(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】アンテナ構造体及びそれを含むプラズマ処理設備
(51)【国際特許分類】
H05H 1/46 20060101AFI20240319BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20240319BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
H05H1/46 L
H01L21/302 101C
H01L21/31 C
(21)【出願番号】P 2022188304
(22)【出願日】2022-11-25
【審査請求日】2022-11-25
(31)【優先権主張番号】10-2021-0182544
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520236767
【氏名又は名称】サムス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヒョン チン
(72)【発明者】
【氏名】ガルスチャン オグセン
(72)【発明者】
【氏名】リ、チュン ファン
(72)【発明者】
【氏名】パク、トン チョン
(72)【発明者】
【氏名】アン、サン ヒョク
【審査官】藤本 加代子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0155694(US,A1)
【文献】特表2015-531163(JP,A)
【文献】国際公開第2011/065506(WO,A1)
【文献】国際公開第2008/065744(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/00-1/54
H01L 21/3065
H01L 21/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマを形成するためのアンテナ構造体であって、
RF(Radio Frequency)信号が印加される給電ラインと、
前記給電ラインから一定間隔を置いて分岐して上下方向に離隔した複数の単位コイルを含むコイル部材と、を含
み、
前記給電ラインは、
前記RF信号が印加される共通給電ノードと、
前記共通給電ノードに結合され、水平方向に延びる水平給電棒と、
前記水平給電棒に結合されて垂直方向に延び、前記単位コイルが積層されて結合される垂直給電棒と、を含み、
前記水平給電棒は、前記共通給電ノードから互いに反対方向に分岐した第1水平給電棒及び第2水平給電棒を含み、
前記垂直給電棒は、前記第1水平給電棒に結合された第1垂直給電棒、及び前記第2水平給電棒に結合された第2垂直給電棒を含み、
前記コイル部材は、前記第1垂直給電棒に結合された第1コイル部材と、前記第2垂直給電棒に結合された第2コイル部材を含み、
前記第1コイル部材及び前記第2コイル部材は、同じ形状を有し、同じ高さに位置する、アンテナ構造体。
【請求項2】
前記コイル部材の単位コイルは同じスパイラル状に提供される、請求項1に記載のアンテナ構造体。
【請求項3】
前記単位コイルは、一端が前記給電ラインに連結され、他端は接地ラインに連結される、請求項2に記載のアンテナ構造体。
【請求項4】
プラズマを形成するためのアンテナ構造体であって、
RF(Radio Frequency)信号が印加される給電ラインと、
前記給電ラインから一定間隔を置いて分岐して上下方向に離隔した複数の単位コイルを含むコイル部材と、を含み、
前記給電ラインは、
前記RF信号が印加される共通給電ノードと、
前記共通給電ノードに結合され、水平方向に延びる水平給電棒と、
前記水平給電棒に結合されて垂直方向に延び、前記単位コイルが積層されて結合される垂直給電棒と、を含み、
前記水平給電棒は、前記共通給電ノードから互いに異なる方向に分岐した第1水平給電棒、第2水平給電棒及び第3水平給電棒を含み、
前記垂直給電棒は、前記第1水平給電棒に結合された第1垂直給電棒、前記第2水平
給電棒に結合された第2垂直給電棒、及び前記第3水平給電棒に結合された第3垂直給電棒を含み、
前記コイル部材は、前記第1垂直給電棒に結合された第1コイル部材、及び前記第2垂直給電棒に結合された第2コイル部材、及び第3垂直給電棒に結合された第3コイル部材を含
み、
前記第1コイル部材、前記第2コイル部材及び前記第3コイル部材は、同じ形状を有し、同じ高さに位置する、アンテナ構造体。
【請求項5】
プラズマを形成するためのアンテナ構造体であって、
プラズマ処理チャンバの上側中心部に設置される内側コイル部材と、
前記内側コイル部材の外側に配置され、給電ラインから一定間隔を置いて分岐して上下方向に離隔した複数の単位コイルを含む外側コイル部材と、を含
み、
前記給電ラインは、
RF(Radio Frequency)信号が印加される共通給電ノードと、
前記共通給電ノードに結合され、水平方向に延びる水平給電棒と、
前記水平給電棒に結合されて垂直方向に延び、前記単位コイルが積層されて結合される垂直給電棒と、を含み、
前記水平給電棒は、前記共通給電ノードから互いに反対方向に分岐した第1水平給電棒及び第2水平給電棒を含み、
前記垂直給電棒は、前記第1水平給電棒に結合された第1垂直給電棒、及び前記第2水平給電棒に結合された第2垂直給電棒を含み、
前記外側コイル部材は、前記第1垂直給電棒に結合された第1コイル部材、及び前記第2垂直給電棒に結合された第2コイル部材と、を含み、
前記第1コイル部材及び前記第2コイル部材は、同じ形状を有し、同じ高さに位置する、アンテナ構造体。
【請求項6】
前記内側コイル部材は、互いに並列に連結され且つ重畳配置された同じ構造の2つの誘導アンテナを含む、請求項
5に記載のアンテナ構造体。
【請求項7】
前記誘導アンテナは、
第1層の第1象限及び第2象限にわたって配置された外側上部セクションと、
前記外側上部セクションに連結され、前記第1層の第3象限及び第4象限にわたって配置された内側上部セクションと、
前記内側上部セクションに連結され、前記第1層の下部に配置された第2層の第1象限及び第2象限にわたって配置された内側下部セクションと、
前記内側下部セクションに連結され、前記第2層の第3象限及び第4象限にわたって配置された外側下部セクションと、を含む、請求項
6に記載のアンテナ構造体。
【請求項8】
前記外側コイル部材は、一定間隔を置いて垂直に積層された複数の単位コイルを含む、請求項
5に記載のアンテナ構造体。
【請求項9】
前記外側コイル部材の単位コイルは同じスパイラル状に提供される、請求項
5に記載のアンテナ構造体。
【請求項10】
前記単位コイルは、一端が前記給電ラインに連結され、他端は接地ラインに連結される、請求項
5に記載のアンテナ構造体。
【請求項11】
プラズマを形成するためのアンテナ構造体であって、
プラズマ処理チャンバの上側中心部に設置される内側コイル部材と、
前記内側コイル部材の外側に配置され、給電ラインから一定間隔を置いて分岐して上下方向に離隔した複数の単位コイルを含む外側コイル部材と、を含み、
前記給電ラインは、
RF(Radio Frequency)信号が印加される共通給電ノードと、
前記共通給電ノードに結合され、水平方向に延びる水平給電棒と、
前記水平給電棒に結合されて垂直方向に延び、前記単位コイルが積層されて結合される垂直給電棒と、を含み、
前記水平給電棒は、前記共通給電ノードから互いに異なる方向に分岐した第1水平給電棒、第2水平給電棒、及び第3水平給電棒を含み、
前記垂直給電棒は、前記第1水平給電棒に結合された第1垂直給電棒、前記第2水平給電棒に結合された第2垂直給電棒、及び前記第3水平給電棒に結合された第3垂直給電棒を含み、
前記
外側コイル部材は、前記第1垂直給電棒に結合された第1コイル部材、前記第2垂直給電棒に結合された第2コイル部材、及び第3垂直給電棒に結合された第3コイル部材を含
み、
前記第1コイル部材、前記第2コイル部材及び前記第3コイル部材は、同じ形状を有し、同じ高さに位置する、アンテナ構造体。
【請求項12】
プラズマ処理設備であって、
基板に対する工程処理を行うプラズマ処理チャンバと、
前記プラズマ処理チャンバにプラズマを形成するための電力を供給する電力供給装置と、を含み、
前記電力供給装置は、
RF(Radio Frequency)信号を生成するRF電源部と、
前記RF電源部に連結されたインピーダンスマッチング部と、
前記RF信号からプラズマを形成するアンテナ構造体と、を含み、
前記アンテナ構造体は、
プラズマ処理チャンバの上側中心部に設置される内側コイル部材と、
前記内側コイル部材の外側に配置される外側コイル部材と、を含み、
前記外側コイル部材は、
前記RF信号が印加され、共通給電ノードから等角に配置された複数の給電ラインと、
前記給電ラインのそれぞれから一定間隔を置いて分岐して上下方向に離隔した複数の単位コイルと、を含
み、
前記給電ラインは、
前記RF信号が印加される共通給電ノードと、
前記共通給電ノードに結合され、水平方向に延びる水平給電棒と、
前記水平給電棒に結合されて垂直方向に延び、前記単位コイルが積層されて結合される垂直給電棒と、を含み、
前記水平給電棒は、前記共通給電ノードから互いに反対方向に分岐した第1水平給電棒及び第2水平給電棒を含み、
前記垂直給電棒は、前記第1水平給電棒に結合された第1垂直給電棒、及び前記第2水平給電棒に結合された第2垂直給電棒を含み、
前記外側コイル部材は、前記第1垂直給電棒に結合された第1コイル部材、及び前記第2垂直給電棒に結合された第2コイル部材と、を含み、
前記第1コイル部材及び前記第2コイル部材は、同じ形状を有し、同じ高さに位置する、プラズマ処理設備。
【請求項13】
前記RF電源部は、
第1RF信号を生成する第1RF電源と、
前記第1RF信号と同一又は基準範囲以内の周波数を有する第2RF信号を生成する第2RF電源と、を含み、
前記インピーダンスマッチング部は、
前記第1RF電源に連結された第1マッチング回路と、
前記第2RF電源に連結された第2マッチング回路と、を含む、請求項
12に記載のプラズマ処理設備。
【請求項14】
前記インピーダンスマッチング部と前記アンテナ構造体との間に連結されたデカップリング回路をさらに含む、請求項
13に記載のプラズマ処理設備。
【請求項15】
前記デカップリング回路は、
前記第1マッチング回路と前記外側コイル部材との間に連結された第1デカップリングインダクタと、
前記第2マッチング回路と前記内側コイル部材との間に連結され、前記第1デカップリングインダクタと相互に磁気結合される第2デカップリングインダクタと、
前記第1マッチング回路及び前記第2マッチング回路に連結されたデカップリングキャパシタと、を含む、請求項
14に記載のプラズマ処理設備。
【請求項16】
前記RF電源部によって生成された前記RF信号を前記内側コイル部材と前記外側コイル部材に分配するスプリッタをさらに含む、請求項
12に記載のプラズマ処理設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ構造体及びそれを含むプラズマ処理設備に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体(又はディスプレイ)製造工程は、基板(例えば、ウエハ)上に半導体素子を製造するための工程であって、例えば、露光、蒸着、エッチング、イオン注入、洗浄などを含む。それぞれの製造工程を行うために、半導体製造工場のクリーンルーム内に、各工程を行う半導体製造設備が備えられ、半導体製造設備に投入された基板に対する工程処理が行われる。
【0003】
半導体製造過程においてプラズマを用いた工程、例えばエッチング、蒸着などが広く用いられている。プラズマ処理工程を行うプラズマ処理装備は、プロセスガス、温度、圧力、プラズマを生成するためのRF(Radio Frequency)信号の周波数、電力などの様々な工程条件を変更しながら工程を行うことができる。
【0004】
プラズマ処理工程を行うためにプラズマを形成するための方法として、CCP(Capacitively Coupled Plasma)とICP(Inductively Coupled Plasma)があるが、CCPは蓄電電場を用いてプラズマを生成し、ICPは誘導電場を用いてプラズマを生成する。特にICPは、CCPに比べて10倍以上の高密度プラズマを生成することができ、CCPに比べて高い温度を維持する。このようなプラズマ特性により、中性活性種とイオン密度の高いエッチング、蒸着、洗浄工程などでICPが使用されることができる。
【0005】
最近、半導体基板(ウエハ)の大面積化に伴い、プラズマ処理のための製造設備も大面積化されている。ICPプラズマソースにおいてチャンバ内の誘導電場を形成するためのアンテナの大面積化も進んでおり、同時にアンテナの大面積化に伴うプラズマ均一度の劣化に対する改善技術も研究されている。
【0006】
また、3D NANDフラッシュなどの半導体積層構造において積層高さが増加するにつれて、エッチング率向上のためにさらに多くの中性活性種とより高いイオン密度が要求され、これにより、アンテナに印加される電力が増加している。高い電力のため、内側コイルと外側コイルとを含むアンテナ構造において半径方向の均一度の制御が困難であるという問題がある。すなわち、内側コイルと外側コイルに印加される電流比(Current Ratio、CR)によってウエハの中心でのエッチング率は大きく変わるが、ウエハの外郭でエッチング率が大きく変わらないことが確認されており、ウエハの外郭領域でエッチング率をより広範囲に制御することができる技術が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の実施形態は、プラズマ処理工程においてより広範囲にエッチング率を制御することができるアンテナ構造体、及びそれを含むプラズマ処理設備を提供することを目的とする。
【0008】
本発明の解決課題は、上述したものに限定されず、上述していない他の解決課題は、以降の記載から当業者には明確に理解できるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によるプラズマを形成するためのアンテナ構造体は、RF(Radio Frequency)信号が印加される給電ラインと、前記給電ラインから一定間隔を置いて分岐して上下方向に離隔した複数の単位コイルを含むコイル部材と、を含む。
【0010】
本発明の実施形態によれば、前記コイル部材の単位コイルは、同じスパイラル状に提供されることができる。
【0011】
本発明の実施形態によれば、前記単位コイルは、一端が前記給電ラインに連結され、他端は接地ラインに連結されることができる。
【0012】
本発明の実施形態によれば、前記給電ラインは、前記RF信号が印加される共通給電ノードと、前記共通給電ノードに結合され、水平方向に延びた水平給電棒と、前記水平給電棒に結合されて垂直方向に延び、前記単位コイルが積層されて結合される垂直給電棒と、を含むことができる。
【0013】
本発明の実施形態によれば、前記水平給電棒は、前記共通給電ノードから互いに反対方向に分岐した第1水平給電棒及び第2水平給電棒を含み、前記垂直給電棒は、前記第1水平給電棒に結合された第1垂直給電棒、及び前記第2水平供給棒に結合された第2垂直給電棒を含み、前記コイル部材は、前記第1垂直給電棒に結合された第1コイル部材、及び前記第2垂直給電棒に結合された第2コイル部材を含むことができる。
【0014】
本発明の実施形態によれば、前記水平給電棒は、前記共通給電ノードから互いに異なる方向に分岐した第1水平給電棒、第2水平給電棒、及び第3水平給電棒を含み、前記垂直給電棒は、前記第1水平給電棒に結合された第1垂直給電棒、前記第2水平給電棒に結合された第2垂直給電棒、及び前記第3水平給電棒に結合された第3垂直給電棒を含み、前記コイル部材は、前記第1垂直給電棒に結合された第1コイル部材と、前記第2垂直給電棒に結合された第2コイル部材と、第3垂直給電棒に結合された第3コイル部材と、を含むことができる。
【0015】
本発明の他の態様に係るプラズマを形成するためのアンテナ構造体は、プラズマ処理チャンバの上側中心部に設置される内側コイル部材と、前記内側コイル部材の外側に配置され、給電ラインから一定間隔を置いて分岐して上下方向に離隔した複数の単位コイルを含む外側コイル部材と、を含む。
【0016】
本発明の実施形態によれば、前記内側コイル部材は、互いに並列に連結され且つ重畳配置された同じ構造の2つの誘導アンテナを含むことができる。
【0017】
本発明の実施形態によれば、前記誘導アンテナは、第1層の第1象限及び第2象限にわたって配置された外側上部セクションと、前記外側上部セクションに連結され、前記第1層の第3象限及び第4象限にわたって配置された内側上部セクションと、前記内側上部セクションに連結され、前記第1層の下部に配置された第2層の第1象限及び第2象限にわたって配置された内側下部セクションと、前記内側下部セクションに連結され、前記第2層の第3象限及び第4象限にわたって配置された外側下部セクションと、を含むことができる。
【0018】
本発明の実施形態によれば、前記外側コイル部材は、一定間隔を置いて垂直に積層された複数の単位コイルを含むことができる。
【0019】
本発明の実施形態によれば、前記外側コイル部材の単位コイルは同じスパイラル状に提供されることができる。
【0020】
本発明の実施形態によれば、前記単位コイルは、一端が前記給電ラインに連結され、他端は接地ラインに連結されることができる。
【0021】
本発明の実施形態によれば、前記給電ラインは、前記RF信号が印加される共通給電ノードと、前記共通給電ノードに結合され、水平方向に延びる水平給電棒と、前記水平給電棒に結合されて垂直方向に延び、前記単位コイルが積層されて結合される垂直給電棒と、を含むことができる。
【0022】
本発明の実施形態によれば、前記水平給電棒は、前記共通給電ノードから互いに反対方向に分岐した第1水平給電棒及び第2水平給電棒を含み、前記垂直給電棒は、前記第1水平給電棒に結合された第1垂直給電棒、及び前記第2水平給電棒に結合された第2垂直給電棒を含み、前記コイル部材は、前記第1垂直給電棒に結合された第1コイル部材、及び前記第2垂直給電棒に結合された第2コイル部材を含むことができる。
【0023】
本発明の実施形態によれば、前記水平給電棒は、前記共通給電ノードから互いに異なる方向に分岐した第1水平給電棒、第2水平給電棒、及び第3水平給電棒を含み、前記垂直給電棒は、前記第1水平給電棒に結合された第1垂直給電棒、前記第2水平給電棒に結合された第2垂直給電棒、及び前記第3水平給電棒に結合された第3垂直給電棒を含み、前記コイル部材は、前記第1垂直給電棒に結合された第1コイル部材、前記第2垂直給電棒に結合された第2コイル部材、及び第3垂直給電棒に結合された第3コイル部材を含むことができる。
【0024】
本発明に係るプラズマ処理設備は、基板に対する工程処理を行うプラズマ処理チャンバと、前記プラズマ処理チャンバにプラズマを形成するための電力を供給する電力供給装置と、を含む。前記電力供給装置は、RF(Radio Frequency)信号を生成するRF電源部と、前記RF電源部に連結されたインピーダンスマッチング部と、前記RF信号からプラズマを形成するアンテナ構造体と、を含む。前記アンテナ構造体は、プラズマ処理チャンバの上側中心部に設置される内側コイル部材と、前記内側コイル部材の外側に配置される外側コイル部材と、を含む。前記外側コイル部材は、前記RF信号が印加され、共通給電ノードから等角に配置された複数の給電ラインと、前記給電ラインのそれぞれから一定間隔を置いて上下方向に離隔した積層された複数の単位コイルと、を含むことができる。
【0025】
本発明の実施形態によれば、前記RF電源部は、第1RF信号を生成する第1RF電源と、前記第1RF信号と同一又は基準範囲以内の周波数を有する第2RF信号を生成する第2RF電源と、を含むことができる。前記インピーダンスマッチング部は、前記第1RF電源に連結された第1マッチング回路と、前記第2RF電源に連結された第2マッチング回路と、を含むことができる。
【0026】
本発明の実施形態によれば、前記インピーダンスマッチング部と前記アンテナ構造体との間に連結されたデカップリング回路をさらに含むことができる。
【0027】
本発明の実施形態によれば、前記デカップリング回路は、前記第1マッチング回路と前記外側コイル部材との間に連結された第1デカップリングインダクタと、前記第2マッチング回路と前記内側コイル部材との間に連結され、前記第1デカップリングインダクタと相互に磁気結合される第2デカップリングインダクタと、前記第1マッチング回路及び前記第2マッチング回路に連結されたデカップリングキャパシタと、を含むことができる。
【0028】
本発明の実施形態によれば、前記RF電源部によって生成された前記RF信号を前記内側コイル部材と前記外側コイル部材に分配するスプリッタをさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、1つの共通給電ラインにおいて一定間隔を置いて垂直に積層された複数の単位コイルに同時に電力を供給することにより、より広範囲にエッチング率を制御することができる。
【0030】
本発明の効果は、上述したものに限定されず、上述していない他の効果は、以降の記載から当業者に明確に理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】プラズマを形成するための電力供給システムをモデリングした等価回路を示す。
【
図2】ICPプラズマソースにおいてアンテナ構造体とプラズマ負荷を円形コイル状に表現した図式図である。
【
図3】2ターンコイル構造のアンテナ構造体及び2ターンコイル構造のアンテナ構造体の等価回路を示す。
【
図4】2ターンコイル構造のアンテナ構造体及び2ターンコイル構造のアンテナ構造体の等価回路を示す。
【
図5】2ターンコイル構造のアンテナ構造体及び2ターンコイル構造のアンテナ構造体の等価回路を示す。
【
図6】4ターンコイル構造のアンテナ構造体及び4ターンコイル構造のアンテナ構造体の等価回路を示す。
【
図7】4ターンコイル構造のアンテナ構造体及び4ターンコイル構造のアンテナ構造体の等価回路を示す。
【
図8】4ターンコイル構造のアンテナ構造体及び4ターンコイル構造のアンテナ構造体の等価回路を示す。
【
図9】6ターンコイル構造のアンテナ構造体及び6ターンコイル構造のアンテナ構造体の等価回路を示す。
【
図10】6ターンコイル構造のアンテナ構造体及び6ターンコイル構造のアンテナ構造体の等価回路を示す。
【
図11】6ターンコイル構造のアンテナ構造体及び6ターンコイル構造のアンテナ構造体の等価回路を示す。
【
図12】内側コイル部材と外側コイル部材で構成されたアンテナ構造体を示す。
【
図13】内側コイル部材として使用できるTMIアンテナの構造を示す。
【
図15】多重独立電源及びデカップリング回路を含む電力供給装置が適用されたプラズマ処理設備を示す。
【
図16】多重独立電源及びデカップリング回路を含む電力供給装置の回路を示す。
【
図17】デカップリング回路による干渉除去を説明するための電力供給装置の等価回路である。
【
図18】単一電源を含む電力供給装置が適用されたプラズマ処理設備を示す。
【
図19】アンテナ構造体の外側コイル部材のターン数と、アンテナ構造体とプラズマとの距離条件に対するプラズマチャンバ内の半径方向の磁場シミュレーション結果である。
【
図20】外側コイル部材100のターン数条件による磁場強度の分布に対するシミュレーション結果である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施し得るように詳細に説明する。本発明は、様々な異なる形態で実現でき、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0033】
本発明を明確に説明するために、説明と関係のない部分は省略し、明細書全体にわたり、同一又は類似の構成要素に対しては同一の参照符号を付す。
【0034】
また、幾つかの実施形態において、同一の構成を有する構成要素については同一の符号を用いて代表的な実施形態でのみ説明し、それ以外の他の実施形態では代表的な実施形態と異なる構成についてのみ説明する。
【0035】
本明細書全体において、ある部分が他の部分と「連結(又は結合)」されているとするとき、これは、「直接的に連結(又は結合)」されている場合だけでなく、他の部材を挟んで「間接的に連結(又は結合)」されている場合も含む。また、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0036】
他に定義されない限り、技術的又は科学的用語を含めてここで使用されるすべての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般に理解されるのと同じ意味を持っている。一般的に使用される辞書に定義されている用語は、関連技術の文脈上の意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本出願で明確に定義しない限り、理想的又は過度に形式的な意味で解釈されない。
【0037】
以下、本発明によるアンテナ構造体及びそれを含むプラズマ処理設備について説明する。
【0038】
図1は、プラズマを形成するための電力供給システムをモデリングした等価回路を示す。
図1に示すように、RF電源部2によって生成されたRF電力は、インピーダンスマッチング部4を介してアンテナ構造体10へ提供され、アンテナ構造体10は、誘導電場を生成してプラズマを形成する。Mはアンテナ構造体10とプラズマ負荷PLとの相互インダクタンスを意味し、kは結合係数、L
Aはアンテナ構造体10のインダクタンス、r
Aはアンテナ構造体10の抵抗値、L
Pはプラズマ負荷P
Lのインダクタンス、RPはプラズマ負荷P
Lの抵抗値をそれぞれ示す。
【0039】
インピーダンスマッチング部4の出力端から見たアンテナ構造体10とプラズマ負荷PLを含む全体出力インピーダンスZOは、下記数式1で表現できる。
【0040】
【0041】
数式1中、Mはアンテナ構造体10とプラズマ負荷PLとの相互インダクタンスを示し、kは結合係数、LAはアンテナ構造体10のインダクタンス、rAはアンテナ構造体10の抵抗値、LPはプラズマ負荷PLのインダクタンス、RPはプラズマ負荷PLの抵抗値、ωは各周波数(Angular Frequency、ω=2π*f0)をそれぞれ示す。
【0042】
ここで、使用周波数(f0)が13.56Mhzであり、300mmウエハの工程に用いられるアンテナ構造体10のサイズ及び高い導電率の金属が使用されることを考慮すると、RP<<LA、LP条件により、全出力インピーダンスZOは下記数式2のように近似化できる。
【0043】
【0044】
ここで、kは、結合係数であって、各インダクタンス成分と下記数式3の関係式で表現できる。
【0045】
【0046】
数式2の実数部でアンテナ構造体10とプラズマ負荷PLによって消費されるそれぞれの実電力は、数式4のような関係を持つことができる。
【0047】
【0048】
数式4から確認できるように、プラズマ負荷PLへ伝達される電力効率を増加させるために、
(i)アンテナ構造体10の実抵抗rAを下げる方法、
(ii)アンテナ構造体10のインダクタンスLAを上げる方法、
(iii)結合係数k又は相互インダクタンスMを増加させる方法
が使用できる。
【0049】
ところが、方法(i)、方法(ii)は、アンテナ構造体10の物性によって決定されるものであり、方法(ii)のためにインダクタンスLAを上げる場合、実抵抗rAが増加して熱損失が発生する可能性がある。また、下記数式5のように高周波電力Pをアンテナ構造体10に印加したときに、アンテナ構造体10に印加される電圧Vrmsの上昇によるインピーダンスマッチング部4の不安定を引き起こす可能性がある。
【0050】
【0051】
したがって、方法(iii)に従って結合係数k又は相互インダクタンスMを上げるために、インダクタLA、LPの直径、インダクタLA、LP間の間隔、インダクタLA、LPのターン数などが3次元空間で分析されなければならない。これについて詳細に説明する。
【0052】
図2は、ICPプラズマソースにおいてアンテナ構造体10とプラズマ負荷PLを円形コイル状に表現した図式図である。
図2には、ICPプラズマソースにおいてN
Aだけのターン数で巻かれた半径R
Aのアンテナ構造体10と半径R
Pのプラズマ負荷PL上の相互インダクタンスMを求めるための円形コイル状の図式図が表現される。
【0053】
2つの円形コイルC1、C2の構造によって決定される相互インダクタンスMは、下記数式6で表現できる。
【0054】
【0055】
前記数式6を
図2のアンテナ構造体10とプラズマ負荷PLとの関係に適用すれば、数式7のようにまとめられることができる。
【0056】
【0057】
本出願人は、数式7からアンテナ構造体10の設計要素である半径RA、アンテナ構造体10とプラズマ負荷PLとの距離z、アンテナコイルターン数NAにより相互インダクタンスMAPの変化を確認した。確認の結果、アンテナコイルの設計要素である半径RA、プラズマ距離z、アンテナコイルターン数NAのいずれも相互インダクタンスを決定する要素であるが、既にプラズマチャンバの構造に合わせて相当最適化されているため、単純数値的変更だけでは、印加電力による半径方向の均一度を向上させるのに制限的であることを確認した。
【0058】
したがって、本発明は、アンテナの設計変更を介して多数の単位コイルが積層されて配置され、各単位コイルに同時に電力を供給するアンテナ構造体10を提供する。
【0059】
図3乃至
図5は、2ターンコイル構造のアンテナ構造体10及び2ターンコイル構造のアンテナ構造体10の等価回路を示す。
図3は、2ターンコイル構造のアンテナ構造体10の斜視図であり、
図4は、上方から見た2ターンコイル構造のアンテナ構造体10であり、
図5は、2ターンコイル構造のアンテナ構造体10の等価回路である。
【0060】
本発明に係るプラズマを形成するためのアンテナ構造体10は、RF(Radio Frequency)信号が印加される給電ライン110と、給電ライン110から一定間隔を置いて分岐して垂直に積層された複数の単位コイル120A、120Bを含むコイル部材120と、を含む。
【0061】
本明細書では、1つの給電ライン110に2つの単位コイル120A、120Bがそれぞれ結合された構造を例として説明されるが、3つ以上の単位コイルが互いに積層される構造も可能である。
【0062】
本発明によれば、コイル部材120の単位コイル120A、120Bは、同じスパイラル状に提供されることができる。
【0063】
本発明によれば、単位コイル120A、120Bは、一端が給電ライン110に連結され、他端は接地ライン130に連結されることができる。
【0064】
本発明によれば、給電ライン110は、RF信号が印加される共通給電ノード111と、共通給電ノード111に結合され、水平方向に延びる水平給電棒112と、水平給電棒に結合されて垂直方向に延び、単位コイル120A、120Bが積層されて結合される垂直給電棒113と、を含むことができる。
【0065】
図3に示すように、1つの給電ライン110に積層された多数のスパイラル状の単位コイル120A、120Bが連結され、単位コイル120A、120Bへ同時にRF信号が印加されて給電されることができる。本発明のようなアンテナ構造体10の構造は、DSS(Double-Stacked Spiral)コイル構造と呼ばれることがある。
【0066】
図5は、
図3及び
図4のようなアンテナ構造体10の電気的等価回路である。各単位コイル120A、120BのインダクタンスがLであるとき、アンテナ構造体10の全体リアクタンスXは、下記数式8で表現できる。
【0067】
【0068】
数式8から分かるように、同時給電方式の積層型スパイラルコイル構造を適用する場合、給電ラインの数を最小化しながら低いアンテナインダクタンスを確保するとともに、コイルのターン数を増加させることによりアンテナ構造体10とプラズマ負荷PLとの相互インダクタンスを増加させることができる。したがって、プラズマ負荷PLへ伝達される電力の効率を向上させることができる。
【0069】
一方、同時給電方式の積層型スパイラルコイルを多数構成する場合、限られた空間でターン数をさらに増加させることができる。
【0070】
図6~
図8は、4ターンコイル構造のアンテナ構造体及び4ターンコイル構造のアンテナ構造体の等価回路を示す。
図6は、4ターンコイル構造のアンテナ構造体10の斜視図であり、
図7は、上方から見た4ターンコイル構造のアンテナ構造体10であり、
図8は、4ターンコイル構造のアンテナ構造体10の等価回路である。
【0071】
図6及び
図7に示すように、同じ形状を有するものの、電流が入力又は出力されるポートが互いに反対方向に位置した2つのコイル部材121、122を組み合わせてアンテナ構造体10を構成することができる。
【0072】
本発明によれば、水平給電棒112は、共通給電ノード111から互いに反対方向に分岐した第1水平給電棒112A及び第2水平給電棒112Bを含み、垂直給電棒113は、第1水平給電棒112Aに結合された第1垂直給電棒113Aと、第2水平給電棒112Bに結合された第2垂直給電棒113Bとを含み、コイル部材120は、第1垂直給電棒113Aに結合された第1コイル部材121と、第2垂直給電棒113Bに結合された第2コイル部材122とを含むことができる。
【0073】
図6及び
図7に示すように、共通給電ノード111から互いに反対方向に第1水平給電棒112Aと第2水平給電棒112Bが延びて構成され、第1水平給電棒112Aに第1垂直給電棒113Aが結合され、第2水平給電棒112Bに第2垂直給電棒113Bが結合される。第1垂直給電棒113Aに第1単位コイル121A、121Bが一定間隔を置いて積層された状態でそれぞれ結合され、第2垂直給電棒113Bに第2単位コイル122A、122Bが一定間隔を置いて積層された状態でそれぞれ結合されることができる。
【0074】
図8は、
図6及び
図7のような4ターン構造のアンテナ構造体10の電気的等価回路である。各単位コイル121A、121B、122A、122BのインダクタンスがLであるとき、アンテナ構造体10の全体リアクタンスXは、下記数式9で表現できる。
【0075】
【0076】
数式9から分かるように、同時給電方式の積層型スパイラルコイル構造を適用する場合、給電ラインの数を最小化しながら低いアンテナインダクタンスを確保するとともに、コイルのターン数を増加させることによりアンテナ構造体10とプラズマ負荷PLとの相互インダクタンスを増加させることができる。したがって、プラズマ負荷PLへ伝達される電力の効率を増加させることができる。
【0077】
図9~
図11は、6ターンコイル構造のアンテナ構造体と6ターンコイル構造のアンテナ構造体の等価回路を示す。
図9は、6ターンコイル構造のアンテナ構造体10の斜視図であり、
図10は、上方から見た6ターンコイル構造のアンテナ構造体10であり、
図11は、6ターンコイル構造のアンテナ構造体10の等価回路である。
【0078】
図9及び
図10に示すように、同じ形状を有するものの、電流が入力又は出力されるポートがそれぞれ120度の夾角をもって配置された3つのコイル部材121、122、123を組み合わせてアンテナ構造体10を構成することができる。
【0079】
本発明によれば、水平給電棒112は、共通給電ノード111から互いに異なる方向に分岐した第1水平給電棒112A、第2水平給電棒112B、及び第3水平給電棒112を含み、垂直給電棒113は、第1水平給電棒112Aに結合された第1垂直給電棒113Aと、第2水平給電棒112Bに結合された第2垂直給電棒113Bと、第3水平給電棒112Cに結合された第3垂直給電棒113Cと、を含み、コイル部材120は、第1垂直給電棒113Aに結合された第1コイル部材121と、第2垂直給電棒113Bに結合された第2コイル部材122と、第3垂直給電棒113Cに結合された第3コイル部材123と、を含むことができる。
【0080】
図9及び
図10に示すように、共通給電ノード111からそれぞれ120度の夾角をもって第1水平給電棒112A、第2水平給電棒112B、第3水平給電棒112Cが延びて構成され、第1水平給電棒112Aに第1垂直給電棒113Aが結合され、第2水平給電棒112Bに第2垂直給電棒113Bが結合され、第3水平給電棒112Cに第3垂直給電棒113Cが結合される。第1垂直給電棒113Aに第1単位コイル121A、121Bが一定間隔を置いて積層された状態でそれぞれ結合され、第2垂直給電棒113Bに第2単位コイル122A、122Bが一定間隔を置いて積層された状態でそれぞれ結合され、第3垂直給電棒113Cに第3単位コイル123A、123Bが一定間隔を置いて積層された状態でそれぞれ結合されることができる。
【0081】
図11は、
図9及び
図10のような6ターン構造のアンテナ構造体10の電気的等価回路である。各単位コイル121A、121B、122A、122B、123A、123CのインダクタンスがLであるとき、アンテナ構造体10の全体リアクタンスXは、下記数式10で表現できる。
【0082】
【0083】
数式10から分かるように、同時給電方式の積層型スパイラルコイル構造を適用する場合、給電ラインの数を最小化しながら低いアンテナインダクタンスを確保するとともに、コイルのターン数を増加させることによりアンテナ構造体10とプラズマ負荷PL間の相互インダクタンスを増加させることができる。したがって、プラズマ負荷PLへ伝達される電力の効率を増加させることができる。
【0084】
図12は、内側コイル部材300と外側コイル部材100からなるアンテナ構造体10を示す。
図12の(a)は、上方から見たアンテナ構造体10を示し、
図12(b)は、下方から見たアンテナ構造体10を示す。プラズマを用いたエッチング装置において、ウエハの全領域に対して均一なエッチング率を達成するために、内側コイル部材300と外側コイル部材100とを含むアンテナ構造体10が使用できる。一般にウエハの中心部よりも外郭部でエッチング率が低下するため、外郭部のエッチング率をより精密に制御する必要があり、精密なエッチング率制御のために内側コイル部材300と外側コイル部材100を構成することができる。内側コイル部材300と比較して、ウエハの外郭部は、電流比の調節の際にもエッチング率の変化が少ないため、外側コイル部材100は、より広範囲にエッチング率を制御することができるように構成される必要がある。
【0085】
本発明に係るアンテナ構造体10は、プラズマ処理チャンバの上側中心部に設置される内側コイル部材300と、内側コイル部材300の外側に配置され、給電ラインから一定間隔を置いて分岐して垂直に積層された複数の単位コイルを含む外側コイル部材100と、を含むことができる。前述したように、単位コイルが積層された形態の外側コイル部材100を適用することにより、ウエハの外郭部に対してより広範囲なエッチング率の制御が可能である。
【0086】
外側コイル部材100の単位コイルは、同じスパイラル状に提供されることができる。
【0087】
ここで、単位コイルは、一端が給電ライン110に連結され、他端は接地ライン130に連結されることができる。
【0088】
本発明によれば、外側コイル部材100の給電ライン110は、RF信号が印加される共通給電ノード111と、共通給電ノード111に結合され、水平方向に延びる水平給電棒112と、水平給電棒112に結合されて垂直方向に延び、単位コイル120A、120Bが積層されて結合される垂直給電棒113とを含むことができる。
【0089】
図3に示すように、1つの給電ライン110に積層された多数のスパイラル状の単位コイル120A、120Bが連結され、単位コイル120A、120Bに同時にRF信号が印加されて給電されることができる。
【0090】
本発明によれば、外側コイル部材100の水平給電棒112は、共通給電ノード111から互いに反対方向に分岐した第1水平給電棒112A及び第2水平給電棒112Bを含み、垂直給電棒113は、第1水平給電棒112Aに結合された第1垂直給電棒113A、及び第2水平給電棒112Bに結合された第2垂直給電棒113Bを含み、コイル部材120は、第1垂直給電棒113Aに結合された第1コイル部材121、及び第2垂直給電棒113Bに結合された第2コイル部材122を含むことができる。
【0091】
図6及び
図7に示すように、共通給電ノード111から互いに反対方向に第1水平給電棒112Aと第2水平給電棒112Bが延びて構成され、第1水平給電棒112Aに第1垂直給電棒113Aが結合され、第2水平給電棒112Bに第2垂直給電棒113Bが結合される。第1垂直給電棒113Aに第1単位コイル121A、121Bが一定間隔を置いて積層された状態でそれぞれ結合され、第2垂直給電棒113Bに第2単位コイル122A、122Bが一定間隔を置いて積層された状態でそれぞれ結合されることができる。
【0092】
本発明によれば、水平給電棒112は、共通給電ノード111から互いに異なる方向に分岐した第1水平給電棒112A、第2水平給電棒112B、及び第3水平給電棒112を含み、垂直給電棒113は、第1水平給電棒112Aに結合された第1垂直給電棒113A、第2水平給電棒112Bに結合された第2垂直給電棒113B、及び第3水平給電棒112Cに結合された第3垂直給電棒113Cを含み、コイル部材120は、第1垂直給電棒113Aに結合された第1コイル部材121、第2垂直給電棒113Bに結合された第2コイル部材122、及び第3垂直給電棒113Cに結合された第3コイル部材123を含むことができる。
【0093】
図9及び
図10に示すように、共通給電ノード111からそれぞれ120度の夾角をもって第1水平給電棒112A、第2水平給電棒112B、第3水平給電棒112Cが延びて構成され、第1水平給電棒112Aに第1垂直給電棒113Aが結合され、第2水平給電棒112Bに第2垂直給電棒113Bが結合され、第3水平給電棒112Cに第3垂直給電棒113Cが結合される。第1垂直給電棒113Aに第1単位コイル121A、121Bが一定間隔を置いて積層された状態でそれぞれ結合され、第2垂直給電棒113Bに第2単位コイル122A、122Bが一定間隔を置いて積層された状態でそれぞれ結合され、第3垂直給電棒113Cに第3単位コイル123A、123Bが一定間隔を置いて積層された状態でそれぞれ結合される。
【0094】
内側コイル部材300の場合、
図13のようなTMI(Twisted Multi-Layer Inductor)アンテナが適用されることもできる。
図13は、内側コイル部材として使用できるTMIアンテナの構造を示す。TMIアンテナ構造は、韓国特許第10-1125624号に説明される。
【0095】
本発明によれば、内側コイル部材300は、互いに並列に連結され且つ重畳配置された同じ構造の2つの誘導アンテナ301を含むことができる。誘導アンテナ301は、第1層の第1象限及び第2象限にわたって配置された外側上部セクション310と、外側上部セクション310に連結され、第1層の第3象限及び第4象限にわたって配置された内側上部セクション312と、内側上部セクション312に連結され、第1層の下部に配置された第2層の第1象限及び第2象限にわたって配置された内側下部セクション322と、内側下部セクション322に連結され、第2層の第3象限及び第4象限にわたって配置された外側下部セクション320と、を含む。外側上部セクション310の一端は給電ラインに連結され、外側下部セクション320の他端は接地ラインに連結される。
【0096】
一方、内側コイル部材300は、外側コイル部材100と同様に一定間隔を置いて垂直に積層された複数の単位コイルを含むことができる。
【0097】
【0098】
本発明に係る電力供給装置1は、RF信号を生成するRF電源部2と、RF電源部2に連結されたインピーダンスマッチング部4と、RF信号からプラズマを形成するアンテナ構造体10と、を含む。アンテナ構造体10は、プラズマ処理チャンバ40の上側中心部に設置された内側コイル部材300と、内側コイル部材300の外側に配置される外側コイル部材100と、を含むことができる。外側コイル部材100は、RF信号が印加され、共通給電ノードから等角に配置された複数の給電ライン110と、給電ライン110のそれぞれから一定間隔を置いて分岐して垂直に積層された複数の単位コイルと、を含むことができる。
【0099】
一定間隔を置いて垂直に積層された複数の単位コイルを含む外側コイル部材100を含むことができる。
【0100】
プラズマを用いたエッチング装置において、ウエハの全領域に対して均一なエッチング率を達成するために、内側コイル部材300と外側コイル部材100とを含むアンテナ構造体10が使用できる。一般にウエハの中心部よりも外郭部でエッチング率が低下するため、外郭部のエッチング率をより精密に制御する必要があり、精密なエッチング率制御のために内側コイル部材300と外側コイル部材100を構成することができる。内側コイル部材300と比較して、ウエハの外郭部は、電流比の調節の際にもエッチング率の変化が少ないため、外側コイル部材100は、より広範囲にエッチング率を制御することができるように構成される必要がある。
【0101】
本発明に係るアンテナ構造体10は、プラズマ処理チャンバ40の上側中心部に設置される内側コイル部材300と、内側コイル部材300の外側に配置され、一定間隔を置いて垂直に積層された複数の単位コイルを含む外側コイル部材100と、を含むことができる。前述したように、単位コイルが積層された形状の外側コイル部材100を適用することにより、ウエハの外郭部に対してより広範囲なエッチング率の制御が可能である。
【0102】
外側コイル部材100の単位コイルは、同じスパイラル状に提供されることができる。
【0103】
ここで、単位コイルは、一端が給電ライン110に連結され、他端は接地ライン130に連結されることができる。
【0104】
本発明によれば、外側コイル部材100の給電ライン110は、RF信号が印加される共通給電ノード111と、共通給電ノード111に結合され、水平方向に延びる水平給電棒112と、水平給電棒112に結合されて垂直方向に延び、単位コイル120A、120Bが積層されて結合される垂直給電棒113と、を含むことができる。
【0105】
図3に示すように、1つの給電ライン110に積層された多数のスパイラル状の単位コイル120A、120Bが連結され、単位コイル120A、120Bに同時にRF信号が印加されて給電されることができる。
【0106】
本発明によれば、
図6及び
図7に示すように、外側コイル部材100の水平給電棒112は、共通給電ノード111から互いに反対方向に分岐した第1水平給電棒112A及び第2水平給電棒112Bを含み、垂直給電棒113は、第1水平給電棒112Aに結合された第1垂直給電棒113A、及び第2水平給電棒112Bに結合された第2垂直給電棒113Bを含み、コイル部材120は、第1垂直給電棒113Aに結合された第1コイル部材121、及び第2垂直給電棒113Bに結合された第2コイル部材122を含むことができる。
【0107】
図6及び
図7に示すように、共通給電ノード111から互いに反対方向に第1水平給電棒112Aと第2水平給電棒112Bが延びて構成され、第1水平給電棒112Aに第1垂直給電棒113Aが結合され、第2水平給電棒112Bに第2垂直給電棒113Bが結合される。第1垂直給電棒113Aに第1単位コイル121A、121Bが一定間隔を置いて積層された状態でそれぞれ結合され、第2垂直給電棒113Bに第2単位コイル122A、122Bが一定間隔を置いて積層された状態でそれぞれ結合されることができる。
【0108】
本発明によれば、
図9及び
図10に示すように、水平給電棒112は、共通給電ノード111から互いに異なる方向に分岐した第1水平給電棒112A、第2水平給電棒112B、及び第3水平給電棒112Cを含み、垂直給電棒113は、第1水平給電棒112Aに結合された第1垂直給電棒113A、第2水平給電棒112Bに結合された第2垂直給電棒113B、及び第3水平給電棒112Cに結合された第3垂直給電棒113Cを含み、コイル部材120は、第1垂直給電棒113Aに結合された第1コイル部材121、第2垂直給電棒113Bに結合された第2コイル部材122、及び第3垂直給電棒113Cに結合された第3コイル部材123を含むことができる。
【0109】
図9及び
図10に示すように、共通給電ノード111からそれぞれ120度の夾角をもって第1水平給電棒112A、第2水平給電棒112B及び第3水平給電棒112Cが延びて構成され、第1水平給電棒112Aに第1垂直給電棒113Aが結合され、第2水平給電棒112Bに第2垂直給電棒113Bが結合され、第3水平給電棒112Cに第3垂直給電棒113Cが結合される。第1垂直給電棒113Aに第1単位コイル121A、121Bが一定間隔を置いて積層された状態でそれぞれ結合され、第2垂直給電棒113Bに第2単位コイル122A、122Bが一定間隔を置いて積層された状態でそれぞれ結合され、第3垂直給電棒113Cに第3単位コイル123A、123Bが一定間隔を置いて積層された状態でそれぞれ結合される。
【0110】
内側コイル部材300は、
図13のようなTMI(Twisted Multi-Layer Inductor)アンテナが適用されることもできる。
図13は、内側コイル部材として使用できるTMIアンテナの構造を示す。TMIアンテナ構造は、韓国特許第10-1125624号に詳細に説明される。
【0111】
本発明によれば、内側コイル部材300は、互いに並列に連結され且つ重畳配置された同じ構造の2つの誘導アンテナ301を含むことができる。誘導アンテナ301は、第1層の第1象限及び第2象限にわたって配置された外側上部セクション310、外側上部セクション310に連結され、第1層の第3象限及び第4象限にわたって配置された内側上部セクション312、内側上部セクション312に連結され、第1層の下部に配置された第2層の第1象限及び第2象限にわたって配置された内側下部セクション322、及び内側下部セクション322に連結され、第2層の第3象限及び第4象限にわたって配置された外側下部セクション320を含む。外側上部セクション310の一端は給電ラインに連結され、外側下部セクション320の他端は接地ラインに連結される。
【0112】
一方、内側コイル部材300は、外側コイル部材100と同様に、一定間隔を置いて垂直に積層された複数の単位コイルを含むことができる。
【0113】
図15は、多重独立電源及びデカップリング回路を含む電力供給装置1が適用されたプラズマ処理設備1000を示し、
図16は、多重独立電源及びデカップリング回路を含む電力供給装置1の回路を示す。
【0114】
プラズマ処理設備1000は、工程条件に応じてプロセスガス、温度、圧力などを変更しながら工程を行うが、最近、高いレベルの積層構造が要求されることにより、それぞれの工程ステップごとにプラズマ状態変化が発生する。プラズマ状態変化は、プラズマ処理チャンバ内でのインピーダンス変化を引き起こし、インピーダンス変化によるインピーダンスミスマッチング(不整合)が発生する可能性がある。したがって、電力供給装置1は、このようなインピーダンスミスマッチングを最小限に抑えるためにインピーダンスマッチングを行うが、特に工程効率を増大させるために迅速なインピーダンスマッチングが要求される。
【0115】
本発明の一実施形態による電力供給装置1において、RF電源部2は、第1RF信号を生成する第1RF電源2Aと、第1RF信号と同一又は基準範囲内の周波数を有する第2RF信号を生成する第2RF電源2Bと、を含み、インピーダンスマッチング部4は、第1RF電源2Aに連結された第1マッチング回路4Aと、第2RF電源2Bに連結された第2マッチング回路4Bと、を含む。
【0116】
図15及び
図16のように並列的な独立電力供給装置1を構成することにより、プラズマ負荷PLに全体パワーを分散させて供給するため、各マッチング回路4A、4Bの電圧及び電流動作領域を下げることができ、マッチング回路4A、4Bのインピーダンス変化を最小限に抑えることができる。動作領域とインピーダンス変化を減らすことにより、より高速のインピーダンスマッチングが可能であろう。
【0117】
一方、電力供給装置1は、インピーダンスマッチング部4とアンテナ構造体10との間に連結されたデカップリング回路6をさらに含むことができる。
【0118】
デカップリング回路6は、第1マッチング回路4Aと外側コイル部材100との間に連結された第1デカップリングインダクタL1と、第2マッチング回路4Bと内側コイル部材300との間に連結され、第1デカップリングインダクタL1と相互に磁気結合される第2デカップリングインダクタL2と、第1マッチング回路4A及び第2マッチング回路4Bに連結されたデカップリングキャパシタC3と、を含む。
【0119】
一方、
図15に示すように、アンテナ構造体10によってプラズマ処理チャンバ40の内部空間にプラズマPが形成され、プラズマPによって、静電チャック410の上部に安着されたウエハWに対する工程処理(エッチング工程)が行われる。一方、プラズマ処理チャンバ40の上部には、チャンバ領域とアンテナ領域を区分するための誘電体からなるウィンドウ420が備えられる。
【0120】
図16を参照すると、第1RF電源2Aに連結され且つ可変キャパシタC
P1、C
S1を含む第1マッチング回路4Aと外側コイル部材100との間に第1デカップリングインダクタL
1が連結され、第2RF電源2Bに連結され且つ可変キャパシタC
P2、C
S2を含む第2マッチング回路4Bと内側コイル部材300との間に第2デカップリングインダクタL
2が連結される。デカップリング回路6のインピーダンスチューニングのために、第1マッチング回路4Aと第2マッチング回路4BにデカップリングキャパシタC
3が連結されることができる。
【0121】
デカップリング回路6は、独立した電力供給回路間のクロストーク(Cross-Talk)を相殺するように設計されることができる。デカップリング回路6によるデカップリング原理は、
図17の等価回路を参照して説明することができる。
【0122】
図17は、デカップリング部による干渉除去を説明するための電力供給装置1の等価回路である。
【0123】
図17において、R
1、X
1は、第1RF電源2Aに連結された電力伝達回路(第1マッチング回路4A、外側コイル部材100)の抵抗、リアクタンス成分を示し、R
2、X
2は、第2RF電源2Bに連結された電力伝達回路(第2マッチング回路4B、内側コイル部材300)の抵抗、リアクタンス成分を示し、X
1Dは、デカップリング回路6の付加により、第1RF電源2Aに連結された電力伝達回路に付加されるリアクタンスを示し、X
2Dは、デカップリング回路6の付加により、第2RF電源2Bに連結された電力伝達回路に付加されるリアクタンスを示す。
【0124】
このとき、電力供給装置1の等価回路において第1RF電源2Aに連結された電力伝達回路の負荷と、デカップリングリアクティブ素子全体に印加される電力P1は、下記数式11の通りである。
【0125】
【0126】
ここで、追加されるデカップリング回路6のデカップリングリアクティブ素子は、下記数式12のような条件を満たすように設計される。
【0127】
【0128】
数式11及び数式12中、R1、X1は、第1RF信号が印加される第1電力供給部の等価回路におけるインピーダンス成分(抵抗、リアクタンス)を示し、R2、X2は、第2RF信号が印加される第2電力供給部の等価回路におけるインピーダンス成分(抵抗、リアクタンス)を示し、kは、電力伝達回路(アンテナ)間の結合により発生する第1電力供給部の等価回路と第2電力供給部20の等価回路との結合係数を示し、k’は、デカップリング回路6における誘導性リアクティブ素子(第1デカップリングインダクタL1及び第2デカップリングインダクタL2)間の結合によって発生する第1電力供給部の等価回路においてデカップリング回路6によって付加されたリアクタンスと、第2電力供給部の等価回路においてデカップリング回路6によって付加されたリアクタンスとの結合係数を示し、X1Dは、第1電力供給部の等価回路においてデカップリング回路6によって付加されたリアクタンスを示し、X2Dは、第2電力供給部の等価回路においてデカップリング回路6によって付加されたリアクタンスを示す。
【0129】
図16のようなリアクティブ素子からなるデカップリング回路6が追加されると、使用周波数の領域に低い結合係数が現れる。使用周波数に等しい又は5%の範囲以内の近接周波数で一定レベル以下の結合係数が導出されることができる。
【0130】
一方、単一電源によって内側コイル部材300と外側コイル部材100に電力が供給されることができる。
【0131】
図18は、単一電源を含む電力供給装置1が適用されたプラズマ処理設備1000を示す。
【0132】
本発明に係るプラズマ処理設備1000は、ウエハWに対する工程処理を行うプラズマ処理チャンバ40と、プラズマ処理チャンバ40にプラズマを形成するための電力を供給する電力供給装置1と、を含む。
【0133】
本発明に係るプラズマ処理設備1000の電力供給装置1は、RF信号を生成するRF電源部2と、RF電源部2に連結されたインピーダンスマッチング部4と、RF信号からプラズマを形成するアンテナ構造体10と、を含む。アンテナ構造体10は、プラズマ処理チャンバ40の上側中心部に設置された内側コイル部材300と、内側コイル部材300の外側に配置され、一定間隔を置いて垂直に積層された複数の単位コイルを含む外側コイル部材100を含むことができる。
【0134】
一方、電力供給装置1は、RF電源部2によって生成されたRF信号を内側コイル部材300と外側コイル部材100に分配するスプリッタ7をさらに含むことができる。
図18に示すように、RF電源部2によって生成されたRF信号は、インピーダンスマッチング部4を介してスプリッタ7へ提供される。スプリッタ7は、内側コイル部材300と外側コイル部材100へ提供される電力を分配することができる。スプリッタ7は、インダクタ又はキャパシタなどのリアクタンス素子で構成されることができる。スプリッタ7は、内側コイル部材300と外側コイル部材100にそれぞれ連結され、内側コイル部材300と外側コイル部材100のスプリッタ7によって分配されたRF信号からプラズマPを形成することができる。
【0135】
一方、
図18に示すように、アンテナ構造体10によってプラズマ処理チャンバ40の内部空間にプラズマPが形成され、プラズマPによって、静電チャック410の上部に安着されたウエハWに対する工程処理(エッチング工程)が行われる。一方、プラズマ処理チャンバ40の上部には、チャンバ領域とアンテナ領域を区分するための誘電体からなるウィンドウ420が備えられる。
【0136】
図19は、アンテナ構造体10の外側コイル部材100のターン数、及びアンテナ構造体10とプラズマとの距離条件に対するプラズマチャンバ内の半径方向の磁場シミュレーション結果である。
【0137】
アンテナ外側コイルのターン数による効果、及びアンテナとプラズマ間の距離に対する効果を同時に確認するために、4つの場合についてのシミュレーションを行った。アンテナ外側コイルのターン数条件は、内側コイルのターン数と同じ4ターンの場合と、6ターンの場合に対する比較を行った。また、2つの外側コイルターン数条件に対して上/下コイルの間隔を10mmと20mmに変更して、上側コイルとプラズマとの距離の変化による磁場変化を確認した。4つの条件に対して同一に、チャンバ内のプラズマの密度は1014m-3に設定し、給電条件は内側コイル部材300及び外側コイル部材100に13.56MHz周波数の正弦波電流を50A、100Aで同一に印加した。
【0138】
アンテナ構造体10とプラズマとの間隔が20mmから10mmに減少する場合に対して、外側コイル部材100の4ターン及び6ターン条件の両方で約10A/mレベルのチャンバ内磁場増加が確認される。これは、アンテナ構造体10とプラズマとの間隔の減少による相互インダクタンス増加効果をよく示す。
【0139】
外側コイル部材100のターン数が4ターンから6ターンに増加すると、アンテナ構造体10とプラズマとの間隔が10mm、20mmである場合のいずれも、40A/mレベルの全般的な磁場増加を示す。また、半径方向の磁場の分布変化を考察すると、300mmウエハの外郭である0.14m付近で磁場の増加幅が最も大きいことを確認することができる。
【0140】
図20は、外側コイル部材100のターン数条件による磁場強度の分布に対するシミュレーション結果である。
図20の(a)は、外側コイル部材100のターン数が4ターンであり、アンテナ構造体10とプラズマとの間隔が10mmである場合の磁場強度分布を示し、
図20の(b)は、外側コイル部材100のターン数が6ターンであり、アンテナ構造体10とプラズマとの間隔が10mmである場合の磁場強度分布を示す。
【0141】
外側コイル部材100のターン数が増加すると、内側コイル部材300の周辺の磁場分布は、前後にほぼ同じレベルを維持するのに対し、外側コイル部材100の周辺の磁場分布は、6ターン条件で大きく増加することを確認することができ、プラズマチャンバ内の磁場強度も一緒に増加する。このようなウエハの外郭領域における磁場強度の増加は、同時給電方式を用いて外側コイルのターン数が増加するとき、半径方向のエッチング率の散布を改善することができることを示す。
【0142】
本実施形態及び本明細書に添付された図面は、本発明に含まれる技術的思想の一部を明確に示しているものに過ぎず、本発明の明細書及び図面に含まれている技術的思想の範囲内で当業者が容易に類推することが可能な変形例及び具体的な実施形態はいずれも、本発明の権利範囲に含まれることが自明であるといえる。
【0143】
したがって、本発明の思想は、説明された実施形態に限定されてはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、この特許請求の範囲と均等又は等価的な変形がある全てのものは、本発明の思想の範疇に属するというべきである。
【符号の説明】
【0144】
1000 プラズマ処理設備
1 電力供給装置
40 プラズマ処理チャンバ
10 アンテナ構造体
100 外側コイル部材
110 給電ライン
120 コイル部材
130 接地ライン
300 内側コイル部材
2 RF電源部
4 インピーダンスマッチング部