(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-19
(45)【発行日】2024-03-28
(54)【発明の名称】自動駐車装置
(51)【国際特許分類】
B60W 30/06 20060101AFI20240321BHJP
B60R 99/00 20090101ALI20240321BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
B60W30/06
B60R99/00 351
B60R99/00 340
G08G1/00 X
(21)【出願番号】P 2019185968
(22)【出願日】2019-10-09
【審査請求日】2022-08-24
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【氏名又は名称】網屋 美湖
(72)【発明者】
【氏名】陶山 羊三
【審査官】平井 功
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-241087(JP,A)
【文献】特開2019-127112(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の駐車区域内への車両の駐車のために前記車両の自動前進、自動後退、及び自動停止を実施可能とする駐車制御を実行可能とするように構成される駐車制御部を備え、
前記車両の状態を表示可能に構成される表示装置に接続される自動駐車装置であって、
前記駐車制御部は、前記自動前進及び自動後退のうち一方の開始時点又は途中時点から、前記自動前進及び自動後退のうち他方に切り換える切り返しのための停止を含む前記自動停止までに掛かる基本残時間を算出する基本残時間算出を実行可能とするように構成され、
前記駐車制御部は、前記表示装置に表示するために用いられる前記基本残時間の表示値を、前記基本残時間算出により算出された前記基本残時間の算出値を時間の経過に従って減少させるように制御する残時間制御を実行可能とするように構成され
、
前記基本残時間の表示値は、前記駐車制御中に切り返しのための停止を含む前記自動停止を実行するタイミングを表している、自動駐車装置。
【請求項2】
特定の駐車区域内への車両の駐車のために前記車両の自動前進、自動後退、及び自動停止を実施可能とする駐車制御を実行可能とするように構成される駐車制御部を備え、
前記車両の状態を表示可能に構成される表示装置に接続される自動駐車装置であって、
前記駐車制御部は、前記自動前進及び自動後退のうち一方の開始時点又は途中時点から、前記自動前進及び自動後退のうち他方に切り換える切り返しのための停止を含む前記自動停止までに掛かる基本残時間を算出する基本残時間算出を実行可能とするように構成され、
前記駐車制御部は、前記表示装置に表示するために用いられる前記基本残時間の表示値を、前記基本残時間算出により算出された前記基本残時間の算出値を時間の経過に従って減少させるように制御する残時間制御を実行可能とするように構成され、
前記駐車制御部は、前記基本残時間の表示値が0秒になったときに、前記自動停止を実行するように構成されている
、自動駐車装置。
【請求項3】
特定の駐車区域内への車両の駐車のために前記車両の自動前進、自動後退、及び自動停止を実施可能とする駐車制御を実行可能とするように構成される駐車制御部を備え、
前記車両の状態を表示可能に構成される表示装置に接続される自動駐車装置であって、
前記駐車制御部は、前記自動前進及び自動後退のうち一方の開始時点又は途中時点から、前記自動前進及び自動後退のうち他方に切り換える切り返しのための停止を含む前記自動停止までに掛かる基本残時間を算出する基本残時間算出を実行可能とするように構成され、
前記駐車制御部は、前記表示装置に表示するために用いられる前記基本残時間の表示値を、前記基本残時間算出により算出された前記基本残時間の算出値を時間の経過に従って減少させるように制御する残時間制御を実行可能とするように構成され、
前記駐車制御部は、前記基本残時間の表示値が0秒になったときに、前記自動停止を実行するように構成され、
前記駐車制御部は、前記自動停止を実行した後に前記自動前進及び自動後退のうち他方を開始するときに、前記基本残時間の表示値を変更する時間変更制御を実行可能とするように構成されている
、自動駐車装置。
【請求項4】
特定の駐車区域内への車両の駐車のために前記車両の自動前進、自動後退、及び自動停止を実施可能とする駐車制御を実行可能とするように構成される駐車制御部を備え、
前記車両の状態を表示可能に構成される表示装置に接続される自動駐車装置であって、
前記駐車制御部は、前記自動前進及び自動後退のうち一方の開始時点又は途中時点から、前記自動前進及び自動後退のうち他方に切り換える切り返しのための停止を含む前記自動停止までに掛かる基本残時間を算出する基本残時間算出を実行可能とするように構成され、
前記駐車制御部は、前記表示装置に表示するために用いられる前記基本残時間の表示値を、前記基本残時間算出により算出された前記基本残時間の算出値を時間の経過に従って減少させるように制御する残時間制御を実行可能とするように構成され、
前記駐車制御部は、前記基本残時間算出により前記基本残時間を算出した後かつ前記自動前進及び自動後退のうち一方を実行している間のタイミングから、前記自動停止までに掛かる補正残時間を算出する補正残時間算出を実行可能とするように構成され、
前記駐車制御部は、前記基本残時間の表示値と、前記補正残時間算出により算出される補正残時間の算出値との間における時間差の絶対値に基づく時間差ベース値が、第1時間差ベース閾値以上となったときに、前記基本残時間の表示値の減少速度を変更する時間減少制御を実行するように構成されている
、自動駐車装置。
【請求項5】
特定の駐車区域内への車両の駐車のために前記車両の自動前進、自動後退、及び自動停止を実施可能とする駐車制御を実行可能とするように構成される駐車制御部を備え、
前記車両の状態を表示可能に構成される表示装置に接続される自動駐車装置であって、
前記駐車制御部は、前記自動前進及び自動後退のうち一方の開始時点又は途中時点から、前記自動前進及び自動後退のうち他方に切り換える切り返しのための停止を含む前記自動停止までに掛かる基本残時間を算出する基本残時間算出を実行可能とするように構成され、
前記駐車制御部は、前記表示装置に表示するために用いられる前記基本残時間の表示値を、前記基本残時間算出により算出された前記基本残時間の算出値を時間の経過に従って減少させるように制御する残時間制御を実行可能とするように構成され、
前記駐車制御部は、前記駐車制御を実行するために前記車両の移動ルートを算出するルート算出を実行可能とするように構成され、
前記駐車制御部は、前記ルート算出により算出された前記移動ルートの算出結果に従って前記駐車制御を実行するように構成されており、
前記駐車制御部は、前記駐車区域又は前記駐車区域の周辺領域の状況に応じて前記移動ルートの算出結果を変更するために前記ルート算出を実行可能とするように構成され、
前記駐車制御部は、前記基本残時間算出により前記基本残時間を算出した後かつ前記自動前進及び自動後退のうち一方を実行している間のタイミングから、前記自動停止までに掛かる補正残時間を算出する補正残時間算出を実行可能とするように構成され、
前記駐車制御部は、前記基本残時間の表示値と、前記補正残時間算出により算出される補正残時間の算出値との間における時間差の絶対値に基づく時間差ベース値が、第2時間差ベース以上となったとき、前記移動ルートの算出結果が変更されたとき、又は前記駐車制御を実行している間に前記車両の駐車を妨げる障害物を新たに検出したときに、前記駐車制御部は、前記基本残時間の表示値を前記補正残時間算出により算出される補正残時間の算出値に適合させるように変更する時間適合制御を実行し、変更された前記基本残時間の表示値に基づいて前記残時間制御を実行し、かつ前記基本残時間変更を実行した理由を前記表示装置に表示する理由報知制御を実行するように構成されている
、自動駐車装置。
【請求項6】
特定の駐車区域内への車両の駐車のために前記車両の自動前進、自動後退、及び自動停止を実施可能とする駐車制御を実行可能とするように構成される駐車制御部を備え、
前記車両の状態を表示可能に構成される表示装置に接続される自動駐車装置であって、
前記駐車制御部は、前記自動前進及び自動後退のうち一方の開始時点又は途中時点から、前記自動前進及び自動後退のうち他方に切り換える切り返しのための停止を含む前記自動停止までに掛かる基本残時間を算出する基本残時間算出を実行可能とするように構成され、
前記駐車制御部は、前記表示装置に表示するために用いられる前記基本残時間の表示値を、前記基本残時間算出により算出された前記基本残時間の算出値を時間の経過に従って減少させるように制御する残時間制御を実行可能とするように構成され、
前記駐車制御部は、前記駐車制御を実行するために前記車両の移動ルートを算出するルート算出を実行可能とするように構成され、
前記駐車制御部は、前記ルート算出により算出された前記移動ルートの算出結果に従って前記駐車制御を実行するように構成されており、
前記駐車制御部は、前記駐車区域又は前記駐車区域の周辺領域の状況に応じて前記移動ルートの算出結果を変更するために前記ルート算出を実行可能とするように構成され、
前記駐車制御部は、前記基本残時間算出により前記基本残時間を算出した後かつ前記自動前進及び自動後退のうち一方を実行している間のタイミングから、前記自動停止までに掛かる補正残時間を算出する補正残時間算出を実行可能とするように構成され、
前記駐車制御部は、前記基本残時間の表示値と、前記補正残時間算出により算出される補正残時間の算出値との間における時間差の絶対値に基づく時間差ベース値が、第2時間差ベース以上となったとき、前記移動ルートの算出結果が変更されたとき、又は前記駐車制御を実行している間に前記車両の駐車を妨げる障害物を新たに検出したときに、前記基本残時間の表示値の減少を停止する時間停止制御を実行し、前記車両を強制的に停止する強制停止制御を実行し、かつ前記強制停止制御による前記車両の停止を報知する停止報知制御を実行するように構成されている
、自動駐車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の駐車区域内に車両を駐車するためにこの車両を自動運転可能とするように構成される自動駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両を特定の駐車区域内に駐車するためにこの車両を自動運転可能とする自動駐車装置の普及が進んでいる。自動駐車装置においては、運転者の利便性及び快適性を高めるための様々な技術が採用されている。このような自動駐車装置の一例としては、自動運転によって駐車開始から駐車完了までに掛かる所要時間を車両のディスプレイに表示する装置が挙げられる。(例えば、特許文献1を参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した自動駐車装置の一例においては、駐車開始から駐車完了までの間で、車両が切り返しの直前に障害物に接近することがある。この場合、運転者は、車両が障害物と接近することに不安を感じるおそれがある。運転者は、このような切り返しを含む車両の自動運転に伴って不安を感じるおそれもある。さらに、運転者は、このような不安感のために不必要なブレーキ操作をするおそれがある。そのため、自動駐車装置は、依然として、運転者の利便性及び快適性を向上させるために改善の余地がある。
【0005】
このような実情を鑑みると、自動駐車装置においては、車両の自動運転に伴う運転者の不安感を低減可能とし、運転者の利便性及び快適性を向上させることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
課題を解決するために、一態様に係る自動駐車装置は、特定の駐車区域内への車両の駐車のために前記車両の自動前進、自動後退、及び自動停止を実施可能とする駐車制御を実行可能とするように構成される駐車制御部を備え、前記車両の状態を表示可能に構成される表示装置に接続される自動駐車装置であって、前記駐車制御部は、前記自動前進及び自動後退のうち一方の開始時点又は途中時点から、前記自動前進及び自動後退のうち他方に切り換える切り返しのための停止を含む前記自動停止までに掛かる基本残時間を算出する基本残時間算出を実行可能とするように構成され、前記駐車制御部は、前記表示装置に表示するために用いられる前記基本残時間の表示値を、前記基本残時間算出により算出された前記基本残時間の算出値を時間の経過に従って減少させるように制御する残時間制御を実行可能とするように構成され、前記基本残時間の表示値は、前記駐車制御中に切り返しのための停止を含む前記自動停止を実行するタイミングを表している。
他の一態様に係る自動駐車装置は、特定の駐車区域内への車両の駐車のために前記車両の自動前進、自動後退、及び自動停止を実施可能とする駐車制御を実行可能とするように構成される駐車制御部を備え、前記車両の状態を表示可能に構成される表示装置に接続される自動駐車装置であって、前記駐車制御部は、前記自動前進及び自動後退のうち一方の開始時点又は途中時点から、前記自動前進及び自動後退のうち他方に切り換える切り返しのための停止を含む前記自動停止までに掛かる基本残時間を算出する基本残時間算出を実行可能とするように構成され、前記駐車制御部は、前記表示装置に表示するために用いられる前記基本残時間の表示値を、前記基本残時間算出により算出された前記基本残時間の算出値を時間の経過に従って減少させるように制御する残時間制御を実行可能とするように構成され、前記駐車制御部は、前記基本残時間の表示値が0秒になったときに、前記自動停止を実行するように構成されている。
他の一態様に係る自動駐車装置は、特定の駐車区域内への車両の駐車のために前記車両の自動前進、自動後退、及び自動停止を実施可能とする駐車制御を実行可能とするように構成される駐車制御部を備え、前記車両の状態を表示可能に構成される表示装置に接続される自動駐車装置であって、前記駐車制御部は、前記自動前進及び自動後退のうち一方の開始時点又は途中時点から、前記自動前進及び自動後退のうち他方に切り換える切り返しのための停止を含む前記自動停止までに掛かる基本残時間を算出する基本残時間算出を実行可能とするように構成され、前記駐車制御部は、前記表示装置に表示するために用いられる前記基本残時間の表示値を、前記基本残時間算出により算出された前記基本残時間の算出値を時間の経過に従って減少させるように制御する残時間制御を実行可能とするように構成され、前記駐車制御部は、前記基本残時間の表示値が0秒になったときに、前記自動停止を実行するように構成され、前記駐車制御部は、前記自動停止を実行した後に前記自動前進及び自動後退のうち他方を開始するときに、前記基本残時間の表示値を変更する時間変更制御を実行可能とするように構成されている。
他の一態様に係る自動駐車装置は、特定の駐車区域内への車両の駐車のために前記車両の自動前進、自動後退、及び自動停止を実施可能とする駐車制御を実行可能とするように構成される駐車制御部を備え、前記車両の状態を表示可能に構成される表示装置に接続される自動駐車装置であって、前記駐車制御部は、前記自動前進及び自動後退のうち一方の開始時点又は途中時点から、前記自動前進及び自動後退のうち他方に切り換える切り返しのための停止を含む前記自動停止までに掛かる基本残時間を算出する基本残時間算出を実行可能とするように構成され、前記駐車制御部は、前記表示装置に表示するために用いられる前記基本残時間の表示値を、前記基本残時間算出により算出された前記基本残時間の算出値を時間の経過に従って減少させるように制御する残時間制御を実行可能とするように構成され、前記駐車制御部は、前記基本残時間算出により前記基本残時間を算出した後かつ前記自動前進及び自動後退のうち一方を実行している間のタイミングから、前記自動停止までに掛かる補正残時間を算出する補正残時間算出を実行可能とするように構成され、前記駐車制御部は、前記基本残時間の表示値と、前記補正残時間算出により算出される補正残時間の算出値との間における時間差の絶対値に基づく時間差ベース値が、第1時間差ベース閾値以上となったときに、前記基本残時間の表示値の減少速度を変更する時間減少制御を実行するように構成されている。
他の一態様に係る自動駐車装置は、特定の駐車区域内への車両の駐車のために前記車両の自動前進、自動後退、及び自動停止を実施可能とする駐車制御を実行可能とするように構成される駐車制御部を備え、前記車両の状態を表示可能に構成される表示装置に接続される自動駐車装置であって、前記駐車制御部は、前記自動前進及び自動後退のうち一方の開始時点又は途中時点から、前記自動前進及び自動後退のうち他方に切り換える切り返しのための停止を含む前記自動停止までに掛かる基本残時間を算出する基本残時間算出を実行可能とするように構成され、前記駐車制御部は、前記表示装置に表示するために用いられる前記基本残時間の表示値を、前記基本残時間算出により算出された前記基本残時間の算出値を時間の経過に従って減少させるように制御する残時間制御を実行可能とするように構成され、前記駐車制御部は、前記駐車制御を実行するために前記車両の移動ルートを算出するルート算出を実行可能とするように構成され、前記駐車制御部は、前記ルート算出により算出された前記移動ルートの算出結果に従って前記駐車制御を実行するように構成されており、前記駐車制御部は、前記駐車区域又は前記駐車区域の周辺領域の状況に応じて前記移動ルートの算出結果を変更するために前記ルート算出を実行可能とするように構成され、前記駐車制御部は、前記基本残時間算出により前記基本残時間を算出した後かつ前記自動前進及び自動後退のうち一方を実行している間のタイミングから、前記自動停止までに掛かる補正残時間を算出する補正残時間算出を実行可能とするように構成され、前記駐車制御部は、前記基本残時間の表示値と、前記補正残時間算出により算出される補正残時間の算出値との間における時間差の絶対値に基づく時間差ベース値が、第2時間差ベース以上となったとき、前記移動ルートの算出結果が変更されたとき、又は前記駐車制御を実行している間に前記車両の駐車を妨げる障害物を新たに検出したときに、前記駐車制御部は、前記基本残時間の表示値を前記補正残時間算出により算出される補正残時間の算出値に適合させるように変更する時間適合制御を実行し、変更された前記基本残時間の表示値に基づいて前記残時間制御を実行し、かつ前記基本残時間変更を実行した理由を前記表示装置に表示する理由報知制御を実行するように構成されている。
他の一態様に係る自動駐車装置は、特定の駐車区域内への車両の駐車のために前記車両の自動前進、自動後退、及び自動停止を実施可能とする駐車制御を実行可能とするように構成される駐車制御部を備え、前記車両の状態を表示可能に構成される表示装置に接続される自動駐車装置であって、前記駐車制御部は、前記自動前進及び自動後退のうち一方の開始時点又は途中時点から、前記自動前進及び自動後退のうち他方に切り換える切り返しのための停止を含む前記自動停止までに掛かる基本残時間を算出する基本残時間算出を実行可能とするように構成され、前記駐車制御部は、前記表示装置に表示するために用いられる前記基本残時間の表示値を、前記基本残時間算出により算出された前記基本残時間の算出値を時間の経過に従って減少させるように制御する残時間制御を実行可能とするように構成され、前記駐車制御部は、前記駐車制御を実行するために前記車両の移動ルートを算出するルート算出を実行可能とするように構成され、前記駐車制御部は、前記ルート算出により算出された前記移動ルートの算出結果に従って前記駐車制御を実行するように構成されており、前記駐車制御部は、前記駐車区域又は前記駐車区域の周辺領域の状況に応じて前記移動ルートの算出結果を変更するために前記ルート算出を実行可能とするように構成され、前記駐車制御部は、前記基本残時間算出により前記基本残時間を算出した後かつ前記自動前進及び自動後退のうち一方を実行している間のタイミングから、前記自動停止までに掛かる補正残時間を算出する補正残時間算出を実行可能とするように構成され、前記駐車制御部は、前記基本残時間の表示値と、前記補正残時間算出により算出される補正残時間の算出値との間における時間差の絶対値に基づく時間差ベース値が、第2時間差ベース以上となったとき、前記移動ルートの算出結果が変更されたとき、又は前記駐車制御を実行している間に前記車両の駐車を妨げる障害物を新たに検出したときに、前記基本残時間の表示値の減少を停止する時間停止制御を実行し、前記車両を強制的に停止する強制停止制御を実行し、かつ前記強制停止制御による前記車両の停止を報知する停止報知制御を実行するように構成されている。
【発明の効果】
【0007】
一態様に係る自動駐車装置においては、車両の自動運転に伴う運転者の不安感を低減することができ、運転者の利便性及び快適性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る自動駐車装置を搭載した車両を概略的に示す側面図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係る自動駐車装置を搭載した車両を模式的に示す平面図である。
【
図3】
図3は、一実施形態に係る自動駐車装置を含む車両のブロック図である。
【
図4】
図4は、一実施形態に係る自動駐車装置に接続された表示装置の表示部における表示状態の一例を模式的に示す図である。
【
図5】
図5は、一実施形態に係る自動駐車装置にて、駐車制御中に移動ルートの第2後退区間の移動を開始した時点における車両及びその周辺状況の一例を模式的に示す平面図である。
【
図6】
図6(a)は、一実施形態に係る自動駐車装置の駐車制御中に移動ルートの第2後退区間の移動を1回目の切り返しのために終了した時点における車両及びその周辺状況の一例を模式的に示す平面図である。
図6(b)は、
図6(a)の時点における表示装置の第2表示区域の一例を模式的に示す図である。
【
図7】
図7(a)は、一実施形態に係る自動駐車装置の駐車制御中に移動ルートの第1前進区間の移動途中時点における車両及びその周辺状況の一例を模式的に示す平面図である。
図7(b)は、
図7(a)の時点における表示装置の第2表示区域の一例を模式的に示す図である。
【
図8】
図8(a)は、一実施形態に係る自動駐車装置の駐車制御の駐車完了時点における車両及びその周辺状況の一例を模式的に示す平面図である。
図8(b)は、
図8(a)の時点における表示装置の第2表示区域の一例を模式的に示す図である。
【
図9】
図9は、一実施形態に係る自動駐車装置の駐車制御中に新たな障害物である歩行者を検出した時点における車両及びその周辺状況の一例を模式的に示す平面図である。
【
図10】
図10は、一実施形態に係る自動駐車装置の駐車制御中に新たな障害物である歩行者を検出することによって移動ルートを変更した時点における車両及びその周辺状況の一例を模式的に示す平面図である。
【
図11】
図11は、一実施形態に係る自動駐車装置の駐車制御中に新たな障害物である車止めを検出した時点における車両及びその周辺状況の一例を模式的に示す平面図である。
【
図12】
図12は、一実施形態に係る自動駐車装置の駐車制御中に新たな障害物である車止めを検出することによって移動ルートを変更した時点における車両及びその周辺状況の一例を模式的に示す平面図である。
【
図13】
図13は、一実施形態に係る自動駐車装置の制御方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図14】
図14は、一実施形態に係る自動駐車装置の制御方法における駐車制御実行の一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
一実施形態に係る自動駐車装置について以下に説明する。なお、本実施形態に係る自動駐車装置を適用する車両は自動車となっている。しかしながら、自動駐車装置は、自動車以外の車両にも適用することができる。また、以下の説明においては、左側は、車両前方を向いた状態での左側を指し、かつ右側は、車両前方を向いた状態での右側を指す。
【0010】
「自動駐車装置及び車両の概略」
図1~
図12を参照して、本実施形態に係る自動駐車装置10及びそれを搭載する車両1の概略について説明する。なお、
図1、
図2、及び
図5~
図12においては、車両1の前方側を矢印Fにより示し、かつ
図1、
図2、及び
図4~
図12車両1の後方側を矢印Bにより示す。また、
図1においては、車室2内を視認できるように車両1の幅方向の側面部を一部省略して示す。
【0011】
自動駐車装置10及びそれを搭載する車両1は概略的には次のように構成されている。
図3に示すように、車両1は自動駐車装置10を有する。自動駐車装置10は駐車制御部10aを有する。
図4~
図12に示すように、駐車制御部10aは、車両1を特定の駐車区域P内に駐車するためにこの車両1の自動前進、自動後退、及び自動停止を実施可能とする駐車制御を実行可能とする。
【0012】
図1及び
図3に示すように、車両1は表示装置11を有する。
図3に示すように、表示装置11は自動駐車装置10と電気的に接続される。
図4に示すように、表示装置11は、車両1の状態を表示可能とする。表示装置11は液晶ディスプレイであるとよい。しかしながら、表示装置は液晶ディスプレイに限定されない。例えば、表示装置は、有機ELディスプレイ等とすることもできる。
【0013】
図5~
図8に示すように、駐車制御部10aは、自動前進及び後退のうち一方の開始時点又は途中時点から、自動前進及び後退のうち他方に切り換える切り返しのための停止を含む自動停止までに掛かる基本残時間を算出する基本残時間算出を実行可能とする。基本残時間算出は、これによって算出される基本残時間の対象となる自動前進及び後退のうち一方の開始前に実行されるとよい。駐車制御部10aはまた、基本残時間算出により算出された基本残時間の算出値Cを、表示装置11に表示するために用いられる基本残時間の表示値Hに設定する基本残時間設定を実行可能とする。駐車制御部10aは、基本残時間の表示値Hを、基本残時間算出により算出された基本残時間の算出値を時間の経過に従って減少させるように制御する残時間制御を実行可能とする。
【0014】
さらに、自動駐車装置10は概略的には次のように構成することができる。自動停止は、上記切り返しのための停止に加えて、駐車完了のための停止を含む。駐車制御部10aは、基本残時間の表示値Hが0(秒)になったか否かを判定する基本残時間判定を実行可能とする。
図6に示すように、駐車制御部10aは、基本残時間判定によって、基本残時間の表示値Hが0(秒)になったと判定されたときに、切り返し又は駐車完了のための自動停止を実行可能とする。
図6及び
図7を参照すると、駐車制御部10aは、切り返しのための自動停止を実行した後に自動前進及び後退のうち他方を開始するときに、基本残時間の表示値Hを変更する時間変更制御を実行可能とする。
【0015】
駐車制御部10aは、基本残時間算出により基本残時間を算出した後かつ自動前進及び後退のうち一方を実行している間のタイミングから、切り返し又は駐車完了のための自動停止までに掛かる補正残時間を算出する補正残時間算出を実行可能とする。補正残時間算出は、これによって算出される補正残時間の対象となる自動前進及び後退のうち一方を実施している間に繰り返し実施されるとよい。さらに、駐車制御部10aはまた、基本残時間の表示値Hと、補正残時間算出により算出される補正残時間の算出値Kとの時間差を算出する時間差算出を実行可能に構成される。駐車制御部10aは、時間差算出により算出された時間差の算出値(=基本残時間の表示値H-補正残時間の算出値K)の絶対値Dに基づく時間差ベース値が、第1時間差ベース閾値以上になったか否かを判定する第1時間差判定を実行可能とする。駐車制御部10aは、第1時間差判定によって、時間差ベース値が第1時間差ベース閾値以上となったと判定されたときに、基本残時間の表示値Hの減少速度を変更する時間減少制御を実行する。
【0016】
図4~
図12に示すように、駐車制御部10aは、駐車制御を実行するために車両1の移動ルートを算出するルート算出を実行可能に構成される。駐車制御部10aは、ルート算出により算出された移動ルートの算出結果、例えば、次に述べる変更前算出結果M(
図4~
図9及び
図11に示す)又は変更後算出結果N(
図10及び
図12に示す)に従って駐車制御を実行する。駐車制御部10aは、駐車区域P又はこの駐車区域Pの周辺領域の状況に応じて、移動ルートの算出結果を変更するためにルート算出を実行可能とする。例えば、
図4~
図12に一例を示すように、かかる移動ルートの算出結果の変更においては、移動ルートの変更前算出結果Mから移動ルートの変更後算出結果Nへの変更が行われる。
【0017】
さらに、駐車制御部10aは、時間差ベース値が第2時間差ベース閾値以上になったか否かを判定する第2時間差判定を実行可能とする。第2時間差ベース閾値は、第1時間差ベース閾値よりも大きいとよい。駐車制御部10aは、移動ルートの変更前算出結果Mから変更後算出結果Nへの変更が行われたか否かを判定するルート変更判定を実行可能とする。駐車制御部10aは、駐車制御を実行している間に車両1の駐車を妨げる新たな障害物U1,U2を検出したか否かを判定する新障害物判定を実行可能とする。
【0018】
駐車制御部10aは、次の第1、第2、及び第3報知条件のいずれかを満たすときに、基本残時間の表示値Hを補正残時間の算出値Kに適合させるように変更する時間適合制御を実行し、変更された基本残時間の表示値Hに基づいて残時間制御を実行し、かつ基本残時間変更を実行した理由を表示装置11に表示する理由報知制御を実行する。さらに、駐車制御部10aは、次の第2及び第3報知条件のいずれかを満たすときに、このような時間適合制御、残時間制御、及び理由報知制御の代わりに、又はこれらの前に、基本残時間の表示値Hの減少を停止する時間停止制御を実行し、車両1を強制的に停止する強制停止制御を実行し、かつこの強制停止制御による車両1の停止を報知する停止報知制御を実行することもできる。
【0019】
第1報知条件は、第2時間差判定によって、時間差ベース値が第2時間差ベース閾値以上になったと判定された場合である。第2報知条件は、ルート変更判定によって、移動ルートの変更前算出結果Mから変更後算出結果Nへの変更が行われたと判定された場合である。第3報知条件は、新障害物判定によって、駐車制御を実行している間に車両1の駐車を妨げる新たな障害物U1,U2を検出したと判定された場合である。例えば、新たな障害物U1,U2としては、
図9及び
図10に示す歩行者U1、
図11及び
図12に示す車止めU2等が挙げられる。
【0020】
「車両の詳細」
本実施形態に係る自動駐車装置10を搭載する車両1は、詳細には次のように構成することができる。
図1及び
図3に示すように、表示装置11は、画像を表示可能とする表示部11aを有する。
図1に示すように、表示部11aは、車両1の車室2内に配置される。表示部11aは、運転者に視認可能となるように、車室2内にて運転席を含む前列シート3に対して車両前方にて配置される。表示部11aは、車室2内にて前列シート3に対して車両前方に位置するインストルメントパネル4に配置されるとよい。
【0021】
図1~
図3に示すように、車両1は、種々の情報を運転者に報知する報知装置12を有する。報知装置12は、視覚、聴覚等を通じて種々の情報を運転者に報知する。例えば、報知装置12は、モニタ、スピーカ、ランプ、メータ、ブザー等を有するように構成できる。特に、報知装置12は上記表示装置11を含む。しかしながら、報知装置は、上記表示装置を含まないように構成することもできる。
【0022】
車両1は、この車両1の周辺に位置する障害物R、新たな障害物U1,U2等の物体を検出可能とする周辺検出装置13を有する。周辺検出装置13は、レーザ光、超音波、ミリ波等を送受信することによって車両1の周辺に存在する物体との距離を検出する。
【0023】
このような周辺検出装置13は、少なくとも1つのソナーセンサ13a,13bを有することができる。周辺検出装置13は、複数のソナーセンサ13a,13bを有することができる。さらに
図1及び
図2に示すように、周辺検出装置13は、車両1の後方部分1aに配置される少なくとも1つの後方ソナーセンサ13aと、車両1の前方部分1bに配置される少なくとも1つの前方ソナーセンサ13bと有することができる。しかしながら、周辺検出装置は、ソナーセンサの代わりに又はソナーセンサに加えて、赤外線ライダ、ミリ波レーダ等を有することもできる。
【0024】
図1及び
図3に示すように、車両1は、運転者による車両1への操作入力を受け付ける操作入力装置14を有する。操作入力装置14は、タッチセンサ、スイッチ、マイク、アクセルペダル、ステアリングホイール、ブレーキペダル等を有するように構成できる。
【0025】
このような操作入力装置14は、駐車制御を実行する駐車制御オン状態と、駐車制御を実行しない駐車制御オフ状態とを切り換える入力を可能とする駐車制御入力部14aを有する。車両1は、このような駐車制御入力部14aと上記表示装置11の表示部11aとを一体に構成したタッチパネル15を有することもできる。
【0026】
図1~
図3に示すように、車両1は、この車両1の周辺領域を撮像可能に構成される撮像装置16を有する。撮像装置16は、それぞれ車両1の後方領域、前方領域、左側方領域、及び右側方領域を含む周辺領域を撮像可能に構成される複数の撮像部16a,16b,16c,16dを有する。各撮像部16a~16dはカメラとすることができる。しかしながら、撮像部はカメラに限定されない。
【0027】
例えば、撮像装置16は、車両1の後方、前方、左側方、及び右側方領域をそれぞれ撮像可能に構成される後方、前方、左側方、及び右側方撮像部16a,16b,16c,16dを有することができる。
図1及び
図2に示すように、後方及び前方撮像部16a,16bはそれぞれ車両1の後方及び前方部分1a,1bに配置される。後方撮像部16aは後方部分1aの後端部に配置され、かつ前方撮像部16bは、前方部分1bの前端部に配置される。
図2に示すように、左側方撮像部16cは車両1の左側サイドミラー5に配置され、かつ右側方撮像部16dは車両1の右側サイドミラー6に配置される。しかしながら、撮像部の配置はこれらに限定されない。
【0028】
図3に示すように、車両1は、この車両1を走行させるための駆動力を発生可能とする駆動装置であるエンジン17を有する。しかしながら、駆動装置は、エンジンに限定されない。例えば、駆動装置は、モータ等とすることもできる。
【0029】
車両1は、この車両1を制動するための制動力を発生可能とするブレーキ装置18を有する。ブレーキ装置18は、運転者によりブレーキペダル(図示せず)に入力された踏み込み量に応じて車輪(図示せず)に機械的な制動力を働かせることができる。さらに、ブレーキ装置18は、自動駐車装置10の制御によって制動力を働かせることができる。
【0030】
車両1は、この車両1を操舵可能とするステアリング装置19を有する。ステアリング装置19は、運転者によりステアリングホイール(図示せず)に入力された操舵角に応じて車両1を操舵できる。さらに、ステアリング装置19は、自動駐車装置10の制御によって車両1を操舵できる。
【0031】
車両1は、車両1を前進駆動させるためのDレンジと、車両1を後退駆動させるためのRレンジと、車両1を停止させるためのPレンジとの間における切換を可能とするシフト装置20を有する。車両1は、シフト装置20がDレンジに設定された状態で自動前進し、シフト装置20がRレンジに設定された状態で自動後退し、かつシフト装置20がPレンジに設定された状態で自動停止する。
【0032】
車両1は、車速センサ21と、加速度センサ22と、アクセル開度センサ23と、ブレーキセンサ24と、操舵角センサ25とをさらに有する。車速センサ21は、車両1の走行速度を検出する。加速度センサ22は、車両1の加速度を検出する。アクセル開度センサ23は、アクセルペダル(図示せず)に入力された踏み込み量、すなわち、アクセル開度を検出する。ブレーキセンサ24は、ブレーキペダル(図示せず)に入力された踏み込み量を検出する。操舵角センサ25は、ステアリングホイール(図示せず)に入力された操舵角を検出する。
【0033】
「表示装置の詳細」
図4を参照すると、表示装置11は、詳細には次のように構成することができる。表示装置11の表示部11aは、略四角形状、特に、略長方形状になっている。しかしながら、表示部はこれらに限定されない。例えば、表示部は、略等方形状、車両幅方向又は車両上下方向に延びる細長形状等に形成することができる。
【0034】
表示部11aは、撮像装置16により撮像された画像に基づいた静止画、動画等の第1情報を表示可能とする第1表示区域11bと、上記基本残時間の表示値Hを含む第2情報を表示可能とする第2表示区域11cとを有する。基本残時間の表示値Hは、数字、棒グラフ等によって第2表示区域11cに表示することができる。第1表示区域11bは第2表示区域11cよりも大きくなっている。第1表示区域11bは、表示部11aの中央区域を含むように表示部11a上に配置される。第2表示区域11cは、表示部11aの外周縁の一部に沿って表示部11a上に配置される。第2表示区域11cはまた、第1表示区域11bの一部と重なるように配置することもできる。
【0035】
例えば、第1表示区域11bを表示部11aの主画面とし、かつ第2表示区域11cを表示部11aの子画面とすることができる。また、自動駐車装置10の駐車制御部10aが車両1の駐車制御を実行している状態において、第1表示区域11bは、車両1が後退するときに後方撮像部16aにより撮像した画像に基づいた第1情報を表示し、かつ車両1が前進するときに前方撮像部16bにより撮像した画像に基づいた第1情報を表示する。
【0036】
なお、
図4は、一例として、車両1が曲がりながら後退するように駐車制御されている状況にある車両1の後方領域を後方撮像部16aにより撮像した画像に基づいた第1情報を第1表示区域11bに示している。
図4は、この状況における残時間の表示値Hを含む第2情報を第2表示区域11cに示している。また、
図4においては、第1表示区域11b上における車両1の進行方向、すなわち、後退方向を矢印Bにより示し、かつ第1表示区域11b上における車両幅方向を矢印Wにより示す。
【0037】
「自動駐車装置の詳細」
自動駐車装置10は、詳細には次のように構成することができる。自動駐車装置10は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、入力インターフェース、出力インターフェース等の電子部品と、かかる電子部品を配置した電気回路とを含むように構成される。ROMには、種々の制御定数、種々のマップ等と一緒に、自動駐車装置10の機能を発揮するためのプログラムが記憶されている。そのため、CPUがROMに記憶されたプログラムを実行するときに、自動駐車装置10の機能を発揮することができる。しかしながら、自動駐車装置はこれに限定されない。
【0038】
図3に示すように、自動駐車装置10は、表示装置11と、報知装置12と、周辺検出装置13と、操作入力装置14と、撮像装置16と、エンジン17と、ブレーキ装置18と、ステアリング装置19と、シフト装置20と、車速センサ21と、加速度センサ22と、アクセル開度センサ23と、ブレーキセンサ24と、操舵角センサ25と電気的に接続される。また、自動駐車装置10は、表示装置11の表示部11aと操作入力装置14の駐車制御入力部14aとを一体に構成したタッチパネル15と電気的に接続することもできる。
【0039】
図4~
図12に示すように、自動駐車装置10の駐車制御部10aにより実行される駐車制御においては、上述のような自動前進、自動後退、及び自動停止に加えて、自動操舵を実施できる。自動操舵は、ルート算出により算出された移動ルートの変更前又は変更後算出結果M,Nに沿って車両1を移動可能とするように自動的に操舵する。
【0040】
駐車制御部10aは、移動ルートの変更前又は変更後算出結果M,Nに沿って車両1を移動可能とする車速を算出する車速算出を実行可能とする。駐車制御においては、かかる車速算出により算出された車速の算出値に基づいて車両1の車速を制御する自動車速制御を実施できる。なお、ルート算出及び車速算出は、駐車制御の実行中に繰り返し実施される。
【0041】
駐車制御部10aは、周辺検出装置13又は撮像装置16によって他車両、建造物等の障害物Rの情報を取得する周辺情報取得を実行可能とする。さらに、駐車制御部10aは、周辺情報取得によって取得された障害物Rの情報に基づいて、車両1を駐車可能とする駐車区域Pを検索する駐車区域検索を実行可能とする。ここで、駐車制御は、運転者が駐車可能なスペースの存在を確認した後に実行されるので、駐車区域検索によって駐車区域Pが発見されることとなる。
【0042】
駐車制御部10aは、駐車区域検索によって発見された駐車区域Pを目標位置に設定する目標位置設定を実行可能とする。駐車制御部10aは、目標位置設定により設定された目標位置の設定情報に基づいてルート算出を実行する。駐車制御部10aは、車両1が目標位置である駐車区域Pに位置するか否かを判定する駐車完了判定を実行可能とする。
【0043】
図4に示すように、さらに、駐車制御部10aは、ルート算出により算出された移動ルートの変更前又は変更後算出結果M,Nを表示装置11の表示部11aの第1表示区域11bに表示させることができる。この場合、移動ルートの変更前又は変更後算出結果M,Nは、後方若しくは前方撮像部16a,16bにより撮像した画像、又は撮像装置16により撮像した画像から作成された俯瞰図に基づいた第1情報と一緒に表示することができる。
【0044】
駐車制御部10aにより実行されるルート算出においては、少なくとも1つの前進区間と、少なくとも1つの後退区間とを含む移動ルートを算出することができる。この場合、移動ルートの変更前又は変更後算出結果M,Nは、少なくとも1つの前進区間mfi,nfiと、少なくとも1つの後退区間mbj,nbjとを含むことができる。連続する前進及び後退区間の間において、自動前進及び後退のうち一方から自動前進及び後退のうち他方に切り換える切り返しが実施される。ここで、少なくとも1つの前進区間mfi,nfiにおいて、iは1以上の整数であり、かつiが小さくなるに従って、前進区間mfi,nfiは駐車完了地点寄りに位置する。また、少なくとも1つの後退区間mbj,nbjにおいて、jは1以上の整数であり、かつjが小さくなるに従って、後退区間mbj,nbjは駐車完了地点寄りに位置する。
【0045】
例えば、
図5~
図9及び
図11に示すように、移動ルートの変更前算出結果Mは、1つの前進区間、すなわち、第1前進区間mf
1と、2つの後退区間、すなわち、第1及び第2後退区間mb
1,mb
2とを含むことができる。かかる移動ルートの変更前算出結果Mは、車両1が第2後退区間mb
2、第1前進区間mf
1、第1後退区間mb
1の順に移動するように設定される。この場合、第2後退区間mb
2と第1前進区間mf
1との間で自動後退から自動前進に切り換える1回目の切り返しが実施され、次に、第1前進区間mf
1と第1後退区間mb
1との間で自動前進から自動後退に切り換える2回目の切り返しが実施される。
【0046】
例えば、
図10に示すように、移動ルートの変更後算出結果Nは、1つの前進区間、すなわち、第1前進区間nf
1と、1つの後退区間、すなわち、第1後退区間nb
1とを含むことができる。かかる移動ルートの変更後算出結果Nは、車両1が第1前進区間nf
1、第1後退区間nb
1の順に移動するように設定される。この場合、第1前進区間nf
1と第1後退区間nb
1との間で自動前進から自動後退に切り換える切り返しが実施される。
図12に示すように、移動ルートの変更後算出結果Nは、1つの後退区間、すなわち、第1後退区間nb
1を含むこともできる。なお、
図10に示される移動ルートの変更後算出結果Nは、
図5~
図9に示される移動ルートの変更前算出結果Mから変更されたものである。
図12に示される移動ルートの変更後算出結果Nは、
図11に示される移動ルートの変更前算出結果Mから変更されたものである。もちろん、移動ルートの変更前及び変更後算出結果は、このような
図5~
図12に示されたものに限定されない。
【0047】
図6及び
図7を参照すると、駐車制御部10aにより実行される時間変更制御においては、切り返しのための自動停止を実行した後に自動前進又は後退を開始するときに、この切り返し後の前進又は後退区間における基本残時間の表示値Hを新たに表示する。
【0048】
駐車制御部10aにより実行される第1及び第2時間差判定において、時間差ベース値は、補正残時間の算出値Kに対する時間差算出により算出された時間差の算出値(=基本残時間の表示値H-補正残時間の算出値K)の絶対値Dの割合である時間差レートEとなっており、かつ第1及び第2時間差ベース閾値は、それぞれ、この時間差レートのために設定された第1及び第2時間差レート閾値E1,E2となっている。また、第2時間差レート閾値E2は、第1時間差レート閾値E1よりも大きくなっている。
【0049】
しかしながら、第1及び第2時間差判定はこれに限定されない。例えば、第1及び第2時間差判定の少なくとも一方において、時間差ベース値を時間差の算出値の絶対値とすることができる。また、第1時間差判定において、第1時間差ベース閾値を、時間差の算出値の絶対値のために設定された第1時間差閾値とすることができ、及び/又は第2時間差判定において、第2時間差ベース閾値を、時間差の算出値の絶対値のために設定された第2時間差閾値とすることができる。なお、第1及び第2時間差判定の両方において、時間差ベース値を時間差の算出値の絶対値とする場合、第2時間差閾値は第1時間差閾値よりも大きいとよい。
【0050】
駐車制御部10aにより実行される時間減少制御において、時間差ベース値が第1時間差ベース閾値よりも小さい場合には、基本残時間の表示値Hの減少速度を、(例えば、基本残時間の表示値Hの1秒を1秒で減少させるように定められる)通常の時間減少速度と略一致させる。時間減少制御において、時間差の算出値(=基本残時間の表示値H-補正残時間の算出値K)が正の値であり、かつ時間差ベース値が第1時間差ベース閾値以上かつ第2時間差ベース閾値未満である場合に、基本残時間の表示値Hの減少速度を通常の時間減少速度よりも大きくする。その一方で、時間減少制御において、時間差の算出値が負の値であり、かつ時間差ベース値が第1時間差ベース閾値以上かつ第2時間差ベース閾値未満である場合に、基本残時間の表示値Hの減少速度を通常の時間減少速度よりも小さくする。
【0051】
図9~
図12に示すように、駐車制御部10aによって実行される新障害物判定においては、周辺検出装置13が歩行者U1、車止めU2等の新たな障害物U1,U2を検出したか否かを判定する。このような新障害物判定によって、上述のように駐車制御を実行している間に車両1の駐車を妨げる新たな障害物U1,U2を検出した状況を特定することができる。駐車制御部10aは、新障害物判定によって、周辺検出装置13が新たな障害物U1,U2を検出したと判定された場合に、移動ルートの変更前算出結果Mから変更後算出結果Nへの変更を行うこともできる。
【0052】
停止報知制御は、移動ルートの変更前算出結果Mから変更後算出結果Nへの変更が行われ、これによって、時間停止制御及び強制停止制御が実行された場合に、変更後の移動ルートの変更後算出結果Nを強調することによってもたらすことができる。例えば、移動ルートの変更後算出結果Nの強調は、第1表示区域11bにて変更後の移動ルートの変更後算出結果Nを点滅することによってもたらすことができる。しかしながら、移動ルートの変更後算出結果の強調は、これに限定されない。
【0053】
ここで、移動ルートの変更前算出結果Mから変更後算出結果Nへの変更においては、具体的には、ルート算出を実行し、この時点で用いられている移動ルートの変更前算出結果Mを、このルート算出により算出された移動ルートの変更後算出結果Nに変更する。例えば、
図9に示すように、車両1が移動ルートの変更前算出結果Mの第2前進区間mf
2に沿って移動しているときに、新たな障害物U1,U2として歩行者U1が検出された場合には、かかる歩行者U1を避けるように移動ルートが算出される。その結果、
図10に示すように、歩行者U1を考慮しないで設定された移動ルートの変更前算出結果Mが、歩行者U1を避けるように設定された移動ルートの変更後算出結果Nに変更される。具体的には、
図10においては、移動ルートの変更後算出結果Nの第1前進区間nf
1及び第1後退区間nb
1が、歩行者U1を避けるようにカーブしている。
【0054】
例えば、
図11に示すように、車両1が移動ルートの変更前算出結果Mの第1後退区間mb
1に沿って移動しているときに、新たな障害物U1,U2として車止めU2が検出された場合には、かかる車止めU2を避けるように移動ルートが算出される。その結果、
図12に示すように、車止めU2を考慮しないで設定された移動ルートの変更前算出結果Mが、車止めU2を避けるように設定された移動ルートの変更後算出結果Nに変更される。具体的には、
図12においては、移動ルートの変更後算出結果Nの第1後退区間nb
1が、車両1を車止めU2の手前で停止させるような長さに設定されている。
【0055】
特に図示はしないが、駐車制御部10aにより実行される理由報知制御及び停止報知制御の少なくとも一方は、第1報知条件が満たされた場合、すなわち、第2時間差判定によって、時間差ベース値が第2時間差ベース閾値以上になったと判定された場合に、第2表示区域11cの第2情報を点滅させながら表示することによってもたらすことができる。また、理由報知制御は、第1報知条件が満たされた場合、このことに関連する情報を、文字、記号等を用いて表示部11aに表示することによってもたらすこともできる。
【0056】
理由報知制御及び停止報知制御の少なくとも一方は、第2報知条件が満たされた場合、すなわち、ルート変更判定によって、移動ルートの変更前算出結果Mから変更後算出結果Nへの変更が行われたと判定された場合には、変更後の移動ルートの変更後算出結果Nを強調することによってもたらすことができる。例えば、移動ルートの変更後算出結果Nの強調は、第1表示区域11bにて変更後の移動ルートの変更後算出結果Nを点滅することによってもたらすことができる。しかしながら、移動ルートの変更後算出結果の強調は、これに限定されない。
【0057】
図4に一例を示すように、理由報知制御及び停止報知制御の少なくとも一方は、第3報知条件が満たされた場合、すなわち、新障害物判定によって、駐車制御を実行している間に車両1の駐車を妨げる新たな障害物U1,U2を検出したと判定された場合には、第1表示区域11bに表示された新たな障害物U1,U2を強調することによってもたらすことができる。例えば、特に
図4に示すように、新たな障害物U1,U2の強調は、第1表示区域11bにて新たな障害物U1,U2を囲む枠線Qを点滅することによってもたらすことができる。しかしながら、新たな障害物の強調は、これに限定されない。
【0058】
なお、理由報知制御及び停止報知制御は上記に限定されない。例えば、理由報知制御及び停止報知制御の少なくとも一方は、スピーカ、ブザー等から発せられる音声、アラーム音等によってもたらすこともできる。
【0059】
駐車制御部10aは、補正残時間の算出値Kが0(秒)であるか否かを判定する補正残時間判定を実行可能とする。駐車制御部10aは、補正残時間の算出値Kが0(秒)である場合にもまた、時間適合制御を実行することができる。
【0060】
駐車制御部10aは、基本残時間の表示値Hが所定の残時間閾値H1以下になったか否かを判定する時間表示判定を実行可能とする。駐車制御部10aは、時間表示判定によって、基本残時間の表示値Hが所定の残時間閾値H1以下となったと判定された場合に、基本残時間の表示値Hを表示装置11の表示部11a、特に、その第2表示区域11cに表示する時間表示制御を実行可能とすることができる。しかしながら、基本残時間の表示値を表示装置の表示部に表示する条件は、これに限定されない。例えば、基本残時間の表示値は、車両が移動ルートの前進又は後退区間の移動の開始時点又は途中時点から、表示装置の表示部、特に、その第2表示区域に表示することもできる。
【0061】
「自動駐車装置10の制御方法の一例」
図13及び
図14を参照して、本実施形態に係る自動駐車装置10の制御方法の一例について以下に説明する。
図13に示すように、先ずは、車両1を駐車可能とする駐車区域Pを検索する(駐車区域検索、ステップS1)。具体的には、駐車区域検索においては、周辺検出装置13又は撮像装置16によって他車両、建造物等の障害物Rの情報を取得する。次に、障害物Rの情報に基づいて、車両1を駐車可能とする駐車区域Pを検索し、かつ駐車区域Pを認識する。
【0062】
次に、駐車制御の実行を開始する(駐車制御開始、ステップS2)。具体的には、駐車制御開始においては、駐車制御の実行を開始するために、例えば、操作入力装置14の駐車制御入力部14aを、駐車制御を実行しない駐車制御オフ状態から、駐車制御を実行する駐車制御オン状態に切り換える。駐車制御オン状態では、駐車区域Pが目標位置に設定される。次の駐車制御実行のルート算出においては、かかる目標位置の設定情報に基づいて、車両1の移動ルートを算出する。
【0063】
その後、駐車制御を実行する(駐車制御実行、ステップS3)。かかる駐車制御実行は、詳細には次のようになっている。
図14に示すように、駐車制御においては、車両1が目標位置である駐車区域Pに位置するように車両1の駐車が完了するまで、駐車制御において移動ルートの全体に渡って実行するステップを繰り返すループ制御を実施する(全体ループ制御、ステップ11~ステップ32)。全体ループ制御においては、先ずは、移動ルート、車速、及び基本残時間を算出する(ルート算出、車速算出、及び基本残時間算出、ステップS12)。基本残時間算出により算出された基本残時間の算出値Cを基本残時間の表示値Hに設定する(基本残時間設定、ステップS13)。
【0064】
基本残時間の表示値Hが0(秒)になるまで、駐車制御において自動前進及び後退のうち一方にて実行するステップを繰り返すループ制御を実施する(部分ループ制御、ステップ14~ステップ30)。部分ループ制御においては、先ずは、車両1を自動前進又は後退させる(自動進行制御、ステップS15)。基本残時間の表示値Hを時間の経過に従って減少させるように制御する(残時間制御、ステップS16)。移動ルート、車速、及び補正残時間を算出する(ルート算出、車速算出、及び補正残時間算出、ステップS17)。補正残時間算出により算出される補正残時間の算出値Kが0(秒)であるか否かを判定する(補正残時間判定、ステップS18)。
【0065】
補正残時間判定(ステップS18)において、補正残時間の算出値Kが0(秒)でない場合(NO)、補正残時間の算出値Kに対する時間差算出により算出された時間差の算出値の絶対値Dの割合である時間差レートの算出値Eを算出する(時間差算出、ステップS19)。時間差レートの算出値Eが第2時間差レート閾値E2以上であるか否かを判定する(第2時間差判定、ステップS20)。
【0066】
第2時間差判定(ステップS20)において、時間差レートの算出値Eが第2時間差レート閾値E2以上でない場合(NO)、時間差レートの算出値Eが第1時間差レート閾値E1以上であるか否かを判定する(第1時間差判定、ステップS21)。第1時間差判定(ステップS21)において、時間差レートの算出値Eが第1時間差レート閾値E1以上である場合(YES)、基本残時間の表示値Hの減少速度を変更する(時間減少制御、ステップS22)。第2時間差判定(ステップS20)において、時間差レートEが第1時間差レート閾値E1以上でない場合(NO)、基本残時間の表示値Hの減少速度を通常の時間減少速度にする(ステップS23)。次に、基本残時間の表示値Hが残時間閾値H1以下になったか否かを判定する(時間表示判定、ステップS24)。この時間表示判定以降のステップについては、後述する。
【0067】
第2時間差判定(ステップS20)において、時間差レートの算出値Eが第2時間差レート閾値E2以上である場合(YES)、基本残時間の表示値Hを補正残時間の算出値Kに適合するように直ちに変更する(時間適合制御、ステップS25)。基本残時間の表示値Hの変更理由を報知装置12によって報知する(理由報知制御、ステップS26)。次に、基本残時間の表示値Hが残時間閾値H1以下になったか否かを判定する(時間表示判定、ステップS24)。
【0068】
補正残時間判定(ステップS17)において、補正残時間の算出値Kが0(秒)である場合(YES)、基本残時間の表示値Hを補正残時間の算出値Kに適合するように直ちに変更する(時間適合制御、ステップS27)。次に、基本残時間の表示値Hが残時間閾値H1以下になったか否かを判定する(時間表示判定、ステップS24)。
【0069】
時間表示判定(ステップS24)において、基本残時間の表示値Hが残時間閾値H1以下である場合(YES)、基本残時間の表示値Hを表示装置11の表示部11aに表示し(時間表示制御、ステップS28)、その一方で、基本残時間の表示値Hが残時間閾値H1以下でない場合(NO)、基本残時間の表示値Hを表示装置11の表示部11aに表示しない(ステップS29)。その後、基本残時間の表示値Hが0(秒)でない場合には、自動進行制御(ステップS15)に戻る。その一方で、基本残時間の表示値Hが0(秒)である場合には、車両1を自動停止させる(自動停止制御、ステップS31)。このとき、基本残時間の表示値Hが0秒になったか否かを判定する基本残時間判定が実行される。
【0070】
車両1が自動停止した状態において、さらに、車両1の駐車が完了していない場合は、ルート算出、車速算出、及び基本残時間算出(ステップS12)に戻る。その一方で、車両1の駐車が完了した場合は、駐車制御を終了する。このとき、車両1が目標位置である駐車区域Pに位置するか否かを判定する駐車完了判定が実行される。
【0071】
しかしながら、自動駐車装置の制御方法はこれに限定されない。自動駐車装置の制御方法は、上述した構成要素に基づいて変更することができる。例えば、第2時間差判定(ステップS20)の代わりに、移動ルートの変更前算出結果Mから変更後算出結果Nへの変更が行われたか否かを判定するルート変更判定を実行することもできる。また、第2時間差判定(ステップS20)の代わりに、新たな障害物U1,U2を検出したか否かを判定する新障害物判定を実行することもできる。
【0072】
以上、本実施形態に係る自動駐車装置10においては、車両1の自動前進及び自動後退のうち一方の開始時点又は途中時点から、自動前進及び自動後退のうち他方に切り換える切り返しのための停止を含む自動停止までに掛かる基本残時間を算出する基本残時間算出が実行され、表示装置11に表示するために用いられる基本残時間の表示値Hを、基本残時間算出により算出された基本残時間の算出値を時間の経過に従って減少させた値とするように制御する残時間制御が実行される。そのため、運転者が、表示装置11に表示された基本残時間の表示値Hを見ることによって、駐車制御中に車両1が切り返しのために停止するタイミングを直感的に認識することができる。その結果、車両1が切り返しの直前に障害物Rに接近する場合であっても、障害物Rの接近による運転者の不安感を低減することができる。さらに、このような不安感の低減によって、運転者が不必要なブレーキ操作をすることを抑制できる。その結果、運転者の利便性及び快適性を向上させることができる。なお、本実施形態に係る自動駐車装置10においては、自動停止が、切り返しのための停止に加えて、駐車完了のための停止を含むことができる。この場合は、運転者が、表示装置11に表示された基本残時間の表示値Hを見ることによって、駐車制御中に車両1が駐車完了のために停止するタイミングを直感的に認識することができる。
【0073】
本実施形態に係る自動駐車装置10においては、基本残時間の表示値Hが0(秒)になったときに、自動停止が実行される。そのため、運転者により直感的に認識される車両1の停止タイミングと、実際の車両1の停止タイミングとを略一致させることができる。その結果、障害物Rの接近による運転者の不安感を確実に低減することができる。
【0074】
本実施形態に係る自動駐車装置10においては、自動停止を実行した後に自動前進及び自動後退のうち他方を開始するときに、基本残時間の表示値Hを変更する時間変更制御が実行される。そのため、例えば、車両1が切り返しのために一旦停止した後においても、運転者が、表示装置11に表示された基本残時間の表示値Hを見ることによって次の停止タイミングを直感的に認識することができる。その結果、車両1の自動的な移動に伴う運転者の不安感、特に、障害物Rの接近による運転者の不安感を確実に低減することができる。
【0075】
本実施形態に係る自動駐車装置10においては、基本残時間算出により基本残時間を算出した後かつ自動前進及び自動後退のうち一方を実行している間のタイミングから、自動停止までに掛かる補正残時間を算出する補正残時間算出が実行され、基本残時間の表示値Hと、補正残時間算出により算出される補正残時間の算出値Kとの間における時間差の算出値の絶対値Dに基づく時間差ベース値が第1時間差ベース閾値以上となったときに、基本残時間の表示値Hの減少速度を変更する時間減少制御が実行される。そのため、基本残時間の表示値Hと、この基本残時間の表示値Hを補正するように算出された補正残時間の算出値Kとがズレた場合であっても、このようなズレを、運転者に不安感を与えることを防ぐようにスムーズに解消することができる。その結果、車両1の自動的な移動に伴う運転者の不安感、特に、障害物Rの接近による運転者の不安感を確実に低減することができる。
【0076】
本実施形態に係る自動駐車装置10においては、駐車制御を実行するために車両1の移動ルートを算出するルート算出が実行され、ルート算出により算出された移動ルートの変更前又は変更後算出結果M,Nに従って駐車制御が実行され、駐車区域P又はこの駐車区域Pの周辺領域の状況に応じて、移動ルートの変更前算出結果Mから変更後算出結果Nへの変更を行うためにルート算出が実行される。そのため、高精度な基本残時間を得ることができる。その結果、運転者が、表示装置11に表示された高精度な基本残時間の表示値Hを見ることによって、高い精度で、駐車制御中に車両1が切り返しのために停止するタイミングを直感的に認識することができる。
【0077】
本実施形態に係る自動駐車装置10においては、上記第1~第3報知条件のいずれかが満たされたときに、基本残時間の表示値Hを補正残時間の算出値Kに適合させるように変更する時間適合制御が実行され、変更された基本残時間の表示値Hに基づいて残時間制御が実行され、かつ基本残時間変更を実行した理由を表示装置11に表示する理由報知制御が実行される。そのため、高精度な基本残時間を得ることができ、運転者が、表示装置11に表示された高精度な基本残時間の表示値Hを見ることによって、高い精度で、駐車制御中に車両1が切り返しのために停止するタイミングを直感的に認識することができる。また、運転者が基本残時間変更を実行した理由を確実に認識できるので、車両1の自動的な移動に伴う運転者の不安感を確実に低減することができる。
【0078】
本実施形態に係る自動駐車装置10においては、上記第1~第3報知条件のいずれかが満たされたときに、基本残時間の表示値Hの減少を停止する時間停止制御が実行され、車両1を強制的に停止する強制停止制御が実行され、かつ強制停止制御による車両1の停止を報知する停止報知制御が実行される。そのため、新たな障害物U1,U2の発生時に一旦車両1が停止できるので、新たな障害物U1,U2の発生に伴う運転者の不安感を低減することができる。また、移動ルートの変更時に一旦車両1が停止できるので、運転者が、意図しない移動ルートの変更を、車両1の停止状態で余裕をもって認識することができる。さらに、基本残時間の表示値Hが補正残時間の算出値Kから大きくズレた場合に一旦車両1が停止できるので、運転者が、かかるズレの生じた状況を、車両1の停止状態で余裕をもって認識することができる。その結果、車両1の自動的な移動に伴う運転者の不安感、特に、障害物Rの接近による運転者の不安感を確実に低減することができる。
【0079】
ここまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明は、その技術的思想に基づいて変形及び変更可能である。
【符号の説明】
【0080】
1…車両,10…自動駐車装置,10a…駐車制御部,11…表示装置
P…駐車区域,U1…歩行者(新たな障害物),U2…車止め(新たな障害物)
M…移動ルートの変更前算出結果、N…移動ルートの変更後算出結果
H…基本残時間の表示値,H1…残時間閾値,K…補正残時間の算出値,D…時間差の算出値の絶対値,E…時間差レート,E1…第1時間差レート閾値,E2…第2時間差レート閾値