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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-19
(45)【発行日】2024-03-28
(54)【発明の名称】折り畳み情報通信体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B42D 15/02 20060101AFI20240321BHJP
【FI】
B42D15/02 501B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020114465
(22)【出願日】2020-06-05
(65)【公開番号】P2021191623
(43)【公開日】2021-12-16
【審査請求日】2023-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000105280
【氏名又は名称】ケイディケイ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】木村 義和
(72)【発明者】
【氏名】土屋 雅人
【審査官】飯野 修司
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-034538(JP,A)
【文献】特開2017-071207(JP,A)
【文献】特開平09-323489(JP,A)
【文献】実開平04-094681(JP,U)
【文献】特開昭61-049897(JP,A)
【文献】米国特許第04613157(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0021659(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42D 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項6】
横幅の異なる2葉片が横方向に連接された単位シートと、前記単位シートの2葉片と横幅を同じくすると共に縦幅が異なる複数の単位シートが縦方向に連接された折り畳み情報通信体シートを繰り出す用紙の繰り出し工程と、
繰り出された折り畳み情報通信体シートの表裏面全面に疑似接着媒体を形成する疑似接着媒体の形成工程と、
疑似接着媒体が形成された折り畳み情報通信体シートを横方向の折り線から横方向の縁辺に段差を形成するように折り畳む第一の折り畳み工程と、
横方向の折り線から折り畳まれた折り畳み情報通信体シートを単体の折り畳み情報通信体シートに切除する切除工程と、
切除された折り畳み情報通信体シートを縦方向の折り線から縦方向の縁辺に段差を形成するように二つ折りに折り畳む第二の折り畳み工程と、
二つ折りに折り畳まれた折り畳み情報通信体シートの対向する疑似接着媒体同士を剥離可能に接着する接着工程とからなることを特徴とした折り畳み情報通信体の製造方法。
【請求項7】
横幅の異なる2葉片が横方向に連接された単位シートと、前記単位シートの2葉片と横幅を同じくすると共に縦幅が異なる複数の単位シートが縦方向に連接された折り畳み情報通信体シートを繰り出す用紙の繰り出し工程と、
繰り出された折り畳み情報通信体シートの表裏面全面に疑似接着媒体を形成する疑似接着媒体の形成工程と、
疑似接着媒体が形成された折り畳み情報通信体シートを単体の折り畳み情報通信体シートに切除する切除工程と、
単体に切除された折り畳み情報通信体シートを横方向の折り線から横方向の縁辺に段差を形成するように折り畳む第一の折り畳み工程と、
横方向の折り線から折り畳まれた折り畳み情報通信体シートを縦方向の折り線から縦方向の縁辺に段差を形成するように二つ折りに折り畳む第二の折り畳み工程と、
二つ折りに折り畳まれた折り畳み情報通信体シートの対向する疑似接着媒体同士を剥離可能に接着する接着工程とからなることを特徴とした折り畳み情報通信体の製造方法。
【請求項10】
折り畳み情報通信体シートの周囲の横方向の余白を切除する切除工程を疑似接着媒体の形成工程の上流及び/又は下流に設けたことを特徴とした請求項6乃至9の何れかに記載の折り畳み情報通信体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数の葉片を折り畳み、剥離可能に一体化した折り畳み情報通信体とその製造方法に関する。詳しくは展開動作が新聞を読み進める際と同様になり、内容の読取が極めて容易になる折り畳み情報通信体とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、宣伝広告や案内状、パンフレット等の大量の情報を伝達する手段として、封筒に各種伝達物を印刷したシート等を折り畳み、封入封緘して郵送する方法が一般的である。しかし最近では個人情報の管理が重要となり、誤って他人の情報を記載したり、あて先を間違えて記載したために誤配したりする等の事故は極力避けなければならない。また多数の宣伝広告物や個別情報が記入されたシートを封入封緘する作業に掛かる多大な経費を削減したいところである。そのような状況下、例えば特開2000-43456号公報に記載される折り畳み封書用シートが提案されている。
【先行技術分野】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-43456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既述の引用文献に記載される折り畳み封書用シートは、一枚のシートにあて先を含めた一人分の個人情報全てを記載して折り畳み封書に仕上げるため、誤って他人の情報が混じることはない。また折り畳むことで自動的に封書になるため封入封緘の手間も省ける等の長所がある。しかし、突出した封緘片の特殊加工、封緘のための接着剤塗布加工、開封に際して封着片を引きちぎるための切取ミシン加工、接着部分が容易に剥離するための剥離剤塗布加工、二条のミシン目による開封手段等の複雑で手間が掛かる特殊加工が必要で、既述の長所があるにも関わらず割高についてしまう。
【0005】
本発明の折り畳み情報通信体とその製造方法は、上記問題に鑑み、一枚のシートに情報を記載して折り畳み封書に仕上げるため、一つの封筒に各種情報が記載された複数のシートを封入する際に起こりがちな、他人の情報の誤封入や誤配等の事故が起こらず、開封後は新聞を読み進めるような状態で展開するため情報の確認がしやすく、開封に際して受取人の興味を引く折り畳み情報通信体とその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の折り畳み情報通信体は、横幅の異なる2葉片が横方向に連接された単位シートと、前記単位シートの2葉片と横幅を同じくすると共に縦幅が異なる複数の単位シートが縦方向に連接された折り畳み情報通信体シートの表裏面全面に疑似接着媒体を形成し、横方向の折り線から折り畳むと共に最終的に縦方向の折り線から二つ折りに折り畳み、対向する各葉片間を疑似接着媒体を介して剥離可能に接着した折り畳み情報通信体であって、表裏何れかの面の少なくとも二縁辺に段差が形成され、剥離開封後に前記各単位シートが分離した状態に展開されることを特徴とている。
【0007】
本発明の折り畳み情報通信体は、一つの態様として情報通信体シートの横方向の折り線に破断ミシンが形成される。前記破断ミシンのカットとアンカットの対比に格別な制限はなくマイクとミシン等も好適に使用することができる。本発明の折り畳み情報通信体の受取人は、折り畳まれて袋とじ状態となった縁辺の折り線部分に形成された破断ミシンを強制的に破断しながら、対向葉片間を剥離して開封、展開することができる。
【0008】
なお、縦方向の折り線に関しては、折りミシンや折り筋が形成されていてもよいが、何ら折り手段を形成することなく、折り機によりそのまま強制的に折り畳むようにしても構わない。
【0009】
また前記横方向の折り線から折り畳まれた縁辺で、突出して切除可能な縁辺部分は切除して開放された状態にしても構わない。前記折り線部分が切除された縁辺は破断ミシンを破断しながら分離、開封する場合と比較して、破断に際しての力を必要としないためスムーズで軽い分離、剥離感覚を得ることが可能である。
【0010】
また前記横方向の折り線から折り畳まれた縁辺の処理については、既述の通り破断ミシンを形成したものと切除され解放された状態のものが混在していても構わない。折り線に破断ミシンを形成する或いは切除して開放するかの選択は、完成する情報通信体の使用目的やデザイン性に合せて考慮すればよい。
【0011】
さらに、前記横方向の折り線の処理に関しては、例えば既述の切除処理により袋とじ状態を解放せず、受取人が鋏やカッターなどの切除道具により切除解放するように構成しても構わない。この場合機密性が高まり、また受取人の内部情報への期待感も高まる。
【0012】
さらに、上記目的を達成するために、本発明の折り畳み情報通信体の製造方法は、横幅の異なる2葉片が横方向に連接された単位シートと、前記単位シートの2葉片と横幅を同じくすると共に縦幅が異なる複数の単位シートが縦方向に連接された折り畳み情報通信体シートを繰り出す用紙の繰り出し工程と、繰り出された折り畳み情報通信体シートの表裏面全面に疑似接着媒体を形成する疑似接着媒体の形成工程と、疑似接着媒体が形成された折り畳み情報通信体シートを横方向の折り線から横方向の縁辺に段差を形成するように折り畳む第一の折り畳み工程と、横方向の折り線から折り畳まれた折り畳み情報通信体シートを単体の折り畳み情報通信体シートに切除する切除工程と、切除された折り畳み情報通信体シートを縦方向の折り線から縦方向の縁辺に段差を形成するように二つ折りに折り畳む第二の折り畳み工程と、二つ折りに折り畳まれた折り畳み情報通信体シートの対向する疑似接着媒体同士を剥離可能に接着する接着工程とからなることを特徴としている。
【0013】
なお、前記折り畳み情報通信体の製造方法において情報通信体シートを単体に切り出す時期は、第一の折り畳み工程の前後の何れでも構わない。
【0014】
本発明の折り畳み情報通信体の製造方法では、一つの対応例として情報通信体シートの横方向の折り線に破断ミシンが形成される。前記破断ミシンの形成については、予め情報通信体用シートに形成されていても良いが、疑似接着媒体の形成工程の上流及び/又は下流に破断ミシンの形成装置により破断ミシンの形成工程を配置して製造工程中において形成することが好ましい。
【0015】
また第一の折り畳み工程で横方向の折り線に沿って折り畳まれるが、最終的に仕上がった折り畳み情報通信体の前記横方向の折り線から折り畳まれた縁辺で、端部が突出し切除可能な場合、公知のスリッター等の切除装置による第二の切除工程で切除しても構わない。
【0016】
さらに前記破断ミシンの形成工程と第二の切除工程は同時に配置されていても構わず、その場合破断ミシンが形成されている縁辺と解放されている縁辺が混在することになる。
【0017】
さらにまた、本発明の折り畳み情報通信体を製造するための折り畳み情報通信体シートは、フォーム印刷等の場合には連続シートに、オフセット印刷やデジタル印刷等の場合には枚葉シートに印刷される。何れの場合にも縦横の余白を製造工程中で切除して廃棄する必要がある。なお連続シートの場合シートを搬送するためのマージナル部分が横方向の余白となるが、縦方向の余白は必ずしも必要なくダイカットローラ等による一本断ちの形式で単品の情報通信体用紙に切り出しても構わない。前記構成で各シートに印刷された折り畳み情報通信体シートの周囲の横方向の余白は、疑似接着媒体形成工程の上流側で行われても良く、下流で行われても構わない。また上流側と下流側に分けて段階的に行われても構わない。
【0018】
なお本発明の折り畳み情報通信体は、最終的に折り畳み情報通信体シート全体を縦方向の折り線から大きく二つ折りに折り畳んだ際、前記縦方向の折り線が新聞等の中央の折り線に該当し、受取人は開封に際して新聞等を扱う場合と同様の動作で剥離展開し内部の情報を確認することができるのである。なお剥離展開に際して横方向の折り線からなる縁辺は折り畳みにより袋とじ状態となるため、切除され解放されていない縁辺は前記折り線に形成した破断ミシン等の破断手段を介して破断しながら開封すればよい。前記開封に際して、鋏やカッター等の器具を用いる必要がなく、従って切除片等のゴミが発生せず容易に剥離展開することができるため極めて至便である。
【0019】
本発明の折り畳み情報通信体及びその製造方法に使用される資材は、例えば上質紙、マット紙、コート紙等の通常の用紙、合成紙、不織布或いは樹脂フィルムシート等を好適に使用することができる。
そして折り畳まれた対向面同士を剥離可能に接着、いわゆる疑似接着に使用する疑似接着媒体は、大きく以下の3種類に分けられる。
1)後糊方式
印刷後の用紙の疑似接着予定面に疑似接着性のUVニスを塗布して疑似接着性の被膜 を形成したもの。前記疑似接着性の被膜同士を対向させて加圧或いは加熱・加圧処理 を施すと剥離可能に接着する。エマルジョン型の弱粘着剤を塗布するものもある。
2)先糊方式
印刷前の用紙の疑似接着予定面に、合成ゴム或いは天然ゴム等を主成分とした疑似接 着性の媒体を塗布して含侵させたもの。乾燥後に印刷・印字を行い、疑似接着予定面 同士を対向させて加圧処理を施すと剥離可能に接着する。
3)フィルム方式
印刷後の用紙の疑似接着予定面に疑似接着性のフィルムシートを被覆(ラミネート) して、前記疑似接着性のフィルムシート同士が対向するように折り合わせ、加熱或い は加熱・加圧処理を施すと剥離可能に接着する。なお、フィルム方式には対向する疑 似接着予定面に予め被覆しておいて、折り合わせた後に剥離可能に接着する全面貼り 方式と、折り畳んだ用紙の疑似接着予定面間に予め疑似接着している積層フィルムを 挟み込み、用紙とフィルム間を接着して剥離可能に一体化する挟み込み方式の二種類 がある。
何れの疑似接着媒体も疑似接着媒体同士が対向して加圧或いは加熱・加圧等の処理を 施さない限り剥離可能に接着することはなく、仮に疑似接着媒体以外の紙表面等を対 向させて前記処理を施したとしても接着することはない。
【発明の効果】
【0020】
本発明の折り畳み情報通信体は、その製造方法において全ての情報を記載した一枚のシートを折り畳み封書形態に仕上げるので、個人情報等を記載した複数の別体のシートをそれぞれ封入封緘する場合に起こる情報の漏洩(他人の情報の混入等)の重大な事故が起きない。
【0021】
また開封後新聞形式の複雑な構成の分離形態で展開されるにも関わらず、本発明の折り畳み情報通信体は情報を記載した一枚のシートを一連の折り畳み順序に従い製造されるため、頁の入れ違等の事故が起こらず、疑似接着媒体により一体化(封書化)が単純で容易なため、多種類の宣伝広告物を封筒に纏めて送付する際の、複雑で面倒な封入封緘作業に係る人件費や時間のロス等もなくなる。
【0022】
そして良好に密着した各単位シートは段差を剥離の端緒として利用できるため、受取人は極めて容易に各単位シートを分離して内部の情報を確認することができる。
【0023】
さらに剥離展開後にはシートの周囲等に開封する際に封着片を破断した跡が残らないため美観を損ねることがなく、開封後の破断片等によるごみの発生もない。
【0024】
さらにまた本発明の折り畳み封書は、その製造の際に各種接着媒体の形成工程や折り手段の形成工程を含む面倒な作業工程を自動で行える。勿論各工程の作業を専用に行う個別の専用機による作業でも極めて容易に製造することができる。
【0025】
なお疑似接着媒体の形成が情報通信体シートの表裏面全面にされるので、スポイット的に任意の部分のみに形成する場合と異なり、位置ずれが許されない精密な作業が必要とされず、素人でも大量の折り畳み封書を短時間で製造することが可能になる。
【0026】
また個人情報等が記載される疑似接着予定面(隠蔽面)のみならず全ての葉片面が強靭な疑似接着フィルムシート等からなる疑似接着媒体により被覆されるため、汚損や破損のみならず改竄の恐れもない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】(A)は折り畳み情報通信体J1の表面図、(B)は裏面図である。
図2】(A)は図1(A)におけるア-ア線断面図、(B)はイ-イ線断面図である。
図3】(A)は折り畳み情報通信体J1を剥離展開した様子を示す斜視図、(B)は剥離後単位シート毎に分離する様子を示す斜視図である。
図4】(A)は折り畳み情報通信体J1の製造に用いる情報通信体用紙S1の平面図、(B)は裏面図である。
図5】(A)は第一の折り畳み工程を経た後の情報通信体用紙S1の平面図、(B)は(A)におけるウ-ウ線断面図、(C)はエ-エ線断面図である。
図6】(A)は折り畳み情報通信体J2の表面図、(B)は裏面図である。
図7】(A)は図6(A)におけるオ-オ線断面図、(B)はカ-カ線断面図である。
図8】(A)は折り畳み情報通信体J2を剥離展開した様子を示す斜視図、(B)は剥離後単位シート毎に分離する様子を示す斜視図である。
図9】(A)は折り畳み情報通信体J2の製造に用いる情報通信体用紙S2の平面図、(B)は裏面図である。
図10】(A)は第一の折り畳み工程を経た後の情報通信体用紙S2の平面図、(B)は(A)におけるキ-キ線断面図、(C)はク-ク線断面図である。
図11】(A)は折り畳み情報通信体J3の表面図、(B)は裏面図である。
図12】(A)は図12(A)におけるケ-ケ線断面図、(B)はコ-コ線断面図である。
図13】(A)は折り畳み情報通信体J3を剥離展開した様子を示す斜視図、(B)は剥離後単位シート毎に分離する様子を示す斜視図である。
図14】(A)は折り畳み情報通信体J3の製造に用いる情報通信体用紙S3の平面図、(B)は裏面図である。
図15】(A)は第一の折り畳み工程を経た後の情報通信体用紙S3の平面図、(B)は(A)におけるサ-サ線断面図、(C)はシ-シ線断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて具体的に説明する。
なお、本実施例では、疑似接着媒体として取り扱いが至便なフィルム方式(全面貼り方式)に沿って説明するが、他の構成の疑似接着フィルムシート、また他の疑似接着媒体を用いても構わない。
【実施例1】
【0029】
[折り畳み情報通信体J1]
本実施例の折り畳み情報通信体J1は図1(A)、(B)及び図2(A)、(B)に記載されるものであるが、その構成は断面図である図2(A)に示すように、上から第四葉片4、第二葉片2、第一葉片1及び第三葉片3の順に重ね合わされると共に第四葉片4と第三葉片3及び第二葉片2と第一葉片1が折り線5を介して連接されている。そして図3(A)及び(B)に示すように、第一葉片1と第二葉片2の連接葉片(単位シートt1)を第三葉片3と第四葉片4の連接葉片(単位シートt2)が、折り線5を重ね合わせ挟み込むように折り込まれている。
【0030】
既述の構成の折り畳み情報通信体J1の受取人は、図3(A)に示すように折り畳まれて重ね合わされている各葉片の対向面間を、段差部分を剥離の端緒として横方向の折り線6に形成されている破断ミシンを破断しながら剥離し、内部に記載されている各種情報を透明或いは半透明の疑似接着フィルムシートGを透して確認することができる。そして剥離後の各葉片は図3(B)に示すように、折り線5を介して連接される2葉片からなる単位シートt1、t2毎に新聞紙の重ね合わせ形態から分離することができる。
【0031】
なお前記剥離開封に際して図2(B)に示すように、情報通信体J1の上側縁辺では第一葉片1と第三葉片3及び第二葉片2と第四葉片4とが折り線6を介して連接され袋とじ状態であるが、受取人は折り線6に設けられている破断ミシン6を利用することで、前記連接されている各葉片を抵抗なく破断して、図3(A)に示す状態に容易に剥離することができる。
【0032】
なお図2(B)に示すように、情報通信体J1の上側縁辺の袋とじ部分(X-X線)を受取人の手元に届く前に予め切除して開放しておいても構わない。また上側縁辺の袋とじ部分(X-X線)に沿って破線による切取線や切断を促すマーク等を記載しておいて、受取人側が鋏やカッター等の切除道具を使用して切除するようにしておいても構わない。前記袋とじ状態の縁辺の切除に関しては、以下の各実施例でも同様に適用することができる。
【実施例2】
【0033】
[折り畳み情報通信体J1の製造方法]
本実施例の折り畳み情報通信体J1の製造方法に使用される情報通信体シートS1は図4(A)に示すように、横幅の関係が第一葉片1>第二葉片2の2葉片が縦方向の折り線5を介して横方向に連接された単位シートt1と、横幅の関係が同じ第三葉片3(=第一葉片1)>第四葉片4(=第二葉片2)の2葉片が折り線5を介して横方向に連接された前記単位シートt1と縦幅の異なる単位シートt2が、横方向の折り線6を介して第一葉片1と第三葉片3及び第二葉片2と第四葉片4がそれぞれ対向するように上下に連接されている。なお前記縦幅の関係は単位シートt1>単位シートt2でありこの構成によれば前記4葉片の各面積は全て異なることになる。
【0034】
前記情報通信体シートS1は既述の通り、フォーム印刷等で使用される連続シートに印刷されていても構わず、或いはオフセット印刷やデジタル印刷等で使用される枚葉シートに印刷されていても構わない。この点については以下の他の実施例においても同様である。
【0035】
既述の構成の情報通信体シートS1は製造工程の最上流の用紙載せ台に載置され、最上面の情報通信体シートS1から順に、例えば一対或いは複数対のヒートローラからなるラミネータ等公知の被覆装置へ、吸着パッドやフィードローラ等のシート給紙装置により送り込まれ、図4(A)及び(B)に斜線で示すように表裏面の全面に疑似接着フィルムシートGが被覆される。
【0036】
なお受取人の開封動作を補助するために、開封側縁辺から疑似接着フィルムシートGを控えて被覆することにより非接着域を設ける等の補助手段を講じることができるが、本発明では情報通信体S1の表裏面全面に疑似接着フィルムシートを被覆すると共に折り畳み後開封縁辺に段差が生じるようにしいる。このようにすることで製造に関しての至便性が格段に向上すると共に情報表示面も保護される。なおこの点については以下の他の実施例においても同様である。
【0037】
前記の通り疑似接着フィルムシートGが被覆された情報通信体シートS1は、例えば周囲の不要な余白部分を切除した後に(切除する時期に関しては格別な制限はなく、段階的に任意の余白部分を切除しても構わない)、横方向の折り線6に破断ミシンが形成される(破断ミシンの形成時期に関しては格別な制限はなく、段階的に形成しても構わない)。
【0038】
なお前記余白部分の切除工程或いは破断ミシンの形成工程は、前記疑似接着フィルムシートGによる疑似接着媒体の形成工程の上流側に配置しても良く、また下流側に配置しても構わない。さらに上流側と下流側に分けて配置しておいて段階的に形成しても構わない。さらにまた加工工程に入る以前の段階で連続シートや枚葉シートに予め形成しておいて切除工程或いは破断ミシンの形成工程を省略しても構わない。
【0039】
既述の通り周囲の余白部分が切除されると共に横方向の折り線6に破断ミシンが形成された情報通信体シートS1は、次に図5(A)、(B)及び(C)に示すように、横方向の折り線6から第一葉片1と第三葉片3の裏面側及び第二葉片2と第四葉片4の裏面側が対向するように二つ折りに折り畳まれる。
【0040】
次に図5(A)に示す二点鎖線で示す縦方向の折り線5から、同図(B)及び(C)に示す、第一葉片1と第二葉片2に被覆されている疑似接着フィルムシートG同士が対向するように二つ折りに折り畳まれて図2(A)及び(B)に断面図で示す状態に仕上げられるのである。この時点での対向面間は未接着状態である。
【0041】
なお図5(A)に二点鎖線で記載されている縦方向の折り線5には、公知の折り手段(例えば折りミシンや折り筋等)が形成されていることが望ましいが、何も形成せずに折り機により強制的に折り畳んでも構わない。これら折り線に形成される各種折り兼破断手段、折り手段等については以下の他の実施例においても同様である。
【0042】
また情報通信体シートS1は、第二の折り畳み工程までに単体のシートに切り出されていることが好ましいが、後述する接着工程後に残っている余白部分を切除して単体のシートに切り出しても構わない。これら余白部分の切除工程、破断ミシンの形成工程等に関する事項は以下の実施例においても同様である。
【0043】
そして次に、例えば加圧ローラ等による加圧装置、或いはヒートローラやヒータパネルと加圧ローラの組み合わせからなる加熱・加圧装置等による接着工程により、対向する疑似接着フィルムシートG同士が接着され、折り畳まれた情報通信体シートS1全体が剥離可能に接着される。このようにして折り畳み情報通信体J1は製造される。
【0044】
なお上記製造工程では、横方向の折り線6に破断ミシンを形成しているが、例えば新たな切除工程を配置して、図2(B)にX-X線で示す折り畳み情報通信体J1の上側の縁辺の横方向の折り線6部分を切除しても構わず、また受取人が自ら切除道具を用いて切除するように設計しても構わない。そうすることで受取人は剥離開封に際して破断ミシンを破断しながら剥離開封するよりもさらに抵抗感なしに剥離開封することができる。このような横方向の折り線部分で袋とじ状態になる縁辺の切除による解放パターンは、以下の実施例においても同様である。
【0045】
既述の加工工程は専用ラインにより用紙を積載すれば自動的に最終の接着工程までを流れ作業で行うインラインのシステムで作業しても構わないが、例えば工程別に独立した専用の加工装置を使用して、それぞれの加工工程(被覆工程、切除工程、折り工程、接着工程等)をオフラインの工程で行っても構わない。この点については以下の他の実施例においても同様である。
【実施例3】
【0046】
[折り畳み情報通信体J2]
本実施例の折り畳み情報通信体J2は図6(A)、(B)及び図7(A)、(B)に記載されるものであるが、その構成は断面図である図7(A)に示すように、上から第六葉片16、第四葉片14、第二葉片12、第一葉片11、第三葉片13及び第五葉片15の順に重ね合わされると共に第二葉片12と第一葉片11、第四葉片14と第三葉片13及び第六葉片16と第五葉片15が折り線17を介して連接されている。そして図8(A)及び(B)に示すように、第一葉片11と第二葉片12の連接葉片(単位シートt11)を第三葉片13と第四葉片14の連接葉片(単位シートt12)さらに第五葉片15と第六葉片16の連接葉片(単位シートt13)が折り線17を重ね合わせ、順次挟み込むように折り込まれている。
【0047】
既述の構成の折り畳み情報通信体J2の受取人は、図8(A)に示すように折り畳まれて重ね合わされている各葉片の対向面間を剥離開封し、内部に記載されている各種情報を透明或いは半透明の疑似接着フィルムシートGを透して確認することができる。なお剥離開封後の各葉片は図8(B)に示すように、折り線17を介して連接される単位シートt11、t12及びt13毎に新聞紙の重ね合わせ形態から分離することができる。
【実施例4】
【0048】
[折り畳み情報通信体J2の製造方法]
本実施例の折り畳み情報通信体J2の製造方法に使用される情報通信体シートS2は、図9(A)に示すように横幅の関係が第一葉片11<第二葉片12の2葉片が縦方向の折り線17を介して横方向に連接された単位シートt11と、同様に横幅の関係が第三葉片13(=第一葉片11)<第四葉片14(=第二葉片12)の2葉片が縦方向の折り線17を介して横方向に連接されると共に縦幅が前記単位シートt11と異なる単位シートt12及び同様に横幅の関係が第五葉片15(=第一葉片11)<第六葉片16(=第二葉片12)の2葉片が縦方向の折り線17を介して横方向に連接されると共に前記2単位シートと縦幅が異なる単位シートt13が、横方向の折り線18及び19を介して、第一葉片11、第三葉片13及び第五葉片15がそれぞれ対向するように、また第二葉片12、第四葉片14及び第六葉片16がそれぞれ対向するように上下に連接されているものである。なお各葉片の縦幅の関係は単位シートt11>単位シートt12>t13であり前記構成によれば前記6葉片の各面積は全て異なることになる。
【0049】
既述の構成の情報通信体シートS2は製造工程の最上流の用紙載せ台に載置され、最上面の情報通信体シートS2から順に、例えば一対或いは複数対のヒートローラからなるラミネータ等の被覆装置へ送り込まれ、図9(A)及び(B)に斜線で示すように情報通信体シートS2の表裏面全面に疑似接着フィルムシートGが被覆される。
【0050】
前記の通り疑似接着フィルムシートGが被覆された情報通信体シートS2は、例えば周囲の不要な余白部分を切除した後に(切除する時期に関しては格別な制限はなく、例えば段階的に任意の余白部分を切除しても構わない)図10(A)、(B)及び(C)に示すように、横方向の折り線18及び19から第一葉片11と第三葉片13の表面側及び第三葉片13と第五葉片15の裏面側が対向するように、また第二葉片12と第四葉片14の表面側及び第四葉片14と第六葉片16の裏面側が対向するように断面Z字(S字)状に折り畳まれる。
【0051】
次に図10(A)に二点鎖線で示す、縦方向の折り線17から第一葉片11と第二葉片12に被覆されている疑似接着フィルムシートGが対向するよう図7(A)及び(B)に示す状態に折り畳まれる。なおこの時点で情報通信体シートS2は、単体のシートに切り出されていることが好ましく、また各対向面間は未接着状態である。
【0052】
そして、例えば加圧ローラ等による加圧装置、或いはヒートローラやヒータパネルと加圧ローラの組み合わせからなる加熱・加圧装置等による接着工程により、対向する疑似接着フィルムシートG同士が接着され、折り畳まれた情報通信体シートS2が剥離可能に接着される。このようにして折り畳み情報通信体J2は製造される。
【0053】
なお上記製造工程では、横方向の折り線18、19に破断ミシンを形成しているが必ずしも必要ではない。例えば新たな切除工程を配置して図7(B)に示すところの、隣り合わせで接着している折り線18、18部分の下側の縁辺を下側のX-X線に沿って切除するようにしても構わない。また上側の縁辺の横方向の折り線19、19部分を、上側のX-X線に沿って突出した第一葉片11及び第二葉片12の上側縁辺と共に切除しておいても或いは切除して開封するようにしても構わない。
【実施例5】
【0054】
[折り畳み情報通信体J3]
本実施例の折り畳み情報通信体J3は図11(A)、(B)及び図12(A)、(B)に記載されるものであるが、その構成は断面図である図12(A)に示すように、上から第七葉片27、第五葉片25、第三葉片23、第一葉片21、第二葉片22、第四葉片24、第六葉片26及び第八葉片28の順に重ね合わされると共に第七葉片27と第八葉片28、第五葉片25と第六葉片26、第三葉片23と第四葉片24及び第一葉片21と第二葉片22、が折り線29を介して連接されている。そして図13(A)及び(B)に示すように、第一葉片21と第二葉片22の連接葉片(単位シートt21)を第三葉片23と第四葉片24の連接葉片(単位シートt22)、第五葉片25と第六葉片26の連接葉片(単位シートt23)さらに第七葉片27と第八葉片28の連接葉片(単位シートt24が折り線29で重ね合わされ順次挟み込むように折り込まれている。
【0055】
既述の構成の折り畳み情報通信体J3の受取人は、図13(A)に示すように折り畳まれて重ね合わされている各葉片の対向面間を剥離開封し、内部に記載されている各種情報を透明或いは半透明の疑似接着フィルムシートGを透して確認することができる。なお剥離開封後の各葉片は図13(B)に示すように、折り線29を介して連接される単位シートt21、t22、t23及びt24毎に新聞紙の重ね合わせ形態から分離することができる。
【実施例6】
【0056】
[折り畳み情報通信体、J3の製造方法]
本実施例の折り畳み情報通信体J3の製造方法に使用される情報通信体シートS3は、図14(A)に示すように横幅の関係が第一葉片21>第二葉片22の2葉片が縦方向の折り線29を介して横方向に連接された単位シートt21と、同様に横幅の関係が第三葉片23(=第一葉片21)>第四葉片24(=第二葉片22)の2葉片が縦方向の折り線29を介して横方向に連接された単位シートt22、同様に横幅の関係が第五葉片25(=第一葉片21)>第六葉片26(=第二葉片22)の2葉片が縦方向の折り線29を介して横方向に連接された単位シートt23及び同様に横幅の関係が第七葉片27(=第一葉片21)>第八葉片28(=第二葉片22)の2葉片が縦方向の折り線29を介して横方向に連接された単位シートt24と、横方向の折り線30、31及び32を介して、第一葉片21、第三葉片23、第五葉片25及び第七葉片27がそれぞれ対向するように、また第二葉片22、第四葉片24、第六葉片26及び第八葉片28がそれぞれ対向するように上下に連接されているものである。なお縦幅の関係は単位シートt21>単位シートt22>単位シートt23>単位シートt24であり前記構成によれば前記8葉片の各面積は全て異なることになる。
【0057】
既述の構成の情報通信体シートS3は製造工程の最上流の用紙載せ台に載置され、最上面の情報通信体シートS3から順に、例えば一対或いは複数対のヒートローラからなるラミネータ等の被覆装置へ送り込まれ、図14(A)及び(B)に斜線で示すように表裏面全面に疑似接着フィルムシートGが被覆される。
【0058】
前記の通り疑似接着フィルムシートGが被覆された情報通信体シートS3は、例えば周囲の不要な余白部分を切除した後に(切除する時期に関しては格別な制限はない)第一の折り畳みとして図15(A)、(B)及び(C)に示すように、横方向の折り線30から第一葉片21と第三葉片23の裏面同士(第二葉片22と第四葉片24の裏面同士)、また横方向の折り線31から第三葉片23と第五葉片25の表面同士(第四葉片24と第六葉片26の表面同士)、さらに折り線32から第五葉片25と第七葉片27の裏面同士(第六葉片26と第八葉片28の裏面同士)が対向するように蛇腹状に折り畳まれる。
【0059】
そして第二の折り畳みとして図15(A)に二点鎖線で示す、第一の折り畳みにより重なり合った縦方向の折り線29から、第一葉片21と第二葉片22の疑似接着フィルムシートが被覆されている表面同士が対向するように大きく二つに折り畳まれる。なおこの時点で情報通信体シートS3は、単体のシートに切り出されていることが好ましく、また各対向面間は未接着状態である。
【0060】
なお上記製造工程では、横方向の折り線30、31及び32に破断ミシンを形成しているが、例えば新たな切除工程を配置して、図12(B)に示すところの、隣り合わせで接着している折り線30部分の上側の縁辺を上側のX-X線に沿って切除するようにしても構わない。また下側の縁辺の横方向の折り線31部分を、下側のX-X線に沿って突出した第一葉片21及び第二葉片22の下側縁辺と共に切除するようにしても或いは切除して開封するようにしても構わない。
【0061】
そして次に、例えば加圧ローラ等による加圧装置、或いはヒートローラやヒータパネルと加圧ローラの組み合わせからなる加熱・加圧装置等による一体化工程により、対向する疑似接着フィルムシートG同士が接着され、折り畳まれた情報通信体シートS3全体が剥離可能に接着され、図11(A)、(B)及び図12(A)、(B)に示す折り畳み情報通信体J3が製造されるのである。
【0062】
なお本発明は上記実施例に限られるものではない。
例えば、2葉片が連接した単位シートの数に制限はない。さらに折り畳み情報通信体の仕上がりサイズに関しても格別な制限はなく、角型封筒のサイズや業界でゆうメールやメール便等称される各種サイズ(例えばB5やA4サイズ等)に使用することが可能である。
【符号の説明】
【0063】
J1、J2、J3 折り畳み情報通信体
S1、S2、S3 情報通信体シート
t1、t2、t11、t12、t13、t21、t22、t23、t24 単位シート
G 疑似接着フィルムシート
1、2、3、4、11、12、13、14、15、16、21、22、23、24、25、26、27、28 葉片
5、6、17、18、19、29、30、31、32 折り線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15