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特許7457160信号検出方法および装置ならびにレーダー・システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】信号検出方法および装置ならびにレーダー・システム
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/41 20060101AFI20240319BHJP
【FI】
G01S7/41
【請求項の数】 30
(21)【出願番号】P 2022567423
(86)(22)【出願日】2021-04-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-09
(86)【国際出願番号】 CN2021090870
(87)【国際公開番号】W WO2021223651
(87)【国際公開日】2021-11-11
【審査請求日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】202010371429.7
(32)【優先日】2020-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】シュイ,シャオフオン
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ,チイヨーン
(72)【発明者】
【氏名】ジュウ,ユイターン
【審査官】東 治企
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-074917(JP,A)
【文献】特開2019-184370(JP,A)
【文献】特開2018-059813(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103257346(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105301591(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106646411(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107861117(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109085568(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第101470202(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0220944(US,A1)
【文献】米国特許第07477181(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00-7/42
G01S 13/00-13/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号検出方法であって:
第1のレーダーによって、第1のフレームの第1の時間期間において第1の探測信号を送信するステップと;
前記第1のレーダーによって、前記第1のフレームの第2の時間期間において第2の探測信号を送信するステップと;
前記第1のレーダーによって、前記第1の探測信号および前記第2の探測信号に対応する反射信号を受信するステップと;
前記第1のレーダーによって、第1の距離‐速度スペクトルと第2の距離‐速度スペクトルの差に基づいて偽警報ターゲットを決定するステップとを含み、
前記第2の探測信号は、前記第1の探測信号に基づいて第1の位相符号変調によって得られる信号であり、前記第1の距離‐速度スペクトルは前記第1の探測信号に対応する第1の反射信号に基づいて得られ、前記第2の距離‐速度スペクトルは前記第2の探測信号に対応する第2の反射信号に基づいて得られ、
前記第1の探測信号は、前記第1の時間期間において第2のレーダーによって送信される探測信号と同じであり、前記第2の探測信号は、前記第2の時間期間において前記第2のレーダーによって送信される探測信号とは異なり、前記第2の時間期間において前記第2のレーダーによって送信される探測信号は、前記第1の時間期間において前記第2のレーダーによって送信される探測信号に対して第2の位相符号変調を実行することによって得られる、
方法。
【請求項2】
前記第1の時間期間は、時系列において前記第2の時間期間の前である、または
前記第1の時間期間は、時系列において前記第2の時間期間の後である、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の時間期間および前記第2の時間期間は、前記第1のフレームのフレーム長より短いか等しい、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
当該方法がさらに:
前記第1のレーダーによって、前記第1の時間期間および前記第2の時間期間において前記第2のレーダーによって送信される探測信号に対応する反射信号を受信するステップをさらに含む、
請求項1ないし3のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
複数の第2のレーダーがある、請求項1ないし4のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の距離‐速度スペクトルは、前記第1の探測信号に対応する前記第1の反射信号と、前記第1の時間期間において少なくとも1つの第2のレーダーによって送信される探測信号に対応する反射信号とに基づいて得られ;
前記第2の距離‐速度スペクトルは、前記第2の探測信号に対応する前記第2の反射信号と、前記第2の時間期間において前記少なくとも1つの第2のレーダーによって送信される探測信号に対応する反射信号とに基づいて得られる、
請求項ないしのうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の探測信号および前記第2の時間期間において前記第2のレーダーによって送信される前記探測信号は、相互に直交または準直交の位相符号変調信号である、請求項ないしのうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のレーダーによって、第1の距離‐速度スペクトルと第2の距離‐速度スペクトルとの差に基づいて偽警報ターゲットを決定する前に、当該方法はさらに:
前記第1のレーダーによって、前記第2の反射信号に対して第1次元のフーリエ変換処理を実行するステップと;
前記第1のレーダーによって、前記第2の探測信号の符号位相に基づいて、第1次元のフーリエ変換処理を通じて得られた前記第2の反射信号に対して位相符号復調を実行するステップと;
前記第1のレーダーによって、前記位相符号復調を通じて得られた前記第2の反射信号に対して第2次元のフーリエ変換処理を実行して、前記第2の距離‐速度スペクトルを得るステップとをさらに含む、
請求項1ないしのうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の探測信号が位相符号変調が実行されない信号である場合、前記第1のレーダーによって、第1の距離‐速度スペクトルと第2の距離‐速度スペクトルとの差に基づいて偽警報ターゲットを決定する前に、当該方法はさらに:
前記第1のレーダーによって、前記第1の反射信号に対して第1次元のフーリエ変換処理を実行するステップと;
前記第1のレーダーによって、第1次元のフーリエ変換処理を通じて得られた前記第1の反射信号に対して第2次元のフーリエ変換処理を実行して、前記第1の距離‐速度スペクトルを得るステップとを含む、
請求項1ないしのうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の探測信号および前記第1の時間期間において前記第2のレーダーによって送信される前記探測信号が、同じ位相符号変調が実行される信号である場合、前記第1のレーダーによって、第1の距離‐速度スペクトルと第2の距離‐速度スペクトルとの差に基づいて偽警報ターゲットを決定する前に、当該方法はさらに:
前記第1のレーダーによって、前記第1の反射信号に対して第1次元のフーリエ変換処理を実行するステップと;
前記第1のレーダーによって、前記第1の探測信号の符号位相に基づいて、第1次元のフーリエ変換処理を通じて得られた前記第1の反射信号に対して位相符号復調を実行するステップと;
前記第1のレーダーによって、前記位相符号復調を通じて得られた前記第1の反射信号に対して第2次元のフーリエ変換処理を実行して、前記第1の距離‐速度スペクトルを得るステップとを含む、
請求項1ないし7のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のレーダーによって、第1の距離‐速度スペクトルと第2の距離‐速度スペクトルとの差に基づいて、偽警報ターゲットを決定することは:
前記第1のレーダーによって、第1のターゲットを前記偽警報ターゲットとして決定することを含み、前記第1の距離‐速度スペクトルでの前記第1のターゲットのエネルギー値と前記第2の距離‐速度スペクトルでの前記第1のターゲットのエネルギー値との差が、第1の閾値以上である、
請求項1ないし10のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
当該方法はさらに:
前記第1の探測信号と、前記第1の時間期間において前記第2のレーダーによって送信される前記探測信号とに対して同期を実行して、前記第1の探測信号の送信開始時刻と、前記第2のレーダーによって送信される前記探測信号の送信開始時刻との差が第2の閾値以下になるようにすることを含む、
請求項ないしのうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の探測信号と前記第2の探測信号との間の保護期間は、第3の閾値以上である、請求項1ないし12のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の時間期間の持続時間および前記第2の時間期間の持続時間は、同じであるか、または異なる、請求項1ないし13のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
信号検出装置であって:
第1のフレームの第1の時間期間において第1の探測信号を送信し;
前記第1のフレームの第2の時間期間において第2の探測信号を送信するように構成された送信ユニットと;
前記第1の探測信号および第2の探測信号に対応する反射信号を受信するように構成された受信ユニットと;
第1の距離‐速度スペクトルと第2の距離‐速度スペクトルとの差に基づいて偽警報ターゲットを決定するように構成された処理ユニットとを有しており、
前記第2の探測信号は、前記第1の探測信号に基づいて第1の位相符号変調を通じて得られる信号であり、前記第1の距離‐速度スペクトルは前記第1の探測信号に対応する第1の反射信号に基づいて得られ、前記第2の距離‐速度スペクトルは前記第2の探測信号に対応する第2の反射信号に基づいて得られ、
前記第1の探測信号は、前記第1の時間期間において第2のレーダーによって送信される探測信号と同じであり、前記第2の探測信号は、前記第2の時間期間において前記第2のレーダーによって送信される探測信号とは異なり、前記第2の時間期間において前記第2のレーダーによって送信される探測信号は、前記第1の時間期間において前記第2のレーダーによって送信される探測信号に対して第2の位相符号変調を実行することによって得られる、
装置。
【請求項16】
前記第1の時間期間は、時系列において前記第2の時間期間の前である、または
前記第1の時間期間は、時系列において前記第2の時間期間の後である、
請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記第1の時間期間および前記第2の時間期間は、前記第1のフレームのフレーム長より短いか等しい、請求項15または16に記載の装置。
【請求項18】
前記受信ユニットは、さらに:
前記第1の時間期間および前記第2の時間期間において前記第2のレーダーによって送信される探測信号に対応する反射信号を受信するように構成される、
請求項15ないし17のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
複数の第2のレーダーがある、請求項15ないし18のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記第1の距離‐速度スペクトルは、前記第1の探測信号に対応する前記第1の反射信号と、前記第1の時間期間において少なくとも1つの第2のレーダーによって送信される探測信号に対応する反射信号とに基づいて得られ;
前記第2の距離‐速度スペクトルは、前記第2の探測信号に対応する前記第2の反射信号と、前記第2の時間期間において前記少なくとも1つの第2のレーダーによって送信される探測信号に対応する反射信号とに基づいて得られる、
請求項15ないし19のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記第2の探測信号および前記第2の時間期間において前記第2のレーダーによって送信される前記探測信号は、相互に直交または準直交の位相符号変調信号である、請求項15ないし20のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記第1の距離‐速度スペクトルと前記第2の距離‐速度スペクトルとの差に基づいて前記偽警報ターゲットを決定する前に、前記処理ユニットはさらに:
前記第2の反射信号に対して第1次元のフーリエ変換処理を実行し;
前記第2の探測信号の符号位相に基づいて、第1次元のフーリエ変換処理を通じて得られた前記第2の反射信号に対して位相符号復調を実行し;
前記位相符号復調を通じて得られた前記第2の反射信号に対して第2次元のフーリエ変換処理を実行して、前記第2の距離‐速度スペクトルを得るように構成される、
請求項15ないし21のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
前記第1の探測信号が位相符号変調が実行されない信号である場合、第1の距離‐速度スペクトルと第2の距離‐速度スペクトルとの差に基づいて前記偽警報ターゲットを決定する前に、前記処理ユニットはさらに:
前記第1の反射信号に対して第1次元のフーリエ変換処理を実行し;
第1次元のフーリエ変換処理を通じて得られた前記第1の反射信号に対して第2次元のフーリエ変換処理を実行して、前記第1の距離‐速度スペクトルを得るように構成される、
請求項15ないし22のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
前記第1の探測信号および前記第1の時間期間において前記第2のレーダーによって送信される前記探測信号が、同じ位相符号変調が実行される信号である場合、第1の距離‐速度スペクトルと第2の距離‐速度スペクトルとの差に基づいて前記偽警報ターゲットを決定する前に、前記処理ユニットはさらに:
前記第1の反射信号に対して第1次元のフーリエ変換処理を実行し;
前記第1の探測信号の符号位相に基づいて、第1次元のフーリエ変換処理を通じて得られた前記第1の反射信号に対して位相符号復調を実行し;
前記位相符号復調を通じて得られた前記第1の反射信号に対して第2次元のフーリエ変換処理を実行して、前記第1の距離‐速度スペクトルを得るように構成され、
請求項15ないし21のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
前記処理ユニットはさらに:
第1のターゲットを前記偽警報ターゲットとして決定するように構成され、前記第1の距離‐速度スペクトルでの前記第1のターゲットのエネルギー値と前記第2の距離‐速度スペクトルでの前記第1のターゲットのエネルギー値との差は、第1の閾値以上である、
請求項15ないし23のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
前記処理ユニットはさらに:
前記第1の探測信号と、前記第1の時間期間において前記第2のレーダーによって送信される前記探測信号とに対して同期を実行して、前記第1の探測信号の送信開始時刻と、前記第2のレーダーによって送信される前記探測信号の送信開始時刻との差が第2の閾値以下になるようにするように構成される、
請求項15ないし21のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】
前記第1の探測信号と前記第2の探測信号との間の保護期間は、第3の閾値以上である、請求項15ないし26のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
前記第1の時間期間の持続時間および前記第2の時間期間の持続時間は、同じであるか、または異なる、請求項15ないし27のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
少なくとも1つのプロセッサを有するチップであって、前記少なくとも1つのプロセッサは、メモリからコンピュータ・プログラムを呼び出し、前記コンピュータ・プログラムを実行するように構成されており、それにより、当該チップが組み込まれているレーダーが、請求項1ないし14のうちいずれか一項に記載の方法を実行するようにする、チップ。
【請求項30】
コンピュータ・プログラムを記憶するように構成されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、前記コンピュータ・プログラムは、コンピュータが請求項1ないし14のうちいずれか一項に記載の方法を実行できるようにする、記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2020年5月6日に中国国家知的所有権管理局に出願され、「信号検出方法および装置ならびにレーダー・システム」と題された中国特許出願第202010371429.7号に対する優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本願は、レーダー技術の分野に関し、特に、信号検出方法および装置、ならびにレーダー・システムに関する。これらは、自動運転もしくはインテリジェント運転分野、またはインテリジェント制御もしくは無人輸送分野に適用されうる。
【背景技術】
【0003】
レーダー技術の発達に伴い、レーダー・アンチジャミング技術はより多くの困難に直面しつつある。実際のシナリオでは、マルチレーダー・ネットワークの多くの動作シナリオが存在し、たとえば、十字路に配備されたスマート輸送レーダーにおけるターゲット・レーダーは、ターゲット・レーダーによって送信された探測信号の送信信号を受信しながら、別の信号を受信する。その結果、偽警報〔フォールス・アラーム〕ターゲットが形成され、本物のターゲットがターゲット・レーダーを用いて正しく検出できず、干渉が発生する。
【0004】
前述の問題について、一つの方法は、レーダーの動作周波数をずらして、周波数混合後の干渉信号が、レーダーの受信機の帯域幅範囲外になるようにすることである。しかしながら、この方法はレーダーの距離分解能に重大な影響を与える。
【0005】
別の方法は、時間同期に基づいて干渉を解決することである。しかしながら、この解決策は時間資源を大いに浪費し、レーダーの作業期間を長くし、そして制限された調整可能な時間範囲をもつ。
【0006】
さらに別の方法は、符号分割多元接続に基づいて干渉を解決することである。この解決策は、干渉信号(約10dB)を抑制するが、干渉および偽警報を完全になくすことはできず、低ノイズを増加させ、サイドローブを上昇させさえする。
【0007】
よって、レーダーの干渉信号を解決または低減し、偽警報ターゲットを判別し、本物のターゲットを識別する方法が、現在解決すべき問題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本願の実施形態は、偽警報ターゲットを判別し、本物のターゲットを識別するための信号検出方法および装置、ならびにレーダー・システムを提供する。これは、正しいターゲットを検出する確率および信頼性を改善し、帯域幅を犠牲にせずに高い距離分解能を実現することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の側面によれば、信号検出方法が提供される。本方法は、以下を含む:第1のレーダーが第1のフレームの第1の時間期間において第1の探測信号を送信する。第1のレーダーは、第1のフレームの第2の時間期間において第2の探測信号を送信する。第1のレーダーは、第1の探測信号および第2の探測信号に対応する反射信号を受信する。第1のレーダーは、第1の距離‐速度スペクトルと第2の距離‐速度スペクトルの間の差に基づいて偽警報ターゲットを決定する。第2の探測信号は、第1の探測信号に基づいて第1の位相符号変調によって得られる信号である。第1の距離‐速度スペクトルは第1の探測信号に対応する第1の反射信号に基づいて得られ、第2の距離‐速度スペクトルは第2の探測信号に対応する第2の反射信号に基づいて得られる。
【0010】
本願のこの実施形態において提供される解決策によれば、第1のレーダーは、受信された反射信号を処理し、処理結果を比較して、偽警報ターゲットを決定し、偽警報ターゲットを除去し、実際のターゲットを識別する。これは、正しいターゲットを検出する確率と信頼性を改善し、帯域幅を犠牲にせずに高い距離分解能を実現することができる。
【0011】
第1の側面を参照すると、第1の側面のいくつかの実装では、第1の時間期間は、時系列において第2の時間期間の前であるか、または第1の時間期間は、時系列において第2の時間期間の後である。
【0012】
第1の側面を参照すると、第1の側面のいくつかの実装では、第1の時間期間および第2の時間期間は、第1のフレームのフレーム長より短いか等しい。
【0013】
第1の側面を参照すると、第1の側面のいくつかの実装では、第1の探測信号は、第1の時間期間において第2のレーダーによって送信される探測信号と同じである。第2の探測信号は、第2の時間期間において第2のレーダーによって送信される探測信号とは異なる。第2の時間期間において第2のレーダーによって送信された探測信号は、第1の時間期間において第2のレーダーによって送信された探測信号に対して第2の位相符号変調を実行することによって得られる。
【0014】
第1の側面を参照すると、第1の側面のいくつかの実装では、本方法は、さらに下記を含む:第1のレーダーが、第1の時間期間および第2の時間期間において第2のレーダーによって送信される探測信号に対応する反射信号を受信する。
【0015】
第1の側面を参照すると、第1の側面のいくつかの実装では、複数の第2のレーダーがある。
【0016】
第1の側面を参照すると、第1の側面のいくつかの実装では、第1の距離‐速度スペクトルは、第1の探測信号に対応する第1の反射信号と、第1の時間期間において少なくとも1つの第2のレーダーによって送信される探測信号に対応する反射信号とに基づいて得られる。第2の距離‐速度スペクトルは、第2の探測信号に対応する第2の反射信号と、第2の時間期間において少なくとも1つの第2のレーダーによって送信される探測信号に対応する反射信号とに基づいて得られる。
【0017】
第1の側面を参照すると、第1の側面のいくつかの実装では、第2の探測信号および第2の時間期間において第2のレーダーによって送信される探測信号は、相互に直交または準直交の位相符号変調信号である。
【0018】
本願のこの実施形態において提供される解決策によれば、第2の時間期間において異なるレーダーによって送信される探測信号は、相互に直交または準直交の位相符号変調信号であるため、これは、マルチレーダー・ネットワークにおける干渉を効果的に解決し、偽警報ターゲットを決定し、さらに、正しいターゲットを検出する確率および信頼性を向上させることができる。
【0019】
第1の側面を参照すると、第1の側面のいくつかの実装において、第1のレーダーが、第1の距離‐速度スペクトルと第2の距離‐速度スペクトルとの差に基づいて偽警報ターゲットを決定する前に、本方法はさらに下記を含む:第1のレーダーが、第2の反射信号に対して第1次元のフーリエ変換処理を実行することをさらに含む。第1のレーダーは、第2の探測信号の符号位相に基づいて、第1次元のフーリエ変換処理を通じて得られた第2の反射信号に対して位相符号復調を実行する。第1のレーダーは、位相符号復調を通して得られた第2の反射信号に対して第2次元のフーリエ変換処理を実行して、第2の距離‐速度スペクトルを得る。
【0020】
第1の側面を参照すると、第1の側面のいくつかの実装において、第1の探測信号が位相符号変調が行われない信号である場合、第1のレーダーが、第1の距離‐速度スペクトルと第2の距離‐速度スペクトルとの差に基づいて偽警報ターゲットを決定する前に、本方法はさらに下記を含む:第1のレーダーが、第1の反射信号に対して第1次元のフーリエ変換処理を実行する。第1のレーダーは、第1次元のフーリエ変換処理を通じて得られた第1の反射信号に対して第2次元のフーリエ変換処理を実行して、第1の距離‐速度スペクトルを得る。
【0021】
第1の側面を参照すると、第1の側面のいくつかの実装において、第1の探測信号および第1の時間期間において第2のレーダーによって送信される探測信号が、同じ位相符号変調が実行される信号である場合、第1のレーダーが、第1の距離‐速度スペクトルと第2の距離‐速度スペクトルとの差に基づいて偽警報ターゲットを決定する前に、本方法はさらに下記を含む:第1のレーダーが、第1の反射信号に対して第1次元のフーリエ変換処理を実行する。第1のレーダーは、第1の探測信号の符号位相に基づいて、第1次元のフーリエ変換処理を通じて得られた第1の反射信号に対して位相符号復調を実行する。第1のレーダーは、位相符号復調を通して得られた第1の反射信号に対して第2次元のフーリエ変換処理を実行して、第1の距離‐速度スペクトルを得る。
【0022】
第1の側面を参照すると、第1の側面のいくつかの実装において、第1のレーダーが、第1の距離‐速度スペクトルと第2の距離‐速度スペクトルとの差に基づいて、偽警報ターゲットを決定することは、下記を含む:第1のレーダーは、第1のターゲットを偽警報ターゲットとして決定し、第1の距離‐速度スペクトル上の第1のターゲットのエネルギー値と第2の距離‐速度スペクトル上の第1のターゲットのエネルギー値との間の差は、第1の閾値以上である。
【0023】
本願のこの実施形態において提供される解決法によれば、第1の反射信号と第2の反射信号の距離‐速度スペクトルの間のエネルギー差に基づいて、これは、マルチレーダー・ネットワークにおける干渉を解決し、偽警報ターゲットを決定し、実際のターゲットを同定し、さらに、正しいターゲットを検出する確率および信頼性を向上させることができる。
【0024】
第1の側面を参照すると、第1の側面のいくつかの実装において、本方法はさらに下記を含む:第1の探測信号と、第1の時間期間において第2のレーダーによって送信される探測信号とに対して同期を実行して、第1の探測信号の送信開始時刻と、第1の時間期間において第2のレーダーによって送信される探測信号の送信開始時刻との差が第2の閾値以下になるようにする。
【0025】
本願のこの実施形態において提供される解決策によれば、第1のレーダーによって送信される第1の探測信号と、第1の時間期間において第2のレーダーによって送信される探測信号とが同期される。これは、さらに、正しいターゲットを検出する確率および信頼性を改善することができる。
【0026】
第1の側面を参照すると、第1の側面のいくつかの実装では、第1の探測信号と第2の探測信号との間の保護期間は、第3の閾値以上である。
【0027】
本願のこの実施形態において提供される解決策によれば、第1の探測信号と第2の探測信号との間の保護期間が第3の閾値以上であるため、これは、正しいターゲットを検出する確率および信頼性をさらに改善することができる。
【0028】
第1の側面を参照すると、第1の側面のいくつかの実装では、第1の時間期間の持続時間および第2の時間期間の持続時間は、同一であるか、または異なる。
【0029】
第2の側面によれば、信号検出装置が提供される。信号検出装置は、第1のフレームの第1の時間期間において第1の探測信号を送信し、前記第1のフレームの第2の時間期間において第2の探測信号を送信するように構成された送信ユニットと;第1の探測信号および第2の探測信号に対応する反射信号を受信するように構成された受信ユニットと;第1の距離‐速度スペクトルと第2の距離‐速度スペクトルとの差に基づいて偽警報ターゲットを決定するように構成された処理ユニットとを含む。第2の探測信号は、第1の探測信号に基づいて第1の位相符号変調を通じて得られる信号である。第1の距離‐速度スペクトルは第1の探測信号に対応する第1の反射信号に基づいて得られ、第2の距離‐速度スペクトルは第2の探測信号に対応する第2の反射信号に基づいて得られる。
【0030】
第2の側面を参照すると、第2の側面のいくつかの実装では、第1の時間期間は、時系列において第2の時間期間の前であるか、または第1の時間期間は、時系列において第2の時間期間の後である。
【0031】
第2の側面を参照すると、第2の側面のいくつかの実装では、第1の時間期間および第2の時間期間は、第1のフレームのフレーム長より短いか等しい。
【0032】
第2の側面を参照すると、第2の側面のいくつかの実装では、第1の探測信号は、第1の時間期間において第2のレーダーによって送信される探測信号と同じである。第2の探測信号は、第2の時間期間において第2のレーダーによって送信される探測信号とは異なる。第2の時間期間において第2のレーダーによって送信された探測信号は、第1の時間期間において第2のレーダーによって送信された探測信号に対して第2の位相符号変調を実行することによって得られる。
【0033】
第2の側面を参照すると、第2の側面のいくつかの実装では、受信ユニットは、さらに:第1の時間期間および第2の時間期間において第2のレーダーによって送信される探測信号に対応する反射信号を受信する。
【0034】
第2の側面を参照すると、第2の側面のいくつかの実装では、複数の第2のレーダーがある。
【0035】
第2の側面を参照すると、第2の側面のいくつかの実装では、第1の距離‐速度スペクトルは、第1の探測信号に対応する第1の反射信号と、第1の時間期間において少なくとも1つの第2のレーダーによって送信される探測信号に対応する反射信号とに基づいて得られる。第2の距離‐速度スペクトルは、第2の探測信号に対応する第2の反射信号と、第2の時間期間において少なくとも1つの第2のレーダーによって送信される探測信号に対応する反射信号とに基づいて得られる。
【0036】
第2の側面を参照すると、第2の側面のいくつかの実装では、第2の探測信号および第2の時間期間において第2のレーダーによって送信される探測信号は、相互に直交または準直交の位相符号変調信号である。
【0037】
第2の側面を参照すると、第2の側面のいくつかの実装において、第1の距離‐速度スペクトルと第2の距離‐速度スペクトルとの差に基づいて偽警報ターゲットを決定する前に、処理ユニットはさらに:第2の反射信号に対して第1次元のフーリエ変換処理を実行し;第2の探測信号の符号位相に基づいて、第1次元のフーリエ変換処理を通じて得られた第2の反射信号に対して位相符号復調を実行し;位相符号復調を通して得られた第2の反射信号に対して第2次元のフーリエ変換処理を実行して、第2の距離‐速度スペクトルを得るように構成される。
【0038】
第2の側面を参照すると、第2の側面のいくつかの実装において、第1の探測信号が位相符号変調が行われない信号である場合、第1の距離‐速度スペクトルと第2の距離‐速度スペクトルとの差に基づいて偽警報ターゲットを決定する前に、処理ユニットはさらに:第1の反射信号に対して第1次元のフーリエ変換処理を実行し;第1次元のフーリエ変換処理を通じて得られた第1の反射信号に対して第2次元のフーリエ変換処理を実行して、第1の距離‐速度スペクトルを得るように構成される。
【0039】
第2の側面を参照すると、第2の側面のいくつかの実装において、第1の探測信号および第1の時間期間において第2のレーダーによって送信される探測信号が、同じ位相符号変調が実行される信号である場合、第1の距離‐速度スペクトルと第2の距離‐速度スペクトルとの差に基づいて偽警報ターゲットを決定する前に、処理ユニットはさらに:第1の反射信号に対して第1次元のフーリエ変換処理を実行し;第1の探測信号の符号位相に基づいて、第1次元のフーリエ変換処理を通じて得られた第1の反射信号に対して位相符号復調を実行し;位相符号復調を通して得られた第1の反射信号に対して第2次元のフーリエ変換処理を実行して、第1の距離‐速度スペクトルを得るように構成される。
【0040】
第2の側面を参照すると、第2の側面のいくつかの実装において、処理ユニットはさらに:第1のターゲットを偽警報ターゲットとして決定するように構成され、第1の距離‐速度スペクトル上の第1のターゲットのエネルギー値と第2の距離‐速度スペクトル上の第1のターゲットのエネルギー値との間の差は、第1の閾値以上である。
【0041】
第2の側面を参照すると、第2の側面のいくつかの実装において、処理ユニットはさらに:第1の探測信号と、第1の時間期間において第2のレーダーによって送信される探測信号とに対して同期を実行して、第1の探測信号の送信開始時刻と、第2のレーダーによって送信される探測信号の送信開始時刻との差が第2の閾値以下になるようにするように構成される。
【0042】
第2の側面を参照すると、第2の側面のいくつかの実装では、第1の探測信号と第2の探測信号との間の保護期間は、第3の閾値以上である。
【0043】
第2の側面を参照すると、第2の側面のいくつかの実装では、第1の時間期間の持続時間および第2の時間期間の持続時間は、同一であるか、または異なる。
【0044】
第3の側面によれば、レーダー・システムが提供される。レーダー・システムは、第1のレーダーおよび第2のレーダーを含む。第1のレーダーは:第1のフレームの第1の時間期間において第1の探測信号を送信し;前記第1のフレームの第2の時間期間において第2の探測信号を送信し;反射信号であって、該反射信号は第1の探測信号および第2の探測信号に対応する反射信号を含む、反射信号を受信し、第1の時間期間および第2の時間期間において第2のレーダーによって送信される探測信号に対応する反射信号を受信し;第1の距離‐速度スペクトルと第2の距離‐速度スペクトルとの差に基づいて偽警報ターゲットを決定するように構成される。第2の探測信号は、第1の探測信号に基づいて第1の位相符号変調を通じて得られる信号である。第1の距離‐速度スペクトルは、第1の探測信号に対応する第1の反射信号と、第1の時間期間において第2のレーダーによって送信される探測信号に対応する反射信号とに基づいて得られ、第2の距離‐速度スペクトルは第2の探測信号に対応する第2の反射信号と、第2の時間期間において第2のレーダーによって送信される探測信号に対応する反射信号とに基づいて得られる。
【0045】
第3の側面を参照すると、第3の側面のいくつかの実装では、第1の時間期間は、時系列において第2の時間期間の前であるか、または第1の時間期間は、時系列において第2の時間期間の後である。
【0046】
第3の側面を参照すると、第3の側面のいくつかの実装では、第1の時間期間および第2の時間期間は、第1のフレームのフレーム長より短いか等しい。
【0047】
第3の側面を参照すると、第3の側面のいくつかの実装では、第1の探測信号は、第1の時間期間において第2のレーダーによって送信される探測信号と同じである。第2の探測信号は、第2の時間期間において第2のレーダーによって送信される探測信号とは異なる。第2の時間期間において第2のレーダーによって送信された探測信号は、第1の時間期間において第2のレーダーによって送信された探測信号に対して第2の位相符号変調を実行することによって得られる。
【0048】
第3の側面を参照すると、第3の側面のいくつかの実装では、複数の第2のレーダーがある。
【0049】
第3の側面を参照すると、第3の側面のいくつかの実装では、第2の探測信号および第2の時間期間において第2のレーダーによって送信される探測信号は、相互に直交または準直交の位相符号変調信号である。
【0050】
第3の側面を参照すると、第3の側面のいくつかの実装において、第1の距離‐速度スペクトルと第2の距離‐速度スペクトルとの差に基づいて偽警報ターゲットを決定する前に、第1のレーダーはさらに:第2の反射信号に対して第1次元のフーリエ変換処理を実行し;第2の探測信号の符号位相に基づいて、第1次元のフーリエ変換処理を通じて得られた第2の反射信号に対して位相符号復調を実行し;位相符号復調を通して得られた第2の反射信号に対して第2次元のフーリエ変換処理を実行して、第2の距離‐速度スペクトルを得るように構成される。
【0051】
第3の側面を参照すると、第3の側面のいくつかの実装において、第1の探測信号が位相符号変調が行われない信号である場合、第1の距離‐速度スペクトルと第2の距離‐速度スペクトルとの差に基づいて偽警報ターゲットを決定する前に、第1のレーダーはさらに:第1の反射信号に対して第1次元のフーリエ変換処理を実行し;第1次元のフーリエ変換処理を通じて得られた第1の反射信号に対して第2次元のフーリエ変換処理を実行して、第1の距離‐速度スペクトルを得るように構成される。
【0052】
第3の側面を参照すると、第3の側面のいくつかの実装において、第1の探測信号および第1の時間期間において第2のレーダーによって送信される探測信号が、同じ位相符号変調が実行される信号である場合、第1の距離‐速度スペクトルと第2の距離‐速度スペクトルとの差に基づいて偽警報ターゲットを決定する前に、第1のレーダーはさらに:第1の反射信号に対して第1次元のフーリエ変換処理を実行し;第1の探測信号の符号位相に基づいて、第1次元のフーリエ変換処理を通じて得られた第1の反射信号に対して位相符号復調を実行し;位相符号復調を通して得られた第1の反射信号に対して第2次元のフーリエ変換処理を実行して、第1の距離‐速度スペクトルを得るように構成される。
【0053】
第3の側面を参照すると、第3の側面のいくつかの実装において、第1のレーダーはさらに:第1のターゲットを偽警報ターゲットとして決定するように構成される。第1の距離‐速度スペクトル上の第1のターゲットのエネルギー値と第2の距離‐速度スペクトル上の第1のターゲットのエネルギー値との間の差は、第1の閾値以上である。
【0054】
第3の側面を参照すると、第3の側面のいくつかの実装において、第1のレーダーはさらに:第1の探測信号と、第1の時間期間において第2のレーダーによって送信される探測信号とに対して同期を実行して、第1の探測信号の送信開始時刻と、第2のレーダーによって送信される探測信号の送信開始時刻との差が第2の閾値以下になるようにするように構成される。
【0055】
第3の側面を参照すると、第3の側面のいくつかの実装では、第1の探測信号と第2の探測信号との間の保護期間は、第3の閾値以上である。
【0056】
第3の側面を参照すると、第3の側面のいくつかの実装では、第1の時間期間の持続時間および第2の時間期間の持続時間は、同一であるか、または異なる。
【0057】
第4の側面によれば、レーダー・システムが提供される。レーダー・システムは、複数のレーダーを含む。前記複数のレーダーのうちの第1のレーダーは、少なくとも1つのプロセッサおよびメモリを含む。メモリは、コンピュータ・プログラムを記憶するように構成され、前記少なくとも1つのプロセッサは、メモリに記憶されたコンピュータ・プログラムを呼び出し、コンピュータ・プログラムを実行して、第1の側面または第1の側面の実装における方法を実行するように構成される。
【0058】
第5の側面によれば、チップが提供される。チップは、少なくとも1つのプロセッサを含む。前記少なくとも1つのプロセッサは、メモリからコンピュータ・プログラムを呼び出し、コンピュータ・プログラムを実行するように構成されており、それにより、チップがインストールされたレーダーは、第1の側面または第1の側面の実装における方法を実行する。
【0059】
第6の側面によれば、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体が提供される。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、コンピュータ・プログラムを記憶するように構成され、コンピュータ・プログラムは、コンピュータが第1の側面または第1の側面の実装における方法を実行できるようにする。
【0060】
第7の側面によれば、コンピュータ・プログラム・プロダクトが提供される。コンピュータ・プログラム・プロダクトは、コンピュータ・プログラム命令を含み、コンピュータ・プログラム命令は、コンピュータが、第1の側面または第1の側面の実装における方法を実行できるようにする。
【0061】
第8の側面によれば、コンピュータ・プログラムが提供される。コンピュータ・プログラムは、コンピュータが、第1の側面または第1の側面の実装における方法を実行できるようにする。
【0062】
第9の側面によれば、インテリジェント装置が提供される。インテリジェント装置は、第2の側面または第2の側面の実装における装置を含み、または第3の側面または第3の側面の実装におけるシステムを含む。
【0063】
インテリジェント装置は、無人航空機、ロボット、路側ユニットなどであってもよい。
【0064】
第10の側面によれば、輸送ツールが提供される。輸送ツールは、第2の側面または第2の側面の実装における装置を含み、または第3の側面または第3の側面の実装におけるシステムを含む。
【0065】
輸送ツールは、ビークルなどであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
図1】本願のある実施形態によるマルチレーダー・ネットワークの動作シナリオの概略図である。
【0067】
図2】本願のある実施形態による複数のレーダーによって送信される線形周波数変調信号の概略図である。
【0068】
図3】本願のある実施形態による干渉信号の概略図である。
【0069】
図4】本願のある実施形態による時間同期の概略図である。
【0070】
図5】本願の別の実施形態による時間同期の概略図である。
【0071】
図6】本願のある実施形態によるシミュレーション・インスタンスの概略図である。
【0072】
図7】本願のある実施形態による信号検出方法の概略図である。
【0073】
図8】本願のある実施形態による線形周波数変調信号シーケンスの概略図である。
【0074】
図9】本願の別の実施形態による線形周波数変調信号の概略図である。
【0075】
図10】本願のある実施形態による、レーダーによって送信される時間‐周波数波形の分布の概略図である。
【0076】
図11】本願のある実施形態によるレーダーの作動原理の概略図である。
【0077】
図12】本願のある実施形態による信号検出方法の概略図である。
【0078】
図13】本願のある実施形態による、前半フレーム探測信号のシミュレーション・インスタンスの概略図である。
【0079】
図14】本願のある実施形態による、後半フレーム探測信号のシミュレーション・インスタンスの概略図である;
【0080】
図15】本願のある実施形態による、偽警報ターゲットを除去するシミュレーション・インスタンスの概略図である;
【0081】
図16】本願の別の実施形態による信号検出方法の概略図である。
【0082】
図17】本願のある実施形態による信号検出装置の概略図である。
【0083】
図18】本願のある実施形態によるレーダー・システムの概略図である。
【0084】
図19】本願の別の実施形態によるレーダー・システムの概略図である。
【0085】
図20】本願のある実施形態によるチップの構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0086】
下記は、添付の図面を参照して、本願の技術的解決策を記載する。記載された実施形態は、本願の実施形態の一部であり、全部ではないことは明らかである。創造的努力なしに本願の実施形態に基づいて当業者によって得られる他の実装はすべて、本願の保護範囲にはいる。
【0087】
図1は、マルチレーダー・ネットワーク100の動作シナリオの概略図である。本願の実施形態における解決策の理解を容易にするために、下記はまず、図1に示されるマルチレーダー・ネットワークの動作原理を説明する。しかしながら、図1は、単に、マルチレーダー・ネットワークの位置、状態等の一例を示しているに過ぎず、マルチレーダー・ネットワークは、代替的に、別の形であってもよいことを理解されたい。これは、本願に対する特別な制限を構成するものではない。
【0088】
図1に示されるように、マルチレーダー・ネットワーク100は、十字路の4つの方向に位置するレーダー110、レーダー120、レーダー130、およびレーダー140である4つのレーダーを含みうると想定される。ターゲットAおよびターゲットBは、十字路の中央に位置し、ターゲットAおよびターゲットBは、移動車両、歩行者などであってもよい。これは、本願において特に限定されない。
【0089】
4台のレーダーは、十字路でターゲットを検出することができる。たとえば、レーダー110は、図1において黒の実線で示されるように、電磁波を送信することができる。レーダー110によって送信された電磁波が黒の実線によって示される経路に沿ってターゲットAに到達した後、電磁波は黒の実線によって示される経路に沿ってターゲットAによって反射され、電磁波のエコーがレーダー110の受信機に入る。ターゲットAの距離、速度、角度などの情報は、その後の処理によって決定されうる。
【0090】
しかしながら、レーダー110がターゲットAを検出するプロセスでは、図1において破線で示されるように、レーダー120によってターゲットAに送信された電磁波に対応し、ターゲットAによって反射されたエコーも受信されることがあり、図1において二点鎖線で示されるように、レーダー140によってターゲットBに送信された電磁波に対応し、ターゲットBによって反射されたエコーも受信されることがある。
【0091】
レーダー110、レーダー120、およびレーダー140の送信周波数は、異なっていてもよい。図2は、本願のこの実施形態による、複数のレーダーによって送信される線形周波数変調信号の概略図である。
【0092】
レーダー120によって送信された電磁波がターゲットAを通過した後に得られた反射信号と、レーダー140によって送信された電磁波がターゲットBを通過した後に得られた反射信号がレーダー110の受信機に到達した後、周波数混合処理の後に干渉が発生する。図3は、本願のこの実施形態による干渉信号の概略図である。ターゲットAおよびターゲットBからの反射信号は、レーダー110の受信機に入り、周波数混合の後、単一周波数信号を形成する。単一周波数信号がレーダー110の受信機の帯域幅範囲外になると、単一周波数信号はフィルタ除去される。しかしながら、単一周波数信号が受信機の帯域幅内にはいると、偽警報が発生し、誤判断が発生する。
【0093】
そのような干渉を解決するために、現在、1つの方法は、干渉信号が周波数混合後にレーダーの受信機の帯域幅範囲外になるように、これらのレーダーの動作周波数をずらすことである。各レーダーは異なる周波数範囲で動作するため、干渉信号は、周波数混合処理の後にはレーダーの受信機の帯域幅範囲外になる可能性がある。しかしながら、十字路での交通レーダーの動作周波数範囲は限定されている。たとえば、交通レーダーは、24GHz~24.25GHzの周波数範囲で動作することができる。レーダー間の周波数をずらす、および動作帯域幅を縮小する仕方は、レーダーの距離分解能に重大な影響を与える。たとえば、4つのレーダーは、図1に示す十字路に配備される。相互干渉を回避するために、図1の4つのレーダーは、24GHz~24.06GHz、24.06GHz~24.12GHz、24.12GHz~24.18GHz、および24.18GHz~24.25GHzの周波数で別々に動作し、各レーダーの動作帯域幅は、基本的には、60MHzに低減される。その結果、距離分解能は4倍低下し、距離分解能は実際の適用要件を満たすことができない。
【0094】
もう一つの方法は、時間同期に基づいて干渉を解決することができる。図4および図5はそれぞれ、時間同期の概略図である。図4では、4つのレーダー(レーダー110、レーダー120、レーダー130、およびレーダー140)は、時間的に、順次かつ交互に、信号を送信する。図5では、前半フレームではレーダー110とレーダー120が信号を交互に送信し、後半フレームではレーダー130とレーダー140が信号を交互に送信する。送信される信号は時間的にずれているため、別のレーダーに対応するエコーは、現在の動作中のレーダーの受信機には入らないか、または別のレーダーに対応するエコーが現在の動作中のレーダーの受信機に入ったとしても、周波数混合後の信号は、受信機の帯域幅の範囲外になる。これは、干渉をなくすことができる。
【0095】
しかしながら、この解決策には著しい欠点がある。(1)複数のレーダーが、時間同期を実行する、すなわち、異なる時間に信号を順番に送信する場合、レーダー間の微調整時間は、2μs~3μsより長く、これは、時間資源を大いに浪費し、レーダーの動作期間を長びかせ、リアルタイム性能に対する高い要件を有するシナリオでは受け入れられない。(2)この解決策は短パルス(10μs~20μs)には適用できず、調整可能な時間範囲は限定される。
【0096】
符号分割多元接続に基づく干渉を解決するさらに別の方法がある。この解決策では、線形周波数変調信号シーケンスが送信され、シーケンス間に符号分割干渉を加えることができる。一般に、良好な要素直交性を有する要素シーケンス、たとえば、アダマール符号またはM系列が選択されうる。エコー信号を処理するプロセスにおいて、各線形周波数変調信号が傾斜解除された後に、高速フーリエ変換(fast Fourier transform、FFT)処理が最初に実行されて、距離次元情報を得ることができる。次いで、送信側で符号を用いることによって位相復調が実行され、復調された信号に対して第2次元のFFT処理が実行されて、ターゲットの速度情報が得られる。このプロセスにおいて、ターゲットが実際のターゲットである場合、復調後の各信号は符号位相情報を含まない。しかしながら、ターゲットが干渉ターゲットである場合、復調後の各信号は位相符号情報を含む。そして、干渉信号をある程度抑制するためにFFT処理を行うことができる。図6は、本願によるシミュレーション・インスタンスの概略図である。この解決策は、干渉信号をある程度(約10dB)抑制するが、干渉および偽警報を完全になくすことはできず、低ノイズを増加させ、サイドローブを上昇さえさせることがわかる。
【0097】
本願は、偽警報ターゲットを決定するための信号検出方法を提案する。これは、正しいターゲットを検出する確率と信頼性を改善し、帯域幅を犠牲にせずに高い距離分解能を実現することができる。
【0098】
以下は、図7を参照して、本願のある実施形態による信号検出方法700を詳細に説明する。
【0099】
図7は、本願のこの実施形態による信号検出方法700を示す。方法700は、ステップ710~ステップ740を含んでいてもよい。
【0100】
ステップ710:第1のレーダーが、第1のフレームの第1の時間期間において第1の探測信号を送信する。
【0101】
本願のこの実施形態における第1のフレームは、複数の探測信号を含んでいてもよく、たとえば、第1の探測信号と第2の探測信号を含んでいてもよい。
【0102】
本願のこの実施形態における第1の探測信号は、複数の線形周波数変調信号を含んでいてもよい。信号のシーケンスの特徴は、信号の周波数が時間がたつにつれて連続的に増加すること、すなわち、周期が短くなることである。図8は、本願のこの実施形態による線形周波数変調信号シーケンスの概略図である。図から、時間が増大するほど、信号の周期が短くなることがわかる。
【0103】
具体的には、図8から、時間期間0~T1の持続時間は時間期間T1~T2の持続時間よりも長く、時間期間T1~T2の持続時間は時間期間T2~T3の持続時間よりも長いことがわかる。言い換えれば、時間が増大するほど、信号の周期は短くなる。
【0104】
図9は、本願のこの実施形態による線形周波数変調信号の概略図である。水平座標は時間を表し、垂直座標は周波数を表す。図から、時間が増大するにつれて周波数が線形に増大することがはっきりとわかる。
【0105】
ステップ720:第1のレーダーが、第1のフレームの第2の時間期間において第2の探測信号を送信する。
【0106】
本願のこの実施形態における第1の探測信号および第2の探測信号は、それぞれ複数の線形周波数変調信号を含むことができる。たとえば、図10の(a)に示されるように、図に示される時間T1内に送信された複数(図に示されるL個)の線形周波数変調信号は、本願のこの実施形態における第1の探測信号を示してもよく、図に示される時間T2内に送信された複数(図に示されるM個)の線形周波数変調信号は、本願のこの実施形態における第2の探測信号を示してもよい。
【0107】
本願のこの実施形態におけるLおよびMは、同じであってもよく、または異なっていてもよい。これは限定されるものではない。
【0108】
たとえば、第1のフレームが128個の線形周波数変調信号を含むと仮定すると、LとMの両方が64であってもよく、またはLおよびMは32および96であってもよい。LとMの両方が64である場合、すなわち時間T1内に64個の線形周波数変調信号が送信され、時間T2内にも64個の線形周波数変調信号が送信される。LおよびMがそれぞれ32および96である場合、すなわち、時間T1内に32個の線形周波数変調信号が送信され、時間T2内に96個の線形周波数変調信号が送信される。
【0109】
前述の値は単に説明のための例であり、代替的には別の値であってもよく、本願に対する特定の限定として解釈されるべきではないことは理解されるべきである。
【0110】
ステップ730:第1のレーダーが、第1の探測信号および第2の探測信号に対応する反射信号を受信する。
【0111】
本願のこの実施形態では、第1のレーダーが第1の探測信号を送信した後、第1の探測信号がターゲット物体を通過した後に反射信号を形成されうる。反射信号は、ある経路に沿って第1のレーダーによって受信されてもよい。第1のレーダーは、反射信号に対する処理を通して、ターゲット物体の距離、速度、または角度などの情報を決定することができる。
【0112】
いくつかの実施形態では、第1のレーダーは、マルチレーダー・ネットワークに属してもよいことに留意されたい。マルチレーダー・ネットワークの動作シナリオにおいて、本願のこの実施形態における反射信号は、複数の反射信号を含んでいてもよく、たとえば、ターゲット物体によって反射された第1のレーダーに対応する上述の反射信号、別の物体によって反射された第1のレーダーに対応する反射信号、ターゲット物体によって反射された前記複数のレーダーにおける別のレーダーに対応する反射信号、および前記別の物体によって反射された前記複数のレーダーにおける前記別のレーダーに対応する反射信号を含んでいてもよい。
【0113】
さらに、第1のレーダーは、別のレーダーによって送信された信号をさらに受信することがある。結果として、反射された信号は、前記別のレーダーによって送信された信号をさらに含む。
【0114】
反射信号は大量の信号を含んでいるので、第1のレーダーがターゲット物体の情報を決定するとき、別の受信信号からの干渉が発生する。よって、第1のレーダーは、受信された反射信号を処理してもよい。詳細については、以下の説明を参照されたい。
【0115】
ステップ740:第1のレーダーは、第1の距離‐速度スペクトルと第2の距離‐速度スペクトルとの差に基づいて偽警報ターゲットを決定する。
【0116】
第2の探測信号は、第1の探測信号に基づいて第1の位相符号変調によって得られる信号である。第1の距離‐速度スペクトルは、第1の探測信号に対応する第1の反射信号に基づいて得られ、第2の距離‐速度スペクトルは、第2の探測信号に対応する第2の反射信号に基づいて得られる。
【0117】
本願のこの実施形態では、第1の探測信号および第2の探測信号に対応する反射信号を受信した後、第1のレーダーは、第1の反射信号および第2の反射信号を別々に処理して、対応する第1の距離‐速度スペクトルおよび対応する第2の距離‐速度スペクトルを得て、2つのスペクトル間のエネルギー差に基づいて偽警報ターゲットを決定し、偽警報ターゲットを除去し、実際のターゲットを識別することができる。
【0118】
本願のこの実施形態では、第1のレーダーは、第1の探測信号に対して第1の位相符号変調を実行して、第2の探測信号を得てもよい。本願のこの実施形態では、第1の探測信号に対して第1の位相符号変調を実行して第2の探測信号を得ることは、第1の探測信号に要素シーケンスを加えて第2の探測信号を得ることを意味してもよいことに留意されたい。たとえば、アダマール符号またはM系列が加えられてもよい。
【0119】
本願のこの実施形態において提供される解決策によれば、第1のレーダーは、受信された反射信号を処理し、処理結果を比較して、偽警報ターゲットを決定し、偽警報ターゲットを除去し、実際のターゲットを識別する。これは、正しいターゲットを検出する確率と信頼性を改善し、帯域幅を犠牲にせずに高い距離分解能を実現することができる。
【0120】
任意的に、いくつかの実施形態では、第1の時間期間は、時系列において第2の時間期間の前であるか、または第1の時間期間は、時系列において第2の時間期間の後である。
【0121】
本願のこの実装において、第1の時間期間および第2の時間期間は、時系列において異なっていてもよい。言い換えれば、第1の時間期間は第2の時間期間より前であってもよいし、または第1の時間期間は第2の時間期間より後であってもよい。これは限定されない。
【0122】
任意的に、いくつかの実施形態では、第1の時間期間および第2の時間期間は、第1のフレームのフレーム長より短いか等しい。
【0123】
本願のこの実施形態では、第1のフレームは、複数の線形周波数変調信号を含むことができる。図10における(a)におけるLとMの両方が64であると仮定する。すなわち、第1の探測信号は64個の線形周波数変調信号を含み、第2の探測信号も第1の位相符号変調によって得られた64の線形周波数変調信号を含む。この場合、第1のフレームは128個の線形周波数変調信号を含む。
【0124】
第1の時間期間および第2の時間期間は、第1のフレームのフレーム長に等しくてもよいし、または第1のフレームのフレーム長より短くてもよいことに留意されたい。上述のように、第1のフレームの持続時間がT1+T2であるとすると、第1の時間期間の持続時間はT1に等しくてもよく、第2の時間期間の持続時間はT2に等しくてもよい;または、第1の時間期間の持続時間はT1より短くてもよく、第2の時間期間の持続時間はT2より短くてもよい。これは、本願において特に限定されない。
【0125】
本願の解決策をより明確に理解するのを助けるために、以下では、まず、図11を参照してレーダーの動作原理を説明する。図11は、本願のある実施形態によるレーダーの動作原理の概略図である。周波数変調装置1110、発振器1120、位相変調器1130、送信アンテナ1140、受信アンテナ1150、周波数混合器1160、アナログ/デジタル変換器1170、および評価ユニット1180が、図に含まれてもよい。
【0126】
発振器1120は、探測信号を生成することができる。周波数変調装置1110は、発振器1120によって生成される探測信号を調整することができ、たとえば、周波数f1をもつ信号を周波数f2をもつ信号に調整して、所要の周波数信号を得ることができる。いくつかの実施形態では、位相変調器1130は、周波数変調装置1110によって変調された探測信号に対して位相調整を行ってもよい。位相変調器1130によって変調された信号は送信アンテナ1140によって送信され、信号がターゲット物体によって反射された後、信号の反射波が受信アンテナ1150によって受信されてもよい。周波数混合器1160は、受信アンテナ1150によって受信された受信信号と、発振器1120によって送信され、周波数変調装置1110によって変調される信号との周波数混合を行い、中間周波数信号を生成することができる。アナログ/デジタル変換器1170は、中間周波数信号に対してサンプリングおよびデジタル化処理を実行することができ、評価ユニット1180は、処理された信号を評価および予測することができる。
【0127】
上述したように、第1のレーダーは、第1の探測信号および第2の探測信号に対応する反射信号を受信し、反射信号は、第2のレーダーによって送信される探測信号と、探測信号が物体によって反射された後に得られる信号とを含んでいてもよい。この場合、異なる時間期間において第1のレーダーと第2のレーダーによって送信される探測信号は、同じであっても、異なっていてもよい。これについては、以下に詳述する。
【0128】
任意的に、いくつかの実施形態では、第1の探測信号は、第1の時間期間における第2のレーダーによって送信される探測信号と同じである。第2の探測信号は、第2の時間期間において第2のレーダーによって送信される探測信号とは異なる。第2の時間期間において第2のレーダーによって送信される探測信号は、第1の時間期間において第2のレーダーによって送信される探測信号に対して第2の位相符号変調を行うことによって得られる。
【0129】
任意的に、いくつかの実施形態では、複数の第2のレーダーが存在する。
【0130】
本願のこの実施形態では、第2のレーダーは、第1の時間期間において送信された探測信号に対して第2の位相符号変調を実行して、第2の時間期間において送信される探測信号を得てもよい。本願のこの実施形態では、第1の時間期間において送信された探測信号に対して第2の位相符号変調を実行して第2の時間期間において送信される探測信号を得ることは、第1の時間期間において送信された探測信号に要素シーケンスを加えて第2の時間期間において送信される探測信号を得ることを意味してもよいことに留意されたい。たとえば、アダマール符号またはM系列が加えられてもよい。
【0131】
たとえば、図10の(b)は、複数のレーダーによって送信される時間‐周波数波形の分布の概略図である。4つのレーダー(レーダー110、レーダー120、レーダー130、およびレーダー140)が存在するとする。レーダー110は、本願における第1のレーダーであり、レーダー120ないしレーダー140は、本願における第2のレーダーである。加えて、時間T1(これは本願における第1の時間期間として理解されうる)内の4つのレーダーのそれぞれによって送信される探測信号は同じであり、時間T2(これは本願における第2の時間期間として理解されうる)内の4つのレーダーのそれぞれによって送信される探測信号は互いに異なる。
【0132】
さらに、本願のこの実施形態では、時間T1内に送信された探測信号に対して位相符号変調を実行することによって、時間T2内に4つのレーダーのそれぞれによって送信される探測信号が得られる。
【0133】
具体的には、レーダー110によって送信された第2の探測信号は、時間T1内にレーダー110によって送信された第1の探測信号に対して第1の位相符号変調を実行することによって得られる。時間T2内にレーダー120によって送信される探測信号は、時間T1内にレーダー120によって送信される探測信号に対して第2の位相符号変調を実行することによって得られる。同様に、時間T2内にレーダー130によって送信される探測信号は、時間T1内にレーダー130によって送信された探測信号に対して第2の位相符号変調を実行することによって得られる。時間T2内にレーダー140によって送信される探測信号は、時間T1内にレーダー140によって送信された探測信号に対して第2の位相符号変調を実行することによって得られる。
【0134】
任意的に、いくつかの実施形態では、本方法はさらに:第1のレーダーが、第1の時間期間および第2の時間期間において第2のレーダーによって送信された探測信号に対応する反射信号を受信することをさらに含む。
【0135】
本願のこの実施形態では、上述したように、第1の探測信号と第2の探測信号の対応する反射信号を受信すると、第1のレーダーは、第1の時間期間および第2の時間期間において第2のレーダーによって送信される探測信号の反射信号も受信することがある。
【0136】
なお、第1のレーダーは、受信した反射信号にどの信号が含まれているかを知らないことがある。結果として、決定されたターゲットは偽警報ターゲットである。よって、第1のレーダーは、受信した反射信号を処理し、処理結果に基づいて偽警報ターゲットを決定し、偽警報ターゲットを除去し、正しいターゲットを識別する必要がある。
【0137】
上述したように、第1のレーダーによって送信された探測信号に対応する反射信号を受信することに加えて、第1のレーダーは、第2のレーダーによって送信された探測信号と、第2のレーダーによって送信された探測信号に対応する反射信号とを受信することがある。これに基づいて、第1のレーダーが受信した反射信号を処理した後に得られる距離‐速度スペクトルは、異なることがある。
【0138】
任意的に、いくつかの実施形態では、第1の距離‐速度スペクトルは、第1の探測信号に対応する第1の反射信号と、第1の時間期間において少なくとも1つの第2のレーダーによって送信される探測信号に対応する反射信号とに基づいて得られる。第2の距離‐速度スペクトルは、第2の探測信号に対応する第2の反射信号と、第2の時間期間において前記少なくとも1つの第2のレーダーによって送信される探測信号に対応する反射信号とに基づいて得られる。
【0139】
本願のこの実施形態では、第1のレーダーが、第1の探測信号および第2の探測信号に対応する反射信号を受信するプロセスにおいて、第2のレーダーによって送信された探測信号の反射信号をさらに受信する場合、第1のレーダーは、第1の探測信号に対応する反射信号および第1の時間期間において第2のレーダーによって送信された探測信号に対応する反射信号に基づいて、第1の距離‐速度スペクトルを決定することができる。同様に、第1のレーダーは、第2の探測信号に対応する反射信号と、第2の時間期間において第2のレーダーによって送信される探測信号に対応する反射信号とに基づいて第2の距離‐速度スペクトルを決定することができる。
【0140】
上述したように、第1のレーダーによって送信される第2の探測信号は、第1の探測信号に基づく第1の位相符号変調を通じて得られ、第2の時間期間において第2のレーダーによって送信される探測信号は、第1の時間期間において第2のレーダーによって送信される探測信号に対して第2の位相符号変調を行うことによって得られる。第2の時間期間において第1のレーダーによって送信される第2の探測信号と、第2の時間期間において第2のレーダーによって送信される探測信号とは、特定の関係を満たしてもよい。詳細については、以下の説明を参照されたい。
【0141】
任意的に、いくつかの実施形態では、第2の探測信号および第2の時間期間において第2のレーダーによって送信される探測信号は、相互に直交または準直交の位相符号変調信号である。
【0142】
本願のこの実施形態では、第2の時間期間において第1のレーダーによって送信される第2の探測信号と、第2の時間期間において第2のレーダーによって送信される探測信号とは、対ごとに直交または準直交であってもよい。図10(b)に示されるように、レーダー110によって送信される第2の探測信号は、第2の時間期間においてレーダー120、レーダー130およびレーダー140によって送信される探測信号に対して直交または準直交であり、第2の時間期間においてレーダー120によって送信される探測信号は、第2の時間期間においてレーダー130およびレーダー140によって送信される探測信号に対して直交または準直交であり、第2の時間期間においてレーダー130によって送信される探測信号は、第2の時間期間においてレーダー140によって送信される探測信号に対して直交または準直交である。
【0143】
上述したように、第2の探測信号は、第1の探測信号に基づく第1の位相符号変調によって得られ、第2の時間期間において第2のレーダーによって送信される探測信号は、第1の時間期間において第2のレーダーによって送信された探測信号に基づく第2の位相符号変調を通じて得られる。しかしながら、本願のこの実施形態における位相符号変調は、第1の探測信号または第1の時間期間において第2のレーダーによって送信される探測信号に要素シーケンスを加えることとして理解されてもよい。
【0144】
よって、ある実施形態では、第2の探測信号および第2の時間期間において第2のレーダーによって送信される探測信号が、相互に直交または準直交の位相符号変調信号であることは、第1の時間期間において第1のレーダーおよび第2のレーダーによって送信される探測信号に加えられる要素シーケンスが相互に直交または準直交であることとして理解されうる。
【0145】
具体的には、図10の(b)に示されるように、レーダー110によって加えられた要素シーケンスは、レーダー120、レーダー130およびレーダー140によって加えられる要素シーケンスに直交または準直交であり;レーダー120によって加えられる要素シーケンスは、レーダー130およびレーダー140によって加えられる要素シーケンスに直交または準直交であり;レーダー130によって加えられる要素シーケンスは、レーダー140によって加えられる要素シーケンスに直交または準直交である。
【0146】
第2の時間期間において送信される探測信号については、第2の時間期間においてレーダーによって送信される信号に加えられる要素シーケンスが対ごとに直交するため、第2の時間期間においてレーダーによって送信される探測信号は対ごとに直交することが理解されうる。よって、各レーダーは、レーダーによって送信される送信信号に対応するターゲットによって反射された反射信号に関連しうるが、別のレーダーによって送信された送信信号に対応する、ターゲットによって反射された反射信号には無関係であるか、または弱く関連しうる。
【0147】
具体的には、説明のための例としてレーダー110を使用する。レーダー110は、第2の時間期間において第2の探測信号を送信する。第2の探測信号がターゲットによって反射された後、第2の探測信号の反射信号がレーダー110に入る。レーダー110は、受信信号に対して関連する処理を行った後、ターゲット情報を得ることができる。しかしながら、別のレーダーによって送信された信号の、物体によって反射された反射信号が第1のレーダーに入る場合、たとえば、レーダー120によって送信された探測信号の、ターゲット物体によって反射された反射信号がレーダー110に入る。第2の時間期間においてレーダー120によって送信された探測信号は、第2の時間期間においてレーダー110によって送信される第2の探測信号に直交するため、レーダー110は、レーダー120によって送信された探測信号の、ターゲット物体によって反射された受信反射信号に対して関連する処理を行った後、ターゲット情報を得ることができない。
【0148】
第1の時間期間においてレーダー110によって送信された第1の探測信号については、第1の時間期間においてレーダー110によって送信された第1の探測信号の、ターゲット物体によって反射された反射信号がレーダー110に入る。受信信号に対して関連する処理を行った後、レーダー110は、ターゲット情報を得ることができる。前記別のレーダーによって送信された信号の、物体によって反射された反射信号がレーダー110に入る場合、たとえば、レーダー120によって送信された信号の、ターゲット物体によって反射された反射信号がレーダー110に入る場合、第1の時間期間においてレーダー120によって送信された探測信号は、第1の時間期間においてレーダー110によって送信された第1の探測信号と同じであるため、レーダー110は、レーダー120によって送信された信号の、ターゲット物体によって反射された受信反射信号に対して関連する処理を行った後、やはりターゲット情報を得ることができる。
【0149】
前述のプロセスに基づいて、レーダー110は、受信された反射信号を比較のために処理する。第1の反射信号に対応するターゲット・エネルギーが第2の反射信号に対応するターゲット・エネルギーと整合する場合、ターゲットは実際のターゲットである。第1の反射信号に対応するターゲット・エネルギーが、第2の反射信号に対応するターゲット・エネルギーと整合しない場合、たとえば、第1の反射信号に対応するターゲット・エネルギーと第2の反射信号に対応するターゲット・エネルギーとの間のエネルギー差が第1の閾値より大きい場合、ターゲットは、偽警報ターゲットとみなされてもよい。
【0150】
本願のこの実施形態において提供される解決策によれば、第2の時間期間において異なるレーダーによって送信される探測信号は、相互に直交または準直交の位相符号変調信号であるため、これは、マルチレーダー・ネットワークにおける干渉を効果的に解決し、偽警報ターゲットを判別し、さらに、正しいターゲットを検出する確率および信頼性を向上させることができる。
【0151】
上述のように、反射信号を受信した後、第1のレーダーは、第1の距離‐速度スペクトルと第2の距離‐速度スペクトルとの差に基づいて、偽警報ターゲットを決定することができる。第1の距離‐速度スペクトルおよび第2の距離‐速度スペクトルの取得は、以下に詳細に説明される。
【0152】
任意的に、いくつかの実施形態では、図12に示されるように、第1のレーダーが第1の距離‐速度スペクトルおよび第2の距離‐速度スペクトルに基づいて偽警報ターゲットを決定する前に、本方法は、ステップ1210a~1230aをさらに含んでいてもよい。
【0153】
ステップ1210a:第1のレーダーは、第2の反射信号に対して第1次元のフーリエ変換処理を実行する。
【0154】
ステップ1220a:第1のレーダーは、第2の探測信号の符号位相に基づいて、第1次元のフーリエ変換処理を通じて得られた第2の反射信号に対して位相符号復調を実行する。
【0155】
ステップ1230a:第1のレーダーは、位相符号復調を通じて得られた第2の反射信号に対して第2次元のフーリエ変換処理を実行して、第2の距離‐速度スペクトルを得る。
【0156】
本願の本実施形態では、第1のレーダーによって送信される第2の探測信号は、第1の探測信号に基づいて第1の位相符号変調によって得られる信号であるため、反射信号を受信し、反射信号に含まれる第2の反射信号に対して第1次元のFFT処理を実行した後、第1のレーダーは、第2の探測信号の符号位相に基づいて、第1次元のFFT処理を通じて得られる第2の反射信号に対して位相符号復調を実行し、その後、位相符号復調を通じて得られる第2の反射信号に対して第2次元のFFT処理を実行して、本願のこの実施形態における第2の距離‐速度スペクトルを得ることができる。
【0157】
位相符号変調が第1の探測信号に対して実行される場合、第2の探測信号を得るために要素シーケンスが加えられると想定されうることが理解されうる。その後、第1のレーダーが受信された第2の反射信号を復調するとき、第2の探測信号が第2の反射信号に関連する可能性があるため、ターゲット情報を取得することができる。
【0158】
なお、上述したように、第1のレーダーが、第2の時間期間において前記少なくとも1つの第2のレーダーによって送信された探測信号に対応する反射信号をさらに受信する場合、第2の距離‐速度スペクトルは、第2の探測信号に対応する第2の反射信号と、第2の時間期間において前記少なくとも1つの第2のレーダーによって送信された探測信号とに対応する反射信号とに基づいて得ることができる。
【0159】
具体的には、ステップ1210aは、「第1のレーダーは、第2の反射信号および第2の時間期間において前記少なくとも1つの第2のレーダーによって送信された探測信号に対応する反射信号に対して第1次元のフーリエ変換処理を実行する」で置き換えることができる。
【0160】
ステップ1220aは、「第1のレーダーが、第2の探測信号の符号位相に基づいて、第1次元のフーリエ変換処理によって得られる、第2の反射信号と、第2の時間期間において前記少なくとも1つの第2のレーダーによって送信された探測信号に対応する反射信号とに対して位相符号復調を実行する」と置き換えられてもよい。
【0161】
ステップ1230aは、「第1のレーダーは、位相符号復調を通じて得られる、第2の反射信号と、第2の時間期間において前記少なくとも1つの第2のレーダーによって送信された探測信号に対応する反射信号とに対して第2の次元のフーリエ変換処理を実行して、第2の距離‐速度スペクトルを得る」と置き換えられてもよい。
【0162】
任意的に、いくつかの実施形態では、図12に示されるように、第1の探測信号が位相符号変調が実行されない信号である場合、第1のレーダーが、第1の距離‐速度スペクトルと第2の距離‐速度スペクトルとの差に基づいて偽警報ターゲットを決定する前に、本方法は、ステップ1210bおよび1230bをさらに含んでいてもよい。
【0163】
ステップ1210b:第1のレーダーは、第1の反射信号に対して第1次元のフーリエ変換処理を実行する。
【0164】
ステップ1230b:第1のレーダーは、第1次元のフーリエ変換処理を通じて得られた第1の反射信号に対して第2次元のフーリエ変換処理を実行して、第1の距離‐速度スペクトルを得る。
【0165】
本願のこの実施形態では、第1のレーダーによって送信される第1の探測信号は、符号変調が実行されない信号であるため、反射信号を受信した後、第1のレーダーは、第1の反射信号に対して第1次元のFFT処理を実行し、第1の反射信号に対して第2次元のFFT処理を実行して、本願のこの実施形態における第1の距離‐速度スペクトルを得る。
【0166】
同様に、第1のレーダーが、第1の時間期間において前記少なくとも1つの第2のレーダーによって送信された探測信号に対応する反射信号をさらに受信した場合、第1の距離‐速度スペクトルは、第1の探測信号に対応する第1の反射信号と、第1の時間期間において前記少なくとも1つの第2のレーダーによって送信された探測信号に対応する反射信号とに基づいて得られてもよい。
【0167】
具体的には、ステップ1210bは、「第1のレーダーは、第1の反射信号および第1の時間期間において前記少なくとも1つの第2のレーダーによって送信された探測信号に対応する反射信号とに対して第1次元のフーリエ変換処理を実行してもよい」と置き換えられてもよい。
【0168】
ステップ1230bは、「第1のレーダーは、第1次元のフーリエ変換処理を通じて得られる、第1の反射信号と、第1の時間期間において前記少なくとも1つの第2のレーダーによって送信される探測信号に対応する反射信号とに対して第2次元のフーリエ変換処理を実行して、第1の距離‐速度スペクトルを得る」と置き換えられてもよい。
【0169】
いくつかの実施形態では、同じ位相符号変調が、第1のレーダーによって送信される第1の探測信号と、第1の時間期間において第2のレーダーによって送信される探測信号とに対して実行されてもよい。この場合、第2次元のFFT変換処理は、受信した反射信号に対して位相符号復調が実行された後に、受信した反射信号に対して実行されてもよい。詳細については、以下の説明を参照されたい。
【0170】
任意的に、いくつかの実施形態では、第1の探測信号および第1の時間期間において第2のレーダーによって送信される探測信号が、同じ位相符号変調が実行される信号である場合、第1のレーダーが、第1の距離‐速度スペクトルと第2の距離‐速度スペクトルとの差に基づいて偽警報ターゲットを決定する前に、本方法は、ステップ1210b~1230bをさらに含んでいてもよい。
【0171】
ステップ1210b:第1のレーダーが、第1の反射信号に対して第1次元のフーリエ変換処理を実行する。
【0172】
ステップ1220b:第1のレーダーが、第1の探測信号の符号位相に基づいて、第1次元のフーリエ変換処理を通じて得られた第1の反射信号に対する位相符号復調を実行する。
【0173】
ステップ1230b:第1のレーダーが、位相符号復調を通じて得られた第1の反射信号に対して第2次元のフーリエ変換処理を実行して、第1の距離‐速度スペクトルを得る。
【0174】
本願のこの実施形態では、第1のレーダーによって送信される第1の探測信号は、符号変調が実行される信号であるため、反射信号を受信した後、第1のレーダーは、第1の反射信号に対して第1次元のFFT処理を実行し、第1の探測信号の符号位相に基づいて、第1次元のFFT処理を通じて得られた第1の反射信号に対して位相符号復調を実行し、最後に第1の反射信号に対して第2次元のFFT処理を実行して、本願のこの実施形態における第1の距離‐速度スペクトルを得ることができる。
【0175】
位相符号変調は、第1のレーダーによって送信された第1の探測信号に対して実行されるので、受信された第1の反射信号がその後処理されるとき、位相符号復調は、第1次元のFFT処理を通じて得られた第1の反射信号に対しても実行されてもよく、次いで、第2次元のFFT処理は、第1の距離‐速度スペクトルを得るために、復調された信号に対して実行されてもよいことが理解されうる。
【0176】
位相符号変調は、第1のレーダーによって送信される第1の探測信号に対して実行されるが、第1の時間期間において第1のレーダーによって送信される第1の探測信号に対して実行されるものと同じ位相符号変調が第1の時間期間において第2のレーダーによって送信される探測信号に対して実行されるので、第1のレーダーによって受信される反射信号が、物体によって反射された第2のレーダーに対応する反射信号を含む場合であっても、反射信号に対して関連する処理が行われる場合には、ターゲット情報(ターゲットは偽警報ターゲットでありうる)を取得することができることがさらに理解されうる。
【0177】
同様に、第1のレーダーが、第1の時間期間において前記少なくとも1つの第2のレーダーによって送信された探測信号に対応する反射信号をさらに受信した場合、第1の距離‐速度スペクトルは、第1の反射信号と、第1の時間期間において前記少なくとも1つの第2のレーダーによって送信された探測信号に対応する反射信号とに基づいて得られてもよい。
【0178】
具体的なステップについては、前述のステップ1210b~1230bを参照されたい。違いは、異なる処理対象信号にある。簡潔のため、詳細は、本明細書には再度記載されない。
【0179】
任意的に、いくつかの実施形態では、図12に示されるように、第1のレーダーが、第1の距離‐速度スペクトルと第2の距離‐速度スペクトルとの差に基づいて偽警報ターゲットを決定することは、ステップ1240を含むことができる。
【0180】
ステップ1240:第1のレーダーは、偽警報ターゲットとして第1のターゲットを決定する。ここで、第1の距離‐速度スペクトル上での第1のターゲットのエネルギー値と第2の距離‐速度スペクトル上での第1のターゲットのエネルギー値との差は、第1の閾値以上である。
【0181】
本願のこの実施形態における第1の閾値は、工場設定に基づいて設定されてもよく、または要件に基づいて調整されてもよい。これは限定されない。
【0182】
本願のこの実施形態では、第1の距離‐速度スペクトルおよび第2の距離‐速度スペクトルが得られた後、2つの距離‐速度スペクトルのエネルギー差に基づいて偽警報ターゲットが決定されてもよく、偽警報ターゲットが除去され、実際のターゲットが識別される。たとえば、図13に示されるように、受信された第1の反射信号に対して関連する処理を実行した後、第1のレーダーは、2つのターゲット、すなわちターゲット1およびターゲット2を検出しうることが、図13からわかる。
【0183】
第1の距離‐速度スペクトル上でのターゲット1の速度および距離の座標情報は[x1,y1]=(-14.9,29.7)であり、ターゲット1に対応するエネルギー値1は142.9であってもよい。第1の距離‐速度スペクトル上でのターゲット2の速度および距離の座標情報は[x2,y2]=(30.4,19.5)であり、ターゲット2に対応するエネルギー値2は154.1であってもよい。すなわち、第1の反射信号を処理することによって得られた結果に基づき、第1のレーダーから29.7m離れた位置に-14.9m/sの速度をもつ物体があり、その物体に対応するエネルギー値は142.9であり、第1のレーダーから19.5m離れた位置に30.4m/sの速度をもつ物体があり、その物体に対応するエネルギーは154.1である。
【0184】
図14からわかるように、受信した第2の反射信号に対して関連する処理を実行した後、第1のレーダーは、ターゲット1およびターゲット2の2つのターゲットを検出することがありうる。第2の距離‐速度スペクトル上でのターゲット1の速度および距離の座標情報は、[x1,y1]=(-14.9,29.7)であり、ターゲット1に対応するエネルギー値1は、135.1であってもよい。第2の距離‐速度スペクトル上でのターゲット2の速度および距離の座標情報は、[x2,y2]=(30.4,19.5)であり、ターゲット2に対応するエネルギー値2は、154.1であってもよい。すなわち、第2の反射信号を処理することによって得られた結果に基づき、第1のレーダーから29.7m離れた位置に-14.9m/sの速度をもつ物体があり、その物体に対応するエネルギー値は135.1であり、第1のレーダーから19.5m離れた位置に30.4m/sの速度をもつ物体があり、その物体に対応するエネルギーは154.1である。
【0185】
図13図14と比較する。ターゲット1のエネルギー値の間には差があり、ターゲット2のエネルギー値の間には差がないことがわかる。本願のこの実施形態における第1の閾値が2に設定されている場合、ターゲット1は偽警報ターゲットであり、ターゲット2は実際のターゲットである。よって、図15に示されるように、ターゲット1は除去されてもよく、ターゲット2が保持される。
【0186】
前述の値は単に説明のための例であり、代替的には別の値であってもよく、本願に対する特定の限定として解釈されるべきではないことは理解されるべきである。
【0187】
本願のこの実施形態において提供される解決策によれば、第1の反射信号と第2の反射信号の距離‐速度スペクトルの間のエネルギー差に基づいて、これはマルチレーダー・ネットワーク間の干渉を解決し、偽警報ターゲットを決定し、実際のターゲットを同定し、さらに、正しいターゲットを検出する確率および信頼性を向上させることができる。
【0188】
本願のこの実施形態では、エラーの存在のために、第1の距離‐速度スペクトル上でのターゲットのエネルギー値と第2の距離‐速度スペクトル上でのターゲットのエネルギー値との差が第1の閾値よりも小さい場合に、ターゲットは実際のターゲットとみなされてもよい。たとえば、第1の閾値が1であり、第1の距離‐速度スペクトル上でのターゲットのエネルギー値と第2の距離‐速度スペクトル上でのターゲットのエネルギー値との差が0.5である場合、ターゲットは実際のターゲットとみなされてもよい。
【0189】
任意的に、いくつかの実施形態では、図16に示されるように、方法700は、ステップ750をさらに含んでいてもよい。
【0190】
ステップ750:第1の探測信号と第1の時間期間において第2のレーダーによって送信される探測信号とに対する同期を実行し、第1の探測信号の送信開始時間と第2のレーダーによって送信される探測信号の送信開始時間との差が第2の閾値以下となるようにする。
【0191】
本願のこの実施形態における第2の閾値は、工場設定に基づいて設定されてもよく、または要件に基づいて調整されてもよい。これは限定されない。
【0192】
本願のこの実施形態では、第1のレーダーが第1の探測信号を送信し、第2のレーダーが第1の時間期間において送信される探測信号を送信する前に、第1の探測信号と第1の時間期間において第2のレーダーによって送信される探測信号とが同期されてもよい。
【0193】
本願のこの実施形態では、第1の探測信号と、第1の時間期間において第2のレーダーによって送信される探測信号とに対して同期を実行することは、第1のレーダーと第2のレーダーが同じ瞬間に探測信号を送信すること、すなわち、第1のレーダーと第2のレーダーが同じ瞬間に探測信号を別々に送信することを意味してもよく;または、第1のレーダーと第2のレーダーが第2の閾値の間隔で探測信号を送信することを意味してもよい。第2の閾値は1msであり、第1のレーダーは第1の探測信号を第1の瞬間に送信し、第2のレーダーは第1の瞬間後1ms以内に探測信号を送信しうると想定する。
【0194】
第1の探測信号と、第1の時間期間において第2のレーダーによって送信される探測信号との同期は、第1のレーダーによって実行されてもよく、または追加的な同期装置によって実行されてもよいことに留意されたい。これは限定されない。
【0195】
追加的な同期装置によって同期が実行される場合には、同期装置は、正確な時間情報を取得することができ、第1の時間期間において複数のレーダーによって送信された探測信号は、時間情報に基づいて同期されてもよく、それにより、第1の時間期間の開始時点において前記複数のレーダーによって送信された信号の波形は、時間差をもたないか、または、時間差が第2の閾値以下である。
【0196】
本願のこの実施形態において提供される解決策によれば、第1のレーダーによって送信される第1の探測信号と、第1の時間期間において第2のレーダーによって送信される探測信号とが同期される。これは、正しいターゲットを検出する確率および信頼性をさらに改善することができる。
【0197】
任意的に、いくつかの実施形態では、第1の探測信号と第2の探測信号との間の保護期間は、第3の閾値以上である。
【0198】
本願のこの実施形態における第3の閾値は、工場設定に基づいて設定されてもよく、または要件に基づいて調整されてもよい。これは限定されない。
【0199】
本願のこの実施形態では、図10の(b)に示されるように、図に示される保護区間は、本願のこの実施形態における保護期間であってもよく、保護期間は、第3の閾値以上であってもよい。
【0200】
具体的には、図10の(b)における複数のレーダーは、異なる瞬間に探測信号を送信するものとする。たとえば、レーダー110は、第1の瞬間に第1の探測信号を送信し、レーダー120、レーダー130、およびレーダー140は、それぞれ、第1の瞬間から1秒以内に探測信号を送信する。この場合、期間T1における最終瞬間において、レーダー110によって最終的に送信された信号は、レーダー120、レーダー130、およびレーダー140によって最終的に送信された信号と同時には送信されない。レーダー110、レーダー120、レーダー130、およびレーダー140が、時間期間T2の開始時点において探測信号を同期的に送信できるようにするために、時間期間T1と時間期間T2との間に保護期間が設定されてもよい。これは、時間期間T2の開始時点において4つのレーダーによって送信された探測信号が同期されことを保証でき、正しいターゲットを検出する確率および信頼性をさらに向上させる。
【0201】
本願のこの実施形態において提供される解決策では、第1の探測信号と第2の探測信号との間の保護期間が第3の閾値以上であるため、これは、正しいターゲットを検出する確率および信頼性をさらに改善することができる。
【0202】
任意的に、いくつかの実装では、第1の時間期間の持続時間および第2の時間期間の持続時間は、同じであるかまたは異なる。
【0203】
本願のこの実施形態では、第1の時間期間の持続時間および第2の時間期間の持続時間は、同じであってもよく、または異なっていてもよい。
【0204】
第1の時間期間の持続時間および第2の時間期間の持続時間が同じであるか異なるかは、本願のこの実施形態に適用できることが理解されうる。本願のこの実施形態における距離‐速度スペクトルは、反射信号および対応する探測信号に基づいて得られる。たとえば、第1の探測信号と第1の反射信号に基づいて第1の距離‐速度スペクトルが得られ、第2の距離‐速度スペクトルは第2の探測信号と第2の反射信号に基づいて得られ、第1の探測信号は第1の時間期間において第1のレーダーによって送信される探測信号であり、第2の探測信号は第2の時間期間において第1のレーダーによって送信される探測信号である。したがって、第1の時間期間の持続時間と第2の時間期間の持続時間が同じであるかどうかは、本願に適用されうる。これは、本願において特に限定されない。
【0205】
上記は、図1から図16を参照して、本願の方法実施形態を詳細に説明している。以下は、図17から図20を参照して、本願の装置の実施形態を説明する。装置実施形態は、方法実施形態に対応する。したがって、詳細に説明されていない部分については、方法実施形態を参照されたい。
【0206】
図17は、本願のある実施形態による信号検出装置1700を示す。装置1700は、送信ユニット1710、受信ユニット1720、および処理ユニット1730を含んでいてもよい。
【0207】
送信ユニット1710は、第1のフレームの第1の時間期間において第1の探測信号を送信し、第1のフレームの第2の時間期間において第2の探測信号を送信するように構成される。
【0208】
受信ユニット1720は、第1の探測信号および第2の探測信号に対応する反射信号を受信するように構成される。
【0209】
処理ユニット1730は、第1の距離‐速度スペクトルと第2の距離‐速度スペクトルとの差に基づいて偽警報ターゲットを決定するように構成される。
【0210】
第2の探測信号は、第1の探測信号に基づいて第1の位相符号変調を通じて得られる信号である。第1の距離‐速度スペクトルは第1の探測信号に対応する第1の反射信号に基づいて得られ、第2の距離‐速度スペクトルは第2の探測信号に対応する第2の反射信号に基づいて得られる。
【0211】
送信ユニット1710および受信ユニット1720は、それぞれ図11における送信アンテナ1140および受信アンテナ1150であってもよい。処理ユニット1730は、図11における周波数混合器1160、アナログ/デジタル変換器1170および評価ユニット1180を含んでいてもよい。
【0212】
任意的に、いくつかの実施形態では、第1の時間期間は、時系列において第2の時間期間より前である、または第1の時間期間は、時系列において第2の時間期間より後である。
【0213】
任意的に、いくつかの実施形態では、第1の時間期間および第2の時間期間は、第1のフレームのフレーム長より短いか等しい。
【0214】
任意的に、いくつかの実施形態では、第1の探測信号は、第1の時間期間において第2のレーダーによって送信される探測信号と同じである。第2の探測信号は、第2の時間期間において第2のレーダーによって送信される探測信号とは異なる。第2の時間期間において第2のレーダーによって送信された探測信号は、第1の時間期間において第2のレーダーによって送信された探測信号に対して第2の位相符号変調を実行することによって得られる。
【0215】
任意的に、いくつかの実施形態では、受信ユニット1720は、さらに、第1の時間期間および第2の時間期間において第2のレーダーによって送信される探測信号に対応する反射信号を受信するように構成される。
【0216】
任意的に、いくつかの実施形態では、複数の第2のレーダーがある。
【0217】
任意的に、いくつかの実施形態では、第1の距離‐速度スペクトルは、第1の探測信号に対応する第1の反射信号と、第1の時間期間において少なくとも1つの第2のレーダーによって送信される探測信号に対応する反射信号とに基づいて得られる。第2の距離‐速度スペクトルは、第2の探測信号に対応する第2の反射信号と、第2の時間期間において少なくとも1つの第2のレーダーによって送信される探測信号に対応する反射信号とに基づいて得られる。
【0218】
任意的に、いくつかの実施形態では、第2の探測信号および第2の時間期間において第2のレーダーによって送信される探測信号は、相互に直交または準直交の位相符号変調信号である。
【0219】
任意的に、いくつかの実施形態では、第1の距離‐速度スペクトルと第2の距離‐速度スペクトルとの差に基づいて偽警報ターゲットを決定する前に、処理ユニット1730はさらに:第2の反射信号に対して第1次元のフーリエ変換処理を実行し;第2の探測信号の符号位相に基づいて、第1次元のフーリエ変換処理を通じて得られた第2の反射信号に対して位相符号復調を実行し;位相符号復調を通して得られた第2の反射信号に対して第2次元のフーリエ変換処理を実行して、第2の距離‐速度スペクトルを得るように構成される。
【0220】
任意的に、いくつかの実施形態では、第1の探測信号が位相符号変調が行われない信号である場合、第1の距離‐速度スペクトルと第2の距離‐速度スペクトルとの差に基づいて偽警報ターゲットを決定する前に、処理ユニット1730はさらに:第1の反射信号に対して第1次元のフーリエ変換処理を実行し;第1次元のフーリエ変換処理を通じて得られた第1の反射信号に対して第2次元のフーリエ変換処理を実行して、第1の距離‐速度スペクトルを得るように構成される。
【0221】
任意的に、いくつかの実施形態では、第1の探測信号および第1の時間期間において第2のレーダーによって送信される探測信号が、同じ位相符号変調が実行される信号である場合、第1の距離‐速度スペクトルと第2の距離‐速度スペクトルとの差に基づいて偽警報ターゲットを決定する前に、処理ユニット1730はさらに:第1の反射信号に対して第1次元のフーリエ変換処理を実行し;第1の探測信号の符号位相に基づいて、第1次元のフーリエ変換処理を通じて得られた第1の反射信号に対して位相符号復調を実行し;位相符号復調を通して得られた第1の反射信号に対して第2次元のフーリエ変換処理を実行して、第1の距離‐速度スペクトルを得るように構成される。
【0222】
任意的に、いくつかの実施形態では、処理ユニット1730は:第1のターゲットを偽警報ターゲットとして決定するように構成され、第1の距離‐速度スペクトル上の第1のターゲットのエネルギー値と第2の距離‐速度スペクトル上の第1のターゲットのエネルギー値との間の差は、第1の閾値以上である。
【0223】
任意的に、いくつかの実施形態では、処理ユニット1730はさらに:第1の探測信号と、第1の時間期間において第2のレーダーによって送信される探測信号とに対して同期を実行して、第1の探測信号の送信開始時刻と、第2のレーダーによって送信される探測信号の送信開始時刻との差が第2の閾値以下になるようにするように構成される。
【0224】
任意的に、いくつかの実施形態では、第1の探測信号と第2の探測信号との間の保護期間は、第3の閾値以上である。
【0225】
任意的に、いくつかの実施形態では、第1の時間期間の持続時間および第2の時間期間の持続時間は、同じであるか、または異なる。
【0226】
本願のある実施形態は、レーダー・システム1800をさらに提供する。図18に示されるように、レーダー・システム1800は、第1のレーダー1810および第2のレーダー1820を含んでいてもよい。
【0227】
第1のレーダー1810は:第1のフレームの第1の時間期間において第1の探測信号を送信し;前記第1のフレームの第2の時間期間において第2の探測信号を送信し;反射信号であって、該反射信号は第1の探測信号および第2の探測信号に対応する反射信号を含む、反射信号を受信し、第1の時間期間および第2の時間期間において第2のレーダー1820によって送信される探測信号に対応する反射信号を受信し;第1の距離‐速度スペクトルと第2の距離‐速度スペクトルとの差に基づいて偽警報ターゲットを決定するように構成される。第2の探測信号は、第1の探測信号に基づいて第1の位相符号変調を通じて得られる信号である。第1の距離‐速度スペクトルは、第1の探測信号に対応する第1の反射信号と、第1の時間期間において第2のレーダーによって送信される探測信号に対応する反射信号とに基づいて得られ、第2の距離‐速度スペクトルは第2の探測信号に対応する第2の反射信号と、第2の時間期間において第2のレーダー1820によって送信される探測信号に対応する反射信号とに基づいて得られる。
【0228】
任意的に、いくつかの実施形態では、第1の時間期間は、時系列において第2の時間期間の前であるか、または第1の時間期間は、時系列において第2の時間期間の後である。
【0229】
任意的に、いくつかの実施形態では、第1の時間期間および第2の時間期間は、第1のフレームのフレーム長より短いか等しい。
【0230】
任意的に、いくつかの実施形態では、第1の探測信号は、第1の時間期間において第2のレーダーによって送信される探測信号と同じである。第2の探測信号は、第2の時間期間において第2のレーダー1820によって送信される探測信号とは異なる。第2の時間期間において第2のレーダー1820によって送信された探測信号は、第1の時間期間において第2のレーダー1820によって送信された探測信号に対して第2の位相符号変調を実行することによって得られる。
【0231】
任意的に、いくつかの実施形態では、複数の第2のレーダー1820がある。
【0232】
任意的に、いくつかの実施形態では、第2の探測信号および第2の時間期間において第2のレーダー1820によって送信される探測信号は、相互に直交または準直交の位相符号変調信号である。
【0233】
任意的に、いくつかの実施形態では、第1の距離‐速度スペクトルと第2の距離‐速度スペクトルとの差に基づいて偽警報ターゲットを決定する前に、第1のレーダー1810はさらに:第2の反射信号に対して第1次元のフーリエ変換処理を実行し;第2の探測信号の符号位相に基づいて、第1次元のフーリエ変換処理を通じて得られた第2の反射信号に対して位相符号復調を実行し;位相符号復調を通して得られた第2の反射信号に対して第2次元のフーリエ変換処理を実行して、第2の距離‐速度スペクトルを得るように構成される。
【0234】
任意的に、いくつかの実施形態では、第1の探測信号が位相符号変調が行われない信号である場合、第1の距離‐速度スペクトルと第2の距離‐速度スペクトルとの差に基づいて偽警報ターゲットを決定する前に、第1のレーダー1810はさらに:第1の反射信号に対して第1次元のフーリエ変換処理を実行し;第1次元のフーリエ変換処理を通じて得られた第1の反射信号に対して第2次元のフーリエ変換処理を実行して、第1の距離‐速度スペクトルを得るように構成される。
【0235】
任意的に、いくつかの実施形態では、第1の探測信号および第1の時間期間において第2のレーダー1820によって送信される探測信号が、同じ位相符号変調が実行される信号である場合、第1の距離‐速度スペクトルと第2の距離‐速度スペクトルとの差に基づいて偽警報ターゲットを決定する前に、第1のレーダー1810はさらに:第1の反射信号に対して第1次元のフーリエ変換処理を実行し;第1の探測信号の符号位相に基づいて、第1次元のフーリエ変換処理を通じて得られた第1の反射信号に対して位相符号復調を実行し;位相符号復調を通して得られた第1の反射信号に対して第2次元のフーリエ変換処理を実行して、第1の距離‐速度スペクトルを得るように構成される。
【0236】
任意的に、いくつかの実施形態では、第1のレーダー1810はさらに:第1のターゲットを偽警報ターゲットとして決定するように構成される。第1の距離‐速度スペクトル上の第1のターゲットのエネルギー値と第2の距離‐速度スペクトル上の第1のターゲットのエネルギー値との間の差は、第1の閾値以上である。
【0237】
任意的に、いくつかの実施形態では、第1のレーダー1810はさらに:第1の探測信号と、第1の時間期間において第2のレーダー1820によって送信される探測信号とに対して同期を実行して、第1の探測信号の送信開始時刻と、第2のレーダー1820によって送信される探測信号の送信開始時刻との差が第2の閾値以下になるようにするように構成される。
【0238】
任意的に、いくつかの実施形態では、第1の探測信号と第2の探測信号との間の保護期間は、第3の閾値以上である。
【0239】
任意的に、いくつかの実施形態では、第1の時間期間の持続時間および第2の時間期間の持続時間は、同一であるか、または異なる。
【0240】
本願のある実施形態は、レーダー・システム1900をさらに提供する。図19に示されるように、レーダー・システム1900における第1のレーダー1910は、少なくとも1つのプロセッサ1911およびメモリ1912を含む。メモリは、コンピュータ・プログラムを記憶するように構成される。前記少なくとも1つのプロセッサ1911は、メモリに記憶されたコンピュータ・プログラムを呼び出し、コンピュータ・プログラムを実行して、上記のいずれかの方法を実行するように構成される。
【0241】
前記少なくとも1つのプロセッサ1911は、メモリ1912からコンピュータ・プログラムを呼び出し、コンピュータ・プログラムを実行して、本願の実施形態における方法を実装することができる。
【0242】
メモリ1912は、前記少なくとも1つのプロセッサ1911とは独立した独立コンポーネントであってもよく、または前記少なくとも1つのプロセッサ1911に統合されていてもよい。
【0243】
任意的に、図19に示されるように、レーダー・システム1900内の第1のレーダー1910は、トランシーバ1913をさらに含むことができる。
【0244】
図20は、本願のある実施形態によるチップの構造の概略図である。図20に示されるチップ2000は、少なくとも1つのプロセッサ2010を含む。前記少なくとも1つのプロセッサ2010は、メモリからコンピュータ・プログラムを起動し、該コンピュータ・プログラムを実行して、本願の実施形態における方法を実施してもよい。
【0245】
任意的に、図20に示されるように、チップ2000は、メモリ2020をさらに含んでいてもよい。前記少なくとも1つのプロセッサ2010は、メモリ2020からコンピュータ・プログラムを呼び出し、コンピュータ・プログラムを実行して、本願の実施形態における方法を実施してもよい。
【0246】
メモリ2020は、前記少なくとも1つのプロセッサ2010とは独立した独立コンポーネントであってもよく、または前記少なくとも1つのプロセッサ1911に統合されていてもよい。
【0247】
任意的に、チップ2000は、入力インターフェース2030をさらに含んでいてもよい。前記少なくとも1つのプロセッサ2010は、前記入力インターフェース2030を制御して、別のデバイスまたはチップと通信してもよく、具体的には、該別のデバイスまたはチップによって送信された情報またはデータを取得してもよい。
【0248】
任意的に、チップ2000は、出力インターフェース2040をさらに含んでいてもよい。前記少なくとも1つのプロセッサ2010は、出力インターフェース2040を制御して、別のデバイスまたはチップと通信してもよく、具体的には、情報またはデータを前記別のデバイスまたはチップに出力してもよい。
【0249】
任意的に、チップは、本願の実施形態において第1のレーダーで使用されてもよく、チップは、本願の実施形態における方法において第1のレーダーによって実施される対応する手順を実装してもよい。簡潔のために、詳細は、本明細書には再度記載されない。
【0250】
本願のこの実施形態におけるチップは、システムレベルのチップ、システムチップ、チップシステム、システムオンチップなどとも呼ばれることもあることを理解されたい。
【0251】
本願のこの実施形態におけるプロセッサは、集積回路チップであってもよく、信号処理能力を有することを理解されたい。
【0252】
本願の実施形態におけるプロセッサは、集積回路チップであってもよく、信号処理能力を有することに留意されたい。ある実装プロセスでは、前述の方法実施形態のステップは、プロセッサ内のハードウェア集積論理回路を使用することによって、またはソフトウェアの形の命令を使用することによって実装されうる。プロセッサは、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor、DSP)、特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit、ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array、FPGA)、または別のプログラマブル論理装置、離散的なゲートまたはトランジスタ論理デバイス、または離散的なハードウェアコンポーネントであってもよい。本願の実施形態において開示される方法、ステップ、および論理ブロック図を実装または実行してもよい。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサであってもよく、またはプロセッサは、任意の従来のプロセッサ等であってもよい。本願の実施形態を参照して開示される方法のステップは、ハードウェア復号プロセッサを使用して直接的に実行され完了されてもよく、または復号プロセッサ内のハードウェアモジュールおよびソフトウェアモジュールの組み合わせを使用して実行され完了されてもよい。ソフトウェアモジュールは、ランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリ、リードオンリーメモリ、プログラマブル・リードオンリーメモリ、電気的に消去可能なプログラマブル・メモリ、またはレジスタのような、当該技術分野における成熟した記憶媒体内に位置されてもよい。記憶媒体はメモリ内に位置され、プロセッサはメモリ内の情報を読み出し、プロセッサのハードウェアと組み合わせて前述の方法のステップを完了する。
【0253】
本願の実施形態におけるメモリは、揮発性メモリまたは不揮発性メモリであってもよく、または揮発性メモリおよび不揮発性メモリを含んでいてもよいことが理解されうる。不揮発性メモリは、読み出し専用メモリ(read-only memory、ROM)、プログラマブル読み出し専用メモリ(programmable rom、PROM)、消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリ(erasable PROM、EPROM)、電気的に消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリ(electrically EPROM、EEPROM)またはフラッシュメモリでありうる。揮発性メモリは、外部キャッシュとして使用されるランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)であってもよい。限定ではなく例として、多くの形のRAMが使用されうる。たとえば、スタティック・ランダムアクセスメモリ(static RAM、SRAM)、ダイナミック・ランダムアクセスメモリ(dynamic RAM、DRAM)、同期ダイナミック・ランダムアクセスメモリ(synchronous DRAM、SDRAM)、ダブル・データ・レート同期ダイナミック・ランダムアクセスメモリ(double data rate SDRAM、DDR SDRAM)、拡張同期ダイナミック・ランダムアクセスメモリ(enhanced SDRAM、ESDRAM)、シンクリンク・ダイナミック・ランダムアクセスメモリ(synchlink DRAM、SLDRAM)、およびダイレクト・ランバス・ランダムアクセスメモリ(direct rambus RAM)である。本明細書に記載されるシステムおよび方法のメモリは、これらのメモリおよび別の好適なタイプの任意のメモリを含むが、これらに限定されないことに留意されたい。
【0254】
本願のある実施形態は、さらに、コンピュータ・プログラムを記憶するように構成されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供する。
【0255】
任意的に、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、本願の実施形態の第1のレーダーにおいて使用されてもよく、コンピュータ・プログラムは、コンピュータが、本願の実施形態における方法において第1のレーダーによって実施される対応する手順を実施することを可能にする。簡潔のために、詳細は、本明細書には再度記載されない。
【0256】
本願のある実施形態は、コンピュータ・プログラム命令を含むコンピュータ・プログラム・プロダクトをさらに提供する。
【0257】
任意的に、コンピュータ・プログラム・プロダクトは、本願の実施形態において第1のレーダーにおいて使用されてもよく、コンピュータ・プログラム命令は、コンピュータが本願の実施形態における方法において第1のレーダーによって実施される対応する手順を実施することを可能にする。簡潔のため、詳細は、本明細書には再度記載されない。
【0258】
本願のある実施形態は、コンピュータ・プログラムをさらに提供する。
【0259】
任意的に、コンピュータ・プログラムは、本願の実施形態において第1のレーダーにおいて使用されてもよく、コンピュータ・プログラムがコンピュータ上で実行されると、コンピュータは、本願の実施形態における方法において第1のレーダーによって実施される対応する手順を実施することができるようにされる。簡潔のため、詳細は、本明細書には再度記載されない。
【0260】
本願のある実施形態は、インテリジェント装置をさらに提供する。インテリジェント装置は、前述の信号検出装置1700を含む。
【0261】
インテリジェント装置は、無人航空機、路側ユニットなどであってもよい。
【0262】
本願のある実施形態は、さらに、輸送ツールを提供し、輸送ツールは、前述の信号検出装置1700を含む。
【0263】
輸送ツールは、車両等であってもよい。
【0264】
当業者は、本明細書に開示された実施形態に記載された例と組み合わせて、ユニットおよびアルゴリズム・ステップは、電子ハードウェアまたはコンピュータ・ソフトウェアと電子ハードウェアの組み合わせによって実施されうることを認識するであろう。機能がハードウェアによって実行されるかソフトウェアによって実行されるかは、技術的解決策の具体的な用途および設計制約条件に依存する。当業者は、具体的な用途ごとに、記載された機能を実装するために異なる方法を用いることができるが、かかる実装が本願の範囲を超えるものであると考えるべきではない。
【0265】
当業者であれば、簡便な説明のために、前述のシステム、装置、およびユニットの詳細な動作プロセスについては、前述の方法実施形態における対応するプロセスを参照することを明確に理解することができ、詳細については、ここでは再度説明しない。
【0266】
本願において提供されるいくつかの実施形態において、開示されたシステム、装置、および方法は、他の仕方で実装されうることを理解されたい。たとえば、記載された装置実施形態は単に例である。たとえば、ユニットへの分割は、単に論理的な機能分割であり、実際の実装においては他の分割であってもよい。たとえば、複数のユニットまたはコンポーネントは、別のシステムに組み合わされたり、または統合されたりしてもよく、あるいはいくつかの特徴は、無視されてもよく、または実行されなくてもよい。さらに、表示または議論された相互結合、または直接的な結合または通信接続は、いくつかのインターフェースを通じて実装されてもよい。装置またはユニットの間の間接的な結合または通信接続は、電気的、機械的、または他の形でありうる。
【0267】
別個の部品として記載されるユニットは、物理的に別個であってもなくてもよく、ユニットとして表示される部品は、物理的なユニットであってもなくてもよく、1つの位置に位置されていてもよく、または複数のネットワークユニット上に分散されていてもよい。それらのユニットのいくつかまたはすべては、実施形態の解決策の目的を達成するための実際のニーズに基づいて選択されうる。
【0268】
加えて、本願の実施形態における機能ユニットは、1つの処理ユニットに統合されてもよく、各ユニットは、物理的に単独で存在してもよく、または2つ以上のユニットが1つのユニットに統合されてもよい。
【0269】
これらの機能がソフトウェア機能ユニットの形態で実装され、独立したプロダクトとして販売または使用される場合、これらの機能は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶されてもよい。そのような理解に基づいて、本願の技術的解決策は、本質的に、または現在の技術に寄与する部分、または技術的解決策のいくつかは、ソフトウェア・プロダクトの形態で実装されてもよい。コンピュータ・ソフトウェア・プロダクトは、記憶媒体に記憶され、本願の実施形態に記載の方法のステップの全部または一部を実行するようにコンピュータ装置(これはパーソナルコンピュータ、サーバー、またはレーダーであってもよい)に指示するためのいくつかの命令を含む。前述の記憶媒体は、USBフラッシュドライブ、リムーバブルハードディスク、ROM、RAM、磁気ディスク、または光ディスクのようなプログラムコードを記憶することができる任意の媒体を含む。
【0270】
前述の説明は、単に本願の具体的な実装であり、本願の保護範囲を制限することを意図するものではない。本願に開示された技術的範囲内で、当業者によって容易に割り出される変更または置換は、本願の保護範囲にはいる。したがって、本願の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲に従うものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20