(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】熱暴走処理方法、装置、システム及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240319BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20240319BHJP
H01M 10/633 20140101ALI20240319BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20240319BHJP
H02H 7/00 20060101ALI20240319BHJP
H02H 7/18 20060101ALI20240319BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20240319BHJP
B60L 58/26 20190101ALI20240319BHJP
B60L 3/00 20190101ALI20240319BHJP
【FI】
H02J7/00 S
H01M10/613
H01M10/633
H01M10/625
H02H7/00 K
H02H7/18
H02J7/00 P
B60L50/60
B60L58/26
B60L3/00 S
(21)【出願番号】P 2022533077
(86)(22)【出願日】2021-11-17
(86)【国際出願番号】 CN2021131273
(87)【国際公開番号】W WO2022142829
(87)【国際公開日】2022-07-07
【審査請求日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】202011626769.6
(32)【優先日】2020-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼小波
(72)【発明者】
【氏名】柯▲劍▼煌
(72)【発明者】
【氏名】李耀
【審査官】右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/039120(WO,A1)
【文献】特開2020-187822(JP,A)
【文献】特開2011-120423(JP,A)
【文献】特開2018-063766(JP,A)
【文献】特開2016-018638(JP,A)
【文献】特開2001-043902(JP,A)
【文献】米国特許第07433794(US,B1)
【文献】特開平11-040204(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H01M 10/613
H01M 10/633
H01M 10/625
H02H 7/00
H02H 7/18
B60L 50/60
B60L 58/26
B60L 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱暴走処理方法であって、
動力電池パックを構成する
三つ以上の電池モジュールにおける各電池モジュールの電池パラメータを取得するステップと、
前記
三つ以上の電池モジュールにおける各電池モジュールの電池パラメータに基づいて、第1の電池モジュールに熱暴走が発生したことを判断するステップと、
前記第1の電池モジュールに基づいて、前記動力電池パックから前記第1の電池モジュールを除いた少なくとも1つの電池モジュールである第2の電池モジュールを取得するステップと、
前記第2の電池モジュールを用いて、前記動力電池パックを降温させる冷却システムに電力を供給するステップと、を含
み、
前記第1の電池モジュールに基づいて、前記第2の電池モジュールを取得するステップは、
前記動力電池パックにおいて前記第1の電池モジュールを除いた電池モジュールから、前記冷却システムの定格電圧と動力電池パック内の電池温度に基づいて、前記第2の電池モジュールを選択するか、または、前記冷却システムの定格電圧と冷却液の温度に基づいて、第2の電池モジュールを選択し、前記第2の電池モジュールの出力電圧は、前記冷却システムの定格電圧以上であるステップを、含む、
熱暴走処理方法。
【請求項2】
前記第1の電池モジュールに基づいて、前記第2の電池モジュールを取得するステップは、
前記第1の電池モジュールの情報を含む第1の情報を車両制御ユニット(VCU)に送信して、前記VCUが、前記冷却システムの定格電圧と前記第1の電池モジュールの情報に基づいて、第2の情報を生成するようにするステップと、
前記VCUによって送信された前記第2の電池モジュールの情報を含む第2の情報を取得するステップと、を含む、
請求項1に記載の熱暴走処理方法。
【請求項3】
前記第1の電池モジュールに基づいて、前記第2の電池モジュールを取得するステップは、
車両制御ユニット(VCU)によって送信された前記冷却システムの定格電圧を取得するステップと、
前記冷却システムの定格電圧と前記第1の電池モジュールに基づいて、前記第2の電池モジュールを取得するステップと、を含む、
請求項
1に記載の熱暴走処理方法。
【請求項4】
前記第1の電池モジュールに基づいて、前記第2の電池モジュールを取得するステップは、
前記第2の電池モジュールの電力供給経路の最高電圧端と最低電圧端との間の電圧差が第1の予め設定された閾値以下である場合、及び/又は、
前記第2の電池モジュールの電力供給経路の電力が第2の予め設定された閾値よりも大きい場合、
前記第2の電池モジュールを取得するステップを、含む、
請求項1乃至
3のいずれか一項に記載の熱暴走処理方法。
【請求項5】
前記第1の電池モジュールに基づいて、前記第2の電池モジュールを取得するステップは、
前記第2の電池モジュールの電力供給経路の最高電圧端と最低電圧端との間の電圧差を車両制御ユニット(VCU)に送信して、前記VCUが、前記電圧差に基づいて前記第2の電池モジュールの情報に返すようにし、前記電圧差が第1の予め設定された閾値以下である場合、前記VCUが前記第2の電池モジュールの情報を返すようにするステップと、
前記第2の電池モジュールの情報を取得するステップと、を含む、
請求項1乃至
4のいずれか一項に記載の熱暴走処理方法。
【請求項6】
前記電池パラメータは、前記電池モジュールのリアルタイム電圧を含み、
前記
三つ以上の電池モジュールにおける各電池モジュールの電池パラメータに基づいて、第1の電池モジュールに熱暴走が発生したことを判断するステップは、
前記第1の電池モジュールのリアルタイム電圧と基準電圧との差が第3の予め設定された閾値以上である場合、及び/又は、
前記電池モジュールのリアルタイム電圧変化率が第4の予め設定された閾値以上である場合、及び/又は、
前記電池モジュールのリアルタイム電圧サンプリングが異常である場合、
前記第1の電池モジュールに熱暴走が発生したと判断するステップを、含む、
請求項1乃至
5のいずれか一項に記載の熱暴走処理方法。
【請求項7】
熱暴走処理装置であって、
動力電池パックを構成する
三つ以上の電池モジュールにおける各電池モジュールの電池パラメータを取得する取得モジュールと、
前記
三つ以上の電池モジュールにおける各電池モジュールの電池パラメータに基づいて、第1の電池モジュールに熱暴走が発生したことを判断する処理モジュールと、を含み、
前記処理モジュールは、さらに、前記第1の電池モジュールに基づいて、第2の電池モジュールを取得し、前記第2の電池モジュールは、前記動力電池パックから前記第1の電池モジュールを除いた少なくとも1つの電池モジュールであり、
前記処理モジュールは、さらに、前記第2の電池モジュールを用いて冷却システムに電力を供給し、前記冷却システムは、前記動力電池パックを降温させ
、
前記処理モジュールは、
前記動力電池パックにおいて前記第1の電池モジュールを除いた電池モジュールから、前記冷却システムの定格電圧と動力電池パック内の電池温度に基づいて、前記第2の電池モジュールを選択するか、または、前記冷却システムの定格電圧と冷却液の温度に基づいて、第2の電池モジュールを選択し、前記第2の電池モジュールの出力電圧は、前記冷却システムの定格電圧以上である、
熱暴走処理装置。
【請求項8】
前記処理モジュールは、
前記第1の電池モジュールの情報を含む第1の情報を車両制御ユニット(VCU)に送信して、前記VCUが、前記冷却システムの定格電圧と前記第1の電池モジュールの情報に基づいて、第2の情報を生成するようにし、
前記VCUによって送信された、前記第2の電池モジュールの情報を含む前記第2の情報を取得する、
請求項
7に記載の熱暴走処理装置。
【請求項9】
前記処理モジュールは、
車両制御ユニット(VCU)によって送信された前記冷却システムの定格電圧を取得し、
前記冷却システムの定格電圧と前記第1の電池モジュールとに基づいて、前記第2の電池モジュールを取得する、
請求項
7に記載の熱暴走処理装置。
【請求項10】
前記処理モジュールは、
前記第2の電池モジュールの電力供給経路の最高電圧端と最低電圧端との間の電圧差が第1の予め設定された閾値以下である場合、及び/又は、
前記第2の電池モジュールの電力供給経路の電力が第2の予め設定された閾値よりも大きい場合、
前記第2の電池モジュールを取得する、
請求項
7乃至
9のいずれか一項に記載の熱暴走処理装置。
【請求項11】
前記処理モジュールは、
前記第2の電池モジュールの電力供給経路の最高電圧端と最低電圧端との間の電圧差を車両制御ユニット(VCU)に送信して、前記VCUが、前記電圧差に基づいて前記第2の電池モジュールの情報に返すようにし、前記電圧差が第1の予め設定された閾値以下である場合、前記VCUが前記第2の電池モジュールの情報を返すようにし、
前記第2の電池モジュールの情報を取得する、
請求項
7乃至
9のいずれか一項に記載の熱暴走処理装置。
【請求項12】
前記電池パラメータは、前記電池モジュールのリアルタイム電圧を含み、
前記処理モジュールは、
前記第1の電池モジュールのリアルタイム電圧と基準電圧との差が第3の予め設定された閾値以上である場合、及び/又は、
前記電池モジュールのリアルタイム電圧変化率が第4の予め設定された閾値以上である場合、及び/又は、
前記電池モジュールのリアルタイム電圧サンプリングが異常である場合、
前記第1の電池モジュールに熱暴走が発生したと判断する、
請求項
7乃至
11のいずれか一項に記載の熱暴走処理装置。
【請求項13】
電池管理システムであって、
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサと通信可能に接続されたメモリと、を含み、
前記メモリは、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令を記憶し、前記命令が前記少なくとも1つのプロセッサによって実行され、前記少なくとも1つのプロセッサは、請求項1乃至
6のいずれか1項に記載の熱暴走処理方法を実行する、
電池管理システム。
【請求項14】
コンピュータで実行可能な命令を記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、
前記コンピュータで実行可能な命令は、請求項1乃至
6のいずれか1項に記載の熱暴走処理方法を実行するために用いられる、
非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項15】
熱暴走処理システムであって、
請求項
13に記載の電池管理システムを含む、
熱暴走処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年12月31日に出願された「熱暴走処理方法、装置、システム及び記憶媒体」という名称の中国専利出願202011626769.6号の優先権を主張し、当該出願の全ての内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、電池放熱分野に関し、特に、熱暴走処理方法、装置、システム及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
電池の熱暴走とは、動力電池が何らかの原因で制御不能な連鎖分解反応を起こし、内部温度が急激に上昇し、最終的にはコアの故障を招き、同時に、大量のガス発生及び熱発生を伴う現象を指す。熱暴走の原因としては、機械的衝突、内部短絡、過充電、過熱などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0004】
電池に熱暴走が発生すると、絶縁体の熱破壊や電池の熱暴走の後に噴出した導電性金属砕屑の影響により、電池パック内で高電圧スパークが頻繁に発生する可能性があり、さらに電池パックの上蓋の破壊、過電流温度上昇、コアの破壊失効などのリスクをもたらし、電池パック内に激しい熱の拡散が発生し、大量の熱が生成され、電池パックの温度が急激に上昇し、電池パックの安全性を悪くする。
【0005】
熱暴走が発生すると、現在の電池パック内のシステム高電圧回路が受動的に遮断され、冷却システムが正常に作動せず、電池パックを効果的に冷却及び放熱できないため、電池パックの安全性が低下する。
【発明の概要】
【0006】
本出願の実施例は、上述した技術的課題の1つを少なくともある程度解決するが、そのために、本出願は、熱暴走処理方法、装置、システム及び記憶媒体を提供し、熱暴走が発生していない電池モジュールを用いて冷却システムに電力を供給し、冷却システムが動力電池パック全体の降温及び放熱を行い、熱暴走によって生成された熱を持ち去り、良好な放熱効果を達成し、動力電池パックの安全性を向上させることができる。
【0007】
第1の様態では、本出願の実施例は、熱暴走処理方法を提供しており、該方法は、
動力電池パックを構成する複数の電池モジュールにおける各電池モジュールの電池パラメータを取得するステップと、
前記複数の電池モジュールにおける各電池モジュールの電池パラメータに基づいて、第1の電池モジュールに熱暴走が発生したことを判断するステップと、
前記第1の電池モジュールに基づいて、前記動力電池パックから前記第1の電池モジュールを除いた少なくとも1つの電池モジュールである第2の電池モジュールを取得するステップと、
前記第2の電池モジュールを用いて、前記動力電池パックを降温させる冷却システムに電力を供給するステップと、を含む。
【0008】
いくつかの実施例では、前記第1の電池モジュールに基づいて、前記第2の電池モジュールを取得するステップは、
前記第1の電池モジュールと前記冷却システムの定格電圧に基づいて、前記第2の電池モジュールを取得し、前記第2の電池モジュールの出力電圧は、前記冷却システムの定格電圧以上であるステップを、含む。
【0009】
いくつかの実施例では、前記第1の電池モジュールに基づいて、前記第2の電池モジュールを取得するステップは、
前記第1の電池モジュールの情報を含む第1の情報を車両制御ユニット(VCU)に送信して、前記VCUが前記冷却システムの定格電圧と前記第1の電池モジュールの情報に基づいて、第2の情報を生成するようにするステップと、
前記VCUによって送信された前記第2の電池モジュールの情報を含む第2の情報を取得するステップと、を含む。
【0010】
いくつかの実施例では、前記第1の電池モジュールに基づいて、前記第2の電池モジュールを取得するステップは、
車両制御ユニット(VCU)によって送信された前記冷却システムの定格電圧を取得するステップと、
前記冷却システムの定格電圧と前記第1の電池モジュールに基づいて、前記第2の電池モジュールを取得するステップと、を含む。
いくつかの実施例では、前記第1の電池モジュールに基づいて、前記第2の電池モジュールを取得するステップは、
前記第2の電池モジュールの電力供給経路の最高電圧端と最低電圧端との間の電圧差が第1の予め設定された閾値以下である場合、及び/又は、
前記第2の電池モジュールの電力供給経路の電力が第2の予め設定された閾値よりも大きい場合、
前記第2の電池モジュールを取得するステップを、含む。
【0011】
いくつかの実施例では、前記第1の電池モジュールに基づいて、前記第2の電池モジュールを取得するステップは、
前記第2の電池モジュールの電力供給経路の最高電圧端と最低電圧端との間の電圧差を車両制御ユニット(VCU)に送信して、前記VCUが、前記電圧差に基づいて前記第2の電池モジュールの情報に返すようにし、前記電圧差が第1の予め設定された閾値以下である場合、前記VCUが前記第2の電池モジュールの情報を返すようにするステップと、
前記第2の電池モジュールの情報を取得するステップと、を含む。
【0012】
いくつかの実施例では、前記電池パラメータは、前記電池モジュールのリアルタイム電圧を含み、
前記複数の電池モジュールにおける各電池モジュールの電池パラメータに基づいて、第1の電池モジュールに熱暴走が発生したことを判断するステップは、
前記第1の電池モジュールのリアルタイム電圧と基準電圧との差が第3の予め設定された閾値以上である場合、及び/又は、
前記電池モジュールのリアルタイム電圧変化率が第4の予め設定された閾値以上である場合、及び/又は、
前記電池モジュールのリアルタイム電圧サンプリングが異常である場合、
前記第1の電池モジュールに熱暴走が発生したと判断するステップを、含む。
第2の様態では、本出願の実施例は、熱暴走処理装置を提供しており、前記熱暴走処理装置は、
動力電池パックを構成する複数の電池モジュールにおける各電池モジュールの電池パラメータを取得する取得モジュールと、
前記複数の電池モジュールにおける各電池モジュールの電池パラメータに基づいて、前記第1の電池モジュールに熱暴走が発生したことを判断する処理モジュールと、を含み、
前記処理モジュールは、さらに、前記第1の電池モジュールに基づいて、第2の電池モジュールを取得し、前記第2の電池モジュールは、前記動力電池パックから前記第1の電池モジュールを除いた少なくとも1つの電池モジュールであり、
前記処理モジュールは、さらに、前記第2の電池モジュールを用いて冷却システムに電力を供給し、前記冷却システムは、前記動力電池パックを降温させる。
【0013】
いくつかの実施例では、前記処理モジュールは、
前記第1の電池モジュールと前記冷却システムの定格電圧に基づいて、前記第2の電池モジュールを取得し、前記第2の電池モジュールの出力電圧は、前記冷却システムの定格電圧以上である。
いくつかの実施例では、前記処理モジュールは、
前記第1の電池モジュールの情報を含む第1の情報を車両制御ユニット(VCU)に送信して、前記VCUが、前記冷却システムの定格電圧と前記第1の電池モジュールの情報に基づいて、第2の情報を生成するようにし、
前記VCUによって送信された、前記第2の電池モジュールの情報を含む前記第2の情報を取得する。
【0014】
いくつかの実施例では、前記処理モジュールは、
車両制御ユニット(VCU)によって送信された前記冷却システムの定格電圧を取得し、
前記冷却システムの定格電圧と前記第1の電池モジュールとに基づいて、前記第2の電池モジュールを取得する。
【0015】
いくつかの実施例では、前記処理モジュールは、
前記第2の電池モジュールの電力供給経路の最高電圧端と最低電圧端との間の電圧差が第1の予め設定された閾値以下である場合、及び/又は、
前記第2の電池モジュールの電力供給経路の電力が第2の予め設定された閾値よりも大きい場合、
前記第2の電池モジュールを取得する。
【0016】
いくつかの実施例では、前記処理モジュールは、
前記第2の電池モジュールの電力供給経路の最高電圧端と最低電圧端との間の電圧差を車両制御ユニット(VCU)に送信して、前記VCUが、前記電圧差に基づいて前記第2の電池モジュールの情報に返すようにし、前記電圧差が第1の予め設定された閾値以下である場合、前記VCUが前記第2の電池モジュールの情報を返すようにし、
前記第2の電池モジュールの情報を取得する。
【0017】
いくつかの実施例では、前記電池パラメータは、前記電池モジュールのリアルタイム電圧を含み、
前記処理モジュールは、
前記第1の電池モジュールのリアルタイム電圧と基準電圧との差が第3の予め設定された閾値以上である場合、及び/又は、
前記電池モジュールのリアルタイム電圧変化率が第4の予め設定された閾値以上である場合、及び/又は、
前記電池モジュールのリアルタイム電圧サンプリングが異常である場合、
前記第1の電池モジュールに熱暴走が発生したと判断する。
【0018】
第3の形態では、本出願の実施例は、電池管理システムを提供しており、前記電池管理システムは、
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサと通信可能に接続されたメモリと、を含み、
前記メモリは、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令を記憶し、前記命令が前記少なくとも1つのプロセッサによって実行され、前記少なくとも1つのプロセッサに、上述の熱暴走処理方法を実行させる。
【0019】
第4の形態では、本出願の実施例は、コンピュータで実行可能な命令を記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体を提供しており、
前記コンピュータで実行可能な命令は、上述の熱暴走処理方法を実行するために用いられる。
【0020】
第5の形態では、本出願の実施例は、熱暴走処理システムを提供しており、前記熱暴走処理システムは、
上述の電池管理システムを含む。
【0021】
本出願は、従来技術と比較して、少なくとも以下のような効果を有する。本出願における熱暴走処理方法は、まず、動力電池パック内の複数の電池モジュールにおける各電池モジュールの電池パラメータを取得するステップと、複数の電池モジュールにおける各電池モジュールの電池パラメータに基づいて、第1の電池モジュールの熱暴走発生を判断するステップと、第1の電池モジュールに基づいて、第2の電池モジュールを取得し、ここで、第2の電池モジュールは、動力電池パックから第1の電池モジュールを除いた少なくとも1つの電池モジュールであるステップと、最後に、第2の電池モジュールを用いて冷却システムに電力を供給するステップとを含む。したがって、動力電池パック内の電池モジュールに熱暴走が発生した場合、熱暴走処理方法は、熱暴走が発生していない第2の電池モジュールを用いて冷却システムに電力を供給し、冷却システムを正常に作動させ、動力電池パック内の熱暴走によって生成された熱を持ち去り、動力電池パックの降温及び放熱を行い、良好な放熱効果を達成し、さらに動力電池パックの安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
1つまたは複数の実施例は、添付図面においてそれに対応する図によって例示的に説明され、これらの例示的な説明は、実施例を限定するものではない。図面において、同じ符号を有する要素は、特に明記しない限り、同じ要素を示しており、図面における図は、縮尺に限定されるものではない。添付図面において、図は実際の縮尺では描かれていない。
【
図1】本出願の実施例に係る熱暴走処理システムの構成模式図である。
【
図2】本出願の実施例に係る電池管理システムのハードウェアの構成模式図である。
【
図3】本出願の実施例に係る熱暴走処理方法のフローチャート模式図である。
【
図4】本出願の実施例に係る熱暴走処理方法のフローチャート模式図である。
【
図5】本出願の実施例に係る動力電池パックの構成模式図である。
【
図6】本出願の他の実施例に係る動力電池パックの構成模式図である。
【
図7】本出願の他の実施例に係る動力電池パックの構成模式図である。
【
図8】本出願の実施例に係る熱暴走処理装置の構成模式図である。
【0023】
符号の説明:
熱暴走処理システム100、電池管理システム10、プロセッサ101、メモリ102、車両制御器20、動力電池パック200、冷却システム300、熱暴走処理装置800、取得モジュール801、処理モジュール802。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本出願の目的、技術案及び利点をより明確にするために、添付図面及び実施例を参照して、本出願をさらに詳細に説明する。本明細書に記載された特定の実施例は、単に本出願を説明するためのものであり、本出願を限定するものではないことを理解されたい。本出願の実施例に基づいて、当業者が創造的な労働を行わずに得られる他の全ての実施例は、いずれも、本出願の範囲内である。
【0025】
本出願の実施例の様な特徴は、矛盾しない限り、互いに組み合わせることができ、本出願の範囲内にあることを留意されたい。また、装置の模式図では機能モジュールの分割が行われ、フローチャートに論理的な順序が示されているが、場合によっては、装置におけるモジュールの分割とは異なってもよく、またはフローチャートとは異なる順序で示されたステップを実行してもよい。なお、本出願において、「第1の」、「第2の」、「第3」などの用語は、データや実行順序を限定するものではなく、単に機能や作用が基本的に同一のもの又は類似のものを区別するためである。
【0026】
図1を参照すると、
図1は、本出願の実施例に係る熱暴走処理システムであり、該熱暴走処理システムは、電池管理システム10(Battery Management System、略してBMSと称する)を含む。該熱暴走処理システム100は、動力電池パック200に熱暴走が発生したときに、該動力電池パック200を介して冷却システム300に電力を供給し、さらに該動力電池パック200を冷却し降温させるために用いられる。このうち、動力電池パック200内には、複数の電池モジュールが含まれ、各電池モジュールは、電池管理システム10と通信接続され、動力電池パック200内の電池モジュールは、様々な電力供給回路を形成することができる。
【0027】
動力電池パック200が正常である場合、複数の電池モジュール間は、高電圧ハーネスによって直列または並列に接続され動力電池システムを形成し、他の部品に高電圧電力を供給する。電池管理システム10は、動力電池パック200内の1つの電池モジュール又は複数の電池モジュールに熱暴走が発生する直前又は発生した時に、電池モジュールの電池パラメータに基づいて熱暴走現象を認識することができ、さらに第1の電池モジュールに熱暴走が発生したことを判断し、熱暴走が発生した電池モジュールを遮蔽し、動力電池パック200から第1の電池モジュールを除いた少なくとも1つの電池モジュールである第2の電池モジュールを取得して、熱暴走が発生していない電池モジュール、すなわち第2の電池モジュールにより高電圧電力供給回路を形成し、冷却システム300に電力供給し、さらに冷却システム300を起動して動力電池パック200の降温放熱を行う。
【0028】
冷却システム300は、水ポンプと電池冷却器(Chiller)とを含み、水ポンプは、低圧システム(12V)によって電力供給可能であり、水ポンプが作動した後、冷却液を循環させ、冷却液は動力電池パック200内のコールドプレートに入って温度を下げ、一定の放熱効果を達成する。電池冷却器は、熱暴走が発生していない電池モジュールで形成された高電圧回路から電力が供給され、これにより電池冷却器を正常に作動させ、電池冷却器の内部の一側に冷媒を通し、一側に冷却液を通し、両者は電池冷却器内で十分に熱交換し、冷却液中の熱が冷媒に奪われ、冷却後の冷却液は、電池冷却器から流出して動力電池パック内に再流入し、その熱を放散させることで、1つのサイクルを形成する。電池冷却器は、冷却液を強制的に冷却することができ、冷却液の冷却効率を大幅に高め、動力電池パック200の内部熱を速やかに持ち去り、冷却システム300に電力を供給する高電圧回路なしの手段に比べて、該熱暴走処理システム100は、熱暴走が発生していない電池モジュールを用いて冷却システム300に電力を供給することができ、冷却液の冷却効率を大幅に高め、動力電池パック200に対する冷却システム300の放熱効果を高め、動力電池パック200の安全性を向上させる。
【0029】
いくつかの実施例では、該熱暴走処理システム100は、電池管理システム10と通信可能に接続された車両制御器20(Vehicle Control Unit、略してVCUと称する)をさらに含み、電池管理システム10は、各電池モジュールの電池パラメータをVCU20に転送し、VCU20が処理及び分析を行い、熱暴走が発生した電池モジュール、すなわち第1の電池モジュールを判断することができる。また、熱暴走した電池モジュールと冷却システムの定格電圧に基づいて、第2の電池モジュール、すなわち熱暴走が発生していない電池モジュールを取得することができ、熱暴走が発生していない電池モジュール情報を電池管理システム10に伝送する。電池管理システム10は、第2の電池モジュールを用いて冷却システム300に電力を供給し、動力電池パック200に対して良好な降温放熱効果を実現し、動力電池パック200の安全性を向上させる。
【0030】
他のいくつかの実施例では、電池管理システム10は、VCU20によって送信された冷却システム300の定格電圧を取得し、冷却システム300の定格電圧と第1の電池モジュールに基づいて、第2の電池モジュールを取得してもよい。すなわち、熱暴走が発生していない電池モジュールを取得し、電池管理システム10は、第2の電池モジュールを用いて冷却システム300に電力を供給し、冷却システム300に動力電池パック200を降温放熱させる。
【0031】
以上により、該熱暴走処理システムは、冷却システムが正常に作動するように、熱暴走が発生していない第2の電池モジュールを用いて冷却システムに電力を供給することができ、動力電池パック内の熱暴走により生成された熱を持ち去り、動力電池パックに対して降温及び放熱を行い、良好な放熱効果を達成し、さらに動力電池パックの安全性を向上させる。
【0032】
図2を参照すると、電池管理システム10内には、システムバスまたは他の手段によって通信可能に接続された少なくとも1つのプロセッサ101(
図2では1つのプロセッサを例とする)と、メモリ102とが設けられていてもよい。
【0033】
ここで、前記プロセッサ101は、前記電池管理システムを制御して熱暴走処理を完了、及び関連するタスクを実行するように、計算及び制御能力を提供する。例えば、前記電池管理システム10を制御して、以下の実施例で提供される熱暴走処理方法のいずれかを実行する。
【0034】
前記メモリ102は、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体として、非一時的なソフトウェアプログラム、非一時的なコンピュータ実行可能プログラム、及びモジュールを格納するために使用することができ、例えば、以下の実施例の熱暴走処理方法に対応するプログラム命令・モジュールを格納するために使用することができる。前記プロセッサ101は、メモリ102に格納された非一時的なソフトウェアプログラム、命令、及びモジュールを実行することによって、以下のいずれかの方法実施例における熱暴走処理方法を実現することができる。具体的には、前記メモリ102は、高速ランダムアクセスメモリを含んでもよく、また、少なくとも1つの磁気ディスク記憶装置、フラッシュメモリ装置、または他の非一時的固体記憶装置などの非一時的メモリをさらに含んでもよい。
【0035】
図3を参照すると、
図3は、本出願の実施例に係る熱暴走処理方法のフローチャート模式図である。該方法は、任意の種類の電池管理システム、例えば、
図1に示す電池管理システムによって実行することができる。
【0036】
具体的には、
図3を参照すると、該方法は、以下のステップを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0037】
S31:動力電池パックを構成する複数の電池モジュールにおける各電池モジュールの電池パラメータを取得する。
【0038】
前記動力電池パック内には、複数の電池モジュールが含まれ、電池モジュール間は、高電圧電圧ハーネスで直列または並列に接続され高電圧電力供給回路を構成し、各電池モジュールの特性は、その電池パラメータで表すことができる。具体的には、電池パラメータには、電池モジュールのリアルタイム電圧、電池モジュールのリアルタイム出力電流・電力、電池モジュールの基準電圧、及び電池モジュールをサンプリングするサンプリング信号等が含まれるが、これらに限定されない。ここで、各電池モジュールは、n個のコアを含み、各コアは、コア基準電圧、コアリアルタイム電圧などのコアパラメータを有し、n個のコアの総電圧が該電池モジュールの電圧を構成する。したがって、電池モジュールの電池パラメータは、電池モジュール内のコアパラメータによって表すこともできる。
【0039】
S32:前記複数の電池モジュールにおける各電池モジュールの電池パラメータに基づいて、第1の電池モジュールに熱暴走が発生したことを判断する。
【0040】
ある電池モジュールに熱暴走が発生すると、その電池パラメータは基準値に対して偏差が生じ、その偏差に基づいて電池モジュールに熱暴走現象が発生したことを判断することができる。具体的には、前記第1の電池モジュールのリアルタイム電圧と基準電圧との差が第3の予め設定された閾値以上である場合、及び/又は、前記電池モジュールのリアルタイム電圧変化率が第4の予め設定された閾値以上である場合、及び/又は、前記電池モジュールのリアルタイム電圧サンプリングが異常である場合、第1の電池モジュールに熱暴走が発生したと判断する。ここで、基準電圧は、電池モジュールが熱暴走する前の電圧であり、電池モジュールのリアルタイム電圧サンプリング異常は、電池モジュールの電圧をサンプリングするセンサの通信の異常を指すことができる。第3の予め設定された閾値及び第4の予め設定された閾値は、必要に応じて設定されてもよい。
【0041】
他のいくつかの実施例では、さらに、電池モジュール内のコアパラメータに基づいて、熱暴走が発生した第1の電池モジュールを判断してもよく、電池モジュール内の各コアに対して対応する識別を行い、いずれかのコアに異常があれば、そのコアを含む電池モジュールに熱暴走が発生したと判断する。具体的には、コアのリアルタイム電圧とコア基準電圧との差が設定閾値以上である場合、及び/又は、コアのリアルタイム電圧変化率が設定閾値以上である場合、及び/又は、コアの対応位置の電圧サンプリングを行うセンサの通信が異常である場合、及び/又は、該コアを含む電池モジュールの総電圧とn*V1(nは、電池モジュール内に含まれるコア数、V1は、コア基準電圧)との差が設定閾値より大きい場合、該電池モジュールに熱暴走が発生したと判断する。
【0042】
第1の電池モジュールに含まれる電池モジュールの数は、熱暴走が発生した全ての電池モジュールの数である。動力電池パック内の1番電池モジュールに熱暴走が発生すると、第1の電池モジュールは、該1番電池モジュールのみを含み、動力電池パック内の1番電池モジュール、3番電池モジュール及び4番電池モジュールに熱暴走が発生すると、第1の電池モジュールは、1番電池モジュール、3番電池モジュール及び4番電池モジュールを含む。
【0043】
S33:前記第1の電池モジュールに基づいて、前記動力電池パックから前記第1の電池モジュールを除いた少なくとも1つの電池モジュールである第2の電池モジュールを取得する。
【0044】
第2の電池モジュールは、熱暴走が発生していない電池モジュールのうちの一部の電池モジュール、さらには全ての電池モジュールである。一定の選択戦略に基づいて、動力電池パック内で熱暴走が発生していない電池モジュールから第2の電池モジュールを選択し、第2の電池モジュールは、直並列方式によって高電圧安全電力供給回路を構成して冷却システムに電力供給することができる。
【0045】
選択戦略は、様な戦略を含んでもよく、例えば、冷却システムの定格電圧及び/又は定格電力及び/又は定格電流等に基づいて、また、冷却システム内の冷却液の温度に基づいて、または、動力電池パック内の電池温度などの条件に基づいて、第2の電池モジュールを選択してもよい。具体的には、いくつかの実施例では、冷却システムの定格電圧に基づいて第2の電池モジュールを選択すると、前記第1の電池モジュールと前記冷却システムの定格電圧に基づいて、前記第2の電池モジュールが取得され、前記第2の電池モジュールの出力電圧は、前記冷却システムの定格電圧以上である。第2の電池モジュールによって構成できる高電圧回路の出力電圧は、冷却システムの正常な作動を保証することができる。例えば、熱暴走が発生していない電池モジュールが1番電池モジュール、3番電池モジュール及び4番電池モジュールであり、1番電池モジュール、3番電池モジュール及び4番電池モジュールのみによって構成される直列回路の出力電圧が冷却システムの定格電圧より大きいと、1番電池モジュール、3番電池モジュール及び4番電池モジュールを第2の電池モジュールとして選択する。
【0046】
いくつかの実施例では、冷却システムの定格電力に基づいて第2の電池モジュールが選択されると、第2の電池モジュールは、第1の電池モジュールと前記冷却システムの定格電力に基づいて取得され、前記第2の電池モジュールの出力電力は、前記冷却システムの定格電力以上である。第2の電池モジュールによって構成できる高電圧回路の出力電力は、冷却システムの正常な作動を保証することができる。例えば、熱暴走が発生していない電池モジュールが1番電池モジュール、3番電池モジュール及び4番電池モジュールであり、1番電池モジュール及び4番電池モジュールによって構成される直列回路の出力電力が冷却システムの定格電力より大きいと、1番電池モジュール及び4番電池モジュールを第2の電池モジュールとして選択することができる。
【0047】
他のいくつかの実施例では、冷却システムの定格電圧と動力電池パック内の電池温度に基づいて、第2の電池モジュールを選択するか、または、冷却システムの定格電圧と冷却液の温度に基づいて、第2の電池モジュールを選択する場合、熱暴走が発生していない電池モジュールは、複数の高電圧回路を構成することができ、かつ複数の高電圧回路の出力電圧がいずれも冷却システムの定格電圧より大きい場合、さらに動力電池パック内の電池温度または冷却液の温度に基づいて第2の電池モジュールを選択する。具体的には、電池温度が第1の電池温度閾値より高いか又は流出する冷却液温度が第1の冷却温度閾値より高い場合、出力電力の高い電池モジュールを第2の電池モジュールとして選択し、電池温度が第1の電池温度閾値よりも低くかつ第2の電池温度閾値よりも高いか、又は流出する冷却液温度が第1の冷却液温度閾値よりも低くかつ第2の冷却液温度閾値よりも高い場合、出力電力の低い電池モジュールを第2の電池モジュールとして選択する。例えば、熱暴走が発生していない電池モジュールが1番電池モジュール、3番電池モジュール及び4番電池モジュールであり、1番電池モジュールと3番電池モジュールによって構成される電力供給回路の出力電圧が冷却システムの定格電圧より大きく、出力電力がP1であり、かつ1番電池モジュールと4番電池モジュールによって構成される電力供給回路の出力電圧が同じく冷却システムの定格電圧より大きく、出力電力がP2であり、かつP1がP2より大きい場合、さらに、動力電池パック内の電池温度又は冷却液の温度に基づいて第2の電池モジュールを選択するが、動力電池パック内の電池温度が第1の電池温度閾値より高いか又は流出する冷却液温度が第1の冷却温度閾値より高い場合、1番電池モジュールと3番電池モジュールを第2の電池モジュールとして選択し、電池温度が第1の電池温度閾値より低くかつ第2の電池温度閾値より高いか、又は流出する冷却液温度が第1の冷却液温度閾値より低くかつ第2の冷却液温度閾値より高い場合、1番の電池モジュールと4番の電池モジュールを第2の電池モジュールとして選択する。
【0048】
いくつかの実施例では、電池管理システムとVCUとは相互に情報を交換し、電池管理システムが選択戦略に従って第2の電池モジュールを選択する。具体的には、電池管理システムは、車両制御ユニット(VCU)から送信された前記冷却システムの定格電圧を受信し、さらに前記冷却システムの定格電圧及び前記第1の電池モジュールに基づいて、前記第2の電池モジュールを取得する。
【0049】
冷却システムの定格電圧は、VCUに予め記憶されてもよく、VCUは、電池管理システムに該定格電圧を送信し、電池管理システムは、該定格電圧を取得し、かつ第1の電池モジュールの情報を取得し、さらに該定格電圧と第1の電池モジュールに基づいて、第2の電池モジュールを取得する。具体的な選択戦略は上記実施例と同様である。
【0050】
いくつかの実施例では、冷却液の温度を検出するセンサは、検出された冷却液の温度をVCUに伝送することもできる。VCUは、冷却液の温度と冷却システムの定格電圧を共に電池管理システムに伝送し、電池管理システムは、さらに冷却液の温度と冷却システムの定格電圧に基づいて第2の電池モジュールを選択する。
【0051】
いくつかの実施例では、動力電池パックの電池温度を検出するセンサは、検出された電池温度を電池管理システムに伝送し、VCUは、冷却システムの定格電圧を電池管理システムに伝送し、電池管理システムが電池温度と冷却システムの定格電圧に基づいて第2の電池モジュールを選択する。
【0052】
S34:前記第2の電池モジュールを用いて、前記動力電池パックを降温させる前記冷却システムに電力を供給する。
【0053】
第2の電池モジュール間は、高電圧ハーネスによって電力供給回路を構成し、冷却システムに電力を供給する。具体的には、冷却システム中の電池冷却器に電力を供給し、冷却液を強制的に冷却することができる。冷却システム中の水ポンプは、冷却液が電池パック内で循環するように、他の低圧電力によって駆動され、冷却システムは、動力電池パック内で熱暴走が発生した場合に正常に作動し、動力電池パックの温度を下げ、熱暴走によって生成された熱を持ち去り、かつ電池熱暴走の熱を吸収することで昇温した冷却液を強制的に冷やすことができ、冷却液の冷却効率を大幅に高め、放熱効果を高める。
【0054】
以上説明したように、動力電池パック内の電池モジュールに熱暴走が発生した場合、該熱暴走処理方法は、熱暴走が発生していない第2の電池モジュールを用いて冷却システムに電力を供給し、冷却システムを正常に作動させ、動力電池パック内の熱暴走によって生成された熱を持ち去り、動力電池パックの降温及び放熱を行い、良好な放熱効果を達成し、さらに動力電池パックの安全性を高めることができる。
【0055】
いくつかの実施例では、第2の電池モジュールを取得する際に、第2の電池モジュールによって構築され得る電力供給経路が利用可能であるかどうかを検出する必要がある。主に、第2の電池モジュールの電力供給経路の電圧差または電力に基づいて、第2の電池モジュールの電力供給経路を検出する。具体的には、前記第2の電池モジュールの電力供給経路の最高電圧端と最低電圧端との間の電圧差が第1の予め設定された閾値以下である場合、及び/又は、前記第2の電池モジュールの電力供給経路の電力が第2の予め設定された閾値よりも大きい場合、前記第2の電池モジュールを取得する。
【0056】
すなわち、第2の電池モジュールの電力供給経路の電圧差が正常及び/又は電力供給経路の電力が正常である場合、第2の電池モジュールの電力供給経路が利用可能であることを示すため、第2の電池モジュールを取得する。第2の電池モジュールにおけるモジュール間のいずれかの高電圧ハーネスに断線等の異常が発生したり、または第2の電池モジュール間がスイッチユニットを介して接続されていると、電力供給経路を構成する際に、スイッチユニットに対する制御信号に異常が発生し、スイッチユニットが正常にオンオフできなくなったりした場合、第2の電池モジュールの電力供給経路の電圧差の異常及び/又は電力供給経路の電力の異常を招きくため、第2の電池モジュールを再度取得する。
【0057】
第2の電池モジュールを再度取得する前に、正常にアクティブできなかったスイッチユニットを初期状態に保持する。すなわち、該スイッチユニットの初期状態がオフ状態であれば、常にオフ状態を維持し、スイッチユニットの初期状態がオン状態であれば、常にオン状態を維持し、その後、再び上記の選択戦略に従って第2の電池モジュールを選択する。正常にアクティブできないスイッチユニットを初期状態に維持し、さらに正常にアクティブできないスイッチユニットと電池モジュールを遮蔽すると、第2の電池モジュールの再度選択の選択効率を向上させることができる。
【0058】
第2の電池モジュールを選択するステップがVCUによって完成される場合、
図4を参照することができるが、
図4は、本出願の実施例に係る熱暴走処理方法のフローチャート模式図である。
図4に示すように、該熱暴走処理方法は、
電池管理システムが、動力電池パックを構成する複数の電池モジュールにおける各電池モジュールの電池パラメータを取得するステップS41と、
電池管理システムが、前記複数の電池モジュールにおける各電池モジュールの電池パラメータに基づいて、第1の電池モジュールに熱暴走が発生したことを判断するステップS42と、
電池管理システムが、第1の電池モジュールの情報を含む第1の情報を車両制御ユニット(VCU)に送信するステップS43と、
VCUが、前記冷却システムの定格電圧と前記第1の電池モジュールの情報に基づいて、第2の情報を生成するステップS44と、
電池管理システムが、VCUから送信された第2の電池モジュールの情報を含む前記第2の情報を取得するステップS45と、
電池管理システムが、第2の電池モジュールを用いて、動力電池パックを降温させる前記冷却システムに電力を供給するステップS46と、を含む。
【0059】
第1の電池モジュールに基づいて、第2の電池モジュールを取得するプロセスの一部は車両制御器(VCU)によって完成される。電池管理システムは、VCUと情報交換を行い、第2の電池モジュールを取得するステップを共に完成する。具体的には、電池管理システムは、第1の電池モジュールの情報を含む第1の情報を車両制御ユニット(VCU)に送信し、前記VCUが、前記冷却システムの定格電圧と前記第1の電池モジュールの情報に基づいて、前記第2の電池モジュールの情報を含む第2の情報を返すようにする。冷却システムの定格電圧は、VCUに予め記憶されてもよい。VCUは、また電池管理システムが送信する第1の電池モジュールの情報を取得すると、冷却システムの定格電圧と第1の電池モジュールの情報に基づいて、第2の電池モジュールを取得する。第2の電池モジュールを選択する選択戦略は、電池管理システムが第2の電池モジュールを選択する選択戦略と同じである。
【0060】
いくつかの実施例では、第1の情報は、VCUが冷却システムの定格電圧と電池温度に基づいて、または、冷却システムの定格電圧と冷却液の温度に基づいて、第2の電池モジュールが選択するように、動力電池パックの電池温度または冷却液の温度をさらに含んでもよい。
【0061】
したがって、電池管理システムとVCUとの間で相互に情報を交換し、VCUが選択戦略に従って第2の電池モジュールを選択し、さらに電池管理システムが第2の電池モジュールを用いて冷却システムに電力を供給し、良好な放熱効果を達成し、動力電池パックの安全性を向上させることができる。
【0062】
いくつかの実施例では、第2の電池モジュールの通電回路を検出する際に、電池管理システムとVCUとは相互に情報を交換し、VCUが第2の電池モジュールの電力供給経路を検出し、該電力供給経路が正常であるか否かを検出する。具体的には、電池管理システムは、前記第2の電池モジュールの電力供給経路の最高電圧端と最低電圧端との間の電圧差を車両制御ユニット(VCU)に送信し、前記VCUが前記第2の電池モジュールの電力供給経路の最高電圧端と最低電圧端との間の電圧差に基づいて前記第2の電池モジュールの情報を返すようにする。前記第2の電池モジュールの電力供給経路の最高電圧端と最低電圧端との間の電圧差が第1の予め設定された閾値以下である場合、前記VCUは、前記第2の電池モジュールの情報を返す。前記電圧差が第1の予め設定した閾値以下であることは、第2の電池モジュールの電力供給経路が正常であることを表す。その後、電池管理システムは、再び第2の電池モジュールの情報を取得し、第2の電池モジュールを用いて冷却システムに電力を供給する。
【0063】
他のいくつかの実施例では、電池管理システムがVCUに送信する情報は、第2の電池モジュールの電力供給経路の電力であり、VCUは、前記第2の電池モジュールの電力供給経路の電力に基づいて第2の電池モジュールの情報を返し、前記第2の電池モジュールの電力供給経路の電力が第2の予め設定された閾値より大きければ、前記VCUは、前記第2の電池モジュールの情報を返す。前記第2の電池モジュールの電力供給経路の電力が第2の予め設定された閾値より大きいことは、第2の電池モジュールの電力供給経路が正常であることを表す。その後、電池管理システムは、再び第2の電池モジュールの情報を取得し、第2の電池モジュールを用いて冷却システムに電力を供給する。
【0064】
したがって、電池管理システムは、第2の電池モジュールの電力供給経路の電圧差または第2の電池モジュールの電力供給経路の電力をVCUに送信し、VCUが該電力供給経路が正常であるか否かを判断する。正常であれば、VCUは、電池管理システムに第2の電池モジュールの情報を返し、電池管理システムは、第2の電池モジュール用いて冷却システムに電力を供給する。異常であれば、VCUは、電池管理システムに異常情報を返し、第2の電池モジュールは、電池管理システムまたはVCUによって再度選択される。
【0065】
以上説明したように、動力電池パック内の電池モジュールに熱暴走が発生した場合、該熱暴走処理方法は、熱暴走が発生していない第2の電池モジュールを用いて冷却システムに電力を供給し、冷却システムを正常に作動させ、動力電池パック内の熱暴走によって生成された熱を持ち去り、動力電池パックの降温及び放熱を行い、良好な放熱効果を達成し、さらに動力電池パックの安全性を高めることができる。
【0066】
熱暴走処理方法をより明確かつ包括的に説明するために、以下、熱暴走処理方法について、具体的な実施例を参照して詳細に説明する。
【0067】
図5を参照すると、
図5は、本出願の実施例に係る動力電池パックの構成模式図である。
図5に示すように、動力電池パック200内には、モジュール1とモジュール2、直並列回路及び回路間のリレーK1/K2/K3が含まれている。そのうち、モジュール1及びモジュール2は、単一の電池または複数の電池が直並列方式によって構成された電池モジュールを表しており、モジュール1とモジュール2の間には直列回路だけでなく並列回路もある。これは、モジュール1において、ある電池の熱暴走により直列回路が遮断された場合、回路間の切り替え設定により、動力電池パック200内の残り安全電池が高電圧安全回路を構成する可能性があることを意味する。
図5は、比較的簡単な直並列配置を示しており、実際の設計ニーズやモジュール内部の接続方式に応じて多段の直並列配置を可能としているのが実情であり、例えば、モジュール1の内部に、
図5に示すような直並列方式を設けることができる。これにより、複数の箇所で同時に電池の熱暴走が発生した場合でも、選択できる「代替ルート」がある。
【0068】
回路間のリレーK2とリレーK3は、BMSによって制御される能動/受動的に回路をオフ/オンする装置であり、電流信号/気圧/温度等によって駆動可能である。動力電池パック200において、ある箇所に電池の熱暴走状態が発生したことが認識された場合、熱暴走が発生した第1の電池モジュールを判断し、さらに上記実施例で述べた選択戦略に基づいて、第2の電池モジュールを取得し、最後に、リレーを切り替えることによって回路間の切り替えを行い、第2の電池モジュールの電力供給経路を実現し、動力電池パック200が冷却器の冷却に利用可能な高電圧安全回路を依然として有することを保証する。リレーは、モジュール間やサブモジュール間の接続回路に設けてもよいし、単体コアや単体モジュールの出力端子に設けてもよい。
【0069】
具体的には、
図6に示すように、該動力電池パック200が、モジュール3、モジュール4、及びリレーK4/K5/K6を含む場合、モジュール3とモジュール4の両方が200Vの電圧を供給することができる。通常の使用時には、動力電池パック200を400Vで充電/放電する必要がある場合、リレーK4がオン、リレーK5とリレーK6がオフになるように制御し、動力電池パック200の正常な使用を保証する。
【0070】
動力電池パック200において単一の電池の熱暴走が発生した場合、BMSは、電池モジュールのパラメータ(電圧/温度/気圧/通信信号などを含む)により熱暴走現象を判断し、BMSは、熱暴走が発生した第1の電池モジュールを決定する。第1の電池モジュールがモジュール3であり、さらに予備記憶ロジックによって第2の電池モジュールを取得し、第2の電池モジュールがモジュール4であると仮定すると、BMSは、リレースイッチング戦略を車両制御器(VCU)に出力し、車両制御器(VCU)は、リレースイッチング戦略に従って、リレーK6がオン、リレーK4及びリレーK5がオフになるように制御し、熱暴走が発生した電池モジュールを切断し、熱暴走が発生していない電池モジュール(モジュール4)によって高電圧安全回路を形成し、BMSは、モジュール4を用いて冷却システム300における電池冷却器に電力を供給し、同時に、VCUは、水ポンプを起動し、冷却液を循環させるため、冷却システム300の電池冷却器は冷却液を強制的に冷却し、動力電池パック200内部、特に熱暴走が発生した電池モジュール近傍の高温域の放熱を加速させることができる。
【0071】
図7を参照すると、
図7に示すように、該動力電池パック200は、モジュール6、モジュール7、モジュール9、及びモジュール10を含み、そのうち、モジュール6、モジュール7、モジュール9、及びモジュール10は、それぞれ100Vの電圧を供給することができる。モジュール6とモジュール7は、直列に接続してモジュール5を形成することができ、外部に200Vの電圧を供給する。モジュール9とモジュール10は、直列に接続してモジュール8を形成することができ、外部に200Vの電圧を供給する。動力電池パック内には、リレーK8/K9/K10/K11/K12/K13/K14/K15/K16がさらに含まれており、各リレーの状態を制御することにより、複数の高電圧回路を形成することができる。
【0072】
正常の使用では、動力電池パック200内を400Vで充電/放電する必要がある場合、リレーK8、リレーK11及びリレーK14は、オン状態となり、リレーK9、リレーK10、リレーK12、リレーK13、リレーK15及びリレーK16は、オフ状態となり、モジュール6、モジュール7、モジュール9及びモジュール10は、直列回路を形成し、動力電池パック200が正常に使用できることを保証し、400Vの電圧を正常に出力する。
【0073】
動力電池パック200内に単一の電池モジュールまたは2つの電池モジュールが同時に熱暴走が発生した場合、BMSは、収集した信号(電圧/温度/気圧/通信信号を含む)によって熱暴走警報が発生したと判断し、BMSは、プリセットロジックによって熱暴走電池位置の捕捉を行い、第1の電池モジュールを判断し(モジュール6とモジュール9に熱暴走が発生したと仮定する)、さらに予備記憶ロジックによって、モジュール7及びモジュール10のみが存在する回路がまだ安全な状態にあると判断する。この時点で、回路には、2種類の高電圧安全回路、すなわち100V高電圧安全回路と200V高電圧安全回路とを構築する可能性がある。冷却システムの定格電圧が100Vより小さい場合、第2の電池モジュールは、モジュール7またはモジュール10またはモジュール7及びモジュール10であってもよく、冷却システムの定格電圧が100Vより大きくかつ200Vより小さい場合、第2の電池モジュールは、モジュール7及びモジュール10である。したがって、プリセットロジックに基づいて、第2の電池モジュール及びその電力供給経路が取得される。
【0074】
200V高電圧安全回路を選択すると、BMSは、リレースイッチング戦略を車両制御器(VCU)に出力し、車両制御器(VCU)は、リレーK8、リレーK12、リレーK15が対応してオンになるように制御し、リレーK9、リレーK10、リレーK11、リレーK13、リレーK14、リレーK16が対応してオフになるように制御し、動力電池パック200内の他の電池モジュールの高電圧接続を遮断するとともに、高電圧安全回路を形成する。
【0075】
BMSは、車両制御器(VCU)に信号を出力して、水ポンプを起動し、冷却液を循環させるとともに、上記の高電圧安全回路を利用して冷却システム300に電力を供給し、冷却システム300中の電池冷却器を起動して、冷却液を強制的に冷却し、電池パック内部、特に熱暴走電池モジュール近傍の高温域の放熱を加速する。
【0076】
その時に、またある電池モジュールに熱暴走が発生した場合(モジュール7と仮定する)、BMSは、収集された信号(電圧/温度/気圧/通信信号を含む)によって熱暴走警報が発生したと判断し、BMSは、プリセットロジックによって熱暴走電池モジュール位置の捕捉を行い、モジュール7に熱暴走が発生したことを判断し(この場合、モジュール6、モジュール7及びモジュール9は、第1の電池モジュールである)、予備記憶ロジックによって、モジュール10のみが存在する回路がまだ安全な状態にある(この場合、モジュール10は、第2の電池モジュールである)と判断する。この時点でも、回路には、高電圧安全回路、すなわち100Vの高電圧安全回路を構築することが可能である。BMSは、リレースイッチング戦略を車両制御器(VCU)に出力し、車両制御器(VCU)は、リレーK10、リレーK15が対応してオンになるように制御し、リレーK8、リレーK9、リレーK11、リレーK12、リレーK13、リレーK14、リレーK16が対応してオフになるように制御し、動力電池パック200の高電圧接続を遮断するとともに、別の高電圧安全回路を形成する。
【0077】
BMSは、車両制御器(VCU)に信号を出力して、水ポンプを起動し、冷却液を循環させるとともに、上記の高電圧安全回路を利用して電池冷却システム300における電池冷却器に電力を供給し、電池冷却器を起動して、冷却液を強制的に冷却し、動力電池パック200内部、特に熱暴走電池モジュール近傍の高温域の放熱を加速する。
【0078】
以上に説明したように、動力電池パック内の電池モジュールに熱暴走が発生した場合、該熱暴走処理方法は、熱暴走が発生していない第2の電池モジュールを用いて冷却システムに電力を供給し、冷却システムを正常に作動させ、動力電池パック内の熱暴走によって生成された熱を持ち去り、動力電池パックの降温及び放熱を行い、良好な放熱効果を達成し、さらに動力電池パックの安全性を高めることができる。
【0079】
図8は、本出願の実施例に係る熱暴走処理装置の構成模式図である。該熱暴走処理装置は、動力電池パックを構成する複数の電池モジュールにおける各電池モジュールの電池パラメータを取得する取得モジュール801と、前記複数の電池モジュールにおける各電池モジュールの電池パラメータに基づいて、第1の電池モジュールに熱暴走が発生したことを判断する処理モジュール802とを含み、前記処理モジュール802は、前記第1の電池モジュールに基づいて、第2の電池モジュールを取得するためにも用いられ、前記第2の電池モジュールは、前記動力電池パックから前記第1の電池モジュールを除いた少なくとも1つの電池モジュールであり、前記処理モジュール802は、前記第2の電池モジュールを用いて冷却システムに電力を供給するためにも用いられ、前記冷却システムは、前記動力電池パックを降温するために用いられる。
【0080】
したがって、本実施例では、動力電池パック内の電池モジュールに熱暴走が発生した場合、該熱暴走処理装置は、熱暴走が発生していない第2の電池モジュールを用いて冷却システムに電力を供給し、冷却システムを正常に作動させ、動力電池パック内の熱暴走によって生成された熱を持ち去り、動力電池パックの降温及び放熱を行い、良好な放熱効果を達成し、さらに動力電池パックの安全性を向上させることができる。
【0081】
いくつかの実施例では、前記処理モジュール802は、前記第1の電池モジュールと前記冷却システムの定格電圧に基づいて、前記第2の電池モジュールを取得するために用いられ、前記第2の電池モジュールの出力電圧は、前記冷却システムの定格電圧以上である。
【0082】
いくつかの実施例では、前記処理モジュール802は、第1の電池モジュールの情報を含む第1の情報を車両制御器(VCU)に伝送して、前記VCUが前記冷却システムの定格電圧と前記第1の電池モジュールの情報に基づいて、第2の情報を生成するようにさせ、
前記車両制御ユニットによって送信された、前記第2の電池モジュールの情報を含む前記第2の情報を取得するために用いられる。
【0083】
いくつかの実施例では、前記処理モジュール802は、車両制御ユニット(VCU)によって送信された前記冷却システムの定格電圧を取得し、前記冷却システムの定格電圧と第1の電池モジュールに基づいて、前記第2の電池モジュールを取得するために用いられる。
【0084】
いくつかの実施例では、前記処理モジュール802は、前記第2の電池モジュールの電力供給経路の最高電圧端と最低電圧端との間の電圧差が第1の予め設定された閾値以下である場合、及び/又は、前記第2の電池モジュールの電力供給経路の電力が第2の予め設定された閾値よりも大きい場合、第2の電池モジュールを取得するために用いられる。
【0085】
いくつかの実施例では、前記処理モジュール802は、
前記第2の電池モジュールの電力供給経路の最高電圧端と最低電圧端との間の電圧差を車両制御ユニットに送信し、前記車両制御ユニットが、前記電圧差に基づいて前記第2の電池モジュールの情報を返すようにし、前記電圧差が第1の予め設定された閾値以下である場合、前記車両制御ユニットが前記第二電池モジュールの情報を返すようにし、前記第二電池モジュールの情報を取得するために用いられる。
【0086】
いくつかの実施例では、前記電池パラメータは、前記電池モジュールのリアルタイム電圧を含む。前記処理モジュール802は、前記第一電池モジュールのリアルタイム電圧と基準電圧との差が第3の予め設定された閾値以上である場合、及び/又は、前記電池モジュールのリアルタイム電圧変化率が第4の予め設定された閾値以上である場合、及び/又は、前記電池モジュールのリアルタイム電圧サンプリングが異常である場合、前記第1の電池モジュールに熱暴走が発生したと判断するために用いられる。
【0087】
なお、前記熱暴走処理装置は、上記の実施例における熱暴走処理方法と同様の発明思想に基づくものであるため、上記の方法の実施例における対応する内容は、装置の実施例にも同様に適用可能であり、ここでは詳細に説明しない。
【0088】
したがって、動力電池パック内の電池モジュールに熱暴走が発生した場合、該熱暴走処理装置は、熱暴走が発生していない第2の電池モジュールを用いて冷却システムに電力を供給し、冷却システムを正常に作動させ、動力電池パック内の熱暴走によって生成された熱を持ち去り、動力電池パックの降温及び放熱を行い、良好な放熱効果を達成し、さらに動力電池パックの安全性を向上させることができる。
【0089】
本出願の実施例は、また、コンピュータで実行可能な命令を記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体をさらに提供しており、該コンピュータで実行可能な命令は、
図2のプロセッサ101のような1つ以上のプロセッサによって実行され、1つ以上のプロセッサに、上述のいずれかの方法の実施例における熱暴走処理方法を実行させることができる。
【0090】
本出願の実施例は、また、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に記憶されたコンピュータプログラムを含むコンピュータプログラム製品を提供しており、前記コンピュータプログラムは、プログラム命令を含み、前記プログラム命令が制御ユニットにより実行されると、前記制御ユニットは、上記のいずれかに記載の熱暴走処理方法を実行する。
【0091】
上記の実施例の説明から、当業者には明らかなように、各実施例は、ソフトウェア及び汎用ハードウェアプラットフォームによって実現することができ、勿論、ハードウェアによって実現することもできる。当業者であれば、上述した実施例を実現する方法のフローの全部または一部が、コンピュータプログラム製品内のコンピュータプログラムによって関連するハードウェアを指示することによって実現され得ることを理解できる。前記コンピュータプログラムは、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に記憶されていてもよく、該コンピュータプログラムは、プログラム命令を含み、前記プログラム命令がドローンにより実行される場合、上述した各方法の実施例のフローをドローンに実行させることができる。ここで、前記記憶媒体は、磁気ディスク、光ディスク、読み出し専用メモリ(Read-Only Memory、ROM)、ランダムアクセスメモリ(Random AccesS Memory、RAM)等であってもよい。
【0092】
上記の製品は、本出願の実施例に係る熱暴走処理方法を実行し、熱暴走処理方法を実行するために対応する機能モジュール及び効果を有することができる。本実施例に詳細に記載されていない技術的詳細は、本出願の実施例に係る熱暴走処理方法を参照することができる。
【0093】
最後に、上記の実施例は、本出願の技術案を説明するためのものであり、本出願を限定するものではない。本出願の技術構想に基づき、以上の実施例または異なる実施例における技術的特徴を組み合わせることも可能であり、ステップは任意の順序で実現することができ、上述したように本出願の異なる態様の他の多くのバリエーションが存在するが、簡潔にするために、これらは詳細には記載されていない。本出願は、上記の実施例を参照して詳細に説明されているが、当業者であれば、上記の各実施例に記載された技術案を修正してもよいし、その技術的特徴の一部を同等に置換してもよいことを理解すべきでる。これらの修正または置換は、対応する技術案の本質を本出願の各実施例の技術案の範囲から逸脱させるものではない。