IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社アドバンテストの特許一覧

特許7457208自動試験装置(ATE)を制御するための制御装置、ATE、ATEを制御するための方法、ATEを操作するための方法、および温度の推定または判定を含むそのような方法を実行するためのコンピュータプログラム
<>
  • 特許-自動試験装置(ATE)を制御するための制御装置、ATE、ATEを制御するための方法、ATEを操作するための方法、および温度の推定または判定を含むそのような方法を実行するためのコンピュータプログラム 図1
  • 特許-自動試験装置(ATE)を制御するための制御装置、ATE、ATEを制御するための方法、ATEを操作するための方法、および温度の推定または判定を含むそのような方法を実行するためのコンピュータプログラム 図2
  • 特許-自動試験装置(ATE)を制御するための制御装置、ATE、ATEを制御するための方法、ATEを操作するための方法、および温度の推定または判定を含むそのような方法を実行するためのコンピュータプログラム 図3
  • 特許-自動試験装置(ATE)を制御するための制御装置、ATE、ATEを制御するための方法、ATEを操作するための方法、および温度の推定または判定を含むそのような方法を実行するためのコンピュータプログラム 図4
  • 特許-自動試験装置(ATE)を制御するための制御装置、ATE、ATEを制御するための方法、ATEを操作するための方法、および温度の推定または判定を含むそのような方法を実行するためのコンピュータプログラム 図5
  • 特許-自動試験装置(ATE)を制御するための制御装置、ATE、ATEを制御するための方法、ATEを操作するための方法、および温度の推定または判定を含むそのような方法を実行するためのコンピュータプログラム 図6
  • 特許-自動試験装置(ATE)を制御するための制御装置、ATE、ATEを制御するための方法、ATEを操作するための方法、および温度の推定または判定を含むそのような方法を実行するためのコンピュータプログラム 図7
  • 特許-自動試験装置(ATE)を制御するための制御装置、ATE、ATEを制御するための方法、ATEを操作するための方法、および温度の推定または判定を含むそのような方法を実行するためのコンピュータプログラム 図8
  • 特許-自動試験装置(ATE)を制御するための制御装置、ATE、ATEを制御するための方法、ATEを操作するための方法、および温度の推定または判定を含むそのような方法を実行するためのコンピュータプログラム 図9
  • 特許-自動試験装置(ATE)を制御するための制御装置、ATE、ATEを制御するための方法、ATEを操作するための方法、および温度の推定または判定を含むそのような方法を実行するためのコンピュータプログラム 図10
  • 特許-自動試験装置(ATE)を制御するための制御装置、ATE、ATEを制御するための方法、ATEを操作するための方法、および温度の推定または判定を含むそのような方法を実行するためのコンピュータプログラム 図11
  • 特許-自動試験装置(ATE)を制御するための制御装置、ATE、ATEを制御するための方法、ATEを操作するための方法、および温度の推定または判定を含むそのような方法を実行するためのコンピュータプログラム 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】自動試験装置(ATE)を制御するための制御装置、ATE、ATEを制御するための方法、ATEを操作するための方法、および温度の推定または判定を含むそのような方法を実行するためのコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/26 20200101AFI20240319BHJP
   G01R 31/28 20060101ALI20240319BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
G01R31/26 J
G01R31/28 K
H01L21/66 B
【請求項の数】 35
(21)【出願番号】P 2023517975
(86)(22)【出願日】2021-09-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-09
(86)【国際出願番号】 EP2021077031
(87)【国際公開番号】W WO2023051927
(87)【国際公開日】2023-04-06
【審査請求日】2023-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】390005175
【氏名又は名称】株式会社アドバンテスト
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(74)【代理人】
【識別番号】100133215
【弁理士】
【氏名又は名称】真家 大樹
(72)【発明者】
【氏名】エデルマン、イェンス
(72)【発明者】
【氏名】トーマ、アントン
【審査官】續山 浩二
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-128065(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0341342(US,A1)
【文献】特開2020-181970(JP,A)
【文献】特開2007-088203(JP,A)
【文献】特開平03-158764(JP,A)
【文献】特開2017-092409(JP,A)
【文献】特開2001-281294(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0262782(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0379038(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/26
G01R 31/28
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被試験デバイス(DUT)接触構造体を用いて自動試験装置(ATE)に電気的に結合された被試験デバイスを試験するために、前記自動試験装置を制御するための制御装置であって、
前記制御装置は、熱モデルを用いて前記DUT接触構造体の温度を決定または推定するように構成され、
前記制御装置は、前記決定または推定された温度に基づいて、前記DUT接触構造体に印加される信号に影響を与えるように構成される、
制御装置。
【請求項2】
前記熱モデルは、前記DUT接触構造体の熱モデルを含み、および/または
前記熱モデルは、前記DUTを前記自動試験装置に電気的に結合するために用いられるDUT接触部の熱モデルを含み、および/または
前記熱モデルは、前記DUT接触構造体および前記DUT接触部を一緒にモデル化する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記熱モデルは、前記DUT接触構造体の熱挙動を表すように構成されたモデルパラメトリゼーションを含み、
前記制御装置は、
前記DUT接触構造体の温度を決定または推定するために、
前記熱モデルを用いて、前記DUT接触構造体のインターフェースおよび前記DUTを前記自動試験装置に電気的に結合するために用いられるDUT接触部の熱挙動を追加的に表すこと、および/または前記熱モデルを用いて、前記DUT接触部の熱挙動を追加的に表すことのために、
前記DUT接触構造体に印加される前記信号の電流の測定に基づいて、および/または前記接触構造体の電圧の測定に基づいて、前記モデルパラメトリゼーションを適応させるように構成される、
請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記熱モデルおよび電位差の測定値を用いて、前記DUT接触構造体の温度を決定または推定するように構成されており、
前記電位差は、前記DUT接触構造体上の電位差と等しく、または
前記電位差は、前記接触構造体上の電位差を含み、または
前記電位差は、前記DUT接触構造体のATE側端部と前記DUTのコンタクトパッドとの間の電圧降下を表し、または
前記電位差は、前記DUT接触構造体のATE側端部と前記DUTを前記自動試験装置に電気的に結合するために用いられるDUT接触部との間の電圧降下を表し、または
前記電位差は、前記DUT接触構造体を含み、前記DUTへの移行部における電圧降下を表す、
請求項1から3のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記熱モデルを用いて、前記DUT接触構造体または前記DUT接触構造体を含む前記被試験デバイスへの移行部を横切る電圧降下を記述する電圧測定を用いて、少なくとも前記DUT接触構造体を流れる電流をほぼ記述する電流測定を用いて、前記DUT接触構造体の温度を決定または推定するように構成される、
請求項1から4のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記DUT接触構造体のATE側端部と前記DUTのDUT接触部との間の電圧を決定し、熱モデルを用いたDUT接触構造体の温度の決定または推定のために前記決定した電圧を用いるよう構成される、
請求項1から5のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記制御装置は、前記DUT接触構造体と結合されたATEポートによって提供される電流または前記DUT接触構造体を流れる電流を決定し、前記熱モデルを用いて前記DUT接触構造体の温度の決定または推定のために決定した電流を用いるように構成される、
請求項1から6のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記制御装置は、前記DUT接触構造体と結合されたATEポートにより提供される電流を測定する、またはその測定値を受信するように構成されており、かつ、
前記制御装置は、前記ATEポートに結合された1つ以上のコンデンサを流れる電流を決定するように構成されており、かつ、
前記制御装置は、前記測定された電流を用いて、前記ATEポートに結合された1つまたは複数のキャパシタを通って流れる前記決定された電流を用いて、前記DUT接触構造体を流れる電流を導出するよう構成される、
請求項1から7のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項9】
前記制御装置は、
環境温度
ウェハ温度
ダイ温度
前記接触構造体の通電能力
前記接触構造体の熱伝導率
前記構造体の熱対流値、および/または
持続時間
の少なくとも1つを用いて前記DUT接触構造体の温度を決定または推定するように構成される、
請求項1から8のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項10】
前記環境温度および/または前記ウェハ温度および/または前記ダイ温度は、それぞれの測定温度またはそれぞれの設定点温度である、
請求項9に記載の制御装置。
【請求項11】
前記制御装置は、前記熱モデルを用いて、前記DUT接触構造体の温度の時間発展を決定または推定するように構成される、
請求項1から10のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項12】
前記制御装置は、前記DUT接触構造体の熱時定数の最大1/100の時間分解能を用いて、前記DUT接触構造体の温度を決定または推定するように構成される、
請求項1から11のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項13】
前記制御装置は、前記決定または推定された温度に基づいて、前記DUT接触構造体に印加される信号を制御し、または停止させるように構成される、
請求項1から12のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項14】
前記制御装置は、前記制御装置の時間分解能の2倍以下の時間内に、前記DUT接触構造体に印加される信号を停止するよう構成される、
請求項1から13のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項15】
前記DUT接触構造体に印加される信号は、試験信号および/または電源信号の少なくとも一方である、
請求項1から14のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項16】
前記DUT接触構造体は、DUTソケットのプローブ針および/または導体を有する、
請求項1から15のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項17】
前記制御装置は、前記接触構造体における損傷を防ぐために、前記DUT接触構造体の前記決定または推定された温度が閾値を超えたという検出に応答して、前記DUT接触構造体に印加される電流を低減するか、スイッチオフするか、または制限するよう構成される、
請求項1から16のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項18】
前記熱モデルは、第1の因子が測定された電圧に等しいか、またはそれに基づくものであり、第2の因子が測定された電流に等しいか、またはそれに基づくものである積の形成を用いて、前記モデル化されたDUT接触構造体を加熱する加熱電力を決定するように構成される、
請求項1から17のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項19】
前記制御装置は、前記熱モデルを用いて、前記DUTを前記自動試験装置に電気的に結合させるために用いられるDUT接触部の温度を決定または推定するよう構成されており、
前記制御装置は、前記DUT接触部の前記決定または推定された温度に基づいて、前記DUT接触構造体の前記決定または推定された温度に基づいて、前記DUT接触構造体に印加される信号に影響を与えるように構成される、
請求項1から18のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか一項に記載の制御装置と、
前記DUT接触構造体に印加される信号を提供するように構成されたATEリソースと、を備え、
前記制御装置は、前記決定または推定された温度に基づいて前記DUT接触構造体に印加される信号に影響を与えるために、前記ATEリソースに影響を与えるように構成される、
自動試験装置(ATE)。
【請求項21】
前記DUT接触構造体に印加される信号の電流を測定するように構成された第1測定ユニットと、
前記DUT接触構造体のATE側端部と前記DUTのDUT接触部との間の電圧を測定するように構成された第2測定ユニットと、をさらに備え、
前記第1および第2測定ユニットは、前記DUT接触構造体の温度の決定または推定を可能にするために、前記DUT接触構造体に印加された信号の測定された電圧および電流のそれぞれの測定値を前記制御装置に提供するよう構成される、
請求項20に記載の自動試験装置。
【請求項22】
前記ATEリソースは、前記DUT接触構造体に印加される信号を提供するためのATEポートを有し、
デカップリングコンデンサが、前記ATEポートに結合され、
前記デカップリングコンデンサは、前記ATEポートによって提供される信号を安定させるように構成され、および/または
前記デカップリングコンデンサは、前記ATEの他の回路要素によって生成されるノイズから前記DUTを切り離すように構成される、
請求項20または21に記載の自動試験装置。
【請求項23】
前記制御装置は、前記DUT接触構造体の温度を決定または推定するために、前記DUT接触構造体に印加される信号に対する前記デカップリングコンデンサの影響を考慮するように構成される、
請求項22に記載の自動試験装置。
【請求項24】
前記制御装置は、
前記DUT接触構造体に印加される信号の電流の測定値を用いて、かつ、
前記DUTの目標電圧に関する所定の情報を用いて、および/または
前記DUT接触構造体のATE側端部と前記DUTのDUT接触部との間の電圧の測定値を用いて、および/または
前記DUTの電圧の測定値を用いて、
前記デカップリングコンデンサの影響を考慮するように構成される、
請求項23に記載の自動試験装置。
【請求項25】
前記自動試験装置は、前記DUT接触構造体に提供されるATE出力信号の電圧および/または電流を調節するように構成されたソースレギュレーションをさらに備え、
前記制御装置は、前記DUT接触構造体の決定または推定された温度に基づいて、ソースレギュレーションに影響を与えるように構成される、
請求項20から24のいずれか一項に記載の自動試験装置。
【請求項26】
前記自動試験装置は、前記制御装置が前記DUT接触構造体に印加される信号に影響を与えたことに応答して、または前記制御装置が所定の許容度より大きく前記DUT接触構造体に印加される信号に影響を与えたことに応答して、試験を失敗とマークするように構成される、
請求項20から25のいずれか一項に記載の自動試験装置。
【請求項27】
前記自動試験装置は、1つ以上の力DUT接触構造体に印加される信号を提供するように構成されており、
前記自動試験装置は、1つまたは複数のセンスDUT接触構造体からセンス信号を受信するように構成されており、
前記自動試験装置は、前記力DUT接触構造体のうちの1つのATE側端部と前記センス信号との間の電位差を決定するように構成されており、
前記自動試験装置は、前記熱モデルを用い、前記決定された電位差を用いて、温度を決定するように構成される、
請求項20から26のいずれか一項に記載の自動試験装置。
【請求項28】
前記熱モデルは、熱履歴を考慮するように構成される、
請求項20から27のいずれか一項に記載の自動試験装置。
【請求項29】
前記熱モデルは、前記DUT接触構造体からDUT接触部への移行部における実際の接触抵抗を考慮するように構成されており、
前記DUTは、前記被試験デバイス接触部を用いて前記自動試験装置に電気的に結合される、
請求項20から28のいずれか一項に記載の自動試験装置。
【請求項30】
被試験デバイス(DUT)を試験するために自動試験装置(ATE)を制御するための制御装置であって、
前記被試験デバイスは、DUT接触部を用いて自動試験装置と電気的に結合されており、
前記制御装置は、熱モデルを用いて前記DUT接触部の温度を決定または推定するように構成されており、
前記制御装置は、前記決定または推定された温度に基づいて、前記DUT接触部に印加される信号に影響を与えるように構成される、
制御装置。
【請求項31】
前記被試験デバイスの接触部は、DUTピンまたはDUTパッドおよび/またはDUTボールグリッドアレイ(bga)ボールである、
請求項30に記載の制御装置。
【請求項32】
被試験デバイス接触構造体を用いて自動試験装置に電気的に結合されている被試験デバイス(DUT)を試験するために自動試験装置(ATE)を制御する方法であって、
熱モデルを用いて前記DUT接触構造体の温度を決定または推定することと、
前記決定または推定された温度に基づいて、前記DUT接触構造体に印加される信号に影響を与えることと、を含む、
方法。
【請求項33】
自動試験装置(ATE)を操作し、被試験デバイス接触構造体を用いて自動試験装置に電気的に結合された被試験デバイス(DUT)を試験する方法であって、
ATEリソースを用いて、前記DUT接触構造体に印加される信号を提供することと、
熱モデルを用いて、前記DUT接触構造体の温度を決定または推定することと、
前記決定または推定された温度に基づいて、前記DUT接触構造体に印加される信号に影響を与えるために、前記ATEリソースに影響を与えることと、を含む、
方法。
【請求項34】
被試験デバイス(DUT)接触部を用いて自動試験装置(ATE)に電気的に結合される被試験デバイスを試験するために前記自動試験装置を制御する方法であって、前記方法は、
熱モデルを用いて前記DUT接触部の温度を決定または推定することと、
前記決定または推定された温度に基づいて、前記DUT接触部に印加される信号に影響を与えることと、を含む、
方法。
【請求項35】
コンピュータ上で実行されるときに請求項32から34のいずれか一項に記載の方法を実行するためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明に係る実施形態は、自動試験装置(Automated Test Equipment:ATE)、ATE、ATEを制御するための方法、ATEを操作するための方法、および温度の推定または決定を含むそのような方法を実行するためのコンピュータプログラムに関する。
【0002】
本発明に係る更なる実施形態は、プローブニードルセーフガードに関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
本発明をよりよく理解するために、本発明の実施形態で対処される問題は、特に、先行する解決策に関して動機づけされる。
【0004】
半導体製造中の品質保証は、集積回路(IC)試験によって達成される。すべてのICは、その品質を保証するために、その仕様に対して試験される必要がある。
【0005】
自動試験装置(ATE)は、被試験デバイス(DUT)に電源および刺激を提供し、期待値と比較される信号を測定するために用いられる。
【0006】
図1は、被試験デバイスを試験するためのICウエハレベル試験セットアップの概略図である。図1(a)は、複数の被試験デバイスを有するウェハ、一例として、ベアダイ101を示す。図1(b)は、一例として、金属コンタクトパッド103に囲まれたDUT回路102を構成するベアダイ101の1つを示す。図1(c)は、一例として、図1(b)に示すベアダイ101の貫通した酸化膜層105を介して、金属コンタクトパッド103の1つに接触する、プローブ針107を示す図である。
【0007】
ICウェハレベル100試験は、(ベアダイ101のような)パッケージされていないデバイスの品質保証のため、またはウェハソート時に欠陥を特定し、不必要なパッケージングコストを回避するために適用される。
【0008】
試験システムとDUT回路102との間の信頼できる電気的接触は、たとえば、必須であり得る。
【0009】
DUTは、プローブ針107を介して試験システムに接続される金属コンタクトパッド103を提供する。
【0010】
プローブ針107は、DUTに電流を流すための金属で構成される。IC101は、通常、試験のために同時に接続されるべき数百のコンタクトパッド103(ここでは簡略化した図)を有し、その結果、プローブ針の機械的寸法が微小となる。したがって、プローブ針は、たとえば、繊細な誤差を生じやすい場合がある。
【0011】
試験システムからDUT101への適切な信号伝達は、プローブ針107およびDUTパッド103を介した合理的な接続を要求する場合がある。プローブ針の先端は、ダイパッド103の金属表面106を擦って傷つけ、強固な接触を得ることがあるが、これは、酸化、機械的摩耗、パッド残留物106の汚染によってプローブ針の先端の摩耗を生じさせる可能性がある。試験中の温度上昇は、摩耗プロセスを加速させる可能性がある。ダイの温度は、特定の試験パラメータである可能性があり、電流の流れによる自己発熱は、プローブコンタクト104にさらなるストレスを生じさせる。それらのストレス要因を軽減するために、プローブ針は、プローブ先端の汚染を除去し、機械的パラメータを回復するために、たとえば可能な限り洗浄サイクルを受けることができる。プローブ針の成長ストレス、熱ストレスと組み合わせた機械的ストレスは、最終的に不可逆的な劣化、たとえば電気的または機械的なプローブ針のパラメータの負の変化(摩耗、バネ張力の低下、溶融)により引き起こされる可能性がある。
【0012】
ディレーティングは、ストレス状況下でのプローブ針の過熱を軽減するための一般的なアプローチであり得る。そのため、プローブ針1本あたりの印加電流は、定格最大電流を下回る(たとえば、ほとんど大幅に下回る)ことが想定される。しかし、ディレーティングを用いても、プローブ針の「焼け」が観察されることがある。これは、プローブ針の先端からダイパッドへの接触が弱いことと、過電流が原因である可能性が高い。プローブ針の温度が上昇すると、抵抗の増加により電力が増加し、最終的に熱暴走に至る可能性がある。
【0013】
このように、従来技術では、プローブ針に熱応力が加わると過熱し、スプリング張力の低下や針先の溶融など、不可逆的な劣化や損傷が発生する可能性がある。このため、ICの生産に支障をきたす場合がある。プローブカードは、高価で時間のかかる修理が必要であるか、あるいはプローブカードの全喪失、IC生産の更なるダウンタイムの可能性があり得る。
【0014】
したがって、デバイス試験に用いられる接触要素における劣化および/または損傷を減少させ、あるいは回避することができるコンセプトを得ることが望まれている。さらに、このようなコンセプトは、システムの複雑さ、実装の手間、および損傷緩和の有効性の間でより良い妥協点を提供することが望まれている。
【0015】
これは、本願の独立項の主題によって達成される。
【0016】
本発明に係るさらなる実施形態は、本出願の従属項の主題によって定義される。
【発明の概要】
【0017】
本発明に係る実施形態は、被試験デバイス接触構造体を用いて(または介して)、たとえばプローブ針を用いて(または介して)、またはたとえばDUTソケットを用いて(または介して)、自動試験装置に電気的に結合される被試験デバイス(DUT)を試験するための自動試験装置(ATE)を制御するための制御装置を備える。制御装置は、熱モデルを用いて、たとえばDUT接触構造体の熱モデルを用いて、またはたとえばDUT接触構造体の熱モデルを含む熱モデルを用いて、DUT接触構造体の温度を決定または推定するように構成される。さらに、制御装置は、決定または推定された、あるいはたとえばモデル化された温度に基づいて、DUT接触構造体に印加される信号に影響を与える、たとえば制御する、調節する、停止するおよび/または制限するように構成される。
【0018】
本発明に係る実施形態は、DUT接触構造体に印加される信号に影響を与えるために、熱モデルを用いてDUT接触構造体の温度を決定または推定するという考えに基づいている。
【0019】
試験シナリオにおいて、DUTは、たとえば予め決められた試験信号を提供されることがある。これは、たとえば、DUTターゲット電圧またはDUTターゲット電流であってよい。DUTは、たとえば自動試験装置の試験ヘッドなどの試験セットアップに容易に着脱されるべきであるので、DUTに電気的な接触を提供するように構成されたプローブ針などの接触構造体または他の要素が用いられ得る。上述したように、これらのDUT接触構造体は、摩耗、特に熱的に誘発される摩耗を受ける可能性がある。
【0020】
本発明者らは、接触構造体の温度がある閾値以下に維持される場合、摩耗および他の接触構造体の損傷が回避または軽減される可能性があることを認識した。一つの課題は、試験中にこの温度を追跡することであり、試験信号は、連続して変更または適合される可能性がある。さらに、場合によっては、DUT接触構造体とDUTまたはDUT接触部(たとえば、DUTのボンドパッドまたはコンタクトパッド)の間の接触面に関する正確な知見を収集することが困難な場合がある。接触不良は、接触構造体への熱負荷の増加、ひいては温度、ひいてはダメージにつながる可能性がある。
【0021】
それゆえ、本発明者らは、DUT接触構造体の温度の追跡が、たとえばDUT接触構造体の熱モデルを含む熱モデルを用いて実行されてよいことを認識した。これにより、DUT接触構造体の温度を問題のない温度境界内に維持することができる場合がある。温度の追跡は、たとえば、リアルタイムで実行されてよい。たとえば、温度測定とは対照的に、推定または決定された温度は、より速く提供され得る。温度の変化を予測することも可能であり、DUTに対する試験および/または信号の提供を適合させることができる。
【0022】
いずれにせよ、DUT接触構造体の温度に影響を与えるために、DUT接触構造体に適用される信号、たとえばDUTのために提供される信号、またはDUTのための信号を含む信号、たとえば試験信号は、熱モデルを用いて決定または推定された温度に基づいて影響を受けてよい。影響を与えることは、たとえば、信号(たとえば電流)の制御または調節、または停止、または遮断、または制限を含んでよい。
【0023】
その結果、接触要素の劣化および/または損傷を減少させるか、または回避することができる。言い換えれば、プローブ針の過熱および不可逆的な劣化および損傷を減少するか、あるいは回避さえできる。損傷は効果的に軽減され、そのために、接触構造体における追加の温度測定は省略されてもよく、たとえば、温度のたとえばリアルタイム追跡を可能にするために、既存の電流および電圧測定値のみ、および/またはわずかな追加の電圧および/または電流測定値のみが用いられ得る。したがって、本発明のコンセプトは、少ない労力で実施することができ、システムの複雑性に与える影響も少ない。
【0024】
さらに、本発明の実施形態によって解決される他の問題は、プローブ針への熱応力が、過熱およびバネ張力の低下または先端溶融などの不可逆的な劣化および損傷につながる可能性があることである。これは、IC生産の中断につながる可能性がある。プローブカードは、高価で時間のかかる修理を必要とするか、あるいはプローブカードの全喪失を招き、IC生産のさらなるダウンタイムが発生する可能性がある。これらの問題は、本発明の実施形態によって、または本発明の実施形態を用いることによって克服できる。
【0025】
本発明のさらなる実施形態によれば、熱モデルは、DUT接触構造体の熱モデルを含み、これは、たとえば、DUT接触構造体の熱容量、DUT導電構造体の熱伝導、および任意にDUT接触構造体の熱環境の熱特性および/または放射特性も考慮し得る。代替的にまたは追加的に、熱モデルは、DUTを自動試験装置に電気的に結合するために用いられるDUT接触部(たとえばDUTコンタクトパッドおよび/またはたとえばDUTボンドパッド)の熱モデルを有し、たとえば、DUT接触部の熱容量、DUT接触部の熱伝導、および任意にDUT接触部の熱環境の熱特性および/または放射特性も考慮することがある。代替的にまたは追加的に、熱モデルは、DUT接触構造体およびDUT接触部を一緒にモデル化する。
【0026】
DUT接触構造体に関する情報、たとえば熱モデル情報に加えて、熱モデルは、DUT接触部に関する情報を含んでよい。簡単に言えば、DUT接触構造体は、たとえば、ATE側におけるATEとDUTとの間の接触配置構成の第1の部分であってもよく、DUT接触部は、たとえば、DUT側におけるATEとDUTとの間の接触配置構成の第2の部分であってよい。
【0027】
上述したように、DUT接触構造体は、たとえば、プローブ針であってもよく、DUT接触部は、たとえば、DUTコンタクトパッドであってよい。したがって、接触配置構成の全体は、針とパッドとを有してよい。熱モデルは、そのような接触配置構造の任意のまたは全ての部分を記述するために用いられてもよく、したがって、接触構造体および/または接触またはそれらの混合物の熱モデル、たとえば、接触構造体を記述する第1の部分および接触部を記述する第2の部分で明確に分解されないモデルを含む。熱モデルは、特に、接触構造体と接触部との間の接触面を、たとえば、接触の一部として含むか、または別の方法でモデル化され得る。
【0028】
したがって、熱モデルは、たとえば利用可能な計算能力および/またはモデリング精度に関して、特定のアプリケーションの要件にしたがって構築できる。これにより、自由度が増し、DUT接触構造体の温度を高精度で決定または推定できる。
【0029】
本発明のさらなる実施形態によれば、熱モデルは、モデルパラメトリゼーションを有し、モデルパラメトリゼーションは、DUT接触構造体の熱挙動を表現するように構成される。さらに、制御装置は、DUT接触構造体の温度を決定または推定するために、DUT接触構造体と、DUTを自動試験装置に電気的に結合するために用いられるDUT接触部との界面の熱挙動を熱モデルで追加的に表すために、および/またはDUT接触部の熱挙動を熱モデルで追加的に表すために、DUT接触構造体に印加される信号の電流の測定値に基づいて、および/または接触構造体の電圧の測定値に基づいて、モデルパラメトリクスを調整するよう構成される。
【0030】
モデルは、アプリケーションのハードウェアの特定の特性にしたがって適合させることができる既定のパラメトリゼーションを含んでよい。例として、プローブ針の抵抗を記述するパラメータは、DUTのコンタクトパッドを考慮した用語、たとえば追加抵抗で適合させることができる。このようなパラメータの適応は、たとえば測定値に基づいて、実行時に、たとえばリアルタイムで実行されてよい。したがって、熱モデルは、温度推定に関して良好な精度を可能にする適応型モデルであってよい。
【0031】
本発明のさらなる実施形態によれば、制御装置は、たとえばDUT接触構造体に印加される信号の電流測定値を用いて、熱モデルを用いて、DUT接触構造体上の電位差(たとえば電圧)に等しい、または接触構造体上の電位差(たとえば電圧)を含む電位差(たとえば電圧)の測定値、またはたとえば接触構造体を横切る電位差と近似し、またはたとえば接触構造体を横切る電位差を表し、またはたとえばDUT接触構造体のATE側端部とDUTのコンタクトパッドとの間の電圧降下、またはDUT接触構造体のATE側端部と(DUTを自動試験装置に電気的に結合するために用いられる)DUT接触部との間の電圧降下を表し、またはDUT接触構造体を含むDUTへの移行部における電圧降下を表す、電位差の測定値を用いて、DUT接触構造体の温度を決定または推定するように構成される。
【0032】
実施形態によれば、熱モデルをシミュレーションまたは評価するために、複数の任意の測定値が用いられてよい。したがって、本発明のコンセプトは、たとえば、電圧の測定のための限られた選択肢のみを有する特定のハードウェアセットアップに容易に適合させることができる。
【0033】
本発明のさらなる実施形態によれば、制御装置は、熱モデルを用いて、DUT接触構造体を横切る、または、たとえば自動試験装置からまたは負荷ボードから、DUT接触構造体、およびたとえばDUT接触部および任意に被試験デバイス内のいくつかの配線を含む被試験デバイスに向かう移行部を横切る電圧降下を記述する電圧測定を用い、DUT接触構造体を流れる電流を少なくともほぼ記述する電流測定を用いてDUT接触構造体の温度を決定または推定するよう構成される。
【0034】
熱モデルの一部として、たとえばDUT接触構造体間の電圧降下またはATEからDUTへの対応する移行部間の電圧降下を測定し、構造体または移行部を流れる電流に関する情報と共に、温度変化を引き起こす可能性がある電力またはエネルギーを決定できる。そのような電圧および電流、ひいては電力および/またはエネルギーに関する知見を用いて、接触構造体の温度を正確に評価または決定できる。
本発明のさらなる実施形態によれば、制御装置は、DUT接触構造体のATE側端部とDUTのDUT接触部との間の電圧(=電位差)を、たとえば、DUT接触構造体によって接触されるDUT接触部に等しくてよいし、DUT接触構造体によって接触されるDUT接触部と導電的に結合してもよく、たとえば、2つの別々の電圧測定から測定、または計算するよう構成される。たとえば、DUT接触構造体によって接触されるDUT接触部と実質的に同じ電位になるようにする。さらに、制御装置は、熱モデルを用いたDUT接触構造体の温度の決定または推定のために、決定された電圧を用いるように構成される。
【0035】
実際のアプリケーションでは、接触構造体上の電圧降下を正確に測定することが困難な場合がある。一方、熱モデルが接触構造体の温度変化を効果的に記述するのに十分な情報を提供するために、DUT接触構造体のATE側端部とDUTの接触部との間の電圧を測定すれば十分である場合がある。これにより、接触構造体の電圧の測定を簡略化することができる。
【0036】
本発明のさらなる実施形態によれば、制御装置は、DUT接触構造体と結合されたATEポート、たとえばデバイス電源の出力、またはアナログもしくはデジタルATEチャネルモジュールの出力によって提供される電流、またはDUT接触構造体を流れる電流を決定し、たとえば測定または計算するように構成され、決定した電流を熱モデルを用いたDUT接触構造体の温度の決定または推定のために用いるように構成される。
【0037】
多くのATEシステムは、ポートに供給される電流を測定または設定するために、内部機能を提供できる。したがって、本発明のコンセプトは、限られた追加作業で適用できる。さらに、ATEポートの電流は、たとえば、接触構造体に印加される信号とほぼ同じであってよい。さらに、接触構造体に印加される信号、たとえば電流は、たとえば、他の回路に提供されるか、または離れて伝導される副電流を減算して、決定された電流に基づいて決定されてよい。したがって、ATEポートによって提供される電流、またはDUT接触構造体を流れる電流の知見さえあれば、たとえば電力またはエネルギーの決定に基づいて(たとえば、上述した電圧測定などの電圧測定と組み合わせて)、接触構造体の温度を正確に推定または決定できる場合がある。
【0038】
本発明のさらなる実施形態によれば、制御装置は、DUT接触構造体と結合されたATEポート、たとえばデバイス電源の出力によって、またはアナログもしくはデジタルATEチャネルモジュールの出力によって提供される電流を測定する、またはその測定値を受信するように構成される。さらに、制御装置は、ATEポートに結合された1つまたは複数のキャパシタを流れる電流を、たとえばiC=Cdu/dtの関係を用いて決定する、たとえば計算するように構成される。さらに、制御装置は、測定された電流を用い、ATEポートに結合された1つまたは複数のキャパシタを流れる決定された電流を用い、たとえば測定された電流から1つまたは複数のキャパシタを流れる電流を減じることにより、DUT接触構造体を流れる電流を導出する、たとえば計算するよう構成される。
【0039】
一般に、接触構造体に印加される信号に影響を与える可能性のあるATE内の他の回路の影響は、たとえば少なくとも部分的に補償されてよい。電源、たとえば電流を供給するATEポートの場合、ATEポートの出力信号を安定させるためにコンデンサが実装されてよい。したがって、接触構造体に供給される電流を決定するために、影響、たとえばコンデンサを流れる電流が、たとえばATEポートの出力電流から差し引かれて補償されてよい。その結果、接触構造体の温度は、たとえばデカップリングコンデンサの形で、試験最適化のために追加の回路を用いることができる一方で、良好な精度で決定または推定できる。
【0040】
本発明のさらなる実施形態によれば、制御装置は、環境温度、たとえば空気温度またはDUT接触構造体が搭載される負荷基板の温度、ウェハ温度、たとえばDUTの温度のうちの少なくとも1つを用いて、DUT接触構造体の温度を決定または推定するよう構成される。DUTのウェハ温度、DUTのダイ温度、接触構造体の通電能力、接触構造体の熱伝導率、構造体の熱対流値、および/または持続時間(たとえば、信号がDUT接触構造体に印加される持続時間)のうちの少なくとも1つを用いて、DUT接触構造体の温度を推定する。
【0041】
温度の推定または決定の精度を向上させるために、複数のパラメータを考慮することができる。特定の試験セットアップまたはATEに基づいて、利用可能なパラメータを熱モデルに組み入れることができる。
【0042】
本発明のさらなる実施形態によれば、環境温度および/またはウェハ温度および/またはダイ温度は、それぞれの測定温度またはそれぞれの設定点温度である。
【0043】
これらの温度は、モデルに組み込まれるために必ずしも測定される必要はない。したがって、これらのパラメータの考慮は、設定値を使って可能である。このように、温度の推定または決定の精度を向上させることができ、あるいは、少ない追加作業で精度を向上させることができる。
【0044】
本発明のさらなる実施形態によれば、制御装置は、熱モデルを用いてDUT接触構造体の温度の時間発展を決定または推定するように構成される。
【0045】
時間発展は、将来の温度経過、言い換えれば、温度予測を含んでよい。さらに、温度の時間発展は、接触構造体の損傷が差し迫っているために試験をいつ停止しなければならないかを決定または予測するために用いられる場合がある。したがって、時間発展の決定および推定は、追加的な試験情報の抽出を可能にする。
【0046】
本発明のさらなる実施形態によれば、制御装置は、DUT接触構造体の熱時定数の最大1/100の時間分解能を用いてDUT接触構造体の温度を決定または推定するように構成される。
【0047】
時間分解能は、たとえば、所定の試験信号の揮発度に関して選択されてよい。このようにすれば、損傷を避けるために十分速く過熱を検出することができる可能性がある。一方、時間分解能は、接触構造体および/またはDUTの接触部および/またはそれらの組み合わせの時定数に応じて選択されてよい。一例として、分解能は、PN(たとえばプローブ針)の熱時定数の1/100より短いことが望ましい。たとえば、PNの時定数が10msの場合、0.1msec以下の時間分解能が必要となる。
【0048】
本発明のさらなる実施形態によれば、制御装置は、決定または推定された温度に基づいて、DUT接触構造体に印加される信号を制御または停止するように構成される。
【0049】
信号の停止または制御を介して、DUT接触構造体の上昇した温度は、臨界限界を下回るまで低減されてよいし、DUT接触構造体の温度は、臨界限界に達する前に低減されてよい。したがって、接触構造体の損傷を回避できる。
【0050】
本発明のさらなる実施形態によれば、制御装置は、制御装置の時間分解能の2倍以下の時間内にDUT接触構造体に印加された信号を停止するように構成される。
【0051】
推定または決定された温度の知見により、たとえばリアルタイムで、信号を制御または停止することが、たとえば接触構造体の熱プロセスの時定数内で、たとえば接触構造体に印加される信号を考慮して、過熱が回避され得るように、実行時間において実行されてよい。一例として、反応時間は時間分解能の2倍以下であることが望ましい。たとえば、時間分解能が0.1msecの場合、停止時間は0.2msec未満となる。
【0052】
本発明のさらなる実施形態によれば、たとえばATEによってDUT接触構造体に印加される信号は、試験信号、たとえば試験刺激、および/または電源信号、たとえば電流の少なくとも1つである。
【0053】
試験信号または試験刺激は、たとえばDUTの動作を試験するために、DUTを所定の状態に置くように構成されることがある。信号または刺激は、DUTにおいて所定の電圧または電位を生成するように適合されてよい。たとえば上述のように、本発明のコンセプトは、導電構造体を監視することを可能にし得るため、試験信号は、本発明の温度の推定または決定を用いて、たとえば導電構造体の加熱問題を特に考慮することなく、実施される試験に応じて選択されてよい。
【0054】
本発明の更なる実施形態によれば、DUT接触構造体は、DUTソケット(たとえばDUT試験ソケット)のプローブ針および/または導電体を有し、またはたとえば、それである。
【0055】
ATEとDUTとの間に電気的な接続を提供するように構成された任意の接触要素は、本発明の温度の推定または決定を通じて監視または管理されてよい。
【0056】
本発明のさらなる実施形態によれば、制御装置は、接触構造体上の損傷を防ぐために、DUT接触構造体の決定または推定された温度が閾値を超えたという検出に応じて、DUT接触構造体に印加される電流を減らす、またはスイッチを切る、たとえば切断する、または制限するよう構成される。
【0057】
電流は、たとえば、DUTの給電電流であってよい。このような給電電流の一部分は、たとえば、DUTに印加される信号であってよい(別の部分は、たとえば、デカップリングコンデンサなどの他の回路に伝導されてよい)。実施形態によれば、電流は、スイッチオフまたはカットオフされ、たとえば電流を0Aに減少させるか、または導電構造体がある閾値以下に冷却することを可能にし得る値にのみ制限され、たとえば減少させられてよい。したがって、導電構造体は、効果的に保護され得る。
【0058】
本発明のさらなる実施形態によれば、または制御装置は、積の形成を用いて、モデル化されたDUT接触構造体を加熱する加熱電力を決定するように構成され、その第1の因子は、測定された電圧に等しく、またはそれに基づき、その第2の因子は、測定された電流に等しく、またはそれに基づく。
【0059】
これにより、導電構造体の温度を正確に決定または推定できる。
【0060】
本発明のさらなる実施形態によれば、制御装置は、熱モデルを用いて、たとえばDUT接触部の熱モデルを用いて、またはDUT接触部の熱モデルを含む熱モデルを用いて、DUTを自動試験装置に電気的に結合するために用いられるDUT接触部の温度を決定または推定するように構成される。さらに、制御装置は、DUT接触構造体の決定または推定された、たとえばモデル化された、温度に基づいて、DUT接触構造体に印加される信号に影響を与える、たとえば制御する、規制する、停止する、および/または制限するように構成される。
【0061】
ATE側から見たATEとDUTとの間の接続の要素の温度であってよいDUT接触構造体の温度の推定に加えて、DUT側から見たATEとDUTとの間の接続の要素の温度であってよいDUT接触部、たとえばDUTボンドパッドまたはコンタクトパッドの温度を推定または決定し、それゆえ接触構造体に適用する信号をそれに基づいて適合させることができる。これらの温度は、たとえば、等しいか、または少なくともほぼ等しくてよい。一例として、接触構造体は、ATEからの接続を提供するプローブ針、またはDUTに電流を提供するATEポートであって、一例としてコンタクトパッドであるDUT接触部を経由するものであってよい。針およびパッドは、ATEとDUTとの間に電気的な接触を提供する接触配置構造を形成できる。臨界熱挙動は、たとえば、これら2つの要素の間で発生する可能性がある。さらに、針およびパッドの温度は強く関連している可能性がある。したがって、両者の温度は推定されてよい。これは、2つの要素間の界面、一般的にはDUT接触構造体とDUT接触部との間、たとえばプローブ針とコンタクトパッドとの間の接触面の温度を推定または決定することを含む場合もある。
【0062】
これにより、効果的な損傷の軽減または損傷の回避が可能となる場合がある。また、DUT接触部(たとえば、コンタクトパッド)においても、損傷または摩耗が軽減または回避される可能性があることに留意されたい。溶けたプローブ針の残骸は、たとえば、コンタクトパッドの品質に影響を与える可能性がある。
【0063】
本発明に係るさらなる実施形態は、自動試験装置(ATE)であって、本明細書で説明した機能性および/または特徴のいずれかを個別にまたは組み合わせて含む制御装置と、DUT接触構造体に印加する信号を供給するよう構成されるATEリソース(たとえばデバイス電源またはデジタルチャネルモジュールまたはアナログチャネルモジュール)とを備えることを特徴とする。さらに、制御装置は、決定または推定された温度に基づいて、DUT接触構造体に印加される信号に影響を与えるために、ATEリソースに影響を与えるように構成される。
【0064】
制御装置は、たとえば、ATEリソースを調節または制御するように構成されたソースレギュレーションユニットであってよい。他の実施形態によれば、制御装置は、たとえば、ソースレギュレーションユニットに影響を与えるように構成され、したがって、ソースレギュレーションユニットを用いてまたはそれを介してATEリソースに影響を与える、追加の装置であってよい。ATEリソースは、たとえば、DUT接触構造体に印加される信号を構成する電流を提供してよい。ATEリソースに影響を与えるように構成された制御装置は、既存のATEシステムに本発明のコンセプトを組み込むための簡単かつ効果的な可能性を提供し、追加の複雑性は低い。
【0065】
本発明のさらなる実施形態によれば、自動試験装置は、DUT接触構造体に印加される信号の電流を測定するように構成された第1測定ユニットと、DUT接触構造体のATE側端部とDUTのDUT接触部との間の電圧(たとえば、電位差)を測定するように構成された第2測定ユニットと、を備えている。さらに、第1および第2測定ユニットは、DUT接触構造体の温度の決定または推定を可能にするために、DUT接触構造体に印加された信号の測定された電圧および電流のそれぞれの測定値を制御装置に提供するように構成される。
【0066】
電流は、たとえば、ATEポートから供給される給電電流であってよい。電流は、たとえば、DUT接触構造体に印加される信号(たとえば電流)を有してよい。しかしながら、ATEの他の回路、たとえばデカップリングコンデンサは、たとえば、ATEポートによって提供される電流の別の部分を使用または散逸させてよい。任意に、電流は、たとえば、DUT接触構造体に印加される信号であってよい。
【0067】
一例として、第2測定ユニットは、接触構造体および/またはDUT接触部の電圧を測定するために、複数、たとえば2つの、電圧測定要素(たとえば、接触構造体のATE側と接地との間の電圧および接触構造体のDUT側、たとえばDUT接触部を介してと接地との間の電圧を測定)を含んでいてよい。先に説明したように、測定された電圧および電流により、接触構造体および/またはDUT接触部を加熱するエネルギーが決定され、または熱モデルにおいて考慮され、接触構造体の温度の正確な決定が可能になる場合がある。
【0068】
本発明のさらなる実施形態によれば、ATEリソースは、DUT接触構造体に印加される信号を供給するためのATEポートを備える。さらに、デカップリングコンデンサがATEポートに結合され、デカップリングコンデンサは、ATEポートによって提供される信号を安定化するように構成される。代替的にまたは追加的に、デカップリングコンデンサは、ATEの他の回路要素によって発生するノイズからDUTをデカップリングするように構成される。本発明のコンセプトは、追加の回路、たとえばデカップリングコンデンサを含むATEセットアップに適用できる。
【0069】
本発明のさらなる実施形態によれば、制御装置は、DUT接触構造体の温度を決定または推定するために、DUT接触構造体に印加される信号に対するデカップリングコンデンサの影響を考慮するように構成される。
【0070】
上述のように、ATEポートによって提供される給電信号の1つの部分は、給電信号の別の部分のみが導電構造体に印加されるように、カップリングコンデンサに伝導されてよい。この影響、またはたとえば、たとえば測定されたATEポート信号と導電構造体に有効に適用される信号との間のこの差は、制御装置によって考慮され得る。したがって、信号損失、たとえばコンデンサに伝導される電流を介して適応される限られた測定複雑さ(ATEポート信号、たとえば電流)で、接触構造体に印加される信号、したがってその温度に関する正確な情報が決定され得る。
【0071】
本発明のさらなる実施形態によれば、制御装置は、DUT接触構造体に印加される信号の電流の測定値を用いて、およびDUTの目標電圧に関する所定の情報を用いて、および/またはDUT接触構造体のATE側端部とDUTの接触部との間の電圧(たとえば電位差)の測定値を用いて、および/またはDUTの電圧測定値を用いてデカップリングコンデンサの影響を検討するよう構成される。
【0072】
デカップリングコンデンサは、たとえば、DUTおよびDUT導電構造体に対して並列に配置されてよい。したがって、デカップリングコンデンサに伝導される電流は、DUT導電構造体および/またはDUTに供給される電圧の電圧差または電圧勾配を用いて決定または概算されてよい。この電圧の経過は、所定の目標電圧に関する情報または測定値を用いて決定されてよい。一例として、第2測定ユニットは、そのような測定値を提供するように構成されてよい。それゆえ、コンデンサの影響は、電流ic=dU/dt、(dU/dtは電圧変化、たとえば差または勾配)であってよく、導電構造体に印加される電流を決定するために、ATEポートで測定された電流から減算されてよい。したがって、導電構造体の温度を正確に決定できる。
【0073】
本発明のさらなる実施形態によれば、自動試験装置は、DUT接触構造体に供給されるATE出力信号の電圧および/または電流を調節するように構成されたソースレギュレータを備える。さらに、制御装置は、たとえば、モデル化された、たとえば瞬間的な温度が閾値に達した、またはそれを超えたという検知に応答して、DUT接触構造体の決定または推定された温度に基づいて、たとえば電圧目標値および/または電流目標値を変更することによって、またはたとえばATE出力信号を停止することによって、またはたとえば目標電圧または目標電流の時間発展の速度を変更することによって、たとえば動的に、たとえばリアルタイムで、ソースレギュレーションに影響を与えるように構成される。
【0074】
したがって、本発明の制御装置は、既存のATEシステムに組み込まれ、ソースレギュレーションに影響を与えることができる。その結果、本発明のコンセプトの利点は、既存のATEシステムにおいて、限られた追加的な複雑さで用いることができる。
【0075】
本発明のさらなる実施形態によれば、自動試験装置は、制御装置がDUT接触構造体に印加される信号に影響を与えたという事実に応答して、または制御装置がDUT接触構造体に印加される信号に所定の許容度以上の影響を与えたという事実に応答して、試験を失敗とマークするように構成される。
【0076】
接触構造体に印加される信号に対する制御装置の影響、ひいてはDUTに対する影響は、予め定められた試験仕様を変更する可能性がある。したがって、ハードウェアの損傷を避けることがより重要であるが、信号が影響を受けた場合、試験サイクルは不合格とマークされなければならない、または仕様にしたがって実行されない可能性がある。これにより、たとえば自動化された方法で試験結果を簡単に整理でき、本発明の損傷緩和が間違った解釈の試験を導くことがないようにできる。
【0077】
本発明のさらなる実施形態によれば、自動試験装置は、信号を提供するように構成されており、この信号は、1つ以上の力DUT接触構造体に印加される。さらに、自動試験装置は、1つ以上のセンスDUT接触構造体からセンス信号を受信するように構成され、たとえば、センス信号は、1つ以上の力DUT接触構造体に適用される信号からDUT上に生じる電圧を表す。さらに、自動試験装置は、力DUT接触構造体の1つのATE側端部とセンス信号との間の電位差、たとえば電圧を決定するように構成される。さらに、自動試験装置は、熱モデルを用い、決定された電位差を用いて温度を決定するように構成される。
【0078】
実際のアプリケーションでは、DUT接触構造体は、1つ以上の力DUT接触構造体および/または1つ以上のセンスDUT接触構造体を有してよい。DUT接触構造体に供給される電流は、複数の力DUT接触構造体、たとえば力プローブ針を介してDUTに供給されてもよく、力DUT接触構造体のそれぞれに対する負荷が減少し、それゆえ熱摩耗が減少するようにされる。熱モデルは、DUT接触構造体における温度に関する情報、あるいは力DUT接触構造体の温度および/または感覚DUT接触構造体に関する区別された情報を正確に提供するために、そのような構造体を考慮に入れてよい。
【0079】
本発明のさらなる実施形態によれば、熱モデルは、たとえば、一連のパルスがDUT接触構造体に適用され、DUT接触構造体が2つの電流パルス間で初期温度に戻るのに十分な時間を有しない場合、熱履歴を考慮するように構成される。
【0080】
熱履歴は、たとえば、熱状態空間モデルの状態の形態で、熱モデルの状態情報に組み込まれてよい。熱履歴は、たとえば、同様に、テーブルまたは一連のデータポイントに格納されてよい。熱履歴に基づいて、温度の推定または決定は、より高い精度で実行されてよい。
【0081】
本発明のさらなる実施形態によれば、熱モデルは、DUT接触構造体からDUT接触部への移行部における実際の(たとえば現在の)接触抵抗を、たとえばジャストインタイム抵抗測定を用いて、または移行部における電圧降下のジャストインタイム測定を用いて考慮するように構成され、DUTは、被試験デバイス接触部を用いてまたはたとえば介して自動試験装置に電気的に結合される。
【0082】
移行部は、たとえば、DUT接触構造体とDUT接触部との間の界面であってよい。界面または移行部は、接触構造体とDUT接触部との間の接触面であってよい。接触抵抗を考慮することで、DUT接触構造体および/またはDUT接触部の温度を正確に決定または推定できる。
【0083】
本発明に係るさらなる実施形態は、被試験デバイス接触、たとえばDUTパッド、DUTbgaボールを用いて、またはたとえばそれを介して自動試験装置に電気的に結合される被試験デバイス(DUT)を試験するための自動試験装置(ATE)を制御する制御装置を備える。制御装置は、熱モデルを用いて、たとえばDUT接触部の熱モデルを用いてまたはDUT接触部の熱モデルを含む熱モデルを用いてDUT接触部の温度を決定または推定するように構成されることを特徴とする。さらに、制御装置は、決定または推定された、たとえばモデル化された、温度に基づいて、DUT接触部に印加される信号に影響を与える、たとえば制御する、調節する、停止する、および/または制限するように構成される。
【0084】
上述と同様の考察に基づき、制御装置は、たとえば、DUT接触構造体の温度を決定または推定することなく、DUT接触部の温度を決定または推定できる。それゆえ、接触構造体に印加される信号の影響は、DUT接触部の温度に基づいて実行されてよい。
【0085】
しかしながら、DUT接触構造体の決定または推定の文脈で前に説明したすべての態様、特徴および機能性は、DUT接触部の温度を決定または推定するように構成された制御装置に、個別にまたは組み合わせて取られた状態で組み込まれるか、一緒に用いられるか、追加されてよいことに留意されたい。
【0086】
本発明のさらなる実施形態によれば、被試験デバイス接触部は、DUTピンまたはDUTパッド、たとえばDUTボンドパッドまたはDUT試験パッド、および/またはDUTボールグリッドアレイ(bga)ボールである。
【0087】
本発明に係るさらなる実施形態は、被試験デバイス接触構造体を用いて、またはたとえばプローブ針を用いて、またはDUTソケットを用いて、またはDUTソケットを介して自動試験装置に電気的に結合される被試験デバイス(DUT)を試験するための自動試験装置(ATE)の制御方法である。本方法は、たとえばDUT接触構造体の熱モデルを用いて、またはDUT接触構造体の熱モデルを含む熱モデルを用いて、DUT接触構造体の温度を決定または推定することと、決定または推定した、たとえばモデル化した、温度に基づいてDUT接触構造体に加えられる信号に影響を与え、たとえば規制し、停止し、および/または制限することと、を含む。
【0088】
本発明に係るさらなる実施形態は、自動試験装置(ATE)を操作する方法であって、被試験デバイス接触構造体を用いて、またはたとえばプローブ針を用いて、またはDUTソケットを用いて、またはDUTソケットを介して、自動試験装置に電気的に結合される被試験デバイス(DUT)を試験するための方法である。本方法は、ATEリソース、たとえばデバイス電源またはデジタルチャネルモジュールまたはアナログチャネルモジュールで、DUT接触構造体に印加される信号を提供することと、熱モデルを用いてDUT接触構造体の温度を決定または推定することと、決定または推定された温度に基づいて、DUT接触構造体に印加される信号に影響を与えるために、ATEリソースに影響を与えることとを含む。
【0089】
本発明に係るさらなる実施形態は、被試験デバイス接触部、たとえばDUTパッド、DUTbgaボールなどを用いて、またはたとえばそれを介して自動試験装置に電気的に結合される被試験デバイス(DUT)を試験するための自動試験装置(ATE)を制御する方法を含む。この方法は、たとえばDUT接触部の熱モデルを用いて、またはDUT接触部の熱モデルを含む熱モデルを用いて、DUT接触部の温度を決定または推定することと、決定または推定された、たとえばモデル化された、温度に基づいて、たとえばDUT接触部に印加される信号に影響を与える、調節する、停止する、および/または制限することを含む。
【0090】
本発明に係るさらなる実施形態は、コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行される場合、本明細書に記載される方法のいずれかを実行するためのコンピュータプログラムを有する。
【0091】
上述したような方法は、上述した制御装置および/または自動試験装置と同様の考察に基づいている。ところで、この方法は、制御装置および/または自動試験装置に関しても説明されている、すべての特徴および機能性を備えて完成させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
図面は必ずしも縮尺通りではなく、代わりに一般に本発明の原理を説明することに重点が置かれている。以下の説明では、本発明の様々な実施形態が、以下の図面を参照して説明され、その中で、以下のように説明される。
図1図1は、被試験デバイスを試験するためのICウエハレベル試験セットアップの概略図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る自動試験装置を制御するための制御装置を示す図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る熱モデルを示す概略図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係る自動試験装置(ATE)を示す図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係る自動試験装置(ATE)の測定ユニットの概略図である。
図6図6は、本発明の実施形態に係るDUT接触構造体の模式的な側面図である。
図7図7は、DUT接触構造体の温度およびDUT接触構造体に供給される電流の経時変化の第1の例を示す図である。
図8図8は、DUT接触構造体の温度およびDUT接触構造体に供給される電流の経時変化の第2の例を示す図である。
図9図9は、DUT接触構造体の温度およびDUT接触構造体に供給される電流の経時変化を示す第3の例である。
図10図10は、本発明の実施形態に係る自動試験装置を制御するための第1の方法を示す図である。
図11図11は、本発明の実施形態に係る自動試験装置を動作させるための方法を示す図である。
図12図12は、本発明の実施形態に係る自動試験装置を制御するための第2の方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0093】
同一若しくは同等の要素または同一若しくは同等の機能を有する要素は、異なる図に出現しても、以下の説明では、同一または同等の参照数字で示される。
【0094】
以下の説明では、本発明の実施形態のより全体的な説明を提供するために、複数の詳細が記載される。しかし、本発明の実施形態は、これらの特定の詳細なしに実施され得ることは、当業者には明らかであろう。他の例では、本発明の実施形態を不明瞭にしないために、周知の構造およびデバイスは、詳細ではなくブロック図の形態で示される。加えて、本明細書で後述する異なる実施形態の特徴は、特に断らない限り、互いに組み合わせることができる。
【0095】
図2は、本発明の実施形態に係る自動試験装置を制御するための制御装置を示す図である。図2は、自動試験装置(ATE)220を制御するための制御装置210を示す。任意に示されるように、ATE220は、DUT接触構造体240を有する被試験デバイス(DUT)230に電気的に結合される。別の任意的な特徴として、電気的な結合は、DUT接触部250を追加的に有する。一般に、電気的な結合は、DUT接触構造体240およびDUT接触部250の少なくとも一方を有してよい。
【0096】
ATE220は、DUT230に対して電気試験を行うように構成されてよい。したがって、図2の例では、DUT接触構造体240とDUT接触部250とを介して電気的な接続が提供される。試験中、ATE220から接触構造体240を介してDUT230に提供される信号は、接触構造体240および/またはDUT接触部250の温度を上昇させる可能性がある。たとえば構造体240の過熱を防止するために、制御装置は、構造体240の温度を追跡するために、熱モデルをシミュレートしてよい。温度に基づいて、制御装置は、構造体240の温度に影響を与えるために、ATEによって提供される信号を適応させてもよく、それゆえ、熱損傷を防止することができる。その逆で、熱モデルは、DUT接触部250の温度、および/または接触構造体240と接触部250との間の移行部の温度、および/または接触構造体240と接触部250との組合せをシミュレーションするように構成されてよい。そのような温度のシミュレーションまたは推定に基づいて、DUT接触構造体240に印加される信号が適合されてよい。
【0097】
被試験デバイスの接触は、たとえば、DUTピンまたはDUTパッド、たとえばDUTボンドパッドまたはDUT試験パッド、および/またはDUTボールグリッドアレイ(bga)ボールであってよい。
【0098】
図3は、本発明の実施形態に係る熱モデルの模式図である。一例として、熱モデル310は、測定された電圧および電流の入力UおよびIと、パラメータ入力とから構成される。一例として、モデル310は、温度T、温度変化に対する熱定数t_th、導電構造体の公称電流CCC_spec、導電構造体の公称抵抗R_nom、温度変化に対する熱抵抗R_thおよび最大温度T_maxを有する。一例として、モデル310は、モデル化された温度Tを出力してよい。
【0099】
入力に基づいて、熱モデル310は、たとえば、熱損傷が発生する前にDUTに適用される信号を適応させることができる時間制限内で、リアルタイムにシミュレートされてよい。それゆえ、試験信号の高速な影響および/または調節が実行されてよい。
【0100】
熱モデル310は、任意に、異なる入力から構成されてよい。特定の用途および熱モデルの種類に応じて、DUT接触構造体および/またはDUTコンタクトパッドの温度を決定するために、他の入力パラメータを使用できる。DUT接触構造体および/またはDUT接触部の温度を推定または決定するために制御装置によって用いられ得るモデル310の入力および/または情報のためのさらなる例は、環境温度(たとえば空気温度またはDUT接触構造体が搭載されるロードボードの温度)、ウェハ温度(たとえばDUTの温度)、DUTのウェハ温度、DUTのダイ温度、接触構造体の通電能力、接触構造体の熱伝導率、構造の熱伝導率、および/または持続時間(たとえば信号がDUT接触構造体に印加される持続時間)などであってよい。
【0101】
さらに、モデルまたは制御装置の入力として用いられる上述の温度のいずれかまたはすべては、測定されてもよく、または予め設定された設定点温度であってよいことに留意されたい。
【0102】
さらに、モデル310は、DUT接触構造体および/またはDUT接触上の熱損傷を防止することを可能にし得る温度情報を提供するのに適した任意のタイプのモデルであってよい。それゆえ、熱モデル310は、たとえば、DUT接触構造体、またはDUT接触部、またはDUT接触構造体およびDUT接触部の熱モデルであってよく、DUT接触構造体およびDUT接触部は、相互作用がモデル化される2つの異なるモデル部分であってもよく、または熱モデル310がDUT接触構造体およびDUT接触部を不可分のシステムとして記述している場合、DUT接触構造体およびDUT接触部は、不可分のシステムであってよい。一例として、モデル310は、たとえば、状態空間モデル、またはシミュレーションソフトウェア、たとえばLTspice(登録商標)またはMATLAB(登録商標)内で記述される任意の他のモデルであってよい。
【0103】
構造的に異なる部分を有するモデル310に代えてまたは加えて、DUT接触構造体とDUT接触部との間の接続の異なる側面を表すために、モデル310のパラメトリゼーションが適合されてよい。一例として、公称パラメータ、たとえば公称抵抗は、たとえば、DUT導電構造体および/またはDUT接触部の熱挙動のある側面をモデル化してよい。モデル310は、たとえば、モデルの状態に応じてパラメータ、たとえば公称抵抗を適応させる、適応型モデルであってよい。温度が上昇すると、導電構造体および接触部の抵抗が変化する可能性がある。したがって、モデルのパラメータは適応されるかもしれない。
【0104】
この適応は、たとえば接触構造体を公称パラメータで記述するのみといった、より汎用的な熱モデル310にDUT接触部またはDUT接触構造体とDUT接触部との間の移行部の挙動を含めるために同様に実行されてよい。適応は、制御装置によって実行されてよい。
【0105】
さらに、本発明の制御装置は、たとえば温度の時間発展を分析するために、DUT接触構造体および/またはDUT接触部の推定温度を経時的に追跡するために、熱モデル310を用いてよい。
【0106】
先に説明したように、熱モデルを用いる1つの本発明の利点は、ハードウェアを追加するためにさらなる複雑さおよびコストを追加することになる測定で可能な場合よりも、たとえば著しく速くDUT接触構造体の温度を決定または評価する可能性があることである。この速度を利用するために、制御装置は、たとえば、DUT接触構造体の熱時定数の最大1/100の時間分解能を用いてDUT接触構造体の温度を決定または推定できる。
【0107】
別の任意の特徴として、モデル310は、たとえば、一連のパルスがDUT接触構造体に適用され、DUT接触構造体が2つの電流パルス間で初期温度に戻るのに十分な時間を有しない場合、熱履歴を考慮するか追跡するか保存してよい。
【0108】
熱モデルに対する別の入力として、たとえば、DUT接触構造体からDUT接触部への移行部における実際の接触抵抗を挙げることができる。
【0109】
図4は、本発明の実施形態に係る自動試験装置(ATE)を示す。図4は、制御装置410およびATEリソース420を含むATE400を示す。ATEリソース420は、DUT接触構造体に印加される信号422を提供するように構成される。DUT440は、接触構造体430およびDUT接触部450を介して、ATE400に電気的に結合される。制御装置410は、決定または推定された温度に基づいて、DUT接触構造体430に印加される信号422に影響を与えるために、ATEリソース420に影響を与えるように構成される。温度は、上述のように、DUT接触構造体430の、DUT接触部450の、推定または決定された温度、またはDUT接触構造体430およびDUT接触部450を有する接触配置の温度であってよい。上述のように、温度の推定または決定は、熱モデルを用いて制御装置410によって実行されてよい。
【0110】
別の任意の機能として、ATE400は、第1測定ユニット460および第2測定ユニット470を備える。第1測定ユニット460は、信号424、たとえばDUT接触構造体430に印加される信号422の電流を測定してよい。第2測定ユニット470は、DUT接触構造体430の電圧または電位差を測定してよい。信号424は、たとえば、信号422とほぼ等しくてもよく、あるいは、等しくてよい。しかしながら、第1測定ユニット460は、信号424を変更してもよく、追加の回路、たとえば任意のデカップリングコンデンサ480は、同様に、DUT接触構造体430に提供される信号422およびATEリソース420によって提供される信号424との間の差異を生じさせてよい。
【0111】
図4に示す別の任意の特徴として、ATEリソースは、DUT接触構造体430に印加される信号422を提供するためのATEポート490を構成してよい。さらに、デカップリングコンデンサ480は、ATEポート490によって提供される信号422を安定化させるため、および/またはATE400の他の回路要素によって発生するノイズからDUT440をデカップリングするために構成されてよい。
【0112】
実際のアプリケーションでは、第2測定ユニット470の電圧測定は、異なる方法で実行されてよい。たとえば、導電構造体の低抵抗および第2測定ユニット470に向かう必要な測定線の影響のために、導電構造体430上の電圧降下を正確に測定することは困難である場合がある。一般に、第2測定ユニット470は、DUT接触構造体のATE側端部とDUTのDUT接触部との間の電圧を測定してよい。しかし、測定される電位差は、たとえば、DUT接触構造体430上の電位差に等しくてもよく、接触構造体430上の電位差を含んでもよく、接触構造体430上の電位差を近似してもよく、接触構造体430上の電位差を表してもよく、ATE-接触構造体430間の電圧降下を表してもよく、DUT接触構造体430上の電位差を近似してもよく、ATE-接触構造体430間の電位差を近似してもよく、DUT接触構造体430のATE側端部とDUT450のコンタクトパッドとの間の電圧降下を表してもよく、DUT接触構造体430のATE側端部とDUT接触部450との間の電圧降下を表してもよく、DUT接触構造体430を含むDUT440への移行部における電圧降下を表してよい。これは、図4に任意の測定線472、474、476で示されている。一例として、導電構造体430の電圧は、導電構造体の一端と導電構造体の他端との間(472+474)で正確に測定されてよい。しかしながら、これは、たとえば、可能ではない場合があり、それゆえ、導電構造体430の電圧は、導電構造体の一端とDUT接触部450との間(472+476)で測定されてよい。
【0113】
いずれにせよ、第1および第2測定ユニット460、470は、制御装置410に462、472のそれぞれの測定結果を提供してよい。制御装置410は、たとえば、ATEリソース420に影響を与えることによって、たとえば影響信号424を介してDUT接触構造体422に加えられる信号に影響を与えるかどうかを決定するために、測定結果を用いて熱モデルを評価してよい。
【0114】
制御装置410は、説明した選択肢のいずれかにしたがって測定された電圧と、測定ユニット460によって測定された信号424(たとえば電流)とに基づいて、DUT接触構造体430の温度を決定または推定するよう構成されてよい。
【0115】
したがって、好ましい実施形態によれば、制御装置410は、たとえば、熱モデルを用い、DUT接触構造体430を横切る、またはDUT接触構造体430を含む被試験デバイス440に向かう移行部を横切る電圧降下を記述する電圧測定値を用い、DUT接触構造体430を流れる電流を少なくとも近似的に記述する電流測定値を用いて、DUT接触構造体430の温度を決定しまたは推定することができる。
【0116】
別の好ましい実施形態によれば、制御装置410は、DUT接触構造体430のATE側端部とDUTのDUT接触部450との間の電圧を決定してもよく、熱モデルを用いたDUT接触構造体430の温度の決定または推定に決定した電圧を用いてよい。
【0117】
別の任意の特徴として、制御装置410は、DUT接触構造体430と結合されたATEポート490によって提供される信号424(たとえば電流)または信号422(たとえばDUT接触構造体430を流れる電流)を決定し、決定された信号(たとえば熱モデルを用いるDUT接触構造体430の温度の決定または推定のための電流)を用いるようにしてよい。言い換えれば、制御装置は、たとえば、信号424および/または422に関する正確な情報を容易に提供されなくてもよく、したがって、たとえば、第1測定ユニット460の妨害された測定に基づいて、たとえば、ATEの他のセンサによって提供されたさらなる測定情報を用いて、これらの信号を決定してよい。
【0118】
前に説明したように、デカップリングコンデンサ480などの要素は、接触構造体422での信号422が信号424と等しくないように、ATEポート490によって提供される信号424を変化させる可能性がある。したがって、別の任意の特徴として、制御装置410は、たとえば測定、または信号424(たとえば、ATEポート490によって提供される電流)の測定を受信してもよく、デカップリングコンデンサ480を流れる信号(たとえば電流)を決定してもよく、測定された電流424を用いて、デカップリングコンデンサ480を流れる決定電流を用い、信号422(たとえばDUT接触構造体422を介して流れる電流)を導き出してよい。
【0119】
その結果、別の任意の特徴として、制御装置410は、たとえば、DUT接触構造体430の温度を決定または推定するために、DUT接触構造体に印加される信号422に対するデカップリングコンデンサの影響を考慮してよい。これは、上述したように、信号424の一部のみがDUT接触構造体430に提供されるように、たとえば、測定された信号424からデカップリングコンデンサ480への電流損失を考慮することを含んでよい。
【0120】
さらに、任意選択的に、信号424に対するデカップリングコンデンサの影響を考慮するために、制御装置410は、たとえば、第1測定ユニット460によって行われる、DUT接触構造体に加えられる信号424の測定と、DUTに対する設定点値であってよい目標または試験電圧に関する情報、DUT接触構造体の電圧、たとえば任意の近似または形態での、上述したような測定、および/またはDUTの電圧測定の少なくとも1つを用い得る。
【0121】
別の任意の特徴として、制御装置410は、決定または推定された温度に基づいて、DUT接触構造体430に印加される信号422に414、たとえば制御または停止する影響を与えることができる。したがって、制御装置410は、たとえば、ATEリソース420に、信号424を適応または変更または停止するように指示してよい。そのような停止は、たとえば、温度上昇に対する反応が臨界閾値を超える温度よりも速く実行され得るように、リアルタイムで実行されてよい。一例として、DUT接触構造体430に印加される信号422の停止は、制御装置の時間分解能の2倍以下の時間内に実行されてよい。
【0122】
別の任意選択的な特徴として、DUT接触構造体430に印加される信号422は、試験信号、たとえば試験刺激、および/または電源信号、たとえば電流のうちの少なくとも1つであってよい。任意選択的に、DUT接触構造体430は、たとえば、DUTソケット、たとえばDUT試験ソケットのプローブ針および/または導体を有してよいし、あるいは、そうであってよい。
【0123】
別の任意の特徴として、制御装置410は、たとえば、DUT接触構造体の温度が所定の閾値を超えること、または所定の温度勾配閾値よりも速く増加する可能性があることを検出するように構成されてよい。このような検出に反応して、制御装置410は、接触構造体上の損傷を防ぐために、DUT接触構造体422に印加される信号422をシャットダウンまたはスイッチオフまたは制限してよい。
【0124】
別の任意の特徴として、制御装置410は、たとえば、この情報を用いて熱モデルをシミュレーションするために、熱モデルの入力として加熱電力を用いるために、製品の形成を用いて加熱電力を決定し、電流測定を提供する第1測定ユニット460から第1の因子を受け取り、電圧測定を提供する第2測定ユニット470から第2の因子を受け取ってよい。これにより、接触構造体の温度を高い精度で推定または決定することができる。
【0125】
別の任意の特徴として、ATE400は、ソースレギュレーション500を含んでもよい。ソースレギュレーション500は、DUT接触構造体に供給されるATE出力信号の電圧および/または電流を調節するように構成されてよい。一例として、図4に示すソースレギュレーション500は、たとえば、所定の特性を有する信号424を提供するために、ATEリソース420に426を影響してよい。たとえば、制御装置410がDUT接触構造体430の熱暴走を検出した場合、制御装置は、信号424を適応させるために、ソースレギュレーション416に影響を及ぼしてよい。別の例として、ソースレギュレーション500は、たとえば、制御装置410を構成してよいし、制御装置410がソースレギュレーション500の機能性を構成してよい。本発明のコンセプトは、本発明のATE400内の機能性の特定の分布に限定されるものではない。
【0126】
任意選択的に、制御装置410は、試験またはたとえば試験サイクルの検証情報を提供するために、受信した信号および/またはそれ自身によって提供された入力を評価するように構成されてよい。制御装置410は、たとえば、信号424に影響を与えるために、制御装置410がATEリソース414に影響を与えなければならなかった場合、および/またはソースレギュレーション500に影響を与えなければならなかった場合に、試験が失敗したとラベル付けすることができる。
【0127】
図5は、本発明の実施形態に係る自動試験装置(ATE)の測定ユニットの概略図である。図5は、DUTに501として表される信号経路およびプローブ針502を介して接続されるテスターソース507を示す。電流504が測定される。デカップリングコンデンサ511が存在する可能性がある。プローブ針502を通る電流の流れは電圧降下を発生させ、これは専用の測定線509および510を用いて測定される。DUT電圧は、505で測定される。ソース507は、ソースレギュレーションユニット508によって制御され、電圧やクランプ電流などの目標パラメータ設定を取得する。プローブ針502の散逸電力は、温度上昇を引き起こす。測定された電流504、プローブ針上の測定された電圧降下および時間の積は、デカップリングコンデンサ511へのエネルギー流が、少なくとも近似的に無視できる場合、プローブ針の熱エネルギーに等しくてもよく、これはDUT供給安定ケースで想定できることである。
【0128】
ソースレギュレーションユニット内の熱モデルは、プローブ針の近似的な温度変化を計算するために適用される。一例として、ソースレギュレーションユニットは、熱モデルを評価するように構成された制御装置であってよいし、それを構成してよい。それは、測定された電流504および電圧505および506を用い、それらをプローブ針の通電能力、近似的な熱伝導および熱対流の値、周囲温度および時間のようなパラメータと組み合わせる。その結果、近似温度の上昇は、プローブ針502の温度を下げ、熱応力がさらに拡大しないように駆動するために、ソースレギュレーションユニット508の電流を減らすことにつながる可能性がある。
【0129】
熱暴走は、ストレス要因を早期に検出することで阻止することができる。
【0130】
図6は、本発明の実施形態に係るDUT接触構造体の模式的な側面図である。図6は、センスDUT接触構造体610および2つの力DUT接触構造体620を有するDUT接触構造体を示す。構造体は、3つのDUTコンタクトパッド630を有するDUT640のDUT接触部に結合される。
【0131】
一般に、本発明の実施形態に係るATEは、1つまたは複数の力DUT接触構造体620に信号を印加してもよく、1つまたは複数のセンスDUT接触構造体610からセンス信号を受け取ってよい。さらに、ATE、たとえばATEの制御装置は、力DUT接触構造のうちの1つのATE側端部とセンス信号との間の電位差を決定してもよく、ATE(たとえばATEの制御装置)は、熱モデルを用いて、決定した電位差を用いて、温度を決定してよい。
【0132】
図6に関して図5を参照すると:センシングによって正確なコア電圧を得るために、DUTダイ上で終わるべき専用の測定線509がある。接触抵抗を有するフォースプローブ針は、502として表される。実際には、実施形態によれば、必要な電流を分配するために、複数のフォースプローブ針が並列に存在してよい。センスプローブ針は、DUTダイ上のコア電圧を正確に測定するために用いられてよい。
【0133】
下部のダイ(ここではたとえば図6ではDUT640)は、2つのフォースプローブ針によって供給される。センスプローブ針は509である。509、510は、502によって引き起こされる、電流が流れている間の並列化されたフォースプローブ針間の電圧降下506を測定する。
【0134】
以下では、モデル化された温度事例を示す図7から図11を参照して、本発明の態様および利点を説明する。
【0135】
図7は、DUT接触構造体の温度とDUT接触構造体に供給される電流との時間発展を示す第1の例である。100msの時点で、400mAの直流電流710が、周囲温度50℃のDUT接触構造体に供給される。DUT接触構造体の温度720は、40ms以内に約120℃まで上昇する。接触構造体に供給される電流は、たとえば、接触構造体に対する許容可能な熱負荷をもたらす可能性のある接触構造体の公称電流であってよい。したがって、接触構造体は、熱摩耗を増加させることなく120℃の温度を許容することができる場合がある。
【0136】
図8は、DUT接触構造体の温度とDUT接触構造体に供給される電流との第2の例を経時的に示す。400msから500msの間に、周囲温度50℃のDUT接触構造体にパルス電流810が印加される。パルス電流のデューティサイクルはD=50%であり、言い換えれば、電流のオン/オフの関係は50:50である。電流の振幅は400mA×1.4=560mAである。DUT接触構造体の温度820も、図7に示した例と同様に、40ms以内に約120℃まで上昇し、安定する。
図8に示される温度の上昇は、パルスのシーケンスにわたって発生することに、同様に留意されたい。したがって、接触構造体の温度を予測または制御するためには、熱モデルにおいて、上述したような熱履歴を考慮することが有利である。さらに、過熱を防ぐために、接触構造体の熱時定数に応じて時間分解能を選択することができる。
【0137】
図9は、DUT接触構造体の温度とDUT接触構造体に供給される電流との時間発展を示す第3の例である。600msの時点で、約4msの継続時間で400mA×3.8=1.52Aの振幅を持つ単一のパルス電流910が、50℃の周囲温度でDUT接触構造体に印加される。DUT接触構造体の温度920は、1ms以内に120℃まで上昇する。パルス電流は公称電流値の380%であってよいが、短時間の過負荷は、たとえばパルス時間が制限されているために、接触構造体の温度が制限される可能性がある。
【0138】
DUT接触構造体の温度は、4ms以内に300℃を超える温度まで上昇する。温度の上昇は応力および熱摩耗を引き起こすが、応力状態がすぐに解消されれば、短時間の過負荷でも接触構造体の応力に耐えられる場合がある。
【0139】
長時間の通電では、温度上昇が続くことになる。DUT接触構造体の温度は、6ms以内に440℃以上、10ms以内に600℃以上に上昇し、さらに上昇を続けるだろう。このような温度は破壊的であり、DUT接触構造体において損傷をもたらすか、または引き起こす可能性がある。したがって、本発明の実施形態によれば、対策が講じられる場合がある。一例として、エネルギー、たとえば電流の形態で、早期に、たとえば臨界温度に達する前に、低減させてよい。
【0140】
図7から図9に見られるように、複数の試験信号、たとえば電流がDUT接触構造体に印加されることがある。DUT接触構造体の温度は、非常に限られた時間内に上昇し、短時間で臨界温度を超える可能性がある。図7から図9に示すように、本発明に係る実施形態は、複数の試験信号に用いることができ、臨界温度の発生を防止することができる。一例として、DUT接触構造体は、限られた熱摩耗で約120℃まで動作するように構成されてよい。それゆえ、実施形態に係る制御装置は、たとえば図7から図9に示すように、DUT接触構造体の温度を追跡してもよく、図7および図8に示す状況には介入しないようにしてよい。
【0141】
一方、図9に示すように、温度の急激な上昇を検出する場合、120℃付近の公称温度間隔を超える前に、制御装置がDUT接触構造体に供給される電流に影響を与える可能性がある。さらに、当業者には明らかなように、図7から図9に示される時間スケールから、温度上昇が速すぎて、温度測定が迅速な反応、たとえば対策を可能にするために起こる可能性がある。したがって、本発明者らによって認識されたように、熱モデルの使用は、損傷がDUT接触構造体に与えられる前に、臨界反応時間内に反応することを可能にし、さらに温度予測を実行し、早期に介入することを可能にし得る。
【0142】
さらに、本発明のコンセプトを用いることで、接触構造体への熱損傷を回避しながら、短時間の大電流試験を行い得る。接触構造体の温度を推定または決定することで、短時間の大電流バーストでも温度を制御し得る。
【0143】
図10は、本発明の実施形態に係る自動試験装置を制御するための第1の方法を示す。被試験デバイス(DUT)を試験するための自動試験装置(ATE)を制御するための方法1000は、たとえばプローブ針を用いて、またはDUTソケットを用いて、またはDUT接触構造体を介して、自動試験装置に電気的に結合され、熱モデルを用いて(たとえばDUT接触構造体の熱モデルを用いて、またはDUT接触構造体の熱モデルを含む熱モデルを用いて)DUT接触構造体の温度を決定または推定すること1010を含み、決定または推定された(たとえばモデル化された)温度に基づいてDUT接触構造体に適用される信号に、たとえば制御、調節、停止、および/または制限するために影響を与えること1020と、を含む。
【0144】
図11は、本発明の実施形態に係る自動試験装置を動作させるための方法を示す。自動試験装置(ATE)を動作させるための方法1100は、被試験デバイスの接触構造体を用いて(または介して)、たとえばプローブ針を用いて(または介して)、またはDUTソケットを用いて(または介して)、自動試験装置に電気的に結合される被試験デバイス(DUT)を試験するために、ATEリソース(たとえばデバイス電源またはデジタルチャネルモジュールまたはアナログチャネルモジュール)を用いて、DUT接触構造体に印加される信号を提供すること1110と、熱モデルを用いてDUT接触構造体の温度を決定または推定すること1120と、DUT接触構造体に印加される信号に影響を与えるために、決定または推定された温度に基づいて、ATEリソースに影響を与えること1130とを含む。
【0145】
図12は、本発明の実施形態に係る自動試験装置を制御するための第2の方法を示す。被試験デバイスの接触部(たとえばDUTパッド、DUTブガボール)を用いて(または介して)自動試験装置に電気的に結合されている被試験デバイス(DUT)を試験するための自動試験装置(ATE)を制御する方法1200は、熱モデルを用いて(たとえばDUT接触部の熱モデルを用いて、またはDUT接触部の熱モデルを含む熱モデルを用いて)、DUT接触部の温度を決定または推定すること1210と、決定または推定された(たとえばモデル化された)温度に基づいて、DUT接触部に印加される信号に、たとえば、制御、調節、停止、および/または制限するために影響を与えること1220とを含む。
【0146】
一般に、本発明に係る実施形態は、ウェハ試験、ウェハプロービング、およびプローブカードを用いた試験において発生する問題に対処し得る。
【0147】
いくつかの態様を装置の文脈で説明してきたが、これらの態様は、ブロックまたは装置が方法ステップまたは方法ステップの特徴に対応する、対応する方法の説明も表していることは明らかである。同様に、方法ステップの文脈で説明された側面は、対応するブロックまたは項目または対応する装置の特徴の説明も表している。
【0148】
特定の実装要件に基づいて、本発明の実施形態は、ハードウェアまたはソフトウェアで実装できる。実装は、デジタル記憶媒体、たとえばフロッピーディスク、DVD、CD、ROM、PROM、EPROM、EEPROMまたはフラッシュメモリであって、その上に格納された電子的に読み取り可能な制御信号を有し、それぞれの方法が実行されるようにプログラム可能なコンピュータシステムと協力する(または協力することができる)ものを用いて実行できる。
【0149】
本発明に係るいくつかの実施形態は、電子的に読み取り可能な制御信号を有するデータキャリアであって、本明細書に記載の方法の1つが実行されるように、プログラマブルコンピュータシステムと協力することが可能であるデータキャリアを備える。
【0150】
一般に、本発明の実施形態は、プログラムコードを有するコンピュータプログラム製品として実施でき、プログラムコードは、コンピュータプログラム製品がコンピュータ上で実行されるときに、方法の1つを実行するために動作可能である。プログラムコードは、たとえば、機械読み取り可能なキャリアに格納されてよい。
【0151】
他の実施形態は、本明細書に記載の方法の1つを実行するためのコンピュータプログラムが、機械可読キャリアに格納されていることを含む。
【0152】
言い換えれば、本発明方法の実施形態は、したがって、コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行されるときに、本明細書に記載された方法の1つを実行するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラムである。
【0153】
本発明の方法のさらなる実施形態は、したがって、本明細書に記載の方法の1つを実行するためのコンピュータプログラムをその上に記録してなるデータキャリア(またはデジタル記憶媒体、またはコンピュータ読み取り可能な媒体)である。
【0154】
本発明の方法のさらなる実施形態は、したがって、本明細書に記載される方法の1つを実行するためのコンピュータプログラムを表すデータストリームまたは信号のシーケンスである。データストリームまたは信号のシーケンスは、たとえば、データ通信接続、たとえばインターネットを介して転送されるように構成されてよい。
【0155】
さらなる実施形態は、本明細書に記載された方法の1つを実行するように構成されるか、またはそのように適合された、たとえばコンピュータ、またはプログラマブルロジックデバイスなどの処理手段を備える。
【0156】
さらなる実施形態は、本明細書に記載された方法の1つを実行するためのコンピュータプログラムをその上にインストールしたコンピュータを具備する。
【0157】
いくつかの実施形態では、プログラマブルロジックデバイス(たとえば、フィールドプログラマブルゲートアレイ)を用いて、本明細書に記載の方法の機能性の一部または全部を実行することができる。いくつかの実施形態では、フィールドプログラマブルゲートアレイは、本明細書に記載される方法の1つを実行するためにマイクロプロセッサと協働していてよい。一般に、本方法は、任意のハードウェア装置によって実行されることが好ましい。
【0158】
上述した実施形態は、本発明の原理を単に例示するものである。本明細書に記載された配置および詳細の修正および変形は、当業者には明らかであろうことが理解される。したがって、差し迫った特許請求の範囲の範囲によってのみ制限され、本明細書の実施形態の説明および解説によって提示される特定の詳細によって制限されないことが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12