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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】ステント展開システム
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/962 20130101AFI20240319BHJP
【FI】
A61F2/962
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022545452
(86)(22)【出願日】2020-12-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-22
(86)【国際出願番号】 US2020066061
(87)【国際公開番号】W WO2021154421
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-08-30
(31)【優先権主張番号】62/966,282
(32)【優先日】2020-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】スミス、アマンダ リン
(72)【発明者】
【氏名】ファブロー、ジョン ティ.
(72)【発明者】
【氏名】マガハ、ジャクリーン ニコル
(72)【発明者】
【氏名】ウェレハン、ジェニファー
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0204196(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0255580(US,A1)
【文献】特表2014-504904(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0172887(US,A1)
【文献】特開2007-125422(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/962
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体管腔へステントを送達するための送達システムであって、
該送達システムは、外側チューブ状部材を備え、該外側チューブ状部材は、ルーメンを画成するとともに、近位端領域及び遠位端領域を有し、
該送達システムは、切断要素を備え、該切断要素は、前記外側チューブ状部材の前記遠位端領域に隣接して前記外側チューブ状部材の内面に結合され、前記内面から半径方向内側に延びており、
該送達システムは、内側チューブ状部材を備え、該内側チューブ状部材は、ルーメンを画成するとともに、近位端領域及び遠位端領域を有し、前記外側チューブ状部材の前記ルーメン内に摺動自在に配置されており、
該送達システムは、拡張可能なステントを備え、該拡張可能なステントは、前記内側チューブ状部材の前記遠位端領域に隣接して当該内側チューブ状部材の外面の周りに配置されており、
該送達システムは、シースを備え、該シースは、前記拡張可能なステントに被さって解放自在に配置されるとともに、前記拡張可能なステントを半径方向に潰れた形態に維持するように構成されており、前記シースは近位端と遠位端とを有し、
前記切断要素は、前記拡張可能なステントから半径方向に間隔を隔てたままで、前記外側チューブ状部材を近位側へ後退させることによって前記シースを、当該シースの前記近位端から当該シースの前記遠位端までの全長にわたって切断するように構成される、送達システム。
【請求項2】
前記切断要素は、ブレードからなる、請求項1に記載の送達システム。
【請求項3】
前記切断要素は、鋸歯ブレードからなる、請求項1に記載の送達システム。
【請求項4】
前記切断要素は、一対のブレードからなり、該一対のブレードは、V字形状の切断面を形成するように一緒に固定される請求項1に記載の送達システム。
【請求項5】
前記切断要素は、前記外側チューブ状部材の前記内面の周囲に均一に配置された2つ以上の切断要素からなる、請求項1~4のいずれか1項に記載の送達システム。
【請求項6】
前記切断要素は、前記外側チューブ状部材の前記内面の周囲に偏心して配置された2つ以上の切断要素からなる、請求項1~4のいずれか1項に記載の送達システム。
【請求項7】
前記外側チューブ状部材の内径は、前記シースの外径よりも大きい、請求項1~6のいずれか1項に記載の送達システム。
【請求項8】
前記シースは複数のミシン目を備える、請求項1~7のいずれか1項に記載の送達システム。
【請求項9】
前記複数のミシン目は、前記切断要素と半径方向に位置合わせされる、請求項8に記載の送達システム。
【請求項10】
前記外側チューブ状部材を近位側へ後退させることによって、前記シースが前記ステントから解放される、請求項1~9のいずれか1項に記載の送達システム。
【請求項11】
前記外側チューブ状部材を近位側へ後退させることによって前記シースが切断された後、前記シースが除去可能となるように構成される、請求項1~10のいずれか1項に記載の送達システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、ステントを展開するための方法及び装置に関する。より詳細には、本開示は、高摩擦性ステントを展開するための展開システムの異なる形態及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
移植可能なステント(Implantable stent)は、身体の構造、例えば血管、食道、気管、胆管、結腸、腸、胃又は体腔内に配置されて、支持をもたらし且つその構造を開放状態に維持する装置である。これらの装置は、様々な異なる製造方法のうちのいずれか1つによって製造され、及び様々な方法のうちのいずれか1つに従って使用され得る。公知の医療装置、送達システム、及び方法には、それぞれ、いくつかの利点及び不都合な点がある。代替的な医療装置及び送達装置、並びに医療装置及び送達装置の代替的な製造及び使用方法を提供することが、継続的に必要とされる。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、体内へステントを送達するための医療装置の構造及びアセンブリのいくつかの代替的な設計、材料、及び製造方法に関する。
第1例では、生体管腔へステントを送達するための送達システムは、外側チューブ状部材を備え得る。該外側チューブ状部材は、ルーメンを画成するとともに、近位端領域及び遠位端領域を有する。該送達システムは、切断要素を備え得る。該切断要素は、外側チューブ状部材の遠位端領域に隣接して当該外側チューブ状部材の内面に結合され、内面から半径方向内側に延びる。該送達システムは、内側チューブ状部材を備え得る。該内側チューブ状部材は、ルーメンを画成するとともに近位端領域及び遠位端領域を有し、外側チューブ状部材のルーメン内に摺動自在に配置される。該送達システムは、拡張可能なステントを備え得る。該拡張可能なステントは、内側チューブ状部材の遠位端領域に隣接して当該内側チューブ状部材の外面の周りに配置される。該送達システムは、シースを備え得る。該シースは、拡張可能なステントに被さって解放自在に配置されるとともに拡張可能なステントを半径方向に潰れた形態に維持するように構成される。切断要素は、拡張可能なステントから半径方向に間隔を隔てたままで、外側チューブ状部材を近位側へ後退させることによってシースを切断するように構成され得る。
【0004】
上述の例のいずれかの代わりに又はそれに加えて、別の例では、切断要素は、ブレードからなり得る。
上述の例のいずれかの代わりに又はそれに加えて、別の例では、切断要素は、鋸歯ブレードからなり得る。
【0005】
上述の例のいずれかの代わりに又はそれに加えて、別の例では、切断要素は、一対のブレードからなり得る。該一対のブレードは、V字形状の切断面を形成するように一緒に固定される。
【0006】
上述の例のいずれかの代わりに又はそれに加えて、別の例では、切断要素は、外側チューブ状部材の内面の周囲に均一に配置された2つ以上の切断要素からなり得る。
上述の例のいずれかの代わりに又はそれに加えて、別の例では、切断要素は、外側チューブ状部材の内面の周囲に偏心して配置された2つ以上の切断要素からなり得る。
【0007】
上述の例のいずれかの代わりに又はそれに加えて、別の例では、外側チューブ状部材の内径は、シースの外径よりも大きい。
上述の例のいずれかの代わりに又はそれに加えて、別の例では、シースは、複数のミシン目を備え得る。
【0008】
上述の例のいずれかの代わりに又はそれに加えて、別の例では、複数のミシン目は、切断要素と半径方向に位置合わせされ得る。
上述の例のいずれかの代わりに又はそれに加えて、別の例では、外側チューブ状部材を近位側へ後退させることによって、シースがステントから解放され得る。
【0009】
上述の例のいずれかの代わりに又はそれに加えて、別の例では、外側チューブ状部材を近位側へ後退させることによってシースが切断された後、シースが除去可能であるように構成され得る。
【0010】
別の例では、生体管腔へステントを送達するための送達システムは、チューブ状部材を備え得る。該チューブ状部材は、ルーメンを画成するとともに、近位端領域及び遠位端領域を有する。該送達システムは、拡張可能なステントを備え得る。該拡張可能なステントは、内側チューブ状部材の遠位端領域に隣接して当該内側チューブ状部材の外面の周りに配置される。該送達システムは、シースを備える。該シースは、拡張可能なステントに被さって解放自在に配置されるとともに、拡張可能なステントを半径方向に潰れた形態に維持するように構成される。該送達システムは、レリーズタブを備え得る。該レリーズタブは、シースの近位端に隣接する近位端からシースの遠位端に隣接する遠位端に延びる。該レリーズタブは、電気的刺激下又は化学的刺激下で破壊するように構成され得る。
【0011】
上述の例のいずれかの代わりに又はそれに加えて、別の例では、送達システムは、レリーズタブに結合された一対の導電性ワイヤをさらに備え得る。
上述の例のいずれかの代わりに又はそれに加えて、別の例では、送達システムは、拡張可能なステントに隣接してチューブ状部材に形成された1つ以上のポートをさらに備え得る。
【0012】
上述の例のいずれかの代わりに又はそれに加えて、別の例では、レリーズタブは、シースの周囲で間隔を隔てる2つ以上のレリーズタブを備え得る。
別の例では、生体管腔へステントを送達するための送達システムは、外側チューブ状部材を備え得る。該外側チューブ状部材は、ルーメンを画成するとともに、近位端領域及び遠位端領域を有する。該送達システムは、切断要素を備え得る。該切断要素は、外側チューブ状部材の遠位端領域に隣接して当該外側チューブ状部材の内面に結合され、内面から半径方向内側に延びる。該送達システムは、内側チューブ状部材を備え得る。該内側チューブ部材は、ルーメンを画成するとともに、近位端領域及び遠位端領域を有し、外側チューブ状部材のルーメン内に摺動自在に配置される。該送達システムは、拡張可能なステントを備え得る。該拡張可能なステントは、内側チューブ状部材の遠位端領域に隣接して当該内側チューブ状部材の外面の周りに配置される。該送達システムは、シースを備え得る。該シースは、拡張可能なステントに被さって解放自在に配置されるとともに、拡張可能なステントを半径方向に潰れた形態に維持するように構成される。切断要素は、拡張可能なステントから半径方向に間隔を隔てたままで、外側チューブ状部材を近位側へ後退させることによってシースを切断するように構成され得る。
【0013】
上述の例のいずれかの代わりに又はそれに加えて、別の例では、切断要素は、ブレードからなり得る。
上述の例のいずれかの代わりに又はそれに加えて、別の例では、切断要素は、鋸歯ブレードからなり得る。
【0014】
上述の例のいずれかの代わりに又はそれに加えて、別の例では、切断要素は、一対のブレードからなり得る。該一対のブレードは、V字形状の切断面を形成するように、一緒に固定される。
【0015】
上述の例のいずれかの代わりに又はそれに加えて、別の例では、切断要素は、外側チューブ状部材の内面の周囲に均一に配置された2つ以上の切断要素からなり得る。
上述の例のいずれかの代わりに又はそれに加えて、別の例では、切断要素は、外側チューブ状部材の内面の周囲に偏心して配置された2つ以上の切断要素からなり得る。
【0016】
上述の例のいずれかの代わりに又はそれに加えて、別の例では、外側チューブ状部材の内径は、シースの外径よりも大きい。
上述の例のいずれかの代わりに又はそれに加えて、別の例では、シースは、複数のミシン目を備え得る。
【0017】
上述の例のいずれかの代わりに又はそれに加えて、別の例では、複数のミシン目は、切断要素と半径方向に位置合わせされ得る。
上述の例のいずれかの代わりに又はそれに加えて、別の例では、外側チューブ状部材を近位側へ後退させることによって、シースは、ステントから解放され得る。
【0018】
上述の例のいずれかの代わりに又はそれに加えて、別の例では、外側チューブ状部材を近位側へ後退させることによってシースが切断された後、シースは、除去可能であるように構成され得る。
【0019】
別の例では、生体管腔へステントを送達するための送達システムは、チューブ状部材を備え得る。該チューブ状部材は、ルーメンを画成するとともに、近位端領域及び遠位端領域を有する。該送達システムは、拡張可能なステントを備え得る。該拡張可能なステントは、内側チューブ状部材の遠位端領域に隣接して当該内側チューブ状部材の外面の周りに配置される。該送達システムは、シースを備え得る。該シースは、拡張可能なステントに被さって解放自在に配置されるとともに、拡張可能なステントを半径方向に潰れた形態に維持するように構成される。該送達システムは、レリーズタブを備え得る。該レリーズタブは、シースの近位端に隣接する近位端からシースの遠位端に隣接する遠位端に延びる。レリーズタブは、加えられた電気刺激下で破壊して、シースに裂け目を形成するとともに拡張可能なステントに加わるシースの圧縮力を解放するように構成され得る。
【0020】
上述の例のいずれかの代わりに又はそれに加えて、別の例では、送達システムは、レリーズタブに結合された一対の導電性ワイヤをさらに備え得る。
上述の例のいずれかの代わりに又はそれに加えて、別の例では、レリーズタブは、シースの周囲で間隔を隔てる2つ以上のレリーズタブからなり得る。
【0021】
上述の例のいずれかの代わりに又はそれに加えて、別の例では、レリーズタブは、細い金属ワイヤからなり得る。
上述の例のいずれかの代わりに又はそれに加えて、別の例では、レリーズタブは、シースの長手方向軸に対してほぼ平行に延び得る。
【0022】
別の例では、生体管腔へステントを送達するための送達システムは、チューブ状部材を備え得る。該チューブ状部材は、ルーメンを画成するとともに、近位端領域及び遠位端領域を有する。該送達システムは、拡張可能なステントを備え得る。該拡張可能なステントは、内側チューブ状部材の遠位端領域に隣接して当該内側チューブ状部材の外面の周りに配置される。該送達システムは、シースを備え得る。該シースは、拡張可能なステントに被さって解放自在に配置されるとともに、拡張可能なステントを半径方向に潰れた形態に維持するように構成される。該送達システムは、レリーズタブを備え得る。該レリーズタブは、シースの近位端に隣接する近位端から、シースの遠位端に隣接する遠位端に延びる。レリーズタブは、化学的刺激下で破壊して、シースに裂け目を形成するとともに、拡張可能なステントに加わるシースの圧縮力を解放するように構成され得る。
【0023】
上述の例のいずれかの代わりに又はそれに加えて、別の例では、送達システムは、1つ以上のポートをさらに備え得る。該1つ以上のポートは、流体の流れを吐き出すために拡張可能なステントに隣接してチューブ状部材に形成される。
【0024】
上述の例のいずれかの代わりに又はそれに加えて、別の例では、流体は酸とし得る。
上述の例のいずれかの代わりに又はそれに加えて、別の例では、流体は食塩水とし得る。
【0025】
例示的な実施形態の上記の概要は、開示した各実施形態又は本開示の全ての実装例を説明するものではない。
本発明は、添付図面と併せて、様々な実施形態の以下の詳細な説明を考慮して、より完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】例示のステントの側面図。
図2図1のステントを送達するための例示の送達システムの側面図。
図3図1の例示のインプラントを送達するための方法を示す図。
図4図1の例示のインプラントを送達するための方法を示す図。
図5図1のステントを送達するための別の例示の送達システムの部分側面図。
図6図1の例示のインプラントを送達するための別の例示的な方法を示す図。
図7図1の例示のインプラントを送達するための別の例示的な方法を示す図。
図8図1のステントを送達するための別の例示の送達システムの部分側面図。
図9図1の例示のインプラントを送達するための別の例示的な方法を示す図。
図10図1のステントを送達するための別の例示の送達システムの部分側面図。
図11図1のステントを送達するための別の例示の送達システムの部分側面図。
図12図1のステントを解放するための例示のシースの部分側面図。
図13図1のステントを送達するための別の例示の送達システムの部分側面図。
図14図13のシースの部分斜視図。
図15図1の例示のインプラントを送達するための別の例示的な方法を示す図。
図16図1のステントを送達するための別の例示の送達システムの部分側面図。
図17図1のステントを送達するための別の例示の送達システムの部分側面図。
図18】線18-18に沿って取った、図17の例示の送達システムの断面図。
図19】例示の送達システムの代替的な断面図。
図20図1のステントを送達するための別の例示の送達システム部分側面図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、様々な修正例及び代替形態に適しているが、その詳細事項は、図面に例として示されており、且つ詳細に説明される。しかしながら、本発明の態様を、説明する特定の実施形態に限定することを意図するものではないことが理解されるべきである。そうではなく、本発明の趣旨及び範囲内に入る全ての修正例、等価物、及び代替例を網羅することを意図する。
【0028】
以下の定義した用語に関し、これらの定義は、異なる定義が特許請求の範囲又は本明細書の他のどこかで与えられない限り、当てはまる。
本明細書の全ての数値は、明白に示されるか否かに関わらず、用語「約」によって修正されると考えら得る。用語「約」は、一般的に、当業者が、列挙した値と等価である(例えば、同じ機能又は結果を有する)と考える数字の範囲を指す。多くの場合、用語「約」は、最も近い有効桁に丸められた数字を含むとして示され得る。
【0029】
端点による数値範囲の列挙は、その範囲内の全ての数字を含む(例えば1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)。
様々な構成要素、特徴及び/又は仕様に関わるいくつかの好適な寸法、範囲、及び/又は値が開示されるが、本開示によって刺激された当業者は、所望の寸法、範囲、及び/又は値は、明白に開示されたものから逸脱し得ることを理解するであろう。
【0030】
本明細書及び特許請求の範囲では、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明白に他の意味を指示する場合を除いて、複数の指示対象を含む。本明細書及び特許請求の範囲では、用語「又は、若しくは」は、全体的に、文脈上明白に他の意味を指示する場合を除いて、「及び/又は」を含む意味で用いられる。
【0031】
本開示のために、「近位」は、使用中、装置の操作者に近い端を指し、及び「遠位」は、使用中、装置の操作者から離れている端を指す。
以下の詳細な説明は、図面を参照して読まれるべきであり、図面では、異なる図面において、同様の要素に同じ符号が付される。詳細な説明及び必ずしも縮尺通りではない図面は、説明に役立つ実施形態を示しており、且つ本開示の範囲を限定するものではない。説明した説明に役立つ実施形態は、例示にすぎないものとする。いずれかの説明に役立つ実施形態のうちの選択された特徴は、特段の記載が明白にない限り、追加的な実施形態に組み込まれ得る。
【0032】
本明細書では、「実施形態」、「いくつかの実施形態」、「他の実施形態」などへの言及は、説明する実施形態が特定の特徴、構造、又は特性を含み得るが、全ての実施形態が、必ずしも、その特定の特徴、構造、又は特性を含まなくてもよいことを示すことに留意されたい。さらに、そのような語句は、必ずしも同じ実施形態に言及していない。さらに、特定の特徴、構造、又は特性が1つの実施形態に関連して説明されるとき、そのような特徴、構造、又は特性はまた、明白に説明されるか否かに関わらず、特段の記載が明白にない限り、他の実施形態に関連して使用され得ることが理解されるべきである。
【0033】
移動防止(Anti-migration)ステント技術(例えば、全体的に又は部分的にコーティングされたステント、機械的な固定要素を備えるステント、直径及び/又は表面領域が増大されたステントなど)並びにアクティブコーティング(例えば、限定されるものではないが、薬又は抗菌剤)を含むステントは、ステントと展開システムとの間の摩擦を高め得る。これは、ステント展開力を高くし得る及び/又はステントを展開する際の難しさを増し得る。展開力はまた、圧縮されたステントの半径方向力によって駆動され得る。より高い展開力は、送達装置のサイズを大きくする必要性を生じ得、これは、市場の要求に反していることが多い。場合によっては、送達は、ステントの外部に外側シャフトを引き抜くことによって、達成され得、これにより、装置内に最大の摩擦力を生み出し得る。現在のステント展開技術の代替例として、ステントから外側シースを軸方向ではなく半径方向に除去することによって、展開中の外側シースとステントとの間の表面領域の相互作用を減少させ得、それにより、展開に必要な力を減少させる。
【0034】
図1は、例示の管腔内(endoluminal)インプラント10、例えば、限定されるものではないが、ステントの側面図を示す。いくつかの例では、ステント10は、細長チューブ状部材12から形成され得る。ステント10は全体的にチューブ状であるとして示されるが、ステント10は、所望の任意の横断面形状を取り得ることが想定される。ステント10は、第1端すなわち近位端14、第2端すなわち遠位端16、及び第1端14と第2端16との間に配置された中間領域18を有し得る。ステント10は、第1端14に隣接する第1開口から、第2端16に隣接する第2開口まで延びるルーメン32を含み得、食物、流体などを通過させることができる。
【0035】
ステント10は、半径方向に潰れた第1形態(明示せず)から、半径方向に拡張した第2形態まで拡張可能とし得る。場合によっては、ステント10は、潰れた形態と十分に拡張した形態との間の形態まで展開され得る。ステント10は、狭窄部にわたって延び且つ半径方向外向きの圧力を管腔内の狭窄部に加えて、管腔を開いて、食物、流体、空気などが通過できるようにするような構造にされ得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、ステント10の近位端14は、複数のループ38を含み得る。ループ38は、そこを通して織り合わせて又は他の方法でループ38の1つ以上を通過する回収用テザー(retrieval tether)又は縫合糸(明示せず)を受け入れるように構成され得る。回収用縫合糸は、そのように望まれるときに、ステント10を潰して回収するために使用され得る。例えば、回収用縫合糸は、生体管腔からのステント10の除去を容易にするために、ステント10の近位端14を半径方向に潰すように、引きひものように引かれ得る。
【0037】
ステント10は、チューブ状の壁を形成するいくつかのフィラメントすなわちストラット36から製作された、織り構造を有し得る。いくつかの実施形態では、ステント10は、それ自体と織り合わされた単一のフィラメントすなわちストラットで編まれても若しくは編組されてもよく、且つステント10のチューブ状の壁の厚さ部分を貫通して延びるオープンセル46を画成する。他の実施形態では、ステント10は、一緒に織り合わされたいくつかのフィラメントすなわちストラットで編組されるとともに、ステント10のチューブ状の壁の厚さ部分を貫通して延びるオープンセル46を画成し得る。編組のフィラメントを含むいくつかの例示的なステントは、ボストン・サイエンティフィックコーポレーション(Boston Scientific,Corporation)によって製造され且つ卸される、ウォールフレックス(WallFlex)(登録商標)、ウォールステント(WALLSTENT)(登録商標)、及びポリフレックス(Polyflex)(登録商標)ステントを含む。別の実施形態では、ステント10は、編みとし、例えばボストン・サイエンティフィックコーポレーション(Boston Scientific,Corporation)製のウルトラフレックス(Ultraflex)(商標)ステントとし得る。さらに別の実施形態では、ステント10は、結び目型、例えばボストン・サイエンティフィックコーポレーション(Boston Scientific,Corporation)製のプレシジョン・コロニック(Precision Colonic)(商標)ステントとし得る。さらに別の実施形態では、ステント10は、レーザ切断されたチューブ状部材、例えばボストン・サイエンティフィックコーポレーション(Boston Scientific,Corporation)製のエピック(EPIC)(商標)ステントとし得る。レーザ切断されたチューブ状部材は、オープンセル46を間に画成する1つ以上の相互接続されたモノリシックなフィラメントすなわちストラットを含むオープン及び/又はクローズドセルの幾何学的形状を有し得、オープンセル46は、チューブ状の壁の厚さ部分を貫通して延びる。いくつかの例では、ステント10のチューブ状の壁の内面及び/又は外面は、本明細書でより詳細に説明するように、全体的に、実質的に又は部分的に、ポリマーカバー又はコーティング40によって覆われ得る。カバー又はコーティング40は、ストラット又はフィラメント36によって画成された1つ以上、又は複数のセル46にわたって延び得る及び/又はそれを閉塞し得る。カバー又はコーティング40は、食物圧入及び/又は腫瘍若しくは組織の内方成長(ingrowth)を減少させるのを助け得る。場合によっては、ステント10は、自己拡張型ステント(SES:self-expanding stent)とし得るが、これは必須ではない。
【0038】
いくつかの例では、半径方向に拡張した形態において、ステント10は、近位端14のすぐ近くに第1端領域20と、第2端16のすぐ近くに第2端領域22とを含み得る。いくつかの実施形態では、第1端領域20及び第2端領域22は、中間部分18と比べて拡大直径を有する保持起伏すなわち移動防止のフレア付き領域24、26を含み得る。ステント10の第1端14及び第2端16に隣接して位置決めされ得る移動防止フレア付き領域24、26は、食道又は他の生体管腔の壁の内部部分に係合するように構成され得る。いくつかの実施形態では、保持起伏すなわちフレア付き領域24、26は、ステント10のシリンダー状中間領域18よりも大きい直径を有してもよく、ひとたび食道又は他の生体管腔内に配置されたら、ステント10が移動するのを防止する。中間領域18の断面領域から保持起伏すなわちフレア付き領域24、26への移行部28、30は、要望に応じて、緩やかであっても、傾斜していても、又は急峻な階段状で起こってもよいことが想定される。
【0039】
いくつかの実施形態では、第1移動防止フレア付き領域24は第1外径を有し得、及び第2移動防止フレア付き領域26は第2外径を有し得る。いくつかの例では、第1及び第2外径はほぼ同じとしてもよいが、他の例では、第1及び第2外径は異なってもよい。いくつかの実施形態では、ステント10は、移動防止フレア付き領域24、26のうちの一方のみを含んでも又はそれらを全く含まなくてもよい。例えば、第1端領域20は、移動防止フレア24を含み得るが、第2端領域22は、中間領域18と同様の外径を有してもよい。さらに、第2端領域22は、移動防止フレア26を含み得るが、第1端領域20は、中間領域18の外径と同様の外径を有してもよいことが想定される。いくつかの実施形態では、ステント10は、第1端14から第2端16まで均一な外径を有してもよい。いくつかの実施形態では、中間領域18の外径は、約15~25ミリメートルの範囲内にあり得る。移動防止フレア24、26の外径は、約20~30ミリメートルの範囲内にあり得る。ステント10の外径は、所望の応用に合わせるために、変えられ得ることが想定される。ステント10は、その長さ部分に沿って変化する任意の数の起伏、限定されるものではないが、バンプ、溝、畝、凹部、直径変化などを含み得ることがさらに想定される。
【0040】
ステント10の細長チューブ状部材は、要望に応じて、いくつかの異なる材料、例えば、限定されるものではないが、金属、金属合金、形状記憶合金及び/又はポリマーから作製され得、体内に正確に位置決めされるときに、ステント10を形状に拡張できるようにすることが想定される。いくつかの例では、材料は、ステント10を比較的簡単に除去できるようにするようにも選択され得る。例えば、ステント10の細長チューブ状部材は、合金、例えば、限定されるものではないが、ニチノール(nitinol)及びエルジロイ(Elgiloy)(登録商標)から形成され得る。作製するために選択された材料に依存して、ステント10は、自己拡張型であってもよく、又はステント10を拡張させるために外力を必要としてもよい。いくつかの実施形態では、複合フィラメントがステント10を作製するために使用され得、これは、例えば、ニチノール製の外側シェル又はクラッディングと、白金又は他の放射線不透過性材料で形成されたコアとを含み得る。ステント10の細長チューブ状部材は、ポリマー、例えば、限定されるものではないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)から形成され得るとさらに想定される。いくつかの例では、ステント10又はその複数の部分のフィラメントは、生体吸収性又は生分解性とし得るが、他の例では、ステント10又はその複数の部分のフィラメントは、生体安定性とし得る。
【0041】
図2は、標的領域へステント、例えば本明細書で説明するステント10を送達するための例示の送達システム100の側面図である。送達システム100は、細長シャフトすなわちチューブ状部材102を含み得る。チューブ状部材102は、遠位端領域104から、患者の体外に留まるように構成された近位端領域106まで近位側に延び得る。ハブ又はハンドル108が、チューブ状部材102の近位端領域106に結合され得る。チューブ状部材102は、さらに、遠位端領域104に隣接して配置された遠位チップ110を含み得る。遠位チップ110は、非外傷性となるように構成され得る。
【0042】
チューブ状部材102は、遠位端領域104から近位端領域106まで延びるルーメン112を含み得る。チューブ状部材102のルーメン112はまた、ハンドル108を通って延び得る。チューブ状部材102のルーメン112は、要望に応じて、糸、プルワイヤ及び/又はガイドワイヤを受け入れるように構成され得る。
【0043】
ステント10は、その遠位端領域104に又はそれに隣接して、チューブ状部材102の一部分の周りに配置され得る。ステント10がチューブ状部材102に被さって配置されるとき、送達形態において、ステント10は、シース114によって、半径方向に潰された小径又は送達形態に拘束され得る。シース114は、ある長さの材料、例えば、限定されるものではないが、電気紡糸(e-spun)ファブリック(例えば、ファブリック状のシースに形成されたポリマー)から形成され得、展開前に、ステント10を包んでいる。シース114はステント10を包んで、シース114が、送達中、ステント10の長さ部分を取り囲んで覆うようにし得る。シース114は、ステント10をその小径状態に保持するように、十分なフープ強度を有し得る。
【0044】
シース114は、ステント10の長手方向軸に対してほぼ平行な方向において、シーム120に沿って、糸122(例えば、フィラメント又はワイヤ)によってステント10の周りに縫合又は固定され得る。シース114は、ステント10に付勢力を加えるように構成され得、これにより、ステント10を潰れたすなわち小径形態に維持する。糸122は、シース114に縫合され又は縫い付けられることができる任意の細い可撓性要素とし得る。場合によっては、シース114の第1側方部(lateral side)116及びシース114の第2側方部118は、シーム120から延び得る。例えば、シース114は、長手方向に延びる自由端116、118がシーム120に沿って一緒に縫い付けられている状態で、1枚の材料又はファブリックから形成され得る。シーム120と第1、第2側方部116、118との間の材料の長さは、可変とし得る。糸122は、シース114の側方部間を行ったり来たりし且つステント10の長手方向軸に対してほぼ平行に延びる直線縫いを使用してシース114に縫い付けられ得る。他の場合には、要望に応じて、他のステッチ、例えば、限定されるものではないが、千鳥縫い、ダブルアクションステッチ(double action stitch)、ブランケットステッチなどが使用され得る。さらに、シーム120は、ステント10の長手方向軸に対してほぼ平行に延びる必要はないことが想定される。例えば、シーム120は、らせん状に延びてもよい。さらに、2つ以上のシーム120が、シース114を固定するために使用されてもよいことが想定される。そのように設けられる場合、2つ以上のシーム120は、要望に応じて、シース114の周囲で均一に間隔を隔てても又は偏心して間隔を隔ててもよい。場合によっては、シーム120は、要望に応じて、シース114の全長未満に延びても、又はシース114の全長に沿って延びてもよい。
【0045】
糸122は、遠位から近位への方向において、シース114に縫い込まれ得る。例えば、結び目124が糸122に形成されるとともに、ステント10の遠位端16に隣接して位置決めされ得る。その後、シーム120が近位方向にステッチされ得るか又は縫われ得る。結び目124がステント10の近位端14に隣接して形成され且つシーム120が遠位方向に縫われる逆の形態も想定される。結び目124の位置は、ステント10のどの部分(例えば、近位又は遠位)が最初に拡張されるかを決定し得ることが想定される。例えば、本明細書でより詳細に説明するように、糸の遠位端(例えば、結び目124に隣接する)が最初に除去され、そのため、結び目124に隣接するステント10の部分を展開し得る。結び目124は、編み又はかぎ針編みで使用されるものと形及び機能が同様とし得、これにより、糸122をシース114の周りに解放自在に固定できるようにする。結び目124は、一般的に、糸122を所望の形態に維持し得るが、依然として、要望に応じて糸122をほどく又は除去することを可能にする。場合によっては、糸122は、要望に応じて、結び目124を含まなくても、又は複数の結び目124を含んでもよい。
【0046】
場合によっては、チューブ又は他のより硬質な構成要素(明示せず)が、シース114に被さって位置決めされて、縫合中にステント10を圧縮するのに役立ち得る。ひとたびシーム120が形成されたら、チューブは除去され得る。糸122は、チューブ状部材102の外側に沿って近位側に、チューブ状部材102及び身体の外部に留まるように構成される近位端126まで延び得る。糸122の近位端126は、引張り部材128又は他の作動機構に結合され得る。引張り部材128、例えばプルリング、プルタブ、ツイストリールなどは、糸122の作動を容易にし得る。しかしながら、引張り部材128又は他の作動機構は、存在しなくてもよいか、又は必要とされない場合がある。
【0047】
糸122は、チューブ状部材102の外部に近位側に延びるとして示されるが、場合によっては、チューブ状部材102は、ステント10の近位端14に隣接して開口、削り出し部(skive)、スロット、又はポートを含み得、糸122がルーメン112へ移ることができるようにする。さらに、チューブ状部材102は、ステント10の遠位端16に隣接して開口、削り出し部、スロット、又はポートを含み得、糸122が、近位から遠位への方向に縫われるときに、糸122がルーメン112へ移ることができるようにすることが想定される。そのように設けられる場合、開口は、チューブ状部材102の外面から内面まで延び得、糸122(又は、要望通りの他の構成要素)が、チューブ状部材102の外部とその内部との間に延びるようにする。
【0048】
図3図4は、図2の送達装置100を使用して、例示のステント10を生体管腔へ送達する方法の上面図を示す。送達装置100は、任意の好適な方法で、所望の生体管腔を通って前進し得る。送達装置100は、ガイドワイヤを使用して、又は使用せずに、前進し得る。ひとたびステント10が標的領域に隣接して位置決めされたら、ステント10を半径方向に潰れた形態に維持する拘束力が除去され得る。
【0049】
ひとたびステント10が所望の箇所に隣接したら、糸122を固定する結び目124が切断され得る。しかしながら、場合によっては、結び目124を機械的に切断する又は除去する必要はない場合がある。例えば、結び目124は、糸122に加えられる力が結び目をほどくのに十分であるように、形成され得る。そのため、図3に示すように、近位側への又は引張り力130が、糸122の近位端126に加えられ得る。場合によっては、引張り力130は、引張り部材128内に指を置き、且つハンドル108から引き離すことによって、加えられ得る。部材128が後退され、又は作動されるとき、糸122は、シース114をくねくねと通り抜け始める。図3図4に示す実施形態では、糸122は縫合されて、ステント10の遠位端16にわたって配置された糸122が、最初に除去される又はほどかれるようにする。さらに図3を参照して説明すると、糸122がほどかれるときに、又は近位側に後退されるときに、シース114の付勢力が解放されるため、シース114の遠位端領域132が開き、及びステント10が、その付勢解除された、すなわち展開形態まで半径方向に拡張し始める。糸122が引っ張られると、糸122の遠位端134は、シーム120を通って近位側に動く。糸122の継続的な近位側への作動によって、一層、ステント10の長さ部分が解放される。糸122の近位端126の近位側への作動は、図4に示すように、糸122の遠位端134がシース114から完全に除去されるまで、すなわちシーム120が完全に除去されるまで、継続し得る。臨床医は、遠位端134が身体及び/又は装置100から完全に除去されるまで、糸122を引っ張り続けてもよいが、これは必須ではないことが想定される。図4から分かるように、シース114は、全体的に平面的なシートへと外れ落ちたものとして示される。しかしながら、体内にあるとき、シース114は、全体的にチューブ状形態を保持し得、且つステント10の外面と生体管腔との間に位置決めされ得る。場合によっては、シース114は、ステント10と一緒に体内に残されてもよい。他の実施形態では、シース114は、除去工具、例えば、限定されるものではないが、ペンチ又はクランプを使用して、除去されてもよい。さらに他の実施形態では、糸122は、シース114の一部分に取り付けられたままとし得、シース114が糸122と一緒に近位側に後退されるようにする。
【0050】
図5は、ステント、例えば本明細書で説明するステント10を標的領域まで送達するために、別の例示の送達システム200の部分側面図である。送達システム200は、細長シャフトすなわちチューブ状部材202を含み得る。チューブ状部材202は、遠位端領域204から、患者の体外に留まるように構成された近位端領域(明示せず)まで近位側に延び得る。ハブ又はハンドル(明示せず)が、チューブ状部材202の近位端領域に結合され得る。チューブ状部材202は、さらに、遠位端領域204に隣接して配置された遠位チップ210を含み得る。遠位チップ210は、非外傷性となるように構成され得る。
【0051】
チューブ状部材202は、遠位端領域204から近位端領域まで延びるルーメン212を含み得る。チューブ状部材202のルーメン212はまた、ハンドルを通って延び得る(そのように設けられる場合)。チューブ状部材202のルーメン212は、要望に応じて、糸、プルワイヤ及び/又はガイドワイヤを受け入れるように構成され得る。
【0052】
ステント10は、その遠位端領域204にあり、又はそれに隣接するチューブ状部材202の一部分の周りに配置され得る。ステント10がチューブ状部材202に被さって配置された場合、送達形態において、ステント10は、シース214によって、半径方向に潰された小径又は送達形態に拘束され得る。シース214は、ある長さの材料、例えば、限定されるものではないが、ポリマー又は電気紡糸ファブリックから形成され得、展開前に、ステント10を包んでいる。シース214はステント10を包んで、送達中、シース214がステント10の長さ部分を取り囲んで覆うようにし得る。シース214は、ステント10をその小径状態に保持するのに十分なフープ強度を有し得る。シース214は、ステント10に付勢力を加えるように構成され得、それにより、ステント10を潰れた形態すなわち小径形態に維持するようにする。
【0053】
シース214は、ジッパー216によって、ステント10の周りに固定され得る。ジッパー216は、スライダー220によって可逆的に相互に閉じることができる複数の歯218を含み得る。スライダー220は、ジッパー216を開閉するために、ステント10の長手方向軸に対してほぼ平行な方向に作動されるように構成され得る。ジッパー216は、近位側への力がスライダー220に加えられて、ジッパー216を開けるように、構成され得る。例えば、スライダー220は、プルワイヤ又はストリング222に結合され得る。プルワイヤ222は、引く力すなわち近位側への力をスライダー220へ加えることができる任意の要素とし得る。場合によっては、プルワイヤ222は、シース214にわたって摺動するように構成された、より硬い材料又はチューブ状部材から形成され得、それにより、ユーザが、押圧力すなわち遠位側への力をスライダー220に加えることができるようにする。これは、そのように望まれる場合、ステント10を再び束縛できるようにし得る。さらに、ジッパー216は、遠位側に押圧力によってジッパー216を開けるように構成され得ることが想定される。明示しないが、ジッパー216は、スライダー220の軸方向の動きを制限するために及び/又はジッパー216を締めるのを容易にするために、止め、蝶棒、リテーナボックス(retainer boxes)などを含み得る。さらに、シース214を固定するために、2つ以上のジッパー216が使用され得ることが想定される。そのように設けられる場合、2つ以上のジッパー216は、要望に応じて、シース214の周囲で均一に間隔を隔てても、又は偏心して間隔を隔ててもよい。場合によっては、ジッパー216は、要望に応じて、シース214の全長未満に延びても、又はシース214の全長に延びてもよい。
【0054】
ジッパー216を開ける方向が、ステント10のどの部分(例えば、近位又は遠位)を最初に拡張するかを決定し得ることが想定される。例えば、本明細書でより詳細に説明するように、潰れた形態では、ジッパー216のスライダー220は、シース214の遠位端224からシース214の近位端226に動くため、ステント10の遠位端16を最初に展開する。場合によっては、チューブ又は他のより硬質の構成要素(明示せず)が、シース214に被さって位置決めされ得、縫合中にステント10を圧縮するのを助ける。ひとたびジッパー216が締められるか又は固定されたら、チューブは除去されてもよい。プルワイヤ222は、チューブ状部材202の外部に沿って近位側に、チューブ状部材202及び身体の外部に留まるように構成された近位端(明示せず)まで延び得る。プルワイヤ222の近位端は、引張り部材(明示せず)又は他の作動機構に結合され得る。引張り部材、例えばプルリング、プルタブ、ツイストリールなどは、プルワイヤ222の作動を容易にし得る。しかしながら、引張り部材又は他の作動機構は、存在しなくてもよいか、又は必要とされない場合がある。
【0055】
プルワイヤ222は、チューブ状部材202の外部に近位側に延びるとして示されるが、場合によっては、チューブ状部材202は、ステント10の近位端14に隣接して、開口、削り出し部、スロット、又はポートを含み得、プルワイヤ222がルーメン212へ移ることができるようにしている。そのように設けられる場合、開口は、チューブ状部材202の外面から内面まで延び得、プルワイヤ222(又は、要望に応じて、他の構成要素)が、チューブ状部材202の外部とその内部との間に延び得るようにする。
【0056】
図6図7は、図5の送達装置200を使用して、生体管腔へ、例示のステント10を送達する方法を示す。送達装置200は、任意の好適な方法で、所望の生体管腔を通して前進し得る。送達装置200は、ガイドワイヤを使用して、又は使用せずに、前進し得る。ひとたびステント10が標的領域に隣接して位置決めされたら、ステント10を半径方向に潰れた形態に維持する拘束力は、除去されてもよい。
【0057】
ひとたびステント10が所望の箇所に隣接したら、近位側への又は引張り力228は、図6に示すように、プルワイヤ222の近位端に加えられ得る。場合によっては、引張り力228は、引張り部材内に指を置き、且つハンドルから引き離すことによって、加えられ得る。プルワイヤ222の近位端が引っ張られ、又は作動されるとき、スライダー220は、図6に示すように、近位側に動き始め、且つジッパー216を開き始める。図6図7に示す実施形態では、ジッパー216は、スライダー220がステント10の遠位端16に隣接し、及びその近位側への作動によってステント10の遠位端16を最初に露出させるように構成される。さらに図6を参照して説明すると、スライダー220が力228によって近位側へ後退される際、シース214の付勢力が解放されるため、シース214の遠位端領域224が開くとともに、ステント10が、その付勢解除状態すなわち展開状態へと半径方向に拡張し始める。プルワイヤ222が引っ張られると、スライダー220は、ジッパー216の歯218に沿って近位側に動く。プルワイヤ222の継続的な近位側への作動によって、一層、ステント10の長さ部分が解放される。プルワイヤ222の近位端の近位側への作動は、図7に示すように、スライダー220がリテーナボックス又は他の止め機構に係合するまで、継続し得る。臨床医は、スライダー220が身体及び/又は装置200から完全に除去されるまで、プルワイヤ222を引っ張り続けてもよいが、これは必須ではないことが想定される。スライダー220が、ジッパー216によってシース214と連結される場合、シース214は、プルワイヤ222の継続的な近位側への作動によって、スライダー220と一緒に除去されてもよいことが想定される。体内にあるとき、シース214は、全体的にチューブ状形態を保持し得るとともに、ステント10の外面と生体管腔との間に配置され得る。場合によっては、シース214は、ステント10と一緒に体内に残されてもよい。他の実施形態では、本明細書で説明するように、プルワイヤ222は、シース214の一部分に取り付けられたままとし得、プルワイヤ222と一緒にシース214が近位側へ後退されるようにする。さらに他の実施形態では、シース214は、除去工具、例えば、限定されるものではないが、ペンチ又はクランプを使用して、除去されてもよい。
【0058】
図8は、ステント、例えば本明細書で説明するステント10を標的領域へ送達するための別の例示の送達システム300の部分側面図である。送達システム300は、細長シャフトすなわちチューブ状部材302を含み得る。チューブ状部材302は、遠位端領域304から近位側に、患者の体外に留まるように構成された近位端領域(明示せず)まで延び得る。ハブ又はハンドル(明示せず)が、チューブ状部材302の近位端領域に結合され得る。チューブ状部材302は、さらに、遠位端領域304に隣接して配置された遠位チップ310を含み得る。遠位チップ310は、非外傷性となるように構成され得る。
【0059】
チューブ状部材302は、遠位端領域304から近位端領域まで延びるルーメン312を含み得る。チューブ状部材302のルーメン312はまた、ハンドルを通って延び得る(そのように設けられる場合)。チューブ状部材302のルーメン312は、要望に応じて、糸、プルワイヤ及び/又はガイドワイヤを受け入れるように構成され得る。
【0060】
ステント10は、その遠位端領域304にあり、又はそれに隣接するチューブ状部材302の一部分の周りに配置され得る。ステント10がチューブ状部材302に被さって配置されるとき、送達形態において、ステント10は、シース314によって、半径方向に潰された小径又は送達形態に拘束され得る。シース314は、ある長さの材料、例えば、限定されるものではないが、ポリマー又は電気紡糸ファブリックから形成され得、展開前に、ステント10を包んでいる。シース314用の材料は、シース314がステント10を保持できるが、引き裂かれると、ステント10を簡単に解放するように、選択され得る。シース314はステント10を包んで、シース314が、送達中、ステント10の長さ部分を取り囲んで覆うようにし得る。シース314は、ステント10をその小径状態に保持するのに十分なフープ強度を有し得る。シース314は、ステント10に付勢力を加えるように構成され得、それにより、ステント10を潰れた形態すなわち小径形態に維持するようにする。場合によっては、シース314は、1枚の材料から形成され、及び図2に関して説明したシース114と同様の方法で縫合され得る。他の実施形態では、シース314は、熱収縮され得るか又は他の方法でステント10に被せて形成され得る。
【0061】
送達システム300は、さらに、シース314を引き裂き、又は切断するように構成された切断ワイヤ316を含み得る。切断ワイヤ316は、シース314に引き裂く力を加えることができる任意の要素とし得る。シース314は、切断ワイヤ316の中間領域318を包み得るとともに、切断ワイヤ316の少なくとも一部分が、半径方向にステント10とシース314との間に配置されるようにする。切断ワイヤ316の遠位端領域322は、シース314の遠位端326から出て、シース314の外面に沿って近位側に延び得る。切断ワイヤ316の向きは逆にされて、遠位端領域322が半径方向にシース314とステント10との間に配置されるとともに、中間領域318がシース314に対して半径方向の外側にあるようにしてもよい。切断ワイヤ316の遠位端328は、ストッパー又はキャップ324に堅固に固定され得る。切断ワイヤ316の中間領域318は、キャップ324のルーメン330内に又はそれを通って摺動自在に配置され得る。さらに、2本以上の切断ワイヤ316が、シース314を切断し又は引き裂くために使用され得ることが想定される。そのように設けられる場合、2本以上の切断ワイヤ316は、要望に応じて、シース314の周囲に均一に間隔を隔てても、又は偏心して間隔を隔ててもよい。さらに、2本以上の切断ワイヤ316が提供される場合、切断ワイヤ316は、一緒に作動されても、又は次々に作動されてもよい。
【0062】
切断ワイヤ316は、さらに、切断ワイヤ316の中間領域318に堅固に結合された切断要素320を含み得る。いくつかの実施形態では、切断要素320は、切断面が半径方向内側に延びる状態で、シース314の半径方向外側に位置決めされ得る。他の実施形態では、切断要素320は、切断面が半径方向外側に延びる状態で、シース314の半径方向内側に位置決めされ得る。切断要素320は、ブレード、ハサミのようにヒンジ連結された一対のブレード、歯付きブレードなどとし得る。切断要素320は、中間領域318が近位側へ後退されるときに、シース314を切断し又は引き裂くように構成され得る。
【0063】
切断ワイヤ316は、チューブ状部材302の外部に沿って近位側に、チューブ状部材302及び身体の外部に留まるように構成された近位端(明示せず)まで延び得る。切断ワイヤ316の近位端は、引張り部材(明示せず)又は他の作動機構に結合され得る。引張り部材、例えばプルリング、プルタブ、ツイストリールなどは、切断ワイヤ316の作動を容易にし得る。しかしながら、引張り部材又は他の作動機構は、存在しなくてもよいか、又は必要とされない場合がある。
【0064】
切断ワイヤ316は、チューブ状部材302の外部に近位側に延びるとして示されるが、場合によっては、チューブ状部材302は、ステント10の近位端14に隣接して、開口、削り出し部、スロット、又はポートを含み得、切断ワイヤ316がルーメン312へ移ることができるようにしている。そのように設けられる場合、開口は、チューブ状部材302の外面から内面まで延び得、切断ワイヤ316(又は、要望に応じて、他の構成要素)が、チューブ状部材302の外部とその内部との間に延在できるようにする。
【0065】
図9は、図8の送達装置300を使用して、生体管腔へ、例示のステント10を送達する方法を示す。送達装置300は、任意の好適な方法で、所望の生体管腔を通して前進し得る。送達装置300は、ガイドワイヤを使用して、又は使用せずに、前進し得る。ひとたびステント10が標的領域に隣接して位置決めされたら、ステント10を半径方向に潰れた形態に維持する拘束力は、除去されてもよい。
【0066】
ひとたびステント10が所望の箇所に隣接したら、図9に示すように、近位側への力、すなわち引張り力332が、切断ワイヤ316の近位端に加えられ得る。場合によっては、引張り力332は、引張り部材内に指を置き、且つハンドルから引き離すことによって、加えられ得る。切断ワイヤ316の近位端が引っ張られ、又は作動されるとき、図9に示すように、中間領域318及び切断要素320が近位側に動き始め、且つ切断要素320がシース314の切断を開始する。図9に示す実施形態では、切断要素320は、切断要素320がステント10の遠位端16に隣接するとともに、その近位側への作動によってステント10の遠位端16を最初に露出させるように構成される。切断要素320が近位側へ引張り力332で後退されるときに、シース314の付勢力が解放されるため、シース314の遠位端領域326が開くとともに、ステント10が、その付勢解除状態すなわち展開状態へと半径方向に拡張し始める。切断ワイヤ316が引っ張られるとき、切断要素320は、シース314を引き裂き、切断し、又はスライスする。いくつかの実施形態では、シース314は、シース314の引き裂きを容易にするように、穿孔され得る。切断要素320のサイズは、切断要素320がステント10の外面と接触しないように選択され得ることが想定される。
【0067】
切断ワイヤ316の継続的な近位側への作動によって、一層、ステント10の長さ部分が解放される。切断ワイヤ316の近位端の近位側への作動は、切断要素320がキャップ324に係合するまで、継続し得る。キャップ324は、切断要素320がそれと係合されるまで、長手方向に固定されたままにするように構成され得る。例えば、キャップ324は、切断要素320の切断面を封止して、切断要素320を体内から安全に除去できるようにするように構成され得る。臨床医は、切断要素320が、身体及び/又は装置300から完全に除去されるまで、切断ワイヤ316を引っ張り続けてもよいが、これは必須ではないことが想定される。キャップ324及び/又は切断要素320がシース314と機械的に結合される場合、シース314は、切断ワイヤ316の継続的な近位側への作動によって、切断要素320及び/又はキャップ324と一緒に除去されてもよいことが想定される。体内にあるとき、シース314は、全体的にチューブ状形態を保持し、及びステント10の外面と生体管腔との間に位置決めされ得る。場合によっては、シース314は、ステント10と一緒に体内に残されてもよい。他の実施形態では、本明細書で説明するように、切断ワイヤ316は、シース314の一部分に取り付けられたままとし得、切断ワイヤ316と一緒に、シース314が近位側へ後退されるようにする。さらに他の実施形態では、シース314は、除去工具、例えば、限定されるものではないが、ペンチ又はクランプを使用して、除去されてもよい。
【0068】
図10は、ステント、例えば本明細書で説明するステント10を、標的領域へ送達するための別の例示の送達システム400の部分側面図である。送達システム400は、細長シャフトすなわちチューブ状部材402を含み得る。チューブ状部材402は、遠位端領域404から近位側に、患者の体外に留まるように構成された近位端領域(明示せず)まで延び得る。ハブ又はハンドル(明示せず)が、チューブ状部材402の近位端領域に結合され得る。チューブ状部材402は、さらに、遠位端領域404に隣接して配置された遠位チップ410を含み得る。遠位チップ410は、非外傷性となるように構成され得る。
【0069】
チューブ状部材402は、遠位端領域404から近位端領域まで延びるルーメン412を含み得る。チューブ状部材402のルーメン412はまた、ハンドルを通って延び得る(そのように設けられる場合)。チューブ状部材402のルーメン412は、要望に応じて、糸、プルワイヤ及び/又はガイドワイヤを受け入れるように構成され得る。
【0070】
ステント10は、その遠位端領域404にあり、又はそれに隣接するチューブ状部材402の一部分の周りに配置され得る。ステント10がチューブ状部材402に被さって配置されるとき、送達形態において、ステント10は、シース414によって、半径方向に潰された小径又は送達形態に拘束され得る。シース414は、ある長さの材料、例えば、限定されるものではないが、ポリマー又は電気紡糸ファブリックから形成され得、展開前に、ステント10を包んでいる。シース414用の材料は、シース414がステント10を保持するが、引き裂かれると、ステント10を簡単に解放するように、選択され得る。シース414はステント10を包んで、シース414が、送達中、ステント10の長さ部分を取り囲んで覆うようにし得る。シース414は、ステント10をその小径状態に保持するのに十分なフープ強度を有し得る。シース414は、ステント10に付勢力を加えるように構成され得、それにより、ステント10を潰れた形態すなわち小径形態に維持するようにする。場合によっては、シース414は、1枚の材料から形成されるとともに、図2に関して説明したシース114と同様の方法で縫合され得る。他の実施形態では、シース414は、熱収縮され得るか又は他の方法でステント10に被せて形成され得る。
【0071】
送達システム400は、さらに、シース414を引き裂き又は切断するように構成された切断ワイヤ416を含み得る。切断ワイヤ416は、シース414に引き裂く力を加えることができる任意の要素とし得る。シース414は、切断ワイヤ416の中間領域418を包み得るとともに、切断ワイヤ416の少なくとも一部分が、半径方向に、ステント10とシース414との間に配置されるようにする。切断ワイヤ416の遠位端領域422は、シース414の遠位端426から出て、シース414の外面に沿って近位側に延び得る。切断ワイヤ416の向きは、遠位端領域422がシース414とステント10との間に半径方向に配置されるとともに中間領域418がシース414に対して半径方向の外側に配置されるように、逆にしてもよい。切断ワイヤ416の遠位端428は、中間領域418の近位側で、切断ワイヤ416に堅固に固定され得、ループ430を形成し得る。ループ430の遠位端420は、中間領域418が近位側へ後退されるときに、シース414を切断し又は引き裂くように構成され得る。いくつかの実施形態では、ループ430は、シース414の全長にわたって延び得る。他の実施形態では、ループ430の長さは、シース414の長さよりも短くし得る。例えば、図11は、シース414の全長よりも短いループ430’を示す。いくつかの例では、より小さいループ430’が、より制御された切断領域をもたらし得ることが想定される。明示しないが、ループ430、430’の遠位端420は、切断要素が設けられ得、切断ワイヤ416がシース414の切断及び引張の双方を行うようにする。さらに、2本以上の切断ワイヤ416は、シース414を切断し又は引き裂くために使用され得ることが想定される。そのように設けられる場合、2本以上の切断ワイヤ416は、要望に応じて、シース414の周囲に均一に間隔を隔てても、又は偏心して間隔を隔ててもよい。さらに、2本以上の切断ワイヤ416が提供される場合、切断ワイヤ416は、一緒に作動されても、又は次々に作動されてもよい。
【0072】
いくつかの実施形態では、シース414は、その長さ部分に沿って延びるミシン目424を含み得る。ミシン目424は、ステント10の長手方向軸に対してほぼ平行に延び得るが、これは必須ではない。例えば、ミシン目424は、そのように望まれる場合、らせん形態に延び得る。さらに、2組以上のミシン目424が設けられ得ることが想定される。場合によっては、ミシン目424は、要望に応じて、シース414の全長未満に延びても、又はシース414の全長に延びてもよい。
【0073】
切断ワイヤ416のループ430は、ミシン目424と全体的に円周方向に位置合わせされ得る。切断ワイヤ416は、チューブ状部材402の外部に沿って、チューブ状部材402及び身体の外部に留まるように構成された近位端(明示せず)まで、近位側に延び得る。切断ワイヤ416の近位端は、引張り部材(明示せず)又は他の作動機構に結合され得る。引張り部材、例えばプルリング、プルタブ、ツイストリールなどは、切断ワイヤ416の作動を容易にし得る。しかしながら、引張り部材又は他の作動機構は、存在しなくてもよいか、又は必要とされない場合がある。
【0074】
切断ワイヤ416は、チューブ状部材402の外部に近位側に延びるとして示されるが、場合によっては、チューブ状部材402は、ステント10の近位端14に隣接して、開口、削り出し部、スロット、又はポートを含み得、切断ワイヤ416がルーメン412へ移ることができるようにしている。そのように設けられる場合、開口は、チューブ状部材402の外面から内面まで延び得、切断ワイヤ416(又は、要望に応じて、他の構成要素)がチューブ状部材402の外部とその内部との間に延在できるようにしている。
【0075】
送達装置400は、任意の好適な方法で、所望の生体管腔を通して前進し得る。送達装置400は、ガイドワイヤを使用して、又は使用せずに、前進し得る。ひとたびステント10が標的領域に隣接して位置決めされたら、ステント10を半径方向に潰れた形態に維持する拘束力は、除去されてもよい。
【0076】
ひとたびステント10が所望の箇所に隣接したら、近位側への又は引張り力432が、切断ワイヤ416の近位端に加えられ得る。場合によっては、引張り力432は、引張り部材内に指を置き、且つハンドルから引き離すことによって、加えられ得る。切断ワイヤ416の近位端が引っ張られ、又は作動されるとき、ループ430の中間領域418及び遠位端420が近位側に動き始め、及びループ430の遠位端420がシース414の切断を開始する。ループ430は、その遠位端420がステント10の遠位端16に隣接し及びその近位側への作動によってステント10の遠位端16を最初に露出させるように構成される。ループ430が引張り力432によって近位側へ後退されるときに、シース414の付勢力が解放されるため、シース414の遠位端領域426が開き、及びステント10が、その付勢解除状態すなわち展開状態へと半径方向に拡張し始める。切断ワイヤ416が引っ張られるとき、ループ430の遠位端420は、シース414を引き裂き、切断し、又は切り裂く。
【0077】
切断ワイヤ416の継続的な近位側への作動によって、一層、ステント10の長さ部分が解放される。切断ワイヤ416の近位端の近位側への作動は、ループ430の遠位端420がシース414の近位端434に係合するまで、継続し得る。臨床医は、ループ430が身体及び/又は装置400から完全に除去されるまで、切断ワイヤ416を引っ張り続けてもよいが、これは必須ではないことが想定される。ループがシース414と機械的に結合される場合、シース414は、切断ワイヤ416の継続的な近位側への作動によって、切断ワイヤ416と一緒に除去されてもよいことが想定される。体内にあるとき、シース414は、全体的にチューブ状形態を保持し得、及びステント10の外面と生体管腔との間に位置決めされ得る。場合によっては、シース414は、ステント10と一緒に体内に残されてもよい。他の実施形態では、本明細書で説明するように、切断ワイヤ416は、シース414の一部分に取り付けられたままとし得、シース414が、切断ワイヤ416と一緒に近位側へ後退されるようにする。さらに他の実施形態では、シース414は、除去工具、例えば、限定されるものではないが、ペンチ又はクランプを使用して、除去されてもよい。
【0078】
図12は、ステント、例えば本明細書で説明するステント10を、送達システム上に又はその内部に保持するために使用され得る、別の例示の除去可能なシース514の側面図を示す。明示しないが、シース514は、本明細書で説明する送達システムのいずれかと一緒に使用され得る。ステントが送達形態にあるとき、ステントは、シース514によって、半径方向に潰された小径又は送達形態に拘束され得る。シース514は、ある長さの材料、例えば、限定されるものではないが、ポリマー又は電気紡糸ファブリックから形成され得、これは、展開前に、ステントを包んでいる。シース514用の材料は、シース514がステント10を保持するが、引き裂かれると、ステント10を簡単に解放するように、選択され得る。シース514はステントを包んで、シース514が、送達中、ステントの長さ部分を取り囲んで覆い得る。シース514は、ステントをその小径状態に保持するために、十分なフープ強度を有し得る。シース514は、ステントに付勢力を加えるように構成され得、これにより、ステントを潰れた形態すなわち小径形態に維持する。場合によっては、シース514は、1枚の材料から形成されるとともに、図2に関して説明したシース114と同様の方法で縫合され得る。他の実施形態では、シース514は、熱収縮されても、又は他の方法でステントに被せて形成されてもよい。
【0079】
いくつかの実施形態では、シース514は、その長さ部分に沿って延びるミシン目524を含み得る。ミシン目524は、シース514の長手方向軸に対してほぼ平行に延び得るが、これは必須ではない。いくつかの実施形態では、ミシン目524は、全体的にらせん形態に延び得る。さらに、2組以上のミシン目524が設けられ得ることが想定される。ミシン目524は、その長さ部分に沿ってシース514の引き裂きを容易にするように構成され得る。場合によっては、ミシン目524の長さ及び/又は幅は、様々とし得る。場合によっては、ミシン目524は、要望に応じて、シース514の全長未満に延びても、又はシース514の全長に延びてもよい。
【0080】
シース514は、ワイヤ516に取り付けられているクリップ518によって引き裂かれ得ることが想定される。例えば、クリップ518は、シース514の遠位端520(又は、そのように望まれる場合、近位端526)を掴む又は把持するように構成されるペンチ又は他の把持機構を含み得る。ワイヤ516は、クリップ518から、身体の外部に留まるように構成された近位端(明示せず)まで、近位側に延び得る。ワイヤ516の近位端は、引張り部材(明示せず)又は他の作動機構に結合され得る。引張り部材、例えばプルリング、プルタブ、ツイストリールなどは、ワイヤ516の作動を容易にし得る。しかしながら、引張り部材又は他の作動機構は、存在しなくてもよいか、又は必要とされない場合がある。
【0081】
所望の標的箇所にステントを展開するために、ユーザは、クリップ518内にシース514の遠位端520を掴み得る。シース514の遠位端520がクリップ518内に掴まれている状態で、ワイヤ516は、シース514を引き裂くために、近位側に後退され得る。場合によっては、引張り力522は、引張り部材内に指を置き、且つハンドルから引き離すことによって、加えられ得る。ワイヤ516の近位端が引っ張られ、又は作動されるとき、クリップ518は、同様に近位側に動き、且つ、図12に示すようにシース514の引き裂き、切断を開始する。図12に示す実施形態では、クリップ518は、シース514の遠位端520を掴んでおり、ワイヤ516の近位側への作動によって、ステント10の遠位端16を最初に露出させる。ワイヤ516が引張り力522によって近位側へ後退されるときに、シース514の付勢力が解放されるため、シース514の遠位端領域520が開き、且つステントが、その付勢解除状態すなわち展開状態まで半径方向に拡張し始め得る。
【0082】
ワイヤ516の継続的な近位側への作動によって、一層、ステント10の長さ部分が解放される。ワイヤ516の近位端の近位側への作動は、ステントが十分に展開されるまで、継続し得る。臨床医は、クリップ518及びシース514(又はその一部分)が身体及び/又は送達装置から完全に除去されるまでワイヤ516を引っ張り続けてもよいが、これは必須ではないことが想定される。場合によっては、ワイヤ516及びクリップ518は、体内に残っているシース514のどんな残存物も回収するために使用され得る。体内にあるとき、シース514は、全体的にチューブ状形態を保持し得、及びステント10の外面と生体管腔との間に位置決めされ得る。場合によっては、シース514、又はその一部分は、ステントと一緒に体内に残されてもよい。
【0083】
図13は、ステント、例えば本明細書で説明するステント10(例えば、図15参照)を標的領域まで送達するための別の例示の送達システム600の側面図である。送達システム600は、細長シャフトすなわち内側チューブ状部材602を含み得る。内側チューブ状部材602は、遠位端領域604から近位側に、患者の体外に留まるように構成された近位端領域(明示せず)まで延び得る。ハブ又はハンドル(明示せず)が、内側チューブ状部材602の近位端領域に結合され得る。内側チューブ状部材602は、さらに、遠位端領域604に隣接して配置された遠位チップ610を含み得る。遠位チップ610は、非外傷性となるように構成され得る。
【0084】
内側チューブ状部材602は、遠位端領域604から近位端領域まで延びるルーメン(明示せず)を含み得る。内側チューブ状部材602のルーメンはまた、ハンドルを通って延び得る(そのように設けられる場合)。内側チューブ状部材602のルーメンは、要望に応じて、糸、プルワイヤ及び/又はガイドワイヤを受け入れるように構成され得る。
【0085】
ステント10は、その遠位端領域604にあり、又はそれに隣接して当該内側チューブ状部材602の一部分の周りに配置され得る。ステント10が内側チューブ状部材602に被さって配置されるとき、送達形態において、ステント10は、シース614によって、半径方向に潰された小径又は送達形態に拘束され得る。シース614は、ある長さの材料、例えば、限定されるものではないが、ポリマー又は電気紡糸ファブリックから形成され得、展開前に、ステント10を包んでいる。シース614用の材料は、シース614がステント10を保持するが、引き裂かれると、ステント10を簡単に解放するように、選択され得る。シース614はステント10を包んで、シース614が、送達中、ステント10の長さ部分を取り囲んで覆うようにし得る。シース614は、ステント10をその小径状態に保持するのに十分なフープ強度を有し得る。シース614は、ステント10に付勢力を加えるように構成され得、それにより、ステント10を潰れた形態すなわち小径形態に維持するようにする。場合によっては、シース614は、1枚の材料から形成され得、及び図2に関して説明したシース114と同様の方法で縫合され得る。他の実施形態では、シース614は、熱収縮され得るか又は他の方法でステント10に被せて形成され得る。
【0086】
送達システム600は、さらに、シース614を引き裂き、又は切断するように構成された外側チューブ状部材616を含み得る。さらに、例示の外側チューブ状部材616の部分斜視図を示す図14を参照して説明すると、外側チューブ状部材616は、遠位端622から、身体の外部に留まるように構成された近位端(明示せず)まで延びるルーメンを画成し得る。外側チューブ状部材616の近位端は、ハンドルに結合され得、外側チューブ状部材616の作動を容易にする。外側チューブ状部材616は、遠位端622から近位端まで延びるルーメン618を含み得る。外側チューブ状部材616のルーメン618はまた、ハンドルを通って延び得る(そのように設けられる場合)。チューブ状部材616のルーメン618は、シース614及び内側チューブ状部材602に被さって摺動自在に配置されるように構成され得る。場合によっては、外側チューブ状部材616は、内側チューブ状部材602の実質的に全長にわたって延びるように構成され得る。外側チューブ状部材616は、さらに、外側チューブ状部材616の内面に堅固に固定された切断要素620を含み得る。切断要素620は、要望に応じて、外側チューブ状部材616に糊付け、接着、成形、ホットメルトなどされ得る。切断要素620は、ルーメン618内へ半径方向内側に延び得る。切断要素620は、ブレード、小型ピック(small pick)、鋸歯ブレード、「V」字形状の切断面(例えば、開いたハサミのように)を形成するために一緒に固定された2つのブレードなどとし得ることが想定される。切断要素620は、ステント10を展開するために、シース614を切断し又は引き裂くように構成され得る。場合によっては、外側チューブ状部材616は、2つ以上の切断要素620を含み得る。2つ以上の切断要素620が設けられる場合、切断要素620は、同じタイプである必要はない。さらに、要望に応じて、切断要素620は、外側チューブ状部材616の内面の周りで均一に間隔を隔てても、又は偏心して間隔を隔ててもよいことが想定される。
【0087】
外側チューブ状部材616は、外側チューブ状部材616の内面と、シース614及び/又は内側チューブ状部材602の外面との間の摩擦を最小限にするようなサイズ及び形状にされ得る。例えば、外側チューブ状部材616の内径は、ステント10に被せて配置されるとき、シース614の外径よりも大きい。さらに、本明細書でより詳細に説明するように、切断要素620の半径方向高さは、切断要素620がステント10から半径方向に間隔を隔てており、外側チューブ状部材616が長手方向に作動されるときに、ステント10に触れないままにするように、選択され得ることが想定される。
【0088】
図15は、図13の送達装置600を使用して、生体管腔へ例示のステント10を展開する方法を示す。送達装置600は、任意の好適な方法で、所望の生体管腔を通して前進し得る。送達装置600は、ガイドワイヤを使用して、又は使用せずに、前進し得る。図15は、内側チューブ状部材602に対して近位側に後退された位置にある外側チューブ状部材616を示すが、標的領域へナビゲーションしている最中、外側チューブ状部材616の遠位端622は、シース614の遠位端624に対して遠位側にあってもよいことが想定される。ひとたびステント10が標的領域に隣接して位置決めされたら、ステント10を半径方向に潰れた形態に維持する拘束力は、除去されてもよい。
【0089】
ひとたびステント10が所望の箇所に隣接したら、図15に示すように、近位側への又は引張り力626が、外側チューブ状部材616の近位端に加えられ得る。外側チューブ状部材616の近位端が引っ張られ、又は作動されるとき、切断要素620は、図15に示すように、近位側に動き始め、及び切断要素620はシース614の切断を開始する。図15に示す実施形態では、切断要素620は、切断要素620がステント10の遠位端16に隣接し及びその近位側への作動によってステント10の遠位端16を最初に露出させるように構成される。切断要素620が引張り力626によって近位側へ後退されるときに、シース614の付勢力が解放されるため、シース614の遠位端領域624が開き、及びステント10が、その付勢解除状態すなわち展開状態へと半径方向に拡張し始める。外側チューブ状部材616が引っ張られるとき、切断要素620は、シース614を引き裂き、切断し、又は切り裂く。いくつかの実施形態では、シース614は、シース614の切断を容易にするために穿孔され得るが、これは必須ではない。そのように設けられる場合、ミシン目は、切断要素620と全体的に半径方向に位置合わせされ得る。
【0090】
外側チューブ状部材616の継続的な近位側への作動によって、一層、ステント10の長さ部分が解放される。外側チューブ状部材616の近位端の近位側への作動は、シース614の全長が切断されるまで、継続し得る。臨床医は、切断要素620が身体及び/又は装置600から完全に除去されるまで、外側チューブ状部材616を引っ張り続けてもよいが、これは必須ではないことが想定される。シース614が外側チューブ状部材616と機械的に結合される場合、例えば外側チューブ状部材616にテザーでつながれる(tethered)場合、縫合される場合、接着される場合などにおいて、シース614は、外側チューブ状部材616の継続的な近位側への作動及び/又は送達装置600の引き出しによって、外側チューブ状部材616と一緒に除去され得ることが想定される。他の例では、シース614が、ステント10の近位側で、内側チューブ状部材602と機械的に結合され得る。例えば、内側チューブ状部材602にテザーでつながれ、縫合され、接着され得る。それゆえ、シース614は、送達装置600を引き出している間に、内側チューブ状部材602と一緒に除去されてもよい。体内にあるとき、シース614は、全体的にチューブ状形態を保持し得、及びステント10の外面と生体管腔との間に位置決めされ得る。場合によっては、シース614は、ステント10と一緒に体内に残されてもよい。他の実施形態では、本明細書で説明するように、外側チューブ状部材616は、シース614の一部分に取り付けられたままとし得、外側チューブ状部材616と一緒にシース614が近位側へ後退されるようにする。さらに他の実施形態では、シース614は、除去工具、例えば、限定されるものではないが、ペンチ又はクランプを使用して、除去されてもよい。
【0091】
図16は、ステント、例えば本明細書で説明するステント10を、標的領域へ送達するための別の例示の送達システム700の側面図である。送達システム700は、細長シャフトすなわちチューブ状部材702を含み得る。チューブ状部材702は、遠位端領域704から、患者の体外に留まるように構成された近位端領域(明示せず)まで近位側に延び得る。ハブ又はハンドル(明示せず)が、チューブ状部材702の近位端領域に結合され得る。チューブ状部材702は、さらに、遠位端領域704に隣接して配置された遠位チップ710を含み得る。遠位チップ710は、非外傷性となるように構成され得る。
【0092】
チューブ状部材702は、遠位端領域704から近位端領域まで延びるルーメン712を含み得る。チューブ状部材702のルーメン712はまた、ハンドルを通って延び得る(そのように設けられる場合)。チューブ状部材702のルーメン712は、要望に応じて、糸、プルワイヤ及び/又はガイドワイヤを受け入れるように構成され得る。
【0093】
ステント10はチューブ状部材702の一部分の周りに配置され得る。該一部分は、当該チューブ状部材702の遠位端領域704にあり又はそれに隣接する。ステント10がチューブ状部材702に被さって配置されるとき、送達形態において、ステント10は、シース714によって、半径方向に潰された小径又は送達形態に拘束され得る。シース714は、ある長さの材料、例えば、限定されるものではないが、ポリマー又は電気紡糸ファブリックから形成され得、展開前に、ステント10を包んでいる。シース714はステント10を包んで、シース714が、送達中、ステント10の長さ部分を取り囲んで覆うようにし得る。シース714は、ステント10をその小径状態に保持するのに十分なフープ強度を有し得る。シース714は、ステント10に付勢力を加えるように構成され得、それにより、ステント10を潰れた形態すなわち小径形態に維持するようにする。場合によっては、シース714は、電気又は化学的刺激下で破壊するように設計される一片の材料とし得るレリーズタブ716を含み得る。いくつかの例示の材料は、限定されるものではないが、亜鉛、銅、銀、導電性ポリマー(融点が低いとし得る)などを含み得る。レリーズタブ716は、シース714の長手方向軸に対してほぼ平行に延びるとして示されるが、これは必須ではない。例えば、レリーズタブ716は、らせん状に延び得る。さらに、2つ以上のレリーズタブ716が、シース714を解放するために使用され得ることが想定される。そのように設けられる場合、2つ以上のレリーズタブ716は、要望に応じて、シース714の周囲に均一に間隔を隔てても、又は偏心して間隔を隔ててもよい。場合によっては、レリーズタブ716は、要望に応じて、シース714の全長未満に延びても、又はシース714の全長に延びてもよい。
【0094】
一例では、電気絶縁破壊の場合、レリーズタブ716は、一片の細い金属ワイヤとし得る。2つの導電性ワイヤ718a、718b(総称して718)は、レリーズタブ716に結合されて、電気回路を作り得る。高電圧がワイヤ718の遠位端間に加えられると、レリーズタブ716は破壊し(例えば、ヒューズのように)、シース714に応力集中を生み出し得る。これにより、ステントの力を受けてシース714が引き裂かれ得るとともに、ステント10が解放され得る。
【0095】
別の例では、化学的な破壊の場合、ある種の化学条件(例えば、高塩分、微酸性など)下で破壊するレリーズタブ716が、レリーズタブ716に組み込まれ得る。レリーズタブ716は、化学的に活性化され、ワイヤ718が省略され得る。ひとたびステント10がその標的箇所に配置されたら、レリーズタブ716を破壊する活性洗浄流体(activating lavage of fluid)(例えば、酸、塩基、食塩水など)が、その領域に導入されて、レリーズタブ716を破壊するとともに、シース714を解放し得る。流体は、様々な方法で導入され得る。場合によっては、チューブ状部材702は、チューブ状部材702の外面から内面まで延びる1つ以上のポート724を含み得、シース714の近傍に流体を方向付けることができるようにする。チューブ状部材702は、チューブ状部材702の長さ部分に沿って様々な箇所に位置決めされた任意の数のポート724を含み得る。例えば、1つ以上のポート724がシース714の遠位側にあり得、1つ以上のポート724がシース714の近位側にあり得、1つ以上のポート724がシース714の真下若しくは下方にあり得、又はこれらの組み合わせとし得る。
【0096】
レリーズタブ716は、シース714を形成するシートの長手方向に延びる自由端に接合することが想定される。一片の材料が、シース714の長手方向軸に対してほぼ平行に延びるとして示されるが、レリーズタブ716は、要望に応じて、他の形態、例えば、限定されるものではないが、らせん形を有し得る。さらに、2つ以上のレリーズタブ716があってもよいことが想定される。2つ以上のレリーズタブ716が設けられる場合、レリーズタブ716は、要望に応じて、シース714の周囲に均一に位置決めされても、又は偏心して位置決めされてもよい。いくつかの実施形態では、レリーズタブ716は、シース714の全長に延び得る。他の実施形態では、レリーズタブ716は、シース714の全長未満に延び得る。例えば、レリーズタブ716の遠位端722は、シース714の遠位端726まで延び得るが、レリーズタブ716の近位端720は、シース714の近位端728に対して遠位側に位置決めされ得る。レリーズタブ716の遠位端722がシース714の遠位端726の近位側で終端する逆の形態も考えられる。
【0097】
送達装置700は、任意の好適な方法で、所望の生体管腔を通して前進し得る。送達装置700は、ガイドワイヤを使用して又は使用せずに、前進し得る。ひとたびステント10が標的領域に隣接して位置決めされたら、ステント10を半径方向に潰れた形態に維持する拘束力は、除去されてもよい。
【0098】
ひとたびステント10が所望の箇所に隣接したら、レリーズタブ716が電気的に活性化されるか又は化学的に活性化されるかどうかに依存して、電流が、ワイヤ718又はポート724を経由して配置された活性流体に印加され得る。レリーズタブ716が破壊するとき、シース714が開き、及びステント10が、その付勢解除状態すなわち展開状態へと半径方向に拡張し始める。場合によっては、レリーズタブ716は、近位から遠位への方向に、遠位から近位への方向に沿って又はその長さ部分に沿って全体的に均一に破壊し得る。体内にあるとき、シース714は、全体的にチューブ状形態を保持し得、及びステント10の外面と生体管腔との間に位置決めされ得る。場合によっては、シース714は、ステント10と一緒に体内に残されてもよい。他の実施形態では、シース714は、除去工具、例えば、限定されるものではないが、ペンチ又はクランプを使用して、及び/又は電線718に加えられる引張り力によって、除去されてもよい。
【0099】
図17は、ステント、例えば本明細書で説明するステント10を標的領域へ送達するための例示の送達システム800の部分側面図である。送達システム800は、細長シャフトすなわちチューブ状部材802を含み得る。チューブ状部材802は、遠位端領域804から近位側に、患者の体外に留まるように構成された近位端領域(明示せず)まで延び得る。ハブ又はハンドル(明示せず)が、チューブ状部材802の近位端領域に結合され得る。チューブ状部材802は、さらに、遠位端領域804に隣接して配置された遠位チップ810を含み得る。遠位チップ810は、非外傷性となるように構成され得る。
【0100】
チューブ状部材802は、遠位端領域804から近位端領域まで延びるルーメン812(例えば、図18参照)を含み得る。チューブ状部材802のルーメン812はまた、そのように設けられる場合、ハンドルを通って延び得る。チューブ状部材802のルーメン812は、要望に応じて、糸、プルワイヤ及び/又はガイドワイヤを受け入れるように構成され得る。
【0101】
ステント10は、その遠位端領域804にあり、又はそれに隣接するチューブ状部材802の一部分の周りに配置され得る。ステント10が、チューブ状部材802に被さって配置されるとき、送達形態において、ステント10は、シース814によって、半径方向に潰された小径又は送達形態に拘束され得る。シース814は、ある長さの材料、例えば、限定されるものではないが、電気紡糸ファブリック(例えば、ファブリック状のシースに形成されたポリマー)から形成され得、これは、展開前に、ステント10を包んでいる。シース814はステント10を包んで、シース814が、送達中、ステント10の長さ部分を取り囲んで覆うようにし得る。シース814は、ステント10をその小径状態に保持するのに十分なフープ強度を有し得る。場合によっては、シース814は、1枚の材料から形成され得、及び図2に関して説明したシース114と同様の方法で縫合され得る。いくつかの実施形態では、シース814は、熱収縮され得るか又は他の方法でステント10に被せて形成され得る。
【0102】
シース814は、さらに、シース814の壁に埋め込まれた引き裂きワイヤ又は引き裂きストリップ816を含み得る。さらに、図17の線18-18に沿って取った送達装置800の断面図を示す図18を参照して説明すると、引き裂きワイヤ又は引き裂きストリップ816は、シース814の厚さ以内とし得る。場合によっては、引き裂きワイヤ又は引き裂きストリップ816の表面又はエッジは、シース814の内面及び/又は外面から突出し得るため、シース814の内面及び/又は外面に露出され得る。しかしながら、これは必須ではない。場合によっては、引き裂きワイヤ又は引き裂きストリップ816は、シース814の壁に完全に埋め込まれ得る。いくつかの実施形態では、引き裂きワイヤ又は引き裂きストリップ816の近位端818は、シース814の近位端822に隣接して配置され得る。引き裂きワイヤ又は引き裂きストリップ816は、近位端822から、ユーザによって作動されるように構成された遠位端領域824まで延び得る。場合によっては、遠位端領域824は、短い長さの引き裂きワイヤ又は引き裂きストリップ816とし得、シース814の遠位端820から軸方向に延びている。他の実施形態では、遠位端領域824は、シース814の遠位端820から軸方向に延び、折り重ねられて、シース814の遠位端820から近位側に延びるようにするのに十分な長さを有し得る。遠位端領域824は、送達装置800の近位端領域に対して近位側に延び得るため、ユーザが、引き裂きワイヤ若しくは引き裂きストリップ816又はそれに取り付けられた引張り機構を直接掴むことができることが想定される。しかしながら、これは必須ではない。場合によっては、遠位端領域824は、遠位端領域824がユーザによって直接掴まれることができない場合、クランプ又は他の機構によって掴まれて作動され得る。
【0103】
引き裂きワイヤ又は引き裂きストリップ816は、シース814の長手方向軸に対してほぼ平行に延びるものとして示されるが、場合によっては、引き裂きワイヤ又は引き裂きストリップ816は、異なる形態を有し得る。例えば、場合によっては、図20に示すように、引き裂きワイヤ又は引き裂きストリップ816’は、らせん形態を有するとともに、シース814の周りをらせん状に延びる。いくつかの実施形態では、シース814は、2つ以上の引き裂きワイヤ又は引き裂きストリップ816を含み得る。図19は、4つの引き裂きワイヤ又は引き裂きストリップ816a、816b、816c、816d(総称して、816)を含む送達装置800の断面図を示す。2つ以上の引き裂きワイヤ又は引き裂きストリップ816が含まれる場合、引き裂きワイヤ又は引き裂きストリップ816は、要望に応じて、シース814の周囲で均一に間隔を隔てても、又は偏心して間隔を隔ててもよい。シース814は、任意の数、例えば1、2、3、4、又はそれよりも大きい数の引き裂きワイヤ又は引き裂きストリップ816を含み得る。場合によっては、2つ以上の引き裂きワイヤ又は引き裂きストリップ816が提供されるとき、引き裂きワイヤ又は引き裂きストリップ816は、要望に応じて、同時に(各ワイヤ若しくは引き裂きストリップ816の同時作動によって、又は共通のアクチュエータによって)、又は連続的に(例えば、次々と)、作動され得る。場合によっては、引き裂きワイヤ又は引き裂きストリップ816の埋め込まれた長さは、要望に応じて、シース814の全長未満としても、又はシース814の全長としてもよい。
【0104】
引き裂きワイヤ又は引き裂きストリップ816は、チューブ状部材802の外部の近位側に延びる近位部分を有しているとして示されるが、場合によっては、チューブ状部材802は、ステント10の近位端に隣接して開口、削り出し部、スロット、又はポートを含み得、引き裂きワイヤ又は引き裂きストリップ816がルーメン812へ移ることができるようにしている。さらに、チューブ状部材802は、ステント10の遠位端16に隣接する開口、削り出し部、スロット、又はポートを含み得、引き裂きワイヤ又は引き裂きストリップ816が近位から遠位への方向に縫い付けられるときに、引き裂きワイヤ又は引き裂きストリップ816がルーメン812へ移ることができるようにしていることが想定される。そのように設けられる場合、開口は、チューブ状部材802の外面から内面まで延び得、引き裂きワイヤ又は引き裂きストリップ816(又は、要望に応じて、他の構成要素)が、チューブ状部材802の外部とその内部との間に延在できるようにする。
【0105】
図17及び図20は、部分的に展開形態にある送達装置800を示した。ステント10の展開前に、送達装置800は、任意の好適な方法で、所望の生体管腔を通して前進し得る。送達装置800は、ガイドワイヤを使用して、又は使用せずに、前進し得る。ひとたびステント10が標的領域に隣接して位置決めされたら、ステント10を半径方向に潰れた形態に維持する拘束力は、除去されてもよい。
【0106】
ひとたびステント10が所望の箇所に隣接したら、近位側への又は引張り力830が、引き裂きワイヤ又は引き裂きストリップ816の遠位端領域824へ加えられ得る。場合によっては、引張り力830は、引張り部材内に指を置き、且つハンドルから引き離すことによって、加えられ得る。他の実施形態では、クランプ又は掴み具は、身体を通って前進し、且つ遠位端領域824を把持するために使用され得る。遠位端領域824が引っ張られ、又は作動されるとき、引き裂きワイヤ又は引き裂きストリップ816は、シース814から剥がれて、それを引き裂き始める。引き裂きワイヤ又は引き裂きストリップ816が引張り力830によって近位側へ後退されるときに、シース814の付勢力が解放されるため、シース814の遠位端領域820が開き、及びステント10が、その付勢解除状態すなわち展開状態へと半径方向に拡張し始める。引き裂きワイヤ又は引き裂きストリップ816の継続的な近位側への作動によって、一層、ステント10の長さ部分が解放される。引き裂きワイヤ又は引き裂きストリップ816の近位側への作動は、引き裂きワイヤ又は引き裂きストリップ816がステント10を完全に解放するまで、継続し得る。臨床医は、身体及び/又は装置800から完全に除去されるまで、引き裂きワイヤ又は引き裂きストリップ816を引っ張り続けてもよいが、これは必須ではないことが想定される。体内にあるとき、シース814は、全体的にチューブ状形態を保持し得、及びステント10の外面と生体管腔との間に位置決めされ得る。場合によっては、シース814は、ステント10と一緒に体内に残されてもよい。他の実施形態では、シース814は、除去工具、例えば、限定されるものではないが、ペンチ又はクランプを使用して、除去されてもよい。さらに他の実施形態では、引き裂きワイヤ又は引き裂きストリップ816は、シース814の一部分、例えばシース814の近位端領域に取り付けられたままとし得、引き裂きワイヤ又は引き裂きストリップ816と一緒にシース814が近位側へ後退されるようにする。例えば、シース814は、引き裂きワイヤ又は引き裂きストリップ816が付着される及び/又は切ったり若しくは引き裂いたりできない補強近位部分を含み得るため、引き裂きワイヤ又は引き裂きストリップ816をシース814の近位端領域に取り付けられたままにし得る。
【0107】
本明細書で説明するステント及び/又は送達装置は、金属、金属合金、ポリマー(そのいくつかの例を下記に説明する)、金属-ポリマー複合材、セラミック、これらの組み合わせなど、又は他の好適な材料から作製され得る。好適な金属及び金属合金のいくつかの例は、ステンレス鋼、例えば304V、304L、及び316LVステンレス鋼;軟鋼;ニッケル-チタン合金、例えば線形弾性及び/又は超弾性のニチノール;他のニッケル合金、例えばニッケル-クロム-モリブデン合金(例えば、UNS:N06625、例えばインコネル(INCONEL)(登録商標)625、UNS:N06022、例えばハステロイ(HASTELLOY)(登録商標)C-22(登録商標)、UNS:N10276、例えばハステロイ(HASTELLOY)(登録商標)C276(登録商標)、他のハステロイ(HASTELLOY)(登録商標)合金など)、ニッケル-銅合金(例えば、UNS:N04400、例えばモネル(MONEL)(登録商標)400、ニッケルバック(NICKELVAC)(登録商標)400、ニコロス(NICORROS)(登録商標)400など)、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、UNS:R30035、例えばMP35-N(登録商標)など)、ニッケル-モリブデン合金(例えば、UNS:N10665、例えばハステロイ(HASTELLOY)(登録商標)アロイB2(ALLOY B2)(登録商標))、他のニッケル-クロム合金、他のニッケル-モリブデン合金、他のニッケル-コバルト合金、他のニッケル-鉄合金、他のニッケル-銅合金、他のニッケル-タングステン又はタングステン合金など;コバルト-クロム合金;コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、UNS:R30003、例えばエルジロイ(ELGILOY)(登録商標)、フィノックス(PHYNOX)(登録商標)など)、白金富化ステンレス鋼、チタン、これらの組み合わせ、その他のもの、又は任意の他の好適な材料を含む。
【0108】
本明細書で示唆したように、市販のニッケル-チタン又はニチノール合金のファミリー内に、「線形弾性」又は「非超弾性」と指定されるカテゴリーがあり、これは、化学的性質は従来の形状記憶及び超弾性の品種と同様とし得るが、はっきりと異なり且つ有用な機械的性質を示し得る。線形弾性及び/又は非超弾性のニチノールは、超弾性ニチノールとは、線形弾性及び/又は非超弾性のニチノールが、その応力/歪み曲線において、超弾性ニチノールが示すような、実質的な「超弾性プラトー(superelastic plateau)」又は「フラグ領域(flag region)」を示さない点で、区別され得る。その代わりに、線形弾性及び/又は非超弾性のニチノールでは、回復可能な歪みが増すため、応力が、実質的に線形に又は幾分線形に増大し続けるが、必ずしも、塑性変形が始まるまでずっと線形関係であるわけではないか、又は少なくとも、超弾性ニチノールに見られ得る、超弾性プラトー及び/又はフラグ領域よりも線形である関係にある。それゆえ、本開示の目的では、線形弾性及び/又は非超弾性のニチノールはまた、「実質的に」線形弾性及び/又は非超弾性のニチノールと呼ばれてもよい。
【0109】
場合によっては、線形弾性及び/又は非超弾性のニチノールはまた、超弾性ニチノールとは、線形弾性及び/又は非超弾性のニチノールは、約2~5%までの歪みを許容し得るものの、(例えば、塑性変形前は)実質的に弾性を維持し得る一方で、超弾性ニチノールは、塑性変形前に、約8%までの歪みを許容し得る点で、区別可能とし得る。これらの材料の双方共、他の線形弾性材料、例えば、塑性変形前に、約0.2~0.44パーセントまでの歪みを許容し得るステンレス鋼(これもその組成から区別できる)から区別され得る。
【0110】
いくつかの実施形態では、線形弾性及び/又は非超弾性ニッケル-チタン合金は、大きな温度範囲にわたって、示差走査熱量測定(DSC:differential scanning calorimetry)及び動的金属熱分析(DMTA:dynamic metal thermal analysis)による分析によって検出可能ないずれのマルテンサイト/オーステナイト相変化も示さない合金である。例えば、いくつかの実施形態では、線形弾性及び/又は非超弾性ニッケル-チタン合金に、摂氏約-60度(℃)~約120℃の範囲内で、DSC及びDMTAによる分析によって検出可能なマルテンサイト/オーステナイト相変化はないとし得る。それゆえ、そのような材料の機械的な曲げ特性は、一般的に、この非常に広範囲の温度にわたって、温度の効果に対して不活性とし得る。いくつかの実施形態では、周囲温度又は室温における線形弾性及び/又は非超弾性ニッケル-チタン合金の機械的な曲げ特性は、体温での機械的性質と実質的に同じであり、例えば、超弾性プラトー及び/又はフラグ領域を示さない。換言すると、広い温度範囲にわたって、線形弾性及び/又は非超弾性ニッケル-チタン合金はその線形弾性及び/又は非超弾性の特性及び/又は性質を維持する。
【0111】
いくつかの実施形態では、線形弾性及び/又は非超弾性ニッケル-チタン合金は、ニッケルが約50~約60重量パーセントの範囲とし得、残りは実質的にチタンである。いくつかの実施形態では、組成は、ニッケルが約54~約57重量パーセントの範囲内である。好適なニッケル-チタン合金の一例は、古河テクノマテリアル(Furukawa Techno Material Co.)(神奈川、日本)から市販されるFHP-NT合金である。ニッケルチタン合金のいくつかの例は、米国特許第5,238,004号明細書、及び同第6,508,803号明細書に開示されており、これらを本願明細書に援用する。他の好適な材料は、ウルタニウム(ULTANIUM)(商標)(ネオ-マトリックス(Neo-Metrics)から入手可能)及びガムメタル(GUM METAL)(商標)(トヨタ(Toyota)から入手可能)を含み得る。いくつかの他の実施形態では、超弾性合金、例えば超弾性ニチノールは、所望の特性を達成するために使用され得る。
【0112】
少なくともいくつかの実施形態では、ステント及び/又は送達装置の複数の部分又は全てはまた、放射線不透過性材料でドープされ得、作製され得、又はそうでなければ放射線不透過性材料を含み得る。放射線不透過性材料は、一般的に、X線からガンマ線に及ぶ波長範囲内のRFエネルギーに対して不透明である材料であると理解される(<0.005”(0.127mm)の厚さで)。これらの材料は、医療処置中に、組織が生じるような、非放射線不透過性材料の明るい(light)画像と比較して、X線透視検査スクリーン上に比較的暗い画像を生じることができる。この比較的明るい(bright)画像は、ステント及び/又は送達装置の位置をそのユーザが決定するのを支援する。放射線不透過性材料のいくつかの例は、限定されるものではないが、金、白金、パラジウム、タンタル、タングステン合金、放射線不透過性充填剤が入っているポリマー材料などを含み得る。さらに、他の放射線不透過性マーカバンド及び/又はコイルも、ステント及び/又は送達装置の設計に組み込まれて、同じ結果を達成し得る。
【0113】
いくつかの実施形態では、ある程度の磁気共鳴画像法(MRI)の互換性が、ステント及び/又は送達装置に与えられる。例えば、ステント及び/又は送達装置又はその一部分は、画像を実質的に歪ませたり、実質的なアーチファクト(例えば、画像内の間隙)を生じさせたりしない材料で作製され得る。いくつかの強磁性材料は、例えば、MRI画像にアーチファクトを生じさせ得るため、好適ではない場合がある。ステント及び/又は送達装置又はその一部分はまた、MRI機械が撮像できる材料から作製され得る。これらの特性を示すいくつかの材料は、例えば、タングステン、コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、UNS:R30003、例えばエルジロイ(ELGILOY)(登録商標)、フィノックス(PHYNOX)(登録商標)など)、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、UNS:R30035、例えばMP35-N(登録商標)など)、ニチノールなど、及び他のものを含む。
【0114】
ステント及び/又は送達装置に好適なポリマーのいくつかの例は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリオキシメチレン(POM、例えば、デュポン(DuPont)から入手可能であるデルリン(DELRIN)(登録商標))、ポリエーテルブロックエステル、ポリウレタン(例えば、ポリウレタン(Polyurethane)85A)、ポリプロピレン(PP)、ポリビニルクロライド(PVC)、ポリエーテル-エステル(例えば、DSMエンジニアリングプラスチックス(DSM Engineering Plastics)から入手可能であるアーニテル(ARNITEL)(登録商標))、エーテル若しくはエステルベースのコポリマー(例えば、ブチレン/ポリ(アルキレンエーテル)フタレート及び/又は他のポリエステルエラストマー、例えばデュポン(DuPont)から入手可能であるハイトレル(HYTREL)(登録商標))、ポリアミド(例えば、バイエル(Bayer)から入手可能であるデュレタン(DURETHAN)(登録商標)又はエルフ・アトケム(Elf Atochem)から入手可能であるクリスタミド(CRISTAMID)(登録商標))、エラストマーポリアミド、ブロックポリアミド/エーテル、ポリエーテルブロックアミド(PEBA、例えば商品名ペバックス(PEBAX)(登録商標)で入手可能である)、エチレンビニルアセテートコポリマー(EVA)、シリコーン、ポリエチレン(PE)、マーレックス(MARLEX)(登録商標)高密度ポリエチレン、マーレックス(MARLEX)(登録商標)低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン(例えばレクセル(REXELL)(登録商標))、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリフェニレンオキサイド(PPO)、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(例えば、ケブラー(KEVLAR)(登録商標))、ポリスルホン、ナイロン、ナイロン-12(例えば、EMSアメリカン・グリロン(EMS American Grilon)から入手可能であるグリルアミド(GRILAMID)(登録商標))、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PFA)、エチレンビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリスチレン、エポキシ、ポリビニリデンクロライド(PVdC)、ポリ(スチレン-b-イソブチレン-b-スチレン)(例えば、SIBS及び/又はSIBS 50A)、ポリカーボネート、イオノマー、生体適合性ポリマー、他の好適な材料、又はそれらの混合物、組み合わせ、コポリマー、ポリマー/金属複合材などを含み得る。
【0115】
当業者は、ここで説明する送達装置の異なる実施形態、それらの動作モードなどが、本開示が動作する環境を表すものにすぎないことを認識するであろう。それゆえ、様々な代替的な形状の協働する構成要素がまた、所望の標的部位にステントを係合、操舵及び位置決定するための代わりとして使用されてもよく、それゆえ、本開示の範囲を限定するものではない。さらに、本開示のインプラントは、適切に伸張可能、伸縮可能、及び後退可能とし、その柔軟な展開を可能にする。より詳細には、ここで説明する形態は、他の医学的応用にも応用可能とし得るため、様々な他の医療装置がインプラントと組み合わせて使用され得る。それらの医療装置は、生検鉗子、ハサミ、砕石器、拡張器、他の焼灼具などを含み得る。
【0116】
それゆえ、本開示の実施形態は、医療及び/又は非医療環境に応用可能である。さらに、開示した実施形態の範囲から逸脱することなく、上述の実施形態のいくつかの態様は、実施中、連携して選択的に使用され得、又は除去され得る。
【0117】
当業者は、本発明が、本明細書で説明し且つ考慮した具体的な実施形態以外の様々な形で示され得ることを認識するであろう。それゆえ、形及び詳細における逸脱は、添付の特許請求の範囲で説明したような本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく、なされ得る。
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