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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】エネルギー貯蔵システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20240319BHJP
   H01M 16/00 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
H02J7/02 H
H01M16/00
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2022544053
(86)(22)【出願日】2020-04-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-23
(86)【国際出願番号】 CN2020087918
(87)【国際公開番号】W WO2021217530
(87)【国際公開日】2021-11-04
【審査請求日】2022-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】521531171
【氏名又は名称】ファーウェイ デジタル パワー テクノロジーズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ,ホーァ
(72)【発明者】
【氏名】ワーン,ジャオホゥイ
(72)【発明者】
【氏名】ワーン,シュイン
(72)【発明者】
【氏名】ジャーン,イエンジョーン
【審査官】大濱 伸也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/081084(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0191173(US,A1)
【文献】国際公開第2018/222373(WO,A1)
【文献】特開2019-134636(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109217392(CN,A)
【文献】登録実用新案第3217529(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
H02J 3/38
H02J 1/00
H02J 1/10
H02J 13/00
H01M 16/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギー貯蔵システムであって、前記エネルギー貯蔵システムは少なくとも1つのエネルギー貯蔵ユニット・クラスタを含み、前記エネルギー貯蔵ユニット・クラスタは少なくとも2つのエネルギー貯蔵モジュールを含み、前記少なくとも2つのエネルギー貯蔵モジュールは直列に接続されており;前記エネルギー貯蔵システムは、第1バスと、第2バスと、前記エネルギー貯蔵ユニット・クラスタのセントラル化された監視システムとを更に含み、前記第2バスは直流バスであり;
前記エネルギー貯蔵ユニット・クラスタは、第1コンバータを使用することにより前記第1バスに結合され;
前記少なくとも2つのエネルギー貯蔵モジュールの各々は、1つのエネルギー貯蔵素子グループと1つの直流DC/DCコンバータとを含み、前記エネルギー貯蔵素子グループは、前記DC/DCコンバータを使用することにより前記第2バスに結合されており
前記セントラル化された監視システムは、制御バスを介して前記エネルギー貯蔵ユニット・クラスタに接続されるものであり、且つ補償電流をエネルギー貯蔵素子グループ端部に出力するか又は電流をエネルギー貯蔵素子グループ端部から引き出すように、前記エネルギー貯蔵ユニット・クラスタ内の何れかのエネルギー貯蔵モジュールにおけるDC/DCコンバータを制御するように構成されており、その結果、前記エネルギー貯蔵ユニット・クラスタ内の全てのエネルギー貯蔵モジュールのエネルギー貯蔵素子パラメータは一貫したものになり;
前記エネルギー貯蔵素子パラメータは、充/放電時間、充電状態SOC、放電深度DOD、ヘルス状態SOH、及びポート電圧のうちの1つを含み;
前記少なくとも2つのエネルギー貯蔵モジュールのうちの1つは、1つのバッテリー管理ユニットBMUを更に含み;
前記セントラル化された監視システムは、制御バスを介して、前記エネルギー貯蔵ユニット・クラスタ内の各エネルギー貯蔵モジュールのBMUに接続され、前記何れかのエネルギー貯蔵モジュールのBMUにおけるコントローラは、前記エネルギー貯蔵素子グループ端部への前記補償電流を生成するか又は前記電流を前記エネルギー貯蔵素子グループ端部から引き出すように、前記DC/DCコンバータを制御し、その結果、前記エネルギー貯蔵ユニット・クラスタ内の前記全てのエネルギー貯蔵モジュールの前記エネルギー貯蔵素子パラメータは一貫したものになり;
前記少なくとも2つのエネルギー貯蔵モジュールのうちの何れか1つにおけるDC/DCコンバータの第1入/出力端部は、エネルギー貯蔵素子グループに結合されており;及び前記少なくとも2つのエネルギー貯蔵モジュールの全てにおけるDC/DCコンバータの第2入/出力端部は、互いに直列に接続され、前記第2バスに結合されている、エネルギー貯蔵システム。
【請求項2】
請求項1に記載のエネルギー貯蔵システムにおいて、前記セントラル化された監視システムは前記第1コンバータに統合されている、エネルギー貯蔵システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のエネルギー貯蔵システムにおいて、前記何れかのエネルギー貯蔵モジュールはスイッチ・ブリッジ・アームを更に含み、前記スイッチ・ブリッジ・アームはマスター制御スイッチとバイパス・スイッチとを含み;
前記マスター制御スイッチの一方端は、前記何れかのエネルギー貯蔵モジュールにおける前記エネルギー貯蔵素子グループに接続され;及び前記マスター制御スイッチの他方端は、前記何れかのエネルギー貯蔵モジュールの入/出力端部として使用されるものであり;及び
前記バイパス・スイッチの一方端は、前記何れかのエネルギー貯蔵モジュールにおける前記エネルギー貯蔵素子グループの第1入/出力端部に接続され;及び前記バイパス・スイッチの他方端は、前記何れかのエネルギー貯蔵モジュールの第2入/出力端部に接続されている、エネルギー貯蔵システム。
【請求項4】
請求項1ないし3のうちの何れか一項に記載のエネルギー貯蔵システムにおいて、前記第1コンバータは第1ポートと第2ポートを含み、前記第1ポートは前記第1バスに結合され、前記第2ポートは前記エネルギー貯蔵ユニット・クラスタの入/出力端部に結合されており;及び
前記第2バスは、前記第1ポートに結合されている、エネルギー貯蔵システム。
【請求項5】
請求項1ないし3のうちの何れか一項に記載のエネルギー貯蔵システムにおいて、前記第1コンバータは第1ポートと第2ポートを含み、前記第1ポートは前記第1バスに結合され、前記第2ポートは前記エネルギー貯蔵ユニット・クラスタの入/出力端部に結合されており;及び
前記第2バスは、第2コンバータを使用することにより前記第1ポートに結合されている、エネルギー貯蔵システム。
【請求項6】
請求項1ないし3のうちの何れか一項に記載のエネルギー貯蔵システムにおいて、前記第1コンバータは第1ポートと第2ポートを含み、前記第1ポートは前記第1バスに結合され、前記第2ポートは前記エネルギー貯蔵ユニット・クラスタの入/出力端部に結合されており;及び
前記第2バスは、前記第2ポートに結合されている、エネルギー貯蔵システム。
【請求項7】
請求項1ないし3のうちの何れか一項に記載のエネルギー貯蔵システムにおいて、前記第1コンバータは第1ポートと第2ポートを含み、前記第1ポートは前記第1バスに結合され、前記第2ポートは前記エネルギー貯蔵ユニット・クラスタの入/出力端部に結合されており;及び
前記第2バスは、第2コンバータを使用することにより前記第2ポートに結合されている、エネルギー貯蔵システム。
【請求項8】
請求項4ないし7のうちの何れか一項に記載のエネルギー貯蔵システムにおいて、前記第1バスは直流バスであり、前記第1コンバータは双方向DC/DCコンバータであり、前記双方向DC/DCコンバータの回路トポロジは、非-絶縁回路トポロジであり、前記双方向DC/DCコンバータのブースト比率は、前記第1バスの電圧と前記エネルギー貯蔵ユニット・クラスタのポート電圧とに基づいて決定される、エネルギー貯蔵システム。
【請求項9】
請求項5ないし7のうちの何れか一項に記載のエネルギー貯蔵システムにおいて、前記第1バスは交流バスであり、前記第1コンバータは双方向DC/ACコンバータであり、前記双方向DC/ACコンバータの回路トポロジは、非-絶縁回路トポロジであり、前記双方向DC/ACコンバータのブースト比率は、前記エネルギー貯蔵ユニット・クラスタのポート電圧と前記第1バスの電圧とに基づいて決定される、エネルギー貯蔵システム。
【請求項10】
請求項5に記載のエネルギー貯蔵システムにおいて、
前記第1バスは直流バスであり、前記第2コンバータはDC/DCコンバータであるか;又は
前記第1バスは交流バスであり、前記第2コンバータはDC/ACコンバータであり;及び
前記第2コンバータのブースト比率は、前記第1バスの電圧と前記第2バスの電圧とに基づいて決定される、エネルギー貯蔵システム。
【請求項11】
請求項7に記載のエネルギー貯蔵システムにおいて、
前記第1バスは直流バスであり、前記第2コンバータはDC/DCコンバータであるか;又は
前記第1バスは交流バスであり、前記第1コンバータは双方向DC/ACコンバータであり、前記第2コンバータはDC/DCコンバータであり;及び
前記第2コンバータのブースト比率は、前記エネルギー貯蔵ユニット・クラスタのポート電圧と前記第2バスの電圧とに基づいて決定される、エネルギー貯蔵システム。
【請求項12】
請求項1ないし3のうちの何れか一項に記載のエネルギー貯蔵システムにおいて、前記何れかのエネルギー貯蔵モジュールにおける前記DC/DCコンバータは片方向DC/DCコンバータであり;
前記片方向DC/DCコンバータのエネルギー方向は、前記何れかのエネルギー貯蔵モジュールにおける前記エネルギー貯蔵素子グループから前記第2バスへ向かうものであり;
前記エネルギー貯蔵ユニット・クラスタの最大充電電流は、前記エネルギー貯蔵ユニット・クラスタにおける第1エネルギー貯蔵モジュールの容量に基づいて決定され、前記第1エネルギー貯蔵モジュールは、前記エネルギー貯蔵ユニット・クラスタに含まれるエネルギー貯蔵モジュールの最大容量を有するエネルギー貯蔵モジュールであり;及び
前記エネルギー貯蔵ユニット・クラスタの最大放電電流は、前記エネルギー貯蔵ユニット・クラスタにおける第2エネルギー貯蔵モジュールの容量に基づいて決定され、前記第2エネルギー貯蔵モジュールは、前記エネルギー貯蔵ユニット・クラスタに含まれるエネルギー貯蔵モジュールの最小容量を有するエネルギー貯蔵モジュールである、エネルギー貯蔵システム。
【請求項13】
請求項1ないし3のうちの何れか一項に記載のエネルギー貯蔵システムにおいて、前記何れかのエネルギー貯蔵モジュールにおける前記DC/DCコンバータは、片方向DC/DCコンバータであり;
前記片方向DC/DCコンバータのエネルギー方向は、前記第2バスから、前記何れかのエネルギー貯蔵モジュールにおける前記エネルギー貯蔵素子グループへ向かうものであり;
前記エネルギー貯蔵ユニット・クラスタの最大放電電流は、前記エネルギー貯蔵ユニット・クラスタにおける第1エネルギー貯蔵モジュールの容量に基づいて決定され、前記第1エネルギー貯蔵モジュールは、前記エネルギー貯蔵ユニット・クラスタに含まれるエネルギー貯蔵モジュールにおいて最大容量を有するエネルギー貯蔵モジュールであり;及び
前記エネルギー貯蔵ユニット・クラスタの最大充電電流は、前記エネルギー貯蔵ユニット・クラスタにおける第2エネルギー貯蔵モジュールの容量に基づいて決定され、前記第2エネルギー貯蔵モジュールは、前記エネルギー貯蔵ユニット・クラスタに含まれるエネルギー貯蔵モジュールにおいて最小容量を有するエネルギー貯蔵モジュールである、エネルギー貯蔵システム。
【請求項14】
請求項1ないし13のうちの何れか一項に記載のエネルギー貯蔵システムにおいて、前記エネルギー貯蔵システムは、複数のエネルギー貯蔵ユニット・クラスタを含み、前記複数のエネルギー貯蔵ユニット・クラスタは、前記第2バスを共有している、エネルギー貯蔵システム。
【請求項15】
請求項1ないし14のうちの何れか一項に記載のエネルギー貯蔵システムにおいて、前記第2バスの電圧は、40Vと100Vとの間、400Vと500Vとの間、又は900Vと1200Vとの間にある、エネルギー貯蔵システム。
【請求項16】
請求項1ないし15のうちの何れか一項に記載のエネルギー貯蔵システムにおいて、前記第1バスは、片方向DC/DCコンバータを使用することにより、太陽光発電システムに結合されている、エネルギー貯蔵システム。
【請求項17】
請求項1ないし15のうちの何れか一項に記載のエネルギー貯蔵システムにおいて、前記第1バスは、双方向DC/ACコンバータを使用することにより、交流負荷又は交流送電網に結合される、エネルギー貯蔵システム。
【請求項18】
エネルギー貯蔵システムであって、前記エネルギー貯蔵システムは少なくとも1つのエネルギー貯蔵ユニット・クラスタを含み、前記エネルギー貯蔵ユニット・クラスタは少なくとも2つのエネルギー貯蔵モジュールを含み、前記少なくとも2つのエネルギー貯蔵モジュールは直列に接続されており;前記エネルギー貯蔵システムは、第1バスと、第2バスと、前記エネルギー貯蔵ユニット・クラスタのセントラル化された監視システムとを更に含み、前記第2バスは交流バスであり;
前記エネルギー貯蔵ユニット・クラスタは、第1コンバータを使用することにより前記第1バスに結合され;
前記少なくとも2つのエネルギー貯蔵モジュールの各々は、1つのバッテリー管理ユニットBMUと、1つのエネルギー貯蔵素子グループと、1つの直流/交流(DC/AC)コンバータとを含み、前記エネルギー貯蔵素子グループは、前記DC/ACコンバータを使用することにより前記第2バスに結合されており
前記セントラル化された監視システムは、制御バスを介して前記エネルギー貯蔵ユニット・クラスタにおける各々のエネルギー貯蔵モジュールのBMUに接続され、何れかのエネルギー貯蔵モジュールのBMUにおけるコントローラは、エネルギー貯蔵素子グループ端部への補償電流を生成するか又は電流をエネルギー貯蔵素子グループ端部から引き出すように、DC/ACコンバータを制御し、その結果、前記エネルギー貯蔵ユニット・クラスタ内の全てのエネルギー貯蔵モジュールのエネルギー貯蔵素子パラメータは一貫したものになり;
前記エネルギー貯蔵素子パラメータは、充/放電時間、充電状態SOC、放電深度DOD、ヘルス状態SOH、及びポート電圧のうちの1つを含み;
前記少なくとも2つのエネルギー貯蔵モジュールのうちの何れか1つにおけるDC/ACコンバータの第1入/出力端部は、エネルギー貯蔵素子グループに結合されており;及び前記少なくとも2つのエネルギー貯蔵モジュールの全てにおけるDC/ACコンバータの第2入/出力端部は、互いに直列に接続され、前記第2バスに結合されている、エネルギー貯蔵システム。
【請求項19】
請求項18に記載のエネルギー貯蔵システムにおいて、前記セントラル化された監視システムは前記第1コンバータに統合されている、エネルギー貯蔵システム。
【請求項20】
請求項18又は19に記載のエネルギー貯蔵システムにおいて、前記何れかのエネルギー貯蔵モジュールはスイッチ・ブリッジ・アームを更に含み、前記スイッチ・ブリッジ・アームはマスター制御スイッチとバイパス・スイッチとを含み;
前記マスター制御スイッチの一方端は、前記何れかのエネルギー貯蔵モジュールにおける前記エネルギー貯蔵素子グループに接続され;及び前記マスター制御スイッチの他方端は、前記何れかのエネルギー貯蔵モジュールの入/出力端部として使用されるものであり;及び
前記バイパス・スイッチの一方端は、前記何れかのエネルギー貯蔵モジュールにおける前記エネルギー貯蔵素子グループの第1入/出力端部に接続され;及び前記バイパス・スイッチの他方端は、前記何れかのエネルギー貯蔵モジュールの第2入/出力端部に接続されている、エネルギー貯蔵システム。
【請求項21】
請求項18ないし20のうちの何れか一項に記載のエネルギー貯蔵システムにおいて、前記第1コンバータは第1ポートと第2ポートを含み、前記第1ポートは前記第1バスに結合され、前記第2ポートは前記エネルギー貯蔵ユニット・クラスタの入/出力端部に結合されており;及び
前記第2バスは、前記第1ポートに結合されている、エネルギー貯蔵システム。
【請求項22】
請求項18ないし20のうちの何れか一項に記載のエネルギー貯蔵システムにおいて、前記第1コンバータは第1ポートと第2ポートを含み、前記第1ポートは前記第1バスに結合され、前記第2ポートは前記エネルギー貯蔵ユニット・クラスタの入/出力端部に結合されており;及び
前記第2バスは、第2コンバータを使用することにより前記第1ポートに結合されている、エネルギー貯蔵システム。
【請求項23】
請求項18ないし20のうちの何れか一項に記載のエネルギー貯蔵システムにおいて、前記第1コンバータは第1ポートと第2ポートを含み、前記第1ポートは前記第1バスに結合され、前記第2ポートは前記エネルギー貯蔵ユニット・クラスタの入/出力端部に結合されており;及び
前記第2バスは、前記第2ポートに結合されている、エネルギー貯蔵システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本件は、バッテリー・エネルギー貯蔵技術の分野に関連し、特にエネルギー貯蔵システムに関連する。
【背景技術】
【0002】
[0002] バッテリー・コストの急速な減少とともに、大規模な太陽光発電や風力発電の深刻な絶え間ない問題を克服するために、用途の柔軟性、制御性、及びエネルギー密度のような特徴に起因して、バッテリーのエネルギー貯蔵は、発電側と電力消費側の双方で急速に発展しており、導入される容量も大幅に増加している。しかしながら、単一のバッテリー・モジュールの電圧は、通常、比較的小さく、複数のバッテリー・モジュールの直列接続を通じて得られる電圧でさえ、大規模なエネルギー貯蔵の要件を充足することはできない。従って、コストとパフォーマンスのバランスをとるために、従来技術では、複数のバッテリー・モジュールを直列に接続して複数のバッテリー・クラスタを取得し、複数のバッテリー・クラスタを並列に接続し、そして複数のバッテリー・クラスタが1つの直流(direct current, DC)/交流(direct current, AC)インバータを共有し、大規模エネルギー貯蔵における貯蔵バッテリーと送電網との間のエネルギー交換を実現している。
【0003】
[0003] バッテリーのパフォーマンスは、使用時間が長くなるにつれて徐々に低下し、バッテリーの貯蔵容量は、バッテリーのサービス・ライフが長くなるにつれて年々減少しており、異なるバッテリー・モジュール間の貯蔵容量の間の相違はますます顕著になりつつある。更に、バッテリー・モジュールは直列に接続されており、同じバッテリー・クラスタ内のバッテリー・モジュールの充電及び放電時間は同じであり、更に言えば、バッテリー・モジュール間の相違はより大きい。従って、単一のバッテリーのクラスタ内の任意のバッテリー・モジュールの安全性及び利用可能性を保証するために、ボトルネック・バッテリー・モジュールの制限を考慮する必要があり、バッテリーのクラスタ全体がディレーティングされる。その結果、バッテリーの無駄使いが引き起こされる。更に、バッテリー・クラスタの単純な並列接続は、異なるバッテリー内部抵抗やバッテリー・ポート電圧に起因して、異なるバッテリー・クラスタ間で一貫していない充放電を引き起こす。その結果、バッテリーの利用率が制限される。従って、バッテリー間の差異をどのように解決し、バッテリー利用を最大化するかは、現在緊急に解決されることを必要とする技術的課題の1つである。
【発明の概要】
【0004】
[0004] 本願は、エネルギー貯蔵モジュールの制御柔軟性を改善し、エネルギー貯蔵システムの管理効果を高めるエネルギー貯蔵システムを提供する。エネルギー貯蔵システムは強力な適用可能性を有する。
【0005】
[0005] 第1態様によれば、本件はエネルギー貯蔵システムを提供し、エネルギー貯蔵システムは少なくとも1つのエネルギー貯蔵ユニット・クラスタを含む。エネルギー貯蔵ユニット・クラスタは、少なくとも2つのエネルギー貯蔵モジュールを含み、少なくとも2つのエネルギー貯蔵モジュールは、互いに直列に接続されており、換言すれば、エネルギー貯蔵ユニット・クラスタは、直列に接続された1つ以上のエネルギー貯蔵モジュールを含む。エネルギー貯蔵システムは、第1バスと、第2バスと、エネルギー貯蔵ユニット・クラスタのセントラル化された監視システムとを更に含む。本件における第1バスは交流バスであってもよいし、又は直流バスであってもよい。第2バスは直流バスである。エネルギー貯蔵ユニット・クラスタは、第1コンバータを使用することにより第1バスに結合される。エネルギー貯蔵ユニット・クラスタにおけるエネルギー貯蔵モジュールのうちの1つは、1つのエネルギー貯蔵素子グループと1つのDC/DCコンバータとを含み、エネルギー貯蔵素子グループは、DC/DCコンバータを使用することにより第2バスに結合されている。セントラル化された監視システムは、制御バスを介してエネルギー貯蔵ユニット・クラスタに接続されるものであり、且つ補償電流をエネルギー貯蔵素子グループ端部に出力するか又は電流をエネルギー貯蔵素子グループ端部から引き出すように、エネルギー貯蔵ユニット・クラスタ内の何れかのエネルギー貯蔵モジュールにおけるDC/DCコンバータを制御するように構成されており、その結果、エネルギー貯蔵ユニット・クラスタ内の全てのエネルギー貯蔵モジュールのエネルギー貯蔵素子パラメータは一貫したものになる。
【0006】
[0006] 第1態様に関し、第1の可能な実装において、少なくとも2つのエネルギー貯蔵モジュールのうちの1つは、1つのバッテリー管理ユニットBMUを更に含む。セントラル化された監視システムは、制御バスを介して、エネルギー貯蔵ユニット・クラスタ内の各エネルギー貯蔵モジュールのBMUに接続され、何れかのエネルギー貯蔵モジュールのBMUにおけるコントローラは、エネルギー貯蔵素子グループ端部への補償電流を生成するか又は電流をエネルギー貯蔵素子グループ端部から引き出すように、DC/DCコンバータを制御し、その結果、エネルギー貯蔵ユニット・クラスタ内の全てのエネルギー貯蔵モジュールのエネルギー貯蔵素子パラメータは一貫したものになる。換言すれば、各バッテリー・モジュール内のBMUは、バッテリー・モジュール内のDC/DCコンバータを制御して、エネルギー貯蔵素子グループ端部への補償電流を生成するか、又は電流をエネルギー貯蔵素子グループ端部から引き出すことが可能であり、その結果、バッテリー・クラスタ内の全てのエネルギー貯蔵モジュールのエネルギー貯蔵素子パラメータは一貫している。本件で説明される全てのエネルギー貯蔵モジュールのエネルギー貯蔵素子パラメータが一貫していることは、全てのエネルギー貯蔵モジュールのエネルギー貯蔵素子パラメータが同一であること(又は等しいこと)、又は全てのエネルギー貯蔵モジュールのエネルギー貯蔵素子パラメータ間の差分が、予め設定された誤差範囲内にあること、であってもよいことを理解することが可能である。
【0007】
[0007] 本件において、エネルギー貯蔵ユニット・クラスタ内の各バッテリー・モジュール内のBMUは、全てのエネルギー貯蔵モジュール間の相違をより良く解決するために、エネルギー貯蔵モジュール内の各エネルギー貯蔵素子グループとDC/DCコンバータの状態検出及び制御のために使用されることが可能である。これは、エネルギー貯蔵システムの効率的な管理及び制御を実現する。本件で提供されるエネルギー貯蔵システムではエネルギー貯蔵モジュール間の相違を解決し、エネルギー貯蔵システム内の各エネルギー貯蔵モジュールの制御柔軟性を改善し、エネルギー貯蔵システムの管理有効性を高めるために、2つのバスを介してエネルギー貯蔵システム内の各エネルギー貯蔵モジュールで充放電管理が実施されてもよい。エネルギー貯蔵システムは強力な適用可能性を有する。
【0008】
[0008] 第1態様又は第1態様の第1の可能な実装に関し、第2の可能な実装において、何れかのエネルギー貯蔵モジュールにおけるDC/DCコンバータの第1入/出力端部は、エネルギー貯蔵モジュールにおけるエネルギー貯蔵素子グループに結合されており;及び全てのエネルギー貯蔵モジュールにおけるDC/DCコンバータの第2入/出力端部は、互いに直列に接続され、そして第2バスに結合される。
【0009】
[0009] 第1態様又は第1態様の第1の可能な実装に関し、第3の可能な実装において、何れかのエネルギー貯蔵モジュールにおけるDC/DCコンバータの第1入/出力端部は、エネルギー貯蔵モジュールにおけるエネルギー貯蔵素子グループに結合されており;及び全てのエネルギー貯蔵モジュールにおけるDC/DCコンバータの第2入/出力端部は、第2バスに並列に結合される。
【0010】
[0010] ここで、何れかのエネルギー貯蔵モジュール内のDC/DCコンバータが、エネルギー貯蔵モジュール内に含まれるエネルギー貯蔵素子グループから電流を引き出す場合、エネルギー貯蔵モジュール内のDC/DCコンバータの第1入/出力端部は入力端部であり、DC/DCコンバータの第2入/出力端部は出力端部である。何れかのエネルギー貯蔵モジュール内のDC/DCコンバータがエネルギー貯蔵素子グループのための補償電流を生成する場合、エネルギー貯蔵モジュール内のDC/DCコンバータの第1入/出力端部は出力端部であり、エネルギー貯蔵モジュール内のDC/DCコンバータの第2入/出力端部は入力端部である。本件で提供されるエネルギー貯蔵システムにおいて、第2バスは、エネルギー貯蔵ユニット・クラスタにおける全てのエネルギー貯蔵モジュール内のDC/DCコンバータの入/出力端部を直列に接続することによって形成されてもよいし、又は全てのエネルギー貯蔵モジュール内のDC/DCコンバータの入/出力端部を並列に接続することによって形成されてもよい。第2バスは様々な構成モードを有する。この運用はフレキシブルであり、エネルギー貯蔵システムは強力な適用可能性を有する。
【0011】
[0011] 第1態様に関し、第4の可能な実装において、セントラル化された監視システムは第1コンバータに統合されている。
【0012】
[0012] 本件で提供されるエネルギー貯蔵システムにおいて、セントラル化された監視システムは、エネルギー貯蔵ユニット・クラスタにおける各エネルギー貯蔵モジュール内のBMUとの情報のやり取りを実行して、エネルギー貯蔵システムのエネルギー貯蔵制御をより良好に実施することができる。セントラル化された監視システムが独立して配置された回路基板又は回路モジュールとして使用される場合、第1コンバータにおいてコントローラとの情報のやり取りが実施され、セントラル化された監視システムは、制御バスを介してエネルギー貯蔵ユニット・クラスタにおける各エネルギー貯蔵モジュールに接続される。代替的に、セントラル化された監視システムとエネルギー貯蔵モジュールとの間の情報のやり取りの仕方は、無線通信、直流電力キャリア通信などであってもよい。セントラル化された監視システムが、独立した回路基板又は回路モジュールとして第1コンバータに統合される場合、エネルギー貯蔵システムのシステム構造をシンプルにすることが可能である。セントラル化された監視システムが、独立した回路基板又は回路モジュールとして第1コンバータに統合されることは、制御バスの接続を促す。
【0013】
[0013] 第1態様の第4の可能な実装又は第1態様の第4の可能な実装に関し、第5の可能な実装において、エネルギー貯蔵ユニット・クラスタにおける何れかのエネルギー貯蔵モジュールはスイッチ・ブリッジ・アームを更に含み、スイッチ・ブリッジ・アームはマスター制御スイッチとバイパス・スイッチとを含む。マスター制御スイッチの一方端は、エネルギー貯蔵モジュールにおけるエネルギー貯蔵素子グループに接続され;及びマスター制御スイッチの他方端は、エネルギー貯蔵モジュールの入/出力端部として使用される。バイパス・スイッチの一方端は、エネルギー貯蔵モジュールにおけるエネルギー貯蔵素子グループの第1入/出力端部に接続され;及びバイパス・スイッチの他方端は、エネルギー貯蔵モジュールの第2入/出力端部に接続される。ここで、何れかのエネルギー貯蔵モジュール内のスイッチ・ブリッジ・アームは、エネルギー貯蔵モジュール内のBMU内に統合されることが可能であり、BMUは、スイッチ・ブリッジ・アームにおけるマスター制御スイッチとバイパス・スイッチの導通又は切断を制御する。エネルギー貯蔵システムがエネルギー貯蔵素子グループを充電する場合に、エネルギー貯蔵素子グループの第1入/出力端部は、エネルギー貯蔵素子グループの入力端部であり、エネルギー貯蔵素子グループの第2入/出力端部は、エネルギー貯蔵素子グループの出力端部である。エネルギー貯蔵素子グループが放電される場合、エネルギー貯蔵素子グループの第1入/出力端部は、エネルギー貯蔵素子グループの出力端部であり、エネルギー貯蔵素子グループの第2入/出力端部は、エネルギー貯蔵素子グループの入力端部である。
【0014】
[0014] 本件において、単一のエネルギー貯蔵モジュールの柔軟な制御は、エネルギー貯蔵モジュール内のDC/DCコンバータのエネルギー管理能力と、エネルギー貯蔵モジュールが配置されているエネルギー貯蔵ユニット・クラスタに接続された第1コンバータのエネルギー管理能力とを組み合わせて、各エネルギー貯蔵モジュール内のスイッチ・ブリッジ・アームを使用することによって実現することが可能である。この運用はフレキシブルであり、エネルギー貯蔵システムは高い適用可能性を有する。
【0015】
[0015] 第1態様の第4の可能な実装ないし第1態様の第5の可能な実装のうちの任意の何れかに関し、第6の可能な実装において、第1コンバータは第1ポートと第2ポートを含み、第1ポートは第1バスに結合され、第2ポートはエネルギー貯蔵ユニット・クラスタの入/出力端部に結合されており;及び第2バスは、第1ポートに結合されている。
【0016】
[0016] 第1態様の第4の可能な実装ないし第1態様の第5の可能な実装のうちの任意の何れかに関し、第7の可能な実装において、第1コンバータは第1ポートと第2ポートを含み、第1ポートは第1バスに結合され、第2ポートはエネルギー貯蔵ユニット・クラスタの入/出力端部に結合されており;及び第2バスは、第2コンバータを使用することにより第1ポートに結合されている。
【0017】
[0017] 第1態様の第4の可能な実装ないし第1態様の第5の可能な実装のうちの任意の何れかに関し、第8の可能な実装において、第1コンバータは第1ポートと第2ポートを含み、第1ポートは第1バスに結合され、第2ポートはエネルギー貯蔵ユニット・クラスタの入/出力端部に結合されており;及び第2バスは、第2ポートに結合されている。
【0018】
[0018] 第1態様の第4の可能な実装ないし第1態様の第5の可能な実装のうちの任意の何れかに関し、第9の可能な実装において、第1コンバータは第1ポートと第2ポートを含み、第1ポートは第1バスに結合され、第2ポートはエネルギー貯蔵ユニット・の入/出力端部に結合されており;及び第2バスは、第2コンバータを使用することにより第2ポートに結合されている。
【0019】
[0019] 本件において、第1バスと第2バスは複数の方法で接続される可能性があり、第1コンバータと第2コンバータの選択は、代替的に、第1バスと第2バスとの間の接続方法及び電圧変換要件に基づいて、適応的に調整されてもよい。この運用はフレキシブルであり、エネルギー貯蔵システムは高い適用可能性を有する。
【0020】
[0020] 第1態様の第7の可能な実装ないし第1態様の第9の可能な実装のうちの任意の何れかに関し、第10の可能な実装において、第1バスは直流バスであり、第1コンバータは双方向DC/DCコンバータである。
【0021】
[0021] 第1態様の第10の可能な実装に関し、第11の可能な実装において、双方向DC/DCコンバータの回路トポロジは、非-絶縁回路トポロジであり、双方向DC/DCコンバータのブースト比率は、前記第1バスの電圧とエネルギー貯蔵ユニット・クラスタのポート電圧とに基づいて決定される。
【0022】
[0022] 第1態様の第8の可能な実装ないし第1態様の第9の可能な実装のうちの任意の何れかに関し、第12の可能な実装において、第1バスは交流バスであり、第1コンバータは双方向DC/ACコンバータである。
【0023】
[0023] 第1態様の第12の可能な実装に関し、第13の可能な実装において、双方向DC/ACコンバータの回路トポロジは、非-絶縁回路トポロジであり、双方向DC/ACコンバータのブースト比率は、エネルギー貯蔵ユニット・クラスタのポート電圧と第1バスの電圧とに基づいて決定される。
【0024】
[0024] 本件において、第1コンバータのタイプは、第1コンバータに接続されたエネルギー貯蔵ユニット・クラスタのポート電圧と第1バスの電圧との間の電圧変換要件、及び第1バスの電流タイプに基づいて決定されてもよい。この運用はフレキシブルであり、第1コンバータは、複数のアプリケーション・シナリオに適用可能である。
【0025】
[0025] 第1態様の第6の可能な実装に関し、第14の可能な実装において、第1バスは直流バスであり、第2コンバータはDC/DCコンバータであり、第2コンバータのブースト比率は、第1バスの電圧と第2バスの電圧とに基づいて決定される。
【0026】
[0026] 第1態様の第6の可能な実装に関し、第15の可能な実装において、第1バスは交流バスであり、第2コンバータはDC/ACコンバータであり、第2コンバータのブースト比率は、第1バスの電圧と第2バスの電圧とに基づいて決定される。
【0027】
[0027] 第1態様の第8の可能な実装に関し、第16の可能な実装において、第1バスは直流バスであり、第2コンバータはDC/DCコンバータであり、第2コンバータのブースト比率は、エネルギー貯蔵ユニット・クラスタのポート電圧と第2バスの電圧とに基づいて決定される。
【0028】
[0028] 本件において、第2コンバータのタイプは、第1コンバータに接続されたエネルギー貯蔵ユニット・クラスタのポート電圧と第1バスとの間の電圧変換要件、及び第1バスの電流タイプに基づいて決定されてもよい。この運用はフレキシブルであり、第2コンバータは、複数のアプリケーション・シナリオに適用可能である。
【0029】
[0029] 第1態様の第8の可能な実装に関し、第17の可能な実装において、第1バスは交流バスであり、第1コンバータはDC/ACコンバータであり、第2コンバータはDC/DCコンバータであり、第2コンバータのブースト比率は、エネルギー貯蔵ユニット・クラスタのポート電圧と第2バスの電圧とに基づいて決定される。
【0030】
[0030] 本件において、第2コンバータのタイプは、第1コンバータに接続されたエネルギー貯蔵ユニット・クラスタのポート電圧と第1バスとの間の電圧変換要件、及び第1バスの電流タイプに基づいて決定されてもよい。
【0031】
[0031] 第1態様に関し、第18の可能な実装において、エネルギー貯蔵素子パラメータは、充/放電時間、充電状態SOC、放電深度DOD、ヘルス状態SOH、及びポート電圧などを含む。
【0032】
[0032] 本件において、第1バスと第2バスのシステム・エネルギー・スケジューリング、及び全てのエネルギー貯蔵モジュールにおけるコンバータの協調制御を通じて、全てのエネルギー貯蔵モジュールのエネルギー貯蔵素子パラメータが一貫性したものであること、エネルギー貯蔵モジュールの能力が完全に活用されること、そしてエネルギー貯蔵モジュールの利用率が増加すること、を保証することができる。エネルギー貯蔵システムは高い適用可能性を有する。
【0033】
[0033] 第1態様ないし第1態様の第4の可能な実装に関し、第19の可能な実装において、何れかのエネルギー貯蔵モジュールにおけるDC/DCコンバータは、片方向DC/DCコンバータである。ここで、片方向DC/DCコンバータのエネルギー方向は、何れかのエネルギー貯蔵モジュールにおけるエネルギー貯蔵素子グループから第2バスへ向かうものである。
【0034】
[0034] 第1態様の第19の可能な実装に関し、第20の可能な実装において、エネルギー貯蔵ユニット・クラスタの最大充電電流は、エネルギー貯蔵ユニット・クラスタにおける第1エネルギー貯蔵モジュールの容量に基づいて決定される。ここで、第1エネルギー貯蔵モジュールは、エネルギー貯蔵ユニット・クラスタに含まれるエネルギー貯蔵モジュールの最大容量を有するエネルギー貯蔵モジュールである。エネルギー貯蔵ユニット・クラスタの最大放電電流は、エネルギー貯蔵ユニット・クラスタにおける第2エネルギー貯蔵モジュールの容量に基づいて決定される。ここで、第2エネルギー貯蔵モジュールは、エネルギー貯蔵ユニット・クラスタに含まれるエネルギー貯蔵モジュールの最小容量を有するエネルギー貯蔵モジュールである。
【0035】
[0035] 本件において、充電及び放電管理がエネルギー貯蔵モジュールにおいて実行される場合、エネルギー貯蔵ユニット・クラスタの最大の充放電電流は、エネルギー貯蔵ユニット・クラスタ内の全てのエネルギー貯蔵モジュールの容量に基づいて制限されることが可能である。エネルギー貯蔵ユニット・クラスタ全体における全てのエネルギー貯蔵素子グループのバッテリー充電時間が一貫していることを保証するために、エネルギー貯蔵ユニット・クラスタの最大の充放電電流が制限される。このように、エネルギー貯蔵ユニット・クラスタ内の全てのエネルギー貯蔵モジュールのエネルギー・バランシング管理を実施することができる。
【0036】
[0036] 第1態様ないし第1態様の第4の可能な実装に関し、第21の可能な実装において、何れかのエネルギー貯蔵モジュールにおけるDC/DCコンバータは、片方向DC/DCコンバータである。ここで、片方向DC/DCコンバータのエネルギー方向は、第2バスから、何れかのエネルギー貯蔵モジュールにおけるエネルギー貯蔵素子グループへ向かうものである。
【0037】
[0037] 第1態様の第21の可能な実装に関し、第22の可能な実装において、エネルギー貯蔵ユニット・クラスタの最大放電電流は、エネルギー貯蔵ユニット・クラスタにおける第1エネルギー貯蔵モジュールの容量に基づいて決定され、第1エネルギー貯蔵モジュールは、エネルギー貯蔵ユニット・クラスタに含まれるエネルギー貯蔵モジュールの最大容量を有するエネルギー貯蔵モジュールである。エネルギー貯蔵ユニット・クラスタの最大充電電流は、エネルギー貯蔵ユニット・クラスタにおける第2エネルギー貯蔵モジュールの容量に基づいて決定され、第2エネルギー貯蔵モジュールは、エネルギー貯蔵ユニット・クラスタに含まれるエネルギー貯蔵モジュールにおいて最小容量を有するエネルギー貯蔵モジュールである。
【0038】
[0038] 本件において、各エネルギー貯蔵モジュールにおけるコンバータの電力方向が調整されるので、エネルギー貯蔵システムにおける各エネルギー貯蔵モジュールの充/放電管理方法もまた、適応的に調整されることが可能である。この運用はフレキシブルであり、エネルギー貯蔵システムは強力な適用可能性を有する。
【0039】
[0039] 第1態様ないし第1態様の第22の可能な実装に関し、第23の可能な実装において、エネルギー貯蔵システムは、複数のエネルギー貯蔵ユニット・クラスタを含み、この場合、エネルギー貯蔵システムにおける複数のエネルギー貯蔵ユニット・クラスタは、第2バスを共有している。
【0040】
[0040] 本件において、第2バスは、独立してバスを形成し、単一のエネルギー貯蔵ユニット・クラスタ内の様々なエネルギー貯蔵モジュール間のエネルギー・バランス管理を実施する。エネルギー貯蔵システム内に複数のエネルギー貯蔵ユニット・クラスタが存在する場合、代替的に、同一の第2バスが、異なるエネルギー貯蔵ユニット・クラスタ間で構築されてもよく、その結果、単一のエネルギー貯蔵ユニット・クラスタ内の異なるエネルギー貯蔵モジュール間のエネルギーと、異なるエネルギー貯蔵ユニット・クラスタ内のエネルギー貯蔵モジュール間のエネルギーとのバランスをとることが可能である。この運用はフレキシブルである。
【0041】
[0041] 第1態様ないし第1態様の第23の可能な実装に関し、第24の可能な実装において、第2バスの電圧は、40Vと100Vとの間、400Vと500Vとの間、又は900Vと1200Vとの間にある。
【0042】
[0042] 第1態様ないし第1態様の第24の可能な実装に関し、第25の可能な実装において、第1バスは、片方向DC/DCコンバータを使用することにより、太陽光発電システムに結合されている。
【0043】
[0043] 第1態様ないし第1態様の第24の可能な実装に関し、第26の可能な実装において、第1バスは、双方向DC/ACコンバータを使用することにより、交流負荷又は交流送電網に結合される。
【0044】
[0044] 本件で提供されるエネルギー貯蔵システムは、複数の異なる適用シナリオに適合させることが可能である。第1バスは、異なるコンバータを使用することによって、直流と送電網交流との間のエネルギーのやり取りを実現することが可能であり、また、太陽光エネルギーの効率的な利用を実現することも可能である。エネルギー貯蔵システムは、幅広い適用範囲を有する。
【0045】
[0045] 第2態様によれば、本件はエネルギー貯蔵システムを提供し、エネルギー貯蔵システムは少なくとも1つのエネルギー貯蔵ユニット・クラスタを含み、エネルギー貯蔵ユニット・クラスタは少なくとも2つのエネルギー貯蔵モジュールを含み、少なくとも2つのエネルギー貯蔵モジュールは直列に接続されており、換言すれば、エネルギー貯蔵ユニット・クラスタは、直列に接続された1つ以上のエネルギー貯蔵モジュールを含む。エネルギー貯蔵システムは、第1バスと、第2バスと、エネルギー貯蔵ユニット・クラスタのセントラル化された監視システムとを更に含む。本件における第1バスは、直流バス又は交流バスであってもよい。第2バスは交流バスである。エネルギー貯蔵ユニット・クラスタは、第1コンバータを使用することによって第1バスに結合される。1つのエネルギー貯蔵モジュールは、1つのBMUと、1つのエネルギー貯蔵素子グループと、1つのDC/ACコンバータとを含み、エネルギー貯蔵素子グループは、DC/ACコンバータを使用することによって第2バスに結合される。セントラル化された監視システムは、制御バスを介してエネルギー貯蔵ユニット・クラスタにおける各々のエネルギー貯蔵モジュールのBMUに接続され、何れかのエネルギー貯蔵モジュールのBMUにおけるコントローラは、エネルギー貯蔵素子グループ端部への補償電流を生成するか又は電流をエネルギー貯蔵素子グループ端部から引き出すように、DC/ACコンバータを制御し、その結果、エネルギー貯蔵ユニット・クラスタ内の全てのエネルギー貯蔵モジュールのエネルギー貯蔵素子パラメータは一貫したものになる。換言すれば、各々のバッテリー・モジュールにおけるBMUは、エネルギー貯蔵モジュールにおけるエネルギー貯蔵素子グループ端部への補償電流を生成するか又は電流をエネルギー貯蔵素子グループ端部から引き出すように、バッテリー・モジュールにおけるDC/ACコンバータを制御し、その結果、バッテリー・クラスタにおける全てのエネルギー貯蔵モジュールのエネルギー貯蔵素子パラメータは一貫したものになる。
【0046】
[0046] 本件で提供されるエネルギー貯蔵システムは、第2バスが交流バスであるシナリオにも適用可能である。相応して、エネルギー貯蔵ユニット・クラスタにおける各エネルギー貯蔵モジュール内のコンバータは、第2バスが交流バスであるアプリケーション・シナリオにおける変更に基づいて、DC/ACコンバータに適応的に調整されることが可能である。この運用はフレキシブルであり、エネルギー貯蔵システムは高い適用可能性を有する。
【0047】
[0047] 第2態様に関し、第1の可能な実装において、何れかのエネルギー貯蔵モジュールにおけるDC/ACコンバータの第1入/出力端部は、エネルギー貯蔵モジュールにおけるエネルギー貯蔵素子グループに結合されており;及び全てのエネルギー貯蔵モジュールにおけるDC/ACコンバータの第2入/出力端部は、互いに直列に接続され、そして第2バスに結合される。
【0048】
[0048] 第2態様に関し、第2の可能な実装において、何れかのエネルギー貯蔵モジュールにおけるDC/ACコンバータの第1入/出力端部は、エネルギー貯蔵モジュールにおけるエネルギー貯蔵素子グループに結合されており;及び全てのエネルギー貯蔵モジュールにおけるDC/ACコンバータの第2入/出力端部は、第2バスに並列に結合される。
【0049】
[0049] 本件で提供されるエネルギー貯蔵システムにおいて、第2バスは、エネルギー貯蔵ユニット・クラスタにおける全てのエネルギー貯蔵モジュール内のDC/ACコンバータの入/出力端部を直列に接続することによって形成されてもよいし、又は全てのエネルギー貯蔵モジュール内のDC/ACコンバータの入/出力端部を並列に接続することによって形成されてもよい。第2バスは様々な構成モードを有する。この運用はフレキシブルであり、エネルギー貯蔵システムは強力な適用可能性を有する。
【0050】
[0050] 第2態様の第1の可能な実装又は第2態様の第2の可能な実装に関し、第3の可能な実装において、セントラル化された監視システムは、エネルギー貯蔵ユニット・クラスタに接続される第1コンバータに統合されている。
【0051】
[0051] 本件においては、エネルギー貯蔵ユニット・クラスタにおける各バッテリー・モジュールのBMUは、全てのエネルギー貯蔵モジュール間の相違をより良く解決するために、エネルギー貯蔵モジュール内のDC/ACコンバータ及び各エネルギー貯蔵素子グループの状態検出及び制御のために使用されることが可能である。これは、エネルギー貯蔵システムの効率的な管理及び制御を実現する。
【0052】
[0052] 第2態様の第3の可能な実装に関し、第4の可能な実装において、エネルギー貯蔵モジュールはスイッチ・ブリッジ・アームを更に含み、スイッチ・ブリッジ・アームはマスター制御スイッチとバイパス・スイッチとを含む。マスター制御スイッチの一方端は、エネルギー貯蔵モジュールにおけるエネルギー貯蔵素子グループに接続され;及びマスター制御スイッチの他方端は、エネルギー貯蔵モジュールの入/出力端部として使用される。バイパス・スイッチの一方端は、エネルギー貯蔵モジュールにおけるエネルギー貯蔵素子グループの第1入/出力端部に接続され;及びバイパス・スイッチの他方端は、エネルギー貯蔵モジュールの第2入/出力端部に接続される。
【0053】
[0053] 本件において、単一のエネルギー貯蔵モジュールの柔軟な制御は、エネルギー貯蔵モジュールにおけるDC/ACコンバータのエネルギー管理能力と、エネルギー貯蔵モジュールが配置されているエネルギー貯蔵ユニット・クラスタに接続された第1コンバータのエネルギー管理能力とを組み合わせて、各エネルギー貯蔵モジュール内のスイッチ・ブリッジ・アームを使用することによって実現することが可能である。この運用はフレキシブルであり、エネルギー貯蔵システムは高い適用可能性を有する。
【0054】
[0054] 第2態様の第3の可能な実装又は第2態様の第4の可能な実装に関し、第5の可能な実装において、第1コンバータは第1ポートと第2ポートを含み、第1ポートは第1バスに結合され、第2ポートはエネルギー貯蔵ユニット・クラスタの入/出力端部に結合されており;及び第2バスは第1ポートに結合される。
【0055】
[0055] 第2態様の第3の可能な実装又は第2態様の第4の可能な実装に関し、第6の可能な実装において、第1コンバータは第1ポートと第2ポートを含み、第1ポートは第1バスに結合され、第2ポートはエネルギー貯蔵ユニット・クラスタの入/出力端部に結合されており;及び第2バスは、第2コンバータを使用することにより第1ポートに結合される。
【0056】
[0056] 第2態様の第3の可能な実装又は第2態様の第4の可能な実装に関し、第7の可能な実装において、第1コンバータは第1ポートと第2ポートを含み、第1ポートは第1バスに結合され、第2ポートはエネルギー貯蔵ユニット・クラスタの入/出力端部に結合されており;及び第2バスは、第2コンバータを使用することにより第2ポートに結合される。
【0057】
[0057] 本件において、第1バスと第2バスは複数の方法で接続されることが可能である。この運用はフレキシブルであり、エネルギー貯蔵システムは高い適用可能性を有する。
【0058】
[0058] 第2態様の第3の可能な実装又は第2態様の第4の可能な実装に関し、第8の可能な実装において、前述のエネルギー貯蔵素子パラメータは、充/放電時間、充電状態SOC、放電深度DOD、ヘルス状態SOH、及びポート電圧のうちの1つを含む。
【0059】
[0059] 本件において、第1バスと第2バスのシステム・エネルギー・スケジューリング、及び全てのエネルギー貯蔵モジュールにおけるコンバータの協調制御を通じて、全てのエネルギー貯蔵モジュールのエネルギー貯蔵素子パラメータが一貫性したものであること、エネルギー貯蔵モジュールの能力が完全に活用されること、そしてエネルギー貯蔵モジュールの利用率が増加すること、を保証することができる。エネルギー貯蔵システムは高い適用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
図1】[0060] 図1は、エネルギー貯蔵システムの概略的な構造図である。
図2】[0061] 図2は、バッテリーのヘルス状態とサービス・ライフとの間の関係の概略的なカーブを示す図である。
図3】[0062] 図3は、別のエネルギー貯蔵システムの概略的な構造図である。
図4a】[0063] 図4aは、本件によるエネルギー貯蔵システムの概略的な構造図である。
図4b】[0064] 図4bは、本件による別のエネルギー貯蔵システムの概略的な構造図である。
図4c】[0065] 図4cは、本件による別のエネルギー貯蔵システムの概略的な構造図である。
図4d】[0066] 図4dは、本件による別のエネルギー貯蔵システムの概略的な構造図である。
図5】[0067] 図5は、本件による別のエネルギー貯蔵システムの概略的な構造図である。
図6a】[0068] 図6aは、本件による別のエネルギー貯蔵システムの概略的な構造図である。
図6b】[0069] 図6bは、本件による別のエネルギー貯蔵システムの概略的な構造図である。
図7a】[0070] 図7aは、本件による別のエネルギー貯蔵システムの概略的な構造図である。
図7b】[0071] 図7bは、本件による別のエネルギー貯蔵システムの概略的な構造図である。
図8a】[0072] 図8aは、本件によるエネルギー貯蔵システムのエネルギー貯蔵制御方法の概略図である。
図8b】[0073] 図8bは、本件による別のエネルギー貯蔵システムのエネルギー貯蔵制御方法の概略図である。
図8c】[0074] 図8cは、本件による別のエネルギー貯蔵システムのエネルギー貯蔵制御方法の概略図である。
図8d】[0075] 図8dは、本件による別のエネルギー貯蔵システムのエネルギー貯蔵制御方法の概略図である。
図9a】[0076] 図9aは、本件による別のエネルギー貯蔵システムの概略的な構造図である。
図9b】[0077] 図9bは、本件による別のエネルギー貯蔵システムの概略的な構造図である。
図9c】[0078] 図9cは、本件による別のエネルギー貯蔵システムの概略的な構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
[0079] 本件で提供されるエネルギー貯蔵システムは、太陽光発電デバイスや風力発電デバイスのような複数のタイプの発電デバイスに適用可能であり、また、自動車分野などに適用される可能性もある。本件において提供されるエネルギー貯蔵システムは、異なるタイプのエネルギー貯蔵素子のエネルギー貯蔵に適用可能である。ここで、異なるタイプのエネルギー貯蔵素子は、リチウム・イオン・バッテリー、鉛酸バッテリー(又は鉛-酸バッテリーと称される)、スーパーキャパシタ(又は電気化学キャパシタとも称される)などを含む可能性がある。エネルギー貯蔵素子の具体的なタイプは、本件において具体的に限定されない。説明を容易にするために、本件で提供されるエネルギー貯蔵システムは、一例としてバッテリーを用いて説明される。
【0062】
[0080] 現在、大規模な太陽光発電や風力発電では、送電網電圧は、例えば400Vから800Vの交流電圧のように比較的高くなっている。その結果、直流側の電圧は550Vから1500Vの範囲に及ぶ。しかしながら、単一のバッテリー・モジュールの電圧は、通常、比較的小さい。例えば、単一のバッテリー・モジュールの電圧は、通常、60V未満である。従って、送電網の電圧要件を満たすために、通常、複数のバッテリー・モジュールが直列に接続されて、高電圧を得ている。図1は、エネルギー貯蔵システムの概略的な構造図である。図1に示すエネルギー貯蔵システムにおいて、1つのバッテリー・モジュール(例えば、バッテリー・モジュール1)は1つのバッテリー・パックであってもよく、1つのバッテリー・パックは、直列に接続され且つ並列に接続された1つ以上のバッテリー・ユニット(バッテリー・ユニットの電圧は、通常、2.5Vないし4.2Vの間にある)を含むことが可能であり、最小のエネルギー貯蔵・管理ユニットを形成する。説明の簡明化のために、以下、バッテリー・モジュールを説明例として使用する。単一のバッテリー・モジュールのポート電圧は、比較的小さい。従って、複数のバッテリー・モジュール(例えば、バッテリー・モジュール1ないしバッテリー・モジュールmであり、ここで、mは正の整数である)は、直列的に接続されて、要求されるポート電圧(例えば、バッテリー・クラスタ1の出力電圧)を得ており;また、複数のバッテリー・モジュールは並列に接続されて複数のバッテリー・クラスタを取得し(例えば、バッテリー・クラスタ1ないしバッテリー・クラスタnであり、ここで、nは整数である)、要求される貯蔵エネルギーを実現しており、複数のバッテリー・クラスタは、直流バスに並列に接続され、次いで、1つのインバーター(例えば、DC/ACコンバーター)を共有して、エネルギー貯蔵バッテリーと送電網との間におけるエネルギー相互作用を実現する。しかしながら、サービス・ライフが長くなるにつれて、バッテリーのヘルス状態(state of health, SOH)が継続的に悪化し、バッテリーの蓄電容量も年々減少してゆく。更に、異なるバッテリーの健全度のばらつきは、バッテリーの個々の相違に起因してますます顕著になる。図2は、バッテリーについてのヘルス状態とサービス・ライフとの関係の概略図である。バッテリー1とバッテリー2の両方の健全度は、バッテリーのサービス・ライフが長くなるにつれて徐々に低下する。10年目には、バッテリー1のSOHは70%、バッテリー2のSOHは60%、バッテリー1の健全度とバッテリー2の健全度の差は10%である。
【0063】
[0081] 幾つかの実現可能な実装に関し、図3を参照されたい。図3は、別のエネルギー貯蔵システムの構造図である。バッテリー間の相違を解決するために、複数のバッテリー・モジュール(例えば、バッテリー・モジュール1ないしバッテリー・モジュールn)を同じ直流バスに並列に接続して、並列型のエネルギー貯蔵システムを得ることができる。図3に示すエネルギー貯蔵システムでは、1つのDC/DCコンバータが各バッテリー・モジュール(例えば、バッテリー・モジュール1ないしバッテリー・モジュールn)内に導入され、全てのバッテリー・モジュールにおけるDC/DCコンバータの出力端部は、同じ直流バスに並列に接続される。次いで、双方向DC/ACコンバータを使用して、直流バスと交流送電網との間の電圧整合やエネルギー相互作用を達成する。図3に示すエネルギー貯蔵システムでは、各バッテリー・モジュールは、エネルギー管理のために1つのDC/DCコンバータに続いているので、各バッテリー・モジュールの独立した制御が、バッテリー・モジュールに続くDC/DCコンバータを使用することによって実現されることが可能である。この運用はフレキシブルであり、各バッテリー・モジュールの最大使用率を保証することができる。
【0064】
[0082] 大規模な太陽光発電アプリケーション、風力発電アプリケーション、又は純粋なエネルギー貯蔵アプリケーションにおいて、送電網の電圧は、通常、比較的高い。送電網の電圧要求を満たすために、図3に示すエネルギー貯蔵システムでは、DC/DCコンバータのブースト比率は非常に高い。例えば、バッテリー・モジュールのポート電圧が50Vであり、直流バスの電圧が1200Vであったとする。この場合、図3に示すエネルギー貯蔵システムでは、DC/DCコンバータのブースト比率は24である。この場合、DC/DCコンバータの高いブースト比率に起因して、DC/DCコンバータは、一般に、絶縁型の双方向DC/DCコンバータを使用することにより実現される。しかしながら、絶縁型の双方向DC/DCコンバータのコンバータ効率は低く、これはエネルギー貯蔵システムのエネルギー貯蔵効率を低下させる。同時に、絶縁型の双方向DC/DCコンバータの高コスト性に起因して、エネルギー貯蔵システムのコストもまた増加する。更に、全てのバッテリー・エネルギー貯蔵モジュールの出力ポートの並列接続は、エネルギー貯蔵システムのフィールド配線の困難性や分配の困難性を増大させる。本件は、エネルギー貯蔵システムを提供し、エネルギー貯蔵システム内の各エネルギー貯蔵モジュールの制御柔軟性を改善し、エネルギー貯蔵モジュールの有効利用率を高め、エネルギー貯蔵モジュールの管理有効性を高める。
【0065】
[0083] 以下、図4aないし図9cを参照して、本件で提供されるエネルギー貯蔵システム、エネルギー貯蔵システムのエネルギー貯蔵制御方法、及びエネルギー貯蔵システムの適用シナリオを具体例を用いて説明する
[0084] エネルギー貯蔵システム構造1:
[0085] 図4aは、本件によるエネルギー貯蔵システムの概略的な構造図である。本件において提供されるエネルギー貯蔵システムは、1つ以上のエネルギー貯蔵ユニット・クラスタ(即ち、少なくとも1つのエネルギー貯蔵ユニット・クラスタ)を含む。1つのエネルギー貯蔵ユニット・クラスタは、少なくとも2つのエネルギー貯蔵モジュールを含むことが可能であり、エネルギー貯蔵モジュールは直列に接続される。換言すれば、1つのエネルギー貯蔵ユニット・クラスタは、直列に接続された少なくとも2つのエネルギー貯蔵モジュールを含むことが可能である。本件においては、様々なタイプのエネルギー貯蔵素子が、バッテリーを例として使用することによって説明されており、エネルギー貯蔵ユニット・クラスタは、バッテリー・クラスタを例として使用することによって説明されており、エネルギー貯蔵モジュールはバッテリー・モジュールを例として使用することによって説明されている。詳細は以下に記載されない。図4aに示されるように、本件で提供されるエネルギー貯蔵システムにおいて、1つ以上のエネルギー貯蔵ユニット・クラスタは、バッテリー・クラスタ1ないしバッテリー・クラスタnを例として使用することによって説明されており、ここで、nは整数である。図4aに示すように、本件で提供されるエネルギー貯蔵システムは、第1バスと第2バスを更に含む。第1バスは、プライマリ電力バスである。第1バスは、直流バスであってもよいし、又は交流バスであってもよく、これらは実際のアプリケーション・シナリオの要件に基づいて具体的に決定されることが可能である。第2バスは補助的な制御バスである。本件では、制御を簡略化するために、第2バスは直流バスであってもよい。オプションとして、第2バスは代替的に交流バスであってもよい。これは、実際のアプリケーション・シナリオに基づいて具体的に決定されることが可能であり、本件では限定されない。説明を簡易化するために、本件で提供されるエネルギー貯蔵システムの各々の概略的な構造図において、第2バスが直流バスである例が説明のために使用されている。詳細は以下に記載されない。
【0066】
[0086] 図4aに示すように、本件で提供されるエネルギー貯蔵システムにおいて、バッテリー・クラスタ1ないしバッテリー・クラスタnの各々は、第1コンバータを使用することによって第1バスに結合され、1つのバッテリー・クラスタは、1つの第1コンバータを使用することによって第1バスに結合される。ここで、第1コンバータは、プライマリ電力コンバータである。第1コンバータは、DC/DCコンバータであってもよいし、又はDC/ACコンバータであってもよく、これらは実際のアプリケーション・シナリオの要件に基づいて具体的に決定されることが可能である。第1コンバータは、第1ポートと第2ポートを含むことが可能であり、第1ポートは第1バスに結合され、第2ポートはバッテリー・クラスタの入/出力端部に結合される。説明を簡易化するために、以下、バッテリー・クラスタ1が第1バスに結合される例を説明のために使用する。バッテリー・クラスタ1は、1つの第1コンバータ(例えば、コンバータ1)を使用することによって第1バスに結合されることが可能である。図4aに示すように、バッテリー・モジュール1ないしバッテリー・モジュールmを直列に接続することによって、バッテリー・クラスタ1が得られる。バッテリー・クラスタ1の入/出力端部は、バッテリー・モジュール1の第1入/出力端部であり、バッテリー・モジュール1の第2入/出力端部は、バッテリー・モジュール2に接続され、コンバータ1の第2ポートは、バッテリー・モジュール1の第1入/出力端部に接続され、コンバータ1の第1ポートは、第1バスに接続される。エネルギー貯蔵システムが、バッテリー・クラスタ1内の各バッテリー・モジュールを充電する場合、バッテリー・モジュール1の第1入/出力端部はバッテリー・モジュール1の入力端部であり、バッテリー・モジュール1の第2入/出力端部はバッテリー・モジュール1の出力端部である。バッテリー・クラスタ1における各バッテリー・モジュールが放電される場合、バッテリー・モジュール1の第1入/出力端部は、バッテリー・モジュール1の出力端部であり、バッテリー・モジュール1の第2入/出力端部は、バッテリー・モジュール1の入力端部である。即ち、バッテリー・モジュール1の第1入/出力端部及び/又は第2入/出力端部が、バッテリー・モジュール1の入力端部又は出力端部として使用されるかどうかは、実際のアプリケーション・シナリオに基づいて決定されることが可能である。これは本件で限定されない。
【0067】
[0087] オプションとして、幾つかの実現可能な実装において、第1バスは直流バスであり、第1バス端部における直流電圧は1200Vであり、バッテリー・クラスタ1内の各バッテリー・モジュールの直流電圧は50Vであり、バッテリー・クラスタ1内で直列に接続されたバッテリー・モジュールの数量は20であると仮定される。この場合、バッテリー・クラスタ1のポート電圧は、1000V(直流)、換言すれば、第1コンバータ(即ち、プライマリ電力コンバータ、例えば、コンバータ1)の第2ポートの直流電圧は、1000 Vである。コンバータ1は、双方向DC/DCコンバータであり、直流電圧1000 Vと直流電圧1200 Vとを一致させる。この場合、コンバータ1のブースト比率は、1.2(即ち、1200V/1000V)であり、具体的には、コンバータ1のブースト比率は、第1バスの電圧とバッテリー・クラスタ1のポート電圧とによって決定される。第1バスは交流バスであり、第1バスの交流電圧は600Vであり、バッテリー・クラスタ1内のバッテリー・モジュールの直流電圧も50Vであり、バッテリー・クラスタ1において直列に接続されたバッテリー・モジュールの数量は20であると仮定する。この場合において、バッテリー・クラスタ1のポート電圧は1000V(直流)であり、換言すれば、コンバータ1の第2ポートの直流電圧は、1000Vである。コンバータ1は、双方向DC/ACコンバータであり、バッテリー・クラスタ1のポート電圧1000 V(直流)と第1バスの電圧600V(交流)とを一致させる。従って、コンバータ1のブースト比率は1.67(即ち、1000V/600V)であり、具体的には、コンバータ1のブースト比率は、バッテリー・クラスタ1のポート電圧と第1バスの電圧とによって決定される。ここで、高効率な電力変換を実施するために、第1コンバータのブースト比率要件は高くはなく、第1コンバータによって使用される回路トポロジは、非-絶縁回路トポロジであってもよい。例えば、第1コンバータがDC/DCコンバータである場合には、第1コンバータの回路トポロジのために、フライング・キャパシタ・マルチレベル回路(flying capacitor multilevel circuit)、3段ブースト回路(three-level boost circuit)、4スイッチバック・ブースト回路(four-switch buck-boost circuit)等が選択されてもよく、これは実際のアプリケーション・シナリオの要件に基づいて具体的に決定されることが可能である。これは本件で限定されない。第1コンバータが双方向DC/ACコンバータである場合には、第1コンバータの回路トポロジのために、中立点クランプT型3段回路(neutral point clamped T-type three-level circuit)、中立点クランプ回路(neutral point clamped circuit, NPC)、アクティブ中立点クランプ回路(active neutral point clamped circuit, ANPC)、フライング・キャパシタ多段回路(flying capacitor multilevel circuit)等が選択されてもよく、これは実際のシナリオに基づいて具体的に決定されることが可能である。これは本件で限定されない。更に、エネルギー貯蔵素子のポート電圧は、エネルギー貯蔵容量とともに変化する。例えば、バッテリー・クラスタ1のポート電圧は、バッテリー・クラスタ1において直列に接続されたバッテリー・モジュールの数量とともに変化する。バッテリー・クラスタ1において直列に接続されるバッテリー・モジュールの数量が大きく変化すると、バッテリー・クラスタ1のポート電圧も大きく変化する。例えば、2つのバッテリー・モジュールが、バッテリー・クラスタ1において直列に接続されている場合、バッテリー・クラスタ1のポート電圧は100Vである。30個のバッテリー・モジュールがバッテリー・クラスタ1において直列に接続されている場合、バッテリー・クラスタ1のポート電圧は1500V、即ち、低電圧電気系統の上限電圧になる。従って、バッテリー・クラスタ1のポート電圧は、例えば100Vないし1500Vのように、幅広いレンジ内の出力電圧である可能性がある。バッテリー・クラスタ1のポート電圧の変動範囲に合わせるために、第1コンバータは、広範囲の入/出力能力を有するように設計されることが可能であり、これは実際のアプリケーション・シナリオに基づいて具体的に決定されることが可能である。これは本件では限定されない。
【0068】
[0088] 本件で提供されるエネルギー貯蔵システムにおいて、第2バスが直流バスである場合、1つのバッテリー・モジュールは、少なくとも1つのエネルギー貯蔵素子グループと1つのDC/DCコンバータとを含むことが可能であり、各バッテリー・モジュール内のエネルギー貯蔵素子グループは、バッテリー・モジュール内のDC/DCコンバータを使用することによって、第2バスに結合することが可能である。第2バスが交流バスである場合、1つのバッテリー・モジュールは、少なくとも1つのエネルギー貯蔵素子グループと1つのDC/ACコンバータとを含む可能性があり、各バッテリー・モジュール内のエネルギー貯蔵素子グループは、バッテリー・モジュール内のDC/ACコンバータを使用することによって、第2バスに結合することができる。本件において、エネルギー貯蔵システムにおけるバッテリー・クラスタの数量(即ち、n)は、実際のアプリケーションにおけるエネルギー貯蔵システムのエネルギー貯蔵容量に基づいて決定されることが可能である。これは本件で限定されない。1つのバッテリー・モジュール内のエネルギー貯蔵素子グループ(例えば、バッテリー・ストリング)は、直列に接続され且つ並列に接続された幾つかのエネルギー貯蔵素子(例えば、バッテリー・ユニット)を含み、最小能力貯蔵・管理ユニット、例えば、図4aに示されているバッテリー・モジュール1におけるバッテリー・ストリング1ないしバッテリー・モジュールmにおけるバッテリー・ストリングmを形成することができる。バッテリー・クラスタ1における各バッテリー・モジュールは、制御バスを介してコンバータ1とやり取りを行って、エネルギー貯蔵システムの管理及び制御を実施することができる。説明を簡易化するために、各バッテリー・モジュール内のDC/DCコンバータがコンバータDC/DC1であってもよい例が、説明のために使用されている。例えば、バッテリー・モジュール1ないしバッテリー・モジュールmにおけるDC/DCコンバータは、コンバータDC/DC1 11ないしコンバータDC/DC1 1mであってもよい。図4aに示すように、バッテリー・モジュール1は、少なくともバッテリー・ストリング1とコンバータDC/DC1 11とを含む可能性があり、バッテリー・モジュールmは、少なくともバッテリー・ストリングmとコンバータDC/DC1 1mとを含む可能性がある。何れかのバッテリー・モジュールにおけるコンバータDC/DC1 11の第1入/出力端部(例えば、バッテリー・クラスタ1におけるバッテリー・モジュール1)は、バッテリー・モジュール1におけるエネルギー貯蔵素子グループ(例えば、バッテリー・ストリング1)に結合されることが可能であり、バッテリー・クラスタ1における全てのバッテリー・モジュール内のコンバータDC/DC1の第2入/出力端部は、第2バスに直列に接続される。換言すれば、バッテリー・クラスタ1における全てのバッテリー・モジュールのコンバータDC/DC1の第2入/出力端部は、第2バスを形成するために直列に接続される。何れかのバッテリー・モジュールにおけるコンバータDC/DC1が、バッテリー・モジュールに含まれるバッテリー・ストリングから電流を引き出す場合、バッテリー・モジュール内のコンバータDC/DC1の第1入/出力端部は入力端部であり、コンバータDC/DC1の第2入/出力端部は出力端部である。何れかのバッテリー・モジュール内のコンバータDC/DC1がバッテリー・ストリングのための補償電流を生成する場合、バッテリー・モジュール内のコンバータDC/DC1の第1入/出力端部は出力端部であり、バッテリー・モジュール内のコンバータDC/DC1の第2入/出力端部は入力端部である。特定の実装において、コンバータDC/DC1の第1入/出力端部及び/又は第2入/出力端部が入力端部であるか又は出力端部であるかどうかは、実際のアプリケーション・シナリオに基づいて決定されることが可能である。これは本件で限定されない。
【0069】
[0089] オプションとして、幾つかの実現可能な実装において、第2バスが交流バスである場合、バッテリー・モジュール1ないしバッテリー・モジュールmにおけるDC/ACコンバータは、コンバータDC/AC1 11ないしコンバータDC/AC1 1mであってもよい。任意のバッテリー・モジュール(例えば、バッテリー・クラスタ1におけるバッテリー・モジュール1)内のコンバータDC/AC1(例えば、DC/AC1 11)の第1入/出力端部は、バッテリー・モジュール1内のエネルギー貯蔵素子グループ(例えば、バッテリー・ストリング1)に結合されることが可能であり、バッテリー・クラスタ1における全てのバッテリー・モジュール内のコンバータDC/AC1の第2入/出力端部は、互いに直列に接続され、そして、第2バスに結合される。任意のバッテリー・モジュールのコンバータDC/AC1が、バッテリー・モジュールに含まれるバッテリー・ストリングから電流を引き出す場合、バッテリー・モジュール内のコンバータDC/AC1の第1入/出力端部は入力端部であり、コンバータDC/AC1の第2入/出力端部は出力端部である。任意のバッテリー・モジュールのコンバータDC/AC1が、バッテリー・ストリングのために補償電流を生成する場合、バッテリー・モジュールにおけるコンバータDC/AC1の第1入/出力端部は出力端部であり、バッテリー・モジュールにおけるコンバータDC/AC1の第2入/出力端部は入力端部である。特定の実装において、コンバータDC/DC1の第1入/出力端部及び/又は第2入/出力端部が入力端部であるか又は出力端部であるかどうかは、実際のアプリケーション・シナリオに基づいて決定されることが可能である。これは本件で限定されない。
【0070】
[0090] エネルギー貯蔵システム構造2:
[0091] 図4bは、本件による別のエネルギー貯蔵システムの概略的な構造図である。
【0071】
[0092] 幾つかの実現可能な実装において、単一のバッテリー・クラスタを管理するために、セントラル化された監視システムが、各バッテリー・クラスタに対して追加されることが可能であり、1つのバッテリー・クラスタが1つのセントラル化された監視システムに対応している。例えば、バッテリー・クラスタ1は、コンバータ1におけるセントラル化された監視システムに対応していてもよい。説明を簡易化するために、セントラル化された監視システム1が、説明のための具体例として使用されている。単一のバッテリー・クラスタに対応するセントラル化された監視システムは、別個の回路基板又は回路モジュールとして設計されてもよい。回路基板又は回路モジュールは、エネルギー貯蔵システム内に独立して配置されてもよいし、又は第1コンバータ内に統合されてもよい。オプションとして、単一のバッテリー・クラスタに対応するセントラル化された監視システムが、独立して配置された回路モジュールとして使用される場合、単一のバッテリー・クラスタに対応するセントラル化された監視システムは、第1コンバータにおけるコントローラとの情報のやり取りを実行し、セントラル化された監視システムは、制御バスを介して、バッテリー・クラスタ内の各バッテリー・モジュールに接続される。特定の実装において、セントラル化された監視システムとバッテリー・モジュールとの間の情報のやり取りの仕方は、代替的に、無線通信、直流電力キャリア通信などであってもよく、これは、実際のアプリケーション・シナリオに基づいて具体的に決定されることが可能である。この運用はフレキシブルであり、エネルギー貯蔵システムは高い適用可能性を有する。オプションとして、単一のバッテリー・クラスタのセントラル化された監視システムが、別個の回路基板又は回路モジュールとして、バッテリー・クラスタに接続された第1コンバータに統合される場合、エネルギー貯蔵システムのシステム構造はシンプルになる可能性がある。更に、単一のバッテリー・クラスタは、通常、第1コンバータと短距離に設置されるので、単一のバッテリー・クラスタのセントラル化された監視システムを第1コンバータに統合することは、制御バスの接続を容易にする。
【0072】
[0093] 必要に応じて、図4bを参照されたい。幾つかの実現可能な実装において、バッテリー・モジュールの状態監視及び制御を実現するために、1つのバッテリー管理ユニット(battery management unit, BMU)が、単一のバッテリー・クラスタ内の各バッテリー・モジュールに追加されてもよい。BMUは、バッテリー管理モジュール、対応する通信モジュール、対応する電源モジュール等を含む可能性があり、バッテリー・モジュール内の各エネルギー貯蔵素子グループ(即ち、各バッテリー・ストリング)の状態検出及び制御を実施するように構成される。各バッテリー・モジュール内のBMUは、エネルギー貯蔵モジュールにおけるエネルギー貯蔵素子グループの端部への補償電流を生成するか、又はエネルギー貯蔵素子グループの端部から電流を引き出すように、バッテリー・モジュールにおけるDC/DCコンバータを制御することが可能であり、その結果、バッテリー・クラスタにおける全てのエネルギー貯蔵モジュールのエネルギー貯蔵素子パラメータは一貫したものになる。バッテリー・クラスタにおける各バッテリー・モジュール内のBMUは、バッテリー・クラスタに接続された第1コンバータ内のセントラル化された監視システムと情報のやり取りを行って、エネルギー貯蔵システムの管理及び制御を実施することができる。
【0073】
[0094] エネルギー貯蔵システム構造3:
[0095] 本件による別のエネルギー貯蔵システムの概略的な構造図である。
【0074】
[0096] 幾つかの実現可能な実装において、第2バスが直流バスである場合、何れかのバッテリー・クラスタ(例えば、バッテリー・クラスタ1)における全てのバッテリー・モジュールに含まれるコンバータDC/DC1の第2入/出力端部は、代替的に、第2バスに並列に結合されることが可能である。換言すれば、バッテリー・クラスタ1における全てのバッテリー・モジュールに含まれるコンバータDC/DC1の第2入/出力端部は、並列に接続されて、第2バスを形成することが可能である。第2バスが交流バスである場合、何れかのバッテリー・クラスタにおける全てのバッテリー・モジュールに含まれるコンバータDC/AC1の第2入力/出力端部は、代替的に、第2バスに並列に結合されてもよいことを理解することが可能である。換言すれば、何れかバッテリー・クラスタにおける全てのバッテリー・モジュールに含まれるコンバータDC/AC1の第2入/出力端部は、並列に接続されて、第2バスを形成することが可能である。
【0075】
[0097] エネルギー貯蔵システム構造4:
[0098] 図4bは、本件による別のエネルギー貯蔵システムの概略的な構造図である。
【0076】
[0099] 幾つかの実現可能な実装において、エネルギー貯蔵システムの何れかのバッテリー・クラスタ(例えば、バッテリー・クラスタ1)における各バッテリー・モジュール(例えば、バッテリー・モジュール1ないしバッテリー・モジュールm)は、マスター制御スイッチ及びバイパス・スイッチを含むスイッチ・ブリッジ・アームを更に含むことが可能である。1つのバッテリー・モジュールは、1つのスイッチ・ブリッジ・アームを含む。任意のバッテリー・モジュールにおいて、マスター制御スイッチの一方端は、バッテリー・モジュール内のバッテリー・ストリングに接続され、マスター制御スイッチの他方端は、バッテリー・モジュールの入/出力端部として使用される。任意のバッテリー・モジュールにおいて、バイパス・スイッチの一方端は、エネルギー貯蔵モジュールにおけるバッテリー・ストリングの第1入/出力端部に接続され;バイパス・スイッチの他方端は、バッテリー・モジュールの第2入/出力端部に接続される。オプションとして、任意のバッテリー・モジュールにおけるスイッチ・ブリッジ・アームは、バッテリー・モジュール内のBMUに統合されてもよく、BMUは、スイッチ・ブリッジ・アームにおけるマスター制御スイッチ及びバイパス・スイッチの導通又は切断を制御する。これは、実際のアプリケーション・シナリオに基づいて具体的に決定されることが可能であり、本件では限定されない。例えば、バッテリー・クラスタ1において、バッテリー・モジュール1はスイッチ・ブリッジ・アームを含むことが可能であり、スイッチ・ブリッジ・アームはマスター制御スイッチS1とバイパス・スイッチS2を含む。マスター制御スイッチS1の一方端は、バッテリー・ストリング1に接続され、マスター制御スイッチS1の他方端は、バッテリー・モジュール1の入/出力端部として使用される。バイパス・スイッチS2の一方端は、バッテリー・ストリング1の第1入/出力端部に接続され、バイパス・スイッチS2の他方端は、バッテリー・ストリング1の第2入/出力端部に接続される。エネルギー貯蔵システムがバッテリー・ストリング1を充電する場合に、バッテリー・ストリング1の第1入/出力端部はバッテリー・ストリング1の入力端部であり、バッテリー・ストリング1の第2入/出力端部はバッテリー・ストリング1の出力端部である。バッテリー・ストリング1が放電される場合に、バッテリー・ストリング1の第1入/出力端部はバッテリー・ストリング1の出力端部であり、バッテリー・ストリング1の第2入/出力端部はバッテリー・ストリング1の入力端部である。各バッテリー・ストリング入/出力端部が、入力端部又は出力端部として使用されるかどうかは、実際のアプリケーション・シナリオの要件に基づいて具体的に決定されることが可能である。これは本件で限定されない。バッテリー・モジュール1におけるスイッチ・ブリッジ・アームは、バッテリー・モジュール1におけるBMUによって制御されてもよく、具体的には、バッテリー・モジュール1におけるBMUは、マスター制御スイッチS1とバイパス・スイッチS2の接続又は切断を制御する。例えば、バッテリー・モジュール1において、マスター制御デバイスS1が接続され、バイパス・デバイスS2が切断される場合、バッテリー・モジュール1は、バッテリー・クラスタ1に接続されて、高電力の充/放電制御を実現する。マスター制御デバイスS1が切断され、バイパス・デバイスS2が接続される場合、バッテリー・モジュール1は、バッテリー・クラスタ1から取り除かれ、バッテリー・モジュール1は高電力の充/放電制御を実行しない。バッテリー・モジュールにおけるDC/DCコンバータのエネルギー管理能力と、バッテリー・モジュールが配置されているバッテリー・クラスタに接続された第1コンバータのエネルギー管理能力との組み合わせにおいて、バッテリー・モジュール内のスイッチ・ブリッジ・アームを使用することによって、単一のバッテリー・モジュールの柔軟な制御を実現することができる。この運用はよりフレキシブルであり、エネルギー貯蔵システムは高い適用可能性を有する。
【0077】
[0100] エネルギー貯蔵システム構造5:
[0101] 図5は、本件による別のエネルギー貯蔵システムの概略的な構造図である。
【0078】
[0102] 幾つかの実現可能な実装において、エネルギー貯蔵システム内に複数のバッテリー・クラスタ、例えばバッテリー・クラスタ1ないしバッテリー・クラスタnが存在する場合、エネルギー貯蔵システムは、1つのバッテリー・クラスタに対して1つの第2バスを構築することが可能であり、異なるバッテリー・クラスタは、異なる第2バスを使用して、単一のバッテリー・クラスタ内の異なるバッテリー・モジュール間のエネルギー・バランス管理を実施する。単一のバッテリー・クラスタ(例えば、バッテリー・クラスタ1)におけるバッテリー・モジュール内のDC/DCコンバータ(例えば、コンバータDC/DC1 11ないしコンバータDC/DC1 1m)の第2入/出力端部(又は、第2バスが交流バスである場合には、全てのバッテリー・モジュール内のDC/ACコンバータ(例えば、全てのバッテリー・モジュール内のコンバータDC/AC1)の第2入/出力端部)は、図4a又は図4bに示されているように、互いに直列に接続され、次いで、第2バスに結合されることが可能である。オプションとして、単一のバッテリー・クラスタ(例えば、バッテリー・クラスタ1)における全てのバッテリー・モジュール内のDC/DCコンバータの第2入/出力端部は、図4c又は図4dに示されるように、代替的に、第2バスに並列に結合されてもよい。オプションとして、図5に示されるように、エネルギー貯蔵システムは、代替的に、異なるバッテリー・クラスタ間で同じ第2バスを構築することが可能であり、換言すれば、エネルギー貯蔵システムにおける複数のバッテリー・クラスタ(例えば、バッテリー・クラスタ1ないしバッテリー・クラスタn)は、同じ第2バスを共有する。この場合、単一のバッテリー・クラスタにおける異なるバッテリー・モジュール間のエネルギーは、バランスをとることが可能であり、異なるバッテリー・クラスタにおける異なるバッテリー・モジュール間のエネルギーは、バランスをとることが可能である。この運用はフレキシブルである。図5に示すように、エネルギー貯蔵システムにおける全てのバッテリー・クラスタが同一の第2バスを共有する場合、各バッテリー・クラスタにおけるバッテリー・モジュール内のコンバータDC/DC1の第2入/出力端部は、代替的に、第2バスに並列に結合されることが可能である。オプションとして、エネルギー貯蔵システムにおける各バッテリー・クラスタ内のバッテリー・モジュールに含まれるコンバータDC/DC1の第2入/出力端部は、互いに直列に接続され、次いで第2バスに結合されてもよい。これは、実際の適用シナリオの要件に基づいて具体的に決定されることが可能であり、本件では限定されない。
【0079】
[0103] エネルギー貯蔵システム構造6:
[0104] 幾つかの実現可能な実装において、エネルギー貯蔵システムにおける第2バスが直流バスである場合、第2バスは、バッテリー・クラスタの入/出力端部に直接的に結合されてもよい。図6aは、本件による別のエネルギー貯蔵システムの概略的な構造図である。バッテリー・クラスタ1が具体例として使用される。バッテリー・クラスタ1において、第2バスは、バッテリー・クラスタ1の入/出力端部に直接的に結合されてもよい。ここで、バッテリー・クラスタ1の入/出力端部(バッテリー・クラスタ1が充電される場合、その端部はバッテリー・クラスタ1の入力端部であり;バッテリー・クラスタ1が放電される場合は、その端部はバッテリー・クラスタ1の出力端部である)は、バッテリー・モジュール1の入/出力ポートでもあり(バッテリー・モジュール1が充電される場合、その端部はバッテリー・モジュール1の入力端部であり;また、バッテリー・モジュール1が放電される場合、その端部はバッテリー・モジュール1の出力端部である);バッテリー・モジュール1の入/出力端部は、コンバータ1の第2ポートに結合される。従って、バッテリー・クラスタ1の第2バスは、コンバータ1の第2ポートに直接的に結合されてもよい。バッテリー・クラスタ1の第2バスがバッテリー・クラスタ1の第2ポートに直接的に接続される場合、バッテリー・クラスタ1におけるバッテリー・モジュールの電圧から、バッテリー・クラスタ1の第2ポートの電圧への変換要件を充足するために、バッテリー・クラスタ1に含まれる各バッテリー・モジュール内のコンバータDC/DC1は、高いブースト比率を有するコンバータであってもよい。オプションとして、このアプリケーション・シナリオでは、バッテリー・クラスタ1における各バッテリー・モジュールに含まれるコンバータDC/DC1は、絶縁回路トポロジ、例えば、位相シフト・デュアル・アクティブ・ブリッジ回路(phase shifted dual active bridge circuit)、フライバック回路、LLC共振回路(LLC resonant circuit)などを使用してもよく、これらは、実際のアプリケーション・シナリオに基づいて具体的に決定されることが可能である。これは本件で限定されない。
【0080】
[0105] エネルギー貯蔵システム構造7:
[0106] オプションとして、幾つかの実現可能な実装において、各バッテリー・クラスタの第2バスは、代替的に、第2コンバータを使用することによって、バッテリー・クラスタに接続された第1バスの第2ポートに結合されてもよい。例えば、バッテリー・クラスタ1の第2バスは、代替的に、第2コンバータを使用することによって、コンバータ1の第2ポートに結合されることが可能である。図6bは、本件による別のエネルギー貯蔵システムの概略的な構造図である。ここで、第2コンバータは、補助的に制御されるDC/DCコンバータであってもよい。オプションとして、第2コンバータは、代替的に、補助的に制御されるDC/ACコンバータであってもよい。第2バスが直流バスである場合、第2コンバータはDC/DCコンバータである。第2バスが交流バスである場合、第2コンバータはDC/ACコンバータである。説明の簡易化のために、以下、説明のための例としてコンバータ2(例えば、コンバータDC/DC2)を使用する。第2バスが、コンバータ2を使用することによって、コンバータ1の第2ポートに接続される場合、第2バスは、例えば、48V、400V、又は1000Vのような比較的一定の電圧で制御されてもよいし、又は、第2バスは、例えば40Vないし100V、400Vないし500V、又は900Vないし1200Vのような特定の電圧範囲内で制御されてもよく、これらは実際のアプリケーション・シナリオの要件に基づいて決定されることが可能である。これは本件で限定されない。この場合、コンバータ2は、第2バスの電圧の選択に基づいて、絶縁回路トポロジ又は非-絶縁回路トポロジを使用することを決定することができる。第2バスの電圧が400 V(直流)であり、コンバータ1の第2ポートの電圧が1000V(直流)である場合、第2バスの電圧に対するコンバータ1の第2ポートの電圧のブースト比率は、2.5(即ち、1000V/400V)である。ブースト比率は比較的小さく、従って、コンバータ2は、非-絶縁回路トポロジを使用することができる。第2バスの電圧が48V(直流)であり、コンバータ1の第2ポートの電圧が1000V(直流)である場合、第2バスの電圧に対するコンバータ1の第2ポートの電圧のブースト比率は、20(即ち、1000V/48V)より大きい。ブースト比率は比較的高く、従って、コンバータ2は、通常、絶縁回路トポロジを使用する。
【0081】
[0107] エネルギー貯蔵システム構造8:
[0108] 幾つかの実現可能な実施において、第1バスが直流バスであり、第2バスも直流バスでもある場合(又は、第1のバスが交流バスであり、第2バスも交流バスである場合)、エネルギー貯蔵システムの第2バスは、代替的に、第1バスに直接的に接続されてもよい。図7aは、本件による別のエネルギー貯蔵システムの概略的な構造図である。バッテリー・クラスタ1が例として使用される。第1バスが直流バスであり、第2バスが直流バスでもある場合、バッテリー・クラスタ1の第2バスは、コンバータ1の第1ポートに直接的に結合され、コンバータ1の第1ポートは、第1バスに結合される。バッテリー・クラスタ1の第2バスは、このケースでは、第1バスに直接的に結合されることを理解することができる。
【0082】
[0109] エネルギー貯蔵システム構造9:
[0110] 幾つかの実現可能な実装において、バッテリー・クラスタ1の第2バスは、第2コンバータを使用することによって、代替的に、コンバータ1の第1ポートに結合されてもよい。図7bは、本件による別のエネルギー貯蔵システムの概略的な構造図である。第1バスが直流バスであり、第2バスも直流バスである場合、第2コンバータはDC/DCコンバータであってもよい。第1バスが直流バスであり、第2バスが交流バスである場合、第2コンバータはDC/ACコンバータであってもよい。第1バスが交流バスであり、第2バスが直流バスである場合、第2コンバータもまた、DC/ACコンバータであってもよい。第1バスが交流バスであり、第2バスも交流バスである場合、第2コンバータはAC/ACコンバータであってもよい。第2コンバータのタイプは、実際のアプリケーション・シナリオにおける第1バス及び第2バスのタイプに基づいて決定されることが可能である。これは本件で限定されない。同様に、バッテリー・クラスタ1の第2バスがコンバータ3を使用することによって、コンバータ1の第1ポートに結合される場合、コンバータ1の第1ポートは第1バスに結合されるので、バッテリー・クラスタ1の第2バスが、第2コンバータを使用することによって第1バスに結合される、ということを理解することが可能である。ここで、エネルギー貯蔵システム構造体9とエネルギー貯蔵システム構造7は両方とも、オプションのシステム構造であり、換言すれば、エネルギー貯蔵システム構造7とエネルギー貯蔵システム構造体9は、並行しているオプション構造である。従って、エネルギー貯蔵システム構造7における第2コンバータの説明を、エネルギー貯蔵システム構造9における第2コンバータの説明と区別するために、エネルギー貯蔵システム構造9においては、第2コンバータは、コンバータ3を例として使用することにより説明される。説明を簡易化するために、以下、第2バスが直流バスである例を説明のために使用している。この場合、第1バスが直流バスである場合、コンバータ3はDC/DCコンバータである。第1バスが交流バスである場合、コンバータ3はDC/ACコンバータである。図7aに示すように、バッテリー・クラスタ1の第2バスが第1バスに直接的に結合されている場合、第1バスの電圧は通常比較的高く、第2バスの電圧は通常比較的低いので、第2バス側の電圧から第1バス側の電圧への変換に適応するために、高いブースト比率を有するコンバータが、バッテリー・クラスタ1における各バッテリー・モジュール内のDC/DCコンバータに対して選択されることが可能である。例えば、バッテリー・クラスタ1内の各バッテリー・モジュールに含まれるコンバータDC/DC1は、絶縁回路トポロジを使用するコンバータとして選択される。バッテリー・クラスタ1における第2バスがコンバータ3を使用することにより第1バスに接続される場合、第2バスは、例えば、48V、400V、1000V等のような比較的一定の電圧で制御されてもよいし、又は第2バスは、特定の電圧範囲、例えば、40Vないし100V、400Vないし500V、又は900Vないし1200Vにおいて制御されてもよく、これらは、実際のアプリケーション・シナリオに基づいて具体的に決定されることが可能である。これは本件で限定されない。
【0083】
[0111] エネルギー貯蔵システムのエネルギー貯蔵制御方法:
[0112] 以下、図8aないし図8dを参照して、本件で提供されるエネルギー貯蔵システムにおいて使用されることが可能なエネルギー貯蔵制御方法を説明する。
【0084】
[0113] 説明を簡易化するために、第1バスは1200Vの直流バスであり、第2バスは400Vの直流バスであり、第2バスは第2コンバータを使用することによって第1コンバータの第2ポート(即ち、コンバータDC/DC)に結合されていると仮定する。各バッテリー・クラスタのポート電圧(即ち、第1コンバータの第2ポートのポート電圧)は1000V(直流電圧)であり、単一のバッテリー・クラスタ内の各バッテリー・モジュールの電圧は50V(直流電圧)である例が、説明のために使用される。単一のバッテリー・クラスタのポート電圧は1000V(直流)であり、単一のバッテリー・クラスタの各バッテリー・モジュールの電圧は50V(直流)であるので、単一のバッテリー・クラスタは20個のバッテリー・モジュールを含む、言い換えれば、mは20に等しい、ということが分かる。
【0085】
[0114] 説明を簡易化するために、以下、2つのバッテリー・クラスタを説明のために使用する。バッテリー・クラスタ1は、バッテリーが充電される場合にコンバータとバスとの間の協調制御方法を説明するために使用され、バッテリー・クラスタ2は、バッテリーが放電される場合にコンバータとバスとの間の協調制御方法を説明するために使用される。説明を簡易化するために、図8aないし図8dにおいて、2つの端にあるバッテリー・モジュール(例えば、バッテリー・モジュール1及びバッテリー・モジュールm)が、各バッテリー・クラスタにおける説明のための例として使用される。バッテリー・モジュール1の容量は50V/250Ahであり、バッテリー・モジュールmの容量は50V/350Ahである。ここで、バッテリー・モジュール1の容量とバッテリー・モジュールmの容量は等しいものではなく、これは、初期構成に起因するかもしれないし、又は一貫していないバッテリー減衰速度に起因するかもしれない。これは、実際のアプリケーション・シナリオに基づいて具体的に決定されることが可能であり、本件では限定されない。
【0086】
[0115] 図8aは、本件によるエネルギー貯蔵システムのエネルギー貯蔵制御方法の概略図である。図8aにおいて、コンバータDC/DC1及びコンバータDC/DC2はそれぞれ片方向コンバータを使用している。図8aにおけるバッテリー・クラスタ1は、バッテリー・クラスタ1におけるバッテリー・モジュールの容量が等しくない場合のエネルギー貯蔵システムの充電制御方法を説明するための例として使用される。コンバータDC/DC1は、片方向コンバータであり、コンバータの電力方向は、バッテリー・ストリング側から第2バス側であるので、バッテリー・ストリングが充電される場合、バッテリー・クラスタ1全体における全てのバッテリー・ストリングのバッテリー充電時間が一貫していること(例えば、全てのバッテリー・ストリングのバッテリー充電時間が同一であるか、又は全てのバッテリー・クラスタのバッテリー充電時間の間の差が予め設定された誤差範囲内に収まること)を保証するために、バッテリー・クラスタ1の最大充電電流は、ある最大電流に制限され、具体的には、バッテリー・クラスタ1の最大充電電流は、最大容量を有するバッテリー・モジュールの容量によって決定される。例えば、バッテリー・クラスタ1において最大容量を有するバッテリー・モジュールは、バッテリー・モジュールmであり(この場合、バッテリー・モジュールmは、第1エネルギー貯蔵モジュールである)、バッテリー・モジュールmの容量は、50V/350Ahである。従って、バッテリー・クラスタ1全体における全てのバッテリー・ストリングのバッテリー充電時間が一貫していることを確実にするために、バッテリー・クラスタ1の最大充電電流は、350Aであると決定されてもよい。バッテリー・モジュール1の最大容量は250Ahであるので、バッテリー・モジュール1におけるコンバータDC/DC1 11は、100Aの電流をバッテリー側から引き出すことを必要とし、バッテリー・モジュール1の電圧は50Vであることを考慮すると、コンバータDC/DC1の電力は5kW(即ち100A x 50V)である。バッテリー・クラスタ1における他の全てのバッテリー・モジュールは、50V/350Ahの容量を有するバッテリー・モジュールであり、第2バスの電圧は400Vに設定され、各バッテリー・モジュールにおけるコンバータDC/DC1の変換効率は1であると仮定されている。この場合、第2バスの電流は12.5A(即ち、5kW/400V)であり、第2コンバータ(コンバータDC/DC2)は、400V/12.5Aのエネルギーを、バッテリー・クラスタ1のポート・エネルギー(即ち、コンバータ1の第2ポートのポート・エネルギー、1000V/5A)に変換することを必要とする。このようにして、バッテリー・クラスタ1における全てのバッテリー・モジュールのエネルギー・バランス管理を実施することができる。
【0087】
[0116] 図8aのバッテリー・クラスタ2は、バッテリー・クラスタ2におけるバッテリー・モジュールの容量が等しくない場合のエネルギー貯蔵システムの放電制御方法を説明するための例として使用される。同様に、コンバータDC/DC1は、片方向コンバータであり、コンバータDC/DC1の電力方向は、バッテリー側から第2バスへ向かうので、バッテリー・クラスタ2全体における全てのバッテリー・ストリングのバッテリー放電時間は一貫していることを保証するために、バッテリー・ストリングが放電される場合に、バッテリー・クラスタ2における放電電流は、ある最小電流に制限される、具体的には、バッテリー・クラスタ2の放電電流は、最小容量を有するバッテリー・モジュール(即ち、第2エネルギー貯蔵モジュール)の容量によって決定される。例えば、バッテリー・クラスタ2における最小容量を有するバッテリー・モジュールは、バッテリー・モジュール1であり(この場合、バッテリー・モジュール1は、第2エネルギー貯蔵モジュールである)、バッテリー・モジュール1の容量は、50V/250Ahである。従って、バッテリー・クラスタ1全体における全てのバッテリー・ストリングのバッテリー放電時間が一貫していることを保証するために、バッテリー・クラスタ2の放電電流は、250Aであると決定されてもよい。バッテリー・クラスタ2におけるバッテリー・モジュールmの最大容量は350Ahであるので、バッテリー・モジュールmにおけるコンバータDC/DC1 1mは、バッテリー側から100Aの電流を引き出すことを必要とし、バッテリー・モジュールのポート電圧は50Vであることを考慮すると、コンバータDC/DC1 1mの電力は5kW(即ち、100A×50V)である。バッテリー・クラスタ2における他の全てのバッテリー・モジュールは、50V/250Ahのバッテリー・モジュールであり、第2バスの電圧は400Vに設定され、各バッテリー・モジュール内のコンバータDC/DC1の変換効率は1であると仮定されている。この場合、第2バスの電流は12.5A(即ち、5kW/400V)であり、コンバータDC/DC2は、400V/12.5Aのエネルギーを、バッテリー・クラスタ2のポート・エネルギー(即ち、1000V/5A)に変換することを必要とする。このように、バッテリー・クラスタ1における全てのバッテリー・モジュールのエネルギー・バランス管理が実施される
[0117] オプションとして、幾つかの実現可能な実装において、バッテリー・クラスタにおける各バッテリー・モジュール内のコンバータDC/DC1の電力方向は、第2バスからバッテリー・モジュールへ向かうものであってもよい。相応して、コンバータDC/DC2の電力方向は、図8bに示されるように、バッテリー・クラスタのポート(即ち、第1のコンバータの第2のポート)から、第2バスへ向かうものであることを必要とする。図8bは、本件による別のエネルギー貯蔵システムのエネルギー貯蔵制御方法の概略図である。各バッテリー・モジュールにおけるコンバータDC/DC1の電力方向が調整されるので、充放電制御方法もそれに応じて調整されることを必要とする。図8bにおけるバッテリー・クラスタ1の充電プロセスが一例として使用される。この場合、バッテリー・クラスタ1の最大充電電流は、バッテリー・クラスタ1における最小容量を有するバッテリー・モジュール(例えば、バッテリー・モジュール1、このケースでは、バッテリー・モジュール1は第2エネルギー貯蔵モジュールである)によって制限され、具体的には、バッテリー・クラスタ1の最大充電電流は、バッテリー・クラスタ1における最小容量を有するバッテリー・モジュールの容量(即ち、第2エネルギー貯蔵モジュール)によって決定される。例えば、バッテリー・クラスタ1における最小容量を有するバッテリー・モジュールは、バッテリー・モジュール1であり、バッテリー・モジュール1の容量は、50V/250Ahである。従って、このケースでは、バッテリー・クラスタ1の最大充電電流は、250Aとして決定されてもよい。この場合、容量が50V/350Ahであるバッテリー・モジュール(例えば、バッテリー・モジュールm)について、100Aの電流差は、コンバータDC/DC1とコンバータDC/DC2を用いて補償される。バッテリーが放電される場合、このケースでは、バッテリー・クラスタ1の最大放電電流は、バッテリー・クラスタ1の最大容量を有するバッテリー・モジュール(例えば、バッテリー・モジュールm、このケースでは、バッテリー・モジュールmは第1エネルギー貯蔵モジュール)によって制限され、具体的には、バッテリー・クラスタ1の最大放電電流は、バッテリー・クラスタ1における最大容量を有するバッテリー・モジュールの容量(即ち、第1エネルギー貯蔵モジュール)によって決定される。例えば、バッテリー・クラスタ1における最大容量を有するバッテリー・モジュールは、バッテリー・モジュールmであり、バッテリー・モジュールmの容量は、50V/350Ahである。従って、このケースでは、バッテリー・クラスタ1の最大充電電流は、350Aとして決定されてもよい。この場合、250Ahのバッテリー・モジュールについて、100Aの電流差は、コンバータDC/DC1とコンバータDC/DC2を使用することによって補償される。特定の実装において、図8bに示すエネルギー貯蔵システムでは、エネルギー貯蔵システムのエネルギー貯蔵制御方法におけるバッテリー充放電制御プロセスは、図8aのバッテリー充放電制御方法とちょうど反対であり、詳細はここでは再度説明しない。
【0088】
[0118] 図8cは、本件による別のエネルギー貯蔵システムのエネルギー貯蔵制御方法の概略図である。図8cでは、各バッテリー・クラスタにおけるバッテリー・モジュールに含まれるコンバータDC/DC1と、バッテリー・クラスタ内のコンバータDC/DC2とは、それぞれ双方向コンバータを使用する。図8cのバッテリー・クラスタ1は、バッテリーが充電される場合のエネルギー貯蔵システムの協調制御方法を示す。図8cのバッテリー・クラスタ2は、バッテリーが放電される場合のエネルギー貯蔵システムの協調制御方法を示す。エネルギー貯蔵システムがバッテリー・クラスタ1内のバッテリー・モジュールを充電する場合に、バッテリー・クラスタ1の充電電流は300 Aであると仮定されている。同様に、バッテリー・クラスタ1における全てのバッテリー・モジュールの一貫した充放電時間を実現するために、50V/250Aのバッテリー・モジュール(例えば、バッテリー・モジュール1)については、バッテリー・モジュール内のコンバータDC/DC1は、50Aの電流をバッテリー側から引き出すことを必要とし(コンバータDC/DC1の電力は、2.5kWである(即ち、50V×50A))、50V/350Aのバッテリー・モジュール(例えば、バッテリー・モジュールm)については、バッテリー・モジュール内のコンバータDC/DC1は、50Aの電流をバッテリー側に注ぐことを必要とする。バッテリー・クラスタ1内の他のバッテリー・モジュールの仕様は全て50V/300Ahであると仮定し、第2バスは、バッテリー・モジュール1の400V/6.25Aのエネルギー(即ち、2.5kW/400V)を、バッテリー・モジュールmに伝達することを必要とする。他のバッテリー・モジュール内のコンバータDC/DC1は、差のエネルギーを処理することを必要としない。更に、バッテリー・クラスタ1内のバッテリー・モジュール1におけるエネルギーと、バッテリー・クラスタ1内のバッテリー・モジュールにおけるエネルギーとは、ちょうど相殺されるので、バッテリー・クラスタ1におけるコンバータDC/DC2は、エネルギーを処理することを必要としない。
【0089】
[0119] バッテリー・クラスタ2におけるバッテリー・モジュールが放電される場合、バッテリー・クラスタ2の放電電流は300Aであると仮定されている。同様に、バッテリー・クラスタ2におけるバッテリー・モジュールの一貫した充放電時間を実現するために、50V/250Aのバッテリー・モジュール(例えば、バッテリー・モジュール1)に対して、バッテリー・モジュール内のコンバータDC/DC1は、50Aの電流をバッテリー側に流して、300Aの電流差分を補償し(バッテリー・モジュール内のコンバータDC/DC1の電力は2.5kWである(50V×50A))、50V/350Aのバッテリー・モジュール(例えば、バッテリー・モジュールm)に対して、バッテリー・モジュール内のコンバータDC/DC1は、50Aの電流をバッテリー側から引き出して、バッテリーが最大電力出力状態で動作するようにすることを必要とする。バッテリー・クラスタ内の他のバッテリー・モジュールの仕様は全て50V/300Ahであると仮定し、第2バスは、バッテリー・モジュールmの400V/6.25A(即ち、2.5kW/400V)のエネルギーを、バッテリー・モジュール1に伝達することを必要とする。他のバッテリー・モジュール内のコンバータDC/DC1は、差のエネルギーを処理することを必要としない。更に、バッテリー・クラスタ内のバッテリー・モジュール1におけるエネルギーと、バッテリー・クラスタ内のバッテリー・モジュールmにおけるエネルギーとは、ちょうど相殺されるので、バッテリー・クラスタ2におけるコンバータDC/DC2は、エネルギーを処理することを必要としない。
【0090】
[0120] 実際のアプリケーションにおいて、バッテリー・モジュールの利用性を最大化し、バッテリー能力をフル活用するために、バッテリーに関して充放電管理が実行される場合に、全てのバッテリー・モジュールの充放電時間が一貫していることを保証することに加えて、バッテリー・モジュールの他のエネルギー貯蔵要素パラメータの一貫性は、第1バスと第2バスのシステム・エネルギー・スケジューリング、及びコンバータの協調制御によって、確実にすることが可能である。エネルギー貯蔵素子パラメータは、充/放電(state of charge, SOC)、SOH、ポート電圧(即ち、充/放電におけるバッテリー・ポート電圧)、充/放電深度(depth of discharge, DOD)等を更に含んでもよい。本件で説明される全てのエネルギー貯蔵モジュールのエネルギー貯蔵素子パラメータは、全てのエネルギー貯蔵モジュールのエネルギー貯蔵素子パラメータが同一であること(又は等しいこと)、又は全てのエネルギー貯蔵モジュールのエネルギー貯蔵素子パラメータ間の差が予め設定された誤差範囲内にあること、であってもよいことが理解されるであろう。例えば、その差は、5%という事前に設定された誤差範囲内にあり、これは実際のアプリケーション・シナリオに基づいて具体的に決定されることが可能である。これは本件で限定されない。
【0091】
[0121] 図8aないし図8cに示されるエネルギー貯蔵制御方法では、唯1つの状態を使用して、本件で提供されるエネルギー貯蔵システムの協調制御方法を、デュアル・バス・エネルギー管理に基づいて説明している。実際のアプリケーションでは、バッテリー状態と各コンバータの定格電力出力能力とに基づいて、デュアル・バス・エネルギー管理に基づく複数の協調制御方法が存在する可能性があり、これは本件で限定されない。例えば、良好なバッテリーの一貫性を有する新たに構築されたエネルギー貯蔵システムでは、エネルギー貯蔵システムにおける各バッテリー・クラスタに含まれる各バッテリー・モジュールの充放電管理は、第1バスのみを使用することによって実施することが可能であり、バッテリー・クラスタ内のバッテリー・モジュールの不具合率が比較的高い場合、各バッテリー・モジュールのエネルギー管理は、第2バスを使用することによって独立して実施されることが可能であり、それによって、エネルギー貯蔵システムの連続的な動作を保証する。この運用はフレキシブルであり、エネルギー貯蔵システムは高い適用可能性を有する。
【0092】
[0122] 図8dは、本件による別のエネルギー貯蔵システムのエネルギー貯蔵制御方法の概略図である。図8aないし図8cに示すアプリケーション・シナリオとは異なり、図8dに示すアプリケーション・シナリオでは、スイッチ・ブリッジ・アームが、バッテリー・クラスタ内の各バッテリー・モジュールに追加されており、バッテリー・モジュールのフレキシブルな制御を実現する。更に、システム制御をシンプルにするために、図8dに示すエネルギー貯蔵システムにおいて、第2バス(第2バスは直流バスであると仮定されている)が、バッテリー・クラスタの入/出力ポート(即ち、バッテリー・クラスタに接続される第1コンバータの第2ポート)に直接的に結合されている例が、説明のために使用される。20個のバッテリー・モジュールが各バッテリー・クラスタで直列に接続されたままであり、エネルギー貯蔵システムが長時間使用された後に、バッテリー・クラスタの中で残りのバッテリー・モジュール1と残りのバッテリー・モジュールmのみが正常に動作することが可能であり、他のバッテリー・モジュールはダメージを受けているか、又はバッテリー・モジュールの健全性バッテリー状態が閾値を下回っている(言い換えると、バッテリー・モジュールのSOHは、要件を満たすことができない)と仮定されている。この場合、全てのバッテリー・モジュールにおける全てのスイッチ・ブリッジ・アームは、分断された状態になるように制御されることが可能であり、各バッテリー・クラスタの電流チャネルはブロックされるが、各バッテリー・モジュールは、バッテリー・モジュール内のDC/DCコンバータ(即ち、コンバータDC/DC1)の能力に応じて、引き続き使用される可能性がある。各バッテリー・モジュールにおけるコンバータDC/DC1の定格電力、例えば、2.5kWによって制限され、バッテリー・モジュールは格下げされることを必要とするが、それでもなお特定の電力出力能力を有する。更に、周波数変調や電圧規制のような状態において、エネルギー貯蔵システムが、瞬間的な大電力を送電網から吸収するか、又は瞬間的な大電力を解放することを必要とする場合、第1バスと第2バスを同時に使用して、エネルギー貯蔵システムにおける各バッテリー・モジュールに関して充放電管理を実施して、バッテリー・モジュールの利用率を高めることができる。
【0093】
[0123] 本件では、エネルギー貯蔵システムは、2つのバスに基づいてエネルギー貯蔵システムにおける各バッテリー・モジュールの充放電管理を実行することが可能であり、各バッテリー・モジュールの充放電管理のエネルギー貯蔵制御方法は、第1バスと第2バスの電気的なカップリングの仕方に基づいて、特に、補助的な制御のために使用される第2コンバータの調整のために、適合させることが可能であり、それらはアプリケーション・シナリオに基づいて具体的に決定されることが可能である。これは本件で限定されない。この運用はフレキシブルであり、エネルギー貯蔵システムは高い適用可能性を有する。
【0094】
[0124] エネルギー貯蔵システムの適用シナリオ:
[0125] 本件で提供されるエネルギー貯蔵システム(図4aないし図7bのうちの何れか1つに示されるエネルギー貯蔵システム)は、例えば、図9aないし図9cに示されるような、純粋なエネルギー貯蔵のアプリケーション・シナリオ、ハイブリッド・オプティカル貯蔵のアプリケーション・シナリオ、及びハイブリッド風力貯蔵のアプリケーション・シナリオのような、様々なアプリケーション・シナリオに適合される可能性がある。図9aは、本件による別のエネルギー貯蔵システムの概略的な構造図である。図9aに示されるように、第1バスが直流バスである場合、第1バスは、DC/ACコンバータを使用することによって送電網に結合されることが可能である。エネルギー貯蔵システムにおける各バッテリー・クラスタに接続された第1コンバータ内のセントラル化された監視システム(この場合、第1コンバータはDC/DCコンバータであってもよい)は、制御バスを介してDC/ACコンバータとのエネルギー相互作用を実行して、バッテリーの直流と送電網の交流との間のエネルギー相互作用を実行することが可能である。図9aに示されるDC/ACコンバータを使用することによって第1バスが送電網に結合される実装は、図4aないし図7bに示されるエネルギー貯蔵システム構造のうちの任意の何れかに適用可能であることが理解されるであろう。これは、実際の適用シナリオに基づいて具体的に決定されてもよく、本件では限定されない。
【0095】
[0126] 図9bは、本件による別のエネルギー貯蔵システムの概略的な構造図である。第1バスが交流バスである場合、第1バスは、交流送電網又は交流負荷に直接的に接続されてもよい。これは、実際のアプリケーション・シナリオに基づいて具体的に決定されてもよく、本件では限定されない。この場合、エネルギー貯蔵システムにおける各バッテリー・クラスタに接続された第1コンバータは、DC/ACコンバータであってもよく、その結果、エネルギー貯蔵システムにおける各バッテリー・クラスタと第1バスとの間のエネルギー相互作用を実現することができる。同様に、第1バスが図9bに示される交流送電網又は交流負荷に直接的に接続される実装は、図4aないし図7bに示されるエネルギー貯蔵システム構造のうちの任意の何れかに適用可能である。これは、実際の適用シナリオに基づいて具体的に決定されてもよく、本件では限定されない。
【0096】
[0127] 図9bは、本件による別のエネルギー貯蔵システムの概略的な構造図である。幾つかの実現可能な実装において、第1バスが直流バスである場合、第1バスは、片方向DC/DCコンバータを使用することによって、太陽光発電(photovoltaic, PV)システムに結合されてもよい。エネルギー貯蔵システムにおける各バッテリー・クラスタに接続された第1コンバータ内のセントラル化された監視システムは、太陽光発電システムに接続され、第1バスが結合されたDC/DCコンバータを使用することによって及び制御バスを介して、エネルギー相互作用を実現し、太陽光エネルギーの効率的な利用を実現することができる。ここで、太陽光発電システムに接続され、第1バスが結合されるDC/DCコンバータは、最大電力点追跡(maximum power point tracking, MPPT)型のDC/DCコンバータであってもよい。太陽光発電システムは、MPPT DC/DCコンバータを使用することによって、最大電力追跡を実現し、第1バスを介してエネルギー貯蔵システムとの電気的結合及びエネルギー相互作用を実現することができる。更に、第1バスは、DC/ACコンバータを使用することによって、交流送電網に更に結合されてもよく、エネルギー貯蔵システムにおける各バッテリー・クラスタに接続された第1コンバータ内のセントラル化された監視システムは、制御バスを介してDC/ACコンバータとのエネルギー相互作用を実行することも可能である。このようにして、エネルギー貯蔵システムと送電網との間のエネルギー相互作用を実現することができる。
【0097】
[0128] 本件で提供されるエネルギー貯蔵システム及び対応するエネルギー貯蔵制御方法は、エネルギー貯蔵システムの高効率なエネルギー・サイクルを保証することが可能であり、エネルギー貯蔵システムにおける各バッテリー・モジュールの高い利用率を保証することも可能である。この運用はフレキシブルであり、エネルギー貯蔵システムは高い適用可能性を有する。
【0098】
[0129] 前述の説明は、本件の単なる具体的な実装に過ぎず、本件の保護範囲を制限するようには意図されていない。本件に開示された技術的範囲内で、当業者が容易に理解することが可能な如何なる変更又は置換も本件の保護範囲に含まれるものとする。従って、本件の保護範囲はクレームの保護範囲に従うものとする。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図4d
図5
図6a
図6b
図7a
図7b
図8a
図8b
図8c
図8d
図9a
図9b
図9c