(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】読取装置
(51)【国際特許分類】
A61B 6/00 20240101AFI20240319BHJP
H04N 1/04 20060101ALI20240319BHJP
A61B 6/51 20240101ALI20240319BHJP
G01N 23/04 20180101ALI20240319BHJP
【FI】
A61B6/00 503K
H04N1/04 E
H04N1/04 101
A61B6/51 500
A61B6/00 503L
G01N23/04
(21)【出願番号】P 2022186599
(22)【出願日】2022-11-22
【審査請求日】2023-04-07
(31)【優先権主張番号】P 2021189740
(32)【優先日】2021-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000138185
【氏名又は名称】株式会社モリタ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 正志
(72)【発明者】
【氏名】杉原 義人
【審査官】佐野 浩樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-005865(JP,A)
【文献】特開2009-195462(JP,A)
【文献】特開2004-077772(JP,A)
【文献】特開昭58-163338(JP,A)
【文献】特開2004-007340(JP,A)
【文献】特開平05-127321(JP,A)
【文献】特開平08-114876(JP,A)
【文献】特開平01-092736(JP,A)
【文献】特開2013-104968(JP,A)
【文献】特開2005-055574(JP,A)
【文献】特表2018-514252(JP,A)
【文献】特開2002-094772(JP,A)
【文献】特開2003-280120(JP,A)
【文献】特開平04-256846(JP,A)
【文献】特表2005-522704(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0070104(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0142732(US,A1)
【文献】特開2013-104673(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00
H04N 1/04
A61B 6/51
G01N 23/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イメージングプレートから放射線像を読み取る読取装置であって、
前記イメージングプレートに励起光を照射する第1光源と、
前記励起光による前記イメージングプレートからの輝尽光を検出する第1検出器と、
前記イメージングプレートに光を照射する第2光源と、
前記イメージングプレートからの前記光の反射光を検出する第2検出器と
を備え、
前記イメージングプレートが前記励起光と前記光の少なくとも1つの作用を受けて発する光をIP被作用光としたとき、
前記第1検出器は、前記イメージングプレートからの前記輝尽光を前記IP被作用光から検出し、前記第2検出器は、前記イメージングプレートからの前記反射光を前記IP被作用光から検出し、前記第1検出器と前記第2検出器とは前記IP被作用光の検出結果としての画像信号であるIP被作用光画像信号を出力し、
前記IP被作用光画像信号に基づいて、前記イメージングプレートのサイズを特定するサイズ特定部を備える、読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の読取装置であって、
前記サイズ特定部は、特定した前記サイズに基づいて前記サイズの種類を特定する、読取装置。
【請求項3】
請求項1に記載の読取装置であって、
前記第1検出器は、放射線像が消去された前記イメージングプレートからの前記反射光を検出し、前記反射光の検出結果としての画像信号である消去時IP画像信号を出力し、
前記サイズ特定部は、前記消去時IP画像信号に基づいて、前記イメージングプレートのサイズを特定する、読取装置。
【請求項4】
イメージングプレートから放射線像を読み取る読取装置であって、
前記イメージングプレートに励起光を照射する第1光源と、
前記励起光による前記イメージングプレートからの輝尽光を検出する第1検出器と、
前記イメージングプレートに光を照射する第2光源と、
前記イメージングプレートからの前記光の反射光を検出する第2検出器と
を備え、
前記イメージングプレートが前記励起光と前記光の少なくとも1つの作用を受けて発する光をIP被作用光としたとき、
前記第1検出器は、前記イメージングプレートからの前記輝尽光を前記IP被作用光から検出し、前記第2検出器は、前記イメージングプレートからの前記反射光を前記IP被作用光から検出し、前記第1検出器と前記第2検出器とは前記IP被作用光の検出結果としての画像信号であるIP被作用光画像信号を出力し、
前記IP被作用光画像信号に基づいて、前記イメージングプレートの基準姿勢からの傾き角度を特定する傾き角度特定部を備える、読取装置。
【請求項5】
請求項4に記載の読取装置であって、
前記傾き角度に基づいて、前記イメージングプレートの像の傾きを補正する補正処理部を備える、読取装置。
【請求項6】
イメージングプレートから放射線像を読み取る読取装置であって、
前記イメージングプレートに励起光を照射する第1光源と、
前記励起光による前記イメージングプレートからの輝尽光を検出する第1検出器と、
前記イメージングプレートに光を照射する第2光源と、
前記イメージングプレートからの前記光の反射光を検出する第2検出器と
を備え、
前記イメージングプレートが前記励起光と前記光の少なくとも1つの作用を受けて発する光をIP被作用光としたとき、
前記第1検出器は、前記イメージングプレートからの前記輝尽光を前記IP被作用光から検出し、前記第2検出器は、前記イメージングプレートからの前記反射光を前記IP被作用光から検出し、前記第1検出器と前記第2検出器とは前記IP被作用光の検出結果としての画像信号であるIP被作用光画像信号を出力し、
表示部と、
前記表示部を制御する表示制御部と
を備え、
前記表示制御部は、生体の放射線撮影から得た取得像と、前記IP被作用光画像信号が処理されて抽出された前記イメージングプレートの形状を表すイメージングプレート形状抽出画像とを同時にかつ別々に表示する、読取装置。
【請求項7】
請求項6に記載の読取装置であって、
前記生体の放射線撮影から得た取得像における放射線の未露光部分の未露光領域像を特定する未露光領域像特定部を備える、読取装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一つに記載の読取装置であって、
前記第1光源は、前記第2光源として機能し、前記光としての前記励起光を前記
イメージングプレートに照射する、読取装置。
【請求項9】
請求項1から請求項7のいずれか一つに記載の読取装置であって、
前記第1検出器が前記第2検出器として機能し、
前記第1検出器は、前記IP被作用光画像信号を出力する、読取装置。
【請求項10】
請求項1から請求項7のいずれか一つに記載の読取装置であって、
前記第1検出器と前記第2検出器からの検出画像信号を画像処理する画像処理部を備え、
前記画像処理部は、生体の放射線撮影の受光体となった前記イメージングプレートが前記励起光で走査されることによって得た像である生体放射線撮影画像のうち、前記IP被作用光の検出に基づく像であるIP生体放射線撮影画像を切り出す切出範囲を設定する、読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、蓄積性蛍光体シートから画像情報を読み取る技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
イメージングプレートから放射線像を読み取る読取装置では、利便性の向上が望まれる。
【0005】
そこで、本開示は、イメージングプレートから放射線像を読み取る読取装置の利便性を向上させることが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様に係る読取装置は、イメージングプレートから放射線像を読み取る読取装置であって、前記イメージングプレートに励起光を照射する第1光源と、前記励起光による前記イメージングプレートからの輝尽光を検出する第1検出器と、対象物に光を照射する第2光源と、前記対象物からの前記光の反射光を検出する第2検出器とを備える。
【0007】
第2の態様は、第1の態様に係る読取装置であって、前記第1光源は、前記第2光源として機能し、前記光としての前記励起光を前記対象物に照射する。
【0008】
第3の態様は、第1または第2の態様に係る読取装置であって、前記対象物は前記イメージングプレートであり、前記イメージングプレートが前記励起光と前記光の少なくとも1つの作用を受けて発する光をIP被作用光としたとき、前記第1検出器は、前記イメージングプレートからの前記輝尽光を前記IP被作用光から検出し、前記第2検出器は、前記イメージングプレートからの前記反射光を前記IP被作用光から検出し、前記第1検出器と前記第2検出器とは前記IP被作用光の検出結果としての画像信号であるIP被作用光画像信号を出力する。
【0009】
第4の態様は、第3の態様に係る読取装置であって、前記第1検出器が前記第2検出器として機能し、前記第1検出器は、前記IP被作用光画像信号を出力する。
【0010】
第5の態様は、第3または第4の態様係る読取装置であって、前記IP被作用光画像信号に基づいて、前記イメージングプレートのサイズを特定するサイズ特定部をさらに備える。
【0011】
第6の態様は、第5の態様に係る読取装置であって、前記サイズ特定部は、特定した前記サイズに基づいて前記サイズの種類を特定する。
【0012】
第7の態様は、第5または第6の態様に係る読取装置であって、前記第1検出器は、放射線像が消去された前記イメージングプレートからの前記反射光を検出し、前記反射光の検出結果としての画像信号である消去時IP画像信号を出力し、前記サイズ特定部は、前記消去時IP画像信号に基づいて、前記イメージングプレートのサイズを特定する。
【0013】
第8の態様は、第3から第7の態様のいずれか一つに係る読取装置であって、前記IP被作用光画像信号に基づいて、前記イメージングプレートの基準姿勢からの傾き角度を特定する傾き角度特定部を備える。
【0014】
第9の態様は、第8の態様に係る読取装置であって、前記傾き角度に基づいて、前記イメージングプレートの像の傾きを補正する補正処理部を備える。
【0015】
第10の態様は、第3から第9の態様のいずれか一つに係る読取装置であって、前記第1検出器と前記第2検出器からの検出画像信号を画像処理する画像処理部を備え、前記画像処理部は、生体の放射線撮影の受光体となった前記イメージングプレートが前記励起光で走査されることによって得た像である生体放射線撮影画像のうち、前記IP被作用光の検出に基づく像であるIP生体放射線撮影画像を切り出す切出範囲を設定する。
【0016】
第11の態様は、第3から第10の態様のいずれか一つに係る読取装置であって、表示部と、前記表示部を制御する表示制御部とを備え、前記表示制御部は、生体の放射線撮影から得た取得像と、前記IP被作用光画像信号が処理されて抽出された前記イメージングプレートの形状を表すイメージングプレート形状抽出画像とを同時にかつ別々に表示する。
【0017】
第12の態様は、第11の態様に係る読取装置であって、前記生体の放射線撮影から得た取得像における放射線の未露光部分の未露光領域像を特定する未露光領域像特定部を備える。
【発明の効果】
【0018】
第1の態様によると、励起光によるイメージングプレートからの輝尽光の検出に基づく放射線像と、対象物からの光の反射光の検出に基づく反射光像とを得ることができるため、読取装置の利便性が向上する。
【0019】
第2の態様によると、第1光源が第2光源として機能することから、読取装置の構成を簡素化することができる。
【0020】
第3の態様によると、第2検出器が、イメージングプレートからの反射光をIP被作用光から検出することから、イメージングプレートの反射光像を得ることができる。
【0021】
第4の態様によると、第1検出器が第2検出器として機能することから、読取装置の構成を簡素化することができる。
【0022】
第5の態様によると、イメージングプレートからのIP被作用光の検出結果としてのIP被作用光画像信号に基づいて、イメージングプレートのサイズを適切に特定することができる。
【0023】
第6の態様によると、イメージングプレートのサイズの種類を適切に特定することができる。
【0024】
第7の態様によると、サイズ特定部が、消去時IP画像信号に基づいて、イメージングプレートのサイズを特定することから、イメージングプレートからの、放射線像の影響が無い反射光に基づいてイメージングプレートのサイズを適切に特定することができる。
【0025】
第8の態様によると、イメージングプレートからのIP被作用光の検出結果としてのIP被作用光画像信号に基づいて、イメージングプレートの基準姿勢からの傾き角度を適切に特定することができる。
【0026】
第9の態様によると、イメージングプレートからのIP被作用光の検出結果としてのIP被作用光画像信号に基づいて特定された傾き角度に基づいて、イメージングプレートの像の傾きが補正されることから、傾きが適切に補正された、イメージングプレートの像を得ることができる。
【0027】
第10の態様によると、生体放射線撮影画像のうち、イメージングプレートからのIP被作用光の検出に基づく像を切り出す切出範囲が設定されることから、生体放射線撮影画像でのイメージングプレートに相当する部分の像を適切に切り出すことができる。
【0028】
第11の態様によると、生体の放射線撮影で得た像と、イメージングプレートの形状を表す画像とを簡単に見比べることができる。
【0029】
第12の態様によると、未露光部分の未露光領域像の特定により、生体の放射線撮影から得た取得像中に生体像領域がどれほどあるか特定することが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図6】読取装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図10】IP像領域、励起光照射範囲及び検出範囲の一例を示す概略図である。
【
図11】読取装置の構成の一例を示す概略図である。
【
図12】IP像領域、励起光照射範囲及び検出範囲の一例を示す概略図である。
【
図13】IP像領域、励起光照射範囲及び検出範囲の一例を示す概略図である。
【
図18】読取装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図19】イメージングプレートが傾く様子の一例を示す概略図である。
【
図21】傾き角度特定処理の一例を説明するための概略図である。
【
図22】傾き角度特定処理の一例を説明するための概略図である。
【
図23】サイズ特定処理の一例を説明するための概略図である。
【
図24】イメージングプレートのサイズの種類の一例を示す図である。
【
図25】イメージングプレートの一例を示す概略図である。
【
図26】読取装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図27】読取装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図31】傾き補正処理の一例を説明するための概略図である。
【
図33】切出処理の一例を説明するための概略図である。
【
図35】切出処理の一例を説明するための概略図である。
【
図38】切出処理の一例を説明するための概略図である。
【
図43】切出処理の一例を説明するための概略図である。
【
図44】切出処理の一例を説明するための概略図である。
【
図47】切出処理の一例を説明するための概略図である。
【
図50】未露光通知情報の表示例を示す概略図である。
【
図51】未露光通知情報の表示例を示す概略図である。
【
図52】未露光通知情報の表示例を示す概略図である。
【
図53】未露光通知情報の表示例を示す概略図である。
【
図54】未露光通知情報の表示例を示す概略図である。
【
図55】未露光通知情報の表示例を示す概略図である。
【
図56】取得全体像に含まれる放射線像の一例を示す概略図である。
【
図57】取得全体像に含まれるIP全体反射光像の一例を示す概略図である。
【
図60】取得全体像に含まれるIP全体反射光像の一例を示す概略図である。
【
図61】イメージングプレートの一例を示す概略図である。
【
図62】イメージングプレートの一例を示す概略図である。
【
図63】イメージングプレートの一例を示す概略図である。
【
図64】イメージングプレートの一例を示す概略図である。
【
図65】イメージングプレートの一例を示す概略図である。
【
図66】イメージングプレートの一例を示す概略図である。
【
図67】イメージングプレートの一例を示す概略図である。
【
図68】イメージングプレートの一例を示す概略図である。
【
図69】イメージングプレートの一例を示す概略図である。
【
図74】読取装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図75】読取装置の構成の一例を示す概略図である。
【
図76】読取装置の構成の一例を示す概略図である。
【
図77】読取装置の構成の一例を示す概略図である。
【
図78】読取装置の構成の一例を示す概略図である。
【
図79】読取装置の構成の一例を示す概略図である。
【
図80】読取装置の構成の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は読取装置1の外観の一例を示す概略図である。読取装置1は、放射線像が記録されたイメージングプレート10から当該放射線像を読み取る装置である。読取装置1は、イメージングプレート10に記録された放射線像を検出する装置であるともいえる。
【0032】
イメージングプレート10は、放射線像形成層11を有する平たい形状であり、放射線像を記録する記録媒体である。イメージングプレート10は、例えば、四隅が丸まった略長方形の平たい形状を成している。放射線像形成層11は、照射された放射線のエネルギーを蓄積し、蓄積されたエネルギーに応じた輝尽光を発する層である。例えば、放射線像形成層11は、樹脂で形成されたフィルムの一方主面に輝尽性蛍光体を塗布することによって形成される。放射線像形成層11に照射される放射線としては、例えばX線が採用される。X線発生器からのX線が撮影対象物を透過してイメージングプレート10に照射されると、X線の強度に応じたエネルギーが放射線像形成層11に蓄積される。X線の強度は、撮影対象物におけるX線吸収領域の分布に基づいたものであるため、放射線像形成層11に蓄積されたエネルギーの分布は、X線による撮影対象物の放射線像である。このように、イメージングプレート10は、例えばX線による放射線像を潜像として記録する。読取装置1は、放射線像形成層11から放射線像を読み取り、読み取った放射線像を表す画像信号(画像データともいう)を生成する。
【0033】
本例では、イメージングプレート10は、例えば、人の口の中に入れられた状態で放射線が照射される。したがって、イメージングプレート10は、人の口の中に入るようなサイズとなっている。そして、イメージングプレート10の放射線像形成層11には、例えば、歯の放射線像が記録される。なお、イメージングプレート10の用途はこれに限られない。
【0034】
以後、イメージングプレート10において、放射線像形成層11側の主面を前面と呼ぶことがある。また、イメージングプレート10において、前面とは反対側の主面を裏面と呼ぶことがある。
【0035】
図1に示されるように、読取装置1は例えば筐体2を備える。筐体2内には、イメージングプレート10から放射線像を読み取る構成が収容されている。当該構成については後述する。
【0036】
筐体2には、挿入口2a及び取出口2bが設けられている。挿入口2aは、例えば筐体2の上面に設けられている。読取装置1のユーザは、挿入口2aからイメージングプレート10を筐体2内に入れることができる。イメージングプレート10は、筐体2内において放射線像が読み取られる。取出口2bは、例えば、筐体2の一側面のうちの下側部分に設けられる。放射線像が読み取られた後のイメージングプレート10(読み取り済みイメージングプレート10ともいう)は取出口2bに排出される。読取装置1のユーザは、取出口2bを通じて、読み取り済みイメージングプレート10を回収することができる。
【0037】
本例では、読取装置1は、イメージングプレート10から放射線像を読み出した後に、イメージングプレート10から放射線像を消去することができる。取出口2bには、例えば、放射線像が消去されたイメージングプレート10が排出される。
【0038】
筐体2には、例えば、ユーザからの操作を受け付ける操作部4が設けられている。操作部4は、例えば複数の操作ボタン4aを備える。各操作ボタン4aは、例えばハードウェアボタンである。複数の操作ボタン4aには、例えば、電源ボタン及び読み取りの開始を指示するためのスタートボタン等が含まれる。操作部4は、ユーザのタッチ操作を検出するタッチセンサを備えてもよい。
【0039】
筐体2には、例えば、表示部3が設けられている。表示部3は、例えば、液晶表示パネルあるいは有機EL(electro-luminescence)表示パネルにより構成される。表示部3は、例えば、文字、記号、図形及び画像などの各種情報を表示することが可能である。表示部3は、イメージングプレート10から読み取られた放射線像(言い換えれば、検出された放射線像)を表示してもよい。
【0040】
操作部4がタッチセンサを備える場合、当該タッチセンサと表示部3とで、表示機能及びタッチ検出機能を有するタッチパネルディスプレイが構成されてもよい。この場合、複数の操作ボタン4aの少なくとも一つが、タッチパネルディスプレイに表示されるソフトウェアボタンに置き換えられてもよいし、操作部4は複数の操作ボタン4aを備えなくてもよい。また、読取装置1は表示部3を備えなくてもよい。
【0041】
筐体2には、例えば、イメージングプレート10を収容可能なプレート収容ケース6及び7が設けられている。プレート収容ケース6及び7は、例えば筐体2の上面に設けられている。プレート収容ケース6は仕切り付きのケースであり、プレート収容ケース7は蓋付きのケースである。読取装置1はプレート収容ケース6及び7の少なくとも一方を備えなくてもよい。
【0042】
筐体2からは、その外側に向かって、ACアダプタ5のケーブル5aが延びている。読取装置1の各部品には、ACアダプタ5から電力が供給される。読取装置1は、ACアダプタ5だけではなく、読取装置1の各部品に電力を供給するバッテリを備えてもよい。あるいは、読取装置1は、ACアダプタ5の代わりにバッテリを備えてもよい。
【0043】
<筐体内の機構の一例について>
図2~5は筐体2内の構成の一例を示す概略図である。
図3は
図2の矢視A-Aの断面構造の一例を示す概略図である。
図5は
図4の矢視B-Bの断面構造の一例を示す概略図である。
図6は読取装置1が備える制御部80の構成の一例を主に示すブロック図である。後述するように、イメージングプレート10を保持する保持部20は、筐体2内において、所定方向DR10に沿って移動することが可能である。
図4は、イメージングプレート10及び保持部20が、
図2に示される状態から移動した様子が示されている。
【0044】
図2~6に示されるように、読取装置1は、例えば、保持部20、光源30、検出器40、駆動部50、一対のガイド部60、消去用光源70、制御部80及びインタフェース部95を備える。これらの構成は筐体2内に設けられている。
【0045】
<制御部について>
制御部80は、読取装置1の動作を統合的に管理することが可能であり、制御回路ともいえる。制御部80は、例えば、表示部3、保持部20、光源30、検出器40、駆動部50、消去用光源70及びインタフェース部95を制御することができる。また、制御部80は、操作部4が受け付けたユーザ操作に応じた処理を行うことができる。
【0046】
制御部80は、例えば、少なくとも一つのプロセッサと、記憶部とを備えるコンピュータ装置によって構成される。制御部80が備える少なくとも一つのプロセッサには、CPU(Central Processing Unit)が含まれてもよいし、CPU以外のプロセッサが含まれてもよい。制御部80では、少なくとも一つのプロセッサが記憶部(記憶回路ともいう)内のプログラムを実行することによって、以下に説明する各種機能が実現される。
【0047】
制御部80では、少なくとも一つのプロセッサが記憶部内のプログラムを実行することによって、機能ブロックとして、例えば、画像処理部81、表示制御部82、駆動制御部83、保持制御部84、検出制御部85、発光制御部86及び消去制御部87が形成される。
【0048】
画像処理部81は、例えば、検出器40から出力される後述の画像信号に対して画像処理を行うことができる。表示制御部82は表示部3の表示を制御することができる。駆動制御部83は駆動部50を制御することができる。保持制御部84は保持部20を制御することができる。検出制御部85は検出器40を制御することができる。発光制御部86は光源30を制御することができる。消去制御部87は消去用光源70を制御することができる。
【0049】
なお、制御部80の一部の機能あるいは制御部80のすべての機能は、その機能の実現にソフトウェア(言い換えればプログラム)が不要なハードウェア回路で実現されてもよい。例えば、画像処理部81の一部の機能あるいは画像処理部81のすべての機能は、その機能の実現にソフトウェアが不要なハードウェア回路で実現されてもよい。画像処理部81は、他の構成とは独立した画像処理回路であってもよい。また、表示制御部82の一部の機能あるいは表示制御部82のすべての機能は、その機能の実現にソフトウェアが不要なハードウェア回路で実現されてもよい。表示制御部82は、他の構成とは独立した表示制御回路であってもよい。また、駆動制御部83の一部の機能あるいは駆動制御部83のすべての機能は、その機能の実現にソフトウェアが不要なハードウェア回路で実現されてもよい。駆動制御部83は、他の構成とは独立した駆動制御回路であってもよい。また、保持制御部84の一部の機能あるいは保持制御部84のすべての機能は、その機能の実現にソフトウェアが不要なハードウェア回路で実現されてもよい。保持制御部84は、他の構成とは独立した保持制御回路であってもよい。また、検出制御部85の一部の機能あるいは検出制御部85のすべての機能は、その機能の実現にソフトウェアが不要なハードウェア回路で実現されてもよい。検出制御部85は、他の構成とは独立した検出制御回路であってもよい。また、発光制御部86の一部の機能あるいは発光制御部86のすべての機能は、その機能の実現にソフトウェアが不要なハードウェア回路で実現されてもよい。発光制御部86は、他の構成とは独立した発光制御回路であってもよい。また、消去制御部87の一部の機能あるいは消去制御部87のすべての機能は、その機能の実現にソフトウェアが不要なハードウェア回路で実現されてもよい。消去制御部88は、他の構成とは独立した消去制御回路であってもよい。
【0050】
<インタフェース部について>
インタフェース部95は、筐体2の外部の装置(以後、外部装置ともいう)と通信することが可能であって、インタフェース回路、通信回路あるいは通信部ともいえる。外部装置には、パーソナルコンピュータが含まれてもよいし、スマートフォン等の携帯電話機が含まれてもよいし、他のコンピュータ装置が含まれてもよい。また、外部装置には、読取装置1に着脱可能なデータ記録媒体(例えば、フラッシュメモリ)が含まれてもよい。インタフェース部95は、外部装置からの信号を受信し、受信した信号を制御部80に入力することができる。また、インタフェース部95は、制御部80からの信号を外部装置に送信することができる。例えば、インタフェース部95は、制御部80の画像処理部81において画像処理が行われた画像信号を外部装置に送信することができる。インタフェース部95は、外部装置と有線通信を行ってもよいし、無線通信を行ってもよい。インタフェース部95と外部装置との間の通信は、イーサネットに準拠してもよいし、USB(Universal Serial Bus)に準拠してもよいし、WiFiに準拠してもよいし、他の規格に準拠してもよい。
【0051】
<保持部について>
保持部20は、筐体2の挿入口2aから挿入されたイメージングプレート10を保持する。保持部20は、例えば、イメージングプレート10を支持する支持板21と、支持板21に支持されたイメージングプレート10の位置を固定する固定部22とを備える。
【0052】
支持板21は、イメージングプレート10の裏面を支持する主面21a(支持面21aともいう)と、当該主面21aとは反対側の主面21b(裏面21bともいう)とを備える。固定部22は、例えば、イメージングプレート10の周縁部分と接近する複数の固定部分22aを有する。固定部22は固定部材ともいえる。複数の固定部分22aは、イメージングプレート10の周縁部分を取り囲むように当該周縁部分と接近する。これにより、支持板21に対するイメージングプレート10の位置(つまり相対位置)及び姿勢(つまり相対姿勢)が固定される。本例では、例えば、イメージングプレート10の両長辺のそれぞれに対して2つの固定部分22aが接近し、イメージングプレート10の両短辺のそれぞれに対して1つの固定部分22aが接近する。
【0053】
各固定部分22aは、保持制御部84による制御によって、支持板21に支持されたイメージングプレート10に接近する接近位置と、支持板21に支持されたイメージングプレート10から離間する離間位置との間で移動することが可能である。イメージングプレート10は、各固定部分22aが離間位置に存在する状態で、挿入口2aから筐体2内に投入されて、支持板21で支持される。その後、各固定部分22aが離間位置から接近位置に移動することによって、イメージングプレート10の位置及び姿勢が固定部22で固定される。各固定部分22aは、接近位置に存在する場合、例えば、イメージングプレート10の周縁部分と接している。
【0054】
なお、複数の固定部分22aの少なくとも一つは、接近位置に存在する場合、イメージングプレート10の周縁部分と接しなくてもよい。また、固定部22の構成は上記の限りではない。また、保持部20の構成は上記の限りではない。
【0055】
<駆動部及び一対のガイド部について>
駆動部50は、駆動制御部83による制御によって、保持部20を所定方向DR10に沿って移動することが可能である。これにより、保持部20で保持されたイメージングプレート10も所定方向DR10に沿って移動することができる。駆動部50は、保持部20を通じてイメージングプレート10を所定方向DR10に沿って移動することが可能であるともいえる。
【0056】
一対のガイド部60は、保持部20をその間に挟んだ状態で所定方向DR10に沿って延在している。各ガイド部60の内側には所定方向DR10に沿って延びる溝が形成されている。支持板21の互いに対向する一対の側縁部は、一対のガイド部60の内側の溝にそれぞれ嵌合している。これにより、一対のガイド部60は、保持部20の所定方向DR10に沿った移動を案内することが可能である。なお、ガイド部60の構成はこの限りではない。
【0057】
駆動部50は、例えば、モータ51、ネジ軸部52及びナット部53を有するボールネジ機構で構成されている。モータ51は、駆動制御部83によって制御される。ネジ軸部52は、周囲にネジ溝が形成された棒状部材である。ネジ軸部52は、所定方向DR10に沿って延びており、モータ51によって回転させられる。ナット部53は、保持部20に固定されている。ナット部53は、例えば、保持部20の支持板21の裏面21bに固定されている。ネジ軸部52はナット部53に螺合している。モータ51の正転方向または逆転方向の回転に応じて、ネジ軸部52が正転方向または逆転方向に回転する。保持部20は、ネジ軸部52の正転方向の回転に応じて、所定方向DR10に沿って一方側に移動する。このとき、一対のガイド部60は、保持部20の一方側への移動を案内する。一方で、保持部20は、ネジ軸部52の逆転方向の回転に応じて、所定方向DR10に沿って他方側に移動する。このとき、一対のガイド部60は、保持部20の他方側への移動を案内する。駆動部50の構成はこの限りではない。
【0058】
駆動部50は、イメージングプレート10からの放射線像の読み取りが開始する読取開始位置に、イメージングプレート10を保持した保持部20を移動させることができる。また、駆動部50は、イメージングプレート10からの放射線像の読み取りが終了すると、イメージングプレート10の放射線像の消去が行われる消去位置に、イメージングプレート10を保持した保持部20を移動させることができる。
図2及び3には、イメージングプレート10からの放射線像の読み取りが行われる様子が示されている。
図4及び5には、イメージングプレート10から放射線像が消去される様子が示されている。
【0059】
<光源及び検出器について>
本例では、
図6に示されるように、光源30と、それを制御する発光制御部86と、検出器40と、それを制御する検出制御部85とで、イメージングプレート10の前面から放射線像を読み取る光測定器90が構成されている。光測定器90を構成する光源30、検出器40、検出制御部85及び発光制御部86は、一つのケースに収容されてユニット化されてもよいし、一つのケースに収容されていなくてもよい。
【0060】
光源30は、保持部20に保持されたイメージングプレート10に対して、放射線像形成層11を励起させるための励起光L10を照射することが可能である。励起光L10の照射対象は、例えば生体の放射線撮影の受光体となったイメージングプレート10である。光源30は保持部20の支持面21aに向けて励起光L10を出射する。光源30は、励起光L10をイメージングプレート10上で一方向(主走査方向DRmともいう)に走査することが可能である。主走査方向DRmは、所定方向DR10に対して垂直な方向である。つまり、主走査方向DRmは、保持部20の移動方向に対して垂直な方向である。また、光源30はイメージングプレート10のみでなく、イメージングプレート10の周囲の領域にも励起光L10を照射することが可能である。
【0061】
本開示では、物体に作用する光を作用光L1と呼ぶ。そして、物体に作用光L1が作用して生じる光を被作用光L2と呼ぶ。励起光L10は作用光L1の一例である。輝尽光を生じさせる励起力を持たないが物体に反射光を生じさせる光も作用光L1の別例である。作用光L1は、励起光と、励起光ではない作用光との少なくとも1つからなる光であるともいえる。被作用光L2は、作用光L1の作用を受けて物体から発する光である。
【0062】
励起光L10は例えば可視光のレーザ光である。励起光L10は、例えば、赤色レーザ光であってもよいし、他の色のレーザ光であってもよい。検出器40は、例えば、作用光L1たる励起光L10の照射によって生じるイメージングプレート10からの被作用光L2を検出し、検出した被作用光L2の強度に応じた電気信号を出力する。また、検出器40は、励起光L10の照射によって生じるイメージングプレート10外からの被作用光L2を検出し、検出した被作用光L2の強度に応じた電気信号を出力する。
【0063】
光源30は、例えば、励起光L10を生成して出力するレーザ発生部と、励起光L10をイメージングプレート10上で主走査方向DRmに走査する走査部とを有する。レーザ発生部は、例えば半導体レーザ発振器を備え、発光制御部86によって制御される。レーザ発生部は、レーザダイオードを備えてもよいし、他の半導体レーザを備えてもよい。走査部は、例えば、レーザ発生部からの励起光L10を、イメージングプレート10の放射線像形成層11に向けて反射するMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラーを備える。MEMSミラーは、発光制御部86による制御によって、放射線像形成層11上での励起光L10の照射点が主走査方向DRmに移動するように励起光L10の反射角度を変化させる。走査部は、MEMSミラーに代えて、例えばガルバノミラーのような他のミラーを備えてもよい。
【0064】
検出器40は、励起光L10の被照射位置からの被作用光L2を検出する。検出器40は、例えば、励起光L10の被照射位置からの被作用光L2(
図3参照)が入射する光学フィルタ42と、光学フィルタ42から出射される被作用光L2を検出するセンサ41とを備える。センサ41は検出制御部85によって制御される。光学フィルタ42は、センサ41での被作用光L2の検出面に対向するように、かつ支持板21の主面21aと当該検出面との間に位置するように配置されている。すなわち、光学フィルタ42は励起光L10の被照射位置と検出面との間に配置されている。励起光L10の被照射位置からの被作用光L2がまず光学フィルタ42に入射し、濾過を経た被作用光L2が光学フィルタ42から出てセンサ41の検出面に入射する。
【0065】
放射線像形成層11のうち、放射線が照射されて放射線のエネルギーが蓄積されている領域は、励起光L10によって励起される。したがって、放射線像形成層11のうち、放射線のエネルギーが蓄積されていて、励起光L10の被照射範囲にある領域は、励起光L10によって励起される被励起領域であるといえる。被励起領域には放射線像が潜像として記録されていることから、被励起領域は、放射線像領域、潜像領域、あるいは像記録領域であるともいえる。
【0066】
図7は
図3での光検出器40の周辺を拡大して示す概略図である。放射線像形成層11の被励起領域に励起光L10が照射されると、被励起領域に蓄積されたエネルギーの分布に応じて被励起領域が発光し、被励起領域から輝尽光L5が発せられる。輝尽光L5は例えば青色の可視光である。また、放射線像形成層11の被励起領域に励起光L10が照射されると、被励起領域での励起光L10の反射光(以後、反射光L4ともいう)が発生する。反射光L4は被励起領域反射光L4と呼ばれてもよい。被作用光L2の一例である後述の発光光L2は反射によらずにイメージングプレート10が発光起点となる光と考えてよい。輝尽光L5は発光光L2の具体例である。
【0067】
被励起領域からの光(以後、被励起領域光L20ともいう)には、被励起領域が発する輝尽光L5と、被励起領域からの反射光L4とが含まれる。被励起領域光L20は、放射線像領域光、潜像領域光、あるいは像記録領域光ともいえる。被励起領域光L20は輝尽光L5を少なくとも含んだ光である。励起光L10の被照射範囲にある潜像領域であって、励起光L10が照射されると励起される領域、具体的には励起されて輝尽光L5が発せられる領域を被励起領域としたとき、被励起領域光L20は、被励起領域からの、少なくとも輝尽光L5を含んだ光である。上記の例では、被励起領域光L20は輝尽光L5と反射光L4を含む光であるが、後述するように、被励起領域光L20が輝尽光L5のみからなる場合もありうる。
【0068】
光学フィルタ42に入射される被作用光L2には被励起領域光L20が含まれる。被励起領域光L20は、光学フィルタ42でフィルタ処理された後、センサ41に入射する。本例では、光学フィルタ42の輝尽光L5に対する透過率(輝尽光透過率ともいう)は非常に高くなっている。したがって、光学フィルタ42は、イメージングプレート10の被励起領域からの輝尽光L5を十分に透過させてセンサ41に出射する。一方で、光学フィルタ42の励起光L10に対する透過率(励起光透過率ともいう)は、輝尽光透過率よりも低くなっている。例えば、励起光透過率が輝尽光透過率の10%程度の光学フィルタ42が使用されてもよい。光学フィルタ42は、センサ41に向かう、イメージングプレート10の被励起領域での励起光L10の反射光L4を減衰させる。光学フィルタ42は、励起光L10を減衰させるものの、励起光L10をある程度は透過させる。したがって、本例では、センサ41は、輝尽光L5を検出するだけではなく、被励起領域での励起光L10の反射光L4もある程度検出する。よって、光学フィルタ42から出射される被励起領域光L20には、輝尽光L5及び反射光L4が含まれる。
【0069】
センサ41は、光学フィルタ42を透過した被励起領域光L20を検出し、検出した被励起領域光L20の強度に応じた電気信号を出力することが可能である。センサ41は、例えば、複数のフォトダイオードで構成されてもよいし、光電子増倍管で構成されてもよい。本例では、センサ41が検出する被作用光L2(言い換えれば、検出器40が検出する被作用光L2)には、例えば、輝尽光L5及び反射光L4が含まれる。
【0070】
読取装置1において、イメージングプレート10から放射線像が読み取られる処理(読取処理ともいう)が行われる場合、イメージングプレート10を保持した保持部20は、駆動部50によって読取開始位置に搬送される。そして、光測定器90は読取処理を開始する。読取処理では、光源30が、発光制御部86による制御によって、励起光L10をイメージングプレート10上で主走査方向DRmに走査する処理(主走査方向スキャンともいう)を繰り返し実行する。一方で、読取処理において、駆動部50は、イメージングプレート10を保持した保持部20を、所定方向DR10に沿った一方向DRs(副走査方向DRsともいう)に移動させる。副走査方向DRsは主走査方向DRmに垂直な方向である。保持部20が副走査方向DRsに移動している間に、主走査方向スキャンが繰り返し実行されることにより、イメージングプレート10の放射線像形成層11に対して励起光L10が2次元の広がりをもって照射され、放射線像形成層11がラスタスキャンされる。これにより、読取処理では、放射線像形成層11の全領域にわたって励起光L10が順次照射されて、放射線像形成層11の全領域が励起光L10で走査される。放射線像形成層11に対して励起光L10によるラスタスキャンが行われる間、検出器40のセンサ41が、ラスタスキャンに応じて放射線像形成層11から順次到来する被励起領域光L20(つまり、輝尽光L5を含む光)を検出することによって、放射線像形成層11から放射線像が読み取られる。センサ41は、励起光L10のラスタスキャン中の被励起領域光L20の検出結果として、読み取られた放射線像(言い換えれば、検出された放射線像)を表す画像信号を検出制御部85に出力する。この画像信号には、読み取られた放射線像を表す複数の画素の輝度値(言い換えれば画素値)が含まれる。センサ41は、例えば、グレースケールの画像信号を出力する。以後、検出器40で読み取られた放射線像を検出放射線像と呼ぶことがある。
【0071】
励起光L10の走査は、イメージングプレート10の検出対象範囲の全域を、座標を定めて2次元に行うものであればよく、主走査方向DRmと副走査方向DRsとが互いに垂直をなさなくてもよい。例えば、主走査方向DRmと副走査方向DRsとが、垂直以外の角度で交差するようにしてもよい。また、主走査方向DRm及び副走査方向DRsの一方または双方が曲線状の方向に設定されてもよい。
【0072】
本例では、イメージングプレート10が保持部20で適切に保持されている状態では、
図2及び4に示されるように、イメージングプレート10の短手方向が主走査方向DRmと平行を成し、イメージングプレート10の長手方向が副走査方向DRsと平行を成す。ここで、イメージングプレート10が保持部20で適切に保持されている状態でのイメージングプレートの姿勢を基準姿勢と呼ぶ、本例では、基準姿勢は、イメージングプレート10の短手方向が主走査方向DRmと平行を成し、イメージングプレート10の長手方向が副走査方向DRsと平行を成すようなイメージングプレート10の姿勢である。なお、基準姿勢はこの限りではない。
【0073】
イメージングプレート10は、基本的には、基準姿勢で保持部20に保持される。ただし、固定部22の不具合等により保持部20が適切にイメージングプレート10を保持していない場合、イメージングプレート10は基準姿勢から傾いた状態で保持部20で保持されることもある。
【0074】
本例では、センサ41は、例えば、検出した光の強度が大きいほど、値の大きい輝度値を出力する。イメージングプレート10の放射線像形成層11では、放射線の照射強度が大きく蓄積エネルギーが大きい部分ほど、当該部分からの輝尽光L5の強度は大きい。一方で、被励起領域からの反射光L4の強度は、励起光L10の強度が一定であれば、蓄積エネルギーにかかわらずほぼ一定である。したがって、放射線像形成層11の被励起領域において蓄積エネルギーが大きい部分からの被励起領域光L20の検出に基づく像についてセンサ41が出力する輝度値は大きくなる。
【0075】
例えば、放射線像形成層11に歯の放射線像が記録される場合を考える。この場合、放射線像形成層11の被励起領域において歯の放射線像が記録されている部分、つまり、歯を透過した放射線が照射された部分からの被励起領域光L20の強度は比較的小さい。よって、検出放射線像のうち歯が写る部分についてのセンサ41からの輝度値は比較的小さい。一方で、放射線像形成層11の被励起領域において放射線が直接照射された部分(直接照射部分ともいう)からの被励起領域光L20の強度は比較的大きい。よって、検出放射線像のうち、放射線像形成層11の直接照射部分に相当する像についてセンサ41から出力される輝度値は比較的大きい。
【0076】
上述のように、本例では、センサ41は、イメージングプレート10の被励起領域が発する輝尽光L5だけではなく、イメージングプレート10の被励起領域からの反射光L4もある程度検出する。よって、センサ41から出力される検出放射線像の輝度値には、検出された輝尽光L5の強度に応じた輝度値(輝尽光対応輝度値ともいう)と、検出された反射光L4に応じた輝度値(反射光対応輝度値ともいう)とが含まれる。
【0077】
輝尽光対応輝度値は、例えば、標準の線量条件及び距離(SID:Source Image Distance)条件において、反射光対応輝度値の10倍以上の値となっている。よって、検出器40から出力される画像信号に基づく検出放射線像は、反射光L4の影響をあまり受けておらず、イメージングプレート10に記録されている放射線像の読み取り及びその後の処理に反射光L4が支障をきたす可能性は小さい。センサ41が検出する被励起領域光L20では、反射光L4よりも輝尽光L5の方が輝度の強度割合が高いため、反射光L4の影響は小さい。そのため、検出器40は、検出した被励起領域光L20の強度に応じた電気信号を出力することにより、輝尽光L5の強度に応じた電気信号を出力していることにもなる。
【0078】
また、本例では、イメージングプレート10の放射線像形成層11においては、部分的に、放射線の照射に応じたエネルギーが蓄積されていない未露光部分が存在することがある。例えば、イメージングプレート10に対して撮影対象物越しに放射線が照射される場合、放射線を発する光源の位置ずれ等によって、放射線像形成層11において、本来は放射線が照射されるべき部分に対して放射線が照射されずに、未露光部分が発生することがある。この未露光部分はコーンカットと呼ばれることがある。本例では、イメージングプレート10は、口中に入れられて放射線を受ける。そのため、イメージングプレート10の全部または一部が口中に隠れることから、放射線を発する光源を操作者が適切に位置付けたつもりであっても、放射線の照射範囲がイメージングプレート10の全部または一部から外れてしまうことがある。このような場合にはコーンカットが生じる。また、放射線像形成層11において、放射線が照射された部分から意図せずに放射線像が消えてしまい、未露光部分が部分的に発生することがある。例えば、放射線像を記録するイメージングプレート10は、通常、周囲の光が照射されないように、カバーで覆われた上で保管される。しかしながら、イメージングプレート10が適切にカバーで覆われていない場合には、イメージングプレート10の保管中に周囲の光が放射線像形成層11の一部に照射され、当該一部に記録されていた放射線像が意図せずに消去されることがある。この場合にも、放射線像形成層11は、部分的に未露光部分(ここでは、いったん露光したが消去により未露光状態にもどった部分)を有することになる。
【0079】
イメージングプレート10の未露光部分には放射線のエネルギーが蓄積されていないことから、未露光部分に励起光L10が照射されたとしても未露光部分は励起されない。したがって、未露光部分は、被励起領域ではない領域、つまり非被励起領域であるといえる。イメージングプレート10の未露光部分(言い換えれば非被励起領域)に励起光L10が照射されたとしても、未露光部分からは輝尽光L5は発せられない。したがって、励起光L10が未露光部分に照射された場合には、
図8に示されるように、検出器40は、輝尽光L5を検出せずに、未露光部分での励起光L10の反射光を検出する。よって、検出器40が出力する画像信号には、未露光部分の像、つまり、未露光部分からの励起光L1の反射光の検出に基づく像を表す複数の画素の輝度値が含まれることがある。以後、未露光領域のように、イメージングプレート10において放射線のエネルギーが蓄積されていない領域からの励起光L10の反射光を反射光L40と呼ぶ。
【0080】
未露光部分からの反射光L40は、光学フィルタ42を通ってセンサ41に入射される。検出器40が被励起領域光L20及び反射光L40の検出結果として出力する画像信号に基づく全体の像には、被励起領域光L20の検出に基づく検出放射線像だけではなく、未露光部分の像(未露光領域像ともいう)も含まれることがある。検出器40が出力する検出放射線像の輝度値は、例えば、標準の線量条件・距離(SID)条件において、検出器40が出力する未露光領域像の輝度値の10倍以上となっている。未露光部分、つまり非被励起領域からの反射光L40は、非被励起領域光ともいえる。また、反射光L40は非被励起領域反射光L40と呼ばれてもよい。検出器40が検出する被作用光L2には反射光L40も含まれる。
【0081】
なお、イメージングプレート10に放射線像が全く記録されていない場合、センサ41は、被励起領域光L20を検出せずに、励起光L10の被照射位置からの反射光L40を検出する。非被励起領域からの反射光L40及び被励起領域からの反射光L4のように、イメージングプレート10での励起光L10の反射光を、輝尽光L5と対比させて、非輝尽性反射光と表現する場合がある。また、励起光L10がイメージングプレート10で反射するか、イメージングプレート10外で反射するかにかかわらず、励起光L10の反射光を単に反射光と呼ぶことがある。
【0082】
本開示では、イメージングプレート10からの光の名称あるいはイメージングプレート10に照射される光の名称に、イメージングプレート10を表すIPを付してもよい。例えば、被励起領域光L20をIP被励起領域光L20と呼んでもよい。また、非被励起領域光をIP非被励起領域光と呼んでもよい。また、輝尽光L5をIP輝尽光L5と呼んでもよい。また、反射光L4をIP反射光L4(IP被励起領域反射光L4ともいう)と呼んでもよいし、反射光L40をIP反射光L40(IP非被励起領域反射光L40ともいう)と呼んでもよい。また、非輝尽性反射光をIP非輝尽性反射光と呼んでもよい。また、作用光L1をIP作用光L1と呼んでもよいし、被作用光L2をIP被作用光L2と呼んでよい。また、IP被作用光L2のことを、単にIP光L2と呼んでもよい。また、励起光L10をIP励起光L10と呼んでもよい。以後、反射光L4及びL40を特に区別する必要がない場合には、それぞれをまたは両者の複合をIP反射光と呼ぶ。
【0083】
励起光L10は輝尽光L5を発生させる成分を有する。また、励起光L10は、IP反射光を発生させる成分を有する。光源30は、輝尽光L5を発生させる成分を有する光の源としての輝尽光発生光源でもある。また、光源30は、IP反射光を発生させる成分を有する光の源としての反射光発生光源でもある。例えば、輝尽光発生光源としての光源30は第1光源であり、反射光発生光源としての光源30は第2光源である。輝尽光発生光源と反射光発生光源は、同体である必要はなく、別々に設けるようにしてもよい。反射光発生光源は、励起光L10に限らず、対象物から反射光を発生させる光を照射できるものであればよい。
【0084】
センサ41は、輝尽光L5を検出する輝尽光検出器であり、IP反射光を検出する反射光検出器でもある。例えば、輝尽光を検出する輝尽光検出器としてのセンサ41は第1検出器であり、反射光を検出する反射光検出器としてのセンサ41は第2検出器である。センサ41は被励起領域光L20を検出する検出器である。被励起領域光L20は輝尽光L5を少なくとも含んだ光であるので、被励起領域光L20を検出することにより、輝尽光L5を少なくとも検出する。その意味でセンサ41は輝尽光検出器である。第1検出器たるセンサ41を被励起領域光検出器と考えてもよい。被励起領域光はIP被作用光なので、第1検出器を、IP被励起領域光L20を検出するIP被励起領域光検出器と考えてもよい。第2検出器を、非被励起領域光を検出する非被励起領域光検出器と考えてもよい。第2検出器が、非被励起領域光がIP被作用光である場合、第2検出器を、IP非被励起領域光を検出するIP非被励起領域光検出器と考えてもよい。輝尽光検出器と反射光検出器は、同体である必要はなく、別々に設けるようにしてもよい。
【0085】
また、本開示では、ある光が形成する像、つまりある光の検出に基づく像を、当該ある光の名称を付した像の名称で呼んでもよい。例えば、被励起領域光L20が形成する像、つまり被励起領域光L20の検出に基づく像を、被励起領域光像と呼んでもよい。検出器40で得られる上述の検出放射線像は被励起領域光像である。また、反射光が形成する像、つまり当該反射光の検出に基づく像を、反射光像と呼んでもよい。未露光部分からの反射光L40が形成する反射光像は、検出器40で得られる上述の未露光領域像である。非輝尽性反射光が形成する像を非輝尽性反射光像と呼んでもよいし、被作用光L2が形成する像を被作用光像と呼んでもよい。したがって、輝尽光像、反射光像、被励起領域反射光像、非被励起領域光像、非被励起領域反射光像などもありうる。
【0086】
また、本開示では、イメージングプレート10に関する像の名称に、イメージングプレート10を表すIPを付してもよい。例えば、被励起領域光像をIP被励起領域光像と呼んでもよいし、IP反射光が形成する像(言い換えれば、IP反射光の検出に基づく像あるいはIP反射光の検出により得られる像)をIP反射光像と呼んでもよいし、非輝尽性反射光像をIP非輝尽性反射光像と呼んでもよいし、被作用光像をIP被作用光像と呼んでもよい。同様に、IP輝尽光像、IP被励起領域反射光像、IP非被励起領域光像、IP非被励起領域反射光像などもありうる。また、IP被作用光像を単にIP像と呼んでもよい。また、IP被作用光像に加工を加えたものもIP被作用光像(言い換えればIP像)と呼んでよい。
【0087】
また、本開示では、ある光の検出結果として得る画像信号を当該ある光の名称を付した画像信号の名称で呼んでよい。例えば、被励起領域光L20の検出結果として得る画像信号を被励起領域光画像信号と呼んでもよい。また、反射光の検出結果として得る画像信号を反射光画像信号と呼んでもよい。また、非輝尽性反射光像の検出結果として得る画像信号を非輝尽性反射光画像信号と呼んでもよい。また、被作用光L2の検出結果として得る画像信号を被作用光画像信号と呼んでもよい。同様に、輝尽光画像信号、被励起領域反射光画像信号、非被励起領域光画像信号、非被励起領域反射光画像信号などもありうる。
【0088】
また、本開示では、イメージングプレート10に関する画像信号の名称に、イメージングプレート10を表すIPを付してもよい。例えば、被励起領域光画像信号をIP被励起領域光画像信号と読んでもよいし、反射光の検出結果として得る画像信号をIP反射光画像信号と呼んでもよいし、非輝尽性反射光画像信号をIP非輝尽性反射光画像信号と呼んでもよいし、被作用光画像信号をIP被作用光画像信号と呼んでもよい。また、IP被作用光画像信号を単にIP画像信号と呼んでもよい。同様に、IP輝尽光画像信号、IP被励起領域反射光画像信号、IP非被励起領域光画像信号、IP非被励起領域反射光画像信号などもありうる。
【0089】
なお、
図9のように、光学フィルタ42が、反射光L4を完全に遮り、輝尽光L5のみ透過させるものであれば、センサ41が検出する被作用光L2、言い換えればセンサ41が検出する被励起領域光L20は、輝尽光L5となる。よって、センサ41から出力される被作用光L2(言い換えれば被励起領域光L20)の強度に応じた輝度値は、輝尽光L5の強度に応じた輝度値となる。
図9の例では、検出器40が検出する輝尽光L5に基づく像を輝尽光像と呼んでもよいし、IP輝尽光像と呼んでもよい。また、検出器40が輝尽光L5の検出結果として出力する画像信号を、輝尽光画像信号と呼んでもよいし、IP輝尽光画像信号と呼んでもよい。
【0090】
本例では、読取処理において、励起光L10は、イメージングプレート10だけではなく、保持部20のうちイメージングプレート10の外側の部分に対しても照射される。ここで、読取装置1において励起光L10が照射される対象物を照射対象物1200と呼ぶ。本例では、照射対象物1200は、保持部20と、保持部20に保持されたイメージングプレート10とで構成されている。また、照射対象物1200の支持面21a側の主面1200aを支持側主面1200aと呼ぶ。本例では、支持側主面1200aには、イメージングプレート10の放射線像形成層11の表面と、保持部20の固定部22の表面と、保持部20の支持板21の支持面21aのうちイメージングプレート10及び固定部22で覆われていない領域とが含まれる。また、支持側主面1200aにおいて、そこからの被作用光L2が形成する像がIP像である領域を、IP像領域R100と呼ぶ。IP像領域R100は、支持側主面1200aにおいてイメージングプレート10が存在するIP存在領域ともいえる。なお、照射対象物1200の支持側主面1200aとは反対側の主面は、支持板21の裏面21bと一致する。
【0091】
IP像領域R100からの光をIP像領域光と呼んでよい。IP像領域光が形成する像をIP像領域光像と呼んでよい。IP像領域光の検出結果として出力する画像信号を、IP像領域光画像信号と呼んでもよい。IP像領域光は、被励起領域反射光L4のみからなる場合も、非被励起領域反射光L40のみからなる場合も、被励起領域反射光L4と非被励起領域反射光L40の双方からなる場合もありうる。
【0092】
本例では、読取処理での支持側主面1200aに対する励起光L10の照射範囲(励起光照射範囲ともいう)R120は、IP像領域R100を含みつつ、それよりも大きい範囲となっている。励起光照射範囲R120は、読取処理での励起光L10の走査範囲ともいえる。また、読取処理における検出器40の支持側主面1200aでの検出範囲R110も、IP像領域R100を含みつつ、それよりも大きい範囲となっている。
【0093】
図10は励起光照射範囲R120、検出範囲R110及びIP像領域R100の一例を示す概略図である。
図10及び後述の
図12及び13では、イメージングプレート10の記載は省略している。
図10に示されるように、励起光照射範囲R120及び検出範囲R110のそれぞれは、IP像領域R100を含みつつ、IP像領域R100よりも大きい範囲となっている。そして、励起光照射範囲R120及び検出範囲R110は、例えば、互いに同じ大きさであり、かつ互いに同じ位置に存在する。なお、
図10では、説明の便宜上、励起光照射範囲R120が検出範囲R110よりも若干大きく示されている。
【0094】
このように、励起光照射範囲R120と検出範囲R110とを一致した範囲としてよい。励起光照射範囲R120からの被作用光L2しか検出対象としない構成は、励起光照射範囲R120と検出範囲R110とを一致した範囲とさせる構成例である。
【0095】
読取処理では、光源30が主走査方向スキャンを繰り返し実行しつつ、イメージングプレート10を保持した保持部20が副走査方向DRsに移動することによって、励起光照射範囲R120に対して励起光L10によるラスタスキャンがなされる。そして、センサ41は、検出範囲R110での励起光L10の照射位置に応じた輝度値を、励起光L10のラスタスキャンに応じて順次出力する。
【0096】
ここで、支持側主面1200aにおいて、IP像領域R100の外側であり、かつ励起光照射範囲R120及び検出範囲R110の内側の領域をIP外側領域R130と呼ぶ。本例では、励起光照射範囲R120及び検出範囲R110が、IP像領域R100を含みつつ、IP像領域R100よりも大きい範囲となっていることから、センサ41は、IP外側領域R130からの励起光L10の反射光L400を検出する。IP外側領域R130には、例えば、固定部22の表面の少なくとも一部と、支持板21の支持面21aのうちイメージングプレート10及び固定部22で覆われていない領域の少なくとも一部とが含まれる。IP外側領域R130は、保持部20の表面、具体的には保持部20のイメージングプレート10側の主面に含まれる。
図11は、センサ41が反射光L400を検出する様子の一例を示す概略図である。センサ41が検出する被作用光L2には反射光L400も含まれる。
【0097】
IP外側領域R130に励起光L10が照射されたとしても、IP外側領域R130からは輝尽光L5は発せられない。したがって、検出器40は、励起光L10がIP外側領域R130に照射された場合、輝尽光L5を検出せずに、IP外側領域R130からの励起光L10の反射光L400を検出する。よって、読取処理において、検出器40が輝尽光L5及び反射光の検出結果として出力する画像信号には、IP外側領域R130の反射光像、つまり、IP外側領域R130からの励起光L10の反射光L400の検出に基づく反射光像を表す複数の画素の輝度値が含まれる。本例では、検出器40が出力する画像信号に基づく全体の像(取得全体像ともいう)には、検出放射線像だけではなく、IP外側領域R130の反射光像も含まれる。イメージングプレート10に未露光部分が含まれる場合には、取得全体像には、検出放射線像、未露光領域像及びIP外側領域R130の反射光像が含まれる。以後、IP外側領域R130の反射光像をIP外側領域像と呼ぶことがある。
【0098】
検出範囲R110において、IP像領域R100を除いた領域をIP像領域外領域と呼んでもよい。IP像領域外領域の像をIP像領域外領域像と呼んでもよい。検出範囲R110は、少なくともIP像領域R100を包含するように設定される。検出範囲R110が、IP像領域R100を含みつつ、IP像領域R100より広い範囲に設定される場合、検出範囲R110はIP像領域R100とIP像領域外領域とで構成される。IP像領域R100は、イメージングプレート10において励起光L1を受光する領域であることから、IP受光領域と呼び変えてもよい。検出範囲R110においてIP受光領域を除いた領域がIP像領域外領域であるので、IP像領域外領域をIP受光外領域と呼び変えてもよい。
【0099】
本例では、IP外側領域R130に対して、励起光L10が反射しにくくなる処理が行われている。例えば、IP外側領域R130には黒アルマイト処理が行われている。これにより、検出器40は、イメージングプレート10の未露光部分での励起光L10の反射光L40よりも、IP外側領域R130での励起光L10の反射光L400の方が検出しにくくなっている。本例では、黒アルマイト処理により、IP外側領域R130では、ほとんど励起光L10が反射しなくなっている。検出器40が出力する未露光領域像の輝度値は、例えば、検出器40が出力するIP外側領域像の輝度値の3倍以上となっている。なお、黒アルマイト処理は、保持部20の表面のうち、IP外側領域R130以外の領域に対しても行われてもよい。例えば、黒アルマイト処理は、保持部20の表面の全領域に行われてもよい。また、例えば、保持部20の支持面21a及び固定部22のうち、検出範囲R110内の部分の、少なくとも励起光L1が照射される範囲には、励起光L10が反射しにくくなる処理が行われてもよい。保持部20の支持面21a及び固定部22のうち、検出範囲R110内の部分において、励起光L10が照射されない範囲があるときには、この範囲にも光が反射しにくくなる処理が行われてもよい。
【0100】
励起光照射範囲R120、検出範囲R110及びIP像領域R100の関係は上記の例に限られない。
図12及び13は、励起光照射範囲R120、検出範囲R110及びIP像領域R100の他の一例を示す概略図である。
図12の例では、励起光照射範囲R120は、検出範囲R110及びIP像領域R100を含みつつ、検出範囲R110及びIP像領域R100よりも大きくなっている。
図12の例では、検出範囲R110内のIP像領域外領域は、励起光照射範囲R120に収まっている。検出範囲R110内であり、かつ励起光照射範囲R120内であり、かつIP像領域R100の外側の領域を、照射範囲内IP像領域外領域と呼んでよい。照射範囲内IP像領域外領域は上述のIP外側領域R130と一致する。
図12の例では、IP像領域外領域は照射範囲内IP像領域外領域で構成されている。以後、IP外側領域R130を照射範囲内IP像領域外領域R130と呼ぶことがある。
【0101】
図13の例では、検出範囲R110は、励起光照射範囲R120及びIP像領域R100を含みつつ、励起光照射範囲R120及びIP像領域R100よりも大きくなっている。
【0102】
図10,12,13の例のように、励起光照射範囲R120及び検出範囲R110は互いに一致してもよいし、励起光照射範囲R120及び検出範囲R110の一方が、励起光照射範囲R120及び検出範囲R110の他方より大きくてもよい。
【0103】
図13の例では、検出範囲R110には、支持側主面1200aにおける、励起光照射範囲R120以外の領域(照射範囲外領域ともいう)が含まれている。また、
図13の例では、検出範囲R110内のIP像領域外領域は、励起光照射範囲R120においてIP像領域R100を除く領域と、検出範囲R110において励起光照射範囲R120を除く領域とを含む。検出範囲R110において励起光照射範囲R120の外側の領域を、照射範囲外IP像領域外領域と呼んでもよい。
図13の例では、検出範囲R110内のIP像領域外領域は、照射範囲内IP像領域外領域と照射範囲外IP像領域外領域とで構成されている。
【0104】
支持側主面1200aのうち励起光照射範囲R120に対しては励起光L1が反射しにくくなる処理が行われてもよく、照射範囲外IP像領域外領域にも光が反射しにくくなる処理が行われてもよい。照射範囲外IP像領域外領域の光の状況を照射範囲外IP像領域外領域光状況と呼んでもよい。
【0105】
読取処理では、照射範囲外IP像領域外領域についての照射範囲外検出処理が行われる。照射範囲外検出処理として、検出器40において、照射範囲外IP像領域外領域光状況の輝度検出が行われてもよい。照射範囲外IP像領域外領域光状況の輝度は低いことは既知であるため、効率化のために、例えば、照射範囲外IP像領域外領域光状況の輝度値を一括して所定の値に設定して、照射範囲外IP像領域外領域光状況の輝度を検出したものとしてもよい。所定の値は、IP像の輝度値より低い輝度値とする。検出器40が出力する画像信号には、照射範囲外IP像領域外領域光状況の輝度値も含まれる。
【0106】
このようにして、照射範囲外IP像領域外領域から光が出ないものである場合であっても、読取処理において、照射範囲外IP像領域外領域の像を得ることができる。IP像領域外領域に励起光L1が反射しにくくなる処理が行われてもよい。この場合、少なくとも照射範囲外IP像領域外領域に励起光L1が反射しにくくなる処理が行われてもよい。
【0107】
検出範囲R110からの被作用光L2の検出結果として得る画像信号を検出範囲画像信号と呼んでもよい。検出範囲画像信号に基づく像を検出範囲像と呼んでもよい。検出範囲像は上述の取得全体像である。
【0108】
IP像領域外領域の像をIP像領域外領域像と呼んでもよい。照射範囲内IP像領域外領域の像を照射範囲内IP像領域外領域像と呼んでもよい。照射範囲外IP像領域外領域の像を照射範囲外IP像領域外領域像と呼んでもよい。
図12の場合、照射範囲内IP像領域外領域像がIP像領域外領域像を構成することになる。
図13の場合、照射範囲内IP像領域外領域像と照射範囲外IP像領域外領域像とがIP像領域外領域像を構成することになる。
【0109】
照射範囲内IP像領域外領域R130(つまりIP外側領域R130)に励起光L1が照射された結果、低輝度ながら反射光L400が発生し、この反射光L400が検出器40で検出される場合、照射範囲内IP像領域外領域像(つまり、IP外側領域像)は反射光像である。照射範囲外IP像領域外領域像は、センサ41の検出面の画素の暗電流分からの暗像であるか、人工的に低い値を与えられて生成される暗像である。IP像領域外領域像は、照射範囲内IP像領域外領域の反射光像からなるか、照射範囲内IP像領域外領域の反射光像と照射範囲外IP像領域外領域の暗像とからなる像である。
【0110】
<消去用光源について>
本例では、
図6に示されるように、消去用光源70と、それを制御する消去制御部87とで、イメージングプレート10から放射線像を消去する消去処理を行う消去部91が構成されている。消去部91を構成する消去用光源70及び消去制御部87は、一つのケースに収容されてユニット化されてもよいし、一つのケースに収容されていなくてもよい。消去用光源70は、イメージングプレート10から放射線像を消去するための消去光L3をイメージングプレート10に照射することが可能である。消去光L3は、例えば可視光である。消去光L3は、白色光であってもよいし、赤色の可視光であってもよいし、他の色の可視光であってもよい。消去用光源70は、LED(Light Emission Diode)であってもよいし、ハロゲンランプであってもよいし、他の光源であってもよい。
【0111】
図4及び5に示されるように、消去用光源70は、例えば一度の照射で、イメージングプレート10の放射線像形成層11の全領域に消去光L3を照射することができる。消去処理では、放射線像形成層11に消去光L3が照射されることにより、放射線像形成層11から放射線像が消去される。
【0112】
駆動部50は、読取処理が終了すると、イメージングプレート10を保持する保持部20を消去位置まで移動させる。保持部20が消去位置まで移動すると、消去部91が消去処理を行う。消去処理では、消去用光源70が、消去制御部87による制御によって、イメージングプレート10の放射線像形成層11の全領域に対して消去光L3を照射する。これより、イメージングプレート10から放射線像が消去される。
【0113】
駆動部50は、イメージングプレート10から放射線像が消去されると、保持部20を排出位置まで移動させる。保持部20が排出位置まで移動すると、保持部20の各固定部分22aが接近位置から離間位置まで移動する。その後、放射線像が消去されたイメージングプレート10が取出口2bに排出される。以後、消去済みイメージングプレート10と言えば、放射線像が消去されたイメージングプレート10を意味する。
【0114】
<画像処理部について>
制御部80の画像処理部81は、取得全体像でのそれぞれの画素位置に対して、センサ41からの画像信号に含まれる輝度値を対応付ける。
【0115】
ここで、読取処理では、駆動部50は、主走査方向スキャンの繰り返しに合わせて保持部20を副走査方向DRsに移動する。具体的には、主走査方向スキャンが所定回数実行される間に、励起光照射範囲R120の全領域が励起光L10で照射されるように、駆動部50は保持部20を副走査方向DRsに移動する。そして、センサ41は、検出範囲R110での励起光L10の照射位置に応じた輝度値を、励起光L10のラスタスキャンに応じて順次出力する。読取処理では、読取装置1がこのように動作することから、励起光照射範囲R120と、検出範囲R110と、1回の主走査方向スキャンにかかる時間と、主走査方向スキャンの繰り返し周期と、読取処理での主走査方向スキャンの実行回数とが分かれば、センサ41があるタイミングで出力する輝度値が、取得全体像のどの位置の画素の輝度値であるのかが分かる。画像処理部81は、励起光照射範囲R120と、検出範囲R110と、1回の主走査方向スキャンにかかる時間と、主走査方向スキャンの繰り返し周期と、読取処理での主走査方向スキャンの実行回数とに基づいて、センサ41からの画像信号に含まれる複数の輝度値を複数の画素位置にそれぞれ対応付ける。なお、検出制御部85が、センサ41からの画像信号に含まれる複数の輝度値を複数の画素位置にそれぞれ対応付けてもよい。
【0116】
また、画像処理部81は、センサ41からの画像信号に対して画像処理を行う。画像処理部81は、第1検出器及び第2検出器たるセンサ41からの画像信号(検出画像信号)を画像処理する。画像処理部81は、例えば、取得全体像での複数の画素位置に、画像処理後の画像信号の複数の輝度値をそれぞれ対応付けた画像情報を表示制御部82に出力する。表示制御部82は、例えば、画像情報基づいて、検出放射線像を含む取得全体像を表示部3に表示させる。
【0117】
画像処理部81が行う画像処理には輝度反転処理が含まれてもよい。輝度反転処理とは、輝度反転処理が行われる前の画像信号の各輝度値に対して、当該輝度値が大きいほど小さくなるような変換を行う処理である。ここで、輝度値が取り得る範囲の最大値を輝度最大値と呼ぶ。例えば、輝度反転処理が行われる前の画像信号に含まれるある輝度値を、輝度最大値から差し引いて得られる値が、変換後の当該ある輝度値となる。画像信号に対して輝度反転処理が行われることによって、画像処理後の画像信号では、画像処理前の画像信号とは異なり、イメージングプレート10において蓄積エネルギーが小さい部分からの被励起領域光L20の検出に基づく放射線像の輝度値は大きくなり、イメージングプレート10において蓄積エネルギーが大きい部分からの被励起領域光L20の検出に基づく放射線像の輝度値は小さくなる。また、画像処理後の画像信号では、未露光領域像の輝度値及びIP外側領域像の輝度値は、検出放射線像の輝度値よりも大きくなる。
【0118】
なお、画像処理部81が行う画像処理には、輝度反転処理が含まれなくてもよいし、輝度反転処理以外の処理が含まれてもよい。画像処理には、輝度反転処理以外の処理として、例えば、オフセット補正及び対数変換が含まれてもよい。
【0119】
図14及び15は、輝度反転処理が行われる前の画像信号に基づく取得全体像(反転前全体像ともいう)100aの一例を示す概略図である。
図16及び17は、輝度反転処理が行われた後の画像信号に基づく取得全体像(反転後全体像ともいう)100bの一例を示す概略図である。
図14~17では、反転前全体像100a及び反転後全体像100bがグレースケールで示されている。
図14~17では、像の輝度値が大きいほど、その像は明るく(言い換えれば白く)示され、像の輝度値が小さいほど、その像は暗く(言い換えれば黒く)示されている。なお、読取装置1で得られる像を示す後述の図についても同様である。
【0120】
図14の取得全体像100aのように、生体の放射線撮影の受光体として用いられたイメージングプレート10に対して、生体組織の放射線像の読み取りを目的として作用光L1による走査を行うことによって得た画像を、生体放射線撮影画像と呼ぶこととする。作用光L1として励起光L10による走査が行われてもよい。
図14の放射線像101aのように、生体放射線撮影画像において、IP被作用光L2で形成される像(言い換えれば、IP被作用光L2の検出に基づく像)を、IP生体放射線撮影画像と呼ぶこととする。生体放射線撮影画像も、IP生体放射線撮影画像も、共に生体の放射線撮影によって得た画像であり、生体放射線撮影から得た取得像である。
【0121】
図14には、被励起領域光L20の検出に基づく放射線像(言い換えれば検出放射線像あるいはIP被励起領域光像)101aとIP像領域外領域像102aとを含む反転前全体像100aが示されている。
図14の例では、放射線像101aがIP像を構成する。
図15には、放射線像(言い換えればIP被励起領域光像)101aと、IP像領域外領域像102aと、未露光領域像(言い換えれば、IP反射光像あるいはIP非輝尽性反射光像)103aとを含む反転前全体像100aが示されている。
図15の例では、放射線像101a及び未露光領域像103aがIP像を構成する。
図16には、放射線像(言い換えればIP被励起領域光像)101bとIP像領域外領域像102bとを含む反転後全体像100bが示されている。
図16の例では、放射線像101bがIP像を構成する。
図17には、放射線像(言い換えればIP被励起領域光像)101bと、IP像領域外領域像102bと、未露光領域像(言い換えれば、IP反射光像あるいはIP非輝尽性反射光像)103bとを含む反転後全体像100bが示されている。
図17の例では、放射線像101b及び未露光領域像103bがIP像を構成する。本例では、センサ41の検出範囲R110が長方形であることから、
図14~17に示されるように、取得全体像の形状は長方形となる。
【0122】
表示制御部82は、画像処理後の画像信号に基づいて反転後全体像100bを表示部3に表示させる場合、例えば、
図16及び17に示されるようなグレースケールで反転後全体像100bを表示部3に表示させる。
図16及び17は、反転後全体像100bの表示例を示す図であるともいえる。また、表示制御部82は、輝度反転処理が行われる前の画像信号に基づいて反転前全体像100aを表示部3に表示させる場合、例えば、
図14及び15に示されるようなグレースケールで反転前全体像100aを表示部3に表示させる。
図14及び15は、反転前全体像100aの表示例を示す図であるともいえる。
【0123】
<読取装置の動作の一例>
図18は読取装置1の動作の一例を示すフローチャートを示す図である。筐体2の挿入口2aから挿入されたイメージングプレート10が保持部20で保持され、操作部4に含まれるスタートボタンが操作されると、
図14のステップs1が実行される。スタートボタンの操作は、
図14に示される一連の処理の開始指示操作であるともいえる。
【0124】
ステップs1では、駆動部50が、駆動制御部83による制御によって、保持部20を読取開始位置に移動させる。次にステップs2において、イメージングプレート10から放射線像が読み取られる読取処理が行われる。次にステップs3において、駆動部50は、駆動制御部83による制御によって、保持部20を消去位置に移動させる。次にステップs4において、消去用光源70が、消去制御部87による制御によって、消去光L3をイメージングプレート10に照射することによって、イメージングプレート10から照射線像が消去される消去処理が行われる。次にステップs5において、駆動部50は、駆動制御部83による制御によって、保持部20を排出位置に移動させる。次にステップs6において、イメージングプレート10は筐体2の取出口2bに排出される。そしてステップs7において、表示部3は、表示制御部82による制御によって、取得全体像を表示する。ステップs7では、表示部3は、例えば、反転後全体像を
図12及び13のようにグレースケール表示する。なお、ステップs7は、ステップs2の後であれば、いつでも実行されてもよい。例えば、ステップs7はステップs3とステップs4の間に実行されてもよい。
【0125】
<イメージングプレートの傾き角度の特定について>
画像処理部81は、例えば、イメージングプレート10の基準姿勢からの傾き角度(IP傾き角度ともいう)を特定する傾き角度特定処理を行ってもよい。画像処理部81は、傾き角度特定処理において、例えば、検出器40が出力する画像信号、具体的にはIP被作用光画像信号に基づいてIP傾き角度を特定する。画像処理部81はIP傾き角度を特定する特定部(傾き角度特定部ともいう)として機能する。本例では、イメージングプレート10の存在領域を二次元特徴ベクトル集合とみなして主成分分析を行うことで基準姿勢からの回転角度は検出できる。以下に傾き角度特定処理の具体例について説明するが、傾き角度特定処理は下記の例に限られない。
【0126】
上述のように、本例の基準姿勢とは、イメージングプレート10の短手方向及び長手方向が主走査方向DRm及び副走査方向DRsにそれぞれ平行となるようなイメージングプレート10の姿勢である。言い換えれば、基準姿勢とは、例えば、イメージングプレート10の短手方向が主走査方向DRmに平行に、イメージングプレート10の長手方向が副走査方向DRs平行となるようなイメージングプレート10の姿勢である。保持部20がイメージングプレート10を適切に保持していない場合、保持部20で保持されたイメージングプレート10をその前面側から見ると、
図19に示されるように、イメージングプレート10の長手方向(IP長手方向ともいう)が副走査方向DRsに対して傾いて、イメージングプレート10が基準姿勢に対して傾くことがある。言い換えれば、イメージングプレート10の短手方向(IP短手方向ともいう)が主走査方向DRmに対して傾いて、イメージングプレート10が基準姿勢に対して傾くことがある。
図19では、基準姿勢のイメージングプレート10が破線で示されている。
【0127】
本例では、IP傾き角度、つまりイメージングプレート10の基準姿勢からの傾き角度は、副走査方向DRsに対するIP長手方向の傾き角度と一致する。言い換えれば、IP傾き角度は、主走査方向DRmに対するIP短手方向の傾き角度と一致する。
【0128】
一方で、センサ41の検出範囲R110(
図10等参照)の長手方向は、センサ41からの画像信号に基づく取得全体像の長手方向に対応する。本例では、検出範囲R110の長手方向は副走査方向DRsに平行であることから、取得全体像の長手方向は、副走査方向DRsに対応しているといえる。したがって、イメージングプレート10の姿勢が基準姿勢である場合、取得全体像の長手方向と、取得全体像のうちのイメージングプレート10に相当する部分(IP相当部分ともいう)の長手方向とは、互いに一致する。一方で、イメージングプレート10が基準姿勢に対して傾いている場合、取得全体像のIP相当部分の長手方向は、取得全体像の長手方向に対して傾くことになる。言い換えれば、イメージングプレート10が基準姿勢に対して傾いている場合、取得全体像に含まれるIP相当部分の短手方向は、取得全体像の短手方向に対して傾くことになる。
【0129】
図20は、イメージングプレート10が基準姿勢に対して傾いている場合に得られる反転前全体像100aの一例を示す図である。
図20に示される反転前全体像100aには、傾いたIP相当部分105aが含まれる。
【0130】
本例では、取得全体像の長手方向に対するIP相当部分(言い換えればIP像)の長手方向の傾き角度は、IP傾き角度と一致する。そこで、画像処理部81は、センサ41からの画像信号に基づいて、取得全体像の長手方向に対するIP相当部分の長手方向の傾き角度を求める。そして、画像処理部81は、求めた傾き角度をIP傾き角度とする。以下にこの画像処理部81の動作について詳細に説明する。
【0131】
傾き角度特定処理において、画像処理部81は、輝度反転処理が行われる前の画像信号(反転前の画像信号ともいう)に基づく反転前全体像を二値化して二値化像を生成する。画像処理部81は、まず、反転前の画像信信号に含まれる、反転前全体像の各輝度値と、予め設定されたしきい値とを比較する。そして、画像処理部81は、反転前全体像の各輝度値について、しきい値以上の輝度値を“1”に置き換え、しきい値未満の輝度値を“0”に置き換える。これにより、反転前全体像が二値化されて二値化像が得られる。
【0132】
二値化で使用されるしきい値は、例えば、反転前の画像信号に含まれるIP像領域外領域像の輝度値よりも大きく、かつ反転前の画像信号に含まれる未露光領域像の輝度値よりも小さい値に設定される。例えば、反転前の画像信号に含まれるIP像領域外領域像の輝度値がIL1とし、反転前の画像信号に含まれる未露光領域像の輝度値がIL2である場合を考える。IL1<IL2である。この場合、しきい値は、例えばIL1<IL3<IL2の関係となるIL3に設定される。しきい値は、例えば、実稼働前の読取装置1で得られた反転前の画像信号に基づいて設定され、読取装置1の画像処理部81に予め記憶される。なお、反転前の画像信号に含まれる検出放射線像の輝度値は、反転前の画像信号に含まれる未露光領域像の輝度値よりも大きくなることから(
図15参照)、しきい値は、反転前の画像信号に含まれる検出放射線像の輝度値よりも小さくなる。
【0133】
しきい値が上記のように設定されることによって、二値化像では、IP像領域外領域に相当する部分の各輝度値は“0”となる。また、イメージングプレート10に未露光部分が含まれているか否かにかかわらず、二値化像では、イメージングプレート10に相当する部分の各輝度値は“1”となる。
【0134】
図21は二値化像500の一例を示す概略図である。
図21には、
図20に示される反転前全体像100aを二値化して得られた二値化像500が示されている。
図21では、二値化像500において、輝度値が“1”の領域(高輝度領域ともいう)501は白で示され、輝度値が“0”の領域(低輝度領域ともいう)502は黒で示されている。
図21から理解できるように、二値化像500では、高輝度領域501がイメージングプレート10に相当し、低輝度領域502がIP像領域外領域に相当する。高輝度領域501の外形は、イメージングプレート10の外形に応じた形状となる。高輝度領域501の像(高輝度領域像ともいう)はIP像でもあり、低輝度領域502の像(低輝度領域像ともいう)はIP像領域外領域像でもある。
【0135】
イメージングプレート10の形状をイメージングプレート形状と呼ぶこととし、イメージングプレート形状に関するデータ(言い換えれば、イメージングプレート形状を表すデータ)をイメージングプレート形状データと呼ぶこととする。イメージングプレート形状データには、イメージングプレート10のサイズ、形及び傾きの少なくとも一つなどが含まれうる。また、イメージングプレート形状を抽出する処理を、イメージングプレート形状抽出処理と呼んでよい。イメージングプレート形状データはイメージングプレート形状抽出処理から得ることが可能である。また、
図20の反転前全体像100aのように、イメージングプレート10を撮影して得た画像をイメージングプレート撮影画像と呼ぶこととする。
【0136】
図21の二値化像500のように、イメージングプレート10に光を照射して生じた被作用光の検出結果として得られる画像を処理して得たイメージングプレート形状を表す画像をイメージングプレート形状画像と呼ぶこととする。
図21の高輝度領域501の像のように、IP被作用光を処理してイメージングプレート形状を抽出して形成されている像をIPイメージングプレート形状画像と呼ぶこととする。イメージングプレート形状画像もIPイメージングプレート形状画像も、IP被作用光画像信号が処理されて抽出されたイメージングプレート形状を表す像からなるので、イメージングプレート形状抽出画像と呼んでよい。
【0137】
ここで、二値化像500に含まれる高輝度領域501は、反転前全体像100aに含まれるIP相当部分105aに対応する。画像処理部81は、傾き角度特定処理において、生成した二値化像500に含まれる高輝度領域501を構成する複数の画素の位置を分析対象データとして主成分分析を行って、分析対象データについての第1主成分軸を求める。
【0138】
主成分分析において、画像処理部81は、二値化像500に含まれる高輝度領域501の重心501a(
図21参照)を求める。そして、画像処理部81は、
図21に示されるように、重心501aを原点とするXY座標系を二値化像500に対して設定する。このとき、X軸は反転前全体像100aの長手方向に平行とし、Y軸は反転前全体像100aの短手方向に平行とする。後述するように、画像処理部81は、XY座標系を重心501aを中心にして回転させる。本例では、XY座標系の右回りの回転角度をプラスとし、XY座標系の左回りの回転角度をマイナスとする。X軸が反転前全体像100aの長手方向に平行であり、かつY軸が反転前全体像100aの短手方向に平行であるXY座標系の姿勢を初期姿勢と呼ぶ。
【0139】
画像処理部81は、初期姿勢のXY座標系を二値化像500に対して設定すると、高輝度領域501を構成する複数の画素のそれぞれについて、当該画素の位置510からY軸に下ろした垂線の長さLを求める。次に、画像処理部81は、高輝度領域501を構成する複数の画素についてそれぞれ求めた複数の長さLの分散を求める。この分散を、初期姿勢のときの分散と呼ぶ。
【0140】
画像処理部81は、XY座標系を重心501aを中心にして初期姿勢から右回り520Rに例えば0.1度ずつ回転させ、XY座標系を0.1度回転させるたびに同様にして複数の長さLの分散を求める右回り処理を行う。右回り処理において、画像処理部81は、XY座標系を右回り520Rに最終的に例えば90度回転させる。また、画像処理部81は、XY座標系を重心501aを中心にして初期姿勢から左回り520Lに例えば0.1度ずつ回転させ、XY座標系を0.1度回転させるたびに同様にして複数の長さLの分散を求める左回り処理を行う。左回り処理において、画像処理部81は、XY座標系を左回り520Lに最終的に例えば90度回転させる。
【0141】
画像処理部81は、右回り処理及び左回り処理を実行すると、右回り処理及び左回り処理において得られた複数の分散と初期姿勢のときの分散のうちの最小値を特定する。そして、画像処理部81は、特定した最小値が得られたときのXY座標系のY軸を第1主成分軸とする。第1主成分軸は、高輝度領域501を構成する複数の画素の位置から、それに下ろした垂線の長さの分散が最小となるような軸であると言える。以後、第1主成分軸に垂直であり、かつ重心501aを通る軸を、第2主成分軸と呼ぶことがある。また、右回り処理及び左回り処理において得られる複数の分散と初期姿勢のときの分散のうちの最小値が得られたときのXY座標系を、分散最小姿勢のXY座標系と呼ぶことがある。
【0142】
図22は、
図21に示される二値化像500から得られた第1主成分軸551を示す概略図である。
図22には、初期姿勢のXY座標系のY軸が破線で示されている。
図22に示されるように、第1主成分軸551は高輝度領域501の長手方向に一致する。画像処理部81は、第1主成分軸551を求めると、第1主成分軸551と一致するY軸を有するXY座標系、つまり分散最小姿勢のXY座標系についての初期姿勢からの回転角度αを求める。そして、画像処理部81は、求めた回転角度αを、取得全体像の長手方向に対するIP相当部分の長手方向の傾き角度αとする。初期姿勢のXY座標系のY軸は取得全体像の長手方向に対応し、第1主成分軸551(言い換えれば、分散最小姿勢のXY座標系のY軸)は取得全体像に含まれるIP相当部分の長手方向に対応する。したがって、回転角度αは、取得全体像の長手方向に対するIP相当部分の長手方向の傾き角度であると言える。分散最小姿勢のXY座標系が右回り処理において得られる場合には、回転角度αはプラスの値を示し、分散最小姿勢のXY座標系が左回り処理において得られる場合には、回転角度αはマイナスの値を示す。そして、分散最小姿勢のXY座標系が初期姿勢のXY座標系と一致する場合には、回転角度αは零となる。
【0143】
画像処理部81は、以上のようにして、取得全体像の二値化像500から取得全体像の長手方向に対するIP相当部分の長手方向の傾き角度αを求めると、求めた傾き角度αをIP傾き角度αとする。イメージングプレート10をその前面側から平面視した場合、IP傾き角度αがプラスのときには、イメージングプレート10は基準姿勢に対して右回りに傾斜し、IP傾き角度αがマイナスのときは、イメージングプレート10は基準姿勢に対して左回りに傾斜している。以後、イメージングプレート10の傾きに関して、単に右回りと言えば、イメージングプレート10をその前面側から見たときの右回りを意味し、単に左回りと言えば、イメージングプレート10をその前面側から見たときの左回りを意味する。
【0144】
以上のような傾き角度特定処理は、上述の
図18に示される一連の処理の中で実行されてもよいし、
図18に示される処理とは別のタイミングで実行されてもよい。また、画像処理部81で求められたIP傾き角度は表示部3で表示されてもよい。このとき、表示部3は、IP傾き角度を、例えば上述のステップs7において取得全体像と同時に表示してもよいし、取得全体像を表示しないときに表示してもよい。
【0145】
なお、毎回上記のような分散計算を行う代わりに、初期姿勢における分散σX2,σY2に加えて、共分散σXYを求めてこれを使用して回転後の分散を計算するようにしてもよい。
【0146】
このように、本例では、画像処理部81は、イメージングプレート10からの発光光L2及び反射光の検出結果としての画像信号に基づいてIP傾き角度を特定していることから、IP傾き角度を適切に特定することができる。
【0147】
例えば、センサ41が反射光を検出できない場合であって、イメージングプレート10に未露光部分が含まれる場合を考える。この場合、センサ41からの画像信号に基づく反転前全体像に含まれる未露光領域像及びIP像領域外領域像の各輝度値は零となる。したがって、反転前全体像を二値化して得られる二値化像500では、未露光領域像及びIP像領域外領域像に相当する部分の輝度値はすべて“0”となり、未露光領域像及びIP像領域外領域像に相当する部分はすべて低輝度領域502となる。よって、イメージングプレート10に未露光部分が含まれる場合、二値化像500の高輝度領域501には、未露光部分に相当する部分が含まれなくなり、高輝度領域501は、反転前全体像に含まれるIP相当部分に対応しなくなる。つまり、イメージングプレート10に未露光部分が含まれる場合、高輝度領域501の外形は、イメージングプレート10の外形に応じた形状にならない。このため、画像処理部81は、高輝度領域501について主成分分析を行った場合、イメージングプレート10の長手方向に対応する第1主成分軸を求めることができず、取得全体像の長手方向に対するIP相当部分の長手方向の傾き角度を適切に求めることができない可能性がある。
【0148】
これに対して、本例では、センサ41は反射光をある程度検出することができ、画像処理部81は、イメージングプレート10からの輝尽光L5及び反射光の検出結果としての画像信号に基づく反転前全体像を二値化して二値化像500を生成している。そのため、二値化像500では、イメージングプレート10に未露光部分が含まれている場合であっても、
図21及び22に示されるように、高輝度領域501は、反転前全体像に含まれるIP相当部分(言い換えればIP像)に対応するようになる。つまり、高輝度領域501の外形は、イメージングプレート10の外形に応じた形状となる。例えば、
図15に示されるような未露光領域像103aを含む反転前全体像100aからでも二値化処理により
図21及び22に示されるように未露光領域をIP像領域に含めた二値化像を得ることができる。これにより、画像処理部81は、高輝度領域501について主成分分析を行った場合、イメージングプレート10の長手方向に対応する第1主成分軸を求めることができ、取得全体像の長手方向に対するIP相当部分の長手方向の傾き角度を適切に求めることができる。よって、画像処理部81はIP傾き角度を適切に特定することができる。なお、高輝度領域501の像のようなIP像を二値化処理して得た像をIP二値化像と呼んでよい。
【0149】
<イメージングプレートのサイズの特定について>
画像処理部81は、例えば、イメージングプレート10のサイズ(IPサイズともいう)を特定するサイズ特定処理を行ってもよい。画像処理部81は、サイズ特定処理において、例えば、検出器40が出力する画像信号に基づいてIPサイズを特定する。画像処理部81はIPサイズを特定する特定部(サイズ特定部ともいう)として機能する。以下にサイズ特定処理の具体例について説明するが、サイズ特定処理は以下の例に限られない。
【0150】
画像処理部81は、例えば、上記と同様にして、反転前の画像信号に基づく反転前全体像を二値化して二値化像500を生成する。そして、画像処理部81は、生成した二値化像500に基づいてIPサイズを特定する。例えば、画像処理部81は、イメージングプレート10の長手方向のサイズ(長手サイズともいう)と、イメージングプレート10の短手方向のサイズ(短手サイズともいう)とを数値で特定する。
【0151】
画像処理部81は、IPサイズを特定する場合、上記と同様にして、二値化像500に含まれる高輝度領域501を構成する複数の画素の位置を分析対象データとして主成分分析を行って、分析対象データについての第1主成分軸551を求める。そして、画像処理部81は、第1主成分軸551に垂直であって、重心501aを通る第2主成分軸552を求める。
【0152】
図23は第1主成分軸551及び第2主成分軸552の一例を示す概略図である。
図23には、上述の
図14に示される反転前全体像100aを二値化して得られた二値化像500と、当該二値化像500に基づいて求められた第1主成分軸551及び第2主成分軸552とが示されている。第1主成分軸551は、イメージングプレート10に相当する高輝度領域501の長手方向と平行である。また、第2主成分軸552は高輝度領域501の短手方向と平行である。
【0153】
図23に示されるように、画像処理部81は、高輝度領域501の第1主成分軸551に沿った画素数(長手方向の画素数ともいう)N1を求める。また、画像処理部81は、高輝度領域501の第2主成分軸552に沿った画素数(短手方向の画素数ともいう)N2を求める。そして、画像処理部81は、長手方向の画素数N1に基づいてイメージングプレート10の長手サイズを求め、短手方向の画素数N2に基づいてイメージングプレート10の短手サイズを求める。
【0154】
ここで、本例では、センサ41の検出範囲R110において一辺がMmmの正方形の領域が、取得全体像及び二値化像500の1画素に相当する。Mmmは例えば0.03mm程度である。画像処理部81は、Mmmに対して長手方向の画素数N1を掛け合わせて得られる長さを、イメージングプレート10の長手サイズとする。また、画像処理部81は、Mmmに対して短手方向の画素数N2を掛け合わせて得られる長さを、イメージングプレート10の短手サイズとする。以後、イメージングプレート10について画像処理部81が求めた長手サイズ及び短手サイズをそれぞれ特定長手サイズ及び特定短手サイズと呼ぶことがある。
【0155】
画像処理部81は、サイズ特定処理において、イメージングプレート10の主面の面積(主面面積ともいう)を数値で特定してもよい。この場合、画像処理部81は、高輝度領域501を構成する複数の画素の総数に対して、Mmmの二乗を掛け合わせて得られる値を、イメージングプレート10の主面面積としてもよい。主面面積は、イメージングプレート10の前面の面積であるともいえるし、イメージングプレート10の裏面の面積であるともいえる。以後、イメージングプレート10について画像処理部81が求めた主面面積を特定主面面積あるいは特定面積と呼ぶことがある。
【0156】
画像処理部81は、サイズ特定処理において、イメージングプレート10のサイズの種類を特定してもよい。本例では、イメージングプレート10のサイズとして複数種類のサイズが用意されている。読取装置1において、保持部20は、複数種類のサイズのイメージングプレート10のそれぞれを保持することが可能である。そして、読取装置1は、複数種類のサイズのイメージングプレート10のそれぞれから放射線像を読み取ることができる。
【0157】
図24はイメージングプレート10のサイズの種類(IPサイズの種類ともいう)の一例を示す図である。IPサイズの種類として、例えば、サイズ0、サイズ1、サイズ2及びサイズ3の4種類が用意されている。ここで、各種類のサイズでのイメージングプレート10の短手サイズ及び長手サイズをそれぞれ公称短手サイズ及び公称長手サイズと呼ぶ。多くの製造主体が共通に採用するサイズ及び/または公的規格で定まるサイズを公称短手サイズ及び公称長手サイズとして採用してもよい。
【0158】
例えば、ISO(International Organization for Standardization)の規格によって、サイズ0の公称短手サイズ及び公称長手サイズは、それぞれ22mm及び31mmとなっている。サイズ0の公称短手サイズ及び公称長手サイズとしては、それぞれ21mm及び35mmもある。サイズ1の公称短手サイズ及び公称長手サイズは、それぞれ24mm及び40mmとなっている。サイズ2の公称短手サイズ及び公称長手サイズは、それぞれ31mm及び41mmとなっている。そして、サイズ3の公称手サイズ及び公称長手サイズは、それぞれ27mm及び54mmとなっている。なお、公称短手サイズと公称長手サイズを掛け合わせて得られる値を公称主面面積あるいは公称面積と呼ぶ。
【0159】
画像処理部81は、例えば、イメージングプレート10の特定短手サイズ、特定長手サイズ及ぶ特定主面面積に基づいて、当該イメージングプレート10のサイズの種類を特定する。例えば、画像処理部81は、特定短手サイズがサイズ0の公称短手サイズと近く、特定長手サイズがサイズ0の公称長手サイズと近く、特定面積がサイズ0の公称面積と近い場合、IPサイズの種類がサイズ0であると判定する。
【0160】
画像処理部81は、例えば、サイズ0の公称短手サイズよりも少し小さい第1しきい値と、サイズ0の公称短手サイズよりも少し大きい第2しきい値とを用いて、特定短手サイズがサイズ0の公称短手サイズと近いか否かを判定する。例えば、画像処理部81は、特定短手サイズが、第1しきい値よりも大きくかつ第2しきい値よりも小さい場合、特定短手サイズがサイズ0の公称短手サイズと近いと判定する。
【0161】
また、画像処理部81は、例えば、サイズ0の公称長手サイズよりも少し小さい第3しきい値と、サイズ0の公称長手サイズよりも少し大きい第4しきい値とを用いて、特定長手サイズがサイズ0の公称長手サイズと近いか否かを判定する。例えば、画像処理部81は、特定長手サイズが、第3しきい値よりも大きくかつ第4しきい値よりも小さい場合、特定長手サイズがサイズ0の公称長手サイズと近いと判定する。
【0162】
また、画像処理部81は、例えば、サイズ0の公称面積よりも少し小さい第5しきい値と、サイズ0の公称面積よりも少し大きい第6しきい値とを用いて、特定面積がサイズ0の公称面積と近いか否かを判定する。例えば、画像処理部81は、特定面積が、第5しきい値よりも大きくかつ第6しきい値よりも小さい場合、特定面積がサイズ0の公称面積と近いと判定する。
【0163】
同様に、画像処理部81は、例えば、特定短手サイズがサイズ1の公称短手サイズと近く、特定長手サイズがサイズ1の公称長手サイズと近く、特定主面面積がサイズ1の公称主面面積と近い場合、IPサイズの種類がサイズ1であると判定する。
【0164】
同様に、画像処理部81は、例えば、特定短手サイズがサイズ2の公称短手サイズと近く、特定長手サイズがサイズ2の公称長手サイズと近く、特定主面面積がサイズ2の公称主面面積と近い場合、IPサイズの種類がサイズ2であると判定する。
【0165】
同様に、画像処理部81は、例えば、特定短手サイズがサイズ3の公称短手サイズと近く、特定長手サイズがサイズ3の公称長手サイズと近く、特定主面面積がサイズ3の公称主面面積と近い場合、IPサイズの種類がサイズ3であると判定する。
【0166】
以上のようなサイズ特定処理は、上述の
図18に示される一連の処理の中で実行されてもよいし、
図18に示される処理とは別のタイミングで実行されてもよい。また、表示部3は、例えば、画像処理部81が特定した短手サイズ、長手サイズ、主面面積及びIPサイズの種類の少なくとも一つを表示してもよい。この場合、表示部3は、短手サイズ、長手サイズ、主面面積及びIPサイズの種類の少なくとも一つを、例えば上述のステップs7において取得全体像と同時に表示してもよいし、取得全体像を表示しないときに表示してもよい。また、表示部3は、短手サイズ、長手サイズ、主面面積及びIPサイズの種類の少なくとも一つを、IP傾き角度と同時に表示してもよいし、IP傾き角度を表示しないときに表示してもよい。また、表示部3は、短手サイズ、長手サイズ、主面面積及びIPサイズの種類の少なくとも二つを同時に表示してもよい。
【0167】
このように、本例では、画像処理部81は、イメージングプレート10からの発光光L2及び反射光の検出結果としての画像信号に基づいてIPサイズを特定していることから、IP傾き角度を特定する場合と同様に、IPサイズを適切に特定することができる。上記のように、イメージングプレート10に未露光部分が含まれる場合であっても、二値化像500の高輝度領域501が、反転前全体像のIP相当部分に対応することから、画像処理部81は、イメージングプレート10の短手サイズ、長手サイズ及び主面面積とIPサイズの種類とを適切に特定することができる。
【0168】
公称短手サイズ及び公称長手サイズの説明に関連して、励起光照射範囲R120の設定例を説明する。
図25は、サイズ0~3の各イメージングプレート10を模式的に示す図である。ここでは、イメージングプレート10を平面視したときのイメージングプレート10の4つの辺のある位置を上下左右で表す。保持部20は、例えば、複数サイズのイメージングプレート10に共通で使用される。保持部20は、例えば、
図25に示されるように、イメージングプレート10の左右の2辺の一方が複数サイズの間で同じ線上に位置し、かつイメージングプレート10の上下の2辺の一方が複数サイズの間で同じ線上に位置するように、イメージングプレート10を保持する。
【0169】
サイズ3のイメージングプレート10の長手サイズは、サイズ2のイメージングプレート10の長手サイズより大であるが、サイズ3のイメージングプレート10の短手サイズはサイズ2のイメージングプレート10の短手サイズより小である。このような複数サイズのイメージングプレート10のいずれにも適合できるよう、例えば、励起光照射範囲R120の長手サイズが複数のIPサイズの長手サイズのうちの最大以上となり、励起光照射範囲R120の短手サイズが複数のIPサイズの短手サイズのうちの最大以上となるように励起光照射範囲R120が設定される。このように設定された励起光照射範囲R120をイメージングプレート10のIPサイズに関係なく、複数のIPサイズのうちのどのサイズのイメージングプレート10にも用いるようにしてよい。
【0170】
また、イメージングプレート10ごとに励起光照射範囲R120を変更するようにしてもよい。この場合、少なくとも、励起光照射範囲R120の長手サイズが複数のIPサイズの長手サイズのうちの最大以上となり、励起光照射範囲R120の短手サイズが複数のIPサイズの短手サイズのうちの最大以上となるように、励起光照射範囲R120を設定してもよい。
【0171】
図26は、画像処理部81がIP傾き角度及びIPサイズを特定する場合の当該画像処理部81の一連の動作の一例を示すフローチャートである。
図26に示される一連の処理は、上述の
図18に示される一連の処理の中で実行されてもよいし、
図18に示される処理とは別のタイミングで実行されてもよい。
【0172】
図26に示されるように、ステップs11において、画像処理部81は、反転前の画像信号に基づく反転前全体像を二値化して二値化像500を生成する。次にステップs12において、画像処理部81は、上述のように、二値化像500に基づいてイメージングプレート10の主面面積を特定する。次にステップs13において、画像処理部81は、二値化像500に含まれる高輝度領域501を構成する複数の画素の位置を分析対象データとして主成分分析を行って、分析対象データについての第1主成分軸及び第2主成分軸を求める。
【0173】
次にステップs14において、画像処理部81は、上述のように、二値化像500、第1主成分軸及び第2主成分軸に基づいて、IP傾き角度と、イメージングプレート10の短手サイズ及び長手サイズを特定する。次にステップs15において、画像処理部81は、特定短手サイズ、特定長手サイズ及び特定面積に基づいて、IPサイズの種類がサイズ3であるか否かを判定する。ステップs15では、画像処理部81は、例えば、上述のように、特定短手サイズがサイズ3の公称短手サイズと近く、特定長手サイズがサイズ3の公称長手サイズと近く、特定面積がサイズ3の公称面積と近い場合、IPサイズの種類がサイズ3であると判定する。
【0174】
ステップs15においてYESと判定されると、
図26に示される処理が終了する。一方で、ステップs15においてNOと判定されると、ステップs16が実行される。ステップs16において、画像処理部81は、特定短手サイズ、特定長手サイズ及び特定面積に基づいて、IPサイズの種類がサイズ2であるか否かを判定する。ステップs16では、画像処理部81は、例えば、上述のように、特定短手サイズがサイズ2の公称短手サイズと近く、特定長手サイズがサイズ2の公称長手サイズと近く、特定面積がサイズ2の公称面積と近い場合、IPサイズの種類がサイズ2であると判定する。
【0175】
ステップs16においてYESと判定されると、
図26に示される処理が終了する。一方で、ステップs16においてNOと判定されると、ステップs17が実行される。ステップs17において、画像処理部81は、特定短手サイズ、特定長手サイズ及び特定面積に基づいて、IPサイズの種類がサイズ1であるか否かを判定する。ステップs17では、画像処理部81は、例えば、上述のように、特定短手サイズがサイズ1の公称短手サイズと近く、特定長手サイズがサイズ1の公称長手サイズと近く、特定面積がサイズ1の公称面積と近い場合、IPサイズの種類がサイズ1であると判定する。
【0176】
ステップs17においてYESと判定されると、
図26に示される処理が終了する。一方で、ステップs17においてNOと判定されると、ステップs18が実行される。ステップs18において、画像処理部81は、IPサイズの種類がサイズ0であると判定する。ステップs18の実行後、
図26に示される処理が終了する。なお、ステップs18において、画像処理部81は、ステップs15~s17と同様に、特定短手サイズ、特定長手サイズ及び特定面積に基づいて、IPサイズの種類がサイズ0であるか否かを判定してもよい。
【0177】
上記の例では、画像処理部81は、特定短手サイズ、特定長手サイズ及び特定面積に基づいてIPサイズの種類を特定しているが、特定短手サイズ、特定長手サイズ及び特定面積のいずれか一つに基づいて、IPサイズの種類を特定することも可能である。
図24に示されるように、本例では、複数種類のサイズの間では、公称短手サイズは互いに異なり、公称長手サイズも互いに異なる。また、複数種類のサイズの間では、公称面積も互いに異なる。画像処理部81は、サイズ0~3のうち、特定短手サイズに最も近い公称短手サイズを有する種類を、イメージングプレート10のサイズの種類としてもよい。また、画像処理部81は、サイズ0~3のうち、特定長手サイズに最も近い公称長手サイズを有する種類を、イメージングプレート10のサイズの種類としてもよい。また、画像処理部81は、サイズ0~3のうち、特定面積に最も近い公称面積を有する種類を、イメージングプレート10のサイズの種類としてもよい。
【0178】
また、画像処理部81は、特定短手サイズ、特定長手サイズ及び特定面積のいずれか二つに基づいてIPサイズの種類を特定してもよい。例えば、画像処理部81は、特定短手サイズがサイズ1の公称短手サイズと近く、特定長手サイズがサイズ1の公称長手サイズと近い場合、IPサイズの種類がサイズ1であると判定してもよい。
【0179】
なお、サイズ特定処理では、イメージングプレート10の長手サイズが特定されなくてもよいし、イメージングプレート10の短手サイズが特定されなくてもよいし、イメージングプレート10の主面面積が特定されなくてもよい。また、サイズ特定処理では、イメージングプレート10のサイズの種類が特定されなくてもよい。
【0180】
読取装置1は、画像処理部81がIPサイズを特定する構成に加えて、あるいは当該構成に代えて、ユーザがIPサイズを選択特定できる構成を備えてもよい。また、読取装置1は、画像処理部81がIPサイズを特定する構成と、ユーザがIPサイズを選択特定する構成との切り換えができるように構成されてもよい。この場合、例えば、ステップs13及びs14の間にユーザによる選択を受け付けるか否かの分岐が入り、YESであればユーザによる選択受付が実行され、その後、画像処理部81はIP傾き角度の特定を行い、IPサイズの特定は行わない。
【0181】
<消去済みイメージングプレートに対する励起光の照射>
読取装置1では、消去済みイメージングプレート10に対して光源30が励起光L10を照射し、検出器40が、消去済みイメージングプレート10からの反射光L40を検出して、イメージングプレート10が写る反射光像を取得してもよい。この場合、本例では、検出器40は、照射範囲内IP像領域外領域R130からの反射光L400も検出する。本例では、検出器40は、消去済みイメージングプレート10及び照射範囲内IP像領域外領域R130からの励起光L10の反射光を検出し、その検出結果としての画像信号を出力する。以下に、消去済みイメージングプレート10に対して励起光L10を照射する読取装置1の動作例について説明する。
【0182】
以後、今まで説明してきた画像信号のように、放射線像を記録するイメージングプレート10が保持されている場合の輝尽光L5または輝尽光L5及び反射光(被励起領域光L20)の検出結果としての画像信号を発光時画像信号と呼ぶ。また、今まで説明してきた取得全体像のように、放射線像を含む全体の像、つまり発光時画像信号に基づく全体の像を、発光時全体像と呼ぶ。発光時全体像は生体放射線撮影画像の一例である。また、上述の反転前全体像及び反転後全体像を、反転前発光時全体像及び反転後発光時全体像とそれぞれ呼ぶ。
【0183】
なお、発光時画像信号、発光時全体像、反転前発光時全体像及び反転後発光時全体像において、イメージングプレート10の像すなわちIP像を示す部分を、発光時IP画像信号、発光時IP像、反転前発光時IP像及び反転後発光時IP像とそれぞれ呼んでもよい。発光時IP像はIP生体放射線撮影画像の一例である。イメージングプレート10にコーンカットが含まれる場合、発光時IP像は、IP被励起領域光像とIP反射光像(言い換えればIP非輝尽性反射光像)とで構成される。ステップs2を実行するときのように、放射線像の読取目的で保持されているイメージングプレート10に励起光L1が照射されたとき、すなわち放射線像を読み取る読取モードのときの検出結果(生体放射線撮影画像取得)としての画像信号として発光時画像信号を定義してもよい。この場合、コーンカットがイメージングプレート10の全域に及ぶとき、発光時IP像(IP生体放射線撮影画像)がIP反射光像(言い換えればIP非輝尽性反射光像)のみで構成される。
【0184】
また、消去済みイメージングプレート10が保持されている場合の光の反射光の検出結果としての画像信号を消去時画像信号と呼ぶ。また、消去時画像信号に基づく全体の像を消去時全体像と呼ぶ。本例では、消去時全体像には、イメージングプレート10の反射光像、つまりイメージングプレート10での励起光L10の反射光L40の検出に基づく反射光像だけではなく、IP像領域外領域像も含まれ、放射線像は含まれない。消去時全体像は、センサ41の検出範囲R110の反射光像であるともいえる。消去済みイメージングプレート10の反射光像、つまりイメージングプレート10全体の像を示すIP反射光像を特にIP全体反射光像と呼ぶことがある。また、以後、検出器40が光の検出結果として出力する画像信号に基づく全体の像を取得全体像として読取装置1を説明する。以下の説明では、取得全体像は、発光時全体像及び消去時全体像を含む概念である。
【0185】
図27は本例の読取装置1の動作の一例を示すフローチャートである。操作部4に含まれるスタートボタンが操作されると、
図27に示されるように、読取装置1は上述のステップs1~s4を実行する。ステップs2の読取処理では、検出器40は、発光光L2及び反射光の検出結果としての発光時画像信号を出力する。
【0186】
ステップs4の消去処理の後、ステップs21において、駆動部50が、消去済みイメージングプレート10を保持する保持部20を読取開始位置に移動する。次にステップs22が実行される。ステップs22では、光源30が消去済みイメージングプレート10の前面及びIP像領域外領域に対して励起光L10を照射する。そして、検出器40が、消去済みイメージングプレート10の前面及びIP像領域外領域からの励起光L10の反射光を検出し、その検出結果としての消去時画像信号を出力する。消去時画像信号は、例えば、発光時画像信号と同様にグレースケールの画像信号である。
【0187】
ステップs22の後、上述のステップs5及びs6が実行されて、消去済みイメージングプレート10が筐体2の取出口2bに排出される。次にステップs27において、表示制御部82は、ステップs2で得られた発光時画像信号に基づく発光時全体像と、ステップs22で得られた消去時画像信号に基づく消去時全体像とを表示部3に同時にかつ別々に表示させる。ステップs27において、画像処理部81は、発光時全体像及び消去時全体像を例えばグレースケール表示する。
【0188】
なお、ステップs27は、ステップs22の後であれば、いつでも実行されてもよい。例えば、ステップs27はステップs22とステップs5の間に実行されてもよい。また、発光時全体像と消去時全体像とは同時に表示されてなくてもよい。また、ステップs27では、発光時全体像は表示されなくてもよい。上述のサイズ特定処理及び傾き角度特定処理の少なくとも一方は、
図27の一連の処理の中で実行されてもよいし、
図27の処理とは別のタイミングで実行されてもよい。
【0189】
検出器40が出力する消去時画像信号には、IP全体反射光像(言い換えればIP像)を構成する複数の画素の輝度値と、IP像領域外領域像を構成する複数の画素の輝度値とが含まれる。消去時画像信号に含まれる輝度値は、検出器40が検出する反射光の強度が大きいほど大きい値を示す。したがって、例えば、消去済みイメージングプレート10のある領域での反射光の強度が大きい場合、消去時画像信号に含まれる、当該ある領域の反射光像の輝度は大きくなる。
【0190】
図28は消去時全体像200の一例を示す概略図である。
図28に示されるように、消去時全体像200には、IP全体反射光像201及びIP像領域外領域像202が含まれる。
図28の例では、IP全体反射光像201には、イメージングプレート10の前面が写っている。IP全体反射光像201は、消去時全体像200でのイメージングプレート10に相当する部分であることから、IP全体反射光像をIP相当部分ともいう。IP全体反射光像201は、IP像でもあり、IP非輝尽性反射光像でもある。
【0191】
画像処理部81は、消去時画像信号に対して画像処理を行う。本例では、消去時画像信号に対する画像処理では、発光時画像信号に対する画像処理とは異なり、例えば輝度反転処理は行われない。したがって、画像処理後の消去時画像信号では、画像処理前の消去時画像信号と同様に、イメージングプレート10のある領域での反射光の強度が大きい場合、当該ある領域の反射光像の輝度値は大きくなる。一方で、イメージングプレート10のある領域での反射光の強度が小さい場合、当該ある領域の反射光像の輝度値は小さくなる。以後、輝度反転処理を含まない画像処理が行われた消去時画像信号に基づく消去時全体像200を、反転前消去時全体像200と呼ぶことがある。
【0192】
なお、消去時画像信号に対する画像処理において輝度反転処理は行われてもよい。この場合、輝度反転処理を含む画像処理が行われた消去時画像信号に基づく消去時全体像を、反転後消去時全体像と呼んでもよい。消去時全体像には、反転前消去時全体像と反転後消去時全体像の両方が含まれてもよい。反転前消去時全体像200に代えて反転後消去時全体像が使用されてもよい。
【0193】
消去時画像信号、消去時全体像、反転前消去時全体像及び反転後消去時全体像においてイメージングプレート10の像を示す部分を、消去時IP画像信号、消去時IP像、反転前消去時IP像及び反転後消去時IP像とそれぞれ呼んでもよい。
【0194】
ステップs27では、表示制御部82は、例えば、反転後発光時全体像100bと、反転前消去時全体像200とを表示部3にグレースケール表示させてもよい。この場合、表示部3は、上述の
図16及び17に示されるようなグレースケールで反転後発光時全体像100bを表示し、上述の
図28に示されるようなグレースケールで反転前消去時全体像200を表示してもよい。
【0195】
図29及び30は、表示部3の表示面3aに、反転後発光時全体像100b及び反転前消去時全体像200が表示されている様子の一例を示す概略図である。
図29には、イメージングプレート10に未露光部分が含まれない場合の反転後発光時全体像100b及び反転前消去時全体像200が示されている。
図30には、イメージングプレート10に未露光部分が含まれる場合の反転後発光時全体像100b及び反転前消去時全体像200が示されている。
【0196】
図29及び30に示されるように、表示部3は、反転後発光時全体像100b及び反転前消去時全体像200を、例えば、同じ大きさで表示してもよいし、横並びに表示してもよい。本例では、表示部3は、像の輝度値が大きいほど、その像を明るく表示することから、反転後発光時全体像100bでは、例えば、歯が写る部分(つまりIP被励起領域光像)及び未露光領域像(言い換えれば、IP反射光像あるいはIP非輝尽性反射光像)103bが明るく表示される。また、反転前消去時全体像200では、イメージングプレート10が写る部分が明るく表示される。
【0197】
好ましくは、表示において、反転後発光時全体像100bの外縁に対して放射線像101bの外縁が占める位置と、反転前消去時全体像200の外縁に対してIP全体反射光像201の外縁が占める位置が対応するようにする。このように、生体放射線撮影画像の外縁に対して生体放射線撮影像の外縁が占める位置と、イメージングプレート形状画像の外縁に対してIPイメージングプレート形状画像の外縁が占める位置が対応するようにしてよい。生体放射線撮影画像の撮影位置とイメージングプレート形状画像の撮影位置を一致させることで画像処理上対応配置は容易となる。また、仮に両撮影位置に差があるとしても、差分を把握して計算することで画像処理上対応配置は可能である。
【0198】
また、反転後発光時全体像100bと並べて表示する反転前消去時全体像200に替えて、IP全体反射光像201のみを抽出して形成した画像、すなわちIPイメージングプレート形状画像を並べて表示するようにしてもよい。
【0199】
また、
図29及び30に示されるように、イメージングプレート10に未露光部分が含まれる場合の反転前消去時全体像200と、イメージングプレート10に未露光部分が含まれない場合の反転前消去時全体像200とは同じとなる。ユーザは、表示部3に表示される反転前消去時全体像200(言い換えれば消去時全体像)から、イメージングプレート10の外観を確認することができる。なお、反転後発光時全体像100b及び反転前消去時全体像200の表示方法は
図29及び30の例に限られない。
【0200】
上述の
図27の例では、検出器40が、光源30からの励起光L10によって励起されたイメージングプレート10からの被励起領域光L20を検出し、その検出結果としての発光時画像信号を出力する。その後、イメージングプレート10から放射線像が消去された後、消去済みイメージングプレート10に対して光源30から励起光L10が照射され、検出器40は、イメージングプレート10からの励起光L10の反射光を検出する。これにより、読取装置1は、同じ光源30及び同じ検出器40を使用して、イメージングプレート10に記録された放射線像とイメージングプレート10の反射光像の両方を容易に得ることができる。
【0201】
また、
図29及び30の例のように、発光時全体像と消去時全体像とが同時にかつ別々に表示される場合には、ユーザは、発光時全体像と消去時全体像とを見比べやすくなる。つまり、ユーザは、イメージングプレート10から読み取られた放射線像と、イメージングプレート10の外観とを見比べやすくなる。これにより、例えば、ユーザは、イメージングプレート10に未露光部分が含まれていることを容易に特定することができる。以下にこの点について説明する。
【0202】
イメージングプレート10に未露光部分が含まれる場合、発光時全体像のうち当該未露光部分に相当する領域には放射線像が存在しない。しかしながら、ユーザは、当該領域には本来は放射線像が存在し、読取装置1の不具合のために当該領域に放射線像が存在しないのか、イメージングプレート10に未露光部分が含まれているために当該領域に放射線像が存在しないのか、発光時全体像の表示だけでは特定することが難しい。これに対して、
図30の例のように、発光時全体像及び消去時全体像が同時にかつ別々に表示される場合には、ユーザは、発光時全体像の表示から、イメージングプレート10から読み取られた放射線像を確認し、消去時全体像の表示からイメージングプレート10外観を確認し、両者を比較することによって、イメージングプレート10に未露光部分が含まれていることを容易に特定することができる。また、ユーザは、イメージングプレート10での未露光部分の範囲も容易に特定することができる。
【0203】
上記の例では、画像処理部81は、発光時全体像に基づいてIP傾き角度を特定しているが、消去時全体像(言い換えれば、消去時画像信号に基づく反射光像)に基づいてIP傾き角度を特定してもよい。同様に、画像処理部81は、IPサイズを消去時全体像に基づいて特定してもよい。
【0204】
また、
図29及び30の例のような発光時全体像と消去時全体像とが同時にかつ別々に表示される構成例を変形して、消去時全体像を
図21の二値化像500のような像に替え、発光時全体像と、発光時全体像を二値化した像とが同時にかつ別々に表示される構成にしてもよい。
【0205】
画像処理部81は、発光時全体像に基づいてIP傾き角度及びIPサイズを特定する場合と同様にして、消去時全体像に基づいてIP傾き角度及びIPサイズを特定することができる。具体的には、画像処理部81は、例えば反転前消去時全体像200を二値化して二値化像を生成する。この二値化像を第2の二値化像と呼ぶことがある。反転前消去時全体像200を二値化した二値化像もイメージングプレート形状放射線像の一例である。反転前消去時全体像200を二値化するときのしきい値は、例えば、反転前消去時全体像200に含まれるIP像領域外領域像202の輝度値よりも大きく、かつ反転前消去時全体像200に含まれるIP像であるIP全体反射光像201の輝度値よりも小さく設定される。これにより、第2の二値化像は、反転前発光時全体像の二値化像と同様となり、第2の二値化像では、IP像領域外領域に相当する領域が低輝度領域となり、イメージングプレート10に相当する領域が高輝度領域となる。第2の二値化像の高輝度領域の外形は、消去前のイメージングプレート10の露光・未露光の状態のいかんに関わらず、イメージングプレート10の外形に応じた形状となる。画像処理部81は、第2の二値化像に基づいて、上記と同様にして、IP傾き角度と、イメージングプレート10の短手サイズ、長手サイズ及び主面面積と、IPサイズの種類とを特定することができる。IP傾き角度及びIPサイズの特定は、特定部としての画像処理部81が行う。処理としては、ステップS27の後に、ステップS11~S18と同様の処理を行うようにしてよい。
【0206】
このように、IP傾き角度の特定に、イメージングプレート10の反射光像を表す消去時画像信号が使用される場合であっても、発光時画像信号が使用される場合と同様に、IP傾き角度を適切に特定することができる。また、IPサイズの特定に消去時画像信号が使用される場合であっても、発光時画像信号が使用される場合と同様に、IPサイズを適切に特定することができる。
【0207】
<IP相当部分の傾きの補正について>
イメージングプレート10が基準姿勢から傾く場合には、
図20等に示されるように、取得全体像においてIP相当部分(言い換えればIP像)が傾くことになる。詳細には、イメージングプレート10が基準姿勢から右回りに傾く場合には、IP相当部分の長手方向は、取得全体像において副走査方向DRsに対応する方向(
図20では反転前全体像100aの長手方向)に対して右回りに傾くことになる。一方で、イメージングプレート10が基準姿勢から左回りに傾く場合には、IP相当部分の長手方向は、取得全体像において副走査方向DRsに対応する方向に対して左回りに傾くことになる。IP相当部分が傾いた状態で取得全体像が表示される場合、ユーザは、傾いたIP相当部分を見辛い可能性がある。
【0208】
そこで、画像処理部81は、発光時全体像あるいは消去時全体像に基づいて特定したIP傾き角度αに基づいて、取得全体像に対して、IP相当部分の傾きを補正する傾き補正処理を行ってもよい。補正対象の取得全体像が、発光光L2の検出に基づく発光時全体像である場合、傾き補正処理では、IP相当部分の傾きが補正されることによって、当該IP相当部分に含まれる放射線像の傾きが補正される。一方で、補正対象の取得全体像が、反射光の検出に基づく消去時全体像である場合、傾き補正処理では、イメージングプレート10が写るIP全体反射光像の傾きが補正される。画像処理部81は、輝度反転処理が行われる前の画像信号に基づく取得全体像に対して傾き補正処理を行ってもよいし、輝度反転処理が行われた後の画像信号に基づく取得全体像に対して傾き補正処理を行ってもよい。表示部3は、傾き補正処理後の取得全体像を表示してもよい。傾き補正処理は、
図18の一連の処理の中で実行されてもよいし、
図18の処理とは別のタイミングで実行されてもよい。また、傾き補正処理は、
図27の一連の処理の中で実行されてもよいし、
図27の処理とは別のタイミングで実行されてもよい。傾き補正処理は、イメージングプレート10の基準姿勢からの傾きに応じた、取得全体像でのIP相当部分(言い換えればIP像)の傾きを補正する処理であるといえる。
【0209】
図31は傾き補正処理の一例を説明するための概略図である。
図29では、傾き補正処理が行われる前の取得全体像250が上側に示され、傾き補正処理が行われた後の取得全体像250が下側に示されている。補正対象の取得全体像250には、IP相当部分(言い換えればIP像)251とIP像領域外領域像252とが含まれる。
図31では、IP相当部分251の長手方向DR1が破線で示され、取得全体像250において副走査方向DRsに対応する方向DR2が一点鎖線で示されている。
【0210】
傾き補正処理において、画像処理部81は、補正対象の取得全体像250に含まれるIP相当部分251の重心251aを求める。ここで、IP相当部分251の重心251aは、取得全体像250の二値化像の高輝度領域の重心と一致する。画像処理部81は、取得全体像250の二値化像を生成し、生成した二値化像の高輝度領域の重心を求めることによって、取得全体像250のIP相当部分251の重心251aを求めることができる。次に、画像処理部81は、求めた重心251aを中心にして取得全体像250をIP傾き角度αだけ回転させる。このとき、画像処理部81は、IP傾き角度αがプラスの場合、
図29に示されるように、取得全体像250を左回り255LにIP傾き角度αだけ回転させる。一方で、IP傾き角度αがマイナスの場合、画像処理部81は、取得全体像250を右回りにIP傾き角度αだけ回転させる。これにより、IP相当部分251の傾きが補正されて、IP相当部分251の長手方向DR1は、取得全体像250において副走査方向DRsに対応する方向DR2に平行となる。
【0211】
図32は、上述の
図20に示される反転前発光時全体像100aに対して傾き補正処理が行われた様子の一例を示す概略図である。
図20と
図32とを比較して理解できるように、反転前発光時全体像100aに対する傾き補正処理によって、IP相当部分(言い換えればIP像)105aに含まれる放射線像101aの傾きが適切に補正されている。傾き補正処理が行われた反転前発光時全体像100aでのIP相当部分105aの姿勢は、イメージングプレート10の姿勢が基準姿勢である場合に得られる反転前発光時全体像100aでのIP相当部分105aの姿勢と同じとなる。表示部3は、傾き補正処理後の反転前発光時全体像100aを、例えば、
図32のようなグレースケールで表示してもよい。以後、取得全体像が表示されることには、傾き補正処理後の取得全体像が表示されることも含まれる。
【0212】
このように、画像処理部81が、IP傾き角度に基づいて取得全体像のIP相当部分の傾きを補正することによって、傾きが適切に補正されたIP相当部分を得ることができる。この場合、画像処理部81はイメージングプレート10の像(IP被作用光像)の傾きを補正する補正処理部として機能する。例えば、発光時全体像に対して傾き補正処理が行われる場合、傾きが適切に補正された放射線像を得ることができる。また、消去時全体像に対して傾き補正処理が行われる場合、傾きが適切に補正されたIP全体反射光像を得ることができる。
【0213】
<取得全体像に対する切出処理について>
画像処理部81は、放射線像を含む発光時全体像において切り出す対象の切出像をIP傾き角度及びIPサイズに基づいて決定し、決定した当該切出像を当該発光時全体像から切り出す切出処理を行ってもよい。この切出処理により、IP傾き角度及びIPサイズに応じた所望の切出像を発光時全体像から得ることができる。画像処理部81は切出処理を行う切り出し部として機能する。切出処理は、
図18の一連の処理の中で実行されてもよいし、
図18の処理とは別のタイミングで実行されてもよい。また、切出処理は、
図27の一連の処理の中で実行されてもよいし、
図27の処理とは別のタイミングで実行されてもよい。
【0214】
切出処理では、例えば、発光時全体像のIP相当部分(言い換えればIP像)が切出像として決定されてもよい。この場合、画像処理部81は、例えば、発光時全体像あるいは消去時全体像に基づいて特定されたIPサイズの種類及びIP傾き角度に基づいて、発光時全体像のIP相当部分を切出像として決定する。以下に、画像処理部81が発光時全体像のIP相当部分を切出像として決定する際の当該画像処理部81の動作の一例について説明する。以後、画像処理部81が特定したIPサイズの種類を特定サイズZと呼ぶことがある。本例では、Zは0、1、2及び3のいずれかの値となる。
【0215】
切出処理において、画像処理部81は、例えば、IPサイズの種類とIP傾き角度に基づいて、発光時全体像に対して切出枠を設定する。そして、画像処理部81は、発光時全体像での切出枠内の部分を、切出像として決定する。
【0216】
切出枠の形状は、特定サイズZのイメージングプレート10の公称外形と相似形を成す。本例では、イメージングプレート10の外形は四隅が丸まった長方形であることから、切出枠の形状も四隅が丸まった長方形となる。そして、切出枠の短手方向のサイズは、特定サイズZのイメージングプレート10の公称短手サイズ(特定サイズZの公称短手サイズともいう)に応じた値となり、切出枠の長手方向のサイズは、特定サイズZのイメージングプレート10の公称長手サイズ(特定サイズZの公称長手サイズともいう)に応じた値となる。
【0217】
ここで、画像処理部81は、IPサイズの各種類について、公称短手サイズ及び公称長手サイズのそれぞれが、取得全体像での何画素分に相当するかを予め把握している。画素のP1個分が特定サイズZの公称短手サイズに相当し、画素のP2個分が特定サイズZの公称長手サイズに相当するとき、画像処理部81は、切出枠の短手方向のサイズを画素のP1個分の長さに設定し、切出枠の長手方向のサイズを画素のP2個分の長さに設定する。例えば、P1=800、P2=1100とすると、切出枠の短手方向のサイズは画素800個分の長さに設定され、切出枠の長手方向のサイズは画素1100個分の長さに設定される。
【0218】
画像処理部81は、切出枠の外形及びサイズを決定すると、切出枠の中心が発光時全体像のIP相当部分の重心と一致し、かつ切出枠の長手方向及び短手方向が発光時全体像の長手方向及び短手方向にそれぞれ平行となるように、切出枠を発光時全体像上に配置する。なお、上述のように、発光時全体像のIP相当部分の重心は、当該発光時全体像の二値化像の高輝度領域の重心と一致する。
【0219】
次に、画像処理部81は、発光時全体像上に配置した切出枠を、IP相当部分の重心の回りにIP傾き角度だけ回転させる。このとき、画像処理部81は、IP傾き角度がプラスの場合には切出枠を右回りに回転させ、IP傾き角度がマイナスの場合には切出枠を左回りに回転させる。これにより、発光時全体像のうち切出枠内の部分がIP相当部分に一致する。画像処理部81は、発光時全体像のうち、IP傾き角度だけ回転させた切出枠内の部分を切出像に決定する。その後、画像処理部81は、決定した切出像を発光時全体像から切り出す。これにより、発光時全体像からIP相当部分が切り出されて、イメージングプレート10に相当する部分だけの像を得ることができる。切出処理は、反転前発光時全体像に対して行われてもよいし、反転後発光時全体像に対して行われてもよい。また、切出範囲を定める目的からは、必ずしも公称のサイズにあてはめなくとも、二値化の結果得たイメージングプレート範囲を切出枠に適用させるようにしてもよい。
【0220】
図33は、上述の
図16に示される反転後発光時全体像100bに対して切出枠150が設定されている様子の一例を示す概略図である。切り出しの対象となる反転後発光時全体像100bのような生体放射線撮影画像には、IP像領域とIP像領域外領域像とが含まれる。
図34は、
図33の例において、反転後発光時全体像100bでの切出枠150内の切出像151が、反転後発光時全体像100bから切り出された様子の一例を示す概略図である。
図34に示されるように、反転後発光時全体像100bからIP相当部分105bが適切に切り出されている。切出像151には、反転後発光時全体像100bに含まれる放射線像(言い換えれば被励起領域光像)101bと同じ放射線像151aが含まれる。
【0221】
反転後発光時全体像100bからIP相当部分105bを切り出すように、生体放射線撮影画像に対してイメージングプレート形状データを適用させることをイメージングプレート形状適用処理と呼ぶこととする。イメージングプレート形状適用処理には、生体放射線撮影画像に対して切り出しを行うためにイメージングプレート形状を位置決めすることと、切出枠を設定することと、切り出した結果、生体放射線撮影画像から切出像として生体放射線撮影像を抽出することなどが含まれる。
【0222】
図35は、上述の
図17に示される反転後発光時全体像100bに対して切出枠150が設定されている様子の一例を示す概略図である。
図36は、
図35の例において、反転後発光時全体像100bでの切出枠150内の切出像151が反転後発光時全体像100bから切り出された様子の一例を示す概略図である。
図36に示されるように、反転後発光時全体像100bが未露光領域像103bを含む場合であっても、反転後発光時全体像100bからIP相当部分105bが適切に切り出されている。切出像151には、反転後発光時全体像100bに含まれる放射線像101bと同じ放射線像151aが含まれるとともに、反転後発光時全体像100bに含まれる未露光領域像(言い換えれば、IP反射光像あるいはIP非輝尽性反射光像)103bと同じ未露光領域像151bが含まれる。
【0223】
切出処理が行われる場合、表示部3は、表示制御部82の制御下で発光時全体像から切り出された切出像151を表示してもよい。この場合、表示部3は、
図34及び36のようなグレースケールで切出像151を表示してもよい。
図34及び36は切出像151の表示例を示す概略図であるともいえる。切出像151が表示される場合、ユーザは、発光時全体像のうち必要な像だけを確認することができる。本例のように、発光時全体像からIP相当部分が切出像151として切り出されて表示される場合、ユーザは、発光時全体像のうち、必要なIP相当部分だけを確認することができる。これにより、ユーザは、例えば
図36のような切出像151の表示を確認することによって、イメージングプレート10に未露光部分が含まれていることを容易に特定することができる。また、ユーザは、イメージングプレート10での未露光部分の範囲も容易に特定することができる。
【0224】
表示部3は、表示制御部82の制御下で、発光時全体像から切り出された切出像151と消去時全体像200とを同時にかつ別々に表示してもよい。
図37は、表示部3の表示面3aに切出像151と消去時全体像200がグレースケールで表示されている様子の一例を示す概略図である。
図37には、未露光領域像151bを含む切出像151が示されている。
図37に示されるように、表示部3は、切出像151及び消去時全体像200を、例えば、切出像151と消去時全体像200のIP全体反射光像(言い換えれば、IP相当部分あるいはIP像)201とが同じ大きさとなるように表示してもよい。また、表示部3は、切出像151及び消去時全体像200を、例えば横並びに表示してもよい。表示部3が切出像151と消去時全体像200とを同時にかつ別々に表示することによって、ユーザは、切出像151と消去時全体像200とを簡単に見比べることができる。これにより、ユーザは、例えば、消去時全体像200に含まれるIP全体反射光像201と切出像151とを比較することによって、発光時全体像から適切にIP相当部分が切り出されているか否かを容易に特定することができる。
【0225】
切出枠150すなわち切出範囲は、消去時全体像200に基づいて決定してもよい。この場合、例えば、消去時全体像200でのIP非輝尽性反射光像(言い換えばIP全体反射光像)の範囲を境界処理の画像処理などで特定して切出範囲を定め、定めた切出範囲を発光時全体像に設定して切出像151を生成してもよい。このとき、境界処理の画像処理においてIP二値化像の取得を利用するようにしてもよい。イメージングプレート10を発光時と消去時で同じ姿勢で保持部20によって保持するようにすることで、位置的応用が可能である。
【0226】
図37の例のような切出像と消去時全体像とが同時にかつ別々に表示される構成例を変形して、消去時全体像を
図21の二値化像500のような像に替え、切出像と発光時全体像を二値化した像とが同時にかつ別々に表示される構成にしてもよい。
【0227】
画像処理部81は、上述の傾き補正処理と同様に、発光時全体像から切り出した切出像151の傾きを、発光時全体像あるいは消去時全体像に基づいて特定したIP傾き角度に基づいて補正してもよい。これにより、例えば、補正後の切出像151が表示される場合、ユーザは切出像151を見やすくなる。以後、傾き補正処理には、切出像151の傾きを補正することも含まれるものとする。
【0228】
画像処理部81は、例えば、発光時全体像に対する上述の傾き補正処理と同様にして切出像151の傾きを補正する。画像処理部81は、やはりイメージングプレート10の像(IP被作用光像)の傾きを補正する補正処理部として機能する。具体的には、画像処理部81は、まず、切出像151の重心を求める。切出像151の重心は、発光時全体像の二値化像の高輝度領域の重心と一致する。したがって、画像処理部81は、発光時全体像の二値化像の高輝度領域の重心を求めることによって、切出像151の重心を求めることができる。次に、画像処理部81は、求めた重心を中心にして切出像151をIP傾き角度だけ回転させる。このとき、画像処理部81は、IP傾き角度がプラスの場合、切出像151を左回りにIP傾き角度だけ回転させる。一方で、IP傾き角度がマイナスの場合、画像処理部81は、切出像151を右回りにIP傾き角度だけ回転させる。これにより、切出像151の傾きが補正される。よって、切出像151に含まれる、発光時画像信号に基づく放射線像の傾きが補正される。
【0229】
図38~40は、発光時全体像に対して切出処理が行われ、その後、切出像151に対して傾き補正処理が行われる様子の一例を示す概略図である。
図38~40の例では、上述の
図20に示される反転前発光時全体像100aに対して切出処理が行われている。
図38に示されるように、画像処理部81は、上述のようにして切出枠150を反転前発光時全体像100aに設定する。次に、画像処理部81は、反転前発光時全体像100aでの切出枠150内の切出像151を、
図39に示されるように、反転前発光時全体像100aから切り出す。その後、
図40に示されるように、画像処理部81は、切り出した切出像151の傾きをIP傾き角度に基づいて補正する。これにより、イメージングプレート10の基準姿勢からの傾きに応じた切出像151の傾きが適切に補正される。傾きが補正された切出像151の姿勢は、イメージングプレート10の姿勢が基準姿勢である場合に得られる切出像151の姿勢と同じとなる。
【0230】
上記の例では、画像処理部81は、発光時全体像のIP相当部分を切出像151としているが、IP相当部分の一部を切出像151としてもよい。以下にこの場合の画像処理部81の動作の一例について説明する。
【0231】
図41は、イメージングプレート10を保持する保持部20の他の例を示す概略図である。
図41では、保持部20の固定部22が備える各固定部分22aが接近位置に存在する様子が示されている。
図41に示される保持部20(保持部20Aともいう)では、各固定部分22aが接近位置に存在する場合、固定部22は、イメージングプレート10の周縁部10aを覆う重なり部分220を有する。各固定部分22aは、接近位置に存在する場合、イメージングプレート10の周縁部10aを覆う重なり部分220aを有する。固定部22の重なり部分220は、複数の固定部分22aの重なり部分220aで構成されている。
【0232】
イメージングプレート10が保持部20Aで保持されている場合、イメージングプレート10の周縁部10aが固定部22の重なり部分220で覆われることから、読取装置1では、重なり部分220が写る発光時全体像が得られる。イメージングプレート10の重なり部分220はイメージングプレート10からは被把持部と考えてもよい。
【0233】
図42は、イメージングプレート10が保持部20Aで保持されている場合に得られる反転前発光時全体像100aの一例を示す概略図である。
図42に示される反転前発光時全体像100aには、固定部22の重なり部分220の像120(重なり部分像120ともいう)が含まれている。重なり部分像120は、重なり部分220からの励起光L10の反射光の検出に基づく像である。重なり部分像120は、複数の固定部分(把持部ともいう)22aの重なり部分220aの像120a(重なり部分像120aともいう)で構成されている。本例では、各固定部分220aの表面には、例えば黒アルマイト処理が行われている。したがって、反転前発光時全体像100aに含まれる重なり部分像120の輝度値は小さくなる。重なり部分像120aは、IP像領域外領域像102aに含まれ、IP像(IP像領域光像)を構成する放射線像101aには含まれない。
【0234】
画像処理部81は、重なり部分像120が発光時全体像に含まれる場合、発光時全体像において、重なり部分像120(言い換えれば複数の重なり部分像120a)を切出像151が含まないように、IP相当部分の一部を切出像151として決定してもよい。この場合、画像処理部81は、例えば、上記と同様にして、IPサイズの種類とIP傾き角度に基づいて切出枠150を発光時全体像に設定する。上述のようにして設定された切出枠150の外形は、イメージングプレート10の外形(言い換えればイメージングプレート10の輪郭)に応じた形状を成すため、この時点では、切出枠150内には重なり部分像120が含まれる。
図43は、
図42に示される反転前発光時全体像100aに対して上述のようにして切出枠150が設定された様子の一例を示す概略図である。反転前発光時全体像100aに設定された切出枠150内には、重なり部分像120を構成する複数の重なり部分像120aが含まれる。
【0235】
なお、
図42に示される反転前発光時全体像100aには、イメージングプレート10に固定部分22aが重なった状態でのIP像(つまり、
図32と比較して一部が欠けたIP像)が含まれるが、イメージングプレート10の外形に応じた切出枠150は、例えば次のようにして設定することができる。例えば、
図21~23で説明した手法と同様の手法で第1主成分軸と第2主成分軸を定める。IP像に重なり部分像120aの写り込みはあるが、この写り込みの量は、演算に支障があるほどの量ではないため、上記と同様にして第1主成分軸と第2主成分軸を定めることができる。第1主成分軸に沿う方向と第2主成分軸に沿う方向のそれぞれで、高輝度領域501の長手方向の幅の最大値と、高輝度領域501の短手方向の幅の最大値とを求める。そして、高輝度領域501の長手方向の幅の最大値を切出枠150の長手方向幅とし、高輝度領域501の短手方向の幅の最大値を切出枠150の短手方向幅とする。あるいは、上述のように、複数種類のサイズのイメージングプレート10の短手サイズ及び長手サイズをそれぞれ公称短手サイズ及び公称長手サイズとして記憶する場合には、各サイズにおけるイメージングプレート10の形状も記憶し、求めた各最大値がいずれのサイズに適合するか照合し、各サイズにおけるイメージングプレート10の形状に従って切出枠を設定してもよい。
【0236】
画像処理部81は、上述のようにして切出枠150を発光時全体像に設定した後、切出枠150内に重なり部分像120が含まれないように、切出枠150を例えば相似形で縮小する。このとき、画像処理部81は、切出枠150内に重なり部分像120が含まれないように、かつ縮小後の切出枠150ができるだけ大きくなるように、切出枠150を相似形で縮小する。画像処理部81は、例えば、発光時全体像の二値化像に基づいて、発光時全体像での各重なり部分像120aの位置及び範囲を特定することができる。そして、画像処理部81は、各重なり部分像120aについて特定した位置及び範囲に基づいて、切出枠150内に重なり部分像120が含まれないように、かつ縮小後の切出枠150ができるだけ大きくなるように、切出枠150を相似形で縮小する。そして、画像処理部81は、発光時全体像において縮小後の切出枠150内の部分を切出像151として決定する。これにより、重なり部分像120が含まれず、かつIP相当部分105aの大部分が含まれるような切出像151が得られる。
図44は、
図43に示される切出枠150が縮小された様子の一例を示す概略図である。画像処理部81は、
図44に示されるように、反転前発光時全体像100aにおいて縮小後の切出枠150内の部分を切出像151として決定する。
【0237】
画像処理部81は、切出像151を決定すると、発光時全体像から切出像151を切り出す。
図45は、
図44に示される切出像151が反転前全体像100aから切り出された様子の一例を示す概略図である。
【0238】
このように、画像処理部81が、切出像151が重なり部分像120を含まないようにIP相当部分の一部を切出像151として決定する場合には、固定部22の重なり部分220が写らない切出像151を得ることができる。これにより、例えば、切出像151が表示される場合、ユーザは、重なり部分220の像に気を取られることがなく、かつ診断に有効な像をできるだけ広く残した部分だけを確認することができる。
【0239】
なお、イメージングプレート10の放射線像形成層11側の面を平面視した場合の端部を非有効領域とし、当該面の中央のほとんどの領域を有効領域とみなすことがある。例えば、
図44において、切出枠150で示される境界の内側の領域を有効領域とし、境界の外側の領域を非有効領域とみなすなどである。イメージングプレート10は、製造工程で端部(非有効領域)に圧がかけられることがあり、この場合、非有効領域には良好な放射線像の蓄積が保証できないという場合がありうるためである。固定部22の重なり部分220が写らない切出像151を表示することにより、有効領域の像のみを確認することも可能である。
【0240】
画像処理部81は、発光時全体像から、重なり部分220が写らない切出像151を切り出す場合であっても、上述のように、切り出した切出像151の傾きをIP傾き角度に基づいて補正してもよい。この場合、表示制御部82は、傾きが補正された切出像151を表示部3に表示させてもよい。
【0241】
図46は、イメージングプレート10が保持部20Aで保持されている場合に得られる反転前発光時全体像100aの他の例を示す概略図である。
図47~49は、
図46に示される反転前発光時全体像100aに対して切出処理が行われ、その後、切出像151に対して傾き補正処理が行われる様子の一例を示す概略図である。画像処理部81は、上述のようにして、反転前発光時全体像100aに切出枠150を設定し、その後、
図46に示されるように、切出枠150内に重なり部分像120が含まれないように、かつ縮小後の切出枠150ができるだけ大きくなるように、切出枠150を相似形で縮小する。次に、画像処理部81は、反転前発光時全体像100aでの切出枠150内の切出像151を、
図48に示されるように、反転前発光時全体像100aから切り出す。その後、
図49に示されるように、画像処理部81は、切り出した切出像151の傾きをIP傾き角度に基づいて補正する。これにより、イメージングプレート10の基準姿勢からの傾きに応じた切出像151の傾きが適切に補正される。
【0242】
このように、画像処理部81は、IPサイズ及びIP傾き角度に基づいて、発光時全体像のIP相当部分の少なくとも一部を切出像として決定することから、IP相当部分の少なくとも一部を発光時全体像から適切に切り出すことができる。なお、固定部分22aはイメージングプレート10を固定するためにイメージングプレート10の端部に接する部分であるので、重なり部分像120は全体像の端部にしか存在しないのが通常である。ゆえに、切出像が、重なり部分像120を含む端部を切除した中央部領域の像となるように決定してよい。
【0243】
画像処理部81は、発光時全体像に重なり部分像120が含まれない場合であっても、発光時全体像に設定した切出枠150を例えば相似形に縮小し、発光時全体像において縮小後の切出枠150内の部分を切出像151として決定してもよい。この場合であっても、発光時全体像でのIP相当部分(言い換えればIP像)の一部が切出像151として決定される。また、画像処理部81は、発光時全体像に設定した切出枠150を例えば相似形に拡大し、発光時全体像において拡大後の切出枠150内の部分を切出像151として決定してもよい。この場合、発光時全体像において、IP相当部分とその周囲の部分(例えば、IP像領域外領域像の一部あるいは重なり部分像120の少なくとも一部)とが切出像151として決定される。
【0244】
切出処理において、画像処理部81は、IP全体反射光像を含む消去時全体像において切り出す対象の切出像(第2切出像ともいう)をIP傾き角度及びIPサイズに基づいて決定し、決定した第2切出像を消去時全体像から切り出してもよい。この場合、画像処理部81は、消去時全体像のIP相当部分(言い換えればIP全体反射光像)の少なくとも一部を第2切出像として決定してもよい。また、画像処理部81は、消去時全体像に重なり部分220の像が含まれる場合には、第2切出像が重なり部分220の像を含まないように第2切出像を決定してもよい。また、表示制御部82は、消去時全体像から切り出された第2切出像を表示部3に表示させてもよい。この場合、表示部3は、第2切出像と、発光時全体像から切り出された切出像(第1切出像ともいう)151とを、同時にかつ別々に表示してもよい。また、画像処理部81は、IP傾き角度に基づいて、切り出した第2切出像の傾きを補正してもよい。また、表示制御部82は、傾きが補正された第2切出像を表示部3に表示させてもよい。この場合、表示部3は、傾きが補正された第2切出像と、傾きが補正された第1切出像とを同時にかつ別々に表示してもよい。
【0245】
なお、イメージングプレート10が基準姿勢からほとんど傾くことがない場合には、画像処理部81は、IP傾き角度を用いずに、IPサイズに基づいて第1切出像及び第2切出像を決定してもよい。この場合、切出処理では、IP傾き角度に応じて切出枠を回転させる処理が不要となる。以後、切出像を表示することには、傾きが補正された切出像を表示することも含まれる。
【0246】
以上のように、画像処理部81は、生体放射線撮影画像のうち、IP被作用光の検出に基づく像であるIP生体放射線撮影画像を切り出す切出範囲を設定する。これにより、生体放射線撮影画像でのイメージングプレートに相当する部分の像を適切に切り出すことができる。
【0247】
<未露光領域像の特定について>
画像処理部81は、第1切出像151での未露光領域像あるいは発光時全体像での未露光領域像を特定する未露光特定処理を行ってもよい。未露光特定処理は、
図18の一連の処理の中で実行されてもよいし、
図18の処理とは別のタイミングで実行されてもよい。また、未露光特定処理は、
図27の一連の処理の中で実行されてもよいし、
図27の処理とは別のタイミングで実行されてもよい。画像処理部81は、未露光領域像を特定する特定部(未露光領域像特定部ともいう)として機能する。未露光領域像の特定により、生体の放射線撮影から得た取得像中に生体像領域がどれほどあるか特定することが容易となる。
【0248】
画像処理部81は、
図39及び45等の例のように、IP相当部分の少なくとも一部を第1切出像151に設定した場合、未露光特定処理において、例えば、第1切出像151を二値化して得られる二値化像を生成する。ここで、上述の
図34及び36のように、反転後発光時全体像100bから切り出された第1切出像151を反転後第1切出像151と呼ぶ。また、上述の
図45及び48のように、反転前発光時全体像100aから切り出された第1切出像151を反転前第1切出像151と呼ぶ。
【0249】
反転前第1切出像151の二値化で使用するしきい値は、例えば、反転前第1切出像151に含まれる放射線像の最小輝度値よりも小さく、かつ反転前第1切出像151に含まれる未露光領域像の輝度値よりも大きい値に設定される。例えば、反転前第1切出像151に含まれる放射線像の最小輝度値がIL4とし、反転前第1切出像151に含まれる未露光領域像の輝度値がIL2である場合を考える。IL2<IL4である。この場合、しきい値は、例えばIL2<IL5<IL4の関係となるIL50に設定される。これにより、IP相当部分の少なくとも一部である反転前第1切出像151の二値化像では、未露光領域像に相当する部分が低輝度領域となり、放射線像に相当する部分が高輝度領域となる。画像処理部81は、反転前第1切出像151の二値化像での低輝度領域を特定することによって、反転前第1切出像151での未露光領域像を適切に特定することができる。なお、イメージングプレート10に未露光部分が含まれない場合には、反転前第1切出像151の二値化像には低輝度領域は含まれない。
【0250】
また、反転後第1切出像151の二値化で使用するしきい値は、例えば、反転後第1切出像151に含まれる放射線像の最大輝度値よりも大きく、かつ反転後第1切出像151に含まれる未露光領域像の輝度値よりも小さい値に設定される。これにより、IP相当部分の少なくとも一部である反転後第1切出像151の二値化像では、未露光領域像に相当する部分が高輝度領域となり、放射線像に相当する部分が低輝度領域となる。画像処理部81は、反転後第1切出像151の二値化像での高輝度領域を特定することによって、反転後第1切出像151での未露光領域像を適切に特定することができる。
【0251】
このように、画像処理部81は、発光時全体像からIP相当部分の少なくとも一部を第1切出像151として切り出した場合、第1切出像151での未露光領域像を適切に特定することができる。
【0252】
未露光特定処理において、画像処理部81は、IP像領域外領域像を含む第1切出像151での未露光領域像を特定してもよい。この場合、画像処理部81は、IP像領域外領域像に含まれる第1切出像151を含む第1切出像像151での未露光領域像を特定してもよい。画像処理部81は、IP像領域外領域像を含む第1切出像151での未露光領域像を特定する場合、第1切出像151を三値化して三値化像を生成する。
【0253】
画像処理部81は、まず、第1切出像151を構成する複数の画素のそれぞれの輝度値と、予め設定された下側しきい値と上側しきい値とを比較する。上側しきい値は下側しきい値よりも大きい値である。画像処理部81は、第1切出像151を構成する複数の画素のそれぞれの輝度値について、下側しきい値未満の輝度値を第1の値に置き換え、下側しきい値以上上側しきい値未満の輝度値を第2の値に置き換え、上側しきい値以上の輝度値を第3の値に置き換える。ここで、第3の値は第2の値よりも大きく、第2の値は第1の値よりも大きい。これにより、第1切出像151が三値化されて三値化像が得られる。以後、三値化像において、輝度値が第3の値である領域を高輝度領域と呼び、輝度値が第2の値である領域を中輝度領域と呼び、輝度値が第1の値である領域を低輝度領域と呼ぶことがある。
【0254】
反転前第1切出像151の三値化で使用される下側しきい値(第1しきい値ともいう)は、例えば、反転前第1切出像151に含まれるIP像領域外領域像の輝度値よりも大きく、かつ反転前第1切出像151に含まれる未露光領域像の輝度値よりも小さい値に設定される。反転前第1切出像151の三値化で使用される上側しきい値(第2しきい値ともいう)は、例えば、反転前第1切出像151に含まれる未露光領域像の輝度値よりも大きく、かつ反転前第1切出像151に含まれる放射線像の最小輝度値よりも小さい値に設定される。例えば、反転前第1切出像151に含まれる放射線像の最小輝度値が10000、反転前第1切出像151に含まれる未露光領域像の輝度値が3000、反転前第1切出像151に含まれるIP像領域外領域像の輝度値が1000である場合を考える。この場合、下側しきい値は例えば2000に設定され、上側しきい値は例えば5000に設定される。これにより、反転前第1切出像151の三値化像では、IP像領域外領域像に相当する部分が低輝度領域となり、未露光領域像に相当する部分が中輝度領域となり、放射線像に相当する部分が高輝度領域となる。画像処理部81は、反転前第1切出像151の三値化像での中輝度領域を特定することによって、反転前第1切出像151での未露光領域像を適切に特定することができる。なお、イメージングプレート10に未露光部分が含まれない場合には、反転前第1切出像151の三値化像には、中輝度領域は含まれない。
【0255】
反転後第1切出像151の三値化で使用される下側しきい値(第1しきい値ともいう)は、例えば、反転後第1切出像151に含まれる放射線像の最大輝度値よりも大きく、かつ反転後第1切出像151に含まれる未露光領域像の輝度値よりも小さい値に設定される。反転後第1切出像151の三値化で使用される上側しきい値(第2しきい値ともいう)は、例えば、反転後第1切出像151に含まれる未露光領域像の輝度値よりも大きく、かつ反転後第1切出像151に含まれるIP像領域外領域像の輝度値よりも小さい値に設定される。これにより、反転後第1切出像151の三値化像では、IP像領域外領域像に相当する部分が高輝度領域となり、未露光領域像に相当する部分が中輝度領域となり、放射線像に相当する部分が低輝度領域となる。画像処理部81は、反転後第1切出像151の三値化像での中輝度領域を特定することによって、反転後第1切出像151での未露光領域像を適切に特定することができる。
【0256】
このように、画像処理部81は、IP像領域外領域像を含む第1切出像151での未露光領域像を適切に特定することができる。
【0257】
未露光特定処理において、画像処理部81は、発光時全体像での未露光領域像を特定してもよい。この場合、画像処理部81は、IP像領域外領域像を含む第1切出像151での未露光領域像を特定する場合と同様にして、発光時全体像を三値化して三値化像を生成する。反転前発光時全体像100aの三値化で使用される下側しきい値及び上側しきい値は、反転前第1切出像151の三値化で使用される下側しきい値及び上側しきい値と同様に設定される。画像処理部81は、反転前発光時全体像100aの三値化像での中輝度領域を特定することによって、反転前発光時全体像100aでの未露光領域像を適切に特定することができる。また、反転後発光時全体像100bの三値化で使用される下側しきい値及び上側しきい値は、反転後第1切出像151の三値化で使用される下側しきい値及び上側しきい値と同様に設定される。画像処理部81は、反転後発光時全体像100bの三値化像での中輝度領域を特定することによって、反転後発光時全体像100bでの未露光領域像を適切に特定することができる。
【0258】
画像処理部81が、第1切出像151あるいは発光時全体像において未露光領域像を特定した場合、表示制御部82は、第1切出像151あるいは発光時全体像において未露光領域像が存在することを通知する未露光通知情報161を表示部3に表示させてもよい。これにより、ユーザは、第1切出像151あるいは発光時全体像において未露光領域像が存在することを容易に認識することができる。よって、ユーザは、イメージングプレート10に未露光部分が含まれていることを容易に認識することができる。
【0259】
図50及び51は、未露光通知情報161の表示例を示す概略図である。
図50の例では、放射線像151a及び未露光領域像151bを含む第1切出像151と未露光通知情報161とが表示部3の表示面3aに表示されている。
図51の例では、反転後発光時全体像100bと未露光通知情報161とが表示面3aに表示されている。
図50の例では、未露光領域像151bの範囲を縁取る縁取り線1510が、第1切出像151において未露光領域像151bが存在することを通知する未露光通知情報161として表示されている。同様に、
図51の例では、未露光領域像103bの範囲を縁取る縁取り線1030が、反転後発光時全体像100bにおいて未露光領域像103bが存在することを通知する未露光通知情報161として表示されている。縁取り線1510及び1030は、少なくとも一色でカラー表示されてもよい。
【0260】
未露光通知情報161は
図50及び51の例には限られない。例えば、未露光領域像に対して付された斜線等のハッチングが未露光通知情報161として表示されてもよい。また、未露光領域像が少なくとも一色でカラー表示されることによって、未露光通知情報161が表示されてもよい。
【0261】
また、
図52に示されるように、第1切出像151を取り囲む枠状図形1511が未露光通知情報161として表示されてもよい。
図52の例では、説明の便宜上、枠状図形1511にハッチングが示されているが、枠状図形1511にはハッチングが示されなくてもよいし、ハッチングが示されてもよい。また、枠状図形1511は、少なくとも一色でカラー表示されてもよい。同様に、発光時全体像において未露光領域像が特定された場合、当該発光時全体像を取り囲む枠状図形が未露光通知情報161として表示されてもよい。また、未露光通知情報161は文字及び記号の少なくとも一方で表示されてもよい。
【0262】
なお、第1切出像151あるいは発光時全体像に未露光領域像が含まれない場合、つまり、画像処理部81が第1切出像151あるいは発光時全体像において未露光領域像を特定しなかった場合、表示制御部82は、第1切出像151あるいは発光時全体像において未露光領域像が存在しないことを通知する通知情報162を表示部3に表示させてもよい。これにより、ユーザは、イメージングプレート10に未露光部分が含まれていないことを容易に認識することができる。
【0263】
図53は、通知情報162の表示例を示す概略図である。
図53には、第1切出像151に未露光領域像が存在しないことを通知する通知情報162の表示例が示されている。
図53の例では、未露光領域像を含まない第1切出像151を取り囲む枠状図形1512が通知情報162として表示されている。
図53の例では、説明の便宜上、枠状図形1512にハッチングが示されているが、枠状図形1512にはハッチングが示されなくてもよいし、ハッチングが示されてもよい。また、枠状図形1512は、少なくとも一色でカラー表示されてもよい。未露光通知情報161として
図52の枠状図形1511が表示される場合には、未露光通知情報161としての枠状図形1511と、通知情報162としての枠状図形1512とは、互いに異なる態様で表示される。このとき、枠状図形1511と枠状図形1512は、互いに異なる色で表示されてもよい。また、枠状図形1511と枠状図形1512には、互いに異なるハッチングが示されてもよい。同様に、発光時全体像において未露光領域像が存在しない場合、当該発光時全体像を取り囲む枠状図形が通知情報162として表示されてもよい。また、通知情報162は文字及び記号の少なくとも一方で表示されてもよい。なお、未露光領域像が存在すれば、枠状図形1512の表示と異なる表示態様で未露光領域像の存在が通知されるため、その存在の通知が行われないことによって、未露光領域像が存在しないことが通知されるともいえる。
【0264】
表示制御部82は、上述の
図37に示されるように、第1切出像151と消去時全体像200とを同時にかつ別々に表示部3に表示させる場合であって、第1切出像151に未露光領域像が含まれる場合、
図54に示されるように未露光通知情報161も一緒に表示部3に表示させてもよい。このとき、消去時全体像200の代わりに第2切出像が表示されてもよい。また、表示制御部82は、上述の
図30に示されるように、発光時全体像と消去時全体像200とを同時にかつ別々に表示部3に表示させる場合であって、発光時全体像に未露光領域像が含まれる場合には、
図55に示されるように未露光通知情報161も一緒に表示部3に表示させてもよい。このとき、消去時全体像200の代わりに第2切出像が表示されてもよい。
【0265】
また、表示制御部82は、未露光領域像を含まない第1切出像151と消去時全体像200とを同時にかつ別々に表示部3に表示させる場合には、通知情報162も一緒に表示部3に表示させてもよい。このとき、消去時全体像200の代わりに第2切出像が表示されてもよい。同様に、表示制御部82は、未露光領域像を含まない発光時全体像と消去時全体像200とを同時にかつ別々に表示部3に表示させる場合には、通知情報162も一緒に表示部3に表示させてもよい。このとき、消去時全体像200の代わりに第2切出像が表示されてもよい。
【0266】
以上のように、本例に係る検出器40は、イメージングプレート10からの発光光L2だけではなく、イメージングプレート10からの励起光L10の反射光もある程度検出することができる。そのため、読取装置1は、発光光L2の検出に基づく放射線像と、反射光の検出に基づく反射光像(例えば未露光領域像など)とを得ることができる。よって、読取装置1の利便性が向上する。
【0267】
例えば、読取装置1は、イメージングプレート10からの発光光L2の検出に基づく放射線像と、イメージングプレート10からの反射光の検出に基づく反射光像とを含む発光時全体像に基づいて、上述のように、IPサイズを適切に特定したり、IP傾き角度を適切に特定したりすることができる。
【0268】
また例えば、読取装置1は、上述の
図29,30,37,54,55等に示されるように、イメージングプレート10からの発光光L2の検出に基づく放射線像と、イメージングプレート10からの反射光の検出に基づく反射光像とを同時にかつ別々に表示することによって、ユーザは、イメージングプレート10から読み取られた放射線像とイメージングプレート10の外観とを簡単に見比べることができる。これにより、ユーザは、例えば、イメージングプレート10に未露光部分が含まれていることを容易に特定することができる。
【0269】
また、上述の
図28~30,54,55等に示されるように、イメージングプレート10からの反射光の検出に基づく反射光像であるIP全体反射光像が表示される場合には、ユーザは、例えば、イメージングプレート10の表面に異常が発生しているか否かを容易に特定することができる。イメージングプレート10の表面の異常には、例えば、傷、凹み、欠け、汚れ及び異物の付着が含まれる。
【0270】
図56及び57は、イメージングプレート10の前面に異常が発生している場合において、読取装置1で取得される反転後発光時全体像100bに含まれる放射線像101bの一例と、読取装置1で取得される反転前消去時全体像200に含まれるIP全体反射光像201の一例とをそれぞれを示す概略図である。図示の例では反転前消去時全体像200を消去時全体像として用いている。
図56には、放射線像101bにおいて、イメージングプレート10の表面の異常が写る異常領域像1010の拡大
図1010Lも示されている。また、
図57には、IP全体反射光像201において、イメージングプレート10の表面の異常が写る異常領域像2010の拡大
図2010Lも示されている。
図56及び57では、イメージングプレート10の前面に傷が発生している場合の放射線像101b及びIP全体反射光像201がそれぞれ示されている。
【0271】
図56及び57に示されるように、放射線像101b及びIP全体反射光像201において、イメージングプレート10の表面の異常が写る異常領域像1010の輝度値が、その周囲の輝度値と異なることがある。一方で、撮影対象である歯にカリエス等の病変が発生している場合にも、放射線像101bにおいて、歯の病変発生部位が写る領域の輝度値が、その周囲の輝度値と異なることがある。さらに、
図56の例とは異なり、放射線像101bにおいて、異常領域像1010の輝度値が、歯が写る領域の輝度値と近い値となる可能性もある。これらの点に鑑みると、ユーザは、表示部3に表示される放射線像101bに基づいて、イメージングプレート10の表面の異常を特定することは容易ではない。
【0272】
これに対して、放射線像を潜像として蓄積しないイメージングプレート10のIP全体反射光像201には歯が写らない。よって、ユーザは、表示部3に表示されるIP全体反射光像201に基づいて、イメージングプレート10の表面の異常を容易に特定することができる。つまり、ユーザは、表示部3に表示されるIP全体反射光像201に含まれる異常領域像1010を認識することによって、イメージングプレート10の表面の異常を容易に特定することができる。ユーザは、表示部3に表示される、IP全体反射光像201を含む消去時全体像200に基づいて、イメージングプレート10の表面の異常を特定してもよい。また、ユーザは、表示部3に表示される、IP全体反射光像201の少なくとも一部を含む第2切出像に基づいて、イメージングプレート10の表面の異常を特定してもよい。
【0273】
表示部3が、放射線像とIP全体反射光像とを同時にかつ別々に表示する場合には、ユーザは、放射線像において、イメージングプレート10の表面の異常に相当する領域を特定しやすくなる。よって、例えば、歯科医がユーザである場合、歯科医は、放射線像において、イメージングプレート10の表面の異常に相当する領域を、診断の判断材料から容易に除外することができる。
【0274】
図58は、前面に異常を有するイメージングプレート10について取得された第1切出像151及び第2切出像152の表示例を示す概略図である。
図58の例では、反転後発光時全体像100bのIP相当部分105bが第1切出像151に設定され、反転前消去時全体像200の消去済みIP反射光像(つまりIP相当部分)201が第2切出像152に設定されている。第2切出像152は、イメージングプレート10の表面の異常が写る異常領域像2010を有している。
図58のような表示が行われる場合、ユーザは、例えば、表示される第2切出像152に含まれる消去済みIP反射光像201において異常領域像2010を特定する。そして、ユーザは、消去済みIP反射光像201において特定した異常領域像2010に基づいて、第1切出像151に含まれる放射線像101bにおいて、イメージングプレート10の異常に相当する領域を特定する。
【0275】
なお、表示制御部82は、複数枚のイメージングプレート10についてのIP全体反射光像を同時にかつ別々に表示部3に表示させてもよい。
図59は、このような表示の一例を示す概略図である。
図59の例では、複数枚のイメージングプレート10の前面がそれぞれ写る複数の第2切出像152が表示面3aに表示されている。
図59の例では、反転前消去時全体像200のIP全体反射光像201が第2切出像152に設定されている。
図59に示されるように、複数枚のイメージングプレート10の前面がそれぞれ写る複数のIP全体反射光像201が同時にかつ別々に表示されることによって、ユーザは、例えば、複数枚のイメージングプレート10のうち、比較的広範囲に異常が発生しているイメージングプレート10を容易に特定することができる。ユーザは、広範囲に異常が発生しているイメージングプレート10を例えば破棄してもよい。なお、複数枚のイメージングプレート10の前面がそれぞれ写る複数の消去時全体像が同時にかつ別々に表示部3に表示されてもよい。
【0276】
表示制御部82は、操作部4がユーザからの所定の操作を受け付けると、過去に取得された複数のIP全体反射光像201を
図59のように表示部3に表示させてもよい。また、読取装置1は、操作部4がユーザからの所定の操作を受け付けると、読取装置1の動作モードを、イメージングプレート10の品質を確認するための品質確認モードに設定し、この品質確認モードの中で、複数枚のイメージングプレート10がそれぞれ写る複数のIP全体反射光像201が取得されて
図59のように表示されてもよい。品質確認モードの読取装置1には、複数枚のイメージングプレート10がユーザによって順次投入される。品質確認モードの読取装置1は、一枚のイメージングプレート10が挿入口2aから入れられると、例えば、上述の
図27のステップs3,s4,s21,s22を実行して、入れられたイメージングプレート10の前面が写る消去時全体像を取得する。そして、読取装置1は、
図27のステップs5及びs6を実行して、処理済みのイメージングプレート10を排出する。読取装置1から処理済みのイメージングプレート10が排出されると、読取装置1には次のイメージングプレート10が入れられる。品質確認モードの読取装置1は、同様に動作して、次のイメージングプレート10の前面が写る消去時全体像を取得し、処理済みのイメージングプレート10を排出する。以後、同様にして、読取装置1へのイメージングプレート10の投入と、読取装置1からのイメージングプレート10の排出が繰り返し実行され、品質確認モードの読取装置1では、複数枚のイメージングプレート10がそれぞれ写る複数の消去時全体像が取得される。その後、表示制御部82は、取得された複数の消去時全体像に基づいて、
図59のような表示を表示部3に実行させる。ユーザは、例えば、
図59の表示に基づいて、広範囲に異常が発生しているイメージングプレート10を特定して破棄する。
【0277】
また、IP全体反射光像が表示される場合、ユーザは、IP全体反射光像の表示に基づいて、例えば、イメージングプレート10が、通常とは逆の裏向きに読取装置1に入れられて表裏逆にセットされたことを特定することができる。本例では、ユーザは、イメージングプレート10を、読取装置1に対して、原則表向きに入れるが、間違って裏向きに入れることもある。イメージングプレート10が表向きで入れられて正しくセットされた場合、保持部20の支持板21は、上述のように、イメージングプレート10の裏面を支持する。よって、上述のように、励起光L10は、イメージングプレート10の放射線像形成層11に正しく照射される。一方で、イメージングプレート10が誤って裏向き入れられて表裏逆にセットされた場合、支持板21はイメージングプレート10の前面、つまりイメージングプレート10の放射線像形成層11を支持することになる。よって、励起光L10は、イメージングプレート10の裏面に照射される。そして、検出器40は、イメージングプレート10の裏面及びIP像領域外領域R130からの励起光L10の反射光を検出し、その検出結果としての画像信号を出力する。
【0278】
以後、イメージングプレート10が裏向きで読取装置1に入れられて表裏逆にセットされた場合の光の反射光の検出結果としての画像信号を裏投入時画像信号と呼ぶ。また、裏投入時画像信号に基づく全体の像を裏投入時全体像と呼ぶ。裏投入時全体像には、放射線像が含まれず、例えば、イメージングプレート10の裏面が写るIP全体反射光像とIP像領域外領域像とが含まれる。また、支持板21がイメージングプレート10の前面を支持することを前面支持と呼び、支持板21がイメージングプレート10の裏面を支持することを裏面支持と呼ぶことがある。
【0279】
上記の説明では、読取装置1に対して、イメージングプレート10が常に表向きで入れられて正しくセットされているものとしている。つまり、上記の説明では、イメージングプレート10が常に裏面支持されるものとしている。したがって、
図14の処理の上記の説明では、ステップs2において放射線像を含む発光時全体像が得られて、ステップs7において放射線像を含む発光時全体像が表示されるという内容となっている。しかしながら、イメージングプレート10が読取装置1に対して裏向きで入れられた場合には、ステップs2で得られる取得全体像、言い換えればステップs2において検出器40が出力する画像信号に基づく全体の像は、イメージングプレート10の裏面が写る裏投入時全体像となる。つまり、ステップs2では、放射線像を含む発光時全体像ではなく、放射線像を含まない裏投入時全体像が得られる。したがって、イメージングプレート10が読取装置1に対して裏向きで入れられた場合、ステップs7では裏投入時全体像が表示される。ステップs2での読取処理では、イメージングプレート10が正しくセットされている場合には、イメージングプレート10から放射線像が読み取られ、イメージングプレート10が表裏逆にセットされている場合には、イメージングプレート10の裏面が写る裏投入時全体像が得られる。
【0280】
同様に、イメージングプレート10が読取装置1に対して裏向きで入れられた場合、上記の
図24の処理では、ステップs2において裏投入時全体像が得られ、ステップs22において得られる消去時全体像は裏投入時全体像となる。したがって、イメージングプレート10が読取装置1に対して裏向きで入れられた場合、ステップs27では、2つの裏投入時全体像が表示される。イメージングプレート10の裏面が写る裏投入時全体像も、消去済みイメージングプレート10が保持部20で保持されているときに得られる消去時全体像も、放射線像は含まず、反射光像だけで構成されている。
【0281】
図60は、裏投入時全体像に含まれるIP全体反射光像301の一例を示す概略図である。本例では、イメージングプレート10の裏面には、当該裏面に特有の情報(裏面特有情報ともいう)が示されている。裏面特有情報は、イメージングプレート10の前面には示されない情報であるとも言える。また、裏面特有情報は、イメージングプレート10の裏面を識別するための裏面識別情報あるいは裏面識別子であるとも言える。裏面特有情報には、例えば、イメージングプレート10のサイズの種類を示す文字、イメージングプレート10の製造会社を示す文字及びバーコード等が含まれる。裏面特有情報に含まれるバーコードは、例えば、イメージングプレート10のシリアル番号を示してもよい。
【0282】
図60に示されるように、イメージングプレート10の裏面が写るIP全体反射光像301には、裏面特有情報の像302が含まれる。像302には、イメージングプレート10のサイズの種類を示す文字の像304、イメージングプレート10の製造会社を示す文字の像305及びバーコードの像303が含まれる。
【0283】
表示部3が裏投入時全体像を表示する場合、ユーザは、表示される裏投入時全体像に含まれるIP全体反射光像301に基づいて、イメージングプレート10が裏向きに読取装置1に入れられたこと、つまりイメージングプレート10が表裏逆にセットされたことを特定することができる。具体的には、ユーザは、表示されるIP全体反射光像301に含まれる、裏面特有情報の像302を認識することによって、イメージングプレート10が裏向きに読取装置1に入れられたことを特定することができる。このようにして、ユーザは、イメージングプレート10が読取装置1に正しく挿入されなかったことを認識することができる。
【0284】
なお、見方を変えれば、ユーザは、表示部3に表示されるIP全体反射光像に、裏面特有情報の像が含まれないことを認識することによって、イメージングプレート10が正しく表向きに読取装置1に入れられたこと、つまりイメージングプレート10が正しくセットされたことを特定することができるともいえる。
【0285】
イメージングプレート10の裏面に示される裏面特有情報は上記の限りではない。例えば、裏面特有情報には二次元バーコードが含まれてもよい。また、裏面特有情報には、イメージングプレート10の裏面の四隅の少なくとも一つに示された文字、記号あるいは図形が含まれてもよい。また、裏面特有情報は、イメージングプレート10の裏面を識別するためだけの必要最小限の情報であってもよい。
【0286】
画像処理部81は、消去時全体像から、IP全体反射光像の少なくとも一部を含む第2切出像を切り出す場合と同様に、裏投入時全体像から、IP全体反射光像301の少なくとも一部を切出像として切り出してもよい。この場合、表示制御部82は、裏投入時全体像から切り出されたIP全体反射光像301の少なくとも一部を表示部3に表示させてもよい。これにより、ユーザは、表示されるIP全体反射光像301の少なくとも一部に基づいて、イメージングプレート10が誤って裏向きに読取装置1に入れられたことを特定することができる。
【0287】
上記の例では、イメージングプレート10が裏向きに読取装置1に入れられたことをユーザが特定するために、イメージングプレート10の裏面に示される裏面特有情報が使用されているが、イメージングプレート10の前面に示される、当該前面に特有の情報(前面特有情報ともいう)が使用されてもよい。前面特有情報は、イメージングプレート10の裏面には示されない情報であるとも言える。また、前面特有情報は、イメージングプレート10の前面を識別するための前面識別情報あるいは前面識別子であるとも言える。
【0288】
図61は、前面特有情報1000が前面10xに示されたイメージングプレート10の一例を示す概略図である。
図61に示されるように、前面特有情報1000には文字が含まれてもよい。前面特有情報1000に含まれる文字は、イメージングプレート10の製造会社を示す文字、例えば、イメージングプレート10の製造会社の名前の頭文字であってもよい。前面特有情報1000は、イメージングプレート10の前面10xを識別するためだけの必要最小限の情報であってもよい。
【0289】
イメージングプレート10の前面10xでは、放射線像形成層11が、前面特有情報1000を避けて設けられる。本例では、イメージングプレート10からの発光光L2及び反射光の検出に基づく発光時全体像には、前面特有情報1000の反射光像が含まれる。ユーザは、例えば、表示部3に表示される取得全体像あるいは切出像に、前面特有情報1000の反射光像が含まれないことを確認することによって、イメージングプレート10が誤って裏向きに読取装置1に入れられこと、つまりイメージングプレート10が表裏逆にセットされたことを特定することができる。また、ユーザは、表示部3に表示される取得全体像あるいは切出像に、前面特有情報1000の反射光像が含まれることを確認することによって、イメージングプレート10が正しく表向きに読取装置1に入れられこと、つまりイメージングプレート10が正しくセットされたことを特定することができる。
【0290】
なお、前面特有情報1000は
図61の例に限られない。また、イメージングプレート10の前面に前面特有情報1000が示されるとともに、イメージングプレート10の裏面に裏面特有情報が示されてもよい。
【0291】
また、イメージングプレート10が裏向きに読取装置1に入れられたこと、つまりイメージングプレート10が表裏逆にセットされたことをユーザが特定するための凸部12がイメージングプレート10に設けられてもよい。
図62は、イメージングプレート10に凸部12が設けられた様子の一例を示す図である。
図62には、イメージングプレート10の前面10x側が示されている。
図62の例では、イメージングプレート10の周縁に凸部12が設けられている。凸部12は、イメージングプレート10の周縁を構成する4辺のうちの一辺において中央部を避けて設けられている。
図62の例では、凸部12は、イメージングプレート10の短辺において中央部を避けて設けられている。凸部12の表面には、放射線像形成層11が形成されておらず、黒アルマイト処理も行われていない。凸部12の表面では、例えば、イメージングプレート10の表面と同程度に励起光L10が反射される。イメージングプレート10が表裏逆にセットされているか否かにかかわらず、検出器40から出力される画像信号に基づく取得全体像には、凸部12の反射光像が含まれる。なお、凸部12は、イメージングプレート10の長辺に設けられてもよい。
【0292】
このように、凸部12が、イメージングプレート10の一辺において中央部を避けて設けられていることにより、イメージングプレート10が裏面支持されている場合と、イメージングプレート10が前面支持されている場合とで、イメージングプレート10を光源30側から見たときの凸部12の位置が常に異なるようになる。
【0293】
図63は、
図62と同様に、イメージングプレート10を前面10x側から見た様子の一例を示す概略図である。
図63には、
図62に示されるイメージングプレート10をその主面に平行に180度回転させた様子が示されている。
図64及び65は、イメージングプレート10をその裏面10y側から見た様子の一例を示す概略図である。
図65には、
図64に示されるイメージングプレート10がその主面に平行に180度回転させた様子が示されている。
【0294】
図62~65に示されるように、イメージングプレート10を前面10x側から見た場合の凸部12の位置と、イメージングプレート10を裏面10y側から見た場合の凸部12の位置とは、必ず異なる。
図62及び63に示されるように、イメージングプレート10を前面10x側から見た場合、凸部12は、それが設けられた一辺の反時計回り方向の隣の辺(
図62では下側の辺)よりも時計回り方向の隣の辺(
図62では上側の辺)に近い位置に存在する。これに対して、
図64及び65に示されるように、イメージングプレート10を裏面10y側から見た場合、凸部12は、それが設けられた一辺の時計回りの隣の辺(
図64では上側の辺)よりも反時計回り方向の隣の辺(
図64では下側の辺)に近い位置に存在する。
【0295】
このように、凸部12が、イメージングプレート10の一辺において中央部を避けて設けられる場合、イメージングプレート10を前面10x側から見た場合と、イメージングプレート10を裏面10y側から見た場合とでは、凸部12の位置は必ず異なるようになる。したがって、イメージングプレート10が裏面支持されている場合と、イメージングプレート10が前面支持されている場合とでは、イメージングプレート10を光源30側から見たときの凸部12の位置は必ず異なるようになる。言い換えれば、イメージングプレート10が表裏逆にセットされている場合と、イメージングプレート10が正しくセットされている場合とでは、イメージングプレート10を光源30側から見たときの凸部12の位置は必ず異なるようになる。よって、イメージングプレート10が裏面支持されている場合に得られる発光時全体像あるいは消去時全体像での凸部12の像(つまり、反射光像)の位置と、イメージングプレート10が前面支持されている場合に得られる裏投入時全体像での凸部12の像の位置とは常に異なる。これにより、ユーザは、表示部3に表示される取得全体像での凸部12の像の位置を確認することによって、イメージングプレート10が前面支持されていること、つまり、イメージングプレート10が裏向きに読取装置1に入れられたことを容易に特定することができる。言い換えれば、ユーザは、表示部3に表示される取得全体像に写る凸部12の位置を確認することによって、イメージングプレート10が表裏逆にセットされたことを容易に特定することができる。見方を変えれば、ユーザは、表示部3に表示される取得全体像に写る凸部12の位置を確認することによって、イメージングプレート10が正しくセットされたを容易に特定することができるともいえる。
【0296】
なお、凸部12は、
図66に示されるように、イメージングプレート10に対して着脱可能であってもよい。
【0297】
また、イメージングプレート10の周縁には複数の凸部12が設けられてよい。
図67及び68は、イメージングプレート10の周縁に2つの凸部12が設けられている様子の一例を示す概略図である。
図67にはイメージングプレート10を前面10x側から見た様子が示されており、
図68にはイメージングプレート10を裏面10y側から見た様子が示されている。
図67及び68の例では、2つの凸部12は、イメージングプレート10の互いに対向する2つの辺にそれぞれ設けられている。また、2つの凸部12は、イメージングプレート10を前面10x側(あるいは裏面10y側)から見た場合、前面10x(あるいは裏面10y)の中心に対して点対称の位置に存在する。2つの凸部12が、
図67及び68に示されるようにイメージングプレート10の周縁に設けられる場合であっても、イメージングプレート10が裏面支持されている場合に得られる発光時全体像あるいは消去時全体像での凸部12の像の位置と、イメージングプレート10が前面支持されている場合に得られる裏投入時全体像での凸部12の像の位置とは常に異なるようになる。よって、ユーザは、表示部3に表示される取得全体像での凸部12の像の位置を確認することによって、イメージングプレート10が裏向きに読取装置1に入れられたこと、つまりイメージングプレート10が表裏逆にセットされたことを容易に特定することができる。また、ユーザは、表示部3に表示される取得全体像での凸部12の像の位置を確認することによって、イメージングプレート10が表向きに読取装置1に入れられたこと、つまりイメージングプレート10が正しくセットされたことを容易に特定することができる。
【0298】
なお、2つの凸部12のそれぞれは、
図69に示されるように、イメージングプレート10に対して着脱可能であってもよい。また、2つの凸部12の一方だけが、イメージングプレート10に対して着脱可能であってもよい。また、イメージングプレート10に少なくとも一つの凸部12が設けられる場合に、イメージングプレート10の前面10xに前面特有情報が示されてもよいし、イメージングプレート10の裏面10yに裏面特有情報が示されてもよい。
【0299】
以上のように、読取装置1が、発光光L2の検出に基づく放射線像と、反射光の検出に基づく反射光像とを得ることができることによって、読取装置1の利便性が向上する。
【0300】
上記の例では、励起光L10が照射される対象物が、イメージングプレート10であったが、イメージングプレート10以外であってもよい。励起光L10が照射される対象物は、例えば、読取装置1がイメージングプレート10から読み取った放射線像の画質評価のための評価用パターンを表面に有する評価用部材であってもよい。
【0301】
評価用部材は、例えば、イメージングプレート10と同様の大きさ及び形状を有しており、読取装置1の挿入口2aから読取装置1に入れられる。読取装置1に入れられた評価用部材は、イメージングプレート10と同様に保持部20で保持される。評価用部材に、放射線像形成層11を形成してもよいし、形成しなくてもよい。評価用部材に放射線像形成層11が形成される場合には、放射線像形成層11には放射線のエネルギーは蓄積されない。
【0302】
保持部20が評価用部材を保持する場合、上述の照射対象物1200は、保持部20と、保持部20で保持された評価用部材とで構成される。以後、照射対象物1200の支持側主面1200aにおいて、そこからの被作用光L2が形成する像が評価用部材の像である領域を、評価用部材像領域あるいは単に部材像領域と呼ぶ。評価用部材像領域は、支持側主面1200aにおいて、評価用部材が存在する評価用部材存在領域ともいえる。また、検出範囲R110において部材像領域を除いた領域を評価用部材像領域外領域あるいは単に部材像領域外領域と呼ぶ。評部材像領域はIP像領域R100に対応し、評価部材像領域外領域(言い換えれば部材像領域外領域)はIP像領域外領域R130に対応する。
【0303】
図70~73は評価用部材900の一例を示す概略図である。
図70には、検出放射線像の解像度を評価するための評価用部材900(解像度評価用部材900Aともいう)が示されている。
図71には、検出放射線像の幾何学的精度を評価するための評価用部材900(幾何学的精度評価用部材900Bともいう)が示されている。
図72には、検出放射線像のコントラストを評価するための評価用部材900(コントラスト評価用部材900Cともいう)が示されている。
図73には、検出放射線像のアーチファクトを評価するための評価用部材900(アーチファクト評価用部材900Dともいう)が示されている。
【0304】
図70に示されるように、解像度評価用部材900Aの前面901aには、検出放射線像の解像度を評価するための解像度評価用パターン902aが示されている。解像度評価用パターン902aとしては、例えばラインペアチャートが採用される。
【0305】
図71に示されるように、幾何学的精度評価用部材900Bの前面901bには、検出放射線像の幾何学的精度を評価するための幾何学的精度評価用パターン902bが示されている。幾何学的精度評価用パターン902bとしては、例えば、複数の小さな点が格子状に並べられたパターンが採用される。
【0306】
図72に示されるように、コントラスト評価用部材900Cの前面901cには、検出放射線像のコントラストを評価するためのコントラスト評価用パターン902cが示されている。コントラスト評価用パターン902cとしては、例えば、グレースケールで表現された、明るさ(言い換えれば濃淡)の異なる複数の方形パターンが並べられたものが採用される。
【0307】
図73に示されるように、アーチファクト評価用部材900Dの前面901dには、検出放射線像のアーチファクトを評価するためのアーチファクト評価用パターン902dが示されている。アーチファクト評価用パターン902dとしては、例えば、単色の一様なパターンが採用される。例えば、真っ白なパターンがアーチファクト評価用パターン902dとして採用されてもよい。
【0308】
読取装置1では、評価用部材900は、その評価用パターンが光源30側に向くように保持部20で保持される。言い換えれば、評価用部材900は、その前面が光源30側に向くように保持部20で保持される。これより、評価用部材900の評価用パターンに対して励起光L10が照射される。そして、検出器40は、評価用部材900の前面(言い換えれば、部材像領域)及び部材像領域外領域からの励起光L10の反射光を検出し、その検出結果としての画像信号を出力する。
【0309】
以後、評価用部材900が保持部20で保持されている場合の光の反射光の検出結果としての画像信号を評価用画像信号と呼ぶ。また、評価用画像信号に基づく全体の像を評価用全体像と呼ぶ。評価用全体像には、評価用パターンが写っており、評価用パターンの反射光像(以後、評価用パターン像ともいう)が含まれる。評価用全体像には放射線像は含まれない。評価用全体像は反射光像のみで構成されている。
【0310】
図74は、評価用パターンが写る評価用全体像を読取装置1が取得する場合の読取装置1の動作の一例を示すフローチャートである。筐体2の挿入口2aから挿入された評価用部材900が保持部20で保持され、操作部4がユーザからの所定の操作を受け付けると、
図74に示されるように、ステップs51が実行される。ステップs51では、駆動部50が、駆動制御部83による制御によって、保持部20を読取開始位置に移動させる。ステップs51の後、ステップs52が実行される。
【0311】
ステップs52では、光源30が評価用部材900の前面及び外側領域に対して励起光L10を照射する。そして、検出器40が、評価用部材900の前面及び外側領域での励起光L10の反射光を検出し、その検出結果としての評価用画像信号を出力する。評価用画像信号はグレースケールの画像信号である。
【0312】
ステップs52の後、ステップs53において、駆動部50は、駆動制御部83による制御によって、保持部20を排出位置に移動させる。次にステップs54において、評価用部材900は筐体2の取出口2bに排出される。そしてステップs55において、表示制御部82は、評価用画像信号に基づいて評価用全体像を表示部3に例えばグレースケール表示させる。読取装置1に解像度評価用部材900Aが入れられると、ステップs55では、解像度評価用パターン902aの像を含む評価用全体像が表示される。読取装置1に幾何学的精度評価用部材900Bが入れられると、ステップs55では、幾何学的精度評価用パターン902bの像を含む評価用全体像が表示される。読取装置1にコントラスト評価用部材903Cが入れられると、ステップs55では、コントラスト評価用パターン902cの像を含む評価用全体像が表示される。読取装置1にアーチファクト評価用部材900Dが入れられると、ステップs55では、アーチファクト評価用パターン902dの像を含む評価用全体像が表示される。なお、ステップs55は、ステップs52の後であれば、いつでも実行されてもよい。
【0313】
ユーザは、表示部3に表示される評価用全体像に含まれる評価用パターン像に基づいて、検出放射線像の画質を評価することができる。つまり、ユーザは、表示部3に表示される評価用パターン像に基づいて、検出放射線像の画質を評価することができる。例えば、ユーザは、表示部3に表示される解像度評価用パターン902aの像に基づいて、検出放射線像の解像度を評価する。また、ユーザは、表示部3に表示される幾何学的精度評価用パターン902bの像に基づいて、検出放射線像の幾何学的精度を評価する。また、ユーザは、表示部3に表示されるコントラスト評価用パターン902cの像に基づいて、検出放射線像のコントラストを評価する。また、ユーザは、表示部3に表示されるアーチファクト評価用パターン902dの像に基づいて、検出放射線像のアーチファクトを評価する。
【0314】
このように、本例では、検出放射線像を得るための光源30及び検出器40が使用されて、評価用部材900の前面からの励起光L10の反射光の検出結果としての評価用画像信号が得られている。このため、評価用画像信号に基づく反射光像に含まれる評価用パターン像に基づいて、検出放射線像の画質を適切に評価することができる。
【0315】
評価用部材900は、例えば、紙、樹脂あるいは金属で構成されてもよい。また、評価用パターンは、評価用部材900の前面に印刷されて形成されてもよい。また、解像度評価用パターン902a及び幾何学的精度評価用パターン902bの少なくとも一方は、評価用部材900の前面での凹凸で構成されてもよい。評価用パターンが評価用部材900の前面に印刷される場合には、印刷技術によって精度の良い評価用パターンを得ることができる。よって、検出放射線像の画質評価をより適切に行うことができる。また、評価用部材900は、評価用パターンが印刷された印刷紙で構成されてもよい。この場合、安価な評価用部材900を用いて検出放射線像の画質評価を行うことができる。評価用部材900は厚紙で構成されてもよい。
【0316】
<読取装置の他の構成例>
上記の例では、保持部20が移動しているが、保持部20は移動しなくてもよい。この場合、保持部20が停止した状態で、光源30、検出器40及び消去用光源70が移動することによって、読取装置1では上記と同様の処理が実現される。また、光源30、検出器40及び消去用光源70と、保持部20とが移動してもよい。
【0317】
また、読取装置1は複数の光源を備えてもよい。
図73は2つの光源を備える読取装置1(読取装置1Aともいう)の構成例を示す概略図である。
【0318】
図75に示されるように、読取装置1Aは、上述の光源30と、それとは別の光源130とを備えている。光源130は、保持部20に保持されたイメージングプレート10あるは評価用部材900に対して照射光L11を照射することが可能である。光源130は、例えば光源30と同じ構成を有しており、照射光L11を主走査方向DRmに走査することが可能である。照射光L11は例えば可視光のレーザ光である。照射光L11の波長は、励起光L10の波長と同じであってもよいし、異なっていてもよい。光源130は、光源30と同様に、発光制御部86によって制御される。照射光L11は作用光L1であるともいえる。
【0319】
光源130は、例えば、上述の
図27のステップs22で使用されてもよい。この場合、ステップs22では、光源30でなく光源130が、消去済みイメージングプレート10の前面(言い換えればIP像領域)及びIP像領域外領域に対して照射光L11を照射する。ステップs22では、光源130は、光源30と同様に、発光制御部86による制御によって、照射光L11をイメージングプレート10及びIP像領域外領域上で主走査方向DRmに走査する処理を繰り返し実行する。一方で、ステップs22において、駆動部50は、上述の読取処理と同様に、イメージングプレート10を保持した保持部20を、副走査方向DRsに移動させる。保持部20が副走査方向DRsに移動している間に、照射光L11を主走査方向DRmに走査する処理が繰り返し実行されることにより、励起光L10と同様に、照射光L11がイメージングプレート10及びIP像領域外領域に対してラスタスキャンされる。ステップs22では、イメージングプレート10に対して照射光L11がラスタスキャンされる間、検出器40が、イメージングプレート10からの照射光L11の反射光を検出し、その検出結果としての消去時画像信号を出力する。この消去時画像信号に基づく消去時全体像は、励起光L10の反射光の検出に基づく上述の消去時全体像と同様に、IP全体反射光像及びIP像領域外領域像を含み、放射線像を含まない。
図27のステップs27では、照射光L11の反射光の検出に基づく消去時全体像が表示される。読取装置1Aは、励起光L10の反射光の検出に基づく消去時全体像と同様に、照射光L11の反射光の検出に基づく消去時全体像を使用することができる。例えば、読取装置1Aは、照射光L11の反射光の検出に基づく消去時全体像に基づいてIP傾き角度を特定してもよいし、IPサイズを特定してもよい。照射光L11の反射光は被作用光L2に含まれる。
【0320】
なお、イメージングプレート10が裏向きで読取装置1Aに入れられた場合に
図27の処理が読取装置1Aで実行される場合、ステップs22では、励起光L10の反射光の検出に基づく上述の裏投入時全体像と同様の、照射光L11の反射光の検出に基づく裏投入時全体像が得られる。ユーザは、読取装置1Aの表示部3に表示される裏投入時全体像に基づいて、イメージングプレート10が裏向きで読取装置1Aに入れられたことを特定することができる。
【0321】
また光源130は、例えば上述の
図74のステップs52で使用されてもよい。この場合、読取装置1Aでは、ステップs52において、光源30でなく光源130が、評価用部材900の前面及び部材像領域外領域に対して照射光L11を照射する。ステップs52での読取装置1Aの動作は、読取装置1Aの上述のステップs22での動作と同様である。ステップs52では、評価用部材900及び部材像領域外領域に対して照射光L11がラスタスキャンされる間、検出器40が、評価用部材900及び外側領域からの照射光L11の反射光を検出し、その検出結果としての評価用画像信号を出力する。この評価用画像信号に基づく評価用全体像は、励起光L10の反射光の検出に基づく上述の評価用全体像と同様に、評価用パターン像を含み、放射線像を含まない。
図74のステップs55では、ステップs52で得られた評価用画像信号に基づいて、照射光L11の反射光の検出に基づく評価用全体像が表示部3に表示される。ユーザは、読取装置1Aの表示部3に表示される評価用全体像に含まれる評価用パターン像に基づいて、検出放射線像の画質評価を行うことができる。
【0322】
読取装置1は複数の検出器を備えてもよい。
図76は2つの検出器と1つの光源を備える読取装置1(読取装置1Bともいう)の構成例を示す概略図である。
【0323】
図76に示されるように、読取装置1Bは、上述の検出器40と、検出器40とは別の検出器140とを備えている。また、読取装置1Bは、光源30を備えており、光源130は備えていない。検出器140は、例えば、検出器40と同様の構成を有している。検出器140は、検出器40と同様に、イメージングプレート10からの発光光L2を検出することができる。また、検出器140は、検出器40と同様に、イメージングプレート10あるいは評価用部材900からの励起光L10の反射光と、IP像領域外領域あるいは部材像領域外領域からの励起光L10の反射光とを検出することができる。
【0324】
検出器140は、例えば、上述の
図27のステップs22で使用されてもよい。この場合、読取装置1Bでは、ステップs22において、光源30が、消去済みイメージングプレート10の前面及びIP像領域外領域に対してラスタスキャンしている間、検出器140が、イメージングプレート10及びIP像領域外領域からの励起光L10の反射光を検出し、その検出結果としての消去時画像信号を出力する。この消去時画像信号に基づく消去時全体像は、今まで説明した消去時全体像と同様に、IP全体反射光像及びIP像領域外領域像を含み、放射線像を含まない。読取装置1Bは、ステップs22で取得された消去時全体像に基づいて、IP傾き角度の特定等の各種処理を行うことができる。
【0325】
なお、イメージングプレート10が裏向きで読取装置1Bに入れられた場合に
図27の処理が読取装置1Bで実行される場合、ステップs22では、今まで説明した裏投入時全体像と同様の、イメージングプレート10の裏面が写る裏投入時全体像が得られる。
【0326】
また検出器140は、例えば上述の
図74のステップs52で使用されてもよい。この場合、読取装置1Bでは、ステップs52において、光源30が、評価用部材900の前面及び部材像領域外領域に対してラスタスキャンしている間、検出器140が、評価用部材900及び部材像領域外領域からの励起光L10の反射光を検出し、その検出結果としての評価用画像信号を出力する。この評価用画像信号に基づく評価用全体像は、今まで説明した評価用全体像と同様に、評価用パターン像を含み、放射線像を含まない。
【0327】
読取装置1は複数の検出器と複数の光源とを備えてもよい。
図77は検出器40及び140と光源30及び130を備える読取装置1(読取装置1Cともいう)の構成例を示す概略図である。
【0328】
読取装置1Cは、検出器140及び光源130を、例えば、上述の
図27のステップs22で使用してもよい。この場合、読取装置1Cでは、ステップs22において、光源130が、消去済みイメージングプレート10の前面及びIP像領域外領域に対してラスタスキャンしている間、検出器140が、イメージングプレート10及びIP像領域外領域からの励起光L10の反射光を検出し、その検出結果としての消去時画像信号を出力する。この消去時画像信号に基づく消去時全体像は、今まで説明した消去時全体像と同様に、IP全体反射光像及びIP像領域外領域像を含み、放射線像を含まない。なお、イメージングプレート10が裏向きで読取装置1Cに入れられた場合に
図24の処理が読取装置1Cで実行されるとき、ステップs22では、イメージングプレート10の裏面が写る取得全体像が得られる。
【0329】
また、読取装置1Cは、検出器140及び光源130を、例えば、上述の
図74のステップs52で使用してもよい。この場合、読取装置1Cでは、ステップs52において、光源130が、評価用部材900の前面及び部材像領域外領域に対してラスタスキャンしている間、検出器140が、評価用部材900及び部材像領域外領域からの励起光L10の反射光を検出し、その検出結果としての評価用画像信号を出力する。この評価用画像信号に基づく評価用全体像は、今まで説明した評価用全体像と同様に、評価用パターン像を含み、放射線像を含まない。
【0330】
読取装置1A及び1Cでは、光源130は、可視光以外の光を照射光L11として出力してもよい。例えば、照射光L11は、赤外線であってもよいし、紫外線であってもよい。この場合、検出器40及び検出器140としては、赤外線あるいは紫外線を検出できる検出器が採用される。
【0331】
また、読取装置1B及び1Cでは、照射光L11の反射光を検出する検出器140は、例えば、カメラで使用されるCCDセンサあるいはCMOSセンサを備えてもよい。CCDはCharge Coupled Deviceの略語であり、CMOSは、Complementary Metal Oxide Semiconductorの略語である。
【0332】
また、読取装置1Cでは、光源130は、照射光L11を走査するのではなく、消去用光源70のように、1度の照射でイメージングプレート10あるいは評価用部材900の全範囲を照射光L11で照射してもよい。この場合、検出器140は、例えば、カメラで使用されるCCDセンサあるいはCMOSセンサを備えてもよい。
【0333】
また、読取装置1B及び1Cでは、検出器40は、励起光L10の反射光を検出できなくてもよい。この場合、検出器40の光学フィルタ42は、励起光L10を透過させてなくてもよい。また、読取装置1Cでは、検出器40は、照射光L11の反射光を検出できなくてもよい。この場合、検出器40の光学フィルタ42は、照射光L11を透過させてなくてもよい。
【0334】
検出器40が励起光L10の反射光を検出しない場合に取得される発光時全体像では、イメージングプレート10に未露光部分が含まれるとき、未露光領域像の輝度値と、IP像領域外領域像の輝度値とは同じような値となる。よって、イメージングプレート10に未露光部分が含まれる場合、画像処理部81は、上記のような二値化像を用いる方法では、発光時全体像に基づいてIP傾き角度及びIPサイズを特定することが難しくなる。しかしながら、イメージングプレート10に未露光部分が含まれる場合であっても、画像処理部81は、検出器140が出力する消去時画像信号に基づく消去時全体像に基づいて、IP傾き角度及びIPサイズを上記のようにして適切に特定することができる。
【0335】
また、読取装置1B及び1Cでは、検出器140は、輝尽光L5を検出できなくてもよい。この場合、読取装置1B及び1Cは、イメージングプレート10から放射線像を消去することなくIP全体反射光像を得ることができる。例えば、読取装置1Bは、上述のステップs2の読取処理において、検出器40及び140を同時に動作させてもよい。この場合、検出器40での被励起領域光L20の検出と、検出器14でのイメージングプレート10からの励起光L10の反射光の検出とが並行に行われる。検出器140が出力する画像信号に基づく全体の像は、消去時全体像と同様の像となり、IP全体反射光像及びIP像領域外領域像を含み、放射線像を含まない。また、読取装置1Cは、上述のステップs2の読取処理において、光源30及び130を同時に動作させるとともに検出器40及び140を同時に動作させてもよい。この場合、検出器40での被励起領域光L20の検出と、検出器140でのイメージングプレート10からの照射光L11の反射光の検出とが並行に行われる。この場合も、検出器140が出力する画像信号に基づく全体の像は、消去時全体像と同様の像となり、IP全体反射光像及びIP像領域外領域像を含み、放射線像を含まない。このように、読取処理の中で、被励起領域光L20の検出に基づく放射線像だけではなく、励起光L10あるいは照射光L11の反射光の検出に基づく反射光像を得ることによって、
図27のステップs21及びs22の処理が不要となる。つまり、上述の
図18の一連の処理の中で、被励起領域光L20の検出に基づく放射線像と、励起光L10あるいは照射光L11の反射光の検出に基づく反射光像とを得ることができる。よって、読取装置1の動作を簡素化することができる。
【0336】
上記の例の読取装置1では、ACアダプタ5以外の複数の構成が、筐体2で一体化されていたが、一体化されていなくてもよい。例えば、読取装置1は、筐体2に設けられた表示部3とは別に、あるいは表示部3の代わりに、筐体2の外側に位置する表示部13を備えてもよい。
図78は、筐体2表示面の外側に表示部13を備える読取装置1(読取装置1Dともいう)の構成の一例を示す概略図である。表示部13は表示装置13ともいえる。
【0337】
表示部13は、例えば、液晶表示装置あるいは有機EL表示装置であり、文字、記号、図形及び画像などの各種情報を表示することが可能である。表示部13は、筐体2内の制御部80の表示制御部82によって制御される。表示制御部82は、例えば、筐体2内のインタフェース部95を通じて、表示部13を制御することができる。インタフェース部95と表示部13との間の通信は、USBに準拠してもよいし、DisplayPortに準拠してもよいし、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)(登録商標)に準拠してもよい。また、インタフェース部95は、表示部13と有線接続されてもよいし、無線接続されてもよい。表示部13は、取得全体像を表示してもよいし、切出像を表示してもよい。なお、
図78の例では、読取装置1Dの筐体2に表示部3が設けられているが、表示部3は設けられなくてもよい。また、読取装置1Dは、
図75~77に示されるように、複数の光源を備えてもよいし、複数の検出器を備えてもよい。
【0338】
図79及び80は、読取装置1の構成の他の一例を示す概略図である。
図79及び80に示される読取装置1(読取装置1Eともいう)では、読取装置1Eの機能の一部を有するコンピュータ装置950が筐体2の外側に設けられている。
図80に示されるように、コンピュータ装置950は、例えば、上述の表示部3、画像処理部81及び表示制御部82を備える。コンピュータ装置950は、例えば、パーソナルコンピュータ(汎用コンピュータともいう)であってもよい。この場合、コンピュータ装置950は、ノート型であってもよいし、デスクトップ型であってもよい。以後、読取装置1Eにおいて、筐体2と、筐体2によって一体化された複数の構成と、ACアダプタ5とをまとめて読取装置本体9と呼ぶことがある。
【0339】
コンピュータ装置950は、読取装置本体9と通信することが可能である。コンピュータ装置950は、例えば、画像処理部81及び表示制御部82を有する制御部951と、読取装置本体9と通信するインタフェース部952とを備える。また、コンピュータ装置950は、ユーザからの操作を受け付ける操作部953を備える。
【0340】
制御部951は、コンピュータ装置950の動作を統合的に管理することが可能であり、制御回路ともいえる。制御部951は、例えば、表示部3及びインタフェース部952を制御することができる。また、制御部951は、操作部953が受け付けたユーザ操作に応じた処理を行うことができる。
【0341】
制御部951は、例えば、少なくとも一つのプロセッサと、記憶部とを備え、一種のコンピュータ装置であるといえる。制御部951が備える少なくとも一つのプロセッサには、CPUが含まれてもよいし、CPU以外のプロセッサが含まれてもよい。制御部951では、少なくとも一つのプロセッサが記憶部(記憶回路ともいう)内のプログラムを実行することによって、各種機能が実現される。制御部951では、少なくとも一つのプロセッサが記憶部内のプログラムを実行することによって、機能ブロックとして、上述の画像処理部81及び表示制御部82が形成される。
【0342】
操作部953は、例えば、キーボード及びマウスを備える。操作部953は、ユーザのタッチ操作を検出するタッチセンサを備えてもよい。操作部953がタッチセンサを備える場合、当該タッチセンサと表示部3とで、表示機能及びタッチ検出機能を有するタッチパネルディスプレイが構成されてもよい。
【0343】
インタフェース部952は、読取装置本体9のインタフェース部95と通信することが可能である。インタフェース部952と読取装置本体9のインタフェース部95との間の通信は、イーサネットに準拠してもよいし、USBに準拠してもよいし、WiFiに準拠してもよいし、他の規格に準拠してもよい。インタフェース部952は、インタフェース部95と有線通信を行ってもよいし、無線通信を行ってもよい。インタフェース部952は、インタフェース回路ともいえるし、通信部ともいえるし、通信回路ともいえる。コンピュータ装置950の制御部951と、読取装置本体9の制御部80とは、インタフェース部952及びインタフェース部95を通じて、互いに情報のやり取りを行うことができる。
【0344】
読取装置1Eでは、コンピュータ装置950の制御部951と読取装置本体9の制御部80とが協働することによって、制御部80が行っていた上述の各種処理が実行される。読取装置1Eでは、検出制御部85が、検出器40が出力する画像信号をインタフェース部95に出力する。インタフェース部95は、入力された画像信号をインタフェース部952に出力する。インタフェース部952は、入力された画像信号を制御部951に入力する。画像処理部81は、制御部951に入力された画像信号に対して上述の画像処理を行う。そして、画像処理部81は、画像処理後の画像信号に基づいて、上述の傾き角度特定処理を実行したり、サイズ特定処理を実行したり、切出処理を実行したりする。また、表示制御部82は、画像処理後の画像信号に基づいて、例えば、取得全体像を表示部3に表示させる。
【0345】
コンピュータ装置950の操作部953は、読取装置本体9の操作部4が受け付ける複数のユーザ操作の少なくとも一部を受け付けてもよい。例えば、操作部953は、
図18の一連の処理の開始を指示するユーザ操作を受け付けてもよいし、
図26の一連の処理の開始を指示するユーザ操作を受け付けてもよいし、
図27の一連の処理の開始を指示するユーザ操作を受け付けてもよいし、
図74の一連の処理の開始を指示するユーザ操作を受け付けてもよい。この場合、制御部951は、操作部953が受け付けたユーザ操作をインタフェース部952を通じて読取装置本体9に通知する。読取装置本体9では、制御部80が、インタフェース部95を通じて制御部951からの通知を受け取り、操作部953が受け付けたユーザ操作に応じた処理を実行する。
【0346】
また、操作部953は、操作部4が受け付けないユーザ操作を受け付けてもよいし、操作部4は、操作部953が受け付けないユーザ操作を受け付けてもよい。また、操作部953が受け付けたユーザ操作と、操作部4が受け付けたユーザ操作が競合する場合、読取装置1Eでは、例えば、読取装置本体9が受け付けたユーザ操作に応じた処理が優先的に実行されてもよい。
【0347】
なお、読取装置1Eは、上述の
図1等に示されるように、筐体2に設けられた表示部を備えてもよい。また、読取装置1Eは、
図75~77に示されるように、複数の光源を備えてもよいし、複数の検出器を備えてもよい。また、読取装置1Eは、操作部4及び953のどちらか一方を備えなくてもよい。また、読取装置1Eでは、読取装置本体9の制御部80が、コンピュータ装置950の画像処理部81が行う複数の処理の一部を代わりに実行してもよい。例えば、制御部80は、検出器40からの画像信号に対する画像処理を実行し、画像処理後の画像信号が画像処理部81に入力されてもよい。
【0348】
以上のように、読取装置1は詳細に説明されたが、上記した説明は、全ての局面において例示であって、この開示がそれに限定されるものではない。また、上述した各種変形例は、相互に矛盾しない限り組み合わせて適用可能である。そして、例示されていない無数の変形例が、この開示の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0349】
1,1A,1B,1C,1D,1E 読取装置
10 イメージングプレート
30,130 光源
40,140 検出器
81 画像処理部
100a,100b,200 全体像
101a,101b,151a 放射線像
103a,103b,151b 未露光領域像
151 切出像
L1 励起光
L4,L40 反射光
L5 輝尽光