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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】血液処理フィルター
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/02 20060101AFI20240319BHJP
   B01J 20/28 20060101ALI20240319BHJP
   B01D 15/00 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
A61M1/02 107
B01J20/28 Z
B01D15/00 101B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022504380
(86)(22)【出願日】2021-03-02
(86)【国際出願番号】 JP2021007838
(87)【国際公開番号】W WO2021177272
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2022-06-28
(31)【優先権主張番号】P 2020036663
(32)【優先日】2020-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】507365204
【氏名又は名称】旭化成メディカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】吉田 揚子
(72)【発明者】
【氏名】中村 和彦
(72)【発明者】
【氏名】横溝 朋久
【審査官】小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/006574(WO,A1)
【文献】特開2007-244858(JP,A)
【文献】特開2002-291875(JP,A)
【文献】特開2007-252463(JP,A)
【文献】特開平04-329965(JP,A)
【文献】特開2016-112251(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/02
A61M 1/34
B01J 20/28
B01D 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液の入口部及び出口部を有する容器と、
前記容器内の、前記入口部と前記出口部との間に配置された濾材と、
を含む血液処理フィルターであって、
前記濾材がフィルター要素を含み、
前記濾材の平均厚みが7~12mmであり、
前記濾材の厚みの標準偏差が0.30~0.80mmであ
前記濾材が、複数の前記フィルター要素が積層された構造を有する、
前記血液処理フィルター。
【請求項2】
前記濾材の厚みの標準偏差が0.40~0.70mmである、請求項1に記載の血液処理フィルター。
【請求項3】
前記容器が、前記入口部を有する入口部側容器材と、前記出口部を有する出口部側容器材と、からなり、
前記入口部側容器材と前記出口部側容器材とが、その周縁部にて、前記濾材を挟んだ状態で溶着されており、
前記溶着部の厚みが1.2mm~1.8mmである、請求項1又は2に記載の血液処理フィルター。
【請求項4】
前記濾材の平均厚みが8~11mmである、請求項1~3のいずれか一項に記載の血液処理フィルター。
【請求項5】
前記フィルター要素の嵩密度が0.14~0.30g/cm3である、請求項1~4のいずれか一項に記載の血液処理フィルター。
【請求項6】
前記フィルター要素の嵩密度が0.18~0.30g/cm3である、請求項1~5のいずれか一項に記載の血液処理フィルター。
【請求項7】
前記フィルター要素の平均厚みが0.38~0.50mmである、請求項1~6のいずれか一項に記載の血液処理フィルター。
【請求項8】
前記濾材の有効濾過面積が40~50cm2である、請求項1~7のいずれか一項に記載の血液処理フィルター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液処理フィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
赤血球製剤、血小板製剤、血漿製剤等の血液成分製剤の原料としては、ドナーから採血された全血が使用されるところ、全血には、種々の輸血副作用の原因となる微小凝集物や白血球等の好ましくない成分が含まれる。そのため、一般に、採血後や血液成分製剤の使用の前に、好ましくない成分の除去が行われる。
【0003】
全血や血液成分製剤から白血球等の好ましくない成分を除去する方法としては、操作が簡便であること、コストが安いこと等から、不織布等の繊維集合体や連続気孔を有する多孔構造体等からなる濾材を含む血液処理フィルターを用いるフィルター法が普及している。
【0004】
フィルター法による白血球除去の機構は、主として濾材表面と接触した白血球が、濾材表面に粘着又は吸着されることによると考えられている。したがって、白血球除去能力を高めるために、濾材と白血球との接触頻度を高めること、具体的には、濾材を構成する繊維の繊維径や多孔構造体の細孔径を小さくしたり、嵩密度を高めたりすること等により、濾材単位体積当たりの表面積を増やして白血球除去能を高めることが行われている(特許文献1)。しかし、これらの方法では、白血球除去能を高くすることはできるものの、それに伴って、血液を処理するときの濾材による圧力損失が大きくなるため、流速が低下し、濾過時間が長くなってしまう。
【0005】
圧力損失を軽減する手段としては、濾材に表面改質や表面加工等を施して、濾材の血液濡れ性を改良することが検討されている(特許文献2)。しかしながら、この方法では、圧力損失軽減による濾過時間延長は抑制できるが、白血球除去能を良好に保つことが難しい。
【0006】
ところで、冷蔵された血液(以下「冷蔵血」という。)から好ましくない成分を除去しようとする場合、冷蔵血はその粘度が上昇していることから、濾過の流速が遅くなり、濾材に白血球が吸着しやすくなる傾向にある。また、保管の間に冷蔵血中に凝集物が生じ、これが濾材の流路を塞いで濾過速度が遅くなってしまうことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平2-203909号公報
【文献】特開2007-50013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の問題に鑑み、本発明は濾過速度に優れた血液処理フィルターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等が鋭意検討した結果、厚みにばらつきのある濾材を使用することにより、前記課題を解決できることを見出した。
【0010】
本発明は以下の実施形態を含む。
[1]
血液の入口部及び出口部を有する容器と、
前記容器内の、前記入口部と前記出口部との間に配置された濾材と、
を含む血液処理フィルターであって、
前記濾材がフィルター要素を含み、
前記濾材の平均厚みが7~12mmであり、
前記濾材の厚みの標準偏差が0.30~0.80mmである、
前記血液処理フィルター。
[1-1A]
前記フィルター要素の厚みの標準偏差が0.002~0.015mmである、[1]に記載の血液処理フィルター。
[1-1B]
前記フィルター要素の厚みの標準偏差が0.002~0.010mmである、[1]又は[1-1A]に記載の血液処理フィルター。
[1-2A]
前記フィルター要素の目付が45~150g/m2である、[1]~[1-1B]のいずれかに記載の血液処理フィルター。
[1-2B]
前記フィルター要素の目付が53~150g/m2である、[1]~[1-2A]のいずれかに記載の血液処理フィルター。
[1-2C]
前記フィルター要素の目付が68~150g/m2である、[1]~[1-2B]のいずれかに記載の血液処理フィルター。
[1-2D]
前記フィルター要素の目付が85~95g/m2である、[1]~[1-2C]のいずれかに記載の血液処理フィルター。
[2]
前記濾材の厚みの標準偏差が0.40~0.70mmである、[1]~[1-2D]のいずれかに記載の血液処理フィルター。
[3]
前記容器が、前記入口部を有する入口部側容器材と、前記出口部を有する出口部側容器材と、からなり、
前記入口部側容器材と前記出口部側容器材とが、その周縁部にて、前記濾材を挟んだ状態で溶着されており、
前記溶着部の厚みが1.2mm~1.8mmである、[1]~[2]のいずれかに記載の血液処理フィルター。
[3-1]
前記溶着部の厚みが1.3~1.6mmである、[1]~[3]のいずれかに記載の血液処理フィルター。
[4]
前記濾材の平均厚みが8~11mmである、[1]~[3-1]のいずれかに記載の血液処理フィルター。
[4-1]
前記濾材の平均厚みが9~10mmである、[1]~[4]のいずれかに記載の血液処理フィルター。
[5]
前記フィルター要素の嵩密度が0.14~0.30g/cm3である、[1]~[4-1]のいずれかに記載の血液処理フィルター。
[6]
前記フィルター要素の嵩密度が0.18~0.30g/cm3である、[1]~[5]のいずれかに記載の血液処理フィルター。
[7]
前記フィルター要素の平均厚みが0.38~0.50mmである、[1]~[6]のいずれかに記載の血液処理フィルター。
[7-1]
前記フィルター要素の平均厚みが0.40~0.45mmである、[1]~[7]のいずれかに記載の血液処理フィルター。
[8]
前記濾材の有効濾過面積が40~50cm2である、[1]~[7-1]のいずれかに記載の血液処理フィルター。
[8-1]
前記濾材の有効濾過面積が40~45cm2である、[1]~[8]のいずれかに記載の血液処理フィルター。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、濾過速度に優れた血液処理フィルターを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態である血液処理フィルターの模式図である。
図2図1の模式図の断面図である。
図3】本発明の一実施形態である血液処理フィルターの断面図(厚み方向の断面)である。容器内に、複数のフィルター要素がたわんだ状態で存在し、各フィルター要素の間に空隙が不均一に存在していることが示されている。
図4】濾材の平均厚み、及び厚みの標準偏差の測定に使用する部分を示す。
図5】実施例における試験に使用した実験装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0014】
以下、特に明記しない限り、「血液」の用語には、血液及び血液成分含有液体が含まれるものとする。血液成分含有液体としては、例えば、血液製剤が挙げられる。血液製剤としては、例えば、全血製剤、赤血球製剤、血小板製剤、及び血漿製剤が挙げられる。
【0015】
<血液処理フィルター>
本発明の一実施形態は、血液の入口部及び出口部を有する容器と、前記容器内の、前記入口部と前記出口部との間に配置された濾材と、を含む血液処理フィルターであって、前記濾材がフィルター要素を含み、前記濾材の平均厚みが7~12mmであり、前記濾材の厚みの標準偏差が0.30~0.80mmである、前記血液処理フィルターに関する。
【0016】
本実施形態の血液処理フィルターは、厚みにばらつきのある濾材を含んでおり、前記ばらつきは、厚みの標準偏差で表現されている。厚みにばらつきのある濾材を使用することにより、優れた濾過速度を達成することができる。このような効果が得られる理由としては、例えば、厚みにばらつきが生じることにより、血液が流れる流路が確保されることが想定されるが、本発明はこのような想定メカニズムによって限定されるものではない。
【0017】
本実施形態の血液処理フィルターにおいて、濾材は、容器の入口部から入った血液が出口部から出るまでの間に前記濾材を通過すように配置されていればよい。
【0018】
図1は、本実施形態の血液処理フィルターの一例を示す模式図であり、図2は、図1のII-II線断面図である。図1及び図2に示すように、血液処理フィルター10は、扁平型の容器1と、その内部に収容された濾材4とを含む。濾材4を収容する容器1は、入口部2を有する入口部側容器材と、出口部3を有する出口部側容器材とから構成される。扁平型の容器1内の空間は、濾材4によって、入口部側の空間5と出口部側の空間6とに仕切られている。血液処理フィルター1においては、入口部側容器材と出口部側容器材が濾材4を挟んで配置されており、2つの容器材が、各々の一部に設けられた把持部で濾材4の外縁部(周縁部)を把持している。把持部としては溶着部等であってもよい。
【0019】
[容器]
本実施形態の血液処理フィルターの容器は、未処理血液の入口部と、処理済血液の出口部とを有する。容器は特に限定されず、一般的な血液処理フィルターに使用される容器を採用することができる。
【0020】
容器の形状は特に限定されず、濾材の形状に応じた形状にすればよい。例えば、濾材が平板状の場合には、その形状に合わせて、容器を、多角形(例えば、四角形及び六角形)、円形、楕円形等とすることができる。また、濾材が円筒状の場合には、容器も同様に円筒状とすることができる。
【0021】
容器の材料は特に限定されず、一般的な血液処理フィルターの容器に使用される材料を採用することができる。例えば、容器の材料として、可撓性樹脂及び硬質性樹脂を挙げることができる。
【0022】
可撓性樹脂としては、例えば、軟質ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン及びポリプロピレン)、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体の水添物、スチレン-イソプレン-スチレン共重合体又はその水添物等が挙げられる。
【0023】
硬質性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、尿素樹脂、ケイ素樹脂、ABS樹脂、ナイロン、ポリウレタン、ポリカーボネート、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、スチレン-ブタジエン共重合体等が挙げられる。
【0024】
[濾材]
本実施形態の血液処理フィルターの濾材の平均厚みは、7~12mmであり、好ましくは8~11mmで、より好ましくは9~10mmである。濾材の平均厚みを前記範囲内とすることにより、白血球除去性能を向上させることができる。濾材の平均厚みは、例えば、濾材を構成するフィルター要素の数及び厚みを変更することにより、適宜調整することができる。濾材の平均厚みは、実施例に記載の方法により測定することができる。
【0025】
本実施形態の血液処理フィルターの濾材の厚みの標準偏差は、0.30~0.80mmであり、好ましくは0.40~0.70mmである。標準偏差を前記範囲内とすることにより、血液ロス量とのバランスが良くなり、濾過速度も向上させることができる。以下の想定メカニズムによって本発明が限定されるものではないが、標準偏差を0.30mm以上とすることによって、濾材の厚みのばらつきが大きくなり、血液が流れる流路が新たに形成され、濾過速度が向上すると想定される。また、標準偏差を0.80mm以下とすることによって、流路が大きくなり過ぎることによる濾過効率の低下が回避されると想定される。濾材の厚みの標準偏差は、実施例に記載の方法により測定することができる。
【0026】
白血球除去血漿製剤調製においては、好ましくは室温下または冷蔵下にて保存された全血を採血後72時間以内、更に好ましくは48時間以内、特に好ましくは24時間以内、最も好ましくは12時間以内に遠心分離を行うことができる。好ましくは室温下または冷蔵下にて保存された血漿製剤から採血後120時間以内、更に好ましくは72時間以内、特に好ましくは24時間以内、最も好ましくは12時間以内に室温下または冷蔵下にて血液処理フィルターFを用いて白血球を除去することにより白血球除去血漿製剤を得ることができる。保存後白血球除去の場合、好ましくは室温下または冷蔵下または冷凍下にて保存された血漿製剤から使用前24時間以内に血液処理フィルターFを用いて白血球を除去することにより白血球除去血漿製剤を得ることができる。特に、欧州と日本においては、保存前白血球除去後の血漿製剤をそれぞれ採血後24時間以内または8時間以内に調製しなければ、FFP(新鮮凍結血漿)として使用することができない。濾過時間が延長して規定の時間を超えてしまった場合には、原料血漿などの別用途に使用せざるを得ず、作業効率を大幅に低下してしまう。従って、濾過時間を適正に完了させることが作業効率をよくするためにも重要である。
【0027】
また、適度に流路が確保されることにより、血液処理フィルター内に血液が残留することなく血液回収量を向上させることにも効果を発揮する。
輸血市場で現在行われる白血球ろ過の回数は年間5000万回といわれる。かりに、フィルター内の血液ロス量が35mLである全血用のフィルターに対して、新型フィルターにより0.1mLの全血ロス量の削減に成功した場合に、年間採血回数の1/10、つまり500万回実施したケースにおいて、年間の全血ロス削減量は以下のようになる。
1/10000(L)×500×10000=500L
わずか0.1mLの血液ロス削減でも、年間採血回数が多く、かつ血液製剤の調製システムが完成されている先進国市場(例えば日本、欧州)では、莫大な血液回収量のロスを生むことが自明である。
【0028】
濾材の厚みの標準偏差は、例えば、フィルター要素の目付を変更することにより、適宜調節することができる。より具体的に説明すると、高目付のフィルター要素のみを積層した濾材を、入口部側容器材と出口部側容器材とで挟み、これらの外縁部で、濾材と2つの容器材とを溶着すると、濾材の厚みの標準偏差が大きくなる傾向にある。逆に、低目付のフィルター要素を少なくとも一部に使用すると、濾材の厚みの標準偏差が小さくなる傾向にある。このような相違が生じる理由としては、高目付のフィルター要素は、低目付のフィルター要素よりも張りがあるため、容器材と溶着するとたわみが発生し、このたわみが濾材の厚みにばらつきを生じさせると想定される。低目付フィルター要素を使用する場合には、濾材に張りを持たせる為のプリーツ加工やエンボス加工に加え、加工したフィルター要素を積層し、入口部側容器材と出口部側容器材とで挟み、これらの外縁部で濾材と2つの容器材とを溶着すると、濾材の厚みの標準偏差が大きくなる傾向にある。
【0029】
フィルター要素の目付を変更せずに濾材の厚みの標準偏差を調節することもできる。通常、容器は、入口部を有する入口部側容器材と、出口部を有する出口部側容器材とからなり、前記入口部側容器材と前記出口部側容器材とが、その周縁部にて、濾材を挟んだ状態で溶着されている。ここで、溶着条件を変更することによって、たわみを調整し、濾材の厚みの標準偏差を調節することができる。高周波溶着機を用いる場合においては、高周波を発振する際、溶着電流や溶着時間を調整する事でたわみの大きさを制御できる。溶着条件は、目的とする標準偏差に応じて適宜調整すればよい。溶着部の強弱を判断する指標としては、例えば溶着部厚みがある。溶着部厚みが厚くなれば、溶着は弱く、溶着部厚みが薄くなれば、溶着は強くなる傾向にある。通常、溶着部厚みは1.2~1.8mmであればフィルターとしての機能を十分果たし、より好ましくは、1.3~1.6mmである。
【0030】
また、濾材の厚みの標準偏差は、濾材を小さめの型枠などにはめ込み、たるませた状態で溶着するなどの方法、フィルター要素間にスペーサーを挟み込む方法などで調節することもできる。
【0031】
なお、濾材の厚みの標準偏差を調節する際、容器にたわみが生じていないことが好ましい。すなわち、血液処理フィルターは全体として湾曲していないことが好ましい。
一例として、容器が、入口部を有する入口部側容器材と、出口部を有する出口部側容器材とからなり、前記入口部側容器材と前記出口部側容器材とが、その周縁部にて、濾材を挟んだ状態で溶着されており、血液処理フィルターの厚み方向に直交する任意の方向(以下「第1の方向」という。)と交差する2点の溶着部を結ぶ線上の全ての位置に血液処理フィルターが存在しており、第1の方向に直交する第2の方向と交差する2点の溶着部を結ぶ線上の全ての位置に血液処理フィルターが存在していることが好ましい。
例えば、図2は血液処理フィルターを長手方向で切断した断面であり、図3は血液処理フィルターを短手方向で切断した断面であるが、長手方向を第1の方向とした場合、これに直交する短手方向が第2の方向となる。図2では、長手方向(第1の方向)と交差する上側の溶着部と下側の溶着部を結ぶ線上の全ての位置に血液処理フィルターが存在し、図3では、短手方向(第2の方向)と交差する左側の溶着部と右側の溶着部を結ぶ線上の全ての位置に血液処理フィルターが存在しているため、血液処理フィルターは全体として湾曲していない。
【0032】
本実施形態の血液処理フィルターの濾材の有効濾過面積は、40~50cm2であり、好ましくは40~45cm2である。有効濾過面積とは、濾過に使用される実際の面積である。濾材の有効濾過面積を前記範囲内とすることにより、濾過速度、白血球除去性能、及び血液回収率を向上させることができる。濾材の有効濾過面積は、例えば、濾材を構成するフィルター要素の数、比表面積、単位面積あたりの質量等を変更することにより、適宜調整することができる。濾材の有効濾過面積は、実施例に記載の方法により測定することができる。
【0033】
[フィルター要素]
濾材は、複数のフィルター要素が積層された構造を有していることが好ましい。積層されるフィルター要素の数は特に限定されず、濾材の目的の厚みに応じて適宜決定すればよい。濾材が複数のフィルター要素を含む場合、各フィルター要素は同一のものであってもよいし、異なるものであってもよい。
【0034】
フィルター要素の平均厚みは、好ましくは0.38~0.50mmであり、より好ましくは0.40~0.45mmである。フィルター要素の平均厚みを前記範囲内とすることにより、血液回収率を向上させることができる。フィルター要素の平均厚みは、実施例に記載の方法により測定することができる。
【0035】
フィルター要素の厚みは、ばらつきが少ないことが好ましい。例えば、フィルター要素の厚みの標準偏差は、好ましくは0.002~0.015mmであり、より好ましくは0.002~0.010mmである。フィルター要素の厚みの標準偏差は、実施例に記載の方法により測定することができる。
【0036】
厚みのばらつきの少ないフィルター要素を積層して構成された濾材であるにも関わらず、その厚みのばらつきが大きくなる理由としては、例えば、各フィルター要素の間に空隙が不均一に存在していることが挙げられる。すなわち、大きな空隙が存在している場所では濾材が厚くなるのに対し、空隙が少ない場所では濾材が薄くなる。これによって、濾材の厚みにばらつきが生じる。空隙は血液の流路として機能し得るため、濾過速度の向上に寄与する。
【0037】
フィルター要素の嵩密度は、好ましくは0.14~0.30g/cm3であり、より好ましくは0.18~0.30g/cm3である。フィルター要素の嵩密度を前記範囲内とすることにより、白血球除去性能を向上させることができる。フィルター要素の嵩密度は、実施例に記載の方法により測定することができる。
【0038】
フィルター要素の形態は、血液処理に適したものであれば特に限定されない。例えば、フィルター要素の形態として、織布、不織布、多孔膜等が挙げられる。
【0039】
フィルター要素の材料は、血液に悪影響を与えるものでなければ特に限定されない。例えば、フィルター要素の材料として、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリメチルメタアクリレート、ポリ弗化ビニル、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリスルホン、ポリ弗化ビニリデン、ポリトリフルオロクロロビニル、弗化ビニリデン-テトラフルオロエチレン共重合体、ポリエーテルスルホン、ポリアクリレート、ブタジエン-アクリロニトリル共重合体、ポリエーテル-ポリアミドブロック共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、セルロース、セルロースアセテート等が挙げられる。
【0040】
フィルター要素が不織布の場合、不織布の厚みや嵩密度は、不織布の製造時の条件を調整することにより、任意に調整することができる。これらのような不織布の繊維構造の調整が容易な不織布の製造方法の一例として、メルトブロー法が挙げられ、樹脂粘度、溶融温度、単孔あたりの吐出量、加熱気体温度、加熱気体圧力、紡口と集積ネットの距離等の紡糸因子を検討することにより、所望の厚みや嵩密度を有する不織布を得ることができる。なお、適切な厚みや嵩密度を有するフィルター材(不織布)の製造方法として、公知情報(例えば、非特許文献:「不織布の基礎と応用」 P.119-127、平成5年8月25日発行、社団法人 日本繊維機械協会等)を基本に上記技術思想と製造プロセスの選択肢を参酌することで適切な製造条件を決定できる。
【0041】
本実施形態において、例えば、メルトブロー法において、下記条件を調整することにより、異なる嵩密度や厚みを有するポリブチレンテレフタレート(PBT)不織布を得ることができる。メルトブロー法における紡糸条件としては、メルトブローダイ紡口数、単孔吐出量、加熱エアー量等が挙げられ、これらは任意に設定することができる。
メルトブローダイ紡口数は、通常5hole/cm以上30hole/cm以下に設定すればよい。
単孔吐出量は、通常0.12g/(min・hole)以上0.20g/(min・hole)以下に設定すればよい。
加熱エアー量は、通常100Nm3/hr以上400Nm3/hr以下に設定すればよい。
【0042】
フィルター要素の目付は、特に限定されないが、好ましくは45~150g/m2であり、より好ましくは53~150g/m2であり、更に好ましくは68~150g/m2であり、特に好ましくは85~95g/m2である。濾材に含まれる全てのフィルター要素の目付が前記範囲内であることが好ましい。フィルター要素の目付を前記範囲内とすることにより、白血球除去性能を向上させることができる。
【0043】
[用途]
本実施形態の血液処理フィルターは、血液を処理するために使用することができる。「処理」とは、血液から好ましくない成分(例えば白血球)を除去することを意味する。特に限定するものではないが、本実施形態の血液処理フィルターは、冷蔵血の処理に特に適している。上述のとおり、冷蔵血を濾過する場合には濾過速度が遅くなる傾向にあるが、本実施形態の血液処理フィルターを使用することにより、冷蔵血であっても速やかに処理することが可能になる。
【0044】
<血液処理フィルターの製造方法>
前記血液処理フィルターの製造方法は、濾材の厚みにばらつきが生じるように実施すればよく、特に限定されない。濾材の厚みにばらつきを生じさせる方法としては、例えば、高目付のフィルター要素を積層させた濾材を、入口部側容器材と出口部側容器材とで挟み、これらの外縁部で、濾材と2つの容器材とを溶着することが挙げられる。高目付のフィルター要素は、形成された容器内でたわんだ形状となりやすく、これによって、各フィルター要素の間に空隙が不均一に生じ、濾材の厚みにばらつきが生じる(例えば、図3を参照)。
【0045】
濾材の厚みにばらつきを生じさせる別の方法としては、前記[濾材]の項目で説明した方法等を挙げることができる。
【実施例
【0046】
以下、実施例及び比較例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれに限定されるものではない。
【0047】
<測定法>
[濾材の平均厚み]
血液処理フィルター(製品)の接合部(溶着部)内側のハウジングを取り除き、濾材を露出させる。図4に示すように、濾材11の中心で交差する2本の中心線(実線)を描き、各中心線から溶着部12内側までを等分する4本の線(点線)を中心線の両側に平行に描き、これらの線が交差した9点における厚みを、厚み計(型番:SM-114、メーカー:TECLOCK)を用いて3.2N/cm2の測定力で測定し、その平均を濾材の平均厚みとした。(前記厚み計の取扱説明書によると、測定対象物に2.5Nかかるとの記載があり、厚み計が不織布と接触する面積(直径1cmの円)は0.785cm2であることから、測定力は2.5N/0.785cm2=3.2N/cm2としている。)
【0048】
[濾材の厚みの標準偏差]
前記[濾材の平均厚み]の項目で測定した、9点における厚みから標準偏差を決定した。本測定方法では、濾材の厚みの標準偏差を少なくとも小数第2位まで正確に測定することができる。
【0049】
[フィルター要素の平均厚み]
フィルター要素から、5cm×20cmのサイズの試料を11枚切り出し、これを厚み計(型番:ID-C112、メーカー:Mitutoyo)を用い各枚1点測定し、その平均をフィルター要素の平均厚みとした。
【0050】
[フィルター要素の厚みの標準偏差]
上記[フィルター要素の平均厚み]の項目で測定した、11点における厚みから標準偏差を決定した。
【0051】
[フィルター要素の嵩密度]
フィルター要素の嵩密度(g/cm3)=フィルター要素の目付(g/m2)/フィルター要素の平均厚み(mm)/1000
【0052】
[フィルター要素の目付]
フィルター要素から、5cm×20cmのサイズの試料を切り出し、これを天秤(型番:XP205、メーカー:METTLER TOLEDO)に載せ、その質量を測定した。得られた値から、以下の式にしたがって、フィルター要素の目付を算出した。
目付=フィルター要素の質量(g)÷フィルター要素の面積(m2
【0053】
[溶着部の平均厚み]
マイクロメーター(メーカー:Mitutoyo、型式:331-261)で溶着部の各辺の中央部を測定し、円形の場合は等間隔で4点を測定し、その平均値をフランジ溶着部厚みとした。
【0054】
[濾材の有効濾過面積]
濾材と可撓性シートの周縁部分を溶着し、溶着部の内側のろ材面積をろ材の有効ろ過面積とした。
【0055】
<試験方法>
[濾過時間]
下述の[残存白血球数]の試験において、赤血球製剤を血液処理フィルターに流し始めてから濾過後赤血球製剤の回収バッグの質量増加が停止するまでに要した時間(分)を濾過時間(分)とした。なお、回収バッグの質量増加の停止とは、回収バッグの質量を濾過開始から1分毎に測定し、回収バッグの質量変化が0.1g以下となった時点をさす。本実施例では、質量増加の停止と判断した最終の1分は濾過時間に含んで算出した。
評価基準を以下のとおりとした。
[評価基準]
A:濾過時間が25分未満であり、ろ過時間の短縮化に優れる。
B:濾過時間が25分超過30分以下であり、濾過時間の短縮化が良好である。
C:濾過時間が30分超過であり、濾過時間の短縮化に優れていない。
【0056】
[残存白血球数]
血液製剤として欧州基準(the Guide to the Preparation, Use and Quality Assurance of Blood Components第19版(2017年))にしたがって調製された赤血球製剤を用い、これを落差110cmの自然落差で実施例、比較例の血液処理フィルターを用いて濾過、回収し、濾過後血液製剤を得た。ここで、落差とは、図5に示されるように、赤血球製剤の入った濾過前バッグの最下部から赤血球製剤の濾過後回収バッグの最下部(図5の例では天秤の天板まで)とした。
次いで、以下の計算式に従い、濾過後残存白血球数を算出した。
濾過後残存白血球数=log(濾過後血液製剤中の白血球濃度×濾過後血液製剤の量)
なお、濾過前後の血液製剤中の白血球濃度の測定は、べクトンデッキンソン社(BD社)製白血球数測定用キット「LeucoCOUNT」及びBD社製フローサイトメーター FACS CantoIIを使用して行った。
評価基準を以下のとおりとした。
[評価基準]
A:残存白血球数が5.0未満であり、白血球除去能に優れる。
B:残存白血球数が5.0以上5.5未満であり、白血球除去能が良好である。
C:残存白血球数が5.5以上であり、白血球除去能が低い。
【0057】
[血液ロス量]
上述の[残存白血球数]の試験において、濾過終了後の血液処理フィルターの重量(g)を測定し、濾過前のフィルター重量(g)を差し引いて血液ロス量を算出した。
[評価基準]
A:血液ロス量が28ml未満であり、血液回収率に優れる。
B:血液ロス量が28ml以上30ml未満であり、血液回収率が良好である。
C:血液ロス量が30ml以上であり、血液回収率が低い。
【0058】
<血液処理フィルターの製造>
[実施例1]
フィルター要素の厚みが0.42(mm)、フィルター要素の嵩密度が0.21(g/cm3)、フィルター要素の目付が88.2(g/m2)の不織布を用いて23枚積層し、レーザーカッターを用いて91mm×74mmのサイズに切断して濾材を作成した。
この濾材を、血液の入口部又は出口部となるポートを有する2枚の可撓性ポリ塩化ビニル樹脂シートの間に挟み、高周波溶着機を用いて、濾材と可撓性シートの周縁部分を溶着、一体化させた。なお、溶着部の内側は、縦の寸法が74mm、横の寸法が57mmであって、角部分が曲線である長方形の有効濾過部分であり、有効濾過面積は42cm2であった。有効濾過部の、濾材の厚みは8.00mmで、標準偏差は0.30mmだった。
さらに可撓性シートの周縁部分を溶着、一体化させ、溶着部厚み1.45mmの血液処理フィルターを作製した。該血液処理フィルターに対して115℃、59分間高圧蒸気滅菌を実施した後、前述の各種試験を行った。
【0059】
[実施例2]
フィルター要素の積層枚数を2枚増やし、濾材と可撓性シートの周縁部分の溶着条件を変更したこと以外は実施例1と同様に血液処理フィルターを製造した。濾材の厚みは9.60mmであり、標準偏差は0.43mm、溶着部厚みは1.45mmであった。
【0060】
[実施例3]
フィルター要素の積層枚数を4枚増やし、濾材と可撓性シートの周縁部分の溶着条件を変更したこと以外は実施例1と同様に血液処理フィルターを製造した。濾材の厚みは11.00mmであり、標準偏差は0.80mm、溶着部厚みは1.30mmであった。
【0061】
[実施例4]
フィルター要素の嵩密度を0.16(g/cm3)、目付を67.2(g/m2)としたこと以外は、実施例2と同様の濾材を作製した。高周波溶着機を用いて、濾材と可撓性シートの周縁部分を溶着する際に、濾材を91mm×73.9mmの型枠に入れて、濾材と可撓性シートの周縁部分を溶着、一体化させた。濾材の厚みは9.60mm、標準偏差は0.43mm、溶着部厚みは1.45mmであった。
【0062】
[実施例5]
フィルター要素の嵩密度を0.12(g/cm3)、目付を50.4(g/m2)としたこと以外は、実施例2と同様の濾材を作製した。この濾材を高周波溶着機を用いて、濾材と可撓性シートの周縁部分を溶着する際に、レーザー切断した濾材を91mm×73.8mmの型枠に入れて、濾材と可撓性シートの周縁部分を溶着、一体化させた。濾材の厚みは9.60mm、標準偏差は0.43mm、溶着部厚みは1.45mmであった。
【0063】
[実施例6]
厚みが0.35(mm)、目付が73.5(g/m2)のフィルター要素を用い、積層枚数を3枚増やしたこと以外は実施例2と同様に血液処理フィルターを製造した。濾材の厚みは9.60mmであり、標準偏差は0.43mm、溶着部厚みは1.45mmであった。
【0064】
[実施例7]
厚みが0.55(mm)、目付が115.5(g/m2)のフィルター要素を用い、積層枚数を3枚減らしたこと以外は実施例2と同様に血液処理フィルターを製造した。濾材の厚みは9.60mmであり、標準偏差は0.43mm、溶着部厚みは1.45mmであった。
【0065】
[実施例8]
有効濾過面積を35cm2としたこと以外は、実施例2と同様に血液処理フィルターを製造した。濾材の厚みは9.60mmであり、標準偏差は0.43mm、溶着部厚みは1.45mmであった。
【0066】
[実施例9]
有効濾過面積を55cm2としたこと以外は、実施例2と同様に血液処理フィルターを製造した。濾材の厚みは9.60mmであり、標準偏差は0.43mm、溶着部厚みは1.45mmであった。
【0067】
[実施例10]
嵩密度が0.18(g/cm3)、厚みが0.25(mm)、目付が45(g/m2)の、プリーツ加工がされたフィルター要素を用い、積層枚数を10枚増やしたこと以外は実施例2と同様に血液処理フィルターを製造した。濾材の厚みは8.00mmであり、標準偏差は0.30mm、溶着部厚みは1.50mmであった。
【0068】
[実施例11]
実施例1と同様に濾材を製造した。濾材と可撓性シートの周縁部分を、実施例5と同様に溶着し一体化させた。濾材の厚みは8.00mmであり、標準偏差は0.35mm、溶着部厚みは1.45mmであった。
【0069】
[実施例12]
実施例2と同様に濾材を製造した。濾材と可撓性シートの周縁部分を、実施例5と同様に溶着し一体化させた。濾材の厚みは9.60mmであり、標準偏差は0.50mm、溶着部厚みは1.40mmであった。
【0070】
[実施例13]
実施例2と同様に濾材を製造した。高周波溶着機を用いて、濾材と可撓性シートの周縁部分を溶着する際に、濾材を91mm×73.5mmの型枠に入れて、濾材と可撓性シートの周縁部分を溶着、一体化させた。濾材の厚みは9.60mmであり、標準偏差は0.70mm、溶着部厚みは1.30mmであった。
【0071】
[実施例14]
フィルター要素の嵩密度を0.18(g/cm3)、目付を75.6(g/m2)としたこと以外は、実施例5と同様に血液処理フィルターを製造した。濾材の厚みは9.60mmであり、標準偏差は0.43mm、溶着部厚みは1.45mmであった。
【0072】
[実施例15]
フィルター要素の嵩密度を0.28(g/cm3)、目付を117.6(g/m2)としたこと以外は、実施例2と同様に血液処理フィルターを製造した。濾材の厚みは9.60mmであり、標準偏差は0.43mm、溶着部厚みは1.45mmであった。
【0073】
[実施例16]
厚みが0.50(mm)、目付が105.0(g/m2)のフィルター要素を用い、積層枚数を1枚減らしたこと以外は実施例1と同様に血液処理フィルターを製造した。濾材の厚みは9.60mmであり、標準偏差は0.43mm、溶着部厚みは1.45mmであった。
【0074】
[実施例17]
実施例1と同様に血液処理フィルターを製造した。濾材の厚みは9.60mmであり、標準偏差は0.35mm、溶着部厚みは1.50mmであった。
【0075】
[実施例18]
厚みが0.38(mm)、目付が79.8(g/m2)のフィルター要素を用いたこと以外は、実施例1と同様に血液処理フィルターを製造した。濾材の厚みは7.00mmであり、標準偏差は0.30mm、溶着部厚みは1.45mmであった。
【0076】
[実施例19]
厚みが0.50(mm)、目付が105.0(g/m2)のフィルター要素を用い、積層枚数を3枚減らしたこと以外は実施例2と同様に血液処理フィルターを製造した。濾材の厚みは12.00mmであり、標準偏差は0.70mm、溶着部厚み1.40mmであった。
【0077】
[比較例1]
濾材と可撓性シートの周縁部分の溶着条件を変更したこと以外は実施例2と同様に血液処理フィルターを製造した。濾材の厚みは9.60mmであり、標準偏差は0.26mm、溶着部厚みは1.85mmであった。
【0078】
[比較例2]
濾材と可撓性シートの周縁部分の溶着条件を変更したこと以外は実施例2と同様に血液処理フィルターを製造した。濾材の厚みは9.60mmであり、標準偏差は0.85mm、溶着部厚みは1.20mmであった。
【0079】
[比較例3]
比較例1と同様の溶着条件を採用したこと以外は実施例4と同様に血液処理フィルターを製造した。濾材の厚みは9.60mmであり、標準偏差は0.26mm、溶着部厚みは1.85mmであった。
【0080】
[比較例4]
嵩密度が0.32(g/cm3)、目付が134.4(g/m2)のフィルター要素を用いたこと以外は、比較例1と同様に血液処理フィルターを製造した。濾材の厚みは9.60mmであり、標準偏差は0.26mm、溶着部厚みは1.85mmであった。
【0081】
[比較例5]
実施例6と同様の濾材を用いたこと以外は、比較例1と同様に血液処理フィルターを製造した。濾材の厚みは9.60mmであり、標準偏差は0.26mm、溶着部厚みは1.85mmであった。
【0082】
[比較例6]
実施例7と同様の濾材を用いたこと以外は、比較例1と同様に血液処理フィルターを製造した。濾材の厚みは9.60mmであり、標準偏差は0.26mm、溶着部厚みは1.85mmであった。
【0083】
[比較例7]
実施例8と同様の濾材を用いたこと以外は、比較例1と同様に血液処理フィルターを製造した。濾材の厚みは9.60mmであり、標準偏差は0.26mm、溶着部厚みは1.85mmであった。
【0084】
[比較例8]
実施例9と同様の濾材を用いたこと以外は、比較例1と同様に血液処理フィルターを製造した。 濾材の厚みは9.60mmであり、標準偏差は0.26mm、溶着部厚みは1.85mmであった。
【0085】
[比較例9]
実施例1と同様の濾材を用いたこと以外は、比較例1と同様に血液処理フィルターを製造した。 濾材の厚みは8.00mmであり、標準偏差は0.18mm、溶着部厚みは1.85mmであった。
【0086】
[比較例10]
フィルター要素の嵩密度が0.21(g/cm3)、目付が88.2(g/m2)のフィルター要素2枚と、フィルター要素の嵩密度が0.21(g/cm3)、目付が42.0(g/m2)のフィルター要素26枚を積層したこと以外は、実施例2と同様に血液処理フィルターを製造した。 濾材の厚みは9.60mmであり、標準偏差は0.20mm、溶着部厚みは1.45mmであった。
【0087】
上記実施例及び比較例で製造した血液処理フィルターの構成及び性能を表1に示す。
【表1】
【符号の説明】
【0088】
1…容器、2…入口部、3…出口部、4…濾材、5…入口部側空間、6…出口部側空間、610…血液処理フィルター、11…濾材、12…溶着部
図1
図2
図3
図4
図5