(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-19
(45)【発行日】2024-03-28
(54)【発明の名称】樹脂製パネルの製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 51/12 20060101AFI20240321BHJP
B29C 51/10 20060101ALI20240321BHJP
B29C 44/00 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
B29C51/12
B29C51/10
B29C44/00
(21)【出願番号】P 2020078623
(22)【出願日】2020-04-27
【審査請求日】2023-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】林 洋介
【審査官】関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-202620(JP,A)
【文献】特開2015-104887(JP,A)
【文献】特開2015-164763(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 44/00
B29C 51/00-51/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶着工程を備える、樹脂製パネルの製造方法であって、
前記溶着工程では、第1及び第2樹脂シートの間に配置された発泡体を第1及び第2樹脂シートに溶着させ、
前記発泡体は、第1樹脂シートに対向する
第1主面
と第2樹脂シートに対向する第2主面の一方又は両方に凸部を有し、
[前記凸部の最高部の面積/前記凸部の面積]で定義される最高部面積比が0.5以下であり、
[前記凸部の面積/前記主面の面積]で定義される凸部面積比が0.01以上である、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記凸部は、前記凸部の外周から前記最高部に向かって単調に高くなるように構成される、方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の方法であって、
前記凸部は、前記凸部の外周から前記最高部に向かって高くなるように傾斜する傾斜面を有する、方法。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れか1つに記載の方法であって、
前記凸部は、前記凸部の外周から前記最高部に向かって高くなるように構成された段差構造を有する、方法。
【請求項5】
請求項1~請求項4の何れか1つに記載の方法であって、
[前記凸部の高さ/前記樹脂シートの厚さ]で定義される凸部高さ比は、0.1~2である、方法。
【請求項6】
請求項1~請求項5の何れか1つに記載の方法であって、
前記凸部面積比は、0.2以上である、方法。
【請求項7】
請求項1~請求項6の何れか1つに記載の方法であって、
前記凸部の数が2以上であり、
前記凸部のそれぞれの前記凸部面積比が0.01~0.5である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製パネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、2枚の樹脂シートの周縁部同士を接合させることにより、樹脂シートに挟み込まれる発泡体のまわりに外周空間部を形成し、かかる発泡体の表面に格子状の溝部を設け、溝部と外周空間部を連通させた樹脂製サンドイッチパネルが開示されている。これにより、発泡体と樹脂シートが面接着される際に、予期せず空気溜まりが形成されるとしても、かかる空気を外周空間部に分散させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の構成でも、空気溜まりが解消されずに、樹脂シートと発泡体の間に空気溜まりが残ってしまう場合がある。そこで、樹脂シートの発泡体の間に空気溜まりを形成させないようにする技術が望まれている。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、樹脂シートと発泡体の間に空気溜まりが形成されることを抑制可能な、樹脂製パネルの製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、溶着工程を備える、樹脂製パネルの製造方法であって、前記溶着工程では、第1及び第2樹脂シートの間に配置された発泡体を第1及び第2樹脂シートに溶着させ、前記発泡体は、第1又は第2樹脂シートに対向する主面に凸部を有し、[前記凸部の最高部の面積/前記凸部の面積]で定義される最高部面積比が0.5以下であり、[前記凸部の面積/前記主面の面積]で定義される凸部面積比が0.01以上である、方法が提供される。
【0007】
本発明では、発泡体の主面に最高部面積比が0.5以下である比較的サイズが大きい凸部を設けていることを特徴とする。樹脂シートと発泡体の間の空気溜まりは、発泡体が最初に樹脂シートに接触する際に発生しやすいが、本発明では、発泡体の主面に上記構成の凸部を設けているので、発泡体が最初に樹脂シートに接触する部位の面積が小さくなるために、空気溜まりの発生が抑制される。
【0008】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記記載の方法であって、前記凸部は、前記凸部の外周から前記最高部に向かって単調に高くなるように構成される、方法である。
好ましくは、前記記載の方法であって、前記凸部は、前記凸部の外周から前記最高部に向かって高くなるように傾斜する傾斜面を有する、方法である。
好ましくは、前記記載の方法であって、前記凸部は、前記凸部の外周から前記最高部に向かって高くなるように構成された段差構造を有する、方法である。
好ましくは、前記記載の方法であって、[前記凸部の高さ/前記樹脂シートの厚さ]で定義される凸部高さ比は、0.1~2である、方法である。
好ましくは、前記記載の方法であって、前記凸部面積比は、0.2以上である、方法である。
好ましくは、前記記載の方法であって、前記凸部の数が2以上であり、前記凸部のそれぞれの前記凸部面積比が0.01~0.5である、方法である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る樹脂製パネル1の一部切り欠き斜視図である。
【
図2】樹脂製パネル1の製造方法で利用可能な成形機10の一例を示す図である。
【
図3】第1及び第2金型21,22の近傍の拡大断面図である。
【
図4】第1及び第2樹脂シート41,42に溶着させる前の発泡体3の斜視図である。
【
図5】樹脂シート41に発泡体3を溶着させ、かつ樹脂シート42を賦形した後の状態を示す断面図である。
【
図6】金型21,22を閉じた後の状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴事項について独立して発明が成立する。
【0011】
1.樹脂製パネル1
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る樹脂製パネル1は、中空の樹脂成形体2と、発泡体3を備える。樹脂成形体2には、パーティングラインPLが形成される。また、発泡体3は、樹脂成形体2内に配置される。
【0012】
2.成形機10の構成
次に、
図2及び
図3を用いて、本発明の一実施形態の樹脂製パネル1の製造方法の実施に利用可能な成形機10について説明する。
【0013】
成形機10は、一対の樹脂シート形成装置20と、第1及び第2金型21,22を備える。樹脂シート形成装置20は、ホッパー12と、押出機13と、アキュームレータ17と、Tダイ18を備える。押出機13とアキュームレータ17は、連結管25を介して連結される。アキュームレータ17とTダイ18は、連結管27を介して連結される。以下、各構成について詳細に説明する。
【0014】
<ホッパー12,押出機13>
ホッパー12は、原料樹脂11を押出機13のシリンダ13a内に投入するために用いられる。原料樹脂11の形態は、特に限定されないが、通常は、ペレット状である。原料樹脂は、例えばポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂であり、ポリオレフィンとしては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体及びその混合物などが挙げられる。また、これらにガラス繊維、タルク、顔料などの添加剤を配合しても良い。原料樹脂11は、ホッパー12からシリンダ13a内に投入された後、シリンダ13a内で加熱されることによって溶融されて溶融樹脂11aになる。また、シリンダ13a内に配置されたスクリューの回転によってシリンダ13aの先端に向けて搬送される。
【0015】
<アキュームレータ17、Tダイ18>
溶融樹脂11aは、シリンダ13aの樹脂押出口から押し出され、連結管25を通じてアキュームレータ17内に注入される。アキュームレータ17は、シリンダ17aとその内部で摺動可能なピストン17bを備えており、シリンダ17a内に溶融樹脂11aが貯留可能になっている。そして、シリンダ17a内に発泡樹脂が所定量貯留された後にピストン17bを移動させることによって、連結管27を通じて発泡樹脂をTダイ18内に設けられたスリットから押し出して垂下させて第1及び第2樹脂シート41,42を形成する。樹脂シート41,42の厚さは、例えば、0.5~5mmであり、0.5~2.5mmが好ましく、0.5~1.5mmがさらに好ましい。
【0016】
<第1及び第2金型21,22>
樹脂シート41,42は、金型21,22間に導かれる。金型21は、凹部21aを有するキャビティ面21bと、キャビティ面21bを取り囲むピンチオフ部21cを有する。金型22は、凹部22aを有するキャビティ面22bと、キャビティ面22bを取り囲むピンチオフ部22cを有する。金型21,22を閉じると、凹部21a,22aが合わさることによって、樹脂製パネル1の相補形状のキャビティが形成される。金型21,22は、好ましくは、多数の減圧吸引孔が設けられており、樹脂シート41,42を減圧吸引可能になっている。
【0017】
3.発泡体3
樹脂製パネル1の製造に用いる発泡体3について説明する。
図3~
図4に示すように、発泡体3は、例えば発泡倍率が25~60倍のビーズ発泡体であり、成形後の厚さが15~25mmとなるものを用いることができる。発泡倍率は、好ましくは、30~55倍、さらに好ましくは、40~50倍である。発泡体3は、樹脂シート41,42と溶着可能な樹脂で構成される。発泡体3は、第1及び第2主面3a,3bと、周面3cを備える。主面3a,3bは、樹脂製パネル1の製造時に樹脂シート41,42に対向し、樹脂シート41,42に溶着される面である。周面3cは、発泡体3の周囲を構成する面であり、主面3a,3bは、周面3cで連結される。
【0018】
発泡体3の主面3aには、凸部31が設けられている。凸部31は、[凸部31の最高部31aの面積/凸部31の面積]で定義される最高部面積比が0.5以下であることが好ましい。凸部31の最高部31aの面積とは、凸部31のうち最も高い領域の面積である。本実施形態では、
図4に示すように、最高部31aは、点であるので、その面積はほぼ0である。凸部31の面積とは、凸部31の外周31bで囲まれた領域の平面視での面積(つまり、主面3a側から発泡体3を見た平面図での面積)である。本実施形態では、最高部面積比は、ほぼ0である。最高部面積比は、例えば、0~0.5であり、具体的には例えば、0.0001、0.001、0.01、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内又は何れか1つの値以下であってもよい。
【0019】
主面3aに凸部31が設けられていると、発泡体3が樹脂シート41に溶着される際に、凸部31の最高部31aが最初に樹脂シート41に接触する。発泡体3と樹脂シート41の間の空気溜まりは、発泡体3が最初に樹脂シート41に接触する際に発生しやすいが、凸部31は、最高部面積比が0.5以下であるので、発泡体3が最初に樹脂シート41に接触する部位の面積が小さくなり、空気溜まりの発生が抑制される。
【0020】
発泡体3は、樹脂シート41に接触すると、樹脂シート41の熱によって溶融して樹脂シート41に溶着される。発泡体3の溶融に伴って凸部31は高さが減少するので、凸部31があまりにも小さい場合には、凸部31を設けたことによる空気溜まりの発生抑制効果が得られにくい。このため、[凸部31の面積/主面3aの面積]で定義される凸部面積比が0.01以上であることが好ましく、0.2以上であることが好ましい。主面3aの面積とは、主面3aの外周で囲まれた領域の平面視での面積である。凸部面積比は、本実施形態では、0.8である。凸部面積比は、具体的には例えば、0.01、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。また、凸部31の面積は、2cm2より大きいことが好ましく、3、4、5、6、7、8、9、10cm2より大きいことがさらに好ましい。
【0021】
凸部31は、凸部31の外周31bから最高部31aに向かって単調に高くなるように構成されることが好ましい。また、凸部31は、凸部31の外周31bから最高部31aに向かって高くなるように傾斜する傾斜面31cを有することが好ましい。凸部31がこのような形状の場合に、凸部31と樹脂シート41の間の空気が外周31bに向かって追い出されやすいので、空気溜まりの発生が一層抑制される。
【0022】
最高部31aは、主面3aの中央近傍に設けることが好ましい。最高部31aを設ける位置は、主面3aの中央を起点として主面3aの外周形状を相似比Xで縮小した領域3dの範囲内であることが好ましい。Xは、例えば、0~0.8であり、0~0.5が好ましく、具体的には例えば、0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
図4には、Xが0.5である場合の例を示す。最高部31aは、領域3dの範囲内に配置されている。
【0023】
凸部31の高さは、例えば、0.5~5mmであり、1~3mmが好ましい。凸部31が高すぎると、主面3aの凸部31以外の部位と樹脂シート41の間の溶着が不十分になる場合がある。凸部31が低すぎると、凸部31を設けたことによる効果が十分に発揮されない場合がある。この高さは、具体的には例えば、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0024】
凸部31は、発泡体3が樹脂シート41に溶着される際に溶融するので、樹脂製パネル1中の発泡体3は、凸部31が残っていないか、又は凸部31の高さが低くなっている。樹脂製パネル1中の発泡体3の凸部31の高さは、例えば0~1mmであり、0~0.5mmが好ましい。高さが0mmであることは、凸部31が残っていないことを意味する。
【0025】
[凸部31の高さ/樹脂シート41の厚さ]で定義される凸部高さ比は、0.1~2が好ましい。凸部高さ比が大きすぎると、主面3aの凸部31以外の部位と樹脂シート41の間の溶着が不十分になる場合がある。凸部高さ比が小さすぎると、凸部31を設けたことによる効果が十分に発揮されない場合がある。凸部高さ比は、具体的には例えば、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0026】
発泡体3の主面3bには、凸部32が設けられている。凸部32の構成は、凸部31と同様である。上記説明の凸部31及び樹脂シート41をそれぞれ凸部32及び樹脂シート42に読み替えることができる。
【0027】
4.樹脂製パネル1の製造方法
次に、
図3~
図6を用いて、本発明の一実施形態の樹脂製パネル1の製造方法について説明する。
【0028】
4.1 樹脂シート41
4.1.1 垂下工程
垂下工程では、
図3に示すように、金型21,22間に樹脂シート41を垂下する。
【0029】
4.1.2 賦形工程
賦形工程では、
図5に示すように、金型21によって樹脂シート41を減圧吸引して金型21のキャビティ面21bに沿った形状に賦形する。
【0030】
4.1.3 溶着工程
溶着工程では、
図3に示すように、ロボットハンド4に設けられた吸着パッド4aを用いて発泡体3を吸着して、発泡体3を金型21,22間に配置し、
図5に示すように、発泡体3を樹脂シート41に向かって移動させて、発泡体3を樹脂シート41に溶着させる。発泡体3を金型21,22間に配置する工程は、賦形工程の前や垂下工程の前に行っていてもよい。発泡体3を樹脂シート41に溶着させる工程は、樹脂シート41の賦形工程の後に行うことが好ましい。但し、賦形工程を省略して、発泡体3で樹脂シート41を金型21に向かって押し付けることによって
図5に示す構成を得るようにしてもよい。吸着パッド4aは、主面3bと吸着パッド4aの間に隙間が生じない位置において発泡体3を吸着することが好ましい。本実施形態では、吸着パッド4aは、凸部32の傾斜面32cにおいて、発泡体3を吸着することが好ましい。ロボットハンド4は、発泡体3を吸着して発泡体3を三次元的に移動可能に構成されている。ロボットハンド4は、発泡体3を樹脂シート41に溶着させた後に金型21,22の外に退避させることができる。
【0031】
発泡体3には、凸部31が設けられているので、発泡体3と樹脂シート41の間に空気溜まりが発生することが抑制される。
【0032】
4.2 樹脂シート42
4.2.1 垂下工程
垂下工程では、
図5に示すように、金型21,22間に樹脂シート42を垂下する。樹脂シート42は、樹脂シート41と同時に垂下させてもよいが、樹脂シート42が冷却されることを抑制するために、樹脂シート41よりも後に垂下させることが好ましい。
【0033】
4.2.2 賦形工程
賦形工程では、
図5に示すように、金型22によって樹脂シート42を減圧吸引して金型22のキャビティ面22bに沿った形状に賦形する。
【0034】
4.2.3 型閉じ及び溶着工程
型閉じ及び溶着工程では、
図5~
図6に示すように、金型21,22を閉じる。これによって、樹脂シート41,42の周縁が溶着されて、樹脂製パネル1が形成される。
【0035】
金型21,22を閉じる際に、発泡体3が樹脂シート42に溶着される。発泡体3には、凸部32が設けられているので、発泡体3と樹脂シート42の間に空気溜まりが発生することが抑制される。
【0036】
型閉じ及び溶着工程は、賦形工程の後に行うことが好ましいが、賦形工程を省略して、型閉じの際に発泡体3で樹脂シート42を金型22に向かって押し付けるようにしてもよい。
【0037】
4.3 後工程
この後は、金型21,22を開いて成形体を取り出し、ピンチオフ部21c,22cの外側のバリ26を除去にすることによって、
図1に示す樹脂製パネル1が得られる。金型21,22の合わせ面に対応する部位には、パーティングラインPLが形成される。
【0038】
5.その他の実施形態
・上記実施形態では、最高部31aでは、面積がほぼ0であったが、
図7に示す変形例1のように、最高部31aがある程度の面積を有するものであってもよい。変形例1では、最高部面積比は、約0.11である。
・上記実施形態では、凸部31は、4つの平坦な傾斜面31cを有する四角錐状であるが、傾斜面31cは、球面のような湾曲面であってもよい。
・上記実施形態では、凸部31は、傾斜面31cを有しているが、傾斜面31cの代わりに、
図8に示す変形例2のように、凸部31の外周31bから最高部31aに向かって高くなるように構成された段差構造31dを有してもよい。段差の数は、
図8では、3つであるが、2つ以下であっても、4つ以上であってもよい。段差の数は、例えば、1~10であり、具体的には例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
・凸部31は、傾斜面31cと段差構造31dの両方を備えてもよい。
・上記実施形態では、凸部31は、一つであったが、
図9に示す変形例3のように、凸部31を複数(
図9では4つ)設けてもよい。この場合、各凸部31について算出した最高部面積比及び凸部面積比が上記実施形態で説明した数値範囲内であることが好ましい。各凸部31の凸部面積比は、0.01~0.5であることが好ましい。凸部31の数は、好ましくは、1~100であり、1~20が好ましい。この数は、具体的には例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
・上記実施形態及び変形例では、凸部31が外周31bから最高部31aに向かって単調に高くなっているが、例えば、傾斜面31cに溝や凹部を形成して凸部31が外周31bから最高部31aに向かって単調に高くならないようにしてもよい。
・上記実施形態では、発泡体3の主面3a,3bに凸部31,32を設けているが、凸部31,32の一方は省略してもよく、その場合に、代わりに、特許文献1と同様の格子状の溝を設けてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 :樹脂製パネル
2 :樹脂成形体
3 :発泡体
3a :第1主面
3b :第2主面
3c :周面
3d :領域
4 :ロボットハンド
4a :吸着パッド
10 :成形機
11 :原料樹脂
11a :溶融樹脂
12 :ホッパー
13 :押出機
13a :シリンダ
17 :アキュームレータ
17a :シリンダ
17b :ピストン
18 :Tダイ
20 :樹脂シート形成装置
21 :第1金型
21a :凹部
21b :キャビティ面
21c :ピンチオフ部
22 :第2金型
22a :凹部
22b :キャビティ面
22c :ピンチオフ部
25 :連結管
26 :バリ
27 :連結管
31 :凸部
31a :最高部
31b :外周
31c :傾斜面
31d :段差構造
32 :凸部
32c :傾斜面
41 :第1樹脂シート
42 :第2樹脂シート
PL :パーティングライン
X :相似比