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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】ビーム形成装置およびビーム制御方法
(51)【国際特許分類】
   H01Q 21/20 20060101AFI20240319BHJP
   H01Q 3/26 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
H01Q21/20
H01Q3/26 Z
【請求項の数】 26
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022140274
(22)【出願日】2022-09-02
(65)【公開番号】P2023038925
(43)【公開日】2023-03-17
【審査請求日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】63/241,503
(32)【優先日】2021-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】110149040
(32)【優先日】2021-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】520307104
【氏名又は名称】稜研科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】TMY TECHNOLOGY INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【弁理士】
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【弁理士】
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【弁護士】
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】張 書維
【審査官】岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0254559(US,A1)
【文献】Kuikui Fan, et al.,"Cylindrical conformal array antenna with fan-shaped beam for millimeter-wave application",2015 International Symposium on Antennas and Propagation (ISAP),2015年
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 21/20
H01Q 3/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非平面基板と、
複数のアンテナユニットを含み、前記非平面基板に配置されたアンテナアレイと、
前記アンテナアレイに結合され、前記非平面基板の形状および所定の信号角度に基づいて、前記アンテナユニットのうちの少なくとも1つの信号を調整するよう構成された調整回路と、
を含むビーム形成装置。
【請求項2】
前記調整回路に結合され、
前記所定の信号角度および半値電力ビーム幅に基づいて、前記アンテナユニットから少なくとも2つの第1ユニットを選択して電磁波を送受信するよう構成されたコントローラをさらに含む請求項1に記載のビーム形成装置。
【請求項3】
前記少なくとも2つの第1ユニットが、一列に配置され、前記少なくとも2つの第1ユニットのうちの任意の2つの隣接する第1ユニットの間に距離dがあり、前記少なくとも2つの第1ユニットの数量Mが、
であり、
HPBWが、前記半値電力ビーム幅であり、λが、前記信号の波長である請求項2に記載のビーム形成装置。
【請求項4】
前記コントローラが、さらに、
前記所定の信号角度に基づいて、基準点を選択するよう構成され、前記基準点および前記基準点が位置する前記非平面基板の表面に対応する接平面が、前記所定の信号角度に対して垂直である請求項2に記載のビーム形成装置。
【請求項5】
前記コントローラが、さらに、
前記アンテナアレイが配置された領域に前記基準点が位置していることに反応し、前記半値電力ビーム幅に基づいて、一列に配置された前記少なくとも2つの第1ユニットの数量を決定することと、
前記基準点が前記領域に位置していないことに反応し、前記アンテナアレイの操舵角に基づいて、半値電力ビーム幅変化率を決定するとともに、前記半値電力ビーム幅および前記半値電力ビーム幅変化率に基づいて、前記少なくとも2つの第1ユニットを選択することと、
を行うよう構成され、前記操舵角が、前記基準点に最も近いアンテナユニットの接平面の法線と前記所定の信号角度の間の差である請求項4に記載のビーム形成装置。
【請求項6】
前記コントローラに結合され、前記非平面基板上の前記アンテナユニットの位置を保存するよう構成されたメモリをさらに含み、
前記コントローラが、前記アンテナユニットの前記位置に基づいて、前記少なくとも2つの第1ユニットを選択する請求項2に記載のビーム形成装置。
【請求項7】
前記調整回路が、さらに、前記非平面基板上の前記アンテナユニットのうちの前記少なくとも2つの第1ユニットの位置および前記所定の信号角度に基づいて、前記少なくとも2つの第1ユニットのうちの1つの信号の位相差を補償するよう構成され、前記位相差が、前記非平面基板上の前記少なくとも2つの第1ユニットのうちの2つと対応する法線の間の角度差に関連する請求項2に記載のビーム形成装置。
【請求項8】
前記少なくとも2つの第1ユニットが、一列に配置され、前記少なくとも2つの第1ユニットのうちの任意の2つの隣接する第1ユニットの間に距離があり、前記位相差が、さらに、前記角度差および前記距離から得られる前記所定の信号角度に沿った行路差に関連し、
前記位相差Δψが、
であり、
ΔLが、前記行路差であり、λが、前記信号の波長であり、
であり、
dが、前記距離であり、Δθが、前記角度差である請求項7に記載のビーム形成装置。
【請求項9】
前記所定の信号角度が、必要な操舵角をθsにし、前記アンテナユニットが、前記非平面基板の凹面に配置される場合、前記第1ユニットのそれぞれに対応する前記位相差が、
であり、
nが、前記少なくとも2つの第1ユニットのシーケンス番号であり、ψnが、n番目の第1ユニットの前記位相差であり、
が、前記所定の信号角度に対応する第1ユニットのシーケンス番号であり、mが、ファーフィールド距離に対応する前記非平面基板上の前記少なくとも2つの第1ユニットによって占有された領域により定義される円弧の半径の倍数であり、Nが、前記距離に関連する前記少なくとも2つの第1ユニットによって定義される第1アレイの孔径の倍数である請求項8に記載のビーム形成装置。
【請求項10】
前記所定の信号角度が、必要な操舵角をθsにし、前記アンテナユニットが、前記非平面基板の凸面に配置される場合、前記第1ユニットのそれぞれに対応する前記位相差が、
であり、
nが、前記少なくとも2つの第1ユニットのシーケンス番号であり、ψnが、n番目の第1ユニットの前記位相差であり、
が、前記所定の信号角度に対応する第1ユニットのシーケンス番号であり、mが、ファーフィールド距離に対応する前記非平面基板上の前記少なくとも2つの第1ユニットによって占有された領域により定義される円弧の半径の倍数であり、Nが、前記距離に関連する前記少なくとも2つの第1ユニットによって定義される第1アレイの孔径の倍数である請求項8に記載のビーム形成装置。
【請求項11】
前記コントローラが、さらに、
前記少なくとも2つの第1ユニットのうちの2つの隣接するユニット間に位置する基準点に反応し、前記位相差が、前記基準点に最も近い第1ユニットまたは前記基準点に基づいて決定されるよう構成され、前記基準点および前記基準点が位置する表面に対応する接平面が、前記所定の信号角度に対して垂直である請求項7に記載のビーム形成装置。
【請求項12】
前記調整回路に結合され、
前記アンテナユニットに対する前記調整回路の位相遅延を決定するよう構成されたコントローラをさらに含む請求項1に記載のビーム形成装置。
【請求項13】
前記調整回路に結合され、
前記非平面基板上の前記アンテナユニットの位置に基づいて、前記調整回路を介して前記アンテナユニットのうちの少なくとも1つに素子要素を補償するよう構成されたコントローラをさらに含む請求項1に記載のビーム形成装置。
【請求項14】
前記調整回路に結合され、
前記非平面基板上の前記アンテナユニットの位置に基づいて、前記調整回路を介して前記アンテナユニットのうちの少なくとも1つに経路損失を補償するよう構成されたコントローラをさらに含む請求項1に記載のビーム形成装置。
【請求項15】
非平面基板およびアンテナアレイを提供し、前記アンテナアレイが、複数のアンテナユニットを含み、前記非平面基板に配置されるステップと、
前記非平面基板の形状および所定の信号角度に基づいて、前記アンテナユニットのうちの少なくとも1つの信号を調整するステップと、
を含むビーム制御方法。
【請求項16】
前記所定の信号角度および半値電力ビーム幅に基づいて、前記アンテナユニットから少なくとも2つの第1ユニットを選択して電磁波を送受信するステップをさらに含む請求項15に記載のビーム制御方法。
【請求項17】
前記少なくとも2つの第1ユニットが、一列に配置され、前記少なくとも2つの第1ユニットのうちの任意の2つの隣接する第1ユニットの間に距離dがあり、前記少なくとも2つの第1ユニットの数量Mが、
により決定され、
HPBWが、前記半値電力ビーム幅であり、λが、前記信号の波長である請求項16に記載のビーム制御方法。
【請求項18】
前記所定の信号角度に基づいて、基準点を選択するステップをさらに含み、前記基準点および前記基準点が位置する前記非平面基板の表面に対応する接平面が、前記所定の信号角度に対して垂直である請求項16に記載のビーム制御方法。
【請求項19】
前記アンテナアレイが配置された領域に前記基準点が位置することに反応し、前記半値電力ビーム幅に基づいて、一列に配置された前記少なくとも2つの第1ユニットの数量を決定するステップと、
前記基準点が前記領域に位置していないことに反応し、前記アンテナアレイの操舵角に基づいて、半値電力ビーム幅変化率を決定するとともに、前記半値電力ビーム幅および前記半値電力ビーム幅変化率に基づいて、前記少なくとも2つの第1ユニットを選択するステップと、
をさらに含み、前記操舵角が、前記基準点に最も近いアンテナユニットの接平面の法線と前記所定の信号角度の間の差である請求項18に記載のビーム制御方法
【請求項20】
前記非平面基板の形状および所定の信号角度に基づいて、前記アンテナユニットのうちの少なくとも1つの前記信号を調整する前記ステップが、
前記非平面基板上の前記アンテナユニットのうちの前記少なくとも2つの第1ユニットの位置および前記所定の信号角度に基づいて、前記少なくとも2つの第1ユニットのうちの1つの信号の位相差を補償するステップを含み、前記位相差が、前記非平面基板上の前記少なくとも2つの第1ユニットのうちの2つと対応する法線の間の角度差に関連する請求項16に記載のビーム制御方法。
【請求項21】
前記少なくとも2つの第1ユニットが、一列に配置され、前記少なくとも2つの第1ユニットのうちの任意の2つの隣接する第1ユニットの間に距離があり、前記位相差が、さらに、前記角度差および前記距離から得られる前記所定の信号角度に沿った行路差に関連し、
前記位相差Δψが、
であり、
ΔLが、前記行路差(ΔL、ΔL2、ΔL3、ΔL4)であり、λが、前記信号の波長であり、
であり、
dが、前記距離であり、Δθが、前記角度差である請求項20に記載のビーム制御方法。
【請求項22】
前記所定の信号角度が、必要な操舵角をθsにし、前記アンテナユニットが、前記非平面基板の凹面に配置される場合、前記1ユニットそれぞれに対応する前記位相差が、
であり、
nが、前記少なくとも2つの第1ユニットのシーケンス番号であり、ψnが、n番目の第1ユニットの前記位相差であり、
が、前記所定の信号角度に対応する第1ユニットのシーケンス番号であり、mが、ファーフィールド距離に対応する前記非平面基板上の前記少なくとも2つの第1ユニットによって占有された領域により定義される円弧の半径の倍数であり、Nが、前記距離に関連する前記少なくとも2つの第1ユニットによって定義される第1アレイの孔径の倍数である請求項21に記載のビーム制御方法。
【請求項23】
前記所定の信号角度が、必要な操舵角をθsにし、前記アンテナユニットが、前記非平面基板の凸面に配置される場合、前記第1ユニットのそれぞれに対応する前記位相差が、
であり、
nが、前記少なくとも2つの第1ユニットのシーケンス番号であり、ψnが、n番目の第1ユニットの前記位相差であり、
が、前記所定の信号角度に対応する第1ユニットのシーケンス番号であり、mが、ファーフィールド距離に対応する前記非平面基板上の前記少なくとも2つの第1ユニットによって占有された領域により定義される円弧の半径の倍数であり、Nが、前記距離に関連する前記少なくとも2つの第1ユニットによって定義される第1アレイの孔径の倍数である請求項21に記載のビーム制御方法。
【請求項24】
前記少なくとも2つの第1ユニットのうちの2つの隣接するユニット間に位置する基準点に反応し、前記基準点に最も近い第1ユニットまたは前記基準点に基づいて、前記位相差を決定するステップをさらに含み、前記基準点および前記基準点が位置する表面に対応する接平面が、前記所定の信号角度に対して垂直である請求項20に記載のビーム制御方法。
【請求項25】
前記非平面基板上の前記アンテナユニットの位置に基づいて、前記アンテナユニットのうちの少なくとも1つに素子要素を補償するステップをさらに含む請求項15に記載のビーム制御方法。
【請求項26】
前記非平面基板上の前記アンテナユニットの位置に基づいて、前記アンテナユニットのうちの少なくとも1つに経路損失を補償するステップをさらに含む請求項15に記載のビーム制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビーム形成技術に関するものであり、特に、ビーム形成装置およびビーム制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高周波数用途において、ビームフォーマーは、アンテナシステムの指向性を向上させるために使用することができる。一般的に、アンテナアレイは、平面基板に配置されるが、このような設計は、ある応用の要件を満たすことができない。例えば、ミリ波(mmWave)のウェーブレット長によって高い経路損失(path loss)が生じるため、ミリ波アンテナアレイは、車体の外板に配置することが要求される。しかしながら、車体の外板は、通常、非平面(non-flat)である。したがって、非平面のアンテナアレイ設計が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これを考慮して、本発明の実施形態は、非平面アンテナアレイシステムを実施することのできるビーム形成装置およびビーム制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施形態のビーム形成装置は、非平面基板と、アンテナアレイ(antenna array)と、調整回路とを含む(ただし、本発明はこれに限定されない)。アンテナアレイは、複数のアンテナユニットを含み、非平面基板に配置される。調整回路は、アンテナアレイに結合され、非平面基板の形状および所定の信号角度(predetermined signal angle)に基づいて、アンテナユニットのうちの少なくとも1つの信号を調整するよう構成される。
【0005】
本発明の実施形態のビーム制御方法は、以下のステップを含む(ただし、本発明はこれに限定されない)。非平面基板およびアンテナアレイを提供する。アンテナアレイは、複数のアンテナユニットを含む。非平面基板の形状および所定の信号角度に基づいて、アンテナユニットのうちの少なくとも1つの信号を調整する。
【発明の効果】
【0006】
以上のように、本発明の実施形態のビーム形成装置およびビーム制御方法は、曲面に配置されたアンテナアレイを提供し、アンテナアレイが所望の操舵角に基づいて電磁波を放射できるよう、アンテナユニットの信号を調整することができる。したがって、本発明は、様々な状況において、フレキシブルに応用することができる。
【0007】
本発明の上記および他の目的、特徴、および利点をより分かり易くするため、図面と併せた幾つかの実施形態を以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
添付図面は、本発明の原理がさらに理解されるために含まれており、本明細書に組み込まれ、且つその一部を構成するものである。図面は、本発明の実施形態を例示しており、説明とともに、本発明の原理を説明する役割を果たしている。
【0009】
図1図1は、本発明の1つの実施形態に係るビーム形成装置の構成要素ブロック図である。
図2図2Aは、本発明の1つの実施形態に係るアンテナユニットおよび非平面基板の概略図である。図2Bは、本発明の別の実施形態に係るアンテナユニットおよび非平面基板の概略図である。
図3図3は、本発明の1つの実施形態に係る半値電力ビーム幅(HPBW)の概略図である。
図4図4は、本発明の1つの実施形態に係る基準点の決定方法を示す概略図である。
図5図5は、本発明の別の実施形態に係る基準点の決定方法を示す概略図である。
図6図6Aは、図2Aの部分的拡大図である。図6Bは、図4の部分的拡大図である。図6Cは、図4の別の部分的拡大図である。
図7図7は、本発明の1つの実施形態に係る2つのアンテナユニットの放射パターンの概略図である。
図8図8は、本発明の1つの実施形態に係るビーム制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の1つの実施形態に係るビーム形成装置100の構成要素ブロック図である。図1を参照すると、ビーム形成装置100は、非平面基板50と、アンテナアレイ110と、調整回路120と、メモリ130と、コントローラ150とを含む(ただし、本発明はこれに限定されない)。
【0011】
非平面基板50は、均一な曲面または任意の曲面を有することができる。例えば、図2Aは、本発明の1つの実施形態に係るアンテナユニット111~111、アンテナユニット112~112、および非平面基板50-1の概略図である。図2Aを参照すると、非平面基板50-1の円弧面は、共通の中心点Cを有し、円弧面上の任意の2点から中心点Cまでの距離Rは、同じである(例えば、均一な曲面)。別の例において、図2Bは、本発明の別の実施形態に係るアンテナユニット113~113および非平面基板50-2の概略図である。図2Bを参照すると、非平面基板50-2は、複数の曲率を有することができる。しかしながら、非平面基板50の表面形状は、他の変化形を有してもよいが、本発明はこれに限定されない。
【0012】
アンテナアレイ110は、複数のアンテナユニット110~110を含む(Jは、正の整数であり、アンテナユニットの合計数である)。アンテナアレイ110のアンテナユニット110~110は、非平面基板50に配置される。図2Aを例に挙げて説明すると、アンテナユニット111~111およびアンテナユニット112~112は、非平面基板50-1の凹面に配置される。図2Bを例に挙げて説明すると、アンテナユニット113~113は、非平面基板50-2の凸面に配置される。
【0013】
調整回路120は、アンテナアレイ110に結合される。1つの実施形態において、調整回路120は、1つまたはそれ以上の移相器(phase shifter)を含み、各移相器は、アンテナユニット110、110、…、または110の信号伝送の位相または信号受信の位相を調整するよう構成される。いくつかの実施形態において、アンテナユニット110、110、…、および/または110の信号伝送または信号受信は、異なる位相を有する。別の実施形態において、調整回路120は、1つまたはそれ以上の増幅器および/または振幅減衰器(amplitude attenuator)を含み、1つの増幅器は、1つまたはそれ以上のアンテナユニット110、110、…、および/または110の信号伝送の振幅または信号受信の振幅を調整するよう構成される。いくつかの実施形態において、調整回路120は、1つまたはそれ以上の移相器および1つまたはそれ以上の増幅器を含み、必要に応じて、1つまたはそれ以上のアンテナユニット110、110、…、および/または110の信号伝送の位相および/または振幅、または信号受信の位相および/または振幅を調整する。
【0014】
メモリ130は、任意の種類の固定された、または着脱可能なランダムアクセスメモリ(random access memory, RAM)、読み出し専用メモリ(read only memory, ROM)、フラッシュメモリ(flash memory)、従来のハードディスクドライブ(hard disk drive, HDD)、ソリッドステートドライブ(solid-state drive, SSD)、または類似する構成要素であってもよい。1つの実施形態において、メモリ130は、プログラムコード、ソフトウェアモジュール、コンフィギュレーション設定、データ(例えば、アンテナユニット110~110の位置や、これらの位置と非平面基板50の間の関係等)、またはファイルを記録するよう構成される。これらの実施形態については、後続の段落において詳細に説明する。
【0015】
コントローラ150は、調整回路120およびメモリ150に結合される。コントローラ150は、チップ、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit, ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array, FPGA)、マイクロコントローラ、または他の種類の回路であってもよい。1つの実施形態において、コントローラ150は、所望の放射方向(direction of departure, DoD)および/または半値電力ビーム幅(half-power beam width, HPBW)を決定する。別の実施形態において、所定のDoDおよび/またはHPBWは、指令によりコントローラ150に伝送される。1つの実施形態において、コントローラ150は、調整信号/指令を出力することができ、調整回路120は、コントローラ150によって制御される。したがって、DoDおよび/またはHPBWに基づいて、1つまたはそれ以上のアンテナユニット110~110が起動され、および/または起動されたアンテナユニット110、110、…、および/または110の信号伝送または信号受信の位相遅延および/または振幅が変化する。1つの実施形態において、コントローラ150は、メモリ130からプログラムコードおよび/またはデータをロードする。
【0016】
注意すべきこととして、アンテナユニット110、110、…、および/または110に対応する位相および振幅を変更することによって、電磁波は、強め合う干渉と弱め合う干渉に基づいて、特定の方向において重なり、一部の方向において相殺されるため、アンテナアレイ110の放射によって形成されるファーフィールドパターン(far field pattern)は、特定のビームパターン(主ビーム方向、ビーム幅、指向性利得、サイドビームレベル、および他のパラメータに関するフィールドパターン)に等しい。
【0017】
調整回路120は、非平面基板50の形状および所定の信号角度に基づいて、アンテナユニット110~110のうちの少なくとも1つの信号を調整する。アンテナアレイ110の複数のアンテナユニット110~110によって放射された電磁波により形成されるビームは、隣接するアンテナユニット110~110とは異なる位相または位相差により、異なるフィールドパターン(例えば、異なる放射方向、利得、または形状)を有することができる。非平面基板50の形状は、アンテナユニット110~110が異なる位置に配置されていることを反映する。信号角度は、DoD/放射角度(angle of departure, AoD)であってもよく、あるいは到来方向(direction of arrival, DoA)/到来角度(angle of arrival, AoA)であってもよい。
【0018】
いくつかの実施形態において、アンテナアレイ110が特定の方向または利得(すなわち、振幅)を達成できるよう、各アンテナユニット110~110は、対応する位相(または遅延時間)が異なっていてもよいため、調整回路120は、それぞれ全てまたは一部のアンテナユニット110~110の信号伝送または信号受信の位相を調整することができる。したがって、信号を遅延させて、異なるアンテナユニット110~110の信号の位相を異なる位相にすることができ、それにより、位相差を形成し、さらに、異なる方向または異なる形状のビームパターンを達成することができる。
【0019】
1つの実施形態において、コントローラ150は、所定の信号角度に対応するHPBWに基づいて、アンテナユニット110~110から少なくとも2つの第1ユニットを選択して電磁波を放射する。例えば、アンテナユニット110~110のうちのいくつかまたは全てを第1ユニットとして使用する。1つの実施形態において、アンテナユニット110~110のうちの選択しなかったものを第2ユニットとして使用する。1つの実施形態において、コントローラ150は、調整回路120を介して第1ユニットを起動し、第2ユニットを無効(disable)にする。したがって、コントローラ150は、さらに、これらの第1ユニットを介して電磁波を放射し、第2ユニットの放射を中断することができる。
【0020】
具体的に、図2Aを例に挙げて説明すると、アンテナアレイ110の操舵角(例えば、0度)が基準線Z(例えば、配置位置の法線方向)と同じであり、基準平面XYに対して垂直であると仮定すると、操舵角が0度の場合、信号方向(direction of signal, DoS)(信号角度に対応する)は、基準線Zに対して平行である。図3は、本発明の1つの実施形態に係る半値電力ビーム幅(HPBW)の概略図である。図3を参照すると、操舵角が0度であり、HPBWが約-15度~15度の範囲であると仮定する。
【0021】
注意すべきこととして、HPBWの大きさは、第1ユニットの数量に関連する。起動された後、第1ユニットは、所望のHPBWおよび信号角度を有するビームを形成するよう構成される。
【0022】
図2Aのアンテナユニット111~111および112~112は、直線状に配置される。例えば、一列に並ぶ。より明確に説明すると、一列に並んだアンテナユニット111~111および112~112の位置に対応する法線は、その空間において同じ平坦面上にある。例えば、基準線Zは、アンテナユニット111の位置に対応する法線であり、アンテナユニット111の法線Z’は、基準線Zが位置する場所と同じ平坦面に設置される。図2Aの図に関し、この平坦面は、見る人に面した面である。
【0023】
さらに、アンテナユニット111~111および112~112のうちの任意の2つの隣接するアンテナユニットの間に距離がある。例えば、アンテナユニット111とアンテナユニット112の間に距離dがある。アンテナユニット111~111および112~112によって形成されたHPBWは、以下のように決定することができる。
【0024】
[式1]
【0025】
HPBWは、操舵角が0度の時のHPBW(または固有の(intrinsic)HPBW)であり、λは、アンテナユニット111~111および112~112の信号伝送または信号受信の波長であり、Mは、同じ列における第1ユニットの数量であり、dは、距離である。
【0026】
式(1)に基づくと、HPBWは、(起動された)第1ユニットの数量Mおよび信号の波長λに対する距離dの比率に関連する。第1ユニットの数量Mは、以下によって決定することができる。
【0027】
[式2]
【0028】
HPBWは、半値電力ビーム幅である。さらに明確に説明すると、所望のHPBWが非整数のMになった場合、Mは、計算した数よりも大きい最小の整数になるはずである。
【0029】
例えば、式に基づいて、所望の固有半値電力ビーム幅が25度よりも小さい場合、第1ユニットの数が5の時に、固有半値電力ビーム幅が20.3度であることを得ることができる。コントローラ150は、アンテナユニット111~111および112~112の位置に基づいて、第1ユニットを選択することができる。例えば、所望の信号角度は、アンテナユニット111の周囲領域(例えば、アンテナユニット111とアンテナユニット111の間、およびアンテナユニット111の近く、あるいはアンテナユニット111とアンテナユニット111の間、およびアンテナユニット111の近く)に対応し、アンテナユニット111~111が第1ユニット(起動された)として使用され、アンテナユニット112~112が第2ユニット(無効の)として使用される。そのため、アンテナユニット111~111は、放射可能となり、アンテナユニット112~112は、放射を停止する。
【0030】
したがって、信号方向(DoS)と選択した第1ユニットグループの中心領域の法線の間の差がゼロでない場合に、その差を最小化することができる。つまり、起動されたアンテナユニット111~111に対応する必要な操舵角(steering angle)がゼロに近づくため、信号伝送および受信のエネルギー効率が実際に向上する。
【0031】
1つの実施形態において、コントローラ150は、所定の信号方向(DoS)に基づいて、基準点を選択することができる。基準点および基準点が位置する非平面基板50の表面に対応する接平面(tangent plane)は、所定の信号方向(DoS)に対して垂直である。
【0032】
例えば、図4は、本発明の1つの実施形態に係る基準点の決定方法を示す概略図である。図4を参照すると、信号方向DOS1は、基準平面XYに対して垂直である。基準平面XYは、アンテナユニット113が配置された表面の接平面である。そのため、基準点は、アンテナユニット113に位置する。また、信号方向DOS2は、基準平面XYに対して垂直である。基準平面XYは、曲面上の接平面である。しかしながら、信号方向DOS2の延伸線と基準平面XYの間の接合点は、アンテナユニット113が配置された表面とアンテナユニット113が配置された表面の間に位置する。そのため、基準点は、アンテナユニット113とアンテナユニット113の間に位置する。図4の例において、コントローラ150は、アンテナアレイ110が配置された領域に位置する基準点とみなすことができる。
【0033】
別の例において、図5は、本発明の別の実施形態に係る基準点の決定方法を示す概略図である。図5を参照すると、信号方向DOS3の方向は、基準平面XYに対して垂直である。基準平面XYは、曲面上の接平面である。しかしながら、信号方向DOS3の延伸線と基準平面XYの間の接合点は、アンテナユニット113の一側に位置するが、他のアンテナユニットの間には位置しない。そのため、コントローラ150は、アンテナアレイ110が配置された領域の外側に位置する基準点とみなすことができる。
【0034】
1つの実施形態において、アンテナアレイ10が設置された領域に基準点が位置する場合(図4に示す)、コントローラ150は、半値電力ビーム幅に基づいて、真っ直ぐな列/直線(straight row/straight line)状の第1ユニット(例えば、起動されたアンテナユニット)の数量を決定することができる。例えば、第1ユニットの数量は、式(2)により計算することができる。
【0035】
1つの実施形態において、アンテナアレイ10が設置された領域に基準点が位置しない場合(図5に示す)、コントローラ150は、アンテナアレイ10の操舵角に基づいて、半値電力ビーム幅変化率を決定し、半値電力ビーム幅および半値電力ビーム幅変化率に基づいて、第1ユニットを選択することができる。操舵角は、基準点に最も近いアンテナユニットの接平面の法線と所定の信号角度の間の差である。図5を例に挙げると、基準点の近くのアンテナユニット113が設置された表面の接平面から垂直に延伸する法線N4と信号方向DOS3の間の角度を操舵角として定義することができる。そして、数量Mは、以下の式で計算することができる。
【0036】
[式3]
【0037】
θは、操舵角である。つまり、式(3)のcosθ(またはその逆数、secθ)は、半値電力ビーム幅変化率とみなすことができる。
【0038】
第1ユニットが決定された場合、第1ユニットが信号を伝送および受信した時に、第1ユニットによって付加的に提供される位相遅延をさらに決定することができる。図2Aを例に挙げると、選択した第1ユニットが5つのアンテナユニット111~111であると仮定する。アンテナユニット111~111の中心は、アンテナユニット111であり、非平面基板50-1上のアンテナユニット111の法線Z’は、アンテナユニット111に対して垂直である。法線Z’は、基準平面XYに対して垂直であるため、それに基づいて、アンテナユニット111~111の位相遅延を決定することができる。
【0039】
1つの実施形態において、調整回路120は、非平面基板50上のアンテナユニット110~110のうちの少なくとも2つの第1ユニットの位置および所定の信号角度に基づいて、第1ユニットのうちの任意の1つに第1ユニットが信号を受信または伝送した時に必要な位相差を補償することができる。具体的に説明すると、アンテナアレイ10が信号方向(DoS)において信号を伝送および受信する時、アンテナユニット(例えば、図2のアンテナユニット111)に必要な位相差は、アンテナユニットと信号方向(DoS)に互いに直交する基準平面の間の距離に直接関連する。図2Aを例に挙げると、信号方向(DoS)が法線Z’に対して平行な時(例えば、基準位置が起動された第1ユニットにある)、各起動されたアンテナユニットに必要な補償する位相差は、各アンテナユニットと基準平面XYの間の距離に関連する。
【0040】
具体的に、図2Aを例に挙げて説明すると、被試験デバイス(device-under-test, DUT)が中心点Cにあると仮定する。アンテナユニット111~111および112~112のそれぞれは、アンテナアレイ110を形成するよう別々に、または一体的に構成することができるため、アンテナユニット111~111および112~112が配置されている方向範囲内で、任意の方向にDUTから伝送された信号を受信する、またはDUTに信号を伝送することが可能である。
【0041】
本実施形態(例えば、均一な円弧)において、位相差は、2つの第1ユニットの法線間の角度差および距離から得られる所定の信号角度に沿った行路差に関連すると解釈することができる。行路差は、非平面基板の形状に基づいて、DUTの電磁波が信号角度に対して平行な方向で第1ユニットのグループの仮装平面(例えば、基準平面XY)に到達することを指すが、実際は、各アンテナユニットに到達する電磁波信号の経路間に差が存在する。
【0042】
図6Aは、図2Aの部分的拡大図である。図2Aおよび図6Aを参照すると、非平面基板50-1の円弧状表面において、2つのアンテナユニット111および111の間の距離は、以下の式で表されるものと仮定する。
【0043】
[式4]
【0044】
Δθは、2つのアンテナユニット111および111の法線間の角度差である。
【0045】
円弧の半径(例えば、R)がファーフィールド距離(far field distance)(例えば、FR=2D/λ)のm倍に等しい場合(すなわち、mは、相対的なファーフィールド距離に対応する非平面基板50上の第1ユニットによって占有された領域により定義される円弧の半径の倍数である)、角度差は、以下の式で表すことができる。
【0046】
[式5]
【0047】
Nは、距離に関連する第1ユニットによって定義される第1アレイの孔径(aperture)の倍数である。第1ユニット全体は、第1アレイとみなされる。
【0048】
図6Aに示した2つのアンテナユニット111および111の間の行路差ΔLは、以下のように推定することができる。
【0049】
[式6]
【0050】
θは、所定の信号角度(または、出発/受信角度)である。mNが非常に大きい場合(Δθを小さくする)、アンテナユニット111に追加される位相差Δψは、以下のように表すことができる。
【0051】
[式7]
【0052】
したがって、調整回路120を介して特定の第1ユニットに位相差を補償することができる。
【0053】
1つの実施形態において、信号角度が予め定められ、必要な操舵角がθである場合、位相差は、以下のように表すことができる。
【0054】
[式8]
【0055】
nは、第1ユニットのシーケンス番号であり、ψは、n番目の第1ユニットの位相差であり、
は、所定の信号角度に対応する第1ユニットのシーケンス番号である。図2Aを例に挙げて説明すると、アンテナユニット111のシーケンス番号は、1であり、アンテナユニット111のシーケンス番号は、2であり、残りも類推して判断することができる。アンテナユニット111~111の中心(すなわち、アンテナユニット111)のシーケンス番号は、3である。所定の信号角度が0度の時、伝送方向は、円弧の中心(例えば、アンテナユニット111の位置)を向く。つまり、所定の信号角度は、アンテナユニット111の法線方向に対応する。式(8)の
は、非平面基板50上の第1ユニットによって占有される円弧の凹形状/表面(凹形中心、プラス記号を使用する)または円弧の凸形状/表面(凸形中心、マイナス記号を使用する)に基づいて、正または負であってもよい。つまり、コントローラ150は、各第1ユニットに電気的に接続された調整回路120を制御し、受送信した信号は、式から得られた位相差が予め定められるため、言い換えれば、信号は、基準平面における複数の第1ユニットによって受信されるとみなすことができる。
【0056】
注意すべきこととして、選択した第1ユニットが変わる場合、第1ユニットに対応するグループの補償をする仮想法線、仮想平面、相対的な操舵角、および位相差も変わってもよい。
【0057】
1つの実施形態において、基準点が2つの第1ユニットの間にある時、コントローラ150は、基準点に最も近い第1ユニットまたは基準点に基づいて、補償する位相差を決定することができる。
【0058】
基準点に最も近い第1ユニットが選択された場合、コントローラ150は、式(4)~式(8)に基づいて、位相差を決定することができる。位相差補償に基づくと、些細ではあるが、許容される欠陥のみが存在する。
【0059】
図6Bを例に挙げると、図6Bは、図4の部分的拡大図である。図4および図6Bを参照すると、図4に示したアンテナユニット113および113は、円弧の凸表面に配置されるため、式(8)の
が選択される。基準点がアンテナユニット113に近いと仮定すると、アンテナユニット111の位置は、変形の基準点として使用され、
である。信号角度が予め定められている場合、必要な操舵角は、θであり、位相差は、以下のように表すことができる。
【0060】
[式9]
【0061】
基準点を維持したい時、コントローラ150は、基準点または基準点が位置する表面の接平面に基づいて、補償する位相差を決定することができる。
【0062】
図6Cを例に挙げると、図6Cは、図4の別の部分的拡大図である。図4および図6Cを参照すると、図6Cに示すように、2つのアンテナユニット113および113の間の行路差ΔL3およびΔL4および信号方向DOS2の延伸線(アンテナユニット113と113の間に位置すると仮定する)は、以下のように推定することができる。
【0063】
[式10]
【0064】
[式11]
【0065】
また、アンテナユニット113および113は、円弧の凸面に配置されるため、式(8)の
(例えば、式(9))も選択して位相差を決定する。
【0066】
一方、アンテナユニット110~110Jが円弧の凹面に配置された場合(例えば、図2Aに示す)、式(8)の
が選択される。信号角度が予め定められている場合、必要な操舵角は、θであり、位相差は、以下のように表すことができる。
【0067】
[式12]
【0068】
1つの実施形態において、コントローラ150は、非平面基板50上のアンテナユニット110~110Jの位置に基づいて、調整回路120を介してアンテナユニット110~110Jのうちの少なくとも1つに素子要素(element factor)を補償することができる。アンテナユニット110~110Jのうちのいくつか、または全てが同じ平面上に、または互いに対して平行な平面上にないため、アンテナユニット110~110Jの放射パターン(すなわち、素子要素)は、異なる方向を有することができる。コントローラ150は、非平面基板50上のアンテナユニット110~110Jの位置によって生じる方向上の差、操舵角、および放射パターンに基づいて、アンテナユニット110~110Jのうちの少なくとも1つに補償することができる。
【0069】
例えば、図7は、本発明の1つの実施形態に係る2つのアンテナユニット110および110の放射パターン501および503の概略図である。図7を参照すると、操舵角が0であって、アンテナユニット110の放射パターン501の方向に対応し、アンテナユニット110の放射パターン505の方向が5度であると仮定する。2つのアンテナユニット110および110は、同じ平面上にないため、アンテナユニット110については、0度における利得がアンテナユニット110ほど良くない。そのため、コントローラ150は、アンテナユニット110の信号に利得差ΔGを補償することができる。
【0070】
1つの実施形態において、コントローラ150は、非平面基板50上のアンテナユニット110~110Jの位置に基づいて、調整回路120を介してアンテナユニット110~110Jのうちの少なくとも1つに経路損失を補償することができる。図5を例に挙げると、アンテナユニット110および110は、一定の距離において分離され、位相差が生じる。位相差は、さらに、経路損失をもたらす。そのため、コントローラ150は、アンテナユニット110の信号に経路損失の利得を補償することができる。
【0071】
一方、図8は、本発明の1つの実施形態に係るビーム制御方法を示すフローチャートである。図8を参照すると、非平面基板50およびアンテナアレイ110を提供する(ステップS610)。非平面基板50の形状およびアンテナアレイ110の操舵角に基づいて、アンテナユニット110~110Jのうちの少なくとも1つの信号を調整する(ステップS620)。
【0072】
図8における各ステップの実施の詳細については、上述した実施形態および実施方法において詳細に示してあるため、ここでは繰り返し説明しない。1つの実施形態において、調整回路120と連携して、コントローラ150によりステップS620を実施することができる。回路の形式で実施する他に、本発明の実施形態のステップおよび実施の詳細は、ソフトウェアの形式でコントローラによって実施することもでき、本発明の実施形態はこれに限定されない。
【0073】
以上のように、本発明の実施形態のビーム形成装置およびビーム制御方法は、曲面に配置されるアンテナアレイを提供し、所望の操舵角に基づいて、アンテナユニットの信号を調整する。本発明の実施形態において、所望のビームパターンに基づいて、起動された第1ユニットを選択することができ、選択された第1ユニットに振幅および位相を補償することができる。したがって、様々な状況において、非平面設計のアンテナアレイを応用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
ビーム形成装置およびビーム制御方法は、ビーム形成技術に応用することができる。
【符号の説明】
【0075】
50、50-1、50-2 非平面基板
100 ビーム形成装置
110 アンテナアレイ
110~110、111~111、112~112、113~113 アンテナユニット
120 調整回路
130 メモリ
150 コントローラ
Z 基準線
Z’ 法線
XY、XY、XY、XY、XY 基準平面
HPBW 半値電力ビーム幅
d 距離
R 距離
DOS1~DOS3 信号方向
Δθ、Δθ2、Δθ3、Δθ4 角度差
ΔL、ΔL2、ΔL3、ΔL4 行路差
501、503 放射パターン
S610~S620 ステップ
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8