(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】リモートノードとの光通信の装置及び方法
(51)【国際特許分類】
H04B 10/112 20130101AFI20240319BHJP
H04B 10/073 20130101ALI20240319BHJP
H04B 10/075 20130101ALI20240319BHJP
H04B 10/61 20130101ALI20240319BHJP
【FI】
H04B10/112
H04B10/073
H04B10/075
H04B10/61
(21)【出願番号】P 2022527946
(86)(22)【出願日】2020-11-09
(86)【国際出願番号】 US2020059622
(87)【国際公開番号】W WO2021096789
(87)【国際公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-05-30
(32)【優先日】2019-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519350591
【氏名又は名称】アナログ フォトニクス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ホセイニ、 エーサン シャー
(72)【発明者】
【氏名】ワッツ、 マイケル ロバート
【審査官】鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0346565(US,A1)
【文献】国際公開第2018/095751(WO,A1)
【文献】特開昭62-195942(JP,A)
【文献】特開平10-261996(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0076473(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0052378(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0267250(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/112
H04B 10/073
H04B 10/075
H04B 10/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リモートノードとの光通信の装置であって、
前記リモートノードから少なくとも一つの光ビームの少なくとも一部分を受信するべく構成される受信器モジュールと、
前記リモートノードに少なくとも一つの光ビームを送信するべく構成される送信器モジュールと
を含み、
前記受信器モジュールは、
少なくとも一アレイの光検出器モジュールと、
前記少なくとも一アレイの光検出器モジュールを制御して前記少なくとも一アレイの光検出器モジュールのうち一以上からの一以上の信号に基づいて強度情報を与えるべく構成される回路と
、
光を(1)前記少なくとも一アレイの光検出器モジュールに、又は(2)前記少なくとも一アレイの光検出モジュールに近接するマイクロレンズアレイに、近接するように合焦させるべく構成される少なくとも一つのレンズと
を含み、
前記少なくとも一アレイの光検出器モジュールは、前記少なくとも一つのレンズの焦点面と正確には一致せず、
前記マイクロレンズアレイは、前記少なくとも一つのレンズの焦点面と正確には一致せず、
前記送信器モジュールは、
前記リモートノードに送信される光ビームを与える少なくとも一つの光フェーズドアレイと、
前記リモートノードから前記強度情報を受信し、前記リモートノードから受信した前記強度情報に基づいて前記リモートノードに送信される光ビームを操舵するように前記光フェーズドアレイを制御するべく構成される回路と
を含む、装置。
【請求項2】
前記少なくとも一アレイの光検出器モジュールは2次元アレイのフォトダイオードを含み、
各フォトダイオードは、対応する光電流を、対応する増幅器に与える、請求項1の装置。
【請求項3】
前記フォトダイオードはアバランシェフォトダイオードを含み、前記増幅器はトランスインピーダンス増幅器を含む、請求項2の装置。
【請求項4】
前記受信器モジュールの前記回路は、前記対応する増幅器における前記光電流をしきい値と比較することに少なくとも部分的に基づいてパワー供給される増幅器のすべてよりは少ないサブセットを決定するように構成される、請求項2の装置。
【請求項5】
前記受信器モジュールの前記回路は、前記光ビームの少なくとも一部分を受信している前記フォトダイオードの第1サブセットと、他の光ビームの少なくとも一部分を受信している前記フォトダイオードの第2サブセットとを決定するように構成される、請求項2の装置。
【請求項6】
前記受信器モジュールはさらに、前記光ビームをコヒーレントに受信するためのコヒーレントローカル振動子ビームを与える光源を含む、請求項1の装置。
【請求項7】
前記光源は、複数の光ビームを同時にコヒーレントに受信するための複数のコヒーレントローカル振動子ビームを与える、請求項6の装置。
【請求項8】
前記リモートノードからの前記強度情報は、前記リモートノードとの自由空間光通信リンクとは別個のサイドチャネルネットワークを経由して前記送信器モジュールの前記回路によって、少なくとも前記自由空間光通信リンクのセットアップ中に受信される、請求項1の装置。
【請求項9】
前記リモートノードからの付加的な強度情報が、前記自由空間光通信リンクのセットアップ後に前記自由空間光通信リンクを経由して、前記光フェーズドアレイを制御する前記送信器モジュールの前記回路によって受信される、請求項8の装置。
【請求項10】
前記
少なくとも一つのレンズは、
光を前記少なくとも一アレイの光検出器モジュールに近接する
ように合焦させるべく構成される、請求項1の装置。
【請求項11】
前記
少なくとも一つのレンズは、光を前記マイクロレンズアレイに近接するように合焦させるべく構成され
る、請求項
1の装置。
【請求項12】
前記マイクロレンズアレイと前記
少なくとも一つのレンズとの間の距離は、前記
少なくとも一つのレンズの焦点距離よりも少なくとも5%だけ大きいか又は小さい、請求項11の装置。
【請求項13】
(1)前記少なくとも一アレイの光検出器モジュール
と前記少なくとも一つのレンズ
との間の距離は、前記少なくとも一つのレンズの焦点距離よりも少なくとも5%だけ大きいか又は小さく、又は(2)前記マイクロレンズアレイと前記少なくとも一つのレンズとの間の距離は、前記少なくとも一つのレンズの焦点距離よりも少なくとも5%だけ大きいか又は小さい、請求項1の装置。
【請求項14】
前記少なくとも一アレイの光検出器モジュールと前記
少なくとも一つのレンズとの間の距離は、前記
少なくとも一つのレンズの焦点距離よりも少なくとも5%だけ大きいか又は小さい、請求項
10の装置。
【請求項15】
前記少なくとも一アレイの光検出器モジュールは、光集積回路に一アレイの光検出器を含む、請求項1の装置。
【請求項16】
前記光フェーズドアレイは、2次元アレイの光エミッタを含み、
各光エミッタは対応する光フェーズシフタに結合され、
前記光フェーズシフタに適用される移相信号はそれぞれが、少なくとも第1平面内で前記リモートノードに送信される前記光ビームの伝搬軸の操舵を制御する、請求項1の装置。
【請求項17】
前記光フェーズシフタに適用される移相信号はそれぞれが、前記第1平面に直交する第2平面内で前記リモートノードに送信される前記光ビームの伝搬軸の操舵を制御する、請求項16の装置。
【請求項18】
前記光エミッタから放出される光波の波長チューニングにより、前記第1平面に直交する第2平面内で前記リモートノードに送信される光ビームの伝搬軸の操舵が制御される、請求項16の装置。
【請求項19】
リモートノードとの光通信の方法であって、
送信器モジュールが前記リモートノードに少なくとも一つの光ビームを送信することと、
受信器モジュールが前記リモートノードから少なくとも一つの光ビームの少なくとも一部分を受信することと、
前記受信器モジュールが、前記リモートノードから受信される光ビームの前記一部分を検出する一アレイの光検出モジュールにおける一以上の光検出器モジュールからの一以上の信号に基づいて強度情報を与えることと、
前記受信器モジュールが、光を一のレンズによって(1)前記少なくとも一アレイの光検出器モジュールに、又は(2)前記少なくとも一アレイの光検出モジュールに近接するマイクロレンズアレイに、近接するように合焦させることと、
前記送信器モジュールが、前記リモートノードから受信される前記強度情報に基づいて前記リモートノードに送信される光ビームを操舵するように少なくとも一つの光フェーズドアレイを制御することと
を含
み、
前記少なくとも一アレイの光検出器モジュールは、前記一のレンズの焦点面と正確には一致せず、
前記マイクロレンズアレイは、前記一のレンズの焦点面と正確には一致しない、方法。
【請求項20】
前記リモートノードからの前記強度情報は、前記リモートノードとの自由空間光通信リンクとは別個のサイドチャネルネットワークを経由して前記送信器モジュールによって、少なくとも前記自由空間光通信リンクのセットアップ中に受信される、請求項
19の方法。
【請求項21】
リモートノードとの光通信の装置であって、
前記リモートノードから少なくとも一つの光ビームの少なくとも一部分を受信するべく構成される受信器モジュールと、
前記リモートノードに少なくとも一つの光ビームを送信するべく構成される送信器モジュールと
を含み、
前記受信器モジュールは、
少なくとも一アレイの光検出器モジュールと、
前記少なくとも一アレイの光検出器モジュールに近接するマイクロレンズアレイと、
光を前記マイクロレンズアレイに近接するように合焦させるべく構成される少なくとも一つのレンズと、
前記少なくとも一アレイの光検出器モジュールを制御して前記少なくとも一アレイの光検出器モジュールのうち一以上からの一以上の信号に基づいて強度情報を与えるべく構成される回路と
を含み、
前記送信器モジュールは、
前記リモートノードに送信される光ビームを与える少なくとも一つの光フェーズドアレイと、
前記リモートノードから前記強度情報を受信し、前記リモートノードから受信した前記強度情報に基づいて前記リモートノードに送信される光ビームを操舵するように前記光フェーズドアレイを制御するべく構成される回路と
を含む、装置。
【請求項22】
前記少なくとも一アレイの光検出器モジュールは2次元アレイのフォトダイオードを含み、
各フォトダイオードは、対応する光電流を、対応する増幅器に与える、請求項21の装置。
【請求項23】
前記フォトダイオードはアバランシェフォトダイオードを含み、前記増幅器はトランスインピーダンス増幅器を含む、請求項22の装置。
【請求項24】
前記受信器モジュールの前記回路は、前記対応する増幅器における前記光電流をしきい値と比較することに少なくとも部分的に基づいてパワー供給される増幅器のすべてよりは少ないサブセットを決定するように構成される、請求項22の装置。
【請求項25】
前記受信器モジュールの前記回路は、前記光ビームの少なくとも一部分を受信している前記フォトダイオードの第1サブセットと、他の光ビームの少なくとも一部分を受信している前記フォトダイオードの第2サブセットとを決定するように構成される、請求項22の装置。
【請求項26】
前記受信器モジュールはさらに、前記光ビームをコヒーレントに受信するためのコヒーレントローカル振動子ビームを与える光源を含む、請求項21の装置。
【請求項27】
前記光源は、複数の光ビームを同時にコヒーレントに受信するための複数のコヒーレントローカル振動子ビームを与える、請求項26の装置。
【請求項28】
前記リモートノードからの前記強度情報は、前記リモートノードとの自由空間光通信リンクとは別個のサイドチャネルネットワークを経由して前記送信器モジュールの前記回路によって、少なくとも前記自由空間光通信リンクのセットアップ中に受信される、請求項21の装置。
【請求項29】
前記リモートノードからの付加的な強度情報が、前記自由空間光通信リンクのセットアップ後に前記自由空間光通信リンクを経由して、前記光フェーズドアレイを制御する前記送信器モジュールの前記回路によって受信される、請求項28の装置。
【請求項30】
前記マイクロレンズアレイと前記少なくとも一つのレンズとの間の距離は、前記少なくとも一つのレンズの焦点距離よりも少なくとも5%だけ大きいか又は小さい、請求項21の装置。
【請求項31】
前記少なくとも一アレイの光検出器モジュールは、光集積回路に一アレイの光検出器を含む、請求項21の装置。
【請求項32】
前記光フェーズドアレイは、2次元アレイの光エミッタを含み、
各光エミッタは対応する光フェーズシフタに結合され、
前記光フェーズシフタに適用される移相信号はそれぞれが、少なくとも第1平面内で前記リモートノードに送信される前記光ビームの伝搬軸の操舵を制御する、請求項21の装置。
【請求項33】
前記光フェーズシフタに適用される移相信号はそれぞれが、前記第1平面に直交する第2平面内で前記リモートノードに送信される前記光ビームの伝搬軸の操舵を制御する、請求項32の装置。
【請求項34】
前記光エミッタから放出される光波の波長チューニングにより、前記第1平面に直交する第2平面内で前記リモートノードに送信される光ビームの伝搬軸の操舵が制御される、請求項32の装置。
【請求項35】
リモートノードとの光通信の方法であって、
送信器モジュールが前記リモートノードに少なくとも一つの光ビームを送信することと、
受信器モジュールが前記リモートノードから少なくとも一つの光ビームの少なくとも一部分を受信することと、
前記受信器モジュールが、前記リモートノードから受信される光ビームの前記一部分を検出する一アレイの光検出モジュールにおける一以上の光検出器モジュールからの一以上の信号に基づいて強度情報を与えることと、
前記受信器モジュールが、前記光ビームの光を前記一アレイの光検出モジュールに近接するマイクロレンズアレイによって合焦させることと、
前記受信器モジュールが、前記光ビームの光を前記マイクロレンズアレイに近接する少なくとも一つのレンズによって合焦させることと、
前記送信器モジュールが、前記リモートノードから受信される前記強度情報に基づいて前記リモートノードに送信される光ビームを操舵するように少なくとも一つの光フェーズドアレイを制御することと
を含む、方法。
【請求項36】
前記リモートノードからの前記強度情報は、前記リモートノードとの自由空間光通信リンクとは別個のサイドチャネルネットワークを経由して前記送信器モジュールによって、少なくとも前記自由空間光通信リンクのセットアップ中に受信される、請求項35の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2019年11月14日に出願された「アレイベースの自由空間光通信リンク」との名称の米国仮出願第62/935,471号の優先権及び利益を主張する。
【0002】
本開示は、アレイベースの自由空間光通信リンクに関する。
【背景技術】
【0003】
いくつかの自由空間光(Free-Space Optical(FSO))通信リンクが、2地点間通信のために配列される光学素子とともに動作する。例えば、2地点間通信リンクを経由して互いに通信している2つのノードそれぞれが、一方のノードの送信開口から他方のノードの受信開口までそれぞれの光ビームを向けるための比較的大きなレンズを含む望遠鏡配列を使用する。かかるFSO通信リンクは潜在的に、ミスアラインメント、振動、及びシンチレーションのような障害に対して敏感である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2018/0120440号明細書
【文献】米国特許出願公開第2018/0267250号明細書
【文献】米国特許出願公開第2006/0076473号明細書
【文献】米国特許出願公開第2016/0309065号明細書
【文献】米国特許出願公開第2004/0033004号明細書
【発明の概要】
【0005】
一側面において、一般に、リモートノードとの光通信のための装置が、当該リモートノードからの少なくとも一つの光ビームの少なくとも一部分を受信するべく構成される受信器モジュールと、少なくとも一つの光ビームを当該リモートノードに送信するべく構成される送信器モジュールとを含み、当該受信器モジュールは、少なくとも一アレイの光検出器モジュールと、当該光検出器モジュールの一つ以上からの一つ以上の信号に基づいて当該光検出器モジュールを制御して強度情報を与えるべく構成される回路とを含み、当該送信器モジュールは、当該リモートノードに送信される光ビームを与える少なくとも一つの光フェーズドアレイと、当該リモートノードに送信される光ビームを操舵するべく当該光フェーズドアレイを制御するために当該リモートノードから強度情報を受信するように構成される回路とを含む。
【0006】
他側面において、一般に、リモートノードとの光通信のための方法が、少なくとも一つの光ビームを当該リモートノードに送信することと、当該リモートノードから少なくとも一つの光ビームの少なくとも一部分を受信することと、当該リモートノードから受信される光ビームの当該一部分を検出する一アレイの光検出器モジュールにおける一つ以上の光検出器モジュールからの一つ以上の信号に基づいて強度情報を与えることと、当該リモートノードから受信される当該強度情報に基づいて当該リモートノードに送信される光ビームを操舵するべく少なくとも一つの光フェーズドアレイを制御することとを含む。
【0007】
複数の側面が、以下の特徴の一つ以上を含み得る。
【0008】
一アレイの光検出器モジュールは、2次元アレイのフォトダイオードを含み、各フォトダイオードはその光電流を対応する増幅器へと与える。
【0009】
フォトダイオードはアバランシェフォトダイオードを含み、増幅器はトランスインピーダンス増幅器を含む。
【0010】
受信器モジュールの回路は、対応する増幅器における光電流をしきい値と比較することに少なくとも部分的に基づいてパワー供給される増幅器のすべてよりは少ないサブセットを決定するように構成される。
【0011】
受信器モジュールの回路は、当該光ビームの少なくとも一部分を受信しているフォトダイオードの第1サブセットと、他の光ビームの少なくとも一部分を受信しているフォトダイオードの第2サブセットとを決定するように構成される。
【0012】
受信器モジュールはさらに、光ビームをコヒーレントに受信するためのコヒーレントローカル振動子ビームを与える光源を含む。
【0013】
光源は、多数の光ビームを同時にコヒーレントに受信するための多数のコヒーレントローカル振動子ビームを与える。
【0014】
リモートノードからの強度情報は、当該リモートノードとの自由空間光通信リンクとは別個のサイドチャネルネットワークを経由して送信器モジュールの回路によって、少なくとも当該自由空間光通信リンクのセットアップ中に受信される。
【0015】
リモートノードからの付加的な強度情報が、自由空間光通信リンクのセットアップ後に当該自由空間光通信リンクを経由して、光フェーズドアレイを制御する送信器モジュールの回路によって受信される。
【0016】
受信器モジュールはさらに、一アレイの光検出器モジュールに近接するマイクロレンズアレイを含む。
【0017】
受信器モジュールはさらに、光をマイクロレンズアレイに近接するように合焦させるべく構成される少なくとも一つのレンズを含む。
【0018】
マイクロレンズアレイと当該レンズとの間の距離は、レンズの焦点距離よりも少なくとも5%だけ大きいか又は小さい。
【0019】
受信器モジュールはさらに、光を一アレイの光検出器モジュールに近接するように合焦させるべく構成される少なくとも一つのレンズを含む。
【0020】
一アレイの光検出器モジュールと当該レンズとの間の距離は、レンズの焦点距離よりも少なくとも5%だけ大きいか又は小さい。
【0021】
一アレイの光検出器モジュールは、光集積回路に一アレイの光検出器を含む。
【0022】
光フェーズドアレイは、2次元アレイの光エミッタを含み、各光エミッタは対応する光フェーズシフタに結合され、光フェーズシフタに適用される移相信号はそれぞれが、少なくとも第1平面内でリモートノードに送信される光ビームの伝搬軸の操舵を制御する。
【0023】
光フェーズシフタに適用される移相信号はそれぞれが、第1平面に直交する第2平面内でリモートノードに送信される光ビームの伝搬軸の操舵を制御する。
【0024】
光エミッタから放出される光波の波長チューニングにより、第1平面に直交する第2平面内でリモートノードに送信される光ビームの伝搬軸の操舵が制御される。
【0025】
複数の側面が、以下の利点のうち一つ以上を有し得る。
【0026】
ここに記載される通信システムのいくつかの実装例において、送信器モジュールは、送信開口からの光を動的に操舵することができ、受信器モジュールは、受信開口からの光を収集して、当該リンクを経由して通信されるデータと動的操舵のために使用される強度情報とを回復させることができる。いくつかの実装例において、送信器モジュールは、動的操舵のために光フェーズドアレイ(OPA)(例えば光チップに集積されるOPA)を使用し、受信器モジュールは高速検出器アレイシステムを使用する。かかる動的なアラインメントは、例えば、ミスアラインメント、振動、及びシンチレーションのような潜在的な障害のいくつかに対して鈍感な高速光通信システムを与えるのに有用となり得る。いくつかの実装例において、システムの複数部分が、動く送信器(Tx)及び受信器(Rx)プラットフォーム上に取り付けられる。これにより、システムの動的アラインメントがさらに容易になる。
【0027】
以下の記載から、並びに図面及び特許請求の範囲から、他の特徴及び利点が明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本開示は、添付図面と併せて読むと、以下の詳細な説明から最もよく理解される。一般的な慣行により図面の様々な特徴が縮尺通りではないことが強調される。逆に、様々な特徴部の寸法は、わかりやすくするべく任意に拡大又は縮小される。
【0029】
【
図4A】マイクロレンズエミッタ配列の側面視の模式図である。
【
図4B】マイクロレンズエミッタ配列の平面視の模式図である。
【
図5】レンズのための光学的幾何形状の模式図である。
【
図12】検出器アレイにおける受信された強度パターンの図である。
【
図13】マルチビームFSO通信システムの模式図である。
【
図14A-14D】
図14A~14Dは、メッシュネットワーク構成の模式図である。
【
図17】マルチチャネルコヒーレントFSO通信システムの模式図である。
【
図20】例示的な検出器モジュール幾何学形状の模式図である。
【
図21】例示的な検出器モジュール回路の模式図である。
【
図23】例示的な検出器アレイ配列の模式図である。
【
図24】異なる受信ビームのための光強度パターンの一例の模式図である。
【
図25】例示的なFSO通信システムの模式図である。
【
図26】動的ビーム操舵のための例示的な配列の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1Aを参照すると、例示的な通信システムが、高速FSO双方向性通信リンク(又は単に「FSOリンク」)を経由して通信するように構成されるローカルノード100A及びリモートノード100Bを含む。FSOリンクは、通信ノード100Aと通信ノード100Bとの間で双方向に伝送される光ビームを使用する。さらに、サイドチャネル双方向性通信リンク(又は単に「サイドチャネルリンク」)も存在する。サイドチャネルリンクは、いくつかの実装例において、以下に詳述されるように初期アラインメント及び/又は進行中の動的アラインメントを目的として使用される。サイドチャネルリンクは、特に高速である必要はない(例えばFSOリンクと比べて一桁以上遅い)が、相対的に低いレイテンシを与えることができる。例えば、サイドチャネルネットワーク101は、ノード100A及び100Bに特化される2地点間ネットワークを含む様々なタイプのネットワークのいずれかとしてよく、有線媒体(例えば同軸ケーブル)、無線周波数(RF)リンクのような無線媒体、及び/又は光媒体(例えば光ファイバ)のような様々な通信媒体のいずれかを使用することができる。
【0031】
この例において、ローカルノード100Aは、出射ビーム102Aを与えかつ入射ビーム104Aを受信することができる。出射ビーム102Aは、リモートノード100Bの方向の立体角にわたって操舵することができる。ビーム操舵器106は、以下に詳述される光フェーズドアレイを含む出射ビーム102Aを操舵する様々な技法のいずれかを使用するように構成することができる。ローカルノード100Aはまた、入射データストリーム108からのデータを変調して出射ビーム102Aにするように構成される。着信強度フィードバックポート110が、リモートノード102Bによりサイドチャネルネットワーク101を経由して送信された強度情報を与える。サイドチャネルネットワーク101は、出射ビーム102Aを操舵するべくビーム操舵器106によって使用される。ローカルノード100Aはまた検出器アレイ112も含む。検出器アレイ112は、近接して配置された光検出器モジュールの分布を含む。これらの光検出器モジュールの検出信号は、検出エリアの個々のピクセルを代表する。検出器アレイ112、ビーム操舵器106、及びノード100Aにおける他のコンポーネントは、例えばプラットフォーム又は他の剛性構造物によって支持され得る。いくつかの実装例において、リモートノード100Bは、ローカルノード100Aと同じコンポーネントを含む。いくつかの構成手順及びアラインメント手順が、ローカルノード100Aの文脈で記載されるが、実質的に同じ手順もまたリモートノード100Bにおいて行うことができる。
【0032】
一般に、入射ビーム104Aは、一定数のピクセルにわたって広がる入射光強度プロファイルを有する。ローカルノード102Aは、検出器アレイ112の光検出器モジュールを制御するように構成される回路を含み、これにより、リモートノード100Bへの伝送のために出射強度フィードバックポート116からの強度情報を与えることができる。一ノードにおける光検出器モジュールからの強度情報に基づく信号が、大気効果(例えばノード間の空気における乱流に起因する強度シンチレーション)及び/又はノードの一方若しくは双方の動きに起因する複数ピクセルにわたる強度プロファイルのドリフトを補償するべくビームの動的操舵を案内することを目的として、他ノードへと送られる。検出中にどの光検出器モジュールを同時にアクティブにするかを制御することによってパワーを節約することもできる。例えば、一の光検出器モジュールが、2次元アレイのフォトダイオード(例えばアバランシェフォトダイオード)を含み、各フォトダイオードは、その光電流を対応する増幅器(例えばトランスインピーダンス増幅器)へと与える。増幅器は、フォトダイオードの出力がしきい値を上回っているか否かに基づいてパワーを節約するべく適宜オン又はオフにすることができる。
【0033】
ノード100A及び100B間のFSOリンクが初期にセットアップされるとき、粗いアラインメントフェーズ及び細かいアラインメントフェーズを含む初期アラインメント手順が存在する。粗いアラインメントフェーズ中、出射ビーム102Aは、所定の位置情報(例えばGPS座標軸又は他の絶対座標若しくは相対座標)に従って、リモートノード100Bに向けられていると想定されるおおよその方向に向けられる。粗いアラインメントフェーズはオプションとして、ローカルノード100Aにおける望遠鏡からの情報を使用して及び/又はリモートノード100Bに存在する若しくは近接して存在する再帰反射器からの情報を使用して近似的に操舵することも含み得る。出射ビーム102Aが、ノード100A及び100B間で使用されていた従前のFSOリンクからすでに近似的に整合されていれば、粗いアラインメントフェーズを必要としない通信セッションもあり得る。
【0034】
出射ビーム102Aが入射ビーム104Bとしてリモートノード100Bに到達するとき、入射ビーム104Bがリモートノード100Bの検出器アレイに対して適切に配置されることを保証するべく、細かいアラインメントフェーズを使用することができる。いくつかの場合、入射ビーム104Bは、例えば、大気伝搬による吸収若しくは他の障害ゆえに、又はビームの広がりゆえに、出射ビーム104Aからのパワーの一部のみを表し得る。細かいアラインメントフェーズの一部として、リモートノード100Bにおいて強度情報をキャプチャし、サイドチャネルネットワーク101を経由して強度フィードバックポート110に与えることができる。強度情報は、入射ビーム104Bのパワーのうちどれほどがリモートノード100Bの検出器アレイにける光検出器モジュールによって検出されているのかを示す信号品質尺度を含み得る。
【0035】
FSOリンクが動作可能になった後、進行中の動的アラインメントも存在し得る。この動的アラインメントは、リモートノード100Bからのフィードバックとして使用される強度情報に基づいて出射ビーム102Aを操舵し続けるように使用される。例えば、ビームの伝搬方向に影響を与える変化中の大気条件に対する調整のために操舵が必要となる。いくつかの実装例において、FSOリンクが動作可能となった後、双方向のビームの動的アラインメントのために当該ノード間で強度情報を送信するサイドチャネルネットワーク101を使用する代わりに、強度情報は、双方向のデータ通信ストリーム内に埋め込まれた情報として(例えば時間領域又は周波数領域の多重化を使用して)送信され得る。
【0036】
図1B~
図1Eは、通信ノードの代替的な実装の例を示す。
図1Bを参照すると、ノード100Cが、ビームの発散を制限するレンズ120又は他のビーム形成光学素子を含む。当該光学素子によって確実に、リモートノードにおいて入射ビームが相対的に良好に合焦されたままとすることができる。
図1Cを参照すると、ノード100Dが、レンズ開口全体から光を収集するレンズ122又は他のビーム形成光学素子を含む。当該光学素子によって、入射ビーム104Aの少なくとも一部分が、検出器アレイ112の一部分に(例えば一つ又は相対的に少数のピクセルに)合焦される。
図1Dの例において、ノード100Eが、送信器側レンズ120及び受信器側レンズ122の双方を含む。送信器側レンズがないノード100Cに対しては、いくつかの実装例において、大きな視野を達成することができる。受信器側レンズがないノード100Bに対しては、いくつかの実装例において、アラインメント誤差に対して低い感受性を達成することができる。
【0037】
図1Eを参照すると、検出器アレイ112を、受信器側レンズ122に関連付けられる焦点面と正確には一致するわけではない距離に配置することができる。例えば、(例えば相対的に長い距離にわたる伝搬を目的として)実質的にコリメートされた光ビームに対しては、受信器側レンズ122の後の最も狭いスポットサイズは、レンズ122の焦点距離に近くなる。焦点距離よりも遠い(又は焦点距離よりも近い)距離にある検出器アレイ112は、検出器アレイ112に完全に合焦されるわけではないビームをもたらす。このことは、以下に詳述されるように、いくつかの実装例において利益となり得る。焦点ぼけの程度は変わり得るが、いくつかの実装例において、レンズ122と検出器アレイ112との間の距離は、焦点距離よりも少なくとも約5%以上、又は少なくとも約10%以上だけ大きく又は小さくなる。
【0038】
図2を参照すると、ビーム操舵配列200の一例がチューニング可能レーザ202を含む。チューニング可能レーザ202は、入射データストリームからのデータにより(例えば異なる強度レベルにマッピングされた二進データ記号により)、(例えば強度変調を使用して)変調され得る。光はその後、分割器204のネットワークによって、フェーズシフタ206のアレイ及び光エミッタ208のアレイへと分散される。この光フェーズドアレイが、波長及び位相を使用して2つの角度次元において操舵され得る。チューニング可能レーザ202は、その波長(又はその周波数)が、立体角の一の角度寸法にわたって操舵されるようにチューニングされ、フェーズシフタ206は、その相対位相シフトが、当該立体核の他の角度寸法にわたって操舵されるようにチューニングされる。
【0039】
図3A及び
図3Bを参照すると、ビーム操舵配列の他例が、双方の角度寸法にわたる位相を使用して操舵され得る二次元光フェーズドアレイを使用する。
図3Aは、矩形状面積にわたって分散された光エミッタ302を含む配列300Aを示す。ここで光は、複数のエミッタ302のそれぞれに結合されたフェーズシフタ304に分散されている。この例において、光は、「Hツリー」形状の分割器ネットワークを使用してエミッタ302まで送達される。この位相制御はまた、少数の入力/出力(I/O)制御を可能にするサブフェーズドアレイ形式でも行うことができる。これは、参照によりここに組み入れられる米国特許第10,613,410号明細書に詳細が記載される。
【0040】
配列300Aにおいて遭遇し得る潜在的な問題点は、エミッタ302が、その最も近くの隣接エミッタから、アレイエミッションパターンにサイドローブをもたらすであろう特定のサブ波長ピッチ(例えば動作波長の半分)よりも大きな間隔を有し得るということである。サイドローブの影響を緩和する(例えばサイドローブへと放出されるパワーの量を低減する)一つの方法は、個々のエミッタに関連付けられる素子ファクタの指向性を大きくすることである。例えば、
図3Bは、マイクロレンズアレイ306をエミッタ302に近接するように配置することによって個々のエミッタの指向性を大きくする一つの方法を示す。これにより、マイクロレンズアレイ306における複数のレンズは、エミッタ302のピッチに近似する間隔に存在するようになる。いくつかの実装例において、レンズの中心が、エミッタの位置に実質的に一致するように細かくチューニングされ得る。
【0041】
図4は、光エミッタ402の上に配置され得るマイクロレンズ400の一例の側面図を示す。この例において、マイクロレンズ400は、屈折率1.44のガラス基板に形成され、直径が近似的に95μm、曲率半径が近似的に120μm、開口数(N)がほぼ0.2である。近似的に240μmの作動距離が、マイクロレンズ400とシリコン導波路エミッタ404との間に存在する。エミッタ404は、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)プラットフォームを使用して作製されたシリコン基板408上の酸化物クラッディング406に埋め込まれた格子構造を有する導波路として実装することができる。
図4Bは、各光エミッタ402の上に配置されたマイクロレンズアレイ内のマイクロレンズ400の配列410の平面図を示す。
【0042】
図5は、マイクロレンズアレイ内のマイクロレンズとして使用されるレンズ500の一例と、サイドモード抑制を与えるべく放出/収集デバイスを指向性にすることに関与して得られる光学的幾何学とを示す。この例において、レンズ500は、ほぼ200μmの焦点距離を有し、焦点面において得られる合焦スポットサイズはほぼ8μmと想定される。動眼視野角はほぼ1.5度である。レンズのサイズ(及び得られる開口数)が増加するにつれて指向性も高くなる。
【0043】
図6を参照すると、受信器側レンズを光受信配列に含めることにより潜在的に、例えば一つのみの受信器(例えば光検出器)が使用される場合に視野(又は「動眼視野」若しくは「収集円錐」)がもたらされ得る。しかしながら、視野は、焦点面にわたって適切に配列された多数の受信器を使用する受信器側レンズ600によって増加させることができる。入射平面波の方向が(例えば入射ビーム602Aから入射ビーム602Bへと)変更されると、対応する受信器の合焦点が、半球状焦点面上を(受信器602Aから受信器602Bへと)動く。かかる受信器の半球状配列によって光は、相対的に大きな空間円錐にわたって受信されるようになる。代替的に、レンズ軸の中心に一つのみの受信器が配置される場合、光は、さらに制限された空間円錐から受信される。
【0044】
図7及び
図8はそれぞれ、受信器側レンズなし及びありの異なる光受信配列を示す。
図7を参照すると、受信配列に受信器側レンズが存在しないとき、光検出器700は、光検出器700の許容角度及び屈折率に依存する動眼視野702を有する。
図8を参照すると、受信配列にレンズ800が存在するとき、二次的因子がさらに、当該配列を狭い動眼視野802まで制限する。特に、上述したように、入射ビームの角度が変化すると、レンズ800に関連付けられた焦点面804上に焦点の関連移動が存在する。
図9は、レンズ900と、異なる角度で到着する異なる入射ビーム904A及び904Bから合焦スポットを受けることができる半球状焦点面902上に配置された多数の光検出器のアレイとが存在する光受信配列を示す。例えば、入射ビームの位置及び/又は角度が、大気伝搬の影響によりドリフトし得る。異なる光検出器からの電気信号906は、ビームがドリフトするときFSOリンクの動作中に変化し得る受信像において異なる強度を有する異なるピクセルに対応する。
【0045】
図10を参照すると、いくつかの光受信配列において、レンズ組み合わせシステム1000が、異なる角度から到着する入射ビーム(例えば入射ビーム1002A又は入射ビーム1002B)を受信するべく配列された異なる形状及び/又は焦点距離を有する多数のレンズ又は一の複合レンズの多数のコンポーネントを含む。一つのレンズに関連付けられる半球状焦点面の代替として、レンズ組み合わせシステム1000は、所望の平坦状検出面1004に密接に一致する平坦状焦点面を与えることもできる。検出器アレイのいくつかの実装例において、平坦状焦点面1004は、検出器アレイの検出器モジュールの光検出器及び/又は他のコンポーネントを分散させるのに適切な配列となり得る。かかる光受信配列において、偏心入口経路を通して受信されるビームは、検出面1004の特定部分において意図的に焦点ぼけにされ得る。これは、わずかに焦点ぼけにされるエッジ位置1006に示されている。
【0046】
図11A及び
図11Bの光受信配列はさらに、意図的な焦点ぼけがどのようにして、いくつかの実施形態においてプラスの結果をもたらし得るのかを示す。
図11Aを参照すると、レンズシステム1102(例えば一以上のレンズのシステム)が、光検出器アレイ1104の異なる光検出器とマイクロレンズアレイ1106の異なるマイクロレンズとに対応する異なるピクセルに対する焦点のそれぞれを、視野1108における異なる入射許容角度及び位置にマッピングする。スポットサイズが相対的に狭い(近似的に一ピクセル幅)この例において、光は、いくつかの許容された角度/位置にとって極めて効率的に収集される。例えば、入射ビーム1110Aが当該ピクセルのうちの一つに合焦され、そのピクセルから電気信号出力1112Aが生成される。しかしながら、他の角度/位置において、視野1108には、光がピクセル間に収まり電気信号がほとんど又は全く生じない(すなわち受信されない)間隙が存在する。
【0047】
許容された角度/位置における間隙は、ピクセルサイズよりも大きなスポットサイズを有することにより、及び/又はマイクロレンズアレイ1106により収集されるビームに少量の焦点ぼけを有することにより、低減又は消滅させることができる。
図11Bを参照すると、視野1114が、許容された角度の円錐の重なりを含み、各円錐は多数のピクセルにマッピングされる。例えば、入射ビーム110Bが、多数のピクセル1116Bに合焦され、当該ピクセル1116Bから電気信号出力1112Bが生成される。焦点ぼけの効果はまた、
図12の例においても見ることができる。ここで、合焦された強度パターンが、ほぼ200μmのピクセルサイズを有する21×21ピクセル検出器アレイ1200のピクセルに示される。この例は、正方形の送信器側開口から送信されるビームの2つの異なる可能なビーム軌跡の強度パターンを示す。代替的に、2つの異なる強度パターンが、以下に詳述されるように、同時に受信される多数のビームに対応し得る。この例において、送信器側開口の正方形形状と、送信器側光フェーズドアレイ(OPA)の有限エミッタ間隔とにより、一を超えるピクセルをカバーする中心の主要ローブと、当該主要ローブの両側の2つの直交次元に沿った複数のサイドローブとを有する各焦点スポットに対し、強度パターンがもたらされている。
【0048】
多数の個別ピクセルからの電気信号出力が同時に収集される場合、一を超えるデータストリームを、一つの検出器アレイから同時に受信することができる。
図13は、4つの通信ノード1300A、1300B、1300C及び1300Dが互いに通信するように構成された多ビームFSO通信システムを示す。ノード1300Aは、多数のノード1300B及び1300Cからのビームを、この例では同時に受信している。一般に、任意数の通信ノードを、各通信ノードが任意の他の通信ノードからデータを送受信することができるメッシュネットワークにおいて通信するように配列することができる。この例において、各通信ノードは、一つの送信側ポートを有する一方、検出器アレイにおいて同時に検出され得る多数の強度パターンに対応する多数の受信器側ポートを有する。よって、
図14A~
図14Dに示されるような様々なメッシュネットワーク構成が可能である。ここで、矢印は、異なる通信ノード(丸で表す)間のFSOリンクを介したデータ送信を示す。他例において、各通信ノードは、多数の送信器側ポートを含み得る。例えば、多数の送信器側開口から多数のビームを送信することにより、潜在的に複雑かつ柔軟なメッシュネットワーク構成がもたらされる。
【0049】
ここに記載されるFSOリンクを使用する通信システムのいくつかの実装例において含まれ得る他の可能な特徴は、二進ビットによる強度変調以外の変調技術を含む。例えば、受信器回路が線形増幅器及び非二進決定回路を含む場合、PAM4又は高次振幅変調を利用して多くの情報を転送することができる。さらに、コヒーレントローカル振動子(LO)(例えばレーザからの光)が利用される場合、位相変調によるコヒーレント検出を使用することができる。コヒーレント検出スキームを利用することは、受信器回路を複雑にし得るが、ごくわずかの光子しか受信器に到達できない長距離通信リンクに対してシステムの感度を著しくブーストすることもできる。
図15Aは、受信器側レンズ1502が入射光を検出器アレイ1504に合焦してLOレーザ1506及びレンズ1508が当該検出器アレイ1504を均一に照明するべく使用される均一照明構成1500Aの一例を示す。いくつかの実装例において、ビームからの信号の位置を特定するべく初期均一照明構成1500Aが最初に使用され、その後に指向性照明構成1500Bが使用され、LOビームは、さらに狭く合焦されて検出器アレイ1504の一部分へと操舵される。例えば、LO制御システム1510は、LOスポットサイズを制御してLOビームを動的に操舵するべく高速フィードバックループを含んでよい。LOレーザ1506は、リモートノードにおいて送信レーザにロックされ、変調された光の位相をハイブリッド受信回路が抽出することができる。
図16は、多数の受信ビームを検出器アレイ1604に合焦させるべく受信器側レンズ1602を含む例示的なコヒーレント検出構成1600を示す。この例において、2つの異なる受信ビームのそれぞれに同時に干渉する別個のコヒーレントLOビームを与える多数のLOソース1606A及び1606Bが存在する。この様にして、マルチチャネル受信器を実装するべく任意数の独立LOソースを使用することができる。
【0050】
図17は、マルチチャネルコヒーレントFSO通信システム1700の例示的な構成を示す。Txレーザ1を含むノード1702、及びTxレーザ2を含むノード1704が存在する。これらは、対応するデータストリームData1及びData2により変調される光波を与える。これらの光波は、大気1706を通って伝搬してノード1708によって受信される別個の光ビームとして放出される。この例において、光収集は、多数の検出器モジュールのアレイにある2つの検出器モジュールに示されている。レーザLO1及びレーザLO2は、データストリームData1及びData2を復調するデジタル信号処理(DSP)回路へと与えられるコヒーレント検出信号の同相及び直交相(I/Q)成分を検出する個々の検出器モジュールへと向けられた別個のLOビームを与える。
【0051】
システムに相対的に多数の検出器モジュールが存在する実装例において、有用なことに、受信したデータストリームを処理して入射データを、潜在的に弱い信号における過度のノイズ、寄生及び/又は損失を誘発することなく読み取ることができる。
図18は、受信器側レンズ1802と、検出器モジュールの検出器アレイ1806の前面に配列されたマイクロレンズアレイ1804とを含む検出配列1800の一例を示す。検出器モジュールはそれぞれが、各検出器モジュールのためのトランスインピーダンス増幅器(TIA)を与える積層されたSiGe BiCMOSプラットフォームの上に読み出し回路を含む。TIAが対応アバランシェフォトダイオード(APD)光検出器の直下に配置されると、APDは(例えばほぼ10~1000の)初期利得を与え、得られた光電流をTIA利得段に供給することができる。TIAの消費電力は相対的に低い(例えば1μA~0.8VppのTIA増幅器に対しピクセル当たり約1mW未満である)。当該データレートに適切な帯域幅を有する低ノイズTIAが、低ノイズ増幅器(例えばほぼ
【数1】
未満のノイズ)によって増幅され、制限増幅器に供給され、及びデジタル化され得る電圧信号出力を与えることができる。
図19は、読み出し回路1900の、一つの可能な実装例を示す。
図20は、個々のピクセルに対して例示的な寸法を有する例示的な検出器モジュール2000を示す。直径ほぼ36~75μmのアクティブ面積を有するAPDが存在する。直径ほぼ50~200μmの面積を有するAPDのまわりに関連回路の配列が存在する。ほぼ4cm
2の検出器面積全体にわたるピクセルの総数は、例えば、ほぼ10,000~160,000となり、又は、これよりも大きな検出器面積に対しては数百万ピクセルが存在し得る。
【0052】
いくつかの実装例において、所与のAPDに対するTIA及び他のサポート回路は、電力を節約するべくオフにされ、又は低電力状態(すなわち「ハイバネーション」)モードに置かれる。
図21は、検出器モジュールのための回路の一例を示す。この例において、光集積回路(PIC)に作製された一アレイのフォトダイオードの一ピクセルを代表するフォトダイオード2100(例えばAPD)が存在する。アナログ/混合信号特定用途向け集積回路(ASIC)として実装される信号処理回路2102は、個々のピクセルのためのピクセル回路2104と、信号有効情報に基づいて選択されたピクセルのための受信データを選択することができるコントローラ2106(例えばマルチプレクサ又は他の選択回路を含む)とを含む。ピクセル回路2104は、TIAと、制限増幅器と、ビット誤りを低減させる信号検出/自動利得制御回路モジュールとを含む。これらは一緒になってデータ信号の検出を可能にする。信号処理回路2102は、ピクセル回路2104及びコントローラ2106を使用して、フォトダイオード2100からの光電流をモニタリングするように構成され、所定のスペクトル領域(例えば予測される変調データ信号のためのスペクトル領域)が所定のしきい値を超えるとすぐにTIA及び他の回路をアクティブにすることができる。この選択的なアクティブ化により、全体的な消費電力、及び検出器アレイの局所的な熱発生が低減される。
【0053】
いくつかの実装例において、増幅器及び他の回路の電子アレイが、ノイズ及びキャパシタンスを低減するべく光検出器に相対的に近接して配置される。
図22は、コンパクト構成における様々な層の配列を含む検出器アレイ2200の一例を示す。APD層2202が、入射光を収集する複数のAPDを含む。中間層2204が、一アレイのTIA、利得回路、及びデジタイザ回路を含む。中間層2204は、APD層2202と同じダイに作製してよく、又は、例えば3D積層を使用して、APD層2202を包含するダイに接続してよい。裏側層2206が、付加的なDSP及び信号コンディショニング(cond)回路を含む。これにより、各ピクセルが信号処理能力を有し得る。裏側層2206の一以上のエッジ沿いの一以上のI/Oチップ2208が、特定の受信ビームに対応する一群のピクセルから信号を受信するべく使用される。いくつかの例において、個々の素子が多数のピクセルによって共有されてよい。例えば、
図23は、例示的な検出器アレイ配列2300を示す。ここでは、各マイクロレンズのための多数のAPDが存在し、各APDが自身のTIAを有し、多数の隣接するTIAのための一つのDSP素子が存在する。様々な他の配列も可能であり、各ピクセルが同じ組の素子を有する配列も含まれる。
【0054】
図24は、3つの異なるビームが検出器アレイ2400によって受信される一例を示す。大気の影響により、受信器側及び/若しくは送信器側の光学素子を支持するプラットフォームの振動により、並びに/又は(飛行機と通信するドローン又は2つの衛星間の遠隔通信のような)ノードの相対的な動きにより、検出器アレイ2400上の焦点スポットが動き得る。所与の時間にわたる焦点スポットの動きに対して得られる強度パターンが
図24に示される。例えば、プラットフォームの動きが速ければ速いほど、ビームの焦点スポットの、異なるピクセルにわたる動きも迅速になる。したがって、欠落のない連続的なデータ送信を達成するべく、データ収集を担う単数又は複数のピクセルが、焦点スポットが動くにつれてシームレスに移行される必要がある。これは、十分に高い信号を受信しているピクセルを検出することと、焦点スポットの動きを追跡することとができる高速フィードバックループによって構成される回路を使用して達成することができる。いくつかの実装例において、回路はまた、データを収集する準備ができているはずの次のピクセルを予測するようにも構成される。これは、例えば、アナログ利得回路と、異なる被追跡ビームに関連付けられるストリーミングデータのためのI/Oポート2402に結合されるI/Oアレイのスループットを制御するべく構成されるデジタル層における回路との適切な制御によって実装することができる。
【0055】
FSO通信システムの一例が
図25に示される。これは、所与のローカルノードに関連付けられた自由空間TX/RXユニット2500、及びリモートノードに関連付けられたピアTX/RXユニット2502を含む。最適な信号品質を達成するべく、最善の信号対ノイズ比及びビット誤り率のための最適な方向にロックすることが有益である。したがって、2つのノードにおける受信器及び送信器の光学パッケージは、互いを向くようにされ、理想的には、最善の送信方向及び最善の受信用ピクセル選択を得るためのフィードバック機構を有する。これは、受信器システムがパワーモニタ回路を有し、潜在的には誤りモニタリングDSP回路を有する場合になし得る。順方向誤り訂正(FEC)のような誤り訂正コーディングが利用される場合、送信データストリーム内のビットのうちいくつかが使用されて誤りのビットが検出される。受信器システムは、誤りの量を経時的にモニタリングしてその操舵角を修正することができる。送信器システムも、例えば、初期アラインメントの粗いアラインメントフェーズ及び細かいアラインメントフェーズと、上述した動的アラインメントとを使用して、リモートノードの検出器アレイにおけるビーム位置決めを最適化する当該フィードバックに基づいて送信ビームを操舵するべく、リモートノードから(例えばサイドチャネルリンクを経由して)強度情報を受信することができる。
【0056】
図26は、かかるアラインメント技法をどのようにして、第1光を検出するべく使用することができるのかを示す。FSOリンクが確立される前、送信器及び受信器は双方とも、視線リンクの確立を助ける方向をサーチすることができる。粗いアラインメントを、例えば、望遠鏡、GPS位置、所定位置合意、及び/又は一時的な光学的再帰反射器によって行うことができる。これらは、2つのノードが粗いアラインメントを確立するのを支援することができる。
【0057】
図27A及び
図27Bを参照すると、送信器が光フェーズドアレイ2700をビーム操舵器として使用する場合、受信器側レンズ2702が調整可能となり、ビーム発散及び動眼視野は、最初に、第1光の発見をアシストするべく検出器アレイ2704において広角レンジ(
図27A)に設定され、その後、最適なデータ送信を目的として狭角レンジ(
図27B)に合焦され得る。
【0058】
本開示が所定の実施形態に関連して記載されてきたが、本開示は、開示された実施形態に限定されることがないと理解すべきであり、逆に、添付の特許請求の範囲内に含まれる様々な修正例及び同等の配列をカバーすることが意図されており、その範囲には、法律に基づいて許容されるすべての修正例及び同等の構造を包含するように最も広い解釈が与えられるべきである。