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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-19
(45)【発行日】2024-03-28
(54)【発明の名称】空調管理システム及び冷媒回収管理装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/32 20180101AFI20240321BHJP
   F25B 49/02 20060101ALI20240321BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20240321BHJP
   F25B 45/00 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
F24F11/32
F25B49/02 A
F25B1/00 391
F25B45/00 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020078286
(22)【出願日】2020-04-27
(65)【公開番号】P2021173480
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2022-05-25
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井吉 悠太
(72)【発明者】
【氏名】山野井 喜記
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 久美子
【審査官】奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-116885(JP,A)
【文献】特開2015-049024(JP,A)
【文献】特開平08-200896(JP,A)
【文献】特開2015-087071(JP,A)
【文献】国際公開第2009/103469(WO,A2)
【文献】特開2018-132292(JP,A)
【文献】特開2017-32217(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/00-13/32
F25B 1/00-49/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室外機(3)と室内機(4)とを接続する冷媒回路(9)の冷媒を、前記室外機(3)に備えられた回収部(12,16)に回収する冷媒回収運転を行う空気調和装置(2)と、
前記空気調和装置(2)が前記冷媒回収運転を開始する前に、全ての前記冷媒を前記回収部(12,16)に回収できるか否かの判定を行い、全ての前記冷媒を前記回収部(12,16)に回収できないと判定した場合、その旨を報知する指令を出力する制御部(62)と、
前記冷媒回路(9)に冷媒が追加されているか否かを示す冷媒情報(S2)を記憶する記憶部(63)と、を備え、
前記制御部(62)は、前記記憶部(63)に記憶された前記冷媒情報(S2)に基づいて前記判定を行う、空調管理システム。
【請求項2】
前記空気調和装置(2)に通信可能に接続された冷媒回収管理装置(60)を備え、
前記冷媒回収管理装置(60)は、前記制御部(62)を備える、請求項1に記載の空調管理システム
【請求項3】
室外機(3)と室内機(4)とを接続する冷媒回路(9)の冷媒を、前記室外機(3)に備えられた回収部(12,16)に回収する冷媒回収運転を行う空気調和装置(2)と、
前記空気調和装置(2)が前記冷媒回収運転を開始する前に、全ての前記冷媒を前記回収部(12,16)に回収できるか否かの判定を行い、全ての前記冷媒を前記回収部(12,16)に回収できないと判定した場合、その旨を報知する指令を出力する制御部(62)と、を備え、
前記制御部(62)は、前記判定において全ての前記冷媒を前記回収部(12,16)に回収できないと判定した場合、前記回収部(12,16)とは別に前記冷媒を回収可能な回収容器(10)が前記冷媒回路(9)に取り付けられているか否かを判断し、前記回収容器(10)が前記冷媒回路(9)に取り付けられていると判断した場合、前記冷媒回収運転を開始する指令を出力する、空調管理システム。
【請求項4】
前記制御部(62)は、前記空気調和装置(2)に前記冷媒回収運転を開始する指令を出力し、当該指令の出力後に前記回収部(12,16)が前記冷媒で満杯になったか否かを判断し、前記回収部(12,16)が前記冷媒で満杯になったと判断した場合、前記回収部(12,16)が前記冷媒で満杯になったことを報知する指令を出力する、請求項1又は請求項2に記載の空調管理システム。
【請求項5】
前記制御部(62)は、前記空気調和装置(2)に前記冷媒回収運転を開始する指令を出力し、当該指令の出力後に前記回収部(12,16)が前記冷媒で満杯になったか否かを判断し、前記回収部(12,16)が前記冷媒で満杯になったと判断した場合、前記空気調和装置(2)に前記冷媒回収運転を停止する指令を出力する、請求項1請求項及び請求項のいずれか1項に記載の空調管理システム
【請求項6】
室外機(3)と室内機(4)とを接続する冷媒回路(9)内の冷媒を、前記室外機(3)に備えられた回収部(12,16)に回収する冷媒回収運転を行う空気調和装置(2)と通信可能に接続された冷媒回収管理装置であって、
前記空気調和装置(2)が前記冷媒回収運転を開始する前に、全ての前記冷媒を前記回収部(12,16)に回収できるか否かの判定を行い、全ての前記冷媒を前記回収部(12,16)に回収できないと判定した場合、その旨を報知する指令を出力する制御部(62)と、
前記冷媒回路(9)に冷媒が追加されているか否かを示す冷媒情報(S2)を記憶する記憶部(63)と、を備え、
前記制御部(62)は、前記記憶部(63)に記憶された前記冷媒情報(S2)に基づいて前記判定を行う、冷媒回収管理装置。
【請求項7】
室外機(3)と室内機(4)とを接続する冷媒回路(9)内の冷媒を、前記室外機(3)に備えられた回収部(12,16)に回収する冷媒回収運転を行う空気調和装置(2)と通信可能に接続された冷媒回収管理装置であって、
前記空気調和装置(2)が前記冷媒回収運転を開始する前に、全ての前記冷媒を前記回収部(12,16)に回収できるか否かの判定を行い、全ての前記冷媒を前記回収部(12,16)に回収できないと判定した場合、その旨を報知する指令を出力する制御部(62)を備え、
前記制御部(62)は、前記判定において全ての前記冷媒を前記回収部(12,16)に回収できないと判定した場合、前記回収部(12,16)とは別に前記冷媒を回収可能な回収容器(10)が前記冷媒回路(9)に取り付けられているか否かを判断し、前記回収容器(10)が前記冷媒回路(9)に取り付けられていると判断した場合、前記冷媒回収運転を開始する指令を出力する、冷媒回収管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空調管理システム及び冷媒回収管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ビル等の大型の建物に空気調和機が設置されるときに、冷媒回路の配管長が長くなりすぎると冷媒が不足するため、冷媒回路に冷媒が追加される場合がある。その場合、サービスマンが冷媒回路の冷媒を室外機に回収するときに、室外機に全ての冷媒を回収できないことが想定される。そこで、特許文献1の空気調和機では、室外機の熱交換器及びアキュムレータに冷媒を回収する冷媒回収運転を実行しているときに、冷媒が熱交換器及びアキュムレータの両方で満杯になると、冷媒回収運転を停止することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-87071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の空気調和機において、室外機が冷媒で満杯になって冷媒回収運転が停止し、全ての冷媒を室外機に回収できなかった場合、サービスマンは、室外機とは別の回収容器を冷媒回路に取り付けて残りの冷媒を回収容器に回収する作業を行う。しかし、サービスマンは、冷媒回収運転中に別の作業をしたり、別の現場に行ったりするなど、現場を離れることがある。このため、サービスマンが現場を離れているときに室外機が冷媒で満杯になって冷媒回収運転が停止した場合、それ以降は残りの冷媒を回収容器に回収する作業が進まない状況が発生する。その場合、サービスマンが現場に戻ったときに、室外機が冷媒で満杯になっていることを知ることになるので、サービスマンが現場に戻ってから回収容器を冷媒回路に取り付けて冷媒回収を再開させる必要があり、作業効率が悪くなる。
【0005】
本開示は、冷媒回収時の作業を効率良く行うことができる空調管理システム及び冷媒回収管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示の空調管理システムは、
室外機と室内機とを接続する冷媒回路の冷媒を、前記室外機に備えられた回収部に回収する冷媒回収運転を行う空気調和装置と、
前記空気調和装置が前記冷媒回収運転を開始する前に、全ての前記冷媒を前記回収部に回収できるか否かの判定を行い、全ての前記冷媒を前記回収部に回収できないと判定した場合、その旨を報知する指令を出力する制御部と、を備える。
【0007】
このように構成された空調管理システムでは、サービスマンは、制御部の報知指令に基づく報知を受けることで、冷媒回収運転を開始する前に、冷媒回路内の全ての冷媒を室外機の回収部に回収できないことを知ることができる。これにより、サービスマンは、回収部とは別の回収容器を事前に冷媒回路に取り付ける、又は現場を離れた後に回収容器を取り付けるために一度現場に戻る必要があることを認識することができる。したがって、サービスマンは、そのことを計画に入れて別の作業を行ったり、前記報知を受けてから一度現場に戻って回収容器の取り付け作業を行ったりすることができるので、冷媒回収時の作業を効率良く行うことができる。
【0008】
(2)前記空調管理システムは、前記空気調和装置に通信可能に接続された冷媒回収管理装置を備え、
前記冷媒回収管理装置は、前記制御部を備えるのが好ましい。
【0009】
(3)前記空調管理システムは、前記冷媒回路に冷媒が追加されているか否かを示す冷媒情報を記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、前記記憶部に記憶された前記冷媒情報に基づいて前記判定を行うのが好ましい。
このような構成によって、制御部は、冷媒回路に冷媒が追加されていることを冷媒情報が示していれば、全ての冷媒を回収部に回収できないと判定することができるので、全ての冷媒を回収部に回収できるか否かの判定を容易に行うことができる。
【0010】
(4)前記空調管理システムは、前記冷媒回路の総配管長を示す配管情報を記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、前記記憶部に記憶された前記配管情報に基づいて前記判定を行ってもよい。
このような構成によって、制御部は、配管情報における冷媒回路の総配管長が閾値よりも長ければ、全ての冷媒を回収部に回収できないと判定することができるので、全ての冷媒を回収部に回収できるか否かの判定を容易に行うことができる。
【0011】
(5)前記制御部は、前記判定において全ての前記冷媒を前記回収部に回収できないと判定した場合、前記回収部とは別に前記冷媒を回収可能な回収容器が前記冷媒回路に取り付けられているか否かを判断し、前記回収容器が前記冷媒回路に取り付けられていると判断した場合、前記冷媒回収運転を開始する指令を出力するのが好ましい。
このような構成によって、全ての冷媒を回収部に回収できない場合であっても、回収部とは別に冷媒を回収可能な回収容器が冷媒回路に取り付けられていれば、冷媒回収運転が開始される。これにより、サービスマンは、全ての冷媒を回収し終えるまで、別の作業を行ったり、別の現場へ行ったりすることができるので、冷媒回収時の作業をさらに効率良く行うことができる。
【0012】
(6)前記制御部は、前記空気調和装置に前記冷媒回収運転を開始する指令を出力し、当該指令の出力後に前記回収部が前記冷媒で満杯になったか否かを判断し、前記回収部が前記冷媒で満杯になったと判断した場合、前記回収部が前記冷媒で満杯になったことを報知する指令を出力するのが好ましい。
このような構成によって、例えば、現地において冷媒回収運転中に別の作業を行っているサービスマンは、制御部の報知指令に基づく報知を受けることで、回収部が冷媒で満杯になったことを迅速に把握することができる。これにより、サービスマンは残りの冷媒を回収する回収容器を冷媒回路に迅速に取り付けることができるので、冷媒回収時の作業をさらに効率良く行うことができる。
【0013】
(7)前記空調管理システムは、前記制御部は、前記空気調和装置に前記冷媒回収運転を開始する指令を出力し、当該指令の出力後に前記回収部が前記冷媒で満杯になったか否かを判断し、前記回収部が前記冷媒で満杯になったと判断した場合、前記空気調和装置に前記冷媒回収運転を停止する指令を出力するのが好ましい。
このような構成によって、例えば、サービスマンが冷媒回収運転中に別の現場に行っている場合でも、回収部が冷媒で満杯になったときに冷媒回収運転を停止させることができる。これにより、サービスマンが冷媒回収運転を停止させるために現場に戻る必要がないので、冷媒回収時の作業をさらに効率良く行うことができる。
【0014】
(8)本開示の冷媒回収管理装置は、
室外機と室内機とを接続する冷媒回路内の冷媒を、前記室外機に備えられた回収部に回収する冷媒回収運転を行う空気調和装置と通信可能に接続された冷媒回収管理装置であって、
前記空気調和装置が冷媒回収運転を開始する前に、全ての前記冷媒を前記回収部に回収できるか否かを判定し、全ての前記冷媒を前記回収部に回収できないと判定した場合、その旨を報知する指令を出力する制御部を備える。
【0015】
このように構成された冷媒回収管理装置では、サービスマンは、冷媒回収管理装置の報知指令に基づく報知を受けることで、冷媒回収運転を開始する前に、冷媒回路内の全ての冷媒を室外機の回収部に回収できないことを知ることができる。これにより、サービスマンは、回収部とは別の回収容器を事前に冷媒回路に取り付ける、又は現場を離れた後に回収容器を取り付けるために一度現場に戻る必要があることを認識することができる。したがって、サービスマンは、そのことを計画に入れて別の作業を行ったり、前記報知を受けてから一度現場に戻って回収容器の取り付け作業を行ったりすることができるので、冷媒回収時の作業を効率良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態に係る空調管理システムの概略構成図である。
図2】実施形態に係る空気調和装置の概略構成図である。
図3】室外機、室内機、空調コントローラ、及び管理装置の各内部構成の一例を示すブロック図である。
図4】空調管理システムの冷媒回収運転時における制御例を示すシーケンス図である。
図5】空調管理システムの冷媒回収運転時における制御例の変形例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1は、実施形態に係る空調管理システムの概略構成図である。空調管理システム1は、空気調和装置2と、管理装置60と、を備えている。空気調和装置2と管理装置60とは、ネットワーク70を介して通信可能に接続されている。
【0018】
[空気調和装置]
図2は、実施形態に係る空気調和装置2の概略構成図である。空気調和装置2は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルによって、ビル等の大型の建物における室内の冷房及び暖房を行う装置である。空気調和装置2は、室外機3と、互いが並列に接続された複数(ここでは4つ)の室内機4と、液冷媒連絡管5と、ガス冷媒連絡管6と、空調コントローラ7と、を備えている(図1も参照)。なお、空気調和装置2は、室外機3と複数の室内機4との間における冷媒の流れを切り換える中間ユニットを備えていてもよい。その場合、中間ユニットは、建物の室外に設置されてもよいし、建物の機械室等に設置されてもよい。
【0019】
空気調和装置2の蒸気圧縮式の冷媒回路9は、室外機3と室内機4とが、液冷媒連絡管5及びガス冷媒連絡管6を介して接続されることによって構成されている。冷媒回路9には、R32、CO、又はHFO系等の冷媒が充填されている。
【0020】
[室外機]
室外機3は、建物の室外に設置されており、冷媒回路9の一部を構成している。室外機3は、圧縮機11と、室外熱交換器12と、四路切換弁13と、室外ファン14と、室外膨張弁15と、アキュムレータ16と、液側閉鎖弁17と、ガス側閉鎖弁18とを有している。各機器11~16及び弁17~18間は、冷媒管19~25によって接続されている。
【0021】
圧縮機11は、内蔵されているモータ(図示省略)をインバータ制御することによって、このモータの運転回転数を変更することができる。室外熱交換器12は、例えばクロスフィンチューブ式の熱交換器であり、空気を熱源として冷媒と熱交換するために用いられる。
【0022】
室外ファン14は、インバータ制御によって運転回転数を調整可能なモータ(図示省略)を有している。室外ファン14は、屋外の空気を室外機3の内部に取り込み、取り込んだ空気と室外熱交換器12との間で熱交換が行われた後、当該空気を室外機3の外部に吹き出すように構成されている。
【0023】
四路切換弁13は、冷媒回路9における冷媒の流れを反転させ、圧縮機11から吐出される冷媒を室外熱交換器12と室内熱交換器42(後述)とに切り換えて供給する。アキュムレータ16は、圧縮機11に吸入される冷媒を一時的に溜める。液側閉鎖弁17及びガス側閉鎖弁18は電動弁である。圧縮機11、四路切換弁13、室外ファン14、室外膨張弁15、液側閉鎖弁17、及びガス側閉鎖弁18は、後述する室外制御部31により動作制御される。
【0024】
室外機3は、吐出圧力センサ26、吐出温度センサ27、吸入圧力センサ28、及び吸入温度センサ29をさらに有している。
吐出圧力センサ26は、圧縮機11から吐出された冷媒の圧力を検出する。吐出温度センサ27は、圧縮機11から吐出された冷媒の温度を検出する。吸入圧力センサ28は、圧縮機11に吸入される冷媒の圧力を検出する。吸入温度センサ29は、圧縮機11に吸入される冷媒の温度を検出する。
【0025】
各種センサ26~29によって検出された信号は、室外制御部31に入力される(図3参照)。圧縮機11、室外ファン14、及び室外膨張弁15は、各種センサ26~29の出力に応じて室外制御部31により動作制御される。
【0026】
[室内機]
室内機4は、建物の室内に設置されており、冷媒回路9の一部を構成している。室内機4は、室内膨張弁41と、室内熱交換器42と、室内ファン43と、を有している。
室内膨張弁41は、冷媒圧力の調節や冷媒流量の調節を行うことが可能な電動膨張弁が用いられている。室内熱交換器42は、例えばクロスフィンチューブ式の熱交換器であり、室内の空気と熱交換するために用いられる。
【0027】
室内ファン43は、インバータ制御によって運転回転数を調整可能なモータ(図示省略)を有している。室内ファン43は、室内の空気を室内機4の内部に取り込み、取り込んだ空気と室内熱交換器42との間で熱交換が行われた後、当該空気を室内に吹き出すように構成されている。室内膨張弁41及び室内ファン43は、後述する室内制御部44により動作制御される。
【0028】
液冷媒連絡管5は、一端が室外機3の液側閉鎖弁17に接続され、他端が室内機4の室内膨張弁41の液側端に接続されている。ガス冷媒連絡管6は、一端が室外機3のガス側閉鎖弁18に接続され、他端が室内機4の室内熱交換器42のガス側端に接続されている。
【0029】
[空気調和装置の動作]
空気調和装置2は、冷房運転、暖房運転、及び冷媒回収運転を行う。
冷房運転では、室外熱交換器12を蒸発器として作用させ、室内熱交換器42を凝縮器として作用させる。具体的には、四路切換弁13を室外放熱状態(図2の実線で示される状態)に切り換え、液側閉鎖弁17及びガス側閉鎖弁18を開けて、圧縮機11、室外ファン14及び室内ファン43を駆動させる。
【0030】
圧縮機11から吐出された高圧の冷媒は、四路切換弁13、室外熱交換器12、室外膨張弁15、及び液側閉鎖弁17を通じて室外機3から流出する。室外機3から流出した冷媒は、液冷媒連絡管5を通じて複数の室内機4に分岐して送られる。その後、冷媒は、各室内機4の室内膨張弁41、室内熱交換器42、及びガス冷媒連絡管6を通じて室外機3に合流して送られる。その後、冷媒は、ガス側閉鎖弁18、四路切換弁13及びアキュムレータ16を通じて圧縮機11に吸入される。
【0031】
暖房運転では、室外熱交換器12を凝縮器として作用させ、室内熱交換器42を蒸発器として作用させる。具体的には、四路切換弁13を室外蒸発状態(図2の破線で示される状態)に切り換え、液側閉鎖弁17及びガス側閉鎖弁18を開けて、圧縮機11、室外ファン14及び室内ファン43を駆動させる。
【0032】
圧縮機11から吐出された高圧の冷媒は、四路切換弁13、ガス側閉鎖弁18を通じて室外機3から流出する。室外機3から流出した冷媒は、ガス冷媒連絡管6を通じて複数の室内機4に分岐して送られる。その後、冷媒は、各室内機4の室内熱交換器42、室内膨張弁41、及び液冷媒連絡管5を通じて室外機3に合流して送られる。その後、冷媒は、液側閉鎖弁17、室外膨張弁15、室外熱交換器12、四路切換弁13及びアキュムレータ16を通じて圧縮機11に吸入される。
【0033】
冷媒回収運転は、冷媒回路9の冷媒を、室外機3側に回収する際に行われる。その際、室外機3の室外熱交換器12及びアキュムレータ16は、冷媒回路9の冷媒を回収する回収部として機能する。冷媒回路9の冷媒を回収する「回収部」とは、室外機3がデフォルトで備えている機器であり、後述する回収容器10を含まない。以下、室外熱交換器12及びアキュムレータ16を回収部12,16ともいう。
【0034】
冷媒回収運転では、四路切換弁13を冷房運転時と同様に室外放熱状態に切り換え、液側閉鎖弁17を閉じ、ガス側閉鎖弁18を開ける。そして、圧縮機11、室外ファン14及び室内ファン43を駆動させる。
【0035】
圧縮機11を駆動すると、冷媒回路9における冷媒管22、液冷媒連絡管5、室内膨張弁41、室内熱交換器42、ガス冷媒連絡管6に滞留する冷媒は、ガス側閉鎖弁18及び四路切換弁13を通じて、アキュムレータ16に流入する。アキュムレータ16に流入した冷媒のうち、液冷媒はアキュムレータ16に滞留し、ガス冷媒は圧縮機11に吸入され、圧縮機11から四路切換弁13を介して室外熱交換器12に流入する。室外熱交換器12に流入したガス冷媒は、液側閉鎖弁17に向かって流出するが、液側閉鎖弁17は閉じられているので、室外熱交換器12に冷媒が溜まっていく。以上により、冷媒回路9の冷媒は、室外機3の回収部12,16に回収される。
【0036】
回収部12,16への冷媒回収が終了すると、圧縮機11、室外ファン14及び室内ファン43の駆動を停止させ、ガス側閉鎖弁18を閉じる。このようにガス側閉鎖弁18を閉じることで、回収部12,16に回収された冷媒が室内機4側へ流出するのを抑制することができる。
【0037】
図3は、室外機3、室内機4、空調コントローラ7、及び管理装置60の各内部構成の一例を示すブロック図である。
[室内機の内部構成]
室内機4は、室内制御部44、及び通信部45を備えている。通信部45は、通信インターフェースからなり、室外制御部31との間で各種情報を送受信する。室内制御部44は、CPUやメモリ等で構成されるマイクロコンピュータである。室内制御部44は、室外制御部31からの指令に基づいて室内膨張弁41及び室内ファン43を制御する。
【0038】
[室外機の内部構成]
室外機3は、室外制御部31、通信部32、及び入力部33を備えている。
通信部32は、通信インターフェースからなり、室内機4の通信部45との間で各種情報を送受信する。入力部33は、例えば基板に設けられたディップスイッチ等からなり、室外機3への操作や、回収容器10が冷媒回路9に取り付けられたことを設定する。
【0039】
室外制御部31は、CPUやメモリ等で構成されるマイクロコンピュータである。室外制御部31は、上記のような各種センサの検出信号等に基づいて、室外機3及び室内機4の各種構成機器を制御することで、空気調和装置の冷房運転及び暖房運転の各制御を行う。
【0040】
[空調コントローラ]
空調コントローラ7は、室外機3及び複数の室内機4を集中管理する。空調コントローラ7は、通信部51、制御部52、記憶部53、入力部54、及び表示部55を備えている。
【0041】
通信部51は、通信インターフェースからなり、室外機3の通信部32との間で各種情報を送受信する。また、通信部51は、ネットワーク70を介して管理装置60との間で各種情報を送受信する(図1参照)。
【0042】
入力部54は、例えば操作入力を受け付けるタッチパネル又は各種の入力ボタン等からなる。表示部55は、例えば液晶表示パネルからなる。
【0043】
記憶部53は、RAM,ROM,フラッシュメモリ等からなる。記憶部53には、例えば、空気調和装置2の機器情報S1、冷媒情報S2、配管情報S3、及び運転情報S4が記憶される。
機器情報S1は、室外機3の個数や、室内機4の個数等を示す情報である。冷媒情報S2は、空気調和装置2が設置されたときに冷媒回路9に冷媒が追加されているか否かを示す情報である。
【0044】
配管情報S3は、冷媒回路9の総配管長を示す情報である。運転情報S4は、各種センサ26~29によって検出された信号、開始情報、終了情報、及び満杯情報等を含む情報であり、例えば数分毎に記憶部53に記憶される。開始情報は、冷媒回収運転を開始したことを示す情報である。終了情報は、冷媒回収運転を終了したことを示す情報である。満杯情報は、回収部12,16が冷媒で満杯になったことを示す情報である。
【0045】
制御部52は、CPUを用いて構成されている。制御部52は、管理装置60の制御指令に基づいて空気調和装置の冷媒回収運転の制御を行う。制御部52は、例えば数分毎に記憶部53に記憶された各種情報S1~S4を通信部51により管理装置60へ送信する。
【0046】
[管理装置]
管理装置60は、空気調和装置2のメーカーや、保守点検等を請け負う管理会社等によって運営される。管理装置60は、空気調和装置2の冷媒回収運転を管理する冷媒回収管理装置として機能する。
【0047】
管理装置60は、空気調和装置2の管理者、使用者、サービスマン、製造者等の関与者が使用する端末71(図1参照)から冷媒回収運転の指示を受信すると、その関与者の端末71に冷媒回収運転に関する情報を送信する。端末71としては、ネットワーク70を介して管理装置60に接続することができるパーソナルコンピュータ、タブレットPC、スマートフォン等を挙げることができる。
【0048】
管理装置60は、通信部61、制御部62、記憶部63、入力部64、及び表示部65を備えている。
通信部61は通信インターフェースからなり、ネットワーク70を介して空調コントローラ7との間、及び端末71との間で各種情報を送受信する(図1参照)。
【0049】
記憶部63は、RAM,ROM,フラッシュメモリ等からなる。記憶部63には、通信部61が空調コントローラ7から受信した機器情報S1、冷媒情報S2、配管情報S3、及び運転情報S4が記憶される。
入力部64は、キーボードやタッチパネル等からなり、管理装置60への操作や設定を行う。表示部65は、例えばディスプレイからなる。
【0050】
制御部62は、CPUを用いて構成されている。制御部62は、空気調和装置2が冷媒回収運転を開始する前に、記憶部63に記憶されている情報に基づいて、冷媒回路9の全ての冷媒を回収部12,16に回収できるか否かの判定を行う。
この判定は、例えば、記憶部63に記憶されている冷媒情報S2に基づいて行われる。具体的には、制御部62は、冷媒情報S2において冷媒回路9に冷媒が追加されていいない場合、全ての冷媒を回収部12,16に回収できると判定する。また、制御部62は、冷媒情報S2において冷媒回路9に冷媒が追加されている場合、全ての冷媒を回収部12,16に回収できないと判定する。
【0051】
制御部62は、記憶部63に記憶されている配管情報S3に基づいて判定を行ってもよい。例えば、制御部62は、配管情報S3における冷媒回路9の総配管長が閾値未満である場合、全ての冷媒を回収部12,16に回収できると判定する。また、制御部62は、配管情報S3における冷媒回路9の総配管長が閾値以上である場合、全ての冷媒を回収部12,16に回収できないと判定する。
【0052】
制御部62は、記憶部63に記憶されている機器情報S1に基づいて判定を行ってもよい。例えば、制御部62は、機器情報S1から算出した室外機3と室内機4の総数が閾値未満である場合、全ての冷媒を回収部12,16に回収できると判定する。また、制御部62は、機器情報S1から算出した室外機3と室内機4の総数が閾値以上である場合、全ての冷媒を回収部12,16に回収できないと判定する。
制御部62は、機器情報S1、冷媒情報S2、及び配管情報S3のうち、2つ以上の情報に基づいて判定を行ってもよい。
【0053】
制御部62は、全ての冷媒を回収部12,16に回収できないと判定した場合、その旨を報知する指令(報知指令)を出力する。その指令は、通信部61からネットワーク70を介して、例えばサービスマン等の関与者(以下、単に「サービスマン等」という)の端末71に送信される。
【0054】
制御部62は、室外機3の回収部12,16とは別に冷媒を回収可能な回収容器10(図2参照)が冷媒回路9に取り付けられているか否かを判断する。その判断は、例えば、冷媒回路9に回収容器が接続されたことを設定する室外機3の入力部33が操作入力されたか否かによって判断することができる。入力部33の操作入力信号は、例えば機器情報S1に含まれている。このため、制御部62は、記憶部63に記憶されている機器情報S1に基づいて前記判断を行うことができる。
【0055】
なお、制御部62は、記憶部63に記憶された運転情報S4に含まれる吐出圧力センサ26又は吸入圧力センサ28の検出信号に基づいて、冷媒回路9に回収容器が接続されたときに生じる圧力変動を吐出圧力センサ26又は吸入圧力センサ28が検出したか否かによって、前記判断を行ってもよい。また、前記判断は、空調コントローラ7の制御部52が行ってもよい。
【0056】
制御部62は、回収容器10が冷媒回路9に取り付けられていると判断した場合、冷媒回収運転を開始する指令(開始指令)を出力する。その指令は、通信部61からネットワーク70を介して空調コントローラ7に送信される。
【0057】
[冷媒回収運転の制御]
図4は、空調管理システム1の冷媒回収運転時における制御例を示すシーケンス図である。本制御例では、サービスマン等が端末71を操作することによって、空気調和装置2の冷媒回収運転が実行される場合について説明する。
【0058】
サービスマン等は、端末71から空気調和装置2の冷媒を回収する指示を管理装置60に送信する(ステップST1)。管理装置60は、端末71から前記指示を受信すると、冷媒回路9の全ての冷媒を回収部12,16に回収できるか否かの判定を行う(ステップST2)。具体的な判定方法は上述の通りである。
【0059】
管理装置60は、全ての冷媒を回収部12,16に回収できると判定した場合(ステップST2で「Yes」の場合)、後述するステップST8に移行する。一方、管理装置60は、全ての冷媒を回収部12,16に回収できないと判定した場合(ステップST2で「No」の場合)、その旨を報知する報知指令を端末71に送信する(ステップST3)。
【0060】
端末71は、管理装置60から受信した報知指令に基づいて、全ての冷媒を回収部12,16に回収できない旨を、音声や文字表示等によってサービスマン等に報知する(ステップST4)。これにより、サービスマン等は、全ての冷媒を回収部12,16に回収できないことを知ることができる。
【0061】
管理装置60は、報知指令を端末71に送信した後、冷媒回路9に回収容器が取り付けられているか否かを判断する(ステップST5)。その判断方法は、上述の通りである。
管理装置60は、冷媒回路9に回収容器10が取り付けられていないと判断した場合(ステップST5で「No」の場合)、一定時間(タイムアウト時間)が経過したか否かを確認する(ステップST6)。
【0062】
管理装置60は、一定時間が経過していなければ(ステップST6で「No」の場合)、ステップST5の判断を繰り返し行う。そして、管理装置60は、一定時間が経過すると(ステップST6で「Yes」の場合)、回収容器10に冷媒を回収することができないと判断する。そして、管理装置60は、冷媒回収運転が行われないことを示す情報を端末71に送信し(ステップST7)、処理を終了する。その情報を端末71で受信したサービスマン等は、冷媒運転が行われないことを知ることができる。
【0063】
一方、管理装置60は、冷媒回路9に回収容器10が取り付けられていると判断した場合(ステップST5で「Yes」の場合)、冷媒回収運転を開始する開始指令を空調コントローラ7に送信する(ステップST8)。
【0064】
空調コントローラ7は、開始指令を受信すると、空気調和装置2の冷媒回収運転を開始する(ステップST9)。そして、空調コントローラ7は、冷媒回収運転を開始したことを示す開始情報を管理装置60に送信する(ステップST10)。
【0065】
管理装置60は、空調コントローラ7から開始情報を受信すると、その開始情報を端末71に送信する(ステップST11)。開始情報を端末71で受信したサービスマン等は、冷媒回収運転が開始されたことを知ることができる。
【0066】
空調コントローラ7は、開始情報を送信した後、冷媒回収運転が終了したか否かを判断する(ステップST12)。具体的には、空調コントローラ7において(図3参照)、制御部52は、記憶部53に記憶されている運転情報S4から、例えば吸入圧力センサ28で検出した吸入圧力が閾値以下である場合、冷媒回収運転が終了したと判断する。また、制御部52は、運転情報S4から、吸入圧力センサ28で検出した吸入圧力が閾値を超えている場合、冷媒回収運転は終了していないと判断する。
【0067】
空調コントローラ7は、冷媒回収運転が終了していないと判断した場合(ステップST12で「No」の場合)、所定時間後にステップST12の判断を再度行う。
一方、空調コントローラ7は、冷媒回収運転が終了したと判断した場合(ステップST12で「Yes」の場合)、ガス側閉鎖弁18を閉じた後、冷媒回収運転が終了したことを示す終了情報を管理装置60に送信し(ステップST13)、処理を終了する。
【0068】
管理装置60は、空調コントローラ7から終了情報を受信すると、その終了情報を端末71に送信し(ステップST14)、処理を終了する。終了情報を端末71で受信したサービスマン等は、冷媒回収運転が終了したことを知ることができる。
【0069】
[実施形態の作用効果]
本実施形態の空調管理システム1によれば、端末71は、管理装置60から受信した報知指令に基づいて、全ての冷媒を回収部12,16に回収できない旨をサービスマン等に報知する。その報知によって、サービスマン等は、冷媒回収運転を開始する前に、冷媒回路9の全ての冷媒を回収部12,16に回収できないことを知ることができる。これにより、サービスマン等は、回収部12,16とは別の回収容器10を事前に冷媒回路9に取り付ける、又は現場を離れた後に回収容器10を取り付けるために一度現場に戻る必要があることを認識することができる。したがって、サービスマン等は、そのことを計画に入れて別の作業を行ったり、前記報知を受けてから一度現場に戻って回収容器10の取り付け作業を行ったりすることができるので、冷媒回収時の作業を効率良く行うことができる。
【0070】
管理装置60は、冷媒情報S2に基づいて全ての冷媒を回収部12,16に回収できるか否かの判定を行う場合、冷媒回路9に冷媒が追加されているか否かによって判定することができるので、その判定を容易に行うことができる。
【0071】
管理装置60は、配管情報S3に基づいて全ての冷媒を回収部12,16に回収できるか否かの判定を行う場合、冷媒回路9の総配管長が閾値以上であるか否かによって判定することができるので、その判定を容易に行うことができる。
【0072】
管理装置60は、全ての冷媒を回収部12,16に回収できない場合であっても、回収部12,16とは別に冷媒を回収可能な回収容器10が冷媒回路9に取り付けられていれば、空気調和装置2に冷媒回収運転を開始させる。これにより、サービスマン等は、全ての冷媒を回収し終えるまで、別の作業を行ったり、別の現場へ行ったりすることができるので、冷媒回収時の作業をさらに効率良く行うことができる。
【0073】
[変形例]
図5は、空調管理システム1の冷媒回収運転時における制御例の変形例を示すシーケンス図である。本変形例は、全ての冷媒を回収部12,16に回収できない場合でも、回収部12,16が冷媒で満杯になるまで冷媒回収運転を行う点で、図4の制御例と異なる。以下、本変形例について具体的に説明する。
【0074】
サービスマン等は、端末71から空気調和装置2の冷媒を回収する指示を管理装置60に送信する(ステップST31)。管理装置60は、端末71から前記指示を受信すると、冷媒回路9の全ての冷媒を回収部12,16に回収できるか否かの判定を行う(ステップST32)。具体的な判定方法は上述の通りである。
【0075】
管理装置60は、全ての冷媒を回収部12,16に回収できると判定した場合(ステップST32で「Yes」の場合)、後述するステップST35に移行する。一方、管理装置60は、全ての冷媒を回収部12,16に回収できないと判定した場合(ステップST32で「No」の場合)、その旨を報知する第1報知指令を端末71に送信する(ステップST33)。
【0076】
端末71は、管理装置60から受信した第1報知指令に基づいて、全ての冷媒を回収部12,16に回収できない旨を、音声や文字表示等によってサービスマン等に報知する(ステップST34)。これにより、サービスマン等は、全ての冷媒を回収部12,16に回収できないことを知ることができる。
【0077】
管理装置60は、第1報知指令を端末71に送信した後、冷媒回収運転を開始する開始指令を空調コントローラ7に送信する(ステップST35)。
なお、管理装置60は、端末71から冷媒を回収する指示(ステップST31)を受信したときに、ステップST32の判定を開始する前に、冷媒回収運転を開始する開始指令を空調コントローラ7に送信してもよい。管理装置60は、端末71から冷媒を回収する指示を受信した後に、冷媒回収運転を開始する開始指令を空調コントローラ7に送信するようにしてもよい。
【0078】
空調コントローラ7は、開始指令を受信すると、空気調和装置2の冷媒回収運転を開始する(ステップST36)。そして、空調コントローラ7は、冷媒回収運転を開始したことを示す開始情報を管理装置60に送信する(ステップST37)。
【0079】
管理装置60は、空調コントローラ7から開始情報を受信すると、その開始情報を端末71に送信する(ステップST38)。開始情報を端末71で受信したサービスマン等は、冷媒回収運転が開始されたことを知ることができる。
【0080】
空調コントローラ7は、開始情報を送信した後、回収部12,16が冷媒で満杯になったか否かを判断する(ステップST39)。具体的には、空調コントローラ7において(図3参照)、制御部52は、記憶部53に記憶された運転情報S4に含まれる吐出圧力センサ26及び吐出温度センサ27の検出信号に基づいて、圧縮機11の吐出圧力及び吐出温度がそれぞれ閾値まで上昇した場合、回収部12,16が冷媒で満杯になったと判断する。また、制御部52は、圧縮機11の吐出圧力及び吐出温度がそれぞれ閾値まで上昇していない場合、回収部12,16が冷媒で満杯になっていないと判断する。
【0081】
空調コントローラ7は、回収部12,16が冷媒で満杯になっていないと判断した場合(ステップST39で「No」の場合)、後述するステップST47へ移行する。一方、空調コントローラ7は、回収部12,16が冷媒で満杯になったと判断した場合(ステップST39で「Yes」の場合)、回収部12,16が冷媒で満杯になったことを示す満杯情報を管理装置60に送信する(ステップST40)。
【0082】
管理装置60は、空調コントローラ7から満杯情報を受信したか否か(回収部12,16が冷媒で満杯になったか否か)を判断する(ステップST41)。管理装置60は、満杯情報を受信していない場合、回収部12,16が冷媒で満杯になっていないと判断し、後述するステップST49へ移行する。一方、管理装置60は、満杯情報を受信した場合、回収部12,16が冷媒で満杯になったと判断し、回収部12,16が冷媒で満杯になったことを報知する第2報知指令を端末71に送信する(ステップST42)。具体的には、管理装置60において(図3参照)、制御部62は、回収部12,16が冷媒で満杯になったことを報知する第2報知指令を出力する。その第2報知指令は、通信部61からネットワーク70を介して、端末71に送信される。
【0083】
端末71は、管理装置60から受信した第2報知指令に基づいて、回収部12,16が冷媒で満杯になったことを、音声や文字表示等によってサービスマン等に報知する(ステップST43)。これにより、サービスマン等は、回収部12,16が冷媒で満杯になったことを知ることができる。
なお、管理装置60は、回収部12,16が冷媒で満杯になる前に、冷媒の回収状況(例えば、満杯になるまでの残り時間)を示す情報を端末71に送信してもよい。
【0084】
管理装置60は、第2報知指令を端末71に送信した後、冷媒回収運転を停止させる停止指令を空調コントローラ7に送信する(ステップST44)。具体的には、管理装置60において(図3参照)、通信部61が第2報知指令を端末71に送信した後、制御部62は冷媒回収運転を停止させる停止指令を出力する。その停止指令は、通信部61からネットワーク70を介して、空調コントローラ7に送信される。なお、管理装置60は、ステップST42において第2報知指令を端末71に送信する前に、停止指令を出力してもよい。
【0085】
空調コントローラ7は、管理装置60から停止指令を受信したか否かを確認する(ステップST45)。空調コントローラ7は、管理装置60から停止指令を受信した場合(ステップST45で「Yes」の場合)、冷媒回収運転を停止し(ステップST46)、処理を終了する。
【0086】
空調コントローラ7は、冷媒回収運転を停止させる際に、冷媒回収運転の終了時と同様に、圧縮機11、室外ファン14及び室内ファン43の駆動を停止する。その後、空調コントローラ7は、ガス側閉鎖弁18を閉じる。なお、空調コントローラ7は、冷媒回収運転を停止したことを示す情報を、管理装置60を介して端末71に送信してもよい。
【0087】
一方、空調コントローラ7は、管理装置60から停止指令を受信していなければ(ステップST45で「No」の場合)、冷媒回収運転が終了したか否かを判断する(ステップST47)。その具体的な判断方法は上述の通りである。空調コントローラ7は、冷媒回収運転が終了していないと判断した場合(ステップST47で「No」の場合)、所定時間後にステップST47の判断を再度行う。
【0088】
空調コントローラ7は、冷媒回収運転が終了したと判断した場合(ステップST47で「Yes」の場合)、ガス側閉鎖弁18を閉じた後、冷媒回収運転が終了したことを示す終了情報を管理装置60に送信し(ステップST48)、処理を終了する。管理装置60は、空調コントローラ7から終了情報を受信したか否かを確認する(ステップST49)。
【0089】
管理装置60は、空調コントローラ7から終了情報を受信していない場合(ステップST49で「No」の場合)、所定時間後にステップST49の確認を再度行う。
管理装置60は、空調コントローラ7から終了情報を受信した場合(ステップST49で「Yes」の場合)、その終了情報を端末71に送信し(ステップST50)、処理を終了する。終了情報を端末71で受信したサービスマン等は、冷媒回収運転が終了したことを知ることができる。
【0090】
本変形例の空調管理システム1によれば、全ての冷媒を回収部12,16に回収できないときに冷媒回収運転が行われた場合、端末71は、管理装置60から受信した第2報知指令に基づいて、回収部12,16が冷媒で満杯になったことをサービスマン等に報知する。その報知によって、例えば、現地において冷媒回収運転中に別の作業を行っているサービスマン等は、管理装置60からの報知を受けることで、回収部12,16が冷媒で満杯になったことを迅速に把握することができる。これにより、サービスマン等は残りの冷媒を回収する回収容器10を冷媒回路9に迅速に取り付けることができるので、冷媒回収時の作業をさらに効率良く行うことができる。
【0091】
管理装置60は、回収部12,16が冷媒で満杯になったときに冷媒回収運転を停止させるので、例えば、サービスマン等が冷媒回収運転中に別の現場に行っている場合でも、回収部12,16が冷媒で満杯になったときに冷媒回収運転を停止させることができる。これにより、サービスマン等が冷媒回収運転を停止させるために現場に戻る必要がないので、冷媒回収時の作業をさらに効率良く行うことができる。
【0092】
[その他]
上記実施形態の管理装置60は、冷媒回路9の全ての冷媒を回収部12,16に回収できるか否かの判定を、端末71から冷媒を回収する指示を受信したときに実施しているが、冷媒回収運転を開始する前であれば、他のタイミングで実施してもよい。例えば、管理装置60は、端末71から前記判定の指示だけを受信したときに実施してもよい。
【0093】
上記実施形態では、管理装置60の制御部62が、全ての冷媒を回収部12,16に回収できるか否かの判定等を行う制御部として機能しているが、空調コントローラ7の制御部52を、前記判定等を行う制御部として機能させてもよい。その場合、空調コントローラ7の入力部54から冷媒を回収する指示を行ってもよい。
【0094】
また、空調コントローラ7及び管理装置60の両制御部52,62を、前記判定等を行う制御部として機能させてもよい。例えば、空調コントローラ7の制御部52において全ての冷媒を回収部12,16に回収できるか否かの判定を行い、その判定結果に基づいて管理装置60の制御部62が報知指令を出力するようにしてもよい。
【0095】
上記実施形態では、管理装置60の記憶部63が、冷媒情報S2等を記憶する記憶部として機能しているが、空調コントローラ7の記憶部53を、冷媒情報S2等を記憶する記憶部として機能させてもよい。
また、空調コントローラ7及び管理装置60の両記憶部53,63を、冷媒情報S2等を記憶する記憶部として機能させてもよい。例えば、空調コントローラ7の記憶部53が冷媒情報S2を記憶し、管理装置60の記憶部63が配管情報S3を記憶してもよい。
【0096】
本開示は、以上の例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0097】
1 空調管理システム
2 空気調和装置
3 室外機
4 室内機
9 冷媒回路
10 回収容器
12 室外熱交換器(回収部)
16 アキュムレータ(回収部)
60 管理装置(冷媒回収管理装置)
62 制御部
63 記憶部
S2 冷媒情報
S3 配管情報
図1
図2
図3
図4
図5