(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】データ解析方法、電子機器及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
H04W 24/08 20090101AFI20240319BHJP
H04W 24/10 20090101ALI20240319BHJP
H04W 88/18 20090101ALI20240319BHJP
H04B 17/309 20150101ALI20240319BHJP
【FI】
H04W24/08
H04W24/10
H04W88/18
H04B17/309
(21)【出願番号】P 2022581315
(86)(22)【出願日】2021-03-30
(86)【国際出願番号】 CN2021084181
(87)【国際公開番号】W WO2022001257
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2022-12-27
(31)【優先権主張番号】202010600125.3
(32)【優先日】2020-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】511151662
【氏名又は名称】中興通訊股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZTE CORPORATION
【住所又は居所原語表記】ZTE Plaza,Keji Road South,Hi-Tech Industrial Park,Nanshan Shenzhen,Guangdong 518057 China
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】劉建偉
(72)【発明者】
【氏名】韓静
(72)【発明者】
【氏名】董辛酉
【審査官】新井 寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-039099(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0070396(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0068443(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04B 17/309
H04W 4/00 - 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ解析方法であって、
ネットワークアップデート前のネットワーク性能指標データを第1のデータとして取得し、ネットワークアップデート後のネットワーク性能指標データを第2のデータとして取得することと、
前記第1のデータに対する前記第2のデータのデータ変動性に基づいて、ネットワークアップデート後のネットワーク性能解析結果を出力することと、
を含み、
前記第1のデータに対する前記第2のデータのデータ変動性に基づいて、ネットワークアップデート後のネットワーク性能解析結果を出力することは、
前記第1のデータに対する前記第2のデータの偏差率を算出することと、
前記偏差率が第1既定閾値より大きいネットワーク性能指標を出力することと、
を含むデータ解析方法。
【請求項2】
前記第1のデータに対する前記第2のデータの偏差率を算出することは、
既定時間ウィンドウ内で前記第1のデータに対する前記第2のデータの偏差率を算出することを含む
請求項1に記載のデータ解析方法。
【請求項3】
前記偏差率が第1既定閾値より大きいネットワーク性能指標を出力することの前に、
前記第1のデータおよび前記第2のデータに基づいて、前記ネットワーク性能指標の有意性検定の確率を算出することをさらに含み、
前記偏差率が第1既定閾値より大きいネットワーク性能指標を出力することは、
前記偏差率が第1既定閾値より大きく、且つ前記有意性検定の確率が第2既定閾値より小さいネットワーク性能指標を出力することを含む
請求項1に記載のデータ解析方法。
【請求項4】
前記偏差率が第1既定閾値より大きく、且つ前記有意性検定の確率が第2既定閾値より小さいネットワーク性能指標を出力することの後に、
前記偏差率が前記第1既定閾値より大きく、且つ前記有意性検定の確率が第2既定閾値より小さいネットワーク性能指標を、ターゲットネットワーク性能指標とすることと、
前記第1のデータおよび前記第2のデータに基づいて、前記ターゲットネットワーク性能指標の平均値変化率を算出することと、
前記偏差率および前記平均値変化率に基づいて、前記ターゲットネットワーク性能指標の指標変化度を算出することと、
前記指標変化度に応じて前記ターゲットネットワーク性能指標をソートし、ソートされた前記ターゲットネットワーク性能指標を出力することと
をさらに含む請求項3に記載のデータ解析方法。
【請求項5】
ソートされた前記ターゲットネットワーク性能指標を出力することの前に、
前記ターゲットネットワーク性能指標の、前記ターゲットネットワーク性能指標の算出される関連指標であるサブ指標を取得し、前記サブ指標の、ネットワークアップデート前のデータに対する、ネットワークアップデート後のデータの偏差率を算出することをさらに含み、
前記のソートされた前記ターゲットネットワーク性能指標を出力することは、
ソートされた前記ターゲットネットワーク性能指標と、前記偏差率が前記第1既定閾値より大きい前記サブ指標とを出力することを含む
請求項4に記載のデータ解析方法。
【請求項6】
【請求項7】
【請求項8】
電子機器であって、
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサと通信可能に接続されたメモリと、を含み、
前記メモリには前記少なくとも1つのプロセッサにより実行できる指令が記憶され、前記指令が前記少なくとも1つのプロセッサにより実行されることで、前記少なくとも1つのプロセッサによって請求項1から7の何れか一項に記載のデータ解析方法を実行できる
電子機器。
【請求項9】
コンピュータプログラムを記憶しているコンピュータ可読記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムがプロセッサにより実行された場合、請求項1から7の何れか一項に記載のデータ解析方法を実現する
コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、通信技術の分野に関し、特にデータ解析方法、電子機器及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
社会の日常生活、商業および公共サービスなどの各方面の通信需要を満たすために、通信ネットワークは持続的で安定した動作を保証する必要がある。しかしながら、ネットワークの性能やユーザ体験を改善するためには、通信ネットワークシステムでは、ネットワークパラメータの変更やバージョンアップなどの重要な操作を頻繁に行う必要があり、これらの重要な操作は通信ネットワークの安定性を損なう可能性があり、操作前後のネットワーク性能を評価して、重要な操作が適切であるか否かを確認必要があり、もし適切でない場合、フォールバックを行い、通信ネットワークの安定した動作を保証する必要がある。
【0003】
従来、重要な操作前後のネットワーク性能を評価するために、ネットワーク運用保守者は複数のネットワーク性能指標データを設計し、操作前後の各ネットワーク性能指標データの変化に基づいて、重要な操作の効果を評価している。
【0004】
しかしながら、従来からある方法は通常、ネットワーク運用保守者によって操作前後の複数のネットワーク性能指標の変化を人力で比較するため、大量の人的コストが必要であり、評価の効率が比較的低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願の実施形態の目的は、ネットワーク性能評価の効率を向上させ、人的コストを削減できるデータ解析方法、電子機器及び記憶媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した技術的課題を解決するために、本願の実施形態はデータ解析方法を提供し、前記データ解析方法は、ネットワークアップデート前のネットワーク性能指標データを第1のデータとして取得し、ネットワークアップデート後のネットワーク性能指標データを第2のデータとして取得することと、前記第1のデータに対する前記第2のデータのデータ変動性に基づいて、ネットワークアップデート後のネットワーク性能解析結果を出力することと、を含む。
【0007】
本願の実施形態は電子機器をさらに提供する。前記電子機器は、少なくとも1つのプロセッサ、前記少なくとも1つのプロセッサと通信可能に接続されたメモリとを含み、前記メモリには前記少なくとも1つのプロセッサにより実行できる指令が記憶されており、前記指令が前記少なくとも1つのプロセッサにより実行されることで、前記少なくとも1つのプロセッサにより上記したデータ解析方法を実行できる。
【0008】
本願の実施形態はコンピュータ可読記憶媒体をさらに提供し、前記コンピュータ可読記憶媒体はコンピュータプログラムを記憶しており、前記コンピュータプログラムがプロセッサにより実行された場合、上記に記載のデータ解析方法を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
一つ又は複数の実施形態をそれに対応する添付図面中の画像によって例示的に示し、これらの例示的な説明は、実施形態に対する限定を構成するわけではない。
【
図1】本願の第1実施形態により提供されるデータ解析方法の応用シナリオを例示する図である。
【
図2】本願の第1実施形態により提供されるデータ解析方法の模式フローチャートである。
【
図3】本願の第2実施形態により提供されるデータ解析方法の模式フローチャートである。
【
図4】本願の第3実施形態により提供されるデータ解析方法の模式フローチャートである。
【
図5】本願の第3実施形態により提供されるデータ解析方法におけるS304の後のステップの模式フローチャートである。
【
図6】本願の第4実施形態により提供される電子機器の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本願の実施形態の目的、技術案及び利点をより明らかにするために、以下では、添付図面を組み合わせて本願の各実施形態を詳しく説明する。しかしながら、当業者であれば、本願の各実施形態において、読み手に本願をよりよく理解してもらうために多くの詳細な技術が提示されていることを理解することができる。しかし、これらの詳細な技術及び以下の各実施形態に基づく様々な変更及び修正がなくとも、本願の保護を求める技術案を実現することができる。以下の各実施形態の区分は、説明の便宜のためになされており、本願の具体的な実施形態にいかなる限定を構成すべきではなく、各実施形態は、矛盾しない限り、組み合わせたり互いを引用したりすることができる。
【0011】
本願の第1実施形態は、データ解析方法に関する。ネットワークアップデート前のネットワーク性能指標データを第1のデータとして取得し、ネットワークアップデート後のネットワーク性能指標データを第2のデータとして取得することにより、第1のデータに対する第2のデータのデータ変動性に基づいて、ネットワークアップデート後のネットワーク性能解析結果を出力する。ネットワークアップデート前に対するネットワークアップデート後のネットワーク性能指標のデータのデータ変動性に基づいて、ネットワークアップデート後の効果を解析し、ネットワークアップデート後のネットワーク性能解析結果を出力することにより、ネットワーク運用保守者が人力で比較する必要がないので、人的コストを削減し、ネットワークアップデート評価の効率が向上する。
【0012】
なお、本願の実施形態により提供されるデータ解析方法の実行主体はサーバ側であり、サーバ側は、個別のサーバまたは複数のサーバからなるサーバクラスタにより実現されてもよいが、以下では、サーバ側を例として説明する。
【0013】
図1を参照し、
図1は本願の実施形態により提供されるデータ解析方法の一つの可能な応用シナリオであり、すなわち、LTEネットワーク環境に応用される場合であり、LTEネットワークではネットワークパラメータの変更、バージョンアップなどの重要な操作が伴い、例えば、LTEネットワークに新たにネットワークノードを開設する場合、ネットワーク動作状態に応じて頻繁にパラメータを調整したりバージョンアップを行ったりする必要があるため、ネットワークが安定して動作できるようにするためには、LTEネットワークのネットワークアップデート後の効果を評価して、ネットワークアップデートの状態を保持するかフォールバックを行うかを決定する必要がある。なお、本願の実施形態は、5Gネットワークなどの他のネットワーク環境にも適用可能であることは明白である。
【0014】
本願の実施形態により提供されるデータ解析方法の具体的な流れは
図2に示すように、具体的には、以下のステップを含む。
【0015】
S101において、ネットワークアップデート前のネットワーク性能指標データを第1のデータとして取得し、ネットワークアップデート後のネットワーク性能指標データを第2のデータとして取得する。
【0016】
ネットワーク性能指標データは、重要性能指標データ(KPI)又は一般的な性能指標データを含むことができ、例えば、RRC通話中断率、RRC接続確立成功率、アップリンクとダウンリンクの平均トラフィック等、ネットワーク動作状態を反映できる性能指標データであり、具体的には実際の需要に応じて選択して使用することができ、本願の実施形態はこれについて具体的な限定をしない。
【0017】
第1のデータを取得する場合、ネットワークアップデート前の一部または全部のネットワーク性能指標データを第1のデータとして取得することができる。同様に、第2のデータを取得する場合、ネットワークアップデート後の一部または全部のネットワーク性能指標データを第2のデータとして取得することができる。また、当然のことながら、第1のデータのデータ量と第2のデータのデータ量とは同じであっても異なっていてもよく、例えば、第1のデータが5日間のデータであれば、第2のデータが3日間のデータであるようにする。あるいは、第1のデータと第2のデータとの比較可能性を高めるために、第1のデータと第2のデータとは同じデータ量を有してもよく、例えば、第1のデータが5日間のデータであれば、第2のデータも5日間のデータであるようにする。本実施形態において、平日と週末ではネットワーク動作状態が異なる可能性があるため、第1のデータと第2のデータの比較可能性をさらに高めるために、第1のデータと第2のデータを平日と週末の具体的な曜日を一致させてもよく、例えば、第1のデータが月曜日から金曜日までの5日間のデータであれば、第2のデータも同様に月曜日から金曜日までのデータであるようにする。同様に、第1のデータと第2のデータを時刻的にさらに一致させてもよく、例えば、第1のデータが午前0時から午前7時までのデータであれば、第2のデータも午前0時から午前7時までのデータであるようにする。
【0018】
実際の応用において、第1のデータと第2のデータの選択は通常、次の2つの状況に直面する。一つは、ネットワークアップデート後の迅速な評価である。例えば、運用保守者はできるだけ早くネットワークアップデートの評価結果を知る必要があるため、ネットワークアップデート後の一日以内にネットワークアップデートの評価を完了させる。もう一つは、ネットワークアップデートから比較的長い期間が経過した後の安定性評価である。つまり、ネットワークアップデート後、短期間内に異常が発見されないが、長期動作の安定性効果については、運用保守者による評価がやはり必要である。1つ目の状況について、ネットワークアップデート後のネットワーク性能指標データが比較的少ないため、第2のデータとして選択できるデータの量も比較的少ない。このため、時間粒度が比較的細かいネットワーク性能指標データ、例えば15分間のサンプルデータを選択することができる。一方、ネットワークアップデート前のネットワーク性能指標データが比較的多いため、第1のデータとして選択できるデータも比較的多い。選択する時間粒度を第2のデータと同じくすると同時に、複数の日のある時刻のデータの平均値をそのうちの1つのデータとしてもよい。例えば、第1のデータが月曜日の午前8時のデータであれば、第2のデータは複数の月曜日の午前8時のデータの平均値とすることができる。2つ目の状況について、ネットワークアップデート前とネットワークアップデート後の両方でネットワーク性能指標データが比較的多いため、第1のデータと第2のデータをより代表的なものにするために、タイムスパンの比較的広いデータを選択してもよい。例えば、第1のデータについても、第2のデータについても、複数の月曜日の午前8時のデータの平均値をそのうちの1つのデータとすることができる。
【0019】
ネットワーク性能指標データに欠落または他の欠陥がある可能性があるため、第1のデータおよび第2のデータについて、対応する前処理を行ってもよい。ここで、前処理は、欠落値の補完、平滑化フィルタリングなどを含んでもよい。例えば、欠落値の補完として、欠落値のあるデータサンプリング時刻に対して、直前の時刻のサンプリング値で補完してもよく、平滑化フィルタリングとして、データ平均値プラス/マイナスの標準偏差の3倍の範囲外のサンプリング値に対して、データの中央値で置換してもよい。もちろん、前処理として他の方式を採用してもよく、処理の方式も他の方式を採用してもよいが、具体的にどのように前処理を行うかは実際の需要に応じて設定することが可能で、ここでは具体的な制限はしない。
【0020】
S102において、第1のデータに対する第2のデータのデータ変動性に基づいて、ネットワークアップデート後のネットワーク性能解析結果を出力する。
【0021】
あるいは、第1のデータに対する第2のデータのデータ変動性を解析する際には、データマイニングや機械学習などのアルゴリズムを使用することが可能で、具体的に使用するアルゴリズムは、実際の需要に応じて設定または選択することが可能で、第1のデータに対する第2のデータのデータ変動性を比較できればよく、ここでは具体的な限定はしない。さらに、データ変動性は、標準偏差を使用して評価してもよく、他の方法または基準を使用して評価してもよい。
【0022】
なお、当然のことながら、データ変動が大きい場合、それに応じてネットワーク性能も大きく変化するため、第1のデータに対して第2のデータのデータ変動性が大きい(増大と減少両方を含む)状況に注目すべきである。あるいは、第1のデータに対する第2のデータのデータ変動性に基づいて、ネットワークアップデート後のネットワーク性能解析結果を出力する際に、データ変動の範囲を設定し、第1のデータに対する第2のデータのデータ変動性が該変動の範囲を超えた場合、対応するネットワーク性能指標及びデータ変動の提示データを、ネットワークアップデート後のネットワーク性能解析結果として出力してもよい。あるいは、データ変動度に応じて第2のデータをソートし、ソートされた第2のデータをネットワークアップデート後のネットワーク性能解析結果として出力するようにしてもよい。もちろん、ネットワークアップデート後のネットワーク性能解析結果は、本願の実施形態に具体的に制限されることなく、他の形式または他の態様の内容であってもよい。
【0023】
本願の実施形態により提供されるデータ解析方法によれば、ネットワークアップデート前のネットワーク性能指標データを第1のデータとして取得し、ネットワークアップデート後のネットワーク性能指標データを第2のデータとして取得することにより、第1のデータに対する第2のデータのデータ変動性に基づいて、ネットワークアップデート後のネットワーク性能解析結果を出力する。データ変動性により、ネットワークアップデート後のネットワーク性能の変化を効果的に反映することができるため、ネットワークアップデート前後のデータに基づいてデータ変動性を自動的に算出し、データ変動性に基づいてネットワークアップデート後のネットワーク性能の解析結果を出力することにより、ネットワークアップデートの効果の評価を効果的に実現することができ、ネットワーク運用保守者が人力で比較して解析する必要がないため、人的コストを削減し、ネットワークアップデート評価の効率を向上させることができる。
【0024】
本願の第2実施形態は、データ解析方法に関し、第1実施形態とほぼ同じであるが、主な違いは以下の通りである。本実施形態において、第1のデータに対する第2のデータのデータ変動性に基づいて、ネットワークアップデート後のネットワーク性能解析結果を出力することは、具体的には、第1のデータに対する第2のデータの偏差率を算出し、偏差率が第1既定閾値より大きいネットワーク性能指標を出力することを含む。偏差率を用いて、第1のデータに対する第2のデータのデータ変動性を効果的に反映できるため、第1のデータに対する第2のデータの偏差率を算出することにより、ネットワークアップデート後のネットワーク性能を効果的に解析および評価することができる。
【0025】
本願の実施形態により提供されるデータ解析方法の具体的な流れは
図3に示すように、具体的には、以下のステップを含む。
【0026】
S201において、ネットワークアップデート前のネットワーク性能指標データを第1のデータとして取得し、ネットワークアップデート後のネットワーク性能指標データを第2のデータとして取得する。
【0027】
S202において、第1のデータに対する第2のデータの偏差率を算出する。
【0028】
S203において、偏差率が第1既定閾値より大きいネットワーク性能指標を出力する。
【0029】
なお、S201は、第1の実施形態のS101と同様であり、具体的には第1の実施形態についての説明を参照することができるので、重複を避けるためここでは説明を省く。
【0030】
S202およびS203について、具体的には、第1のデータに対する第2のデータの偏差率とは、第1のデータより大きい第2のデータのサンプル数と第1のデータより小さい第2のデータのサンプル数とのうちの大きい方のサンプル数が全サンプルに占める割合である。たとえば、サンプリング粒度が15分間で、ネットワークアップデート後、1時から4時までのデータを第2のデータとすれば、第2のデータには12個のサンプルがあり、ネットワークアップデート前、複数の日の平均データを第1のデータとすれば、第1のデータにも12個のサンプルがあり、第1のデータより大きい第2のデータのサンプル数が9であり、第1のデータより小さい第2のデータのサンプル数が3である場合、第1のデータより大きい第2のデータのサンプル数は、第1のデータより小さい第2のデータのサンプル数より大きいため、偏差率は、全サンプルに占める第1のデータより大きい第2のデータのサンプル数の割合とすべきであり、すなわち、=9/12=0.75となる。あるいは、第1のデータより大きい第2のデータのサンプル数と第1のデータより小さい第2のデータのサンプル数との比較の結果は、同じ時刻のサンプルの比較によるものであってもよい。例えば、1時の第2のデータのサンプルデータと1時の第1のデータのサンプルデータとを比較し、1時15分の第2のデータのサンプルデータと1時15分の第1のデータのサンプルデータとを比較するなどして、データ比較の真正性や信憑性を高める。
【0031】
偏差率は、第1のデータより大きい第2のデータのサンプル数と第1のデータより小さい第2のデータのサンプル数とのうちの大きい方のサンプル数が全サンプル数に占める割合であるため、偏差率を算出すると同時に、偏差率が増大したか減少したかの情報を得ることもできる。例えば、上記の例では、0.75の偏差率は、第1のデータより大きい第2のデータのサンプル数が全サンプルに占める割合であるため、第2のデータが増大した情報を得ることができる。あるいは、偏差率が第1既定閾値より大きいネットワーク性能指標を出力する際に、第2のデータが増大したかそれとも減少したかの情報をさらに出力してもよい。
【0032】
第1既定閾値は、実際の状況に応じて設定してもよく、対応する閾値パラメータテーブルを設けて、必要に応じて閾値パラメータテーブルから適切な閾値を第1既定閾値として選択し、さらに第1既定閾値に基づいてデータ変動性について判断してもよい。例えば、第1既定閾値が0.8であり、あるネットワーク性能指標の計算結果が0.75であり、第1既定閾値より小さい場合、該ネットワーク性能指標の偏差率が合理的な範囲内であることを示し、有意な変化が生じておらず、特に注意する必要はないと考えられる。仮に別のネットワーク性能指標が0.9で、第1既定閾値より大きい場合、該ネットワーク性能指標の偏差率が合理的な範囲を超えていることを示し、有意な変化が発生し、特に注意する必要があると考えられるため、該ネットワーク性能指標を出力することで、ネットワーク運用保守者が該ネットワーク性能指標に重点的に注意するようにする。第1既定閾値より大きい偏差率を有するネットワーク性能指標が2つ以上存在する場合、サーバ側は、第1既定閾値より大きい偏差率を有するネットワーク性能指標を出力する際に、これらのネットワーク性能指標をソートし、ソートされたネットワーク性能指標を出力してもよい。
【0033】
第2のデータ自体に大きな変動性がある可能性があるので、第1のデータに対する第2のデータの偏差率を比較的大きい時間範囲で計算すると、偏差率は第1のデータに対する第2のデータの実際のデータ変動性を正しく反映できない可能性がある。例えば、第2のデータと第1のデータにそれぞれ10個のサンプルデータがあり、第2のデータの最初の6個のサンプルデータが第1のデータより大きく、後の4個のサンプルデータが第1のデータより小さい場合、偏差率=6/10=0.6であり、該偏差率は大きいとは言えないが、第2のデータと第1のデータの最初の5個のサンプルデータのみを比較すると、偏差率は5/5=1となり、0.6の偏差率よりはるかに大きい。
【0034】
第1のデータに対する第2のデータの偏差率をより正確に計算するために、一つの具体的な例において、第1のデータに対する第2のデータの偏差率を算出することは、具体的には、既定時間ウィンドウ内で第1のデータに対する第2のデータの偏差率を算出する。既定時間ウィンドウとは、第1のデータ及び/又は第2のデータのサンプルデータに対応する時間範囲であり、ここでは具体的には限定しないが、実際の状況に応じて設定することができる。例えば、12時間を既定時間ウィンドウとして選択し、12時間の既定時間ウィンドウ内の、第1のデータに対する第2のデータの偏差率を考察する。
【0035】
本願の実施形態により提供されるデータ解析方法によれば、第1のデータに対する第2のデータの偏差率を算出し、偏差率が第1既定閾値より大きいネットワーク性能指標を出力することにより、偏差率を用いてデータ変動性を効果的に反映できるため、第1のデータに対する第2のデータの偏差率を算出することにより、第1のデータに対する第2のデータのデータ変動性を効果的に評価して、ネットワークアップデート後のネットワーク性能を効果的に解析および評価することができる。
【0036】
本願の第3実施形態は、データ解析方法に関し、第2実施形態とほぼ同じであるが、主な違いは以下の通りである。本実施形態において、偏差率が第1既定閾値より大きいネットワーク性能指標を出力することの前に、第1のデータおよび第2のデータに基づいて、ネットワーク性能指標の有意性検定の確率を算出することをさらに含み、偏差率が第1既定閾値より大きいネットワーク性能指標を出力することは、偏差率が第1既定閾値より大きく、且つ有意性検定の確率が第2既定閾値より小さいネットワーク性能指標を出力することを含む。有意性検定の確率により、第1のデータに対する第2のデータのデータ変動性の変化の有意性、および第1のデータに対する第2のデータの偏差率の信頼性と信憑性を検定できるため、第1のデータおよび第2のデータに基づいてネットワーク性能指標の有意性検定の確率を算出することにより、第1のデータに対する第2のデータのデータ変動性を評価すると同時に、第1のデータに対する第2のデータの偏差率の信頼性と信頼性を検証することができるので、より正確なネットワークアップデート後のネットワーク性能解析結果を出力することができる。
【0037】
本願の実施形態により提供されるデータ解析方法の具体的な流れは
図4に示すように、具体的には、以下のステップを含む。
【0038】
S301において、ネットワークアップデート前のネットワーク性能指標データを第1のデータとして取得し、ネットワークアップデート後のネットワーク性能指標データを第2のデータとして取得する。
【0039】
S302において、第1のデータに対する第2のデータの偏差率を算出する。
【0040】
S303において、第1のデータおよび第2のデータに基づいて、ネットワーク性能指標の有意性検定の確率を算出する。
【0041】
S304において、偏差率が第1既定閾値より大きく、且つ有意性検定の確率が第2既定閾値より小さいネットワーク性能指標を出力する。
【0042】
なお、S301およびS302は、第2の実施形態のS201およびS202と同様であり、具体的には第2の実施形態についての説明を参照することができるので、重複を避けるためここでは説明を省く。
【0043】
S303およびS304について、第1のデータおよび第2のデータに基づいて、ネットワーク性能指標の有意性検定の確率を算出することは、第1のデータおよび第2のデータに基づいてT検定のP値を算出することで、ネットワーク性能指標の有意性検定の確率を算出してもよく、また、T2検定のP値を算出するなど、他の有意性検定の算出方法であってもよい。
【0044】
第2既定閾値は、実際の需要に応じて、例えば0.05に設定することができる。算出される有意性検定の確率が0.05より大きい場合、偏差率が第1既定閾値より大きい結果の信頼性および信憑性が低いことを示す。算出される有意性検定の確率が0.05より小さい場合、偏差率が第1既定閾値より大きい結果の信頼性および信憑性が高く、ネットワークアップデート後のネットワーク性能解析結果として出力できることを示す。また、有意性検定の確率が小さいほど、第1のデータに対する第2のデータのデータ変動性の変化が有意であることを示す。なお、有意性検定の確率により、データ変動性の変化の有意水準を反映することができるので、有意性検定の確率に基づいて、第1のデータに対する第2のデータのデータ変動性を評価することもできる。あるいは、ネットワーク性能解析結果を出力する際に、更なる解析のために、有意性検定の確率を併せて出力してもよい。あるいは、算出される有意性検定の確率が第2既定閾値より大きい場合、第2のデータ及び/又は第1のデータのサンプルデータを改めて選択し、第1のデータに対する第2のデータの偏差率および対応する有意性検定の確率を改めて計算してもよい。
【0045】
一つの具体的な例において、
図5に示されるように、偏差率が第1既定閾値より大きく、且つ有意性検定の確率が第2既定閾値より小さいネットワーク性能指標を出力することの後に、以下のステップをさらに含む。
【0046】
S305において、偏差率が第1既定閾値より大きく、且つ有意性検定の確率が第2既定閾値より小さいネットワーク性能指標を、ターゲットネットワーク性能指標とする。
【0047】
S306において、第1のデータおよび第2のデータに基づいて、ターゲットネットワーク性能指標の平均値変化率を算出する。
【0048】
S307において、偏差率および平均値変化率に基づいて、ターゲットネットワーク性能指標の指標変化度を算出する。
【0049】
S308において、指標変化度に応じてターゲットネットワーク性能指標をソートし、ソートされたターゲットネットワーク性能指標を出力する。
【0050】
あるいは、第1のデータおよび第2のデータに基づいて、ターゲットネットワーク性能指標の平均値変化率を算出することは、下式(1)により算出することができる。
【0051】
【0052】
【0053】
なお、式(1)は平均値変化率を算出する算出方法のうちの1つに過ぎず、平均値変化率の算出は他の算出方法としてもよく、ここでは具体的な制限はしない。
【0054】
あるいは、偏差率および平均値変化率に基づいて、ターゲットネットワーク性能指標の指標変化度を算出することは、具体的には、下式(2)により算出することができる。
【0055】
【0056】
ここで、DCはターゲットネットワーク性能指標の指標変化度であり、diff_ratioは第1のデータに対する第2のデータの偏差率であり、CRは平均値変化率であり、α>1、0<β<1である。本実施形態において、α=4、β=1/4である。
【0057】
式(2)から、指標変化度は偏差率と平均値変化率の重み付き値であり、しかも偏差率の影響がより大きいことが分かる。
【0058】
指標変化度を算出した後、サーバ側で指標変化度に応じてターゲットネットワーク性能指標をソートし、ソートされたターゲットネットワーク性能指標を出力することで、ネットワーク運用保守者が迅速にネットワーク性能の解析結果を知り、重要なネットワーク性能指標をピックアップして重点的に注目できるようにすることにより、ネットワークアップデート後のネットワーク性能の更なる解析を実現する。
【0059】
一つの具体的な例において、ソートされたターゲットネットワーク性能指標を出力する前に、ターゲットネットワーク性能指標の、ターゲットネットワーク性能指標を算出する関連指標であるサブ指標を取得し、サブ指標の、ネットワークアップデート前のデータに対する、ネットワークアップデート後のデータの偏差率を算出することをさらに含み、ソートされたターゲットネットワーク性能指標を出力することは、ソートされたターゲットネットワーク性能指標と、偏差率が第1既定閾値より大きいサブ指標とを出力することを含む。
【0060】
サブ指標は例えば以下のように決定する。ターゲットネットワーク性能指標がRAB(無線アクセスベアラ)確立成功率である場合、RAB確立成功率=(CSドメインRAB確立成功RAB数+PSドメインRAB確立成功RAB数)/(CSドメインRAB確立要求のRAB数+PSドメインRAB確立要求のRAB数)*100%であり、RAB確立成功率を算出する際に、CSドメインRAB確立成功RAB数、PSドメインRAB確立成功RAB数、CSドメインRAB確立要求のRAB数、およびPSドメインRAB確立要求のRAB数の4つの関連指標を利用するため、これら4つの関連指標をRAB確立成功率のサブ指標とすることができる。
【0061】
あるいは、サブ指標は、関連カウンタ(counter)を使用して解析してもよい。例えば、ターゲットネットワーク性能指標がKPI/PIであれば、KPI/PIの式に従って関連カウンタ(counter)に関連付けて、サブ指標を決定することができる。算出された関連counterの偏差率が第1既定閾値より大きい場合、関連サブ指標に変動性があることを示す。また、偏差率が第1既定閾値より大きいサブ指標を、ソートされたターゲットネットワーク性能指標と共に出力することにより、ネットワーク性能指標の関連解析および提示の効果を達成することができる。
【0062】
本願の実施形態により提供されるデータ解析方法によれば、有意性検定の確率により、第1のデータに対する第2のデータのデータ変動性の変化の有意性、および第1のデータに対する第2のデータの偏差率の信頼性と信憑性を検定できるため、第1のデータおよび第2のデータに基づいてネットワーク性能指標の有意性検定の確率を算出することにより、第1のデータに対する第2のデータのデータ変動性を評価すると同時に、第1のデータに対する第2のデータの偏差率の信頼性と信頼性を検証することができるので、より正確なネットワークアップデート後のネットワーク性能解析結果を出力することができる。
【0063】
当業者であれば、上記の各種方法のステップ分けは、単に明確に説明するためになされたものであり、実装時に1つのステップに統合するか、又は一部のステップを複数のステップに再分割することができ、同一の論理的関係が含まれていれば、いずれも本願の保護範囲内に含まれること、アルゴリズム及びプロセスの中核となる設計を変更せずに、そのアルゴリズム又はプロセスに重要でない修正を加えたり、又は重要でない設計を導入したりしたものであれば、いずれも本願の保護範囲内に含まれることは、理解できるであろう。
【0064】
本願の第4実施形態は電子機器に関する。
図6に示すように、少なくとも1つのプロセッサ401、少なくとも1つのプロセッサ401と通信可能に接続されたメモリ402とを含み、メモリ402には少なくとも1つのプロセッサ401により実行できる指令が記憶されており、指令が少なくとも1つのプロセッサ401により実行されることで、少なくとも1つのプロセッサ401により上記したデータ解析方法を実行できる。
【0065】
ここで、メモリおよびプロセッサはバス方式で接続され、バスは任意の数の相互接続されたバスおよびブリッジを含むことができ、バスによって1つまたは複数のプロセッサとメモリの様々な回路が一つに接続される。バスはまた、周辺機器、電圧安定器、およびパワーマネジメント回路などの様々な他の回路を一つに接続することができるが、これらは当分野で周知なことであるので、本文ではこれ以上説明しない。バスインターフェースは、バスとトランシーバとの間のインターフェースを提供する。トランシーバは、1つの素子であってもよく、複数の受信機および送信機のような複数の素子であってもよく、伝送媒体上で様々な他の装置と通信するための手段を提供する。プロセッサによって処理されたデータはアンテナを介して無線媒体で伝送され、本実施形態において、アンテナはまたデータを受信して、プロセッサにデータを伝送する。
【0066】
プロセッサは、バスの管理および通常の処理を担う以外にも、さらにタイミング、周辺インターフェース、電圧調整、電源管理、およびその他の制御機能を含む様々な機能を提供することができる。一方、メモリは、プロセッサによって操作を実行するときに使用されるデータを記憶するために使用されてもよい。
【0067】
本願の第5実施形態は、コンピュータプログラムを記憶しているコンピュータ可読記憶媒体に関する。コンピュータプログラムがプロセッサにより実行された時、上記の方法実施形態を実現する。
【0068】
すなわち、当業者であれば、上記の実施形態の方法における全部または一部のステップを実施することは、プログラムによって関連するハードウェアに指令することによって実現できることは、理解できるであろう。このプログラムは1つの記憶媒体に記憶され、1つの装置(ワンチップコンピュータ、チップなどであってもよい)またはプロセッサ(processor)に本願の各実施形態に記載の方法の全部または一部のステップを実行させるためのいくつかの指令を含む。一方、前記した記憶媒体は、USBメモリ、リムーバブルハードディスク、リードオンリーメモリ(ROM:Read-Only Memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM:Random Access Memory)、磁気ディスク又は光ディスク等、プログラムコードを記憶可能な種々の媒体を含む。
【0069】
当業者であれば、上記の各実施形態は、本願を実施するための具体的な実施形態であり、実際の応用においては、本願の精神及び範囲を逸脱することなく、形式的に及び細部に様々な変更を加えることができることを理解することができる。