(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-19
(45)【発行日】2024-03-28
(54)【発明の名称】アンテナ装置および無線通信装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/24 20060101AFI20240321BHJP
H01Q 5/328 20150101ALI20240321BHJP
H01Q 5/364 20150101ALI20240321BHJP
【FI】
H01Q1/24 Z
H01Q5/328
H01Q5/364
(21)【出願番号】P 2021552018
(86)(22)【出願日】2019-10-15
(86)【国際出願番号】 JP2019040510
(87)【国際公開番号】W WO2021074972
(87)【国際公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】524066085
【氏名又は名称】FCNT合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】篠島 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】古賀 洋平
(72)【発明者】
【氏名】伴 泰光
(72)【発明者】
【氏名】殿岡 旅人
(72)【発明者】
【氏名】▲崎▼田 聡史
(72)【発明者】
【氏名】吉川 学
【審査官】佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03131156(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0067815(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03480892(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0237852(US,A1)
【文献】特開2014-135770(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02405534(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00- 1/52
H01Q 5/00- 5/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グランド基板と、
前記グランド基板に設けられる給電点と、
第1の端部が前記給電点
に接続された給電線と電気的に接続し、
第2の端部が
第3導体素子によって前記グランド基板と電気的に接続
され、前記グランド基板に対して平行な第1導体素子と、
前記第1導体素子の前記
第1の端部
に第3の端部が接続し、第4の端部が前記グランド基板と電気的に接続する第2導体素子と、を備え、
前記第2導体素子は、前記第3の端部から前記第4の端部に向けて徐々に前記グランド基板に
向けて漸近するように屈曲し、
前記第2導体素子と前記給電線との間に前記第3導体素子が配置される、
アンテナ装置。
【請求項2】
前記第2導体素子は
、前記グランド基板と容量結合することを特徴とする、
請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記第1導体素子は、さらに、前記
第1の端部から前記
第2の端部の間の一か所以上の箇所において、前記グランド基板と電気的に接続される、
請求項1または2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記第1導体素子と前記グランド基板との間の電気的な経路上および前記第2導体素子と前記グランド基板との間の電気的な経路上の少なくとも一方に、キャパシタまたはインダクタが設けられる、
請求項1から3のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記第1導体素子と前記グランド基板との間の電気的な経路上および前記第2導体素子と前記グランド基板との間の電気的な経路上の少なくとも一方に、キャパシタおよびインダクタを含む並列共振回路が設けられる、
請求項1から4のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記
第3導体素子は、ばね接点
を含む、
請求項1から5のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記アンテナ装置は、
無線通信装置に実装され、
前記第1導体素子の少なくとも一部は、前記
無線通信装置の外装である金属フレームによって形成される、
請求項1から6のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載のアンテナ装置を実装した、
無線通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ装置および無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォン、タブレット型コンピュータ、車載用アンテナを備えた車両等の無線通信装置は、例えば高速通信を実現するために、複数の周波数帯を用いた通信を行っている。そのため、無線通信装置には、複数の周波数帯に対応するアンテナ素子が搭載されている。
【0003】
特許文献1には、ループアンテナに複数のスイッチを設けることで複数の周波数帯に対応させたアンテナ素子が記載されている。特許文献1に記載の技術では、複数のスイッチを設けることでアンテナの構造が複雑になるため、アンテナの小型化は容易ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
無線通信装置は、一層の高機能化、そして、より一層の小型化が進められている。無線通信装置の高機能化および小型化が進められることで、無線通信装置内にアンテナ装置を設けるスペースは狭くなる一方である。そのため、複数の周波数で動作可能であるとともに小型のアンテナ装置が望まれている。
【0006】
開示の技術の1つの側面は、複数の周波数で動作可能であるとともに、小型に製造可能はアンテナ装置および当該アンテナ装置を実装した無線通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示の技術の1つの側面は、次のようなアンテナ装置によって例示される。本アンテナ装置は、グランド基板と、前記グランド基板に設けられる給電点と、一方の端部が前記給電点と電気的に接続し、他方の端部が前記グランド基板と電気的に接続する前記グランド基板に対して平行な第1導体素子と、前記第1導体素子の前記他方の端部から、さらに前記他方に向けて延びるとともに徐々に前記グランド基板に漸近して前記グランド基板と電気的に接続する第2導体素子と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
開示の技術によれば、複数の周波数に対応するとともに、より小型化が可能なアンテナ装置および当該アンテナ装置を実装した無線通信装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係るアンテナを例示する図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るアンテナ上で動作するループアンテナを模式的に示す図である。
【
図3】
図3は、第1変形例に係るアンテナを例示する図である。
【
図4】
図4は、第2変形例に係るアンテナを例示する図である。
【
図5】
図5は、第2変形例に係るアンテナ上で動作するモノポールアンテナを模式的に示す第1の図である。
【
図6】
図6は、第2変形例に係るアンテナ上で動作するモノポールアンテナを模式的に示す第2の図である。
【
図7】
図7は、第2変形例に係るアンテナ上で動作するモノポールアンテナを模式的に示す第3の図である。
【
図8】
図8は、第2変形例に係るアンテナ上で動作するモノポールアンテナを模式的に示す第4の図である。
【
図9】
図9は、第3変形例に係るアンテナを例示する図である。
【
図10】
図10は、第3変形例に係るアンテナ上で動作するループアンテナを模式的に示す図である。
【
図11】
図11は、第3変形例に係るアンテナを例示する図である。
【
図12】
図12は、第3変形例に係るアンテナをスマートフォンに適用した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態について説明する。以下に示す実施形態の構成は例示であり、開示の技術は実施形態の構成に限定されない。本実施形態に係るアンテナ装置は、例えば、以下の構成を備える。
本実施形態に係るアンテナ装置は、
グランド基板と、
前記グランド基板に設けられる給電点と、
一方の端部が前記給電点と電気的に接続し、他方の端部が前記グランド基板と電気的に接続する前記グランド基板に対して平行な第1導体素子と、
前記第1導体素子の前記他方の端部から、さらに前記他方に向けて延びるとともに徐々に前記グランド基板に漸近して前記グランド基板と電気的に接続する第2導体素子と、を備える。
【0011】
グランド基板は接地された基板である。第1導体素子および第2導体素子は、グランド基板と電気的に接続されることで、接地される。給電点から第1導体素子および第2導体素子を介してグランド基板に至る経路は、第1の周波数で共振する第1のループアンテナとして動作する。給電点から第1導体素子を介してグランド基板に至る経路は、第1の周波数とは異なる第2の周波数で共振する第2のループアンテナとして動作する。グランド基板から第1導体素子の他方の端部に接続された第2導体素子を介してグランド基板に至る経路は、第1の周波数および第2の周波数とは異なる第3の周波数で共振する第3のループアンテナとして動作する。また、第2導体素子が他方に向けて延びるとともに徐々にグランド基板に漸近することで、第2導体素子をグランド基板と平行に設けた場合よりも、第2導体素子とグランド基板との容量結合を大きくすることができる。このような特徴により、第1のループアンテナおよび第2のループアンテナのアンテナ長さを小型化でき、ひいては、アンテナ装置の小型化を実現できる。
【0012】
本アンテナ装置は、さらに、次の特徴を備えてもよい。前記第1導体素子は、さらに、前記一方の端部から前記他方の端部の間の一か所以上の箇所において、前記グランド基板と電気的に接続される。このような特徴を備えるアンテナ装置は、アンテナ装置内で動作するループアンテナを増やすことができる。このようなループアンテナとして、例えば、給電点から第1導体素子の当該箇所からグランド基板に向かう経路によって形成されるループアンテナを挙げることができる。また、このようなループアンテナとして、グランド基板、当該箇所、第1導体素子の他方の端部からグランド基板に向かう経路によって形成されるループアンテナも挙げることができる。
【0013】
本アンテナ装置は、さらに、次の特徴を備えてもよい。前記第1導体素子と前記グランド基板との間の電気的な経路上および前記第2導体素子と前記グランド基板との間の電気的な経路上の少なくとも一方に、キャパシタまたはインダクタが設けられる。このような特徴を備えるアンテナ装置は、キャパシタの静電容量やインダクタのインダクタンスを適宜調整することで、第1導体素子および第2導体素子の長さを変更することなく、アンテナ装置内で動作する各ループアンテナの共振周波数を変更することができる。
【0014】
本アンテナ装置は、さらに、次の特徴を有してもよい。前記第1導体素子と前記グランド基板との間の電気的な経路上および前記第2導体素子と前記グランド基板との間の電気的な経路上の少なくとも一方に、キャパシタおよびインダクタを含む並列共振回路が設けられる。このような特徴を備えるアンテナ装置は、並列共振回路の共振周波数を適宜設定することで、第1導体素子や第2導体素子を第1の周波数、第2の周波数および第3の周波数のいずれとも異なる第4の周波数で動作するモノポールアンテナとしても動作させることが可能となる。
【0015】
本アンテナ装置は、また、前記第1導体素子と前記グランド基板との間は、ばね接点によって電気的に接続されてもよい。ばね接点を採用することで、第1導体素子とグランド基板との電気的な接続をより確実に実現することができる。
【0016】
本アンテナ装置は、さらに、次の特徴を有してもよい。前記アンテナ装置は、携帯端末装置に実装され、前記第1導体素子の少なくとも一部は、前記携帯端末装置の外装である金属フレームによって形成される。携帯端末装置としては、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット側コンピュータ、ウェアラブルコンピュータ等を挙げることができる。携帯端末装置の外装である金属フレームを第1導体素子としても用いることで、金属フレームが区画する領域内においてアンテナ装置が占める領域を減少させることができる。そのため、このような特徴を備えるアンテナ装置は、携帯端末装置を小型化させたり、より多くの電子部品を携帯端末装置に実装させたりすることができる。
【0017】
また、開示の技術は、上記少なくともいずれかの特徴を備えるアンテナ装置を実装した無線通信装置であってもよい。
【0018】
以下、図面を参照して実施形態についてさらに説明する。
図1は、実施形態に係るアンテナを例示する図である。
図1に例示されるアンテナ1は、給電線11、第1導体素子12、第2導体素子13、第3導体素子14およびグランド基板3を含む。以下、本明細書において、
図1に向かって右側を+X方向、
図1に向かって左側を-X方向、
図1に向かって上を+Y方向、
図1に向かって下を-Y方向と称する。
【0019】
グランド基板3は、接地されたグランド面3aを有する。グランド基板3は、例えば、各種電子部品を実装するプリント基板であってもよい。グランド基板3は、アンテナ1への給電を行う給電点2も備える。グランド基板3の全面がグランド面3aであってもよい。
【0020】
第1導体素子12は、グランド基板3から所定距離離れた位置を、グランド基板3のグランド面3aに対して略平行に延びる導体素子である。第1導体素子12の+X方向の端部は給電線11によって給電点2と電気的に接続される。
図1では、第1導体素子12と給電線11とは、略直交している。
【0021】
第2導体素子13は、第1導体素子12の-X方向の端部とグランド基板3のグランド面3aとを電気的に接続する導体素子である。第2導体素子13は、第1導体素子12およびグランド基板3と略直交する。第2導体素子13は、+Y方向の端部が第1導体素子12と電気的に接続し、-Y方向の端部がグランド面3aと電気的に接続する。以下、本明細書において、第2導体素子13がグランド面3aと接続する部分を、便宜上、グランド31と称する。第2導体素子13は、ばね接点であってもよい。
【0022】
第3導体素子14は、第1導体素子12の-X方向の端部から基板3のグランド面3aに向けて延びる導体素子である。第3導体素子14は、第1導体素子12の-X方向の端部から-X方向に延びるに伴いグランド面3aに漸近して、グランド面3aと電気的に接続する。
図1では、第3導体素子14は円弧状に形成されているが、第3導体素子14は円弧状に限定されるわけではない。第3導体素子14は、-X方向に延びるに伴いグランド面3aに漸近すればよく、例えば、直線であってもよい。すなわち、第3導体素子14は、第1導体素子12の-X方向の端部から、さらに-X方向にずれた位置でグランド面3aと電気的に接続する。第3導体素子14が、グランド面3aに対して漸近するため、第3導体素子14とグランド面3aとの間の容量結合を強めることができる。以下、本明細書において、第3導体素子14がグランド面3aと接続する部分を、便宜上、グランド32と称する。
【0023】
図2は、実施形態に係るアンテナ上で動作するループアンテナを模式的に示す図である。
図2の点線で模式的に例示するように、実施形態に係るアンテナ1は、ループアンテナ101、102、103の3つのループアンテナを含む。
【0024】
ループアンテナ101は、給電点2から給電線11、第1導体素子12、第2導体素子13および第3導体素子14を経てグランド32までの長さが周波数f1の波長λ1の1/2波長となるように設定されることで、周波数f1用のループアンテナとして動作する。
【0025】
ループアンテナ102は、給電点2から給電線11、第1導体素子12および第2導体素子13を経てグランド31までの長さが周波数f2の波長λ2の1/2波長となるように設定されることで、周波数f2用のループアンテナとして動作する。
【0026】
ループアンテナ103は、第3導体素子14、および第2導体素子13の長さが、周波数f3の波長λ3の1/2波長となるように設定されることで、周波数f3用のループアンテナとして動作する。
【0027】
図2を参照すると理解できるように、ループアンテナ101、102、103のアンテナ長が(ループアンテナ101のアンテナ長)>(ループアンテナ102のアンテナ長)>(ループアンテナ103のアンテナ長)となることから、(周波数f
3)>(周波数f
2)>(周波数f
1)となる。このように、アンテナ1は、周波数f
1、f
2、f
3の3つの周波数に対して共振可能であるとともに、アンテナ1全体のアンテナ長を周波数f
1の1/2波長に抑えられる。
【0028】
<第1変形例>
図3は、第1変形例に係るアンテナを例示する図である。
図3に例示されるアンテナ1aは、第2導体素子13とグランド31との間にキャパシタ41が設けられ、第3導体素子14とグランド32との間にインダクタ42が設けられる。
【0029】
キャパシタ41は、例えば、短縮コンデンサである。キャパシタ41の静電容量を適宜設定することで、例えば、ループアンテナ102、103の電気的なアンテナ長を短縮することができる。すなわち、キャパシタ41を第2導体素子13とグランド31との間に設けることで、ループアンテナ102が共振する周波数を周波数f2よりも高くし、ループアンテナ103が共振する周波数を周波数f3よりも高くすることができる。
【0030】
インダクタ42は、例えば、延長コイルである。インダクタ42のインダクタンスを適宜設定することで、例えば、ループアンテナ101、103の電気的なアンテナ長を長くすることができる。すなわち、インダクタ42を第3導体素子14とグランド32との間に設けることで、ループアンテナ101が共振する周波数を周波数f1よりも低くし、ループアンテナ103が共振する周波数を周波数f3よりも低くすることができる。
【0031】
第1変形例によれば、キャパシタ41およびインダクタ42によって、実際のアンテナ長を変更しなくとも電気的なアンテナ長を変更することができ、ひいては、ループアンテナ101、102、103が共振する周波数を変更することができる。
【0032】
<第2変形例>
図4は、第2変形例に係るアンテナを例示する図である。
図4に例示されるアンテナ1bは、第2導体素子13とグランド端子31との間に並列共振回路51が設けられ、第3導体素子14とグランド端子32との間に並列共振回路52が設けられる。
【0033】
並列共振回路51、52は、インダクタとキャパシタとを並列に接続した回路である。並列共振回路51、52の共振周波数は、インダクタのインダクタンスとキャパシタの静電容量とに基づいて適宜設定可能である。アンテナ1bでは、並列共振回路51、52の共振周波数を適宜設定することで、アンテナ1cを複数のモノポールアンテナとして動作させることができる。
【0034】
図5から
図8は、第2変形例に係るアンテナ上で動作するモノポールアンテナを模式的に示す図である。
図5にはモノポールアンテナ101bが例示され、
図6にはモノポールアンテナ102bが例示され、
図7にはモノポールアンテナ103bが例示され、
図8にはモノポールアンテナ104bが例示される。
【0035】
図5の点線に例示されるように、モノポールアンテナ101bは、給電線11、第1導体素子12、第3導体素子14、並列共振回路52およびグランド端子31によって形成され、周波数f
11に共振するモノポールアンテナである。
図6の点線に例示されるように、モノポールアンテナ102bは、給電線11、第1導体素子12および第3導体素子14によって形成され、周波数f
12に共振するモノポールアンテナである。
図7の点線に例示されるように、モノポールアンテナ103bは、給電線11、第1導体素子12および第2導体素子13によって形成され、周波数f
13に共振するモノポールアンテナである。
図8の点線に例示されるように、モノポールアンテナ104bは、第2導体素子13および第3導体素子14によって形成され、周波数f
14に共振するモノポールアンテナである。
【0036】
図5から
図8を比較すると理解できるように、モノポールアンテナ101b、102b、103b、104bのアンテナ長は、(モノポールアンテナ101bのアンテナ長)>(モノポールアンテナ102bのアンテナ長)>(モノポールアンテナ103bのアンテナ長)>(モノポールアンテナ104bのアンテナ長)となる。その結果、モノポールアンテナ101b、102b、103b、104bが共振する周波数は、(周波数f
14)>(周波数f
13)>(周波数f
12)>(周波数f
11)となる。すなわち、アンテナ1bは、互いに異なる4つの周波数(周波数f
11、周波数f
12、周波数f
13および周波数f
14)に共振することができる。
【0037】
<第3変形例>
図9は、第3変形例に係るアンテナを例示する図である。
図9に例示されるアンテナ1cは、第1導体素子12の-X側の端部から+X側の端部の間の分岐点12aとグランド面3aとが、第4導体素子13aによって電気的に接続される点で、実施形態に係るアンテナ1とは異なる。以下、本明細書において、便宜上、第4導体素子13aとグランド面3aとが接続する部分をグランド33と称する。
【0038】
図10は、第3変形例に係るアンテナ上で動作するループアンテナを模式的に示す図である。
図10を参照すると理解できるように、第3変形例に係るアンテナ1cでは、ループアンテナ101、102、103に加えて、ループアンテナ301、302を有する。ループアンテナ301は、給電点2から給電線11、第1導体素子12、分岐点12a、第4導体素子13aを経てグランド33に至る経路によって形成される半波長ループアンテナである。また、ループアンテナ302は、グランド33から分岐点12a、第1導体素子、第2導体素子13を経てグランド31に至る経路によって形成される半波長ループアンテナである。分岐点12aの位置を適宜決定することで、ループアンテナ301、302のアンテナ長を設定することができ、ひいては、ループアンテナ301、302を共振させる電波の周波数を設定することができる。
【0039】
なお、
図9、
図10では、第1導体素子12の-X側の端部から+X側の端部の間に設けた一か所の分岐点12aから第4導体素子13aによってグランド面3aと電気的に接続したが、分岐点を複数設け、複数設けた分岐点のそれぞれとグランド面3aとを導体素子によって電気的に接続してもよい。このような設計を採用することで、アンテナ1c上で動作するループアンテナをさらに増加させることができる。
【0040】
<第4変形例>
図11は、第3変形例に係るアンテナを例示する図である。
図11に例示されるアンテナ1dは、第3導体素子14が第3導体素子14aとなっている点で、実施形態に係るアンテナ1とは異なる。
【0041】
第3導体素子14aは、グランド基板3の側面にまで達し、その後屈曲してグランド基板3の側面に設けられたグランド面3bと電気的に接続する点で第3導体素子14とは異なる。以下、本明細書において、便宜上、第3導体素子14aがグランド基板3の側面に設けられたグランド面3bと接続する部分をグランド32aと称する。
【0042】
<適用例>
図12は、第3変形例に係るアンテナをスマートフォンに適用した例を示す図である。
図12では、スマートフォン500のディスプレイ側のケースを開いた状態を例示している。
【0043】
スマートフォン500は、プロセッサやメモリ等を備える可搬型の情報処理装置である。スマートフォン500は、アンテナ1dを用いて外部装置と無線通信を行う。スマートフォン500では、その側面(周囲)を枠状の金属フレーム51が囲んでいる。金属フレーム51は、スマートフォン500の側面を覆う外装である。金属フレーム51の角は、丸い円弧状に形成されている。金属フレーム51が区画する領域には、グランド基板3が収容される。スマートフォン500では、上側(+Y側)に電話での通話に用いられるスピーカーが設けられ、下側(-Y側)に電話での通話に用いられるマイクが設けられる。
【0044】
スマートフォン500では、金属フレーム51の一部をアンテナ1dとして利用する。
図12では、アンテナ1dは、スマートフォン500の上側に設けられている。
図12に例示するように、金属フレーム51のうち、アンテナ1dとして利用する領域と他の領域との間には、スリット511、512が設けられる。第1導体素子511は、金属フレーム51のうちアンテナ1dとして利用しない領域からスリット511によって電気的に分離される。第3導体素子14aは、金属フレーム51のうちアンテナ1dとして利用しない領域からスリット512によって電気的に分離される。
【0045】
スマートフォン500では、第3導体素子14aとして、金属フレーム51において円弧上に形成された角の部分を使用する。このように、金属フレーム51をアンテナ1dの導体素子としても用いることで、金属フレーム51が区画する領域内においてアンテナ1dが占める領域を減少させることができる。
【0046】
以上で開示した実施形態や変形例はそれぞれ組み合わせることができる。例えば、
図12では、第3変形例に係るアンテナ1dをスマートフォン500に適用したが、アンテナ1、1a、1b、1cのいずれのアンテナをスマートフォン500に適用してもよい。また、アンテナ1、1a、1b、1c、1dのいずれかを車載用アンテナとして用いてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1、1a、1b、1c・・・アンテナ
2・・・給電点
11・・・給電線
12・・・第1導体素子
13・・・第2導体素子
14・・・第3導体素子
3・・・グランド基板
3a、3b・・・グランド面
31、32、32a、33、・・・グランド
41・・・キャパシタ
42・・・インダクタ
51、52・・・並列共振回路
101、102、103、301、302・・・ループアンテナ
101b、102b、103b、104b・・・モノポールアンテナ
500・・・スマートフォン