、それがVEGFR-2に結合することを防ぐアンキリン反復ドメインを含む組み換え結合タンパク質は、WO2010/060748及びWO2011/135067により詳細に記載される。
【0086】
VEGFアンタゴニスト活性を伴うさらに具体的な抗体模倣薬は、40kDのPEG化されたアンチカリンPRS-050及びモノボディのアンジオセプト(angiocept)(CT-322)である。
【0087】
上記の非抗体VEGFアンタゴニストは、改変してそれらの薬物動態学的性質またはバイオアベイラビリティをさらに改善され得る。例えば、非抗体VEGFアンタゴニストは、化学的に改変して(例えば、PEG化した)そのインビボの半減期を延長することができる。代替として、または加えて、それはグリコシル化またはVEGFアンタゴニストが由来する天然タンパク質のタンパク質配列中には存在しないさらなるグリコシル化部位の付加により改変され得る。
【0088】
現在前臨床開発中の他の非抗体VEGFアンタゴニストイムノアドヘシンは、VEGFR2/KDR由来の細胞外リガンド結合ドメイン3及び4、及びVEGFR1/Flt-1由来のドメイン2を含有するVEGFトラップと類似の組み換えヒト可溶性VEGF受容体融合タンパク質であり、これらのドメインは、ヒトIgGのFcタンパク質断片と融合している(Liら、2011 Molecular Vision17:797-803)。このアンタゴニストは、イソ型VEGF-A、VEGF-B及びVEGF-Cに結合する。該分子は、2通りの異なった製造工程を使用して調製され、最終タンパク質上に異なったグリコシル化パターンが生じる。2種のグリコ型はKH902(コンベルセプト)及びKH906と称される。融合タンパク質は、配列番号98のアミノ酸配列を有することができ、VEGFトラップと同様に、二量体として存在することができる。この融合タンパク質及び関連分子は、欧州特許第1767546号中でさらに特性が明らかにされている。
【0089】
抗C5剤
【0090】
ある特定の実施形態では、抗C5剤は、C5補体タンパク質またはその変異体の機能を調節する。いくつかの実施形態では、抗C5剤は、C5補体タンパク質またはその変異体の機能を阻害する。一実施形態では、抗C5剤によって阻害された機能は、C5補体タンパク質切断である。
【0091】
C5補体タンパク質変異体は、本明細書で用いるとき、C5補体タンパク質機能と実質的に同一の機能を行う変異体を包含する。C5補体タンパク質変異体は、配列番号24のアミノ酸配列を含むC5補体タンパク質のアミノ酸配列に対し、いくつかの実施形態では、実質的に同一の構造を含み、いくつかの実施形態では少なくとも80%配列同一性を含み、いくつかの実施形態では少なくとも90%配列同一性、及びいくつかの実施形態では
少なくとも95%配列同一性を含む。
【0092】
いくつかの実施形態では、抗C5剤は、核酸分子、アプタマー、アンチセンス分子、RNAi分子、タンパク質、ペプチド、環状ペプチド、抗体または抗体断片、糖、ポリマー、または小分子から選択される。ある特定の実施形態では、抗C5剤は、PCT特許出願WO2007/103549に記載される抗C5剤である。
【0093】
特定の実施形態では、抗C5剤は、抗C5アプタマーである。アプタマーは、古典的なワトソン・クリック型塩基対合とは異なる相互作用を介した分子への特異的結合親和性を有する核酸分子である。アプタマーはファージディスプレイにより生成されるペプチドまたはモノクローナル抗体(「mAb」)と同様、選択された標的に特異的に結合し、標的の活性を調節することができ、例えば結合アプタマーを介してその標的が機能する能力をブロックし得る。アプタマーは、非PEG化であり得、またはPEG化であり得る。特定の実施形態では、アプタマーは、1つまたは複数の2’糖修飾、例えば2’-O-アルキル(例えば、2’-O-メチルまたは2’-O-メトキシエチル)または2’-フルオロ修飾を含有し得る。
【0094】
例示的なC5特異的アプタマーには、参照によりその全体に置いて組み込まれる、PCT公開番号WO2007/103549に開示されるアプタマーを含む。例示的なC5特異的アプタマーには、アプタマーARC185(配列番号25)、ARC186(配列番号26)、ARC188(配列番号27)、ARC189(配列番号28)、ARC243(配列番号29)、ARC244(配列番号30)、ARC250(配列番号31)、ARC296(配列番号32)、ARC297(配列番号33)、ARC330(配列番号34)、ARC331(配列番号35)、ARC332(配列番号36)、ARC333(配列番号37)、ARC334(配列番号38)、ARC411(配列番号39)、ARC412(配列番号40)、ARC413(配列番号41)、ARC414(配列番号42)、ARC415(配列番号43)、ARC416(配列番号44)、ARC417(配列番号45)、ARC418(配列番号46)、ARC419(配列番号47)、ARC420(配列番号48)、ARC421(配列番号49)、ARC422(配列番号50)、ARC423(配列番号51)、ARC424(配列番号52)、ARC425(配列番号53)、ARC426(配列番号54)、ARC427(配列番号55)、ARC428(配列番号56)、ARC429(配列番号57)、ARC430(配列番号58)、ARC431(配列番号59)、ARC432(配列番号60)、ARC433(配列番号61)、ARC434(配列番号62)、ARC435(配列番号63)、ARC436(配列番号64)、ARC437(配列番号65)、ARC438(配列番号66)、ARC439(配列番号67)、ARC440(配列番号68)、ARC457(配列番号69)、ARC458(配列番号70)、ARC459(配列番号71)、ARC473(配列番号72)、ARC522(配列番号73)、ARC523(配列番号74)、ARC524(配列番号75)、ARC525(配列番号76)、ARC532(配列番号77)、ARC543(配列番号78)、ARC544(配列番号79)、ARC550(配列番号80)、ARC551(配列番号81)、ARC552(配列番号82)、ARC553(配列番号83)、ARC554(配列番号84)、ARC657(配列番号85)、ARC658(配列番号86)、ARC672(配列番号87)、ARC706(配列番号88)、ARC913(配列番号89)、ARC874(配列番号90)、ARC954(配列番号91)、ARC1537(配列番号92)、ARC1730(配列番号93)、またはその医薬的に許容され得る塩が挙げられる。
【0095】
いくつかの実施形態では、抗C5剤は配列番号94、95、または96を有するアプタマーである。
【0096】
特定の実施形態では、抗C5剤は、リンカーを介してポリエチレングリコール部分にコンジュゲートした配列番号26のヌクレオチド配列を含むC5特異的アプタマーである。いくつかの実施形態では、ポリエチレングリコール部分は、約10kDaより大きい分子量、具体的には約20kDaの分子量、より具体的には約30kDa及びより具体的には約40kDaの分子量を有する。いくつかの実施形態では、ポリエチレングリコール部分は、アプタマーの5末端にリンカーを介してコンジュゲートされる。いくつかの実施形態では、その5末端にコンジュゲートしたPEGは、約40kDa分子量のPEGである。特定の実施形態では、約40kDaのPEGは、分岐鎖PEGである。いくつかの実施形態では、約40kDaの分岐鎖PEGは、1,3-ビス(mPEG-[約20kDa])-プロピル-2-(4’-ブタミド)である。他の実施形態では、約40kDaの分岐鎖PEGは、2,3-ビス(mPEG-[約20kDa])-プロピル-1-カルバモイルである。
【0097】
特定の実施形態では、C5特異的アプタマーは、下記の構造を有する化合物、ARC187である、
【0098】
【化1】
【0099】
またはその医薬的に許容され得る塩であり、ここでアプタマー=
【0100】
fCmGfCfCGfCmGmGfUfCfUfCmAmGmGfCGfCfUmGmAmGfUfCfUmGmAmGfUfUfUAfCfCfUmGfCmG-3T(配列番号26)であり、
【0101】
式中、fC及びfU=2’-フルオロヌクレオチドであり、mG及びmA=2’-OMeヌクレオチドであり、全ての他のヌクレオチドは2’-OHであり、ここで3Tは、逆位デオキシチミジンを示す。いくつかの実施形態では、上記構造の各20kDaのmPEGは約20kDaの分子量を有する。
【0102】
別の特定の実施形態では、C5特異的アプタマーは、下記に記載の構造を有する化合物、ARC1905である、
【0103】
【化2】
【0104】
またはその医薬的に許容され得る塩であり、ここでアプタマー=fCmGfCfCGfCmGmGfUfCfUfCmAmGmGfCGfCfUmGmAmGfUfCfUmGmAmGfUfUfUAfCfCfUmGfCmG-3T(配列番号26)であり、
【0105】
式中、fC及びfU=2’-フルオロヌクレオチドであり、mG及びmA=2’-OMeヌクレオチドであり、全ての他のヌクレオチドは2’-OHであり、3Tは逆位デオキ
シチミジンを示す。いくつかの実施形態では、上記構造の各20kDaのmPEGは約20kDaの分子量を有する。
【0106】
他の実施形態では、抗C5剤は、C5に対して標的化され、メッセンジャーRNAからのタンパク質翻訳を阻害することにより、または対応するC5mRNAの分解を標的化することによりC5阻害効果を発揮するアンチセンスオリゴヌクレオチド及びリボザイムである。
【0107】
なおも他の実施形態では、抗C5剤は、抗C5RNA干渉(RNAi)構築物である。C5補体タンパク質に対してRNAi効果を発揮するのに有用である特定の二本鎖オリゴヌクレオチドは、30塩基対長未満であり、約25、24、23、22、21、20、19、18または17塩基対のリボ核酸を含み得、補体C5タンパク質、特にヒト補体C5タンパク質のmRNA配列に対し実質的な配列同一性を伴う配列を含み得る。任意選択的に、dsRNAオリゴヌクレオチドに3’突出端末端を含み得る。非限定的な例示的な2-ヌクレオチド3’突出端は、任意の型のリボヌクレオチド残基で構成され得、2’-デオキシチミジン残基で構成されている場合さえあり得、これは、RNA合成のコストを削減し、細胞培養培地中及びトランスフェクト細胞内でのsiRNAのヌクレアーゼ抵抗性を増強し得る(Elbashiら、(2001)Nature,411:494-8を参照)。
【0108】
眼科疾患または障害の処置または予防のための他の薬剤
【0109】
別の実施形態では、眼科疾患または障害を処置するまたは予防するのに有用な別の薬剤は、ボロシキシマブまたはその医薬的に許容され得る塩である(その全体において参照により本明細書に組み込まれる、Ramakrishnanら、(2008)J Exp Ther Oncol.5:273-86)。
【0110】
いくつかの実施形態では、複数のアプタマーは、ポリアルキレングリコールまたはPEGなどの単一の非免疫原性、高分子量化合物、またはグリセロ脂質などの親油性化合物と会合されることができる。アプタマーは、全て1つの標的に対するものであるか、または異なる標的に対するものであることができる。化合物が1つ以上のPDGFアプタマーを含む実施形態では、PDGFまたはVEGFなどの標的との複数の結合相互作用により、和合力を増大することができる。またさらなる実施形態では、複数の、ポリアルキレングリコール、PEG、及びグリセロール脂質分子は、互いに付着されることができる。これらの実施形態では、1つまたは複数のアプタマーは、各ポリアルキレングリコール、PEG、またはグリセロール脂質と会合されることができる。これは、各アプタマーのその標的への和合力の増大をもたらすことができる。それに加えて、PDGFに対するアプタマー、またはPDGF及びポリアルキレングリコール、PEG、またはグリセロール脂質と会合する異なる標的に対するアプタマーが存在する実施形態では、薬物はまた、ポリアルキレングリコール、PEG、またはグリセロール脂質と会合される、例えば、共有結合されることができる。したがって、化合物は、リンカーとして働くポリアルキレングリコール、PEG、またはグリセロール脂質を伴い、任意選択的に、1つまたは複数のさらなるリンカーを伴う、薬物の標的された送達を提供するであろう。
【0111】
アプタマーは、5’末端における5’-5’逆方向ヌクレオチドキャップ構造及び/または3’末端における3’-3’逆方向ヌクレオチドキャップ構造で、5’-キャップ及び/または3’-キャップされることができる。いくつかの実施形態では、アンタゴニストA、アンタゴニストB、アンタゴニストC、アンタゴニストD、ペガタニブ、ベバシラニブ及びSirna-027は、5’または3’末端キャップされる。
【0112】
眼科疾患または障害を処置するまたは予防するための方法
【0113】
本発明は、本明細書に記載の任意の眼科疾患及び障害を含むがこれに限定されない眼科疾患及び障害を処置するまたは予防するのに有用な方法及び組成物を提供する。
【0114】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の眼科疾患または障害を処置するまたは予防するための方法は、網膜復位(retinal attachment)成功率を改善し、視力を改善し、または視覚を安定化させる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の方法は、対象のさらなる視覚低下の速度を予防するまたは遅らせる。
【0115】
いくつかの実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩とVEGFアンタゴニストまたはその医薬的に許容され得る塩及び/または抗C5剤との併用投与は、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩の単独投与、VEGFアンタゴニストまたはその医薬的に許容され得る塩の単独投与、または抗C5剤の単独投与よりも大きい程度に、網膜復位成功率を改善し、視力を改善し、または視覚を安定化させる。いくつかの実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニストまたはその医薬的に許容され得る塩、及び任意選択的に、抗C5剤の投与は、眼科疾患または障害の処置または予防において相乗効果を有する。例えば、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニストまたはその医薬的に許容され得る塩の両方の投与は、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニストまたはその医薬的に許容され得る塩の両方の投与の相加効果より大きい程度に、網膜復位成功率を改善し、視力を改善し、または視覚を安定化させる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法、例えば処置または投与計画に従った、アンタゴニストAの、単独投与またはVEGFアンタゴニスト及び/または抗C5剤との併用投与は、従来記載の方法に従った、アンタゴニストAの単独投与またはVEGFアンタゴニスト及び/または抗C5剤との併用投与より大きい程度まで網膜復位成功率を改善し、視力を改善し、または視覚を安定化させる。
【0116】
特定の実施形態では、本発明の任意の方法及び組成物は、特定の対象における眼科疾患または障害を処置するまたは予防するために使用される。例えば、ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法に従って処置された対象は、該疾患または障害についての彼らの以前の処置、処置されている彼らの疾患または障害の特定の病状、及び/または他の特徴に基づいて規定されるかまたは同定される。一実施形態では、対象は、規定された表現型または既往歴を有する。
【0117】
従って、本明細書に記載の任意の方法は、例えば対象または彼の医療提供者に尋ねることによって、または対象の診療記録を見直すことよって、例えば、対象が該疾患または障害を処置するまたは予防するために以前にVEGFアンタゴニストを投与されたかどうか、または対象が以前にVEGFアンタゴニストを用いた単独療法に失敗したかどうかを決定することによって、処置すべき対象を同定することをさらに含む。
【0118】
一実施形態では、対象は、VEGFアンタゴニストが使用される任意の眼疾患または障害、または本明細書に記載の任意の眼疾患または障害(例えば、湿潤型AMD)についてVEGFアンタゴニストまたは抗VEGF薬単独療法を用いて以前に処置された。
【0119】
特定の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物は、抗VEGF耐性である、以前に抗VEGF薬単独療法を用いて投与されたまたは処置され、抗VEGF薬単独療法に対して応答しないまたは良好にまたは十分に応答しなかった、及び/またはVEGFアンタゴニストを用いた単独療法に失敗した対象の眼科疾患または障害を処置するまたは予防するのに有用である。いくつかの実施形態では、単独療法に失敗した対象は抗VEGF耐
性であり、補体媒介性炎症を有し、及び/または抗VEGF薬単独療法に十分に応答しなかった。一実施形態では、VEGFアンタゴニストを用いた単独療法に失敗した対象は、VEGFアンタゴニストを用いた処置後または投与後に不良な視覚または解剖学的な結果を経験した対象である。一実施形態では、対象は、抗VEGF薬単独療法後に視覚の改善を呈さなかったか、または視覚の低下を呈した。
【0120】
ある特定の実施形態では、抗VEGF薬単独療法後の対象の視覚低下によってまたは対象の有意な視覚改善の欠如によって決定されるように、対象は、抗VEGF薬単独療法に良好にまたは十分に応答しないまたは応答しなかった。一実施形態では、抗VEGF薬単独療法後の対象の有意な視力改善の欠如は、視力検査の規格化チャート、例えば糖尿病網膜症早期治療試験チャート(「ETDRSチャート」)の1文字以上、いくつかの実施形態では、3文字以上、いくつかの実施形態では15文字以上を読む対象の能力の欠如によって決定される。いくつかの実施形態では、視力検査は、Early Treatment Diabetic Retinopathy Study Research Group(ETDRS),Manual of Operations,ボルティモア:ETDRS Coordinating Center,メリーランド大学に記載の通りである。本明細書に記載のように、National Technical Information Service,5285 Port Royal Road,Springfield,VA 22161;Accession番号PB85 223006/AS;Ferrisら、Am J Ophthalmol94:91-96,1982;または実施例4、から入手可能。いくつかの実施形態では、視力検査では、http://www.nei.nih.gov/photo/keyword.asp?conditions=Eye+Charts&match=allから入手可能な1つまたは複数のチャート、例えば、ETDRS視力チャート1、2及び/またはRを使用する。
【0121】
別の実施形態では、抗VEGF薬単独療法後の対象の視力低下は、対象の、ベースラインからの、視力検査の規格化チャート、例えばETDRSチャートの1つ以上、いくつかの実施形態では3つ以上の文字またはラインを読む能力の喪失によって決定される。一実施形態では、抗VEGF薬単独療法後の対象の有意な視力改善の欠如は、対象の、ベースラインからの、視力検査の規格化チャート、例えばETDRSチャートの追加の1文字以上、いくつかの実施形態では3文字以上、及びいくつかの実施形態では15文字以上を読む能力の欠如によって決定される。別の実施形態では、抗VEGF薬単独療法後の対象の有意な視力改善の欠如は、対象の、ベースラインからの、視力検査の規格化チャート、例えばETDRSチャートの追加の1つ以上、いくつかの実施形態では3つ以上のラインを読む能力の欠如によって決定される。いくつかの実施形態では、対象の視力低下または有意な視力改善の欠如は、対象の視力低下または不良な処置応答の解剖学的サイン、例えば持続的漏出、出血の増加、持続的または増大した網膜色素上皮(RPE)剥離、新生血管活性のサイン、または新生血管の成長または異常なマトリックスの沈着の増加または線維症によって決定される。特定の実施形態では、対象の視力低下または有意な視力改善の欠如は、処置開始後12週または24週で決定される。
【0122】
ある特定の実施形態では、対象は、VEGFアンタゴニスト、例えば、抗VEGF薬単独療法に対して抗VEGF耐性である。一実施形態では、対象が以前にVEGFアンタゴニスト、例えば、抗VEGF薬単独療法を用いて投与され、それが、眼科疾患または障害の処置または予防をもたらさなかった;眼科疾患または障害の単に一時的な処置または予防をもたらし、対象が該眼科疾患または障害の処置または予防をさらに必要とすることになった;または対象の視力減退をもたらし、対象が該眼科疾患または障害の処置または予防をさらに必要とすることになった場合に、対象は抗VEGF耐性である。
【0123】
別の実施形態では、対象が以前に、抗VEGF処置、例えば抗VEGF薬単独療法を用
いて処置または投与され、任意の視力改善の達成に失敗したまたは視力減退を経験した場合に、対象は抗VEGF耐性である。いくつかの実施形態では、対象は、抗VEGF処置に十分に応答しなかった。一実施形態では、対象は1年またはより長い期間にわたって抗VEGF処置を投与された。いくつかのかかる実施形態では、対象は湿潤型AMDの処置を必要とする。
【0124】
従って、本発明は、VEGFアンタゴニストを用いた単独療法に失敗している(例えば、抗VEGF耐性である、補体媒介性炎症を有する、及び/または抗VEGF薬単独療法に十分に応答しなかった)対象などの、対象の湿潤型AMDを処置する、予防する、または安定化させる方法を提供する。特定の実施形態では、本方法は、対象が以前に抗VEGF薬単独療法を用いて投与されたまたは処置されたかどうかを決定することを含む。ある特定の実施形態では、抗VEGF薬単独療法は、1つまたは複数のVEGFアンタゴニストのみの投与を意味する。ある特定の実施形態では、抗VEGF薬単独療法は、眼科疾患または障害、例えば湿潤型AMDの処置に特異的に適用されるわけではない他の薬剤の任意選択的な投与を含む。
【0125】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物は、処置未経験である対象の眼科疾患または障害を処置するまたは予防するのに有用である。いくつかの実施形態では、対象は、対象が以前に該眼科疾患または障害について処置されていない場合に処置未経験である。いくつかの実施形態では、対象が以前にVEGFアンタゴニストまたは抗VEGF薬単独療法を用いて投与または処置されていない場合に、処置未経験である(「抗VEGF処置未経験」)。特定の実施形態では、本方法は、対象が該眼科疾患または障害について以前に処置されたかどうか、またはVEGFアンタゴニストまたは抗VEGF薬単独療法を投与されたかどうかを、例えば、対象または彼または彼女の医療提供者に尋ねることによって、または対象の診療記録を見直すことによって決定することをさらに含む。ある特定の実施形態では、抗VEGF薬単独療法は、1つまたは複数のVEGFアンタゴニストのみの投与を意味する。ある特定の実施形態では、抗VEGF薬単独療法は、眼科疾患または障害、例えば湿潤型AMDの処置に特異的に適用されるわけではない他の薬剤の任意選択的な投与を含む。いくつかの実施形態では、対象は、対象がAMD(例えば、湿潤型AMD)について以前に処置されていない場合に、処置未経験である。いくつかの実施形態では、対象は、対象がどちらかの眼のAMD(例えば、湿潤型AMD)について以前に処置されていない、またはいずれの従来処置も受けていない場合に、処置未経験である。なおも別の実施形態では、対象は、ビタミン及びミネラルの1つまたは複数の経口サプリメントを除いて、対象がAMD(例えば、湿潤型AMD;例えばどちらかの眼において)について以前に処置されていない、またはいずれの従来処置も受けていない場合に、処置未経験である。いくつかの実施形態では、対象は、対象がAMD(例えば、湿潤型AMD)の処置のために使用される治療薬を以前に投与されていない場合に、処置未経験である。
【0126】
ある特定の実施形態では、対象は、補体媒介性炎症を有する。ある特定の実施形態では、対象は、抗VEGF耐性であり、補体媒介性炎症を有する。ある特定の実施形態では、補体媒介性炎症は対象の眼に存在する。ある特定の実施形態では、補体媒介性炎症は、抗VEGF薬単独療法を用いた以前の投与に起因する。他の実施形態では、対象は、補体媒介性炎症を有すると診断されたまたはされている。なおも他の実施形態では、対象は抗VEGF薬単独療法に対して十分に応答しておらず、補体媒介性炎症を有すると診断されたまたはされている。ある特定の実施形態では、補体媒介性炎症は、対象において遺伝学的スクリーニング法を使用して診断される。かかる遺伝学的スクリーニング法は、当業者に公知であり、補体遺伝子、例えば補体因子H(CFH)、CFI、CFHR5、及びMCP、BF及びC2遺伝子における変異についてのスクリーニングを含むが、これに限定されない。
【0127】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物は、眼科疾患または障害を有すると新規に診断された対象の眼科疾患または障害を処置するまたは予防するのに有用である。いくつかの実施形態では、対象は、該眼科疾患または障害について対象が以前に診断されていなかった場合に新規に診断される。いくつかの実施形態では、対象は、加齢黄斑変性症を有すると新規に診断される。いくつかの実施形態では、対象は、乾燥型加齢黄斑変性症を有すると新規に診断される。いくつかの実施形態では、対象は、湿潤型AMDを有すると新規に診断される。特定の実施形態では、本方法は、対象が該眼科疾患または障害について以前に診断されたかどうかを、例えば、対象または彼または彼女の医療提供者に尋ねることによって、または対象の診療記録を見直すことによって決定することをさらに含む。
【0128】
本発明のいくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物は、新生血管疾患である眼科疾患または障害を処置するまたは予防するのに有用である。本発明の他の実施形態では、眼科疾患または障害は、網膜浮腫をもたらす。処置または予防することができる例示的な眼科疾患または障害を本明細書に記載する。
【0129】
加齢黄斑変性症の処置または予防
【0130】
一実施形態では、本明細書に記載の任意の方法または組成物によって処置または予防される眼科疾患または障害は、加齢黄斑変性症である。黄斑変性症に伴い得る視覚変化としては、ゆがみ及び/またはアムスラー図表を用いて検出される盲点(暗点)、暗順応の変化(杆細胞の健康の診断)または色解釈の変化(網膜錐体細胞の健康の診断)、または視力の低下が挙げられる。加齢黄斑変性症の例は、非新生血管(「乾燥型」としても知られる)及び新生血管(「湿潤型」または「滲出型」としても知られる)黄斑変性症である。
【0131】
一実施形態では、乾燥型加齢黄斑変性症は、ドルーゼンの形成に伴う。一実施形態では、乾燥型黄斑変性症を処置するまたは予防することは、網膜色素上皮の異常及び/または脈絡毛細管板(choriocapilary)として知られる下にある血管系を処置するまたは予防することを包含する。網膜色素上皮の異常の例としては、地図状萎縮、非地図状萎縮、限局性色素脱失、及び限局性色素沈着過剰が挙げられる。別の実施形態では、湿潤型加齢黄斑変性症を処置するまたは予防することは、脈絡膜新生血管または色素上皮剥離を処置するまたは予防することを包含する。
【0132】
一実施形態では、本発明は、湿潤型加齢黄斑変性症を処置するまたは予防するための方法を提供する。本発明の別の態様は、対象の脈絡膜新生血管複合体を処置する、予防する、または阻害する、例えば脈絡膜新生血管複合体の形成または成長を阻害するための方法である。
【0133】
本発明の別の態様では、本発明は、対象の脈絡膜新生血管を処置するまたは予防するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、脈絡膜新生血管は、中心窩下脈絡膜新生血管である。いくつかの実施形態では、中心窩下脈絡膜新生血管は、加齢黄斑変性症に起因する。一実施形態では、中心窩下脈絡膜新生血管は、滲出型AMDに続発する。他の実施形態では、中心窩下脈絡膜新生血管は、滲出型AMDを有する対象に存在し、他の実施形態では、中心窩下脈絡膜新生血管は、滲出型AMDを有さない対象に存在する。いくつかの実施形態では、中心窩下脈絡膜新生血管は、黄斑の、炎症性、外傷性、近視性、特発性または腫瘍性の疾苦に続発する。
【0134】
いくつかの実施形態では、湿潤型加齢黄斑変性症は、蛍光眼底造影検査として知られる眼底造影検査によって決定される、その脈絡膜新生血管(CNV)の外見に従い、cla
ssic、occultまたは混合(classic及びoccult)型CNVに分類される。classic、occultまたは混合(classic及びoccult)CNV分類は、フルオレセイン眼底造影検査によって評価される、色素出現の時間、強度及び定義のレベル、及びCNVからの漏出に基づくことができる。いくつかの実施形態では、対象は、classic CNV(例えば、pure classic)または混合CNV(predominantlyまたはminimally classic CNV)を有する。いくつかの実施形態では、対象はoccult CNV(例えば、pure occult CNV)を有する。
【0135】
アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニスト及び/または抗C5剤の投与は、classic CNVまたはoccult CNVの処置または予防において相乗効果を有することができる。例えば、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニストの両方の投与は、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニストの両方の相加効果より大きい程度まで視力を改善し、視覚を安定化させることができる。別の例では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニストの両方の投与は、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩またはVEGFアンタゴニストの投与より大きい程度までCNVを低減させるまたはCNVの成長を阻害することができる。いくつかの実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニストの両方の投与は、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩またはVEGFアンタゴニストの投与での時間枠または投薬量と比較して、より短い時間枠またはより低い投薬量またはより低頻度でCNVを低減させることができる。いくつかの実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニストの両方の投与は、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニストの両方の相加効果より大きい程度までCNVを低減させるまたはCNVの成長を阻害することができる。いくつかの実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニストの両方の投与は、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニストの両方の投与での相加的な時間枠、投薬量、または頻度と比較して、より短い時間枠またはより低い投薬量またはより低頻度でCNVを低減させることができる。
【0136】
一実施形態では、本発明は、非滲出型(「乾燥型」)AMDを処置する、予防する、または安定化させるための方法を提供する。一実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、抗C5剤、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及び抗C5剤の組み合わせ、または抗C5剤及びVEGFアンタゴニストの組み合わせは、それぞれ、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、抗C5剤、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及び抗C5剤の組み合わせ、または(oror)抗C5剤及びVEGFアンタゴニストの組み合わせの投与前の対象のドルーゼンレベルと比較して、ほぼ同一レベルのドルーゼンを維持するまたはドルーゼンのレベル(例えば、量、サイズ、数、面積及び/または形態)(例えば、サイズ、数、面積及び/または形態)を低減させるのに有効な量で投与される。特定の実施形態では、ドルーゼンのレベルは少なくともまたは約5%、少なくともまたは約10%、少なくともまたは約20%、少なくともまたは約30%、少なくともまたは約40%、または少なくともまたは約50%低減する。
【0137】
いくつかの実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、抗C5剤、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及び抗C5剤の組み合わせ、または抗C5剤及びVEGFアンタゴニストの組み合わせは、非滲出型AMDが地図状萎縮(GA)に進行することを阻害する、遅延させる、または予防するのに有効な
量で投与される。GAは、非滲出型AMDの進行形態である。他の実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及び/または抗C5剤またはその医薬的に許容され得る塩は、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及び/または抗C5剤を受けていない対象のそれと比較して、継時的にGA病変の成長または面積を低減させるのに有効な量で投与される。他の実施形態では、抗C5剤またはその医薬的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニストは、抗C5剤及び/またはVEGFアンタゴニストを受けていない対象のそれと比較して、継時的にGA病変の成長または面積を低減させるのに有効な量で投与される。特定の実施形態では、継時的な地図状萎縮病変の面積または成長における変化は、少なくともまたは約5%、少なくともまたは約10%、少なくともまたは約20%、少なくともまたは約30%、少なくともまたは約40%、または少なくともまたは約50%低減する。地図状病変のサイズを同定する及び評価する方法は当業者に公知であり、自家蛍光イメージング法及び光干渉断層法を含む。
【0138】
特定の実施形態では、その非滲出型AMDが滲出型AMDへと転換した、例えば、新しい血管がその上にある網膜へと侵入したときの、対象を処置する。本発明は、膜性増殖性糸球体腎炎II型病に続発するドルーゼン網膜症を含む、補体媒介性免疫障害に続発するドルーゼン網膜症を処置する、予防する、または安定化させるための方法をさらに提供する。いくつかの実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及び/または抗C5剤及び/またはVEGFアンタゴニストは、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及び/または抗C5剤及び/またはVEGFアンタゴニストの投与前の網膜ドルーゼンのレベルと比較して、膜性増殖性糸球体腎炎II型病または滲出型AMDを有するかまたは有すると診断されている対象の網膜ドルーゼンを低減させるのに有効な量で投与される。ある特定の実施形態では、ドルーゼンのレベルは、少なくともまたは約5%、少なくともまたは約10%、少なくともまたは約20%、少なくともまたは約30%、少なくともまたは約40%、または少なくともまたは約50%低減する。
【0139】
一実施形態では、眼科疾患または障害は、湿潤型AMDの変異体である、ポリープ状脈絡膜血管症(PCV)である。
【0140】
脈絡膜新生血管に伴う症状の処置または予防
【0141】
一実施形態では、眼科疾患または障害は、脈絡膜新生血管に伴う症状である。脈絡膜新生血管に伴う症状の例としては、変性、炎症性、外傷性または特発性症状が挙げられる。脈絡膜新生血管に伴う変性障害を処置するまたは予防することは、遺伝性変性障害(heredodegerative disorder)を処置するまたは予防することも包含する。遺伝性変性障害の例としては、卵黄状黄斑変性、黄色斑眼底及び視神経乳頭ドルーゼンが挙げられる。脈絡膜新生血管に伴う変性症状の例としては、近視性変性または網膜色素線条症が挙げられる。いくつかの実施形態では、脈絡膜新生血管に伴う炎症性障害を処置するまたは予防することは、眼ヒストプラズマ症候群、多巣性脈絡膜炎、匍行性脈絡膜炎、トキソプラズマ症、トキソカラ症、風疹、フォークト-小柳-原田症候群、ベーチェット症候群または交感性眼炎を処置するまたは予防することを包含する。いくつかの実施形態では、脈絡膜新生血管に伴う外傷性障害を処置するまたは予防することは、脈絡膜破裂または強い光凝固によって引き起こされる外傷性症状を処置するまたは予防することを包含する。
【0142】
増殖網膜症の処置または予防
【0143】
本発明の一特定の態様は、増殖性硝子体網膜症(PVR)を処置するまたは予防するための方法および組成物を提供する。いくつかの実施形態では、PVRは、中等度形態であ
る。他の実施形態では、PVRは重度形態である。いくつかの実施形態では、PVRは再発形態である。一実施形態では、PVRを有する対象は、網膜剥離も有するまたは有していたか、または対象は網膜剥離に伴うPVRを有するか、またはPVR関連瘢痕(例えば、PVRから生じる瘢痕、例えば、網膜瘢痕)を有する。いくつかの実施形態では、PVRは、網膜の形像及び瘢痕組織の位置に基づいて、例えば表2に示すように特徴付けられる(Lean Jら、Classification of proliferative vitreoretinopathy used in the silicone
study.The Silicone study group.Ophthalmology1989;96:765-771を参照)。任意のこれらのカテゴリーまたはタイプのPVRが本発明に従って処置または予防されることができる。
【0144】
【表1】
【0145】
PVRを処置するための本発明の方法は、PVRを処置するのに有用な別の薬剤、例えば、副腎皮質ホルモン(corticosteriod);5-フルオロウラシルなどの抗悪性腫瘍薬;コルヒチン;レチノイド;ヘパリン;上皮成長因子受容体(EGFR)阻害剤、例えば、ゲフィニチブまたはエルロチニブを投与することをさらに含むことができる。
【0146】
本発明の別の態様は、増殖網膜症を処置または予防するための方法、例えばPVRに関連するもの(例えば増殖網膜症の眼の病状を処置するまたは予防する)であり、例えば、増殖糖尿病網膜症、鎌状赤血球網膜症、外傷後網膜症、過粘稠度症候群、大動脈弓症候群、眼虚血症候群、頸動脈海綿静脈洞瘻、多発性硬化症、網膜血管炎、全身性エリテマトーデス、SS-A自己抗体を伴う細動脈炎、急性多巣性出血性血管炎(acute multifocal hemorrhagic vasculitis)、感染に起因する血管炎、ベーチェット病に起因する血管炎、サルコイドーシス、凝固障害、鎌状ヘモグロビン異常症、AC及びC-βサラセミア、細小血管硝子様変性症、色素失調症、イールズ病、網膜動脈分枝閉塞症または網膜静脈分枝閉塞症、霜状分枝血管炎、特発性網膜血管炎、
動脈瘤、視神経網膜炎、網膜塞栓形成、未熟児の網膜症、ぶどう膜炎、毛様体扁平部炎、急性網膜壊死、バードショット網膜脈絡膜症、長期的網膜剥離、脈絡膜黒色腫、放射線網膜症、家族性滲出性硝子体網膜症、遺伝性網膜静脈数珠状症(inherited retinal venous beading)、網膜分離症、網膜色素変性、または常染色体優性硝子体網膜脈絡膜症を処置するまたは予防するための方法である。
【0147】
本発明の別の態様は、増殖網膜症またはPVRをもたらす原因である疾患または症状を処置するまたは予防するための方法である。一実施形態では、網膜剥離後(例えば、PVRの原因となるまたはもたらす)を処置または予防する。別の実施形態では、増殖糖尿病網膜症(例えば、PVRの原因となるまたはもたらす)または鎌状赤血球網膜症(例えば、PVRの原因となるまたはもたらす)、ならびにこれらの障害の1つまたは複数によって引き起こされた瘢痕を処置または予防する。
【0148】
緑内障の処置または予防
【0149】
一実施形態では、眼科(opthalmological)疾患または障害は緑内障である。一実施形態では、緑内障は、開放隅角緑内障、原発性開放隅角緑内障、続発開放隅角緑内障、閉塞隅角緑内障、糖尿病に伴う緑内障、糖尿病網膜症に伴う緑内障、閉塞隅角緑内障、狭隅角緑内障または急性緑内障である。
【0150】
腫瘍の処置または予防
【0151】
一実施形態では、眼科疾患または障害は、腫瘍である。腫瘍の例としては、眼瞼腫瘍、結膜腫瘍、脈絡膜腫瘍、虹彩腫瘍、視神経腫瘍、網膜腫瘍、浸潤性眼内腫瘍または眼窩腫瘍が挙げられる。眼瞼腫瘍の例としては、基底細胞癌、扁平癌、脂腺癌、悪性黒色腫、毛細血管性血管腫、汗腺嚢腫、母斑または脂漏性角化腫が挙げられる。結膜腫瘍の例としては、結膜カポジ肉腫、扁平癌、結膜の上皮内腫瘍、眼球上類皮腫(epibular dermoid)、結膜のリンパ腫、黒色腫、瞼裂斑、または翼状片が挙げられる。脈絡膜腫瘍の例としては、脈絡膜母斑、脈絡膜血管腫、転移性脈絡膜腫瘍、脈絡膜骨腫、脈絡膜黒色腫、毛様体黒色腫または太田母斑が挙げられる。虹彩腫瘍の例としては、転移性前部ブドウ膜腫瘍、虹彩嚢腫、虹彩黒色細胞腫、虹彩黒色腫、または虹彩の真珠嚢腫が挙げられる。視神経腫瘍の例としては、視神経黒色細胞腫、視神経鞘髄膜腫、視神経の脈絡膜黒色腫、または視神経症を伴う転移性乳頭部周辺腫瘍が挙げられる。網膜腫瘍の例としては、網膜色素上皮(RPE)肥大、RPE腺腫、RPE癌腫、網膜芽細胞腫、またはRPEの過誤腫が挙げられる。いくつかの実施形態では、本発明は、RPEまたはグリア細胞の遊走を阻害するなどの、網膜色素上皮(RPE)またはグリア細胞を阻害するための方法を提供する。浸潤性眼内腫瘍の例としては、慢性リンパ性白血病、浸潤性脈絡膜症、または眼内リンパ腫が挙げられる。眼窩腫瘍の例としては、涙腺の腺様嚢胞癌、眼窩の海綿状血管腫、眼窩のリンパ管腫、眼窩粘液嚢腫、眼窩偽腫瘍、眼窩横紋筋肉腫、小児の眼周囲血管腫、または硬化性眼窩偽腫瘍(sclerosing orbital psuedotumor)が挙げられる。
【0152】
本発明の別の態様は、フォン・ヒッペル・リンドウ(VHL)病を処置するまたは予防する(例えば、VHL病に伴う視力低下を処置するまたは予防する)ための方法である。いくつかの実施形態では、VHL病は、腫瘍によって特徴付けられる。腫瘍は、悪性または良性であり得る。別の実施形態では、VHLに伴う、眼内の良性または悪性腫瘍(例えば、眼腫瘍)または嚢胞(例えば、眼嚢胞)を処置または予防する。いくつかの実施形態では、腫瘍は血管芽腫である。いくつかの実施形態では、腫瘍は、フォン・ヒッペル血管腫または網膜毛細血管性血管腫(例えば、傍乳頭血管腫)である。
【0153】
いくつかの実施形態では、VHL病を有する対象は、タンパク質「pVHL」が欠失している。
【0154】
いくつかの実施形態では、VHL病は重度である(例えば、重度VHL病を有する対象は、非薬物療法(例えば、レーザーまたは凍結療法)で有効に処置されることができない病変を有する。例えば、病変は、レーザーまたは凍結療法で損傷を受け得る重要な神経構造(例えば、視神経、黄斑、乳頭黄斑束)の上に存在するまたは隣接する)。
【0155】
いくつかの実施形態では、VHL病を処置するまたは予防するための方法は、VHLの眼病状または非眼病状(例えば、腎臓、副腎、膵臓、脳、脊髄、内耳、精巣上体、または子宮広間膜の良性または悪性腫瘍または嚢胞)を処置することを含む。
【0156】
いくつかの実施形態では、処置されている対象は、VHL病の家族歴または網膜毛細血管性血管腫(RCH)、脊髄血管芽腫または小脳血管芽腫、褐色細胞腫、多発性膵嚢胞、精巣上体または子宮広間膜嚢胞腺腫、多発性腎嚢胞、及び腎細胞癌の1つまたは複数を有する。いくつかの実施形態では、対象は、RCH、脊髄血管芽腫及び小脳血管芽腫、褐色細胞腫、多発性膵嚢胞、精巣上体または子宮広間膜嚢胞腺腫、多発性腎嚢胞、または腎細胞癌の1つまたは複数を60歳以前に有する。いくつかの実施形態では、対象は、網膜または脳の2つ以上の血管芽腫または、腎または膵嚢胞;腎細胞癌;副腎または副腎外褐色細胞腫;内リンパ嚢腫瘍;精巣上体または子宮広間膜の乳頭嚢胞腺腫;または膵臓の神経内分泌腫瘍などの、内臓の病状に伴う1つの血管芽腫を有する。いくつかの実施形態では、対象は、VHL遺伝子内に病原性生殖細胞系突然変異を有する。
【0157】
いくつかの実施形態では、対象は、例えば随伴性網膜内または網膜下滲出または脂質沈着(進行中の血管機能不全を反映し得、以前の処置後または共存網膜牽引(coexistent retinal traction)の二次的な残留変化を反映しない);眼底撮影またはフルオレセイン眼底造影検査(FA)によって評価された以前の時点と比較したときの腫瘍のサイズ増大;眼底撮影またはFAによって評価される、以前の処置の二次的なものでない随伴性網膜内、網膜下、または網膜前出血;以前の時点と比較したときの、新しい流入動脈血管の出現またはより大きな散大または存在する流入動脈血管の蛇行;及び/または硝子体滲出を示す硝子体細胞または混濁などの活性を、かかる所見の要因である可能性のある他の眼の特徴の非存在下で、呈するRCHを有する。いくつかの実施形態では、対象は、そのサイズ、後方位置、従来療法に対する以前の応答の乏しさ、または他の因子のために、凍結療法または熱レーザーを使用して容易に処置可能ではないRCHを有する。
【0158】
いくつかの実施形態では、本発明の方法または組成物は、VHLの合併症、視覚機能障害(例えば、VHLに起因する)、またはVHLの線維性合併症(例えば、線維性髄膜腫)を処置するまたは予防するために使用される。ある特定の実施形態では、本発明の方法または組成物は、しばしば血管結合組織の増殖及び網膜上膜形成に伴う、微細な、表在性の、傍乳頭血管を含む血管増殖としてのVHLの病状を処置するために使用される。
【0159】
瘢痕または線維症の処置または予防
【0160】
本発明の別の態様は、瘢痕または線維症(例えば、瘢痕または線維症は網膜の黄斑部の下にある)を処置する、阻害する、または予防するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、瘢痕は、血管結合組織の瘢痕(例えば、網膜内)である。いくつかの実施形態では、線維症は、肝線維症、肺線維症または腎線維症である。いくつかの実施形態では、線維症は、眼線維症である。いくつかの実施形態では、線維症は、網膜下線維症(例えば、新生血管AMDに伴う)である。いくつかの実施形態では、網膜下線維症は、新生血
管AMDに伴わない。いくつかの実施形態では、線維症は、中心窩下線維症である。いくつかの実施形態では、中心窩下線維症は、網膜萎縮を伴う。いくつかの実施形態では、中心窩下線維症または網膜下線維症は、VEGFアンタゴニスト、例えば、抗VEGF薬単独療法の投与後に発症する。
【0161】
いくつかの実施形態では、瘢痕は、線維柱帯切除術、濾過手術(部分厚濾過手術(partial thickness filtering surgery)など)、緑内障濾過手技、低侵襲緑内障手術、緑内障バルブ移植術、緑内障セトン手術、緑内障チューブシャント手術、緑内障ステント留置術、または白内障及び緑内障同時手術などの緑内障手術の結果、または緑内障手術後に生じる。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、緑内障手術に関連するまたは結果生じる瘢痕(例えば、瘢痕関連増殖をもたらし得る)を処置するまたは予防するのに有用である。いくつかの実施形態では、瘢痕は、網膜下瘢痕である。いくつかの実施形態では、瘢痕は、脈絡膜新生血管退縮後に生じる網膜下瘢痕である。
【0162】
特定の実施形態では、網膜下線維症を処置する、阻害するまたは予防する(例えば、網膜下線維症の形成を低減させる)ための方法は、それを必要とする対象に有効量のアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニストを投与することを含む。いくつかの実施形態では、対象は、AMD(例えば、湿潤型AMD)を有するかまたは有すると診断されている。いくつかの実施形態では、対象は進行湿潤型AMDを有するかまたは有すると診断されている。
【0163】
他の眼科疾患及び障害の処置または予防
【0164】
ある特定の実施形態では、眼科疾患または障害は、白内障(例えば、加齢性白内障)、糖尿病黄斑浮腫(diabetic macula edema)、黄斑部毛細血管拡張(例えば、タイプ1またはタイプ2黄斑部毛細血管拡張)、萎縮型黄斑変性症、網脈絡膜症(例えば、中心性漿液性脈絡網膜症)、網膜炎症性血管障害、病理学的網膜血管形成、加齢性黄斑症、網膜芽細胞腫、弾力線維性仮性黄色腫、網膜硝子体疾患、脈絡膜網膜下新生血管、中心性漿液性脈絡網膜症、虚血型網膜症、高血圧網膜症または糖尿病網膜症(例えば、非増殖または増殖糖尿病網膜症、例えば、黄斑浮腫または黄斑虚血)、未熟児の網膜症(例えば、発育過程の網膜を支持する血管床内の血管の異常成長に伴う)、静脈閉塞症(例えば、網膜静脈閉塞症、網膜静脈分枝閉塞症または網膜中心静脈閉塞症)、動脈閉塞症(例えば、網膜動脈分枝閉塞症(BRAO)、網膜中心動脈閉塞症または眼虚血症候群)、中心性漿液性脈絡網膜症(CSC)、嚢胞様黄斑浮腫(CME)(例えば、中心網膜または黄斑に発症する、または白内障手術後に発症する)、網膜末梢血管拡張症(例えば、網膜血管の散大及び蛇行、及び多発性動脈瘤、特発性JXT、レーバー粟粒動脈瘤、またはコーツ病によって特徴付けられる)、網膜細動脈瘤、網膜血管腫症、放射線誘導網膜症(RIRP)、または虹彩ルベオーシス(例えば、血管新生緑内障、糖尿病網膜症、網膜中心静脈閉塞症、眼虚血症候群、または慢性網膜剥離に伴う)である。
【0165】
他の実施形態では、眼科疾患または障害は、鎌状赤血球症(SCD)、貧血症、または鎌状赤血球網膜症(例えば、非新生血管または非増殖性の眼の病状)である。いくつかの実施形態では、SCDに伴う血管閉塞現象または溶血を処置または予防する。いくつかの実施形態では、SCDの眼の病状は、結膜、虹彩、網膜、または脈絡膜内の血管閉塞を含む。非新生血管または非増殖の眼の病状は、滑らかな血管をコンマ形の断片へと変形させる結膜血管閉塞、虹彩萎縮、網膜「サーモンパッチ」出血、網膜色素変化及び、網膜血管系、黄斑、脈絡膜、及び視神経乳頭の他の異常を含むことができる。いくつかの実施形態では、新生血管または増殖性の眼の病状は、視力低下をもたらす、硝子体出血、網膜剥離、網膜上膜につながり得る血管葉状体の異常な増殖を必然的に含む。いくつかの実施形態
では、本方法は、ジアルテミー、凍結療法、レーザー光凝固術または手術(例えば、硝子体切除術)などの別の処置を実行することをさらに含む。
【0166】
一実施形態では、眼科疾患または障害は、周辺部網膜新生血管に伴う症状である。周辺部網膜新生血管に伴う症状の例としては、虚血性血管疾患、虚血の可能性がある炎症性疾患、色素失調症、網膜色素変性、網膜分離症または慢性網膜剥離が挙げられる。
【0167】
虚血性血管疾患の例としては、増殖糖尿病網膜症、網膜静脈分枝閉塞症、網膜動脈分枝閉塞症、頸動脈海綿静脈洞瘻、鎌状ヘモグロビン異常症、非鎌状ヘモグロビン異常症、IRVAN症候群(特発性網膜血管炎、動脈瘤、及び視神経網膜炎によって特徴付けられる網膜血管炎障害)、網膜塞栓形成、未熟児の網膜症、家族性滲出性硝子体網膜症、過粘稠度症候群、大動脈弓症候群またはイールズ病が挙げられる。鎌状ヘモグロビン異常症の例としては、SSヘモグロビン異常症及びSCヘモグロビン異常症が挙げられる。非鎌状ヘモグロビン異常症の例としては、ACヘモグロビン異常症及びASヘモグロビン異常症が挙げられる。過粘稠度症候群の例としては、白血病、ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症、多発性骨髄腫、赤血球増加症または骨髄増殖性疾患が挙げられる。
【0168】
いくつかの実施形態では、虚血の可能性がある炎症性疾患を処置するまたは予防することは、全身性疾患に伴う網膜血管炎、感染因子に伴う網膜血管炎、ぶどう膜炎またはバードショット網膜症を処置するまたは予防することを包含する。全身性疾患の例としては、全身性エリテマトーデス、ベーチェット病、炎症性腸疾患、サルコイドーシス、多発性硬化症、ウェゲナー肉芽腫症及び結節性多発性動脈炎が挙げられる。感染因子の例としては、梅毒、結核、ライム病または猫ひっかき病の原因物質であるバクテリア因子、ヘルペスウイルスなどのウイルス、またはイヌ回虫またはトキソプラズマなどの寄生虫が挙げられる。ぶどう膜炎の例としては、毛様体扁平部炎またはフックスぶどう膜炎症候群が挙げられる。
【0169】
治療的または予防的投与用の組成物
【0170】
アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、VEGFアンタゴニスト、または抗C5剤は、医薬的に許容され得るキャリアまたはビヒクル、例えば医薬組成物をさらに備える組成物の成分として投与されることができる。ある特定の実施形態では、各治療薬は、対象に別々の組成物にて投与される。しかしながら、他の実施形態では、2つ以上の治療薬が、対象に同一の組成物にて投与されてよい。一実施形態では、本発明の組成物は、有効量のアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、VEGFアンタゴニスト、及び/または抗C5剤及び医薬的に許容され得るキャリアまたはビヒクルを含む。別の実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩を含む組成物及びVEGFアンタゴニストを含む別の組成物が投与される。いくつかの実施形態では、抗C5剤を含む別の組成物が投与される。いくつかの実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニストを備える組成物が投与される。いくつかの実施形態では、抗C5剤を含む別の組成物も投与される。
【0171】
各アンタゴニストの投与は、眼科疾患または障害の処置または予防のために有効なアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、VEGFアンタゴニスト、及び/または抗C5剤の量を結果もたらす任意の好適な手法によってよい。各アンタゴニストは、例えば好適な担体物質と混合されることができ、一般に組成物の総重量の1~95重量%の量で存在する。組成物は、眼、経口、非経口(例えば静脈内、筋肉内、皮下)、直腸、経皮、経鼻、または吸入投与に好適な投与形態で提供され得る。一実施形態では、組成物は、眼に直接注射するのに好適な形態である。組成物は、例えば、錠剤、カプセル、丸剤、粉末、顆粒、懸濁液、乳剤、溶液、ヒドロゲルを含むゲル、ペースト、軟膏、クリー
ム、硬膏、供給送達装置、坐薬、浣腸、注射剤、移植片、スプレー、点滴またはエアロゾルの形態であり得る。1つまたは複数のアンタゴニストを含む医薬組成物は、従来の製薬慣例に従って製剤化され得る(例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,(第20版)A.R.Gennaro編,2000,Lippincott Williams & Wilkins,ペンシルべニア州フィラデルフィア及びEncyclopedia of Pharmaceutical Technology,J.Swarbrick and J.C.Boylan編,1988-2002,Marcel Dekker,ニューヨークを参照)。
【0172】
本発明の組成物は、1つの有用な態様において、非経口的に(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、眼内、硝子体内、眼球後、結膜下、眼球鞘下または皮下注射またはインプラントによって)または全身に投与される。非経口または全身投与用の製剤は、無菌の水性もしくは非水性溶液、懸濁液、または乳剤を含む。種々の水性担体、例えば、水、緩衝水、生理食塩水、及び同類のものを使用することができる。他の好適なビヒクルの例としては、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、ゼラチン、ヒドロゲル、水素添加されたナファレン(naphalene)、及びオレイン酸エチル等の注射可能な有機エステルが挙げられる。かかる製剤はまた、防腐剤、湿潤剤、緩衝剤、乳化剤、及び/または分散剤等の補助物質を含有してもよい。生体適合性、生分解性のラクチドポリマー、ラクチド/グリコリドコポリマー、またはポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマーが、有効成分の放出を制御するために使用されてもよい。
【0173】
あるいは、組成物は、経口摂取によって投与されることができる。経口用途を意図する組成物は、医薬組成物の製造のための当技術分野で公知の任意の方法に従って、固体または液体形態で調製されることができる。
【0174】
経口投与のための固体投与形態は、カプセル、錠剤、丸剤、粉末及び顆粒を含む。一般に、これらの医薬製剤は、非毒性の医薬的に許容され得る賦形剤と混合した有効成分を含有する。これらは、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、セルロース、デンプン、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウム、カオリン等のような不活性希釈剤を含み得る。結合剤、緩衝剤及び/または潤滑剤(例えばステアリン酸マグネシウム)も使用され得る。錠剤及び丸剤は、付加的に腸溶剤皮と共に製剤することができる。組成物は、場合によって、より口当たりのよい製剤を提供するために甘味料、香味料、着色料、香料及び防腐剤を含み得る。
【0175】
眼用途に有用な組成物は、医薬的に許容され得る賦形剤と混合した1つまたは複数のアンタゴニストを含む錠剤を含む。これらの賦形剤は、例えば不活性希釈剤または充填剤(例えば、スクロース及びソルビトール)、潤滑剤、流動促進剤及び接着防止剤(例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、シリカ、硬化植物油または滑石)であり得る。
【0176】
本発明のアンタゴニストは、錠剤または他のビヒクル中で一緒に混合され得るか、または分配され得る。一例では、第一アンタゴニストは錠剤の内側に含まれ、第二アンタゴニストは、第一アンタゴニストの放出の前に第二アンタゴニストの実質的な部分が放出されるように外側に存在する。所望する場合は、薬剤送達装置(以下参照)を使用して錠剤形態のアンタゴニストを投与し得る。
【0177】
例えば、本発明の組成物は、眼への硝子体内注射並びに結膜下及びトノン嚢下注射によって眼内投与され得る。他の投与経路は、経強膜、眼球後、腹腔内、筋肉内及び静脈内を含む。あるいは、薬剤送達装置または眼内移植(以下参照)を用いて組成物を投与するこ
とができる。
【0178】
一実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩またはVEGFアンタゴニスト(例えば、ラニビズマブ、ベバシズマブ、アフリベルセプト、ペガプタニブナトリウム、またはESBA1008)は、30ゲージまたは27ゲージの針を用いて硝子体投与される。いくつかの実施形態では、0.5インチの針を使用する。一実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩は、30ゲージの0.5インチの針を用いて硝子体投与され、VEGFアンタゴニスト(例えば、ラニビズマブ、ベバシズマブ、アフリベルセプト、ペガプタニブナトリウム、またはESBA1008)は、27ゲージの針を用いて硝子体投与される。いくつかの実施形態では、50μL(0.05mL中に1.5mg)のアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩は、30ゲージの0.5インチの針を用いて硝子体投与され、50μLのVEGFアンタゴニスト(例えば、0.5mgのラニビズマブ、1.25mgのベバシズマブ(bevacizuamb)、または2.0mgのアフリベルセプト)は、27ゲージの針を用いて硝子体投与される。
【0179】
経口投与のための液体投与形態は、医薬的に許容される乳剤、溶液、懸濁液、シロップ及び軟ゼラチンカプセルを含むことができる。これらの形態は、水及び油性媒質などの当該分野で一般的に使用される不活性希釈剤を含み、湿潤剤、乳化剤及び懸濁化剤などの補助剤も含むことができる。
【0180】
一部の場合には、組成物はまた、例えばパッチによって、または新生血管疾患に罹患しやすいまたは罹患している、表皮または眼などの領域への直接適用によって、またはイオン導入によって、局所的に投与されることができる。
【0181】
一実施形態では、組成物は、1つまたは複数の医薬的に許容され得る賦形剤を含むことができる。一実施形態では、アンタゴニストを含む組成物用の賦形剤は、緩衝剤、非イオン界面活性剤、防腐剤、等張化剤、糖、アミノ酸、及びpH調整剤を含むが、これに限定されない。好適な緩衝剤は、一塩基性リン酸ナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウム、及びナトリウム酢酸塩を含むが、これに限定されない。好適な非イオン界面活性剤は、ポリソルベート20及びポリソルベート80などのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが挙げられるが、これに限定されない。好適な防腐剤は、ベンジルアルコールを含むが、これに限定されない。好適な等張化剤は、塩化ナトリウム、マンニトール、及びソルビトールを含むが、これに限定されない。好適な糖は、α,αトレハロースを含むが、これに限定されない。好適なアミノ酸は、グリシン及びヒスチジンを含むが、これに限定されない。好適なpH調整剤は、塩酸、酢酸、及び水酸化ナトリウムを含むが、これに限定されない。一実施形態では、pH調整剤または薬剤は、約3~約8、約4~約7、約5~約6、約6~約7、または約7~約7.5のpHを提供するのに有効な量で存在する。一実施形態では、組成物は防腐剤を含まない。別の実施形態では、組成物は抗菌薬を含まない。別の実施形態では、組成物は、静菌薬を含まない。VEGFアンタゴニストについての好適な賦形剤は、その内容がその全体において参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,365,166号に記載のものも含む。
【0182】
一実施形態では、組成物は、注射に好適な水溶液の形態である。一実施形態では、組成物は、注射に好適な水溶液の形態である。一実施形態では、組成物は、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、緩衝剤、pH調整剤、及び注射用の水を含む。別の実施形態では、組成物は、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、一塩基性リン酸ナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩酸、及び水酸化ナトリウムを含む。
【0183】
一実施形態では、組成物は、VEGFアンタゴニスト、緩衝剤、糖、非イオン界面活性剤、及び注射用の水を含む。別の実施形態では、組成物は、VEGFアンタゴニスト、一塩基性リン酸ナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウム、α,α-トレハロース二水和物、及びポリソルベート20を含む。一実施形態では、組成物は、VEGFアンタゴニスト、緩衝剤、pH調整剤、等張化剤、及び注射に好適な水を含む。別の実施形態では、組成物は、VEGFアンタゴニスト、一塩基性リン酸ナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩酸、及び水酸化ナトリウムを含む。一実施形態では、VEGFアンタゴニストは、PEG化された抗VEGFアプタマー、例えば、ペガプタニブナトリウムである。
【0184】
別の実施形態では、VEGFアンタゴニストは、ラニビズマブ、ベバシズマブ、アフリベルセプトまたはESBA1008である。本発明は、アンタゴニストの医薬的に許容され得る塩を提供する。本発明のアンタゴニストは、医薬的に許容され得る塩を形成するために、任意の数の無機酸及び有機酸と反応することができる、十分な塩基性官能基を有することができる。医薬的に許容され得る酸付加塩は、当該分野で公知の医薬的に許容され得る酸から形成される。かかる塩は、その全体において参照により本明細書に組み込まれる、Journal of Pharmaceutical Science,66,2-19(1977)及びThe Handbook of Pharmaceutical salts;Properties,Selection,and Use.P.H.Stahl and C.G.Wermuth(ED.s),Verlag,Zurich(Switzerland)2002に列挙される医薬的に許容され得る塩を含む。
【0185】
医薬的に許容され得る塩の例としては、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチネート、乳酸塩、サリチル酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチジン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカロン酸塩、糖酸塩、蟻酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、樟脳スルホン酸塩、パモ酸塩、酢酸フェニル、トリフルオロ酢酸塩、アクリル酸塩、クロロ安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、o-アセトキシ安息香酸塩、ナフタレン-2-安息香酸塩、イソ酪酸塩、フェニル酪酸塩、α-ヒドロキシ酪酸塩、ブチン-1,4-ジカルボン酸塩、ヘキシン-1,4-ジカルボン酸塩、カプリン酸塩、カプリル酸塩、桂皮酸塩、グリコール酸塩、ヘプタン酸塩、ヒプル酸塩、リンゴ酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩(hydroxymaleate)、マロン酸塩、マンデル酸、メシル酸塩、ニコチン酸塩、フタル酸塩、テラフタレート、プロピオル酸塩、プロピオン酸塩、フェニルプロピオン酸塩、セバシン酸塩、スベリン酸塩、p-ブロモベンゼンスルホン酸塩、クロロベンゼンスルホン酸塩、エチルスルホン酸塩、2-ヒドロキシエチルスルホン酸塩、メチルスルホン酸塩、ナフタレン-1-スルホン酸塩、ナフタレン-2-スルホン酸塩、ナフタレン-1,5-スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、及び酒石酸塩が挙げられる。用語「医薬的に許容され得る塩」は、本発明の化合物の水和物を含み、カルボン酸官能基などまたはリン酸水素官能基などの酸性官能基、及び塩基を有する本発明のアンタゴニストの塩を指す。好適な塩基としては、ナトリウム、カリウム、及びリチウムなどのアルカリ金属の水酸化物;カルシウム及びマグネシウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物;アルミニウム及び亜鉛などの他の金属の水酸化物;アンモニア、及び有機アミン、例えば、非置換またはヒドロキシ置換のモノ-、ジ-、またはトリ-アルキルアミン、ジシクロヘキシルアミン;トリブチルアミン;ピリジン;N-メチル、N-エチルアミン;ジエチルアミン;トリエチルアミン;モノ-、ビス-、またはトリス-(2-OH-低級アルキルアミン)、例えば、モノ-、ビス-、またはトリス-(2-ヒドロキシエチル)アミン、2-ヒドロキシ-tert-ブチルアミン、またはトリス-(ヒドロキシメチル)メチルアミンな
ど、N,N-ジ-低級アルキル-N-(ヒドロキシル-低級アルキル)-アミン、例えば、N,N-ジメチル-N-(2-ヒドロキシエチル)アミンまたはトリ-(2-ヒドロキシエチル)アミンなど;N-メチル-D-グルカミン;及びアミノ酸、例えば、アルギニン、リシンなどが挙げられるが、これに限定されない。一実施形態では、医薬的に許容され得る塩はナトリウム塩である。別の実施形態では、医薬的に許容され得る塩はペルナトリウム塩である。
【0186】
本発明は、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩を含むをさらに提供する。一実施形態では、本発明の組成物は、約1mLあたり、約30.0mgのアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、約0.3mgの一塩基性リン酸ナトリウム一水和物、約2.1mgの二塩基性リン酸ナトリウム七水和物及び約9.0mgの塩化ナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、塩酸及び/または水酸化ナトリウムは、組成物のpHを調整するために必要に応じて存在する。いくつかの実施形態では、pHは、約pH5.5から約pH7.5または約pH6.0である。
【0187】
いくつかの実施形態では、組成物は、約3%(w/v)のアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、約0.03%(w/v)の一塩基性リン酸ナトリウム一水和物、約0.2%(w/v)の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物、約0.9%(w/v)の塩化ナトリウム及び約95.9%(w/v)の水を含む。いくつかの実施形態では、塩酸及び/または水酸化ナトリウムは、組成物のpHを調整するために必要に応じて存在する。いくつかの実施形態では、pHは、約pH5.5から約pH7.5または約pH6.0である。
【0188】
ある特定の実施形態では、組成物中のアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、VEGFアンタゴニスト(例えば、ラニビズマブ、ベバシズマブ、アフリベルセプト、ESBA1008またはペガプタニブナトリウム)、及び/または抗C5剤(例えば、ARC1905またはその医薬的に許容され得る塩)の濃度は、約0.002mg/mLから約50mg/mLである。いくつかの実施形態では、組成物中のアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、VEGFアンタゴニスト(例えば、ラニビズマブ、ベバシズマブ、アフリベルセプト、ESBA1008またはペガプタニブナトリウム)、及び/または抗C5剤(例えば、ARC1905またはその医薬的に許容され得る塩)の濃度は、約100mg/mL以下、約50mg/mL未満、約40mg/mL未満、約30mg/mL未満、約25mg/mL未満、約20mg/mL未満、約15mg/mL未満、約10mg/mL未満、または約5mg/mL未満である。ある特定の実施形態では、組成物中のアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、VEGFアンタゴニスト(例えば、ラニビズマブ、ベバシズマブ、アフリベルセプト、ESBA1008またはペガプタニブナトリウム)、及び/または抗C5剤(例えば、ARC1905またはその医薬的に許容され得る塩)の濃度は、約0.3mg/mLから約100mg/mL、約0.3mg/mLから約50mg/mL、約0.3mg/mLから約40mg/mL、約0.3mg/mLから約30mg/mL、約0.3から約25mg/mL、約0.3mg/mLから約20mg/mL、約0.3mg/mLから約15mg/mL、約0.3mg/mLから約10mg/mL、約1mg/mLから約100mg/mL、約1mg/mLから約50mg/mL、約1mg/mLから約40mg/mL、約1mg/mLから約30mg/mL、約1mg/mLから約25mg/mL、約1mg/mLから約20mg/mL、約1mg/mLから約15mg/mL、約1mg/mLから約10mg/mL、約1mg/mLから約5mg/mL、約5mg/mLから約100mg/mL、または約5mg/mLから約50mg/mLである。
【0189】
ある特定の実施形態では、本発明の方法は、アンタゴニストA及び、任意選択的にVEGFアンタゴニスト及び抗C5剤の一方または両方を医薬組成物の成分として投与するこ
とを含む。一実施形態では、本発明は、有効量の:(a)アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩;及び(b)VEGFアンタゴニストまたはその医薬的に許容され得る塩を含む組成物を提供する。ある特定の実施形態では、組成物は、有効量の抗C5剤またはその医薬的に許容され得る塩をさらに含む。いくつかの実施形態では、組成物は、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、VEGFアンタゴニスト、及び抗C5剤の1つまたは複数を安定化させる。ある特定の実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、VEGFアンタゴニスト及び/または抗C5剤は、組成物中に存在する他の活性剤の活性に悪影響を与えない。特定の実施形態では、組成物中の1つまたは複数の活性剤、例えば、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、VEGFアンタゴニスト、または抗C5剤、の少なくとも約90%は、組成物が約2.0℃から約8.0℃の温度で少なくとも約12週間保管されたときに、化学的に安定である。
【0190】
特定の実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、VEGFアンタゴニストまたは抗C5剤は、新しい化学成分の形成をもたらす分解または修飾のサインを示さないときに、化学的に安定である。特定の実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、VEGFアンタゴニストまたは抗C5剤は、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、VEGFアンタゴニストまたは抗C5剤の少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも(at least)約95%、または少なくとも約99%が新しい化学成分の形成をもたらす分解または修飾のサインを示さないとき、例えば、約2.0℃から約8.0℃の温度に少なくとも約12週間保管された時に、化学的に安定である。
【0191】
ある特定の実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩は、VEGFアンタゴニスト(例えば、ラニビズマブ、ベバシズマブ、アフリベルセプト、ペガプタニブナトリウム、またはESBA1008)またはARC1905またはその医薬的に許容され得る塩の活性に悪影響を与えない。ある特定の実施形態では、VEGFアンタゴニスト(例えば、ラニビズマブ、ベバシズマブ、アフリベルセプト、ペガプタニブナトリウム、またはESBA1008)は、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、またはARC1905またはその医薬的に許容され得る塩の活性に悪影響を与えない。ある特定の実施形態では、ARC1905またはその医薬的に許容され得る塩は、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、またはVEGFアンタゴニスト(例えば、ラニビズマブ、ベバシズマブ、アフリベルセプト、ペガプタニブナトリウム、またはESBA1008)の活性に悪影響を与えない。
【0192】
特定の実施形態では、組成物は、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩;及びラニビズマブ、ベバシズマブ、アフリベルセプト、ペガプタニブナトリウムまたはESBA1008、またはその医薬的に許容され得る塩を含み、組成物は、両方の活性剤に関して特定のpHで物理的にまたは化学的に安定であるかまたは非経口投与に好適である。特定の実施形態では、組成物は、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩;ラニビズマブ、ベバシズマブ、アフリベルセプト、ペガプタニブナトリウムまたはESBA1008またはその医薬的に許容され得る塩;及びARC1905またはその医薬的に許容され得る塩を含み、組成物は、全ての活性剤に関して特定のpHで物理的にまたは化学的に安定であるかまたは非経口投与に好適である。特定の実施形態では、組成物は、組成物中に存在する全ての活性剤、つまり、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、VEGFアンタゴニスト、及び抗C5剤(存在する場合)の少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%が、色または透明性の目視検査の際に、または、紫外線光散乱によってまたはサイズ排除クロマトグラフィー
(SEC)または示差走査熱量測定(DSC)によって測定されたときに、凝集、沈殿または変性のサインを示さない場合に、物理的に安定である。
【0193】
特定の実施形態では、本発明の組成物は、(788)Particulate Matter in Injections,Revised Bulletin,Official 2011年10月1日、米国薬局方協会に記載の光遮蔽粒子計数法によって測定された、保管後の検出された粒子の平均数が約50粒子/mLを超えず、ここで粒子の直径は>約10μmである、及び5粒子/mLを超えず、ここで粒子の直径は>25μmである場合に物理的に安定だと考えられる。
【0194】
特定の実施形態では、組成物は、(788)Particulate Matter in Injections,Revised Bulletin,Official 2011年10月1日、米国薬局方協会に記載の顕微鏡粒子計数法によって測定された、保管後の検出された粒子の平均数が、50粒子/mLを超えず、ここで粒子の直径は>約10μmである;5粒子/mLを超えず、ここで粒子の直径は>25μmである;2粒子/mLを超えず、ここで粒子の直径は>50μmである場合に物理的に安定だと考えられる。
【0195】
特定の実施形態では、組成物は、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、VEGFアンタゴニスト(例えば、ラニビズマブ、ベバシズマブ、アフリベルセプト、ESBA1008またはペガプタニブナトリウム)及び、任意選択的に、抗C5剤(例えば、ARC1905またはその医薬的に許容され得る塩)を含み、25℃で少なくとも8週間または少なくとも12週間または4℃で少なくとも12週間または少なくとも16週間または少なくとも24週間、化学的に安定である。特定の実施形態では、それぞれのアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、VEGFアンタゴニスト、及び抗C5剤(存在する場合)の少なくとも80%は、これらの条件の少なくとも一つの下で新しい化学成分の形成をもたらす分解または修飾のサインを示さない。
【0196】
特定の実施形態では、組成物は、以下を含む:(1)アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩;(2)VEGFアンタゴニスト;任意選択的に、(3)抗C5剤;(4)緩衝剤;任意選択的に、(5)浸透張力調節剤;及び、任意選択的に、(6)界面活性剤。かかる組成物の特定の実施形態では、緩衝剤は、酢酸塩、リン酸塩、トリスまたはヒスチジン緩衝剤、またはそれらの混合物である;浸透張力調節剤は、塩化ナトリウム、マンニトール、ソルビトール、またはトレハロース、またはそれらの混合物である;界面活性剤は、ポリソルベート20である。種々の実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩は、本発明の組成物中に、約0.1mg/mLから約200mg/mLの濃度で存在する;VEGFアンタゴニストは約0.1mg/mLから約200mg/mLの濃度で存在する。存在する場合、抗C5剤は約0.1mg/mLから約200mg/mLの濃度で存在する。緩衝剤は、約1mMから約200mMの濃度で存在する;浸透張力調節剤は、約10mMから約200mM(塩化ナトリウム)、約1%から約10%(w/v)(ソルビトール)、または約1%から約20%(w/v)(トレハロース)の濃度で存在する;界面活性剤は、存在する場合、約0.005%から約0.05%の濃度または約0.001%から約0.05%の濃度で存在する。
【0197】
特定の実施形態では、組成物中に存在する、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩の濃度(組成物の、そのR基/体積のそれを減じたアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩の質量)対VEGFアンタゴニスト(例えば、ラニビズマブ、ベバシズマブ、アフリベルセプト、ペガプタニブナトリウム、またはESBA1008)、ARC1905、またはその医薬的に許容され得る塩の濃度(組成物の質量/体積)の比率は、25.0未満、または以下、10.0未満、または以下、9.0未満、
または以下、8.0未満、または以下、7.0未満、または以下、6.0未満、または以下、5.0未満、または以下、4.0未満、または以下、3.0未満、または以下、2.0または未満、または以下、1.0未満、または以下である。アンタゴニストAのR基を図1に示す。特定の実施形態では、組成物中に存在する、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩の濃度(組成物の、そのR基/体積のそれを減じたアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩の質量)対VEGFアンタゴニスト(例えば、ラニビズマブ、ベバシズマブ、アフリベルセプト、ペガプタニブナトリウム、またはESBA1008)、ARC1905、またはその医薬的に許容され得る塩、の濃度(組成物の質量/体積)の比率は、約1から約10、約2から約5、約3、約4、または約5の範囲である。ある特定の実施形態では、組成物は、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、VEGFアンタゴニスト(例えば、ラニビズマブ、ベバシズマブ、アフリベルセプト、ペガプタニブナトリウム、またはESBA1008)、及びARC1905またはその医薬的に許容され得る塩を含む。
【0198】
一特定の実施形態では、組成物は、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、VEGFアンタゴニスト(例えば、ラニビズマブ、ベバシズマブ、アフリベルセプト、ESBA1008、またはペガプタニブナトリウム)、及び、任意選択的に、抗C5剤(例えば、ARC1905またはその医薬的に許容され得る塩)を含み、PDGFアンタゴニストの濃度対VEGFアンタゴニスト(及び/または抗C5剤)の濃度の比率は2未満であり;組成物は塩化ナトリウムを約10mMから約200mMの濃度で、ヒスチジンを約1mMから約100mMの濃度で、及びポリソルベート(例えば、ポリソルベート20)を約0.005%から約0.05%の濃度でさらに含み、ここで組成物のpHは約5.5から約7.0である。
【0199】
ある特定の実施形態では、組成物は、浸透張力調節剤、界面活性剤、及び特定のpHを達成するまたは維持するために好適であるかまたは非経口投与に好適な緩衝剤の1つまたは複数を含む。適切な緩衝剤は、本明細書に記載のもの、ならびに例えば、グッドバッファー、例えば、MESなどの当該分野で公知の他のものを含む。
【0200】
ある特定の実施形態では、組成物は、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、VEGFアンタゴニスト(例えば、ラニビズマブ、ベバシズマブ、アフリベルセプト、ESBA1008またはペガプタニブナトリウム)、及びソルビトールまたは塩化ナトリウム、またはその混合物である浸透張力調節剤を含む。ある特定の実施形態では、組成物は、抗C5剤(例えば、ARC1905またはその医薬的に許容され得る塩)をさらに含む。特定の実施形態では、浸透張力調節剤は、ソルビトールであり、組成物のpHは約5.0から約8.0、約5.0から約7.0、約6.0または約7.0である。特定の実施形態では、浸透張力調節剤は塩化ナトリウムであり、組成物のpHは約5.0から約8.0、約5.0から約7.0、約5.5から約7.5、約6.0から約8.0、約8.0、約7.0、または約6.0である。ある特定の実施形態では、浸透張力調節剤は、約1%から約10%(w/v)、または約1%(w/v)、約2%(w/v)、約3%(w/v)、約4%(w/v)、約5%(w/v)、約6%(w/v)、約7%)(w/v)、約8%(w/v)、約9%(w/v)、または約10%(w/v)のソルビトールである。特定の実施形態では、浸透張力調節剤は、約10mMから約200mM、約50mMから200mM、約75mMから約200mM、約50mMから約150mM、約100mM、約110mM、約120mM、約130mM、約140mMまたは約150mMの濃度の塩化ナトリウムである。一実施形態では、浸透張力調節剤は、約130mMの濃度の塩化ナトリウムである。他の実施形態では、浸透張力調節剤は、約75mMまたは約120mMの濃度の塩化ナトリウムである。浸透張力調節剤濃度に関して、「mM」は、浸透張力調節剤のミリモル(milimoles)/組成物のリットルを指す。
【0201】
ある特定の実施形態では、組成物は、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、VEGFアンタゴニスト(例えば、ラニビズマブ、ベバシズマブ、アフリベルセプト、ESBA1008またはペガプタニブナトリウム)、及び組成物のpHを所望の範囲内に達成するまたは維持することができる緩衝剤を含む。ある特定の実施形態では、組成物は、抗C5剤(例えば、ARC1905またはその医薬的に許容され得る塩)をさらに含む。ある特定の実施形態では、組成物は、ヒスチジン(例えば、L-ヒスチジンまたはその医薬的に許容され得る塩)または緩衝剤としてリン酸、例えば、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、または両方を含む。ある特定の実施形態では、緩衝剤は、約1mMから約200mM、約1mMから約150mM、約1mMから約20mM、約1mMから約10mM、約2mMから約100mM、約2mMから約20mM、約5mMから約20mM、または約10mMの濃度で存在する。特定の実施形態では、緩衝組成物のpHは、約5.0から約8.0、約5.0から約7.0、約5.5から約7.5、約5.5から約7.0、または約6.0である。一実施形態では、緩衝組成物は、約5.5から約7.0のpHを有する。ある特定の実施形態では、緩衝剤は、ヒスチジンを約1mMから約200mM、約1mMから約150mM、約2mMから約100mM、約5mMから約20mM、または約10mMの濃度で含み、緩衝組成物は、約5.5から約7.0、または約6.0のpHを有する。一特定の実施形態では、緩衝剤は、ヒスチジンを約10mMの濃度で含み、ヒスチジン緩衝組成物のpHは、約6.0である。緩衝剤濃度に関して、「mM」は、緩衝剤(例えば、ヒスチジン)のミリモル/組成物のリットルを指す。
【0202】
ある特定の実施形態では、組成物は、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、VEGFアンタゴニスト(例えば、ラニビズマブ、ベバシズマブ、アフリベルセプト、ESBA1008またはペガプタニブナトリウム)、及びリン酸を単独またはヒスチジンと組み合わせて含む緩衝剤を含む。ある特定の実施形態では、組成物は、抗C5剤(例えば、ARC1905またはその医薬的に許容され得る塩)をさらに含む。リン酸緩衝剤は、例えば、リン酸ナトリウムまたはリン酸カリウム緩衝剤であってよい。ある特定の実施形態では、緩衝剤は、リン酸を約1mMから約200mM、約1mMから約50mM、約2mMから約200mM、約2mMから約50mM、約5mMから約200mM、約5mMから約100mM、約5mMから約50mM、約10mMから約150mM、約10mMから約100mM、約5mM、約10mM、約25mM、または約50mMの濃度で含む。特定の実施形態では、緩衝組成物のpHは、約5.0から約8.0、約6.0から約8.0、約5.5から約7.5、約5.5から約7.0、約6.0、約7.0、または約8.0である。一実施形態では、緩衝剤はリン酸を含み、緩衝組成物は約6.0から約8.0のpHを有する。ある特定の実施形態では、緩衝剤は、リン酸を約5mMから約200mM、約5mMから約150mM、約5mMから約100mM、約5mM、約8mM、約10mM、約25mM、または約50mMの濃度で含み、緩衝組成物は約5.5から約7.5、約5.5から約7.0、または約6.0のpHを有する。一特定の実施形態では、緩衝剤は、リン酸を約10mMの濃度で含み、緩衝組成物は約6.2のpHを有する。
【0203】
ある特定の実施形態では、組成物は、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、VEGFアンタゴニスト(例えば、ラニビズマブ、ベバシズマブ、アフリベルセプト、ESBA1008またはペガプタニブナトリウム)、及び界面活性剤を含む。ある特定の実施形態では、組成物は、抗C5剤(例えば、ARC1905またはその医薬的に許容され得る塩)をさらに含む。特定の実施形態では、界面活性剤は、約0.001%(w/v)から約0.05%(w/v)、約0.002%(w/v)から約0.05%(w/v)、約0.005%(w/v)から約0.05%(w/v)、約0.01%(w/v)から約0.05%(w/v)、または約0.02%(w/v)の濃度のポリソルベート20である。
【0204】
一実施形態では、組成物は、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、VEGFアンタゴニスト(例えば、ラニビズマブ、ベバシズマブ、アフリベルセプト、ESBA1008またはペガプタニブナトリウム)、ヒスチジン、及びNaClを含む。ある特定の実施形態では、組成物は、抗C5剤(例えば、ARC1905またはその医薬的に許容され得る塩)をさらに含む。組成物はポリソルベートをさらに含んでよい。
【0205】
ある特定の実施形態では、組成物は、有効量の:(a)約0.3mg/mLから約30mg/mLのアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩;(b)約0.5mg/mLから約20mg/mLのVEGFアンタゴニスト(例えば、ラニビズマブ、ベバシズマブ、アフリベルセプト、ESBA1008またはペガプタニブナトリウム);及び(c)組成物のpHを約pH5.0から約pH8.0に達成するまたは維持することができる緩衝剤;及び(d)浸透張力調節剤の一方または両方を含む。ある特定の実施形態では、組成物は、(e)約0.3mg/mLから約30mg/mLの抗C5剤(例えば、ARC1905またはその医薬的に許容され得る塩)をさらに含む。ある特定の実施形態では、緩衝剤は、約1mMから約20mMのL-ヒスチジンまたは約1mMから約20mMのリン酸ナトリウムであり、浸透張力調節剤は約10mMから約200mMのNaCl、約1%から約20%(w/v)ソルビトール、または約1%から約20%(w/v)トレハロースである。特定の実施形態では、組成物は、(f)約0.001%(w/v)から約0.05%(w/v)界面活性剤をさらに含む。
【0206】
ある特定の実施形態では、組成物は、(a)約0.3mg/mLから約30mg/mLのアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩;及び(b)約0.5mg/mLから約20mg/mLのVEGFアンタゴニスト(例えば、ラニビズマブ、ベバシズマブ、アフリベルセプト、ESBA1008またはペガプタニブナトリウム)を含む。ある特定の実施形態では、組成物は、(c)約0.3mg/mLから約30mg/mLの抗C5剤(例えば、ARC1905またはその医薬的に許容され得る塩)をさらに含む。ある特定の実施形態では、任意のこれらの組成物は、(d)約1mMから約20mMのL-ヒスチジン;及び(e)約10mMから約200mMのNaClの一方または両方をさらに含む。さらなる実施形態では、組成物は、(f)約0.001%(w/v)から約0.05%(w/v)界面活性剤(任意選択的にポリソルベートである)をさらに含む。特定の実施形態では、組成物は、(a)約0.3mg/mLから約30mg/mLのアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩;(b)約0.5mg/mLから約20mg/mLのVEGFアンタゴニスト(例えば、ラニビズマブ、ベバシズマブ、アフリベルセプト、ESBA1008またはペガプタニブナトリウム);(c)約1mMから約20mMのL-ヒスチジン;及び(d)約10mMから約200mMのNaClを含み、ここで組成物のpHは約pH5.0から約pH7.0である。ある特定の実施形態では、組成物は、(e)約0.3mg/mLから約30mg/mLの抗C5剤(例えば、ARC1905またはその医薬的に許容され得る塩)をさらに含む。ある特定の実施形態では、組成物は、(f)約0.01%(w/v)ポリソルベート20をさらに含む。
【0207】
ある特定の実施形態では、組成物は、(a)約1.0mg/mLから約100mg/mL、または約5.0mg/mLから約50mg/mLのアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩;及び(b)約1.0mg/mLから約50mg/mLのVEGFアンタゴニスト(例えば、ラニビズマブ、ベバシズマブ、アフリベルセプト、ESBA1008またはペガプタニブナトリウム)を含む。ある特定の実施形態では、組成物は(c)約1.0mg/mLから約100mg/mLの抗C5剤(例えば、ARC1905またはその医薬的に許容され得る塩)をさらに含む。他の実施形態では、任意の組成物は(d)約1mMから約20mMのL-ヒスチジン;及び(e)約10mMから約200mMのNaClの一方または両方をさらに含む。さらなる実施形態では、任意の組成物は、(f)約0.001%(w/v)から約0.05%(w/v)界面活性剤(任意選択的にポ
リソルベートである)をさらに含む。
【0208】
ある特定の実施形態では、組成物は、(a)約0.3mg/mLから約30mg/mLのアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩;(b)約0.5mg/mLから約20mg/mLのVEGFアンタゴニスト(例えば、ラニビズマブ、ベバシズマブ、アフリベルセプト、ESBA1008またはペガプタニブナトリウム);及び(c)組成物のpHを約pH5.0から約pH8.0に達成または維持することができる緩衝剤;及び(d)浸透張力調節剤の一方または両方を含む。ある特定の実施形態では、組成物は、約0.3mg/mLから約30mg/mLの抗C5剤(例えば、ARC1905またはその医薬的に許容され得る塩)をさらに含む。特定の実施形態では、緩衝剤は、存在する場合、約1mMから約20mMのL-ヒスチジンまたは約1mMから約20mMのリン酸ナトリウムであり;浸透張力調節剤は、存在する場合、約10mMから約200mMのNaCl、約1%から約20%(w/v)ソルビトール、または約1%から約20%(w/v)トレハロースである。ある特定の実施形態では、緩衝剤は、約1mMから約20mMのL-ヒスチジンであり;浸透張力調節剤は、約10mMから約200mMのNaClであり、ここで組成物のpHは約pH5.0から約pH7.0である。
【0209】
任意の組成物は、界面活性剤、例えば、約0.001%(w/v)から約0.05%(w/v)界面活性剤も含むことができる。
【0210】
ある特定の実施形態では、組成物は、(a)約3mg/mLから約90mg/mLのアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩;(b)約1.0mg/mLから約30mg/mLのVEGFアンタゴニスト(例えば、ラニビズマブ、ベバシズマブ、アフリベルセプト、ESBA1008またはペガプタニブナトリウム);及び(c)組成物のpHを約pH5.0から約pH8.0に達成または維持することができる緩衝剤;及び(d)浸透張力調節剤の一方または両方を含む。ある特定の実施形態では、任意の組成物は、(e)約3mg/mLから約90mg/mLの抗C5剤(例えば、ARC1905またはその医薬的に許容され得る塩)をさらに含む。特定の実施形態では、緩衝剤は、存在する場合、約1mMから約100mMのリン酸ナトリウムまたは約1.0mMから約10mMのヒスチジン.HClを含み;浸透張力調節剤は、存在する場合、約0.5%(w/v)から約10%(w/v)トレハロースである。
【0211】
ある特定の実施形態では、本発明の組成物は、(a)約0.3mg/mLから約30mg/mLのアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩;(b)約0.5mg/mLから約20mg/mLのラニビズマブまたはその医薬的に許容され得る塩;及び(c)組成物のpHを約pH5.0から約pH8.0に達成または維持することができる緩衝剤;及び(d)浸透張力調節剤の一方または両方を含む。ある特定の実施形態では、緩衝剤は、約1mMから約20mMのL-ヒスチジンまたは約1mMから約20mMのリン酸ナトリウムであり、浸透張力調節剤は、約10mMから約200mMのNaCl、約1%から約20%(w/v)ソルビトール、または約1%から約20%(w/v)トレハロースである。特定の実施形態では、本発明の組成物は、(e)約0.001%(w/v)から約0.05%(w/v)界面活性剤をさらに含む。特定の実施形態では、組成物は、(f)抗C5剤、別のPDGFアンタゴニスト、または別のVEGFアンタゴニストをさらに含む。特定の実施形態では、抗C5剤は、ARC186、ARC187、またはARC1905であり、他方のVEGFアンタゴニストはベバシズマブまたはアフリベルセプトである。
【0212】
ある特定の実施形態では、本発明の組成物は、(a)約0.3mg/mLから約30mg/mLのアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩;及び(b)約0.5mg/mLから約25mg/mLのベバシズマブまたはその医薬的に許容され得る塩;
及び:(c)組成物のpHを約pH5.0から約pH8.0に達成または維持することができる緩衝剤;及び(d)浸透張力調節剤の一方または両方を含む。ある特定の実施形態では、緩衝剤は約5mMから約200mMのリン酸ナトリウムまたは約5mMから約200mMのTris.HClであり、浸透張力調節剤は、約10mMから約200mMのNaCl、約1%から約20%(w/v)ソルビトール、または約1%から約20%(w/v)トレハロースである。特定の実施形態では、本発明の組成物は、(e)約0.001%(w/v)から約0.05%(w/v)界面活性剤をさらに含む。特定の実施形態では、組成物は、(f)抗C5剤、別のPDGFアンタゴニスト、及び/または別のVEGFアンタゴニストをさらに含む。特定の実施形態では、抗C5剤は、ARC186、ARC187、またはARC1905であり、他方のVEGFアンタゴニストはラニビズマブまたはアフリベルセプトである。
【0213】
ある特定の実施形態では、本発明の組成物は、(a)約0.3mg/mLから約30mg/mLのアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩;(b)約5mg/mLから約40mg/mLのアフリベルセプトまたはその医薬的に許容され得る塩;及び、(c)組成物のpHを約pH5.0から約pH8.0に達成または維持することができる緩衝剤;(d)浸透張力調節剤;及び(e)0から約10%(w/v)スクロースの1つまたは複数を含む。ある特定の実施形態では、緩衝剤は約5mMから約50mMのリン酸塩であり、浸透張力調節剤は約10mMから約200mMのNaClである。特定の実施形態では、本発明の組成物は、(f)約0.001%(w/v)から約0.05%(w/v)界面活性剤をさらに含む。特定の実施形態では、組成物は、(g)抗C5剤、別のPDGFアンタゴニスト、及び/または別のVEGFアンタゴニストをさらに含む。特定の実施形態では、抗C5剤は、ARC186、ARC187、またはARC1905であり、他方のVEGFアンタゴニストはラニビズマブまたはベバシズマブである。
【0214】
ある特定の実施形態では、本発明の組成物は、(a)約3mg/mLから約90mg/mLのアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩;(b)約1.0mg/mLから約30mg/mLのラニビズマブまたはその医薬的に許容され得る塩;及び、(c)組成物のpHを約pH5.0から約pH8.0に達成または維持することができる緩衝剤;及び(d)浸透張力調節剤の一方または両方を含む。ある特定の実施形態では、緩衝剤は、約1mMから約100mMのリン酸ナトリウムまたは約1.0mMから約10mMのヒスチジ.HClを含み、浸透張力調節剤は約0.5%(w/v)から約10%(w/v)トレハロースである。特定の実施形態では、組成物は、(e)抗C5剤、別のPDGFアンタゴニスト、及び/または別のVEGFアンタゴニストをさらに含む。特定の実施形態では、抗C5剤は、ARC186、ARC187、またはARC1905であり、他方のVEGFアンタゴニストはベバシズマブまたはアフリベルセプトである。
【0215】
例示的な組成物は、表3及び4に記載のようにF1~F31を含む。例示的な組成物は、PCT出願公開WO2013/181495にも記載されている。任意のこれらの組成物は、抗C5剤、例えばARC1905またはその医薬的に許容され得る塩をさらに含み得る。
【0216】
【表2】
【0217】
【表3】
【0218】
投与及び投与量
【0219】
本発明にかかる方法及び組成物は、単独でまたは別の治療法と合わせて投与されることができ、家庭、医院、診療所、病院の外来、または病院で提供されることができる。医者が治療の効果を密接に観察し、必要とされる任意の調整を行うことができるように、処置は病院で開始することができる。投与の期間は、処置または予防される眼科疾患または障害のタイプ、対象の年齢及び状態、対象の疾患または障害のステージ及びタイプ、及び対象が処置にどのように応答するかに応じることができる。さらに、眼科疾患または障害を発症する危険性のより高い対象(例えば、糖尿病患者)は、症状の発症を阻害または遅延させるために処置を受けることができる。一実施形態では、本発明の方法または組成物は比較的低用量の各アンタゴニストの投与を可能にする。
【0220】
各アンタゴニストの投与の投与量及び頻度は、独立して制御されることができる。例えば、1つのアンタゴニストは3回/日で投与されることができ、一方で他のアンタゴニストは1回/日で投与されることができる。投与は、対象の身体が副作用(もしあれば)から回復する機会を有するように休薬期間を含むオン/オフサイクルで行われることができる。アンタゴニストは同一組成物内に存在することもできる。
【0221】
他の実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及び任意選択的に、VEGFアンタゴニスト及び/または抗C5剤は、別の処置の前、最中及び/または後に投与される。一実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニスト及び/または抗C5剤は、他の処置の前、最中及び/または後に、例えば共製剤において、同時に投与される。他の実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニストは、他の処置の前、最中及び/または後に順次投与される。いくつかの実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩は、VEGFアンタゴニストの投与の前に投与される。他の実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩は、VEGFアンタゴニストの投与に続いて投与される。いくつかの実施形態では、他の処置は手術を行うことである。他の処置としては、気体網膜復位術、レーザー網膜復位、強膜バックリング術、及び経毛様体扁平部硝子体切除術(PPV)、レーザー光凝固術、または凍結療法が挙げられる。
【0222】
別の処置の実施を伴う本明細書に開示の組成物の投与は、他の処置を単独で行うより大きい程度に、網膜復位成功率を改善し、視力を改善し、脈絡膜新生血管を減少させ、または視覚を安定化させることができる。例えば、いくつかの実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩と別の処置の実施の両方の投与は、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩と他の処置の実施の相加効果より大きい程度に、網膜復位成功率を改善し、視力を改善し、または視覚を安定化させることができる。いくつかの実施形態では、相乗効果は、腫瘍のサイズまたは成長を減少させること(例えば、VHL疾患、網膜毛細血管性血管腫、またはフォン・ヒッペル血管腫を処置または予防すること)にある。いくつかの実施形態では、相乗効果は、瘢痕または線維症(例えば、網膜下線維症などの線維症の眼瘢痕)を減少させるまたは阻害することである。
【0223】
アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニストの両方の投与は、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩またはVEGFアンタゴニストの投与より大きい程度に、網膜復位成功率を改善し、視力を改善し、または視覚を安定化させることができる。いくつかの実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニストの投与は、眼科疾患または障害の処置または予防において相乗効果を有することができる。例えば、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニストの両方の投与は、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニスト
の両方の投与の相加効果より大きい程度に、網膜復位成功率を改善し、視力を改善し、または視覚を安定化させることができる。いくつかの実施形態では、相乗効果は、腫瘍のサイズまたは成長を減少させること(例えば、VHL疾患、網膜毛細血管性血管腫、またはフォン・ヒッペル血管腫を処置または予防すること)にある。いくつかの実施形態では、相乗効果は、瘢痕または線維症(例えば、網膜下線維症などの線維症の眼瘢痕)を減少させるまたは阻害することである。
【0224】
いくつかの実施形態では、本方法は、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、VEGFアンタゴニスト及び抗C5剤を投与することを含み、ここでアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、VEGFアンタゴニスト及び抗C5剤の2つ以上は、同一組成物内に存在する。ある特定の実施形態では、PDGFアンタゴニスト及びVEGFアンタゴニストは、同一組成物内に存在する;ある特定の実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及び抗C5剤は、同一組成物内に存在する;及びある特定の実施形態では、VEGFアンタゴニスト及び抗C5剤は、同一組成物内に存在する。いくつかの実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、VEGFアンタゴニスト及び抗C5剤の3つ全部が、同一組成物内に存在する。
【0225】
いくつかの実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、VEGFアンタゴニスト及び抗C5剤は順次投与される。一実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩は、VEGFアンタゴニストまたは抗C5剤の前に投与される。一実施形態では、VEGFアンタゴニストは、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩または抗C5剤の前に投与される。一実施形態では、抗C5剤は、VEGFアンタゴニストまたはアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩の前に投与される。一実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩は、VEGFアンタゴニスト及び抗C5剤の前に投与される。一実施形態では、VEGFアンタゴニストは、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及び抗C5剤(he-C5 agent)の前に投与される。一実施形態では、抗C5剤は、VEGFアンタゴニスト及びPDGFアンタゴニストの前に投与される。
【0226】
ある特定の実施形態では、対象は、2つ以上の活性剤(例えば、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニスト)を互い違いの投与計画にて投与され、ここで2つ以上の活性剤の1つまたは複数は、2つ以上の活性剤の別の1つまたは複数が対象に投与される前に投与される。
【0227】
ある特定の実施形態では、1つまたは複数の活性剤は、他の1つまたは複数の活性剤の少なくとも1日前に投与される。従って、いくつかの実施形態では、本発明の方法は、1つまたは複数の日に、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、1つまたは複数のVEGFアンタゴニストまたは1つまたは複数の抗C5剤を投与することを含む。
【0228】
一実施形態では、投与の順番は:アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、その後にVEGFアンタゴニスト、その後に抗C5剤である。別の実施形態では、投与の順番は:アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、その後に抗C5剤、その後にVEGFアンタゴニストである。別の実施形態では、投与の順番は:VEGFアンタゴニスト、その後に抗C5剤、その後にアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩である。別の実施形態では、投与の順番は:VEGFアンタゴニスト、その後にアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、その後に抗C5剤である。さらに別の実施形態では、投与の順番は:抗C5剤、その後にアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、その後にVEGFアンタゴニストである。別の
実施形態では、投与の順番は:抗C5剤、その後にVEGFアンタゴニスト、その後にPDGFアンタゴニストである。
【0229】
いくつかの実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニストは同時に投与され、抗C5剤はPDGFアンタゴニスト及びVEGFアンタゴニストの投与の前または後に投与される。いくつかの実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及び抗C5剤は同時に投与され、VEGFアンタゴニストはアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニストの投与の前または後に投与される。いくつかの実施形態では、VEGFアンタゴニスト及び抗C5剤は同時に投与され、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩は抗C5剤及びVEGFアンタゴニストの投与の前または後に投与される。
【0230】
他の実施形態では、投与の順番は:アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、その後にVEGFアンタゴニスト及び抗C5剤であり、ここでVEGFアンタゴニスト及び抗C5剤は同一組成物内に存在する。別の実施形態では、投与の順番は:VEGFアンタゴニスト、その後に抗C5剤及びアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩であり、ここで抗C5剤及びPDGFアンタゴニストは同一組成物内に存在する。さらに別の実施形態では、投与の順番は:抗C5剤、その後にアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニストであり、ここでPDGFアンタゴニスト及びVEGFアンタゴニストは同一組成物内に存在する。
【0231】
なおも他の実施形態では、投与の順番は:アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニスト、ここでアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニストは同一組成物内に存在し、その後に抗C5剤である。別の実施形態では、投与の順番は:アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及び抗C5剤、ここでアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及び抗C5剤は同一組成物内に存在し、その後にVEGFアンタゴニストである。別の実施形態では、投与の順番は:VEGFアンタゴニスト及び抗C5剤、ここでVEGFアンタゴニスト及び抗C5剤は同一組成物内に存在し、その後にアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩である。
【0232】
例えば、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩は、VEGFアンタゴニスト及び/または抗C5剤の投与の前または後に投与されることができる;VEGFアンタゴニストは、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及び/または抗C5剤の投与の前または後に投与されることができる;または抗C5剤は、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及び/またはVEGFアンタゴニストの投与の前または後に投与されることができる。
【0233】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、第一薬剤を、第二薬剤を投与する前に投与することを含む。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、第一薬剤を、第二薬剤を投与する前に投与すること、及び第二薬剤を、第三薬剤を投与する前に投与することを含む。
【0234】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、第一薬剤及び第二薬剤を同時投与することを含む。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、第一薬剤及び第二薬剤を、第三薬剤を投与する前に同時投与することを含む。
【0235】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、第一薬剤を、第二薬剤及び第三薬剤を同時投与する前に投与することを含む。
【0236】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、第一薬剤、第二薬剤及び第三薬剤を同時投与することを含む。
【0237】
第一薬剤、第二薬剤及び第三薬剤の例示的なグループを表5及び6にて下記に示す。
【0238】
【表4】
【0239】
【表5】
【0240】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及び2つ以上のVEGFアンタゴニストを投与することを含む。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及び2つ以上の抗C5剤を投与することを含む。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、VEGFアンタゴニスト及び2つ以上の抗C5剤を投与することを含む。
【0241】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩を、2つ以上のVEGFアンタゴニストを投与する前に投与することを含
む。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩を、第一VEGFアンタゴニストを投与する前に投与すること、及び第一VEGFアンタゴニストを、第二VEGFアンタゴニストを投与する前に投与することを含む。
【0242】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニストを同時投与することを含む。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及び第一VEGFアンタゴニストを、第二VEGFアンタゴニストを投与する前に、同時投与することを含む。
【0243】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩を、第一VEGFアンタゴニスト及び第二VEGFアンタゴニストを同時投与する前に投与することを含む。
【0244】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、第一VEGFアンタゴニスト及び第二VEGFアンタゴニストを同時投与することを含む。
【0245】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、VEGFアンタゴニストを、2つのPDGFアンタゴニスト(例えば、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及び別のPDGFアンタゴニスト)を投与する前に投与することを含む。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、VEGFアンタゴニストを、第一PDGFアンタゴニストを投与する前に投与すること、及び第一PDGFアンタゴニストを、第二PDGFアンタゴニストを投与する前に投与することを含む。
【0246】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、VEGFアンタゴニスト及びアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩を同時投与することを含む。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、VEGFアンタゴニスト及び第一PDGFアンタゴニストを、第二PDGFアンタゴニストを投与する前に同時投与することを含む。
【0247】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、VEGFアンタゴニストを、第一PDGFアンタゴニスト及び第二PDGFアンタゴニストを同時投与する前に投与することを含む。
【0248】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、VEGFアンタゴニスト、第一PDGFアンタゴニスト及び第二PDGFアンタゴニストを同時投与することを含む。
【0249】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩を、2つ以上の抗C5剤を投与する前に投与することを含む。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩を、第一抗C5剤を投与する前に投与すること、及び第一抗C5剤を、第二抗C5剤を投与する前に投与することを含む。
【0250】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及び抗C5剤を同時投与することを含む。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及び第一抗C5剤を、第二抗C5剤を投与する前に同時投与することを含む。
【0251】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に
許容され得る塩を、第一抗C5剤及び第二抗C5剤を同時投与する前に投与することを含む。
【0252】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、第一抗C5剤及び第二抗C5剤を同時投与することを含む。
【0253】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、抗C5剤を、2つ以上のPDGFアンタゴニストを投与する前に投与することを含む。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、抗C5剤を、第一PDGFアンタゴニストを投与する前に投与すること、及び第一PDGFアンタゴニストを、第二PDGFアンタゴニストを投与する前に投与することを含む。
【0254】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、抗C5剤及びアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩を同時投与することを含む。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、抗C5剤及び第一PDGFアンタゴニストを、第二PDGFアンタゴニストを投与する前に同時投与することを含む。
【0255】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、抗C5剤を、第一PDGFアンタゴニスト及び第二PDGFアンタゴニストを同時投与する前に投与することを含む。
【0256】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、抗C5剤、第一PDGFアンタゴニスト及び第二PDGFアンタゴニストを同時投与することを含む。
【0257】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、VEGFアンタゴニストを、2つ以上の抗C5剤を投与する前に投与することを含む。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、VEGFアンタゴニストを、第一抗C5剤を投与する前に投与すること、及び第一抗C5剤を、第二抗C5剤を投与する前に投与することを含む。
【0258】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、VEGFアンタゴニスト及び抗C5剤を同時投与することを含む。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、VEGFアンタゴニスト及び第一抗C5剤を、第二抗C5剤を投与する前に同時投与することを含む。
【0259】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、VEGFアンタゴニストを、第一抗C5剤及び第二抗C5剤を同時投与する前に投与することを含む。
【0260】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、VEGFアンタゴニスト、第一抗C5剤及び第二抗C5剤を同時投与することを含む。
【0261】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、抗C5剤を、2つ以上のVEGFアンタゴニストを投与する前に投与することを含む。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、抗C5剤を、第一VEGFアンタゴニストを投与する前に投与すること、及び第一VEGFアンタゴニストを、第二VEGFアンタゴニストを投与する前に投与することを含む。
【0262】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、抗C5剤及びVEGFアンタゴニストを同時投与することを含む。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、抗C5剤及び第一VEGFアンタゴニストを、第二VEGFアンタゴニストを投与する前に同時投与することを含む。
【0263】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、抗C5剤を、第一VEGFアンタゴニスト及び第二VEGFアンタゴニストを同時投与する前に投与することを含む。
【0264】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、抗C5剤、第一VEGFアンタゴニスト及び第二VEGFアンタゴニストを同時投与することを含む。
【0265】
いくつかの実施形態では、第一薬剤及び第二薬剤は、PDGFアンタゴニストであり、それは同一であっても異なってもよい。いくつかの実施形態では、第一薬剤及び第二薬剤は、VEGFアンタゴニストであり、それは同一であっても異なってもよい。いくつかの実施形態では、第一薬剤及び第二薬剤は、抗C5剤であり、それは同一であっても異なってもよい。
【0266】
いくつかの実施形態では、第一薬剤及び第三薬剤は、PDGFアンタゴニストであり、それは同一であっても異なってもよい。いくつかの実施形態では、第一薬剤及び第三薬剤は、VEGFアンタゴニストであり、それは同一であっても異なってもよい。いくつかの実施形態では、第一薬剤及び第三薬剤は、抗C5剤であり、それは同一であっても異なってもよい。
【0267】
いくつかの実施形態では、第二薬剤及び第三薬剤は、PDGFアンタゴニストであり、それは同一であっても異なってもよい。いくつかの実施形態では、第二薬剤及び第三薬剤は、VEGFアンタゴニストであり、それは同一であっても異なってもよい。いくつかの実施形態では、第二薬剤及び第三薬剤は、抗C5剤であり、それは同一であっても異なってもよい。
【0268】
第一薬剤、第二薬剤及び第三薬剤の例示的なグループを表7、8、9、及び10にて下記に示す。
【0269】
【表6】
【0270】
【表7】
【0271】
【表8-1】
【0272】
【表8-2】
【0273】
【表8-3】
【0274】
【表9】
【0275】
一実施形態では、2つ以上の薬剤は同時投与される。一実施形態では、同時に投与される2つ以上の薬剤は、同一組成物中に存在する。別の実施形態では、同時に投与される2つ以上の薬剤は、別の組成物中にそれぞれ存在する。
【0276】
ある特定の実施形態では、第一薬剤の投与から第二薬剤の投与までの時間は、少なくとも1分、少なくとも5分、少なくとも10分、少なくとも15分、少なくとも30分、または少なくとも1時間である。ある特定の実施形態では、第一薬剤の投与から第二薬剤の投与までの時間は、1分から2時間、5分から2時間、10分から2時間、15分から2時間、30分から2時間、45分から2時間、1時間から2時間、または30分から1時間の間である。ある特定の実施形態では、第一薬剤の投与から第二薬剤の投与までの時間は、約1分、約2分、約3分、約5分、約10分、約15分、約20分、約25分、約30分、約35分、約40分、約45分、約50分、約55分、約60分、約90分、または約120分である。ある特定の実施形態では、第二薬剤は、第二薬剤の投与後、90日、30日、10日、5日、2日、1日、24時間、1時間、30分、10分、5分または1分以内に投与される。
【0277】
ある特定の実施形態では、第二薬剤の投与から第三薬剤の投与までの時間は、少なくとも1分、少なくとも5分、少なくとも10分、少なくとも15分、少なくとも30分、または少なくとも1時間である。ある特定の実施形態では、第二薬剤の投与と第三薬剤の投与の間の時間は、1分から2時間、5分から2時間、10分から2時間、15分から2時間、30分から2時間、45分から2時間、1時間から2時間、または30分から1時間の間である。ある特定の実施形態では、第二薬剤の投与と第三薬剤の投与との間の時間は、約1分、約2分、約3分、約5分、約10分、約15分、約20分、約25分、約30分、約35分、約40分、約45分、約50分、約55分、約60分、約90分、または約120分である。ある特定の実施形態では、第三薬剤は、第二薬剤の投与後、90日、30日、10日、5日、2日、1日、24時間、1時間、30分、10分、5分または1分以内に投与される。
【0278】
ある特定の実施形態では、第一薬剤及び第二薬剤の同時投与と第三薬剤の投与との間の時間は、少なくとも1分、少なくとも5分、少なくとも10分、少なくとも15分、少なくとも30分、または少なくとも1時間である。ある特定の実施形態では、第一薬剤及び第二薬剤の同時投与と第三薬剤の投与との間の時間は、1分から2時間、5分から2時間、10分から2時間、15分から2時間、30分から2時間、45分から2時間、1時間から2時間、または30分から1時間の間である。ある特定の実施形態では、第一薬剤及び第二薬剤の同時投与から第三薬剤の投与までの時間は、約1分、約2分、約3分、約5分、約10分、約15分、約20分、約25分、約30分、約35分、約40分、約45分、約50分、約55分、約60分、約90分、または約120分である。ある特定の実施形態では、第三薬剤の投与は、第一薬剤及び第二薬剤の同時投与の、90日、30日、10日、5日、2日、1日、24時間、1時間、30分、10分、5分または1分以内である。
【0279】
ある特定の実施形態では、第一薬剤の投与から第二薬剤及び第三薬剤の同時投与までの時間は、少なくとも1分、少なくとも5分、少なくとも10分、少なくとも15分、少なくとも30分、または少なくとも1時間である。ある特定の実施形態では、第一薬剤の投与から第二薬剤及び第三薬剤の同時投与までの時間は、1分から2時間、5分から2時間、10分から2時間、15分から2時間、30分から2時間、45分から2時間、1時間から2時間、または30分から1時間の間である。ある特定の実施形態では、第一薬剤の投与から第二薬剤及び第三薬剤の同時投与までの時間は、約1分、約2分、約3分、約5分、約10分、約15分、約20分、約25分、約30分、約35分、約40分、約45分、約50分、約55分、約60分、約90分、または約120分である。ある特定の実
施形態では、第二薬剤及び第三薬剤の同時投与は、第一薬剤の投与の90日、30日、10日、5日、2日、1日、24時間、1時間、30分、10分、5分または1分以内である。
【0280】
2つ以上の、例えば3つ以上の、活性剤(例えば、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、VEGFアンタゴニスト及び抗C5剤)の投与は、疾患または障害、例えば、眼科疾患または障害を処置するまたは予防することにおいて相乗効果を有することができる。例えば、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、VEGFアンタゴニスト及び抗C5剤(またはこれらの活性剤の任意の2つ)の投与は、活性剤の相加効果よりも大きい程度に、網膜復位成功率を改善し、視力を改善し、脈絡膜新生血管を減少させ、または視覚を安定化させることができる。
【0281】
ある特定の実施形態では、本発明は、眼科疾患または障害を処置するまたは予防するための方法であって、それを必要とする対象に、1つまたは複数、いくつかの実施形態では2つ以上のまたは3つ以上の活性剤を、器具を介して投与することを含む、前記方法を提供する。他の実施形態では、本方法は、対象に手術を行うことをさらに含む。他の実施形態では、本方法は、本明細書に記載の任意のものを含むがこれに限定されない、抗悪性腫瘍薬などの別の活性剤を投与することをさらに含む。特定の実施形態では、本方法は、別の活性剤を投与すること及び対象に手術を行うことをさらに含む。
【0282】
いくつかの実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、及び任意選択的にVEGFアンタゴニスト及び/または抗C5剤を対象に投与することで、視力の増加などの視覚改善がもたらされる。いくつかの実施形態では、対象は、24週目に、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩を用いた処置の前に、ETDRS視力検査でベースラインから15文字またはそれ以上の低下として定義される、中等度の視力低下を経験した。
【0283】
いくつかの実施形態では、視力検査は、Early Treatment Diabetic Retinopathy Study Research Group(ETDRS),Manual of Operations,ボルティモア:ETDRS Coordinating Center,メリーランド大学に記載の通りである。本明細書に記載のように、National Technical Information Service,5285 Port Royal Road,Springfield,VA22161;Accession番号PB85223006/ASから入手可能;Ferrisら、Am J Ophthalmol 94:91-96,1982;または実施例4。いくつかの実施形態では、視力検査では、http://www.nei.nih.gov/photo/keyword.asp?conditions=Eye+Charts&match=allから入手可能な1つまたは複数のチャート、例えば、ETDRS視力チャート1、2及び/またはRを使用する。
【0284】
他の実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニストを投与することで、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩を投与されなかった対象によって経験されるものと比較して、眼有害事象の減少、RCHのサイズの低減(例えば、眼底撮影及びFAによって測定される)、滲出の低減(眼底撮影、OCT、及びFAによって測定される)、または網膜上増殖または網膜牽引の低減(眼底撮影によって評価される)がもたらされる。いくつかの実施形態では、RCHまたは眼手術の切除処置を、対象は必要としない、及び本方法は含まない。
【0285】
いくつかの実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、及び任意選択的にVEGFアンタゴニスト及び/または抗C5剤を対象に投与することで
、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩を投与されなかった対象の視覚と比較して、または抗VEGF薬単独療法を投与された対象と比較して、ベースラインの病変部サイズまたはベースラインの視覚と独立した視覚の改善がもたらされる。いくつかの実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、及び任意選択的にVEGFアンタゴニスト及び/または抗C5剤を対象に投与することで、20/40またはより良い、または20/25またはより良い視覚の視力を対象が有する結果になる。いくつかの実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、及び任意選択的にVEGFアンタゴニスト及び/または抗C5剤を対象に投与することで、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩を投与されなかった患者におけるCNVサイズと比較して、または抗VEGF薬単独療法を投与された対象と比較して、対象におけるCNVサイズ減少量の増加がもたらされる。いくつかの実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、及び任意選択的にVEGFアンタゴニスト及び/または抗C5剤を対象に投与することで、CNVサイズにおける減少(例えば、視神経乳頭面積(DA)サイズにおける減少)がもたらされる。いくつかの実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、及び任意選択的にVEGFアンタゴニスト及び/または抗C5剤を対象に投与することで、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩を投与されなかった患者におけるDAサイズと比較して、または抗VEGF薬単独療法を投与された対象と比較して、対象におけるDAの減少量の増加がもたらされる。いくつかの実施形態では、CNVサイズにおける減少量の増加は、小さいベースラインCNV、例えば、1.62DA(視神経乳頭面積)以下、を有する対象における。いくつかの実施形態では、CNVサイズ(例えば、視神経乳頭面積における)における減少量の増加は、大きいベースラインCNV、例えば、1.62DA超、を有する対象における。いくつかの実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、及び任意選択的にVEGFアンタゴニスト及び/または抗C5剤を対象に投与することで、新生血管退縮がもたらされる。いくつかの実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、及び任意選択的にVEGFアンタゴニスト及び/または抗C5剤を対象に投与することで、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩を投与されなかった対象で起きているそれと比較して、または抗VEGF薬単独療法を投与された対象と比較して、新生血管成長の減少がもたらされる。いくつかの実施形態では、新生血管成長の減少は抗線維症である。いくつかの実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、及び任意選択的にVEGFアンタゴニスト及び/または抗C5剤を対象に投与することで、高輝度像、例えば、網膜下高輝度像の低減または非存在、例えば、スペクトラルドメイン光干渉断層法(SD-OCT)によって証明される網膜下高輝度像(SHRM)のサイズの低減がもたらされる。いくつかの実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、及び任意選択的にVEGFアンタゴニスト及び/または抗C5剤を対象に投与することで、例えばアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩を投与されなかった対象と比較して、またはVEGFアンタゴニスト、抗VEGF薬単独療法、及び/または抗C5剤を投与された対象と比較して、高輝度像、例えば、網膜下高輝度像の分解能の増加がもたらされる。
【0286】
いくつかの実施形態では、視覚が改善した対象は、視力において3ライン、4ライン、5ラインを超える改善を有する。一実施形態では、対象の視力は、糖尿病網膜症早期治療試験(「ETDRS」)または加齢性眼疾患研究(「AREDS」)プロトコルなどのプロトコルを使用して決定される。いくつかの実施形態では、視力は、Ferrisら、Am J Ophthalmol 94:91-96,1982に記載の視力の測定などの改変されたETDRS及び/またはAREDSプロトコルを使用して測定される。いくつかの実施形態では、視力は、Early Treatment Diabetic Retinopathy Study Research Group(ETDRS),Manual of Operations,ボルティモア:ETDRS Coordina
ting Center,メリーランド大学に記載ように測定される。本明細書に記載のように、National Technical Information Service,5285 Port Royal Road,Springfield,VA22161;Accession番号PB85 223006/ASから入手可能。他の実施形態では、視力検査は以下の実施例4に記載のように測定される。いくつかの実施形態では、視力検査は、http://www.nei.nih.gov/photo/keyword.asp?conditions=Eye+Charts&match=allから入手可能な1つまたは複数のチャート、例えば、ETDRS視力チャート1、2及び/またはRを使用する。
【0287】
一実施形態では、対象の視力は、次の手順の1つまたは複数によって決定される:(1)必要な顕性屈折を伴う最良矯正視力(BCVA)の測定;(2)条件付き顕性屈折を伴う矯正視力の測定;または(3)顕性屈折を伴わない矯正視力の測定。
【0288】
一実施形態では、それぞれのPDGF及びVEGFアンタゴニストは、眼科疾患または障害を処置するまたは予防するために有効な量で投与される。単一投与量を生成するために担体材料と混合されたアンタゴニストの量は、処置されている対象及び投与の特定の様式に応じて変動することができる。
【0289】
各アンタゴニストの投与量は、症状の重症度、症状が処置または予防されるべきか、年齢、体重、及び処置される人の健康を含む、いくつかの因子に応じることができる。加えて、特定の患者に関するゲノム薬理学(治療の薬物動態、薬力学または有効性プロファイルに及ぼす遺伝子型の影響)情報が使用される投与量に影響し得る。さらには、精密な個別投与量が、投与されるアンタゴニストの特定の組み合わせ、投与時間、投与経路、製剤の性質、排出速度、処置されている特定の眼科疾患または障害、障害の重症度、及び新生血管疾患の解剖学的な位置を含む、種々の因子に多少応じて調整されることができる。投与量におけるいくらかの変動は想定されることができる。
【0290】
概して、対象に経口投与されるとき、本発明のアンタゴニストの投与量は、通常0.001mg/kg/日から100mg/kg/日、0.01mg/kg/日から50mg/kg/日、または0.1mg/kg/日から10mg/kg/日である。概して、ヒトに経口投与されるとき、本発明のアンタゴニストの投与量は、通常1日あたり0.001mgから300mg、1日あたり1mgから200mg、または1日あたり5mgから50mgである。1日あたり最大200mgまでの投与量が必要であり得る。非経口注射による本発明のアンタゴニストの投与について、投与量は通常1日あたり0.1mgから250mg、1日あたり1mgから20mg、または1日あたり3mgから5mgである。注射は、1日あたり最大4回まで与えられてよい。いくつかの実施形態では、本発明において使用するためのPDGFまたはVEGFアンタゴニストの投与量は、通常1日あたり0.1mgから1500mg、または1日あたり0.5mgから10mg、または1日あたり0.5mgから5mgである。1日あたり最大3000mgまでの投与量が投与されることができる。
【0291】
いくつかの実施形態では、3つの活性剤(例えば、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、VEGFアンタゴニスト及び抗C5剤または本明細書に開示の他の組み合わせ)の非経口注射による投与について、それぞれのPDGFアンタゴニスト、VEGFアンタゴニスト及び抗C5剤の投与量は、典型的には1日あたり0.1mgから250mg、1日あたり1mgから20mg、または1日あたり3mgから5mgである。注射は、1日あたり最大4回まで与えられても良い。概して、非経口投与されるとき、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、VEGFアンタゴニスト、または抗C5剤の投与量は、典型的には1日あたり0.1mgから1500mg、または1
日あたり0.5mgから10mg、または1日あたり0.5mgから5mgである。1日あたり少なくとも最大3000mgまでの投与量が投与されることができる。
【0292】
アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、VEGFアンタゴニスト及び/または抗C5剤が眼科的にヒトに投与される、例えば硝子体内投与されるいくつかの実施形態では、それぞれのアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、VEGFアンタゴニスト及び抗C5剤の投与量は、典型的には0.003mgから5.0mg/眼/投与、または0.03mgから3.0mg/眼/投与、または0.1mgから1.0mg/眼/投与である。一実施形態では、それぞれのアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、VEGFアンタゴニスト及び抗C5剤の投与量は、約0.03mg、約0.3mg、約0.5mg、約1.0mg、約1.25mg、約1.5mg、約2.0mgまたは約3.0mg/眼である。一実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩の投与量は、約0.03mg、約0.3mg、約0.5mg、約1.0mg、約1.25mg、約1.5mg、約2.0mg、約3.0mg、または約4.0mg/眼である。別の実施形態では、VEGFアンタゴニスト(例えば、ラニビズマブ、ベバシズマブ、アフリベルセプト、ESBA1008またはペガプタニブナトリウム)の投与量は、約0.03mg、約0.3mg、約0.5mg、約1.0mg、約1.25mg、約1.5mg、約1.65mg、約2.0mg、約3.0mg、または約4.0mg/眼である。別の実施形態では、抗C5剤(例えば、ARC1905またはその医薬的に許容され得る塩)の投与量は、約0.03mg、約0.3mg、約0.5mg、約1.0mg、約1.25mg、約1.5mg、約1.65mg、約2.0mg、約3.0mg、または約4.0/眼である。
【0293】
対象がアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニスト、及び任意選択的に抗C5剤の両方を投与されるある特定の実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩の投与量は、約1.5mgであり、VEGFアンタゴニスト(例えば、ラニビズマブ)の投与量は、約0.5mgである。対象がアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニストの両方を投与されるある特定の実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩の投与量は、約3.0mgであり、VEGFアンタゴニスト(例えば、ラニビズマブ)の投与量は、約0.5mgである。ある特定の実施形態では、対象はアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニストの両方を投与され、ここでアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩の投与量は、約1.5mgであり、VEGFアンタゴニスト(例えば、ベバシズマブ)の投与量は、約1.25mgである。ある特定の実施形態では、対象はアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニストの両方を投与され、ここでアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩の投与量は、約3.0mgであり、VEGFアンタゴニスト(例えば、ベバシズマブ)の投与量は、約1.25mgである。ある特定の実施形態では、対象はアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニストの両方を投与され、ここでアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩の投与量は、約1.5mgであり、VEGFアンタゴニスト(例えば、アフリベルセプト)の投与量は、約2.0mgである。ある特定の実施形態では、対象はアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニストの両方を投与され、ここでアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩の投与量は、約3.0mgであり、VEGFアンタゴニスト(例えば、アフリベルセプト)の投与量は、約2.0mgである。ある特定の実施形態では、対象はアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニストの両方を投与され、ここでアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩の投与量は、約1.5mgであり、VEGFアンタゴニスト、例えば、ペガプタニブナトリウムの投与量は、約1.65mgである。ある特定の実施形態では、対象はアンタゴニストAまたは別のその医薬
的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニストの両方を投与され、ここでアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩の投与量は、約3.0mgであり、VEGFアンタゴニスト、例えば、ペガプタニブナトリウムの投与量は、約1.65mgである。
【0294】
投与量は、約0.01mL/眼から約0.2mL/眼、または約0.03mL/眼から約0.15mL/眼、または約0.05mL/眼から約0.10mL/眼の範囲で投与されることができる。
【0295】
アンタゴニストAまたはその医薬的に許容され得る塩は、最大100μLの注射量を用いて最大約30mg/mLで硝子体内に送達されることができる。
【0296】
例示的なアンタゴニストA/VEGFアンタゴニスト併用対及びその投与量を表11に示す。
【0297】
【表10】
【0298】
対象が、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニストと併用して抗C5剤を投与される特定の実施形態では、抗C5剤は、約0.03mg、約0.3mg、約0.5mg、約1.0mg、約1.25mg、約1.5mg、約2.0mgまたは約3.0mg/眼の投与量で投与され得る。
【0299】
ある特定の実施形態では、ARC1905及びARC187、またはその医薬的に許容され得る塩などの抗C5アプタマーを含む組成物の眼投与量は、約0.01mgから約5mg/眼または約0.1mgから約3mg/眼までの範囲であることができる。例えば、ARC1905、ARC187、またはその医薬的に許容され得る塩を含む組成物の眼投与量は、約0.01mg、約0.03mg、約0.05mg、約0.1mg、約0.3mg、約0.5mg、約1mg、約1.5mg、約2mg、約2.5mg、約3mg、約3.5mg、約4mg、約4.5mg、または約5mgであり得る。かかる投与量は、眼に、例えば硝子体内注射によって、毎週、隔週、毎月、または四半期ごとに、任意選択的に
持続放出デバイスまたは製剤によって投与されてよい。いくつかの実施形態では、抗C5アプタマー(例えば、ARC1905、ARC187、またはその医薬的に許容され得る塩)は、複数の注射(例えば、硝子体内注射)において、変動する時間間隔で分けられて数カ月の期間にわたり投与されることができる。ある特定のかかる実施形態では、処置計画の早期にて受ける初期の注射は、処置計画の後期にて受ける注射よりも短い間隔で分けられる。例えば、AMD(例えば、非湿潤型AMDまたは地図状萎縮)を処置する、予防する、または安定化させるための方法において特に有用な、一投薬計画は、抗C5アプタマー(例えば、ARC1905、ARC187、またはその医薬的に許容され得る塩)の初期注射を処置の開始時(例えば、最初の2、3、4、または5回の注射)に月毎ベースで投与すること及び後続の注射をより長い間隔(例えば、3、4、5、または6カ月毎)で投与することを含む。例として、抗C5アプタマーの最初の3回の注射は、対象に毎月投与され、一方で4回目及び5回目の注射は前回の注射の3または4カ月後に投与される。抗C5アプタマーの注射間の間隔は、例えば地図状萎縮病変部サイズの変化または視力の改善または安定化によって測定される、処置に対する対象の反応に基づいて調整され得る。
【0300】
いくつかの実施形態では、抗C5アプタマーは、VEGFアンタゴニストと共に対象に投与され、ここで抗C5アプタマーの投与量は、約0.03mgであり、VEGFアンタゴニスト、例えば、ラニビズマブの投与量は、約0.5mgである。ある特定の実施形態では、対象は抗C5アプタマー及びVEGFアンタゴニストの両方を投与され、ここで抗C5アプタマーの投与量は、約1.0mgであり、VEGFアンタゴニスト、例えば、ラニビズマブの投与量は、約0.5mgである。ある特定の実施形態では、対象は抗C5アプタマー及びVEGFアンタゴニストの両方を投与され、ここで抗C5アプタマーの投与量は、約2.0mgであり、VEGFアンタゴニスト、例えば、ラニビズマブの投与量は、約0.5mgである。
【0301】
いくつかの実施形態では、抗C5アプタマーはVEGFアンタゴニストと共に対象に投与され、ここで抗C5アプタマーの投与量は、約0.03mgであり、VEGFアンタゴニスト、例えば、ベバシズマブの投与量は、約1.25mgである。ある特定の実施形態では、対象は抗C5アプタマー及びVEGFアンタゴニストの両方を投与され、ここで抗C5アプタマーの投与量は、約1.0mgであり、VEGFアンタゴニスト、例えば、ベバシズマブの投与量は、約1.25mgである。ある特定の実施形態では、対象は抗C5アプタマー及びVEGFアンタゴニストの両方を投与され、ここで抗C5アプタマーの投与量は約2.0mgであり、VEGFアンタゴニスト、例えば、ベバシズマブの投与量は、約1.25mgである。
【0302】
いくつかの実施形態では、抗C5アプタマーはVEGFアンタゴニストと共に対象に投与され、ここで抗C5アプタマーの投与量は、約0.03mgであり、VEGFアンタゴニスト、例えば、アフリベルセプトの投与量は、約2.0mgである。ある特定の実施形態では、対象は抗C5アプタマー及びVEGFアンタゴニストの両方を投与され、ここで抗C5アプタマーの投与量は約1.0mgであり、VEGFアンタゴニスト、例えば、アフリベルセプトの投与量は、約2.0mgである。ある特定の実施形態では、対象は抗C5アプタマー及びVEGFアンタゴニストの両方を投与され、ここで抗C5アプタマーの投与量は、約2.0mgであり、VEGFアンタゴニスト、例えば、アフリベルセプトの投与量は、約2.0mgである。
【0303】
各アンタゴニストの投与は、独立して、1日に1~4回またはひと月に1~4回または1年に1~6回または2、3、4、または5年に1回であることができる。投与は、1日または1カ月、2カ月、3カ月、6カ月、1年、2年、3年の期間にわたることができ、患者の一生にさえわたり得る。一実施形態では、投与は月1回3カ月にわたって行われる
。慢性の、長期投与は、多くの症例において示されるだろう。投与量は、単回投与量としてまたは複数用量に分けて投与してよい。一般に、所望の投与量は、所定の間隔で長期にわたって、通常少なくとも数週間または数カ月にわたって投与されるべきであるが、数カ月または数年またはそれ以上のより長期の投与が必要とされ得る。
【0304】
前から存在する眼科疾患及び障害を処置することに加えて、組成物はこれらの疾患及び障害の発症を予防するまたは遅延させるために予防的に投与されることができる。用語「予防」は、疾患または障害の発症または進行を阻害するまたは遅らせることを包含する。予防的な用途では、組成物は特定の眼科疾患または障害に罹患しやすいか、そうでなければ特定の眼科疾患または障害のリスクがある患者に投与されることができる。
【0305】
一実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニストは、それを用いた処置を必要とする対象に、典型的には注射用医薬組成物の形態で投与される。アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニストは、別の組成物においてまたはPDGFアンタゴニスト及びVEGFアンタゴニストの両方を含む医薬組成物のいずれにおいても投与されることができる。投与は、注射によって、例えば眼内注射によって、または薬物送達デバイスを使用することによってなされることができる。非経口、全身、または経皮投与も本発明の範囲内にある。アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニストの投与は、時系列または同時であることができる。順次投与されるとき、それぞれの投与経路は同一または異なることができる。一実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩は、VEGFアンタゴニストの投与の90日、30日、10日、5日、24時間、1時間、30分、10分、5分または1分以内に投与される。アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩がVEGFアンタゴニストの前に投与されるとき、VEGFアンタゴニストはアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニストの総量が眼科疾患または障害を処置するまたは予防するために有効であるような量及び時間内で投与される。VEGFアンタゴニストがアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩の前に投与されるとき、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩は、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニストの総量が眼科疾患または障害を処置するまたは予防するために有効であるような量及び時間内で投与される。
【0306】
一実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩またはVEGFアンタゴニスト(例えば、ラニビズマブ、ベバシズマブ、ペガプタニブナトリウム、ESBA1008またはアフリベルセプト)は、30ゲージまたは27ゲージの針を用いて硝子体内投与される。いくつかの実施形態では、0.5インチの針が使用される。一実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩は、30ゲージの0.5インチの針を用いて硝子体内投与され、VEGFアンタゴニスト(例えば、ラニビズマブ、ベバシズマブ、ペガプタニブナトリウム、ESBA1008またはアフリベルセプト)は、27ゲージの針を用いて硝子体内投与される。いくつかの実施形態では、50μL(0.05mL中に1.5mg)のアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩は、30ゲージの0.5インチの針を用いて硝子体内投与され、50μL(0.05mL中に0.5mg)のVEGFアンタゴニスト(例えば、ラニビズマブ、ベバシズマブ、ペガプタニブナトリウムまたはアフリベルセプト)は、27ゲージの針を用いて硝子体内投与される。
【0307】
アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩などのアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩が、ラニビズマブ、ベバシズマブ、ESBA1008、ペガプタニブナトリウムまたはアフリベルセプトなどのVEGFアンタゴニストと併用して使用されるある特定の実施形態では、これら2つの薬剤の1つがまず対象に投与され
、それからもう一方の薬剤が対象に投与される。特定の実施形態では、2つの薬剤は両方とも対象の同一の眼に投与される。特定の実施形態では、2つの薬剤は両方とも対象の両眼に投与される。2つの薬剤は、いずれの順番で眼に投与されてもよい、つまり、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩をまず投与してからVEGFアンタゴニストを投与してもよく、またはVEGFアンタゴニストをまず投与してからアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩を投与してもよい。2番目に投与される薬剤は最初に投与された薬剤の投与直後に投与されてよく、または2番目に投与される薬剤は最初に投与された薬剤の投与後に時間をおいて投与されてもよい。
【0308】
ある特定の実施形態では、第一薬剤の投与から第二薬剤の投与までの時間は、少なくとも1分、少なくとも5分、少なくとも10分、少なくとも15分、少なくとも30分、または少なくとも1時間である。ある特定の実施形態では、第一薬剤の投与から第二薬剤の投与までの時間は、1分から2時間、5分から2時間、10分から2時間、15分から2時間、30分から2時間、45分から2時間、1時間から2時間、または30分から1時間の間である。ある特定の実施形態では、第一薬剤の投与から第二薬剤の投与までの時間は、約1分、約2分、約3分、約5分、約10分、約15分、約20分、約25分、約30分、約35分、約40分、約45分、約50分、約55分、約60分、約90分、または約120分である。
【0309】
ある特定の実施形態では、本発明は、本明細書に記載の任意の眼科疾患を処置するまたは予防するための方法であって、それを必要とする対象にアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩を第一時点で提供すること、及び前記対象にVEGFアンタゴニスト、例えば、アフリベルセプト、ベバシズマブ、ラニビズマブ、ESBA1008、またはペガプタニブナトリウムを第二時点で提供することを含み、前記第一時点から前記第二時点の間の時間量が、約1分、約2分、約5分、約10分、約15分、約20分、約25分、約30分、約40分、約50分、約60分、約90分、約2時間、約4時間、約6時間、約8時間、約12時間、約24時間、約36時間、約48時間、約3日、約4日、約5日、約6日、または約7日である、前記方法を提供する。
【0310】
ある特定の実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニストは、硝子体内投与される。ある特定の実施形態では、約1.5mgまたは3.0mgのアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩を眼に、及び約0.5mg、約1.25mg、約1.65mg、または約2.0mgのVEGFアンタゴニストを眼に投与する。いくつかの実施形態では、VEGFアンタゴニストは、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩が硝子体内投与された約30分後に硝子体内投与される。いくつかの実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩は、VEGFアンタゴニストが硝子体内投与された約30分後に硝子体内投与される。
【0311】
一実施形態では、VEGFアンタゴニストは、対象の少なくとも一方の眼に投与され、VEGFアンタゴニストの投与後に約1時間を経過させて、それからアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩を同一の眼に投与する。一実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩は、対象の少なくとも一方の眼に投与され、PDGFアンタゴニストの投与後に約1時間を経過させて、それからVEGFアンタゴニストを同一の眼に投与する。
【0312】
ある特定の実施形態では、PDGFアンタゴニスト及びVEGFアンタゴニストは、約50μLまたはそれ未満、約60μLまたはそれ未満、約70μLまたはそれ未満、約80μLまたはそれ未満、約90μLまたはそれ未満、約100μLまたはそれ未満、120μLまたはそれ未満、約150μLまたはそれ未満、または約200μLまたはそれ未
満の総合量で各眼に投与される。
【0313】
ある特定の実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、VEGFアンタゴニスト及び抗C5剤は眼内投与、例えば硝子体内投与される。特定の実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、VEGFアンタゴニスト及び抗C5剤は、単回注射、例えば単回眼内または硝子体内注射を介して哺乳類に投与される。特定の実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、VEGFアンタゴニスト及び抗C5剤は、順次投与される。ある特定の実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、VEGFアンタゴニスト及び抗C5剤の2つ以上は、例えば同一組成物内で同時に投与される。特定の実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、VEGFアンタゴニスト及び抗C5剤の1つが投与され、約30秒以内に、他の1つまたは2つがその後に投与される。特定の実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、VEGFアンタゴニスト及び抗C5剤の3つ全てが、互いの約30秒または1分以内に投与される。他の実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、VEGFアンタゴニスト及び抗C5剤の1つが投与され、他方の1つまたは両方が、約1分、約2分、約5分、約10分、約15分、約20分、約25分、約30分、約40分、約50分、約60分、約90分、約2時間、約4時間、約6時間、約8時間、約12時間、約24時間、約36時間、約48時間、約3日、約4日、約5日、約6日、または約7日後に投与される。他の実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、VEGFアンタゴニスト及び抗C5剤の1つまたは2つが投与され、他方は約1分、約2分、約5分、約10分、約15分、約20分、約25分、約30分、約40分、約50分、約60分、約90分、約2時間、約4時間、約6時間、約8時間、約12時間、約24時間、約36時間、約48時間、約3日、約4日、約5日、約6日、または約7日後に投与される。ある特定の実施形態では、PDGFアンタゴニスト、VEGFアンタゴニスト及び抗C5剤の1つが投与され;別のものが約1分、約2分、約5分、約10分、約15分、約20分、約25分、約30分、約40分、約50分、約60分、約90分、約2時間、約4時間、約6時間、約8時間、約12時間、約24時間、約36時間、約48時間、約3日、約4日、約5日、約6日、または約7日後に投与され;残りの1つが、約1分、約2分、約5分、約10分、約15分、約20分、約25分、約30分、約40分、約50分、約60分、約90分、約2時間、約4時間、約6時間、約8時間、約12時間、約24時間、約36時間、約48時間、約3日、約4日、約5日、約6日、または約7日後に投与される。アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、VEGFアンタゴニスト及び抗C5剤の2つが同一組成物に存在するある特定の実施形態では、該組成物が投与され、該組成物中に存在しないPDGFアンタゴニスト、VEGFアンタゴニストまたは抗C5剤が、約1分、約2分、約5分、約10分、約15分、約20分、約25分、約30分、約40分、約50分、約60分、約90分、約2時間、約4時間、約6時間、約8時間、約12時間、約24時間、約36時間、約48時間、約3日、約4日、約5日、約6日、または約7日後に投与される。アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、VEGFアンタゴニスト及び抗C5剤の2つが同一組成物中に存在する他の実施形態では、該組成物中に存在しないアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、VEGFアンタゴニストまたは抗C5剤が投与され、該組成物が、約1分、約2分、約5分、約10分、約15分、約20分、約25分、約30分、約40分、約50分、約60分、約90分、約2時間、約4時間、約6時間、約8時間、約12時間、約24時間、約36時間、約48時間、約3日、約4日、約5日、約6日、または約7日後に投与される。
【0314】
ある特定の実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、例えば、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩は、約24時間毎に2日以上、3日以上、4日以上、5日以上、6日以上、または7日以上にわたって投与され
、VEGFアンタゴニスト、例えば、アフリベルセプト、ベバシズマブ、ESBA1008、ペガプタニブナトリウムまたはラニビズマブ(ranimizumab)は、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩の第一投与の約48時間後に投与される。ある特定の実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩は、4連続日のそれぞれに、つまり、1日目、2日目、3日目及び4日目に投与され、VEGFアンタゴニスト(例えば、ベバシズマブ、ラニビズマブ(ranicizumab)、ESBA1008、ペガプタニブナトリウムまたはアフリベルセプト)は、第3日、つまり、3日目に投与される。特定の実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、例えば、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩を含む組成物が、対象に投与され、VEGFアンタゴニストを含む組成物が対象に約48時間後に投与される。
【0315】
一実施形態では、約50mg/kgのアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩(例えば、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩)は、例えば、腹腔内に、1日目、2日目、3日目及び4日目に投与され、約1mg/kgのVEGFアンタゴニスト(例えば、ベバシズマブ、ラニビズマブ、ESBA1008、ペガプタニブナトリウム、またはアフリベルセプト)は3日目に投与される。一実施形態では、約50mg/kgのアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩(例えば、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩)は、1日目、2日目、3日目及び4日目に投与され、約5mg/kgのVEGFアンタゴニスト(例えば、ベバシズマブ、ラニビズマブ、ESBA1008、ペガプタニブナトリウム、またはアフリベルセプト)は3日目に投与される。
【0316】
一実施形態では、約50mg/kgのアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩は、1日目、2日目、3日目及び4日目に投与され、約1mg/kgのアフリベルセプトは3日目に投与される。一実施形態では、約50mg/kgのアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩は、1日目、2日目、3日目及び4日目に投与され、約5mg/kgのアフリベルセプトは3日目に投与される。
【0317】
一実施形態では、約0.03mg、約0.3mg、約0.5mg、約1.0mg、約1.5mgまたは約3.0mgのアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩(例えば、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩)は、1日目、2日目、3日目及び4日目に硝子体内投与され、約0.5mg、約1.0mg、約1.5mg、約1.65mg、約3.0mg、または約4.0mgのVEGFアンタゴニスト(例えば、ベバシズマブ、ラニビズマブ、ESBA1008、ペガプタニブナトリウム、またはアフリベルセプト)は、3日目に硝子体内投与される。一実施形態では、約0.3mgまたは約1.5mgのアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩は、1日目、2日目、3日目及び4日目に硝子体内投与され、約0.5mgのラニビズマブは、3日目に硝子体内投与される。一実施形態では、約0.3mgまたは約1.5mgのアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩は、1日目、2日目、3日目及び4日目に硝子体内投与され、約1.25mgのベバシズマブは3日目に硝子体内投与される。一実施形態では、約0.3mgまたは約1.5mgのアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩は、1日目、2日目、3日目及び4日目に硝子体内投与され、約2.0mgのアフリベルセプトは、3日目に硝子体内投与される。一実施形態では、約0.3mgまたは約1.5mgのアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩は、1日目、2日目、3日目及び4日目に硝子体内投与され、約1.65mgのペガプタニブナトリウムは、3日目に硝子体内投与される。
【0318】
いくつかの実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニストは、4週毎または30日毎に、6回の処置にわたって投与され
る。いくつかの実施形態では、VEGFアンタゴニストはラニビズマブである。いくつかの実施形態では、0.3mgのアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及び0.5mgのラニビズマブは、4週毎または30日毎に、6回の処置にわたって投与される。いくつかの実施形態では、1.5mgのアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及び0.5mgのラニビズマブは、4週毎または30日毎に、6回の処置にわたって投与される。
【0319】
いくつかの実施形態では、0.3mgのアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及び1.25mgのベバシズマブ、2.0mgのアフリベルセプト、または1.65mgのペガプタニブナトリウムは、4週毎または30日毎に、6回の処置にわたって投与される。いくつかの実施形態では、1.5mgのアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及び1.25mgのベバシズマブ、2.0mgのアフリベルセプト、または1.65mgのペガプタニブナトリウムは、4週毎または30日毎に、6回の処置にわたって投与される。
【0320】
いくつかの実施形態では、本方法は、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、ベバシズマブ及びアフリベルセプトを投与することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、ベバシズマブ及びアフリベルセプトを、4週毎または30日毎に、6回の処置にわたって投与することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、1.5mgのアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、1.25mgのベバシズマブ、及び2mgのアフリベルセプトを投与することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、1.5mgのアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、1.25mgのベバシズマブ、及び2mgのアフリベルセプトを、4週毎または30日毎に、6回の処置にわたって投与することを含む。
【0321】
いくつかの実施形態では、本方法は、それを必要とする対象に(a)アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及び(b)VEGFアンタゴニストを投与することを含み、(a)及び(b)は眼症状(例えば、湿潤型AMD)を処置するまたは予防するために有効である量で投与され、前記投与は1カ月±約7日間毎に1回、12連続月にわたって生じる。
【0322】
いくつかの実施形態では、本方法は、それを必要とする対象に(a)アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及び(b)VEGFアンタゴニストを投与することを含み、(a)及び(b)は眼症状(例えば、湿潤型AMD)を処置するまたは予防するために有効である量で投与され、前記投与は1カ月±約7日間毎に1回、第一の12連続月にわたり、その直後、第二の12連続月の2月目に開始して、2カ月±約7日間毎に1回、第二の12連続月にわたって生じる。
【0323】
いくつかの実施形態では、本方法は、それを必要とする対象に(a)アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及び(b)VEGFアンタゴニストを投与することを含み、(a)及び(b)は眼症状(例えば、湿潤型AMD)を処置するまたは予防するために有効である量で投与され、前記投与が1カ月±約7日間毎に1回、24連続月にわたって生じる、該方法も本明細書に提供する。
【0324】
いくつかの実施形態では、本方法は、それを必要とする対象に(a)アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及び(b)VEGFアンタゴニストを投与することを含み、(a)及び(b)は眼症状(例えば、湿潤型AMD)を処置するまたは予防するために有効である量で投与され、前記投与は1カ月±約7日間毎に1回、3ヶ月連続にわたり、その直後、12連続月の2月目に開始して、2カ月±約7日間毎に1回、12連
続月にわたって生じる。
【0325】
いくつかの実施形態では、本方法は、例えば、湿潤型AMDまたは中心窩下新生血管AMDの処置または予防のための、連続処置、連続及び非連続処置、及び/または再処置を含む。いくつかの実施形態では、連続処置は、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及び抗VEGF薬を月毎(±7日)に、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12連続月にわたって投与することを含む。いくつかの実施形態では、アンタゴニストAまたはその医薬的に許容され得る塩は、VEGFアンタゴニストの投与の約1分、約2分、約5分、約10分、約15分、約20分、約25分、約30分、約40分、約50分、約60分、約90分、約2時間、約4時間、約6時間、約8時間、約12時間以内に投与される。いくつかの実施形態では、VEGFアンタゴニストは、アンタゴニストAまたはその医薬的に許容され得る塩の投与の前に投与される。他の実施形態では、アンタゴニストAまたはその医薬的に許容され得る塩は、VEGFアンタゴニストの投与の前に投与される。いくつかの実施形態では、アンタゴニストAまたはその医薬的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニストは、共製剤として投与される。いくつかの実施形態では、投与されるアンタゴニストAまたはその医薬的に許容され得る塩の量は、約1.5mg/眼であり、投与されるVEGFアンタゴニストの量は、約0.5mg/眼(例えば、ラニビズマブ)、約1.25mg/眼(例えば、ベバシズマブ)、約1.65mg/眼(例えば、ペガプタニブナトリウム)、または約2.0mg/眼(例えば、アフリベルセプト)である。
【0326】
いくつかの実施形態では、本方法は、対象の視力を測定することをさらに含む。いくつかの実施形態では、対象の視力は1カ月±約7日間毎に1回、測定される。いくつかの実施形態では、視力が3連続月にわたって安定であるときに、視力は安定である。いくつかの実施形態では、3連続月のうちそれぞれの最近2カ月で、視力が3連続月の1月目(つまり、後続の2連続月の最初の月の直前の月)での対象の視力の5ETDRS文字(より良いまたはより悪い)以内であるときに、視力は安定である。
【0327】
いくつかの実施形態では、対象は、対象の視力が安定するまで本発明の方法に従って投与される。いくつかの実施形態では、対象は、対象の視力が3連続月にわたって安定するまで本発明の方法に従って投与される。いくつかの実施形態では、対象は、3連続月のうちそれぞれの最近2カ月での対象の視力が3連続月の1月目の対象の視力から≦5ETDRS文字差異となるまで、本発明の方法に従って投与される。いくつかの実施形態では、対象は、対象が新規の重大な網膜内または網膜下出血を経験しない、または中心窩網膜内流体における≧50μmの増加を経験しなくなるまで、本発明の方法に従って投与される。いくつかの実施形態では、対象は、3連続月のうちそれぞれの最近2カ月での対象の視力が3連続月の1月目の対象の視力から≦5ETDRS文字差異となる、及び対象が新規の重大な網膜内または網膜下出血を経験しない、または中心窩網膜内流体における≧50μmの増加を経験しなくなるまで、本発明の方法に従って投与される。
【0328】
いくつかの実施形態では、非連続処置は、連続処置の後に投与され、非連続処置は医師の判断に基づき、対象は連続及び非連続処置後に対象の視力における≦5ETDRS文字差異によって決定される安定化した視覚を有する。
【0329】
いくつかの実施形態では、前回の月毎評価から>5ETDRS文字の視力低下、新規の重大な網膜内または網膜下出血、及び/または中心窩網膜内流体における≧50μmの増加を有する対象は再処置される。
【0330】
いくつかの実施形態では、連続方法は、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニストを、湿潤型AMDを処置するまたは予防するため
に有効である量で投与することを含み、前記投与は1カ月±約7日間毎に1回、12連続月にわたって生じる。いくつかの実施形態では、本方法は、対象の視力を該12連続月の直後、1カ月、±約7日間に測定することをさらに含み、該12連続月の12カ月目及び該12連続月の直後1カ月に測定された対象の視力は、該12連続月の11カ月目に測定された対象の視力と≦5ETDRS文字差異である。
【0331】
いくつかの実施形態では、本方法は、対象の視力を1カ月±約7日間毎に1回、それぞれの追加の11連続月に測定することをさらに含む。いくつかの実施形態では、追加の11連続月の任意の2連続月に測定された対象の視力は、該2連続月の直前の月に測定された対象の視力において≦5ETDRS文字差異である。
【0332】
いくつかの実施形態では、12連続月の12カ月目及び該12連続月の直後1カ月に測定された対象の視力は、該12連続月の11カ月目に測定された対象の視力において≦5ETDRS文字差異ではなく、対象は再処置される。いくつかの実施形態では、再処置は、任意の後続の2連続月の対象の視力が、該後続の2連続月の最初の月の直前の月に測定された対象の視力において≦5ETDRS文字差異になるまで、12連続月の直後1カ月にアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニストを、湿潤型AMDを処置するまたは予防するために有効である量で患者に投与すること、患者の視力を該12連続月の直後1カ月の直後の1カ月、±約7日間、に測定すること、及び各直後の月にアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニストを、湿潤型AMDを処置するまたは予防するために有効である量で対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、経過月の総数は24を超過しない。
【0333】
12連続月の直後1カ月に測定された対象の視力が、該12連続月の12カ月目に測定された対象の視力において≦5ETDRS文字差異ではなく、新規に診断された中心窩萎縮または悪化した透光体不透明度にのみ起因するわけではない、いくつかの実施形態では、本方法は、任意の後続の2連続月に測定された対象の視力が該後続の2連続月の最初の月の直前の月に測定された対象の視力において≦5ETDRS文字差異になるまで、12連続月の直後1カ月にアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニストを、湿潤型AMDを処置するまたは予防するために有効である量で対象に投与すること;及び各直後の月に(a)及び(b)を、湿潤型AMDを処置するまたは予防するために有効である量で対象に投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、経過月の総数は24を超過しない。
【0334】
12連続月の直後一カ月、±約7日間、に対象が網膜内または網膜下出血または≧50μmの中心窩網膜内流体における増加を表す、いくつかの実施形態では、本方法は、任意の後続の2連続月の対象の視力が該後続の2連続月の最初の月の直前の月に測定された対象の視力において≦5ETDRS文字差異になるまで、12連続月の直後の一カ月にアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニストを、湿潤型AMDを処置するまたは予防するために有効である量で対象に投与すること;及び各直後の月に(a)及び(b)を、湿潤型AMDを処置するまたは予防するために有効である量で対象に投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、経過月の総数は24を超過しない。
【0335】
アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニストを硝子体内に1カ月±約7日間毎に1回、第一の12連続月にわたって投与すること、及びその直後、第二の12連続月の2月目に開始して、2カ月±約7日間毎に1回、第二の12連続月にわたって投与することを含む方法も本明細書に提供する。いくつかの実施形態では、アンタゴニストAまたはその医薬的に許容され得る塩は、VEGFアンタゴニストの投与の約1分、約2分、約5分、約10分、約15分、約20分、約25分、約30
分、約40分、約50分、約60分、約90分、約2時間、約4時間、約6時間、約8時間、約12時間以内に投与される。いくつかの実施形態では、VEGFアンタゴニストは、アンタゴニストAまたはその医薬的に許容され得る塩の投与の前に投与される。他の実施形態では、アンタゴニストAまたはその医薬的に許容され得る塩は、VEGFアンタゴニストの投与の前に投与される。いくつかの実施形態では、アンタゴニストAまたはその医薬的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニストは、共製剤として投与される。いくつかの実施形態では、投与されるアンタゴニストAまたはその医薬的に許容され得る塩の量は、約1.5mg/眼であり、投与されるVEGFアンタゴニストの量は、約0.5mg/眼(例えば、ラニビズマブ)、約1.25mg/眼(例えば、ベバシズマブ)、約1.65mg/眼(例えば、ペガプタニブナトリウム)、または約2.0mg/眼(例えば、アフリベルセプト)である。
【0336】
いくつかの実施形態では、本方法は、第一の12連続月及び第二の12連続月の間、対象の視力を1カ月±約7日間毎に1回、測定することをさらに含む。いくつかの実施形態では、第二の連続12カ月の1、3、5、7、9、11カ月目のいずれか1つにて測定された対象の視力は、第二の連続12カ月の1、3、5、7、9、及び11カ月目の直前の月に測定された患者の視力に対して、少なくとも5ETDRS文字低減した。
【0337】
いくつかの実施形態では、本方法は、対象に、湿潤型AMDを処置するまたは予防するために有効なある量のアンタゴニストAまたはその医薬的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニストを、直前の月に測定された患者の視力に対して対象の視力が少なくとも5ETDRS文字の低減を測定した月に投与することをさらに含む。
【0338】
いくつかの実施形態では、本方法は、アンタゴニストAまたはその医薬的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニストを、第二の連続12カ月の1、3、5、7、9、及び11カ月目のいずれか1つにて投与することをさらに含む。
【0339】
いくつかの実施形態では、視力における低減は、単に新規に診断された中心窩萎縮または不透明な透光体に起因する。
【0340】
いくつかの実施形態では、対象は、第二の連続12カ月の1、3、5、7、9、及び11カ月目のいずれか1つで網膜内または網膜下出血または中心窩網膜内流体における≧50μmの増加を表す。
【0341】
いくつかの実施形態では、本方法は、アンタゴニストAまたはその医薬的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニストを、対象が網膜内または網膜下出血または中心窩網膜内流体における≧50μmの増加を表した月に投与することをさらに含む。
【0342】
アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニストを硝子体内に1カ月±約7日間毎に1回、24連続月にわたって投与することを含む方法も本明細書に提供する。他の実施形態では、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及びVEGFアンタゴニストは、月1回3カ月間、その後21カ月間は1カ月おきに硝子体内投与される。いくつかの実施形態では、アンタゴニストAまたはその医薬的に許容され得る塩は、VEGFアンタゴニストの投与の約1分、約2分、約5分、約10分、約15分、約20分、約25分、約30分、約40分、約50分、約60分、約90分、約2時間、約4時間、約6時間、約8時間、約12時間以内に投与される。いくつかの実施形態では、VEGFアンタゴニストは、アンタゴニストAまたはその医薬的に許容され得る塩の投与の前に投与される。他の実施形態では、アンタゴニストAまたはその医薬的に許容され得る塩は、VEGFアンタゴニストの投与の前に投与される。いくつかの実施形態では、アンタゴニストAまたはその医薬的に許容され得る塩及びVEGFア
ンタゴニストは、共製剤として投与される。いくつかの実施形態では、投与されるアンタゴニストAまたはその医薬的に許容され得る塩の量は、約1.5mg/眼であり、投与されるVEGFアンタゴニストの量は、約0.5mg/眼(例えば、ラニビズマブ)、約1.25mg/眼(例えば、ベバシズマブ)、約1.65mg/眼(例えば、ペガプタニブナトリウム)、または約2.0mg/眼(例えば、アフリベルセプト)である。
【0343】
いくつかの実施形態では、本方法は、それを必要とする対象に(a)アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、及び(b)VEGFアンタゴニストを投与することを含み、(a)及び(b)は眼科疾患または障害(例えば、湿潤型AMD)を処置するまたは予防するために有効である量で投与され、前記投与は1カ月±約7日間毎に1回、少なくとも3連続月の第一投与期間にわたって生じ、その後(a)及び(b)の投与を第二投与期間にわたり少なくとも1カ月±約7日間おきの頻度で(a)及び(b)が投与された前記第一投与期間の最終月の日から2カ月±約7日後に開始する。いくつかの実施形態では、第一投与期間は、少なくとも6連続月にわたる。いくつかの実施形態では、VEGFアンタゴニストはラニビズマブまたはベバシズマブであり、(a)及び(b)は第二投与期間中、1カ月±約7日間毎に1回の頻度で投与され、該第二投与期間は少なくとも9カ月である。
【0344】
いくつかの実施形態では、本方法は、(a)及び(b)の投与の前及び約1カ月以内の日に対象の視力を測定することをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法は、任意の後続の2連続月の対象の視力が、該後続の2連続月の最初の月の直前の月に測定された対象の視力において≦5ETDRS文字差異になるまで、対象に(a)及び(b)を眼科疾患または障害(例えば、湿潤型AMD)を処置するまたは予防するために有効である量で投与することをさらに含む。
【0345】
いくつかの実施形態では、本方法は、任意の2連続視力評価の対象の視力が、該2連続視力評価の最初の評価の直前の視力評価で測定された対象の視力において≦5ETDRS文字差異でなくなるまで、対象に(a)及び(b)を一カ月おきに、眼科疾患または障害(例えば、湿潤型AMD)を処置するまたは予防するために有効である量で投与することをさらに含む。
【0346】
他の実施形態では、本方法は、任意の後続の2連続月の対象の視力が、該後続の2連続月の最初の月の直前の月に測定された対象の視力において≦5ETDRS文字差異になるまで、対象に(a)及び(b)を毎月、眼科疾患または障害(例えば、湿潤型AMD)を処置するまたは予防するために有効である量で投与することをさらに含む。
【0347】
いくつかの実施形態では、本方法は、それを必要とする対象に(a)アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及び(b)アフリベルセプトを投与することを含み、(a)及び(b)は眼科疾患または障害(例えば、湿潤型AMD)を処置するまたは予防するために有効である量で投与され、前記投与は1カ月±約7日間毎に1回、少なくとも3連続月の第一投与期間にわたって生じ、その後(a)及び(b)の投与を第二投与期間にわたり少なくとも1カ月±約7日間おきの頻度で(a)及び(b)が投与された前記第一投与期間の最終月の日から2カ月±約7日後に開始する。
【0348】
いくつかの実施形態では、対象は網膜内または網膜下出血または中心窩網膜内流体において≧50μmの増加を、第二投与期間の直後、一カ月、±約7日間で有する。いくつかの実施形態では、本方法は、12連続月後の任意の2連続月に測定された対象の視力が、該2連続月の最初の月の直前の月に測定された対象の視力において≦5ETDRS文字差異になるまで、各月±約7日間に、第二投与期間直後の月に開始して(a)及び(b)を、湿潤型AMDを処置するまたは予防するために有効である量で対象に投与することをさ
らに含む。
【0349】
いくつかの実施形態では、処置の経過月の総数は24を超過しない。
【0350】
本発明にかかる医薬組成物は、制御放出製剤を使用して、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、VEGFアンタゴニスト、または抗C5剤を、実質的に投与時即座にまたは投与後任意の所定の時間に放出するように、製剤化され得る。例えば、医薬組成物は、持続放出形態で提供されることができる。即時または持続放出組成物の使用は、処置される症状の性質に応じる。症状が急性障害からなる場合、即時放出形態を用いた処置が、長期放出組成物の上に利用されることができる。ある予防的なまたは長期処置については、持続放出組成物も適当であることができる。
【0351】
制御放出製剤における一方または両方のアンタゴニスト、または抗C5剤の投与は、単独のまたは併用されるアンタゴニストが、(i)狭い治療係数(例えば、有害な副作用または毒性反応につながる血漿濃度と治療効果につながる血漿濃度間の差異が小さい;通常、治療係数、TIは半数致死用量(LD50)対半数有効用量(ED50)の比率として規定される;(ii)胃腸管における狭い吸収ウィンドウ;(iii)短い生物学的半減期を有し、血漿レベルを治療レベルに持続させるために1日の間に頻繁な投薬が必要とされる場合に、有用であることができる。
【0352】
多くの方略を、放出の速度が治療アンタゴニストの分解または代謝の速度を上回る制御放出を得るために探求することができる。例えば、制御放出は、例えば、適切な制御放出組成物及びコーティングを含む、製剤パラメータ及び成分の適切な選択により得られることができる。例としては、シングルユニット型またはマルチプルユニット型錠剤またはカプセル組成物、油溶液、懸濁剤、乳剤、マイクロカプセル、ミクロスフェア、ナノ粒子、パッチ、及びリポソームが挙げられる。かかる持続または制御放出製剤を調整するための方法は、当該分野で周知である。
【0353】
アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、VEGFアンタゴニスト、または抗C5剤は、インプラントなどの薬物送達デバイスを使用して送達されることもできる。かかるインプラントは、生分解性及び/または生体適合性であることができ、または非生分解性であることができる。インプラントは、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、VEGFアンタゴニスト、または抗C5剤に透過性であることができる。眼薬送達デバイスは、前眼房または後眼房などの眼房へと挿入されることができ、または強膜、上脈絡膜腔、または硝子体の外側の無血管領域内または上に移植されることができる。一実施形態では、インプラントは、強膜上などの無血管領域上に、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、VEGFアンタゴニスト、または抗C5剤の処置の望まれる部位、例えば、眼内腔及び眼の黄斑への、経強膜(transcleral)拡散を可能にするように、配置されることができる。さらには、経強膜拡散の部位は、新生血管の部位に近位、例えば、黄斑に近位であることができる。好適な薬物送達デバイスは、例えば、米国公開第2008/0286334;2008/0145406;2007/0184089;2006/0233860;2005/0244500;2005/0244471;及び2005/0244462、及び米国特許第6,808,719号及び5,322,691号に記載されており、そのそれぞれの内容はその全体において参照により本明細書に組み込まれる。
【0354】
一実施形態では、インプラントは、生分解性ポリマーマトリックス内に分散された、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及び/またはVEGFアンタゴニストを含む。マトリックスは、PLGA(ポリ乳酸-ポリグリコール酸コポリマー)、エステル末端がキャップされたポリマー、酸末端がキャップされたポリマー、またはその混
合物を含むことができる。別の実施形態では、インプラントは、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及び/またはVEGFアンタゴニスト、界面活性剤、及び親油性化合物を含む。親油性化合物は、インプラントの約80~99重量%の量で存在することができる。好適な親油性化合物は、パルミトステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸ジエチレングリコール、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノステアリン酸グリセリル、モノリノール酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、モノパルミチン酸グリセリル、モノラウリン酸グリセリル、ジラウリン酸グリセリル、モノミリスチン酸グリセリル、ジミリスチン酸グリセリル、モノパルミチン酸グリセリル、ジパルミチン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、ジオレイン酸グリセリル、モノリノール酸グリセリル、ジリノール酸グリセリル、モノアラキジン酸グリセリル、ジアラキジン酸グリセリル、モノベヘン酸グリセリル、ジベヘン酸グリセリル、及びその混合物を含むが、これに限定されない。別の実施形態では、インプラントは、中空スリーブ内に格納されたアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及び/またはVEGFアンタゴニストを含む。PDGFアンタゴニストまたはVEGFアンタゴニスト、または両方は、スリーブを眼内に挿入すること、インプラントをスリーブから眼内へと放出すること、それからスリーブを眼から取り除くことによって眼に送達される。この送達デバイスの例は、その全体において参照により本明細書に組み込まれる、米国公開第2005/0244462に記載されている。
【0355】
一実施形態では、インプラントは、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及び/またはVEGFアンタゴニストの眼内への制御された持続放出に適当な柔軟な眼挿入デバイスである。一実施形態では、デバイスは、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩、VEGFアンタゴニストまたは両方を含有するロッドまたは管の形態の高分子材料の細長い本体を、本体から半径方向外向きに延びる少なくとも2つの係留突起を伴って含む。デバイスは、少なくとも8mmの長さを有し得、突起を含むその本体部分の直径は1.9mmを超えない。持続放出のメカニズムは、例えば、拡散または浸透または生物侵食によることができる。挿入デバイスは、結膜嚢解剖学的構造のおかげで、眼の動きとは独立するように眼の上方または下方結膜嚢(formix)内へと挿入されることができる。突起は様々な形状であることができ、例えば、リブ、ネジ、窪みまたは隆起、切頭円錐形セグメントまたは編組セグメントなどであることができる。さらなる実施形態では、本体用の高分子材料は、液体環境にて膨張するものとして選択される。ゆえに、より小さい初期サイズのデバイスが採用されることができる。挿入デバイスは、上方または下方結膜嚢内への挿入の際に、長期の使用期間にわたって正しい場所によく保定されレシピエントに知覚されないように、デバイスが視野の外のままであるようなサイズまたは構造であることができる。デバイスは、上方または下方結膜嚢内に7~14日またはより長く保定されることができる。このデバイスの例は、その全体において参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,322,691号に記載される。
【0356】
キット
【0357】
本発明は、1つまたは複数の医薬組成物及びその使用説明書を含むキットに関する。少なくとも2つのアンタゴニストは一緒にまたは別の組成物にて個別の投与量で製剤化されることができる。アンタゴニストは、医薬的に許容され得る塩として製剤化されたときも有用である。一実施形態では、キットは、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及び医薬的に許容され得るキャリアまたはビヒクルを含む組成物及びVEGFアンタゴニスト及び医薬的に許容され得るキャリアまたはビヒクルを含む別の組成物を含む。別の実施形態では、キットは、VEGFアンタゴニスト、アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及び医薬的に許容され得るキャリアまたはビヒクルを含む組成物を含む。それぞれのキットの組成物は、容器内に含有されることができる。いくつかの実施形態では、キットは抗C5剤を含む。
【0358】
キットは、(1)ある量のアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及び医薬的に許容され得るキャリア、ビヒクル、または希釈剤を第一単位剤形で;(2)ある量のVEGFアンタゴニスト及び医薬的に許容され得るキャリア、ビヒクル、または希釈剤を第二単位剤形で;及び(3)容器を含むことができる。容器は、構成成分を分けるために使用されることができ、例えば、分割されたボトルまたは分割されたホイルの箱を含む。分けられたアンタゴニスト組成物は、必要に応じて、単一の分割されていない容器内に含有されてもよい。いくつかの実施形態では、キットは抗C5剤を含む。
【0359】
キットは、アンタゴニストの投与のための指示も含む。キットは、分けられた構成成分が、異なる投与形態で投与されるとき、異なる投与量レベルで投与されるとき、または個別のアンタゴニストの用量設定が望まれるときに、特に有利である。
実施例
実施例1:新生血管加齢黄斑変性症(NVAMD)に続発する中心窩下新生血管病変を処置するためのアンタゴニストA及びラニビズマブ併用療法
【0360】
本試験では、NVAMDに続発する中心窩下新生血管病変を有する449人の対象が、ラニビズマブ(Lucentis(登録商標)として投与された、カリフォルニア州サウスサンフランシスコのGenentechから市販されている)と併用して与えられたアンタゴニストAの6カ月間の硝子体内注射を受けた。アンタゴニストAは、表12に示す製剤として注射された。本研究における有効性の主要エンドポイントは、24週目の来院での視力におけるベースラインからの平均変化とした。分析計画において事前に指定されているように、Hochberg procedure(Hochberg,Y.(1988).A sharper Bonferroni procedure for multiple tests of significance.Biometrika.75,800-802)を採用して複数回投与比較を説明した。
【0361】
対象を表13に示すグループに1:1:1の比率で無作為化した。
【0362】
【表11】
【0363】
【表12】
【0364】
併用療法は、抗VEGF薬単独療法を用いて処置された眼と比較したときの平均視力改善において優れていると証明した。Lucentis(登録商標)及び1.5mg/眼または0.3mg/眼のアンタゴニストAのいずれかを用いて処置された対象は、Luce
ntis(登録商標)単独を用いて処置されたそれと比較して視力の増加を示した(図2)。1.5mg/眼のアンタゴニストA及び0.5mgのLucentis(登録商標)の併用は、ベースラインから24週目までのラニビズマブ単独療法と比較して、前もって指定された、視力増加の平均変化における優位性のα保護主要エンドポイントを満たした(24週目で、6.5文字と比較して、10.6ETDRS文字、p=0.019、62%の付加利益を表す)。(図3)Lucentis(登録商標)及び1.5mgまたは0.3mgのアンタゴニストAのいずれかを用いて処置された対象は、Lucentis(登録商標)単独を用いた処置と比較して、ベースラインから62%の比較利益を示した。
【0365】
加えて、継時的な視覚における平均変化は、24週にわたる各測定時点での併用療法の利益を実証した(図4)。その利益は、本試験の間持続され、試験終了時での曲線の分化が増大することを実証した。
【0366】
湿潤型AMD患者における0.5mgのLucentis(登録商標)及び1.5mgまたは0.3mgのアンタゴニストAのいずれかを用いた処置はまた、Lucentis(登録商標)単独を用いて処置された患者と比較して、ベースラインの病変部サイズまたは視覚とは独立して、有効性が増大した(図5A及び5B)。
【0367】
図6A及び表14に示すように、24週目での複数の処置エンドポイントに関して、ラニビズマブ単独療法群の対象と比較して、併用療法(1.5mg)群においてより高い割合(%)の対象が、視覚結果の向上を達成した。
【0368】
【表13】
【0369】
さらには、図6B及び表15に示すように、24週目でラニビズマブ単独療法群における対象の数と比較して、併用療法(1.5mg)群においてより少ない対象が視力の低下を実証した。
【0370】
【表14】
【0371】
Lucentis(登録商標)及び1.5mgのアンタゴニストAを用いて処置された対象は、Lucentis(登録商標)単独療法を用いて処置された対象と比較して、最終視力の改善を示した(図7)。併用療法(1.5mg)群における対象はまた、ラニビズマブ単独療法群における対象と比較して、小さい及び大きいベースラインCNVにおけるCNVサイズの減少量の増加も示した(図8A及び8B)。
【0372】
併用療法は十分に耐容性を示した。合計4431回の硝子体内注射(アンタゴニストAの1776回の投与及びLucentis(登録商標)の2655回の投与)の後に、眼内炎、網膜剥離、網膜裂孔または医原性外傷性白内障の事象はなかった。予測通り、各硝子体内注射の後に増加した平均眼圧(IOP)は、体積効果と一致した。しかしながら、全ての群における平均IOPは、本試験の終了時を含む次回来院時には注射前レベルに戻った。併用療法の全身の安全性プロファイルは、ラニビズマブ単独療法のそれと類似した。
【0373】
本治験の結果は、湿潤型AMDの処置について、Lucentis(登録商標)(ラニビズマブ)単独療法よりも、アンタゴニストA及びラニビズマブを用いた併用処置の統計学的に有意に優れた有効性を示す。
実施例2:湿潤型AMDの処置のためのARC1905
【0374】
中心窩下新生血管AMDを有する43人の患者は、Lucentisと併用してARC1905(0.3mg/眼、1mg/眼または2mg/眼)を6回の月1回投与を受けた。24週目での視力における平均変化は、それぞれ、0.3mg、1mg及び2mgの投与量で、+13.6、+11.7及び+15.3文字の増加であった。さらには、46%、47%及び60%の患者が、それぞれ0.3mg、1mg、及び2mgの投与量で、3またはそれ以上のラインの視力を改善した。
実施例3:乾燥型AMDの処置及び予防のためのARC1905
【0375】
乾燥型AMDを有する47人の患者が参加して、36週間の処置期間にわたって0.3mg/眼または1.0mg/眼いずれかのARC1905の硝子体内注射を5回受けた。図9は、0、4、及び8週目に0.3mgまたは1.0mgいずれかの用量のARC1905を用いて処置された患者において24週目で測定された乾燥型AMD患者の地図状萎縮(GA)病変面積における平均変化を示す。図10は、0、4、8、24、及び36週目に0.3mgまたは1.0mgいずれかの用量のARC1905で処置された患者の2
4週目及び48週目で測定された乾燥型AMD患者におけるGA病変の平均変化を示す。結果は、GA病変の成長における用量依存性の減少を示し、それはARC1905が非滲出型AMD患者においてGAの進行を遅らせることができることを示す。
実施例4:ETDRSチャートを使用した視力検査
【0376】
最良矯正視力を、標準チャート、照明、及び手順を使用して測定した。最良矯正はその来院時の慎重な屈折によって決定される。
【0377】
チャート1(図11)は、右眼の視力を検査するために使用される。チャート2(図12)は、左眼を検査するために使用される。チャートR(図13)は、屈折を検査するために使用される。対象は、検査の前にいずれのチャートも見ない。
【0378】
対象の眼と視力チャート間に4メートルの距離がある。ボックスライトがオフの状態で、15フィート燭(161.4ルクス)以下の光をチャートの中央に落とす。光の量を測定するため、部屋を視力検査用に設定するが、ボックスライトはオフにした状態である。照度計を、その裏側がチャートに対する状態で、チャートの上から4つ目のラインに置き、読み取りが行われる。複数のレーンが視力を検査するために利用可能である場合には、個別の対象の視力は、各来院時に同一のレーンで測定されるべきである。視力の検査に異なるレーンを使用する場合、それらはそれぞれ同一の基準を満たす。
【0379】
反輝光線法を用いる(Retroilluminated)ETDRSチャートを使用する。照明ボックスは壁掛けであるかまたはスタンドに取り付けられるかのいずれかである(Lighthouse Low Vision Servicesから入手可能)。ライトボックスは、3行目の文字の上部が床から49±2インチとなるような高さに取り付けられる。
【0380】
視力ライトボックスには、2つの20ワット蛍光管(General Electric Cool Daylightから入手可能)及び部分的に管を覆う安定器が装備されている。蛍光管の照明は、通常、最初の100時間の間に5%減少し、次の2000時間の間にさらに5%減少するため、新しい管を連続して4日間(96時間)保持し、年に1回交換する。
【0381】
ステッカーをライトボックスの背面に貼り、それは現在の管が設置された日を示す。バーンイン電球(burned in bulbs)の予備のセットが入手可能である。
【0382】
各管は、背面で開いている、14インチの有窓スリーブで部分的に覆われる。これは、照明を減らすためのバッフルとして機能する。各スリーブは、開口部を背面方向に有して管上中央に配置される。
【0383】
屈折が1メートルで実施される場合であっても、全ての眼を4メートルでまず検査した。対象は、眼が4メートルの距離のままであるように、チャートの直接前に快適に座る。検査は右眼から開始する。対象の左目は遮閉する。検眼枠の後方、眼上に軽くテープで固定された折り畳んだティッシュまたは眼パッドは、覆った眼の不用意な使用を伴わずに中心外固視を可能にする効果的な遮閉具として機能する。右眼を検査した後、左目を検査するためにチャート2が掲示される前に、右眼の遮閉がなされる。
【0384】
自覚的屈折検査からのレンズ補正は、対象に着用された検眼枠内にある。
【0385】
対象には、文字をゆっくり、おおよそ1秒あたり1文字で読むように求める。対象には、チャート上の各文字を読むチャンスは一度のみであると伝える。対象が文字の識別に確
信を持てない場合、対象を推測するように励ます。
【0386】
対象は、チャートの一番上のラインを読むことから開始し、各ライン上左から右へそれぞれのより小さいライン上の全ての文字を読み続ける。検査員は、全ての正しく読まれた文字を丸で囲み、各ライン及び列全体をデータ収集フォーム上に総計する(正しい文字がない場合は0)。Xを誤って読まれた文字に載せる。何の推測も試みられなかった文字は丸で囲まれない。対象が、彼/彼女が推測できないレベルに達すると、検査官は、対象が前回の推測でエラーをしている条件下で検査を終了することができ、これは最良視力が得られたことを明確に示している。
【0387】
対象が4.0メートルでチャート上の少なくとも20文字を読むことができない場合、対象は1.0メートルで検査される。対象からチャートへの距離は、剛性の1メートルの棒を使用して再度測定されるべきである。距離は、外眼角からチャートの3つ目のラインの4つ目の文字(右眼)または2番目の文字(左)の中心まで測定される。検眼枠における球面補正は、より近い検査距離用に補正するために+0.75を付加することによって変えられるべきである。対象は、視力を改善させるために彼/彼女の頭を偏心的に固定するまたは回すまたは振ってもよい。これがされた場合、検査官は、一方の眼が中心的及び末梢的の両方で遮閉されたままであること、及び対象が椅子の前方に動いていないことを確認する。1メートルで検査するときは、対象が前方に動いていないことを特に注意して確認しなければならない。対象は、まばたきをするように促される。
【0388】
検査官は、文字が正しく識別されたかどうか対象に伝えない。対象を、「良い」、「次」、「OK」などの中立的なコメントで励ましてよい。
【0389】
検査官は、検査の間チャートの近くに立たない。検査官は、対象及びデータ収集フォームに注意を集中する。対象が次に読むラインの特定に困っている場合には、検査官はチャートまで行き、読むべき次のラインを指摘してよく、そしてチャートから離れる。
【0390】
4.0メートルで眼の視力の測定が可能である(つまり、20またはそれ以上の文字が4メートルで読まれた)時、その眼の視力スコアは正しい文字の数+30として記録される。対象は、読む必要がなくても、1メートルでの30文字の信頼を得る。あるいは、視力スコアは1.0メートルで正しく読まれた文字の数+、あれば、4メートルで読まれた文字の数である。4.0メートルまたは1メートルのいずれでも正しく読まれた文字が無い場合には、視力スコアは0と記録される。
参照による組み込み
【0391】
本明細書に開示されている全ての刊行物及び特許出願は、本明細書において、それぞれ個々の刊行物または特許出願が具体的かつ個別に参照により組み込まれることが示された場合と同じ程度に、参照により組み込まれる。
発明の態様
[態様1]湿潤型加齢黄斑変性症(湿潤型AMD)を処置するまたは予防するための方法であって、それを必要とする対象に(a)アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩及び(b)VEGFアンタゴニストを投与することを含み、(a)及び(b)は湿潤型AMDを処置するまたは予防するために有効である量で投与され、前記投与が1カ月±約7日間毎に1回、少なくとも3連続月の第一投与期間にわたって生じ、その後(a)及び(b)の投与を第二投与期間にわたり少なくとも1カ月±約7日間おきの頻度で(a)及び(b)が投与された前記第一投与期間の最終月の日から2カ月±約7日後に開始する、前記方法。
[態様2](a)及び(b)が、互いの約60分以内に投与される、態様1に記載の方法。
[態様3]前記VEGFアンタゴニストが、ラニビズマブ、ベバシズマブ、ペガプタニブナトリウム、ESBA1008またはアフリベルセプトである、態様1に記載の方法。
[態様4]前記VEGFアンタゴニストがラニビズマブまたはベバシズマブであり、(a)及び(b)が前記第二投与期間中1カ月±約7日間毎に1回の頻度で投与され、前記第二投与期間が少なくとも約9カ月である、態様1に記載の方法。
[態様5]前記対象の視力を測定することをさらに含む、態様4に記載の方法。
[態様6]任意の3連続月の最近2カ月の前記対象の視力が、前記3連続月の最初の月の前記対象の視力から≦5ETDRS文字差異となるまで、前記対象に(a)及び(b)を、湿潤型AMDを処置するまたは予防するために有効である量で投与することをさらに含む、態様5に記載の方法。
[態様7]前記対象に(a)及び(b)を1カ月おきに、湿潤型AMDを処置するまたは予防するために有効である量で投与することをさらに含み、任意の3連続月の最近2カ月の前記対象の視力が、前記3連続月の最初の月の前記対象の視力から≦5ETDRS文字差異となる、態様5に記載の方法。
[態様8]任意の3連続月の最近2カ月の前記対象の視力が、前記3連続月の最初の月の前記対象の視力から≦5ETDRS文字差異となるまで、前記対象に(a)及び(b)を毎月、湿潤型AMDを処置するまたは予防するために有効である量で投与することをさらに含む、態様7に記載の方法。
[態様9]前記VEGFアンタゴニストがアフリベルセプトである、態様1に記載の方法。
[態様10]前記月の総数が24を超過しない、態様1に記載の方法。
[態様11]前記対象が、網膜内または網膜下出血または中心窩網膜内流体における≧50μmの増加を、前記第二投与期間の直後1カ月、±約7日間、に有する、態様4に記載の方法。
[態様12]前記12連続月後の任意の3連続月の最近2カ月の前記対象の視力が、前記3連続月の最初の月の前記対象の視力から≦5ETDRS文字差異になるまで、前記対象に、前記第二投与期間の直後の月に開始して、各月±約7日間に(a)及び(b)を、湿潤型AMDを処置するまたは予防するために有効である量で投与することをさらに含む、態様11に記載の方法。
[態様13]前記月の総数が24を超過しない、態様12に記載の方法。
[態様14]アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩が、約1.5mg/眼の量で硝子体内投与される、態様1に記載の方法。
[態様15]前記VEGFアンタゴニストがベバシズマブであり、約1.25mg/眼の量で硝子体内投与される、態様4に記載の方法。
[態様16]前記VEGFアンタゴニストが、約2mg/眼の量で硝子体内投与される、態様9に記載の方法。
[態様17]前記VEGFアンタゴニストがラニビズマブであり、約0.5mg/眼の量で硝子体内投与される、態様4に記載の方法。
[態様18]抗C5剤を投与することをさらに含む、態様1に記載の方法。
[態様19](a)及び(b)を、前記対象が網膜内または網膜下出血または中心窩網膜内流体において≧50μmの増加を有する月に投与することをさらに含む、態様1に記載の方法。
[態様20]網膜下線維症を処置するまたは予防するための方法であって、それを必要とする対象に(a)アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩を、網膜下線維症を処置するまたは予防するために有効である量で投与することを含む、前記方法。
[態様21]前記対象に(b)VEGFアンタゴニストを投与することをさらに含み、(a)及び(b)が網膜下線維症を処置するまたは予防するために有効である量で投与される、態様20に記載の方法。
[態様22]前記対象が湿潤型加齢黄斑変性症(湿潤型AMD)を有する、態様20に記載の方法。
[態様23]前記網膜下線維症が前記湿潤型AMDに伴う、態様22に記載の方法。
[態様24]アンタゴニストAまたは別のその医薬的に(pharmacetically)許容され得る塩を投与することが、スペクトラルドメイン光干渉断層法(SD-OCT)によって証明される網膜下高輝度像(SHRM)のサイズの低減をもたらす、または前記対象の視覚の安定化をもたらす、態様20に記載の方法。
[態様25]アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩が、約1.5mg/眼の量で硝子体内投与される、態様20に記載の方法。
[態様26]前記VEGFアンタゴニストが、ベバシズマブ、ラニビズマブ、アフリベルセプト、ペガプタニブナトリウムまたはESBA1008である、態様21に記載の方法。
[態様27]前記VEGFアンタゴニストがベバシズマブであり、約1.25mg/眼の量で硝子体内投与される、態様26に記載の方法。
[態様28]前記VEGFアンタゴニストがアフリベルセプトであり、約2mg/眼の量で硝子体内投与される、態様26に記載の方法。
[態様29]前記VEGFアンタゴニストがラニビズマブであり、約0.5mg/眼の量で硝子体内投与される、態様26に記載の方法。
[態様30]抗C5剤を投与することをさらに含む、態様21に記載の方法。
[態様31]フォン・ヒッペル・リンドウ(VHL)病を処置するまたは予防するための方法であって、それを必要とする対象にアンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩を、VHL病を処置するまたは予防するために有効である量で投与することを含む、前記方法。
[態様32]VEGFアンタゴニストを投与することをさらに備える、態様31に記載の方法。
[態様33]アンタゴニストAまたは別のその医薬的に許容され得る塩が、約1.5mg/眼の量で硝子体内投与される、態様31に記載の方法。
[態様34]前記VEGFアンタゴニストがベバシズマブであり、約1.25mg/眼の量で硝子体内投与される、態様32に記載の方法。
[態様35]前記VEGFアンタゴニストがアフリベルセプトであり、約2mg/眼の量で硝子体内投与される、態様32に記載の方法。
[態様36]前記VEGFアンタゴニストがラニビズマブであり、約0.5mg/眼の量で硝子体内投与される、態様32に記載の方法。
[態様37]抗C5剤を投与することをさらに含む、態様32に記載の方法。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
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図12
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【配列表】
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