(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】基地局決定方法、装置、機器及びコンピュータ記憶媒体
(51)【国際特許分類】
G01S 19/07 20100101AFI20240319BHJP
G01S 19/12 20100101ALI20240319BHJP
G01S 19/10 20100101ALI20240319BHJP
【FI】
G01S19/07
G01S19/12
G01S19/10
(21)【出願番号】P 2022577396
(86)(22)【出願日】2021-04-08
(86)【国際出願番号】 CN2021085951
(87)【国際公開番号】W WO2022033056
(87)【国際公開日】2022-02-17
【審査請求日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】202010819525.3
(32)【優先日】2020-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522479278
【氏名又は名称】中移(上海)信息通信科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】China Mobile Shanghai ICT Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】Building 10, No. 27 Xin Jinqiao Road, Pudong New Area, Shanghai 201206, China
(73)【特許権者】
【識別番号】522479289
【氏名又は名称】中移智行網絡科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】CM INTELLIGENT MOBILITY
【住所又は居所原語表記】Building 10, No. 27 Xin Jinqiao Road, Pudong New Area, Shanghai 201206, China
(73)【特許権者】
【識別番号】507142144
【氏名又は名称】中国移動通信集団有限公司
【氏名又は名称原語表記】CHINA MOBILE COMMUNICATIONS GROUP CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【氏名又は名称】岡部 英隆
(72)【発明者】
【氏名】塗 奎
(72)【発明者】
【氏名】王 宇欣
(72)【発明者】
【氏名】倪 ▲カイ▼悦
【審査官】山下 雅人
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-208827(JP,A)
【文献】特開平09-211099(JP,A)
【文献】国際公開第2014/132618(WO,A1)
【文献】米国特許第06208289(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S19/00-19/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局決定方法であって、
複数の基地局の
複数の差分測位情報を取得することと、
受信した衛星測位信号及び
前記複数の差分測位情報に基づいて、
前記複数の差分測位情報に対応する路側機器の計算位置をそれぞれ計算すること
であって、前記路側機器は、路側に設置され、専用の近距離通信技術及び長期進化技術のうちの少なくとも1つを採用して道路を走行する通信機器と通信するための路側ユニットを含む、ことと、
前記路側機器の前記計算位置及び前記路側機器の実際位置に基づいて、
前記複数の基地局からターゲット基地局を決定することと、を含み、前記ターゲット基地局
の決定根拠は、前記実際位置
に最寄りの前記計算位置に対応する
1つの差分測位情報に対応する基地局
を選択するものである、基地局決定方法。
【請求項2】
前記
複数の基地局の
前記複数の差分測位情報を取得することは、
前記路側機器の近くの基地局の観測データを照会するための照会要求を高精度測位プラットフォームに送信することであって、前記照会要求は、前記路側機器の位置情報を含む、ことと、
前記高精度測位プラットフォームからの前記複数の差分測位情報を受信することであって、前記複数の差分測位情報は、前記高精度測位プラットフォーム
が、前記路側機器の位置情報に基づいて前記路側機器の近くの前記複数の基地局を照会し、前記複数の基地局の複数の観測データを取得し、取得された前記複数の基地局の複数の観測データに基づいて算出したものである、ことと、を含む、
請求項1に記載の基地局決定方法。
【請求項3】
ネットワーク異常の前記基地局が存在する場合、
前記複数の差分測位情報から、ネットワーク異常の前記基地局に対応する差分測位情報を削除することを含む、
請求項1に記載の基地局決定方法。
【請求項4】
前記基地局決定方法は、
前記計算位置と前記実際位置との距離の平均値を計算することと、
前記複数の基地局と前記路側機器との第1距離を取得することと、を更に含み、
前記路側機器の前記計算位置及び前記路側機器の実際位置に基づいて、前記
複数の基地局からターゲット基地局を決定することは、
前記計算位置と前記実際位置との距離、前記平均値、及び前記第1距離に基づいて、前記基地局をターゲット基地局として決定することを含む、
請求項1に記載の基地局決定方法。
【請求項5】
前記計算位置と前記実際位置との距離、前記平均値、及び前記第1距離に基づいて、前記基地局をターゲット基地局として決定することは、
前記計算位置と前記実際位置との距離、前記平均値、及び前記第1距離に対して正規化処理を行い、3つの正規化値を得ることと、
3つの前記正規化値に対応する重み値をそれぞれ決定することと、
前記重み値及び3つの前記正規化値に基づいて、総合指標値を得ることと、
最高の総合指標値に対応する前記基地局を前記ターゲット基地局として決定することと、を含む、
請求項4に記載の基地局決定方法。
【請求項6】
基地局決定装置であって、
複数の基地局の
複数の差分測位情報を取得するように構成される取得部と、
受信した衛星測位信号及び
前記複数の差分測位情報に基づいて、
前記複数の差分測位情報に対応する路側機器の計算位置をそれぞれ計算するように構成される計算部
であって、前記路側機器は、路側に設置され、専用の近距離通信技術及び長期進化技術のうちの少なくとも1つを採用して道路を走行する通信機器と通信するための路側ユニットを含む、計算部と、
前記路側機器の前記計算位置及び前記路側機器の実際位置に基づいて、
前記複数の基地局からターゲット基地局を決定するように構成される決定部と、を備え、前記ターゲット基地局
の決定根拠は、前記実際位置
に最寄りの前記計算位置に対応する
1つの差分測位情報に対応する基地局
を選択するものである、基地局決定装置。
【請求項7】
前記取得部は、
前記路側機器の近くの基地局の観測データを照会するための、前記路側機器の位置情報を含む照会要求を高精度測位プラットフォームに送信し、
前記高精度測位プラットフォームからの前記複数の差分測位情報を受信するように構成され、前記複数の差分測位情報は、前記高精度測位プラットフォームが、前記路側機器の位置情報に基づいて前記路側機器の近くの前記複数の基地局を照会し、前記複数の基地局の複数の観測データを取得し、取得された前記複数の基地局の複数の観測データに基づいて算出したものである、
請求項6に記載の基地局決定装置。
【請求項8】
前記基地局決定装置はさらに、削除部を備え、
前記削除部は、ネットワーク異常の前記基地局が存在する場合、
前記複数の差分測位情報から、ネットワーク異常の前記基地局に対応する差分測位情報を削除するように構成される、
請求項6に記載の基地局決定装置。
【請求項9】
コンピュータプログラム命令を記憶するメモリと、
前記コンピュータプログラム命令を読み出し実行して、請求項1~5のいずれか一項に記載の基地局決定方法を実行するプロセッサと、を備える、基地局決定機器。
【請求項10】
プロセッサによって実行されるときに、前記プロセッサに、請求項1~5のいずれか一項に記載の基地局決定方法を実行させるコンピュータプログラム命令が記憶された、コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、測位分野に属し、特に、基地局決定方法、装置、機器及びコンピュータ記憶媒体に関する。
【0002】
(関連出願への相互参照)
本願は、2020年08月14日に中国特許局に提出された、出願番号が202010819525.3であり、発明の名称が「基地局決定方法、装置、機器及びコンピュータ記憶媒体」である中国特許出願の優先権を主張し、その内容の全てが引用により本願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
モバイルインターネットからモノのインターネットに至るまで、位置は基本的で不可欠な情報である。しかしながら、洗練された業界応用要件に関しては、より高精度の測位情報だけがより高い価値をもたらすことができる。人は、人やモノの位置をより正確に知ることができ、これにより人やモノにより良いサービスを提供することができる。したがって、高精度測位技術は、モバイルインターネットやモノのインターネット、特に自動車インターネットの応用にとって非常に重要である。
【0004】
最も一般的な測位方法は衛星測位であるが、衛星信号は黒点の移動、悪天候、電磁干渉などの要因の影響を受けやすく、且つ避けられないため、これらの干渉を相殺するために、業界では通常、差分測位技術を採用している。この技術を実現するために、地上基準局を全国にカバーし、衛星測位データを受信・処理して高精度測位プラットフォームに送信し、高精度測位プラットフォームが各地上基準局の観測データを算出し、観測データに基づいて、差分測位情報を算出する。測位端末が高精度算出を行うとき、まず、衛星測位信号により大まかな位置情報を選別し、次に、高精度測位プラットフォームが、当該位置情報に基づいて最寄りの地上基準局の差分測位情報を見つけ出し、衛星測位信号及び差分測位情報を使用して正確な位置の計算を行う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
測位端末がいくつかの地上基準局のカバレッジの境界の所に位置する場合、大まかな測位の偏差により、測位端末に最適でない地上基準局が選択される可能性があり、得られた差分測位情報は最適ではなくなり、計算された位置に大きな誤差が生じる。
【0006】
本願の実施例は、最適な差分測位情報に対応する基地局を決定し、測位精度を向上させることができる基地局決定方法、装置、機器及びコンピュータ記憶媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1態様では、本願の実施例は、基地局決定方法を提供し、前記方法は、
少なくとも1つの基地局の差分測位情報を取得することと、
受信した衛星測位信号及び少なくとも1グループの差分測位情報に基づいて、少なくとも1グループの差分測位情報に対応する路側機器の計算位置をそれぞれ計算することと、
路側機器の計算位置及び路側機器の実際位置に基づいて、少なくとも1つの基地局からターゲット基地局を決定することと、を含み、ターゲット基地局は、計算位置と実際位置との距離が最小である計算位置に対応する差分測位情報に対応する基地局である。
【0008】
いくつかの実施例では、少なくとも1つの基地局の差分測位情報を取得することは、
基地局の少なくとも1グループの観測データを取得することと、
少なくとも1グループの観測データに基づいて、高精度測位プラットフォームにより少なくとも1グループの差分測位情報を算出することと、を含む。
【0009】
いくつかの実施例では、ネットワーク異常の基地局が存在する場合、少なくとも1グループの差分測位情報から、ネットワーク異常の基地局に対応する差分測位情報を削除することを含む。
【0010】
いくつかの実施例では、前記基地局決定方法は、計算位置と実際位置との距離の平均値を計算することと、
基地局と路側機器との第1距離を取得することと、を更に含み、
路側機器の計算位置及び路側機器の実際位置に基づいて、少なくとも1つの基地局からターゲット基地局を決定することは、
計算位置と実際位置との距離、平均値、及び第1距離に基づいて、基地局をターゲット基地局として決定することを含む。
【0011】
いくつかの実施例では、計算位置と実際位置との距離、平均値、及び第1距離に基づいて、基地局をターゲット基地局として決定することは、
計算位置と実際位置との距離、平均値、及び第1距離に対して正規化処理を行い、3つの正規化値を得ることと、
3つの正規化値に対応する重み値をそれぞれ決定することと、
重み値及び3つの正規化値に基づいて、総合指標値を得ることと、
最高の総合指標値に対応する基地局をターゲット基地局として決定することと、を含む。
【0012】
第2態様では、本願の実施例は、基地局決定装置を提供し、前記装置は、取得部と、計算部と、決定部とを備え、
前記取得部は、前記少なくとも1つの基地局の差分測位情報を取得するように構成され、
前記計算部は、受信した衛星測位信号及び少なくとも1グループの差分測位情報に基づいて、少なくとも1グループの差分測位情報に対応する路側機器の計算位置をそれぞれ計算するように構成され、
前記決定部は、路側機器の計算位置及び路側機器の実際位置に基づいて、少なくとも1つの基地局からターゲット基地局を決定するように構成され、ターゲット基地局は、計算位置と実際位置との距離が最小である計算位置に対応する差分測位情報に対応する基地局である。
【0013】
いくつかの実施例では、前記取得部は、具体的には、基地局の少なくとも1グループの観測データを取得し、少なくとも1グループの観測データに基づいて、高精度測位プラットフォームにより少なくとも1グループの差分測位情報を算出するように構成される。
【0014】
いくつかの実施例では、前記基地局決定装置はさらに、削除部を備え、前記削除部は、ネットワーク異常の前記基地局が存在する場合、少なくとも1グループの前記差分測位情報から、ネットワーク異常の前記基地局に対応する差分測位情報を削除するように構成される。
【0015】
第3態様では、本願の実施例は、基地局決定機器を提供し、前記基地局決定機器は、プロセッサと、コンピュータプログラム命令が記憶されたメモリと、を備え、前記プロセッサは、前記コンピュータプログラム命令を読み取って実行することにより、第1態様又は第1態様のいずれかの可能な実施形態における基地局決定方法を実現する。
【0016】
第4態様では、本願の実施例は、コンピュータ記憶媒体を提供し、前記コンピュータ記憶媒体には、コンピュータプログラムが記憶され、前記コンピュータプログラムがプロセッサによって実行されるときに、プロセッサに第1態様又は第1態様のいずれかの可能な実施形態における基地局決定方法を実現させる。
【発明の効果】
【0017】
本願の実施例によって提供される基地局決定方法、装置、機器及びコンピュータ記憶媒体である。前記基地局決定方法は、少なくとも1つの基地局の差分測位情報を取得することと、受信した衛星測位信号及び少なくとも1グループの差分測位情報に基づいて、少なくとも1グループの差分測位情報に対応する路側機器の計算位置をそれぞれ計算することと、路側機器の計算位置及び路側機器の実際位置に基づいて、少なくとも1つの基地局からターゲット基地局を決定することと、を含み、ターゲット基地局は、計算位置と実際位置との距離が最小である計算位置に対応する差分測位情報に対応する基地局である。このように、実際位置に最寄りの計算位置に対応する1グループの差分測位情報に対応する基地局を、最適な地上基準局として決定することにより、最適な差分測位情報を端末機器に提供し、測位精度を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本願の実施例による基地局決定システムの概略構造図である。
【
図2】本願の実施例による基地局決定方法のフローチャートである。
【
図3】本願の実施例による路側情報管理装置の概略構造図である。
【
図4】本願の実施例による基地局決定方法のフローチャートである。
【
図5】本願の実施例による基地局決定装置の概略構造図である。
【
図6】本願の実施例による基地局決定機器の概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本願の実施例の技術方案をより明確に説明するために、上記で、本願の実施例の説明で使用される図面について簡単に紹介しており、当業者にとっては、創造的な労力を払わなくても、これらの図面に基づいて他の関連図面を得ることもできる。
【0020】
以下では、本願の様々な態様における特徴及び例示的な実施例について詳細に説明し、本願の目的、技術方案及び利点をより明確に説明するために、図面及び具体的な実施例を参照して、本願をさらに詳細に説明する。本明細書に記載の具体的な実施例は、本願を説明することのみを意図するものであり、本願を限定するものではないことを理解されたい。当業者にとって、本願は、これらの具体的な詳細のうちのいくつかの詳細なしでも実施することができる。以下の実施例の説明は、本願の一例を示すことにより、本願のより良い理解を提供することのみを目的としている。
【0021】
説明すべきこととして、本明細書において、「第1」や「第2」などの関係用語は、1つのエンティティ又は動作を別のエンティティ又は動作から区別するためにのみ使用され、必ずしもこれらのエンティティ又は動作間にそのような実際の関係又は順序が存在することを要求又は暗示するものではない。また、本願において、「備える」、「含む」という用語、又はその任意の他の変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図するので、一連の要素を含むプロセス、方法、物品又は装置は、それらの要素だけでなく、明示的に列挙されていない他の要素、又は、そのようなプロセス、方法、物品、又は装置の固有の要素を更に含む。特に限定されていない場合、「...を含む」という文で定義された要素は、その要素を含むプロセス、方法、物品、又は機器に、他の同じ要素があることを排除するものではない。
【0022】
現在、最も一般的な測位方法は衛星測位であり、世界の4大衛星測位システムは、それぞれ中国の北斗、米国の全地球測位システム(GPS:Global Positioning System)、ロシアの全地球測位衛星システム(GLONASS:GLObalnaya NAvigatsionnaya Sputnikovaya Sistema)、欧州連合のガリレオである。様々な衛星測位システムの動作原理はほぼ同じであり、例えば、GPSは、単純に理解すると24基の動作する衛星で構成されており、世界のどこでもいつでも4基以上の衛星を観測し、既知の位置の衛星からユーザの受信機までの距離を測定し、次に、複数の衛星からのデータを組み合わせて受信機の具体的な位置を知ることができる。受信した衛星信号の品質は測位精度と大きく関係していることが分かるが、衛星信号は、黒点の移動、悪天候、電磁干渉などの要因の影響を受けやすく、且つ避けられない。これらの干渉を相殺するために、業界では通常、差分測位技術を採用し、その原理は、地上基準局を設置して現在の衛星信号を測定し、地上基準局の既知の実際位置及び受信した衛星信号に基づいて、様々な干渉要因の影響を含んだ信号の差動パラメータを計算し、次に、この差動パラメータを基準局から端末機器に送信し、端末機器は、差動パラメータを利用して測定結果を補正して、正確な測位結果を得ることである。したがって、高精度の測位を実現するために、測位機器は、差分測位情報を受信する必要がある。
【0023】
従来技術では、全国範囲の高精度測位を実現するために、地上基準局を全国的にカバーし、衛星測位データを受信・処理して高精度測位プラットフォームに伝送する。地上基準局の局間距離は通常、数十キロメートルから百キロメートルに設計される。間隔が大きすぎると、地上基準局で観測したデータから算出された差分測位情報と、測位端末での差分測位情報との誤差が大きくなり、測位精度が低下することがある。間隔が小さすぎると、測位局の数が急増し、測位局の建設コストが高くなりすぎる可能性がある。測位端末が高精度算出を行うとき、まず、衛星測位信号により大まかな位置情報を特定し、次に、高精度測位プラットフォームが、当該位置情報に基づいて最寄りの地上基準局の差分測位情報を見つけ出し、衛星測位信号及び差分測位情報を使用して正確な位置の計算を行う。端末機器と高精度測位プラットフォームとの間では、モバイル通信ネットワークを介して差分測位情報を取得し、即ち、測位端末は、モバイル通信機能を備え、高精度測位機能を開通する必要があり、これは、測位機器のコストを増加させる。端末機器が大まかな測位によって選択した地上基準局が故障したり、選択した地上基準局に大きな干渉があったりすると、この地上基準局が観測したデータから算出した差分測位情報では高精度な位置情報を計算することができない。
【0024】
従来技術の問題を解決するために、本願の実施例は、基地局決定方法、装置、機器及びコンピュータ記憶媒体を提供する。
【0025】
本願の実施例では、路側機器は、周辺エリアの複数の地上基準局の差分測位情報を取得し、受信した衛星測位信号及び取得した少なくとも1グループの差分測位情報に基づいて、各グループの差分測位情報に対応する路側機器計算位置をそれぞれ計算し、各グループの計算位置を路側機器の実際位置と比較し、実際位置に最寄りの計算位置に対応する1グループの差分測位情報に対応する基地局を、ここでの最適な地上基準局として選択することにより、最適な差分測位情報を端末機器に提供し、更に測位精度を向上させる。同時に、路側機器を介して、決定された地上基準局情報を端末装置にブロードキャストするため、端末機器は、モバイル通信ネットワークモジュールを介して、高精度測位プラットフォームから差分測位情報を取得する必要がないだけでなく、高精度測位機能を開通する必要がないため、機器コストを削減することができる。
【0026】
図1は、本願の一実施例による基地局決定システムの概略構造図である。
【0027】
図1に示すように、基地局決定システムは、衛星110、路側機器120、地上基準局130、高精度測位プラットフォーム140、端末機器150を含み得る。
【0028】
ここで、路側機器120は、路側ユニット121と、路側情報管理装置122と、を備える。路側ユニット121は、路側に設置され、専用の近距離通信技術(DSRC:Dedicated Short Range Communication)及び/又は長期進化技術(LTE-V:Long Term Evolution-Vehicle)を採用して道路を走行する通信機器と通信し、各種情報を送受信することができる。本願の実施例における路側ユニット121はさらに、このエリア内の測位端末が使用するのに適した地上基準局130の基地局情報又はそれに対応する差分測位情報を路側にブロードキャストするように構成される。
【0029】
端末機器150は、車載ユニット151を備え、車載ユニット151は、DSRC及び/又はLTE-V技術を採用して路側ユニット121と通信し、各種情報を送受信することができる。本願の実施例における車載ユニット151はさらに、路側ユニット121が路側にブロードキャストした、このエリア内の端末機器150が使用するのに適した地上基準局130の基地局情報又はそれに対応する差分測位情報を受信するように構成され得る。端末機器150は、自動車、トラック、又は測位システムを備えた他のいくつかの車両であってもよいが、ここでは限定されない。
【0030】
衛星測位システムでは、衛星110は、衛星測位信号を発射し、地上基準局130は、衛星測位信号を長期間連続して観測し、観測データをリアルタイム又は定期的に高精度測位プラットフォーム140に送信し、高精度測位プラットフォーム140は、各地上基準局130の観測データを算出し、観測データを少なくとも1グループの差分測位情報に算出する。路側情報管理装置122は、衛星測位信号及び高精度測位プラットフォーム140から取得した少なくとも1グループの差分測位情報及びそれ自体の実際位置に基づいて、最適な1グループの差分測位情報に対応する地上基準局130を最適な地上基準局130として決定し、最適な地上基準局130の基地局情報又は最適な1グループの差分測位情報を、路側ユニット121に送信し、路側ユニット121は、受信したターゲット基地局の基地局情報又は最適な1グループの差分測位情報に基づいてブロードキャストメッセージを形成し、ブロードキャストメッセージを路側の端末機器150に送信し、車載ユニット151は、ブロードキャストメッセージを受信し、端末機器150は、受信した衛星測位情報及び車載ユニット151が受信したブロードキャストメッセージに基づいて、端末機器150の高精度位置情報を計算する。
【0031】
下記において、本願の実施例によって提供される基地局決定方法を説明する。
【0032】
図2は、本願の一実施例による基地局決定方法のフローチャートである。
図2に示すように、当該方法は、以下のステップを含み得る。
【0033】
ステップS210において、少なくとも1つの基地局の差分測位情報を取得する。
【0034】
基地局、即ち、地上基準局130は、衛星測位信号に対して長期間連続して観測を行い、観測データは、通信機器によってリアルタイム又は定期的に高精度測位プラットフォーム140に伝送され、差分測位データの算出に用いられる。地上基準局130は、通常、連続的にカバーするものであり、局間隔は、数十キロメートルから数百キロメートルの間である。
【0035】
路側機器120は、それ自体の位置を正確に計算するために、高精度測位プラットフォーム140から少なくとも1つの地上基準局130の差分測位情報を取得し、当該差分測位情報は、少なくとも衛星及び受信機のクロック差、大気伝播遅延、マルチパス効果などの誤差を含む。
【0036】
少なくとも1つの地上基準局130の選択方式は、路側機器120に最寄りの少なくとも1つの地上基準局130を選択する方式でもよく、路側機器120の周囲の、ある距離範囲内の少なくとも1つの地上基準局130を選択する方式でもよい。
【0037】
ステップS220において、受信した衛星測位信号及び少なくとも1グループの差分測位情報に基づいて、少なくとも1グループの差分測位情報に対応する路側機器の計算位置をそれぞれ計算する。
【0038】
路側機器120は、衛星110が発射した衛星測位信号を受信し、衛星測位信号内の測位情報を取得し、当該測位情報は、少なくとも衛星110の座標、衛星測位信号伝播遅延を含む。路側機器120は、測位情報に基づいて大まかな位置を選別し、差分測位情報を利用して大まかな位置を補正して、計算位置を得る。端末機器150の位置に対する各グループの差分測位情報の補正精度の比較を容易にするために、1つの最適な差分測位情報を決定し、測位情報と少なくとも1グループの差分測位情報を計算することにより、少なくとも1つの当該路側機器120の計算位置を得る。
【0039】
ステップS230において、路側機器の計算位置及び路側機器の実際位置に基づいて、少なくとも1つの基地局からターゲット基地局を決定し、ここで、ターゲット基地局は、計算位置と実際位置との距離が最小である計算位置に対応する差分測位情報に対応する基地局である。
【0040】
路側機器120は、それ自体の計算位置と実際位置との距離を計算することにより、距離が最小である計算位置に対応する差分測位情報を、現在最適な1グループの差分測位情報として選択し、当該グループの差分測位情報に対応する基地局をターゲット基地局として決定し、当該ターゲット基地局は、端末機器に差分測位情報を提供する地上基準局130である。
【0041】
具体的には、路側機器120の計算位置に基づいて、座標が(xi,yi,zi)である計算位置を得、ここで、iは、i番目の地上基準局に対応するi番目のグループの差分測位情報を表し、路側機器120は、配備されるとき、当該路側機器120の実際位置を記録して保存し、前記実際位置に基づいて、座標が(x,y,z)である実際位置を得、下記式に従って、各グループの計算位置の座標と実際位置の座標との距離を計算する。
【0042】
【0043】
各グループの計算位置の座標と実際位置の座標との距離値diを比較し、ここで、最小値に対応する差分測位情報は、現在最適な1グループの差分測位情報であり、当該差分測位情報に対応する基地局を、ターゲット基地局として決定する。
【0044】
一実施例では、路側機器120は、それ自体の計算位置と実際位置との距離を計算することにより、距離が最小である計算位置に対応する観測データを、現在最適な1グループ観測データとして選択することもでき、路側機器120は、観測データに基づいて、差分測位情報を取得するための地上基準局130を決定する。
【0045】
本願の実施例では、少なくとも1つの地上基準局130の差分測位情報を取得することにより、受信した衛星測位信号及び少なくとも1グループの差分測位情報に基づいて、少なくとも1グループの差分測位情報に対応する路側機器120の計算位置をそれぞれ計算し、路側機器120の計算位置及び路側機器の実際位置に基づいて、少なくとも1つの地上基準局130から、ターゲット基地局を決定し、ここで、ターゲット基地局は、計算位置と実際位置との距離が最小である計算位置に対応する差分測位情報に対応する地上基準局130である。実際位置に最寄りの計算位置に対応する1グループの差分測位情報を、最適な1グループの差分測位情報として決定することにより、当該グループの差分測位情報に対応する基地局を最適な地上基準局130とし、最適な差分測位情報を端末機器に提供し、測位精度を向上させる。
【0046】
一実施例では、少なくとも1つの基地局の差分測位情報を取得することは、基地局の少なくとも1グループの観測データを取得し、少なくとも1グループの観測データに基づいて、高精度測位プラットフォームにより少なくとも1グループの差分測位情報を算出することを含む。具体的には、路側機器120は、近くの地上基準局130の観測データを高精度測位プラットフォーム140に照会し、照会要求には、路側機器120の位置情報が含まれ、高精度測位プラットフォーム140は、その位置情報に基づいて、当該位置の近くの複数の地上基準局130を照会し、これらの地上基準局130の観測データを取得し、次に、高精度測位プラットフォーム140は、対応する差分測位情報を算出し、次に、複数グループの地上基準局130の情報及びそれに対応する複数グループの差分測位情報を得ることができる。
【0047】
一実施例では、路側機器120は、少なくとも1グループの地上基準局130の観測データを受信するとき、当該地上基準局130が正常であるか否かを検出することもでき、ネットワーク異常の地上基準局130がある場合、取得した少なくとも1グループの差分測位情報から、当該地上基準局130に対応する差分測位情報を削除し、無効な計算を効果的に低減し、測位効率を向上させることができる。
【0048】
一実施例では、上記で得た路側機器120の計算位置と実際位置との距離を指標1として記録し、指標1の平均値を計算して指標2として記録し、即ち、前回の所定の期間で測定したデータに基づいて計算して得た位置の座標と実際位置の座標との距離値、又は前N個の所定の期間内の計算位置の座標と実際位置の座標との距離平均値であり、地上基準局130の実際位置と路側機器120の実際距離との距離を取得して指標3として記録し、指標1、指標2、指標3の3つの指標のうちの1つの又は複数に基づいて、1つの総合指標値を計算し、総合指標値が最高である地上基準局130を、現在最適な地上基準局130とし、当該地上基準局130の観測データを差分測位情報の基礎データとして選択する。
【0049】
具体的には、路側機器120の計算位置、実際位置、及び地上基準局130の実際位置に基づいて、上記3種類の指標を計算し、n個の地上基準局130があると仮定すると、n個の各種類の指標を得ることができる。各種類の指標のn個の値に対して、正規化処理を行い、正規化値がそれぞれD1i、D2i、D3iである3種類の指標の正規化値を得、ここで、iは、1からnまでの自然数である。総合指標値の計算式は下記の通りである。
【0050】
【0051】
ここで、式2において、w1、w2、w3は、それぞれ3種類の指標の重み値である。各指標の実際の優劣に基づいて、3種類の指標の重み値を決定し、上記式2に従って総合指標値Piを計算し、最高の総合指標値Piに対応する地上基準局130を、最適な地上基準局130として決定する。ある指標を考慮しない場合、当該指標の重みは0であり、例えば、上記基地局決定方法では、路側機器120の計算位置と実際位置との距離のみを判定根拠としているため、w1=1、w2=0、w3=0となる。複数回の試験において、測定された最も典型的な1グループの重み値は、w1=0.5、w2=0.25、w3=0.25であるため、端末機器150の測位結果はより正確になる。もちろん、上記のいくつかのグループの重み値に加えて、実際の状況に応じて重み値を柔軟に調整することもでき、ここでは限定されない。計算を減らすために、ある指標の重みが0の場合、その指標は計算しなくてもよい。本願の実施例では、路側機器120の計算位置と実際位置との距離、路側機器120の計算位置と実際位置との距離の平均値、及び地上基準局130の実際位置と路側機器120の実際距離との距離を、総合判定根拠とすることにより、基地局決定精度を向上させることができる。
【0052】
一実施例では、
図3は、本願の実施例による路側情報管理装置の概略構造図であり、
図3に示すように、路側情報管理装置122は、衛星信号受信部1221、通信部1222、位置計算部1223、差分測位情報判定部1224、路側情報管理部1225を備える。
【0053】
路側情報管理装置122は、衛星信号受信部1221を介して衛星測位信号を受信し、衛星測位信号内の測位情報を取得し、通信部1222は、高精度測位プラットフォーム140から少なくとも1つの地上基準局130の差分測位情報を取得し、位置計算部1223は、測位情報及び少なくとも1グループの差分測位情報に基づいて、路側機器120の少なくとも1グループの計算位置をそれぞれ計算する。差分測位情報判定部1224は、路側機器120の少なくとも1グループの計算位置及び実際位置に基づいて、現在最適な1グループの差分測位情報又は基地局情報を判定し、その判定根拠は、計算位置と実際位置との距離が最小である計算位置に対応する差分測位情報又は基地局情報であり、当該差分測位情報に対応する地上基準局130をターゲット基地局として決定する。路側情報管理部1225は、差分測位情報判定部1224の判定結果に応じて、制御情報を路側ユニット121に送信し、即ち、差分測位情報判定部1224が決定した地上基準局130の基地局情報又は当該地上基準局130に対応する差分測位情報を、路側ユニット121に送信し、路側ユニット121が、当該基地局情報又はそれに対応する差分測位情報を路側にブロードキャストするように制御し、ここで、基地局情報は、当該地上基準局130の観測データ、識別情報などを含む。路側ユニット121が路側にブロードキャストしたメッセージに差分測位情報が含まれる場合、路側情報管理部1225は、高精度測位プラットフォーム140から受信した差分測位情報を記憶し、路側ユニット121が、決定された地上基準局130の基地局情報を路側の端末機器150にブロードキャストするだけでよい場合、路側情報管理部1225は、差分測位情報を路側ユニット121に送信する必要がなく、路側ユニット121が差分測位情報を路側の端末機器150にブロードキャストする必要がある場合、路側情報管理部1225は、差分測位情報を路側ユニット121に同時に送信する。
【0054】
路側ユニット121は、制御情報に基づいてブロードキャストメッセージを形成し、路側にブロードキャストする。路側ユニット121が、決定された地上基準局130の基地局情報をブロードキャストするだけでよい場合、ブロードキャストメッセージには、地上基準局130の識別情報のみが含まれ、路側ユニット121が差分測位情報をブロードキャストする必要がある場合、ブロードキャストメッセージには、差分測位情報が含まれる。路側ユニット121がブロードキャストした差分測位情報は、高精度測位プラットフォーム140又は地上基準局130又は仮想基準局から取得することができる。
【0055】
端末機器150は、衛星110から受信した衛星測位情報及び車載ユニット151が路側ユニット121から受信したブロードキャストメッセージに基づいて、測位結果を算出する。ブロードキャストメッセージに地上基準局130の識別情報のみが含まれている場合、端末機器150は、当該識別情報に基づいて、高精度測位プラットフォーム140から当該地上基準局130に対応する差分測位情報を取得し、ブロードキャストメッセージに差分測位情報が含まれている場合、当該差分測位情報を直接取得し、次に、端末機器150は、衛星測位信号及び差分測位情報に基づいて、測位結果を計算する。
【0056】
路側情報管理装置122の機能は、
図3に示す1つの装置によって個別に実現することができ、同時に、衛星信号受信部1221を除いた他の要素も、路側ユニット121又は車載ユニット151又は高精度測位プラットフォーム140に統合され得、個別の装置として路側に設置され、又は路側ユニット121又は車載ユニット151に統合される場合、機器のコストが高くなるが、車載ユニット151が差分測位情報を取得する遅延を減らすことができ、高精度測位プラットフォーム140に統合される場合、路側又は車両側機器のコストは削減されるが、車載ユニット151が差分測位情報を取得する遅延が増加し、技術者は、機器のコスト、遅延要求に応じて適切な方式を選択して、当該装置の機能を実行することができる。
【0057】
一実施例では、
図4は、本願の実施例による基地局決定方法のフローチャートであり、
図4に示すように、上記システムアーキテクチャに基づいて、基地局決定方法は、以下のステップを含む。
【0058】
ステップS401において、路側情報管理装置は、衛星測位信号を受信し、測位情報を取得する。
【0059】
ここで、測位情報は、少なくとも衛星の座標、衛星測位信号伝播遅延を含む。
【0060】
ステップS402において、複数グループの地上基準局の観測データを受信し、複数グループの差分測位情報を取得する。
【0061】
具体的には、路側情報管理装置は、近くの地上基準局の観測データを高精度測位プラットフォームに照会し、照会要求には、路側情報管理装置の位置情報が含まれる。高精度測位プラットフォームは、その位置情報に基づいて、この位置の近くの複数の地上基準局を照会し、これらの基準局の観測データを取得し、次に、高精度測位プラットフォームは、対応する差分測位情報を算出し、次に、複数グループの地上基準局130の情報及びそれに対応する複数グループの差分測位情報を得ることができる。
【0062】
ここで、複数の地上基準局の選択方式は、路側情報管理装置に最寄りの複数の地上基準局を選択する方式でもよく、路側情報管理装置の周囲のある距離範囲内の複数の地上基準局を選択する方式でもよい。
【0063】
ここで、差分測位情報は、少なくとも衛星及び受信機のクロック差、大気伝播遅延、マルチパス効果などの誤差を含む。
【0064】
ステップS403において、衛星測位信号及び複数グループの差分測位情報に基づいて、路側情報管理装置の複数グループの計算位置を計算する。
【0065】
ステップS404において、複数グループの計算位置及び路側情報管理装置の実際位置に基づいて、現在最適な1グループの地上基準局の観測データを判定し、選択する。
【0066】
ここで、最適な1グループの地上基準局の観測データの選択根拠は、路側情報管理装置の実際位置に最寄りの計算位置所に対応するグループの地上基準局の観測データを選択することである。
【0067】
ステップS405において、判定結果に基づいて制御情報を生成し、制御情報を路側ユニットに送信する。
【0068】
判定結果は、選択した最適な1グループの地上基準局の観測データ又は地上基準局に対応する差分測位情報である。路側ユニットが、選択された地上基準局情報を路側の端末機器に送信するだけでよい場合、制御情報には、差分測位情報が含まれない。路側ユニットが、選択された差分測位情報を路側の端末機器に送信する必要がある場合、制御情報には、差分測位情報が含まれる。
【0069】
ステップS406において、制御情報に基づいてブロードキャストメッセージを生成し、ブロードキャストメッセージを端末機器に送信する。
【0070】
路側ユニットが、選択された地上基準局情報を送信するだけでよい場合、制御情報には、差分測位情報が含まれなく、ブロードキャストメッセージには、選択された地上基準局の識別情報のみが含まれ、路側ユニットは、当該識別情報を端末機器に送信する。路側ユニットが差分測位情報を送信する必要がある場合、制御情報には、差分測位情報が含まれ、ブロードキャストメッセージには、差分測位情報のみが含まれ、路側ユニットは、差分測位情報を端末機器に送信する。当該差分測位情報は、高精度測位プラットフォーム又は地上基準局又は仮想基準局から取得することができる。
【0071】
ステップS407において、衛星から受信した衛星測位信号及びメッセージに基づいて、測位結果を算出する。
【0072】
ブロードキャストメッセージに、選択された地上基準局の識別情報のみが含まれる場合、端末機器は、識別情報に基づいて、高精度測位プラットフォームから当該地上基準局に対応する差分測位情報を取得する。ブロードキャストメッセージに差分測位情報のみが含まれる場合、当該差分測位情報を直接取得し、端末機器は、衛星測位信号及び差分測位情報に基づいて、測位結果を計算する。
【0073】
本願の実施例では、路側機器は、周辺エリアの複数の地上基準局の差分測位情報を取得し、受信した衛星測位信号及び取得した複数グループの差分測位情報に基づいて、各グループの差分測位情報に対応する路側機器計算位置をそれぞれ計算し、各グループの計算位置を路側機器の実際位置と比較し、実際位置に最寄りの計算位置に対応する1グループの差分測位情報に対応する基地局を、ここでの最適な地上基準局として選択することにより、最適な差分測位情報を測位端末に提供し、地上基準局が故障及び地上基準局での干渉が大きい場合に、不正解な差分測位情報の使用を回避し、測位精度を向上させる。路側機器における路側ユニットと端末機器における車載ユニットが差分測位情報を伝送することができるため、車載端末機器と高精度測位プラットフォームとの通信接続を確立する必要がなく、即ち、モバイル通信モジュールや高精度測位機能の開通が不要となり、機器コストを削減することができる。本願の実施例は、高速道路及び都市高速道路などの車両と道路の協調シナリオを含む高精度衛星測位要件に適用可能であるが、これらに限定されない。
【0074】
図5は、本願の実施例による基地局決定装置の概略構造図である。
図5に示すように、前記基地局決定装置は、取得部510と、計算部520と、決定部530と、を備えることができ、
取得部510は、少なくとも1つの基地局の差分測位情報を取得するように構成される。
【0075】
計算部520は、受信した衛星測位信号及び少なくとも1グループの差分測位情報に基づいて、少なくとも1グループの差分測位情報に対応する路側機器の計算位置をそれぞれ計算するように構成される。
【0076】
決定部530は、路側機器の計算位置及び路側機器の実際位置に基づいて、少なくとも1つの基地局からターゲット基地局を決定するように構成され、ターゲット基地局は、計算位置と実際位置との距離が最小である計算位置に対応する差分測位情報に対応する基地局である。
【0077】
一実施例では、取得部510は、具体的には、基地局の少なくとも1グループの観測データを取得し、少なくとも1グループの観測データに基づいて、高精度測位プラットフォームにより少なくとも1グループの差分測位情報を算出するように構成される。
【0078】
一実施例では、前記基地局決定装置はさらに、削除部を備え、前記削除部は、ネットワーク異常の基地局が存在する場合、少なくとも1グループの差分測位情報から、ネットワーク異常の基地局に対応する差分測位情報を削除するように構成される。
【0079】
一実施例では、計算部520はさらに、計算位置と実際位置との距離の平均値を計算するように構成され、取得部510はさらに、基地局と路側機器との第1距離を取得するように構成され、決定部530はさらに、計算位置と実際位置との距離、平均値、及び第1距離に基づいて、基地局をターゲット基地局として決定するように構成される。
【0080】
一実施例では、決定部530は、具体的には、計算位置と実際位置との距離、平均値、及び第1距離に対して正規化処理を行い、3つの正規化値を得、3つの正規化値に対応する重み値をそれぞれ決定し、重み値及び3つの正規化値に基づいて、総合指標値を得、最高の総合指標値に対応する基地局をターゲット基地局として決定するように構成される。
【0081】
図5に示す装置の各部は、
図2の各ステップを実現する機能を有し、それに対応する技術的効果を達成することができ、簡潔のために、ここでは繰り返して説明しない。
【0082】
図6は、本願の実施例による基地局決定機器の概略構造図である。
【0083】
図6に示すように、基地局決定機器は、プロセッサ601と、コンピュータプログラム命令が記憶されたメモリ602と、を備えることができる。
【0084】
具体的には、前記プロセッサ601は、中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)、又は特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)、又は本願の実施例を実施するように構成され得る1つ又は複数の集積回路を含み得る。
【0085】
メモリ602は、データ又は命令のための大容量メモリを含み得る。限定ではない例として、メモリ602は、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)、フロッピーディスクドライブ、フラッシュメモリ、光ディスク、光磁気ディスク、磁気テープ、又はユニバーサルシリアルバス(USB:Universal Serial Bus)ドライブ、又はこれらの2つ又はそれ以上の組み合わせを含み得る。一例では、メモリ602は、リムーバブル又は非リムーバブル(又は固定)媒体を含み得、又はメモリ602は、不揮発性固体記憶メモリであり得る。メモリ602は、統合ゲートウェイ災害復旧デバイスの内部又は外部であってもよい。
【0086】
一例では、メモリ602は、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体デバイス、光学記憶媒体デバイス、フラッシュメモリデバイス、電気的、光学的、又は他の物理的/有形記憶デバイスを含み得る。したがって、通常、メモリ602は、コンピュータ実行可能命令を含むソフトウェアで符号化された1つ又は複数の有形(非一時的)のコンピュータ可読記憶媒体(例えば、メモリデバイス)を含み、また、ソフトウェアが(例えば、1つ又は複数のプロセッサによって)実行されるときに、本願の一態様による方法に基づいて説明された動作を参照して実行するように動作することができる。
【0087】
プロセッサ601は、メモリ602に記憶されたコンピュータプログラム命令を読み取って実行することにより、
図2に示す実施例におけるステップS210~ステップS230を実現し、
図2に示す実施例がそのステップを実行することによって達成される、対応する技術的効果を達成し、簡潔のために、ここでは繰り返して説明しない。
【0088】
一例では、基地局決定機器はさらに、通信インターフェース603と、バス610と、を備えることができる。ここで、
図6に示すように、プロセッサ601、メモリ602、通信インターフェース603は、バス610を介して接続され、相互通信を完成する。
【0089】
通信インターフェース603は、主に本願の実施例における各構成要素、装置、ユニット及び/又はデバイス間の通信を実現するように構成される。
【0090】
バス610は、ハードウェア、ソフトウェア、又はその両方を含み、オンラインデータトラフィック課金デバイスの構成要素を互いに結合する。限定ではない例として、バスは、アクセラレーテッドグラフィックスポート(AGP:Accelerated Graphics Port)、又はその他のグラフィックスバス、拡張インダストリスタンダードアーキテクチャ(EISA:Extended Industry Standard Architecture)バス、フロントサイドバス(FSB:Front Side Bus)、ハイパートランスポート(HT:Hyper Transport)インターコネクト、インダストリスタンダードアーキテクチャ(ISA:Industry Standard Architecture)バス、無制限帯域幅相互接続、ローピンカウント(LPC)バス、メモリバス、マイクロチャネルアーキテクチャ(MCA)バス、周辺コンポーネント相互接続(PCI)バス、PCI-Express(PCI-X)バス、シリアルアドバンスドテクノロジアタッチメント(SATA)バス、ビデオ電子規格協会ローカル(VLB)バス、又はその他の適切なバス、又はこれらの2つ又はそれ以上の組み合わせを含み得る。適切な場合、バス610は、1つ又は複数のバスを含み得る。本願の実施例は、特定のバスを説明及び図示するが、本願は、任意の適切なバス又は相互接続を考慮する。
【0091】
この基地局決定機器は、衛星信号及び少なくとも1グループの差分測位情報に基づいて計算して得られた路側機器の計算位置及び路側機器の実際位置に基づいて、本願の実施例における基地局決定方法を実行し、それにより、
図1、
図2、
図3、
図4及び
図5を参照して説明した基地局決定方法及び装置を実現することができる。
【0092】
また、本願の実施例は、上記実施例における基地局決定方法を実装するためのコンピュータ記憶媒体を提供することができる。当該コンピュータ記憶媒体には、コンピュータプログラム命令が記憶され、当該コンピュータプログラム命令がプロセッサによって実行されるときに、上記実施例における基地局決定方法のいずれかを実施する。
【0093】
明確にすべきこととして、本願は、上述した特定の構成及び図示された処理に限定されないものである。簡潔にするために、既知の方法の詳細な説明は省略する。上記実施例では、いくつかの特定のステップが説明され、例として示されている。しかしながら、本願の方法プロセスは、説明及び図示された特定のステップに限定されず、当業者は、本願の精神を理解した上で、様々な変更、修正及び追加を行い、又はステップの順序を変更することができる。
【0094】
上述した構成ブロック図に示す機能ブロックは、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせとして実装することができる。ハードウェアで実装される場合、例えば、電子回路、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)、適切なファームウェア、プラグイン、機能カードなどであり得る。ソフトウェアで実施される場合、本願の要素は、必要なタスクを実行するために使用されるプログラム又はコードセグメントである。プログラム又はコードセグメントは、機械可読媒体に保存するか、搬送波で運ばれるデータ信号によって伝送媒体又は通信リンクを介して伝送することができる。「機械可読媒体」は、情報を記憶又は伝送できる任意の媒体を含み得る。機械可読媒体の例としては、電子回路、半導体記憶装置、ROM、フラッシュメモリ、消去可能ROM(EROM)、フロッピーディスク、CD-ROM、光ディスク、ハードディスク、光ファイバ媒体、無線周波数(RF:Radio Frequency)リンクなどを含む。コードセグメントは、インターネット、イントラネットなどのコンピュータネットワークを介してダウンロードすることができる。
【0095】
本願で言及される例示的な実施例は、一連のステップ又は装置に基づくいくつかの方法又はシステムを説明することにも留意されたい。しかしながら、本願は、上述したステップの順序に限定されるものではなく、つまり、実施例で説明した順序で実行してもよく、実施例と異なる順序で実行してもよく、いくつかのステップを同時に実行してもよい。
【0096】
上記本願の実施例における方法、装置(システム)、及びコンピュータプログラム製品に係るフローチャート及び/又はブロック図を参照しながら本願の各態様を説明したが、フローチャート及び/又はブロック図の各ブロック、及びフローチャート及び/又はブロック図の各ブロックの組み合わせは、いずれもコンピュータプログラム命令によって実現できることを理解されたい。これらのコンピュータプログラム命令は、機械を製造するために、汎用コンピュータ、専用コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサへ提供されてもよく、それにより、これらの命令はコンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサによって実行され、フローチャート及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックにおいて指定された機能/動作を実現する手段を創出する。このようなプロセッサは、汎用プロセッサ、専用プロセッサ、特定用途向けプロセッサ、又はフィールドプログラマブル論理回路であってもよいが、これらに限定されない。ブロック図及び/又はフローチャートにおける各ブロック、及びブロック図及び/又はフローチャートにおけるブロックの組み合わせは、指定される機能又は動作を実行するハードウェアに基づく専用システムによって実現してもよいし、又は専用ハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせによって実現してもよいことも理解できる。
【0097】
上記の説明は、本願の特定の実施形態に過ぎず、当業者なら、説明の便宜及び簡潔さのために、上記のシステム、モジュール及びユニットの特定の作業プロセスについては、前述の方法の実施例における対応するプロセスを参照できることを明確に理解することができ、ここでは繰り返して説明しない。本願の保護範囲はこれに限定されず、本願で開示された技術的範囲内で、当業者が容易に想到し得る変形又は置換はすべて、本願の保護範囲内に含まれるべきであることを理解されたい。