(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】仕分け装置
(51)【国際特許分類】
B07C 3/08 20060101AFI20240319BHJP
【FI】
B07C3/08
(21)【出願番号】P 2023222428
(22)【出願日】2023-12-28
【審査請求日】2024-01-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】507347048
【氏名又は名称】日本郵便株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】316013758
【氏名又は名称】日本郵便メンテナンス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002435
【氏名又は名称】弁理士法人井上国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077919
【氏名又は名称】井上 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100172638
【氏名又は名称】伊藤 隆治
(74)【代理人】
【識別番号】100153899
【氏名又は名称】相原 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100159363
【氏名又は名称】井上 淳子
(72)【発明者】
【氏名】米澤 良弘
(72)【発明者】
【氏名】那須 勇人
(72)【発明者】
【氏名】森下 隆太
(72)【発明者】
【氏名】和氣 勇介
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 成哉
(72)【発明者】
【氏名】田中 謙次
(72)【発明者】
【氏名】今津 重文
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-118579(JP,A)
【文献】特開2012-250839(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0139913(US,A1)
【文献】特開平2-81823(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07C 1/00-99/00
B65G 1/137
B65G 47/34-57/51
A47F 5/00-8/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物を所定方向に搬送する搬送ラインと、前記搬送ラインに沿って並べて配置される複数のシュートを有する回収ラインと、前記搬送ライン上の前記荷物を対応する前記シュートへ仕分ける仕分け機構とを備え、
前記シュートとして、平面視での外形が下方に向かって徐々に小さくなる長方形状の輪郭を有し且つ上面が開口した箱が用いられ、
前記回収ラインに沿って複数のシュートユニットが並べて配置され、
それぞれの前記シュートユニットは、上側から差し込まれる前記シュートの外周部に係合することで前記シュートをそれぞれ支持可能な複数の支持フレーム部を備える、
ことを特徴とする仕分け装置。
【請求項2】
前記シュートユニットは、設置面に載置されるベース部と、前記ベース部から立ち上がる一対のスタンド部と、前記一対のスタンド部間に架設される少なくとも1つのフレームユニットとを備え、
前記複数の支持フレーム部は、前記フレームユニットにおいて横方向に並ぶように形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の仕分け装置。
【請求項3】
前記フレームユニットは、長方形の枠状の外周部と、前記外周部の内側空間を横方向に仕切って前記支持フレーム部を形成する仕切り部とを備える、
ことを特徴とする請求項2に記載の仕分け装置。
【請求項4】
前記ベース部、前記スタンド部、及び前記フレームユニットは、それぞれ複数の長尺部材を組み合わせて形成されている、
ことを特徴とする請求項3に記載の仕分け装置。
【請求項5】
前記シュートユニットにおいて、複数段の前記フレームユニットが上下方向に間隔を空けて設けられており、
それぞれの前記フレームユニットの高さ位置に合わせて、複数段の前記搬送ラインが上下方向に間隔を空けて配置されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の仕分け装置。
【請求項6】
前記複数の支持フレーム部のうち、下段の前記フレームユニットに形成された前記支持フレーム部ほど前記搬送ラインから離れて配置されている、
ことを特徴とする請求項5に記載の仕分け装置。
【請求項7】
前記支持フレーム部は、前記搬送ラインとは反対側に向かって下方へ傾斜して配置されている、
ことを特徴とする請求項6に記載の仕分け装置。
【請求項8】
前記シュートに溜まった前記荷物を運び出すためのパレットケースを支持可能なケース台が、前記シュートに着脱可能に設けられている、
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の仕分け装置。
【請求項9】
前記シュートは、前記上面の開口の周縁から外側に張り出すフランジ部と、前記フランジ部を上下方向に貫通する複数の貫通穴とを備えており、
前記ケース台は、前記シュートの内部空間において前記パレットケースの底面を支持する支持面部と、前記支持面部の側縁部から立ち上がる一対の側面部と、前記一対の側面部の上縁からそれぞれ外側に張り出して前記フランジ部の上に載せられる一対の張り出し部と、前記一対の張り出し部からそれぞれ下方に延びて前記貫通穴に差し込まれる一対の係合ピンとを備えている、
ことを特徴とする請求項8に記載の仕分け装置。
【請求項10】
前記ケース台は、前記支持面部における前記搬送ラインとは反対側の縁部から立ち上がって前記パレットケースを位置決めする位置決め片を備えている、
ことを特徴とする請求項9に記載の仕分け装置。
【請求項11】
前記ケース台において、前記支持面部は、前記張り出し部に対して平行に配置されるように設けられている、
ことを特徴とする請求項10に記載の仕分け装置。
【請求項12】
前記ケース台において、前記支持面部は、前記位置決め片に近づくほど低くなるように前記張り出し部に対して傾斜して設けられている、
ことを特徴とする請求項10に記載の仕分け装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、郵便などで配達される荷物を仕分けるための仕分け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、配達量の増加および荷物の多様化に対応するために、大型の郵便物を仕分けるフラットソータ、及び、小型の荷物を仕分けるパケットソータなど、配達先の住所に応じて荷物を自動的に仕分けるための種々の仕分け装置の開発が進められている。
【0003】
また、小型荷物の取扱い量の増加に加え、EC市場は成長・拡大しているが、大型の区分機しかラインナップが無く、施設内のスペースの事情で機械配備が限定的になっている状況がある。そのため、区分業務が行われる郵便拠点などでは、小型の荷物を仕分けるための省スペースな仕分け装置の導入が期待されている。
【0004】
例えば特許文献1,2に開示されているように、搬送ラインに沿って複数のシュートユニットが並べて配置された仕分け装置が知られている。この種の仕分け装置において、それぞれのシュートユニットには複数段の棚部が設けられており、各段の棚部に、仕分けられた荷物を回収するシュートが載置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-008992号公報
【文献】特開2017-176942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のような複数のシュートユニットを備えた仕分け装置の導入および維持にあたっては、コストの低減および作業性の向上に関して更なる改善が求められている。
【0007】
そこで、本発明は、シュートユニットの製造コスト及びメンテナンスコストの低減、並びに、荷物の回収に関する作業性の向上を図ることができる仕分け装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る仕分け装置は、荷物を所定方向に搬送する搬送ラインと、前記搬送ラインに沿って並べて配置される複数のシュートを有する回収ラインと、前記搬送ライン上の前記荷物を対応する前記シュートへ仕分ける仕分け機構とを備え、前記シュートとして、平面視での外形が下方に向かって徐々に小さくなる長方形状の輪郭を有し且つ上面が開口した箱が用いられ、前記回収ラインに沿って複数のシュートユニットが並べて配置され、それぞれの前記シュートユニットは、上側から差し込まれる前記シュートの外周部に係合することで前記シュートをそれぞれ支持可能な複数の支持フレーム部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、シュートとして、容易に入手可能な箱が用いられることで、シュートの設置時および交換時のコストを低減できる。また、シュートは、シュートユニットの支持フレーム部によって支持されるため、シュートユニットにおいて、シュートを載置するための棚部を設置する場合に比べて、構造の簡素化、ひいては製造コストの低減を図ることができる。さらに、作業者は、支持フレーム部に上側から差し込むだけでシュートを容易に位置決めすることができる。また、シュート及び支持フレーム部が任意の角度に傾斜して配置されても、シュートは、支持フレーム部によって囲まれていることで所定位置に保持される。そのため、シュートユニットにおいて、支持フレーム部が都合の良い角度に傾斜して設けられることで、シュートが作業しやすい角度に傾斜した姿勢で支持される。さらに、支持フレーム部の変更により様々なタイプのシュートを作成可能である。したがって、本発明によれば、シュートユニットの製造コスト及びメンテナンスコストの低減、並びに、荷物の回収に関する作業性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る仕分け装置を示す平面図である。
【
図3】同仕分け装置のシュートユニット及びその周辺部を拡大して示す側面図である。
【
図4】シュートがはめ込まれた状態におけるシュートユニットの正面図および側方から見た断面図である。
【
図5】シュートが取り外された状態におけるシュートユニットの正面図および側方から見た断面図である。
【
図6】シュートが取り外された状態におけるシュートユニット及びその構成要素の平面図である。
【
図7】シュート、ケース台、及びパレットケースを正面側から見た分解図である。
【
図8】ケース台を示す平面図、正面図、及び側方から見た断面図である。
【
図9】
図8に示すケース台を介してパレットケースがシュート上に支持された状態を示す平面図および断面図である。
【
図10】変形例に係るケース台を示す平面図、正面図、及び側方から見た断面図である。
【
図11】
図10に示すケース台を介してパレットケースがシュート上に支持された状態を示す平面図および断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態が説明される。なお、以下の説明で用いる特定の方向を示す用語(例えば、「上」、「下」、「前」、「後」、「正面」、「背面」、「横」、「左」、「右」、「側方」を含む用語)は、添付図面に示される使用状態での装置および構成要素の姿勢における方向を示す。それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が限定されるものではない。また、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物、あるいは、その用途を制限することを意図するものではない。
【0012】
[全体構成]
まず、
図1に示す平面図、
図2に示す正面図、及び
図3に示す拡大側面図を参照しながら、本発明の一実施形態に係る仕分け装置1の全体構成を説明する。
【0013】
仕分け装置1は、配達先の住所に応じて小型の荷物P1を自動的に仕分けるように構成されている。仕分け装置1による仕分け対象となる荷物P1の種類には、例えば、定形外郵便物、拘束郵便物、及び小包が含まれ、より具体的には、ゆうパケット(登録商標)、レターパック(登録商標)、及び、紐などで拘束された荷物が含まれる。
【0014】
仕分け装置1は、例えば、5メートル程度の短手方向寸法と18メートル程度の長手方向寸法とを有する比較的小さなスペースに設置可能な比較的小型のパケットソータである。したがって、仕分け装置1は、一般的な書状区分機の設置スペースと同程度のスペースに設置可能となっている。仕分け装置1は、40cm×40cmの荷物を84箇所に仕分し、集積する機構を設けながらも、段階的に角度の違うコンベヤを配置したり、摩擦形状の違うベルトを配置したりする等の工夫により、長手方向寸法が書状区分機と同程度の18メートルを実現している。また、仕分け装置1は、6,000個/時の処理能力を有し、15kgの耐荷重を備えている。
【0015】
仕分け装置1は、仕分け対象の荷物P1を搬送するための搬送ユニット8を備えている。搬送ユニット8は、荷物P1が供給される供給ライン10と、供給ライン10に供給された荷物P1を所定方向に搬送する搬送ライン12,14とを有する。供給ライン10及び搬送ライン12,14は、例えばローラコンベアで構成されているが、他の種類のコンベア(例えば、ベルトコンベア)で構成されてもよい。
【0016】
本実施形態において、搬送ライン12,14は、上下方向に間隔を空けて配置された上段搬送ライン12と下段搬送ライン14とを含む2段構成となっている。上段搬送ライン12の下流側に下段搬送ライン14が接続されている。下段搬送ライン14での搬送方向は、上段搬送ライン12での搬送方向とは反対の方向となっている。
【0017】
上段搬送ライン12と下段搬送ライン14とは、設置面S1に設置される共通の架台9(
図3参照)によって支持されている。なお、架台9及び搬送ライン12,14は、長さ方向において複数のユニットに分割して構成されてもよい。この場合、架台9及び搬送ライン12,14は、後述のシュートユニット22に合わせた長さ(例えば、1900mm)毎に分割されて、それぞれユニット化されてもよい。仕分け装置1の設置面S1から搬送面までの高さは、上段搬送ライン12において例えば1600mm、下段搬送ライン14において例えば945mmとすることができるが、これらの高さは適宜変更可能である。
【0018】
図示は省略するが、供給ライン10又は搬送ライン12の上流部には、荷物P1の配達先情報を読み取るためのBCR式及び/又はOCR式の読取装置、並びに、荷物P1の配達先情報を入力するための入力装置が設けられている。これらの読取装置及び/又は入力装置で取得された情報に基づいて、荷物P1の仕分け動作が制御される。
【0019】
仕分け装置1は、搬送ライン12,14に沿って並べて配置される複数のシュート50を有する回収ライン20と、搬送ライン12,14上の荷物P1を対応するシュート50へ仕分ける仕分け機構16とを更に備えている。
【0020】
本実施形態において、回収ライン20は、搬送ライン12,14の正面側および背面側にそれぞれ1列ずつ設けられている。各列の回収ライン20に沿って、複数(例えば7個)のシュートユニット22が並べて配置されている。ただし、シュートユニット22の個数は必要に応じて適宜変更可能である。シュートユニット22の構成は、後に詳述する。
【0021】
それぞれのシュートユニット22には、例えば6個のシュート50が上段と下段とに分かれて支持される。したがって、本実施形態では、各列の回収ライン20において、シュート50が42個ずつ配置される。ただし、回収ライン20に並べられるシュート50の個数は必要に応じて適宜変更可能である。シュート50の構成は、後に詳述する。
【0022】
図1に示すように、仕分け機構16は、搬送ライン12.14においてシュート50に対応する位置ごとに設けられた仕分け部17と、仕分け部17からシュート50へ荷物P1を案内するガイド部18とを備えている。
【0023】
仕分け部17としては、例えば、複数のローラを有するターンテーブルで構成されたターンローラ式の方向転換機構が用いられる。上記の読取装置及び/又は入力装置で取得された情報に基づいて回転制御された仕分け部17に荷物P1が到達すると、当該荷物P1は、移動方向が転換されて、仕分け部17から対応するシュート50に向かって、ガイド部18に案内されながら搬送される。ただし、仕分け部17としては、ターンローラ式以外の方式(例えば、ダイバータ式またはプッシュ式)の方向転換機構が用いられてもよい。
【0024】
図3に示すように、ガイド部18は、例えば、搬送ライン12,14の搬送面からシュート50の直上部に向けて下方に傾斜して配置されたガイド板で構成される。ガイド部18は、回収ライン20の全長に亘って設けられている(
図1参照)。仕分け部17において搬送ライン12,14から仕分けられた荷物P1は、ガイド部18の上面に沿って滑り落ちながらシュート50に導かれる。
【0025】
[シュート]
図3、
図4、及び
図9を参照しながら、シュート50の構成を説明する。
図4(a)は、シュートユニット22の正面図、
図4(b)は、シュートユニット22を側方から見た
図4(a)のA-A線断面図、
図9(a)は、使用状態におけるシュート50の平面図、
図9(b)は、同シュート50を正面側から見た
図9(a)のD-D線断面図、
図9(c)は、同シュート50を側方から見た
図9(a)のE-E線断面図である。
【0026】
シュート50としては、平面視での外形が下方に向かって徐々に小さくなる長方形状の輪郭を有し且つ上面が開口した箱が用いられる。具体的に、シュート50は、主に水産物の収容に用いられるトロ箱(例えば、岐阜プラスチック工業社製の「トロ箱 No.G130深」又は「トロ箱 No.G100深」)であってもよい。このように、シュート50として、容易に入手可能な箱が用いられることで、シュート50の設置時および交換時のコストを低減できる。
【0027】
シュート50は、長方形状の底面部51と、底面部51よりも大きな長方形状の上面開口52と、上面開口52の周縁部と底面部51の周縁部とに跨る周壁部53(53a,53b,53c,53d)とを有する。周壁部53は、シュート50の外周部を構成している、周壁部53は、上方に向かって拡開するように傾斜した4つの側壁部53a,53b,53c,53dで構成されている。
【0028】
また、シュート50は、上面開口52の周縁から外側に張り出すフランジ部56を有する。フランジ部56は、長方形の枠状に設けられている。フランジ部56は、外縁部において下方に屈曲された断面L字状に形成されている。
【0029】
さらに、シュート50は、フランジ部56を上下方向に貫通する複数の貫通穴58を備えている。貫通穴58は、例えば、フランジ部56の一対の長辺部のそれぞれに3箇所ずつ、フランジ部56の一対の短辺部のそれぞれに2箇所ずつ、互いに間隔を空けて配置されている。貫通穴58は、本実施形態の仕分け装置1に利用するために形成されたものでなく、箱に元々設けられたものである。
【0030】
シュート50の大きさは限定されるものでないが、例えば、平面視の外形寸法は、長手方向において900mm、短手方向において600mmであってもよく、高さ方向の寸法は、345mm又は245mmであってもよい。
【0031】
[シュートユニット]
主として
図4~
図6を参照しながら、シュートユニット22の構成を説明する。
図4は、シュート50を支持した状態のシュートユニット22を示しており、
図5及び
図6は、シュート50が取り外された状態のシュートユニット22を示している。また、
図5(a)は、シュートユニット22の正面図、
図5(b)は、シュートユニット22を側方から見た
図5(a)のB-B線断面図、
図6(a)は、シュートユニット22の平面図、
図6(b)は、シュートユニット22を構成する後述のベース部26及びスタンド部28を示す平面図、
図6(c)は、シュートユニット22を構成する後述のフレームユニット30を示す平面図である。
【0032】
シュートユニット22は、設置面S1(
図3参照)に載置されるベース部26と、ベース部26から立ち上がる一対のスタンド部28と、一対のスタンド部28間に架設される例えば2つのフレームユニット30(30A,30B)とを備える。
【0033】
特に
図6(b)に示すように、ベース部26は、平面視長方形状のフレームで構成されている。ベース部26は、水平面に沿った横方向に互いに平行に延びる前後一対の第1水平延長部26a,26bと、水平面に沿って第1水平延長部26a,26bに対する垂直方向(前後方向)に延びる互いに平行な左右一対の第2水平延長部26c,26dとを有する。第1水平延長部26a,26bは、第2水平延長部26c,26dよりも長い。
【0034】
第1水平延長部26a,26b及び第2水平延長部26c,26dは、例えば金属製の長尺部材で構成されており、それぞれの両端部において例えば溶接によって互いに結合されている。
【0035】
ベース部26の下面には、複数のキャスタ27が取り付けられている。具体的には、それぞれの第2水平延長部26c,26dの下面に、2つのキャスタ27が互いに間隔を空けて取り付けられている。これらのキャスタ27が転動することにより、作業者W1は、必要に応じてシュートユニット22を容易に移動させることができる。一部または全部のキャスタ27には、ストッパが設けられてもよい。
【0036】
特に
図5(b)に示すように、それぞれのスタンド部28は、ベース部26の第2水平延長部26c,26dの上面から上方に延びる前後一対の上方延長部28a,28bと、一対の上方延長部28a,28bの上端部間を繋ぐ上端連結部28cとを備えている。
【0037】
上方延長部28a,28b及び上端連結部28cは、例えば金属製の長尺部材で構成されている。上方延長部28a,28bの下端部は、例えば溶接によってベース部26の第2水平延長部26c,26dに結合されている。上端連結部28cの両端部は、例えば溶接によって上方延長部28a,28bの上端部に結合されている。
【0038】
一対のスタンド部28の上端部は、横方向に延びる例えば前後一対の接続部材29を介して、互いに接続されている。一対の接続部材29は、例えば金属製の長尺部材で構成され、互いに前後方向に間隔を空けて平行に配置されている。それぞれの接続部材29の両端部は、例えば溶接によってスタンド部28の上端連結部28cに結合されている。
【0039】
特に
図5(a)及び
図5(b)に示すように、本実施形態では、2段のフレームユニット30(30A,30B)が上下方向に間隔を空けて設けられている。これらのフレームユニット30の設置高さは作業性を考慮して設定される。また、フレームユニット30の高さ位置に合わせて、それぞれに対応する搬送ライン12,14の設置高さが設定される。
【0040】
特に
図6(c)に示すように、それぞれのフレームユニット30は、長方形の枠状の外周部32と、外周部32の内側空間を横方向に仕切って支持フレーム部39を形成する例えば2つの仕切り部34とを備える。
【0041】
外周部32は、水平面に沿った横方向に延びる互いに平行な前後一対の水平延長部32a,32bと、水平面に対して傾斜しつつ前後方向に延びる互いに平行な左右一対の傾斜延長部32c,32dとを有する。水平延長部32a,32bは、傾斜延長部32c,32dよりも長い。前側の水平延長部32aは、後側の水平延長部32bよりも低い位置に配置されている。これにより、フレームユニット30は、前方(搬送ライン12,14とは反対側)に向かって下方に傾斜している。
【0042】
水平延長部32a,32b及び傾斜延長部32c,32dは、例えば金属製の長尺部材で構成されており、それぞれの両端部において例えば溶接によって互いに結合されている。また、一対の傾斜延長部32c,32dの外側の側面は、スタンド部28の一対の上方延長部28a,28bに対して例えば溶接によって結合される(
図6(a)参照)。これにより、フレームユニット30は、一対のスタンド部28によって支持される。
【0043】
2つの仕切り部34は、横方向に互いに間隔を空けて、それぞれ傾斜延長部32c,32dに対して平行に延びるように配置されている。仕切り部34は、例えば金属製の長尺部材で構成されており、それぞれの前端部において前側の水平延長部32aに例えば溶接によって結合され、それぞれの後端部において後側の水平延長部32bに例えば溶接によって結合されている。
【0044】
これらの仕切り部34によってフレームユニット30の内側空間が仕切られることにより、長方形状の3つの支持フレーム部39が、フレームユニット30において横方向に並ぶように形成されている。これらの支持フレーム部39の内側寸法(内周部の寸法)は、互いに等しく、シュート50の上端部の外形寸法よりも小さく、シュート50の下端部の外形寸法よりも大きい。
【0045】
図4(a)及び
図4(b)に示すように、それぞれの支持フレーム部39には、上述のシュート50が上側から差し込まれる。これにより、支持フレーム部39は、上側から差し込まれるシュート50の周壁部53に係合することでシュート50を支持可能となっている。このような構成により、作業者W1は、支持フレーム部39に上側から差し込むだけでシュート50を容易に位置決めすることができる。
【0046】
図3に示すように、上述したフレームユニット30の傾斜により、支持フレーム部39は、搬送ライン12,14とは反対側に向かって下方へ傾斜して配置されている。水平面に対する支持フレーム部39の傾斜角度は、例えば25度とされるが、支持フレーム部39に支持されるシュート50の機能を考慮して適宜変更可能である。
【0047】
このように傾斜した支持フレーム部39によって、シュート50も同様に傾斜した状態で支持される。これにより、シュート50に回収された荷物P1は、シュート50内における搬送ライン12,14とは反対側の部分に溜められる。そのため、搬送ライン12,14とは反対側で作業する作業者W1がシュート50から荷物P1を取り出しやすくなっている。
【0048】
また、下段のフレームユニット30Bに形成された支持フレーム部39は、上段のフレームユニット30Aに形成された支持フレーム部39に比べて、搬送ライン12,14から離れて配置されている。これにより、下段のフレームユニット30Bに支持されたシュート50は、上段のフレームユニット30Aに支持されたシュート50に比べて、作業者W1から見て手前側に配置される。したがって、作業者W1から見て、下段のシュート50に溜まった荷物P1が上段のシュート50による死角に入りにくい。そのため、上段および下段のいずれのシュート50についても、荷物P1を視認しやすく、且つ取り出しやすい。
【0049】
本実施形態によれば、以上のようなシュートユニット22の構成により、仕分け装置1によって仕分けられた荷物P1の回収にあたって、作業性の向上を図ることができる。
【0050】
また、シュートユニット22を構成するベース部26、スタンド部28、及びフレームユニット30は、いずれも、複数の長尺部材を組み合わせて形成されている。そのため、従来のような棚部を備えたシュートユニットに比べて、シュートユニット22の構造の簡素化、ひいては製造コストの低減を図ることができる。
【0051】
[ケース台]
作業者W1は、シュート50に溜まった荷物P1を、シュート50よりも小さなパレットケース70(
図3参照)に入れて次の作業場へ運び出す。パレットケース70としては既製品が用いられてもよい。本実施形態では、パレットケース70を支持可能なケース台60が、シュート50に着脱可能に設けられている。
【0052】
図7~
図9を参照しながら、ケース台60の構成が説明される。
図7は、シュート50、ケース台60、及びパレットケース70を正面側から見た分解図である。
図8(a)は、ケース台60を示す平面図、
図8(b)は、ケース台60を示す正面図、
図8(c)は、ケース台60を側方から見た
図8(b)のC-C線断面図である。
図9(a)は、ケース台60を介してパレットケース70がシュート50上に支持された状態を示す平面図、
図9(b)は、同状態を正面側から見た
図9(a)のD-D線断面図、
図9(c)は、同状態を側方から見た
図9(a)のE-E線断面図である。
【0053】
ケース台60は、シュート50の内部空間においてパレットケース70の底面を支持する支持面部61と、支持面部61の両側の側縁部から立ち上がる一対の側面部62と、一対の側面部62の上縁からそれぞれ外側に張り出す一対の張り出し部63と、一対の張り出し部63からそれぞれ下方に延びる一対の係合ピン65とを備えている。
【0054】
図7に示すように、ケース台60は、シュート50のフランジ部56の上に一対の張り出し部63が載せられ、シュート50のフランジ部56の貫通穴58に一対の係合ピン65が差し込まれることで、シュート50に取り付けられる。このように、ケース台60は、シュート50に元々設けられているフランジ部56及び貫通穴58を利用して、シュート50に簡単に取り付けられる。
【0055】
ケース台60において、支持面部61は、張り出し部63に対して平行に配置されるように設けられている。そのため、シュート50に取り付けられたケース台60と、ケース台60の支持面部61に載置されたパレットケース70とは、シュート50と同様の傾斜状態で配置される(
図3参照)。
【0056】
ケース台60の側面部62には開口部67が設けられており、ケース台60の軽量化が図られている。また、ケース台60は、支持面部61における正面側(搬送ライン12,14とは反対側)の縁部から立ち上がる位置決め片66を備えている。これにより、支持面部61に載置されたパレットケース70は、位置決め片66によって斜め下側から位置決めされる。
【0057】
このようにして、シュート50の上方にケース台60を介してパレットケース70が支持されていることにより、作業者W1は、シュート50から取り出した荷物P1を直ちにパレットケース70に入れて、別の作業場へ運び出すことができる(
図3参照)。
【0058】
図10及び
図11を参照しながら、変形例に係るケース台160の構成を説明する。
図10(a)は、ケース台160を示す平面図、
図10(b)は、ケース台160を示す正面図、
図10(c)は、ケース台160を側方から見た
図10(b)のF-F線断面図である。
図11(a)は、ケース台160を介してパレットケース70がシュート50上に支持された状態を示す平面図、
図11(b)は、同状態を正面側から見た
図11(a)のG-G線断面図、
図11(c)は、同状態を側方から見た
図11(a)のH-H線断面図である。
【0059】
図10及び
図11に示すケース台160において、支持面部61は、位置決め片66に近づくほど低くなるように張り出し部63に対して傾斜して設けられている。ケース台160のその他の構成は、上述のケース台60と同様である。
【0060】
図11(a)~
図11(c)に示すように、シュート50に取り付けられたケース台160と、ケース台160の支持面部61に載置されたパレットケース70とは、シュート50よりも急角度に傾斜して配置される。そのため、シュート50及びパレットケース70の正面側に位置する作業者W1(
図3参照)は、シュート50から取り出した荷物P1をパレットケース70に入れたり、パレットケース70自体を取り出したりする作業を、よりスムーズに行うことができる。
【0061】
従来のパケット区分機は、機械の機構の一部であるシュートに荷物を落とすタイプ(以下「シュートタイプ」と呼ぶ。)と、パケット区分機の近くに配置されたケースに直投するタイプ(以下「ケース直投タイプ」と呼ぶ。)の大きく2種類が存在する。このうち、シュートタイプは、ストレージ性は大きい(沢山溜められる)が、その分機械が大きくなるとともに、シュートに溜まった荷物を輸送用ケースに移し替える作業が必要となる。一方で、ケース直投タイプは、ストレージ性が小さく(すぐに満杯になる)ケース交換要員が多く必要となるが、その分機械はコンパクトとなり、荷物を輸送用ケースへ移し替える作業は不要となる。本実施形態は、両タイプの長所を活かすべく、機械のコンパクト性はケース直投タイプと同等としながら、深い集積用の箱を用いることでストレージ性を大きくするとともに、必然的に発生する輸送用ケースへの移し替え作業についても、ケース台を設けて集積用の箱から輸送用のケースへの距離を近づけることで、トータルとしての作業効率向上を図っている。
【0062】
以上、上述の実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
【0063】
例えば、上述の仕分け装置1では、上下2段の搬送ライン12,14が用いられているが、3段以上の搬送ライン、又は、1段のみの搬送ラインが用いられてもよい。
【0064】
また、上述の実施形態では、シュートユニット22に2つのフレームユニット30(30A,30B)が設けられているが、シュートユニット22に設けられるフレームユニット30の個数は、搬送ラインの段数に応じて適宜変更可能であり、1つ又は3つ以上であってもよい。なお、3段以上のフレームユニット30が設けられる場合、下段のフレームユニット30に形成された支持フレーム部39ほど搬送ライン12,14から離れて配置されることが好ましい。
【0065】
さらに、上述の実施形態では、1つのフレームユニット30に3つの支持フレーム部39が形成されているが、フレームユニット30に形成される支持フレーム部39の個数は適宜変更可能である。
【0066】
以下、本実施形態の付随的な効果について説明する。まず、シュートに動力機構がついていないため、一時停止ボタン、非常停止ボタンといった電気配線を一つのコネクターで取り外し(スイッチ機構)可能とすることで、シュートの脱着、点検が容易に行うことができる。また、一時停止ボタン、満杯表示灯への接続を無線とすることで、有線の際のメンテナンス時に断線しやすい、保守に時間を要するなどのデメリットの解消として有効である。さらに、一般的な区分機のシュートは固定式で一度配備したら永続的に高さが変えられないが、配置作業者の身長に合わせて簡単に変動させられる機構を設けることで作業性にも配慮した設計となっている。加えて、シュート内のケース台については、鉄板を敷くだけではなく、両サイドに支えを付けたり作業実態に合わせて柔軟な運用が可能である。
【符号の説明】
【0067】
1 仕分け装置
8 搬送ユニット
12 上段搬送ライン
14 下段搬送ライン
16 仕分け機構
17 仕分け部
18 ガイド部
20 回収ライン
22 シュートユニット
26 ベース部
28 スタンド部
30A 上段フレームユニット
30B 下段フレームユニット
32 外周部
34 仕切り部
39 支持フレーム部
50 シュート
51 底面部
52 上面開口
53 周壁部(外周部)
56 フランジ部
58 貫通穴
60 ケース台
61 支持面部
62 側面部
63 張り出し部
65 係合ピン
66 位置決め片
70 パレットケース
160 ケース台
P1 荷物
S1 設置面
W1 作業者
【要約】
【課題】シュートユニットの製造コスト及びメンテナンスコストの低減、並びに、荷物の回収に関する作業性の向上を図ることができる仕分け装置を提供する。
【解決手段】仕分け装置1は、荷物P1を所定方向に搬送する搬送ライン12,14と、前記搬送ラインに沿って並べて配置される複数のシュート50を有する回収ライン20と、搬送ライン上の荷物を対応するシュートへ仕分ける仕分け機構16とを備え、シュート50として、平面視での外形が下方に向かって徐々に小さくなる長方形状の輪郭を有し且つ上面が開口した箱が用いられ、回収ライン20に沿って複数のシュートユニット22が並べて配置され、それぞれのシュートユニット22は、上側から差し込まれるシュート50の外周部53に係合することでシュート50をそれぞれ支持可能な複数の支持フレーム部39を備える。
【選択図】
図3