IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社 日立産業制御ソリューションズの特許一覧

特許7457198監視システム、中央制御装置、および、監視方法
<>
  • 特許-監視システム、中央制御装置、および、監視方法 図1
  • 特許-監視システム、中央制御装置、および、監視方法 図2
  • 特許-監視システム、中央制御装置、および、監視方法 図3
  • 特許-監視システム、中央制御装置、および、監視方法 図4
  • 特許-監視システム、中央制御装置、および、監視方法 図5
  • 特許-監視システム、中央制御装置、および、監視方法 図6
  • 特許-監視システム、中央制御装置、および、監視方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】監視システム、中央制御装置、および、監視方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20240319BHJP
【FI】
G05B23/02 301J
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023199537
(22)【出願日】2023-11-27
【審査請求日】2023-11-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000153443
【氏名又は名称】株式会社 日立産業制御ソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】高原 義彦
(72)【発明者】
【氏名】能勢 礼香
(72)【発明者】
【氏名】長田 開登
【審査官】田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/045922(WO,A1)
【文献】特開2014-149703(JP,A)
【文献】特開2021-009644(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設備の監視に関する情報である監視データを管理する中央制御装置と、前記監視データの入力に用いられるユーザ端末とを有する監視システムであって、
前記中央制御装置は、
新たに監視対象となる前記設備の監視項目を示すキー情報の通知を受け、そのキー情報を前記ユーザ端末に通知する確認部と、
通知された前記キー情報と、前記ユーザ端末から応答された入力情報とを対応付けた前記監視データをもとに、前記キー情報が示す監視対象の前記設備に対する一時的な監視処理を開始する設備監視部とを有しており、
前記ユーザ端末は、前記確認部から通知された前記キー情報に対応する前記監視データの前記入力情報を受け付け、前記入力情報を前記中央制御装置に応答することとし、
前記確認部は、通知する前記キー情報に対応する前記一時的な監視処理の有効期限を、前記ユーザ端末に前記入力情報として入力させ、
前記設備監視部は、
前記一時的な監視処理の有効期限の経過前に、有効期限を知らせるリマインドメッセージを送付するとともに、そのリマインドメッセージへの応答として、前記一時的な監視処理の有効期限を延長する手続きを受け付け、
前記一時的な監視処理の有効期限が経過後に、前記一時的な監視処理を終了させることを特徴とする
監視システム。
【請求項2】
設備の監視に関する情報である監視データを管理する中央制御装置と、前記監視データの入力に用いられるユーザ端末とを有する監視システムであって、
前記中央制御装置は、
新たに監視対象となる前記設備の監視項目を示すキー情報の通知を受け、そのキー情報を前記ユーザ端末に通知する確認部と、
通知された前記キー情報と、前記ユーザ端末から応答された入力情報とを対応付けた前記監視データをもとに、前記キー情報が示す監視対象の前記設備に対する一時的な監視処理を開始する設備監視部とを有しており、
前記ユーザ端末は、前記確認部から通知された前記キー情報に対応する前記監視データの前記入力情報を受け付け、前記入力情報を前記中央制御装置に応答することとし、
前記確認部は、通知する前記キー情報に対応する前記一時的な監視処理において監視対象となる前記設備に異常が発生した旨を知らせる異常警報を発生させるか否かを示す第1設定情報、および、異常警報の種類を示す第2設定情報のうちの少なくとも1つの警報設定情報を、前記ユーザ端末に前記入力情報として入力させ、
前記設備監視部は、前記ユーザ端末から応答された前記入力情報に含まれる前記警報設定情報に従って、異常警報を発生させることを特徴とする
監視システム。
【請求項3】
前記確認部は、前記ユーザ端末に前記入力情報として前記警報設定情報を入力させる代わりに、事前に作成された監視項目ごとの重要度を示すデータを参照して、通知する前記キー情報に対応する監視項目の重要度から、前記警報設定情報を求めることを特徴とする
請求項2に記載の監視システム。
【請求項4】
前記設備監視部は、前記一時的な監視処理において、異常警報を発生させた後に前記設備の異常が所定期間継続している場合には、再度異常警報を発生させることを特徴とする
請求項2に記載の監視システム。
【請求項5】
設備の監視に関する情報である監視データを管理する中央制御装置であって、
新たに監視対象となる前記設備の監視項目を示すキー情報の通知を受け、そのキー情報をユーザ端末に通知し、前記キー情報に対応する前記監視データの入力情報を前記ユーザ端末から受ける確認部と、
通知された前記キー情報と、前記ユーザ端末から応答された前記入力情報とを対応付けた前記監視データをもとに、前記キー情報が示す監視対象の前記設備に対する一時的な監視処理を開始する設備監視部とを有しており、
前記確認部は、通知する前記キー情報に対応する前記一時的な監視処理の有効期限を、前記ユーザ端末に前記入力情報として入力させ、
前記設備監視部は、
前記一時的な監視処理の有効期限の経過前に、有効期限を知らせるリマインドメッセージを送付するとともに、そのリマインドメッセージへの応答として、前記一時的な監視処理の有効期限を延長する手続きを受け付け、
前記一時的な監視処理の有効期限が経過後に、前記一時的な監視処理を終了させることを特徴とする
中央制御装置。
【請求項6】
設備の監視に関する情報である監視データを管理する中央制御装置であって、
新たに監視対象となる前記設備の監視項目を示すキー情報の通知を受け、そのキー情報をユーザ端末に通知し、前記キー情報に対応する前記監視データの入力情報を前記ユーザ端末から受ける確認部と、
通知された前記キー情報と、前記ユーザ端末から応答された前記入力情報とを対応付けた前記監視データをもとに、前記キー情報が示す監視対象の前記設備に対する一時的な監視処理を開始する設備監視部とを有しており、
前記確認部は、通知する前記キー情報に対応する前記一時的な監視処理において監視対象となる前記設備に異常が発生した旨を知らせる異常警報を発生させるか否かを示す第1設定情報、および、異常警報の種類を示す第2設定情報のうちの少なくとも1つの警報設定情報を、前記ユーザ端末に前記入力情報として入力させ、
前記設備監視部は、前記ユーザ端末から応答された前記入力情報に含まれる前記警報設定情報に従って、異常警報を発生させることを特徴とする
中央制御装置。
【請求項7】
設備の監視に関する情報である監視データを管理する中央制御装置と、前記監視データの入力に用いられるユーザ端末とを有する監視システムが実行する監視方法であって、
前記中央制御装置は、確認部と、設備監視部とを有しており、
前記確認部は、新たに監視対象となる前記設備の監視項目を示すキー情報の通知を受け、そのキー情報を前記ユーザ端末に通知し、
前記設備監視部は、通知された前記キー情報と、前記ユーザ端末から応答された入力情報とを対応付けた前記監視データをもとに、前記キー情報が示す監視対象の前記設備に対する一時的な監視処理を開始し、
前記ユーザ端末は、前記確認部から通知された前記キー情報に対応する前記監視データの前記入力情報を受け付け、前記入力情報を前記中央制御装置に応答することとし、
前記確認部は、通知する前記キー情報に対応する前記一時的な監視処理の有効期限を、前記ユーザ端末に前記入力情報として入力させ、
前記設備監視部は、
前記一時的な監視処理の有効期限の経過前に、有効期限を知らせるリマインドメッセージを送付するとともに、そのリマインドメッセージへの応答として、前記一時的な監視処理の有効期限を延長する手続きを受け付け、
前記一時的な監視処理の有効期限が経過後に、前記一時的な監視処理を終了させることを特徴とする
監視方法。
【請求項8】
設備の監視に関する情報である監視データを管理する中央制御装置と、前記監視データの入力に用いられるユーザ端末とを有する監視システムが実行する監視方法であって、
前記中央制御装置は、確認部と、設備監視部とを有しており、
前記確認部は、新たに監視対象となる前記設備の監視項目を示すキー情報の通知を受け、そのキー情報を前記ユーザ端末に通知し、
前記設備監視部は、通知された前記キー情報と、前記ユーザ端末から応答された入力情報とを対応付けた前記監視データをもとに、前記キー情報が示す監視対象の前記設備に対する一時的な監視処理を開始し、
前記ユーザ端末は、前記確認部から通知された前記キー情報に対応する前記監視データの前記入力情報を受け付け、前記入力情報を前記中央制御装置に応答することとし、
前記確認部は、通知する前記キー情報に対応する前記一時的な監視処理において監視対象となる前記設備に異常が発生した旨を知らせる異常警報を発生させるか否かを示す第1設定情報、および、異常警報の種類を示す第2設定情報のうちの少なくとも1つの警報設定情報を、前記ユーザ端末に前記入力情報として入力させ、
前記設備監視部は、前記ユーザ端末から応答された前記入力情報に含まれる前記警報設定情報に従って、異常警報を発生させることを特徴とする
監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視システム、中央制御装置、および、監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、対象システムの稼働状態を監視装置に監視させる監視システムが記載されている。監視装置は、稼働状態が異常であるときにはユーザに知らせることで、ユーザは早期にシステムの異常を把握できる。そのため、監視装置の監視項目DBでは構成要素毎に監視項目が設定され、正常・異常の判断となる目標値が設定されている。
しかし、監視項目を増やすほど、監視装置の負荷が高くなる。そこで、特許文献1では、構成要素が性能劣化と判定されるときのみ、その構成要素が依存する構成要素を更なる監視対象として自動追加する処理が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-018369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
対象システムを構成する各設備は、様々な原因で増設されたり改造されたりすることで、監視装置の監視対象も時間経過で変化する。監視装置が監視対象として登録するデータベースの内容も、対象システムの各設備の増設などにより、随時、更新する必要がある。
【0005】
図7は、監視システムによる監視処理のシーケンス図である。
この監視システムは、監視される側の現場設備装置10zおよび監視制御装置20zと、監視する側の中央制御装置30zとがネットワークで接続される。まず、現場設備装置10zの増設・改造が行われると(S11z)、その内容が監視制御装置20zに通知される。監視制御装置20zは、自身が収容する現場設備装置10zについての最新の状態を管理する。
【0006】
そして、監視制御装置20zの管理者は、S11zで通知された増設や改造の内容を確認し、その結果を監視制御装置20zの管理情報に反映する(S12z)。S12zの処理は、例えば、監視データを設定したり、回線データ定義追加・変更したりする処理である。S12zで反映された各情報は、監視制御装置20zから中央制御装置30zに通知される。
さらに、中央制御装置30zの管理者は、S12zで通知された増設・改造の内容を確認し、その結果を中央制御装置30zの管理情報に反映する(S13z)。これにより、増設された現場設備装置10zの最新情報は、監視制御装置20zおよび中央制御装置30zにそれぞれ登録されることで、現場設備装置10zが新たな監視対象となる。
【0007】
中央制御装置30zは、監視制御装置20zが管理する現場設備装置10zの状態が正常か否かを監視する処理を開始する(S21z)。監視制御装置20zは、S21zの処理を受け、自身が収容する現場設備装置10zの状態を収集して、その結果を中央制御装置30zに提供する旨の監視を開始する(S22z)。
【0008】
ここで、ある監視対象の現場設備装置10zに故障が発生したとする(S23z)。監視制御装置20zは、故障が発生した現場設備装置10zの状態を収集して、その結果を中央制御装置30zに通知する(S24z)。現場設備装置10zは、通知された故障の内容をユーザ端末などに表示することで(S25z)、ユーザに現場設備装置10zの故障を知らせる。
以上説明したように、監視処理(S21z)を開始するためには、監視制御装置20zの管理者による管理情報の反映処理(S12z)と、中央制御装置30zの管理者による管理情報の反映処理(S13z)との双方を準備する必要がある。
【0009】
しかし、監視制御装置20zの管理者と、中央制御装置30zの管理者とは、別々の業者であることも多い。その場合、監視制御装置20zの反映処理(S12z)と、中央制御装置30zの反映処理(S13z)との間の待ち期間(S19z)が、1か月などの長期間になってしまうこともある。
よって、待ち期間(S19z)では、新たに増設された現場設備装置10zが管理対象として登録される前の状態が続いてしまうので、現場設備装置10zの監視に空白期間が発生してしまっていた。
【0010】
なお、特許文献1などの従来の技術では、余計な監視項目を減らして、監視負荷を低減することが目的となっていた。よって、従来の技術では、監視の空白期間を減らす、つまり、適切に監視負荷を増やすという観点では、設計されていない。
【0011】
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、監視対象の設備が増えた場合、その設備に対する監視の空白期間を減らすことを、主な課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の監視システムは、以下の特徴を有する。
本発明は、設備の監視に関する情報である監視データを管理する中央制御装置と、前記監視データの入力に用いられるユーザ端末とを有する監視システムであって、
前記中央制御装置が、
新たに監視対象となる前記設備の監視項目を示すキー情報の通知を受け、そのキー情報を前記ユーザ端末に通知する確認部と、
通知された前記キー情報と、前記ユーザ端末から応答された入力情報とを対応付けた前記監視データをもとに、前記キー情報が示す監視対象の前記設備に対する一時的な監視処理を開始する設備監視部とを有しており、
前記ユーザ端末が、前記確認部から通知された前記キー情報に対応する前記監視データの前記入力情報を受け付け、前記入力情報を前記中央制御装置に応答することとし、
前記確認部は、通知する前記キー情報に対応する前記一時的な監視処理の有効期限を、前記ユーザ端末に前記入力情報として入力させ、
前記設備監視部は、
前記一時的な監視処理の有効期限の経過前に、有効期限を知らせるリマインドメッセージを送付するとともに、そのリマインドメッセージへの応答として、前記一時的な監視処理の有効期限を延長する手続きを受け付け、
前記一時的な監視処理の有効期限が経過後に、前記一時的な監視処理を終了させることを特徴とする。
その他の特徴は、後記する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、監視対象の設備が増えた場合、その設備に対する監視の空白期間を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態に関する監視システムの構成図である。
図2】本実施形態に関する図1の監視システムによる監視処理のシーケンス図である。
図3】本実施形態に関する監視項目格納部に格納される各テーブルである。
図4】本実施形態に関する一時監視項目の設定画面を示す画面図である。
図5】本実施形態に関する監視項目リストを示すテーブルである。
図6】本実施形態に関する監視システムの各装置のハードウェア構成図である。
図7】監視システムによる監視処理のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を図面を用いて説明する。
【0016】
図1は、監視システム100の構成図である。
監視システム100は、監視される側の現場設備装置10および監視制御装置20と、監視する側の中央制御装置30とがネットワークで接続される。また、ユーザがいる場所にあるユーザ卓40には、中央制御装置30を使用するユーザが操作する端末T1、T2が配置されている。中央制御装置30は、設備E1の監視に関する情報である監視データを管理する。端末T1、T2は、監視データの入力に用いられる。
現場設備装置10は、例えば、高速道路やトンネルに設置される設備E1,E2,E3であり、これらの各設備は、受配電・換気等の機能を持つ道路の付帯設備である。
監視制御装置20は、例えば、高速道路のインターチェンジごとに設置される子局M1、M2である。図1では、子局M1が設備E1を収容し、子局M2が設備E2,E3を収容するように接続されている。
【0017】
中央制御装置30は、例えば、道路施設の管制システムである道路管制部30Sに適用され、道路管制部30Sは、現場設備装置10の故障状況、動作状況を監視するため、各設備E1~E3の項目監視ごとに一意な定義データを付与し、各設備E1~E3を管理する。
道路管制部30Sは、確認部31と、監視項目格納部32と、設備監視部33とを有する。
確認部31は、新たに監視対象となる設備E1およびその監視項目を示すキー情報の通知を受け、そのキー情報を端末T1に通知する。端末T1は、確認部31から通知されたキー情報に対応する監視データの入力情報をユーザから受け付け、その入力情報を中央制御装置30の確認部31に応答する。
設備監視部33は、通知されたキー情報と、端末T1から応答された入力情報とを対応付けた監視データを監視項目格納部32にて管理し、その監視データをもとにキー情報が示す監視対象の設備E1に対する一時的な監視処理を開始する。
【0018】
図2は、図1の監視システム100による監視処理のシーケンス図である。
まず、現場設備装置10の増設・改造が行われると(S11)、その内容が監視制御装置20に通知される。監視制御装置20は、自身が収容する現場設備装置10についての最新の状態を管理する。
そして、監視制御装置20の管理者は、S11で通知された増設・改造の内容を確認し、その結果を監視制御装置20の管理情報に反映する(S12)。S12の管理情報は、例えば、監視データを設定するためのキー情報(詳細は図3で後記)や、回線データの定義情報である。
回線データの定義情報とは、監視制御装置20から中央制御装置30に通信する(疎通する)ための回線のデータ定義であり、例えば、装置ごとのIPアドレス等が含まれる。例えば、ある監視制御装置20で停電など起きた場合、その停電が発生した監視制御装置20が収容する現場設備装置10の状態データを、別の監視制御装置20から中央制御装置30にアクセスするために、回線データが参照される。
【0019】
監視制御装置20は、S12で入力されたキー情報を、中央制御装置30に送信する(S31、詳細は図3のテーブル102で後記)。
中央制御装置30は、S31で受信したキー情報を含む一時監視項目を端末T1に表示させる(S32、詳細は図4)。端末T1は、一時監視項目のうちの不足分(空白分)をオペレータなどのユーザに入力させる(S33)。S33で入力された一時監視項目は、端末T1から中央制御装置30に通知される。
そして、中央制御装置30は、S31で監視制御装置20から受信したキー情報と、S33で端末T1から入力された一時監視項目とを対応付けて、監視項目格納部32に監視データとして格納する。
【0020】
これにより、中央制御装置30の管理者が、S12で通知された増設・改造の内容(キー情報、回線データの定義情報)を反映する(S13)前でも、増設・改造された設備E3を新たに監視対象とするための、一時的な監視データの準備が完了する。よって、S13の反映処理が行われた後での監視処理を「本監視」とし、その本監視の前に暫定的に行われる監視処理を「一時監視」とする。
【0021】
以下、一時監視の詳細について、S41~S45の順に説明する。
中央制御装置30は、監視制御装置20が管理する現場設備装置10の状態が正常か否かを一時監視する処理を、S31~S33で取得した一時的な監視データをもとに開始する(S41)。監視制御装置20は、S41の処理を受け、自身が収容する現場設備装置10の状態を収集して、その結果を中央制御装置30に提供する旨の監視を開始する(S42)。
【0022】
ここで、ある監視対象の現場設備装置10に故障が発生したとする(S43)。監視制御装置20は、故障が発生した現場設備装置10の状態を収集して、その結果を中央制御装置30に通知する(S44)。現場設備装置10は、通知された故障の内容をユーザ端末などに表示することで(S45)、ユーザに現場設備装置10の故障を知らせる。
なお、S45の異常警報を1回送信しただけでは、ユーザが見落とすことも考えられる。そこで、設備監視部33は、一時的な監視処理において、異常警報を発生させた後に設備E1の異常が所定期間継続している場合には、再度異常警報を発生させてもよい。
【0023】
以上説明したように、一時監視の処理(S41)を開始するためには、S31で監視制御装置20から受信したキー情報と、S33で端末T1から入力された一時監視項目との双方を準備する必要がある。換言すると、S31のキー情報の自動設定と、S33の一時監視項目の手動設定とを組み合わせた、半自動設定による一時監視の準備処理が、S31~S33で実行される。
【0024】
ここで、中央制御装置30の管理者は、S12で通知された増設・改造の内容を確認し、その結果を中央制御装置30の管理情報に反映する(S13)。これにより、増設された現場設備装置10の最新情報は、監視制御装置20および中央制御装置30にそれぞれ登録されることで、現場設備装置10が新たな「本監視」の監視対象となる。
なお、一時監視の処理(S41)を終了するタイミングは、S13の反映処理により本監視の準備ができた時でもよいし、監視データに定義されている有効期限を経過した時でもよい。
【0025】
以上説明したように、監視制御装置20の管理者と、中央制御装置30の管理者とが別々の業者であり、監視制御装置20の反映処理(S12)と、中央制御装置30の反映処理(S13)との間の過渡期の待ち期間が長期間になってしまっても、その待ち時間に新たな現場設備装置10の一時監視を開始できるので、監視の空白期間を短縮できる。
【0026】
図3は、監視項目格納部32に格納される各テーブルである。
テーブル101は、S31のキー情報が中央制御装置30に届く前の初期状態の監視データの一例を示す。テーブル101は、レコード番号(#)ごとに、以下の情報を対応付ける。
・監視対象の設備を収容する「子局名称」。
・設備ごとの監視項目の特定情報(「ワードおよびビットの組み合わせ」)。
・設備の現在の状態が正常か異常かを示す「監視」。
・監視の状態が異常の場合に警報を要するか否かを示す「警報有無」。この警報有無は、管理者が明示的に入力してもよいし、監視項目の重要度に応じて自動的に設定してもよい。
・設備を監視するときの「有効期限」。この有効期限を設定することで、監視項目の削除漏れを防止できる。
【0027】
なお、S12の管理情報のうちのキー情報は、テーブル101の各列のうちの子局名称、ワード、ビットの3つの列の組み合わせで構成される。テーブル102は、S31で新たに通知された設備のキー情報を示す。キー情報は、現場設備装置10ごとの現在の状態を管理するために、監視制御装置20および中央制御装置30で使用される情報である。
【0028】
テーブル103は、テーブル101に対して、テーブル102のレコードを新たに「#=3」として追加した状態を示す。テーブル102のキー情報は、子局名称、ワード、ビットを含んでいるため、それらの3つの情報だけ「#=3」のレコードに書き込まれる。
テーブル104は、テーブル103に対して、S33で端末T1から入力された一時監視項目の内容を追加した状態を示す。監視の列、警報有無の列、および、有効期限の列が、新たに「#=3」のレコードに書き込まれる。これにより、「#=3」のレコードについて、一時監視の準備が完了する。
【0029】
図4は、一時監視項目の設定画面を示す画面図である。
設定画面は、キー情報の設定欄210と、追加入力情報の設定欄220と、OKボタン231と、キャンセルボタン232とを含む。
端末T1は、OKボタン231の押下により、キー情報の設定欄210と、追加入力情報の設定欄220との入力を完了し、S33の一時監視項目として、中央制御装置30に通知する。
端末T1は、キャンセルボタン232の押下により、キー情報の設定欄210と、追加入力情報の設定欄220との入力を破棄する。
【0030】
キー情報の設定欄210は、子局名称欄211と、ワード欄212と、ビット欄213とを含む。これらの設定欄は、それぞれS31で監視制御装置20から通知されたキー情報がそのまま入力されているので、ユーザは編集する必要が無い。
追加入力情報の設定欄220は、監視欄221Aと、監視欄取得ボタン211Bと、警報有無欄222Aと、警報有無取得ボタン222Bと、有効期限欄223とを含む。
監視欄221Aは、図3のテーブル101で説明したように、キー情報が示す監視対象の設備について、現在の状態が正常か異常かを示す。監視欄221Aへの入力は、ユーザが直接行ってもよいが、監視欄取得ボタン211Bの押下により、監視対象の設備を収容する監視制御装置20から、現在の状態の通知を受信してもよい。
【0031】
警報有無欄222Aは、図3のテーブル101で説明したように、キー情報が示す監視対象の設備について、警報を要するか否かを示す。警報有無欄222Aへの入力は、ユーザが直接行ってもよい。
つまり、確認部31は、通知するキー情報に対応する一時的な監視処理において監視対象となる設備E1に異常が発生した旨を知らせる異常警報を発生させるか否かを示す第1設定情報(警報有無欄222A)、および、異常警報の種類を示す第2設定情報(図4では図示省略)のうちの少なくとも1つの警報設定情報を、端末T1に入力情報として入力させる。そして、設備監視部33は、端末T1から応答された入力情報に含まれる警報設定情報に従って、異常警報を発生させる。
【0032】
一方、警報有無欄222Aへの入力は、ユーザが直接行う代わりに、警報有無取得ボタン222Bの押下により、図5で説明するように、監視項目の重要度に応じて自動的に設定してもよい。
つまり、確認部31は、端末T1に入力情報として警報設定情報を入力させる代わりに、事前に作成された監視項目ごとの重要度を示すデータ(図5)を参照して、通知するキー情報に対応する監視項目の重要度から、警報設定情報を求める。
【0033】
図5は、監視項目リストを示すテーブルである。
テーブル111は、キー情報(ワードとビット)に対して、対応する監視項目の内容と、その内容に応じた重要度とを対応付ける。このテーブル111は、管理者などにより事前に作成されている。
第1列の監視項目「停電・通電」は、設備に対して正しく電気が供給されているか否かを監視する項目である。通電が無い状態は明らかに異常であるため、10段階中の最も重要度の高い「10」が対応付けられている。
第2列の監視項目「配電盤の扉開閉」は、設備が収容される配電盤の扉が開閉されたか否かを監視する項目である。いたずらなどの異常な場合だけでなく、メンテナンス作業のために配電盤の扉が開閉されることもあるので、低めの重要度「2」が対応付けられている。
端末T1は、図4の警報有無取得ボタン222Bの押下を受け、キー情報からテーブル111を参照することで、対応する重要度を求める。そして、例えば、重要度≧5なら警報有無=有、重要度<4なら警報有無=無などの判定式により、警報有無欄222Aへの入力を自動的に設定してもよい。
【0034】
図4に戻り、有効期限欄223は、一時監視の有効期限を設定するものであるが、入力を省略してもよい。確認部31は、通知するキー情報に対応する一時的な監視処理の有効期限を、端末T1に入力情報として入力させる。
一時監視は、本監視と異なり、中央制御装置30の管理者による承認(S13の反映処理)を得る前の暫定的な措置である。よって、一時監視に有効期限を持たせないと、中央制御装置30の管理者が認識しない監視処理が永続してしまう。そこで、一時監視の消し忘れを防止するために、一時監視の開始前に一時監視の有効期限を設定しておくことで、以下の処理を起動できる。
・一時監視の有効期限の超過前で、有効期限の超過まで残り短くなった場合(例えば有効期限まであと2日)に、設備監視部33は、中央制御装置30の管理者などの各ユーザに対して、有効期限を知らせるリマインドメッセージを送付するとともに、そのリマインドメッセージへの応答として、一時的な監視処理の有効期限を延長する手続きを受け付ける。
・一時監視の有効期限の超過後は、設備監視部33は、S41で開始した一時監視の処理を強制的に終了させるとともに、中央制御装置30の管理者などの各ユーザに対して、一時監視の強制終了を知らせるメールを中央制御装置30から送信する。
【0035】
図6は、監視システム100の各装置(現場設備装置10の設備E1~E3と、監視制御装置20の子局M1,M2と、中央制御装置30と、ユーザ卓40の端末T1,T2)のハードウェア構成図である。
監視システム100の各装置は、CPU901と、RAM902と、ROM903と、HDD904と、通信I/F905と、入出力I/F906と、メディアI/F907とを有するコンピュータ900として構成される。
通信I/F905は、外部の通信装置915と接続される。入出力I/F906は、入出力装置916と接続される。メディアI/F907は、記録媒体917からデータを読み書きする。さらに、CPU901は、RAM902に読み込んだプログラム(アプリケーションや、その略のアプリとも呼ばれる)を実行することにより、各処理部を改善制御する。そして、このプログラムは、通信回線を介して配布したり、CD-ROM等の記録媒体917に記録して配布したりすることも可能である。
【0036】
以上説明した本実施形態の監視システム100によれば、以下の効果が得られる。
・S33の一時監視項目の入力作業において、S31で自動的に送信されたキー情報については、入力を省略できるので、入力作業が効率化できる。
・中央制御装置30の管理者による承認(S13の反映処理)を待たずに、増設・改造された設備の一時監視を開始できる(S41)。
・S11の設備の増設・改造およびそのキー情報の送信(S31)が複数回発生した場合でも、それらの複数回をまとめて中央制御装置30の管理者により承認(S13の反映処理)できるので、新設備の監視が随時可能となる。
【0037】
さらに、本発明は上述した各実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、その他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。例えば、上述した各実施形態は本発明を分かりやすく説明するために監視システム100の構成を詳細かつ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成要素を備えるものに限定されない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成要素に置き換えることが可能である。また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成要素を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成要素の追加又は置換、削除をすることも可能である。
【0038】
また、上記の各構成、機能、処理部等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計するなどによりハードウェアで実現してもよい。ハードウェアとして、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの広義のプロセッサデバイスを用いてもよい。
また、上述した実施形態にかかる監視システム100の各構成要素は、それぞれのハードウェアがネットワークを介して互いに情報を送受信できるならば、いずれのハードウェアに実装されてもよい。また、ある処理部により実行される処理が、1つのハードウェアにより実現されてもよいし、複数のハードウェアによる分散処理により実現されてもよい。
【符号の説明】
【0039】
10 現場設備装置
20 監視制御装置
30 中央制御装置
30S 道路管制部
31 確認部
32 監視項目格納部
33 設備監視部
40 ユーザ卓
100 監視システム
E1~E3 設備
M1,M2 子局
T1,T2 端末(ユーザ端末)
【要約】
【課題】監視対象の設備が増えた場合、その設備に対する監視の空白期間を減らすこと。
【解決手段】監視システム100は、設備E1の監視に関する情報である監視データを管理する中央制御装置30と、監視データの入力に用いられる端末T1とを有する。中央制御装置30は、新たに監視対象となる設備E1の監視項目を示すキー情報の通知を受け、そのキー情報を端末T1に通知する確認部31と、通知されたキー情報と、端末T1から応答された入力情報とを対応付けた監視データをもとに、キー情報が示す監視対象の設備E1に対する一時的な監視処理を開始する設備監視部33とを有しており、端末T1は、確認部31から通知されたキー情報に対応する監視データの入力情報を受け付け、その入力情報を中央制御装置30に応答する。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7